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特許7397012小型フットフリント高性能パッシブRFIDタグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】小型フットフリント高性能パッシブRFIDタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20231205BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G06K19/07 230
G06K19/077 280
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020570815
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019037506
(87)【国際公開番号】W WO2019245979
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】62/686,241
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516243711
【氏名又は名称】エイブリィ・デニソン・リテイル・インフォメーション・サービシズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイク,ジョージ,ジュニア
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-028424(JP,A)
【文献】特開2014-135012(JP,A)
【文献】特開2009-272697(JP,A)
【文献】特開平10-145987(JP,A)
【文献】特開2011-004401(JP,A)
【文献】特開2010-079451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
一定のキャパシタンスと、第1総抵抗及び第1総抵抗より大きい第2総抵抗を有し、第1総抵抗と第2総抵抗との間で選択的に転換されるように構成される、集積回路とを含み、
前記集積回路は、広帯域モードと共振モードとの間で選択的に動作するように構成され、
前記広帯域モードは、前記第1総抵抗および前記一定のキャパシタンスによって得られる第1入力インピーダンスによる広帯域整合を提供し、
前記共振モードは、前記第2総抵抗および前記一定のキャパシタンスによって得られる第2入力インピーダンスによる狭帯域整合を提供する、パッシブ無線周波数識別(“RFID”)タグ。
【請求項2】
前記広帯域モードと前記共振モードとの間で入力を転換するための一連のパルスを放出するように構成されたサブ閾値検出器回路をさらに備える、請求項1に記載のパッシブRFIDタグ
【請求項3】
第1抵抗器及び第2抵抗器をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項4】
第1総抵抗は第1抵抗器の抵抗の関数であり、第2総抵抗は第2抵抗器の抵抗の関数であることを特徴とする、請求項に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項5】
第1総抵抗は、並列で連結されるとき、第1抵抗器と第2抵抗器の総抵抗の関数であり、第2総抵抗は第1抵抗器の抵抗又は第2抵抗器の抵抗の関数であることを特徴とする、請求項に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項6】
第2総抵抗は、直列で連結されるとき、第1抵抗器及び第2抵抗器の総抵抗の関数であり、第1総抵抗は第1抵抗器の抵抗又は第2抵抗器の抵抗の関数であることを特徴とする、請求項に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項7】
複数の抵抗器をさらに含み、第1総抵抗は、並列で連結されるとき、複数の抵抗器の中で二つ以上の総抵抗の関数であることを特徴とする、請求項1または2に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項8】
第2総抵抗は複数の抵抗器のいずれか一つの抵抗の関数であることを特徴とする、請求項に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項9】
第2総抵抗は、直列で連結されるとき、複数の抵抗器の中で二つ以上の総抵抗の関数であることを特徴とする、請求項に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項10】
複数の抵抗器をさらに含み、第2総抵抗は、直列で連結されるとき、複数の抵抗器の中で二つ以上の総抵抗の関数であることを特徴とする、請求項1または2に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項11】
第1総抵抗は複数の抵抗器のいずれか一つの抵抗の関数であることを特徴とする、請求項10に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項12】
第1総抵抗は、並列で連結されるとき、複数の抵抗器の中で二つ以上の総抵抗の関数であることを特徴とする、請求項10に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項13】
集積回路は第3総抵抗を有し、第1総抵抗、第2総抵抗及び第3総抵抗の中で選択的に転換されるように構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項14】
第3総抵抗は第1総抵抗及び第2総抵抗の中で一つ又は二つより大きいことを特徴とする、請求項1に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項15】
