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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】温熱具
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/03 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A61F7/08 334B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021503398
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2019044648
(87)【国際公開番号】W WO2020179135
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/008229
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志田原 靖博
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-042963(JP,A)
【文献】特開2004-024748(JP,A)
【文献】特開2011-250873(JP,A)
【文献】特開2017-225813(JP,A)
【文献】特開平09-296325(JP,A)
【文献】特開2018-000376(JP,A)
【文献】特開2012-245044(JP,A)
【文献】特開2013-142208(JP,A)
【文献】特開2009-225975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に使用者の両眼を覆う形状を有する本体部と、該本体部に備えられた発熱体と、該本体部に取り付けられ且つ該本体部による使用者の両眼の被覆状態を維持可能な一対の耳掛け部とを備えた温熱具であって、
前記本体部は、使用者の肌に近い側に位置する表面シートと、使用者の肌から遠い側に位置する裏面シートとを備え、
前記発熱体は、前記表面シートと前記裏面シートとの間に保持されており、
前記裏面シートは、単位面積当たりの空隙量が1000cm/m以上6000cm/m以下であり、
前記裏面シートにおける使用者の肌から遠い側の面に印刷が施されており、
前記裏面シートは、使用者の肌に近い側に位置する第1繊維層と、使用者の肌から遠い側に位置する第2繊維層とを備え、
第2繊維層の構成繊維は、その繊維の太さが、第1繊維層の構成繊維の太さよりも小さく、
第1繊維層を構成する繊維の繊度は1.5dtex以上10dtex以下であり、
第2繊維層を構成する繊維の繊度は0.8dtex以上3.0dtex以下である、温熱具。
【請求項2】
前記裏面シートが、第1繊維層と第2繊維層とを有するシート材からなる単一構造である、請求項に記載の温熱具。
【請求項3】
前記裏面シートが、第1繊維層を構成するシート材と、第2繊維層を構成するシート材とを重ね合わせた複合構造である、請求項に記載の温熱具。
【請求項4】
第1繊維層及び第2繊維層の少なくとも一方に、中空且つ捲縮した繊維と、中実の繊維とを含む、請求項ないしのいずれか一項に記載の温熱具。
【請求項5】
前記裏面シートは捲縮繊維を含む、請求項1ないしのいずれか一項に記載の温熱具。
【請求項6】
前記捲縮繊維は、同心芯鞘型又は偏心芯鞘型の複合繊維を含み、
前記複合繊維における芯/鞘の組み合わせが、ポリプロピレン/エチレン-プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、又はポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレンである、請求項又はに記載の温熱具。
【請求項7】
前記裏面シートに含まれる捲縮繊維の割合は、本数基準で、20%以上100%以下である、請求項ないしのいずれか一項に記載の温熱具。
【請求項8】
前記裏面シートは中空繊維を含む、請求項1ないしのいずれか一項に記載の温熱具。
【請求項9】
前記中空繊維は、その中空率が10%以上50%以下である、請求項又はに記載の温熱具。
【請求項10】
前記裏面シートに含まれる中空繊維の割合は、本数基準で、30%以上100%以下である、請求項又はに記載の温熱具。
【請求項11】
