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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/14 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A47F3/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020149781
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044247
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】津田 和哉
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-112856(JP,A)
【文献】特開昭52-068006(JP,A)
【文献】特表2012-516708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/00- 3/14
F25D 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列室(1)を有するショーケース本体(2)と、
商品陳列室(1)の下方を区画する底板(10)の上方に配されて、ショーケース本体(2)に対して着脱可能に構成された複数枚の商品支持材(25)と、
商品支持材(25)と底板(10)との間に形成されたトレイ空間(28)内に配され、ショーケース本体(2)に対して着脱可能に構成された複数枚のダストトレイ(30)と、
を備え、
各ダストトレイ(30)には、隣り合うダストトレイ(30)どうしの間で連結状態を確立するとともに、必要に応じて連結状態を解除し得る連結構造(37)が設けられており、トレイ空間(28)内には、複数枚のダストトレイ(30)が連結構造(37)により左右方向に列状に連結された状態で配されており、
商品支持材(25)の左右方向の長さ寸法は、底板(10)の左右方向の長さ寸法よりも小さく設定され、底板(10)上には左右方向に2枚以上の商品支持材(25)が配されるとともに、これら2枚以上の商品支持材(25)を底板(10)上に配したとき、該商品支持材(25)と底板(10)との間には、左右方向に長いトレイ空間(28)が形成されるようになっており、
商品支持材(25)は、左右方向に走る複数本のメインバー(26)と、これらメインバー(26)の間に架設されて前後方向に走る複数本のクロスバー(27)とを含み、
メインバー(26)の下端が底板(10)に接することで、クロスバー(27)と底板(10)との間にトレイ空間(28)が形成されるように構成されており、
ショーケース本体(2)から1枚の商品支持材(25)を取り外して、トレイ空間(28)に通ずるトレイ開口部(41)を形成したうえで、該トレイ開口部(41)から下方に存するダストトレイ(30)を引き出すことで、列状に連結されたダストトレイ(30)をトレイ開口部(41)に向かって手繰り寄せて、該トレイ開口部(41)からダストトレイ(30)を1枚ずつ取り出すことができるとともに、連結構造(37)により連結状態を確立しながら、トレイ開口部(41)を介してトレイ空間(28)内に1枚ずつダストトレイ(30)を挿入することにより、トレイ空間(28)内に列方向に連結された状態で複数枚のダストトレイ(30)を配することができるように構成されていることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
ダストトレイ(30)を構成するベース壁(31)の下面に複数個の突起(36)が下方に向かって突設されている、請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
ベース壁(31)は四角形状に形成され、ベース壁(31)の四周辺のそれぞれから上方に向かって周側壁(32・33・34・35)が立設されており、
連結構造(37)が、左右方向の一側の周側壁(34)であって、鉛直方向に伸びる係合部(38)と、左右方向の他方側の周側壁(35)に形成されて、係合部(38)を受け入れる下向きの開口を有する断面コ字状の係合凹部(39)とで構成されている、請求項2記載のショーケース
