(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】S1P1受容体に関連する状態を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/404 20060101AFI20231205BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231205BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231205BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231205BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231205BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231205BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A61K31/404
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P1/04
A61K45/00
A61K9/20
A61K9/48
(21)【出願番号】P 2020567825
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(86)【国際出願番号】 US2019035662
(87)【国際公開番号】W WO2019236757
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-01
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500478097
【氏名又は名称】アリーナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ロナルド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】サデク アブ ジェイ エム
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504398(JP,A)
【文献】特表2017-537954(JP,A)
【文献】特表2016-522188(JP,A)
【文献】Journal of Crohn's and Colitis,2018年,12(supplement 1),p.S397
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を含む、スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P
1)受容体関連障害を有する個体を治療する方法に使用するための薬学的投与剤であって、
前記スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P
1)受容体関連障害が、自己免疫性疾患または障害、炎症性疾患または障害、強直性脊椎炎、胆汁性肝硬変、癌、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ姓関節炎、クローン病、移植拒絶、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、I型糖尿病、高血圧性腎症、糸球体硬化症、心筋虚血-再灌流傷害、ならびにざ瘡から選択され、
前記方法が、治療を必要とする前記個体に、前記薬学的投与剤を摂食条件で投与することを含み、および
前記薬学的投与剤が0.5~5.0mgの化合物1を含む、
上記薬学的投与剤。
【請求項2】
前記薬学的投与剤が
2.0mgの化合物1を含む、請求項1記載の薬学的投与剤。
【請求項3】
前記方法が、非性特異的である、請求項1または2に記載の薬学的投与剤。
【請求項4】
前記方法が、前記個体を活動性感染症について監視することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的投与剤。
【請求項5】
前記方法が、前記個体が活動性感染症を発症した場合に投与を中止することをさらに含む、請求項4に記載の薬学的投与剤。
【請求項6】
治療することが、臨床応答を誘導および/もしくは維持すること、粘膜の内視鏡的外観を改善すること、ならびに/または臨床寛解を誘導および/もしくは維持すること、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬学的投与剤。
【請求項7】
前記化合物1が、漸増なしで投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬学的投与剤。
【請求項8】
前記方法が、重篤な有害事象をもたらさない、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬学的投与剤。
【請求項9】
前記化合物1が、前記個体において急性心拍数低減または心臓ブロックを実質的に誘導することなく投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬学的投与剤。
【請求項10】
前記S1P
1受容体関連障害が、炎症性腸疾患である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の薬学的投与剤。
【請求項11】
前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項10に記載の薬学的投与剤。
【請求項12】
前記炎症性腸疾患が、中等度~重度活動性潰瘍性大腸炎である、請求項11に記載の薬学的投与剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1またはSIP1)受容体関連障害の治療に有用な方法が提供される。
【0002】
スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体1-5は、7回膜貫通ドメインを持つGタンパク質共役受容体のファミリーを構成する。S1P1~S1P5と呼ばれるこれらの受容体(以前はそれぞれ、内皮分化遺伝子(EDG)受容体-1、-5、-3、-6、および-8と呼ばれていた、Chun et.al.,Pharmacological Reviews,54:265-269,2002)は、スフィンゴシンキナーゼ触媒によるスフィンゴシンのリン酸化によって生成されるスフィンゴシン-1-リン酸による結合を介して活性化される。S1P1、S1P4、およびS1P5受容体は、Giを活性化するが、Gqを活性化せず、S1P2およびS1P3受容体は、GiおよびGqの両方を活性化する。S1P1受容体ではなく、S1P3受容体が、アゴニストに反応して、細胞内カルシウムを増加させる。
【0003】
S1P
1受容体関連障害の治療に有用なS1P
1アゴニストの増加する需要の観点から、化合物(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1、APD334)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物が、
【化1】
重要な新しい化合物として浮上しており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT特許出願第PCT/US2009/004265号を参照されたい。化合物1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物は、スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P
1)受容体関連障害の治療のために意図された治験薬候補である。
【0004】
多くのS1P1アゴニストは、副作用、特に心血管関連有害事象を引き起こし、医師が維持用量までゆっくりと患者に対して漸増(titrate)することを必要とする。この漸増期間は、数週間またはさらに1か月かかり得る。漸増法レジメンの複雑さおよび長さによって、維持用量に達する前に患者が治療を通常より早く中止するか、または医師が他の治療オプションを好む場合があり得る。
【0005】
化合物1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物での治療を必要とする個体を効果的に治療する必要性が存在する。本開示は、この必要性を満たし、関連する利点も提供する。
【0006】
この出願全体を通したいかなる参考文献の引用も、そのような参照が本出願の先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0007】
スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体関連障害を有する個体を治療する方法が提供され、それを必要とする個体に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、または薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を含む薬学的剤形を投与することを含み、薬学的剤形は、約0.8~約1.25の血漿濃度対時間曲線下面積の平均摂食/絶食比、および約0.8~約1.25の最大血漿濃度(Cmax)の平均摂食/絶食比を有する。
【0008】
(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法も提供され、患者は、シトクロムP450 2C8(CYP2C8)阻害剤、シトクロムP450 2C9(CYP2C9)阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤も投与されており、患者に治療有効量のS1P1調節剤を投与することを含み、S1P1調節剤の治療有効量は、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量より少ない。
【0009】
(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法も提供され、患者に治療有効量のS1P1調節剤を投与することと、その後患者がCYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤での治療を開始することを決定することと、S1P1調節剤を、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量より少ない量で投与することと、を含む。
【0010】
(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法も提供され、患者は、膜輸送体の基質も投与されており、膜輸送体は、P-糖タンパク質(Pgp)、BCRP(乳癌耐性タンパク質)、およびOATP1B1から選択され、患者に治療有効量のS1P1調節剤を投与することを含む。
【0011】
R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩および/もしくは同位体バリアントから選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法も提供され、患者に治療有効量のS1P1受容体調節剤を投与することと、その後患者が膜輸送体の基質での治療を開始することを決定することであって、膜輸送体が、P-糖タンパク質(Pgp)、BCRP(乳癌耐性タンパク質)、およびOATP1B1から選択される、決定することと、治療有効量のS1P1受容体調節剤の患者への投与を継続することと、を含む。
【0012】
本明細書に開示される本発明のこれらおよび他の態様は、特許開示が進むにつれてより詳細に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】摂食対絶食条件下で投与された化合物1の錠剤製剤のための平均血漿濃度-時間プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される場合、以下の単語および句は、それらが使用される文脈が特に示す限りを除いて、一般に、以下に記載される意味を有することを意図している。
【0015】
化合物1:本明細書で使用される場合、「化合物1」は、その結晶形を含む(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸を意味する。非限定的な例として、化合物1は、WO2010/011316(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されるように、無水非溶媒和結晶形態として存在し得る。別の非限定的な例として、化合物1のL-アルギニン塩は、WO2010/011316およびWO2011/094008(これらの各々は、その全体が本明細書に参照によって組み込まれる)に記載されるように、無水非溶媒和結晶形態として存在し得る。別の非限定的な例として、化合物1のカルシウム塩は、WO2010/011316(その全体が本明細書に参照によって組み込まれる)に記載されるように、結晶形態として存在し得る。
【0016】
投与すること:本明細書で使用される場合、「投与すること」は、個体が化合物を内在化するように、化合物または他の療法、治療薬、もしくは治療を提供することを意味する。
【0017】
同時投与する:本明細書で使用される場合、「同時投与する(co-administer)」および「同時投与(co-administration)」ならびにそれらの変形は、少なくとも2つの薬物の患者への、その後、同時、または結果的のいずれかで互いに時間的に近接した(例えば、同じ日、または週もしくは30日の期間内の、または少なくとも2つの薬剤の各々を血漿中で同時に検出することができる十分に近接した)投与を意味する。同時投与される場合、2つ以上の活性剤を同じ組成物の一部として同時製剤化するか、または別々の製剤として投与することができる。これはまた、本明細書において「併用」投与またはその変形と呼ばれ得る。
【0018】
処方すること:本明細書で使用される場合、「処方すること」は、薬物または他の療法、治療薬、もしくは治療の使用を指示、許可、または推奨することを指す。いくつかの実施形態において、医療従事者は、化合物、投与レジメン、または他の治療の個体への使用を口頭で助言、推奨、または許可することができる。この場合、医療従事者は、化合物、投与レジメン、または治療についての処方箋を提供してもしなくてもよい。さらに、医療従事者は、推奨される化合物または治療を提供してもしなくてもよい。例えば、医療従事者は、個体に、化合物を提供することなく、どこで化合物を入手するかを助言することができる。いくつかの実施形態において、医療従事者は、化合物、投与レジメン、または治療についての処方箋を個体に提供することができる。例えば、医療従事者は、書面または口頭の処方箋を個体に与えることができる。処方箋は、紙、または例えば、ハンドヘルドコンピュータデバイス上の、コンピュータファイルなどの電子媒体に書き込むことができる。例えば、医療従事者は、化合物、投与レジメン、または治療についての処方箋を有する紙片または電子媒体を変換することができる。加えて、処方箋は、薬局または調剤室に(口頭で)電話するか、(書面で)ファックスするか、またはインターネットを介して電子的に提出することができる。いくつかの実施形態において、化合物の試料または治療を個体に与えることができる。本明細書で使用される場合、化合物の試料を与えることは、化合物についての暗黙の処方箋を構成する。世界中の異なる健康管理システムは、化合物または治療を処方および/または投与するための異なる方法を使用し、これらの方法は、本開示によって包含される。
【0019】
処方箋は、例えば、個体の名前および/または生年月日などの識別情報を含むことができる。加えて、例えば、処方箋は、医薬品名、医薬品強度、用量、投与頻度、投与経路、調剤される数または量、再投薬数、医師名、医師署名などを含むことができる。さらに、例えば、処方箋は、DEA番号および/または状態番号を含むことができる。
【0020】
医療従事者は、例えば、スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体関連障害の治療のための化合物(薬物)を処方または投与することができる医師、看護師、診療看護師、または他の関連する医療専門家を含むことができる。加えて、医療従事者は、例えば、保険業者を含む、個体が化合物または薬物を受けることを推奨、処方、投与、または予防することができる者を含むことができる。
【0021】
予防する(PREVENT)、予防すること(PREVENTING)、または予防(PREVENTION):本明細書で使用される場合、「予防する」、「予防すること」、または「予防」という用語、例えば、スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体関連障害または特定の障害に関連する1つ以上の症状の発生もしくは発症の予防は、必ずしも障害の完全な予防を意味するわけではない。例えば、「予防する」、「予防すること」、および「予防」という用語は、疾患または状態の少なくとも1つの症状を最終的に示し得るが、まだそうしていない個体に対する予防的(prophylactic)または予防的(preventative)な療法の実施を意味する。そのような個体は、疾患のその後の発生と相関することが知られている危険因子に基づいて識別することができる。代替的に、予防療法は、予防手段として、危険因子の事前の識別なしに実施することができる。少なくとも1つの症状の発症を遅らせることも、予防(prevention)または予防(prophylaxis)とみなすことができる。
【0022】
治療する(TREAT)、治療すること(TREATING)、または治療(TREATMENT):本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、または「治療」という用語は、疾患もしくは状態の少なくとも1つの症状を既に示すか、または疾患もしくは状態の少なくとも1つの症状を以前に示した個体への療法の実施を意味する。例えば、「治療すること」は、疾患もしくは状態の症状を軽減すること、減少すること、もしくは改善すること、追加の症状を予防すること、症状を引き起こす根本的な代謝を改善すること、疾患もしくは状態を阻害すること、例えば、疾患もしくは状態の発生を防止すること、疾患もしくは状態を緩和すること、疾患もしくは状態の退行を引き起こすこと、疾患もしくは状態によって引き起こされる状態を緩和すること、または疾患もしくは状態の症状を停止することを含むことができる。例えば、障害に関して「治療すること」という用語は、その特定の障害に関連する1つ以上の症状の重症度の低減を意味する。したがって、障害の治療は、必ずしも障害に関連する全ての症状の重症度の低下を意味するものではなく、障害に関連する1つ以上の症状の重症度の完全な低下を必ずしも意味しない。
【0023】
耐容性がある:本明細書で使用される場合、その個体へのその用量の投与が、許容されない有害事象または許容されない有害事象の組み合わせをもたらさない場合、個体はある用量の化合物に「耐容性がある」と言われる。当業者であれば、耐容性が主観的な尺度であり、1つの個体に耐えられ得るものが異なる個体には耐えられない場合があることを理解するであろう。例えば、1つの個体は、頭痛に耐えられない場合があり、第2の個体は、頭痛には耐えられるが嘔吐には耐えることができない場合があり、第3の個体について、頭痛のみまたは嘔吐のみのいずれかは耐えられるが、個体は、各々の重症度が単独で経験される場合未満であっても、頭痛および嘔吐の組み合わせに耐えることができない。
【0024】
有害事象:本明細書で使用される場合、「有害事象」は、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物による治療に関連する不都合な医学的出来事である。一実施形態において、有害事象は、白血球減少症、便秘、下痢、悪心、腹痛、好中球減少症、嘔吐、腰痛、および月経障害から選択される。一実施形態において、有害事象は、心臓ブロック、例えば、第1度房室心臓ブロックである。一実施形態において、有害事象は、急性心拍数低減である。一実施形態において、有害事象は、80%未満のFEV1、FVCなどの異常な肺機能検査所見である。一実施形態において、有害事象は、ALTおよびASTの>2X ULNの上昇などの異常な肝機能検査である。一実施形態において、有害事象は、黄斑浮腫である。
【0025】
治療を必要とするおよびそれを必要とする:本明細書で使用される場合、「治療を必要とする」および治療に言及する場合の「それを必要とする」は、個体または動物が治療を必要とするか、または治療によって利益を得られるであろうという、介助者(例えば、ヒトの場合、医師、看護師、診療看護婦など、非ヒト哺乳動物を含む動物の場合、獣医師)によって下される判断を意味するように、交換可能に使用される。この判断は、介助者の専門知識の範疇である多様な要因に基づいて行われるが、これには、個体または動物が、本発明の化合物によって治療可能な疾患、状態、または疾患の結果として病気であるか、または病気になるという知識が含まれる。したがって、本発明の化合物は、保護的もしくは予防的方法で使用することができるか、または本発明の化合物は、疾患、状態、もしくは障害を緩和、阻害、もしくは改善するために使用することができる。
【0026】
個体:本明細書で使用される場合、「個体」は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、および最も好ましくはヒトを含む、任意の動物を意味する。いくつかの実施形態において、ヒト個体は、「患者」と呼ばれる。
【0027】
急性心拍数低減:本明細書で使用される場合、「急性心拍数低減」は、例えば、毎分10拍(bpm)以上、例えば、約5bpm未満、例えば、約4bpm未満または約3bpm未満または2bpm未満の、正常洞調律からの心拍数減少を意味し、それは薬物投与後、数時間、例えば、1~3時間以内に最大であり、その後、心拍数は投与前の値に戻る。
【0028】
正常洞調律:本明細書で使用される場合、「正常洞調律」は、治療を受けていないときの個体の洞調律を意味する。正常洞調律の評価は、医師の能力の範囲内である。正常洞調律は、一般的に、60~100bpmの範囲の心拍数をもたらすであろう。
【0029】
用量:本明細書で使用される場合、「用量」は、疾患または障害を1つの特定の時点で治療または予防するために個体に与えられる、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物の量を意味する。
【0030】
標準用量:本明細書で使用される場合、「標準用量」は、疾患または障害を治療または予防するために個体に与えられる、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物の用量を意味する。いくつかの実施形態において、標準用量の投与は、末梢血リンパ球数の目標とする低減、例えば、少なくとも35%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも45%、例えば、少なくとも50%、例えば、少なくとも55%、例えば、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、例えば、少なくとも70%のベースラインの低減を達成する。いくつかの実施形態において、標準用量の投与は、約35%~約70%、例えば、約40%~約65%、例えば、約50%~約65%のベースラインの低減を達成する。いくつかの実施形態において、標準用量の投与は、目標とする末梢血リンパ球数、例えば、マイクロリットル当たり1000個未満のリンパ球、例えば、マイクロリットル当たり400~800個のリンパ球を達成する。目標用量は、治療される疾患の性質および重症度に応じて変動し得る。
【0031】
治療有効量:本明細書で使用される場合、薬剤、化合物、薬物、組成物、または組み合わせの「治療有効量」は、非毒性であり、対象または患者(例えば、ヒト対象または患者)への投与時にいくらかの所望の治療効果を生成するために有効な量である。対象のための正確な治療有効量は、例えば、対象のサイズおよび健康、状態の性質および程度、投与のために選択される治療薬または治療薬の組み合わせ、ならびに当業者に知られている他の変数に依存し得る。所与の状況についての有効量は、日常的な実験によって決定され、臨床医の判断の範囲内である。いくつかの実施形態において、治療有効量は、標準用量である。
【0032】
