(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】癌、潰瘍性大腸炎、及び関連する炎症性疾患の処置に有用な方法、並びにイソインドリン-1,3-ジオン及びイソインドールプロドラッグの組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 209/48 20060101AFI20231205BHJP
A61K 31/655 20060101ALI20231205BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231205BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231205BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20231205BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
C07D209/48 CSP
A61K31/655
A61P35/00
A61P1/04
A61P17/06
A61P19/02
(21)【出願番号】P 2020547036
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2019055576
(87)【国際公開番号】W WO2019170750
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-07
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520339079
【氏名又は名称】アムジェン(ユーロップ)ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,ウィリアム・アール
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-531845(JP,A)
【文献】Bioorg. Med. Chem. Lett.,1999年,Vol.9,pp.1625-1630
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは
立体異性体。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項3】
医薬品としての使用のための
請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
潰瘍性大腸炎を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項5】
炎症性腸疾患を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項6】
クローン病を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項7】
尋常性乾癬を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項8】
乾癬性関節炎を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項9】
癌を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で1~3000mgを投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項10】
結腸直腸癌を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で1~3000mgを投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項11】
癌を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項12】
結腸直腸癌を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項13】
潰瘍性大腸炎を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物あって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項14】
尋常性乾癬を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項15】
乾癬性関節炎を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項16】
炎症性腸疾患を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項17】
クローン病を処置する方法での使用のための
請求項2に記載の医薬組成物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、
医薬組成物。
【請求項18】
前記方法は、経口経路により1日に1回で前記化合物を投与することを含む、
請求項4~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記方法は、経口経路により1日に1回で20mg/kg又は60mg/kgの用量にて前記化合物を投与することを含む、
請求項4~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、IL-1β及びTNF-αのPDE4ベンゾフェノン阻害剤の新規のクラスの抗炎症性低分子プロドラッグに関する。この新規のプロドラッグは、大腸中に存在する結腸細菌により活性化され、それにより、低分子抗炎症性PDE4阻害剤と5-アミノサリチル酸との両方が、炎症性疾患の部位である粘膜固有層で放出される。本新規のプロドラッグ及び方法は、癌、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、クローン病、及び潰瘍性大腸炎の効果的な処置法を提供する。
【背景技術】
【0002】
潰瘍性大腸炎(UC)は、特徴的な潰瘍又は開放創を含む結腸の疾患であり、米国では100,000人毎に35~100人で生じる。UCは、粘膜免疫系の不適切な活性化に起因する消化管の慢性的な再発性炎症を特徴とする。UCで存在する炎症促進性サイトカインと抗炎症性サイトカインとの間の不均衡により、正常な組織の完全性が破壊される(Papadakis KA,Targan SR,“Role of cyctokines in the pathogenesis of inflammatory bowel disease”.Annual Rev.Med.2000;51:289-98)。UCの処置は概して、炎症促進性サイトカインの阻害によりこの疾患と関連した原因の炎症を停止するための抗炎症薬の投与を伴う。4種のユニークなクラスからの薬物が一般に用いられ、これらは、アミノサリシレート類(aminosaliscylates)、グルココルチコイド類、免疫調節物質、及び抗TNF生物製剤である。5-アミノサリチル酸及びそのアゾプロドラッグは広く使用されており、第一選択処置と位置付けられている。アゾプロドラッグの一例として、オサラジン、バルサラジド、及びスルファサラジンが挙げられる。これら3種のプロドラッグは全て、潰瘍性大腸炎(UC)と関連する炎症を処置することが承認されている。(Kruis,W.;Schreiber,I.;Theuer,D.;Brandes,J.W.;Schuetz,E.;Howaldt,S.;Krakamp,B.;Haemling,J.;Moennikes,H.;Koop,I.;Stolte,M.;Pallant,D.;Ewald,U..”Low dose balsalazide(1.5g twice daily)and mesalazine(0.5g three times daily)maintained remission of ulcerative colitis but high dose balsalazide(3.0g twice daily)was superior in preventing relapses”.Gut2001,49(6):783-789.)。これらのアゾプロドラッグは、結腸中に存在する腸内細菌による活性化(プロドラッグの還元)時に、抗炎症薬である5-アミノサリチル酸を効率的に放出する。バルサラジド及びスルファサラジンの場合には、不活性な副産物である3-(4-アミノ-ベンゾイルアミノ)-プロピオン酸及びスルファピリジンもそれぞれ放出される。スルファサラジンのさらなる利点は、代謝される結腸に到達するまで上部消化管を改変されることなく通過することである。従って、スルファサラジンの主な作用様式は、腸内での局所投与により達成されると考えられている。USでの炎症を抑えるために、全身(プレドニゾン)又は局所(ブデソニド、Entocort)のいずれかのグルココルチコイドが現在では使用されており、これらの薬物は、原因の炎症の処置おいて非常に有効である。残念ながら、グルココルチコイド治療は、視床下部-脳下垂体-副腎軸の機能不全、骨粗鬆症、糖尿病、ステロイドミオパシー、並びに感染性の及び精神神経性の合併症を含むという深刻な副作用を伴い、そのため、特に高齢の患者において、幅広い使用が制限されている。これらの深刻な副作用に起因して、直腸投与による局所用製剤(座薬)が開発されている。免疫調節剤(例えば、メルカプトプリン、メトトレキサート、アザチオプリン、及びシクロスポリン)は通常、無反応の疾患を有する患者及び寛解の維持のために確保されている。そのため、この免疫調節剤は、その激しい免疫抑制効果に起因して、第二選択の処置選択肢として確保されている。抗TNF生物製剤(例えば、アダリムマブ(Humira)、セロリズマブ(Cimzia)、ゴリムマブ(Simponi)、及びインフリキシマブ(Remicade))は、免疫応答の特定の構成要素(即ち、TNFα及びその受容体)を標的とする。生物製剤は、寛解の誘導及び維持には有効であるが、高価であり、且つ非経口投与が必要である。加えて、これらの薬物は、この治療を受けている患者の細菌/ウイルス感染に対する懸念を十分に正当化するほどに免疫系を抑制する。
【0003】
未処置のUC又はUCの有効ではない処置は結腸癌を引き起こす可能性があり、ある特定の場合には、患者は、大腸の一部又は全体の摘出である結腸切除術が必要となるだろう。この積極的外科処置は、疾患を停止させるためには必要であり、且つ有効ではあるが、この処置により、患者は便から水を取り除くことができなくなる。現在、UCに対するより新しくてより効果的な処置法が必要とされていることが明らかである。
【0004】
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)は、酵素の大きなPDEファミリの重要なメンバーである。PDE4は、細胞中でcAMPをAMPへと変換する特異的な環状アデノシンモノホスファターゼ(cAMP)である。そのため、cAMPのAMPへの変換の阻害(PDE4の阻害)によりcAMPの細胞内レベルが上昇し、それにより複数の細胞内シグナル伝達経路が影響を受ける(Odingo,J.O.Inhibitors of PDE4:a review of recent patent literature. Exp.Opin.Ther.Pat.2005,15,773-787)。cAMP上昇の1つの主な帰結は、炎症性カスケードでの主要なサイトカインである腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の遮断である。TNF-αのレベルの上昇は、炎症性腸疾患(特に潰瘍性大腸炎)等の多くの炎症性疾患と関連している。実際には、PDE4阻害剤は、UCの動物モデルにおいて有効性を実証している(Loher,et al.,The specifictype-4phosphodiesterase inhibitor mesopram alleviates experimental colitis in mice.J.Pharmacol. Exp.Ther.2003,305,549-556;Maeda,T.et al. Effects of intraveneous and oral administration of OPC-6535 in a rat model of 2,4,6-trinitro benzene sulfonic acid(TNBS)-induced colitis.Gut 41(suppl.3),A112,1997;Puig,J.et al. Curative effects of phosphodiesterase 4 inhibitors in dextra sulfate sodium-induced colitis in the rat Gastroenterology 114,G4357 1998;Videla,S.et al. Selective inhibition of phosphodiesterase type IV ameliorates chronic colitis and prevents intestinal fibrosis.Gastroenterology 114,G4542 1998)。
【0005】
吐き気及び嘔吐は、PDE4阻害剤と関連する主な有害事象(AE)であると思われ、そのため、これらのAEにより、IBDを処置するためのPDE4阻害剤の使用が制限されるか、又は少なくとも有効用量が制限されて経口経路が非効率になる可能性がある。この制限を克服する可能性のある潜在的な戦略は、a)PDE4阻害剤を結腸の粘膜固有層に直接送達して門脈循環への吸収を回避する経口治療薬を開発すること、及びb)広範な初回通過代謝を受けるPDE4阻害剤治療薬を設計することであるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、強力で非吸収性か又は吸収が最小限である低分子PDE4阻害剤によるUCの有効な処置の必要性が満たされていない。さらに、結腸の粘膜固有層へのPDE4阻害剤の直接的な局所送達は、全身送達及び吸収と関連する有害な副作用を回避するための論理的な戦略である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、式IA:
【化1】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体であって、
【化2】
は、任意選択的に置換されている5員若しくは6員の炭素環、任意選択的に置換されている5員若しくは6員の複素環、任意選択的に置換されている5員若しくは6員のアリール、又は任意選択的に置換されている5員若しくは6員のヘテロアリールであり、
Xは、独立して、O、N-アルキル、又はNHから選択され、
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、重水素、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、-NR