前記裏面シートは、エアスルー処理、サーマルボンド処理及びニードルパンチ処理の少なくとも一種の処理が施された不織布である、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の温熱具。
【請求項12】
前記裏面シートは、エアスルー処理及びサーマルボンド処理が施された不織布である、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の温熱具。
【請求項13】
第1繊維層に、中空且つ捲縮した繊維と、中実の繊維とを含む、請求項に記載の温熱具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温熱具に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は先に、印刷部を有する発熱具を提案した(特許文献1参照)。この温熱具は、使用時に使用者の身体側を向く身体側シートと、使用時に外側を向く外側シートとを有する包材内に、被酸化性金属を含有する発熱部が配されており、該外側シート及び/又は該身体側シートはその少なくとも一部に、接触印刷によって形成された印刷部を有する不織布からなる。また、当該不織布として、坪量が25~60g/mであり、不織布密度が0.01~0.04g/cmであり、かつKESに従い測定された圧縮荷重-圧縮歪み曲線の直線性であるLC値が0.4~0.8であるもの用いることによって、温熱具は、印刷部による模様や文字等が非常に立体的に見えるという視覚的に有利な効果が奏されるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-250873号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明は、使用時に使用者の両眼を覆う形状を有する本体部と、該本体部に備えられた発熱体と、該本体部に取り付けられ且つ該本体部による使用者の両眼の被覆状態を維持可能な一対の耳掛け部とを備えた温熱具を提供するものである。
前記本体部は、使用者の肌に近い側に位置する表面シートと、使用者の肌から遠い側に位置する裏面シートとを備える。
前記発熱体は、前記表面シートと前記裏面シートとの間に保持されている。
前記裏面シートは、単位面積当たりの空隙量が1000cm/m以上6000cm/m以下である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明の温熱具の実施形態を示す平面図である。
図2図2は、図1に示す温熱具の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す温熱具の長手方向に沿う断面図である。
図4図4は、図3に示す温熱具の拡大断面図である。
図5図5は、本発明の温熱具の別の実施形態を示す拡大断面図である。
図6図6は、本発明の温熱具の別の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
特許文献1に記載の温熱具は、シート状発熱体から発生した温熱を身体側シートを介して使用者に付与させるものであるが、この温熱は、外側シートを介して外部に放熱してしまい、使用者に対する温熱の付与効率の向上に関して改善の余地があった。一方、温熱の付与効率の向上を目的として、繊維間の空隙が多い外側シートを用いた場合、外側シートの外面に文字や模様等の印刷を首尾よく行えないので、温熱具の印刷性の向上に関して改善の余地があった。
【0007】
本発明は、保温性及び印刷性が両立して優れた温熱具に関する。以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の温熱具の一実施形態が示されている。同図に示す温熱具1は、いわゆるアイマスクタイプのものであり、ヒトの両眼を覆うように当接させて、所定温度に加熱された水蒸気を目及びその周囲に温熱を付与するために用いられるものである。
【0008】
図1に示すように、温熱具1は、使用時に使用者の両眼を覆う形状を有する横方向Xに長い本体部2と、本体部2に備えられた発熱体3と、一対の耳掛け部4,4とを備えている。耳掛け部4は、本体部2の横方向Xの両外端域に設けられており、横方向Xの外方へ向けて反転可能となっている。これによって、各耳掛け部4,4を使用者の耳にそれぞれ掛けて、本体部2による使用者の両眼の被覆状態を維持できるようになっている。装着性の向上の観点から、耳掛け部4を構成するシート材は、伸縮性を有するシートであることが好ましい。
【0009】
