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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】機械用トラックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B21L 9/02 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B21L9/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020567245
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 US2019035150
(87)【国際公開番号】W WO2019236457
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】15/996,977
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガラト、マイケル、エス.
(72)【発明者】
【氏名】アキンルア、テミトープ、オー.
(72)【発明者】
【氏名】スタイナー、ケヴィン、エル.
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03049933(US,A)
【文献】特開2014-224556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21L 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリンクサブアセンブリ(12)と第2のリンクサブアセンブリ(12)とを含む複数のリンクサブアセンブリ(12)であって、各リンクサブアセンブリ(12)は、ともに結合される1対のリンク(14)を含み、各リンク(14)は、第1のアパーチャ(16)と第2のアパーチャ(18)を含み、前記各リンクの第2のアパーチャ(18)は、C字形状である、複数のリンクサブアセンブリ(12)と;
前記第1のリンクサブアセンブリ(12)と前記第2のリンクサブアセンブリ(12)のそれぞれを旋回可能に結合するピン要素(20)であって、前記ピン要素(20)は、中央に位置する中央部(26)と前記中央部(26)の両側の端部(28)とを含む、ピン要素(20)と;を備え、
前記ピン要素(20)の中央部(26)は、前記第1のリンクサブアセンブリ(12)と前記第2のリンクサブアセンブリ(12)のそれぞれにおいて、第1のリンク(14)の前記第1のアパーチャ(16)を通過するように構成され、前記端部(28)は、前記第1のリンクサブアセンブリ(12)と前記第2のリンクサブアセンブリ(12)のそれぞれにおいて、第2のリンク(14)の前記第2のアパーチャ(18)を通過するように構成され、前記中央部(26)は、実質的に円筒形であり、前記第1のアパーチャ(16)は、実質的に円形であり、前記第1のアパーチャ(16)の断面直径は、前記中央部(26)の断面直径よりも小さく、前記中央部(26)は、対応する第1のアパーチャ(16)内に締り嵌めされるか、または圧入され、前記各リンク(14)の端部(28)は、対応する第2のアパーチャ(18)内に滑り嵌めされ、各第2のアパーチャ(18)は、前記端部(28)に向かって延長する突出部(52)を含む、トラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記突出部(52)は、ロッカーアーム(rocker arm)を形成する、請求項に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記各リンク(14)の端部(28)は湾入部(indented