6R
7であるか、
又はR
1及びR
2は、それらが付着している炭素と一緒に結合して、任意選択的に置換されている炭素環、任意選択的に置換されているアリール環、任意選択的に置換されている複素環、若しくは任意選択的に置換されているヘテロアリール環を形成しているか、
又はR
2及びR
3は、それらが付着している炭素と一緒に結合して、任意選択的に置換されている炭素環、任意選択的に置換されているアリール環、任意選択的に置換されている複素環、若しくは任意選択的に置換されているヘテロアリール環を形成しており、
R
5は、水素、アルコキシ、アルキル、アルコキシアルキルであり、R
5は、-NH
2、-NR
6R
7、-CO
2H、又は-(CH
2CH
2O)
n-R
14(式中、n=1~20)で任意選択的に置換されており、
R
6及びR
7は、それぞれ発生時には、独立して、水素、アルキル、フェニル、ベンジルであるか、
又はR
6若しくはR
7の内の一方は水素であり、且つ他方は-COR
13若しくは-SO
2R
13であるか、
又はR
6及びR
7は、それらが付着している窒素原子と一緒に、炭素、酸素、窒素、硫黄、及びSO
2からなる群から選択される部分を含む複素環若しくはヘテロアリール環を形成しており、
R
13は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、-NH
2、又はハロアルキルであり、
R
14は、-H又はアルキルである、
化合物を提供する。
【0008】
一実施形態では、この化合物は、式(I):
【化3】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体であって、
Xは、O又はNHであり、
Yは、CH
2又はC=Oであり、
R
1、R
2、及びR
3は、水素又は重水素であり、
R
4は、E又はF:
【化4】
であり、
R
5は、水素、-CH
2CO
2H、-(CH
2CH
2O)
n-CH
3であり、n=1~20である、
化合物である。
【0009】
さらなる実施形態では、本開示は、式(II):
【化5】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体であって、
Xは、O又はNHであり、
R
1は、水素、アルキル、分枝したアルキル、t-ブチル、-CH
2CO
2H、-CH
2CO
2CH
3-(CH
2CH
2O)
n-CH
3であり、n=1~2である、化合物を提供する。本開示の1つの目的は、2種の抗炎症治療薬:PDE4阻害剤及び5-アミノサリチル酸(5-ASA):
【化6】
を結腸に送達する、PDE4阻害剤の非吸収性アゾプロドラッグを提供することである。
【0010】
本開示の第2の目的は、プロドラッグであって、このプロドラッグの改変によりGI管中に残存するプロドラッグを開発することである。
【0011】
そのため、本明細書で提供されるのは、低分子イソインドリン-1,3-ジオン及びイソインドール系抗炎症性阻害剤のアゾプロドラッグである(米国特許第8,853,175B2号明細書、同第7,182,953B2号明細書、同第7,325,355B2号明細書、Hon-Wah Man et al.J.Medicinal Chemistry,2009,52,1522-1524、及び関連する参考文献)。これらの新規のプロドラッグを結腸炎症のモデルにおける実験動物(ラット)に経口投与した場合には、これらのプロドラッグは切断されて、PDE4阻害剤及び5-ASAの両方が放出される。
【0012】
結腸炎症のラットTNBSモデルで実証されているインビボでの有効性は、5-ASAではなくPDE4阻害剤の結果である。5-アミノサリチル酸(5-ASA)は、TNBSモデルでは不活性である。さらに、このアゾプロドラッグから放出されたPDE4阻害剤は、結腸組織(粘膜固有層)中で濃縮する。薬物の投与量に応じて、2種の抗炎症薬を1分子で結腸に送達することが今や可能である。
【0013】
上述の態様と、本明細書で開示されている化合物の付随する利点の多くとは、添付の図面と併せた場合に、下記の詳細な説明を参照することにより、より理解されるようになることから、より容易に認識されるようになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係るプロドラッグによる経口処置の後の動物モデルにおける体重への効果を、他の治療と比較して示す。
【
図2】一実施形態に係るプロドラッグによる経口処置の後の動物モデルにおける結腸の重量への効果を、他の治療と比較して示す。
【
図3】一実施形態に係るプロドラッグによる経口処置の後の動物モデルにおける結腸の長さへの効果を、他の治療と比較して示す。
【
図4】一実施形態に係るプロドラッグによる経口処置の後の動物モデルにおける結腸の比への効果を、他の治療と比較して示す。
【
図5】一実施形態に係るプロドラッグによる経口処置の後の動物モデルにおける結腸パラメータへの効果を、他の治療と比較して示す。
【
図6】一実施形態に係るプロドラッグによる経口処置の後の動物モデルにおける潰瘍の長さへの効果を、他の治療と比較して示す。
【
図7】一実施形態に係るプロドラッグによる経口処置の後の動物モデルにおける結腸壁の厚さへの効果を、他の治療と比較して示す。
【
図8】一実施形態に係るプロドラッグによる経口処置の後の動物モデルにおける結腸スコアへの効果を、他の治療と比較して示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下記の説明は、本開示の実施形態を完全に理解するための及び本開示の実施形態の説明を可能にするための具体的な詳細を提供する。しかしながら、当業者は、これらの詳細なしに本開示が実行され得ることを理解するだろう。他の場合では、本開示の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、公知の構造及び機能は、詳細には示されていないか又は説明されていない。
【0016】
本開示を考慮して、本明細書で説明されている化合物は、所望の必要性を満たすように当業者により構成され得る。一般に、本開示の化合物は、癌、炎症性腸疾患、クローン病、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、及び潰瘍性大腸炎の処置を改善する。
【0017】
一実施形態は、式IA:
【化7】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体であって、
【化8】
は、任意選択的に置換されている5員若しくは6員の炭素環、任意選択的に置換されている5員若しくは6員の複素環、任意選択的に置換されている5員若しくは6員のアリール、又は任意選択的に置換されている5員若しくは6員のヘテロアリールであり、
Xは、独立して、O、N-アルキル、又はNHから選択され、
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、重水素、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、-NR
6R
7であるか、
又はR
1及びR
2は、それらが付着している炭素と一緒に結合して、任意選択的に置換されている炭素環、任意選択的に置換されているアリール環、任意選択的に置換されている複素環、若しくは任意選択的に置換されているヘテロアリール環を形成しているか、
又はR
2及びR
3は、それらが付着している炭素と一緒に結合して、任意選択的に置換されている炭素環、任意選択的に置換されているアリール環、任意選択的に置換されている複素環、若しくは任意選択的に置換されているヘテロアリール環を形成しており、
R
5は、水素、アルコキシ、アルキル、アルコキシアルキルであり、R
5は、-NH
2、-NR
6R
7、-CO
2H、又は-(CH
2CH
2O)
n-R
14(式中、n=1~20)で任意選択的に置換されており、
R
6及びR
7は、それぞれ発生時には、独立して、水素、アルキル、フェニル、ベンジルであるか、
又はR
6若しくはR
7の内の一方は水素であり、且つ他方は-COR
13若しくは-SO
2R
13であるか、
又はR
6及びR
7は、それらが付着している窒素原子と一緒に、炭素、酸素、窒素、硫黄、及びSO
2からなる群から選択される部分を含む複素環若しくはヘテロアリール環を形成しており、
R
13は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、-NH
2、又はハロアルキルであり、
R
14は、-H又はアルキルである、
化合物を提供する。
【0018】
ある特定の実施形態では、
【化9】
は1つ又は複数のR
4で置換されており、R
4は、下記の構造C又はD:
【化10】
の内の1つを有し、
*で指定された炭素原子は立体中心であり、
R
8及びR
9は、それぞれ発生時には、独立して、水素、重水素、アルキル、又は重水素化アルキル(deuteroalkyl)であり、
R
10は、ヒドロキシル、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アラルキル、アリール、又は-NR
11R
12であり、
R
11及びR
12は、それぞれ発生時には、独立して、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであるか、
又はR
11若しくはR
12の内の一方は水素であり、且つ他方は-COR
13若しくは-SO
2R
13であるか、
又はR
11及びR
12は、それらが付着している窒素原子と一緒に、炭素、酸素、窒素、硫黄、及びSO
2からなる群から選択される部分を含む複素環若しくはヘテロアリール環を形成している。
【0019】
1つの具体的な実施形態は、式I:
【化11】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体であって、
式中、
Xは、独立して、O、N-アルキル、又はNHから選択され、
Yは、CH
2又はC=Oであり、
R
1、R
2、及びR
3のそれぞれは、他から独立して、重水素、水素、ハロ、1~4個の炭素のアルキル、1~4個の炭素のアルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、若しくは-NR6R7であるか、又は隣接する炭素原子上のR
1、R
2、R
3の内の2つのいずれかは、描写されたフェニレン環若しくはナフチリデンと一緒であり、
R
4は、式C又はD:
【化12】
で描写されるラジカルであり、
*で指定された炭素原子は立体中心であり、
R
8及びR
9のそれぞれは、他から独立して、水素、重水素、1~8個の炭素のアルキル、又は1~8個の炭素の重水素化アルキルであり、
R
10は、ヒドロキシル、1~8個の炭素原子のアルキル、シクロアルキル、(CH
2)
n-シクロアルキル、(CH2)
n-フェニル、フェニル、ベンジル、又はNR
11R
12であり、
R
11及びR
12のそれぞれは、他から独立して、水素、1~8個の炭素原子のアルキル、フェニル、若しくはベンジルであるか、又はR
11若しくはR
12の内の一方は水素であり、且つ他方は-COR
13若しくは-SO
2R
13であるか、又はR
11及びR
12は一緒に、4~7個の原子の環を形成しており、この環を構成する原子は、炭素、酸素、窒素及び硫黄、並びにSO
2であり得、
R
5は、独立して、水素、アルコキシ、1~12個の炭素のアルキル、アルコキシアルキル、-CH
2CO
2H、-(CH
2CH
2O)
n-CH
3(式中、n=1~20)、1~12個の炭素のアルキルであり、末端炭素が、-NH
2、-NR
13R
13、-CO
2H、-(CH
2CH
2O)
n-(式中、n=1~20)の反復長で置換されている、アルキルからなる群から選択され、
各R
13は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、-NH
2、又はハロアルキルである、
化合物を提供する。
【0020】
ある特定の実施形態では、式Iの範囲内の化合物は、下記互変異性体A及びB:
【化13】
を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、そのような化合物は、R1=R2=R3=水素であり、R4が部分構造Dであり、YがC=Oであり、且つXがOであるものである。さらなる実施形態では、R5は水素であり、R8はメチルであり、R9はエチルであり、R10はメチルである。
【0022】
いくつかの実施形態では、そのような化合物は、R1=R2=R3=水素であり、R4が部分構造Dであり、YがCH2であり、且つXがOであるものである。さらなる実施形態では、R5は水素であり、R8はメチルであり、R9はエチルであり、R10はメチルである。
【0023】
いくつかの実施形態では、そのような化合物は、R1=R2=R3=水素であり、R4が部分構造Cであり、YがC=Oであり、且つXがOであるものである。さらなる実施形態では、R5は水素であり、R8はメチルであり、R9はエチルであり、R10はメチルである。
【0024】
いくつかの実施形態では、そのような化合物は、R1=R2=R3=水素であり、R4が部分構造Cであり、YがCH2であり、且つXがOであるものである。さらなる実施形態では、R5は水素であり、R8はメチルであり、R9はエチルであり、R10はメチルである。
【0025】
いくつかの実施形態では、R
1=R
2=R
3=水素又は重水素である。ある特定の実施形態では、R
1=R
2=R
3=水素である。いくつかの実施形態では、X=O又はNHである。さならる実施形態では、X=Oである。他の実施形態では、X=-NHである。いくつかの実施形態では、R
4は、式E又はF:
【化14】
で描写されるラジカルである。
【0026】
いくつかの実施形態では、R5は、水素、-CH2CO2H、-(CH2CH2O)n-CH3であり、n=1~20である。他の実施形態では、R5は水素である。他の実施形態では、R5は-(CH2CH2O)n-CH3であり、n=1~10である。いくつかの実施形態では、R5=水素であり、R4は部分構造Cであり、R8はメチル又はCD3であり、R9はエチル又はCD2CD3であり、R10はメチルである。
【0027】
いくつかの実施形態では、式I又はIAの範囲内の化合物は、下記のA1及びB1:
【化15】
で表される互変異性構造を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、この化合物は、
【化16】
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体である。
【0029】
いくつかの実施形態では、式Iの範囲内の化合物は、下記互変異性体:
【化17】
を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、この化合物は、
【化18】
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体である。
【0031】
いくつかの実施形態では、式Iの範囲内の化合物は、下記互変異性体:
【化19】
