(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】非常電話システム及び非常電話システムの通話接続方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/00 20060101AFI20231205BHJP
H04M 3/22 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H04M3/00 B
H04M3/22 B
(21)【出願番号】P 2021021519
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】日高 龍一
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-172290(JP,A)
【文献】特開2007-122582(JP,A)
【文献】特開2019-153834(JP,A)
【文献】特開2009-094938(JP,A)
【文献】特開2010-239279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-12/22
12/50-12/66
45/00-49/9057
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管内の非常電話に接続された第1線路監視装置と、前記第1線路監視装置に接続された、第1管内の非常電話サーバと、前記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台と、
前記第1線路監視装置、前記第1管内の非常電話サーバ及び前記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台を監視する第1の統括保守コンソールと、
前記第1管内とは異なる、第2管内の非常電話に接続された第2線路監視装置と、前記第2線路監視装置に接続された、第2管内の非常電話サーバと、前記第2管内の非常電話サーバに接続された受付台と、
前記第1線路監視装置、前記第1管内の非常電話サーバ及び前記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台を監視し、前記第1の統括保守コンソールと接続された第2の統括保守コンソールを含み、
前記第1線路監視装置は、前記
第1管内の非常電話からの着信を前記第1管内の非常電話サーバ及び前記第2管内の非常電話サーバに通知し、
前記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台は、
前記第1管内の非常電話サーバが通常運用中のときには前記第1管内の非常電話からの、前記第1管内の非常電話サーバ
への着信について通話接続を行い、前記第1管内の非常電話サーバがバックアップ運用中のときには前記第2管内の非常電話サーバ
への着信について、前記第1、第2の統括保守コンソールを経由して通話接続を行う、
非常電話システム。
【請求項2】
前記第2線路監視装置は、前記
第2管内の非常電話からの着信を前記第2管内の非常電話サーバ及び前記第1管内の非常電話サーバに通知し、
前記第2管内の非常電話サーバに接続された受付台は、
前記第2管内の非常電話サーバが通常運用中のときには前記第2管内の非常電話からの、前記第2管内の非常電話サーバ
への着信について通話接続を行い、前記第2管内の非常電話サーバがバックアップ運用中のときには前記第1管内の非常電話サーバを経由した着信について、
前記第1、第2の統括保守コンソールを経由して通話接続を行う、
請求項1に記載の非常電話システム。
【請求項3】
第3管内の非常電話に接続された第3線路監視装置と、前記第3線路監視装置に接続された、第3管内の非常電話サーバと、前記第3管内の非常電話サーバに接続された受付台と、
前記第3線路監視装置、前記第3管内の非常電話サーバ及び前記第3管内の非常電話サーバに接続された受付台を監視し、前記第1,第2の統括保守コンソールと接続された第3の統括保守コンソールをさらに含み、
前記第3線路監視装置は、前記
第3管内の非常電話からの着信を前記第3管内の非常電話サーバ、前記第2管内の非常電話サーバ及び前記第1管内の非常電話サーバに通知し、
前記第3管内の非常電話サーバに接続された受付台は、
前記第3管内の非常電話サーバが通常運用中のときには前記第3管内の非常電話からの、前記第3管内の非常電話サーバ
への着信について通話接続を行い、
前記第3管内の非常電話サーバがバックアップ運用中のときには前記第2管内の非常電話サーバを経由した着信又は前記第1管内の非常電話サーバを経由した着信について、
前記第1、第2、第3または前記第2、第3の統括保守コンソールを経由して通話接続を行う、
請求項2に記載の非常電話システム。
【請求項4】
第1管内の非常電話に接続された第1線路監視装置、前記第1線路監視装置に接続された、第1管内の非常電話サーバ、及び前記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台と、
前記第1線路監視装置、前記第1管内の非常電話サーバ及び前記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台を監視する第1の統括保守コンソールと
前記第1管内とは異なる、第2管内の非常電話に接続された第2線路監視装置、前記第2線路監視装置に接続された、第2管内の非常電話サーバ、及び前記第2管内の非常電話サーバに接続された受付台
と、
前記第1線路監視装置、前記第1管内の非常電話サーバ及び前記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台を監視し、前記第1の統括保守コンソールと接続された第2の統括保守コンソールを含む非常電話システムの