portion)(36)を含み、前記湾入部(36)は前記突出部(52)に接触し、前記突出部(52)を少なくとも部分的に受け入れるように構成され、前記第1のリンクサブアセンブリ(12)および前記第2のリンクサブアセンブリ(12)のそれぞれにおける、リンク(14)の相対的な回転中に、前記突出部(52)は、前記湾入部(36)内で旋回する、請求項に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記第2のアパーチャ(18)は、前記端部(28)が時計回り方向におおよそ15度~30度の間で、かつ反時計回り方向におおよそ15度~30度の間で延長する前記リンク(14)および前記ピン要素(20)間の相対的な旋回を可能とする、請求項に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記ピン要素(20)は、熱処理された鋼で形成された単一要素である、請求項1に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記各リンクサブアセンブリ(12)のリンク(14)のそれぞれは、オフセット構成で結合される、請求項1に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記リンク(14)のそれぞれは、前記第1のアパーチャ(16)と前記第2のアパーチャ(18)との間に位置する1つ以上の中央穴(24)を含み、前記リンク(14)のそれぞれは、1つ以上のトラックシューを各リンク(14)に結合するように構成された1つ以上のシュー穴(22)を含む、請求項1に記載のトラックリンクアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、機械用のトラックアセンブリに関し、より具体的には、機械用の隣接するトラックリンクのための結合構成に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックタイプの機械は、一般に、機械を推進するために地表面と係合するように機械の両側上のトラックチェーンを用いている。トラックチェーンを形成する個々のリンクは、機械を動かすため、トラックシューとして知られている地面係合要素に連結される。機械のエンジンによって駆動されるスプロケットは、離隔されたプーリ機構の周りのトラックチェーンと係合して、それを並進運動させる。トラックチェーンが並進運動するにつれ、連結されているトラックシューは、機械の下の地表面と係合して地表面上で機械を推進させる。トラックチェーンは、ともに結合されるリンクアセンブリで構成される。トラックチェーンは、大まかにストレートリンクチェーンとオフセットリンクチェーンに分類することができる。ストレートリンクチェーンは、ともに結合される交互の内側および外側リンクを有する一方、オフセットリンクチェーンにおいては、すべてのリンクが類似している。トラックチェーンのタイプに関係なく、トラックチェーンを備えるリンクは、しばしば、かじりを防いでトラックチェーンの耐用寿命を延ばすために、回転する部品(すなわち、ピンとブッシング)の間の潤滑剤としてグリースまたはオイルを必要とする。さらに、このようなトラックチェーンは、時間の経過とともに磨耗し、交換または修理が必要となり得る。このように、生産およびメンテナンスのコストは、しばしばトラックチェーンの製造および組み立てにおける重要な考慮事項である。
【0003】
例示的なトラックチェーンが、Narangに許与された米国特許第4,324,437号(「‘437特許」)に開示されている。‘437特許は、密封された旋回アセンブリによって連結された可逆トラックリンクを含むリンクアセンブリを開示する。旋回アセンブリは、疲労が増加した地点に、交換可能な硬化摩耗インサートを含む。‘437のリンクアセンブリは、一部のアプリケーションには適している場合があるものの、他のアプリケーションには適さない場合がある。開示されたリンクアセンブリおよび構成は、上述の問題点のうちの1つ以上、および/または当業界における他の問題点を解決することができる。しかしながら、本開示の範囲は、添付の請求項によって定義され、特定の具体的な問題を解決する能力によって定義されるものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、トラックリンクアセンブリは、第1のリンクサブアセンブリと第2のリンクサブアセンブリとを含む複数のリンクサブアセンブリを含んでもよい。各リンクサブアセンブリは、ともに結合される1対のリンクを含んでもよい。各リンクは、第1のアパーチャと第2のアパーチャを含んでもよく、各リンクの第2のアパーチャはC字形状であってもよい。トラックリンクアセンブリはまた、第1のリンクサブアセンブリと第2のリンクサブアセンブリのそれぞれを旋回可能に結合するピン要素を含んでもよい。ピン要素は、中央に位置する中央部と中央部の両側の端部とを含んでもよい。ピン要素の中央部は、第1のリンクサブアセンブリと第2のリンクサブアセンブリのそれぞれにおいて、第1のリンクの第1のアパーチャを通過するように構成されてもよく、端部は、第1のリンクサブアセンブリと第2のリンクサブアセンブリのそれぞれにおいて、第2のリンクの第2のアパーチャを通過するように構成されてもよい。