を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、この化合物は、
【化20】
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体である。
【0033】
いくつかの実施形態では、式Iの範囲内の化合物は、下記互変異性体:
【化21】
を有する。
【0034】
さらなる態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書で開示されている化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。
【0035】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、医薬品としての使用のための、本明細書で開示されている化合物である。
【0036】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、潰瘍性大腸炎を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、経口経路により1日に1回又は2回でこの化合物1~3000mgを投与することを含む。
【0037】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、尋常性乾癬を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、経口経路により1日に1回又は2回でこの化合物1~3000mgを投与することを含む。
【0038】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、乾癬性関節炎を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、経口経路により1日に1回又は2回でこの化合物1~3000mgを投与することを含む。
【0039】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、癌を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、経口経路により1日に1回又は2回で1~3000mgを投与することを含む。
【0040】
一実施形態では、この癌は結腸直腸癌である。
【0041】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、炎症性腸疾患を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、経口経路により1日に1回又は2回で1~3000mgを投与することを含む。
【0042】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、クローン病を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、経口経路により1日に1回又は2回で1~3000mgを投与することを含む。
【0043】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、癌を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、この化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む。
【0044】
一実施形態では、この癌は結腸直腸癌である。
【0045】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、潰瘍性大腸炎を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、この化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む。
【0046】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、尋常性乾癬を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、この化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む。
【0047】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、乾癬性関節炎を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、この化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む。
【0048】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、炎症性腸疾患を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、この化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む。
【0049】
一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体は、クローン病を処置する方法での使用のためのものであり、この方法は、この化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む。
【0050】
一部の実施形態では、この方法は、経口経路により1日に1回でこの化合物を投与することを含む。
【0051】
一部の実施形態では、この方法は、経口経路により1日に1回で20mg/kg又は60mg/kgの用量にてこの化合物を投与することを含む。
【0052】
一般に、一実施形態の技術的教示を、本明細書で提供される他の実施形態で開示されているものと組み合わせ得る。
【0053】
「互変異性体」は、例えば上記の構造に関して示すように、分子のある原子から同一の分子の別の原子へのプロトンシフトを指す。そのため、実施形態は、本開示の化合物の互変異性体を含む。
【0054】
本開示はまた、潰瘍性大腸炎を処置するか又は寛解させる方法であって、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を対象に投与することを含む方法も提供する。
【0055】
理論に拘束されることなく、結腸中において、本開示の化合物が代謝されてアミノサリチル酸(5-ASA)及びPDE4阻害剤が生じると考えられ、これらのそれぞれはUCの処置において治療的である。加えて、本開示の化合物は結腸中で主に代謝されると考えられることから、5-ASA及びPDE4阻害剤を全身投与しない。むしろ、これらは、処置が必要な結腸に局所的に送達され、それにより標的外への影響が制限され、より少ない投与量と、安全性及び有効性の改善とが可能になる。
【0056】
本開示で使用される定義及び説明は、下記の例で明瞭に且つ明確に変更されない限り、又はこの意味の適用により任意の解釈が無意味になるか若しくは本質的に無意味になる場合を除き、あらゆる将来の解釈で支配することを意味しており、且つ意図されている。用語の解釈がこの用語を無意味にするか又は本質的に無意味にするであろう場合には、定義を、Webster’s Dictionary(第3版)、又はOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed. Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)等の当業者に既知の辞書から取得すべきである。
【0057】
本明細書(例えば、下記の実施形態の文脈)で使用される用語「a」、「an」、「the」、及び類似の指示語は、本明細書で別途指示されない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、単数形及び単数形の両方をカバーすると解釈しなければならない。本明細書での値の範囲の列挙は、この範囲に含まれるそれぞれの別個の値を個々に指す簡略表記法として機能することが意図されているだけである。本明細書で別途指示されない限り、各個々の値は、本明細書で個々に列挙されていたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で説明されている全ての方法は、本明細書で別途指示されない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施し得る。本明細書に記載されているありとあらゆる例又は例示的な言葉(例えば「等」)の使用は、本開示をさらに明らかにすることが意図されているだけであり、別段主張されない限り、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる言葉も、任意の特許請求されていない要素を本開示の実施に必須として示していると解釈されるべきではない。
【0058】
別途文脈が明らかに必要としない限り、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、単語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、及び同類のものは、排他的な又は網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で解釈しなければならず、即ち、「を含むが限定されない」という意味で解釈しなければならない。
【0059】
用語「からなる」は、主題の少なくとも90%、95%、97%、98%、又は99%が、明記された特徴又は構成要素からなることを意味する。別の実施形態では、用語「からなる」は、達成すべき技術的効果に必須ではないものを除いて、あらゆる他の特徴又は構成要素を、全ての後続の列挙の範囲から除外する。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「又は(若しくは)」は、任意の1つ又は任意の組み合わせを意味する包括的な「又は(若しくは)」と解釈しなければならない。従って、「A、B、又は(若しくは)C」は、下記の内のいずれかを意味する:「A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;A、B、及びC」。この定義の例外は、要素、機能、工程、又は行為の組み合わせが何らかの形で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じるだろう。
【0061】
単数又は複数を使用する単語も、複数及び単数をそれぞれ含む。加えて、単語「本明細書」、「上記」、及び「下記」、並びに同様の意味の単語は、本願で使用される場合には本願全体を指すものとし、本願の任意の特定の部分を指すものではない。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「対象」、「個体」、又は「患者」は互換的に使用され、あらゆる動物を指しており、例えば、哺乳類(例えば、マウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、トリ、ブタ、ウマ、家畜(例えば、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ)、霊長類、又はヒト)を指す。一実施形態では、対象はヒトである。一実施形態では、個体はヒトである。一実施形態では、患者はヒトである。
【0063】
本明細書で使用される場合、「必要とする」対象は、処置すべき障害若しくは疾患を有する対象を指すか、又は疾患若しくは障害にかかりやすい素因を持っているか若しくは他の方法で疾患若しくは障害を発症するリスクがある対象を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「処置」及び「処置する」は下記を意味する:疾患の悪化を阻害すること;予防的使用、例えば、疾患、状態、若しくは障害にかかりやすい素因を持ち得るか又は他の方法で疾患、状態、若しくは障害のリスクがあり得るが疾患の病理又は症状をまだ経験していないか又は示さない個体において、疾患、状態、又は障害の発症を予防するか又は制限すること;疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態、若しくは障害の病理若しくは症状を経験しているか若しくは示している個体において、疾患、状態、若しくは障害を阻害すること;言及されている疾患状態を寛解させること、例えば、疾患の重症度を低下させること等の、疾患、状態、若しくは障害の病理若しくは症状を経験しているか若しくは示している個体において、疾患、状態、若しくは障害を寛解させること(即ち、この病理及び/若しくは症状を反転させるか又は改善すること);又は言及されている生物学的効果を誘発すること。
【0065】
本明細書で使用される場合、語句「治療上有効な量」は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医により組織、系、動物、個体、又はヒトで探し求められている生物学的反応又は薬理学的反応を誘発する活性化合物又は医薬品の量を指し、下記の内の1つ又は複数を含む:(1)疾患を予防すること;例えば、疾患、状態、又は障害にかかりやすい素因を持ち得るが疾患の病理又は症状をまだ経験していないか又は示していない個体において、疾患、状態、又は障害を予防すること;(2)疾患を阻害すること;例えば、疾患、状態、又は障害の病理又は症状を経験しているか又は示している個体において、疾患、状態、又は障害を阻害すること;並びに(3)疾患を寛解させること;例えば、疾患の重症度を低下させること等の、疾患、状態、又は障害の病理又は症状を経験しているか又は示している個体において、疾患、状態、又は障害を寛解させること(即ち、この病理及び/又は症状を反転させること)。
【0066】
本明細書で説明されている医薬組成物は概して、本明細書で説明されている化合物の内の1つ又は複数と、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は添加剤との組み合わせを含む。そのような組成物は薬学的に許容されない成分を実質的に含まず、即ち、薬学的に許容されない成分を、本出願の出願時での米国の規制上の要件により許容される量と比べて少ない量で含む。この態様の一部の実施形態では、化合物が水に溶解しているか又は懸濁している場合、組成物は、任意選択的に、追加の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は添加剤をさらに含む。一実施形態では、本明細書で説明されている医薬組成物は、固形医薬組成物(例えば、錠剤、カプセル剤等)である。
【0067】
