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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】スイッチユニット
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/22 20060101AFI20231205BHJP
   H01H 3/04 20060101ALI20231205BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01H21/22 Z
H01H3/04 A
B60R16/02 630J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021049067
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147697
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野藤 侑亮
(72)【発明者】
【氏名】城所 直哉
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081613(JP,A)
【文献】特開2015-096347(JP,A)
【文献】特開2021-005494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/00 - 7/16
H01H 19/00 - 21/88
B60R 16/00 - 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに視認される意匠面の開口に配置されるスイッチユニットであって、
ユーザによって通常位置から操作位置へ引き上げ操作されるスイッチ本体と、
前記意匠面に沿った第1方向に平行な軸を中心として、前記スイッチ本体を前記通常位置と前記操作位置との間で枢動可能に支持するスイッチベースと、
を備え、
前記スイッチ本体は、前記開口に沿って配置され、前記意匠面の一部を構成する意匠壁と、前記意匠壁の外縁の前記第1方向に延びる一辺から前記意匠面の内側へと延びる操作壁とを有し、
前記操作壁は、前記軸を中心とするとともに前記第1方向に延びる一辺を通る円弧の内側に変位しており、
前記操作壁の前記第1方向における両側縁の少なくとも一方には、前記第1方向に対して交差する方向へ前記スイッチ本体から突出する遮蔽壁が設けられている、スイッチユニット。
【請求項2】
前記遮蔽壁は、前記操作壁の前記両側縁のそれぞれに設けられている、請求項1に記載のスイッチユニット。
【請求項3】
前記遮蔽壁は、前記第1方向に対して垂直に交差する、請求項1又は2に記載のスイッチユニット。
【請求項4】
前記第1方向に沿って見たときに、前記遮蔽壁の先端は、前記軸を中心とする円弧に沿って位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載のスイッチユニット。
【請求項5】
前記開口内に配置されるとともに、前記第1方向において前記スイッチ本体に隣接する第2スイッチ本体をさらに備え、
前記第2スイッチ本体は、前記遮蔽壁を露出させる位置まで操作可能に構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチユニット。
【請求項6】
前記スイッチ本体は、車両の運転席に位置する前記ユーザから操作可能な位置に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のスイッチユニット。
【請求項7】
前記スイッチユニットは、車両の車輪に制動力を加えるための電動パーキングブレーキのスイッチを含む、請求項6に記載のスイッチユニット。
【請求項8】
前記第1方向に延びる一辺と前記軸との距離は、前記第1方向に延びる他の一辺と前記軸との距離に比して長い、請求項1から7のいずれか一項に記載のスイッチユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、スイッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、ユーザに視認される意匠面の開口に配置されるスイッチユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-142906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチユニットは、ユーザによって操作されるスイッチ本体が、開口に沿って配置されることで、スイッチ本体の有する意匠壁が、その周囲と調和して意匠面の一部を構成する。