(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20231205BHJP
B22D 17/26 20060101ALI20231205BHJP
B22D 17/32 20060101ALI20231205BHJP
B29C 33/22 20060101ALI20231205BHJP
B29C 33/70 20060101ALI20231205BHJP
B29C 45/66 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B29C45/76
B22D17/26 D
B22D17/26 J
B22D17/32 J
B29C33/22
B29C33/70
B29C45/66
(21)【出願番号】P 2020063576
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松竹 由賢
(72)【発明者】
【氏名】水原 弾
【審査官】小山 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/171047(WO,A1)
【文献】特開2011-005796(JP,A)
【文献】特開2004-122579(JP,A)
【文献】特開2005-313460(JP,A)
【文献】特開2019-195976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
B22D 17/00-17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型が取付けられる固定プラテンと、
可動金型が取付けられる可動プラテンと、
前記固定プラテンと型開閉方向に所定の間隔をおいて連結されるトグルサポートと、
前記可動プラテンと前記トグルサポートとの間に配置され、前記トグルサポートに対して前記可動プラテンを移動させるトグル機構と、
前記トグル機構のクロスヘッドと前記可動プラテンとの間で屈伸するリンクと、
前記トグル機構に設けられ、前記リンクが屈伸するときに摺動する摺動部品と、
所定の期間において前記トグルサポートの位置を移動させる移動処理を行った回数及び/又は前記移動処理における
前記トグルサポートの移動量に
基づき、前記摺動部品の劣化の状態を推定する推定部と、を有する射出成形機。
【請求項2】
前記推定部による推定結果を、表示装置に表示させる表示制御部を有する請求項
1記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、射出成形機の異常に係る状態の判定を行う際に、あらかじめ定めた外乱要素の少ない動作設定に基づく所定の動作を行わせることにより、摩耗、破損、動作の不具合、保守に関わる状態を精度よく判定することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の射出成形機では、トグル機構の摺動部品が劣化(摩耗)した状態で成形品の製造を続けた場合、摺動部品の劣化による影響が、摺動部品によって連結されているリンクやトグルサポートにまで及び、リンクやトグルサポートの交換が必要となる可能性がある。
【0005】
本発明の一態様は、トグル機構の摺動部品の劣化の状態を把握させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る射出成形機は、固定金型が取付けられる固定プラテンと、可動金型が取付けられる可動プラテンと、前記固定プラテンと型開閉方向に所定の間隔をおいて連結されるトグルサポートと、前記可動プラテンと前記トグルサポートとの間に配置され、前記トグルサポートに対して前記可動プラテンを移動させるトグル機構と、前記トグル機構のクロスヘッドと前記可動プラテンとの間で屈伸するリンクと、前記トグル機構に設けられ、前記リンクが屈伸するときに摺動する摺動部品と、所定の期間において前記トグルサポートの位置を移動させる移動処理を行った回数及び/又は前記移動処理における前記トグルサポートの移動量に基づき、前記摺動部品の劣化の状態を推定する推定部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、トグル機構の摺動部品の劣化の状態を把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。
【
図3】トグル機構の摺動部品の摩耗について説明する図である。
【
図5】第一の実施形態の制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【
図6】第二の実施形態の制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【
図7】第三の実施形態の制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
【0010】
図1~
図2に示すように、射出成形機10は、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された成形品を突き出すエジェクタ装置200と、金型装置800に成形材料を射出する射出装置300と、金型装置800に対し射出装置300を進退させる移動装置400と、射出成形機10の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機10の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置100を支持する型締装置フレーム910と、射出装置300を支持する射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
【0011】
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0012】
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
【0013】
型締装置100は、例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定金型810が取り付けられる固定プラテン110と、可動金型820が取り付けられる可動プラテン120と、固定プラテン110と間隔をおいて配置されるトグルサポート130と、固定プラテン110とトグルサポート130を連結するタイバー140と、トグルサポート130に対して可動プラテン120を型開閉方向に移動させるトグル機構150と、トグル機構150を作動させる型締モータ160と、型締モータ160の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構170と、固定プラテン110とトグルサポート130の間隔を調整する型厚調整機構180と、を有する。
【0014】
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
【0015】
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、および型開が行われる。
【0016】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