この組成物を、製薬分野で公知の方法で調製し得、且つ局所的処置が望まれているのか又は全身的処置が望まれているのかに応じて、及び処置すべき領域に応じて、様々な経路により投与し得る。投与は、局所(例えば、眼、及び粘膜(例えば、鼻腔内、膣、及び直腸送達))、肺(例えば、例えば吸入器による粉末若しくはエアロゾルの吸入若しくは吹送;気管内、鼻腔内、表皮、及び経皮)、経眼、経口、又は非経口であり得る。経眼送達の方法として、局所投与(点眼)、結膜嚢中に外科的に配置されたバルーンカテーテル又は眼用インサートによる結膜下、眼周囲、又は硝子体内の注射又は導入が挙げられ得る。非経口投与して、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、若しくは筋肉内の注射若しくは点滴;又は頭蓋内(例えば、髄腔内若しくは脳室内)投与が挙げられる。非経口投与は、単回ボーラス用量の形態であり得るか、又は例えば連続灌流ポンプによってもよい。局所投与用の医薬組成物及び製剤として、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、座薬、スプレー、液体、及び粉末が挙げられ得る。従来の医薬用の担体、水性の、粉末の、又は油性の基剤、増粘剤、及び同類のものが、必須であってもよいし望ましくてもよい。
【0068】
同様に、医薬組成物は、活性成分として、本明細書の上記で説明されている化合物の内の1つ又は複数を、1種又は複数種の薬学的に許容される担体と組み合わせて含み得る。本明細書で説明されている組成物の製造では、典型的には、この活性成分を、添加剤と混合するか、添加剤で希釈するか、又は、例えば、カプセル、小袋、紙、若しくは他の容器の形態のそのような担体内に封入する。添加剤が希釈剤として機能する場合には、この添加剤は、活性成分のビヒクル、担体、又は媒体として機能する固体材料、半固体材料、又は液体材料であり得る。そのため、この組成物は、錠剤、丸薬、散剤、ロゼンジ剤、小袋剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液剤、乳液剤、溶液剤、シロップ剤、エアロゾル剤(固体として、又は液体媒体中)、例えば最大10重量%の活性化合物を含む軟膏剤、軟質及び硬質のゼラチンカプセル剤、座薬、滅菌注射剤、並びに滅菌包装散剤の形態であり得る。
【0069】
製剤の調製では、本活性化合物を、他の成分と組み合わせる前に粉砕して適切な粒径にし得る。この活性化合物が実質的に不溶性である場合には、この活性化合物を200メッシュ未満の粒径まで粉砕し得る。この活性化合物が実質的に水溶性である場合には、粉砕により粒径を調整して、この製剤中に実質的に均一な分布(例えば約40メッシュ)をもたらし得る。
【0070】
適切な添加剤の一部の例として、ラクトース、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられる。本製剤は、下記をさらに含み得る:潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱物油;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;保存料、例えば、安息香酸メチル、及びプロピルヒドロキシベンゾエート;甘味料;並びに着香料。本明細書で説明されている組成物を、当分野で既知の手順を用いることにより、患者への投与後に活性成分の迅速な、持続的な、又は遅延した放出をもたらすように製剤化し得る。
【0071】
本組成物を単位投与形態で製剤化し得、各投与量は、約1~約3000mg、又は5~約100mg、又は約10~約30mgの活性成分を含む。用語「単位投与形態」は、ヒト対象及び他の哺乳類のための単位投与量として適した、物理的に別個の単位を指し、各単位は、適切な医薬添加剤と合わせて、所望の治療効果を生じるように算出された所定量の活性物質を含む。
【0072】
本活性化合物は幅広い投与量範囲にわたり有効であり得、且つ薬学的に有効な量で概して投与される。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体を、1~3000mgの用量で投与する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体を、1~3000mgの用量で投与する。さらなる実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体を、経口経路により1日に1回又は2回にて1~3000mgの用量で投与する。一部の実施形態では、本明細書で提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体を、5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、25mg/日、30mg/日、35mg/日、40mg/日、45mg/日、50mg/日、55mg/日、60mg/日、65mg/日、70mg/日、75mg/日、80mg/日、85mg/日、90mg/日、95mg/日、又は100mg/日の用量で投与する。しかしながら、実際に投与される化合物の量は通常、関連する状況(例えば、処置すべき状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、及び反応、患者の症状の重症度、並びに同類のもの)に従って医師により決定されることが理解されるだろう。
【0073】
錠剤等の固形組成物を調製するために、主要な活性成分を医薬添加剤と混合して、本明細書で説明されている化合物の均質混合物を含む固形プレフォーミュレーション組成物(solid pre-formulation composition)を形成する。このプレフォーミュレーション組成物が均質であるという場合には、活性成分は概して、この組成物全体にわたり均一に分散されており、その結果、この組成物は、等しく有効な単位投与形態(例えば、錠剤、丸薬、及びカプセル剤)へと容易に細分化され得る。次いで、この固形プレフォーミュレーションは、本明細書で説明されている化合物からなる例えば0.1~約500mgの活性成分を含む上記のタイプの単位投与形態に細分化される。
【0074】
錠剤又は丸薬をコーティングするか又は他の方法で複合化して、持続性作用という利点を付与する投与形態を得ることができる。例えば、錠剤又は丸薬は、内側の投与成分と外側の投与成分とを含み得、後者は、前者を覆う外皮の形態である。これら2種の成分は、胃中では崩壊に耐えるように機能し且つ内側の成分が損なわれることなく十二指腸に入るか又は放出が遅延されることを可能にする脂溶性層により分離され得る。そのような腸溶性の層又はコーティングに様々な材料が使用され得、そのような材料として、多くの高分子酸、並びに高分子酸と、シェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロース等の物質との混合物が挙げられる。
【0075】
本化合物及び本組成物を経口投与用に又は注射による投与用に組み込み得る液状形態として、水溶液、適切に風味付けされたシロップ、水性又は油性の懸濁液、及び食用油(例えば、綿実油、ゴマ油、ヤシ油、又はピーナッツ油)を含む風味付けされた乳濁液、並びにエリキシル、及び同様の医薬用ビヒクルが挙げられる。
【0076】
患者に投与する化合物又は組成物の量は、何を投与するか、投与の目的(例えば、予防又は治療)、患者の状態、投与様式、及び同類のものに応じて変動するだろう。治療用途では、組成物を、疾患及びその合併症の症状を治癒するか又は少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で、既に疾患を患っている患者に投与し得る。有効な用量は、因子(例えば、疾患の重症度、患者の年齢、体重、及び全身状態、並びに同類のもの)に応じて、処置する病状及び主治医の判断に依存するだろう。
【0077】
患者に投与する組成物は、上記した医薬組成物の形態であり得る。この組成物は、従来の滅菌技術により滅菌され得るか、又は滅菌ろ過されてもよい。水溶液を、そのままでの使用のために包装し得るか、又は凍結乾燥させ得、凍結乾燥された調製物は、投与の前に滅菌水性担体と組み合わされる。典型的には、本化合物の調製物のpHは3~11であり、より好ましくは5~9であり、最も好ましくは7~8であるだろう。上述した添加剤、担体、又は安定化剤の特定の使用により、医薬塩が形成されることが理解されるだろう。
【0078】
本化合物の治療用の投与量は、例えば、処置を行なう特定の用途、この化合物の投与様式、患者の健康及び状態、並びに処方医師の判断に従って変動し得る。医薬組成物中における本明細書で説明されている化合物の割合又は濃度は、多くの因子(例えば、投与量、化学的特性(例えば疎水性)、及び投与経路)に応じて変動し得る。例えば、本明細書で説明されている化合物を、非経口投与用に、約0.1~約10重量/体積%の化合物を含む水性の生理学的緩衝溶液で提供し得る。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり約1μg/体重kg~約1g/体重kgである。一部の実施形態では、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/体重kg~約100mg/体重kgである。投与量は、疾患又は障害の種類及び悪化の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的有効性、添加剤の剤形、並びに投与経路等の変数に依存する可能性が高い。有効な用量は、インビトロでの又は動物モデルの試験系から得られた用量反応曲線から推定され得る。
【0079】
本明細書で説明されている化合物をまた、任意の医薬品(例えば、ビタミンB2、抗ウイルス剤、ワクチン、抗体、免疫増強剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、及び同類のもの)が挙げられ得る1種又は複数種の追加の活性成分と組み合わせても製剤化し得る。
【0080】
本明細書で使用される用語の前及び/後に一重のダッシュ「-」又は二重のダッシュ「=」を付与して、指定の置換基と、その親部分との間の結合の結合順を示し得、一重のダッシュは単結合を示し、二重のダッシュは二重結合を示す。一重又は二重のダッシュが存在しない場合には、置換基とその親部分との間には単結合が形成されていることが理解され、さらに、置換基は、別途ダッシュが示さない限り、「左から右へ」と読まれることが意図されている。例えば、C1~C6アルコキシカルボニルオキシ及びOC(O)C1~C6アルキルは同一の官能性を示し、同様にアリールアルキル及びアルキルアリールは同一の官能性を示す。
【0081】
「アミジニル」は、-(C=NRa)NRbRcの形態のラジカルを指し、Ra、Rb、及びRcは、それぞれ独立して、H又はC1~C6アルキルである。
【0082】
「アミノ」は、-NH2ラジカルを指す。
【0083】
「アミニルスルホン」は、-S(O)2NH2ラジカルを指す。
【0084】
「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、-CO2Hラジカルを指す。
【0085】
「シアノ」は、-CNラジカルを指す。
【0086】
「グアニジニル」は、-NRd(C=NRa)NRbRcの形態のラジカルを指し、Ra、Rb、Rc、及びRdは、それぞれ独立して、H又はC1~C6アルキルである。
【0087】
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、-OHラジカルを指す。
【0088】
「イミノ」は、=NH置換基を指す。
【0089】
「ニトロ」は、-NO2ラジカルを指す。
【0090】
「オキソ」は、=O置換基を指す。
【0091】
「チオキソ」は、=S置換基を指す。
【0092】
「アルキル」は、1~12個の炭素原子を有し(C1~C12アルキル)、好ましくは1~8個の炭素原子を有する(C1~C8アルキル)か又は1~6個の炭素原子を有する(C1~C6アルキル)、炭素原子及び水素原子のみからなる直鎖の又は分枝した炭化水素鎖ラジカルを指し、飽和又は不飽和であり(即ち、1個又は複数個の二重結合及び/又は三重結合を含む)、且つ単結合により分子の残余に付着する(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、エテニル、プロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、及び同類のもの)。アルキルは、アルケニル(1個又は複数個の炭素-炭素二重結合)及びアルキニル(1個又は複数個の炭素-炭素三重結合、例えば、エチニル及び同類のもの)を含む。「アミジニルアルキル」は、少なくとも1個のアミジニル置換基を含むアルキル基を指す。「グアニジニルアルキル」は、少なくとも1個のグアニジニル置換基を含むアルキル基を指す。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキル基、アミジニルアルキル基、及び/又はグアニジニルアルキル基は、任意選択的に置換されている。
【0093】
「重水素化アルキル」は、1個又は複数個の重水素原子で置換されているアルキルを指す。
【0094】
「アルキレン」又は「アルキレン鎖」は、炭素及び水素のみからなる、分子の残余をラジカル基に連結させる直鎖の又は分枝した二価の炭化水素鎖を指し、飽和又は不飽和であり(即ち、1個又は複数個の二重結合及び/又は三重結合を含む)、1~12個の炭素原子を有する(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレン、及び同類のもの)。アルキレン鎖は、単結合又は二重結合を介して分子の残余に付着し、且つ単結合又は二重結合を介してラジカル基に付着する。アルキレン鎖と分子の残余及びラジカル基との付着点は、この鎖内の1個の炭素又は任意の2個の炭素を介し得る。別途本明細書中で具体的に明記されていない限り、アルキレン鎖は任意選択的に置換されている。
【0095】
「アルキルシクロアルキル」は、式-RbRdのラジカルを指し、Rbは、本明細書で定義されているようなシクロアルキルであり、Rdは、上記で定義されているようなアルキルラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキルシクロアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0096】
「アルコキシ」は、式-ORaのラジカルを指し、Raは、1~12個の炭素原子を含む、上記で定義されているようなアルキルラジカルである。「アミジニルアルキルオキシ」は、アルキル基上で少なくとも1個のアミジニル置換基を含むアルコキシ基を指す。「グアニジニルアルキルオキシ」は、アルキル基上で少なくとも1個のグアニジニル置換基を含むアルコキシ基を指す。
【0097】
