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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】チャンバーボックス
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/167 20210101AFI20231205BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20231205BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20231205BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20231205BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
F24F8/167
F24F8/22
F24F13/02 A
A61L9/20
B01J35/02 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021194072
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023080629
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2021-11-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】末光 優斗
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-110689(JP,A)
【文献】特開2004-223000(JP,A)
【文献】中国実用新案第202198889(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/167
F24F 8/22
F24F 13/02
A61L 9/20
B01J 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部で囲まれた空間内を空気が流動可能なチャンバーボックスであって、
前記壁部から離隔して配置され、光触媒を担持させた光触媒フィルタと、
前記光触媒フィルタに向かって光を発する光源と、
前記壁部に一体に設けられ、かつ、空気の流路を形成する光案内部であって、前記光源から発せられ前記光触媒フィルタを通過した光を前記光触媒フィルタに向かって案内する光案内部と、を備えるチャンバーボックス。
【請求項2】
前記光案内部は、前記光触媒フィルタよりも前記光源から遠い位置に配置される、請求項1に記載のチャンバーボックス。
【請求項3】
前記光案内部は、少なくとも1回、光を反射して前記光触媒フィルタに案内する反射部材を有する、請求項1に記載のチャンバーボックス。
【請求項4】
前記光案内部は、空気の流路を囲繞する、請求項1に記載のチャンバーボックス。
【請求項5】
チャンバーボックスの内壁面は反射部材で構成され、前記光案内部は、前記内壁面で構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載のチャンバーボックス。
【請求項6】
前記光案内部の前記流動方向に垂直な断面形状は、円形または四角形以上の多角形である、請求項5に記載のチャンバーボックス。
【請求項7】
前記光源は、前記チャンバーボックスの中央部に配置され、前記光触媒フィルタは、前記光源と前記光案内部との間に配置される、請求項2に記載のチャンバーボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ダクトなどに接続されるチャンバーボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
反射鏡を有する殺菌器内蔵ダクトが知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、紫外光を殺菌器内蔵ダクトの内部に向かわせるものであった。
【0003】
また、筐体の内壁を鏡面反射板で仕上げることで、照射光及び反射光をパイプの内層まで行き渡るようにされた装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平04-117960号公報
【文献】特開2018-110689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の装置は、紫外光をダクトやパイプなどの広範に亘って案内するもので、被照射体や被照射領域などの特定の対象に向けて紫外光を制御して照射するものではなかった。一般に、紫外光が照射された部分は劣化しやすい。このため、従来の装置では、紫外光の照射対象でない部品や領域が劣化しやくなり、部品の交換などの作業が増えざるを得なかった。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものである。その目的は、光の照射対象である被照射体に光を積極的に向けることで、安定して継続的に稼働させることができるチャンバーボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるチャンバーボックスの特徴は、
壁部で囲まれた空間内を空気が流動可能なチャンバーボックスであって、
前記壁部から離隔して配置され、光触媒を担持させた光触媒フィルタと、
前記光触媒フィルタに向かって光を発する光源と、
前記壁部に一体に設けられ、かつ、空気の流路を形成する光案内部であって、前記光源から発せられ前記光触媒フィルタを通過した光を前記光触媒フィルタに向かって案内する光案内部と、を備えることである。
【発明の効果】
【0008】
光の照射対象である被照射体に光を積極的に向け、安定して継続的に装置全体を稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態による空気清浄システム10の構成の概略を示す斜視図である。
図2図1における矢印A-A断面を示す断面図であり、第1の光学系の構成を示す断面図である。
図3図1における矢印B-B断面を示す断面図であり、第1の光学系の構成を示す断面図である。
図4】空気清浄化ユニット300の外観を示す斜視図である。