通話接続方法であって、
前記第1線路監視装置は、前記第1管内の非常電話からの着信を前記第1管内の非常電話サーバ及び前記第2管内の非常電話サーバに通知し、
前記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台は、
前記第1管内の非常電話サーバが通常運用中のときには前記第1管内の非常電話からの、前記第1管内の非常電話サーバへの着信
について通話接続を行い、前記第1管内の非常電話サーバがバックアップ運用中のときには前記第2管内の非常電話サーバへの着信について、
前記第1、第2の統括保守コンソールを経由して通話接続を行う、
非常電話システムの
通話接続方法。
【請求項5】
前記第2線路監視装置は、前記
第2管内の非常電話からの着信を前記第2管内の非常電話サーバ及び前記第1管内の非常電話サーバに通知し、
前記第2管内の非常電話サーバに接続された受付台は、
前記第2管内の非常電話サーバが通常運用中のときには前記第2管内の非常電話からの、前記第2管内の非常電話サーバ
への着信について通話接続を行い、及び前記第2管内の非常電話サーバがバックアップ運用中のときには前記第1管内の非常電話サーバを経由した着信について、
前記第1、第2の統括保守コンソールを経由して通話接続を行う、
請求項4に記載の非常電話システムの
通話接続方法。
【請求項6】
第3管内の非常電話に接続された第3線路監視装置と、前記第3線路監視装置に接続された、第3管内の非常電話サーバと、前記第3管内の非常電話サーバに接続された受付台と、
前記第3線路監視装置、前記第3管内の非常電話サーバ及び前記第3管内の非常電話サーバに接続された受付台を監視し、前記第2の統括保守コンソールと接続された第3の統括保守コンソールを前記非常電話システムはさらに含み、
前記第3線路監視装置は、前記
第3管内の非常電話からの着信を前記第3管内の非常電話サーバ、前記第2管内の非常電話サーバ及び前記第1管内の非常電話サーバに通知し、
前記第3管内の非常電話サーバに接続された受付台は、
前記第3管内の非常電話サーバが通常運用中のときには前記第3管内の非常電話からの、前記第3管内の非常電話サーバ
への着信について通話接続を行い、
前記第3管内の非常電話サーバがバックアップ運用中のときには前記第2管内の非常電話サーバを経由した着信又は前記第1管内の非常電話サーバを経由した着信について、
前記第1、第2、第3または前記第2,第3の統括保守コンソールを経由して通話接続を行う、
請求項5に記載の非常電話システムの
通話接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常電話システムに関し、特に装置障害やネットワーク障害への耐性が強い非常電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非常電話システムでは、装置障害やネットワーク障害への耐性を高めるために、非常電話の発信経路変更等の切り替えを行う構成によって、通常運用からバックアップ運用に切り替えるものが提案されている。
【0003】
特許文献1は、IP電話システムに関するものであり、データ中継サーバに障害が発生しても通話を極力切断させないようにすること、これによって高信頼性を実現することが提案されている。特許文献1では、データ中継サーバが予備系から現用系に切り替えられるときに、データ中継部では、各IP電話端末との通信を開始し、呼情報データベースを参照して、データ中継を行うことが提案されている。
【0004】
特許文献2は、緊急通報システムの信頼性向上に関するものである。特許文献2では、緊急通報回線から着信があるとLAN(Local Area Network)経由で全受付台に着信信号を送出し、応答操作のあった受付台との間で通信すること、また同時に複数の通報に対応するため、このVOIP(Voice over Internet Protocol)ゲートウェイ装置を複数備え、更にこれを二重化することが提案されている。また、通話中に障害が発生した場合、ゲートウェイ制御部がこの障害を検出し、音声分配/音声選択部に対して切替信号を送出し、音声分配/音声選択部が通話情報のルートを別のルートに切り替えること、VOIPゲートウェイ装置は、検出した障害情報を受付台へのフレームの制御エリアに書き込んで、受付台側に通知することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-228221号公報
【文献】特開2006-013793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した背景技術の非常電話システム、には以下のような課題がある。非常電話の発信経路変更等の切り替えを行う構成によって、通常運用からバックアップ運用に切り替えるものの場合、各装置間の認証時間があり時間がかかる。また経路切り替え事態が正常に完了せず、バックアップ運用が行えないリスクもある。
【0007】
特許文献1や特許文献2では、このような課題を解決する解決手段は提案されていない。
【0008】
本発明の目的は、装置障害やネットワーク障害への耐性が強く、かつ非常電話からの着信に即応できる、非常電話システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係る非常電話システムは、
第1管内の非常電話に接続された第1線路監視装置と、上記第1線路監視装置に接続された、第1管内の非常電話サーバと、上記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台と、