【0017】
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
【0018】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0019】
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0020】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、型開閉方向に移動するクロスヘッド151と、クロスヘッド151の移動によって屈伸する一対のリンク群と、を有する。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0021】
尚、トグル機構150の構成は、
図1および
図2に示す構成に限定されない。例えば
図1および
図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0022】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0023】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0024】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
【0025】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0026】
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0027】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
【0028】
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(
図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
【0029】
キャビティ空間801の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間801の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
【0030】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0031】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
【0032】
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0033】
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0034】
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0035】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0036】
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0037】
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0038】
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0039】
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0040】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。尚、複数の型厚調整機構が組合わせて用いられてもよい。
【0041】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0042】
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0043】
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0044】
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0045】
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取り付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出すエジェクタロッド210と、エジェクタロッド210を可動プラテン120の移動方向(X軸方向)に移動させる駆動機構220とを有する。
【0046】
エジェクタロッド210は、可動プラテン120の貫通穴に進退自在に配置される。エジェクタロッド210の前端部は、可動金型820の内部に進退自在に配置される可動部材830と接触する。エジェクタロッド210の前端部は、可動部材830と連結されていても、連結されていなくてもよい。
【0047】
駆動機構220は、例えば、エジェクタモータと、エジェクタモータの回転運動をエジェクタロッド210の直線運動に変換する運動変換機構とを有する。運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0048】
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材830を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータを駆動してエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、可動部材830を元の待機位置まで後退させる。
【0049】
エジェクタロッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータの回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド210の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド210の移動速度を検出するエジェクタロッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
【0050】
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0051】
射出装置300はスライドベース301に設置され、スライドベース301は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の前端部に設けられるノズル320と、シリンダ310内に進退自在に且つ回転自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330の間で伝達される力を検出する圧力検出器360と、を有する。
