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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】回転軸の回り止め装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/02 20060101AFI20231205BHJP
   B66C 23/42 20060101ALI20231205BHJP
   B66C 23/78 20060101ALI20231205BHJP
   F16B 21/10 20060101ALI20231205BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
F16B19/02
B66C23/42 A
B66C23/78 Z
F16B21/10
F16C11/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020074324
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021173287
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)販売日 :令和2年3月10日 販売場所:古河ユニック株式会社架装センター 公開者 :古河ユニック株式会社 (2)販売日 :令和1年10月9日 販売場所:古河ロックドリル(株)吉井工場 公開者 :古河ユニック株式会社 (3)販売日 :令和1年11月5日 販売場所:株式会社ミツワ 公開者 :古河ユニック株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (4)販売日 :令和1年9月27日 販売場所:古河ユニック株式会社札幌営業所 公開者 :古河ユニック株式会社 (5)販売日 :令和1年11月8日 販売場所:ユニック九州販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (6)販売日 :令和1年12月25日 販売場所:ユニック東北販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (7)販売日 :令和2年3月30日 販売場所:ユニック関東販売株式会社高崎営業所 公開者 :古河ユニック株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (8)販売日 :平成31年4月19日 販売場所:松尾自動車工業株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (9)販売日 :令和1年5月30日 販売場所:ユニック中四国販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (10)販売日 :令和1年6月21日 販売場所:山本自動車工業株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (11)販売日 :令和1年10月5日 販売場所:新日本建販株式会社福岡営業所 公開者 :古河ユニック株式会社 (12)販売日 :令和1年10月8日 販売場所:ユニック中四国販売株式会社高松営業所 公開者 :古河ユニック株式会社 (13)販売日 :令和1年11月15日 販売場所:ユニック九州販売株式会社大分営業所 公開者 :古河ユニック株式会社 (14)販売日 :令和1年11月25日 販売場所:株式会社テイセンテクノ 公開者 :古河ユニック株式会社 (15)販売日 :令和1年12月24日 販売場所:古河ユニック株式会社関西支店 公開者 :古河ユニック株式会社 (16)販売日 :令和2年1月20日 販売場所:ユニック広島販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (17)販売日 :令和1年8月1日 販売場所:ユニック中四国販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (18)販売日 :令和2年3月19日 販売場所:ユニック関東販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (19)販売日 :令和1年6月6日 販売場所:株式会社レント千葉管理センター 公開者 :古河ユニック株式会社 (20)販売日 :令和1年8月5日 販売場所:ユニック静岡販売株式会社浜松営業所 公開者 :古河ユニック株式会社 (21)販売日 :令和1年9月4日 販売場所:ユニック東北販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (22)販売日 :令和1年10月16日 販売場所:ユニック静岡販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (23)販売日 :令和2年1月16日 販売場所:ユニック中部販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (24)販売日 :令和1年6月12日 販売場所:三瓶自動車工業株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (25)販売日 :令和1年7月10日 販売場所:ユニック静岡販売株式会社浜松営業所 公開者 :古河ユニック株式会社 (26)販売日 :令和1年7月24日 販売場所:有限会社吉祥院自動車工業 公開者 :古河ユニック株式会社 (27)販売日 :令和1年8月19日 販売場所:古河ユニック株式会社関西支店 公開者 :古河ユニック株式会社 (28)販売日 :令和1年8月20日 販売場所:ユニック静岡販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社(29)販売日 :令和1年9月18日 販売場所:ユニック兵庫販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (30)販売日 :令和1年11月8日 販売場所:ユニック広島販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (31)販売日 :令和1年11月18日 販売場所:古河ユニック株式会社京都営業所 公開者 :古河ユニック株式会社 (32)販売日 :令和1年12月6日 販売場所:ユニック九州販売株式会社南九州営業所 公開者 :古河ユニック株式会社 (33)販売日 :令和2年3月17日 販売場所:ユニック関東販売株式会社高崎営業所 公開者 :古河ユニック株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (34)販売日 :令和1年6月20日 販売場所:ユニック中四国販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (35)販売日 :令和1年6月27日 販売場所:山本自動車工業株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (36)販売日 :令和1年7月4日 販売場所:有限会社谷口重機工業 公開者 :古河ユニック株式会社 (37)販売日 :令和1年7月19日 販売場所:株式会社全車輛 公開者 :古河ユニック株式会社 (38)販売日 :令和1年10月2日 販売場所:ユニック中四国販売株式会社高松営業所 公開者 :古河ユニック株式会社 (39)販売日 :令和1年10月18日 販売場所:ユニック東北販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社 (40)販売日 :令和1年12月18日 販売場所:古河ユニック株式会社関西支店 公開者 :古河ユニック株式会社 (41)販売日 :令和2年1月27日 販売場所:ユニック広島販売株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐聡