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列室を区画する底板の上部にダストトレイを備えるショーケースに関して、ダストトレイの清掃の容易化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ショーケースの分野において、陳列室を区画する底板の上部にダストトレイを配することは、例えば特許文献1に公知である。特許文献1のショーケースでは、底板の上方に商品を載置するための複数枚の商品支持材(デッキパン)を着脱自在に並設し、これら商品支持材同士の隙間に対応する下方に、ダストトレイ(不要物保持器)を着脱自在に装着している(特許文献1の請求項1)。ダストトレイは、デッキパン受に係止されたフック部に着脱自在とされている。特許文献1のショーケースによれば、隣り合う商品支持材(デッキパン)の間から不要物をダストトレイに落とすことで、商品支持材(デッキパン)を清掃することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-279288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のショーケースにおいて、ダストトレイを清掃するためには、商品支持材をショーケース本体から引き上げて取り外したうえで、ダストトレイをフック部から取り外すことが必要となる。このため、ダストトレイを清掃するためには、その上方に位置するデッキパンから商品を撤去する作業や、商品支持材を取り外す作業が必要であり、これら作業が煩わしく、ダストトレイの清掃を簡便に行うことは困難である。特に、ショーケースが大型化し、ダストトレイの個数が増えた場合には、商品支持材からの商品の撤去作業と、商品支持材の取り外し作業に極めて多くの手間と時間を要することとなり、ダストトレイの清掃をより少ない手間で簡便に行うことができない。
【0005】
本発明の目的は、商品支持材からの商品の撤去作業、および商品支持材の取り外し作業を最小限化することができ、したがってダストトレイの清掃をより少ない手間で簡便に行うことができるショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るショーケースは、商品陳列室1を有するショーケース本体2と、商品陳列室1の下方を区画する底板10の上方に配されて、ショーケース本体2に対して着脱可能に構成された複数枚の商品支持材25と、商品支持材25と底板10との間に形成されたトレイ空間28内に配され、ショーケース本体2に対して着脱可能に構成された複数枚のダストトレイ30とを備える。各ダストトレイ30には、隣り合うダストトレイ30どうしの間で連結状態を確立するとともに、必要に応じて連結状態を解除し得る連結構造37が設けられており、トレイ空間28内には、複数枚のダストトレイ30が連結構造37により左右方向に列状に連結された状態で配されている。商品支持材25の左右方向の長さ寸法は、底板10の左右方向の長さ寸法よりも小さく設定され、底板10上には左右方向に2枚以上の商品支持材25が配されるとともに、これら2枚以上の商品支持材25を底板10上に配したとき、該商品支持材25と底板10との間には、左右方向に長いトレイ空間28が形成されるようになっている。商品支持材25は、左右方向に走る複数本のメインバー26と、これらメインバー26の間に架設されて前後方向に走る複数本のクロスバー27とを含み、メインバー26の下端が底板10に接することで、クロスバー27と底板10との間にトレイ空間28が形成されるように構成されている。そして、ショーケース本体2から1枚の商品支持材25を取り外して、トレイ空間28に通ずるトレイ開口部41を形成したうえで、該トレイ開口部41から下方に存するダストトレイ30を引き出すことで、列状に連結されたダストトレイ30をトレイ開口部41に向かって手繰り寄せて、該トレイ開口部41からダストトレイ30を1枚ずつ取り出すことができるとともに、連結構造37により連結状態を確立しながら、トレイ開口部41を介してトレイ空間28内に1枚ずつダストトレイ30を挿入することにより、トレイ空間28内に列方向に連結された状態で複数枚のダストトレイ30を配することができるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
ダストトレイ30を構成するベース壁31の下面に複数個の突起36が下方に向かって突設されている。