絶食した個体:本明細書で使用される場合、「絶食した個体」は、いかなる食品も食べていない、すなわち、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物の投与前に、少なくとも6~8時間、例えば、約8時間絶食しており、いかなる食品も食べず、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物の投与後に、少なくとも1時間絶食を継続する個体を意味する。特定の実施形態において、個体はまた、絶食期間中に特定の非食品物質を摂取することを控え得る。例えば、特定の実施形態において、個体は、絶食期間中にいかなるサプリメントおよび/または薬物も摂取しない。特定の実施形態において、個体は、絶食期間中にいかなる高カロリー液体も摂取しない。特定の実施形態において、個体は、絶食期間中に水以外のいかなる液体も摂取しない。特定の実施形態において、個体は、少量の低カロリー飲料、例えば、茶、コーヒー、または希釈ジュースを摂取し得る。
【0033】
メイヨークリニックスコア(MCS):本明細書で使用される場合、「メイヨークリニックスコア」または「MCS」は、潰瘍性大腸炎の疾患活動性を測定するために設計された道具を意味し、最大4つのサブスコア:排便頻度、直腸出血、軟性直腸S状結腸鏡検査の所見、および医師による全般評価からなり、各コンポーネントは、0~3の範囲である(0=正常、1=軽度、2=中等度、3=重度)。したがって、合計スコアは、0~12の範囲であり、より高いスコアは、より重度の疾患を示す。6ポイントメイヨースコアは、電子患者日記を使用して毎日収集される排便頻度および直腸出血PROに基づき、内視鏡検査の所見および医師による全般評価を除外する。3ポイントメイヨースコアは、排便頻度、直腸出血、および内視鏡検査の所見に基づき、0~9の範囲の合計スコアを有する。2ポイントメイヨースコアは、直腸出血および内視鏡検査の所見に基づき、0~6の範囲の合計スコアを有する。医師による全般評価は、MCSの3つの他の基準所見、腹部不快感および一般的な幸福感の個体の毎日の記録、ならびに身体的所見および個体のパフォーマンスなどの他の観察を認める。
【0034】
軽度~中等度活動性潰瘍性大腸炎:本明細書で使用される場合、「軽度~中等度活動性潰瘍性大腸炎」は、4~10の4コンポーネントMCSを特徴とする潰瘍性大腸炎を意味する。
【0035】
中等度~重度活動性潰瘍性大腸炎:本明細書で使用される場合、「中等度~重度活動性潰瘍性大腸炎」は、≧2の内視鏡サブスコアおよび≧1の直腸出血スコアを含む4~9の3コンポーネントMCSを特徴とする潰瘍性大腸炎を意味する。3コンポーネントMCSは、完全MCSの4つのコンポーネントのうちの3つ(内視鏡的所見、直腸出血、および排便頻度)を使用する。
【0036】
臨床寛解:本明細書で使用される場合、潰瘍性大腸炎に関する「臨床寛解」は、以下の3コンポーネントメイヨークリニックスコアを意味する:ベースラインサブスコアから≧1ポイント減少した、0または1の内視鏡検査スコア(軟性直腸S状結腸鏡検査を使用)、0の直腸出血スコア、および0または1の排便頻度スコア。
【0037】
臨床応答:本明細書で使用される場合、潰瘍性大腸炎に関する「臨床応答」は、≧1の直腸出血サブスコアまたは0もしくは1の絶対直腸出血スコアの減少を伴う≧2ポイントの3コンポーネントメイヨークリニックスコアの低減およびベースラインからの≧30%の減少を意味する。
【0038】
内視鏡的改善:本明細書で使用される場合、潰瘍性大腸炎に関する「内視鏡的改善」とは、≦1ポイントのメイヨー内視鏡サブスコア(軟性直腸S状結腸鏡検査の所見を使用)を特徴とする潰瘍性大腸炎を意味する。
【0039】
内視鏡的寛解:本明細書で使用される場合、潰瘍性大腸炎に関する「内視鏡的寛解」は、メイヨークリニックスコア=0の軟性直腸S状結腸鏡検査サブスコアからの所見を特徴とする潰瘍性大腸炎を意味する。
【0040】
直腸出血の改善:本明細書で使用される場合、潰瘍性大腸炎に関する「直腸出血の改善」は、ベースラインからの変化<0を意味する。
【0041】
組織学的治癒/組織学的改善:本明細書で使用される場合、潰瘍性大腸炎に関する「組織学的(histologic)治癒」、「組織学的(histological)治癒」、「組織学的(histologic)改善」、または「組織学的(histological)改善」は、Geboes指数で<3.1のスコアを意味する。
【0042】
組織学的寛解:本明細書で使用される場合、潰瘍性大腸炎に関する「組織学的(histologic)寛解」または「組織学的(histological)寛解」は、Geboes指数で<2.0のスコアを意味する。
【0043】
粘膜治癒:本明細書で使用される場合、「粘膜治癒」は、内視鏡的改善および組織学的寛解の両方である。
【0044】
排便頻度の改善:本明細書で使用される場合、潰瘍性大腸炎に関する「排便頻度の改善」は、ベースラインからの変化<0を意味する。
【0045】
5-アミノサリチル酸塩:本明細書で使用される場合、「5-アミノサリチル酸塩」は、例えば、CANASA(登録商標)(メサラミン)、COLAZAL(登録商標)(バルサラジド二ナトリウム)、ASACOL(登録商標)(メサラミン)、DELZICOL(登録商標)(メサラミン)、およびDIPENTUM(登録商標)(オルサラジン)を含む、薬物のクラスを意味する。
【0046】
免疫抑制剤:本明細書で使用される場合、「免疫抑制剤」は、例えば、AZASAN(登録商標)(アザチオプリン)、IMURAN(登録商標)(アザチオプリン)、GENGRAF(登録商標)(シクロスポリン)、NEORAL(登録商標)(シクロスポリン)、およびSANDIMMUNE(登録商標)(シクロスポリン)を含む、薬物のクラスを意味する。
【0047】
糖質コルチコステロイド:本明細書で使用される場合、「糖質コルチコステロイド」は、例えば、UCERIS(登録商標)(ブデソニド)、DELTASONE(登録商標)(プレドニゾン)、MEDROL(登録商標)(メチルプレドニゾロン)、およびヒドロコルチゾンを含む、薬物のクラスを意味する。
【0048】
TNFαアンタゴニスト:本明細書で使用される場合、「TNFαアンタゴニスト」または「腫瘍壊死因子-αアンタゴニスト」は、例えば、SIMPONI(登録商標)(ゴリムマブ)、REMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)、HUMIRA(登録商標)(アダリムマブ)、およびCIMZIA(登録商標)(セルトリズマブペゴル)を含む、薬物のクラスを意味する。
【0049】
インテグリン受容体アンタゴニスト:本明細書で使用される場合、「インテグリン受容体アンタゴニスト」は、例えば、ENTYVIO(登録商標)(ベドリズマブ)を含む、薬物のクラスを意味する。
【0050】
薬学的組成物:本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」は、これらに限定されないが、化合物1の塩、溶媒和物、および水和物を含む、化合物1などの少なくとも1つの活性成分を含む、組成物を意味し、組成物は、哺乳動物(例えば、限定なしに、ヒト)における特定の有効な転帰についての調査を受けることができる。当業者は、活性成分が当業者の必要に基づいて所望の有効な結果を有するかどうかを決定するために適切な技術を理解し、認識するであろう。
【0051】
アゴニスト:本明細書で使用される場合、「アゴニスト」は、S1P1受容体などのGタンパク質共役受容体と相互作用し、それを活性化する部分を意味し、それによって、その受容体に特徴的な生理学的または薬理学的応答を開始することができる。例えば、アゴニストは、受容体への結合時に細胞内応答を活性化するか、または膜へのGTP結合を増強する。特定の実施形態において、本発明のアゴニストは、持続的なS1P1受容体の内在化を促進することができるS1P1受容体アゴニストである(例えば、Matloubian et al.,Nature,427,355,2004を参照されたい)。
【0052】
アンタゴニスト:本明細書で使用される場合、「アンタゴニスト」は、アゴニスト(例えば、内因性リガンド)と同じ部位で受容体に競合的に結合するが、受容体の活性形態によって開始される細胞内応答を活性化しない部分を意味し、それによって、アゴニストまたは部分アゴニストによる細胞内応答を阻害することができる。アンタゴニストは、アゴニストまたは部分アゴニストの不在下で、ベースライン細胞内応答を減少させない。
【0053】
インバースアゴニスト:本明細書で使用される場合、「インバースアゴニスト」は、受容体の内因性形態もしくは受容体の構成的に活性化された形態に結合し、アゴニストもしくは部分アゴニストの不在下で観察される活動性の正常ベースレベル未満の受容体の活性形態によって開始されるベースライン細胞内応答を阻害するか、または膜へのGTP結合を減少させる部分を意味する。いくつかの実施形態において、ベースライン細胞内応答は、インバースアゴニストの存在下で少なくとも30%阻害される。いくつかの実施形態において、ベースライン細胞内応答は、インバースアゴニストの存在下で少なくとも50%阻害される。いくつかの実施形態において、ベースライン細胞内応答は、インバースアゴニストの不在下でのベースライン応答と比較して、インバースアゴニストの存在下で少なくとも75%阻害される。
【0054】
水和物:本明細書で使用される場合、「水和物」は、非共有結合分子間力によって結合された化学量論または非化学量論量の水をさらに含む、本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0055】
安全性集団:本明細書で使用される場合、「安全性集団」は、試験薬を受けた全てのランダム化された対象を意味する。
【0056】
溶媒和物:本明細書で使用される場合、「溶媒和物」は、非共有結合分子間力によって結合された化学量論または非化学量論量の溶媒をさらに含む、本発明の化合物またはその塩を意味する。好ましい溶媒は、揮発性、非毒性、および/または微量のヒトへの投与に許容されるものである。
【0057】
本発明による化合物は、任意選択的に、無機酸および有機酸を含む薬学的に許容可能な非毒性酸から調製される薬学的に許容可能な酸付加塩を含む薬学的に許容可能な塩として存在し得る。代表的な酸としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Berge et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19(1977)によって列挙された薬学的に許容可能な塩など、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
酸付加塩は、化合物合成の直接生成物として得られ得る。代替では、遊離塩基は、好適な酸を含有する好適な溶媒に溶解され、塩は、溶媒を蒸発させるか、または別様に塩および溶媒を分離することによって単離され得る。本発明の化合物は、当業者に知られている方法を使用して標準的な低分子量溶媒で溶媒和物を形成し得る。
【0059】
化合物1を指すときに「薬学的に許容される塩、溶媒和物、および水和物」という句または「薬学的に許容される塩、溶媒和物、または水和物」という句が使用される場合、それは、化合物1の薬学的に許容される溶媒和物および/または水和物、化合物1の薬学的に許容される塩、ならびに化合物1の薬学的に許容される塩の薬学的に許容される溶媒和物および/または水和物を包含することが理解される。塩である化合物1を指すときに「薬学的に許容される溶媒和物および水和物」という句または「薬学的に許容される溶媒和物または水和物」という句が使用される場合、それは、そのような塩の薬学的に許容される溶媒和物および/または水和物を包含することも理解される。
【0060】
本明細書に記載される剤形が、活性成分として、化合物1もしくは薬学的に許容される塩のいずれか、またはその溶媒和物もしくは水和物として含み得ることは当業者には明らかであろう。さらに、化合物1およびそれらの塩の様々な水和物および溶媒和物は、薬学的組成物の製造において中間体として使用される。本明細書に言及されるもの以外の好適な水和物および溶媒和物を作製および識別するための典型的な手順は、当業者に周知であり、例えば、Polymorphism in Pharmaceutical Solids,ed.Harry G.Britain,Vol.95,Marcel Dekker,Inc.,New York,1999中のK.J.Guillory,“Generation of Polymorphs,Hydrates,Solvates,and Amorphous Solids”の202-209ページを参照されたい。したがって、本開示の一態様は、当該技術分野で既知の方法、例えば、熱重量分析(TGA)、TGA-質量分析、TGA-赤外分光法、粉末X線回折(XRPD)、カールフィッシャー滴定、高分解能X線回折などによって単離および特徴付けすることができる、化合物1および/またはその薬学的に許容される塩の水和物および溶媒和物を処方および/または投与する方法に関する。溶媒和物および水和物を日常的に識別するための迅速かつ効率的なサービスを提供するいくつかの商業的実体が存在する。これらのサービスを提供する企業の例としては、Wilmington PharmaTech(Wilmington、DE)、Avantium Technologies(Amsterdam)、およびAptuit(Greenwich、CT)が挙げられる。
【0061】
本開示は、本化合物、塩、溶媒和物、および水和物で生じる原子の全ての同位体を含む。同位体には、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子が含まれる。本発明の一態様は、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子で置換された本化合物、塩、溶媒和物、および水和物における1つ以上の原子のあらゆる組み合わせを含む。1つのそのような例は、本化合物、塩、溶媒和物、および水和物のうちの1つに見られる、1Hまたは12Cなどの最も天然に豊富な同位体である原子の、2Hもしくは3H(1Hを置換)、または11C、13C、もしくは14C(12Cを置換)などの最も天然に豊富な同位体ではない異なる原子での置換である。そのような置換が行われた場合、一般に、同位体標識されていると呼ばれる。本化合物、塩、溶媒和物、および水和物の同位体標識は、当業者に既知の様々な異なる合成方法のいずれか1つを使用して達成することができ、彼らはそのような同位体標識を実施するために必要な合成方法および利用可能な試薬を理解すると容易に考えられる。一般的な例として、限定するものではないが、水素の同位体には、 2H(重水素)および3H(トリチウム)が含まれる。炭素の同位体には、 11C、 13Cおよび14Cが含まれる。窒素の同位体には、 13Nと15Nが含まれる。酸素の同位体には、 15O、 17Oおよび18Oが含まれる。フッ素の同位体には、 18Fが含まれる。硫黄の同位体には、35Sが含まれる。塩素の同位体には、36Clが含まれる。臭素の同位体には、75Br、76Br、77Br、および82Brが含まれる。ヨウ素の同位体には、123I、124I、125I、および131Iが含まれる。本発明の別の態様は、本化合物、塩、溶媒和物、および水和物のうちの1つ以上を含む、合成、プレフォーミュレーションなどの間に調製されたものなどの組成物、および本明細書に記載される障害の1つ以上の治療のために哺乳動物に使用することを目的として調製されたものなどの薬学的組成物を含み、組成物中の同位体の天然に存在する分布が摂動されている。本発明の別の態様は、本明細書に記載される化合物、塩、溶媒和物、および水和物を含む組成物および薬学的組成物を含み、塩が最も天然に豊富な同位体以外の同位体で1つ以上の位置で濃縮されている。そのような同位体の摂動または濃縮を質量分析法などで測定する方法は容易に利用可能であり、放射性同位体である同位体については、HPLCまたはGCに関連して使用される無線検出器などの追加の方法が利用可能である。
【0062】
本発明の化合物は、「プロドラッグ」に変換することができる。「プロドラッグ」という用語は、当該技術分野において知られている特定の化学基で修飾され、個体に投与されるとき生体内変化を受けて親化合物を与える化合物を意味する。したがって、プロドラッグは、化合物の特性を変更または排除するために一時的に使用される1つ以上の特殊化された非毒性保護基を含有する本発明の化合物とみなすことができる。1つの一般的な態様において、「プロドラッグ」アプローチは、経口吸収を容易にするために利用される。徹底的な議論は、T.Higuchi and V.Stella,Prodrugs as Novel Delivery Systems Vol.14 of the A.C.S. Symposium SeriesおよびBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987において提供され、それらの両方は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
AUC:本明細書で使用される場合、「AUC」は、投与事象後の経時的な活性薬学的成分または代謝産物の血漿濃度の、曲線下面積、または積分を指す。
【0064】
AUC0-t:本明細書で使用される場合、「AUC0-t」は、時間0(投与)から時間「t」までの血漿濃度曲線下の積分である。
【0065】
AUC0-∞:本明細書で使用される場合、「AUC0-∞」は、時間0(投与)から時間無限大までのAUCである。特に記載されない限り、AUCは、AUC0-∞を指す。
【0066】
Cmax:本明細書で使用される場合、Cmax(またはCmax)は、活性薬学的成分の送達後に観察される最大血漿濃度を示す薬物動態パラメータである。Cmaxは、最大血漿濃度の時間、tmaxで発生する。
【0067】
tmax:本明細書で使用される場合、「tmax」は、活性薬学的成分の送達後の最大血漿濃度までの時間を示す薬物動態パラメータである。
【0068】
t1/2:本明細書で使用される場合、「t1/2」または「血漿半減期」または「排出半減期」などは、見かけの血漿終末相半減期、すなわち、薬物の吸収および分布が完了した後、血漿濃度が半分に低下するまでの時間を示す薬物動態パラメータである。
【0069】
本明細書で使用される場合、「狭い治療指数を有する物質」は、米国食品医薬品局またはその後継機関によって公布された狭い治療指数の任意の定義に該当する物質、例えば、半数致死量(LD50)および半数有効量(ED50)値において2倍未満の差を有するか、または血中の最小毒性濃度および最小有効濃度において2倍未満の差を有し、物質の安全で効果的な使用には注意深い漸増(titration)および患者モニタリングを必要とする、物質を意味する。
【0070】
本明細書で使用される場合、物質は、物質に対する酵素の作用によって化学的に変換され得る場合、酵素活性の「基質」である。「酵素活性」は、酵素の比活性(すなわち、酵素が酵素の1mgまたは1モル当たりの基質を変換する速度)、およびそのような変換の代謝効果を広く指す。したがって、物質は、酵素の比活性または比活性の代謝効果を、そのような減少の正確なメカニズムに関係なく、物質の存在によって減少させることができる場合、酵素活性の「阻害剤」である。例えば、物質は、酵素の発現を減少させること、または他の直接もしくは間接メカニズムによる、競合的、非競合的、アロステリック、または他のタイプの酵素阻害による酵素活性の阻害剤であり得る。同様に、物質は、酵素の比活性または比活性の代謝効果を、そのような増加の正確なメカニズムに関係なく、物質の存在によって増加させることができる場合、酵素活性の「誘導剤」である。例えば、物質は、反応速度を増加させることによって、酵素の発現を増加させることによって、アロステリック活性化、または他の直接もしくは間接メカニズムによって、酵素活性の誘導剤であり得る。酵素活性に対するこれらの効果のいずれも、臨床的有意性に関係なく、単一の試料、ドナー、または患者における所与の濃度の活性剤で発生し得る。物質は、酵素活性の基質、阻害剤、または誘導剤である可能性がある。例えば、物質は、1つのメカニズムによる酵素活性の阻害剤であり、別のメカニズムによる酵素活性の誘導剤であり得る。酵素の活性に関する物質の機能(基質、阻害剤、または誘導剤)は、環境条件に依存し得る。CYP3A4の阻害剤、誘導剤、および基質のリストは、例えば、http://www.genemedrx.com/Cytochrome_P450_Metabolism_Table.php、および他のサイトで見つけることができる。
【0071】
本明細書に開示される方法で整数が使用される場合、「約」という用語は、整数の前に挿入することができる。
【0072】
本明細書全体を通して、文脈が別段に要求しない限り、「含む」という語、または「含む」または「含むこと」などの変形は、任意の他のステップもしくは要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群の除外ではなく、記載されるステップもしくは要素もしくは整数、またはステップもしくは要素もしくは整数の群の包含を意味すると理解されるであろう。
【0073】
本明細書全体を通して、特に明記されない限り、または文脈が別段に要求しない限り、単一のステップ、組成物、ステップの群、または組成物の群への言及は、1つおよび複数(すなわち、1つ以上)のそれらのステップ、組成物、ステップの群、または組成物の群を包含すると解釈されるものとする。
【0074】
本明細書に記載される各実施形態は、特に明記されない限り、必要な変更を加えて、それぞれ全ての他の実施形態に適用されるものとする。
【0075】
当業者であれば、本明細書に記載される本発明(複数可)が、具体的に記載されるもの以外の変形および修正を受けやすいことを理解するであろう。本発明(複数可)は全てのそのような変形および修正を含むことが理解されたい。本発明(複数可)はまた、本明細書で個別にまたは集合的に言及または示される全てのステップ、特徴、組成物、および化合物、ならびに特に明記されない限り、当該ステップまたは特徴の任意および全ての組み合わせまたは任意の2つ以上を含む。
【0076】
本発明(複数可)は、例示のみの目的を意図する、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。機能的に同等の製品、組成物、および方法は、明らかに本明細書に記載される本発明(複数可)の範囲内である。
【0077】
別個の実施形態の文脈で、明瞭さのために、記載される本発明(複数可)の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明(複数可)の様々な特徴は、別々に、または任意の好適な部分的組み合わせで提供することもできる。例えば、化合物1またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物を処方および/または投与することを挙げる方法は、2つの方法、化合物1またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物を処方することを挙げる1つの方法、および化合物1またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物を投与することを挙げる他の方法に分けることができる。加えて、例えば、化合物1またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物を処方することを挙げる方法、および化合物1またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物を投与することを挙げる本発明の別の方法を、化合物1またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物を処方および/または投与することを挙げる単一の方法に組み合わせることができる。
【0078】
化合物1を別の薬物と同時投与する方法が本明細書に提供される。別の薬物と同時投与される場合に化合物1の投与量を低減する方法も本明細書に提供される。化合物1と同時投与される場合に別の薬物の投与量を低減する方法も本明細書に提供される。個体に別の薬物が投与される場合に化合物1の投与を中止する方法も本明細書に提供される。個体に化合物1が投与される場合に別の薬物の投与を中止する方法も本明細書に提供される。個体に別の薬物が投与される場合に化合物1の投与を継続する方法も本明細書に提供される。個体に化合物1が投与される場合に別の薬物の投与を継続する方法も本明細書に提供される。化合物1および別の薬物が同時投与される個体を監視する方法も本明細書に提供される。別の薬物と同時投与される場合に化合物1の投与量を漸増する方法も本明細書に提供される。化合物1と同時投与される場合に別の薬物の投与量を漸増する方法も本明細書に提供される。前述の方法の組み合わせを伴う方法も本明細書で提供される。
【0079】
スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体関連障害を有する個体を治療する方法が提供され、それを必要とする個体に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、または薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を含む薬学的剤形を投与することを含み、薬学的剤形は、約0.8~約1.25の血漿濃度対時間曲線下面積の平均摂食/絶食比、および約0.8~約1.25の最大血漿濃度(Cmax)の平均摂食/絶食比を有する。
【0080】
(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法も提供され、患者は、シトクロムP450 2C8(CYP2C8)阻害剤、シトクロムP450 2C9(CYP2C9)阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤も投与されており、患者に治療有効量のS1P1調節剤を投与することを含み、S1P1調節剤の治療有効量は、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量より少ない。
【0081】
(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法も提供され、患者に治療有効量のS1P1調節剤を投与することと、その後患者がCYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤での治療を開始することを決定することと、S1P1調節剤を、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量より少ない量で投与することと、を含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、方法は、患者または医療従事者に、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤も投与されている患者へのS1P1調節剤の投与が、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤が投与されていない患者へのS1P1調節剤の投与よりも高いS1P1調節剤の曝露をもたらすことを通知することをさらに含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、方法は、患者または医療従事者に、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤も投与されている患者へのS1P1調節剤の投与が、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤が投与されていない患者へのS1P1調節剤の投与よりも1つ以上の曝露関連有害反応のリスクの増加をもたらし得ることを通知することをさらに含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、患者はまた、CYP2C8阻害剤が投与されている。いくつかの実施形態において、患者はまた、CYP2C9阻害剤が投与されている。いくつかの実施形態において、患者はまた、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤が投与されている。いくつかの実施形態において、患者はまた、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤が投与されている。
【0085】
いくつかの実施形態において、CYP2C8阻害剤は、ゲムフィブロジル、リトナビル、クロピドグレル、ロピナビル、デフェラシロクス、ラパチニブ、トリメトプリム、チアゾリジンジオン、モンテルカスト、ケルセチン、カンデサルタンシレキセチル(カンデサルタンのシクロヘキシルカーボネートエステルプロドラッグ)、ザフィルルカスト、クロトリマゾール、フェロジピン、モメタゾンフロエート、サルメテロール、ラロキシフェン、フェノフィブレート、リトナビル、レボチロキシン、タモキシフェン、ロラタジン、オキシブチニン、メドロキシプロゲステロン、シムバスタチン、ケトコナゾール、エチニルエストラジオール、スピロノラクトン、ロバスタチン、ニフェジピン、またはイルベサルタンである。いくつかの実施形態において、CYP2C8阻害剤は、ゲムフィブロジルである。
【0086】
いくつかの実施形態において、CYP2C9阻害剤は、アミオダロン、ジスルフラム、ドキシフルリジン、エファビレンズ、フルコナゾール、イマチニブ、レフルオノミド、メトロニダゾール、ミコナゾール、フェニトイン、スルファメトキサゾール、スルファペナゾン、シルデナフィル、ザフィルルカスト、バルデコキシブ、ジクロフェナク、ボリコナゾール、タモキシフェン、ロサルタン、ワルファリン、エトドラク、メフェナミン酸、メロキシカム、スプロフェン、イルベサルタン、イブプロフェン、フルバスタチン、セルトラリン、フルボキサミン、パントプラゾール、ロシグリタゾン、ランソプラゾール、リトナビル、ニカルジピン、アプレピタント、デラビルジン、デスロラタジン、グリブリド、ケトコナゾール、ゲムフィブロジル、アセノクマロール、アバシミベ、ロスバスタチン、ロバスタチン、シムバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、キニン、クロザピン、またはジアゼパムである。いくつかの実施形態において、CYP2C9阻害剤は、フルコナゾールである。いくつかの実施形態において、CYP2C9阻害剤は、ゲムフィブロジルである。
【0087】
いくつかの実施形態において、CYP2C9阻害剤は、チクロピジン、オメプラゾール、パロキセチン、バルサルタン、ボルテゾミブ、バルプロン酸、ネビラピン、アゼラスチン、ロルノキシカム、フェノフィブレート、イソニアジド、フェニルブタゾン、プロベネシド、スルファフェナゾール、テニポシド、エトラビリン、スルファジアジン、スルフィンピラゾン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、レフルノミド、ニロチニブ、ピリメタミン、ソラフェニブ、カペシタビン、フルオロウラシル、シタキセンタン、トラニルシプロミン、アミノフェナゾン、クロピドグレル、ベラパミル、エトリコキシブ、プロポフォール、ケトプロフェン、セラトロダスト、スルファモキソール、アムロジピン、アモジアキン、アナストロゾール、アトバコン、クロラムフェニコール、シクロスポリン、シメチジン、クロトリマゾールコカイン、コルヒチン、コレカルシフェロール、シクリジン、デキスフェンフルラミン、デキストロプロポキシフェン、ジクマロール、ジルチアゼム、ジスルフィラム、エピネフリン、エプロサルタン、エタノール、フェロジピン、フレカイニド、ヒスタミン、インジナビル、ロピナビル、ロラタジン、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、メタゾラミド、モクロベミド、モダフィニル、ネルフィナビル、ニフェジピン、ニルタミド、ニルバジピン、オランザピン、フェンテルミン、ピオグリタゾン、プランルカスト、プラバスタチン、プロメタジン、プロパフェノン、キニジン、ルチン、サキナビル、セレギリン、スルファジメトキシン、スルファメチゾール、スルファニルアミド、スルファピリジン、テガセロド、メチマゾール、チオリダジン、チオコナゾール、トルカポン、トリアゾラム、トログリタゾン、ビカルタミド、ラベプラゾール、アルモダフィニル、ジエチルスチルベストロール、アゴメラチン、ノスカピン、クレビジピン、シスプラチン、ヒト血清アルブミン、スルコナゾール、ビスモデギブ、レゴラフェニブ、ゲフィチニブ、パレコキシブ、ルマカフトール、アビラテロン、チカグレロール、セリチニブ、フロクスウリジン、クリサボロールミドスタウリン、ベリノスタット、リフィテグラスト、レイン、ジアセレイン、ドコネキセント、トピロキソスタット、ズカプサイシン、スチリペントール、ロべグリタゾン、ドスレピン、ベンズブロマロン、マニジピン、エナシデニブ、カンデサルタン、ルカパリブ、イザブコナゾール、シミシフガラセモース、ナビロン、アセチルスルフィソキサゾール、またはクルクミンである。
【0088】
いくつかの実施形態において、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤は、アデニン、プロポフォール、インドメタシン、ニロチニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、フルニトラゼパム、エルロチニブ、ソラフェニブ、エナシデニブ、ピブレンタスビル、グレカプレビル、ルカパリブ、エルツグリフロジン、またはフォスタマチニブである。
【0089】
いくつかの実施形態において、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤は、トログリタゾンである。
【0090】
いくつかの実施形態において、UGT基質は、ジクロフェナクである。
【0091】
(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法も提供され、患者は、膜輸送体の基質も投与されており、膜輸送体は、P-糖タンパク質(Pgp)、BCRP(乳癌耐性タンパク質)、およびOATP1B1から選択され、患者に治療有効量のS1P1調節剤を投与することを含む。
【0092】
(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩および/もしくは同位体バリアントから選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法も提供され、患者に治療有効量のS1P1受容体調節剤を投与することと、その後患者が膜輸送体の基質での治療を開始することを決定することであって、膜輸送体が、P-糖タンパク質(Pgp)、BCRP(乳癌耐性タンパク質)、およびOATP1B1から選択される、決定することと、治療有効量のS1P1受容体調節剤の患者への投与を継続することと、を含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、方法は、膜輸送体の基質に関連する毒性および臨床応答の徴候および症状について患者を監視することをさらに含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、方法は、膜輸送体の基質に関する1つ以上の曝露関連有害反応に耐容性である患者の能力に基づいて、患者に投与される膜輸送体の基質の量を低減することをさらに含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、方法は、患者または医療従事者に、S1P1受容体調節剤および膜輸送体の基質の同時投与が、膜輸送体の基質の曝露の増加をもたらし得ることを通知することをさらに含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、方法は、患者または医療従事者に、S1P1受容体調節剤および膜輸送体の基質の同時投与が、膜輸送体の基質に関連する1つ以上の曝露関連有害反応のリスクの増加をもたらし得ることを通知することをさらに含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、毒性および臨床応答の徴候および症状について監視することは、膜輸送体の基質の血清濃度を監視することを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、毒性および臨床応答の徴候および症状について監視することは、患者が、膜輸送体の基質の血清濃度に関連する1つ以上の曝露関連有害反応を経験するかを決定することを含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、毒性および臨床応答の徴候および症状について監視することは、膜輸送体の基質の有効性を監視することを含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、膜輸送体は、P-糖タンパク質(Pgp)である。いくつかの実施形態において、膜輸送体は、BCRP(乳癌耐性タンパク質)である。いくつかの実施形態において、膜輸送体は、OATP1B1である。
【0101】
いくつかの実施形態において、膜輸送体は、P-糖タンパク質である。いくつかの実施形態において、膜輸送体の基質は、ジゴキシン、ロペラミド、ベルベリン、イリノテカン、ドキソルビシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、およびフェキソフェナジンから選択される。
【0102】
いくつかの実施形態において、膜輸送体は、BCRPである。いくつかの実施形態において、膜輸送体の基質は、ミトキサントロン、メトトレキサート、トポテカン、イマチニブ、イリノテカン、スタチン、硫酸抱合体、およびポルフィリンから選択される。
【0103】
いくつかの実施形態において、膜輸送体は、OATP1B1である。いくつかの実施形態において、膜輸送体の基質は、ブロモスルホフタレイン、エストロン-3-硫酸塩、エストラジオール-17β-グルクロニド、スタチン、レパグリニド、バルサルタン、オルメサルタン、ビリルビングルクロニド、ビリルビン、および胆汁酸から選択される。いくつかの実施形態において、膜輸送体の基質は、リファンピンである。
【0104】
いくつかの実施形態において、膜輸送体は、OATP1B3である。いくつかの実施形態において、膜輸送体の基質は、リファンピンである。
【0105】
いくつかの実施形態において、剤形は、絶食条件下で投与される。いくつかの実施形態において、剤形は、摂食条件下で投与される。
【0106】
いくつかの実施形態において、方法は、非性特異的である。
【0107】
いくつかの実施形態において、個体は、経口コルチコステロイドおよびアミノサリチル酸塩から独立して選択される1つ以上の薬剤も投与されている。
【0108】
いくつかの実施形態において、個体は、ナタリズマブ、エファリズマブ、およびリツキシマブから独立して選択される1つ以上の薬剤が投与されていない。いくつかの実施形態において、化合物1の投与は、個体にナタリズマブ、エファリズマブ、およびリツキシマブから独立して選択される1つ以上の薬剤が投与されている場合、開始されない。いくつかの実施形態において、化合物1の投与は、個体にナタリズマブ、エファリズマブ、およびリツキシマブから独立して選択される1つ以上の薬剤が投与されている場合、中止される。いくつかの実施形態において、化合物1の用量は、個体にナタリズマブ、エファリズマブ、およびリツキシマブから独立して選択される1つ以上の薬剤が投与されている場合、低減される。いくつかの実施形態において、個体は、生物学的薬剤が投与されていなかった。いくつかの実施形態において、個体は、2つ以上の生物学的薬剤が投与されていなかった。いくつかの実施形態において、個体は、3つ以上の生物学的薬剤が投与されていなかった。いくつかの実施形態において、個体は、生物学的薬剤が投与されていない。いくつかの実施形態において、個体は、2つ以上の生物学的薬剤が投与されていない。いくつかの実施形態において、個体は、3つ以上の生物学的薬剤が投与されていない。
【0109】
いくつかの実施形態において、標準用量は、漸増なしで投与され、個体は、重度の関連有害事象を経験しない。
【0110】
いくつかの実施形態において、治療有効量は、個体が活動性感染症を有さない場合、約0.5~約5.0mgの化合物1に相当する。いくつかの実施形態において、化合物1は、個体が活動性感染症を有する場合、個体1に投与されない。いくつかの実施形態において、活動性感染症は、重篤な活動性感染症である。いくつかの実施形態において、方法は、個体を活動性感染症について監視することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、個体が活動性感染症を発症した場合、投与を中止することをさらに含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、方法は、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物の投与中に有害事象について監視することと、任意選択的に、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物の投与を中断または終了することと、をさらに含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、治療は、投与中に心拍数を監視すること、投与中に肺機能を監視すること、または投与中に肝機能を監視することをさらに含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、治療は、投与中に心拍数を監視することをさらに含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、治療は、投与中に肺機能を監視することをさらに含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、治療は、投与中に肝機能を監視することをさらに含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、方法は、スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体関連障害の治療に起因する有害事象の発生率および重症度を低減する。
【0117】
いくつかの実施形態において、有害事象は、重篤な有害事象である。
【0118】
いくつかの実施形態において、重篤な有害事象は、白血球減少症、便秘、下痢、悪心、腹痛、好中球減少症、嘔吐、腰痛、および月経障害から選択される。
【0119】
いくつかの実施形態において、方法は、重篤な有害事象をもたらさない。
【0120】
いくつかの実施形態において、標準用量は、個体において急性心拍数低減または心臓ブロックを実質的に誘導することなく投与される。
【0121】
いくつかの実施形態において、化合物1は、心拍数の6bpmを超える低減を引き起こすことなく投与される。
【0122】
いくつかの実施形態において、化合物1は、他のS1P受容体調節剤で見られる心拍数に対する初回用量効果なしに投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、他のS1P受容体調節剤で見られるAV伝導に対する初回用量効果なしに投与される。
【0123】
いくつかの実施形態において、個体は、TNFアンタゴニスト、インテグリンアンタゴニスト、および免疫抑制剤から選択される少なくとも1つの薬剤が以前に投与された。
【0124】
いくつかの実施形態において、個体は、少なくとも1つの薬剤との不十分な応答を有したか、これに対する応答を喪失したか、またはこれに対して不耐性であった。
【0125】
いくつかの実施形態において、個体は、以前の3か月の期間にわたって、経口5-アミノサリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制剤、TNFαアンタゴニスト、およびインテグリンアンタゴニストから選択される少なくとも1つの薬剤に対する不十分な応答、応答の喪失、または不耐性を示していた。いくつかの実施形態において、個体は、以前の6か月の期間にわたって、経口5-アミノサリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制剤、TNFαアンタゴニスト、およびインテグリンアンタゴニストから選択される少なくとも1つの薬剤に対する不十分な応答、応答の喪失、または不耐性を示していた。いくつかの実施形態において、個体は、以前の9か月の期間にわたって、経口5-アミノサリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制剤、TNFαアンタゴニスト、およびインテグリンアンタゴニストから選択される少なくとも1つの薬剤に対する不十分な応答、応答の喪失、または不耐性を示していた。いくつかの実施形態において、個体は、以前の1年の期間にわたって、経口5-アミノサリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制剤、TNFαアンタゴニスト、およびインテグリンアンタゴニストから選択される少なくとも1つの薬剤に対する不十分な応答、応答の喪失、または不耐性を示していた。いくつかの実施形態において、個体は、以前の2年の期間にわたって、経口5-アミノサリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制剤、TNFαアンタゴニスト、およびインテグリンアンタゴニストから選択される少なくとも1つの薬剤に対する不十分な応答、応答の喪失、または不耐性を示していた。いくつかの実施形態において、個体は、以前の3年の期間にわたって、経口5-アミノサリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制剤、TNFαアンタゴニスト、およびインテグリンアンタゴニストから選択される少なくとも1つの薬剤に対する不十分な応答、応答の喪失、または不耐性を示していた。いくつかの実施形態において、個体は、以前の4年の期間にわたって、経口5-アミノサリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制剤、TNFαアンタゴニスト、およびインテグリンアンタゴニストから選択される少なくとも1つの薬剤に対する不十分な応答、応答の喪失、または不耐性を示していた。いくつかの実施形態において、個体は、以前の5年の期間にわたって、経口5-アミノサリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制剤、TNFαアンタゴニスト、およびインテグリンアンタゴニストから選択される少なくとも1つの薬剤に対する不十分な応答、応答の喪失、または不耐性を示していた。
【0126】
いくつかの実施形態において、標準用量は、漸増なしで投与される。
【0127】
いくつかの実施形態において、個体は、標準用量が投与される前に絶食している。
【0128】
いくつかの実施形態において、治療することは、臨床応答を誘導および/もしくは維持すること、粘膜の内視鏡的外観を改善すること、ならびに/または臨床寛解を誘導および/もしくは維持すること、を含む。
【0129】
いくつかの実施形態において、治療することは、組織学的改善を誘導および/または維持することを含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、治療することは、組織学的寛解を誘導および/または維持することを含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、治療することは、粘膜治癒を誘導および/または維持することを含む。
【0132】
いくつかの実施形態において、投与前に、個体は、少なくとも6の3コンポーネントメイヨークリニックスコアを有する。
【0133】
いくつかの実施形態において、方法は、個体の3コンポーネントメイヨークリニックスコアの改善をもたらす。いくつかの実施形態において、方法は、個体の2コンポーネントメイヨークリニックスコアの改善をもたらす。いくつかの実施形態において、方法は、個体のトータルメイヨークリニックスコアの改善をもたらす。
【0134】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、内視鏡的改善、例えば、粘膜の内視鏡的外観の改善をもたらす。
【0135】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、臨床寛解を誘導することをもたらす。炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、臨床寛解を維持することをもたらす。炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、臨床寛解を誘導および維持することをもたらす。
【0136】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、臨床応答を誘導することをもたらす。炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、臨床応答を維持することをもたらす。炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、臨床応答を誘導および維持することをもたらす。
【0137】
いくつかの実施形態において、治療は、個体におけるリンパ球数を少なくとも40%低減する。いくつかの実施形態において、治療は、個体におけるリンパ球数を少なくとも45%、50%、55%、60%、または65%低減する。