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-049222(JP,U)
【文献】特開2002-333078(JP,A)
【文献】実開昭57-105419(JP,U)
【文献】実公昭14-015216(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 19/02
B66C 23/42
B66C 23/78
F16B 39/24
F16B 21/10
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、前記回転軸を挿通する軸穴を有する基礎部材と、前記軸穴に前記回転軸を挿通することで回転自在に軸着したブラケットと、を備える作業機に設けられ、中心軸線が前記軸穴の中心軸線と直交するように前記基礎部材の外側面から軸穴まで貫通して形成された取付穴と、中心軸線が前記回転軸の中心軸線と直交するように回転軸の側面に形成された嵌合穴と、を連通させた状態で前記取付穴及び前記嵌合穴に回止部材を挿入することで、前記基礎部材と前記回転軸とが互いに係止する回転軸の回り止め装置であって、
前記回止部材は、前記回止部材の基端側を構成する固定部材と、前記回止部材の先端側を構成する軸部材と、前記固定部材と前記軸部材との間に挟まれた中間部を構成する弾性部材と、をそれぞれ有し、且つ前記弾性部材の弾性変形によって前記軸部材が可動するように構成されていると共に、前記弾性部材が圧縮状態であっても前記軸部材は前記嵌合穴と常に係合しており、
前記嵌合穴は、円錐形状に構成された底面を有し、
前記軸部材の先端部は、前記円錐形状に沿ったテーパ状に構成されている回転軸の回り止め装置。
【請求項2】
前記軸部材には、前記軸部材の前記固定部材と対向する面に開口した抜きタップ穴が形成されている請求項1に記載の回転軸の回り止め装置。
【請求項3】
前記固定部材は、前記弾性部材を前記軸部材へ押圧した状態で前記基礎部材に固定されている請求項1又は請求項2に記載の回転軸の回り止め装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、皿バネ以外のバネ又はゴム製のクッションから構成されている請求項1から3のうちいずれか1項に記載の回転軸の回り止め装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、皿バネである請求項1から3のうちいずれか1項に記載の回転軸の回り止め装置。
【請求項6】
前記基礎部材は、前記作業機のフレームであり、
前記ブラケットは、前記作業機のアウトリガ基端側ブラケットである請求項1から5のうちいずれか1項に記載の回転軸の回り止め装置。
【請求項7】
前記軸部材と前記取付穴との間に形成される隙間と軸部材と前記嵌合穴との間に形成されている隙間との合計が、前記回転軸と前記軸穴との間に形成されている隙間を超えている請求項1から6のうちいずれか1項に記載の回転軸の回り止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の回り止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転軸の回り止め装置を用いた例として、例えば、特許文献1に開示されている技術がある。特許文献1に開示されている技術では、作業機用アウトリガの取付構成に関する技術として、クレーンの走行体フレームに対して、上面の四隅へ垂直軸線回りに回動可能なアウトリガを取り付け、さらに、ブラケットを介してアウトリガを回転軸に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-112214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1(例えば、図2)に開示されている技術を例にとると、アウトリガ回転軸の回り止め装置が、アウトリガのブラケット側に設置されているとするならば、アウトリガを回転させたときに、アウトリガと共にアウトリガ回転軸も回転する。そのような場合は、特許文献1のように、アウトリガ回転軸の真上に対して同軸にポテンショメータ等の位置センサを設けて、アウトリガの回転角度を検出するといったことができない。
すなわち、このような構成とするためには、アウトリガ回転軸は、アウトリガのブラケットと共に回転しない部位に回り止めを設け、アウトリガは、アウトリガ回転軸と独立させて回転させる必要がある。
【0005】
そのために、アウトリガ回転軸の軸部に対し、フレームの側面方向から止めネジを貫通させるような、側面係止タイプの回り止めを設けたとする。
この場合、ブーム先端から吊下したフックで吊荷を吊りあげるクレーン作業中、アウトリガの接地部に受ける接地反力は、アウトリガのブラケットに伝達する。ブラケットは、アウトリガ回転軸を介してフレームと軸着しているため、接地反力の作用によるアウトリガの回転軸とフレーム間に生じるねじれが、止めネジが受けるせん断力として作用する。その結果、止めネジ及びネジ山が破損する等、回止部材が破損するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、回転軸を外周面側からフレームに固定して回り止めするのに好適な、回転軸の回り止め装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る回転軸の回り止め装置は、回転軸と、回転軸を挿通する軸穴を有する基礎部材と、軸穴に回転軸を挿通することで回転自在に軸着したブラケットと、を備える作業機に設けられる。また、回転軸の回り止め装置は、取付穴と嵌合穴とを連通させた状態で取付穴及び嵌合穴に回止部材を挿入することで、基礎部材と回転軸とが互いに係止する。取付穴は、中心軸線が軸穴の中心軸線と直交するように基礎部材の外側面から軸穴まで貫通して形成されている。嵌合穴は、中心軸線が回転軸の中心軸線と直交するように回転軸の側面に形成されている。回止部材は、回止部材の基端側を構成する固定部材と、回止部材の先端側を構成する軸部材と、固定部材と軸部材との間に挟まれた中間部を構成する弾性部材と、をそれぞれ有する。さらに、回止部材は、弾性部材の弾性変形によって軸部材が可動するように構成されていると共に、弾性部材が圧縮状態であっても軸部材は嵌合穴と常に係合している。また、嵌合穴は、円錐形状に構成された底面を有しており、軸部材の先端部は、円錐形状に沿ったテーパ状に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アウトリガ回転軸等の回転軸を、回転軸の外周面側から回り止めする構造でありながら、接地反力による回止部材の破損を、防止又は低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るクレーンの側面図である。
図2】第1実施形態に係るクレーンを車両上方側から見た平面図である。
図3】第1実施形態に係る回転支持部とアウトリガとを示す部分斜視図である。
図4図3の縦断面図である。
図5】第1実施形態に係る回止部材を示す図である。
図6】第1実施形態に係る回転支持部及び基端側ブラケットの部分断面図である。
図7】第1実施形態に係る回転支持部及び基端側ブラケットの部分断面図である。
図8】弾性部材によってアウトリガ回転軸がフレームに押し付けられる状態を説明するための上面図である。
図9】弾性部材によってアウトリガ回転軸がフレームに押し付けられる状態を説明するための側面図である。
図10】アウトリガ回転軸の傾げを許容することが可能な構成に関し、主要部分の寸法を説明するための上面図である。
図11】アウトリガ回転軸の傾げを許容することが可能な構成に関し、主要部分の寸法を説明するための側面図である。
図12】アウトリガ回転軸に対して軸部材の軸方向に沿った傾げが発生した状態を説明するための上面図である。