【0008】
ベース壁31は四角形状に形成され、ベース壁31の四周辺のそれぞれから上方に向かって周側壁32・33・34・35が立設されている。連結構造37は、左右方向の一側の周側壁34であって、鉛直方向に伸びる係合部38と、左右方向の他方側の周側壁35に形成されて、係合部38を受け入れる下向きの開口を有する断面コ字状の係合凹部39とで構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のショーケースによれば、1枚の商品支持材25をショーケース本体2から取り外して、トレイ空間28に通ずるトレイ開口部41を形成するだけで、当該トレイ開口部41を介してトレイ空間28から列状に連結された複数枚のダストトレイ30を1枚ずつ取り出すことができ、また、逆の手順で、1枚の商品支持材25を取り外すことで形成されたトレイ開口部41を介して、トレイ空間28内に複数枚のダストトレイ30を列状に連結された状態で配設することができる。つまり、本発明によれば、トレイ空間28内に配されたダストトレイ30の各列に対して、1枚の商品支持材25を取り外すだけで、当該列のダストトレイ30の取り出し作業と、ダストトレイ30の配設作業とを進めることができる。以上より、本発明によれば、ダストトレイ30の清掃に際して必要となるダストトレイ30の各列に対する商品支持材25の取り外し作業が、1枚で済むとともに、当該取り外し作業に先立つ商品の撤去作業が、取り外される1枚分の商品支持材25上に存する商品だけで済むので、商品支持材25からの商品の撤去作業、および商品支持材25の取り外し作業を最小限化することができ、ダストトレイ30の清掃をより少ない手間で簡便に行うことができる。
【0011】
ダストトレイ30を構成するベース壁31の下面に複数個の突起36が下方に向かって突設されていると、トレイ空間28内にダストトレイ30を配したとき、当該突起36の下端がショーケース本体2の底板10に接する状態で、該底板10上にダストトレイ30を載置することができる。これにて、ベース壁31の全体が底板10に接する形態に比べて、ダストトレイ30の底板10に対する接触面積を小さくして、底板10とダストトレイ30との間に作用する摩擦抵抗を軽減することができるので、よりスムーズにダストトレイ30を移動させることが可能となる。また、多数枚のダストトレイ30が列状に連結されている状態から、端部に位置するダストトレイ30を手に取って、列を構成する他の全てのダストトレイ30を引き出す際には、作業者の負担が大きくなるが、本発明のように底板10とダストトレイ30との間に作用する摩擦抵抗を軽減することができれば、より小さな力でスムーズに列状に連結された複数枚のダストトレイ30を移動させることができるので、作業負担の軽減を図ることができる。
【0012】
連結構造37が、左右方向の一側の周側壁34に形成されて鉛直方向に伸びる係合部38と、左右方向の他方側の周側壁35に形成されて、係合部38を受け入れる下向きの開口を有する断面コ字状の係合凹部39とで構成されていると、一方のダストトレイ30の係合部38に、他方のダストトレイ30の係合凹部39を被せ付けるだけで、両ダストトレイ30・30を連結させることができる。また、連結状態において、他方のダストトレイ30の係合凹部39を一方のダストトレイ30の係合部38から上方に引き上げるだけで、連結構造37による連結状態を解除することができる。以上より、本発明によれば、より簡便に作業効率良くダストトレイ30の連結作業と連結解除作業とを進めることができるので、ダストトレイ30の清掃作業をより少ない手間で簡便に行うことができる。
【0013】
商品支持材25が、左右方向に走る前後一対のメインバー26と、これらメインバー26の間に配されて前後方向に走るクロスバー27とで構成されており、メインバー26の下端が底板10に接することで、クロスバー27と底板10との間にトレイ空間28が形成されるように構成されていると、ショーケース本体2の側壁や底板10に商品支持材25の支持構造が設けられている形態に比べて、ショーケースの構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るショーケースの縦断正面図であり、図2のA-A線断面図である。
図2】ショーケースの縦断側面図である。
図3図2のB-B線断面図である。
図4】ダストトレイの斜視図である。
