IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鹿島建設株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-養生蓋 図1
  • 特許-養生蓋 図2
  • 特許-養生蓋 図3
  • 特許-養生蓋 図4
  • 特許-養生蓋 図5
  • 特許-養生蓋 図6
  • 特許-養生蓋 図7
  • 特許-養生蓋 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】養生蓋
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
E04G21/32 Z
E04G21/32 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020095556
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021188395
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福馬 啓人
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035616(JP,A)
【文献】特開2014-076891(JP,A)
【文献】特開平11-141225(JP,A)
【文献】実公昭47-035601(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3028536(JP,U)
【文献】実開平05-017005(JP,U)
【文献】中国実用新案第209603528(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を開閉する養生蓋であって、
前記開口部の互いに対向する内周縁のそれぞれに回動自在に取り付けられた第1蓋体及び第2蓋体と、
前記第1蓋体及び前記第2蓋体のそれぞれに取り付けられ、前記第1蓋体及び前記第2蓋体が開けられた状態で手摺として機能する第1手摺部及び第2手摺部と、
前記第1蓋体及び前記第2蓋体のそれぞれを開状態に支持可能な第1支持部及び第2支持部と、を備え
前記第1蓋体及び前記第2蓋体は、閉じられた状態で前記開口部を塞ぎ、
前記第1手摺部及び前記第2手摺部は、前記第1蓋体及び前記第2蓋体が閉じられた状態でそれぞれ前記第2蓋体及び前記第1蓋体と重なる養生蓋。
【請求項2】
前記第1手摺部及び前記第2手摺部は、前記第1蓋体及び前記第2蓋体の一方のみが閉じられた状態で前記開口部の一部を塞ぐ
請求項1に記載の養生蓋。
【請求項3】
前記第1蓋体及び前記第2蓋体は、閉じられた状態で前記開口部を等分で塞ぐ
請求項に記載の養生蓋。
【請求項4】
前記手摺部は、前記蓋体が開けられた状態で高さ調整が可能なように前記蓋体にスライド自在に取り付けられる
請求項1からのいずれか一つに記載の養生蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養生蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の建設現場等において、床スラブに設けられた開口部は、通常は落下防止のために蓋で塞がれ、資材の搬出入や作業員の出入りの際には蓋が外される。
【0003】
特許文献1には、スラブ開口部の内周縁に取り付けられた段付フレームと、段付フレームに開閉自在に枢着された蓋体と、蓋体の先端部に枢着された一対の手摺杆と、手摺杆を支持する支持杆と、一対の手摺杆にわたって着脱自在に取り付けられた補強手摺杆と、を備える開口部用安全蓋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-206563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、開口部を使用する際には、蓋を外すと共に開口部の周囲に養生設備を設置する。蓋を外す作業と養生設備を設置する養生作業とが別作業である場合には、養生作業を忘れるおそれがあり、その場合には危険である。
【0006】