【0005】
中央部は、実質的に円筒形であってもよい。第1のアパーチャは、実質的に円形であってもよく、第1のアパーチャの断面直径は、中央部の断面直径よりも小さくてもよい。中央部は、対応する第1のアパーチャ内に締り嵌めされるか、または圧入されてもよい。各リンクの端部は、対応する第2のアパーチャ内に滑り嵌めされてもよく、各第2のアパーチャは、端部に向かって延長する突出部を含んでもよい。突出部は、ロッカーアーム(rocker arm)を形成してもよい。各リンクの端部は湾入部(indented portion)を含んでもよく、湾入部は突出部と接触し、突出部を少なくとも部分的に受け入れるように構成される。第1のリンクサブアセンブリおよび第2のリンクサブアセンブリのそれぞれにおける、リンクの相対的な回転中に、突出部は、湾入部内で旋回し得る。第2のアパーチャは、端部が時計回り方向におおよそ15度~30度の間で、かつ反時計回り方向におおよそ15度~30度の間で延長するリンクおよびピン要素間の相対的な旋回を可能とする、請求項4に記載のトラックリンクアセンブリ。ピン要素は、熱処理された鋼で形成された単一要素であり得る。各リンクサブアセンブリのリンクのそれぞれは、オフセット構成で結合され得る。リンクのそれぞれは、第1のアパーチャと第2のアパーチャとの間に位置する1つ以上の中央穴を含んでもよく、リンクのそれぞれは、1つ以上のトラックシューを各リンクに結合するように構成された1つ以上のシュー穴を含んでもよい。
【0006】
別の態様において、トラックリンクは、第1のアパーチャと第2のアパーチャを含んでもよい。第1のアパーチャと第2のアパーチャは、トラックリンクの縦方向軸に沿って離隔されてもよく、第2のアパーチャは、C字形状であってもよい。
【0007】
第1のアパーチャは、円形であり得る。第2のアパーチャは、C字形状のアパーチャを形成するために湾曲表面によって形成された半円形部と2つの開放部を含んでもよい。トラックリンクは、2つの開放部の間に位置し、第2のアパーチャの半円形部に向かって延長する突出部をさらに含んでもよい。トラックリンクは、第1のアパーチャと第2のアパーチャとの間に位置する1つ以上の中央穴をさらに含んでもよい。トラックリンクは、1つ以上のトラックシューをトラックリンクに結合するように構成された1つ以上のシュー穴も、さらに含んでもよい。
【0008】
別の態様において、トラックリンク部品は、トラックリンクピンを含んでもよい。トラックリンクピンは、一体に形成された金属片であってもよく、中央に位置する中央部と中央部の両側の2つの端部とを含んでもよい。中央部は円筒形であってもよく、端部のそれぞれは、中央部から縦方向に延長するC字形状の延長部を含んでもよい。
【0009】
トラックリンクピンは、熱処理された鋼で形成されてもよい。トラックリンクピンは、中央部とそれぞれの一端部との間で縦方向に延長するレッジ部(ledge portion)を含んでもよい。C字形状の延長部は、半円形の外側面と、湾入した内側面と、を含んでもよい。内側面は、湾入部によって連結された頂部延長部および下部延長部を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的なトラックリンクアセンブリの一部の斜視図である。
図2図1のトラックリンクアセンブリの例示的な結合要素の斜視図である。
図3図1のトラックリンクアセンブリの例示的なリンクの側面図である。
図4図1のトラックリンクアセンブリの部分分解図である。