「アルキルカルボニルアミニルアルキルオキシ」は、アルキル基上で少なくとも1個のアルキルカルボニルアミニル置換基を含むアルコキシ基を指す。「ヘテロシクリルアルキルオキシ」は、アルキル基上で少なくとも1個のヘテロシクリル置換基を含むアルコキシ基を指す。「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、アルキル基上で少なくとも1個のヘテロアリール置換基を含むアルコキシ基を指す。「アミニルアルキルオキシ」は、アルキル基上で式-NRaRb(式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、H又はC1~C6アルキルである)の少なくとも1個の置換基を含むアルコキシ基を指す。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルコキシ基、アミジニルアルキルオキシ基、グアニジニルアルキルオキシ基、アルキルカルボニルアミニル基、ヘテロシクリルアルキルオキシ基、ヘテロアリールアルキルオキシ基、及び/又はアミニルアルキルオキシ基は、任意選択的に置換されている。
【0098】
「アルコキシアルキル」は、式-RbORaのラジカルを指し、Raは、1~12個の炭素原子を含む、上記で定義されているようなアルキルラジカルであり、Rbは、1~12個の炭素原子を含む、上記で定義されているようなアルキレンラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルコキシアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0099】
「アルコキシカルボニル」は、式-C(=O)ORaのラジカルを指し、Raは、1~12個の炭素原子を含む、上記で定義されているようなアルキルラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルコキシカルボニル基は任意選択的に置換されている。
【0100】
「アルキルホスホリル」は、式-P(=O)(Ra)のラジカルを指し、各Raは、独立して、上記で定義されているようなアルキルラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキルホスホリル基は任意選択的に置換されている。
【0101】
「アルキルホスホリルアミニル」は、式-NRbP(=O)(Ra)のラジカルを指し、各Raは、独立して、上記で定義されているようなアルキルラジカルであり、Rbは、H、又は上記で定義されているようなアルキルラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキルホスホリルアミニル基は任意選択的に置換されている。
【0102】
「アリールオキシ」は、式-ORaのラジカルを指し、Raは、本明細書で定義されているようなアリールラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アリールオキシ基は任意選択的に置換されている。
【0103】
「アルキルアミニル」は、式-NHRa又は-NRaRaのラジカルを指し、各Raは、独立して、1~12個の炭素原子を含む、上記で定義されているようなアルキルラジカルである。「ハロアルキルアミニル」基は、アルキル基上で少なくとも1個のハロ置換基を含むアルキルアミニル基である。「ヒドロキシルアルキルアミニル」基は、アルキル基上で少なくとも1個のヒドロキシル置換基を含むアルキルアミニル基である。「アミジニルアルキルアミニル」基は、アルキル基上で少なくとも1個のアミジニル置換基を含むアルキルアミニル基である。「グアニジニルアルキルアミニル」基は、アルキル基上で少なくとも1個のグアニジニル置換基を含むアルキルアミニル基である。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキルアミニル基、ハロアルキルアミニル基、ヒドロキシルアルキルアミニル基、アミジニルアルキルアミニル基、及び/又はグアニジニルアルキルアミニル基は、任意選択的に置換されている。
【0104】
「アミニルアルキル」は、少なくとも1個のアミニル置換基(-NRaRb、式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、H又はC1~C6アルキル)を含むアルキル基を指す。このアミニル置換基は、第三級炭素上に、第二級炭素上に、又は第一級炭素上に存在し得る。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アミニルアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0105】
「アミニルアルキルアミニル」は、式-NRaRbのラジカルを指し、Raは、H又はC1~C6アルキルであり、Rbはアミニルアルキルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アミニルアルキルアミニル基は任意選択的に置換されている。
【0106】
「アミニルアルコキシ」は、式-ORaNH2のラジカルを指し、Raはアルキレンである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アミニルアルコキシ基は任意選択的に置換されている。
【0107】
「アルキルアミニルアルコキシ」は、式-ORaNRbRcのラジカルを指し、Raはアルキレンであり、Rb及びRcは、それぞれ独立して、H又はC1~C6アルキルであり、但し、Rb又はRcの内の一方はC1~C6アルキルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキルアミニルアルコキシ基は任意選択的に置換されている。
【0108】
「アルキルカルボニルアミニル」は、式-NH(C=O)Raのラジカルを指し、Raは、1~12個の炭素原子を含む、上記で定義されているようなアルキルラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキルカルボニルアミニル基は任意選択的に置換されている。アルケニルカルボニルアミニルは、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含むアルキルカルボニルアミニルである。アルケニルカルボニルアミニル基は任意選択的に置換されている。
【0109】
「アルキルカルボニルアミニルアルコキシ」は、式-ORbNH(C=O)Raのラジカルを指し、Raは、1~12個の炭素原子を含む、上記で定義されているようなアルキルラジカルであり、Rbはアルキレンである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキルカルボニルアミニルアルコキシ基は任意選択的に置換されている。
【0110】
「アルキルアミニルアルキル」は、少なくとも1個のアルキルアミニル置換基を含むアルキル基を指す。このアルキルアミニル置換基は、第三級炭素上に、第二級炭素上に、又は第一級炭素上に存在し得る。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキルアミニルアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0111】
「アミニルカルボニル」は、式-C(=O)RaRbのラジカルを指し、Ra及びRbは、それぞれ独立して、H又はアルキルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アミニルカルボニル基は任意選択的に置換されている。
【0112】
「アルキルアミニルカルボニル」は、式-C(=O)NRaRbのラジカルを指し、Ra及びRbは、それぞれ独立して、H又はアルキルであり、但し、Ra又はRbの内の少なくとも一方はアルキルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アルキルアミニルカルボニル基は任意選択的に置換されている。
【0113】
「アミニルカルボニルアルキル」は、式-RcC(=O)NRaRbのラジカルを指し、Ra及びRbは、それぞれ独立して、H又はアルキルであり、Rcはアルキレンである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アミニルカルボニルアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0114】
「アミニルカルボニルシクロアルキルアルキル」は、式-RcC(=O)NRaRbのラジカルを指し、Ra及びRbは、それぞれ独立して、H又はアルキルであり、Rcはシクロアルキルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アミニルカルボニルシクロアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0115】
「アリール」は、3~18個の炭素原子と少なくとも1個の芳香環とを含む炭素環式の環系ラジカルを指す。本開示の実施形態の目的のために、アリールラジカルは、単環式、二環式、三環式、又は四環式の環系であり、これらは、縮合した環系又は架橋した環系を含み得る。アリールラジカルとして下記が挙げられるが、これらに限定されない:アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、及びトリフェニレンに由来するアリールラジカル。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、用語「アリール」又は(例えば「アラルキル」における)接頭辞「ar-」は、任意選択的に置換されているアリールラジカルを含むことを意味する。
【0116】
「アラルキル」は、式-Rb-Rcのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Rcは、上記で定義されているような1個又は複数個のアリールラジカル(例えば、ベンジル、ジフェニルメチル、及び同類のもの)である。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アラルキル基は任意選択的に置換されている。
【0117】
「アリールアルキルオキシ」は、式-ORb-Rcのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Rcは、上記で定義されているような1個又は複数個のアリールラジカル(例えば、ベンジル、ジフェニルメチル、及び同類のもの)である。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アリールアルキルオキシ基は任意選択的に置換されている。
【0118】
「アリールアルキルアミニル」は、式-N(Ra)Rb-Rcのラジカルを指し、Raは、H又はC1~C6アルキルであり、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Rcは、上記で定義されているような1個又は複数個のアリールラジカル(例えば、ベンジル、ジフェニルメチル、及び同類のもの)である。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、アリールアルキルアミニル基は任意選択的に置換されている。
【0119】
「カルボキシアルキル」は、式-Rb-Rcのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Rcは、上記で定義されているようなカルボキシル基である。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、カルボキシアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0120】
「シアノアルキル」は、式-Rb-Rcのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Rcは、上記で定義されているようなシアノ基である。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、シアノアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0121】
「炭素環式」又は「炭素環」は、環原子のそれぞれが炭素である環系を指す。
【0122】
「シクロアルキル」は、3~15個の炭素原子を有し、好ましくは3~10個の炭素原子を有する、炭素原子及び水素原子のみからなる安定した非芳香族の単環式又は多環式の炭素環式ラジカルを指し、縮合した環系又は架橋した環系を含み得、飽和又は不飽和であり、且つ単結合により分子の残余に付着する。単環式ラジカルとして、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。多環式ラジカルとして、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、及び同類のものが挙げられる。「シクロアルケニル」は、環中に1個又は複数個の炭素-炭素二重結合を含むシクロアルキルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、シクロアルキル(又はシクロアルケニル)基は任意選択的に置換されている。
【0123】
「シアノシクロアルキル」は、式-Rb-Rcのラジカルを指し、Rbはシクロアルキルであり、Rcは、上記で定義されているようなシアノ基である。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、シアノシクロアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0124】
「シクロアルキルアミニルカルボニル」は、式-C(=O)NRaRbのラジカルを指し、Ra及びRbは、それぞれ独立して、H又はシクロアルキルであり、但し、Ra又はRbの内の少なくとも一方はシクロアルキルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、n-シクロアルキルアミニルカルボニル基は任意選択的に置換されている。
【0125】
「シクロアルキルアルキル」は、式-RbRdのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Rdは、上記で定義されているようなシクロアルキルラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、シクロアルキルアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0126】
「縮合」は、本開示の化合物中の既存の環構造に縮合している、本明細書中で説明されている任意の環構造を指す。縮合環がヘテロシクリル環又はヘテロアリール環である場合、この縮合ヘテロシクリル環又は縮合ヘテロアリール環の一部となる既存の環構造上の任意の炭素原子は、窒素原子に置き換えられている。
【0127】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、又はヨードを指す。
【0128】