図5】ダストトレイのショーケース本体からの取り出し方法を説明するための図である。
図6】ダストトレイのショーケース本体への配設方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至図6に、本発明に係るショーケースを、スーパーマーケットなどの店舗に設置される平型のオープンショーケースに適用した実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1乃至図3に示す交差矢印と、矢印の近傍の前後、左右、上下の表記に従う。図2に示すように、ショーケースは、商品陳列室1を有するショーケース本体2と、ショーケース本体2の下方に配された機械室3とを備える。機械室3の内部には、圧縮機4、凝縮器5、および凝縮器ファン6などが設置されている。
【0016】
ショーケース本体2は、有底容器状に形成された断熱箱7をベースとして構成される。断熱箱7の上部には、上方に開口を有する商品陳列室1が形成され、断熱箱7の下部には循環ダクト8が形成されている。図2において符号10は商品陳列室1の底板を示しており、この底板10により、断熱箱7の内部は、商品陳列室1と循環ダクト8とに区画されている。商品陳列室1は、底板10の前後方向の中央部に設けられて左右方向に走る仕切壁11により、前後一対の陳列部12・12に2分割されている。循環ダクト8の内部には、蒸発器13と送風ファン14とが設置されている。
【0017】
底板10の前後のそれぞれには、外堰板16・16が形成されている。前方側の外堰板16と断熱箱7の内面との間には冷気の吹出流路17が形成され、後方側の外堰板16と断熱箱7の内面との間には庫内空気の吸込流路18が形成されている。吹出流路17の上端には冷気の吹出口19が設けられており、吸込流路18の上端には庫内空気の吸込口20が形成されている。断熱箱7の前方側の内面の上端には、吹出流路17の上端を覆って、該吹出流路17を流れる冷気を後方向に向ける前カバー21と、吹出口19から吹出される冷気の流れを整流する整流板22とが設けられている。断熱箱7の後方側の内面の上端には、吸込流路18の上端を覆う後カバー23が設けられている。
【0018】
図3に示すように、平面視において、商品陳列室1の下方を区画する底板10は、左右方向の長さ寸法が前後方向の長さ寸法よりも長い長方形状に形成されており、この底板10の上方に複数枚のスノコ(商品支持材)25が敷設されている。また、スノコ25と底板10との間には複数枚のダストトレイ30が配設されている。これらスノコ25とダストトレイ30のそれぞれは、ショーケース本体2に対して着脱可能に構成されている。
【0019】
図3に示すように、前後の各陳列部12・12のそれぞれには、左右方向に列状に並ぶように計6枚のスノコ25が敷設されている。つまり、スノコ25の左右方向の長さ寸法は、各陳列部12の左右方向の長さ寸法よりも小さく設定されており(約6分の1)、各陳列部12には、左右方向に複数枚(6枚)のスノコ25が敷設されている。商品陳列室1の全体においては、底板10には計12枚のスノコ25が敷設されている。
【0020】
図1乃至図3に示すように、各スノコ25は、前後方向の両端と中央部とに位置し、左右方向に走る計3本のメインバー26と、これらメインバー26の間に架設されて前後方向に走る複数本のクロスバー27とで構成され、平面視において前後寸法が左右寸法よりも大きな長方形状に形成されている。メインバー26とクロスバー27のそれぞれは、断面が丸型の金属棒からなり、メインバー26の直径寸法は、クロスバー27のそれよりも大径に設定されている。図2に示すように、メインバー26の下端が底板10に接することで、クロスバー27と底板10との間には空隙が形成され、この空隙にダストトレイ30が配されている。より詳しくは、左右方向に列状に並ぶように複数枚のスノコ25を底板10上に敷設したとき、クロスバー27と底板10との間には、前後方向が中央のメインバー26で仕切られた、左右方向に長い前後一対のトレイ空間28が形成され、これらトレイ空間28内に複数枚のダストトレイ30が配されている。本実施形態では、各陳列部12に6枚のスノコ25を敷設することにより、各陳列部12には、前後一対のトレイ空間28が形成され、各トレイ空間28のそれぞれには、6枚ずつダストトレイ30が配されている。したがって、商品陳列室1の全体では、計4つのトレイ空間28が形成され、底板10上には、計24枚のダストトレイ30が配設されている。