図5】別の構成における例示的なトラックリンクアセンブリの一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の一般的な説明および後述の詳細な説明の両方は、単に例示的かつ説明的なものであり、特許請求されている特徴を限定するものではない。本明細書で使用されているように、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、またはその他の変形例は、非排他的な包含をカバーすることを意図し、それによって要素のリストを含む工程、方法、物品、または装置は、単にそれらの要素のみを含むのではなく、そのような工程、方法、物品、または装置に明示的にリストされていないか、または内在していない他の要素を含んでもよい。本開示の目的のため、用語「地表面」は、通過するあらゆるタイプの材料(例:土、岩、粘土、砂、アスファルト、セメントなど)を指すために広く使用されている。さらに、本開示において、たとえば、「約」、「実質的に」、および「おおよそ」などの相対的な用語は、言及された値の±10%の可能な変動を示すために使用される。
【0012】
図1は、本開示による、例示的なトラックリンクアセンブリ10の一部の斜視図を示す。トラックリンクアセンブリ10は、産業、たとえば鉱業、建設業、農業、輸送業、あるいは当業界によく知られている任意の他の産業と関連した一部のタイプの動作を行う任意の可動機械に結合され得る。たとえば、トラックリンクアセンブリ10は、下部構造アセンブリに結合され、掘削機、ドーザ、ローダ、バックホー、モータグレーダ、または任意の他の土工機械の動力源によって駆動され得る。別個のトラックアセンブリ10が、機械の各側部に結合され、別個の無限ループを形成することができる。示されていないが、地表面の係合を補助するために、複数のトラックシューがトラックリンクアセンブリ10の外側表面に結合され得る。
【0013】
図1に示されるように、トラックリンクアセンブリ10は、1対の側方に離隔されかつオフセットリンク14をそれぞれ含む複数の構造的に類似したリンクサブアセンブリ12を含むオフセットリンクチェーンであり得る。各リンク14は、両側の端部のそれぞれにあり、かつ/または各リンク14の縦方向軸に沿って離隔されている、アパーチャ(第1のアパーチャ16および第2のアパーチャ18)を含む。対リンク14の第1のは、トラックリンクアセンブリ10の一側の一部を形成し得、リンクの第2の対は、トラックリンクアセンブリ10の他側の一部を形成し得る。リンク14の個々のサブアセンブリ12は、ピン20によって結合される(図2)。各ピン20は、隣接するリンク14の対を回転可能に結合するために、隣接して側方に離隔されているリンク14の対の一部を通って延長してよい。たとえば、ピン20は、2つのリンクサブアセンブリ12を連結するために、2つの前方リンク14の第1のアパーチャ16と、2つの後方リンク14の第2のアパーチャ18と、を通過することができる(図4)。複数のリンクサブアセンブリ12は、トラックリンクアセンブリ10を形成するために、ともに結合され得る。さらに、示されていないが、トラックリンクアセンブリ10は、無限トラックチェーン(すなわち、無限ループを形成するチェーン)を形成するために、チェーンの2つの自由端部を結合するマスタリンクアセンブリを含み得る。
【0014】
リンク14は、トラックシュー(図示せず)がリンク14に結合されるように、たとえば、リンク14の頂部/外側表面上に複数のシュー穴22を含み得る。ボルトおよびナットアセンブリを受け入れてトラックシューをリンク14に固定するために、シュー穴22は、貫通穴として、中央穴24に延長し得る。中央穴24は、各リンク14上の第1のアパーチャ16と第2のアパーチャ18との間に位置してもよい。さらに、中央穴24は、各リンク14の構造的特徴に実質的に影響を与えることなく、各リンク14を形成するために必要な材料の量を減らすのに役立ち得る。
【0015】
図2は、個々の結合要素またはピン20を示す。示されるように、ピン20は、中央部26の両側に中央部26と端部28を含む。中央部26は、実質的に、第1の直径と中央面26Aを有する円筒形であってもよい。端部28の最大直径は、中央部26の第1の直径より小さい。さらに、一態様において、端部28は、そのそれぞれが端部28の内側面38上の湾入部36によって連結された頂部延長部32と下部延長部34とを含む延長部30を形成する。頂部延長部32と下部延長部34は、延長部32、34の前方の位置に対して湾曲してもよい(例:凸状であってもよい)。湾入部36はまた、湾入部36の前方の位置に対して湾曲してもよい(例:凹状であってもよい)。端部28はまた、実質的に半円形であり得る外側面40を含む。このように、端部28上の延長部30は、実質的にC字形状であってもよく、中央部26から縦方向に延長してもよい。本明細書で使用されるように、C字形状は、対向部の間に位置する中央部(例:湾入部36)の上に延長する対向部(例:頂部および下部延長部32、34)を含む任意の形状を含む。対向部および中央部は、湾曲表面および/または平坦表面を含むことができる。たとえば、横向きのV字形状を形成する表面を有する形状が、本明細書においてC字形状の定義に含まれ得る。図1図4、および図5に示すように、延長部30は、第2のアパーチャ18よりも小さく、実質的に相補的であり、これはピン20とリンク14(これを通してピン20が延長する)の相対的な回転または旋回を可能とするのに役立つ。