図2には、温熱具1の分解斜視図が示されている。また図3には、温熱具1の横方向X(長手方向)に沿う断面図が示されている。これらの図に示す温熱具1における本体部2は、使用者の肌に近い側に位置する表面シート5と、使用者の肌に遠い側に位置する裏面シート6とを備えている。すなわち、同図中上方が使用者の肌に近い側であり、同図中下方が使用者の肌に遠い側である。裏面シート6における使用者の肌に遠い側の面、すなわち温熱具1の外面を形成する面は、文字や模様等を印刷可能な印刷面6Sとなっている。以下の説明では、温熱具1の長手方向に相当する方向を横方向Xともいい、横方向Xに直交する方向を縦方向Yともいう。
【0010】
図2及び図3に示す表面シート5及び裏面シート6は、これらを重ね合わせた状態でホットメルト接着剤等の接着剤7によって互いに接合されており、これによって、両シート5,6の間に2つの発熱体3,3が長手方向に互いに離間して保持できるようになっている。表面シート5及び裏面シート6はともに通気性を有している。
【0011】
表面シート5及び裏面シート6の間に保持される発熱体3は、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む。発熱体3としては、被酸化性金属、反応促進剤、繊維状物、電解質及び水を含む繊維シートから構成された発熱シートや、被酸化性金属、反応促進剤、保水剤、電解質及び水を含む発熱組成物を備えたものを用いることができる。発熱シート及び発熱組成物は、これらを単独で使用してもよく、発熱シート及び発熱組成物の少なくとも一方を複数のシート材を貼りあわせた袋体内に収容したものを用いることができる。発熱シートや発熱組成物を構成する各種材料としては、例えば特開2003-102761号公報及び特開2006-340928号公報に記載の材料を用いることもできる。
【0012】
図3に示す断面図には、発熱シートが袋体内に収容されて形成された発熱体3の固定状態が示されている。同図に示す発熱体3は、温熱具1における裏面シート6の内側の面と、接着剤7によって接着固定部7a,7aが形成されて固定されており、それ以外の面は裏面シート6と固定されていない。各接着固定部7a,7aは、温熱具1の横方向Xの中央域に設けられており、温熱具1の縦方向Yに沿って延びている。このような構成を有していることによって、温熱具1の使用時に使用者の両眼及びその近傍に発熱体3が首尾よく配されるようになる。
【0013】
図2に戻ると、同図に示す耳掛け部4はシート材からなり、該シート材に、横方向Xに延びる挿通部4Aが形成されている。挿通部4Aは、耳掛け部4を耳に掛ける際に耳を通すための穴である。これに代えて、挿通部4Aは、耳を通すことができる貫通スリット等によって形成されていてもよい。図2及び図4に示すように、耳掛け部4は、横方向Xの両外端域において、本体部2における表面シート5の外面に接合されており、これによって、本体部2と耳掛け部4とが接合された接合領域9が形成されている。接合領域9は、接合端部9sを軸として、耳掛け部4を反転させるときの折り曲げ部としても機能する。
【0014】
図4は、接合領域9の形態を示す断面図である。図2及び図4に示す本体部2と耳掛け部4との接合領域9は、接合領域9における横方向Xの内側端である接合端部9sから本体部2の横方向Xの外端部まで連続的に接合されており、半楕円の形状となっている。図4に示すように、接合領域9は、表面シート5と耳掛け部4とが接合して形成されたものである。接合領域9は、接合端部9sを軸として、耳掛け部4を反転させるときの折り曲げ部としても機能する。図2及び図4に示す接合領域9は連続的に接合されて形成されているが、これに代えて、間欠的に接合されて形成されていてもよい。
【0015】
本発明の温熱具は、所定の空隙量を有する裏面シート6を用いることを特徴の一つとしている。本明細書における空隙量とは、裏面シートの単位面積当たりの空気の体積のことである。詳細には、裏面シート6は、空隙量が1000cm/m以上であることが好ましく、1500cm/m以上であることがより好ましく、2000cm/m以上であることが更に好ましく、2500cm/m以上であることが一層好ましく、また、6000cm/m以下であることが好ましく、5000cm/m以下であることがより好ましく、4000cm/m以下であることが更に好ましく、3000cm/m以下であることが一層好ましい。このような空隙量は、例えば、エアスルー法によってシートを構成する繊維を圧密せず且つ嵩高くなるように製造したり、後述する捲縮繊維、中空繊維、あるいは異形繊維を用いたりすることによって達成することができる。
【0016】