図13】アウトリガ回転軸に対して軸部材の軸方向に沿った傾げが発生した状態を説明するための側面図である。
図14】アウトリガ回転軸に対して軸部材の軸方向と直交する方向に沿った傾げが発生した状態を説明するための上面図である。
図15】アウトリガ回転軸に対してアウトリガ回転軸の軸周りに回転力が発生した状態を説明するための上面図である。
図16】回止部材の変形例を示す図である。
図17図16のXVII-XVII線断面図である。
図18】第2実施形態に係るクレーンの側面図である。
図19】第2実施形態に係る回転支持部とアウトリガとを示す部分斜視図である。
図20図19のXX-XX線断面図である。
図21】第2実施形態に係る回転支持部及び基端側ブラケットの部分断面図である。
図22】第2実施形態に係る回転支持部及び基端側ブラケットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る回転軸の回り止め装置の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各構成部の位置関係を解りやすくするため、本来は見えない部分を透視表示している場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る回転軸の回り止め装置の第1実施形態を説明する。
(構成)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るクレーン100(作業機)は、シャーシフレーム(以下、「フレーム101」と略称する)と、クレーン装置102と、走行装置103と、4基のアウトリガ104とを備える。これに加え、クレーン100は、原動部105と、コントロールボックス106と、クレーン操作部107と、走行操作部108と、ロックピン109とを備える。なお、図1には、4基のアウトリガ104のうち、2基のアウトリガ104を示す。
【0012】
フレーム101は、4つの回転支持部10を備える。ここでは、フレーム101と4つの回転支持部10を合わせて、基礎部材と定義する。
各回転支持部10は、1基のアウトリガ104を回転自在に支持するための構成である。また、各回転支持部10は、フレーム101の上部に設定した4基のアウトリガ104の装着位置に対し、それぞれ設けられている。
クレーン装置102は、コラム120と、ブーム121と、ワイヤロープ122と、フック123とを備える。
コラム120は、フレーム101の上部へ、旋回自在に取り付けられている。
ブーム121は、伸縮式であり、コラム120の上端へ、起伏自在に取り付けられている。
【0013】
ワイヤロープ122は、不図示のウインチから繰り出されてブーム121の先端部へと導かれている。さらに、ワイヤロープ122の端部は、シーブ(図示略)を介して、フック123に固定されている。シーブは、ブーム121の先端部において、内側に設けられている。これにより、フック123は、ブーム121の先端部から吊り下げられている。
走行装置103は、例えば、ゴム製の履帯が車幅方向に沿って左側及び右側に装着された、クローラ式の走行装置である。また、走行装置103は、フレーム101の下部に設けられている。
【0014】
4基のアウトリガ104は、それぞれ、フレーム101の上部において、原動部105よりも後方の四隅に設けられている。各アウトリガ104は、図1に示す格納姿勢と、図2に示す張り出し姿勢とを動作可能に構成されている。したがって、図1では、アウトリガ104を格納した状態を示している。また、図2では、アウトリガ104を展開した状態を示している。
また、各アウトリガ104は、基端側ブラケット(アウトリガ基端側ブラケット)41と、基端側アーム43と、先端側ブラケット44と、先端側アーム45とを備える。基端側アーム43は、基端側ブラケット41を介して、フレーム101の上に回転かつ起伏自在に設けられている。先端側アーム45は、基端側アーム43の先端に対し、先端側ブラケット44を介して起伏自在に設けられた伸縮式のアームである。
【0015】
具体的に、基端側アーム43の先端部には、先端側ブラケット44が、基端側アーム43の先端と一体に固定されている。先端側ブラケット44は、略三角形板状に形成されている一対のプレートを、対向させて構成されている。
先端側アーム45は、基端部が、先端側ブラケット44の角部に対して回動可能(正方向と逆方向の、どちらの方向にも回転可能)に取り付けられている。
また、先端側アーム45は、図3及び図4に示すように、角筒状のアウタボックス46と、角筒状のインナボックス47とを有する。インナボックス47は、アウタボックス46の長手方向に沿って伸縮可能に、アウタボックス46内に収容されている。また、インナボックス47の先端には、水平な軸回りへ回動可能に、フロート48が取り付けられている。
【0016】
さらに、各アウトリガ104は、図1から図4に示すように、それぞれ、アウトリガシリンダ50を備える。アウトリガシリンダ50は、基端側アーム43を起伏動作させるための油圧アクチュエータである。
ここで、基端側ブラケット41の上部及び先端側ブラケット44の回転支持部10側の角部には、アウトリガシリンダ50の一端部及び他端部が、回動可能に取り付けられている。そして、アウトリガシリンダ50を伸縮させることにより、アウトリガ104の接地時における張り出し作動と、アウトリガ104の格納時における収容作動が可能となっている。
【0017】
原動部105は、図示を省略するが、筐体の内部に格納された、エンジンと、圧油供給装置と、コントロールバルブを備える。圧油供給装置は、エンジンを駆動源として駆動する。コントロールバルブは、圧油供給装置から供給される圧油の油路を切換制御する。
クレーン操作部107は、クレーン100の前端部に設けられており、複数の操作スイッチ及び複数の操作レバーを有している。操作スイッチ及び操作レバーは、コントロールボックス106の付近に配置されている。
走行操作部108は、クレーン100の後端部に設けられており、左右一対の走行操作レバーを有している。
操作レバーと走行操作レバーは、各種の油圧アクチュエータにそれぞれ対応して設けられており、中立位置から傾倒する方向で、操作レバー及び走行操作レバーに対応する油圧アクチュエータの駆動が可能となっている。
【0018】
クレーン装置102の使用時には、まず、ロックピン109にて格納時の回転位置に拘束されている各アウトリガ104に対し、オペレータが手動でロックピン109を抜き取ることで、拘束を解除して回転可能な状態とする。引き続き、手動で水平方向に回動させることで、図2に示すように、各アウトリガ104の全体を、フレーム101に対して様々な張り出し位置(回転角度位置)に配置する。
次に、オペレータは、図2に示すように、予め設定した張り出し姿勢に対応する複数の回転角度位置から、所望の角度位置にて、ロックピン109を、対応する固定用のピン穴に挿入して回転位置を固定する。なお、複数の回転角度位置は、例えば、前方側5種類の位置と、後方側6種類の位置である。また、所望の角度位置は、例えば、作業現場の障害物等を考慮した位置である。
【0019】
次いで、ロックピン44aを抜き取り、先端側アーム45を垂直方向に回動させた後、ロックピン44aを挿入して固定する。続いて、ロックピン46aを抜き取り、インナボックス47を引き出して伸長させた後、ロックピン46aを挿入して固定する。さらに、クレーン操作部107又は遠隔操作装置(図示を省略)の操作によって、各アウトリガシリンダ50を駆動させて、各アウトリガ104の基端側アーム43を伏方向に動作させ、フロート48を接地させる。これにより、作業時(吊荷時)におけるクレーン100の安定を図る。
【0020】
さらに、クレーン100は、コラム120の旋回、ブーム121の伸縮、ウインチの巻上げ及び巻下げと、ブーム121の起伏を行うための油圧アクチュエータを備える。