第3総抵抗は第1総抵抗及び第2総抵抗の中で一つ又は二つより小さいことを特徴とする、請求項1に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項16】
第3総抵抗は第1総抵抗より大きくて第2総抵抗より小さいことを特徴とする、請求項1に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項17】
無線周波数(“RF”)ブーストモジュールをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項18】
RFブーストモジュールは一つ以上のキャパシタを含むことを特徴とする、請求項1に記載のパッシブRFIDタグ。
【請求項19】
RFブーストモジュールは並列で連結された二つ以上のキャパシタを含むことを特徴とする、請求項1に記載のパッシブRFIDタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2018年6月18日付で出願された米国仮特許出願第62/686,241に基づいて優先権を主張し、これはその全体を参照することによりこの明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は超高周波(“UHF”)無線周波数識別(“RFID”)タグ分野に属する。より具体的に、本発明は一般的にRFID技術のための新興市場の高性能アプリケーションに最適化した小型フットフリント(footprint)を有するパッシブUHF RFIDタグを提供するためのシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
RFIDは読取機(reader)システムによって伝送された磁場、電場又は電磁場を使って自分を識別し、場合によっては追加に保存されたデータを提供する。RFIDタグは一般的に“チップ”又は“集積回路”と呼ばれる半導体装置を含み、その上にメモリ及び動作回路が形成される。集積回路は、当該分野に公知となっているように、直接又はインターポーザー(interposer)又はRFIDストラップ装置のような装置とともにタグアンテナに連結される。一般に、RFIDタグはインテロゲータ(interrogator)とも言うRFID読取機から受信された無線周波数(“RF”)質問(interrogation)信号に応じて集積回路メモリに保存された情報を提供するトランスポンダー(transponder)の役割を達成する。アクティブRFID装置の場合、装置にはバッテリーのような電源がある。一方、パッシブRFID装置を使えば、質問信号のエネルギーもRFID装置を動作するのに必要なエネルギーを提供する。したがって、パッシブRFID装置はアクティブRFID装置に比べて読取範囲が短いことがあるが、アクティブRFID装置のように(例えば、バッテリー寿命制限によって)ずっと安価であり、寿命が制限されない。また、パッシブRFID装置にはオンボード(on-board)電源がないから、パッシブRFID装置は一般的に活性RFID装置より小さい。
【0004】
全世中でRFIDシステムは低周波(“LF”)、高周波(“HF”)又は超高周波(“UHF”)帯域で動作する。電波はこのような各周波数帯域で異なって動作するから、それぞれの長短所がある。より高い周波数範囲で動作するシステムは一般的により速いデータ伝送速度とより長い読取範囲を有するから、多いアプリケーションに好ましい。
【0005】
LF RFIDシステムは一般的に125KHz又は134KHzで動作するが、LFシステムは30KHzから300KHzまでの周波数をカバーする。大部分のHF RFIDシステムは13.56MHzで動作するが、HFシステムは3MHzから30MHzまでの周波数をカバーする。最後に、UHFシステムは一般的に860MHz~960MHzで動作するが、UHFシステムは300MHzから3GHzまでの周波数をカバーする。UHFスペクトラムの標準化した領域は合意されていなかったが、全世界の多くの国家でRFID使用のために無線スペクトラムの相異な部分を割り当て、一般的にLF及びHFシステムでの使用を標準化している。したがって、ヨーロッパのUHFシステムは一般的に865MHz~868MHzで動作し、北米のUHF RFIDシステムは一般的に902MHz~928MHzで動作し、中国のUHFシステムは840.25MHz~844.75MHzだけでなく920.25MHz~924.75MHzで動作するように承認された。三つの主要RF帯域(LF、HF、UHF)のそれぞれでRFIDを使うためには互いに異なるタグが必要であるが、UHF RFIDシステムのために全世界的に使われる互いに相異なる周波数帯域は各地域で動作するために一般的にタグアンテナを修正して達成される少し違うタグ設計を必要とする。
【0006】
パッシブUHF RFIDタグの主要構成要素はUHF RFID読取機からの放射(radiated)電源、伝導アンテナ、整合(matching)ループ、UHF RFID Gen2集積回路のようなUHF RFID集積回路又はチップを含む。パッシブUHF RFIDタグは、RFID読取機から放射された電力を収集し、収集された電力を整合ループ回路を介して集積回路に伝送して集積回路をオン(On)にする。集積回路の電源がオンになれば、Gen2集積回路に必要なGen2プロトコル命令のような必須プロトコル命令を遂行することができる。
【0007】