この種のスイッチユニットの一つとして、ユーザがスイッチ本体を引き上げ操作するものが知られている。即ち、ユーザは、スイッチ本体の意匠壁の外縁の一辺を、意匠面の開口から引き上げるように操作する。その結果、スイッチ本体は、意匠面に沿って延びる軸を中心として、意匠面の開口から引き出されるように枢動する。このとき、意匠壁の外縁の一辺は、枢動の軸を中心とする円弧状の軌跡を描き、当該一辺から意匠面の内側へと延びるスイッチ本体の側壁が、意匠面の外部へ露出する。ここで、スイッチユニットの側壁が当該円弧に沿って湾曲していれば、ユーザがスイッチ本体を引き上げ操作したときに、スイッチ本体の側壁と開口の周縁との間隙は、一定に維持される。しかしながら、ユーザの操作性等を考慮し、スイッチ本体の側壁を当該円弧よりも内側へ変位させて、ユーザが指を配置するための操作壁とすることがある。この場合、ユーザの引き上げ操作時に、操作壁と開口の周縁との間隙が大きくなる。その結果、引き上げられた操作壁と開口の周縁との間から、開口の内部が見えてしまうことがある。
【0005】
従来では、これを防止するため、スイッチユニットの操作壁と開口の周縁との間に、別体で構成される壁が設けられることがある。しかしながら、この場合、スイッチユニットの意匠壁の外縁と開口の周縁との間に、さらに別体の壁の外縁も露出することとなるため、スイッチユニット周辺の見栄えが煩雑となる。本明細書では、意匠面に沿って延びる軸を中心として枢動するスイッチユニットにおいて、枢動軌跡の円弧の内側へ操作壁が変位している場合であっても、周辺の見栄えを煩雑にすることなく、引き上げ操作時に開口の内部が見えることを防止することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示するスイッチユニットは、ユーザに視認される意匠面の開口に配置される。スイッチユニットは、スイッチ本体と、スイッチベースと、を備える。スイッチ本体は、ユーザによって通常位置から操作位置へ引き上げ操作される。スイッチベースは、前記意匠面に沿った第1方向に平行な軸を中心として、前記スイッチ本体を前記通常位置と前記操作位置との間で枢動可能に支持する。前記スイッチ本体は、前記開口に沿って配置され、前記意匠面の一部を構成する意匠壁と、前記意匠壁の外縁の前記第1方向に延びる一辺から前記意匠面の内側へと延びる操作壁とを有する。前記操作壁は、前記軸を中心とするとともに前記第1方向に延びる一辺を通る円弧の内側に変位している。前記操作壁の前記第1方向における前記両側縁の少なくとも一方には、前記第1方向に対して交差する遮蔽壁が設けられている。
【0007】
上述したスイッチユニットでは、スイッチ本体が操作位置に変位した場合に、操作壁の両側縁の少なくとも一方に設けられた遮蔽壁が、ユーザの開口内部への視線を遮る。これにより、枢動軌跡の円弧の内側へ操作壁が変位している場合であっても、スイッチ本体が操作位置に変位した際、開口の内部が見えることを防止することができる。また、スイッチ本体に遮蔽壁が設けられているため、スイッチユニット周辺の見栄えが煩雑にならない。
【0008】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】EPBスイッチ20が車両に配置される状態を示す。
図2】EPBスイッチ20周辺の拡大図を示す。
図3】EPBスイッチ20のスイッチ本体21が通常位置にある場合の、図2の線III-IIIに沿った断面図を示す。
図4】スイッチ本体21が操作位置に変位した場合の、図2の線III-IIIに沿った断面図を示す。
図5】スイッチ本体21が操作位置に変位した場合の、図2の線V-Vに沿った断面図を示す。
図6】スイッチ本体21が通常位置にある場合の、図2の線V-Vに沿った断面図を示す。
【0010】
本技術の一実施形態では、前記遮蔽壁は、前記操作壁の前記両側縁のそれぞれに設けられていてもよい。このような構成によると、スイッチユニットの第1方向の両側において、開口の内部が見えることを防止することができる。
【0011】
本技術の一実施形態では、前記遮蔽壁は、前記第1方向に対して垂直に交差してもよい。このような構成によると、遮蔽壁の枢動範囲が第1方向で小さくなる。その結果、空間効率よく開口の内部が見えることを防止することができる。
【0012】