「ハロアルキル」は、(上記で定義されているような)1個又は複数個のハロラジカルで置換されている(上記で定義されているような)アルキルラジカルを指す(例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチル、及び同類のもの)。「パーハロアルキル」は、(上記で定義されているような)アルキルラジカルであり、各H原子はハロゲンに置き換えられている。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ハロアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0129】
「ハロアルコキシ」は、式-ORaのラジカルを指し、Raは、1~12個の炭素原子を含む、本明細書で定義されているようなハロアルキルラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ハロアルコキシ基は任意選択的に置換されている。
【0130】
「ヘテロシクリル」又は「複素環」は、1~12個の環炭素原子(例えば2~12個)と、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1~6個の環ヘテロ原子とを有する、安定した3~18員の非芳香環ラジカルを指す。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式、又は四環式の環系であり、縮合した、スピロ環状の(「スピロ-ヘテロシクリル」)、及び/又は架橋した環系を含み得、このヘテロシクリルラジカル中の窒素原子、炭素原子、又は硫黄原子は、任意選択的に酸化されており、窒素原子は任意選択的に四級化されており、ヘテロシクリルラジカルは、部分的に又は完全に飽和である。そのようなヘテロシクリルラジカルの例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソチオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニル。「ヘテロシクリルオキシ」は、酸素結合(-O-)により分子の残余に結合するヘテロシクリル基を指す。「ヘテロシクリルアミニル」は、窒素結合(-NRa-、式中、Raは、H又はC1~C6アルキルである)により分子の残余に結合するヘテロシクリル基を指す。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルオキシ基、及び/又はヘテロシクリルアミニル基は、任意選択的に置換されている。
【0131】
「N-ヘテロシクリル」は、少なくとも1個の窒素を含む、上記で定義されているようなヘテロシクリルラジカルを指し、このヘテロシクリルラジカルと分子の残余との付着点は、このヘテロシクリルラジカル中の窒素原子を介している。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、N-ヘテロシクリル基は任意選択的に置換されている。
【0132】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式-RbReのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Reは、上記で定義されているようなヘテロシクリルラジカルであり、ヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合には、このヘテロシクリルは、窒素原子でアルキルラジカルに任意選択的に付着している。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヘテロシクリルアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0133】
「ヘテロシクリルアルキルオキシ」は、式-ORbReのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Reは、上記で定義されているようなヘテロシクリルラジカルであり、ヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合には、このヘテロシクリルは、窒素原子でアルキルラジカルに任意選択的に付着している。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヘテロシクリルアルキルオキシ基は任意選択的に置換されている。
【0134】
「ヘテロシクリルアルキルアミニル」は、式-N(Rc)RbReのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Reは、上記で定義されているようなヘテロシクリルラジカルであり、ヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合には、このヘテロシクリルは、窒素原子でアルキルラジカルに任意選択的に付着しており、Rcは、H又はC1~C6アルキルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヘテロシクリルアルキルアミニル基は任意選択的に置換されている。
【0135】
「ヘテロアリール」は、水素原子と、1~13個の環炭素原子と、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1~6個の環ヘテロ原子と、ヘテロ原子を含む少なくとも1個の芳香環とを含む5~14員の環系ラジカルを指す。本開示の実施形態の目的のために、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式、又は四環式の環系であり得、これらは、縮合した環系又は架橋した環系を含み得、ヘテロアリールラジカル中の窒素原子、炭素原子、又は硫黄原子は、任意選択的に酸化され得、窒素原子は任意選択的に四級化され得る。例として下記が挙げられるが、これらに限定されない:アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、及びチオフェニル(即ちチエニル)。「ヘテロアリールオキシ」は、酸素結合(-O-)により分子の残余に結合するヘテロアリール基を指す。「ヘテロアリールアミニル」は、窒素結合(-NRa-、式中、Raは、H又はC1~C6アルキルである)により分子の残余に結合するヘテロアリール基を指す。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基、及び/又はヘテロアリールアミニル基は、任意選択的に置換されている。
【0136】
「N-ヘテロアリール」は、少なくとも1個の窒素を含む、上記で定義されているようなヘテロアリールラジカルを指し、このヘテロアリールラジカルと分子の残余との付着点は、このヘテロアリールラジカル中の窒素原子を介している。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、N-ヘテロアリール基は任意選択的に置換されている。
【0137】
「ヘテロアリールアルキル」は、式-RbRfのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Rfは、上記で定義されているようなヘテロアリールラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヘテロアリールアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0138】
「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、式-ORbRfのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Rfは、上記で定義されているようなヘテロアリールラジカルであり、ヘテロアリールが窒素含有ヘテロシクリルである場合には、このヘテロシクリルは、窒素原子でアルキルラジカルに任意選択的に付着している。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヘテロアリールアルキルオキシ基は任意選択的に置換されている。
【0139】
「ヘテロアリールアルキルアミニル」は、式-NRcRbRfのラジカルを指し、Rbは、上記で定義されているようなアルキレン鎖であり、Rfは、上記で定義されているようなヘテロアリールラジカルであり、ヘテロアリールが窒素含有ヘテロシクリルである場合には、このヘテロシクリルは、窒素原子でアルキルラジカルに任意選択的に付着しており、Rcは、H又はC1~C6アルキルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヘテロアリールアルキルアミニル基は任意選択的に置換されている。「ヒドロキシルアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシル置換基を含むアルキル基を指す。-OH置換基は、第一級炭素上に、第二級炭素上に、又は第三級炭素上に存在し得る。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヒドロキシルアルキル基は任意選択的に置換されている。「ヒドロキシルアルキルアミニル」は、少なくとも1個の-OH置換基を含むアルキルアミニル基であり、この-OH置換基は、第一級炭素上に、第二級炭素上に、又は第三級炭素上に存在する。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ヒドロキシルアルキルアミニル基は任意選択的に置換されている。
【0140】
「ホスフェート」は、-OP(=O)(Ra)Rb基を指し、Raは、OH、O-、又はORcであり、Rbは、OH、O-、ORc、又は(例えば、ジホスフェート又はトリホスフェートを作るための)さらなるホスフェート基であり、Rcは対イオン(例えば、Na+及び同類のもの)である。
【0141】
「ホスホアルコキシ」は、(上記で定義されているような)少なくとも1個のホスフェート基で置換されている(上記で定義されているような)アルコキシ基を指す。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、ホスホアルコキシ基は任意選択的に置換されている。
【0142】
「チオアルキル」は、式-SRaのラジカルを指し、Raは、1~12個の炭素原子を含む、上記で定義されているようなアルキルラジカルである。別途本明細書中に具体的に明記されていない限り、チオアルキル基は任意選択的に置換されている。
【0143】
用語「置換」は、本明細書で使用される場合、上記の基(例えば、アルキル、アルキレン、アルキルシクロアルキル、アルコキシ、アルキルホスホリル、アルキルホスホリルアミニル、アミジニルアルキルオキシ、グアニジニルアルキルオキシ、アルキルカルボニルアミニルアルキルオキシ、ヘテロシクリルアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、アミニルアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、ハロアルキルアミニル、ヒドロキシルアルキルアミニル、アミジニルアルキルアミニル、グアニジニルアルキルアミニル、アミニルアルキル、アミニルアルキルアミニル、アミニルアルコキシ、アルキルアミニルアルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミニル、アルキルカルボニルアミニル、アルキルアミニルアルキル、アミニルカルボニル、アルキルアミニルカルボニル、アルキルカルボニルアミニルアルコキシ、アミニルカルボニルアルキル、アミニルカルボニルシクロアルキルアルキル、チオアルキル、アリール、アラルキル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキルアミニル、カルボキシアルキル、シアノアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアミニル、シアノシクロアルキル、シクロアルキルアミニルカルボニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミニル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキルオキシ、ヘテロシクリルアルキルアミニル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルアミニル、ヒドロキシルアルキルアミニル、ホスホアルコキシ、及び/又はヒドロキシルアルキル)の内のいずれかを意味しており、この基では、少なくとも1個の水素原子(例えば、1個、2個、3個、又は全ての水素原子)が、下記が挙げられるがこれらに限定されない非水素原子への結合に置き換えられている:F、Cl,Br、及びI等のハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びエステル基等の基中の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基、及びスルホキシド基等の基中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミド、及びエナミン等の基中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基等の基中のケイ素原子;並びに様々な他の基中の他のヘテロ原子。「置換」はまた、1個又は複数個の水素原子が、ヘテロ原子(例えば、オキソ基、カルボニル基、カルボキシル基、及びエステル基中の酸素;並びにイミン、オキシム、ヒドラゾン、及びニトリル等の基中の窒素)へのより高次の結合(例えば、二重結合又は三重結合)に置き換えられている上記の基の内のいずれかも意味する。例えば、「置換」として、1個又は複数個の水素原子が、-NRgRh、-NRgC(=O)Rh、-NRgC(=O)NRgRh、-NRgC(=O)ORh、-NRgSO2Rh、-OC(=O)NRgRh、-ORg、-SRg、-SORg、-SO2Rg、-OSO2Rg、-SO2ORg、=NSO2Rg、及び-SO2NRgRhに置き換えられている上記の基の内のいずれかが挙げられる。「置換」はまた、1個又は複数個の水素原子が、-C(=O)Rg、-C(=O)ORg、-C(=O)NRgRh、-CH2SO2Rg、-CH2SO2NRgRhに置き換えられている上記の基の内のいずれかも意味する。上述では、Rg及びRhは、同一であるか、又は異なり、且つ独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルキルアミニル、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール、及び/又はヘテロアリールアルキルである。「置換」は、1個又は複数個の水素原子が、アミニル基、シアノ基、ヒドロキシル基、イミノ基、ニトロ基、オキソ基、チオキソ基、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミニル基、チオアルキル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、ヘテロシクリル基、N-ヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル基、ヘテロアリール基、N-ヘテロアリール基、及び/又はヘテロアリールアルキル基への結合に置き換えられている上記基の内のいずれかをさらに意味する。加えて、上述の置換基のそれぞれはまた、上記置換基の内の1つ又は複数で任意選択的に置換されていてもよい。