所定の空隙量を有する裏面シートが配されている本実施形態の温熱具によれば、保温性及び印刷性が両立して優れたものとなる。詳細には、裏面シートを緻密な構造にするとインクの付着性の向上に起因して、文字や模様等を鮮明に印刷することができ、印刷性が向上するが、シート内の空隙が少ないので空気による断熱効果が発現しづらくなり、その結果、温熱具の保温性が低下してしまう。一方、裏面シートを嵩高にして、シート内の空隙を多くすると、断熱効果が発現しやすくなり保温性が向上するが、シートへのインクの付着が良好なものとならず、印刷性が低下ししまう。これらの点に関して、温熱具に所定の空隙量を有する裏面シートを用いることによって、保温性に寄与する断熱効果と、印刷性に寄与するシートの緻密さとを両立することができるので、発熱体から発生した温熱を外部へ逃がしにくくして温熱具の保温性を高めるとともに、印刷性を高めることができる。特に、温熱具の技術分野において、空隙率というパラメータが、温熱具の保温性と、シートへの印刷性との両立することに関して支配的要因であることはこれまで知られていなかった。
【0017】
空隙量は、例えば以下の方法で測定することができる。まず、測定対象のシートを所定の面積A(m)となるように切り出し、シートの厚みB(m)を3.7gf/cm(36.28mN/cm)の荷重下で測定する。また、切り出した測定対象のシートの質量C(g)を測定し、シートを構成する材料の密度をD(g/m)としたときに、空隙量(cm/m)は、以下の式(1)で求めることができる。なお、「質量C/面積A」は、切り出した測定対象のシートの坪量E(g/m)と同義であるので、空隙量は以下の式(2)として測定することもできる。シートを構成する樹脂等の材料を複数用いる場合には、密度Dは、構成樹脂の真密度及びその含有質量比率から算出された値とする。
空隙量(cm/m)=(A×B-C/D)×10/A ・・・(1)
空隙量(cm/m)=(B-E/D)×10 ・・・(2)
【0018】
裏面シート6に用いられ得るシート材は、上述した空隙量の範囲となっている限り特に制限されず、不織布、織布、紙などの繊維シート、樹脂発泡シート、金属シート又はこれらの組み合わせ等が用いられる。また、これらのシート材は、繊維の原料、繊維の太さ、繊維の捲縮の度合い等が異なる繊維を複数混合して用いたり、シート材を複数組み合わせたりして、所望の性質を発現させることもできる。裏面シート6は、一種の繊維層で構成されている一枚のシートからなる単一構造であるか、又は二種以上のシート材又は繊維層を剥離不能に重ね合わせた一枚のシート材からなる単一構造であってもよく、二種以上のシート材又は繊維層を剥離可能に重ね合わせた複合構造であってもよい。所望の性質が発現した裏面シート6を形成しやすくするとともに、シート強度を十分に発現させる観点から、二種以上の繊維層を有し、且つ各層間が剥離不能に形成された単一構造のシートを用いることが好ましい。
【0019】
裏面シート6として不織布を用いる場合、例えばエアスルー、サーマルボンド、ニードルパンチの少なくとも一種の処理が行って製造された不織布を用いることができ、好ましくはエアスルー処理及びサーマルボンド処理の組合せによって製造された不織布である。このような不織布を裏面シート6として用いる場合、例えば、カード機から供給された原料繊維に対して加熱した空気流を当てて繊維構造体とし、その後、繊維構造体の一方の面に熱ロールによってサーマルボンド処理を施すことによって、上述した空隙量の範囲を達成することができる。裏面シート6としてサーマルボンド処理が施された不織布を用いることによって、サーマルボンド処理が行われた不織布の面に存在する繊維どうしの緻密性を高めることができるので、印刷性を一層向上させることができる。
【0020】
発熱体3、耳掛け部4及び表面シート5に用いられ得るシート材は、これらの通気性、透湿性、風合い、伸縮性、強度や、発熱シート及び発熱組成物の構成材料の漏れ出し防止等の性質を考慮して適宜決定すればよく、例えば不織布、織布、紙などの繊維シート、樹脂発泡シート、金属シート又はこれらの組み合わせ等が用いられる。通気度が高いシート材としては、メルトブローン不織布が好適に用いられる。風合いを良好にする目的で用いられるシート材としては、エアスルー不織布やサーマルボンド不織布が好適に用いられる。伸縮性を発現させる目的で用いられるシート材としては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維を含むエアスルー不織布やスパンボンド不織布、サーマルボンド不織布等が用いられる。強度を付与する目的で用いられるシート材としては、スパンボンド不織布やスパンレース不織布が好適に用いられる。