これに対して、特許文献1に記載の開口部用安全蓋では、養生として機能する手摺杆が蓋体に取り付けられているため、養生作業を忘れる可能性は低い。しかし、蓋体を開けるのに伴い蓋体及び手摺杆が安定するように各杆を組み立てる必要があるため、養生作業が面倒である。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、養生作業が簡単であって安全な養生蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、開口部を開閉する養生蓋であって、前記開口部の互いに対向する内周縁のそれぞれに回動自在に取り付けられた第1蓋体及び第2蓋体と、前記第1蓋体及び前記第2蓋体のそれぞれに取り付けられ、前記第1蓋体及び前記第2蓋体が開けられた状態で手摺として機能する第1手摺部及び第2手摺部と、前記第1蓋体及び前記第2蓋体のそれぞれを開状態に支持可能な第1支持部及び第2支持部と、を備え、前記第1蓋体及び前記第2蓋体は、閉じられた状態で前記開口部を塞ぎ、前記第1手摺部及び前記第2手摺部は、前記第1蓋体及び前記第2蓋体が閉じられた状態でそれぞれ前記第2蓋体及び前記第1蓋体と重なる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓋体を回動させ支持部に支持させて開状態にするだけで、蓋体及び蓋体に取り付けられた手摺部によって開口部が養生される。よって、養生作業が簡単であって安全な養生蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る養生蓋の概略を示す斜視図であって、養生蓋が開けられた状態を示す。
図2】本発明の実施形態に係る養生蓋の概略を示す斜視図であって、養生蓋の一部が閉じられた状態を示す。
図3】本発明の実施形態に係る養生蓋の概略を示す斜視図であって、養生蓋が閉じられた状態を示す。
図4】養生蓋が開けられた状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB-Bに沿う断面図である。
図5】第1蓋体のみが閉じられた状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB-Bに沿う断面図である。
図6】養生蓋が閉じられた状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB-Bに沿う断面図である。
図7】第2蓋体のみが閉じられた状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB-Bに沿う断面図である。
図8】本発明の実施形態の変形例に係る養生蓋を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る養生蓋100について説明する。
【0012】
まず、図1図3を参照して、養生蓋100の概略構成について説明する。図1図3は養生蓋100の概略を示す斜視図であって、図1は養生蓋100が開けられた状態を示し、図2は養生蓋100の一部が閉じられた状態を示し、図3は養生蓋100が閉じられた状態を示す。
【0013】
養生蓋100は、建物の建設現場等の床スラブ1に設けられた開口部2を開閉するためのものである。養生蓋100は、通常は開口部2への作業員の落下防止のために閉じられる一方、開口部2を通じた資材の搬出入や作業員の出入りの際には開けられる。
【0014】
養生蓋100は、開口部2の内周縁に回動自在に取り付けられた蓋体10と、蓋体10に取り付けられ、蓋体10が開けられた状態で手摺として機能する手摺部20と、蓋体10を開状態に支持可能な支持部30と、を備える。
【0015】