上記第1管内とは異なる、第2管内の非常電話に接続された第2線路監視装置と、上記第2線路監視装置に接続された、第2管内の非常電話サーバと、上記第2管内の非常電話サーバに接続された受付台と、を含み、
上記第1線路監視装置は、上記非常電話からの着信を上記第1管内の非常電話サーバ及び上記第2管内の非常電話サーバに通知し、
上記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台は、第1管内の非常電話からの、上記第1管内の非常電話サーバを経由した着信、及び上記第1管内の非常電話サーバがバックアップ運用中のときには上記第2管内の非常電話サーバを経由した着信について、着信を受け付ける。
【0010】
本発明に係る非常電話システムの着信受付方法は、
第1管内の非常電話に接続された第1線路監視装置、上記第1線路監視装置に接続された、第1管内の非常電話サーバ、及び上記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台と、
上記第1管内とは異なる、第2管内の非常電話に接続された第2線路監視装置、上記第2線路監視装置に接続された、第2管内の非常電話サーバ、及び上記第2管内の非常電話サーバに接続された受付台、を含む非常電話システムの着信受付方法であって、
上記第1線路監視装置は、上記非常電話からの着信を上記第1管内の非常電話サーバ及び上記第2管内の非常電話サーバに通知し、
上記第1管内の非常電話サーバに接続された受付台は、第1管内の非常電話からの、上記第1管内の非常電話サーバを経由した着信、及び上記第1管内の非常電話サーバがバックアップ運用中のときには上記第2管内の非常電話サーバを経由した着信について、着信を受け付ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置障害やネットワーク障害への耐性が強く、かつ非常電話からの着信に即応できる、非常電話システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態による非常電話システムを説明するためのブロック図である。
【
図2】受付台の構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】第2実施形態による非常電話システム、及び非常電話の着信時の動作の一例を説明するためのブロック図である。
【
図4】第2実施形態による非常電話システムの、非常電話の着信時の動作の他の一例を説明するためのブロック図である。
【
図5】第2実施形態による非常電話システムの、非常電話の着信時の動作のさらに他の一例を説明するためのブロック図である。
【
図6】非常電話システムの受付台の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】その他の実施形態による非常電話システムを説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態による非常電話システムについて、説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態による非常電話システムを説明するためのブロック図である。
図1の非常電話システムは、A支社管内システムと、B支社管内システムとを含む。A支社管内システムは、非常電話51と、A支社管内IP(Internet Protocol)線路監視装置52と、非常電話サーバ53と、受付台54と、統括保守コンソール55とを含む。B支社管内システムは、非常電話56と、B支社管内IP(Internet Protocol)線路監視装置57と、非常電話サーバ58と、受付台59と、統括保守コンソール60とを含む。
【0016】
非常通話は、非常電話51や非常電話56より発信される。非常電話51より発信された非常通話は、非常電話51が接続されているA支社管内IP線路監視装置52を介し、支社Aの非常電話サーバ53を経由して、A支社の受付台54に着信する。非常電話56より発信された非常通話は、非常電話56が接続されているB支社管内IP線路監視装置57を介し、支社Bの非常電話サーバ58を経由して、B支社の受付台59に着信する。さらに本実施形態の非常電話システムでは、A支社管内IP線路監視装置52は、A支社の非常電話51から発信した際に、A支社の非常電話サーバ53と、B支社の非常電話サーバ58と、の両方に対して発信する。また本実施形態の非常電話システムでは、B支社管内IP線路監視装置57は、B支社の非常電話56から発信した際に、B支社の非常電話サーバ58と、A支社の非常電話サーバ53と、の両方に対して発信する。
【0017】
統括保守コンソール55は、A支社管内IP線路監視装置52、非常電話サーバ53、及び受付台54を監視しており、これらのうち障害が発生した装置を把握できる。統括保守コンソール60は、B支社管内IP線路監視装置57、非常電話サーバ58、及び受付台59を監視しており、これらのうち障害が発生した装置を把握できる。統括保守コンソール55が監視する各装置に装置障害やネットワーク障害が発生すると、統括保守コンソール55にアラームが表示され、統括保守コンソール60が監視する各装置に装置障害やネットワーク障害が発生すると、統括保守コンソール60にアラームが表示される。統括保守コンソール55と統括保守コンソール60とは、相互に接続され、支社間で連携をとっており情報を共有している。この情報共有によって、統括保守コンソール55及び統括保守コンソール60は、自支社管内だけでなく他支社管内についても障害が発生した装置を区別できる。
【0018】