すなわち、クレーン100は、図示を省略するが、油圧アクチュエータとして、旋回用の油圧モータと、ブーム伸縮用の油圧シリンダと、ウインチ用の油圧モータと、ブーム起伏用の油圧シリンダを備える。さらに、クレーン100は、走行装置103を駆動するための油圧アクチュエータとして、走行用モータを備える。
そして、クレーン100が備える油圧アクチュエータは、圧油供給装置からコントロールバルブを介して圧油を供給することで作動する。加えて、各アウトリガシリンダ50は、圧油供給装置からコントロールバルブを介して圧油を供給することで作動する。
【0021】
図1に戻って、コントロールボックス106は、内部にコントローラ(図示略)を備える。コントローラには、クレーン操作部107及び走行操作部108からの操作信号、遠隔操作装置からの遠隔操作信号、各種切換制御弁からの切換位置信号、各種検出器からの検出信号等が入力されている。
そして、コントローラは、入力される信号に応じて、クレーン100が備える油路切換用の電磁弁等、各種の電気装置を作動制御する。
【0022】
(回転支持部10の構成)
次に、図1図3及び図4を用いて、回転支持部10の詳細な構成を説明する。
回転支持部10は、図3及び図4に示すように、上フレーム部11と、中間フレーム部12と、下フレーム部13とを備える。
上フレーム部11は、比較的肉厚な略円柱状に形成されている。また、上フレーム部11には、図示を省略するが、張り出し位置の固定に用いる複数のピン穴(以下、「固定用穴」と称する)が、垂直方向に貫通して設けられている。
中間フレーム部12は、比較的薄い略円板状に形成されている。下フレーム部13は、上フレーム部11と同程度の肉厚で、略三角柱状に形成されている。
【0023】
上フレーム部11、中間フレーム部12及び下フレーム部13は、上フレーム部11と下フレーム部13との間に中間フレーム部12を配置した状態で、上下に重ねられている。また、上フレーム部11、中間フレーム部12及び下フレーム部13には、それぞれ、上下に連通する軸穴11H、12H及び13Hが形成されている。
アウトリガ回転軸15は、円柱状に形成されている。また、アウトリガ回転軸15は、アウトリガ104が装着された状態では、軸穴11H~13Hに挿通されていると共に、回止部材1及び下フレーム部13を介して、フレーム101に固定されている。なお、アウトリガ回転軸15の回り止めのための回転軸の回り止め装置の構造の詳細については、後述する。
【0024】
(基端側ブラケット41の構成)
次に、図3及び図4を用いて、基端側ブラケット41の詳細な構成を説明する。
基端側ブラケット41は、図3及び図4に示すように、上部プレート41aと、下部プレート41bと、接続部41cと、一対の支持プレート41dを備える。上部プレート41a、下部プレート41b及び接続部41cは、側面視で略C字状に形成されている。
上部プレート41a及び下部プレート41bは、軸穴41H1及び軸穴41H2を有している。軸穴41H1及び軸穴41H2は、各アウトリガ104を、回転支持部10を介してフレーム101に装着した状態で、軸穴11H~13Hと同軸に連通する位置に貫通している。
【0025】
また、上部プレート41aには、張り出し位置の固定に用いる複数の固定用穴41Hrが設けられている。そして、複数の固定用穴41Hrのうちいずれか1つと、回転支持部10に設けた複数の固定用穴のうちいずれか1つを同軸に合わせて、ロックピン109を固定用穴41Hrと回転支持部10の固定用穴に挿入する。これにより、アウトリガ104の張り出し位置(回転位置)が固定される。
接続部41cは、上部プレート41aの基端側アーム43側の端部と、下部プレート41bの基端側アーム43側の端部とを接続する。さらに、接続部41cは、下部プレート41bを下側から支持する。また、接続部41cの基端側アーム43側には、基端側アーム43の基端部が、回動可能に取り付けられている。
【0026】
一対の支持プレート41dは、各アウトリガ104が格納姿勢のときに、上部プレート41aの上面における左右方向の両端に対向して立設されている。また、一対の支持プレート41dには、アウトリガシリンダ50の一端部が、回動可能に取り付けられている。
したがって、作業機であるクレーン100は、アウトリガ回転軸15(回転軸)と、アウトリガ回転軸15を挿通する軸穴11H~13Hを有するフレーム101を備える。これに加え、作業機であるクレーン100は、軸穴11H~13Hにアウトリガ回転軸15を挿通することで、フレーム101へ回転自在に軸着したブラケットである基端側ブラケット41を備える。
【0027】
(アウトリガ104の装着構成)
次に、図1図3及び図4を用いて、各アウトリガ104のフレーム101への装着構成について説明する。
各アウトリガ104は、基端側ブラケット41が有する略C字の開口内、すなわち、上部プレート41a及び下部プレート41bの間において、回転支持部10を挟んだ状態でフレーム101に装着される。具体的に、軸穴11H~13Hと、軸穴41H1及び41H2とが同軸に重なるように配置された状態で、軸穴41H1及び41H2と軸穴11H~13Hに対して、アウトリガ回転軸15が挿通された状態で装着されている。アウトリガ回転軸15は、後述する回転軸の回り止め装置によって、フレーム101に固定されている。このようにして、各アウトリガ104は、固定軸であるアウトリガ回転軸15の軸回りに回転自在となるように、フレーム101に装着されている。
【0028】
すなわち、ロックピン109をオペレータが手で取り外し、アウトリガ104を手で水平方向に回転することで、フレーム101の側方に向けた張り出し位置に、アウトリガ104の全体を回転可能となっている。そして、張り出し位置にてロックピン109を固定用穴に挿入することで、アウトリガ104の張り出し位置が確実に固定される。すなわち、図1に示す格納姿勢から、アウトリガ104をオペレータが手で水平方向に回動させることで、図2に示すように、フレーム101の側方に向けた複数の張り出し位置のうちいずれかに、アウトリガ104を位置させるように構成されている。
【0029】
(回転軸の回り止め装置の構造)
次に、図5図8を用いて、回転軸の回り止め装置の構造について説明する。
まず、回止部材1の詳細な構成について説明する。
回止部材1は、図5に示すように、固定部材2と、弾性部材3と、軸部材4とを備える。
固定部材2は、回止部材1の基端側を構成しており、六角穴2Hを設けた六角穴付きプラグから構成されている。六角穴2Hは、固定部材2の一端面において中央に配置した、固定部材2の軸方向から視て六角形状であると共に底面を有する穴であり、固定部材2の軸方向に沿って形成されている。また、固定部材2の外周部には、雄ネジが形成されている。
【0030】
弾性部材3は、複数の皿バネを、所定の向き(例えば、図5に示す向き)で重ね合わせて構成されている。図5に示す例では、9枚の皿バネを重ね合わせて、弾性部材3を構成している。なお、この構成に限らず、適用対象に合わせて、他の枚数で構成してもよい。また、スペースを確保できる場合には、コイルバネ、板バネ、渦巻きバネ等、皿バネ以外のバネから弾性部材3を構成してもよい。
したがって、弾性部材3は、後述する取付穴13Hmの内部にて、固定部材2と軸部材4との間に挟まれた中間部を構成する。
【0031】
軸部材4は、回止部材1の先端側を構成しており、弾性部材3を構成する皿バネと略同径である略円柱状の金属部材から構成されている。軸部材4の先端部は、円錐形状(円錐台形状)に構成されている。すなわち、軸部材4の先端部には、全周に亘ってテーパ4Tが形成されている。また、軸部材4の基端面には、中央に、底面を有する抜きタップ穴4Hが、軸部材4の軸方向に沿って形成されている。抜きタップ穴4Hは、治具を螺合して軸部材4を引き抜くための穴である。抜きタップ穴4Hの内径面には、雌ネジ(図示を省略)が形成されている。すなわち、軸部材4には、軸部材4の固定部材2と対向する面に開口した抜きタップ穴4Hが形成されている。
【0032】