【0138】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、コルチコステロイドフリー寛解をもたらす。
【0139】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、内視鏡的寛解をもたらす。
【0140】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、直腸出血の改善をもたらす。
【0141】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、組織学的治癒をもたらす。
【0142】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、排便頻度の改善をもたらす。
【0143】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、便中カルプロテクチンのレベルのレベルを監視することをさらに含む。
【0144】
炎症性腸疾患、例えば、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎などの潰瘍性大腸炎の治療方法のいくつかの実施形態において、治療は、c-反応性タンパク質(CRP)のレベルのレベルを監視することをさらに含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、治療することは、潰瘍性大腸炎の徴候および/または症状を低減することである。いくつかの実施形態において、治療することは、潰瘍性大腸炎の徴候を低減することである。いくつかの実施形態において、治療することは、潰瘍性大腸炎の症状を低減することである。いくつかの実施形態において、治療することは、クローン病の徴候および/または症状を低減することである。いくつかの実施形態において、治療することは、クローン病の徴候を低減することである。いくつかの実施形態において、治療することは、クローン病の症状を低減することである。
【0146】
いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解を誘導および/または維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解を誘導および維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解および/または臨床応答を誘導および/または維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解および臨床応答を誘導および維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解および/または臨床応答を誘導することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解および/または臨床応答を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解および臨床応答を誘導することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解および臨床応答を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解および/または粘膜治癒を誘導および/または維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解および粘膜治癒を誘導および維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、粘膜治癒を誘導および維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解を誘導および維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解を誘導することである。いくつかの実施形態において、治療することは、粘膜治癒を誘導することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床寛解を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、粘膜治癒を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、誘導レスポンダーにおいて臨床寛解を達成および/または持続することである。いくつかの実施形態において、治療することは、誘導レスポンダーにおいて臨床寛解を達成および持続することである。いくつかの実施形態において、治療することは、誘導レスポンダーにおいて臨床寛解を達成することである。いくつかの実施形態において、治療することは、誘導レスポンダーにおいて臨床寛解を持続することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床応答を誘導および/または維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床応答を誘導および維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床応答を誘導することである。いくつかの実施形態において、治療することは、臨床応答を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、内視鏡的改善を誘導することである。いくつかの実施形態において、治療することは、内視鏡的改善を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、内視鏡的改善の達成である。いくつかの実施形態において、治療することは、内視鏡的寛解を改善することである。いくつかの実施形態において、治療することは、内視鏡的寛解を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、組織学的治癒を誘導することである。いくつかの実施形態において、治療することは、組織学的治癒を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、排便頻度を改善することである。いくつかの実施形態において、治療することは、排便頻度の改善を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、粘膜の内視鏡的外観を改善することである。いくつかの実施形態において、治療することは、粘膜の内視鏡的改善を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、誘導中に粘膜の内視鏡的外観を改善することである。いくつかの実施形態において、治療することは、コルチコステロイド使用の必要性を排除する。いくつかの実施形態において、治療することは、コルチコステロイド使用の低減を可能にする。いくつかの実施形態において、治療することは、より低用量のコルチコステロイドの使用を可能にする。いくつかの実施形態において、治療することは、コルチコステロイドフリー寛解を達成することである。いくつかの実施形態において、治療することは、コルチコステロイドフリー寛解を持続することである。いくつかの実施形態において、治療することは、直腸出血を改善することである。いくつかの実施形態において、治療することは、直腸出血の改善を維持することである。いくつかの実施形態において、治療することは、内視鏡サブスコアを改善することである。いくつかの実施形態において、治療することは、内視鏡サブスコアの改善を維持することである。
【0147】
いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎は、2コンポーネントメイヨークリニックスコアを使用して診断されている。例えば、いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎は、直腸出血および内視鏡所見について0~9の範囲のスコアを使用して診断されている。いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎は、3コンポーネントメイヨークリニックスコアを使用して診断されている。例えば、いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎は、排便頻度、直腸出血、および内視鏡所見について0~9の範囲のスコアを使用して診断されている。いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎は、トータルメイヨースコアを使用して診断されている。例えば、いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎は、排便頻度、直腸出血、内視鏡所見、および医師による全般評価について0~12の範囲のスコアを使用して診断されている。
【0148】
いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎の改善は、2コンポーネントメイヨークリニックスコアを使用して測定される。いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎の改善は、3コンポーネントメイヨークリニックスコアを使用して測定される。いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎の改善は、トータルメイヨースコアを使用して測定される。いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎の改善は、臨床寛解によって測定される。いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎の改善は、リンパ球低減によって測定される。いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎の改善は、内視鏡的改善によって測定される。いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎の改善は、6ポイントメイヨースコアによって測定される。例えば、いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎の改善は、排便頻度および直腸出血によって測定される。いくつかの実施形態において、潰瘍性大腸炎の改善は、統計的に有意である。
【0149】
いくつかの実施形態において、化合物1は、活動性重度感染症を有する個体において推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、活動性感染症を有する個体において推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、重度感染症を有する個体において推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、活動性重度感染症を有する個体において、感染症が制御されるまで推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、活動性感染症を有する個体において、感染症が制御されるまで推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、重度感染症を有する個体において、感染症が制御されるまで推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1の投与は、活動性感染症中に開始されない。いくつかの実施形態において、個体は、感染について監視される。いくつかの実施形態において、化合物1の投与は、個体が感染症を発症した場合、停止される。いくつかの実施形態において、化合物1の投与は、感染症が重篤となった場合、停止される。いくつかの実施形態において、化合物1の投与は、個体が感染症を発症した場合、中止される。いくつかの実施形態において、化合物1は、感染症を有する個体に投与されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、活動性感染症中に投与されない。いくつかの実施形態において、化合物1の投与は、活動性感染症中に開始されず、個体は、感染症が投与中に発生するか監視され、投与は、感染症が重篤となった場合、停止される。いくつかの実施形態において、感染症は、軽度である。いくつかの実施形態において、感染症は、中等度である。いくつかの実施形態において、感染症は、重度である。いくつかの実施形態において、感染症は、重篤である。いくつかの実施形態において、感染症は、重篤な有害事象である。いくつかの実施形態において、感染症は、呼吸器感染症である。
【0150】
いくつかの実施形態において、化合物1は、重度有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、心拍数に関する重度有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、心拍数変化に関する重度有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、心拍数の上昇に関する重度有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、徐脈に関する重度有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、AVブロックに関する重度有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、AV伝導に関する重度有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、徐脈を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、AVブロックを引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、治療の初日に心拍数の軽度を超える減少(例えば、>10bpm)を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、他のS1P受容体調節剤で見られる初回用量効果なしに投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、他のS1P受容体調節剤で見られる初回用量心血管効果なしに投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、心拍数の症候性変化なしに投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、心臓リズムの症候性変化なしに投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、他のS1P受容体調節剤で見られる初回用量効果を回避するために漸増を必要とすることなく投与される。
【0151】
いくつかの実施形態において、化合物1は、肝機能検査(LFT)を増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、LFTの上昇を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ALTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ASTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ALTを>3X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ALTを>2.5X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ALTを>2X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ALTを>1.5X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ASTを>3X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ASTを>2.5X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ASTを>2X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ASTを>1.5X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ビリルビンを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ビリルビンを>3X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ビリルビンを>2.5X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ビリルビンを>2X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ビリルビンを>1.5X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)を増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、GGTを>3X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、GGTを>2.5X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、GGTを>2X ULNに増加させることなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、GGTを>1.5X ULNに増加させることなく投与される。
【0152】
いくつかの実施形態において、化合物1は、肺機能検査における異常を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、黄斑浮腫を引き起こすことなく投与される。
【0153】
いくつかの実施形態において、個体は、炎症性腸疾患の治療のための別の薬剤との不十分な応答を有したか、これに対する応答を喪失したか、これに対して不耐性であったか、またはこれに対する依存性を示した。いくつかの実施形態において、個体は、炎症性腸疾患の治療のための他の薬剤との不十分な応答を有した。いくつかの実施形態において、個体は、炎症性腸疾患の治療のための別の薬剤に対する応答を喪失した。いくつかの実施形態において、個体は、炎症性腸疾患の治療のための別の薬剤に対して不耐性であった。いくつかの実施形態において、個体は、継続的なステロイド療法を必要とする。いくつかの実施形態において、他の薬剤は、腫瘍壊死腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、コルチコステロイド、インテグリンアンタゴニスト、および免疫抑制剤、ならびにアミノサリチル酸塩から選択される少なくとも1つの薬剤である。
【0154】
いくつかの実施形態において、個体は、従来療法との不十分な応答を有したか、これに対する応答を喪失したか、またはこれに対して不耐性であった。いくつかの実施形態において、個体は、従来療法に対して不十分な応答を有した。いくつかの実施形態において、個体は、従来療法に対する応答を喪失した。いくつかの実施形態において、個体は、従来療法に対して不耐性であった。いくつかの実施形態において、従来療法は、腫瘍壊死腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、コルチコステロイド、インテグリンアンタゴニスト、および免疫抑制剤、ならびにアミノサリチル酸塩から選択される少なくとも1つの薬剤から選択される。
【0155】
いくつかの実施形態において、個体は、コルチコステロイドおよび/またはアミノサリチル酸塩が以前に投与された。いくつかの実施形態において、個体は、腫瘍壊死腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、インテグリンアンタゴニスト、および/または免疫抑制剤が以前に投与された。
【0156】
いくつかの実施形態において、コルチコステロイドは、経口コルチコステロイドである。いくつかの実施形態において、TNFアンタゴニストは、TNF-α遮断剤である。いくつかの実施形態において、アミノサリチル酸塩は、5-アミノサリチル酸塩である。いくつかの実施形態において、インテグリンアンタゴニストは、インテグリン受容体アンタゴニストと呼ばれる。いくつかの実施形態において、TNFアンタゴニストは、TNF遮断剤と呼ばれる。いくつかの実施形態において、免疫抑制剤は、免疫調節剤と呼ばれる。いくつかの実施形態において、事前従来療法は、事前治療と呼ばれる。
【0157】
いくつかの実施形態において、個体は、治療用量のチオプリンが投与されない。いくつかの実施形態において、個体は、治療用量のアザチオプリンが投与されない。いくつかの実施形態において、個体は、治療用量の6-メルカプトプリンが投与されない。いくつかの実施形態において、個体は、治療用量のチオグアニン(チオグアニンまたは6-チオグアニンとも呼ばれる)が投与されない。
【0158】
いくつかの実施形態において、阻害剤は、中程度の阻害剤である。いくつかの実施形態において、阻害剤は、強力な阻害剤である。いくつかの実施形態において、誘導剤は、中程度の誘導剤である。いくつかの実施形態において、誘導剤は、強力な誘導剤である。
【0159】
いくつかの実施形態において、化合物1がCYP基質と同時投与される場合、注意される。いくつかの実施形態において、化合物1がUGT基質と同時投与される場合、注意される。いくつかの実施形態において、化合物1がOAT基質と同時投与される場合、注意される。いくつかの実施形態において、化合物1が強力な阻害剤と同時投与される場合、注意される。いくつかの実施形態において、強力な阻害剤は、強力なCYP阻害剤である。いくつかの実施形態において、強力な阻害剤は、CYP2C8である。いくつかの実施形態において、化合物1が中程度の阻害剤と同時投与される場合、注意される。いくつかの実施形態において、中程度の阻害剤は、中程度のCYP阻害剤である。いくつかの実施形態において、中程度の阻害剤は、CYP2C9阻害剤である。いくつかの実施形態において、化合物1が強力な誘導剤と同時投与される場合、注意される。いくつかの実施形態において、強力な阻害剤は、強力なCYP誘導剤である。いくつかの実施形態において、化合物1が中程度の誘導剤と同時投与される場合、注意される。いくつかの実施形態において、中程度の誘導剤は、中程度のCYP阻害剤である。いくつかの実施形態において、中程度の誘導剤は、CYP2C8誘導剤である。いくつかの実施形態において、中程度の誘導剤は、CYP2C9誘導剤である。
【0160】
いくつかの実施形態において、化合物1の用量は、CYP基質と共に使用される場合に制限される。いくつかの実施形態において、化合物1の用量は、UGT基質と共に使用される場合に制限される。いくつかの実施形態において、化合物1の用量は、OAT基質と共に使用される場合に制限される。いくつかの実施形態において、化合物1の用量は、強力な阻害剤と共に使用される場合に制限される。いくつかの実施形態において、化合物1の用量は、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、もしくは2.0mgに限定されるか、または約0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、もしくは2.0mgに限定され、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、もしくは2.0mgを超えないか、または約0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、もしくは2.0mgを超えない。いくつかの実施形態において、化合物1は、強力な阻害剤と共に使用される場合、最低用量で投与される。いくつかの実施形態において、化合物1の用量は、中程度の阻害剤と共に使用される場合に制限される。いくつかの実施形態において、化合物1は、中程度の阻害剤と共に使用される場合、最低用量で投与される。いくつかの実施形態において、最低用量は、最低有効用量である。いくつかの実施形態において、最低用量は、最低市販用量である。いくつかの実施形態において、最低用量は、米国における最低市販用量である。いくつかの実施形態において、化合物1の最低用量は、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、もしくは2.0mgであるか、または約0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、もしくは2.0mgである。