【0052】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0053】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0054】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0055】
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
【0056】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0057】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(
図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0058】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(
図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0059】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0060】
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0061】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
【0062】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
【0063】
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する。検出した力は、制御装置700で圧力に換算される。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する力を検出する。
【0064】
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0065】
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程と呼んでもよい。
【0066】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0067】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0068】
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
【0069】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
【0070】
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
【0071】
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、圧力検出器360によって検出される。圧力検出器360の検出値が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、圧力検出器360の検出値が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、圧力検出器360の検出値が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
【0072】
尚、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0073】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
【0074】
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0075】
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
【0076】
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0077】
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0078】
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
【0079】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
【0080】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0081】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0082】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0083】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
【0084】
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0085】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、
図1~
図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
【0086】
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
【0087】
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
【0088】
尚、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
【0089】
尚、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程以外の工程を有してもよい。
【0090】
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を削減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
【0091】
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を削減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
【0092】
制御装置700は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置750や表示画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネルは、制御装置700による制御下で、表示画面を表示する。タッチパネルの表示画面には、例えば、射出成形機10の設定、現在の射出成形機10の状態等の情報が表示されてもよい。また、タッチパネルの表示画面には、例えば、ユーザによる入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の入力操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネルは、ユーザによる表示画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、ユーザは、表示画面に表示される情報を確認しながら、表示画面に設けられた入力操作部を操作して、射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザが表示画面に設けられた入力操作部を操作することにより、入力操作部に対応する射出成形機10の動作を行わせることができる。なお、射出成形機10の動作は、例えば、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、移動装置400等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機10の動作は、表示装置760としてのタッチパネルに表示される表示画面の切り替え等であってもよい。
【0093】
尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネルとして一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
【0094】
(トグル機構の劣化の推定)
以下にトグル機構150の劣化の状態の推定について説明する。射出成形機10では、型開閉方向におけるクロスヘッド151の移動量と、可動プラテン120の移動量とは、例えば、所定の関数を満たすように、対応付けられている。言い換えれば、クロスヘッド151の位置と、可動プラテン120の位置とは、所定の対応関係にある。
【0095】
このため、射出成形機10では、トグル機構150や金型の摩耗していない状態では、固定金型810と可動金型820とが当接したときの当接面と、クロスヘッド151との間隔Xは、ショット毎に一定となる。
【0096】
しかし、トグル機構150の摺動部品が摩耗すると、固定金型810と可動金型820とが当接したときの当接面と、クロスヘッド151との間隔Xが、徐々に狭くなる。つまり、クロスヘッド151の位置と、可動プラテン120の位置との対応関係が変化する。
【0097】
以下に、
図3を参照して、トグル機構150の摺動部品の摩耗について説明する。
図3は、トグル機構の摺動部品の摩耗について説明する図である。
【0098】
図3(A)は、摺動部品が摩耗していない状態を示しており、
図3(B)は、摺動部品が摩耗した状態を示している。
【0099】
図3では、第3リンク154がクロスヘッド151に取り付けられた様子を示している。第3リンク154は、ピン154aによってクロスヘッド151と連結されており、クロスヘッド151とピン154aとの間には、ブッシュ154bが設置されている。
【0100】
ピン154aとブッシュ154bとは、型開閉が行われると摺動する摺動部品に含まれる。ピン154aとブッシュ154bは、繰り返し型開閉が行われることで、摩耗する。
【0101】
図3(A)に示す位置t1は、型締工程において型締力が設定値となったときのクロスヘッド151の位置を示す。
図3(A)の例では、ピン154aとブッシュ154bとが摩耗しておらず、クロスヘッド151の位置t1は、可動プラテン120の位置と所定の対応関係を満たす。
【0102】
図3(B)は、ピン154aとブッシュ154bとの隙間が幅H分広がった状態を示している。この場合、型締力は、クロスヘッド151の位置が、位置t1から、幅Hに相当する幅W1だけ前進したときに、設定値となる。
図3(B)では、このときのクロスヘッド151の位置を位置t2とする。
【0103】
クロスヘッド151の位置t2は、可動プラテン120の位置と、所定の対応関係を満たさない。また、
図3(B)では、摺動部品の摩耗が進んでいるため、クロスヘッド151の位置と、可動プラテン120の位置との対応関係の変化が大きくなる。
【0104】
このように、トグル機構150では、ピン154aやブッシュ154b等の摺動部品が摩耗すると、型締力を設定値とするために、摩耗量に応じてクロスヘッド151を前進させなければならない。言い換えれば、トグル機構150では、摺動部品が摩耗すると、クロスヘッド151を型締位置まで移動させても、型締力が設定値に到達しない。
【0105】
このように、射出成形機10では、トグル機構150の摺動部品の摩耗量に応じて、クロスヘッド151の位置と、可動プラテン120との位置との対応関係が変化する。
【0106】
本実施形態では、制御装置700において、この対応関係の変化を検出し、検出した結果に基づき、トグル機構150の劣化の状態を推定する。そして、本実施形態では、推定したトグル機構150の劣化の状態に応じて、推定結果を表示装置760に表示させることで、射出成形機10の利用者等に対して、トグル機構150の劣化の状態を把握させる。
【0107】
以下に、
図4を参照して、本実施形態の制御装置700の機能について説明する。
図4は、制御装置の機能を説明する図である。
【0108】
以下に説明する各部は、制御装置700のCPU701が、記憶媒体702に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0109】
本実施形態の制御装置700は、検出部710、推定部720、表示制御部730を有する。
【0110】
本実施形態の検出部710は、クロスヘッド151の位置が、予め設定された型締位置となった時に検出される型締力の変化を、対応関係の変化として検出する。
【0111】
より具体的には、検出部710は、型締工程の開始時におけるタイバー歪検出器141を用いて検出された型締力と、型締工程における設定条件として設定された型締力の設定値との差分を検出する。
【0112】
推定部720は、検出部710の検出結果に応じて、トグル機構150の劣化の状態を推定する。具体的には、推定部720は、タイバー歪検出器141用いて検出された型締力と、設定値との差分が所定の値以上であった場合に、トグル機構150の劣化の状態を、メンテナンスを要する状態とする。
【0113】
なお、タイバー歪検出器141を用いて検出された型締力と、設定値との差分が所定の値以上となる場合とは、タイバー歪検出器141を用いて検出された型締力が、設定値から所定の値以上小さくなる場合である。
【0114】
表示制御部730は、推定部720により、トグル機構150の劣化の状態が、メンテナンスを要する状態と推定された場合に、トグル機構150が劣化していることを示す通知を表示装置760に表示させる。
【0115】
以下に、
図5を参照して、本実施形態の制御装置700の処理について説明する。
図5は、第一の実施形態の制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【0116】
射出成形機10において、制御装置700は、クロスヘッド151の位置を型締位置へ移動させる(ステップS501)。続いて、制御装置700は、検出部710により、タイバー歪検出器141の検出結果を示す信号を用いて、型締力を検出する(ステップS502)。
【0117】