一方、下フレーム部13の側面には、図6に示すように、回止部材1を装着するための取付穴13Hmが、外側面から内側の軸穴13Hまで貫通して設けられている。取付穴13Hmの具体的な形成位置として、第1実施形態では、アウトリガ104を90°回転させたときに、下フレーム部13の、アウトリガ104の基端側アーム43と対向する位置とした場合を説明する。すなわち、第1実施形態では、取付穴13Hmの開口部が、機体の真横を向く位置となる。また、取付穴13Hmの外側端部における内周部には、固定部材2をネジ止めするための雌ネジ(図示略)が形成されている。
すなわち、取付穴13Hmは、取付穴13Hmの中心軸線が軸穴13Hの中心軸線と直交するように、下フレーム部13の外側面から内側の軸穴13Hまで貫通して形成されている。
【0033】
また、アウトリガ回転軸15の側面において、下フレーム部13の取付穴13Hmと対向する位置には、取付穴13Hmと同軸且つ連通する、底面を有する嵌合穴15Hが形成されている。なお、図6では、回止部材1を取付穴13Hm及び嵌合穴15Hに挿入する前の状態を示している。嵌合穴15Hの奥側(底側)の端部は、円錐形状に構成されている。すなわち、嵌合穴15Hは、奥側の端部において、全周に亘ってテーパ15Tが形成されている。ここで、軸部材4のテーパ4Tは、テーパ15Tに沿った傾斜形状に構成されている。
したがって、嵌合穴15Hは、円錐形状に構成された底面を有している。また、軸部材4の先端部は、嵌合穴15Hが有する円錐形状に沿ったテーパ状に構成されている。
また、嵌合穴15Hは、嵌合穴15Hの中心軸線がアウトリガ回転軸15の中心軸線と直交するように、アウトリガ回転軸15の側面に形成されている。
【0034】
そして、図6及び図7に示すように、まず、回止部材1を構成する軸部材4を、例えば、治具を用いて取付穴13Hmに挿入すると共に、軸部材4の先端側を嵌合穴15Hに嵌入する。次に、弾性部材3を取付穴13Hmに挿入する。なお、図7では、回止部材1を取付穴13Hm及び嵌合穴15Hに挿入した後の状態を示している。そして、固定部材2を、六角レンチ等の工具を用いて、取付穴13Hmの雌ネジにネジ込む。これにより、軸部材4が弾性部材3を介して先端方向に押され、テーパ4Tがテーパ15Tと当接する。その結果、下フレーム部13とアウトリガ回転軸15とが、回止部材1を介して接続された状態となる。
【0035】
すなわち、固定部材2は、弾性部材3を軸部材4へ押圧した状態で、基礎部材に固定されている。
この状態では、固定部材2はネジ止めによって下フレーム部13に固定されるが、弾性部材3及び軸部材4は、取付穴13Hmの内部を摺動可能な状態となっている。加えて、軸部材4は、嵌合穴15Hに対しても摺動可能な状態となっている。一方、固定部材2がネジ込まれることで、弾性部材3が圧縮された状態となり、弾性部材3が圧縮されて発生する弾性力は、固定部材2の先端面と軸部材4の基端面にかかる。
【0036】
これにより、図8及び図9に示すように、弾性部材3が発生する弾性力によって、軸部材4に付勢力(図では白抜きの矢印で示す)が加わるため、摺動可能な軸部材4が先端側へと押圧された状態となり、アウトリガ回転軸15を側面から押圧した状態となる。また、軸部材4がアウトリガ回転軸15を側面から押圧した状態では、図9に示すように、アウトリガ回転軸15の自重を受けることで軸部材4が下方へ押される。このため、軸部材4のうち取付穴13Hmの中に残っている部分は、取付穴13Hmの内径面と接触する。
【0037】
その結果、図8及び図9に示すように、アウトリガ回転軸15の外周面のうち、嵌合穴15Hと反対側の外周面は、軸穴13Hの内径面に押し付けられた状態となる。
したがって、回転軸の回り止め装置は、取付穴13Hmと嵌合穴15Hとを連通させた状態で、取付穴13Hm及び嵌合穴15Hに回止部材1を挿入することで、フレーム101とアウトリガ回転軸15とが互いに係止する構成となっている。
上述したように、第1実施形態では、回止部材1、フレーム101、取付穴13Hm、アウトリガ回転軸15、嵌合穴15Hによって、アウトリガ回転軸15の回り止め装置が構成されている。
【0038】
(第1実施形態の作用及び効果)
(1)クレーン100に設けられ、取付穴13Hmと嵌合穴15Hとを連通させた状態で、取付穴13Hm及び嵌合穴15Hに回止部材1を挿入することで、フレーム101とアウトリガ回転軸15とが互いに係止する。また、回止部材1は、回止部材1の基端側を構成する固定部材2と、回止部材1の先端側を構成する軸部材4と、固定部材2と軸部材4との間に挟まれた中間部を構成する弾性部材3とをそれぞれ有する。
さらに、弾性部材3の弾性変形によって軸部材4が可動するように構成されていると共に、弾性部材3が圧縮状態であっても軸部材4は嵌合穴15Hと常に係合している。これに加え、嵌合穴15Hが、円錐形状に構成された底面を有しており、軸部材4の先端部が、嵌合穴15Hの円錐形状に沿ったテーパ状に構成されている。
この構成であれば、フレーム101とアウトリガ回転軸15とを、回止部材1を介してアウトリガ回転軸15の外周面側で接続することが可能となる。これにより、アウトリガ回転軸15を、アウトリガ回転軸15外周面側から回り止めすることが可能であると共に、図7に示すように、アウトリガ回転軸15の軸方向への変位(図7における黒塗りの上下矢印方向の変位)も止めることが可能である。
【0039】
これに加え、アウトリガ回転軸15の上端及び下端に回り止めのための部材を設ける必要が無いため、アウトリガ回転軸15の上端及び下端に、センサ等の装置を容易に設置することが可能となる。なお、第1実施形態では、図4に示すように、アウトリガ回転軸15の上端に、ポテンショメータ200をアウトリガ回転軸15と同軸に設置している。ポテンショメータ200は、各アウトリガ104の回転位置を検出するための検出器である。ポテンショメータ200の回転子は、アウトリガ104に対して、回転子の半径方向及び軸方向への移動が可能に取り付けられており、アウトリガ104の回転に伴って、ポテンショメータ200の回転子が回転する。これにより、アウトリガ104の回転角度を検出することが可能となる。
【0040】
さらに、軸部材4を可動可能に構成することで、アウトリガ104が接地したときに地面から受ける接地反力を、フレーム101側に逃がすことが可能となる。すなわち、接地反力による大荷重でアウトリガ回転軸15に傾げが生じたとき、軸部材4がアウトリガ回転軸15に押されてストロークするため、アウトリガ回転軸15に掛かる大荷重をフレーム101側で受けることが可能となる。よって、アウトリガ104を張出した時の接地反力による大荷重が軸部材4に及ぼす力によって、軸部材4が破損することはない。
これにより、アウトリガ回転軸15に掛かる大荷重から軸部材4を保護することが可能となる。その結果、接地反力による回止部材1及びネジ山の破損を、防止又は低減することが可能となる。
【0041】
なお、アウトリガ回転軸15に作用する力には、第1作用力<第2作用力の大小関係が成立している。第1作用力は、弾性部材3の付勢力であり、アウトリガ回転軸15を軸穴13Hの内径面に押し付けることが可能である。これにより、アウトリガ回転軸15の外径と軸穴13Hの内径との差による、アウトリガ回転軸15の径方向へのガタツキを低減することが可能である。第2作用力は、アウトリガ104を設置してクレーン100の車体を持ち上げた状態で、クレーン装置102により吊荷を吊り上げて作業している状態で作用する力である。
【0042】
また、軸部材4の先端部を円錐台形状としたため、軸部材4を嵌合穴15Hの内部へ嵌挿する際に、テーパ4Tによる調心機能が働き、軸部材4を嵌合穴15Hの内部へ容易に嵌挿することが可能である。加えて、嵌合穴15H側にもテーパ15Tを設けたため、嵌合穴15Hに対しても調心機能が働き、アウトリガ回転軸15の軸周りヘのガタツキを軽減することが可能である。