チップ製造業者は集積回路のフロントエンド(front end)で標準インピーダンス値を提供する。また、新しい集積回路は自己調整チューニング回路を組み込み、制限された範囲のキャパシタンスを提供し、制限された範囲で最適のインピーダンスを捜し、特定のキャパシタンス範囲内でできるだけ多くの放射電力を吸収する。タグアプリケーションによるインピーダンスの少しの変化に対処するのに役立つが、主要利点はタグの感度を高めることである。例えば、タグ感度は約1dB~約2dBまで増加することができる。このような自己調整回路はタグのターンオン電力にも役立つことができる。また、この小さくて制限された範囲のキャパシタンスは小型の狭帯域(narrow-band)RFIDタグの応答を広げるのに役立つことができる。
【0008】
また、アンテナ設計は集積回路に整合するために必要なインダクタンス値を提供するように整合ループをさらに含む。ループ回路は本質的に単一ループアンテナ要素であるので、ループのサイズは集積回路の提示されたインピーダンスとアンテナ設計者が設定したアプリケーションに対する所望のチューニングによって部分的に駆動される。特に、アンテナ設計は指定のサイズラベルに合うように設定される。ラベルサイズは一般的に製品包装のサイズと製品包装の使用可能な空間によって決定され、RFIDタグが含まれたラベルは製品包装の印刷された内容を覆うか遮ることがないように配置される。したがって、アンテナ設計者は一般的に使用可能なラベル空間の特定の比率を占めるループ整合回路を設定することで始める。アンテナはパッケージ材料がアンテナに及ぶことができる潜在的な影響を補償するだけでなく集積回路への電力伝送均衡を調整してアプリケーションによって所望の読取範囲を達成するように、アンテナが付着される製品に合わせてチューニングされて整合する。
【0009】
パッシブUHF RFIDは全世界的に多くのアプリケーションにずっと採択されている。特に、衣類市場は10年以上相当な成長を駆動して来た。技術がより普遍化するにつれて、新しいアプリケーションがずっと登場している。読取機製造業者はRFIDタグの読取可能性を高めることはもちろんのこと、供給網の全体で新しい読取ポイントができるようにするためにハードウェア装置をずっと発展させている。チップ製造業者は新しい繰り返しごとにチップの感度を次第に増加させてRFIDタグの読取範囲を増加させた。オハイオ州、メンター(Mentor)のAvery Dennison Retail Information Services、LLCのようなアンテナ設計業者はタグ性能をアプリケーション環境に合わせるために新しいアンテナ設計を続けて開発している。
【0010】
衣類市場のフォームファクター(form factor)は去る10年の間に根本的に変わらなかったが、チップ製造業者及び読取機製造業者のそれぞれの新しい漸進的性能向上はRFIDアプリケーションのシステム性能を漸進的に向上させた。このようなシステム性能の漸進的改善はシステムマージンを増加させて配布されたシステムをもっと力強くするが、必ずしも新しいアプリケーションの出現を有効にする必要はない。
【0011】
しかし、パッシブUHF RFIDを含むRFID技術市場はコンビニ、食品用途、航空、製薬などのように衣類以外の領域に移動している。しかし、このような新興アプリケーションは現在RFIDシステムに非常に大きな課題を与えているが、その理由は製品材料に対する影響が多様な高密度環境で読み取らなければならないかなり小さなタグが必要であるからである。また、このようなタグは使用を特定の地理的場所に限定するものではなく、グローバルに(globally)機能する必要がある。
【0012】
よって、小さくて広範囲な材料に、又はそれに関連して使われることができ、比較的長い読取範囲を有し、特定の地理的領域で使用することに制限されないRFIDタグが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一般に、本発明は一般的にアンテナ、ループ、チップ、及び構成を含むUHF RFIDタグアーキテクチャ(architecture)に関するものである。UHF RFIDタグは過去に達成しにくかった独特な要件を有する新しいアプリケーションに有利に対処することができる。例えば、本発明のUHF RFIDタグによって提供されることができる新興市場は広い範囲の材料特性にわたって動作し、その環境にグローバルに適応しなければならない小さなサイズ、強い読取範囲を有するタグを必要とすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、パッシブ無線周波数識別(“RFID”)タグアンテナ、及び第1総抵抗及び第1総抵抗より大きな第2総抵抗を有する集積回路を含み、集積回路は第1総抵抗と第2総抵抗との間で選択可能に転換(swithch)されるように構成される。
【0015】
実施形態によっては、パッシブRFIDタグは第1抵抗器(resistor)及び第2抵抗器を含む。第1抵抗器及び第2抵抗器は集積回路の構成要素であることができる。実施形態によっては、第1総抵抗は第1抵抗器の抵抗の関数であり、第2総抵抗は第2抵抗器の抵抗の関数である。実施形態によっては、第1総抵抗は、並列で連結されるとき、第1抵抗器及び第2抵抗器の総抵抗の関数であり、そして第2総抵抗は第1抵抗器の抵抗又は第2抵抗器の抵抗の関数である。他の実施形態で、第2総抵抗は、直列で連結されるとき、第1抵抗器及び第2抵抗器の総抵抗の関数であり、そして第1総抵抗は第1抵抗器の抵抗又は第2抵抗器の抵抗の関数である。
【0016】
他の実施形態によれば、パッシブRFIDタグは複数の抵抗器を含み、ここで第1総抵抗は、並列で連結されるとき、複数の抵抗器の中で二つ以上の総抵抗の関数である。実施形態によっては、第2総抵抗は複数の抵抗器の中で一つの抵抗の関数である。他の実施形態で、第2総抵抗は、直列で連結されるとき、複数の抵抗器の中で二つ以上の総抵抗の関数である。
【0017】