蓋体10は、矩形状の開口部2の互いに対向する内周縁のそれぞれに回動自在に取り付けられた第1蓋体10a及び第2蓋体10bからなる。つまり、第1蓋体10a及び第2蓋体10bは、観音開きの態様で取り付けられる。第1蓋体10a及び第2蓋体10bは鋼製であり、閉じられた状態で作業員が乗ったとしても破損しない剛性を有する。第1蓋体10a及び第2蓋体10bのそれぞれは、閉じられた状態で開口部2の半分を塞ぐ大きさに形成される。つまり、第1蓋体10a及び第2蓋体10bは、閉じられた状態で開口部2を等分で塞ぐ。第1蓋体10a及び第2蓋体10bの大きさは、開口部2の半分を塞ぐ大きさには限定されず、双方が閉じられた状態で、双方によって開口部2の全体が塞がれる大きさであればよい。例えば、第1蓋体10a及び第2蓋体10bによって開口部2を6:4の割合で塞ぐ大きさでもよいし、双方が閉じられた状態で互いの自由端が重なる大きさであってもよい。このように、第1蓋体10a及び第2蓋体10bは、開口部2の一部を塞ぐ大きさに形成される。したがって、第1蓋体10a及び第2蓋体10bそれぞれの単体の重量を抑えることができるため、第1蓋体10a及び第2蓋体10bの開閉作業を行い易い。
【0016】
手摺部20は、第1蓋体10a及び第2蓋体10bのそれぞれに取り付けられた第1手摺部20a及び第2手摺部20bからなる。第1手摺部20aは第1蓋体10aの自由端に取り付けられ、第2手摺部20bは第2蓋体10bの自由端に取り付けられる。第1手摺部20a及び第2手摺部20bは格子状に設けられた鉄筋にて形成される。
【0017】
第1手摺部20a及び第2手摺部20bは、第1蓋体10a及び第2蓋体10bが開けられた状態で高さ調整が可能なように第1蓋体10a及び第2蓋体10bのそれぞれにスライド自在に取り付けられてもよい。
【0018】
支持部30は、第1蓋体10a及び第2蓋体10bのそれぞれを開状態に支持可能な第1支持部30a及び第2支持部30bからなる。第1支持部30a及び第2支持部30bは鉄筋にて形成され、それぞれ第1蓋体10a及び第2蓋体10bの基端側に沿って設けられる。第1支持部30aは、第1蓋体10aが所定角度以上開くことを規制して、第1蓋体10aを所定角度の開状態に支持する。同様に、第2蓋体10bは、第2蓋体10bが所定角度以上開くことを規制して、第2蓋体10bを所定角度の開状態に支持する。この所定角度は、第1蓋体10a及び第2蓋体10bの開状態で第1手摺部20a及び第2手摺部20bが手摺として機能することを考慮すると、90度ないし90度よりも僅かに大きい角度が好ましい。
【0019】
次に、養生蓋100の開閉について説明する。
【0020】
開口部2を通じた資材の搬出入や作業員の出入りの際には、図1に示すように、第1蓋体10a及び第2蓋体10bは開けられ、第1支持部30a及び第2支持部30bによって開状態に支持される。このように、第1蓋体10a及び第2蓋体10bを開けるだけで、矩形状の開口部2の四方のうち互いに対向する二方を第1蓋体10a及び第2蓋体10bによって養生することができる。そして、開口部2の四方のうち一方に、床スラブ1とその下の階にわたって梯子3を掛ける。梯子3を用いて昇り降りする際には、第1手摺部20a及び第2手摺部20bを持つことによって昇り降りが補助される。なお、開口部2の四方のうち梯子3に対向する一方を養生するため、第1手摺部20aと第2手摺部20bにわたってチェーン4等を設けてもよい。ただ、開口部2の四方のうち梯子3に対向する一方が壁等に対向しており、その一方から作業員が開口部2に落下する危険性が無い場合には、チェーン4等を設ける必要はない。
【0021】
開口部2を使用しない場合には、開口部2への作業員の落下防止のために開口部2は閉じられる。具体的には、チェーン4を撤去した後、図2及び図3に示すように、第1蓋体10a及び第2蓋体10bを順番に閉じる。第1蓋体10a及び第2蓋体10bが閉じられた状態では、第1蓋体10a及び第2蓋体10bによって開口部2が塞がれ、第1手摺部20a及び第2手摺部20bはそれぞれ第2蓋体10b及び第1蓋体10aと重なる。
【0022】
次に、図4図7を参照して、養生蓋100について詳しく説明する。図4は養生蓋100が開けられた状態を示し(図1に対応)、図5は第1蓋体10aのみが閉じられた状態を示し(図2に対応)、図6は養生蓋100が閉じられた状態を示し(図3に対応)、図7は第2蓋体10bのみが閉じられた状態を示す。図4図7において、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB-Bに沿う断面図である。なお、図4(a)では、開状態の第1蓋体10a及び第2蓋体10bの図示を省略しており、図5(a)では、開状態の第2蓋体10bの図示を省略しており、図7(a)では、開状態の第1蓋体10aの図示を省略している。また、図4~7では、梯子3の図示を省略している。