本技術の一実施形態では、前記第1方向に沿って見たときに、前記遮蔽壁の先端は、前記軸を中心とする円弧に沿って位置してもよい。このような構成によると、遮蔽壁の先端が、枢動軌跡に沿って形成されるため、操作位置に変位する際、遮蔽壁の先端が周辺部品に干渉しない。このため、遮蔽壁の先端を周辺部品に対して近づけることができる。その結果、例えば遮蔽壁の先端が直線に沿って位置する構成に比して、遮蔽壁が覆う範囲が広くなる。これにより、先端が直線に沿って位置する構成に比して、広い範囲で開口の内部が見えることを防止することができる。
【0013】
本技術の一実施形態では、前記開口内に配置されるとともに、前記第1方向において前記スイッチ本体に隣接する第2スイッチ本体をさらに備えてもよい。前記第2スイッチ本体は、前記遮蔽壁を露出させる位置まで操作可能に構成されていてもよい。このような構成によると、第2スイッチ本体が操作された場合であっても、遮蔽壁によって、開口の内部が見えることを防止することができる
【0014】
本技術の一実施形態では、前記スイッチ本体は、車両の運転席に位置する前記ユーザから操作可能な位置に配置されてもよい。ただし、別の実施形態では、助手席に位置するユーザから操作可能な位置に配置されてもよい。
【0015】
本技術の一実施形態では、前記スイッチユニットは、車両の車輪に制動力を加えるための電動パーキングブレーキのスイッチを含んでもよい。ただし、別の実施形態では、車両のドアの窓ガラスを昇降させるウィンドウスイッチを含んでもよい。
【0016】
本技術の一実施形態では、前記第1方向に延びる一辺と前記軸との距離は、前記第1方向に延びる他の一辺と前記軸との距離に比して長くてもよい。このような構成の場合、意匠壁の枢動角度に対する1方向に延びる一辺の変位量が大きくなる。その結果、操作位置における操作壁と開口の周縁との距離が大きくなりやすい。このため、スイッチユニットが操作位置に変位した場合に、操作壁と開口の周縁との間から開口の内部が見えやすい。そのため、本明細書が開示する技術がさらに有益となる。
【実施例
【0017】
図面を参照して、実施例のスイッチユニットについて説明する。図1は、実施例のスイッチユニットの一例であるEPB(Electromechanical Parking Brakeの略)スイッチ20が搭載される電動車両100の内装の形状を示す。また、以下では、電動車両100の車両上方(即ち、図中矢印Upの方向)を単に「上」と記載し、その反対側の車両下方を単に「下」と記載することがある。同様に、電動車両100の車幅方向では、電動車両100のキャビンに位置する乗員から見た左方向(即ち、図中矢印Left方向)を単に「左」と記載し、その反対側を単に「右」と記載することがある。同様に、電動車両100の車両前方向(即ち、図中矢印Frの方向)を単に「前」と記載し、その反対側の車両後方を単に「後」と記載することがある。
【0018】
図1に示されるように、電動車両100は、インパネトリム2と、コンソール4と、運転席シート6と、助手席シート8と、を備える。インパネトリム2は、電動車両100の前部に位置する内装部品であり、ステアリング、メータ等を有する。本実施例のインパネトリム2では、ステアリングがインパネトリム2の左部に配置される。即ち、電動車両100は、いわゆる左ハンドルの車両である。
【0019】
コンソール4は、インパネトリム2の車幅方向中央の下方から、車両後方に延びる内装部品である。コンソール4の中央には、スイッチモジュール10が配置される。スイッチモジュール10は、複数のスイッチで構成される。スイッチモジュール10は、EPBスイッチ20を含む。図示は省略したが、コンソール4には、他にも、シフトレバーが配置される。
【0020】
運転席シート6は、電動車両100を運転する乗員が着座するシートである。助手席シート8は、電動車両100に同乗する乗員が着座するシートである。EPBスイッチ20は、スイッチモジュール10の運転席シート6側(即ち、左側)に配置される。このため、運転席シート6に着座する乗員が、EPBスイッチ20を操作しやすい。
【0021】
図2を参照して、スイッチモジュール10の詳細について説明する。スイッチモジュール10は、EPBスイッチ20と、BH(Brake Holdの略)スイッチ18と、OP(One pedalの略)スイッチ16と、ガイド12と、を備える。スイッチモジュール10は、電動車両100のブレーキに関係する複数のスイッチを備える。スイッチモジュール10は、コンソール4の意匠面40の開口42から、各スイッチ20、18、16と、ガイド12と、を露出させる。これにより、ユーザ(即ち、運転席シート6に位置する乗員)が各スイッチ20、18、16を、操作することができる。
【0022】