さらに、弾性部材3のストロークによって軸部材4を可動可能としたため、アウトリガ回転軸15に対して、弾性部材3が圧縮されることで発生する弾性力を超える外力が加えられた場合に、アウトリガ回転軸15の傾げを許容することが可能となる。
【0043】
以下、アウトリガ回転軸15の傾げを許容することが可能な構成について、図1から図9を参照しつつ、図10から図15を用いて、具体的に説明する。以下の説明では、図10及び図11に示すように、取付穴13Hmの内径を「φDh」、嵌合穴15Hの内径を「φDp」、軸穴11H~13Hの内径を「φDs」、アウトリガ回転軸15の直径を「φds」、軸部材4の直径を「φdp」と記載する場合がある。同様に、以下の説明では、軸穴11H~13Hとアウトリガ回転軸15との間に形成される隙間の平均値を「δs」と記載する場合がある。これに加え、軸部材4と嵌合穴15Hとの間に形成される隙間の平均値を「δp」、軸部材4と取付穴13Hmとの間に形成される隙間の平均値を「δh」と記載する場合がある。さらに、以下の説明では、上フレーム部11と、中間フレーム部12と、下フレーム部13と、アウトリガ回転軸15の軸方向に沿った長さの合計値である合計長さを「L」と記載する場合がある。なお、隙間の平均値δsは、(φDs-φds)/2の式で求められる値である。隙間の平均値δpは、(φDp-φdp)/2の式で求められる値である。隙間の平均値δhは、(φDh-φdp)/2の式で求められる値である。
【0044】
まず、図12及び図13を用いて、アウトリガ回転軸15に対し、軸部材4の軸方向(図12に示す「軸方向」)に沿った傾げが発生した場合について説明する。なお、以降の説明は、図12及び図13に示すように、アウトリガ回転軸15に軸部材4の軸方向に沿った傾げが発生して、アウトリガ回転軸15が上フレーム部11と下フレーム部13に接触した場合について説明する。また、以降の説明において、弾性部材3の全たわみ量は、軸穴13Hの内径(φDs)からアウトリガ回転軸15の直径(φds)を引いた、隙間(2δs)よりも大きいことを前提条件とする。また、図12及び図13では、図8及び図9と同様、弾性部材3が発生する弾性力によって軸部材4に加わる付勢力を、白抜きの矢印で示す。
【0045】
さらに、以降の説明では、軸部材4と取付穴13Hmとの間に形成される隙間(隙間の平均値δh)と軸部材4と嵌合穴15Hとの間に形成されている隙間(隙間の平均値δp)との合計が、アウトリガ回転軸15と軸穴11Hから13Hとの間に形成されている隙間(隙間の平均値δs)を超えていることを前提とする。したがって、以降の説明では、δh+δp>δsであることを前提条件とする。
アウトリガ回転軸15に対して軸部材4の軸方向に沿った傾げが発生すると、図13に示すように、弾性部材3の変位によって軸部材4が沈み込み、アウトリガ回転軸15が下フレーム部13に接触する。このため、アウトリガ回転軸15にかかる力を、下フレーム部13で受けることとなる。
【0046】
なお、アウトリガ回転軸15に軸部材4の軸方向に沿った傾げが発生すると、以下の条件式(1)から(4)が成立して、アウトリガ回転軸15が、下フレーム部13に接触する。
δe≒2δs … (1)
θ=tan-1(δe/L)≒tan-1(2δs/L) … (2)
φDp’=φDpcosθ … (3)
φDp’>φdp … (4)
【0047】
条件式(1)の「2δs」は、上述した2δsと同様の値である。同じく条件式(1)の「δe」は、図13に示すように、軸穴13Hの内径(φDs)と、アウトリガ回転軸15が傾げた状態における、下フレーム部13の下面に沿った隙間の長さである。
条件式(3)及び(4)における「φDp’」は、図13に示すように、アウトリガ回転軸15が傾げた状態における、嵌合穴15Hの内径のうち、アウトリガ回転軸15の軸方向に沿った長さである。
なお、一般的な構造では、「2δs<<L」の条件式が成立するため、条件式(2)において、「θ」は微小な値となる。このため、条件式(3)において、「φDp’≒φDp」の関係が成立し、条件式(1)から(4)が成立することとなる。
【0048】
次に、図14を用いて、アウトリガ回転軸15に対し、アウトリガ回転軸15の軸方向から見て、軸部材4の軸方向と直交する方向(図14に示す「直交方向」)に沿った傾げが発生した場合について説明する。なお、図14では、図8及び図9と同様、弾性部材3が発生する弾性力によって軸部材4に加わる付勢力を、白抜きの矢印で示す。
アウトリガ回転軸15に対して直交方向に沿った傾げが発生すると、上述した「δh+δp>δs」の前提条件より、図14に示すように、アウトリガ回転軸15の一部が下フレーム部13に接触する。
さらに、図示を省略するが、アウトリガ回転軸15の一部が、上フレーム部11に接触する。このため、アウトリガ回転軸15にかかる力を、上フレーム部11と下フレーム部13で受けることとなる。
【0049】
次に、図15を用いて、アウトリガ回転軸15に対し、その軸周りに回転力が発生した場合について説明する。なお、図15では、図8及び図9と同様、弾性部材3が発生する弾性力によって軸部材4に加わる付勢力を、白抜きの矢印で示す。
アウトリガ回転軸15の回転によって、軸部材4は、アウトリガ回転軸15に押されて、取付穴13Hmの内径面と、嵌合穴15Hの内径面に接触する。これにより、軸部材4は、下フレーム部13及びアウトリガ回転軸15からせん断力を受ける状態となる。
【0050】
ところで、アウトリガ回転軸15をその軸周りに回転させる力は、基端側ブラケット41がアウトリガ回転軸15のアウトリガ回転軸15の軸回りに回転する際に、基端側ブラケット41とアウトリガ回転軸15とが摺動する部分に加わる摩擦力(摺動摩擦力)によって発生する。
また、通常、アウトリガ回転軸15の取付挿入時には、グリスやオイル等の潤滑剤が塗布されるため、摺動摩擦力は、潤滑剤によって低減される。
これにより、摺動摩擦力は、軸部材4の強度によって耐えうる力に対して小さい力であるため、前述のせん断力は、軸部材4で受けることが可能な大きさの力である。
【0051】
以上説明したように、アウトリガ回転軸15に傾げが発生した場合であっても、アウトリガ104を張出した時の接地反力による大荷重を、回転支持部10側の軸穴で受けることが可能となる。これにより、回止部材1に大荷重がかかるのを防止することが可能となるので、回止部材1及び取付穴13Hmに形成されているネジ山の破損を、防止又は低減することが可能となる。
なお、回止部材1に代えて、弾性部材3を介さずに固定部材2と軸部材4とを一体化した剛体の止めネジを、アウトリガ回転軸の回転を阻止する回止部材として用いた場合、止めネジの先端が可動できない。このため、回転支持部10の軸穴(フレーム側)に力を逃がすことができなくなり、接地反力による大荷重が、止めネジ先端にかかる。その結果、止めネジ(ネジ山含む)及び取付穴のネジ山が破損する等の不具合が発生する恐れがある。
【0052】
また、上述した、作業機の走行体フレームと回動可能なアウトリガの回転軸の回り止め装置の他に、例えば実開昭58-125626号公報に記した、リテーナ装置を有する工具の回り止め装置に対応する場合について考える。当該装置には、パンチ軸を係止する球と、球をパンチ軸に付勢する巻バネが、筐体に設けた傾斜穴内に収容されている。
上述した構造のリテーナ装置であれば、パンチ軸の側面と筐体との間に球が介在することで、パンチ軸と筐体とを固着させることが可能であるが、このような構造においても、クレーンのアウトリガ回転軸に用いる場合には、以下に記載する問題点が生じる。
【0053】
アウトリガ回転軸15には、アウトリガ回転軸15の軸芯を中心に、回転方向のねじり力や、スラスト力とねじり力との合力が生じる。
これらの力に対し、球の中心が軸表面より内側奥に入り込むまで食い込んでいなければ、アウトリガ回転軸15に働くねじり力に球が押し負けて、球が外れてアウトリガ回転軸15が回転、又は抜けてしまう場合も考えられる。すなわち、軸に対する抜け止めが球では、軸に対する球の掛かりが浅くなってしまい、大きな抜け止め力が発生しないという問題がある。一方、アウトリガ回転軸15を取り外したい場合には、球の取り外しが困難となる。