本発明の他の実施形態で、パッシブRFIDタグは複数の抵抗器を含み、ここで第2総抵抗は、直列で連結されるとき、複数の抵抗器の中で二つ以上の総抵抗の関数である。実施形態によっては、第1総抵抗は複数の抵抗器の中で一つの抵抗の関数である。他の実施形態で、第1総抵抗は、並列で連結されるとき、複数の抵抗器の中で二つ以上の総抵抗の関数である。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、パッシブRFIDタグの集積回路は第3総抵抗を有し、集積回路は第1総抵抗、第2総抵抗及び第3総抵抗の中で選択可能に転換されるように構成される。実施形態によっては、第3総抵抗は第1総抵抗と第2総抵抗の中で一つ又は二つより大きい。実施形態によっては、第3総抵抗は第1総抵抗と第2総抵抗の中で一つ又は二つより小さい。実施形態によっては、第3総抵抗は第1総抵抗より大きくて第2総抵抗より小さい。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、パッシブRFIDタグは無線周波数(“RF”)ブースト(boost)モジュールを含む。実施形態によっては、RFブーストモジュールは一つ以上のキャパシタを含む。実施形態によっては、RFブーストモジュールは並列で連結された二つ以上のキャパシタを含む。
【0020】
本発明の他の様態によれば、パッシブRFIDタグはアンテナ及び集積回路を含む。集積回路は一つ以上のキャパシタ、及び第1総抵抗と第2総抵抗との間で選択的に転換するように構成された二つ以上の抵抗器を含むRFブーストモジュールを有することができる。実施形態によっては、RFブーストモジュールは並列で連結された二つ以上のキャパシタを含む。
【0021】
これらの他に、本発明の他の目的及び利点は添付図面とともに本発明の現在の好ましい例示的な実施形態のより詳細な下記の説明を参照することによってより全く理解及び評価されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】従来技術で知られたパッシブRFIDタグを示す図である。
図1B図1Aに示したタグのようなパッシブRFIDタグの主要構成要素を示す図である。
図2】本発明の特定様態によるRFIDシステムの構成要素を示す図である。
図3】本発明の特定様態によるRFIDシステムの構成要素を示す図である。
図4】本発明の特定様態によるRFIDシステムの構成要素を示す図である。
図5】本発明の特定様態による集積回路を示す図である。
図6A】他の周波数帯域占有を示す図である。
図6B】他の周波数帯域占有を示す図である。
図7A】本発明の特定様態による広帯域整合能力を有するRFIDタグの動作を示す図である。
図7B】本発明の特定様態による広帯域整合能力を有するRFIDタグの動作を示す図である。
図8A】本発明の特定様態による狭帯域整合能力を有するRFIDタグの動作を示す図である。
図8B】本発明の特定様態による狭帯域整合能力を有するRFIDタグの動作を示す図である。
図9】本発明の特定様態による集積回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に開示する装置及び方法は図面を例として参照して詳細に説明する。他に明示しない限り、図面において同様な数字は図面全般にわたって同一、類似又は対応の要素を示す。開示及び説明した例、配列、構成、構成要素、要素、装置、方法、材料などに対する変更が可能であり、特定のアプリケーションに好ましいことが理解可能であろう。本明細書で、特定の形状、材料、技術、配列などの識別は提示した特定の例に関連するか、又はその形状、材料、技術、配列などについての一般的な説明であるだけである。特定の詳細事項の識別又は例は、特に指定しない限り、強制的な又は制限的なものに解釈されてはいけない。装置及び方法の選択された例を以下で図面を参照して詳細に開示及び説明する。
【0024】
したがって、本発明によって非常に有利なUHF RFIDタグ及びシステムが提供されたことが分かる。本発明を現在で最も実用的で好ましい実施形態と見なされるものに関連して説明したが、本発明が開示した実施形態に制限されないことと本発明の範囲内で多くの変更及び同等な配列が可能であることが当業者に明らかであり、その範囲は全ての同等な構造及び製品を含むように添付の請求範囲の最も広い解釈による。
【0025】
前述したように、パッシブRFIDタグは放射形RFID読取機から電力を受ける。特に、RFIDタグアンテナはRFID読取機から電力を収集し、整合回路(すなわち、整合ループ)を介して集積回路に電力を伝送する。前述したように、集積回路はチップに電力を供給するために、制限された範囲にわたって自動調整キャパシタンスを含む。
【0026】
図1A及び図1Bを参照すると、当該分野に公知となった例示的なパッシブRFIDタグ100が示されている。特に、図1BはRFIDタグ100を読み取るためにシステム110とともに使われる主要構成要素を示すブロック図である。例えば、システム110は、一般的にRFID読取機(図示せず)によって提供されるRF電源112を含む。RF電源112はRFIDタグ100に電力を供給するために使われ、これは、一般的に示したように、放射部品又はダイポールアーム(dipole arm)120を有するダイポールアンテナのようなタグアンテナ114、整合ループアンテナ116(本明細書では簡単に“整合ループ”ともいう)、及び集積回路又はRFIDチップ118を含む。図1Aに示したように、またRFIDタグ100は集積回路118を整合回路116に連結するのに使われるRFIDストラップ122のようなインターポーザーを含むことができる。他の実施形態で、集積回路118は整合回路116に直接連結されることができる。
【0027】