【0144】
「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む。
【0145】
「薬学的に許容される酸付加塩」は、塩であって、遊離塩基の生物学的な有効性及び特性(生物学的に又はその他で望ましくないものではない)を保持しており、且つ無機酸(例えば、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び同類のもの)、並びに有機酸(例えば、限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、樟脳酸、カンフル-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸、及び同類のもの)と共に形成されている塩を指す。
【0146】
「薬学的に許容される塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的な有効性及び特性(生物学的に又はその他で望ましくないものではない)を保持している塩を指す。この塩は、遊離酸への無機塩基又は有機塩基の付加から調製される。無機塩基に由来する塩として、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩、及び同類のものが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩である。有機塩基に由来する塩として下記が挙げられるが、これらに限定されない:第一級、第二級、及び第三級のアミン、置換アミン、例えば、天然に存在する置換アミン、環状アミン、並びに塩基イオン交換樹脂、例えば、アンモニア樹脂、イソプロピルアミン樹脂、トリメチルアミン樹脂、ジエチルアミン樹脂、トリエチルアミン樹脂、トリプロピルアミン樹脂、ジエタノールアミン樹脂、エタノールアミン樹脂、デアノール樹脂、2-ジメチルアミノエタノール樹脂、2-ジエチルアミノエタノール樹脂、ジシクロヘキシルアミン樹脂、リシン樹脂、アルギニン樹脂、ヒスチジン樹脂、カフェイン樹脂、プロカイン樹脂、ヒドラバミン樹脂、コリン樹脂、ベタイン樹脂、ベネタミン樹脂、ベンザチン樹脂、エチレンジアミン樹脂、グルコサミン樹脂、メチルグルカミン樹脂、テオブロミン樹脂、トリエタノールアミン樹脂、トロメタミン樹脂、プリン樹脂、ピペラジン樹脂、ピペリジン樹脂、N-エチルピペリジン樹脂、ポリアミン樹脂、及び同類のもの。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
【0147】
一部の実施形態では、薬学的に許容される塩として、第四級アンモニウム塩、例えば、ハロゲン化アルキル第四級アミン塩(quaternary amine alkyl halide salt)(例えば臭化メチル)が挙げられる。
【0148】
化合物の合成
本明細書で開示されている化合物を、スキーム1に示す方法に従って合成する。
【化22】
【0149】
長期にわたる0~5℃での水性溶媒混合物中における亜硝酸ナトリウム及び塩酸による3-アミノフタル酸一ナトリウム塩(米国特許第3,951,943A号明細書)の処理により、3-ジアゾフタル酸がオレンジ色固体として得られる。高pHでの水性溶媒(水、THF混合物)中における反応により、ジアゾフタル酸と、サリチル酸エステル(X=O、R=アルキル)及びアミド誘導体(X=NH、R=置換アルキル又はPEG側鎖)との縮合が達成される。これらの手順により、所望のジアゾベンゼンジカルボン酸3が生じる。側鎖ベンジルアミンは、この二酸3と、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はDCC等価物との反応により形成される環状無水物により、ジアゾベンゼンに付着する。得られた開環アミドの、還流温度での数時間にわたる氷酢酸中での加熱により、環閉塞及びその結果としてのフタルイミドの形成が引き起こされる。化合物3(X=O、R=t-ブチル)の場合には、tert-ブチルエステルを、還流する酢酸中で加水分解することにより、カルボン酸が得られる(スキーム1)。
【0150】
本開示の構造の詳細を、本開示の基本的な理解に必要なものを超えて詳細に示すことは試みておらず、本開示のいくつかの形態が実際にはどのようにして具体化され得るかを当業者に明らかにするスキーム/図面及び/又は例と共に説明する。
【実施例】
【0151】
実施例1
【化23】
米国特許第3,951,943A号明細書で見出される手順に従って、3-ニトロフタル酸(12.0g、56.84mmol)を13%水酸化ナトリウム水溶液(水43ml中にNaOH 5.59g)43mlに溶解させ、溶液のpHを、希酢酸(水3.2ml中に氷酢酸5ml)で8.2に調整した。この溶液に酸化白金(65mg)を添加し、12時間にわたり、45psiの水素での水素化に供した。触媒をろ過で取り除き、得られた3-アミノフタル酸ナトリウム溶液(3-amino sodium phthalate solution)を氷浴中で冷却した。
【0152】
この粗3-アミノフタル酸ナトリウム(3)溶液に、室温で濃塩酸(28.5ml)を添加し、この溶液を20分にわたり激しく撹拌した(最初の透明褐色溶液は、濃いオフホワイトのスラリーとなった)。この溶液に、亜硝酸ナトリウム(4.0g、58.0mmol)の氷冷水溶液(10ml)を滴下した。得られた混合物を、45分にわたり0~5℃で撹拌した。別のフラスコ中において、サリチル酸第三級ブチル(tertiary butyl salicylate)(2、11.0g、56.84mmol)を10%水酸化ナトリウム(75ml)に加え、このサリチル酸第三級ブチルは、反応の進行に伴い緩やかに溶解し、激しく撹拌しつつ氷浴中で冷却した(部分的に可溶性でありやや白色のスラリーが形成された)。この0~5℃撹拌混合物に、必要に応じてさらなる10%NaOH溶液を添加してpHを7.0超に維持しつつ、0~5℃のジアゾニウム塩溶液を滴下した。ジアゾニウム塩溶液の添加の完了後、冷10%水酸化ナトリウムの添加によりpHを10.5に調整した(添加した10%水酸化ナトリウムの合計は250mlであった)。この赤みがかった透明反応混合物を、3時間にわたり氷浴温度で撹拌し、次いで室温まで温めた。室温で12時間後、この溶液を、pH3.5まで氷酢酸で酸性化し、5%のメタノールのジクロロメタン溶液で抽出し(3回×100ml)、水(250ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、次いで減圧下で濃縮して、未反応のサリチル酸第三級ブチルも含む粗生成物13.5gを得た。所望の生成物(化合物4)を、ジクロロメタンから5%メタノール/ジクロロメタンによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色がかかったオレンジ色の固体7.6gを得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6):δ8.27(s,1H),8.05(d,J=7.8Hz,1H),8.07(d,J=9.0Hz,1H),7.94(d,J=9.0Hz,1H),7.83 9d,J+7.8Hz,1H),7.59-7.65(m,1H),7.20(d,J=9.0Hz,1H),1.62(s,3H)。MS:m/z=(陽イオン)408.9(M+23)+;(陰イオン)385.1(M-H)。
【0153】
実施例2(WB301)
【化24】
実施例1で調製したアゾ化合物(3.85g、9.97mmol)を、10分にわたり撹拌しつつ50℃まで緩やかに温めることにより、無水CH
2Cl
2/アセトニトリル(1:1、70ml)に溶解させた。得られたオレンジ色溶液を、氷浴0~5℃中で冷却した。この冷溶液に、固形の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.48g、12.96mmol)を一部ずつ(3回)添加し、次いで撹拌した。HPLC分析により、この反応が1時間で完了することが示された。この溶液に、固形の(S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エタンアミン(4c Pharma Scientific、2.48g、9.05mmol)を添加し、続いてアセトニトリル(5ml)中のトリエチルアミン(2.12g、20.9mmol)を添加した。得られた赤色溶液を、1時間にわたり0~5℃で撹拌し、次いで1時間にわたり室温で撹拌した。HPLC分析により、この反応が完了することが示された。深い赤色の溶液を減圧下で濃縮し、残留物を、5%メタノール/ジクロロメタン(125ml)に溶解させ、飽和塩化ナトリウム溶液(100ml)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過し、次いで減圧下で濃縮した。残留物を、2時間にわたり、氷酢酸(50ml)に溶解させて加熱した(115~120℃)。
【0154】
この反応混合物を室温まで冷却し、次いで水(250ml)に注いだ。沈殿したオレンジ色固体をろ別し、水で洗浄した(2回×100ml)。このろ別したオレンジ色固体を、5%メタノール/ジクロロメタンを使用するシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物を得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6):δ8.36(d,J=2.7Hz,1H),7.87-7.94(m,4H),7.10(s,1H),6.93,7.05(m,2H),6.83(d,J=8.8Hz,1H),5.82-5.86(m,1H),4.37,m,1H),4.14-4.20(m,1H),4.06(q,J=7.2Hz,2H),3.73(s,3H),3.02(s,3H)1.32(t,J=7.0Hz,3H)。MS:m/z=(陽イオン)590.3(M+23,Na),612(M+46,2Na)(陰イオン)566.3(M-H)。
【0155】
実施例3
結腸炎症のトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)ラットモデルにおけるPDE4阻害剤プロドラッグのインビボでの有効性
物質:
1.室温で貯蔵したLutrol(登録商標)E400(Sigma,カタログ番号06855,ロット番号BCBD5494V)。
2.4~8℃で貯蔵した、透明な20mLのガラス製バイアル中の、実施例2(WB301)、ロット2(MW587.12)由来のプロドラッグ1.62g(オレンジ色の物質)。
3.-20℃で貯蔵した(-)リボフラビン(Sigma,カタログ番号R4500,ロット番号WXBB4048V)。
【0156】
動物:
38匹のSprague-Dawleyラット(Harlan Sprague-Dawley,Inc.雄,PO#599229,R#3450,200~220g)を受け取り、個々に検査し、それぞれ4匹のラットの9個のケージと、2匹のラットを含む1個のケージとに収容した。疾患又は苦痛の臨床的徴候は観察しなかった。これらのネズミを、毎日検査しつつ隔離した。識別目的のために、ラットの耳に切り込みを入れ(SOP800)、次いで秤量し(下記結果)、それぞれ平均体重に基づいて、8匹のラットからなる4つの処置群に分類した。ラットを個々に検査し、疾患又は苦痛のあらゆる臨床的徴候がないことが判明した。隔離期間中に死亡を記録しなかった。ラットを、定期的なメンテナンスのために解放した。
【0157】
-1日目:
ラットを個別に検査し、疾患又は苦痛のあらゆる臨床的徴候がないことが判明した。隔離期間中に死亡を記録しなかった。
【0158】
ピクリルスルホン酸溶液(1M、FLUKA,カタログ番号92822,ロット番号CDBB6609V)2.729mlを、脱イオン水(dH2O)22.271ml及び100%エタノール(200 proof,Sigma,カタログ番号E7023,ロット番号SHBH3633V)25mlに添加することにより、16mg/mlのTNBS溶液を調製した。
【0159】
0日目:
ラットを秤量し(下記結果)し、麻酔し(SOP1810)、群1~4に、4ml/kgのTNBS溶液(64mg/kg)を直腸内注入し、肛門をつまんで閉じ、ラットを1分にわたり倒立で保持した。
【0160】
(-)リボフラビン400mgを、琥珀色のガラス瓶中での20分にわたる40℃の水浴中における超音波処理、及びその後の一晩中での室温で保存により、DMSO(Sigma,カタログ番号D5879,ロット番号16K0127)40mlに溶解させて、10mg/mlの黄色溶液を調製した。
【0161】
NaOH(Fisher Scientific,カタログ番号S320,ロット番号066620)135mgをdH2O 100mlに溶解させて、1.35mg/ml溶液を調製した。プレドニゾロン21-ヘミコハク酸ナトリウム塩(Sigma,カタログ番号P4153,ロット番号BCBB6136V,塩係数1.339)128.46mgを(-)リボフラビン/DMSO 9.59mlに溶解させ、続いてPEG400(Sigma,カタログ番号91893,ロット番号BCBB7720)9.59mlを添加した。水性NaOH 28.781mlを、超音波処理しつつ添加して、群4用の2mg/ml溶液を調製した。WB301 44mgを(-)リボフラビン/DMSO 2.19ml中でボルテックスしてオレンジ色溶液を得、続いてPEG400 2.19mlを添加した。水性NaOH 6.621mlを、超音波処理しつつ添加して、群1用の4mg/ml溶液を調製した。WB301 132mgを(-)リボフラビン/DMSO 2.19ml中でボルテックスしてオレンジ色溶液を得、続いてPEG400 2.19mlを添加した。水性NaOH 6.621mlを、超音波処理しつつ添加して、群2用の12mg/ml溶液を調製した。アプレミラスト6.6mgを(-)リボフラビン/DMSO 2.2ml中でボルテックスしてオレンジ色溶液を得、続いてPEG400 6.6mlを添加した。dH2O 2.2mlを添加して、群3用の0.6mg/ml溶液を調製した。
【0162】
1日目:
ラットを秤量し(下記結果)、5ml/kgでの毎日の経口投与(PO、SOP 1651)を、表1のように開始した。
【0163】
【0164】
床敷には糞便ペレットが存在しておらず、このことは結腸機能の喪失を示す。
【0165】
2~6日目
ラットを秤量し(下記結果)、この動物に、毎日、上記で説明したように投与した。WB301溶液及びアプレミラスト溶液を、上記で説明したように毎日新たに調製した。
【0166】
3日目:群4のケージで下痢を観察した。
【0167】
4日目:群2のケージで下痢を観察した。群4のケージで糞便ペレットを観察し、このことは正常な結腸機能を示す。
【0168】
7日目:
ラットを秤量し(下記結果)、麻酔し、腹部に正中切開を行ない、結腸を、癒着及び狭窄に関して評価した(下記結果)。結腸を摘出して長さを記録した(下記結果)。結腸の全長に正中切開を行ない、内容物を除去し、結腸の重量及び結腸壁の厚さを記録した(下記結果)。結腸の切片を、10%中性緩衝ホルマリン(Richard-Allan Scientific,カタログ番号5701,ロット番号378532,有効期限7月/2020年)20体積中で保存した。屠殺体は処分した。
【0169】
結腸スコアのパラメータ
a)癒着:
1)なし=0
2)最小限=1
3)いくつかの腸ループを伴う=2
b)狭窄:
1)なし=0
2)軽度=1
3)中程度=2
4)重度、近位拡張=3
c)潰瘍:
1)なし=0
2)<1cmの線状潰瘍=1
3)<1cmの2つの線状潰瘍=2
4)より多くの潰瘍部位、又は1つの大きな潰瘍=3
d)壁の厚さ:
1)1mm未満=0
2)1~3mm=1
3)>3mm=2
【0170】
疾患の誘発:
直腸を介した64mg/kgのTNBSの注入の24時間後にビヒクルを経口投与したラット(群1)では、この研究の間に体重が減少した。7日目までに、0日目と比較して20%の体重減少を記録した。この研究の終了時に、罹患したラットにおける平均結腸重量は6.939±0.715gであり、平均結腸長は12.9±0.7cmであった。罹患したラットでは、複数の腸ループ及び他の腹腔内臓器を伴う重度の癒着、近位結腸拡張が生じる重度の狭窄、長さが6.5±0.5cmの潰瘍、3.6±0.3mmの結腸壁の厚さを組み合わせて、9.9±0.4の全体的な結腸スコアを得た。
【0171】
結果:
1.ラットの体重(g)への疾患及び処置の効果:
【0172】
【0173】
【0174】
2.結腸の長さ、重量、及び潰瘍の数への疾患及び処置の効果:
【0175】
【0176】
【0177】
3.結腸パラメータへの疾患及び処置の効果:
【0178】
【0179】
【0180】
統計解析:1.ラットの平均体重(g)への疾患及び処置の効果:
【0181】
【0182】
【0183】
2.結腸の平均長、平均重量、及び潰瘍の数への疾患及び処置の効果:
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
3.平均結腸パラメータへの疾患及び処置の影響:
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
結論
WB301による治療的処置の効果(群1,2):
TNBSチャレンジの24時間後に開始した、可溶性WB301の1日に1回の経口投与により、TNBSにより誘発された損傷の用量依存的な減少が得られた。最低用量(群1、20mg/kg又は20mpk)では、明らかな寛解効果を観察しなかった(15%の体重減少;結腸スコア=9.1)。最高用量(群2、60mg/kg又は60mpk)では、ラットは、6日目に、TNBSにより誘発された体重減少から回復し始めた。4日目から床敷に下痢を観察し、このことは部分的な結腸機能を示す。この処置レジメンはまた、全体的な結腸スコアの25%の低下で最高に達する巨視的な疾患スコアの改善ももたらした(ビヒクルで処置したラットの場合は10の結腸スコアを想定する)。
【0195】
アプレミラストによる治療的処置の効果(群3):
TNBSチャレンジの24時間後に開始した、3mg/kgのアプレミラスト(国際公開第2009/120167号パンフレット)の毎日の経口投与により、5日目までに11%の体重減少が得られた。6日目に始まり、アプレミラストで処置したラットは、TNBSにより誘発された体重減少から回復し始めた。この処置レジメンはまた、全体的な結腸スコアの25%の低下で最高に達する巨視的な疾患スコアの改善ももたらした(ビヒクルで処置したラットの場合は10の結腸スコアを想定する)。
【0196】
プレドニゾロンによる治療的処置の効果(群4):
TNBSチャレンジの24時間後に開始した、10mg/kgのプレドニゾロンの毎日の経口投与により、4日目までに初期の9%の体重減少が得られた。5日目に始まり、プレドニゾロンで処置したラットは、TNBSにより誘発された体重減少から回復し始めた。この回復は床敷での糞便ペレットの存在と関連しており、このことは結腸機能の回復を示す。この処置レジメンはまた、全体的な結腸スコアの60%の低下で最高に達する巨視的な疾患スコアの改善ももたらした(ビヒクルで処置したラットの場合は10の結腸スコアを想定する)。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
式IA:
【化1】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体であって、
【化2】
は、任意選択的に置換されている5員若しくは6員の炭素環、任意選択的に置換されている5員若しくは6員の複素環、任意選択的に置換されている5員若しくは6員のアリール、又は任意選択的に置換されている5員若しくは6員のヘテロアリールであり、
Xは、独立して、O、N-アルキル、又はNHから選択され、
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、重水素、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、-NR
6R
7であるか、
又はR
1及びR
2は、それらが付着している炭素と一緒に結合して、任意選択的に置換されている炭素環、任意選択的に置換されているアリール環、任意選択的に置換されている複素環、若しくは任意選択的に置換されているヘテロアリール環を形成しているか、
又はR
2及びR
3は、それらが付着している炭素と一緒に結合して、任意選択的に置換されている炭素環、任意選択的に置換されているアリール環、任意選択的に置換されている複素環、若しくは任意選択的に置換されているヘテロアリール環を形成しており、
R
5は、水素、アルコキシ、アルキル、アルコキシアルキルであり、R
5は、-NH
2、-NR
6R
7、-CO
2H、又は-(CH
2CH
2O)
n-R
14(式中、n=1~20)で任意選択的に置換されており、
R
6及びR
7は、それぞれ発生時には、独立して、水素、アルキル、フェニル、ベンジルであるか、
又はR
6若しくはR
7の内の一方は水素であり、且つ他方は-COR
13若しくは-SO
2R
13であるか、
又はR
6及びR
7は、それらが付着している窒素原子と一緒に、炭素、酸素、窒素、硫黄、及びSO
2からなる群から選択される部分を含む複素環若しくはヘテロアリール環を形成しており、
R
13は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、-NH
2、又はハロアルキルであり、
R
14は、-H又はアルキルである、
化合物。
[態様2]
前記化合物は、式(I):
【化3】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは立体異性体であって、
Xは、酸素又はNHであり、
Yは、CH
2又はC=Oであり、
R
1、R
2、及びR
3は、水素又は重水素であり、
R
4は、E又はF:
【化4】
であり、
R
5は、水素、-CH
2CO
2H、-(CH
2CH
2O)
n-CH
3であり、n=1~20である、
態様1に記載の化合物。
[態様3]
X=Oである、態様1又は2に記載の化合物。
[態様4]
R
5は水素である、態様3に記載の化合物。
[態様5]
XはNHである、態様1又は2に記載の化合物。
[態様6]
R
5は水素である、態様5に記載の化合物。
[態様7]
R
5は-(CH
2CH
2O)
n-CH
3であり、n=1~10である、態様5に記載の化合物。
[態様8]
前記化合物は、
【化5】
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体である、態様2に記載の化合物。
[態様9]
前記化合物は、
【化6】
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体である、態様2に記載の化合物。
[態様10]
前記化合物は、
【化7】
又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体である、態様2に記載の化合物。
[態様11]
態様1~10のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
[態様12]
潰瘍性大腸炎を処置する方法であって、経口経路により1日に1回又は2回の投与で態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを投与することを含む方法。
[態様13]
尋常性乾癬を処置する方法であって、経口経路により1日に1回又は2回の投与で態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを投与することを含む方法。
[態様14]
乾癬性関節炎を処置する方法であって、経口経路により1日に1回又は2回の投与で態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを投与することを含む方法。
[態様15]
癌を処置する方法であって、経口経路により1日に1回又は2回の投与で態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを投与することを含む方法。
[態様16]
前記癌は結腸直腸癌である、態様15に記載の方法。
[態様17]
炎症性腸疾患を処置する方法であって、経口経路により1日に1回又は2回の投与で態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを投与することを含む方法。
[態様18]
クローン病を処置する方法であって、経口経路により1日に1回又は2回の投与で態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを投与することを含む方法。
[態様19]
潰瘍性大腸炎を処置する方法であって、態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む方法。
[態様20]
尋常性乾癬を処置する方法であって、態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む方法。
[態様21]
乾癬性関節炎を処置する方法であって、態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む方法。
[態様22]
癌を処置する方法であって、態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む方法。
[態様23]
前記癌は結腸直腸癌である、態様22に記載の方法。
[態様24]
炎症性腸疾患を処置する方法であって、態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む方法。
[態様25]
クローン病を処置する方法であって、態様1~10のいずれか一項に記載の化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む方法。
[態様26]
医薬品としての使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物。
[態様27]
潰瘍性大腸炎を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、化合物。
[態様28]
炎症性腸疾患を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、化合物。
[態様29]
クローン病を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、化合物。
[態様30]
尋常性乾癬を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、化合物。
[態様31]
乾癬性関節炎を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で前記化合物1~3000mgを投与することを含む、化合物。
[態様32]
癌を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で1~3000mgを投与することを含む、化合物。
[態様33]
結腸直腸癌を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、経口経路により1日に1回又は2回で1~3000mgを投与することを含む、化合物。
[態様34]
癌を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、化合物。
[態様35]
結腸直腸癌を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、化合物。
[態様36]
潰瘍性大腸炎を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、化合物。
[態様37]
尋常性乾癬を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、化合物。
[態様38]
乾癬性関節炎を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、化合物。
[態様39]
炎症性腸疾患を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、化合物。
[態様40]
クローン病を処置する方法での使用のための態様1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、前記方法は、前記化合物1~3000mgを薬学的に許容される塩として投与することを含む、化合物。
[態様41]
前記方法は、経口経路により1日に1回で前記化合物を投与することを含む、態様12~25のいずれか一項に記載の方法、又は態様27~40のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
[態様42]
前記方法は、経口経路により1日に1回で20mg/kg又は60mg/kgの用量にて前記化合物を投与することを含む、態様12~25のいずれか一項若しくは態様41に記載の方法、又は態様27~40のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
[態様43]
式(II):
【化8】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、若しくは立体異性体であって、
Xは、酸素又はNHであり、
R
1は、水素、アルキル、分枝したアルキル、t-ブチル、-CH
2CO
2H、-CH
2CO
2CH
3、-(CH
2CH
2O)
n-CH
3であり、n=1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20である、
化合物。