図5】空気清浄化ユニット300の構成を示す斜視図である。
図6図5に示す状態から光触媒フィルタカセットを外したときの状態を示す斜視図である。
図7】光触媒フィルタ344並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の配置を示す断面図である。
図8】第1の光学系による光路の例を示す概略図である。
図9】第2の光学系の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<<<<<本実施の形態の詳細>>>>>
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態による空気清浄システム10の構成の概略を示す斜視図である。なお、図1では、空気清浄化ユニット300をかくれ線で示した。図2は、図1における矢印A-A断面を示す断面図である。図3は、図1における矢印B-B断面を示す断面図である。なお、図1図2及び図3では、明瞭及び簡便のため、空気清浄化ユニット300をかくれ線で示した。また、図2及び図3では、明瞭のため、フック132及び134並びにワイヤ136及び138を省略して示した。
【0011】
<<方向>>
<上流方向>
上流方向とは、空気などの流体の供給源に向かう方向である。例えば、上流方向は、空調機(空気調和機)などに向かう方向である。
【0012】
<下流方向>
下流方向とは、上流方向とは反対の方向であり、空気などの流体の供給先に向かう方向である。下流方向は、例えば、空気が供給される建物の部屋などに向かう方向である。
【0013】
<上下流方向>
上下流方向は、上流方向及び下流方向に沿った方向である。向きは問わず、上流方向及び下流方向に沿っていればよい。なお、上下流方向は、水平方向でも垂直方向でも、その他の任意の方向でもよい。
【0014】
<上方向、上側、上向きなど>
上方向は、後述する下方向と逆の方向であり、重力の方向と逆の方向である。
【0015】
<下方向、下側、下向きなど>
下方向は、重力の方向である。すなわち、下方向は、物体を吊り下げた糸の示す方向である。
【0016】
<上下方向>
上下方向は、上方向及び下方向に沿った方向である。向きは問わず、上方向及び下方向に沿っていればよい。
【0017】
<前方向、前側、手前側など>
前方向は、主に、メンテナンスや修理をする作業者の位置に向かう向きである。手前側、手前方向ともいう。前方向は、作業者が操作しやすい側に向かう方向である。
【0018】
<後方向、後側、奥側、奥行き側など>
後方向は、前方向と逆の方向であり、作業者の位置から離れる向きである。奥側、奥側方向、奥行き方向ともいう。後方向は、作業者が操作しにくい側に向かう方向である。
【0019】
<前後方向>
前後方向は、前方向及び後方向に沿った方向である。向きは問わず、前方向及び後方向に沿っていればよい。
【0020】
<<<<空気清浄システム10の構成>>>>
図1に示すように、空気清浄システム10は、チャンバーボックス100と、空調ダクト200と、空気清浄化ユニット300と、を含む。
【0021】
<<<空調ダクト200>>>
空調ダクト200は、建物などに備えられる空調システムを構成する部材である。空調システムは、例えば、戸建て住宅、マンション、商業設備向けの集中空調管理システム等のほか、航空機などの乗り物用の空調システム等もある。
【0022】
空調ダクト200は、一般に長尺な中空構造を有する。空調ダクト200には、空調機(空気調和機)(図示せず)が連結される。空調機は、冷却、暖房、加湿、除湿などの状態を調節した空気を排出する装置である。空調機から排出された空気は、空調ダクト200内を伝って、建物などの部屋などに供給される。すなわち、空調ダクト200の上流側に空調機が接続され、空調ダクト200の下流側に建物などの部屋が接続されて、空調機からの空気が、空調ダクト200によって上流から下流に向かって案内される。
【0023】
<<<チャンバーボックス100>>>
図1及び図2に示すように、チャンバーボックス100は、空調ダクト200の途中に配置される。チャンバーボックス100は、空調ダクト200の設置時にともに配置されても、既設されている空調ダクト200に、追加的に配置されてもよい。
【0024】
チャンバーボックス100は、略八角筒状の形状を有する。チャンバーボックス100は、中空状の形状を有する。
【0025】
チャンバーボックス100は、中空状であることにより、空気清浄化ユニット300を収容するための収容空間CSを確保できる。図1図3に示すように、空気清浄化ユニット300が、空調ダクト200によって形成される収容空間CSに収納される。
【0026】
チャンバーボックス100は、アルミやステンレスなどの薄い金属によって構成される。チャンバーボックス100は、プラスチックなどの樹脂や、ガラスなどによって構成されてもよい。チャンバーボックス100の材質は、強度や熱伝導や軽量化などを考慮して適宜に選択すればよい。
【0027】
<<10個の壁面>>
チャンバーボックス100は、10個の壁面を有する。具体的には、チャンバーボックス100は、上流壁112及び下流壁116と、上壁122、下壁124、前壁126及び後壁128と、前側テーパー部414F、前側テーパー部416F、後側テーパー部414R、後側テーパー部416Rとを有する。
【0028】
<上流壁112、下流壁116>
上流壁112と下流壁116は、互いに向かい合って配置される。上流壁112と下流壁116は、薄板状の略八角状の形状を有する。上流壁112と下流壁116は、上流から下流に向かう方向に対して垂直な方向に沿った断面と一致する。
【0029】
上流壁112は、空調ダクト200の上流側に位置する。上流壁112は、上流連通口114を有する。上流壁112は、上流側に配置された空調ダクト200に接続される。空調機からの空気が、上流連通口114を介してチャンバーボックス100に流入する。
【0030】
下流壁116は、空調ダクト200の下流側に位置する。下流壁116は、下流連通口118を有する。下流壁116は、下流側に配置された空調ダクト200に接続される。チャンバーボックス100からの空気が、下流連通口118を介して、下流側の空調ダクト200に流出される。
【0031】
<上壁122、下壁124、前壁126、後壁128>
上壁122、下壁124、前壁126、後壁128は、薄板状の略四角状の形状を有する。上壁122と下壁124とが互いに向かい合って平行に配置される。前壁126と後壁128とが互いに向かい合って平行に配置される。