【0021】
ダストトレイ30は、スノコ25から脱落した不要物を収容するものであり、図4に示すように、四角形状のベース壁31と、ベース壁31の周縁から上方に向かって立設された4つの周側壁32・33・34・35とを備える。ベース壁31の下面には複数個の突起36が下方に向かって突設されている。ここでは、ベース壁31の下面には、計9個の突起36が碁盤の星位置に配されており、各突起36はプレス加工にて下凸状の部分球殻状に押出し形成されている。前後の周側壁32・33は、上方に行くに従って対向寸法が大きくなるように形成された傾斜壁とされている。前後の周側壁32・33の上端で規定されるダストトレイ30の前後の長さ寸法は、メインバー26の対向間隔で規定されるトレイ空間28の前後の長さ寸法よりも僅かに小さく設定されている。
【0022】
ダストトレイ30の左右の周側壁34・35には、隣り合うダストトレイ30どうしの間で連結状態を確立するとともに、必要に応じて連結状態を解除し得る連結構造37が設けられている。図1に示すように、連結構造37は、左側の周側壁34であって、鉛直方向に伸びる係合部38と、右側の周側壁35に形成されて、係合部38を受け入れる下向きの開口を有する断面コ字状の係合凹部39とで構成されている。係合凹部39は、ベース壁31の右縁から上方に向かって伸びる第1側壁35aと、第1側壁35aの上端から右向きに伸びる横壁35bと、横壁35bの右端から下方に向かって伸びる第2側壁35cとからなる断面コ字状に形成されている。
【0023】
以上のような連結構造37がダストトレイ30に設けられていると、右側に位置するダストトレイ30の係合部38に、左側に位置するダストトレイ30の係合凹部39を被せ付けることで、左右の両ダストトレイ30・30を連結して連結状態を確立できる(図1の拡大図参照)。また、この連結状態から、左側に位置するダストトレイ30の係合凹部39を、右側に位置するダストトレイ30の係合部38から上方に引き上げるだけで、両者38・39の間の係合状態を解除して、左右の両ダストトレイ30・30の連結状態を解除することができる。
【0024】
次に、トレイ空間28からのダストトレイ30の引き出し方法について、図5を参照して説明する。まず、図5(a)に示すように、作業者は左端に位置する1枚のスノコ25(25a)をショーケース本体2から取り外す。より詳しくは、作業者は、左端に位置するスノコ25(25a)の上面に置かれた商品を撤去したうえで、このスノコ25(25a)をショーケース本体2から取り外す。スノコ25(25a)の上面から撤去された商品は、商品陳列室1の外部に置いてもよいが、商品が冷凍食品などの場合には、他のスノコ25(例えばスノコ25b)上に置くことが望ましい。取り外されたスノコ25(25a)は、商品陳列室1の外部に置くことが望ましい。以上のように1枚のスノコ25(25a)をショーケース本体2から取り外すことで、トレイ空間28に通ずるトレイ開口部41を形成することができる。また、左端に位置するスノコ25(25a)を取り外すことで、該スノコ25(25a)の下方に存するダストトレイ30(左端に位置するダストトレイ30a)を、トレイ開口部41を介して上方に露出させることができる。
【0025】
次に、図5(b)に示すように、作業者は、左端に位置するダストトレイ30(30a)を、トレイ開口部41を介してトレイ空間28から引き出す。ここでは、ダストトレイ30(30a)を左側に向かって僅かに変位させることにより、ダストトレイ30(30a)の全体がトレイ空間28から引き出された引き出し位置に移動させている。
【0026】
次に、作業者は、トレイ空間28から引き出された左端に位置するダストトレイ30(30a)と、その右隣りに位置するダストトレイ30(30b)との連結構造37による連結状態を解除して、左端に位置するダストトレイ30(30a)をショーケース本体2から取り出す。具体的には、例えば、図5(b)に示すように、ダストトレイ30(30a)の左端を上方に持ち上げ、次いでダストトレイ30(30a)の右端を上方に持ち上げることで、左端に位置するダストトレイ30(30a)の係合凹部39と、右側に位置するダストトレイ30(30b)の係合部38との間の係合状態を解除して、両ダストトレイ30a・30bの連結状態を解除することができる。これにより、左端に位置するダストトレイ30(30a)をショーケース本体2から取り外すことができる。
【0027】
