(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】光学フィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/22 20060101AFI20231205BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20231205BHJP
G02B 1/115 20150101ALI20231205BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20231205BHJP
B32B 3/04 20060101ALI20231205BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231205BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20231205BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20231205BHJP
B32B 17/10 20060101ALI20231205BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G02B5/22
G02B1/14
G02B1/115
B32B7/023
B32B3/04
B32B27/00 D
B32B27/16 101
B32B9/00 A
B32B17/10
C09J201/00
(21)【出願番号】P 2020061767
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上宇都 啓
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-373977(JP,A)
【文献】特開平03-037142(JP,A)
【文献】国際公開第2017/030174(WO,A1)
【文献】特開2016-014866(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0052180(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110749949(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/22
G02B 1/14
G02B 1/115
B32B 7/023
B32B 3/04
B32B 27/00
B32B 27/16
B32B 9/00
B32B 17/10
C09J 201/00
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサ又はイメージセンサの支持フレームに紫外線硬化型接着剤によって接着される光学フィルタにおいて、
前記イメージセンサの光線有効範囲に対応する平面的な大きさを有し、第1の主面に紫外線カットコートがされた又は自身が紫外線吸収性を有した第1基板と、
平面的な大きさが前記第1基板より大きい第2基板であって、紫外線透過性を有し、かつ、第1の主面は前記第1基板の第2の主面に接着剤によって接着されていて、当該第2基板の第2の主面の、前記第1基板より外側に当たる領域は、前記紫外線硬化型接着剤による接着領域とされる第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板を接着している当該接着
剤と、
前記第2基板の前記第1の主面に設けられ、該第1の主面の前記第1基板で覆われていない領域の耐候性を高める保護コートと、を備え、
前記第2基板の前記第2の主面に反射防止コートを備えることを特徴とする光学フィルタ。
【請求項2】
前記保護コートは、前記反射防止コートと同じ組成の膜であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
反射防止コートと保護コートとを、それぞれ、基板側から順に積層したSiO2(二酸化ケイ素膜)、Al2O3(酸化アルミナ膜)及びSiO2(二酸化ケイ素膜)の積層膜(各膜が多層膜の場合も含む)で構成するか、又は、基板側から順に積層したMgF2(フッ化マブネシウム膜)、Al2O3(酸化アルミナ膜)及びSiO2(二酸化ケイ素膜)の積層膜(各膜が多層膜の場合も含む)で構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記第1基板をホウ酸塩ガラス、ソーダガラス又は水晶で構成し、前記第2基板をリン酸塩ガラス又は沸リン酸塩ガラスで構成してあることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