本実施形態の非常電話システムでは、装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難となった場合、管制運用の責任者の判断で通常運用からバックアップ運用に切り替えることが可能となっている。バックアップ運用の切り替えも、統括保守コンソール55、統括保守コンソール60で行われる。
【0019】
図1の受付台54や受付台59は、
図2に示すように、制御部71、表示・操作部72、及びVoIP(Voice over Internet Protocol)変換装置73を含んで構成される。
【0020】
制御部71は、例えばPC(Personal Computer)本体で実現される。制御部71は、受付台54や受付台59の主な処理を行う。また制御部71は、現在の非常電話システムの運用が通常運用かバックアップ運用かを示す監視信号、及び制御信号が入力されており、現在の非常電話システムの運用が通常運用かバックアップ運用かの判断を行い、非常電話からの着信を判断した後に受け付けるか又は廃棄するかの判断も実施する。表示・操作部72は、表示部の一例としてのモニタを含み、モニタはタッチパネルを含むことができる。表示・操作部72は、操作部の一例としてのマウスを含むことができる。VoIP変換装置73には、音声信号が入力され、ハンドセットやスピーカが接続されている。
【0021】
(動作の説明)
図1の非常電話システムの動作について、説明する。A支社管内システムやB支社管内システムが通常動作しているときの通常運用と、A支社管内システムやB支社管内システムにおいて装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難となったときのバックアップ運用とを、想定して以下説明する。
【0022】
A支社管内システムやB支社管内システムが通常動作している通常運用では、A支社管内の非常電話51より発信すると、非常電話51が接続されているA支社管内IP線路監視装置52に発信通知が届く。A支社管内IP線路監視装置52はこの非常電話51からの発信通知をIP信号に変換した後に、A支社管内の非常電話サーバ53、及びB支社管内の非常電話サーバ58に向けてIP信号を発信する。
【0023】
A支社管内の非常電話サーバ53は、受付台54に発信し、受付台54で非常電話51と通話を行う。
【0024】
B支社管内の非常電話サーバ58は、A支社管内IP線路監視装置52からのIP信号を受けて、B支社管内の受付台59、及びA支社管内の受付台54に発信する。ここで非常電話システムは通常運用中のため、非常電話サーバ58からの発信は、受付台59、及び受付台54にて破棄される。この着信の破棄は、発信した非常電話51のIPアドレスで判断する。受け付ける着信は、自支社管内の非常電話からの着信でかつ、自支社管内の非常電話サーバを経由したもののみとする。他支社管内の非常電話からの着信であれば、受付台は着信を破棄する。自支社管内の非常電話からの着信であっても、経由した非常電話サーバのIPアドレスより判断し、他支社管内の非常電話サーバを経由していた場合は破棄する。
【0025】
次に、A支社管内システムにおいて装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難になったときのバックアップ運用について、説明する。A支社管内の非常電話51より発信すると、非常電話51が接続されているA支社管内IP線路監視装置52に発信通知が届く。A支社管内IP線路監視装置52はこの非常電話51からの発信通知をIP信号に変換した後に、A支社管内の非常電話サーバ53、及びB支社管内の非常電話サーバ58に向けてIP信号を発信する。
【0026】
ここでA支社管内システムでは、装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難になっているため、A支社管内の非常電話サーバ53は、受付台54に発信することができない。
【0027】
B支社管内の非常電話サーバ58は、A支社管内IP線路監視装置52からのIP信号を受けて、B支社管内の受付台59、及びA支社管内の受付台54に発信する。ここで非常電話サーバ58からの発信は、B支社管内の受付台59、及びA支社管内の受付台54に発信される。受付台59や受付台54は、発信した非常電話51のIPアドレス、A支社管内システムやB支社管内システムの通常運用かバックアップ運用かの情報に基づいて、着信の破棄を判断する。ここでは受付台59は、着信を破棄する。非常電話51と受付台54とで通話を行うことができる。
【0028】
なお、B支社管内システムにおいて装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難になったときの、非常電話56からの発信についても、同じように対処することができる。A支社管内の非常電話サーバ53は、B支社管内IP線路監視装置57からのIP信号を受けて、A支社管内の受付台54、及びB支社管内の受付台59に発信する。ここで非常電話サーバ53からの発信は、A支社管内の受付台54、及びB支社管内の受付台59に発信される。受付台54や受付台59は、発信した非常電話56のIPアドレス、A支社管内システムやB支社管内システムの通常運用かバックアップ運用かの情報に基づいて、着信の破棄を判断する。ここでは受付台54は、着信を破棄する。非常電話56と受付台59とで通話を行うことができる。
【0029】
(効果の説明)
本実施形態の非常電話システムでは、受付台で着信の受付、着信の破棄の判断をしているため、常に非常電話からの着信が来ている場合に受付台で即時に対応することができる。例えば、非常電話の発信経路変更等の切り替えを行う構成によって、通常運用からバックアップ運用に切り替えるものの場合、各装置間の認証時間があり時間がかかる。また経路切り替え事態が正常に完了せず、バックアップ運用が行えないリスクもある。これに対して、本実施形態の非常電話システムでは、経路の切り替え自体がないため、上記リスクを回避することができる。またネットワークの監視も行われているため、機器障害などによる通信断も判明するため、実際のバックアップ開始時に運用ができないことを回避できる。