【0023】
開口部2の互いに対向する内周縁のそれぞれには、床スラブ1の表面及び開口部2の内壁面に沿ってL字型のアングル材40a,40bが設けられる。本実施形態では、アングル材40a及びアングル材40bは、共に開口部2の内周縁に沿って一対設けられる。アングル材40a,40bのそれぞれには、丁番41a,41bが結合される。丁番41a,41bのそれぞれには、第1蓋体10a及び第2蓋体10bの端部が結合される。このように、第1蓋体10a及び第2蓋体10bは、アングル材40a,40b及び丁番41a,41bを介して、開口部2の互いに対向する内周縁のそれぞれに回動自在に取り付けられる。
【0024】
第1支持部30a及び第2支持部30bは、それぞれ丁番41a,41b上に設けられる。第1蓋体10a及び第2蓋体10bのそれぞれは、開方向への回動に伴って基端側の外面が第1支持部30a及び第2支持部30bに当接することによって開状態に支持される。なお、第1支持部30a及び第2支持部30bを丁番41a,41b上に設けるのに代えて、第1蓋体10a及び第2蓋体10bの基端側の外面に設けてもよい。その場合には、第1蓋体10a及び第2蓋体10bの開方向への回動に伴って第1支持部30a及び第2支持部30bがそれぞれ丁番41a及び丁番41bに当接することによって第1蓋体10a及び第2蓋体10bは開状態に支持される。
【0025】
アングル材40aには、開口部2の内周縁から中央に向かって突出する突出部42aが結合される。突出部42aは、L字型のアングル材の一部として形成される。突出部42aは、第2蓋体10bが第1蓋体10aに先立って閉じられた際に、第2手摺部20bの先端部21bが載置され第2蓋体10bを閉状態に支持する閉側の支持部として機能する(図7参照)。同様に、アングル材40bには、開口部2の内周縁から中央に向かって突出する突出部42bが結合される。突出部42bは、L字型のアングル材の一部として形成される。突出部42bは、第1蓋体10aが第2蓋体10bに先立って閉じられた際に、第1手摺部20aの先端部21aが載置され第1蓋体10aを閉状態に支持する閉側の支持部として機能する(図5参照)。
【0026】
このように、第1蓋体10a及び第2蓋体10bの開方向への回動はそれぞれ第1支持部30a及び第2支持部30bによって規制される一方、第1蓋体10a及び第2蓋体10bの閉方向への回動はそれぞれ突出部42b,42aによって規制される。
【0027】
なお、床スラブ1がコンクリート製ではなく鋼製である場合には、アングル材40a,40bを設けずに、丁番41a,41b及び突出部42a,42bを溶接又はボルトにより床スラブ1に直接結合してもよい。
【0028】
ここで、第1蓋体10aと第2蓋体10bは閉じられる順番が決まっており、第1蓋体10a、第2蓋体10bの順番で閉じられる。第2蓋体10b、第1蓋体10aの順番で閉じられた場合には、後から閉められる第1蓋体10aは閉まらない構造となっている。先に閉じられる第1蓋体10aが取り付けられるアングル材40aには突出部42aが同じ高さで結合される一方、後から閉じられる第2蓋体10bが取り付けられるアングル材40bには突出部42bが異なる高さで結合される。具体的には、アングル材40bにおける丁番41bが結合される面と、突出部42bにおける第1手摺部20aの先端部21aが載置される面とは異なる高さに設定される。これにより、先に第1蓋体10aが閉じられた状態で(図5に示す状態)、後から第2蓋体10bを閉じても、第2蓋体10bが突出部42bに載置された第1手摺部20aの先端部21aと干渉することがないため、図6に示すように、第2蓋体10bを閉じることができる。これに対して、先に第2蓋体10bが閉じられた状態で(図7に示す状態)、後から第1蓋体10aを閉じると、第1蓋体10aが突出部42aに載置された第2手摺部20bの先端部21bと干渉するため、図7に示すように、第1蓋体10aを途中までしか閉じることができない。
【0029】