以 上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタに関し、特に、当該光学フィルタをイメージセンサ等に紫外線硬化型接着剤によって接着する際に好適で、かつ、耐環境性にも優れる光学フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デジタルカメラ、放送用カメラでは、いわゆる疑似信号を防止又は低減するため、イメージセンサの前段に、光学フィルタが設けられている。具体的には、イメージセンサ又はイメージセンサの支持フレームに、光学フィルタであるオプティカルローパスフィルタが接着されている。接着剤としては、接着の作業性や信頼性が良い等の理由から、紫外線硬化型接着剤が多用されている。
【0003】
紫外線硬化型の接着剤を用いる場合、光学フィルタ自体が紫外線の透過率を低下させることが多いため、例えば、特許文献1では、光学フィルタ自体の縁にフィルタ膜を設けず基板を露出させたり、基板の縁に切り欠きを設けたりして、光学フィルタ自体の縁を紫外線透過領域とする構造が開示されている(特許文献1の
図24~
図28)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光学フィルタ自体の縁に紫外線透過領域を設ける場合、その製作自体が大変な場合がある。また、イメージセンサの支持フレームの大きさが変わった場合のように接着領域の大きさ、形状等が変わった場合は、フィルタ自体の大きさ、形状を変更しなければならない場合が生じる。従って、従来構造以外の構造であって、紫外線硬化型接着剤に対応できる新規な構造が望まれている。しかも、新規な構造であって、耐候性も確保できる構造が望まれている。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、従って、本発明の目的は、イメージセンサ又はイメージセンサの支持フレームに、紫外線硬化型接着剤によって光学フィルタを接着する際に、紫外線硬化型接着剤に紫外線を良好に照射でき、かつ、耐候性に優れる新規な構造を有した光学フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的の達成を図るため、この発明によれば、イメージセンサ又はイメージセンサの支持フレームに紫外線硬化型接着剤によって接着される光学フィルタにおいて、
前記イメージセンサの光線有効範囲である画素領域に対応する平面的な大きさを有し、第1の主面に紫外線カットコートがされた又は自身が紫外線吸収性を有した第1基板と、
平面的な大きさが前記第1基板より大きい第2基板であって、紫外線透過性を有し、かつ、第1の主面は前記第1基板の第2の主面に接着剤によって接着されていて、当該第2基板の第2の主面の、前記第1基板より外側に当たる領域は、前記紫外線硬化型接着剤による接着領域とされる第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板を接着している当該接着剤層と、
前記第2基板の前記第1の主面に設けられ、該第1の主面の前記第1基板で覆われていない領域の耐候性を高める保護コートと、
を備えたことを特徴とする光学フィルタ。
【0007】
この発明を実施するに当たり、前記第2基板の前記第2の主面に反射防止コートを備え、前記保護コートは前記反射防止コートと同じ組成の膜とすることが好ましい。反射防止コートと保護コートとが同じであるため、相互の膜応力の差異を低減できること、また、反射防止コートと保護コートとを同一工程で形成できることから、特性面及びコスト面で有利等の利点が得られるからである。
【0008】
この発明を実施するに当たり、反射防止コートと保護コートとを、それぞれ、基板側から順に積層したSiO2(二酸化ケイ素膜)、Al2O3(酸化アルミナ膜)及びSiO2(二酸化ケイ素膜)の積層膜(各膜が多層膜の場合も含む)で構成するか、又は、基板側から順に積層したMgF2(フッ化マブネシウム膜)、Al2O3(酸化アルミナ膜)及びSiO2(二酸化ケイ素膜)の積層膜(各膜が多層膜の場合も含む)で構成することが好ましい。これらの積層膜であると、詳細は後述するが、保護コートとして他の組成の膜を使用する場合に比べて、第2基板の反りを小さくでき、当該光学フィルタをヒートサイクル試験に投じた際の第2基板の縁でのクラック発生を防止でき、当該光学フィルタでの反射率及び光学特性を所望の値にできるからである。