【0161】
いくつかの実施形態において、同時投与される化合物の用量は、化合物1と共に使用される場合に制限される。いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、CYP基質である。いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、UGT基質である。いくつかの実施形態において、同時投与される化合物の用量は、OAT基質である。いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、強力な誘導剤である。いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、強力な阻害剤である。いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、中程度の誘導剤である。いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、中程度の阻害剤である。いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、最低用量で投与される。いくつかの実施形態において、最低用量は、最低有効用量である。いくつかの実施形態において、最低用量は、最低市販用量である。いくつかの実施形態において、最低用量は、米国における最低市販用量である。
【0162】
いくつかの実施形態において、化合物1は、CYP基質と共に使用されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、UGT基質と共に使用されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、OAT基質と共に使用されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、強力な誘導剤と共に使用されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、中程度の誘導剤と共に使用されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、強力な阻害剤と共に使用されない。いくつかの実施形態において、化合物1は、中程度の阻害剤と共に使用されない。
【0163】
いくつかの実施形態において、化合物1のCYP基質との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1のUGT基質との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1のOAT基質との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1の強力な誘導剤との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1の中程度の誘導剤との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1の強力な阻害剤との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1の中程度の阻害剤との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1のCYP2C8阻害剤との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1のCYP2C8誘導剤との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1のCYP2C9阻害剤との併用は、推奨されない。いくつかの実施形態において、化合物1のCYP2C8誘導剤との併用は、推奨されない。
【0164】
いくつかの実施形態は、(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物で個体を安全に治療する方法を提供する。
【0165】
いくつかの実施形態は、(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を安全に投与する方法を提供する。
【0166】
いくつかの実施形態は、個体がCYP基質、OAT基質、またはUGT基質を同時に受けている場合、化合物1の1日用量を投与する方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物1の1日用量は、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.25、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.75、2.8、2.9、もしくは3.0mg以下であるか、または約0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.25、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.75、2.8、2.9、もしくは3.0mg以下である。いくつかの実施形態において、化合物1の1日用量は、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.25、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.75、2.8、2.9、もしくは3.0mg未満であるか、または約0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.25、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.75、2.8、2.9、もしくは3.0mg未満である。
【0167】
いくつかの実施形態において、CYP基質は、CYP2C8基質である。
【0168】
いくつかの実施形態において、CYP基質は、CYP2C9基質である。
【0169】
いくつかの実施形態において、UGT基質は、UGT1A1基質である。
【0170】
いくつかの実施形態において、UGT基質は、UGT1A4基質である。
【0171】
いくつかの実施形態において、UGT基質は、UGT1A6基質である。
【0172】
いくつかの実施形態において、UGT基質は、UGT1A7基質である。
【0173】
いくつかの実施形態において、OAT基質は、OATP1B1基質である。
【0174】
いくつかの実施形態において、OAT基質は、OATP1B3基質である。
【0175】
いくつかの実施形態において、OAT基質は、OAT1基質である。
【0176】
いくつかの実施形態において、OAT基質は、OAT3基質である。
【0177】
いくつかの実施形態において、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、またはCYP2C9誘導剤は、フルコナゾールである。
【0178】
いくつかの実施形態において、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、またはCYP2C9誘導剤は、ゲムフィブロジルである。
【0179】
いくつかの実施形態において、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、またはCYP2C9誘導剤は、リファンピンである。
【0180】
いくつかの実施形態において、OATP1B1の基質は、リファンピンである。
【0181】
いくつかの実施形態において、OATP1B3の基質は、リファンピンである。
【0182】
いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、CYP2C8阻害剤である。
【0183】
いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、CYP2C8誘導剤である。
【0184】
いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、CYP2C9阻害剤である。
【0185】
いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、CYP2C9誘導剤である。
【0186】
いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、フルコナゾールである。
【0187】
いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、ゲムフィブロジルである。
【0188】
いくつかの実施形態において、同時投与される化合物は、リファンピンである。
【0189】
いくつかの実施形態において、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量未満は、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤も投与されていない患者に投与される量より約、少なくとも、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、778、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90%少ない。
【0190】
いくつかの実施形態において、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量未満は、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤も投与されていない患者に投与される量より約、少なくとも、または少なくとも約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.25、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、または2.0mg少ない。
【0191】
いくつかの実施形態は、(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体調節剤を、それを必要とする患者に安全に投与する方法を提供し、患者は、シトクロムP450(CYP)阻害剤、CYP誘導剤、有機アニオン輸送体(OAT)基質、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素阻害剤も投与されており、患者に2mg未満の1日用量のS1P1調節剤を投与することを含む。
【0192】
いくつかの実施形態において、S1P1調節剤の1日用量は、1.0、1.25、1.5、および1.75mgのS1P1調節剤から選択される。
【0193】
S1P1受容体に対してアゴニスト活性を有するS1P受容体アゴニストは、リンパ球減少症を迅速かつ可逆的に誘導することが示されている(末梢リンパ球低下(PLL)とも呼ばれる、Hale et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,14:3351-3355,2004)。これは、T細胞およびB細胞を、二次リンパ組織(リンパ節およびパイエル板)に、よって炎症および臓器移植片の部位から離れて隔離することによる臨床的に有用な免疫抑制を伴う(Rosen et al.,Immunol.Rev.,195:160-177,2003、Schwab et al.,Nature Immunol.,8:1295-1301,2007)。例えば、リンパ節における、このリンパ球隔離は、T細胞上のS1P1受容体のアゴニスト駆動機能的アンタゴニズム(これによってリンパ節からのT細胞の退出を動員するS1Pの能力が低減する)およびリンパ節内皮上のS1P1受容体の持続的アゴニズム(これによってリンパ球のバリア機能対向移動が増加する)の同時発生の結果であると考えられている(Matloubian et al.,Nature,427:355-360,2004、Baumruker et al.,Expert Opin.Investig.Drugs,16:283-289,2007)。S1P1受容体のみのアゴニズムがリンパ球隔離を達成するために十分であり(Sanna et al.,J.Biol.Chem.,279:13839-13848,2004)、これが全身感染に対する免疫応答を損なうことなく起こることが報告されている(Brinkmann et al.,Transplantation,72:764-769,2001、Brinkmann et al.,Transplant.Proc.,33:530-531,2001)。
【0194】
内皮S1P1受容体のアゴニズムが血管完全性の促進においてより広い役割を有することは、マウス皮膚および肺において毛細管完全性におけるS1P1受容体の関連を示す研究によって支持される(Sanna et al.,Nat.Chem.Biol.,2:434-441,2006)。血管完全性は、例えば、敗血症、大外傷、および急性肺損傷または呼吸窮迫症候群につながる手術に由来し得る炎症性プロセスによって損なわれ得る(Johan Groeneveld,Vascul.Pharmacol.,39:247-256,2003)。
【0195】
S1P1受容体に対してアゴニスト活性を有する例示的なS1P受容体アゴニストは、臨床試験を受けた免疫抑制剤であるFTY720(フィンゴリモド)であり(Martini et al.,Expert Opin.Investig.Drugs,16:505-518,2007)、臨床悪化の頻度を低減し、身体障害の蓄積を遅らせるために、再発型の多発性硬化症(MS)を有する個体の治療のためにFDAによって最近承認された。FTY720は、インビボでリン酸化されるプロドラッグとして機能し、リン酸化誘導体は、(S1P2受容体ではなく)S1P1、S1P3、S1P4、およびS1P5受容体のアゴニストである(Chiba,Pharmacology&Therapeutics,108:308-319,2005)。FTY720は、リンパ球減少症を迅速かつ可逆的に誘導することが示されている(Hale et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,14:3351-3355,2004)。これは、T細胞およびB細胞を、二次リンパ組織(リンパ節およびパイエル板)に、よって炎症および臓器移植片の部位から離れて隔離することによる臨床的に有用な免疫抑制を伴う(Rosen et al.,Immunol.Rev.,195:160-177,2003、Schwab et al.,Nature Immunol.,8:1295-1301,2007)。
【0196】
臨床試験では、FTY720は、S1P3受容体のそのアゴニズムに起因し得る有害事象(すなわち、一過性無症候性徐脈)を誘導した(Budde et al.,J.Am.Soc.Nephrol.,13:1073-1083,2002、Sanna et al.,J.Biol.Chem.,279:13839-13848,2004、Ogawa et al.,BBRC,361:621-628,2007)。
【0197】
FTY720は、少なくとも自己免疫性心筋炎のラットモデルおよび急性ウイルス性心筋炎のマウスモデル(Kiyabayashi et al.,J.Cardiovasc.Pharmacol.,35:410-416,2000、Miyamoto et al.,J.Am.Coll.Cardiol.,37:1713-1718,2001)、大腸炎を含む炎症性腸疾患のマウスモデル(Mizushima et al.,Inflamm.Bowel Dis.,10:182-192,2004、Deguchi et al.,Oncology Reports,16:699-703,2006、Fujii et al.,Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.,291:G267-G274,2006、Daniel et al.,J.Immunol.,178:2458-2468,2007)、進行性メサンギウム増殖性糸球体腎炎のラットモデル(Martini et al.,Am.J.Physiol.Renal Physiol.,292:F1761-F1770,2007)、S1P1受容体アゴニストSEW2871を使用した研究に基づいて主にS1P1受容体によることが示された、喘息のマウスモデル(Idzko et al.,J.Clin.Invest.,116:2935-2944,2006)、気道炎症および気管支過敏性の誘導のマウスモデル(Sawicka et al.,J.Immunol.,171;6206-6214,2003)、アトピー性皮膚炎のマウスモデル(Kohno et al.,Biol.Pharm.Bull.,27:1392-1396,2004)、虚血-再灌流傷害のマウスモデル(Kaudel et al.,Transplant.Proc.,39:499-502,2007)、全身性紅斑性狼瘡(SLE)のマウスモデル(Okazaki et al.,J.Rheumatol.,29:707-716,2002、Herzinger et al.,Am.J.Clin.Dermatol.,8:329-336,2007)、リウマチ性関節炎のラットモデル(Matsuura et al.,Int.J.Immunopharmacol.,22:323-331,2000、Matsuura et al.,Inflamm.Res.,49:404-410,2000)、自己免疫性ブドウ膜炎のラットモデル(Kurose et al.,Exp.Eye Res.,70:7-15,2000)、I型糖尿病のマウスモデル(Fu et al.,Transplantation,73:1425-1430,2002、Maki et al.,Transplantation,74:1684-1686,2002、Yang et al.,Clinical Immunology,107:30-35,2003、Maki et al.,Transplantation,79:1051-1055,2005)、アテローム性動脈硬化症のマウスモデル(Nofer et al.,Circulation,115:501-508,2007、Keul et al.,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,27:607-613,2007)、外傷性脳損傷(TBI)後の脳炎症反応のラットモデル(Zhang et al.,J.Cell.Mol.Med.,11:307-314,2007)、ならびに移植片冠状動脈疾患および移植片対宿主病(GVHD)のマウスモデル(Hwang et al.,Circulation,100:1322-1329,1999、Taylor et al.,Blood,110:3480-3488,2007)において治療有効性を有することが報告されている。インビトロ結果は、FTY720がアルツハイマー病を含むβ-アミロイド関連炎症性疾患について治療有効性を有し得ることを示す(Kaneider et al.,FASEB J.,18:309-311,2004)。S1P1受容体に対してアゴニスト活性を有するS1P受容体アゴニストであるKRP-203は、自己免疫性心筋炎のラットモデルにおいて治療有効性を有することが報告されている(Ogawa et al.,BBRC,361:621-628,2007)。S1P1受容体アゴニストSEW2871を使用して、内皮S1P1受容体のアゴニズムが、I型糖尿病血管内皮における炎症誘発性単球/内皮相互作用を防止し(Whetzel et al.,Circ.Res.,99:731-739,2006)、TNFα媒介性単球/内皮相互作用に対して血管系を保護することが示されている(Bolick et al.,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,25:976-981,2005)。
【0198】
追加的に、FTY720は、ラットおよびマウス、ヒト多発性硬化症のモデルにおいて実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)における治療有効性を有することが報告されている(Brinkmann et al.,J.Biol.Chem.,277:21453-21457,2002、Fujino et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,305:70-77,2003、Webb et al.,J.Neuroimmunol.,153:108-121,2004、Rausch et al.,J.Magn.Reson.Imaging,20:16-24,2004、Kataoka et al.,Cellular&Molecular Immunology,2:439-448,2005、Brinkmann et al.,Pharmacology&Therapeutics,115:84-105,2007、Baumruker et al.,Expert Opin.Investig.Drugs,16:283-289,2007、Balatoni et al.,Brain Research Bulletin,74:307-316,2007)。さらに、FTY720は、臨床試験において多発性硬化症について治療有効性を有することがわかっている。再発寛解型多発性硬化症の第II相臨床試験では、FTY720は、多発性硬化症を有する個体において磁気共鳴画像法(MRI)および臨床疾患活動性によって検出される病変の数を低減することがわかった(Kappos et al.,N.Engl.J.Med.,355:1124-1140,2006、Martini et al.,Expert Opin.Investig.Drugs,16:505-518,2007、Zhang et al.,Mini-Reviews in Medicinal Chemistry,7:845-850,2007、Brinkmann,Pharmacology&Therapeutics,115:84-105,2007)。寛解再発型多発性硬化症を有する患者におけるFTY720による第III相臨床試験が報告されている(Brinkmann,Pharmacology&Therapeutics,115:84-105,2007、Baumruker et al.,Expert.Opin.Investig.Drugs,16:283-289,2007、Dev et al.,Pharmacology and Therapeutics,117:77-93,2008)。
【0199】
FTY720は、抗ウイルス活性を有することも報告されている。特定のデータは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)マウスモデルにおいて提示されており、マウスは、LCMVのArmstrongまたはクローン13株のいずれかに感染していた(Premenko-Lanier et al.,Nature,454,894,2008)。
【0200】
FTY720は、Francisella tularensisに感染した樹状細胞の縦隔リンパ節への遊走を損ない、それによってその細菌コロニー形成を低減することが報告されている。Francisella tularensisは、野兎病、潰瘍性腺感染症、呼吸器感染症、および腸チフス疾患に関連している(E.Bar-Haim et al.,PLoS Pathogens,4(11):e1000211,published 21 November 2008;info:doi/10.1371/journal.ppat.1000211,2008)。
【0201】
短期高用量のFTY720が、実験的自己免疫性ブドウ膜網膜炎において眼浸潤を急速に低減したことも最近報告されている。眼炎症の初期段階で与えられる場合、FTY720は、網膜損傷を迅速に予防した。FTY720は、標的臓器の浸潤を予防するだけでなく、既存の浸潤を低減することも報告された(Raveney et al.,Arch.Ophthalmol.,126(10),1390,2008)。
【0202】
FTY720による治療は、骨表面に付着した成熟破骨細胞の数を低減することによって、マウスにおける卵巣摘出誘導性骨粗鬆症を軽減したことが報告されている。データは、S1Pが破骨細胞前駆体の遊走挙動を制御し、骨ミネラル恒常性を動的に調節したという証拠を提供した(Ishii et al.,Nature,advance online publication,8 February 2009,doi:10.1038/nature07713)。