【0032】
<前側テーパー部414F、前側テーパー部416F、後側テーパー部414R、後側テーパー部416R>
前側テーパー部414F、前側テーパー部416F、後側テーパー部414R、後側テーパー部416Rは、薄板状の略四角状の形状を有する。
【0033】
前側テーパー部414F及び前側テーパー部416Fは、前壁126を挟んで前側に位置する。前側テーパー部414Fは、前壁126に対して所定の角をなす。前側テーパー部414Fは、前壁126に対して傾いて位置づけられる。前側テーパー部416Fは、前壁126に対して所定の角をなす。前側テーパー部416Fは、前壁126に対して傾いて位置づけられる。前側テーパー部414F及び前側テーパー部416Fは、前壁126に向かうに従って上下方向に互いに近づく。
【0034】
後側テーパー部414R及び後側テーパー部416Rは、後壁128を挟んで後側に位置する。後側テーパー部414Rは、後壁128に対して所定の角をなす。後側テーパー部414Rは、後壁128に対して傾いて位置づけられる。後側テーパー部416Rは、後壁128に対して所定の角をなす。後側テーパー部416Rは、後壁128に対して傾いて位置づけられる。後側テーパー部414R及び後側テーパー部416Rは、後壁128に向かうに従って上下方向に互いに近づく。
【0035】
前側テーパー部414F及び後側テーパー部414Rは、上壁122を挟んで上側に位置する。前側テーパー部414Fは、上壁122に対して所定の角をなす。前側テーパー部414Fは、上壁122に対して傾いて位置づけられる。後側テーパー部414Rは、上壁122に対して所定の角をなす。後側テーパー部414Rは、上壁122に対して傾いて位置づけられる。前側テーパー部414F及び後側テーパー部414Rは、上壁122に向かうに従って前後方向に互いに近づく。
【0036】
前側テーパー部416F及び後側テーパー部416Rは、下壁124を挟んで下側に位置する。前側テーパー部416Fは、下壁124に対して所定の角をなす。前側テーパー部416Fは、下壁124に対して傾いて位置づけられる。後側テーパー部416Rは、下壁124に対して所定の角をなす。後側テーパー部416Rは、下壁124に対して傾いて位置づけられる。前側テーパー部416F及び後側テーパー部416Rは、下壁124に向かうに従って前後方向に互いに近づく。
【0037】
上流壁112及び下流壁116と、上壁122、下壁124、前壁126及び後壁128と、前側テーパー部414Fと、前側テーパー部416Fと、後側テーパー部414Rと、後側テーパー部416Rとによって囲繞される空間により、中空状の収容空間CSが画定される。チャンバーボックス100の収容空間CSでは、空気が、主に上流から下流に流動する。
【0038】
上壁122、下壁124、前壁126、後壁128、前側テーパー部414F、前側テーパー部416F、後側テーパー部414R、後側テーパー部416Rによって、略八角筒状の形状が画定される。すなわち、チャンバーボックス100の上下流方向に垂直な面の断面は、略八角形状の形状を有する。
【0039】
<フック132、134及びワイヤ136、138>
上壁122の上流側の端部と下流側の端部との各々に、フック132、134が設けられている。例えば、フック132、134として、アイボルトなどを用いることができる。フック132には、ワイヤ136の下端部が着脱可能に接続され、フック134には、ワイヤ138の下端部が着脱可能に接続される。
【0040】
図1に示すように、チャンバーボックス100及び空調ダクト200は、一般に、天井裏や屋根裏や床下や壁裏などに形成された配置空間LSに配置される。チャンバーボックス100のワイヤ136の上端部及びワイヤ138の上端部は、配置空間LSの上面(図示せず)に係止されることができる。フック132、134及びワイヤ136、138によって、チャンバーボックス100を吊設することができる。なお、フック132、134及びワイヤ136、138に限られず、チャンバーボックス100を一定の位置に設けることができるものであればよい。
【0041】
後述するように、チャンバーボックス100内に空気清浄化ユニット300が取り付けられて重くなる場合がある。チャンバーボックス100が重くなった場合であっても、チャンバーボックス100を吊設することで、配置空間LSに安定して保持することができる。また、チャンバーボックス100を流れる空気の動作によって振動が生じた場合であっても、チャンバーボックス100を吊設することで、配置空間LSの一定の位置に安定して保持することができる。
【0042】
<後側開口>
チャンバーボックス100は、後側開口(図示せず)を有する。後側開口は、後壁128に形成される。後述する空気清浄化ユニット300を、後側開口を介してチャンバーボックス100に設けることができる。空気清浄化ユニット300は、ボルトなどの締結部材によってチャンバーボックス100に固定される。なお、メンテンナンスや修理の作業性を考慮して、前壁126などの前側に開口を設け(図示せず)、開口を介して空気清浄化ユニット300を後壁に着脱可能に取り付けるように構成してもよい。
【0043】
なお、空気清浄化ユニット300のチャンバーボックス100への具体的な固定方法は、これに限定されない。例えば、補強部材(図示せず)を介して、空気清浄化ユニット300をチャンバーボックス100に固定してもよい。また、ボルト以外の締結部材やフックなどの係止部材などを用いて空気清浄化ユニット300をチャンバーボックス100に取り付けてもよい。
【0044】
チャンバーボックス100の外側表面を断熱部材(図示せず)で被覆してもよい。流動する空気の温度を変化させることなく上流から下流に案内できる。
【0045】
チャンバーボックス100の内側表面の凹凸を少なくして滑らかに形成してもよい。圧力損失を低下させて、円滑に空気を流動させることができる。
【0046】
<<<空気清浄化ユニット300>>>
図4は、空気清浄化ユニット300の外観を示す斜視図である。図5は、空気清浄化ユニット300の構成を示す斜視図である。図6は、図5に示す状態から後述する光触媒フィルタカセット340を外したときの状態を示す斜視図である。図7は、光触媒フィルタ344並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の配置を示す断面図である。
【0047】