【0016】
ピン20はまた、中央部26と各端部28との間で縦方向に延長するレッジ部42を含んでもよく、これは、ピン20を介して結合されたときにリンク14を離隔させるのに役立ち得る。ピン20は、単一の一体型ピースとして形成されてもよく、鋼または他の適切な材料で形成されてもよい。各ピン20はまた、熱処理されてもよい。
【0017】
図3は、1つのリンク14の側面図を示す。上述のように、各リンク14は、1つの第1のアパーチャ16、1つの第2のアパーチャ18、および中央穴24を含むことができる。第1のアパーチャ16は、実質的に円筒形であり得、1つのピン20の中央部26の一部を受け入れるようにサイズ決めされ得る。一態様において、第1のアパーチャ16は、締り嵌めまたは圧入によって中央部26の中央面26Aを受け入れるようにサイズ決めされ得る。たとえば、第1のアパーチャ16は、中央部26の対応直径よりわずかに小さい直径を有してもよく、これは、締り嵌めまたは圧入を容易にするのに役立ち得る。このように、1つのピン20と1つのリンク14は、第1のアパーチャ16に位置する中央部26と結合され、ピン20とリンク14は、固定されているか、あるいは互いに対して静止している。
【0018】
リンク14の第2のアパーチャ18は、1つのピン20の端部28の一部を受け入れるように実質的にC字形状であり得る。一態様において、第2のアパーチャ18は、半円形であり得る開口部44と、表面部48および面積部50を含む2つの先端部46と、を含み得る。表面部48は湾曲してもよく、たとえば、実質的に凹状であり、開口部44に向かって開放された曲率を含んでいてもよい。面積部50は、表面部48の間で開口部44内に延長する、丸みを帯びた開口であってもよい。たとえば、面積部50の形状は、表面部48に相補的であり得る。
【0019】
先端部46は、半円形の開口部44に向かって延長するロッカーアームまたは突出部52によって分離され得る。端部28が、第2のアパーチャ18内で旋回可能に移動し得る状態において、第2のアパーチャ18は、滑り嵌め構成で端部28を受け入れるようにサイズ決めされ得る。たとえば、湾入部36は、突出部52に対応する形状を含み得、それによって、突出部52は旋回軸(これを中心としてリンク14とピン20が互いに対して旋回し得る)を形成する。第2のアパーチャ18の先端部46は、リンク14およびピン20間の相対的な旋回が可能になるよう、端部28の頂部延長部32と下部延長部34が、各先端部46内で移動するようにサイズ決めされ得る。たとえば、頂部延長部32は、第1の表面部48(例:図3において突出部52の上の表面部48)に向かって旋回し得、下部延長部34は、第2の表面部48(例:図3において突出部52の下の表面部48)から離れて旋回し得る。類似の方式で、頂部延長部32は、第1の表面部48(例:図3において突出部52の上の表面部48)から離れて旋回し得、下部延長部34は、第2の表面部48(例:図3において突出部52の下の表面部48)に向かって旋回し得る。このように、第2のアパーチャ18は、ピン20および1つ以上のリンク14間の相対的な旋回または回転を可能とし得る。一態様において、先端部46は、ピン20が時計回り方向に15度~30度の間まで、かつ反時計回り方向に15度から30度の間までリンク(複数可)14に対して旋回可能とするように、サイズ決めされ得る。したがって、1つのピン20は、第1のリンク14の第1のアパーチャ16を通って中央部26を介して第1のリンク14に結合され得る。端部28の内側面38の少なくとも一部がリンク14の突出部52と接触した状態において、第1および第2のリンク14が互いに対して旋回可能となるように、同一のピン20が、第2のアパーチャ18を通って端部28を介して第2のリンク14に結合され得る(図5)。
【0020】