図5(c)に示すように、左端に位置していたダストトレイ30(30a)をショーケース本体2から取り外したとき、その右側に位置するダストトレイ30(30b)の係合部38を構成する左側の周側壁34はトレイ開口部41を介して上方に臨んでいる。そこで、作業者は、係合部38に手指等を掛け、当該係合部38を手前側(左側)に手繰り寄せることにより、図5(d)に示すように、ダストトレイ30(30b)の全体がトレイ空間28から引き出された引き出し位置に、当該ダストトレイ30(30b)を移動させることができる。
【0028】
以降は、左端に位置していたダストトレイ30(30a)に対する手順(図5(b)~(c))と同様の手順を採ることにより、その右側に位置するダストトレイ30(30b)をショーケース本体2から取り出すことができる。また、先の図5(b)~(d)と同様の手順を採ることにより、トレイ空間28内に位置する全てのダストトレイ30(本実施形態では6枚のダストトレイ30(30a~30f:図3参照))を、トレイ開口部41を介してトレイ空間28から引き出すことができる。
【0029】
以上のようにしてトレイ空間28から引き出したダストトレイ30に対しては、そのベース壁31上に乗っていた不要物を取り除く、或いはベース壁31の上面に付着の塵埃を取り除くなどの清掃作業を行うことができる。
【0030】
次に、清掃後のダストトレイ30のトレイ空間28内への配設方法について、図6を参照して説明する。まず、作業者は、トレイ開口部41に臨む底板10上に、1枚のダストトレイ30を載置したのち、これを右方向に移動させて、トレイ空間28内にダストトレイ30を押込む。図6(a)は、1枚目のダストトレイ30(30f)をトレイ空間28内に押込んだ状態を示しており、このとき当該ダストトレイ30(30f)の係合部38がトレイ開口部41の右端に位置しており、該係合部38がトレイ開口部41を介して上方に臨むようにする。なお、ダストトレイ30(30f)は、最終的にトレイ空間28内の右端に位置することとなる。
【0031】
次に、作業者は、連結構造37を使って、左右方向に隣り合うダストトレイ30f・30eを連結させる。具体的には、図6(a)に示すように、トレイ空間28内に押込まれたダストトレイ30(30f)の係合部38に、次段の左側に配されるダストトレイ30(30e)の係合凹部39が被さるように、ダストトレイ30(30e)を位置合わせしながら、ダストトレイ30(30e)を底板10上に落とし込む。これにより、図6(b)に示すように、両ダストトレイ30f・30eの間に連結状態を確立させながら、ダストトレイ30eを底板10上に載置することができる。
【0032】
次いで、作業者は、図6(c)に示すように、左側に位置するダストトレイ30(30e)を右方向に移動させて、連結状態にあるダストトレイ30(30f)と共に、トレイ空間28内に両ダストトレイ30f・30eを押込む。以後は、図6(a)~図6(c)の手順を繰り返すことにより、トレイ空間28内に、ダストトレイ30を順々に配置することできる。図6(d)は、左端に位置するダストトレイ30(30a)をトレイ開口部41を介して底板10上に配置させた状態を示しており、この状態から、当該ダストトレイ30(30a)に被さるように、左端に位置するスノコ25(25a)を底板10上に設置することで、全てのダストトレイ30をトレイ空間28内に列方向(左右方向)に連結された状態で配設することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態のショーケースによれば、陳列部12の左端に位置する1枚のスノコ25(25a)をショーケース本体2から取り外して、トレイ空間28に通ずるトレイ開口部41を形成するだけで、当該トレイ開口部41を介してトレイ空間28から列状に連結された複数枚のダストトレイ30(30a~30f)を1枚ずつ取り出すことができ、また、逆の手順で、1枚のスノコ25(25a)を取り外すことで形成されたトレイ開口部41を介して、トレイ空間28内に複数枚のダストトレイ30(30a~30f)を列状に連結された状態で配設することができる。つまり、本実施形態のショーケースによれば、トレイ空間28内に配されたダストトレイ30の各列に対して、1枚のスノコ25(25a)をショーケース本体2から取り外すだけで、当該列のダストトレイ30(30a~30f)の取り出し作業と、ダストトレイ30(30a~30f)の配設作業とを進めることができる。