空気清浄化ユニット300は、光触媒フィルタカセット340と、触媒活性用光源350と、不活化用光源360と、を備える。
【0048】
<光触媒フィルタカセット340>
光触媒フィルタカセット340は、光触媒を担持する光触媒フィルタ344を有する。光触媒フィルタカセット340は、着脱可能にするためカセット状に形成されている。
【0049】
<触媒活性用光源350>
触媒活性用光源350は、紫外光を発する。触媒活性用光源350から発せられた紫外光は、光触媒フィルタカセット340の光触媒フィルタ344に照射される。光触媒フィルタ344の光触媒は、紫外光の照射により活性化する。光触媒フィルタ344の構成については後述する。
【0050】
<不活化用光源360>
不活化用光源360は、触媒活性用光源350から発する紫外光よりも短い波長の紫外光を発する。不活化用光源360から発せられた紫外光は、光触媒フィルタカセット340の光触媒フィルタ344に照射される。触媒活性用光源350から発する紫外光よりも短い波長の紫外光を光触媒フィルタ344に照射することにより、細菌及びウィルスを不活化させる。
【0051】
また、空気清浄化ユニット300は、外板310と、フィルタ用ガイドレール320と、光源支持用フレーム330と、を備える。
【0052】
<外板310>
外板310は、矩形状の形状を有する。外板310は、フィルタ用ガイドレール320を保持したり、空気清浄化ユニット300を空調ダクト200に取り付けたりするための板である。
【0053】
<フィルタ用ガイドレール320>
フィルタ用ガイドレール320は、光触媒フィルタカセット340を着脱可能に支持するための部材である。フィルタ用ガイドレール320は、外板310の内面(空調ダクト200内に臨む面)から空調ダクト200内へと突出するように設けられる。
【0054】
<光源支持用フレーム330>
光源支持用フレーム330は、長尺な形状を有する。光源支持用フレーム330は、外板310の内面から空調ダクト200内へと突出するように設けられる。光源支持用フレーム330には、触媒活性用光源350又は不活化用光源360が設けられる。
【0055】
<光触媒フィルタ344>
光触媒フィルタカセット340は、光触媒フィルタ344を有する。光触媒フィルタ344は、紫外線の照射により光触媒機能を発揮する光触媒を担持する。
【0056】
本実施の形態では、光触媒フィルタ344は、ステンレスやアルミニウム等の無機材料からなるフィルタ基体の表面に、アパタイトや酸化チタン等を含有する光触媒が担持される構造を有する。
【0057】
フィルタ基体は、例えば、ステンレスやアルミニウム等からなる繊維状体を用いて構成された不織布、あるいは、ステンレスやアルミニウム等からなるエキスパンドメタル又はパンチングメタルにより構成される。ステンレスやアルミニウム等の無機材料からなるフィルタ基体を用いることで、フィルタ基体の劣化を抑制し、メンテナンスの削減、交換頻度の削減が可能になる。
【0058】
光触媒の担持方法は、フィルタ基材表面への塗工による方法や、繊維状体基材を用いた場合には繊維状体内へ粒子状の光触媒を担持させる方法などがある。フィルタ基材表面へ担持させる方法は、触媒活性用光源350の発する紫外線を受けやすくできる点で好ましい。一方、繊維状体、メッシュやパンチングメタルを基材として担持させる方法は、空調ダクト200内を流れる空気との接触面積を大きくし、光触媒との接触時間を長くできる点で好ましい。
【0059】
本実施の形態では、光触媒フィルタカセット340は、光触媒フィルタ344とフィルタ用フレーム342とを有する。光触媒フィルタ344は、フィルタ用フレーム342により保持される。光触媒フィルタ344は、フィルタ用フレーム342への保持によって、平坦な形状に延在する。なお、本実施の形態では、2つの光触媒フィルタカセット340を用いているが、光触媒フィルタカセット340の数は、これに限定されず、1つでも3つ以上でもよい。
【0060】
<光触媒フィルタカセット340の支持>
光触媒フィルタカセット340は、互いに向かい合う一対のフィルタ用ガイドレール320により着脱可能に支持される。
【0061】
フィルタ用ガイドレール320は、長尺な形状を有する。フィルタ用ガイドレール320は、先端側(突出端側(外板310から離れる側))と基端側(外板310側)とを有する。
【0062】
フィルタ用ガイドレール320は、断面が略U字状の形状を有する。フィルタ用ガイドレール320は、底溝部と、2つの側壁部とを有する。2つの側壁部は、底溝部を挟んで底溝部から突設され、互いに平行になって向かい合う。互いに離隔する2つの側壁部によって開口部が形成される。
【0063】
一対のフィルタ用ガイドレール320は、開口部が互いに向かい合い、底溝部が互いに離れるように配置される。
【0064】
本実施の形態では、空気清浄化ユニット300は、2つの光触媒フィルタカセット340を有する。2つの光触媒フィルタカセット340の各々に、互いに向かい合う1対のフィルタ用ガイドレール320が用いられる。
【0065】
光触媒フィルタカセット340は、互いに向かい合う1対のフィルタ用ガイドレール320に挟持されて保持される。互いに向かい合う1対のフィルタ用ガイドレール320の先端側(突出端側)から基端側(外板310側)に向かって、光触媒フィルタカセット340の端部をフィルタ用ガイドレール320の開口部内にスライドさせ挿入する。このようにして、光触媒フィルタカセット340が、1対のフィルタ用ガイドレール320を介して外板310へと装着される。
【0066】
光触媒フィルタカセット340のフィルタ用フレーム342は、係止片346を有する。係止片346は、フィルタ用ガイドレール320と向かい合う側に向かって突出する。係止片346は、光触媒フィルタカセット340のスライド方向に対して垂直方向(すなわち、光触媒フィルタ344の法線方向に対して垂直な方向)に突出する。一方、フィルタ用ガイドレール320は、係止孔322を有する。
【0067】
光触媒フィルタカセット340がフィルタ用ガイドレール320に装着されると、光触媒フィルタカセット340の係止片346が、フィルタ用ガイドレール320の係止孔322に係止される。これにより、光触媒フィルタカセット340が、フィルタ用ガイドレール320の所定の位置に固定される。
【0068】
<触媒活性用光源350及び不活化用光源360>