前述したように、整合ループ116は集積回路118をタグアンテナ114に結合するのに必要なインダクタンスを提供するためにRFIDストラップ122のようなインターポーザーを介して直接的に又は間接的に集積回路118に連結される。特に、整合ループ116はタグアンテナ114と集積回路118との間のインピーダンス整合を提供するために使われる。当業者は、タグアンテナ114の入力インピーダンスが整合ループ116のサイズを変更することによって調整可能であることが理解可能であろう。よって、アンテナ設計者は、整合ループ116が整合負荷アンテナインピーダンスを提供するようにサイズが決定されることを保障するためにタグアンテナ114を設計するとき、与えられたアプリケーションに対して選択された集積回路118のインピーダンスを考慮しなければならない。図1Aに示したように、整合ループ116の一部はより大きな結合を提供するためにタグアンテナ114と重畳することができる。このような構成はRFIDタグ110の全体フットフリントを減少させて電力伝送の効率性を増大させることができるが、これはより狭い帯域タグにつながることができる。代案として、整合ループ116はタグアンテナ114(図示せず)から離隔することができる。
【0028】
前述したように、RFID技術に対する新しい市場アプリケーションは市場が次第に気難しい特徴及び特性、例えば、より小さなRFIDタグサイズ、既存のRFIDハードウェアとともに使うためにより強くて長い読取範囲を有するRFIDタグ、金属又は液体を含む製品に使うような製品の広範囲な材料の影響に対処することができるRFIDタグ、及びグローバルに機能するように構成されたRFIDタグを要求するように導いた。従来技術のRFIDタグはこのような要求事項の一つ以上を対処することができないから、このような課題は新しい類型のパッシブRFIDタグアーキテクチャで克服しなければならない。
【0029】
多くの新しいアプリケーションは次第に小さなサイズのタグを必要とする。一例として、コンビニで販売される製品はたびたび次第に小さくなるタグを必要とする。このような製品は、大型RFIDタグで遮ることができない広範囲な製品ラベルを有することができる小型パッケージとして一般的に販売される健康及び医薬品目、個人管理品目、美容品目、皮膚管理品目及びその他の品目を含むことができるが、これに限定されない。例えば、美容製品に使われるRFIDタグは、言わばリップスティック、イップグロス、リップステイン、マスカラなどの小さなチューブのような最小表面積を有する品目、及びアイライナー、アイブローペンシル、リップライナーなどの鉛筆又は鉛筆型品目に付着されるのに十分に小さくなければならない。
【0030】
RFIDタグの長さ及び/又は幅が小さくなるにつれてこのようなタグの表面積は減少する。結果として、集積回路をタグアンテナと誘導的に結合するために集積回路のインピーダンスと負荷アンテナインピーダンスを整合することができる整合ループのサイズはタグの利用可能な表面積で相対的に高い比率を占めるであろう。市場アプリケーションはより小さなタグを必要とするから、特定のアプリケーションに必要な整合ループサイズは、アンテナ設計者がRFIDタグの他の特性を最適化するためにタグアンテナにより多くのダイポール長さを追加することを妨げることができる。例えば、アンテナサイズが減少すれば潜在的な利得と帯域幅が減少することができる。
【0031】
タグサイズ減少の有害な影響を克服するために、実施形態によって整合ループのインダクタンス値が集積回路のフロントエンドインピーダンスに移動することができる。結果として、集積回路インピーダンスとタグアンテナインピーダンスを整合するのに必要な整合ループのサイズを減らすことができる。実施形態によっては、インダクタンス値を集積回路のフロントエンドインピーダンスに移動すれば、整合ループを含む必要がない。よって、整合ループのサイズを減らすか整合ループを除去することにより、タグアンテナを設計することができるより大きな表面積を提供する。
【0032】
図2を参照すると、特定タグサイズに対してタグアンテナ214のサイズを増加させるために最適化したRFIDタグ200を読み取るように構成されたRFIDシステム210の主要構成要素が示されている。システム210は、RF電源212、アンテナ214、整合ループ216、及び集積回路218を含むことができる。前述したように、インダクタンス値はタグアンテナ214から集積回路218に移動した。よって、集積回路218はサイズの減少した整合ループ216に付着されることができるが、集積回路218のインピーダンス値は依然としてタグアンテナ214のインピーダンス値と整合することができる。
【0033】
RFIDタグのサイズを減らすことに関連した追加の課題はタグアンテナ開口を減らすこともできるというのである。しかし、当業者であれば、タグアンテナが電力受信に効果が小さければリターンリンクでタグアンテナによって反射されるエネルギーの量も減少することが理解可能であろう。反射エネルギーが減少すれば、RFIDタグの有効読取範囲も減少する。したがって、RFID読取機ハードウェアを用いた成功的な読取りはRFIDタグから弱い信号を検出するハードウェアの能力による。よって、感度のより高いRFID読取機は一般的により高いコストで提供しなければならない。
【0034】
この問題に対処するために、本発明のいくつかの実施形態によって提案されたアーキテクチャは、集積回路自体内にキャパシタンスブースト(boost)を追加する。キャパシタンスブーストは集積回路に増加した電荷(charge)ポンプを提供することができ、そして次にこれは回路RFID読取機ハードウェアへのリターン信号をブーストすることができる。有利に、これによりRFID読取機への信号が増加し、読取範囲が拡がり、アプリケーションにシステムマージンが加わり、感度の高いRFID読取機が要らなく、RFIDタグ集団の読取可能性を向上させるのに役立つことができる。
【0035】
例えば、図3に示したように、RFブーストモジュール320に集積回路318を提供することにより、改善された環境発電(energy harvesting)集積回路318が生成される。前述したように、RFブーストモジュール320は一つ以上のキャパシタ(図示せず)を含むことができる。実施形態によっては、RFブーストモジュール320は並列で連結された二つ以上のキャパシタを含む。一つ以上のキャパシタは、例えばRF電源312から収集されたエネルギーを保存するために集積回路318に連結されることができ、RFID読取機(図示せず)へのリターン信号をブースティングするために集積回路318にエネルギーを提供するように構成されることができる。図3Aに示したように、整合ループ316にはタグアンテナ314が提供され、RF電源312はRFID読取機の構成要素である。