また、第1蓋体10a及び第2蓋体10bが閉じられた状態で水平となるように、第1蓋体10a及び第2蓋体10bそれぞれの閉方向への回動を規制する突出部42bと突出部42aは互いに異なる高さに設けられる。本実施形態では、先に閉じられる第1蓋体10aの回動を規制する突出部42bは、後から閉じられる第2蓋体10bの回動を規制する突出部42aよりも高い位置に設けられる。突出部42bの高さは、床スラブ1とアングル材40aの間に設けられるスペーサ43の厚さによって調整される。
【0030】
次に、図4図6を参照して、養生蓋100の開閉について詳しく説明する。
【0031】
図4に示すように、第1蓋体10a及び第2蓋体10bは、第1支持部30a及び第2支持部30bによって開状態に支持された状態では、90度ないし90度よりも僅かに大きい開角度に支持される。これにより、第1蓋体10a及び第2蓋体10bの開状態が安定して維持されると共に、開口部2を作業員が出入りする際に、第1蓋体10a及び第2蓋体10bのそれぞれに取り付けられた第1手摺部20a及び第2手摺部20bを手摺として用いることができる。
【0032】
<開口部2の閉作業>
第1蓋体10a及び第2蓋体10bの開状態(図4に示す状態)から開口部2を閉じる作業について説明する。まず、下の階から梯子3(図1~3参照)を登り開口部2を通じて床スラブ1へ上がった後、開口部2を閉じる作業について説明する。この場合には、作業員は、床スラブ1上から開口部2を閉じる。まず、第1手摺部20aを把持して第1蓋体10aを閉方向へ回動させ、第1手摺部20aの先端部21aを突出部42bに載置させることによって第1蓋体10aを閉じる(図5に示す状態)。このように第1蓋体10aのみが閉じられた状態であっても、開口部2は第1蓋体10aによって半分が塞がれると共に、開口部2の残りの半分も第1手摺部20aによって一部が塞がれるため、開口部2への作業員の落下を防止することができる。同様に、第2蓋体10bのみが閉じられた状態(図7に示す状態)であっても、開口部2は第2蓋体10bによって半分が塞がれると共に、開口部2の残りの半分も第2手摺部20bによって一部が塞がれるため、開口部2への作業員の落下を防止することができる。このように、第1手摺部20a及び第2手摺部20bは、第1蓋体10a及び第2蓋体10bの一方のみが閉じられた状態において、開口部2の一部を塞いで作業員の落下を防止する機能も有する。
【0033】
第1蓋体10aを閉じた後、第2手摺部20bを把持して第2蓋体10bを閉方向へ回動させ、第2蓋体10bを第1手摺部20a上に重ね、第2手摺部20bを第1蓋体10a上に重ねることによって第2蓋体10bを閉じる(図6に示す状態)。第1蓋体10a及び第2蓋体10bが閉じられた状態では、第1蓋体10a及び第2蓋体10bは開口部2を等分で塞ぐ。なお、第1手摺部20aと第2手摺部20bは、第1蓋体10a及び第2蓋体10bが閉じられた状態において互いの干渉を避けるため、図6(a)に示すように、蓋体10の回動軸方向にずれて配置される。これに対応して、第1手摺部20a及び第2手摺部20bの先端部21a,21bをそれぞれ支持する突出部42bと突出部42aも蓋体10の回動軸方向にずれて配置される。
【0034】
次に、床スラブ1から開口部2を通じて下の階へと降りる際に開口部2を閉じる作業について説明する。この場合には、作業員は、養生蓋100の下方から、つまり梯子3上から開口部2を閉じる。まず、第1手摺部20aを把持して第1蓋体10aを閉方向へ回動させ、第1手摺部20aの先端部21aを突出部42bに載置させることによって第1蓋体10aを閉じる(図5に示す状態)。その後、第1手摺部20aにおける鉄筋の間の開口に手を挿入して第2手摺部20bを把持し、第2蓋体10bを閉方向へ回動させて閉じる(図6に示す状態)。
【0035】
<開口部2の開作業>
第1蓋体10a及び第2蓋体10bの閉状態(図6に示す状態)から開口部2を開ける作業について説明する。まず、床スラブ1から開口部2を通じて下の階へと降りる際に開口部2を開ける作業について説明する。この場合には、作業員は、床スラブ1上から開口部2を開ける。まず、第2手摺部20bを把持して第2蓋体10bを開方向へ回動させて第2支持部30bに支持させる(図5に示す状態)。その後、第1手摺部20aを把持して第1蓋体10aを開方向へ回動させて第1支持部30aに支持させる(図4に示す状態)。
【0036】
