(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】廃棄物処理建築物
(51)【国際特許分類】
E04H 5/02 20060101AFI20231205BHJP
E04B 1/68 20060101ALI20231205BHJP
E04B 1/342 20060101ALI20231205BHJP
E04B 2/72 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
E04H5/02 A
E04B1/68 100A
E04B1/342 Z
E04B2/72 A
(21)【出願番号】P 2020100280
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武志
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-241516(JP,A)
【文献】特開昭58-029955(JP,A)
【文献】特開平09-317205(JP,A)
【文献】特開平09-217431(JP,A)
【文献】特開平07-151324(JP,A)
【文献】特開昭61-111185(JP,A)
【文献】特開2011-102530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 5/02-5/06
E04B 1/68
E04B 1/342
E04B 2/72
F23G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に廃棄物処理エリアが設けられた廃棄物処理棟と、
前記廃棄物処理棟と間隔を空けて構築され、前記廃棄物処理エリアの見学者を収容可能な見学用居室を有する見学棟と、を備え、
前記廃棄物処理棟及び前記見学棟は、前記見学用居室から前記廃棄物処理エリアを目視可能な開口部をそれぞれ有しており、
前記見学棟の前記開口部は、透明板によって塞がれて
おり、
前記廃棄物処理棟には、前記見学棟と間隔を空けて設けられた第1エキスパンションジョイントが固定されており、前記見学棟には、前記廃棄物処理棟と間隔を空けて設けられた第2エキスパンションジョイントが固定されており、
前記第1エキスパンションジョイントは、前記見学棟における前記廃棄物処理棟との隣接面上端を覆いかぶさり、前記第2エキスパンションジョイントは、前記廃棄物処理棟の前記開口部の縁を覆いかぶさっている、
廃棄物処理建築物。
【請求項2】
前記廃棄物処理エリアは、前記廃棄物処理棟の周囲の地盤から凹状に形成されており、
前記見学用居室は、前記見学棟の2階以上に設けられている、
請求項
1に記載の廃棄物処理建築物。
【請求項3】
前記見学棟の1階部分と、前記廃棄物処理棟と、の間には道路が設けられており、
前記見学用居室は、前記道路の上に設けられている、
請求項
2に記載の廃棄物処理建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処理建築物では、環境教育のために見学用居室が設けられることがある。特許文献1には、見学用居室としての見学者通路や見学者スペースを、廃棄物を処理する建物の内部に設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃棄物を処理する際には、振動、騒音、粉塵及び臭気が発生する。特許文献1に開示される建築物では、廃棄物を処理する建物の内部に見学用居室が設けられるため、見学用居室に振動及び騒音が伝わったり粉塵及び臭気が流入したりして見学者に不快感を与えてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、見学用居室における快適さを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部に廃棄物処理エリアが設けられた廃棄物処理棟と、廃棄物処理棟と間隔を空けて構築され、廃棄物処理エリアの見学者を収容可能な見学用居室を有する見学棟と、を備え、廃棄物処理棟及び見学棟は、見学用居室から廃棄物処理エリアを目視可能な開口部をそれぞれ有しており、見学棟の開口部は、透明板によって塞がれており、廃棄物処理棟には、見学棟と間隔を空けて設けられた第1エキスパンションジョイントが固定されており、見学棟には、廃棄物処理棟と間隔を空けて設けられた第2エキスパンションジョイントが固定されており、第1エキスパンションジョイントは、見学棟における廃棄物処理棟との隣接面上端を覆いかぶさり、第2エキスパンションジョイントは、廃棄物処理棟の開口部の縁を覆いかぶさっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、見学用居室の快適さを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は、本発明の実施形態に係る廃棄物処理建築物の平面図であり、(b)は、
図1(a)に示すIB-IB線に沿う拡大断面図である。
【
図2】
図1(b)に示すII-II線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る廃棄物処理建築物について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1(a)は、本実施形態に係る廃棄物処理建築物100の平面図であり、(b)は、
図1(a)に示すIB-IB線に沿う拡大断面図である。廃棄物処理建築物100は、廃棄物を埋立処分するいわゆる最終処分場である。廃棄物処理建築物100は、廃棄物を破砕したり焼却したりするいわゆる中間処理場であってもよい。
【0011】
図1(a)及び(b)に示すように、廃棄物処理建築物100は、内部に廃棄物処理エリア11が設けられた廃棄物処理棟10と、廃棄物処理エリア11を見学する見学者を収容可能な見学用居室21を有する見学棟20と、を備えている。廃棄物処理エリア11は、廃棄物を埋立処分するためのピットである。なお、見学棟20は、図示しない制御室及び研修室等が設けられるいわゆる管理棟である。
【0012】
廃棄物処理棟10は、開口部13が形成された外壁12を有しており、見学用居室21は、開口部13の近傍に配置されている。見学棟20には、見学用居室21から開口部13を通じて廃棄物処理エリア11を目視可能な開口部23が形成されている。そのため、見学者は、見学用居室21から廃棄物処理エリア11を目視することができ、廃棄物処理の理解を深めることができる。