EPBスイッチ20は、電動車両100の車輪(図示省略)に制動力を加えることで、電動車両100が意図せず移動することを防止するパーキングブレーキのスイッチである。EPBスイッチ20は、開口42に沿って配置されるスイッチ本体21と、車幅方向(即ち、図2の紙面左右方向)に延びる軸R1と、を備える。スイッチ本体21は、ユーザによって操作される樹脂製のカバーである。スイッチ本体21の上面(即ち、図2の紙面手前側の面)は、意匠壁21dとして、開口42から露出する。その結果、意匠壁21dは、開口42周辺の意匠面40と調和して、意匠面の一部を構成する。図2に示されるように、意匠壁21dは、矩形形状を有している。意匠壁21dの前側(即ち、図2の紙面上側)には、操作外縁22が設けられており、その反対側には非操作外縁23が設けられている。操作外縁22は、意匠壁21dの外縁のうち、軸R1の方向に沿って延びる一辺であり、ユーザが操作する外縁である。非操作外縁23は、意匠壁21dの外縁のうち、軸R1の方向に沿って延びる他の一辺であり、ユーザが操作しない外縁である。
【0023】
スイッチ本体21は、さらに、一対の遮蔽壁24R,24Lを備える。一対の遮蔽壁24R,24Lは、操作外縁22の両端から、ガイド12に向かって延びる。即ち、一対の遮蔽壁24R,24Lは、軸R1の方向に交差する方向に延びる。一対の遮蔽壁24R,24Lは、ガイド12の下方に位置しているため、図2では、一対の遮蔽壁24R,24Lは、破線で示される。
【0024】
一対の遮蔽壁24R,24Lのそれぞれは、スイッチ本体21の左右方向の中心(即ち、図2の線III-III)を基準として対称である。その結果、スイッチ本体21は、左右対称形状を有する。これにより、右ハンドルの電動車両100に対しても、スイッチ本体21の形状に変更を加えることなく、EPBスイッチ20を、BHスイッチ18の右側に配置することができる。即ち、電動車両100のハンドルの位置に関わらず、同じスイッチ本体21を共用することができる。
【0025】
意匠壁21dの操作外縁22が、ユーザによって下方(即ち、図2の紙面奥方向)に押し込まれると、スイッチ本体21が、軸R1を中心として下方に枢動する。これにより、パーキングブレーキをオンする信号が電動車両100のECU(図示省略)に送信される。オンする信号を受信したECUは、電動車両100のモータに対して制動力を加えるアクチュエータをオンする。その結果、電動車両100の車輪に制動力が加えられる。なお、変形例では、ECUは、例えば、ディスクブレーキによって電動車両100の車輪に制動力を加えてもよい。
【0026】
EPBスイッチ20の前方(即ち、図2の紙面上方)には、ガイド12が配置される。ガイド12には、凹部14が設けられる。凹部14は、下方(即ち、図2の紙面奥方向)にへこむ窪みであり、ユーザが指を配置するための空間である。ユーザは、凹部14に指を配置して、意匠壁21dの操作外縁22を上方(即ち、図2の紙面手前側)に引き上げる。これにより、スイッチ本体21が、軸R1を中心として上方に枢動する。その結果、電動車両100のパーキングブレーキが解除される。
【0027】
BHスイッチ18は、電動車両100が走行を停止した際にパーキングブレーキを自動でオンする機能を発揮させるためのスイッチである。OPスイッチ16は、電動車両100のアクセルがオフされた場合に、制動力を大きくする機能を発揮させるためのスイッチである。BHスイッチ18及びOPスイッチ16は、ともに、ユーザによって下方に押し込まれることで、その機能をオンする信号を電動車両100のECUに送信する。
【0028】
図3図6を参照して、EPBスイッチ20の詳細構造について説明する。図3図4は、図2の線III-IIIに沿った断面図であり、軸R1に直交する平面でカットしたEPBスイッチ20の断面形状を示す。即ち、図3図4は、軸R1の方向に沿って見たEPBスイッチ20の断面形状を示す。図3は、ユーザがEPBスイッチ20を操作していない位置(即ち、通常位置)でのEPBスイッチ20の断面形状を示す。図4は、ユーザがEPBスイッチ20に対して引き上げ操作を行った位置(即ち、操作位置)でのEPBスイッチ20の断面形状を示す。
【0029】
EPBスイッチ20は、スイッチ本体21に加え、スイッチベース26をさらに備える。スイッチベース26は、スイッチホルダー27と、スイッチデバイス30と、を備える。スイッチホルダー27は、スイッチ本体21と、スイッチデバイス30と、をコンソール4に固定する部品である。スイッチホルダー27は、前後(即ち、図3の紙面左右)に座面28を備える。座面28には、貫通孔が設けられる。座面28の貫通孔を通過したネジ46が、コンソール4の裏面に設けられたボス44と螺合することで、スイッチホルダー27が、コンソール4に固定される。その結果、図2に示されるように、EPBスイッチ20は、そのスイッチ本体21の意匠壁21dを、コンソール4の意匠面40の開口42から露出させる。