触媒活性用光源350は、光触媒フィルタカセット340に紫外光を照射して光触媒を活性化させるための光源である。不活化用光源360は、細菌やウィルスを不活化させるための光源である。触媒活性用光源350と不活化用光源360とを共通化せずに別個に構成することで、光触媒を活性化することによる脱臭等の効果と、細菌やウィルスを不活化させる効果との両方を、十分に得ることが可能になる。特に、空調ダクト200は、通常の室内用空気清浄機等と比較すると、処理する空気量が多い。このため、脱臭や細菌等の不活化の効果を十分に得るベく、触媒活性用光源350と不活化用光源360とを別個に構成することが望ましい。
【0069】
触媒活性用光源350は、複数の発光ダイオード352を有する。複数の発光ダイオード352は、略直線状に配置される。不活化用光源360は、複数の発光ダイオード362を有する。複数の発光ダイオード362は、略直線状に配置される。触媒活性用光源350を発光ダイオード352により構成し、不活化用光源360を発光ダイオード362により構成することで、例えば、紫外線ランプを用いた場合と比較して、触媒活性用光源350及び不活化用光源360のサイズを小さくできる。具体的には、触媒活性用光源350及び不活化用光源360を薄く形成することができる。このようにすることで、触媒活性用光源350及び不活化用光源360によって、空調ダクト200内の空気抵抗が増加することを抑制することができる。このため、触媒活性用光源350及び不活化用光源360を小さい(細い)空調ダクト200にも適用することができる。
【0070】
また、触媒活性用光源350を発光ダイオード352により構成し、不活化用光源360を発光ダイオード362により構成することで、例えば、紫外線ランプを用いた場合と比較して消費電力を抑えることができる。
【0071】
さらに、発光ダイオード352及び362は、寿命が長く、例えば、5年以上の発光ダイオード交換を必要としない。このため、年に1回程度の交換が必須となる紫外線ランプと比較すると、交換の手間やランニングコストを低減し、メンテナンス性も向上できる。特に、本実施の形態のように、触媒活性用光源350を発光ダイオード352により、不活化用光源360を発光ダイオード362により、別個に構成することで、効果を非常に大きくできる。
【0072】
触媒活性用光源350を構成する発光ダイオード352として、波長360nm以上380nm以下の紫外光を発する発光ダイオードを用いる。本実施の形態では、波長365nmの紫外光を発する発光ダイオード352を触媒活性用光源350として用いた。
【0073】
不活化用光源360を構成する発光ダイオード362として、触媒活性用光源を構成する発光ダイオード352よりも短い波長の紫外光を照射するものを用いる。より具体的には、不活化用光源360を構成する発光ダイオード362として、波長250nm以上280nm以下の深紫外光を発する発光ダイオードを用いる。本実施の形態では、波長280nmの深紫外光を発する発光ダイオード362を不活化用光源360として用いた。
【0074】
図6に示すように、複数の発光ダイオード352が、光源支持用フレーム330に略直線列に並んで配置され、触媒活性用光源350を構成する。複数の発光ダイオード362が、光源支持用フレーム330に略直線列に並んで配置され、不活化用光源360を構成する。発光ダイオード352が配置される光源支持用フレーム330と発光ダイオード362が配置される光源支持用フレーム330とは、互いに平行に離隔して配置される。このため、複数の発光ダイオード352及び複数の発光ダイオード362は、全体としてマトリックス状(複数の格子の交点上)に配置される。
【0075】
本実施の形態では、空気清浄化ユニット300は、2つの光触媒フィルタカセット340を有する。2つの光触媒フィルタカセット340は、互いに離隔して向かい合って配置される。2つの光触媒フィルタカセット340の光触媒フィルタ344の間に、触媒活性用光源350及び不活化用光源360が配置される。
【0076】
図6及び図7に示すように、空気清浄化ユニット300は、合計で、4個の触媒活性用光源350及び2個の不活化用光源360を有する。6本の光源支持用フレーム330が外板310に突設されている。6本の光源支持用フレーム330は、外板310から垂直に延出する。6本の光源支持用フレーム330は、互いに離隔して平行に配置される。4個の触媒活性用光源350及び2個の不活化用光源360の各々は、光源支持用フレーム330に取り付けられる。
【0077】
2つの光触媒フィルタ344の各々に、2個の触媒活性用光源350及び1個の不活化用光源360が対応付けられて配置される。光触媒フィルタ344の各々に対応する2個の触媒活性用光源350は、1個の不活化用光源360を挟んで平行に配置される。2個の触媒活性用光源350及び1個の不活化用光源360から発せられる紫外線は、対応する光触媒フィルタ344に向かって進み照射される。
【0078】
触媒活性用光源350は、不活化用光源360よりも光触媒フィルタカセット340から遠い位置に配置される。これにより、比較的サイズの大きい光触媒フィルタ344に対しても、触媒活性用光源350からの紫外光を光触媒フィルタ344の全体に照射でき、光触媒の活性効果を十分に得ることができる。また、不活化用光源360は、触媒活性用光源350よりも光触媒フィルタカセット340から近い位置に配置される。これにより、不活化用光源360による細菌やウィルスの不活性効果も十分に得ることが可能になる。
【0079】
図7に示すように、触媒活性用光源350及び不活化用光源360は、発せられる紫外光が内側(空調ダクト200内の中央側)から外側(空調ダクト200の内壁側)に向かうように設けられている。これにより、触媒活性用光源350及び不活化用光源360用の配線を、空気清浄化ユニット300の中央部に集めることができ、配線レイアウトを簡略化できる。ただし、これに限らず、外側(空調ダクト200の内壁側)から内側(空調ダクト200内の中央側)に向けて紫外光を発するように、触媒活性用光源350及び不活化用光源360を設けてもよい。この場合、空調ダクト200の内壁に紫外光が照射されにくくなるので、空調ダクト200の劣化を抑制することが可能になる。
【0080】
なお、本実施の形態では、光触媒フィルタ344の延在する面が、上流から下流に向かう空気の流れと平行になるように、光触媒フィルタ344を配置する場合について説明したが、光触媒フィルタ344の配置は、これに限られない。例えば、光触媒フィルタ344の延在する面が、空気の流れに対して垂直になるように、光触媒フィルタ344を配置してもよい。また、光触媒フィルタ344の延在する面が、空気の流れに対して所定の角度をなすように、光触媒フィルタ344を配置してもよい。