以上より、本実施形態のショーケースによれば、ダストトレイ30の清掃に際して必要となるダストトレイ30の各列に対するスノコ25の取り外し作業が1枚で済むとともに、当該取り外し作業に先立つ商品の撤去作業が、取り外される1枚分のスノコ25(25a)上に存する商品だけで済むので、スノコ25(25a)からの商品の撤去作業、およびスノコ25(25a)の取り外し作業を最小限化することができ、ダストトレイ30の清掃をより少ない手間で簡便に行うことができる。なお、ショーケース本体2内にダストトレイ30の「列」が複数本配設されている場合であっても、本実施形態のように、左右方向に伸びるスノコ25の列内に、2本のトレイ空間28が形成されるようにした場合には、スノコ25(25a)の取り外し作業がより少なくて済み、より少ない手間でダストトレイ30の清掃作業を進めることができる。
【0034】
ダストトレイ30を構成するベース壁31の下面に複数個の突起36を下方に向かって突設したので、トレイ空間28内にダストトレイ30を配したとき、当該突起36の下端がショーケース本体2の底板10に接する状態で、該底板10上にダストトレイ30を載置することができる。これにて、ベース壁31の全体が底板10に接する形態に比べて、ダストトレイ30の底板10に対する接触面積を小さくして、底板10とダストトレイ30との間に作用する摩擦抵抗を軽減することができるので、より小さい力でダストトレイ30を移動させることが可能となる。また、多数枚のダストトレイ30が列状に連結されている状態から、端部に位置するダストトレイ30を手に取って、列を構成する他の全てのダストトレイ30を引き出す際には、作業者の負担が大きくなるが、本実施形態のように底板10とダストトレイ30との間に作用する摩擦抵抗を軽減することができれば、より小さな力でスムーズに複数枚のダストトレイ30を移動させることができるので、作業負担を大幅に軽減できる。
【0035】
連結構造37を、左側の周側壁34に形成されて鉛直方向に伸びる係合部38と、右側の周側壁35に形成されて、係合部38を受け入れる下向きの開口を有する断面コ字状の係合凹部39とで構成したので、右側に位置するダストトレイ30の係合部38に、左側に位置するダストトレイ30の係合凹部39を被せ付けるだけで、両ダストトレイ30・30を連結させることができる。また、連結状態において、左側に位置するダストトレイ30の係合凹部39を右側に位置するダストトレイ30の係合部38から上方に引き上げるだけで、連結構造37による連結状態を解除することができる。以上より、本実施形態によれば、より簡便に作業効率良くダストトレイ30の連結作業と連結解除作業とを進めることができるので、ダストトレイ30の清掃作業をより少ない手間で簡便に行うことができる。
【0036】
スノコ25を、左右方向に走る前後一対のメインバー26・26と、これらメインバー26・26の間に配されて前後方向に走るクロスバー27とを含むものとし、メインバー26の下端が底板10に接することで、クロスバー27と底板10との間にトレイ空間28が形成されるように構成したので、ショーケース本体2の側壁や底板10にスノコ25の支持構造が別途設けられている形態に比べて、ショーケースの構造の簡素化を図ることができる。
【0037】
上記実施形態においては、本発明を平型のオープンショーケースに適用した例を示したが、本発明はこれに限られず、商品陳列室内に多段状の棚を有する多段オープンショーケースにも適用できる。1枚のスノコ25には、前後一対のトレイ空間28が形成されるようになっていたが、本発明はこれに限られず、1枚のスノコ25には、1本のトレイ空間28が形成されるようにしてもよく、1枚のスノコ25に3本以上のトレイ空間28が形成されるものであってもよい。商品陳列室1の底板10に配されるスノコ25やダストトレイ30の枚数は、上記実施形態に挙げたものに限られない。
【符号の説明】
【0038】
1 商品陳列室
2 ショーケース本体
10 底板
25 商品支持材(スノコ)
26 メインバー
27 クロスバー
28 トレイ空間
30 ダストトレイ
31 ベース壁
32 周側壁(前)
33 周側壁(後)
34 周側壁(左)
35 周側壁(右)
36 突起
37 連結構造
38 係合部
39 係合凹部
41 トレイ開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6