(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】高電圧バッテリー、それを製造する方法及びこの種のバッテリーを有する動力車
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6568 20140101AFI20231205BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20231205BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231205BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20231205BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/6556
(21)【出願番号】P 2021131935
(22)【出願日】2021-08-13
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】10 2020 121 882.6
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】ソーニャ フェヒラー
(72)【発明者】
【氏名】ファディ レンツ
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020685(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198941(JP,U)
【文献】特開2017-174792(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03667759(EP,A1)
【文献】国際公開第2020/101354(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6568
H01M 10/625
H01M 10/613
H01M 10/6556
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力車のための高電圧バッテリー(10)であって、以下の特徴:
- 冷媒ライン(17)を有すること、
- 前記高電圧バッテリー(10)の内側に配置された、前記冷媒ライン(17)のための接続フランジ(12)を有すること、
- カバー壁(16)を有すること、
- 前記接続フランジ(12)は、前記高電圧バッテリー(10)の外側からアクセス可能なねじ付きスリーブ(13)を有すること、
- 前記接続フランジ(12)は、前記ねじ付きスリーブ(13)が前記カバー壁(16)を通して外側に突出するように、内側から前記カバー壁(16)に対して配置されること、
- 前記冷媒ライン(17)は、前記接続フランジ(12)を介して冷媒接続(11)に接続されること
、
- 前記冷媒接続(11)は、前記ねじ付きスリーブ(13)により、前記カバー壁(16)に対して外側から最終的にねじ留めされ
、
- 前記ねじ付きスリーブ(13)は、固定リング(15)を保持すること、
- 前記カバー壁(16)に対して、前記固定リング(15)は、外側から前記冷媒ライン(17)を支持すること、
- 前記ねじ付きスリーブ(13)は、円周方向の溝を有すること、及び
- 前記固定リング(15)は、前記溝に係合すること
によって特徴付けられ高電圧バッテリー(10)。
【請求項2】
以下の特徴:
- 前記冷媒ライン(17)は少なくとも部分的に可撓性であること
によって特徴付けられる、請求項
1に記載の高電圧バッテリー(10)。
【請求項3】
以下の特徴:
- 前記冷媒接続(11)は、前記高電圧バッテリー(10)を封止するための平面シール(18)も含むこと、及び
- 前記平面シール(18)は、前記接続フランジ(12)と前記カバー壁(16)との間に配置されること
によって特徴付けられる、請求項
1又は2に記載の高電圧バッテリー(10)。
【請求項4】
請求項
1~
3の何れか一項に記載の高電圧バッテリー(10)を製造する方法であって、以下の特徴:
- 前記接続フランジ(12)は、前記ねじ付きスリーブ(13)が前記カバー壁(16)を通して外側に突出するように、内側から前記カバー壁(16)に対して配置されること、及び
- 前記固定リング(15)は、外側から前記ねじ付きスリーブ(13)上にスライドされること
によって特徴付けられる方法。
【請求項5】
以下の特徴:
- 前記高電圧バッテリー(10)は、前記カバー壁(16)を囲む溶接継ぎ目(14)によって密封されること、及び
- 前記冷媒接続(11)は、前記ねじ付きスリーブ(13)により、外側から前記カバー壁(16)にねじ留めされること
によって特徴付けられる、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
以下の特徴:
- 前記ねじ留めは、少なくとも2つのねじによって行われること、及び
- 前記ねじは、10Nmのトルクで締められること
によって特徴付けられる、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~
3の何れか一項に記載の高電圧バッテリー(10)を有する動力車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力車のための高電圧バッテリーに関する。本発明は、高電圧バッテリーを製造するための対応する方法及びこの種のバッテリーを有する動力車に更に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)及び(特許文献2)では、それぞれ冷却ラインについて開示している。冷却ラインの内側部分により、許容誤差を補償するために可撓性の管が形成される。