【0030】
さらに本実施形態の非常電話システムでは、A支社管内システム又はB支社管内システムのいずれかにおいて装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難になった場合でも、非常電話と受付台とで通話を行うことができる。その理由は、非常電話からの発信があったときには、A支社管内IP線路監視装置52やB支社管内IP線路監視装置57は自支社管内の非常電話サーバだけでなく別管内の非常電話サーバに向けてIP信号を発信しているからである。また受付台は、発信した非常電話のIPアドレス、及び経由した非常電話サーバのIPアドレスと、A支社管内システムやB支社管内システムが通常運用であるかバックアップ運用であるかといった運用状態を示す情報とに基づいて、着信の受付、或いは着信の破棄を判断しているからである。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態による非常電話システムについて、説明する。第2実施形態による非常電話システムとして、第1実施形態による非常電話システムのより詳細な構成や動作を説明する。
図3は、本発明の第2実施形態による非常電話システム、及び非常電話の着信時の動作の一例を説明するためのブロック図である。
図4は、本発明の第2実施形態による非常電話システムの、非常電話の着信時の動作の他の一例を説明するためのブロック図である。
図5は、本発明の第2実施形態による非常電話システムの、非常電話の着信時の動作のさらに他の一例を説明するためのブロック図である。
図6は、非常電話システムの受付台の動作を説明するためのフローチャートである。
【0032】
(構成の説明)
図3の費用電話システムは、A支社管内に、複数の非常電話(♯1、♯2、…、♯n)と、A支社管内IP線路監視装置14と、L3-SW(レイヤ3スイッチ)19と、複数の非常電話サーバ(非常電話サーバ20、非常電話サーバ21、非常電話サーバ22)と、を含む。さらに
図3の非常電話システムでは、A支社管内に、L3-SW(レイヤ3スイッチ)23と、複数の受付台(受付台24、受付台25、受付台26)と、を含む。
【0033】
A支社管内で、複数の非常電話(♯1、♯2、…、♯n)は、A支社管内IP線路監視装置14に接続されている。L3-SW19とL3-SW23との間に、非常電話サーバ20、非常電話サーバ21、非常電話サーバ22が並列に接続されている。受付台24、受付台25、受付台26は、L3-SW23に接続されている。
【0034】
図3の非常電話システムでは、B支社管内に、複数の非常電話(♯1、♯2、…、♯n)と、B支社管内IP線路監視装置18と、L3-SW(レイヤ3スイッチ)27と、複数の非常電話サーバ(非常電話サーバ28、非常電話サーバ29、非常電話サーバ30)と、を含む。さらに
図3の非常電話システムでは、B支社管内に、L3-SW(レイヤ3スイッチ)31と、複数の受付台(受付台32、受付台33、受付台34)と、を含む。
【0035】
B支社管内で、複数の非常電話(♯1、♯2、…、♯n)は、B支社管内IP線路監視装置18に接続されている。L3-SW27とL3-SW31との間に、非常電話サーバ28、非常電話サーバ29、非常電話サーバ30が並列に接続されている。受付台32、受付台33、受付台34は、L3-SW31に接続されている。
【0036】
さらに、A支社管内IP線路監視装置14は、A支社管内のL3-SW19、及びB支社管内のL3-SW27に接続されており、B支社管内IP線路監視装置18は、B支社管内のL3-SW27、及びA支社管内のL3-SW19に接続されている。A支社管内のL3-SW23と、B支社管内のL3-SW31とは、お互いに接続されている。
【0037】
(動作の説明)
次に、本実施形態の非常電話システムの動作について説明する。非常電話システムの動作として、A支社管内システムやB支社管内システムが通常動作しているときの通常運用と、A支社管内システムやB支社管内システムにおいて装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難となったときのバックアップ運用とを、想定して以下説明する。
【0038】
本実施形態の非常電話システムでは、非常電話から発信する際に常に、自支社管内とバックアップ支社管内の両方の非常電話サーバに対して発信する。すなわち、A支社管内の非常電話から発信する際には、自支社管内としてのA支社管内の非常電話サーバと、バックアップ支社管内としてのB支社管内の非常電話サーバと、の両方に対して発信する。また、B支社管内の非常電話から発信する際には、自支社管内としてのB支社管内の非常電話サーバと、バックアップ支社管内としてのA支社管内の非常電話サーバと、の両方に対して発信する。
【0039】
まず通常運用での、非常電話システムの動作について、
図3を参照して説明する。一例として、A支社管内の一つの非常電話♯1より発信すると、非常電話♯1が接続されているA支社管内IP線路監視装置14に発信通知が届く。A支社管内IP線路監視装置14はこの非常電話♯1からの発信通知をIP信号に変換した後に、
図3に示すようにA支社管内の複数の非常電話サーバ(非常電話サーバ20、非常電話サーバ21、非常電話サーバ22)、及びB支社管内の複数の非常電話サーバ(非常電話サーバ28、非常電話サーバ29、非常電話サーバ30)に向けてIP信号を発信する。
【0040】