【0030】
スイッチデバイス30には、下方からワイヤハーネス32が接続される。スイッチデバイス30は、スイッチ本体21の操作されたことで生じる信号を、ワイヤハーネス32を介して、電動車両100のECUに送信する。なお、本実施例のスイッチデバイス30は、BHスイッチ18及びOPスイッチ16の操作されたことで生じる信号も、ワイヤハーネス32を介して、電動車両100のECUに送信する。
【0031】
スイッチ本体21は、意匠壁21d、一対の遮蔽壁24R,24L(図2参照)に加え、さらに、操作壁24を備える。操作壁24は、ユーザの指50が当接するスイッチ本体21の側壁である。操作壁24は、操作外縁22から、意匠面40の内側(即ち、図3の紙面下側)へと延びる。その結果、操作壁24は、円弧A1の内側に変位する。操作壁24は、ガイド12の凹部14と対向する。指50は、凹部14を通過して、操作壁24と当接する。
【0032】
先に述べたように、スイッチ本体21は、軸R1を中心に枢動する。スイッチ本体21の操作外縁22は、軸R1を中心として、円弧A1の枢動軌跡を描く。パーキングブレーキをオンする場合には、スイッチ本体21の操作外縁22は、円弧A1に沿って下方に枢動する。このため、ガイド12の凹部14の側面(即ち、図3の紙面奥側の面)には、窪み13が設けられている。窪み13は、スイッチ本体21の操作外縁22が下方に枢動した場合に、スイッチ本体21を受け入れるための空間である。
【0033】
また、パーキングブレーキをオフする場合には、スイッチ本体21の操作外縁22は、上方に引き上げられる。ユーザは、円弧A1の内側に変位する操作壁24に指50を当接させる。操作壁24に当接したユーザの指50が、矢印F1の方向に移動すると、スイッチ本体21の操作壁24が上方に引き上げられる。このように、スイッチ本体21が操作壁24を備えることで、ユーザの操作性が向上する。
【0034】
ユーザがスイッチ本体21の操作壁24を引き上げると、図4に示されるように、スイッチ本体21は、軸R1を中心として、矢印F2の方向に枢動する。その際、操作外縁22は、円弧A1に沿って上方に移動する。これにより、操作壁24の操作外縁22がガイド12から離間し、開口42から意匠面40の外部に露出する。その結果、円弧A1の内側において、操作壁24とガイド12の後側の面との間の間隙が大きくなる。特に、操作壁24と、ガイド12の窪み13との間において、比較的大きな隙間S1が生じる。
【0035】
さらに、操作外縁22と軸R1との間の距離D1は、非操作外縁23と軸R1との間の距離D2に比して長い。このため、スイッチ本体21の枢動する角度に対する操作外縁22の枢動距離が大きくなる。そのため、本実施例のEPBスイッチ20では、操作壁24とガイド12の後側の面との間の間隙が大きくなりやすい。
【0036】
操作壁24の右側(即ち、図4の紙面奥側)の縁には、右側遮蔽壁24Rが設けられている。右側遮蔽壁24Rは、操作壁24の右側縁から、ガイド12に向かって前方(即ち、図4の紙面左側)に延びる壁である。右側遮蔽壁24Rは、操作壁24よりも前方に延び、その先端25は、操作壁24よりも円弧A1に近い。図3図4に示されるように、右側遮蔽壁24Rの先端25は、軸R1を中心とした円弧上に位置する。右側遮蔽壁24Rの先端25とガイド12の湾曲面15との間の距離は、所定の距離が一定で保持されている。所定の距離は、製造上の誤差、枢動ばらつきを含めた最小の距離である。
【0037】
スイッチ本体21が矢印F2の方向に引き上げられると、右側遮蔽壁24Rは、操作壁24とガイド12の後側の面との間の間隙を覆う。即ち、右側遮蔽壁24Rは、ユーザの視線V1に対して、開口42の内部が露出することを防止する。スイッチ本体21が指50によって引き上げられても、開口42の内部に位置するOPスイッチ16の内機が見えない。さらに、右側遮蔽壁24Rは、ガイド12の窪み13とOPスイッチ16との間に位置する。このため、右側遮蔽壁24Rは、隙間S1を介してOPスイッチ16の内機が見えることを防止することができる。このように、右側遮蔽壁24Rは、開口42の内部が見えることを防止することができる。
【0038】
さらに、図3に示されるように、スイッチ本体21の右側遮蔽壁24Rは、通常位置において、意匠面40の開口42内の下方に配置される。そのため、通常位置では、右側遮蔽壁24Rの上面がユーザから見えない。その結果、図2に示されるように、EPBスイッチ20とBHスイッチ18との間に、右側遮蔽壁24Rの外縁が露出しない。このため、EPBスイッチ20周辺の見栄えが煩雑にならない。
【0039】