次に、下の階から梯子3を登り開口部2を通じて床スラブ1へ上がる際に開口部2を開ける作業について説明する。この場合には、作業員は、養生蓋100の下方から、つまり梯子3上から開口部2を開ける。まず、第1手摺部20aにおける鉄筋の間の開口を通じて第1手摺部20a上に重ねられた第2蓋体10bの下面を上に向けて押すことによって第2蓋体10bを開方向へ回動させて第2支持部30bに支持させる(図5に示す状態)。その後、第1蓋体10aの下面を上に向けて押すことによって第1蓋体10aを開方向へ回動させて第1支持部30aに支持させる(図4に示す状態)。第1蓋体10a及び第2蓋体10bは鋼製であって重量があるが、開口部2を等分で塞ぐ大きさであるため、下から押して回動させることができる。
【0037】
以上のように、養生蓋100は、格子状の第1手摺部20a及び第2手摺部20bを備えるため、養生蓋100の下方からでも開閉作業を行うことができる。
【0038】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0039】
蓋体10を回動させ支持部30に支持させて開状態にするだけで、蓋体10及び蓋体10に取り付けられた手摺部20によって開口部2が養生される。つまり、蓋体10を回動させ開口部2を開ける作業のみで開口部2が養生されるため、開口部2を開ける作業とは別に開口部2を養生する作業を行う必要がない。したがって、開口部2を使用する際に開口部2の養生作業を忘れることがないため、開口部2への作業員の落下を防止することができる。よって、養生作業が簡単であって安全な養生蓋100を提供することができる。
【0040】
また、第1蓋体10a及び第2蓋体10bのそれぞれは、閉じられた状態で開口部2の全体ではなく一部、具体的には半分を塞ぐ大きさであるため、重量が抑えられる。よって、第1蓋体10a及び第2蓋体10bを開閉し易い。
【0041】
以下に、図8を参照して、本実施形態の変形例に係る養生蓋200について説明する。
【0042】
上記実施形態では、蓋体10が第1蓋体10a及び第2蓋体10bからなり、第1蓋体10a及び第2蓋体10bが開口部2の一部を塞ぐ大きさである形態について説明した。しかし、図8に示すように、蓋体10が1つのみからなり、1つの蓋体10で開口部2の全体を塞ぐ構成であってもよい。つまり、上記実施形態及び本変形例からわかるように、蓋体10は、閉じられた状態で開口部2の少なくとも一部を塞ぐ構成であればよい。
【0043】
図8に示す変形例では、蓋体10は、矩形状の開口部2の内周縁のうち梯子3に対向する内周縁に回動自在に取り付けられる。手摺部20は、蓋体10にスライド自在に取り付けられる。手摺部20は、蓋体10に沿ってスライド自在な第1手摺部25と、第1手摺部25に回動自在に取り付けられた第2手摺部26及び第3手摺部27と、を有する。
【0044】
開口部2を開ける際には、図8(a)に示すように、まず、蓋体10を回動させて支持部30に支持させる。次に、図8(b)に示すように、手摺部20を上方へスライドさせる。次に、図8(c)に示すように、第1手摺部25に対して第2手摺部26と第3手摺部27を回動させる。第2手摺部26及び第3手摺部27によって、矩形状の開口部2の四方のうち互いに対向する二方が養生される。このように、第2手摺部26及び第3手摺部27は、手摺として機能すると共に、開口部2を養生する機能も有する。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0046】
開口部2が形成される対象は床スラブ1には限定されない。例えば、開口部2は足場に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0047】
100,200・・・養生蓋
1 ・・・床スラブ
2 ・・・開口部
3 ・・・梯子
10 ・・・蓋体
10a・・・第1蓋体
10b・・・第2蓋体
20 ・・・手摺部
20a・・・第1手摺部
20b・・・第2手摺部
30 ・・・支持部
30a・・・第1支持部
30b・・・第2支持部
40a,40b・・・アングル材
41a,41b・・・丁番
42a,42b・・・突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8