A支社管内の非常電話サーバ20、非常電話サーバ21、非常電話サーバ22は、対応した受付台24、受付台25、受付台26に発信する。非常電話♯1と受付台との通話は先取り優先で、最初に通話を始めた受付台で非常電話♯1と通話を行い、他の受付台への着信はキャンセルされる。例えば、最初に通話を始めた受付台が受付台24の場合、受付台24で非常電話♯1と通話を行い、他の受付台(受付台25、受付台26)への着信はキャンセルされる。
【0041】
B支社管内の非常電話サーバ28、非常電話サーバ29、非常電話サーバ30は、A支社管内の対応する受付台24、受付台25、受付台26、及びB支社管内の対応する受付台32、受付台33、受付台34に発信する。ここで非常電話システムは通常運用中のため、非常電話サーバ28、29、30からの発信は、
図3に示すように受付台32、33、34、及び受付台24、25、26にて破棄される。
【0042】
この着信の破棄は、発信した非常電話(ここでは非常電話♯1)のIPアドレスで判断する。通常運用中に受け付ける着信は、自支社管内の非常電話からの着信でかつ、自支社管内の非常電話サーバ(ここでは非常電話サーバ20、21、22のいずれか)を経由したもののみとする。他支社管内の非常電話からの着信であれば、受付台は着信を破棄する。自支社管内の非常電話からの着信であっても、経由したサーバのIPアドレスより判断し、他支社管内の非常電話サーバ(ここでは非常電話サーバ28、29、30のいずれか)を経由していた場合は破棄する。
【0043】
次に、A支社管内システムにおいて装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難となったときのバックアップ運用での、非常電話システムの動作について、
図4及び
図5を参照して説明する。例えば、
図4に示すように、A支社管内システムの非常電話サーバに装置障害やネットワーク障害が発生した場合を想定する。A支社管内の一つの非常電話♯1より発信すると、非常電話♯1が接続されているA支社管内IP線路監視装置14に発信通知が届く。A支社管内IP線路監視装置14はこの非常電話♯1からの発信通知をIP信号に変換した後に、A支社管内の複数の非常電話サーバ(非常電話サーバ20、非常電話サーバ21、非常電話サーバ22)、及びB支社管内の複数の非常電話サーバ(非常電話サーバ28、非常電話サーバ29、非常電話サーバ30)に向けてIP信号を発信する。ここで、A支社管内システムの非常電話サーバ(非常電話サーバ20、非常電話サーバ21、非常電話サーバ22)に装置障害やネットワーク障害が発生しているため、A支社管内システムの非常電話サーバからは受付台24、受付台25、受付台26に発信がされない。
【0044】
B支社管内の非常電話サーバ28、非常電話サーバ29、非常電話サーバ30は、A支社管内の対応する受付台24、受付台25、受付台26、及びB支社管内の対応する受付台32、受付台33、受付台34に発信する。ここでA支社管内システムはバックアップ運用中のため、非常電話サーバ28、29、30からの発信は、
図4に示すように受付台32、33、34にて破棄される。この着信の破棄は、発信した非常電話(ここでは非常電話♯1)のIPアドレスで判断する。
図1を参照して説明した統括保守コンソールの機能によってB支社管内では、A支社管内の障害が発生した装置を把握できており、この情報も考慮してB支社管内の受付台32、受付台33、受付台34は着信の受け付け、或いは破棄を決定する。ここでは、A支社の非常電話サーバ20、21、22の周辺で障害が発生しているが、A支社の受付台24、25、26の周辺では障害が発生していないので、A支社の受付台24、25、26で着信を受け付けることとして、
図4に示すように非常電話サーバ28、29、30からの発信は受付台32、33、34にて破棄される。
【0045】
A支社管内の受付台24、受付台25、受付台26は、A支社管内システムはバックアップ運用中の場合、自支社管内の非常電話からの着信でかつ、他支社管内の非常電話サーバ(ここでは非常電話サーバ28、29、30のいずれか)を経由した着信を受け付ける。非常電話♯1と受付台との通話は先取り優先で、最初に通話を始めた受付台で非常電話♯1と通話を行い、他の受付台への着信はキャンセルされる。例えば、最初に通話を始めた受付台が受付台24の場合、受付台24で非常電話♯1と通話を行い、他の受付台(受付台25、受付台26)への着信はキャンセルされる。
【0046】
次に、A支社管内システムはバックアップ運用中の場合として、
図5に示すように、A支社管内システムの非常電話サーバや受付台に装置障害やネットワーク障害が発生した場合を想定して、説明する。
【0047】
A支社管内の一つの非常電話♯1より発信すると、非常電話♯1が接続されているA支社管内IP線路監視装置14に発信通知が届く。A支社管内IP線路監視装置14はこの非常電話♯1からの発信通知をIP信号に変換した後に、A支社管内の複数の非常電話サーバ(非常電話サーバ20、非常電話サーバ21、非常電話サーバ22)、及びB支社管内の複数の非常電話サーバ(非常電話サーバ28、非常電話サーバ29、非常電話サーバ30)に向けてIP信号を発信する。ここで、A支社管内システムの非常電話サーバ(非常電話サーバ20、非常電話サーバ21、非常電話サーバ22)に装置障害やネットワーク障害が発生しているため、A支社管内システムの非常電話サーバからは受付台24、受付台25、受付台26に発信がされない。またA支社管内システムの受付台(受付台24、受付台25、受付台26)に装置障害やネットワーク障害が発生しているため、非常電話サーバからの発信をA支社管内システムの受付台で受け付けることができない。
【0048】