続いて、制御装置700は、推定部720により、検出された型締力が、設定値よりも、所定の値以上小さい値であるか否かを判定する(ステップS503)。言い換えれば、推定部720は、検出された型締力と、設定値との差分が所定の値以上であるか否かを判定する。
【0118】
ステップS503において、検出された型締力と設定値との差分が、所定の値未満である場合、推定部720は、トグル機構150の劣化の状態を、成形品を継続して成形することができる状態と推定し、処理を終了する。
【0119】
ステップS503において、検出された型締力と設定値との差分が、所定の値以上である場合、推定部720は、トグル機構150の劣化の状態を、メンテナンスを要する状態と推定する。そして、推定部720は、表示制御部730により、トグル機構150の劣化を通知するメッセージ等を表示装置760に表示させ(ステップS504)、処理を終了する。
【0120】
なお、本実施形態における所定の値は、予め射出成形機10の利用者などによって設定されていても良い。
【0121】
また、表示制御部730は、推定部720による推定の結果を常に表示装置760に表示させても良い。この場合、表示制御部730は、例えば、検出された型締力と設定値との差分が所定の値未満の状態では、成形品の形成を継続することが可能であることを示すメッセージ等を表示装置760に表示させても良い。
【0122】
以上のように、本実施形態によれば、クロスヘッド151が型締位置に移動したときに検出された型締力と、型締力の設定値とを比較することで、トグル機構150の摺動部品の摩耗の度合いを推定する。そして、本実施形態では、推定結果を表示装置760に出力することで、射出成形機10の利用者等に、トグル機構150の摺動部品の劣化の状態を把握させることができる。
【0123】
このため、本実施形態によれば、適切な時期にメンテナンスを行うことができ、トグル機構150の摺動部品の劣化が筐体にまで影響を及ぼすことを抑制できる。
【0124】
(第二の実施形態)
以下に、図面を参照して、第二の実施形態について説明する。以下の第二の実施形態では、第一の実施形態との相違点について説明する。
【0125】
本実施形態の検出部710は、型締力が、型締工程の設定条件に含まれる設定値となったときのクロスヘッド151の位置と、型締工程の設定条件に含まれるクロスヘッド151の基準位置との差分を、クロスヘッド151の位置と可動プラテン120の位置との対応関係の変化として検出する。
【0126】
クロスヘッド151の位置は、型締モータエンコーダ161等により検出される。また、クロスヘッド151の基準位置とは、言い換えれば、設定条件に含まれる型締位置である。
【0127】
また、本実施形態の推定部720は、型締力が設定値となったときのクロスヘッド151の位置と基準位置との差分が所定の値以上であった場合に、トグル機構150の劣化の状態を、メンテナンスを要する状態と推定する。
【0128】
図6は、第二の実施形態の制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【0129】
射出成形機10において、制御装置700は、型締力が設定値となったか否かを判定する(ステップS601)。ステップS601において、型締力が設定値となっていない場合には、クロスヘッド151を前進させて、ステップS601へ戻る。
【0130】
ステップS601において、型締力が設定値となった場合、制御装置700は、検出部710により、このときのクロスヘッド151の位置を検出する(ステップS602)。
【0131】
続いて、制御装置700の推定部720は、検出されたクロスヘッド151の位置と、型締工程の設定条件に含まれる基準位置との差分が、所定の値上であるか否かを判定する(ステップS603)。言い換えれば、推定部720は、検出されたクロスヘッド151の位置から基準位置までの間に、所定の値以上のずれが生じているか否かを判定する。
【0132】
ステップS603において、差分が所定の値未満である場合、推定部720は、トグル機構150の劣化の状態を、成形品を継続して成形することができる状態と推定し、処理を終了する。
【0133】
ステップS603において、差分が所定の値以上である場合、推定部720は、トグル機構150の劣化の状態を、メンテナンスを要する状態と推定する。そして、推定部720は、表示制御部730により、トグル機構150の劣化を通知するメッセージ等を表示装置760に表示させ(ステップS604)、処理を終了する。
【0134】
本実施形態では、このように、トグル機構150の劣化の状態を推定することで、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0135】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して、第三の実施形態について説明する。以下の第三の実施形態では、第一の実施形態との相違点について説明する。
【0136】
本実施形態では、トグルサポート130の移動処理の回数と、移動処理においてトグルサポート130を移動させた距離と、に基づき、クロスヘッド151の位置と可動プラテン120の位置との対応関係の変化を検出する。
【0137】
トグル機構150において、ピン154aやブッシュ154b等の摺動部品が摩耗すると、型締力を設定値とするために、摺動部品の摩耗量に応じてクロスヘッド151を前進させなければならない(
図3参照)。
【0138】
そこで、本実施形態では、トグルサポート130を移動させることで、クロスヘッド151を前進させる。そして、本実施形態では、成形運転中に検出される型締力が設定値となるように、トグルサポート130を移動させた回数と距離とを、クロスヘッド151の位置と可動プラテン120の位置との対応関係の変化として検出する。
【0139】
本実施形態では、制御装置700において、この対応関係の変化に基づき、トグル機構150の劣化の状態を推定する。言い換えれば、本実施形態では、トグルサポート130を移動させた回数と距離とに基づき、トグル機構150の摺動部品の摩耗量を推定する。
【0140】
トグルサポート130の移動処理は、型締力補正のための移動処理を含む。
【0141】
型締力補正では、制御装置700は、成形運転中に検出される型締力が設定値よりも一定以上小さくなると、検出された型締力を設定値に近づけるように、型厚調整機構180を制御して間隔Lを狭くする。言い換えれば、制御装置700は、トグルサポート130の位置を固定プラテン110に向かって前進させる。型締力補正では、この移動処理により、型締力を設定値まで回復させる。なお、型締力補正のタイミングは、例えば、成形サイクル終了後、次の成形サイクル開始前までの間に行われる。
【0142】
以上のように、本実施形態では、トグルサポート130の移動処理を、型締力を補正するためにトグルサポート130を前進させる移動処理とを含むものとする。
【0143】
したがって、本実施形態では、検出部710は、トグルサポート130を前進させた回数と、トグルサポート130を基準位置から前進させた距離とに基づき、クロスヘッド151の位置と可動プラテン120の位置との対応関係の変化を検出する。
【0144】
また、以下の説明では、トグルサポート130を移動させた距離を、トグルサポート130の移動処理による補正量と呼ぶ場合がある。また、以下の説明では、移動処理によってトグルサポート130を移動させることを、トグルサポート130の位置を補正する、と表現する場合がある。