【0013】
廃棄物処理エリア11では、搬入された廃棄物を均し覆土するために重機が用いられる。そのため、振動及び騒音が発生する。また、搬入された廃棄物から粉塵や臭気が発生する。
【0014】
見学棟20は、廃棄物処理棟10と間隔を空けて構築されている。そのため、廃棄物処理エリア11で生じる振動が見学棟20に伝わるのを防止することができる。したがって、見学棟20における見学用居室21の振動を軽減することができる。
【0015】
また、見学棟20の開口部23は、透明板24によって塞がれている。そのため、廃棄物処理エリア11から見学用居室21への騒音、粉塵及び臭気が、透明板24によって遮られる。したがって、見学用居室21における騒音、粉塵及び臭気を軽減することができる。透明板24は、例えば、ガラス板である。
【0016】
このように、廃棄物処理建築物100では、見学用居室21の振動、騒音、粉塵及び臭気を軽減することができる。したがって、見学用居室21の快適さを向上させることができ、見学者は、見学用居室21から廃棄物処理エリア11を快適に見学することができる。
【0017】
図1(b)に示すように、廃棄物処理棟10と見学棟20とには、エキスパンションジョイント41,42が設けられている。エキスパンションジョイント41は、廃棄物処理棟10の外壁12に固定され、見学棟20における廃棄物処理棟10との隣接面上端を覆いかぶさるように設置される。エキスパンションジョイント42は、見学棟20に固定され、廃棄物処理棟10の外壁12を覆いかぶさるように設置される。そのため、外部から、廃棄物処理棟10への雨水の流入を防ぐことができる。また、廃棄物処理棟10から塵埃が外部に流出することを防ぐことができる。
【0018】
エキスパンションジョイント41は、見学棟20と間隔を空けて設けられ、エキスパンションジョイント42は、廃棄物処理棟10と間隔を空けて設けられている。そのため、エキスパンションジョイント41は、廃棄物処理棟10と見学棟20との相対変位に伴って見学棟20に対して相対変位し、エキスパンションジョイント42は、廃棄物処理棟10と見学棟20との相対変位に伴って廃棄物処理棟10に対して相対変位する。したがって、地震等により廃棄物処理棟10と見学棟20とが揺れたときにエキスパンションジョイント41,42が破損するのを防止することができる。
【0019】
図2は、
図1(b)に示すII-II線に沿う断面図である。なお、
図2では、エキスパンションジョイント41,42の図示を省略している。
【0020】
図1(b)及び
図2に示すように、見学棟20は、メンテナンス員が通行可能なメンテナンス用歩廊22を有する。メンテナンス用歩廊22は、透明板24に対して廃棄物処理棟10側に設けられる。透明板24の一部は開閉扉24aによって形成されている。メンテナンス員は、開閉扉24aを通じて見学用居室21とメンテナンス用歩廊22との間を行き来可能である。
【0021】
廃棄物処理棟10には、メンテナンス用歩廊22の近傍から延びる階段14が設けられる。階段14は、メンテナンス用歩廊22の床から離隔して設けられる。
【0022】
階段14は、廃棄物処理棟10の天井下に設けられる図示しない点検歩廊まで延びており、メンテナンス員は、見学用居室21からメンテナンス用歩廊22、階段14を通って点検歩廊まで移動可能である。メンテナンス員は、点検歩廊から、図示しない照明及び各種感知器などの設備を点検することができる。廃棄物処理棟10の天井高さは、高所作業車では届かない程度に高く、天井部に設置された照明及び各種感知器などの設備を高所作業車から点検することは困難である。天井下に点検歩廊を設けると共にメンテナンス用歩廊22と点検歩廊との間を行き来可能な階段14を設けることにより、天井部に設置された設備を容易に点検することができる。
【0023】
図1(b)に示すように、廃棄物処理エリア11は、廃棄物処理棟10の周囲の地盤から凹状に形成されている。見学棟20は、複数階建てであり、見学用居室21は、見学棟20の2階に設けられている。そのため、見学者は、見学用居室21から廃棄物処理エリア11を広く見渡すことができると共に、廃棄物処理エリア11の手前側を見学用居室21から見ることができ、廃棄物処理の理解を深めることができる。
【0024】
見学棟20の1階部分と廃棄物処理棟10との間には、道路30が設けられている。そのため、道路30から廃棄物処理棟10の外壁12の保守点検が可能になる。したがって、廃棄物処理棟10を容易に維持することができる。
【0025】
見学用居室21は、道路30の上方に設けられている。そのため、道路30に妨げられることなく見学用居室21から廃棄物処理エリア11を目視可能である。したがって、道路30から外壁12の保守点検を容易に行うことができると共に、見学用居室21から廃棄物処理エリア11の見学を容易に行うことができる。
【0026】
なお、
図1(a)に示すように、道路30は、廃棄物処理棟10の全周に渡って整備されており、廃棄物処理棟10における外壁12の全周を道路30から保守点検が可能である。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0028】
上記実施形態では、廃棄物処理エリア11が廃棄物を埋立処分するためのピットである場合について説明したが、廃棄物処理エリア11は、廃棄物を受け入れるプラットホーム及び廃棄物を焼却処理する焼却炉等が設けられるエリアであってもよい。
【0029】
廃棄物処理棟10の開口部13が透明板によって塞がれていてもよい。
【0030】
上記実施形態では、エキスパンションジョイント41,42は、板状の部材であるが、この形態に限られない。例えば、エキスパンションジョイントは、クッション材、内側板及び外側板を備える形態であってもよい。
【0031】
見学用居室21は、見学棟20の3階以上に設けられていてもよい。見学用居室21を含む見学者用エリアを見学棟20の2階以上にまとめ、廃棄物処理エリア11の管理者を収容可能な管理室を含む管理用エリアを見学棟20の1階にまとめた場合には、道路30を管理用エリアの導線として活用することができる。
【符号の説明】
【0032】
100・・・廃棄物処理建築物
10・・・廃棄物処理棟
11・・・廃棄物処理エリア
13・・・開口部
20・・・見学棟
21・・・見学用居室
23・・・開口部
24・・・透明板
30・・・道路
41,42・・・エキスパンションジョイント