先に述べたように、右側遮蔽壁24Rの先端25が、軸R1を中心とした円弧上に位置することで、湾曲面15に最小の距離まで近づいている。これにより、右側遮蔽壁24Rは、開口42の内部を覆う範囲を広げることができる。
【0040】
図5は、スイッチ本体21が引き上げられた状態(即ち、操作位置)における、図2の線V-Vに沿った断面図を示す。図5に示されるように、スイッチ本体21は、操作壁24の軸R1の方向における両側縁のそれぞれに、一対の遮蔽壁24R,24Lを備えている。先に述べたように、スイッチ本体21は左右方向に対称形状を有しているため、左側遮蔽壁24Lの構造は、上述した右側遮蔽壁24Rと同様である。これにより、EPBスイッチ20の軸R1の方向の両側において、開口42の内部が見えることを防止することができる。より具体的には、視線V2に対しては、左側遮蔽壁24Lがコンソール4の内部を覆い、視線V3方向に対しては、図3,4を参照して説明したように、右側遮蔽壁24RがOPスイッチ16の内機を覆う。
【0041】
また、図5に示されるように、一対の遮蔽壁24R,24Lは、それぞれ、軸R1に対して垂直に交差している。これにより、一対の遮蔽壁24R,24Lのそれぞれの枢動軌跡を、軸R1の方向において小さくすることができる。このため、一対の遮蔽壁24R,24Lを収容する空間を、軸R1の方向で小さくすることができるため、EPBスイッチ20のサイズを軸R1の方向で小さくすることができる。
【0042】
図6は、スイッチ本体21が引き上げられていない状態(即ち、図3の状態)における、図2の線V-Vに沿った断面図を示す。図6の矢印F3に示されるように、OPスイッチ16は、ユーザによっての下方に押し込まれる。図6に示されるように、OPスイッチ16が押し込まれると、右側遮蔽壁24Rが露出する。その結果、視線V4に対して、右側遮蔽壁24Rが、スイッチ本体21及びガイド12の右側の側面を覆う。このように、右側遮蔽壁24Rは、OPスイッチ16が下方に移動した際に、EPBスイッチ20の内機が露出することを防止することができる。
【0043】
(対応関係)上述した実施例では、軸R1の方向が「第1方向」の一例である。また、OPスイッチ16、BHスイッチ18が、それぞれ、「第2スイッチ本体」の一例である。
【0044】
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上述した実施例の変形例を以下に列挙する。
【0045】
(変形例1)上述した実施例のスイッチ本体21は、一対の遮蔽壁24R,24Lを備えていたが、変形例では、操作壁24の両側縁の少なくとも一方に遮蔽壁が設けられていればよい。例えば、ユーザと対向する側縁側にのみ、遮蔽壁が設けられてもよい。
【0046】
(変形例2)一対の遮蔽壁24R,24Lは、軸R1に垂直に交差しなくてもよい。例えば、ユーザとEPBスイッチ20との位置関係に応じて、一対の遮蔽壁24R,24Lの軸R1に対する角度が変更されてもよい。
【0047】
(変形例3)一対の遮蔽壁24R,24L先端は、軸R1を中心とする円弧に沿って位置しなくてもよい。
【0048】
(変形例4)操作外縁22と軸R1との間の距離D1は、非操作外縁23と軸R1との間の距離D2と同じであってもよいし、距離D1に比して距離D2が長くてもよい。
【0049】
(変形例5)上述した実施例では、BHスイッチ18,OPスイッチ16がEPBスイッチ20に隣接して配置される。変形例では、開口42に、EPBスイッチ20のみが配置されてもよい。即ち、第2のスイッチ本体は、省略可能である。
【0050】
(変形例6)本明細書が開示する技術は、EPBスイッチ20に限定されない。変形例では、電動車両100の助手席のドアに配置されるウィンドウスイッチが遮蔽壁を備えてもよい。
【0051】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0052】
2 :インパネトリム
4 :コンソール
6 :運転席シート
8 :助手席シート
10 :スイッチモジュール
12 :ガイド
13 :窪み
14 :凹部
15 :湾曲面
16 :OPスイッチ
18 :BHスイッチ
20 :EPBスイッチ
21 :スイッチ本体
21d :意匠壁
22 :操作外縁
23 :非操作外縁
24 :操作壁
24L :左側遮蔽壁
24R :右側遮蔽壁
25 :先端
26 :スイッチベース
27 :スイッチホルダー
28 :座面
30 :スイッチデバイス
32 :ワイヤハーネス
40 :意匠面
42 :開口
44 :ボス
46 :ネジ
100 :電動車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6