【0081】
図4に示すように、外板310の表側(空調ダクト200の外側に露出する面)には、ハンドル312が設けられている。作業者がハンドル312を把持して、空気清浄化ユニット300を空調ダクト200に着脱することができる。
【0082】
外板310の表側には、電源ジャック314が設けられている。電源ジャック314に、電源プラグ(図示せず)が差し込まれる。電源プラグは、電源供給装置(図示せず)から延びる電源コード(図示せず)の端部に設けられている。
【0083】
電源ジャック314の近傍には、通知用発光ダイオード316が設けられている。通知用発光ダイオード316は、電源供給の状態や、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の駆動の状態などを発光により通知する。
【0084】
<<<<第1の光学系>>>>
<<<第1の光学系の構成>>>
図2及び図3は、第1の光学系の構成を示す断面図である。
【0085】
第1の光学系は、チャンバーボックス100の上壁122、下壁124、前壁126、後壁128及び前側テーパー部414F、前側テーパー部416F、後側テーパー部414R、後側テーパー部416Rによって構成される。以下、簡便のため、上壁122、下壁124、前壁126、後壁128及び前側テーパー部414F、前側テーパー部416F、後側テーパー部414R、後側テーパー部416Rをチャンバー側壁部400と総称する。
【0086】
チャンバー側壁部400の内側の面は、紫外光を反射できる部材によって構成される。チャンバー側壁部400の内側の面の全面が、紫外光を反射できる部材で構成されるのが好ましいが、内側の面の一部のみが、紫外光を反射できる部材で構成されてもよい。
【0087】
例えば、チャンバー側壁部400は、紫外線用アルミ反射板などを用いて構成される。チャンバー側壁部400は、また、アルミ板やステンレス板などの金属板に紫外線反射材料を被覆したものを用いてもよい。紫外線反射材料は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系の樹脂などにすることができる。
【0088】
触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せられた紫外光は、チャンバー側壁部400の内側の面によって反射されつつ、チャンバー側壁部400で囲まれた収容空間CS内を進む。
【0089】
なお、チャンバー側壁部400の外側の面は、紫外光を反射しない部材で構成されてもよい。
【0090】
チャンバー側壁部400の内側の面は、触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せられる紫外光を反射できる波長特性を有するものであればよい。なお、触媒活性用光源350及び不活化用光源360のうちの少なくとも一方の紫外光を反射できる波長特性を有するものでもよい。いずれか一方の紫外光を反射させるだけでも、いずれか一方の紫外光を光触媒フィルタ344に繰り返し照射することができ、照射の効果を向上させることができる。
【0091】
<<<第1の光学系における光路>>>
図8は、第1の光学系による光路の具体例を示す概略図である。図8は、図7に示した空気清浄化ユニット300とチャンバーボックス100とを示す。前述したように、空気清浄化ユニット300は、触媒活性用光源350(発光ダイオード352)及び不活化用光源360(発光ダイオード362)を有するが、図8では、便宜的にLED1、2、3と称する。
【0092】
<<第1の光路(反射回数1回)>>
発光ダイオード352であるLED1は、上方に向かって紫外光を発する(光路OP11)。LED1から発せられた紫外光は、まず、上側の光触媒フィルタ344に照射される。LED1からの紫外光は、上側の光触媒フィルタ344の照射後、上側の光触媒フィルタ344を通過し、上壁122に向かう。
【0093】
LED1からの紫外光は、上壁122の点RP11で反射されて、上側の光触媒フィルタ344に向かい、再び上側の光触媒フィルタ344に照射される(光路OP12)。なお、上側の光触媒フィルタ344を通過した光は、その後、下側の光触媒フィルタ344に照射され、後側テーパー部416Rに向かう(光路は図示せず)。
【0094】
この例では、LED1から発せられた紫外光は、上壁122での1回の反射を経て、光触媒フィルタ344に再び照射される。
【0095】
<<第2の光路(反射回数2回)>>
発光ダイオード352であるLED2は、前側下方に向かって紫外光を発する(光路OP21)。LED2から発せられた紫外光は、まず、下側の光触媒フィルタ344に照射される。LED2からの紫外光は、下側の光触媒フィルタ344の照射後、下側の光触媒フィルタ344を通過し、前側テーパー部416Fに向かう。
【0096】
LED2からの紫外光は、前側テーパー部416Fの点RP21で反射され、前側テーパー部414Fに向かう(光路OP22)。その後、LED2からの紫外光は、前側テーパー部414Fの点RP22で反射され、上側の光触媒フィルタ344に向かい、上側の光触媒フィルタ344に照射される(光路OP23)。
【0097】
なお、上側の光触媒フィルタ344を通過した光は、その後、上側の光触媒フィルタ344に照射され、後壁128に向かう(光路は図示せず)。
【0098】
この例では、LED2から発せられた紫外光は、前側テーパー部416Fでの反射と、前側テーパー部414Fでの反射との2回の反射を経て、上側の光触媒フィルタ344に照射される。
【0099】
<<第3の光路(反射回数3回)>>
発光ダイオード362であるLED3は、前側上方に向かって紫外光を発する(光路OP31)。LED3から発せられた紫外光は、まず、上側の光触媒フィルタ344に照射される。LED3からの紫外光は、上側の光触媒フィルタ344の照射後、前側テーパー部414Fに向かう。
【0100】
LED3からの紫外光は、前側テーパー部414Fの点RP31で反射され、前側テーパー部416Fに向かう(光路OP32)。その後、LED2からの紫外光は、前側テーパー部416Fの点RP32で反射され、後側テーパー部416Rに向かう(光路OP33)。
【0101】