【0203】
S1P1受容体のアゴニズムは、オリゴデンドロサイト前駆細胞の生存の向上に関与している。オリゴデンドロサイト前駆細胞の生存は、髄鞘再形成プロセスの必要なコンポーネントである。多発性硬化症病変の髄鞘再形成は、臨床的再発からの回復を促進すると考えられる(Miron et al.,Ann.Neurol.,63:61-71,2008、Coelho et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,323:626-635,2007、Dev et al.,Pharmacology and Therapeutics,117:77-93,2008)。S1P1受容体は、血小板由来成長因子(PDGF)誘導性オリゴデンドロサイト前駆細胞有糸分裂誘発において役割を果たすことも示されている(Jung et al.,Glia,55:1656-1667,2007)。
【0204】
S1P1受容体のアゴニズムは、脊髄損傷のラットモデルを含む、中枢神経系(CNS)の損傷領域への神経幹細胞の遊走を媒介することも報告されている(Kimura et al.,Stem Cells,25:115-124,2007)。
【0205】
S1P1受容体のアゴニズムは、ケラチノサイト増殖の阻害に関与しており(Sauer et al.,J.Biol.Chem.,279:38471-38479,2004)、S1Pがケラチノサイト増殖を阻害するという報告と一致している(Kim et al.,Cell Signal,16:89-95,2004)。次いでブロックされ得る、毛包への入口でのケラチノサイトの過剰増殖、および関連する炎症は、ざ瘡の重要な病原性因子である(Koreck et al.,Dermatology,206:96-105,2003、Webster,Cutis,76(2 Suppl):4-7,2005)。
【0206】
FTY720は、腫瘍発生において発生し得るものなどの病理学的血管新生の阻害に治療有効性を有することが報告されている。FTY720による血管新生の阻害は、S1P1受容体のアゴニズムを含むと考えられている(Oo et al.,J.Biol.Chem.,282;9082-9089,2007、Schmid et al.,J.Cell Biochem.,101:259-270,2007)。FTY720は、黒色腫のマウスモデルにおいて原発性および転移性腫瘍成長の阻害に治療有効性を有することが報告されている(LaMontagne et al.,Cancer Res.,66:221-231,2006)。FTY720は、転移性肝細胞癌のマウスモデルにおいて治療有効性を有することが報告されている(Lee et al.,Clin.Cancer Res.,11:84588466,2005)。
【0207】
マウスへのFTY720の経口投与は、VEGF誘導性血管透過性、血管新生、炎症、ならびに病理学的状態、例えば、敗血症、低酸素症、および固形腫瘍成長に関連する重要なプロセスを強力にブロックしたことが報告されている(T Sanchez et al.,J.Biol.Chem.,278(47),47281-47290,2003)。
【0208】
シクロスポリンAおよびFK506(カルシニューリン阻害剤)は、移植された臓器の拒絶を予防するために使用される薬物である。それらは移植拒絶の遅延または抑制に効果的であるが、シクロスポリンAおよびFK506などの古典的な免疫抑制剤は、腎毒性、神経毒性、β細胞毒性、および胃腸不快感を含む、いくつかの望ましくない副作用を引き起こすことが知られている。例えば、同種抗原反応性T細胞の移植組織への遊走を阻害し、それによって移植片生存を延長するために、単剤療法として、または古典的な免疫抑制剤と組み合わせて有効である、これらの副作用を有さない免疫抑制剤について、臓器移植における満たされていないニーズがある。
【0209】
FTY720は、単剤療法として、ならびにシクロスポリンA、FK506、およびRAD(mTOR阻害剤)を含む、古典的な免疫抑制剤との相乗的組み合わせの両方で、移植拒絶において治療有効性を有することが示されている。古典的な免疫抑制剤であるシクロスポリンA、FK506、およびRADとは異なり、FTY720は、一般的な免疫抑制を誘導することなく、移植片生存の延長に有効性を有し、薬剤作用におけるこの違いは、組み合わせで観察される相乗効果に関連すると考えられることが示されている(Brinkmann et al.,Transplant Proc.,33:530-531,2001、Brinkmann et al.,Transplantation,72:764-769,2001)。
【0210】
S1P1受容体のアゴニズムは、マウスおよびラット皮膚同種移植片モデルにおいて同種移植片生存の延長に治療有効性を有することが報告されている(Lima et al.,Transplant Proc.,36:1015-1017,2004、Yan et al.,Bioorg.&Med.Chem.Lett.,16:3679-3683,2006)。FTY720は、ラット心臓同種移植片モデルにおいて同種移植片生存の延長に治療有効性を有することが報告されている(Suzuki et al.,Transpl.Immunol.,4:252-255,1996)。FTY720は、シクロスポリンAと相乗的に作用して、ラット皮膚同種移植片生存を延長し(Yanagawa et al.,J.Immunol.,160:5493-5499,1998)、シクロスポリンAおよびFK506と相乗的に作用して、ラット心臓同種移植片生存を延長し、シクロスポリンAと相乗的に作用して、イヌ腎同種移植片生存およびサル腎同種移植片生存を延長することが報告されている(Chiba et al.,Cell Mol.Biol.,3:11-19,2006)。S1P受容体アゴニストであるKRP-203は、ラット皮膚同種移植片モデルにおいて、単剤療法として、およびラット心臓同種移植片モデルにおけるシクロスポリンAとの相乗的組み合わせの両方で、同種移植片生存の延長に治療有効性を有することが報告されている(Shimizu et al.,Circulation,111:222-229,2005)。KRP-203はまた、ミコフェノール酸モフェチル(MMF、活性代謝産物が、ミコフェノール酸、プリン生合成の阻害剤である、プロドラッグ)と組み合わせて、ラット腎同種移植片モデルおよびラット心像同種移植片モデルの両方において同種移植片生存の延長に治療有効性を有することが報告されている(Suzuki et al.,J.Heart Lung Transplant,25:302-209,2006、Fujishiro et al.,J.Heart Lung Transplant,25:825-833,2006)。S1P1受容体のアゴニストであるAUY954は、治療用量以下のRAD001(Certican/Everolimus、mTOR阻害剤)と組み合わせて、ラット心臓同種移植片生存を延長することができることが報告されている(Pan et al.,Chemistry&Biology,13:1227-1234,2006)。ラット小腸同種移植片モデルでは、FTY720は、シクロスポリンAと相乗的に作用して、小腸同種移植片生存を延長することが報告されている(Sakagawa et al., Transpl.Immunol.,13:161-168,2004)。FTY720は、マウス膵島移植片モデル(Fu et al.,Transplantation,73:1425-1430,2002、Liu et al.,Microsurgery,27:300-304;2007)およびヒト膵島機能に有害な効果がないことを証明するヒト膵島細胞を使用した試験において治療有効性を有することが報告されている(Truong et al.,American Journal of Transplantation,7:2031-2038,2007)。
【0211】
FTY720は、プロスタグランジン合成に依存しない神経因性疼痛の神経部分損傷モデルにおける侵害行動を低減することが報告されている(O.Costu et al.,Journal of Cellular and Molecular Medicine 12(3),995-1004,2008)。
【0212】
FTY720は、マウス接触過敏症(CHS)の開始を損なうことが報告されている。感作相中にFTY720で治療されたマウスからの免疫化リンパ節細胞の養子移入は、レシピエントにおいてCHS応答を誘導することが実質的にできなかった(D.Nakashima et al.,J.Investigative Dermatology(128(12),2833-2841,2008)。
【0213】
FTY720の予防的経口投与(1mg/kg、週3回)が、C57BL/6マウスにおける実験的自己免疫性重症筋無力症(EAMG)の発症を完全に予防したことが報告されている(T.Kohono et al.,Biological&Pharmaceutical Bulletin,28(4),736-739,2005)。
【0214】
一実施形態において、本発明は、S1P3受容体に対して選択性を有するS1P1受容体のアゴニストである化合物を包含する。S1P受容体ヌルマウスで組み合わされた化学的なアプローチを使用して、Sannaらは、持続性徐脈が、野生型マウスでは非選択的S1P受容体免疫抑制アゴニストによって誘導されたが、S1P3-/-マウスでは消失し、S1P1選択的アゴニストが徐脈を引き起こさなかったことを報告した。したがって、S1P1受容体ではなく、S1P3受容体が徐脈の原因であったことを示す(Sanna et al.,J.Biol.Chem.,279:13839-13848,2004)。したがって、少なくともS1P3受容体に対して選択性のS1P1受容体アゴニストは、向上された治療濃度域によって現在の療法に対する利点を有し、より高い投与でより良い耐容性を可能にし、よって療法としての有効性を改善する。本発明は、S1P1受容体のアゴニストであり、雄Sprague-Dawley(登録商標)ラットにおいて徐脈を全くまたは実質的に示さなかった、化合物1(ならびにその薬学的に許容される塩、水和物、および溶媒和物)を包含する(WO2010/011316、実施例9を参照されたい)。
【0215】
化合物1による第1相試験は、0.1mg、0.35mg、1mg、3mg、および5mgの単回投与で実施された。化合物1をL-アルギニン塩として投与した。0.1mg~3mgの低用量は、軽度の有害事象のみが報告された対象によって十分に耐容性であり、その最も一般的なものは、頭痛および接触皮膚炎であった。>0.35mgの全ての用量で心拍数の用量依存的低減が見られたが、5mg用量よりも低い用量では徐脈に関連する有害事象は報告されなかった。用量制限有害事象は、5mgの用量で、1度または2度房室(AV)ブロックを伴う徐脈の4つのAEを経験する3人(50%)の対象で観察され、その結果、用量漸増が中止された。この試験における最大耐量は、3mgであった。試験では、死亡または重篤な有害事象はなかった。
【0216】
末梢血リンパ球数に対する予想される薬理学的効果を除いて、バイタルサイン、ECG、肺機能検査、検眼鏡検査、または臨床検査に関して、他の臨床的に重大な安全性の問題はなかった。3mgおよび5mgでの投与は、末梢血B細胞、T細胞、NK細胞、およびTEM細胞を除く全てのT細胞サブセットの絶対数の用量応答性低下を誘導した。総末梢血リンパ球(PBL)数は、投与後2~4時間で低減し、8時間で最下点に達し、これは24時間持続し、次の4日をかけてベースラインに回復した。PBL数は、3mgおよび5mgの用量レベルで約40%および約55%低減した。TEM細胞は、CCR7を発現せず、S1P受容体発現とは独立して再循環することができる。したがって、これらの所見は、前臨床試験およびヒトにおけるS1P受容体アゴニストの予想される薬力学的効果と一致している(Gergely et al.,Br J Pharmacol 167(5):1035-1047,2012、Brossard et al.,Br J Clin Pharmacol 2013 Apr 18.doi:10.1111/bcp.12129.[Epub ahead of print] PubMed PMID:23594176、およびKovarik et al.,J Clin Pharmacol 44(5):532-537,2004.)。
【0217】
S1P1受容体アゴニストは、S1P1受容体の免疫系またはアゴニズムの抑制が正常である状態、例えば、リンパ球によって媒介される疾患および障害、移植拒絶、自己免疫性疾患および障害、炎症性疾患および障害、ならびに血管完全性に根本的な欠陥を有するか、または病理学的であり得るものなどの血管新生に関連する状態を治療または予防するために有用である。
【0218】
一実施形態において、本発明は、良好な全体的な物理的特性および生物学的活性を有し、実質的に少なくともS1P1受容体で活性を有する以前の化合物の有効性を有するS1P1受容体のアゴニストである化合物を包含する。
【0219】
S1P1受容体アゴニストは、S1P1受容体の免疫系またはアゴニズムの抑制が正常である状態、例えば、リンパ球によって媒介される疾患および障害、移植拒絶、自己免疫性疾患および障害、炎症性疾患および障害(例えば、急性および慢性炎症性状態)、癌、ならびに血管完全性に根本的な欠陥を有するか、または病理学的であり得るものなど(例えば、炎症、腫瘍発生、およびアテローム性動脈硬化症で発生し得るものなど)の血管新生に関連する状態を治療または予防するために有用である。S1P1受容体の免疫系またはアゴニズムの抑制が正常であるそのような状態としては、リンパ球によって媒介される疾患および障害;血管完全性に根本的な欠陥を有する状態;自己免疫性疾患および障害;炎症性疾患および障害(例えば、急性および慢性炎症性状態);細胞の急性または慢性拒絶;組織または固形臓器移植片;乾癬性関節炎、およびリウマチ性関節炎を含む、関節炎;I型糖尿病を含む、糖尿病;多発性硬化症を含む、脱髄疾患;腎臓および心臓虚血-再灌流傷害を含む、虚血-再灌流傷害;乾癬;アトピー性皮膚炎、およびざ瘡を含む、炎症性皮膚疾患;ざ瘡を含む、過剰増殖性皮膚疾患;クローン病、および潰瘍性大腸炎を含む、炎症性腸疾患;全身性紅斑性狼瘡;喘息;ブドウ膜炎;心筋炎;アレルギー;アテローム性動脈硬化症;アルツハイマー病、および外傷性脳損傷後の脳炎症性反応を含む、脳炎症;強直性脊椎炎;脊髄損傷、または脳梗塞を含む、中枢神経系疾患;原発性および転移性腫瘍成長で発生し得るものを含む、病理学的血管新生;リウマチ性関節炎;糖尿病性網膜症、アテローム性動脈硬化症;癌;慢性肺疾患;急性肺損傷;急性呼吸器疾患症候群;敗血症などが挙げられる。加えて、S1P1受容体アゴニストは、微生物感染症、およびウイルス感染症または疾患を治療するために有用である。
【0220】
いくつかの実施形態において、スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P1)受容体関連障害は、リンパ球によって媒介される疾患または障害、自己免疫性疾患または障害、炎症性疾患または障害、強直性脊椎炎、胆汁性肝硬変、癌、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ姓関節炎、クローン病、移植拒絶、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、I型糖尿病、高血圧性腎症、糸球体硬化症、心筋虚血-再灌流傷害、ならびにざ瘡から選択される。
【0221】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、リンパ球によって媒介される疾患または障害である。
【0222】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、自己免疫性疾患または障害である。
【0223】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、炎症性疾患または障害である。
【0224】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、強直性脊椎炎である。
【0225】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、胆汁性肝硬変である。
【0226】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、原発性胆汁性胆管炎である。
【0227】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、癌である。
【0228】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、乾癬である。
【0229】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、結節性紅斑である。
【0230】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、壊疽性膿皮症である。
【0231】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、乾癬性関節炎である。
【0232】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、リウマチ性関節炎である。
【0233】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、クローン病である。
【0234】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、移植拒絶である。
【0235】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、多発性硬化症である。
【0236】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、全身性紅斑性狼瘡である。
【0237】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、炎症性腸疾患(IBD)である。
【0238】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、炎症性腸疾患の活動性皮膚腸外症状である。いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、潰瘍性大腸炎の活動性皮膚腸外症状である。いくつかの実施形態において、活動性皮膚腸外症状は、乾癬である。いくつかの実施形態において、活動性皮膚腸外症状は、結節性紅斑である。いくつかの実施形態において、活動性皮膚腸外症状は、壊疽性膿皮症である。
【0239】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、中等度~重度活動性潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、中等度活動性潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、重度活動性潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、軽度~中等度活動性潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、軽度活動性潰瘍性大腸炎である。
【0240】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、I型糖尿病である。
【0241】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、高血圧性腎症である。
【0242】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、糸球体硬化症である。
【0243】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、心筋虚血-再灌流傷害である。
【0244】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、ざ瘡である。
【0245】
いくつかの実施形態において、S1P1受容体関連障害は、自己免疫性肝炎である。
【0246】
いくつかの実施形態において、標準用量は、1mgの化合物1に相当する量である。
【0247】
いくつかの実施形態において、標準用量は、2mgの化合物1に相当する量である。
【0248】
いくつかの実施形態において、標準用量は、3mgの化合物1に相当する量である。
【0249】
いくつかの実施形態において、標準用量の化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、1日1回個体に投与される。
【0250】
いくつかの実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、経口投与される。
【0251】
いくつかの実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、経口投与に好適なカプセルまたは錠剤として製剤化される。
【0252】
いくつかの実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、化合物1、化合物1のカルシウム塩、および化合物1のL-アルギニン塩から選択される。いくつかの実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、化合物1のL-アルギニン塩である。いくつかの実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、化合物1のL-アルギニン塩の無水非溶媒和結晶形態である。いくつかの実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、化合物1の無水非溶媒和結晶形態である。
【0253】
いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量の経口5-ASA化合物が投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、安定な用量の経口5-ASA化合物が投与される。
【0254】
いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量の経口コルチコステロイド療法が投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、安定な用量の経口コルチコステロイド療法が投与される。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドは、プレドニゾン、例えば、≦10mg/日もしくは20mg/日の用量のプレドニゾン、または同等のステロイドである。いくつかの実施形態において、コルチコステロイドは、例えば、≦9mg/日のブデソニド、または同等のステロイドである。
【0255】
いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量の免疫抑制剤が投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量のチオプリンが投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量のアザチオプリンが投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量の6-メルカプトプリンが投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量のチオグアニン(チオグアニンまたは6-チオグアニンとも呼ばれる)が投与される。
【0256】
いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量のプロバイオティクスが投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量のCulturelleが投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量のSaccharomyces boulardiiが投与される。
【0257】
いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量の止瀉薬が投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量のロペラミドが投与される。いくつかの実施形態において、個体はまた、治療用量のジフェノキシレートおよびアトロピンが投与される。