上述した不織布に加えて、又はこれに代えて、不織布をシリコーンや界面活性剤等で表面処理したものを用いたり、ポリエチレンやポリウレタン等の熱可塑性樹脂を原料とする発泡シート等を用いたりすることができる。また、これらのシート材は、繊維の原料、繊維の太さ、繊維の捲縮の度合い等が異なる繊維を複数混合して用いたり、シート材を複数組み合わせたりして、所望の性質を発現させることもできる。発熱体3、耳掛け部4及び表面シート5は、一種の繊維層で構成されているか、又は二種以上の繊維層を剥離不能に重ね合わせた一枚のシート材からなる単一構造であってもよく、二種以上のシート材を剥離可能に重ね合わせた複合構造であってもよい。
【0021】
表面シート5及び裏面シート6として不織布を用いる場合、表面シート5の坪量は、10g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることが更に好ましく、200g/m以下であることが好ましく、130g/m以下であることが更に好ましい。また、裏面シート6の坪量は、15g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることが更に好ましく、105g/m以下であることが好ましく、75g/m以下であることが更に好ましい。表面シート5及び裏面シート6が積層構造を有する場合、シート全体の坪量が上述の範囲であればよい。
【0022】
裏面シート6は、上述した空隙量を有しているとともに、図5に示すように、使用者の肌に近い側に位置する第1繊維層6aと、使用者の肌から遠い側に位置する第2繊維層6bとを備えていることが好ましい。つまり、裏面シート6は、第1繊維層6aと第2繊維層6bとを有し、各層間が剥離不能に構成された一枚のシート材からなる単一構造として構成されているか、又は第1繊維層6aを構成するシート材と、第2繊維層6bを構成するシート材とを少なくとも備え、剥離可能に構成されたシート材の積層体である複合構造としてとして構成されていることが好ましい。この場合、裏面シート6の空隙量は、裏面シート6全体の空隙量が上述の範囲を満たしていれば、本発明の効果は奏される。
【0023】
裏面シート6が単一構造である場合、裏面シート6を構成する繊維層は、第1繊維層6a及び第2繊維層6bのみであってもよく、第1繊維層6a及び第2繊維層6bに加えて、他の繊維層を有していてもよい。いずれの形態であっても、単一構造における各繊維層は互いに剥離不能に構成されている。
【0024】
裏面シート6が複合構造である場合、裏面シート6は、第1繊維層6aを構成する一枚のシート材と、第2繊維層6bを構成する一枚のシート材とのみから構成されていてもよく、第1繊維層6aを構成する一枚のシート材と、第2繊維層6bを構成する一枚のシート材とに加えて、他のシート材を更に含んで構成されていてもよい。いずれの形態であっても、複合構造における各シート材間は剥離可能に構成されている。
【0025】
第1繊維層6a及び第2繊維層6bは、互いに繊維の種類が異なっている。繊維の種類が異なるとは、繊維を構成する樹脂の種類が異なる場合だけではなく、樹脂の種類は同じであるが、繊維の太さ及び/又は長さが異なる場合も包含する。この場合、第1繊維層6aを構成するシート材の坪量は、10g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることが更に好ましく、70g/m以下であることが好ましく、50g/m以下であることが更に好ましい。同様に、第2繊維層6bを構成するシート材の坪量は、5g/m以上であることが好ましく、10g/m以上であることが更に好ましく、35g/m以下であることが好ましく、25g/m以下であることが更に好ましい。
【0026】
図5に示す第1繊維層6aは、その使用者の肌に近い面と発熱体3とが対向するように配されている。また、第2繊維層6bは、第1繊維層6aの使用者の肌から遠い面側に配され、温熱具1の外面を構成している。第2繊維層6bの外面は、印刷面6Sとなっている。第1繊維層6a及び第2繊維層6bの接合は、例えば接着剤による接着、熱融着、圧着又はこれらの組み合わせ等によって行うことができる。このような構成を有していることによって、裏面シート6の空隙量をより簡便に調整することができ、その結果、高い製造効率で保温性及び印刷性に優れた温熱具を製造することができる。
【0027】