図4は、トラックリンクアセンブリ部10Aを形成するように、ともに結合されるいくつかのリンク14の部分分解斜視図を示す。2つのリンクサブアセンブリ12(例:右側サブアセンブリ12Aおよび左側サブアセンブリ12B、それぞれは、1対の横方向に離隔され、かつオフセットされたリンク14を含む)は、トラックリンクアセンブリ部10Aを形成するようにピン20を介して結合され得る。たとえば、右側サブアセンブリ12Aは、第1の前方リンク14Aと第1の後方リンク14Cとを含み、左側サブアセンブリ12Bは、第2の前方リンク14Bと第2の後方リンク14Dとを含む。第1の前方リンク14A、第2の前方リンク14B、第1の後方リンク14C、および第2の後方リンク14Dが互いに結合されるように、2つのリンクサブアセンブリ12は、ピン20を介して結合される。リンクサブアセンブリ12の各リンク14A-14Dは、1つの第1のアパーチャ16、1つの第2のアパーチャ18、および各シュー穴22および中央穴24を含む。
【0021】
第1の前方リンク14A、第2の前方リンク14B、第1の後方リンク14C、および第2の後方リンク14Dは、1つのピン20を介して結合される。示されるように、ピン20の中央部26は、第1の後方リンク14Cと第2の後方リンク14Dの第1のアパーチャ16Cおよび16Dを通って延長する。一態様において、ピン20は、たとえば、締り嵌めまたは圧入によって第1の後方リンク14Cと第2の後方リンク14Dに固定結合される。第1のアパーチャ16と中央部26が、実質的に円形の断面を有することが示されているが、トラックリンクアセンブリ10の第1のアパーチャ16と中央部26は、たとえば、卵形(ovular)、長方形、三角形などを含む任意の適切な形状であり得るため、本開示はそれに限定されない。さらに、1つの端部28のみが図4に示されているが、ピン20の端部28は、第1の前方リンク14Aおよび第2の前方リンク14Bの各第2のアパーチャ18Aおよび18Bを通って延長する。
【0022】
上述のように、ピン20が第1の後方リンク14Cおよび第2の後方リンク14Dに固定された状態において、第1の前方リンク14Aと第2の前方リンク14Bがピン(20)に対して旋回し得るように、第2のアパーチャ18A、18Bは端部28よりも大きい。たとえば、第1の前方リンク14Aと第2の前方リンク14Bのそれぞれの突出部52は、端部28の各湾入部36の内側面38上で旋回する。旋回中に、頂部延長部32と下部延長部34が、先端部46内に受け入れる場合があり、先端部46内で移動し得る。このように、トラックアセンブリ10が機械を推進するにつれ、たとえば、トラックリンクアセンブリ10が旋回軸またはスプロケットを中心として曲がることによって、第1の前方リンク14Aおよび第2の前方リンク14Bが第1の後方リンク14Cおよび第2の後方リンク14Dに対して旋回できる。
【0023】
図5は、トラックリンクアセンブリ部10Aを示し、リンクサブアセンブリ12は部分的に旋回された位置にある。示されるように、第1の前方リンク14Aおよび第2の前方リンク14Bは、第1の後方リンク14Cおよび第2の後方リンク14Dに対して旋回する。この態様において、中央部26が第1の後方リンク14Cおよび第2の後方リンク14Dの第1のアパーチャ16Cおよび16Dを通過する状態において、ピン20は、第1の後方リンク14Cおよび第2の後方リンク14Dの一部内に締り嵌めされる。さらに、ピン20の端部28がそれぞれの第2のアパーチャ18A、18Bを通過する状態において、第1の前方リンク14Aおよび第2の前方リンク14Bは、後方リンク14C、14Dに結合される。示されるように、第1の後方リンク14Cと第2の後方リンク14Dとに対する第1の前方リンク14Aおよび第2の前方リンク14Bの旋回によって、突出部52は、湾入部36内で旋回して内側面38に対して移動する。図5において、頂部延長部32が頂部表面部48に向かって移動して頂部開放部50を填めるように、第1の前方リンク14Aおよび第2の前方リンク14Bは下方に旋回される。同様に、下部延長部34は、下部表面部48から離れる方向に移動し、下部開放部50から後退することが注目されている。さらに、第1の前方リンク14Aと第2の前方リンク14Bを上方に旋回させると、それに応じて下部延長部34が下部表面部48に向かって移動し、下部延長部34は下部開放部50を填めることが注目されている。同様に、このような旋回は、頂部延長部32を頂部表面部48から離れる方向に移動させ、頂部開放部50から後退させるであろう。したがって、ピン20の延長部30とリンク14の第2のアパーチャ18のそれぞれのサイズと形状は、ピン20およびリンク14間の相対的な旋回または回転を制御するのに役立ち得る。