【0258】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に開示される化合物実施形態のうちのいずれかによる少なくとも1つの化合物を、本明細書に記載される少なくとも1つの既知の薬剤および薬学的に許容可能な担体と共に混合することを含む、「併用療法」のための薬学的組成物を生成する方法を含む。
【0259】
標準用量の化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物、および任意選択的に、1つ以上の薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物も提供される。化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物、任意選択的に、1つ以上の薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物も提供される。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに過度に有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。
【0260】
いくつかの実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、生または純粋化学物質として、例えば、カプセル製剤中の粉末として投与される。
【0261】
いくつかの実施形態において、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、1つ以上の薬学的に許容される担体をさらに含む、薬学的組成物として製剤化される。
【0262】
薬学的組成物は、任意の好適な方法によって、典型的には、活性化合物(複数可)を、液体もしくは微粉化固体担体、または両方と、必要な割合で均一に混合し、次いで必要に応じて、得られた混合物を所望の形状に形成することによって調製され得る。
【0263】
結合剤、充填剤、許容可能な湿潤剤、錠剤化潤滑剤、および崩壊剤のような従来の賦形剤を、経口投与用の錠剤およびカプセルに使用することができる。本明細書に記載される化合物は、当業者に周知の技術を使用して薬学的組成物に製剤化することができる。本明細書で言及されるもの以外の好適な薬学的に許容可能な担体は、当該技術分野において知られており、例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2000,Lippincott Williams&Wilkins,(Editors:Gennaro et al.)を参照されたい。
【0264】
経口投与について、薬学的組成物は、例えば、錠剤またはカプセルの形態であり得る。薬学的組成物は、好ましくは、特定量の活性成分を含有する投薬単位の形態で作製される。そのような剤形単位の例は、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、またはジャガイモデンプンのような従来の添加剤;結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプン、またはゼラチンのような結合剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、またはカルボキシメチル-セルロースナトリウムのような崩壊剤;およびタルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤を有する、カプセル、錠剤、粉末、顆粒、または懸濁液である。固体形態調製物としては、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ、坐剤、および分散性顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としても作用し得る1つ以上の物質であり得る。
【0265】
粉末では、担体は、微粉化活性成分との混合物中にある微粉化固体である。
【0266】
錠剤では、活性成分は、必要な結合能力を有する担体と好適な割合で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。
【0267】
粉末および錠剤は、変動する割合量の活性化合物を含有し得る。粉末または錠剤中の代表的な量は、活性化合物の0.5~約90パーセントであり得る。しかしながら、当業者であれば、この範囲外の量がいつ必要であるかを知っているであろう。粉末および錠剤に好適な担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどが挙げられる。「調製物」という用語は、活性成分が、担体の有無にかかわらず、担体によって囲まれ、したがってそれと会合しているカプセルを提供する担体としてカプセル化材料を有する活性化合物の製剤を含む。同様に、カシェおよびロゼンジも含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤およびロゼンジ剤は、経口投与に適した固体形態として使用することができる。
【0268】
薬学的調製物は、好ましくは単位剤形である。そのような形態では、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分される。単位剤形は、包装された調製物であり得、包装は、パケット化された錠剤またはカプセルのような、別個の量の調製物を含有する。また、単位剤形は、カプセルもしくは錠剤自体であり得るか、または包装形態での適切な数のこれらのうちのいずれかであり得る。
【0269】
さらなる実施形態は、以下の実施例に開示される実施形態を含み、これは、いかなる方法においても限定的であると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0270】
実施例1
化合物1のL-アルギニン塩を含有する即時放出硬質ゼラチンカプセルからなる製剤を、表1に示されるように調製した。
【表1】
【0271】
実施例2
化合物1のL-アルギニン塩を含有する即時放出錠剤からなる製剤を、表2に示されるように調製した。
【表2】
【0272】
実施例3
ヒト肝ミクロソームにおけるシトクロムP450(CYP)およびUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素の阻害剤としての化合物1のインビトロ評価
化合物1は、同時投与される薬物の代謝を阻害する化合物1の潜在能力を確認することを目的として、ヒト肝ミクロソームにおけるシトクロムP450(CYP)酵素CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4/5(2つの異なるマーカー基質を使用)ならびにUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1、UGT1A3、UGT1A4、UGT1A6、UGT1A9、UGT2B7、およびUGT2B17の潜在的な阻害について評価した。
【0273】
化合物1をCYP活性の直接および代謝依存性阻害剤として、ならびにUGT活性の直接阻害剤として評価するために、200個体のプールからのヒト肝ミクロソームを、0、1、または10μMの濃度の化合物1の存在または不在下でマーカー基質とインキュベートした。CYP酵素の代謝依存性阻害について、マーカー基質とのインキュベーションの前に、化合物1をNADPH再生システムで30分間ヒト肝ミクロソームとプレインキュベートした。CYPおよびUGT酵素の既知の代謝依存性および/または直接阻害剤は、該当する場合、陽性対照として含まれた。
【0274】
rCYP酵素との120分のインキュベーション後、化合物1喪失は、rCYP2C8で最大に観察され(最大75%)、rCYP2C9、rCYP2C19、およびrCYP3A4で12~36%の範囲であった。化学的阻害剤を含まないHLMにおいて、化合物1の全体的な喪失はごくわずかであった(0~13.0%)。選択的CYP2C8阻害剤(ゲムフィブロジル)は、化合物1の2つの酸化代謝産物およびケトン代謝産物への限定的な変換を、それぞれ、85%、47%、および60%阻害した。化合物1の第2の酸化代謝産物への限定的な変換も、CYP2C9阻害剤(チエニル酸)によって阻害された(72%)。
【0275】
CYP2C8活性の直接阻害は、化合物1の存在下、1μMで22%、10μMで約100%であった。10μMまでの化合物1濃度の存在下では、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、またはCYP3A4/5活性の直接阻害はほとんどまたは全く観察されなかった。加えて、CYPの代謝依存性阻害の証拠はほとんどまたは全く見られなかった。
【0276】
化合物1による培養ヒト肝細胞の処理は、CYP1A2 mRNAに対する誘導能を有さないことがわった。追加的に、mRNAの>2倍増加および陽性対照で見られるmRNA増加の≧20%である誘導基準に基づいて、CYP2B6およびCYP3A4の誘導能は見られなかった。
【0277】
化合物1は、試験された最高濃度(10μM)で、UGT1A1およびUGT1A6活性をそれぞれ最大28%および48%直接阻害した。10μMまでの化合物1濃度の存在下では、8%未満の阻害としてのUGT1A3、UGT1A4、UGT1A9、UGT2B7、またはUGT2B17の直接阻害が観察された証拠はなかった。
【0278】
CYP反応表現型への2つのアプローチからの結果に基づいて、CYP2C8およびCYP2C9は、化合物1の酸化代謝産物への変換において主要な役割を果たすことが確立され、CYP2C8もケトン代謝産物の形成において主要な役割を果たす。しかしながら、化合物1の代謝産物への全体的な変換は、HLMではごくわずかであり、直接作用型および代謝依存性選択的CYP阻害剤の存在および不在下で見られる化合物1の喪失にはほとんど差がなかった。CYP2C8活性の直接阻害は、化合物1の存在下、1μMで22%、10μMで約100%であった。しかしながら、任意の他のCYPについて化合物1による直接阻害はほとんどまたは全く観察されなかった。化合物1は、試験された最高濃度(10μM)で、UGT1A1およびUGT1A6活性を、それぞれ最大28%および48%直接阻害したが、UGT1A3、UGT1A4、UGT1A9、UGT2B7、またはUGT2B17の直接阻害の証拠はなかった。化合物1(最大10μM)は、CYP1A2、CYP2B6、およびCYP3A4/5の潜在的な誘導剤ではなかった。
【0279】
実施例4
化合物1は、ヒトABC輸送体P-gp、BCRP、およびBSEPまたはヒトSLC輸送体OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3、OCT1、OCT2、MATE1、およびMATE2-Kの潜在的な基質および/または阻害剤として評価した。P-gpおよびBCRPは、多くの組織の頂端膜に発現する。P-gpおよびBCRPは、腸細胞の管腔膜、脳の内皮細胞、腎近位尿細管の刷子縁膜、および肝細胞の小管膜で発現し、腸吸収、血液-脳関門浸透を制限し、胆汁および尿への排泄を促進する。BSEPは、主に肝細胞の小管膜で発現し、胆汁への排泄を促進する。OATP1B1、OATP1B3、およびOCT1は、肝細胞の類洞膜で発現し、さらなる代謝または胆汁への排泄のために内因性および生体異物化合物の肝細胞への蓄積を促進する。OAT1、OAT3、およびOCT2は、腎近位尿細管の側底膜で発現し、尿へのさらなる排泄のために近位尿細管への化合物の蓄積を促進する。MATE1およびMATE2-K(多剤および毒素排出タンパク質)は、主に近位尿細管細胞の管腔(頂端)膜で発現し、カチオンおよび双性イオンの尿への排泄において役割を果たすと考えられている。MATE1はまた、肝臓において肝細胞の小管膜で発現し、カチオン性薬物の胆汁中排泄を媒介する。MATE1およびMATE2-Kは、肝細胞の小管膜および近位尿細管の側底膜で発現するOCT輸送体と連携して機能して、排泄を媒介し得る。輸送体の基質または阻害剤である化合物は、薬物間相互作用の被害者または加害者であり得る。
【0280】
ヒト透過性-糖タンパク質(P-gp)および乳癌耐性タンパク質(BCRP)を過剰発現する、Madin-Darbyイヌ腎臓細胞(MDCKII)を使用して、化合物1をP-gpおよびBCRPの基質として、ならびにBCRPの阻害剤として評価した。ヒト結腸癌(Caco 2)細胞に由来する、分極細胞株を使用して、化合物1をP-gpの阻害剤として評価した。胆汁酸塩排出ポンプ(BSEP)を発現する膜小胞を小胞輸送体アッセイにおいて使用して、化合物1をBSEPの阻害剤として評価した。有機アニオン輸送ポリペプチド1B1(OATP1B1)、有機アニオン輸送ポリペプチド1B3(OATP1B3)、有機アニオン輸送体1(OAT1)、有機アニオン輸送体3(OAT3)、有機カチオン輸送体1(OCT1)、有機カチオン輸送体2(OCT2)のヒト輸送体cDNAを含有するベクターでトランスフェクトされたヒト胎児腎臓細胞(HEK293)、および対照細胞(ベクターのみでトランスフェクトされたHEK293細胞)を実験において使用して、化合物1をOATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3、OCT1、およびOCT2の基質および阻害剤として評価した。腎多剤および毒素排出輸送体1および2-K(MATE1、MATE2-K)を含有するベクターでトランスフェクトされたHEK293細胞を、化合物1をMATE1およびMATE2-Kの阻害剤として評価するために使用した。ABCおよびSLC輸送体の既知の基質および阻害剤は、全ての実験において陽性対照として含まれていた。
【0281】
10μMではP-gp阻害はなかった。100μMの化合物1の存在下で、Caco-2細胞にわたるジゴキシン(10μM)の排出比は、約50%低減し、化合物1が約100μMのIC50値を有するP-gpの阻害剤であることを示した。
【0282】
化合物1(10および100μM)の存在下では、MDCKII-BCRP細胞にわたるプラゾシン(1μM)の補正された排出比は、50%超低減したが、化合物1の阻害可能性は、アッセイ後TEER値が許容基準を下回り、ルシファーイエローPapp値が10および100μMの両方で許容範囲を上回ったため、決定することができなかった。IC50を決定するために、0.03~30μMの範囲の7つの濃度の化合物1で第2の実験を実行した。得られたIC50値は、35.7μMであった。
【0283】
化合物1(1および10μM)の存在下で、BSEP発現小胞における[3H]-タウロコール酸のATP依存性取り込みは、50%未満低減し、化合物1が評価された濃度でBSEPの阻害剤ではないことを示した。
【0284】
1μMの化合物1ではOATP1B1阻害はなかった。10μMの化合物1の存在下で、[3H]-エストラジオール-17β-グルクロニド(50nM)のOATP1B1発現細胞への取り込み率は、約50%低減し、化合物1が約10μMのIC50値でOATP1B1の阻害剤であることを示した。
【0285】
化合物1(1および10μM)の存在下で、[3H]-エストラジオール-17β-グルクロニド(50nM)のOATP1B3発現細胞への取り込み率は、50%未満低減し、化合物1が評価された濃度(IC50>10μM)でOATP1B3の阻害剤ではないことを示した。
【0286】
化合物1(1および10μM)の存在下で、[3H]-p-アミノ馬尿酸塩(1μM)のOAT1発現細胞への取り込み率は、50%未満低減し、化合物1が評価された濃度(IC50>10μM)でOAT1の阻害剤ではないことを示した。
【0287】
化合物1(1および10μM)の存在下で、[3H]-エストロン-3-硫酸塩(50nM)のOAT3発現細胞への取り込み率は、50%未満低減し、化合物1が評価された濃度(IC50>10μM)で阻害剤ではないことを示した。
【0288】
化合物1(1および10μM)の存在下で、[14C]-テトラエチルアンモニウムブロミド(5μM)のOCT1発現細胞への取り込み率は、50%未満低減し、化合物1が評価された濃度(IC50>10μM)で阻害剤ではないことを示した。
【0289】
化合物1(1および10μM)の存在下で、[14C]-メトホルミン(10μM)のOCT2発現細胞への取り込み率は低減せず、化合物1が評価された濃度(IC50>10μM)でOCT2の阻害剤ではないことを示した。
【0290】
MDCKII-P-gp細胞にわたる化合物1(1μM)の排出比は、1.12であり、P-gp阻害剤バルスポダール(10μM)の存在下で3.08に増加した。MDCKII-P-gp細胞にわたる化合物1(10μM)の排出比は、3.17であり、バルスポダールの存在下で低減しなかった。これらの結果は、化合物1の排出比が阻害剤の存在下で低減しなかったので、化合物1がP-gpの基質ではないことを示す。化合物1回収は18~60%の範囲で低く、プレートへの非特異的結合による可能性が高いことが留意されるべきである。
【0291】
MDCKII-BCRP細胞にわたる化合物1の排出比は、BCRP阻害剤Ko143(1μM)の不在下および存在下で、1μMで2未満、および10μMで2超であった。10μMでの化合物1の排出比は7.36であり、Ko143(1μM)の存在下で3.17に低減したが、1μMでの化合物1の排出比データは、化合物1がBCRPの基質ではないことを示す。BCRP輸送体の基質として検討するために、化合物1の排出比は、高濃度(10μM)よりも低濃度(1μM)でかなり高く、結果として生じる阻害効果は、低濃度(1μM)でより高い可能性がある。化合物1回収は27~48%の範囲で低く、プレートへの非特異的結合による可能性が高いことが留意されるべきである。
【0292】
化合物1(1および10μM)のOATP1B1発現細胞への取り込み比は、OATP1B1阻害剤リファンピンの不在下および存在下で2未満であった。これらの結果は、化合物1がOATP1B1の基質ではないことを示す。
【0293】
化合物1(1および10μM)のOATP1B3発現細胞への取り込み比は、OATP1B3阻害剤リファンピンの不在下および存在下で2未満であった。これらの結果は、化合物1がOATP1B3の基質ではないことを示す。
【0294】
化合物1(1および10μM)のOAT1発現細胞への取り込み比は、OAT1阻害剤プロベネシド(100μM)の不在下および存在下で2未満であった。これらの結果は、化合物1がOAT1の基質ではないことを示す。
【0295】
化合物1(1および10μM)のOAT3発現細胞への取り込み比は、OAT3阻害剤プロベネシド(100μM)の不在下および存在下で2未満であった。これらの結果は、化合物1がOAT3の基質ではないことを示す。
【0296】
化合物1(1および10μM)のOCT1発現細胞への取り込み比は、OCT1阻害剤キニジン(100μM)の不在下および存在下で2未満であった。これらの結果は、化合物1がOCT1の基質ではないことを示す。
【0297】
化合物1(1および10μM)のOCT2発現細胞への取り込み比は、OCT2阻害剤キニジン(300μM)の不在下および存在下で2未満であった。これらの結果は、化合物1がOCT2の基質ではないことを示す。
【表3】
【表4】
【0298】
全体として、この試験の結果は、次のことを示す。
化合物1は、評価された条件下、P-gp、BCRP、OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3、OCT1、およびOCT2輸送体の基質ではなかった。化合物1は、それぞれ、約100、35.7、および約10μMのIC50値で、P-gp、BCRP、およびOATP1B1を阻害した。化合物1(最大10μM)は、調査された全ての他の輸送体(BSEP、OATP1B3、OAT1、OAT3、OCT1、OCT2、MATE1、およびMATE2-K)の50%未満の阻害を引き起こした。
【0299】
化合物1は、それぞれ、約100、35.7、および約10μMのIC50値で、P-gp、BCRP、およびOATP1B1を阻害した。
【0300】
化合物1(最大10μM)は、調査された他の輸送体(BSEP、OATP1B3、OAT1、OAT3、OCT1、OCT2、MATE1、およびMATE2-K)の50%未満の阻害を引き起こした。化合物1は、BSEP、OATP1B3、OAT1、OAT3、OCT1、OCT2、MATE1、およびMATE2-K輸送体に対してIC50>10μMで阻害可能性を有さないことがわかった。
【0301】
実施例5
化合物1を評価して、絶食状態での2mgの錠剤およびカプセル製剤の単回用量相対経口バイオアベイラビリティを評価し、2mgの錠剤の薬物動態に対する食品の効果を決定し、化合物1薬物動態における潜在的な性差を評価し、健康な成人対象における安全性および耐容性を評価した。
【0302】
ランダム化、単回用量、非盲検、3期間、交差、第1相試験を健康な成人対象において実施した。合計14人の対象(男性7人、女性7人)を、2つの群、シーケンス1およびシーケンス2に1:1でランダム化した。第1の治療期間における絶食条件下で、シーケンス1群は、化合物1の硬質ゼラチンカプセル製剤の単回2mg用量(治療A)を受け、シーケンス2群は、化合物1の錠剤製剤の単回2mg用量(治療B)を受けた。7日のウォッシュアウト後、2つの群は第2の治療期間に交差し、絶食条件下で代替治療を受けた。さらに7日のウォッシュアウト後、全ての対象は、第3の治療期間において治療C(摂食条件、すなわち、FDA標準高脂肪高カロリー食下での化合物1の錠剤製剤の単回2mg用量)を受けた。化合物1の血漿濃度を決定するための血液試料は、投与後120時間までの事前に指定された時点で収集した。検証済みLC/MS/MSアッセイを使用して、血漿試料を化合物1について分析した。化合物1血漿濃度-時間データを、Phoenix(商標)WinNonlin(登録商標)(バージョン6.3、Pharsight Corporation)においてノンコンパートメント法によって分析し、ピーク濃度(Cmax)、ピーク濃度までの時間(Tmax)、および時間ゼロから最後の定量化可能な濃度の時間(AUC0-t)または無限大(AUCinf)までの濃度-時間曲線下面積を含む血漿薬物動態パラメータを決定した。生物学的同等性についての二重片側検定と一致して、分散分析(ANOVA)をln変換されたAUC0-t、AUCinf、およびCmax値に対して実行し、幾何平均比(試験/参照処理、処理指示については表3および表4を参照されたい)およびそれらの関連90%信頼区間を決定して、相対的なバイオアベイラビリティおよび食品効果を評価した。薬物動態の結果はまた、男性と女性との間の任意の潜在的な差を評価するために、性別によって層別化した。安全性および耐容性は、身体検査、眼科検査、神経学的および進行性多巣性白質脳症(PML)検査、バイタルサイン測定(臥位血圧、心拍数、体温、および呼吸数)、臨床検査評価、心電図(ECG)、テレメトリーモニタリング、結核(TB)スクリーニング、肺機能検査(PFT、肺活量測定を使用)、および報告または観察された有害事象(AE)を使用して評価した。
【0303】
絶食条件下の錠剤およびカプセル製剤について、化合物1平均血漿濃度-時間プロファイル間に有意差は見られなかった(
図1)。錠剤対カプセル製剤を比較する、化合物1ピーク(C
max)および総(AUC)血漿曝露尺度の幾何平均比の90%信頼区間は、生物学的同等性を確立するために許容される80%~125%の範囲内であった(表5)。
【0304】
摂食対絶食条件下で投与された錠剤製剤について、化合物1平均血漿濃度-時間プロファイル間に有意差は見られなかった(
図1)。摂食対絶食条件下での錠剤を比較する、化合物1ピーク(C
max)および総(AUC)血漿曝露尺度の幾何平均比の90%信頼区間は、食品効果がないことを確立するために許容される80%~125%の範囲内であった。
【0305】
化合物1平均血漿濃度および曝露パラメータは、治療全体で男性と比較して女性において中等度にのみ高かった。
【0306】
合計8つのAEが、試験の経過にわたって3人の対象によって報告され、健康なボランティア試験において以前に見られたものと一致していた。全てのAEは治療中に発生したとみなされ、3つのAEのみが試験薬の投与に関連するとみなされた。重篤なAE(SAE)または対象の中止につながるAEはなかった。ECGまたは身体検査において臨床的に重大な異常は観察されなかった。臨床的に重大な範囲外のバイタルサインに関連するAEはなかった。
【0307】
化合物1カプセルおよび錠剤製剤は、生物学的同等性(交換可能)であることがわかった。絶食および摂食条件下で投与された錠剤製剤の化合物1曝露において有意差は示されず、よって化合物1は食事に関係なく摂取することができる。PK曝露尺度において観察された控えめな性差は、臨床的に有意な可能性は低いとみなされた。全体として、治験製品は、摂食および絶食条件の両方の下で2mgの単回用量として投与された場合、健康な対象において十分に耐容性であった。