LED3からの紫外光は、後側テーパー部416Rの点RP33で反射され、下側の光触媒フィルタ344に照射される(光路OP34)。
【0102】
なお、下側の光触媒フィルタ344を通過した光は、その後、後壁128に向かう(光路は図示せず)。
【0103】
この例では、LED3から発せられた紫外光は、前側テーパー部414Fでの反射と、前側テーパー部416Fでの反射と、後側テーパー部416Rでの反射との3回の反射を経て、下側の光触媒フィルタ344に照射される。
【0104】
前述した光路では、紫外光が、1回~3回、チャンバー側壁部400によって反射され、チャンバー側壁部400で囲まれた収容空間CS内を進行する例を示したが、紫外光は、減衰するまで、チャンバー側壁部400によって繰り返し反射され、チャンバー側壁部400で囲まれた収容空間CS内を進行する。紫外光が減衰するまで光触媒フィルタ344を繰り返し照射することができ、照射の効果を高めることができる。
【0105】
<<<第1の光学系の概要>>>
チャンバー側壁部400は、上側及び下側の光触媒フィルタ344から離隔して位置する。さらに、チャンバー側壁部400は、上側及び下側の光触媒フィルタ344の全体を囲う。
【0106】
第1の光学系は、触媒活性用光源350(発光ダイオード352)及び不活化用光源360(発光ダイオード362)から発せられた紫外光は、チャンバー側壁部400を往復して進む過程で、上側及び下側の光触媒フィルタ344に繰り返し向けられて照射される。このようにしたことで、光触媒フィルタ344への照射の効果を高めることができる。さらに、紫外光を光触媒フィルタ344に積極的に向けることで、他の部材の紫外光による損傷を低下させることができる。さらにまた、紫外光が外へ漏れることを防止できる。
【0107】
<前側テーパー部414F、前側テーパー部416F、後側テーパー部414R、後側テーパー部416Rの角度>
前側テーパー部414Fが、上壁122や前壁126となす角や、前側テーパー部416Fが、前壁126や下壁124となす角や、後側テーパー部414Rが、上壁122や後壁128となす角や、後側テーパー部416Rが、下壁124や後壁128となす角は、上側及び下側の光触媒フィルタ344に光が向かいやすい角度にすることができる。これらの角度は、上側及び下側の光触媒フィルタ344の位置や大きさや形状などに応じて、適宜に定めればよい。
【0108】
チャンバーボックス100の上下流方向に垂直な断面形状を左右非対称な形状にする場合について説明したが、断面形状を左右対称な形状にしてもよい。また、チャンバーボックス100の断面形状が正八角形になるように、外板310の形状をチャンバーボックス110の形状に沿うように構成してもよい。さらに、外板310の内面を反射部材によって構成してもよい。
【0109】
<<<<第2の光学系>>>>
図9は、第2の光学系の構成を示す断面図である。
【0110】
第2の光学系は、チャンバーボックス110の壁面によって構成される。チャンバーボックス110は、後側を除き略円筒状の形状を有する。図9に示すように、チャンバーボックス110の後側は、外板310を有する。
【0111】
チャンバーボックス110は、紫外光を反射できる部材によって構成される。具体的には、チャンバーボックス110の内側の面は、紫外光を反射できる部材を有する。チャンバーボックス110の内側の面の全面が、紫外光を反射できる部材で構成されるのが好ましいが、内側の面の一部のみが、紫外光を反射できる部材で構成されてもよい。
【0112】
例えば、チャンバーボックス110は、紫外線用アルミ反射板などを用いて構成される。チャンバーボックス110は、また、アルミ板やステンレス板などの金属板に紫外線反射材料を被覆したものを用いてもよい。紫外線反射材料は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系の樹脂などにすることができる。
【0113】
触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せられた紫外光は、チャンバーボックス110の内側の面によって反射されつつ、チャンバーボックス110で囲まれた収容空間CS内を進む。
【0114】
なお、チャンバーボックス110の外側の面は、紫外光を反射しない部材で構成されてもよい。
【0115】
チャンバーボックス110の内側の面は、触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せられる紫外光を反射できる波長特性を有するものであればよい。なお、触媒活性用光源350及び不活化用光源360のうちの少なくとも一方の紫外光を反射できる波長特性を有するものでもよい。いずれか一方の紫外光を反射させるだけでも、照射の効果を向上させることができる。
【0116】
チャンバーボックス110は、略円筒状の形状を有するので、紫外光を様々な方向に反射しやすく、あらゆる方向から紫外光を光触媒フィルタ344に照射することができる。
【0117】
なお、外板310は、チャンバーボックス110の外形の形状に沿うように、円筒面の一部を形成して、チャンバーボックス110を完全な円筒形状にしてもよい。また、外板310の内面を反射部材によって構成してもよい。
【0118】
<<<第2の光学系の概要>>>
チャンバーボックス110は、上側及び下側の光触媒フィルタ344から離隔して配置される。さらに、チャンバーボックス110の全体は、上側及び下側の光触媒フィルタ344を囲う。
【0119】
第2の光学系も第1の光学系と同様に、触媒活性用光源350(発光ダイオード352)及び不活化用光源360(発光ダイオード362)から発せられた紫外光は、チャンバーボックス110の間を往復して進む過程で、上側及び下側の光触媒フィルタ344に繰り返し向けられて照射される。このようにしたことで、光触媒フィルタ344への照射の効果を高めることができる。さらに、紫外光を光触媒フィルタ344に積極的に向けることで、他の部材の紫外光による損傷を低下させることができる。さらにまた、紫外光が外へ漏れることを防止できる。
【0120】
<チャンバーボックス110の曲率>
チャンバーボックス110の曲率は、上側及び下側の光触媒フィルタ344に光が向かいやすい曲率にできる。上側及び下側の光触媒フィルタ344の位置や大きさや形状などに応じて、曲率を適宜に定めればよい。
【0121】
<<チャンバーボックスの他の態様>>