【0009】
この発明を実施するに当たり、第1基板をホウ酸塩ガラス、ソーダガラス又は水晶で構成し、第2基板をリン酸塩ガラス又は沸リン酸塩ガラスで構成することが好ましい。これらの材料であると、発明者の実験によって、本発明の効果が確認できているからである。
【0010】
この発明を実施するに当たり、前記第1基板の第1の主面に反射防止コートをすることが好ましい。第1基板の第1主面側での反射現象を軽減できるので、光学フィルタのさらなる特性向上が図れるからである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の光学フィルタは、紫外線透過性を有した第2基板の、第1基板より外側の領域すなわち第2基板の縁近傍領域を、紫外線硬化型接着剤用の接着領域として使用する構造のものである。そして、紫外線を第1基板の上方から照射すると紫外線は第2基板の縁近傍領域を通過して前記接着領域に到達できる。従って、当該光学フィルタをイメージセンサ又はイメージセンサの支持フレームに効率良くかつ信頼性良く、接着できる。
また、第2基板自体は、第1基板に比べ、大きさや厚みの変更を行い易いため、イメージセンサの光線有効範囲は変更ないがイメージセンサの外形やイメージセンサの支持フレームの外形が変わった場合でも、第2基板の大きさ等の変更のみで、紫外線硬化型接着剤の接着領域を確保できる。
また、第2基板の第1の主面の第1基板で覆われていない領域は、保護コートによって保護されているため、当該領域の耐候性を高めることができる。
これらのことから、イメージセンサ又はイメージセンサの支持フレームに、紫外線硬化型接着剤によって光学フィルタを接着する際に、紫外線硬化型接着剤に紫外線を良好に照射でき、かつ、耐候性に優れる新規な構造を有した光学フィルタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(A)は、実施形態の光学フィルタ10のカメラ30への取り付け例を示した図であり、(B)は、実施形態の光学フィルタ10をその支持フレーム20と共に示した図であり、(C)は、実施形態の光学フィルタ10の断面図であって、
図1(B)のP-P線に沿った断面図である。
【
図2】(A)は、実施形態の光学フィルタの寸法等を説明する平面図、(B)は(A)図のP-P線に沿う断面図である。
【
図3】(A)、(B)、(C)は、実施形態の光学フィルタ10の耐環境性能を説明する図であり、特に、(A)図は第2基板の縁近傍に生じるクラックの説明図、(B)図は第2基板の保護コートに由来する反りの説明図、(C)図は保護コートの種類によるクラックと反りの発生具合の差を説明するための図である。
【
図4】(A)、(B)は、保護コートと、光学フィルタの光学特性や反射率特性と、の関係を説明する図である。
【
図5】実施形態の光学フィルタ10の製法例の説明図である。
【
図6】実施形態の光学フィルタ10をイメージセンサ又はイメージセンサのフレーム20に接着する様子の説明図である。
【
図7】第1基板11の第1の主面11a及び側面11cに紫外線カットコート101を設けた例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の光学フィルタの実施形態を説明する。なお、説明に用いる各図は、本発明を理解できる程度に概略的に示してあるに過ぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の実施形態中で述べる形状、材質、製法例等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、本発明が以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0014】
1. 第1の実施形態
(光学フィルタの全体構成)
先ず、
図1、
図2を参照して、第1の実施形態の光学フィルタ10の全体構成について説明する。この光学フィルタ10は、
図1(A)に示したように、例えばデジタルカメラ30に内蔵されているイメージセンサ20又はイメージセンサの支持フレーム20等に、紫外線硬化型接着剤40(
図1(C)参照)によって接着されるものであって、以下の構造を有したものである。
【0015】
この光学フィルタ10は、第1基板11と、第2基板13と、これら第1基板11及び第2基板13を接着している接着剤15と、保護コート100と、反射防止コート19と、を備えている。
第1基板11は、平面的な大きさが、イメージセンサの光線有効範囲の大きさ、すなわち