【表5】
【表6】
【0308】
実施例6
化合物1(1mg、2mg)は、健康な成人対象においてフルコナゾール(CYP2C9の中程度の阻害剤)、ゲムフィブロジル(CYP2C8の強力な阻害剤)、またはリファンピン(CYP2C8およびCYP2C9の両方の中程度の誘導剤)の投与の存在および不在下で血漿薬物動態(PK)、薬力学(PD)、安全性、および耐容性を評価するために、非盲検、3つの治療、ランダム化、固定シーケンス試験において評価される。
【0309】
完了したインビトロ代謝試験およびヒト質量平衡臨床試験からの結果に基づいて、化合物1は、酸化(CYP2C8およびCYP2C9)および抱合(UGT1A7、わずかなUGT1A1およびUGT1A4)経路によって広範囲に代謝される(全体で>25%)ようである。化合物1は、主に代謝および胆汁中/糞便中排泄によって、体循環から排除される。化合物1薬物動態の潜在的な変化は、これらの代謝/排出経路の1つ以上に影響を及ぼし得る同時投与薬物、有意なCYP阻害効果によるフルコナゾールまたはゲムフィブロジル、および有意なCYP誘導効果によるリファンピンの存在および不在下で評価される。
【0310】
試験は、3つの治療:1)化合物1(1mg)のみ、および定常状態フルコナゾール(400mgの負荷用量、続いて1日経口用量200mg)の存在下、2)化合物1(1mg)のみ、および定常状態ゲムフィブロジル(600mgのBID経口用量)の存在下、3)化合物1(2mg)のみ、および定常状態リファンピン(600mgの1日経口用量)の存在下、のうちの1つを伴う。
【0311】
各治療は、2つの期間:期間1(化合物1のみの単回経口用量の投与)および期間2(阻害剤または誘導剤薬物の存在下での化合物1の投与)からなる。各期間は、7日のウォッシュアウト期間によって区切られる。
【0312】
期間1では、1日目に、一晩の絶食後、対象(治療群あたりn=16)は、単回経口用量の化合物1(治療Aおよび治療Bでは1mg、治療Cでは2mg)を受け、単回用量PKが次の7日間にわたって評価される。
【0313】
期間2では、各治療群からの16人の対象全ては、以下の通り治療される。
【0314】
治療A:8日目に、対象は、フルコナゾールの単回用量(400mg)が投与され、続いて1日1回フルコナゾール(200mg)が23日目まで投与される。12日目に、少なくとも8時間の一晩の絶食後、化合物1の単回用量(1mg)が、フルコナゾールの1日用量の30分後に投与される。
【0315】
治療B:8日目に、対象は、1日2回ゲムフィブロジル(600mg)が23日目まで投与される。12日目に、少なくとも8時間の一晩の絶食後、化合物1の単回用量(1mg)が、ゲムフィブロジルの1日用量の30分後に投与される。
【0316】
治療C:8日目に、対象は、1日1回リファンピン(600mg)が23日目まで投与される。15日目に、少なくとも8時間の一晩の絶食後、化合物1の単回用量(2mg)が、リファンピンの1日用量の30分後に投与される。
【0317】
化合物1のPKおよびPDプロファイルは、1日目(化合物1のみ)および12/15日目(定常状態CYP2C8/CYP2C9阻害剤または誘導剤の存在下)の用量投与後に評価される。測定されたPKパラメータは、各比較(すなわち、化合物1のみ対CYP2C8/CYP2C9阻害剤または誘導剤)についての共分散モデルの分析を使用して評価される以下を含むであろう。
Cmax:濃度時間プロファイルから直接決定された最大濃度
tmax:濃度-時間プロファイルから直接決定された薬物投与後に最大血漿濃度に達するまでの時間
t1/2:ln2/λzとして計算された終末排出半減期
λz:濃度-時間曲線の終末相での少なくとも3つのデータ点の選択によって決定された終末排出速度定数
AUC0-24:線形対数台形公式を使用して計算された0~24時間の濃度-時間曲線下面積(AUC)
AUC0-168:線形対数台形公式を使用して計算された0~168時間の濃度-時間曲線下面積(AUC)
AUC0-t
AUClast:線形対数台形公式を使用して計算された時間ゼロから最後の定量可能な濃度(tlast)の時間までのAUC
AUC0-∞:線形対数台形公式を使用して計算された時間ゼロから無限大までのAUC
CL/F:経口投与後の全身クリアランス
Vz/F:終末相に基づく経口投与後の見かけの分布容積
MR:AUC0-168(代謝産物)/AUC0-168(親)として計算された代謝比
【0318】
一次分析は、化合物1および潜在的な主要代謝産物のPKを評価して、薬物間相互作用の程度を評価する。
【0319】
開示される方法の他の用途は、とりわけ、この特許文献の再考察に基づいて、当業者には明らかになるであろう。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕スフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P
1
)受容体関連障害を有する個体を治療する方法であって、
それを必要とする前記個体に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を含む薬学的投与剤を投与することを含み、
前記薬学的投与剤が、約0.8~約1.25の血漿濃度対時間曲線下面積の平均摂食/絶食比、および約0.8~約1.25の最大血漿濃度(Cmax)の平均摂食/絶食比を有する、方法。
〔2〕(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P
1
)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法であって、前記患者が、シトクロムP450(CYP)基質、有機アニオン輸送体(OAT)基質、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)基質、シトクロムP450 2C8(CYP2C8)阻害剤、シトクロムP450 2C9(CYP2C9)阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤も投与されており、
前記患者に治療有効量の前記S1P
1
調節剤を投与することを含み、
前記S1P
1
調節剤の前記治療有効量が、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量より少ない、方法。
〔3〕(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P
1
)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
前記患者に治療有効量の前記S1P
1
調節剤を投与することと、
その後前記患者がCYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤による治療を開始することを決定することと、
前記S1P
1
調節剤を、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量より少ない量で投与することと、を含む、方法。
〔4〕前記患者または医療従事者に、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤も投与されている患者への前記S1P
1
調節剤の投与が、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤を投与されていない患者への前記S1P
1
調節剤の投与よりも高い前記S1P
1
調節剤の曝露をもたらすことを通知することをさらに含む、前記〔2〕または〔3〕に記載の方法。
〔5〕前記患者または医療従事者に、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤も投与されている患者への前記S1P
1
調節剤の投与が、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A1阻害剤、またはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素UGT1A6阻害剤を投与されていない患者への前記S1P
1
調節剤の投与よりも1つ以上の曝露関連有害反応のリスクの増加をもたらし得ることを通知することをさらに含む、前記〔2〕~〔4〕のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P
1
)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法であって、前記患者が、膜輸送体の基質も投与されており、前記膜輸送体が、P-糖タンパク質(Pgp)、BCRP(乳癌耐性タンパク質)、およびOATP1B1から選択され、
前記患者に治療有効量の前記S1P
1
調節剤を投与することを含む、方法。
〔7〕前記膜輸送体の前記基質に関連する毒性および臨床応答の徴候および症状について前記患者を監視することをさらに含む、前記〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記膜輸送体の前記基質に関する1つ以上の曝露関連有害反応に耐容性である前記患者の能力に基づいて、前記患者に投与される前記膜輸送体の前記基質の量を低減することをさらに含む、前記〔6〕または〔7〕に記載の方法。
〔9〕R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩および/もしくは同位体バリアントから選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P
1
)受容体調節剤を、それを必要とする患者に投与する方法であって、
前記患者に治療有効量の前記S1P
1
受容体調節剤を投与することと、
その後前記患者が膜輸送体の基質での治療を開始することを決定することであって、前記膜輸送体が、P-糖タンパク質(Pgp)、BCRP(乳癌耐性タンパク質)、およびOATP1B1から選択される、決定することと、
前記治療有効量の前記S1P
1
受容体調節剤の前記患者への投与を継続することと、を含む、方法。
〔10〕前記膜輸送体の前記基質に関連する毒性および臨床応答の徴候および症状について前記患者を監視することをさらに含む、前記〔9〕に記載の方法。
〔11〕前記膜輸送体の前記基質に関する1つ以上の曝露関連有害反応に耐容性である前記患者の能力に基づいて、前記患者に投与される前記膜輸送体の前記基質の量を低減することをさらに含む、前記〔9〕または〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記患者または医療従事者に、前記S1P
1
受容体調節剤および膜輸送体の前記基質の同時投与が、前記膜輸送体の前記基質の曝露の増加をもたらし得ることを通知することをさらに含む、前記〔6〕~〔11〕のいずれか一項に記載の方法。
〔13〕前記患者または医療従事者に、前記S1P
1
受容体調節剤および前記膜輸送体の前記基質の同時投与が、前記膜輸送体の前記基質に関連する1つ以上の曝露関連有害反応のリスクの増加をもたらし得ることを通知することをさらに含む、前記〔6〕~〔12〕のいずれか一項に記載の方法。
〔14〕毒性および臨床応答の徴候および症状について監視することが、前記膜輸送体の前記基質の血清濃度を監視することを含む、前記〔6〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔15〕毒性および臨床応答の徴候および症状について監視することが、前記患者が、前記膜輸送体の前記基質の血清濃度に関連する1つ以上の曝露関連有害反応を経験するかを決定することを含む、前記〔6〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔16〕毒性および臨床応答の徴候および症状について監視することが、前記膜輸送体の前記基質の有効性を監視することを含む、前記〔6〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔17〕前記膜輸送体が、P-糖タンパク質である、前記〔6〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔18〕前記膜輸送体の前記基質が、ジゴキシン、ロペラミド、ベルベリン、イリノテカン、ドキソルビシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、およびフェキソフェナジンから選択される、前記〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記膜輸送体が、BCRPである、前記〔6〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔20〕前記膜輸送体の前記基質が、ミトキサントロン、メトトレキサート、トポテカン、イマチニブ、イリノテカン、スタチン、硫酸抱合体、およびポルフィリンから選択される、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕前記膜輸送体が、OATP1B1である、前記〔6〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔22〕前記膜輸送体の前記基質が、ブロモスルホフタレイン、エストロン-3-硫酸塩、エストラジオール-17β-グルクロニド、スタチン、レパグリニド、バルサルタン、オルメサルタン、ビリルビングルクロニド、ビリルビン、および胆汁酸から選択される、前記〔21〕に記載の方法。
〔23〕前記剤形が、絶食条件下で投与される、前記〔1〕~〔22〕のいずれか一項に記載の方法。
〔24〕前記剤形が、摂食条件下で投与される、前記〔1〕~〔22〕のいずれか一項に記載の方法。
〔25〕前記方法が、非性特異的である、前記〔1〕~〔24〕のいずれか一項に記載の方法。
〔26〕前記治療有効量が、約0.5~約5.0mgの化合物1に相当する、前記〔1〕~〔25〕のいずれか一項に記載の方法。
〔27〕前記個体に、TNFアンタゴニスト、インテグリンアンタゴニスト、および免疫抑制剤から選択される少なくとも1つの薬剤が以前に投与された、前記〔1〕~〔26〕のいずれか一項に記載の方法。
〔28〕前記個体に、ベドリズマブが以前に投与された、前記〔27〕に記載の方法。
〔29〕前記個体が、少なくとも1つの薬剤との不十分な応答を有したか、これに対する応答を喪失したか、またはこれに対して不耐性であった、前記〔1〕~〔28〕のいずれか一項に記載の方法。
〔30〕前記個体を活動性感染症について監視することをさらに含む、前記〔1〕~〔29〕のいずれか一項に記載の方法。
〔31〕前記個体が活動性感染症を発症した場合に投与を中止することをさらに含む、前記〔30〕に記載の方法。
〔32〕治療することが、臨床応答を誘導および/もしくは維持すること、粘膜の内視鏡的外観を改善すること、ならびに/または臨床寛解を誘導および/もしくは維持すること、を含む、前記〔1〕~〔31〕のいずれか一項に記載の方法。
〔33〕前記化合物1が、漸増なしで投与される、前記〔1〕~〔32〕のいずれか一項に記載の方法。
〔34〕前記投与することが、重篤な有害事象をもたらさない、前記〔1〕~〔33〕のいずれか一項に記載の方法。
〔35〕前記化合物1が、前記個体において急性心拍数低減または心臓ブロックを実質的に誘導することなく投与される、前記〔1〕~〔34〕のいずれか一項に記載の方法。
〔36〕前記S1P
1
受容体関連障害が、炎症性腸疾患である、前記〔1〕~〔35〕のいずれか一項に記載の方法。
〔37〕前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、前記〔36〕に記載の方法。
〔38〕前記炎症性腸疾患が、中等度~重度活動性潰瘍性大腸炎である、前記〔37〕に記載の方法。
〔39〕前記炎症性腸疾患が、クローン病である、前記〔36〕に記載の方法。
〔40〕前記投与することの前に、前記個体が、少なくとも6の3コンポーネントメイヨークリニックスコアを有する、前記〔36〕に記載の方法。
〔41〕前記投与することが、前記個体の3コンポーネントメイヨークリニックスコアの改善をもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔42〕前記投与することが、前記個体の2コンポーネントメイヨークリニックスコアの改善をもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔43〕前記投与することが、前記個体のトータルメイヨークリニックスコアの改善をもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔44〕前記投与することが、前記個体の前記粘膜の前記内視鏡的外観の改善をもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔45〕前記投与することが、前記個体における臨床寛解を誘導することをもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔46〕前記投与することが、前記個体における臨床寛解を維持することをもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔47〕前記投与することが、前記個体における臨床寛解を誘導および維持することをもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔48〕前記投与することが、前記個体における臨床応答を誘導することをもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔49〕前記投与することが、前記個体における臨床応答を維持することをもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔50〕前記投与することが、前記個体における臨床応答を誘導および維持することをもたらす、前記〔36〕に記載の方法。
〔51〕前記個体が、前記化合物1が投与される前に絶食している、前記〔1〕~〔50〕のいずれか一項に記載の方法。
〔52〕前記治療有効量が、1mgの化合物1に相当する量である、前記〔1〕~〔51〕のいずれか一項に記載の方法。
〔53〕前記治療有効量が、2mgの化合物1に相当する量である、前記〔1〕~〔51〕のいずれか一項に記載の方法。
〔54〕前記治療有効量が、3mgの化合物1に相当する量である、前記〔1〕~〔51〕のいずれか一項に記載の方法。
〔55〕前記治療有効量の化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物が、1日1回前記個体に投与される、前記〔1〕~〔54〕のいずれか一項に記載の方法。
〔56〕化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物の投与中に有害事象について監視することと、任意選択的に、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物の投与を中断または終了することと、をさらに含む、前記〔1〕~〔55〕のいずれか一項に記載の方法。
〔57〕前記化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物が、経口投与される、前記〔1〕~〔56〕のいずれか一項に記載の方法。
〔58〕前記化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物が、経口投与に好適なカプセルまたは錠剤として製剤化される、前記〔1〕~〔57〕のいずれか一項に記載の方法。
〔59〕前記化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物が、
化合物1、
化合物1のカルシウム塩、および
化合物1のL-アルギニン塩から選択される、前記〔1〕~〔58〕のいずれか一項に記載の方法。
〔60〕前記化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物が、化合物1のL-アルギニン塩である、前記〔1〕~〔59〕のいずれか一項に記載の方法。
〔61〕前記化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物が、化合物1のL-アルギニン塩の無水非溶媒和結晶形態である、前記〔1〕~〔58〕のいずれか一項に記載の方法。
〔62〕前記化合物1、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物が、化合物1の無水非溶媒和結晶形態である、前記〔1〕~〔58〕のいずれか一項に記載の方法。
〔63〕前記CYP基質が、CYP2C8基質である、前記〔1〕~〔62〕のいずれか一項に記載の方法。
〔64〕前記CYP基質が、CYP2C9基質である、前記〔1〕~〔63〕のいずれか一項に記載の方法。
〔65〕前記UGT基質が、UGT1A1基質である、前記〔1〕~〔64〕のいずれか一項に記載の方法。
〔66〕前記UGT基質が、UGT1A4基質である、前記〔1〕~〔65〕のいずれか一項に記載の方法。
〔67〕前記UGT基質が、UGT1A6基質である、前記〔1〕~〔66〕のいずれか一項に記載の方法。
〔68〕前記UGT基質が、UGT1A7基質である、前記〔1〕~〔67〕のいずれか一項に記載の方法。
〔69〕前記OAT基質が、OATP1B1基質である、前記〔1〕~〔68〕のいずれか一項に記載の方法。
〔70〕前記OAT基質が、OATP1B3基質である、前記〔1〕~〔69〕のいずれか一項に記載の方法。
〔71〕前記OAT基質が、OAT1基質である、前記〔1〕~〔70〕のいずれか一項に記載の方法。
〔72〕前記OAT基質が、OAT3基質である、前記〔1〕~〔71〕のいずれか一項に記載の方法。
〔73〕前記CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、またはCYP2C9誘導剤が、フルコナゾールである、前記〔1〕~〔72〕のいずれか一項に記載の方法。
〔74〕前記CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、またはCYP2C9誘導剤が、ゲムフィブロジルである、前記〔1〕~〔73〕のいずれか一項に記載の方法。
〔75〕前記CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、またはCYP2C9誘導剤が、リファンピンである、前記〔1〕~〔74〕のいずれか一項に記載の方法。
〔76〕OATP1B1の前記基質が、リファンピンである、前記〔1〕~〔75〕のいずれか一項に記載の方法。
〔77〕OATP1B3の前記基質が、リファンピンである、前記〔1〕~〔76〕のいずれか一項に記載の方法。
〔78〕CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量未満が、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量より約、少なくとも、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、778、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90%少ない、前記〔1〕~〔77〕のいずれか一項に記載の方法。
〔79〕CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量未満が、CYP基質、OAT基質、UGT基質、CYP2C8阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C8誘導剤、CYP2C9誘導剤、UGT1A1阻害剤、またはUGT1A6阻害剤を投与されていない患者に投与される量より約、少なくとも、または少なくとも約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.25、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、または2.0mg少ない、前記〔1〕~〔78〕のいずれか一項に記載の方法。
〔80〕(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物から選択されるスフィンゴシン1-リン酸サブタイプ1(S1P
1
)受容体調節剤を、それを必要とする患者に安全に投与する方法であって、前記患者が、CYP基質、OAT基質、またはUGT基質も投与されており、前記患者に2mg未満の1日用量の前記S1P
1
調節剤を投与することを含む、方法。
〔81〕前記S1P
1
調節剤の1日用量が、1.0、1.25、1.5、および1.75mgの前記S1P
1
調節剤から選択される、前記〔76〕に記載の方法。