【0036】
前述したように、RFIDタグのサイズ減少に関連した一つの欠点はタグアンテナ開口を減少させることができるというのである。しかし、タグアンテナ開口が減少すれば、タグアンテナはRFID読取機から放射されるRF電力からより少ないエネルギーを受ける。よって、本発明のいくつかの実施形態は、前述したように、タグアンテナに対して利用可能な表面積を維持するために、整合ループのインダクタンス値を集積回路のフロントエンドインピーダンスに移動させ、そして集積回路自体に、例えば前記のようなキャパシタンスブーストを伴う環境発電(energy harvesting)能力を追加することによってこの問題に対処する。よって、集積回路は増加した感度を提供することができ、RFID読取機から放射された特定のRF電力に対してより低い入射電力でターンオン(turn on)することができる。
【0037】
図4を参照すると、本発明の一実施形態は、増加した読取範囲及び感度を提供するために、この明細書に開示した特徴の組合せを有するRFIDタグ400と一緒に使うためのRFIDシステム410を示す。図示のように、インダクタンス値をタグアンテナ414から集積回路218に移動することにより、より小さな整合ループ416はタグアンテナ414のインピーダンスと整合するために必要なインピーダンスを提供することができる。その結果、タグアンテナ414のサイズは増加したRF範囲を提供するために増加することができる。また、集積回路418用の電源がRF電源412によって提供される反面、RFブーストモジュール420は集積回路418とともに提供される。前述したように、RFブーストモジュール420は並列で連結された一つ以上のキャパシタのような一つ以上のキャパシタ(図示せず)を含むことができる。一つ以上のキャパシタは、例えばRF電源412から収集されたエネルギーを保存するために集積回路418に連結されることができ、RFID読取機(図示せず)へのリターン信号をブースティングするために集積回路418にエネルギーを提供するように構成されることができる。
【0038】
前述した欠点に加え、より小さなタグアンテナ開口は本質的に狭帯域になるであろう。したがって、このようなタグアンテナを含むRFIDタグは特定の地域又は領域に制限されることができる。したがって、アメリカ、イギリス、中国及び/又は日本で動作するRFIDタグは指定の地域で動作するためにそれぞれ固有のアンテナ設計が必要であることができる。RFIDタグが特定の地域にのみ配置される場合、これは問題にならないこともあるが、国際アプリケーションの場合、RFID変換器と顧客が供給網で管理すべきSKU(最小在庫管理単位)が増加する。例えば、製品を国際的に販売するブランド及び小売業者はアメリカで販売される特定の製品とヨーロッパで販売される同じ製品に対して相異なるRFIDタグが必要である。このような要件によって、供給網の効率性が低下し、最終的に消費者に伝わるコストを増加させる。
【0039】
このような問題に対処するために、本発明のいくつかの実施形態は、集積回路内で転換可能であるか可変的なインピーダンスを有する。転換可能なインピーダンスを提供することにより、一つの地理的周波数帯域から他の周波数帯域に段階的変更をなすことができる。いくつかの実施形態によれば、段階的変更はRFID読取機からRF命令によって動作する。例えば、RFIDタグが特定の地域に配置されるとき、RFIDタグを製品に適用するプリンター又はその他の方法は供給網の初期地点でRF命令によって特定の地域に設定されることができる。製品が供給網を介して移動するとき、製品が供給網の次の段階で相異なる動作RFID読取機周波数の地域に配送される場合、RFIDタグを在庫調査する(inventory)ことができ、“地理的選択”命令はタグを適切なインピーダンスに転換して、RFIDタグ付着製品が配布される地域の動作周波数を提供することができる。よって“地理的選択”命令はRFIDタグを新しい地理的領域に合わせて最適化することによって性能を向上させることができる。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、RFIDチップ又は集積回路は予め設定された条件又は適応的条件によってインピーダンス整合戦略を変更する機能を提供することができる。一般に、集積回路とタグアンテナとの間に二つのインピーダンス整合戦略を用いることができる。例えば、集積回路抵抗Rp及び集積回路キャパシタンスCpと比較的広帯域の電力を整合することにより、RFID読取機の全動作周波数範囲でタグを動作させることができる。後述するように、このようなタグは連続周波数範囲又は二つの個別周波数帯域で動作することができる。典型的に、RFID読取機の動作範囲は、前述したように、特に地理的領域だけではなく干渉ソース(source)との共同位置のような他の要因に関連する。代案として、アンテナインピーダンスの反応性成分が集積回路入力キャパシタンスと共振するように設計される場合、比較的狭い帯域整合が提供されることができる。したがって、高い集積回路抵抗Rpは高いQ値集積回路で可能な最大電圧を有する。
【0041】
RFIDチップは、一般的に集積回路に電力を供給するために直流(“DC”)電圧に変換するに先立ち、RF電源からの交流(“AC”)電圧を掛けるように設計された構造を含む。このような電圧増倍器はダイオード又はトランジスタのようなスイッチを含むことができ、最小動作電圧を有することができる。したがって、より高い入力電圧はより低い動作閾値を提供するのに有利であることができる。集積回路の入力インピーダンスは静電放電ダイオードのようなアイテムのエネルギー損失及びRFIDタグが動作するように内部キャパシタを充電するために集積回路が消費する電力の関数であることができる。