【産業上の利用可能性】
【0024】
トラックリンクアセンブリ10の開示された態様は、1つ以上のトラックを形成するために、ともに結合されるリンクを含むトラック式の下部構造を含む任意の機械に使用することができる。本明細書にて説明されているトラックリンクアセンブリ10は、部品の数の減少と、メンテナンスまたは交換が必要となる可能性の減少と共に、強力で耐久力のある連結をリンク14の間に提供することができる。したがって、開示されたトラックリンクアセンブリは、性能を犠牲にすることなく、信頼性があり、低コストであり得る。
【0025】
各リンク14は、第1のアパーチャ16および第2のアパーチャ18を含み、リンク14は、ピン20によって結合される。ピン20は、軸受部26を介して第1のまたは内側リンクに固定結合され、ピン20は、端部28を介して第2のまたは外側リンク14に回転可能にまたは旋回可能に結合される。
【0026】
機械の作動中、リンクサブアセンブリ12の隣接するリンク14は互いに対して旋回する。特に、端部28が相対的な旋回を可能とするために、第2のアパーチャ18を通って滑り嵌めされた状態において、隣接するリンク14の外側リンクはピン20に結合される。図5に示されるように、突出部52が湾入部36と接触する状態において、外側リンク(すなわち、第2の前方リンク14B)はピン20に対して旋回する。第2のアパーチャ18および端部28のサイズおよび形状は、おおよそ15度~30度の範囲で外側リンクとピン20の相対的な旋回を可能とする。たとえば、外側リンクとピン20は、いずれかの方向に15度まで、いずれかの方向に20度まで、いずれかの方向に25度まで、またはいずれかの方向に30度まで、互いに対して旋回できる。さらに、リンク14とピン20が旋回接触し、したがって突出部52と湾入部36との間で重なるアーク長を有することから、より大きな旋回接触、または2つの要素の回転中心から半径方向に離れる旋回接触に比して、リンク14およびピン20の接続表面間の角速度は減少する。結果として、リンク14とピン20は、互いに対して旋回し得、各接続表面は、より小さい摩擦力を受け得る。減少した角速度はまた、熱をより少なく発生させ得る。接触する部品(例:突出部52および湾入部42)間の角速度が減少するため、リンク14およびピン20の構成は、かじりを最小限に抑えるのに役立ち得る。したがって、このような構成は、機械上でのトラックリンクアセンブリの作動中にリンク14とピン20がより長く耐えられるようにし、メンテナンスおよび/または交換のコストを削減させる。さらに、上述のリンク14とピン20との間の接続表面構成は、潤滑の必要性を低減させるか、または排除し、メンテナンスのコストをさらに削減させることができる。
【0027】
ピン20はまた、単一の一体型要素として形成されてもよい。特に、ピン20が、リンク14の第1のアパーチャ16内で締り嵌めされるか、または圧入されるため、ピン20は実質的に静止している。従来のトラックピンは、相対的な移動を提供し得る個別のブッシングとピンを含むが、ピン20は、潜在的に製造コストおよび/または時間を削減させる単一要素であり得る。さらに、ピン20は、たとえば鋼から、一体に形成(すなわち、モールディング)され得る。ピン20は、モールディングされた材料を硬化させるために熱処理され得、ピン20が単一要素であり、連結が破損されるリスクが低減されるため、ピン20は従来のブッシングおよび/またはピンよりも高温で、かつより長い時間、加熱され得る。このように、ピン20は、深い深さまで硬化され得る。
【0028】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたシステムに様々な修正および変形を加えられ得ることは、当業者に明らかであろう。システムの他の実施形態は、本明細書と、本明細書に開示した結合リンクを有するトラックリンクアセンブリの実施とを考慮することから、当業者には明らかであろう。本明細書および例は、単に例示的なものと見なされるべきであり、本開示の真の範囲が以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5