【0054】
一般的に、球の取り外しには、特殊なマグネット付治具等の使用が考えられるものの、クレーンの使用現場においては、そのメンテナンス時に、常に治具を揃えているわけではない。
ここで、実開昭58-125626号公報では、ボスに対して傾斜した細い経路を設け、経路に細棒を差し込んで球を取り外す旨の記載がある。しかしながら、実開昭58-125626号公報の構成では、アウトリガ回転軸の真上にポテンショメータを設けていれば、ポテンショメータを外さなければ細穴が表れず、球を外すことが出来ないこととなり、メンテナンス性が良くない。
【0055】
また、実開昭58-125626号公報の構成では、アウトリガ回転軸のボス側となる、軸の回りのフレームの肉厚が厚くなければ、バネ力が強いバネを嵌入するスペースを取ることが出来ない。但し、バネの収縮距離を設けることが出来ない場合は、巻バネの代わりに皿ばねの使用が考えられる。
しかしながら、皿ばねの中央に形成された穴に球の一部が入り込むように納まるため、皿ばねが傾斜して納まることもありうる。つまり、球が相手では、皿バネの姿勢が安定しないため、十分な付勢力が得られるかが問題となる。
これらの問題に対しても、第1実施形態の構成であれば、回止部材1及びネジ山の破損を、防止又は低減することが可能となる。
【0056】
(2)軸部材4に、軸部材4の固定部材2と対向する面に開口した抜きタップ穴4Hが形成されている。
この構成であれば、抜きタップ穴4Hに治具を螺合して軸部材4を引き抜くことが可能となり、メンテナンス等の作業性を向上させることが可能である。
【0057】
(3)固定部材2が、弾性部材3を軸部材4へ押圧した状態で、下フレーム部13に螺着して固定されている。
この構成であれば、弾性部材3の弾性力によって、アウトリガ回転軸15を下フレーム部13の内径面に押し付けることが可能となるので、アウトリガ回転軸15の径方向へのガタツキを低減することが可能である。
【0058】
(4)弾性部材3が、複数の皿バネから構成されている。
この構成であれば、弾性部材3としてコイルバネ等を採用した場合と比較して、弾性部材3を設置するためのスペースを少なくすることが可能となる。これにより、回止部材1の軸方向の長さを短く構成することが可能となり、取付穴13Hmから外側に飛び出る量を少なくすることが可能となる。回止部材1の軸方向の長さが短く構成されていても、軸部材4に充分な付勢力を与えることができる。
【0059】
(5)軸部材4と取付穴13Hmとの間に形成される隙間と軸部材4と嵌合穴15Hとの間に形成されている隙間との合計が、アウトリガ回転軸15と軸穴11Hから13Hとの間に形成されている隙間を超えている。
この構成であれば、アウトリガ回転軸15の傾げが発生した場合であっても、軸部材4が取付穴13Hmの内径面と嵌合穴15Hの内径面の両方に接触する前に、アウトリガ回転軸15が軸穴11Hから13Hの内径面に接触する。これにより、アウトリガ回転軸15の傾げが発生した場合であっても、軸部材4に発生するせん断力を低減させることが可能となり、軸部材4の損傷を抑制することが可能となる。
【0060】
(第1実施形態の変形例)
(1)第1実施形態では、固定部材2を、六角穴付きプラグから構成して、取付穴13Hm又は31Hmにネジ止めして固定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、円柱状の固定部材を溶接によって固定する構成とする等、他の固定方法にて固定する構成としてもよい。
【0061】
(2)第1実施形態では、弾性部材3を、複数の皿バネを重ね合わせたもので構成したが、この構成に限らず、他の種類のバネを用いる構成としてもよいし、バネ以外の弾性部材を用いる構成としてもよい。例えば、図16に示す回止部材1Aのように、皿バネから構成された弾性部材3に代えて、例えば、ゴム製のクッションから構成された弾性部材5を有する構成としてもよい。弾性部材5は、例えば、ニトリルゴム(NBR)から構成されており、図17に示すように、軸方向に貫通した貫通穴を有する円筒状に構成されている。このように、弾性部材としてゴム製のクッションを有する回止部材1Aを用いても、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることが可能である。
【0062】
(3)第1実施形態では、1つの回止部材1にて、回転軸の回り止め装置の構造を説明したが、この構成に限らず、複数の回止部材1にて、回転軸の回り止め装置の構造としてもよい。
【0063】
(4)第1実施形態では、取付穴13Hm及び13Hmを設ける位置を、アウトリガを90°回転したときに、基端側アームと対向する位置としたが、この構成に限らない。すなわち、他に適切な位置があれば、他の角度に回転させたときに対向する位置に設ける構成としてもよい。
【0064】
(5)第1実施形態では、図1に示すクレーンの回転支持部に対して、本発明を適用する例を説明したが、これに限らず、他の構成の回転支持部に対して本発明を適用してもよい。また、クレーンに限らず、回転軸の軸回りに回転可能な構成を備えた作業機であれば、他の作業機に本発明を適用してもよい。
【0065】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る回転軸の回り止め装置の第2実施形態を説明する。なお、以降の説明では、第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付して、適宜説明を省略する場合がある。
(構成)
第2実施形態は、回止部材1を用いた回転軸の回り止め装置を、第1実施形態の回転支持部10とは異なる構成の回転支持部30を有するクレーン(作業機)300へと適用した点が、第1実施形態と異なる。
図18に示すように、本発明の第2実施形態に係るクレーン300は、シャーシフレーム(以下、「フレーム301」と略称する)と、クレーン装置302と、走行装置303と、4基のアウトリガ304と、アウトリガ304毎に回転支持部30を備える。これに加え、クレーン300は、原動部305と、コントロールボックス306と、クレーン操作部(不図示)と、走行操作部308と、ロックピン309とを備える。なお、図18では、アウトリガ304を格納した状態を示している。
【0066】
(回転支持部30の構成)
次に、図19及び図20を用いて、回転支持部30の詳細な構成を説明する。
各回転支持部30は、図19及び図20に示すように、上フレーム部31と、下フレーム部32と、下端フレーム部33と、アウトリガ回転軸35と、センサ取付用ブラケット36とを備える。
上フレーム部31は、比較的肉厚な略円柱状に形成されている。下フレーム部32は、比較的薄い板状に形成されており、上フレーム部31の下側に所定距離を離して配置されている。また、下フレーム部32には、図示を省略するが、張り出し位置の固定に用いる複数の固定用穴が、垂直に貫通して設けられている。下端フレーム部33は、下フレーム部32の下部に配置されている。また、上フレーム部31、下フレーム部32及び下端フレーム部33には、それぞれ、上下に連通する軸穴31H、32H及び33Hが形成されている。
【0067】
アウトリガ回転軸35は、円柱状に形成されている。また、アウトリガ回転軸35は、上フレーム部31、下フレーム部32及び下端フレーム部33を垂直に貫通して配置されている。さらに、アウトリガ回転軸35は、アウトリガ304が装着された状態では、軸穴31H~33Hに挿通されていると共に、回止部材1及び上フレーム部31を介して、フレーム301に固定されている。なお、アウトリガ回転軸35の回り止めのための回転軸の回り止め装置の構造の詳細については、後述する。
センサ取付用ブラケット36は、ポテンショメータ200をアウトリガ回転軸35と同軸に取り付けるためのものであり、不図示の皿ネジによって、アウトリガ回転軸35の上部にネジ止めされている。