【0042】
一般に、より大きな入力インピーダンスをもたらす高い集積回路抵抗Rpは狭い帯域幅と共振整合、及び内部キャパシタの制限された充電速度と関連がある。例えば、高いRpを有するタグは一般的に周波数ホッピング(hopping)に関連した帯域の多くの周波数に対する電力を収容することができないから、一つの周波数又は非常に狭い周波数範囲でのみ動作することができる。したがって、タグがRF電源から受信された電力を整流し始めるに先立ち、タグはRF読取機システムが正しい周波数で伝送することを待たなければならない。また、Rpの高いタグは内部キャパシタの充電速度が遅いから、このようなタグは複数の充電イベントが必要であることがあり、その結果としてタグの応答速度が低下する。しかし、入力インピーダンスが高ければ、増幅器回路が入力信号を適切に増幅することができる。対照的に、より低い入力インピーダンスをもたらすより低いRpは一般的により広い帯域の共役インピーダンス電力整合に関連し、このようなタグが定期的に周波数を変更することができるRFID読取機システム(周波数ホッピング)として動作し、内部キャパシタのより高い充電ができるようにする。このような特徴は、より速い応答速度を有する集積回路及びRFIDタグを有利に提供することができる。
【0043】
図5を参照すると、RFIDタグ用集積回路500は一定のキャパシタンスCp及び転換可能な抵抗Rpを有することができ、よって転換可能な入力インピーダンスを提供する。例えば、集積回路500は第1入力インピーダンスと第2入力インピーダンスとの間で転換することができ、ここで第2入力インピーダンスは第1入力インピーダンスより大きい。比較的低い第1入力インピーダンスと比較的高い第2入力インピーダンスとの間で転換することができる集積回路を提供することにより、本発明のいくつかの実施形態によって低い入力インピーダンス及び高い入力インピーダンスの両者に関連した利点が得られる。特に、比較的低い第1入力インピーダンスは、集積回路がRFID読取機のより広い範囲の周波数と整合するようにし、内部キャパシタのより速い充電速度を提供することができる反面、比較的高い第2入力インピーダンスは、向上した入力信号の増幅機能を集積回路に提供することができる。
【0044】
図5をずっと参照すると、実施形態によっては、第1総抵抗Rp(1)を集積回路500に提供することによって第1入力抵抗が提供されることができ、第2総抵抗Rp(2)を集積回路500に提供することによって第2入力インピーダンスが提供されることができる。第2入力インピーダンスが第1入力インピーダンスより大きいかを確認するために、第2総抵抗Rp(2)は第1総抵抗Rp(1)より大きいことができる。当業者は可変総抵抗を任意の数の方式でなすことができることが理解可能であろう。例えば、Rp(1)は単一の第2抵抗器のR(p(2)より低い抵抗を有する単一の第1抵抗器であることができる。代案として、Rp(1)は並列で連結された二つ以上の抵抗器によって提供され、第2総抵抗より小さい第1総抵抗を提供することができ、ここで第2総抵抗Rp(2)はRp(1)より大きな第2総抵抗を提供する方式で連結された二つ以上の抵抗器の中で一つ又はその部分集合(subset)によって個別的に提供されることができる。実施形態によっては、Rp(1)は第1総抵抗より大きな第2総抵抗を提供するために直列で連結された二つ以上の抵抗器によって提供されることができ、ここで第1総抵抗Rp(1)は二つ以上の抵抗器の中でいずれか一つ又はより低い第1総抵抗を提供する方式で連結されたこれらの部分集合によって個別的に提供されることができる。
【0045】
実施形態によっては、集積回路500は、集積回路500が、例えば第3入力インピーダンスに転換することができるようにするために、第3総抵抗などの追加の総抵抗を提供するように構成されることができる。実施形態によっては、第3総抵抗は第1総抵抗及び/又は第2総抵抗より大きいことができる。他の実施形態で、第3総抵抗は第1総抵抗及び/又は第2総抵抗より小さいことができる。さらに他の実施形態で、第3総抵抗は第1総抵抗より大きいことができるが第2総抵抗より小さいことができる。
【0046】
実施形態によっては、例えば転換可能な総抵抗を提供することによって生成される転換可能な入力インピーダンスを有する集積回路500は、この明細書の他の部分で説明するように、環境発電が好ましいRFIDタグに用いられることができる。例えば、転換可能な入力インピーダンスを有する集積回路500は、本明細書の他の部分でさらに説明するように、RFブーストモジュール320、420として又はこれに関連して使われることができる。
【0047】
図6A及び図6Bを参照すると、二つの類型の帯域占有が示されている。例えば、図6Aは連続周波数帯域F1~F2を示し、図6Bは二つの個別周波数帯域F1~F2及びF3~F4を示す。図6Aに示した帯域のような連続周波数帯域で動作するように構成されたRFID読取機は該当帯域で相異なる周波数の間でホッピング(hopping)することができる。図6Bに示したように相異なるサブ帯域で動作するように構成されたRFID読取機は2帯域、つまりF1~F2及びF3~F4で相異なる周波数の間でホッピングすることができ、またサブ帯域の間で周期的に変更されることができる。
【0048】
図7A及び図7Bは低い入力インピーダンス及びこれによる広帯域整合能力を有するRFIDタグがどのように動作するかを例示する。例えば、入力インピーダンスが低いタグは、700A及び700Bで表示された線で示すように、その範囲内でF1~F2、又はF1~F2及びF3~F4の両者で動作することができる。有利に、入力インピーダンスが低いRFIDタグはRFID読取機システムにもっと早い応答を提供することができる。また、このようなタグは、製品関連移動を許容するためにF1~F2又はF1~F4外の周波数で整合を提供することができる。