【0145】
移動処理の補正量(トグルサポート130の移動量)は、例えば、型厚調整モータエンコーダ184によって検出される。
【0146】
本実施形態の推定部720は、検出部710が検出した移動処理の回数が所定の回数以上である場合に、トグル機構150の劣化の状態を、メンテナンスを要する状態と推定する。
【0147】
また、本実施形態の推定部720は、移動処理における補正量が所定の値以上となった場合に、トグル機構150の劣化の状態を、メンテナンスを要する状態と推定する。このとき、移動処理の補正量は、一回の移動処理における補正量であっても良い。言い換えれば、推定部720は、一回の移動処理におけるトグルサポート130の移動距離が所定の値以上となった場合に、トグル機構150の劣化の状態を、メンテナンスを要する状態と推定する。
【0148】
また、移動処理の補正量は、例えば、トグルサポート130の基準位置からのトータルの補正量であっても良い。トグルサポート130の基準位置は、例えば、金型装置800の固定金型810と可動金型820とに基づき設定される位置である。
【0149】
以下に、
図7を参照して、本実施形態の制御装置700の処理について説明する。
図7は、第三の実施形態の制御装置の処理を説明するフローチャートである。尚、
図7に示す処理は、金型の温度が安定した状態において実行されることが好ましい。
【0150】
射出成形機10において、制御装置700は、型締力が設定値となったか否かを判定する(ステップS701)。ステップS701において、型締力が設定値となっていない場合には、クロスヘッド151を前進させて、ステップS701へ戻る。
【0151】
ステップS701において、型締力が設定値となった場合、制御装置700は、検出部710により、移動処理によりトグルサポート130の位置を補正したか否かを判定する(ステップS702)。
【0152】
ステップS702において、移動処理による補正が行われなかった場合、制御装置700は、処理を終了する。
【0153】
ステップS702において、移動処理による補正が行われた場合、制御装置700は、検出部710により、この移動処理による補正量が、第一の所定値以上であるか否かを判定する(ステップS703)。言い換えれば、検出部710は、1回の移動処理による補正量が、第一の所定値以下であるか否かを判定する。
【0154】
ステップS703において、補正量が第一の所定値より大きい場合、制御装置700は、後述するステップS706へ進む。
【0155】
ステップS703において、補正量が第一の所定値以下である場合、制御装置700は、検出部710により、トータルの補正量が第二の所定値以下であるか否かを判定する(ステップS704)。言い換えれば、検出部710は、トグルサポート130の位置が、基準位置から第二の所定値以上離れたか否かを判定している。
【0156】
ステップS704において、トータルの補正量が第二の所定値より大きい場合、制御装置700は、後述するステップS706へ進む。
【0157】
ステップS704において、トータルの補正量が第二の所定値以下である場合、制御装置700は、検出部710により、ある一定期間において、移動処理を行った回数が所定回数以上であるか否かを判定する(ステップS705)。言い換えれば、制御装置700は、一定期間における移動処理を行う頻度を検出している。
【0158】
ここでは、移動処理に型厚調整による前進と、型締力補正による前進とが含まれる場合には、型厚調整による前進の回数と、型締力補正による前進の回数との合計が、所定回数以上であるか否かを判定しても良いし、何れか一方による前進の回数が所定回数以上であるか否かを判定しても良い。
【0159】
また、移動処理を、型厚調整による前進と、型締力補正による前進のいずれか一方とする場合には、該当する処理による前進の回数が所定回数以上であるか否かを判定すれば良い。
【0160】
ステップS705において、回数が所定回数未満である場合には、推定部720は、トグル機構150の劣化の状態を、成形品を継続して成形することができる状態と推定し、処理を終了する。
【0161】
ステップS705において、回数が所定回数以上である場合には、推定部720は、トグル機構150の劣化の状態を、メンテナンスを要する状態と推定する。そして、推定部720は、表示制御部730により、トグル機構150の劣化を通知するメッセージ等を表示装置760に表示させ(ステップS706)、処理を終了する。
【0162】
このように、本実施形態では、トグルサポート130の位置の変化を、クロスヘッド151の位置と可動プラテン120の位置との対応関係の変化として検出し、トグル機構150の劣化の状態を推定する。
【0163】
したがって、本実施形態では、例えば、あるタイミングから急激に移動処理による補正量が大きくなった場合には、移動処理を行った回数にかかわらず、トグル機構150の劣化が進行しているものとし、その旨を通知できる。
【0164】
また、本実施形態では、移動処理においてトグルサポート130の位置を補正する回数を、クロスヘッド151の位置と可動プラテン120の位置との対応関係の変化として検出し、トグル機構150の劣化の状態を推定する。
【0165】
したがって、本実施形態では、各移動処理における補正量が小さくても、一定期間において、トグルサポート130の位置を補正する回数が増加した場合には、トグル機構150の劣化が進行しているものとし、その旨を通知できる。
【0166】
このように、本実施形態によれば、トグル機構150の劣化の状態の推定に、トグルサポート130の補正量と補正回数を用いるため、クロスヘッド151と可動プラテン120との間隔の変化に依存せずに、トグル機構150の劣化の状態を推定できる。
【0167】
また、本実施形態では、検出された型締力に基づきトグルサポート130の補正量を調整するため、高い精度で、型締力を設定値へ近づけることができる。
【0168】
尚、本実施形態では、トグル機構150の劣化の状態の推定に、トグルサポート130の補正量を用いるものとしたが、これに限定されない。
【0169】
本実施形態では、例えば、1回の移動処理におけるトグルサポート130の補正量を予め決められた所定量としても良い。この場合には、トグルサポート130の移動処理を行った回数から、トグルサポート130の補正量が求まるため、トグルサポート130の移動処理の回数のみで、トグル機構150の劣化の状態を推定できる。
【0170】
具体的には、この場合には、トグルサポート130の移動処理を行った回数が、所定回数以上であった場合に、トグル機構150の劣化が進行しているもの推定できる。
【0171】
このように、1回の移動処理におけるトグルサポート130の補正量を予め決めておくことで、推定部720による制御を容易にすることかできる。
【0172】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0173】
10 射出成形機
100 型締装置
110 固定プラテン
120 可動プラテン
150 トグル機構
151 クロスヘッド
130 トグルサポート
200 エジェクタ装置
300 射出装置
400 移動装置
700 制御装置
710 検出部
720 推定部
730 表示制御部
760 表示装置