チャンバーボックスの形状は、八角筒状や円筒状だけでなく、他の形状でもよい。チャンバーボックスの形状は、三角筒状や四角筒状など、複数の平面で囲まれた筒状にすることができる。また、チャンバーボックスの形状は、楕円筒状や長円筒状など、曲面で囲まれた筒状にすることができる。さらに、チャンバーボックスの形状は、平面と曲面とを組み合わせた筒状にすることができる。チャンバーボックスは、各種の筒状の内側の面が紫外光を反射できる部材で構成されたものであればよい。
【0122】
チャンバーボックスの形状は任意の筒状であれば、紫外光が反射を繰り返すことで、紫外光を上側及び下側の光触媒フィルタ344に向かって進めることができ、紫外光の照射の機会を増やすことができる。なお、より的確に紫外光を上側及び下側の光触媒フィルタ344に向かわせるために、五角以上の筒状が好ましい。さらに、五角以上の筒状でかつ平行な面を含む筒状が好ましい。平行な面の間で繰り返し紫外光を反射させやすくなり、紫外光の照射の機会を的確に増やすことができる。
【0123】
<<<<その他>>>>
反射部材の他に集光部材を設けてもよい。光触媒フィルタ344に集光するように光路を調節し、光触媒フィルタ344に的確に照射することができる。他の部材への照射を少なくして、他の部材の劣化を防止することができる。
【0124】
集光部材は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、トロイダルレンズ、フレネルレンズ、屈折率分布レンズ、回折レンズ、ロッドレンズ、シリンドリカルレンズ、プリズムなどの各種の光学素子がある。光触媒フィルタ344に向かって案内する少なくとも1つの光学素子を用いればよい。
【0125】
(発明の実施態様)
<<第1の実施態様>>
第1の実施態様によれば、
空気が流動可能なチャンバーボックス(例えば、前述したチャンバーボックス100や110など)であって、
光触媒を担持させた光触媒フィルタ(例えば、前述した光触媒フィルタ344など)と、
前記光触媒フィルタに向かって光を発する光源(例えば、前述した触媒活性用光源350(発光ダイオード352)及び不活化用光源360(発光ダイオード362)など)と、
前記光源から発せられ前記光触媒フィルタを通過した光を前記光触媒フィルタに向かって案内する光案内部(例えば、前述した上壁122、下壁124、前壁126、後壁128、前側テーパー部414F、前側テーパー部416F、後側テーパー部414R、後側テーパー部416Rや、チャンバーボックス110など)と、を備えるチャンバーボックスが提供される。
【0126】
第1の実施態様によるチャンバーボックスは、光触媒フィルタと、光源と、光案内部と、を備える。光触媒フィルタは、光触媒を担持させる。光触媒は、光の照射により活性化する。
【0127】
光源は、光触媒フィルタに向かって光を発する。光は、所定の波長特性を有する。光触媒に照射することで光触媒を活性化させる波長を有する光が好ましい。また、照射することで細菌及びウィルスを不活化させる波長を有する光が好ましい。例えば、紫外光を発する光源がある。
【0128】
光案内部は、光触媒フィルタを通過した光を光触媒フィルタに向かって案内する。光案内部は、光を反射させたり、光を屈折させたり、光を導いたりなど、光路を変更できるものであればよい。例えば、光案内部は、光を反射するミラーなどがある。光案内部は、ミラーに限られず、光路を変更できればよく、プリズムなどの光学素子を用いることができる。
【0129】
光案内部によって、光触媒フィルタを通過した光は、光触媒フィルタに向かって案内されるので、光触媒フィルタに、一旦、照射された後、再び、光触媒フィルタに戻って照射させることができ、光の照射による効果を高めることができる。
【0130】
また、光触媒フィルタに光を案内するので、他の部材に光が照射されることを妨げ、他の部材の劣化を防止することができる。
【0131】
<<第2の実施態様>>
第2の実施態様は、第1の実施態様において、
前記光案内部は、前記光触媒フィルタよりも前記光源から遠い位置(例えば、前述した上壁122や下壁124や前壁126や後壁128など)に配置される。
【0132】
光案内部は、光触媒フィルタよりも光源から遠い位置に配置されるので、光触媒フィルタに光を戻すための光路の形成に必要な空間を確保することができる。空間の確保により、光触媒フィルタに的確に光を向かわせることができる。
【0133】
<<第3の実施態様>>
第3の実施態様は、第1の実施態様において、
前記光案内部は、少なくとも1回、光を反射して前記光触媒フィルタに案内する反射部材(例えば、前述した図8など)を有する。
【0134】
光触媒フィルタに光を照射する回数を増やすことができ、照射の効果を高めることができる。
【0135】
<<第4の実施態様>>
第4の実施態様は、第1の実施態様において、
前記光案内部は、空気の流路を囲繞する。
【0136】
空気の流路を囲繞するので、チャンバーボックス内の空気の流れを妨げることなく、光触媒フィルタへの照射の効果を高めることができる。
【0137】
<<第5の実施態様>>
第5の実施態様は、第1~第4の実施態様において、
チャンバーボックスの内壁面は反射部材で構成され、前記光案内部は、前記内壁面で構成される。
【0138】
このようにすることで、構成を簡素にしつつ、的確に光を反射させる機会を増やすことができる。
【0139】
<<第6の実施態様>>
第6の実施態様は、第5の実施態様において、
前記光案内部の前記流動方向に垂直な断面形状は、円形または四角形以上の多角形である。
【0140】
光を繰り返し反射させることができ、光触媒フィルタに光を向かわせやすくできる。
【0141】
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、本実施の形態を記載した。しかし、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【符号の説明】
【0142】
10 空気清浄システム
100 チャンバーボックス
110 チャンバーボックス
122 上壁
124 下壁
126 前壁
128 後壁
200 空調ダクト
300 空気清浄化ユニット
344 光触媒フィルタ
414F 前側テーパー部
416F 前側テーパー部
414R 後側テーパー部
416R 後側テーパー部
CS 収容空間
LS 配置空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9