【0049】
対照的に、図8A及び図8Bは、800A及び800Bで表示された線で示すように、高い入力インピーダンスを有するRFIDタグがどのように狭帯域整合を提供するかを例示する。図8Aに示したように、タグ帯域幅はF1~F2の全範囲より小さい。同様に、図8Bに示したように、タグ帯域全範囲より小さいF3~F4サブ帯域のみで動作するので、読取機がF1~F2帯域にあるときは動作しない。
【0050】
RFIDタグに対する最適設定の選択は多様な入力パラメーター又はメモリに記憶された値によって変更可能である。例えば、RFIDはタグ初期に共振モードで動作するように前もってプログラミングされることができる。一例として、一つ以上のアンテナのピッチ及びRFIDプリンターシステムのモードが選択したモードに影響を及ぼすことができる。RFIDタグの印刷及びプログラミングを中止するプリンターの場合、共振整合条件を用いることができる。実施形態によっては、RFIDプリンターシステムとRFIDタグとの間に最適の通信を提供するために、選択された第1周波数はRFIDタグに対する予想動作周波数であることができる。RFIDプリンターシステムのRFID読取機は一定時間の間に他の周波数にホッピングすることができる。これにより通信が中断することがあるが、RFIDタグはこれまでRFIDプリンターシステムの視野から外れることができる。隣接したタグも共振整合条件にある場合、簡単な離調(de-tuning)材料は狭帯域条件で負荷によって性能が急激に落ちるので、隣接したタグの性能を大きく低下させることができる。
【0051】
他の例として、共振モードはインライン(in-line)テストシステムの一部として用いられることができる。このようなシステムで、システムは抑制された放射線条件で動作することができるので、地域無線周波数規定を順守する必要がない。結果として、RFID読取機はテスト位置でRFIDのタグ最大応答周波数に設定されることができる。隣接したタグは誘電体又は金属材料によって離調(detuned)されることができ、隣接したタグが共振モードにあるときに感度が大きく落ちるので、テスト中のRFIDタグと同時に読み取ることができない。プログラミング又はテストの後、タグの類型によって(例えば、混合衣類のようなアイテムの広帯域タグ又は化粧品のようなアイテムの狭帯域タグ)共振モードをターンオンするかターンオフするようにタグをプログラミングすることができる。
【0052】
動作モードは読取機命令の一部として命令されることもでき、ここで選択作業中に特定ビートをテストすれば動作状態を変更することができる。これにより、RFID読取機が制御することができる。アプリケーションによっては、まず広帯域モード(低Rp)を使って在庫調査を実行することができ、その状態で読み取られたタグは、プログラミングによって、又はタグが成功的に在庫調査されたことを示すフラグに連結することにより、その状態でロッキング(locking)されることができる。その後、応答は遅くなるがより高いQ条件(高Rp)のために在庫調査が共振モードに転換されることができる。これにより、一部条件でより高い性能を提供し、残りのタグをキャプチャーすることができる。このような方式で、より成功的な全体在庫調査を最小時間になすことができる。特に、大部分のタグは広帯域高速モードでキャプチャーすることができる反面、残りのタグはより狭帯域の低速モードでキャプチャーすることができる。いくつかの実施形態によれば、このような動作モードは、前述したように、転換可能な入力インピーダンスを有する集積回路を備えたタグを使うことによりなすことができる。
【0053】
図9に示したように、集積回路は、共振(高Rp)又は広帯域(低Rp)整合が関連及び/又は要求されるかを決定することができる。実施形態によっては、集積回路900は、集積回路900を活性化するのに必要な電力レベル未満で動作することができるサブ閾値検出器回路を有する。例えば、サブ閾値検出器回路は複雑性が低く、比較的低い速度で動作することができる。RFID読取機が周波数帯域を横切ってホッピングするとき、サブ閾値検出器回路は一連のパルスを放出し、広帯域(低Rp)と共振(高Rp)モードの間で入力を転換して結果を検査することができる。与えられた時間の間の全てのパルスが共振モードのパルスと類似した振幅を有する場合、集積回路は広帯域モードを選択することができ、集積回路は、例えば1秒と10秒との間の期間に当該状態で維持されることができる。他の実施形態によれば、集積回路は10秒以上又は10秒未満の間に広帯域モードで維持されることができる。有利に、広帯域モードで集積回路を維持すれば、共振モードと同じ性能を提供することができるが、より速い通信が可能である。実施形態によっては、共振モードのピークが広帯域モードのピークよりずっと高ければ、集積回路900は共振モードを選択することができ、前述したように、一定期間の間にこの状態で維持されることができる。例えば、集積回路900は、1秒未満、1秒~10秒、又は10秒超過の時間の間に共振モードで維持されることができる。共振モードを選択することにより、全体電力レベルがタグ動作閾値まで上がるとき、集積回路の通信速度はより遅いが在庫調査の可能性が高くなる。
【0054】
よって、いくつかの実施形態によれば、低Rp、広帯域状態及び高いRp、狭帯域選択可能状態を有し、同じ変形された2状態又は適応的メカニズムを有する集積回路は、RFIDプリンター及びインラインテスターの内部だけではなく、在庫調査及びその他の読取条件で多様なサイズ及びアプリケーションのタグ性能を最適化するのに使われることができ、ここで自動チューニング又は自動調整とよく説明される性能最適化のためにキャパシタンスも変更されることができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9