図2(A)中に示したようにw1×h1で、厚みが、
図2(B)に示したようにt1のものであって、第1の主面11aに紫外線カットコートがされている基板か、又は、第1の基板11自身が紫外線吸収性を有した基板で構成してある。
第1基板11が、第1の主面11aに紫外線カットコートがされているものである場合、当該第1の基板11は、例えば、ホウ酸塩ガラス、ソーダガラス又は水晶で構成でき、紫外線カットコートは、例えば、誘電体多層膜からなる積層膜で構成できる。
また、第1基板11が、紫外線吸収性を有した基板である場合は、当該第1基板11は、例えば、酸化チタンと酸化セリウムをガラス素材に添加したガラスで構成できる。
なお、
図1、
図2の場合の第1基板11は、紫外線吸収性を有した基板であり紫外線カットコートを設けていない例である。
【0016】
第2基板13は、平面的な大きさが、
図2(A)に示したように、w2×h2(ただし、w1<w2、h1<h2)で、厚みが、
図2(B)に示したようにt2(ただし、t1<t2)のものであって、紫外線透過性を有し、かつ、第1の主面13aが第1基板11の第2の主面11bに接着剤15によって接着されているものである。しかも、第2基板13の第2の主面13bの、第1基板より外側に当たる領域13cが、紫外線硬化型接着剤による接着領域13cとされるものである。しかも、第2基板13の第2の主面13bに反射防止コート19を備え、かつ、第2基板13の第1の主面13a面に、第1の主面13aの第1基板で覆われていない領域13dの耐環境性を高める保護コート100を備えている。
この第2基板13は、例えば、リン酸塩ガラス又は沸リン酸ガラスで構成できる。
なお、接着剤15は、この例の場合、紫外線硬化型接着剤としてある。
【0017】
図2(A)、(B)に示した第1基板11、第2基板13の場合、w2-w1で規定される領域およびh2-h1で規定される領域各々の平面的に見ると帯状の領域13cが、紫外線の透過領域となり、かつ、その第2の面側が紫外線硬化型接着剤の接着領域となる。
これら第1基板11及び、第2基板13の具体的な寸法例を、寸法比の表示形式によって、表1に示した。表1には、実施例1、実施例2及び実施例3の例を示してある。
少なくとも、表1に示した実施例1~実施例3の基板の寸法であると、デジタルカメラの特に上位機種用として好ましく、しかも、領域13cにおける紫外線の透過も良好であり、かつ、紫外線硬化型接着剤の接着強度も確保でき、また、光学フィルタ自体の反りや歪等も実用上問題ないことが、確認できている。従って、第1基板及び第2基板の幅の寸法比w1/w2は0.86~0.9が好ましく、高さの寸法比h1/h2は0.8~0.85が好ましく、厚み比t1/t2は0.39~0.72が好ましい。
【表1】
【0018】
(保護コート)
次に、保護コート100について説明する。本発明の光学フィルタでは、第2基板13の平面的大きさを第1基板11のそれより大きくして、第2基板13の第1基板11で覆われていない部分を紫外線の透過領域および接着領域として利用する構造であるため、特に、第2基板13の第1の主面13aのうち第1基板11で覆われていない領域13dは、何の工夫もしないと、基板自体が環境下に晒される。そして、第2基板13自体が耐候性に乏しい材料で構成した基板であると、第2基板13は経年的に劣化して、光学フィルタ10の特性を劣化させる場合がある。そこで、本発明では保護コート100を設けることを特徴としているが、保護コート100の構成材料を適正化しないと、第2基板13の縁近傍にクラックを生じさせ、また、透過率特性、反射率特性等の光学特性を低下させることが起きる。これらについて、以下説明する。
【0019】
図3(A)は、保護コートが不適切な材料で構成した場合に、光学フィルタ10の第2基板13の縁領域に生じたクラック110を、観察した写真である。具体的には、光学フィルタに対し、所定条件の高温高湿試験を実施した場合、保護コートが不適切な材料で構成した光学フィルタでは、
図3(A)のようなクラック110が生じることを示した写真である。
また、
図3(B)は、保護コートを設けた第2基板13では、保護コートの材料次第で、反り120が生じることを説明する図である。
また、
図3(C)は、保護コートの構成材料の違いによって、反り量及びクラック発生率が変わることを説明する図である。
上記の状況から、保護コートの材料の適正化を図るために、以下に説明する実施例及び比較例による検討を行った。
【0020】
(実施例及び比較例)