【0003】
(特許文献3)は、バッテリーのハウジングカバーにアダプターを介して解放可能な方法で固定された冷却接続に関する。この目的のために、バッテリーカバーは、円筒形の開口部を有する。この開口部に流体ガイド接続プラグが差し込まれる。
【0004】
異なる接続において、(特許文献4)は、ねじ込み式の接続フランジを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102017208617A1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3667759A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第102017006517A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014203943A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、独立請求項に従い、動力車のための高電圧バッテリーと、高電圧バッテリーを製造するための対応する方法と、この種のバッテリーを有する動力車とを提供する。
【0007】
このバッテリーの利点は、その冷媒接続である。この冷媒接続により、組み立て及び特にバッテリーカバーの溶接が妨害されない。
【0008】
本発明の更に有利な構成が従属特許請求項において明示される。従って、高電圧バッテリーは、許容誤差を補償する目的のために、少なくとも部分的に可撓性である冷媒ラインを含み得る。
【0009】
冷媒接続は、密封の堅固さを確保するための平面シールを含み得る。
【0010】
最後に、冷媒接続は、高電圧バッテリーの外側からアクセスすることができるねじ付きスリーブであって、同様に密封の堅固さを確保し、且つ冷媒接続を固定することに寄与するねじ付きスリーブを備えた接続フランジを含み得る。
【0011】
本発明の1つの例示的な実施形態を図面に示し、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、冷却される高電圧バッテリー(10)のカバーが組み立てられるときに発生することがある問題を示す。冷媒接続(11)が生成されると直ちに、この冷媒接続(11)により、高電圧バッテリー(10)へのカバーの溶接が妨げられる。
【0014】
図2は、概要を説明したこの問題に対する可能な解決策を示す。この解決策によれば、冷媒接続(11 -
図1)は、2部設計のものである。この場合、第1の部分により、冷媒ライン(17)のための接続フランジ(12)が形成される。前述の接続フランジは、主として高電圧バッテリー(10)の内側に配置され、従ってこの図によればそのカバー壁(16)の左側にある。
【0015】
冷媒接続(11 -
図1)の前述の内側部分は、軸方向に平行な止まり穴を備えた2つのねじ付きスリーブ(13)により、高電圧バッテリー(10)の外側からアクセス可能である。これらのねじ付きスリーブ(13)は、冷媒ライン(17)から等距離を隔てて、カバー壁(16)を通して外側に向かって突出する。前述のねじ付きスリーブ(13)のそれぞれは、円周方向に溝を設けられ、その溝内に固定リング(15)を保持する。この固定リング(15)により、このようにして、カバー壁(16)に対して外側から
冷媒ライン(17)を支持する。従って、それぞれのねじ付きスリーブ(13)に対する長手方向の溝の位置により、カバー壁(16)からのスリーブの口の間隔を規定する。
【0016】
冷媒ライン(17) - 少なくとも冷媒接続(11)と向かい合う冷媒ライン(17)の部分 - は、カバー壁(16)の内側で接続フランジ(12)に溶接され、且つ高電圧バッテリー(10)のコンポーネントの許容誤差を補償できるようにするために可撓性の設計のものである。平面シール(18)も接続フランジ(12)とカバー壁(16)との間に挿入され、高電圧バッテリー(10)をその周囲から封止する。
【0017】
これらの構造的な特徴により、- 冷媒ライン(17)が溶接される前又は後に -、ねじ付きスリーブ(13)がカバー壁(16)を通して外側に突出するように、接続フランジ(12)を内側からカバー壁(16)に対して直感的に配置することが可能になる。また、固定リング(15)がねじ付きスリーブ(13)の溝に係合するまで、固定リング(15)を外側からねじ付きスリーブ(13)上にスライドさせることが可能になる。この状態では、カバー壁(16)は、高電圧バッテリー(10)を密封するために、妨害されない方法で周囲の溶接継ぎ目(14)を備え得る。
図3は、この溶接継ぎ目(14)が施された後の冷却接続の取り付けを示す。
【0018】
図4による最終組立体に関連してのみ、冷媒接続(11)は、2つのねじが止まり穴に挿入され、且つ10Nmのトルクでねじ留めされるため、ねじ付きスリーブ(13)により、カバー壁(16)に対して外側から最終的にねじ留めされる。そのようにして組み立てられた高電圧バッテリー(10)は、例えば、電気車両を駆動するための走行用バッテリー又は駆動バッテリーの形態で移動式電気エネルギー貯蔵器として役立ち得る。
【符号の説明】
【0019】
10 高電圧バッテリー
11 冷媒接続
12 接続フランジ
13 ねじ付きスリーブ
14 溶接継ぎ目
15 固定リング
16 カバー壁
17 冷媒ライン
18 平面シール