B支社管内の非常電話サーバ28、非常電話サーバ29、非常電話サーバ30は、A支社管内システムがバックアップ運用中であることを示す情報に基づいて、B支社管内の対応する受付台32、受付台33、受付台34に発信する。
図1を参照して説明した統括保守コンソールの機能によってB支社管内では、A支社管内の障害が発生した装置を把握できており、この情報も考慮してB支社管内の受付台32、受付台33、受付台34は着信の受け付け、或いは破棄を決定する。ここでは、A支社の非常電話サーバ20、21、22の周辺で障害が発生しており、かつA支社の受付台24、25、26の周辺で障害が発生しているので、非常電話サーバ28、29、30からの発信をB支社の受付台32、33、34で受け付ける。
【0049】
B支社管内の受付台32、受付台33、受付台34は、A支社管内システムはバックアップ運用中の場合、A支社管内の非常電話からの着信でかつ、B支社管内の非常電話サーバ(ここでは非常電話サーバ28、29、30のいずれか)を経由した着信を受け付ける。非常電話♯1と受付台との通話は先取り優先で、最初に通話を始めた受付台で非常電話♯1と通話を行い、他の受付台への着信はキャンセルされる。例えば、最初に通話を始めた受付台が受付台32の場合、受付台32で非常電話♯1と通話を行い、他の受付台(受付台33、受付台34)への着信はキャンセルされる。
【0050】
(受付台の動作)
次に、本実施形態の非常電話システムについて、受付台から見た受付台の受付又は破棄の考え方について、説明する。
図6は、本実施形態の非常電話システムの受付台の動作を説明するためのフローチャートである。
【0051】
まず、A支社管内の受付台(受付台24、25、26)又はB支社管内の受付台(受付台32、33、34)のいずれかが、非常電話を着信する(ステップS1)。受付台は、自支社管内の非常電話からの着信か否かを判断する(ステップS2)。この判断は、発信した非常電話のIPアドレスで判断する。自支社管内の非常電話からの着信であった場合(ステップS2のYES)、受付台は、自支社管内の非常電話サーバ経由で着信しているか否かを判断する(ステップS3)。自支社管内の非常電話サーバ経由で着信している場合(ステップS3のYES)、受付台は、着信表示を行い、非常電話からの着信を受け付ける。
【0052】
自支社管内の非常電話からの着信でない場合(ステップS2のNO)、すなわち他支社管内の非常電話からの着信であった場合、受付台は、入力されるサーバ運用状態を示す監視信号に基づいて、非常電話システムの運用がバックアップ運用中か否か、言い換えるとバックアップ運用中か通常運用中かを判断する(ステップS4)。非常電話システムが通常運用である場合(ステップS4のNO)、受付台は、非常電話からの着信を破棄する。非常電話システムがバックアップ運用中である場合(ステップS4のYES)、受付台は、着信表示を行い、非常電話からの着信を受け付ける。
【0053】
ステップS3での判断がNO、言い換えると非常電話の着信が自支社管内の非常電話サーバ経由でない場合(ステップS3のNO)、受付台は、入力されるサーバ運用状態を示す監視信号に基づいて、自支社管内システムがバックアップ運用中か否か、言い換えるとバックアップ運用中か通常運用中かを判断する(ステップS5)。自支社管内システムが通常運用中であれば(ステップS5のNO)、受付台は、着信を破棄する。自支社管内システムがバックアップ運用中であれば(ステップS5のYES)、受付台は、着信表示を行い、この他支社管内の非常電話サーバを経由した、非常電話からの着信を受け付ける。
【0054】
(効果の説明)
本実施形態の非常電話システムでは、第1実施形態と同様に、受付台で着信の受付、着信の破棄の判断をしているため、常に非常電話からの着信が来ている場合に受付台で即時に対応することができる。例えば、非常電話の発信経路変更等の切り替えを行う構成によって、通常運用からバックアップ運用に切り替えるものの場合、各装置間の認証時間があり時間がかかる。また経路切り替え事態が正常に完了せず、バックアップ運用が行えないリスクもある。これに対して、本実施形態の非常電話システムでは、経路の切り替え自体がないため、上記リスクを回避することができる。またネットワークの監視も行われているため、機器障害などによる通信断も判明するため、実際のバックアップ開始時に運用ができないことを回避できる。
【0055】
さらに本実施形態の非常電話システムでは、第1実施形態と同様に、A支社管内システム又はB支社管内システムのいずれかにおいて装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難になった場合でも、非常電話と受付台とで通話を行うことができる。その理由は、非常電話からの発信があったときには、A支社管内IP線路監視装置14やB支社管内IP線路監視装置18は自支社管内の非常電話サーバだけでなく他支社管内の非常電話サーバに向けてIP信号を発信しているからである。また受付台は、発信した非常電話のIPアドレス、及び経由した非常電話サーバのIPアドレスと、A支社管内システムやB支社管内システムが通常運用であるかバックアップ運用であるかといった運用状態を示す情報とに基づいて、着信の受付、或いは着信の破棄を判断しているからである。
【0056】
さらに本実施形態の非常電話システムでは、A支社管内システム又はB支社管内システムの装置障害やネットワーク障害の発生箇所や発生内容に応じて、着信の受付、或いは着信の破棄を判断している。これにより、A支社管内システムの受付台に装置障害やネットワーク障害が発生した場合には、B支社管内の非常電話サーバを経由して、B支社管内の受付台で着信し、A支社管内の非常電話と通話を行うことができる。
【0057】
〔その他の実施形態〕