第1基板11をホウ酸塩ガラスで構成し、第2基板13をリン酸塩ガラスで構成し、保護コートを下記の表2に示した実施例a、実施例b、比較例aおよび比較例bの膜で構成して、実施例a,b及び比較例a,b各々の光学フィルタを、多数個ずつ試作した。寸法は、上記の表1の実施例1に記載した寸法とした。
そして、実施例及び比較例の光学フィルタ各々を、温度が85℃、湿度が95%の高温・高湿槽に250時間投入して、高温・高湿耐性試験を実施した。試験後に、実施例及び比較例各々のグループでのクラック発生率(各グループでのクラック発生試料数/各グループごとの試料数)を調べた。クラック発生率は、比較例a,b各々が100%、実施例a,b各々が0%であった。
また、これとは別に、第2基板をリン酸塩ガラスで構成し、この第1の主面に表2に示した実施例a,b、比較例a,bの保護コートをそれぞれ形成し、第2の主面に反射防止膜19を形成して、それぞれの反り量を測定した。その結果、比較例aの反り量は、9.4μm、比較例bの反り量は4.8μm、実施例a,bの反り量は3.3μmであった。
このように調べたクラック発生率及び反り量を、
図3(C)に、横軸に試料素性をとり、左縦軸にクラック発生率をとり、右縦軸に反り量をとって、まとめて示した。
図3(C)から、実施例の保護コートが比較例より優れていることが理解できる。
【表2】
【0021】
また、
図4(A)に、実施例a,b、比較例a,b各々の保護膜界面での反射率を測定した結果を、横軸に波長をとり縦軸に反射率をとって示した。なお、測定は波長が550nmの光に対するものである。実施例の保護コートは、反射率が低いことが理解できる。
また、
図4(B)に、保護コート有り無しでの光学フィルタにおける透過率特性を示した。実施例の保護コートは、保護コートを付けたことによる光学特性の劣化を生じさせないものであることが理解できる。
【0022】
(製法例)
次に、第1の実施形態の光学フィルタ10の製法例を、
図5を参照して説明する。
先ず、第2基板13を用意し、その第1の主面13aに紫外線硬化型接着剤40を塗布する。紫外線硬化型接着剤40は、第2基板13の第1の主面13aの全面に塗布してもかまわないが、好ましくは、第1基板11と対向する領域に塗布し縁近傍には塗布しない方が良い。
紫外線硬化型接着剤40を塗布した後、第2基板13に第1基板11を重ね(
図3(A))、第2基板13の裏面から紫外線50を照射して(
図3(B))、第1基板11と第2基板13とを接着する。これにより第1の実施形態の光学フィルタ10を得ることができる。
【0023】
(使用例)
この第1の実施形態の光学フィルタ10を、イメージセンサ又はイメージセンサの支持フレーム20等に接着する場合は、
図6に示したように、イメージセンサ又はイメージセンサの支持フレーム20に、紫外線硬化型接着剤40を塗布し、その上に第2基板13を重ねる。そして、第1基板11の上方から紫外線50を照射する。紫外線50は、第1基板11は透過しないか減衰されるが、第2基板13の第1基板11より外側の領域は透過して紫外線硬化型接着剤40を硬化させる。従って、イメージセンサ又はイメージセンサの支持フレーム20等に光学フィルタ10を、紫外線硬化型接着剤40によって接着できる。
【0024】
2. その他の実施形態
次に、他の実施形態の光学フィルタについて説明する。
図7は、第2の実施形態の光学フィルタ10xの説明図であり、
図1(B)と同様の断面図で示したものである。
第2の実施形態の光学フィルタ10xは、第1基板11が紫外線カットコート17を備えるものの例である。第1基板11に赤外線カットコート17を設ける場合、第1基板11の少なくとも第1の主面11aに設ける。ただし、
図5の例の場合、第1基板11の第1の主面11a及び側面11に、紫外線カットコート17を設けた例を示してある。
【0025】
上述においては、本発明の光学フィルタをデジタルカメラに接着する例を示したが、本発明の光学フィルタは紫外線硬化型接着剤で接着を必要とする種々の装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
10:第1の実施形態の光学フィルタ 10x:第2の実施形態の光学フィルタ
11:第1基板 11a:第1基板の第1の主面
11b:第1基板の第2の主面
13:第2基板 13a:第2基板の第1の主面
13b:第2基板の第2の主面 13c:接着領域
13d:第2基板の第1の主面の、第1基板で覆われていない領域
15:接着剤(第1基板と第2基板を接着している接着剤)
17:紫外線カットコート 19:反射防止コート
20:イメージセンサ又はイメージセンサの支持フレーム
30:デジタルカメラ 40:紫外線硬化型接着剤
50:紫外線 100:保護コート