【0068】
(基端側ブラケット61の構成)
次に、図18から図20を用いて、基端側ブラケット61の詳細な構成を説明する。
各アウトリガ304が備える基端側ブラケット61は、図19及び図20に示すように、上部プレート61Tと、下部プレート61Bと、支持プレート61aと、ボス部61bとを備える。
支持プレート61aは、対向する一対のプレート部から構成されている。支持プレート61aの上部は、側面視で略三角形状に形成されている。また、略三角形状に形成されている部分の上端間には、アウトリガシリンダ70の基端部が、軸支可能に取り付けられる穴が開けられている。これに加え、略三角形状に形成されている部分から下端へは、上部プレート61Tとボス部61b、下部プレート61Bと、一連に構成された部材に固設している。
【0069】
上部プレート61Tは、軸穴61THを有している。軸穴61THは、各アウトリガ304を、回転支持部30を介してフレーム301に装着した状態で、回転支持部30の軸穴31H~33Hと同軸に連通する位置に貫通して設けられている。
また、下部プレート61Bは、ボス部61bを挿通するための挿通穴61BHを有している。これに加え、下部プレート61Bには、張り出し位置の固定に用いる複数の固定用穴61BHrが設けられている。そして、複数の固定用穴61BHrのうちいずれか1つと、回転支持部30に設けた複数の固定用穴のうちいずれか1つとを同軸に合わせて、挿抜可能なロックピン309を固定用穴61BHrと回転支持部30の固定用穴とに挿入する。これにより、アウトリガ304の張り出し位置(回転位置)を固定できるように構成されている。
【0070】
一方、ボス部61bは、円筒状に形成されており、上部プレート61Tの下部に設けられている。ボス部61bの上部と上部プレート61Tとの間には、上フレーム部31が入る隙間が形成されている。このことから、基端側ブラケット61の、回転支持部30への取り付けは、上フレーム部31を、上部プレート61Tとボス部61bの隙間に差し込みつつ、下フレーム部32の上に載置させるように取り付ける。
また、ボス部61bの内周部は、アウトリガ回転軸15を挿通する軸穴61bHを構成している。したがって、ボス部61bには、軸穴61TH及び回転支持部30の軸穴31H~33Hと同軸に連通する位置に、軸穴61bHが設けられている。
【0071】
(アウトリガ304の装着構成)
次に、図18から図20を用いて、各アウトリガ304のフレーム301への装着構成について説明する。
各アウトリガ304は、下フレーム部32と上フレーム部31との間において、ボス部61b及び下部プレート61Bを挟んだ状態で、フレーム301に装着される。そして、回転支持部30の軸穴31H~33Hと、基端側ブラケット61の軸穴61TH及び61bHとが同軸に重なるように配置され、軸穴61TH及び61bHと、軸穴31H~33Hに対してアウトリガ回転軸35が挿通された状態で装着されている。
なお、アウトリガ回転軸35は、上フレーム部31及び回止部材1を介して、フレーム301に固定される構造となっている。このようにして、各アウトリガ304は、アウトリガ回転軸35回りに回転自在となるように、フレーム301に装着されている。
【0072】
(回転軸の回り止め装置の構造)
次に、図21及び図22を用いて、回転軸の回り止め装置の構造について説明する。
上フレーム部31の側面には、図21に示すように、回止部材1を装着するための取付穴31Hmが、外側面から内側の軸穴31Hまで貫通して設けられている。また、取付穴31Hmの外側端部の内周部には、固定部材2をネジ止めするための雌ネジ(図示略)が形成されている。
【0073】
また、アウトリガ回転軸35の外周面において、取付穴31Hmと対向する位置には、取付穴31Hmと連通する嵌合穴35Hが形成されている。嵌合穴35Hは、底面を有する穴である。また、嵌合穴35Hの奥側(底側)の端部は、円錐形状に構成されており、奥側の端部に全周に亘って、テーパ35Tが形成されている。ここで、軸部材4のテーパ4Tは、テーパ35Tに沿った傾斜形状に構成されている。なお、図21では、回止部材1を取付穴31Hm及び嵌合穴35Hに挿入する前の状態を示している。また、図22では、回止部材1を取付穴31Hm及び嵌合穴35Hに挿入した後の状態を示している。
【0074】
そして、図21及び図22に示すように、まず、回止部材1を構成する軸部材4を、例えば、治具を用いて取付穴31Hmに挿入すると共に、軸部材4の先端側を嵌合穴35Hに嵌入する。次に、弾性部材3を、取付穴31Hmに挿入する。そして、固定部材2を、六角レンチ等の工具を用いて取付穴31Hmにネジ込む。これにより、軸部材4が、弾性部材3を介して先端方向に押され、テーパ4Tがテーパ35Tと当接する。その結果、上フレーム部31とアウトリガ回転軸35とが、回止部材1を介して接続された状態となる。
この状態では、第1実施形態と同様、摺動可能な軸部材4が先端側へと押圧された状態となり、嵌合穴35Hを介してアウトリガ回転軸35を側面から押圧した状態となる。その結果、アウトリガ回転軸35の嵌合穴35Hと反対側の外周面は、上フレーム部31の軸穴31Hを構成する内径面に押し付けられた状態となる。
【0075】
このように、第2実施形態では、回止部材1、上フレーム部31、取付穴31Hm、アウトリガ回転軸35及び嵌合穴35Hによって、アウトリガ回転軸35の回り止め装置が構成されている。
また、第2実施形態では、図20に示すように、アウトリガ回転軸35の上端に、センサ取付用ブラケット36を介して、ポテンショメータ200をアウトリガ回転軸35と同軸に設置している。ポテンショメータ200の回転子は、アウトリガ304に固定されており、アウトリガ304の回転に伴って、ポテンショメータ200の回転子が回転する。これにより、アウトリガ304の回転角度を検出することが可能となる。
【0076】
(第2実施形態の作用及び効果)
以上説明したように、第2実施形態に係る回転軸の回り止め装置によれば、第1実施形態に係る回転軸の回り止め装置と同様の作用及び効果が得られる。
(第2実施形態の変形例)
(1)第2実施形態では、図18に示すクレーンの回転支持部に対して、本発明を適用する例を説明したが、これに限らず、他の構成の回転支持部に対して本発明を適用してもよい。また、クレーンに限らず、回転軸の軸回りに回転可能な構成を備えた作業機であれば、他の作業機に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 回止部材
2 固定部材
3,5 弾性部材
4 軸部材
4T テーパ
4H 抜きタップ穴
10,30 回転支持部
11,31 上フレーム部
11H~13H,31H~33H,41H1,41H2,61TH,61bH 軸穴
12 中間フレーム部
13,32 下フレーム部
13Hm,31Hm 取付穴
15,35 アウトリガ回転軸
15H,35H 嵌合穴
15T,35T テーパ
33 下端フレーム部
36 センサ取付用ブラケット
41,61 基端側ブラケット
41a,61T 上部プレート
41b,61B 下部プレート
41c 接続部
41d,61a 支持プレート
41Hr,61BHr 固定用穴
43 基端側アーム
44 先端側ブラケット
44a ロックピン
45 先端側アーム
46 アウタボックス
46a ロックピン
47 インナボックス
48 フロート
50,70 アウトリガシリンダ
61b ボス部
61BH 挿通穴
100,300 クレーン
101,301 フレーム
102,302 クレーン装置
103,303 走行装置
104,304 アウトリガ
105,305 原動部
106,306 コントロールボックス
107 クレーン操作部
108,308 走行操作部
109,309 ロックピン
120 コラム
121 ブーム
122 ワイヤロープ
123 フック
200 ポテンショメータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22