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。上述した実施形態では、A支社管内システムとB支社管内システムといった、二つの管内システムの装置が接続されたシステムで説明したが、この管内の数は三つ以上とすることができる。
図7は、本発明のその他の実施形態による非常電話システムを説明するためのブロック図である。
図7の非常電話システムは、
図1に示されるA支社管内システム、及びB支社管内システムに加えて、C支社管内システムを含む。A支社管内システム、及びB支社管内システムの構成については、第1実施形態で説明したとおりである。
図7の非常電話システムのC支社管内システムは、非常電話61と、C支社管内IP(Internet Protocol)線路監視装置62と、非常電話サーバ63と、受付台64と、統括保守コンソール65とを含む。
【0058】
統括保守コンソール65は、C支社管内IP線路監視装置62、非常電話サーバ63、及び受付台64を監視しており、これらのうち障害が発生した装置を把握できる。統括保守コンソール65が監視する各装置に装置障害やネットワーク障害が発生すると、統括保守コンソール65にアラームが表示される。また本実施形態では、統括保守コンソール55、統括保守コンソール60及び統括保守コンソール65は、相互に接続され、支社間で連携をとっており情報を共有している。この情報共有によって、統括保守コンソール55、統括保守コンソール60は及び統括保守コンソール65は、自支社管内だけでなく他支社管内についても障害が発生した装置を区別できる。
【0059】
本実施形態では、非常通話は、非常電話51、非常電話56や非常電話61より発信される。非常電話61より発信された非常通話は、非常電話61が接続されているC支社管内IP線路監視装置62を介し、C支社の非常電話サーバ63を経由して、C支社の受付台64に着信する。さらに本実施形態の非常電話システムでは、A支社管内IP線路監視装置52は、A支社の非常電話51から発信した際に、A支社の非常電話サーバ53と、B支社の非常電話サーバ58と、C支社の非常電話サーバ63と、の全てに対して発信する。また本実施形態の非常電話システムでは、B支社管内IP線路監視装置57は、B支社の非常電話56から発信した際に、B支社の非常電話サーバ58と、A支社の非常電話サーバ53と、C支社の非常電話サーバ63と、の全てに対して発信する。さらにまた本実施形態の非常電話システムでは、C支社管内IP線路監視装置62は、C支社の非常電話61から発信した際に、C支社の非常電話サーバ63と、A支社の非常電話サーバ53と、B支社の非常電話サーバ58と、の全てに対して発信する。
【0060】
受付台54、受付台59、受付台64は、現在の非常電話システムの運用が通常運用かバックアップ運用かの判断を行い、非常電話からの着信を判断した後に受け付けるか又は廃棄するかの判断を行う。統括保守コンソール55、統括保守コンソール60及び統括保守コンソール65は、相互に接続され、支社間で連携をとっており情報を共有しているので自支社管内だけでなく他支社管内についても障害が発生した装置を区別できる。この共有情報も考慮して、受付台54、受付台59、受付台64は、非常電話からの着信を判断した後に受け付けるか又は廃棄するかの判断を行う。
【0061】
例えば、A支社の非常電話サーバ周辺の障害及び受付台周辺の障害が発生している場合、A支社の非常電話より発信された非常通話はB支社の受付台で受け付ける、C支社の受付台で受け付ける、或いはB支社又はC支社の受付台で受け付けることが考えられる。その際には、例えば、A支社の非常電話との直線距離が近い支社の受付台で受け付けるといった判断基準を設定する。
【0062】
(効果の説明)
本実施形態の非常電話システムでは、第1実施形態と同様に、受付台で着信の受付、着信の破棄の判断をしているため、常に非常電話からの着信が来ている場合に受付台で即時に対応することができる。例えば、非常電話の発信経路変更等の切り替えを行う構成によって、通常運用からバックアップ運用に切り替えるものの場合、各装置間の認証時間があり時間がかかる。また経路切り替え事態が正常に完了せず、バックアップ運用が行えないリスクもある。これに対して、本実施形態の非常電話システムでは、経路の切り替え自体がないため、上記リスクを回避することができる。またネットワークの監視も行われているため、機器障害などによる通信断も判明するため、実際のバックアップ開始時に運用ができないことを回避できる。
【0063】
さらに本実施形態の非常電話システムでは、A支社管内システム、B支社管内システム又はC支社管内システムにおいて装置障害やネットワーク障害、大規模災害などで管制運用が困難になった場合でも、非常電話と受付台とで通話を行うことができる。その理由は、非常電話からの発信があったときには、A支社管内IP線路監視装置52、B支社管内IP線路監視装置57やC支社管内IP線路監視装置62は自支社管内の非常電話サーバだけでなく別管内の非常電話サーバに向けてIP信号を発信しているからである。また受付台は、発信した非常電話のIPアドレス、及び経由した非常電話サーバのIPアドレスと、A支社管内システム、B支社管内システムやC支社管内システムが通常運用であるかバックアップ運用であるかといった運用状態を示す情報とに基づいて、着信の受付、或いは着信の破棄を判断しているからである。
【符号の説明】
【0064】
14、52 A支社管内IP線路監視装置
18、57 B支社管内IP線路監視装置
19、23、27、31 L3-SW
20、21、22、28、29、30、53、58、63 非常電話サーバ
24、25、26、32、33、34、54、59、64 受付台
51、56、61 非常電話
55、60、65 統括保守コンソール
62 C支社管内IP線路監視装置