裏面シート6として、第1繊維層6a及び第2繊維層6bを有する不織布を用いたときに、第2繊維層6bの構成繊維は、その繊維の太さが、第1繊維層6aの構成繊維の太さよりも小さいことが好ましい。一般的に、細径の繊維を用いた不織布は、繊維密度が高く緻密な構造となりやすいので、印刷性は高まるが、保温性が低下する傾向にある。これに対して、太径の繊維を用いた不織布は、繊維密度が低く嵩高な構造となりやすいので、シート内の空隙が多く、保温性が高まるが、印刷性は低下する傾向にある。これらの特性を両立させるために、裏面シート6の構成として、温熱具1の外面を構成する第2繊維層6bを好ましくは細径の繊維で構成され、発熱体3と対向する第1繊維層6aを好ましくは細径繊維と同一又は該繊維よりも太径の繊維で構成することによって、緻密な構造の第2繊維層6bで印刷性を更に高めるとともに、嵩高な構造の第1繊維層6aで断熱効果を更に高めることができる。その結果、温熱具は、保温性及び印刷性に一層優れたものとなる。
【0028】
特に、裏面シート6として、第1繊維層6a及び第2繊維層6bを少なくとも含むシートを用い、且つ第2繊維層6bを構成する繊維の太さを、第1繊維層6aの構成繊維の太さよりも小さくすることによって、第1繊維層6aは、太い繊維どうしの絡合によって形成された高い空隙率を有する嵩高の構造となり、主に保温性を向上させるための層となる。また、第2繊維層6bは、細い繊維どうしの絡合によって形成された緻密性の高い構造となり、インクの付着性の向上等の印刷性の向上に主に寄与する層となる。つまり、第1繊維層6aを保温性を主に向上させるための層とし、第2繊維層6bを印刷性を主に向上させるための層とすることによって、各繊維層で異なる性質を容易に発現させやすくして、保温性と印刷性とが高いレベルで発現した裏面シート6を容易に得ることができるので、保温性及び印刷性に一層優れた温熱具を高い生産性で得ることができる。
【0029】
第2繊維層6bを構成する繊維の太さは、第1繊維層6aの構成繊維の太さよりも同一であるか、又は小さいことを条件として、繊度で表して、0.8dtex以上であることが好ましく、1.0dtex以上であることが更に好ましく、また、2.0dtex以下であることが好ましく、3.0dtex以下であることが更に好ましい。同様に、第1繊維層6aを構成する繊維の太さは、繊度として、1.5dtex以上であることが好ましく、2.0dtex以上であることが更に好ましく、また、10.0dtex以下であることが好ましく、5.0dtex以下であることが更に好ましい。第1繊維層6a及び第2繊維層6bが異なる繊維の太さを有する繊維を二種以上含む場合、各繊維層6a,6bの構成繊維の太さは、繊維の太さが最も小さい繊維どうしを比較するものとする。
【0030】
裏面シートを嵩高にして断熱効果を高め、温熱具の保温性を一層向上させる観点から、裏面シート6は、その構成繊維として、捲縮した繊維を含むことが好ましい。図5に示すように、裏面シート6が積層構造を有する場合、第1繊維層6a及び第2繊維層6bの少なくとも一方に捲縮繊維を含むことが好ましく、第1繊維層6a及び第2繊維層6bの双方に捲縮繊維を含むことがより好ましい。
【0031】
裏面シートに含まれる捲縮繊維は、二次元又は三次元に捲縮したものを用いることができる。捲縮繊維としては、例えば収縮率の異なる二種類の熱可塑性樹脂を成分とする同心芯鞘型若しくは偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維等の潜在捲縮繊維を加熱することでスパイラル状の捲縮を発現させた繊維等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステルや、ポリアミド又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。その他の例としては、特開平9-296325号公報等に記載のものが挙げられる。収縮率の異なる2種類の熱可塑性樹脂としては、芯鞘繊維における芯の部分に融点の高い樹脂を用い、芯鞘繊維における鞘の部分に芯より融点の低い樹脂を用いた繊維が挙げられ、具体的には、芯/鞘として、ポリプロピレン/エチレン-プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレンなどの組み合わせが挙げられる。
【0032】
繊維の捲縮の度合いは、例えばJIS L 0208に規定される捲縮率及び捲縮数として評価することができる。捲縮率は、繊維を引き伸ばしたときの長さW1と、元の繊維の長さW2との差の、繊維を伸ばしたときの長さW1に対する百分率で定義され、「100×(W1-W2)/W1(%)」といった式から算出される。元の繊維の長さW2とは、繊維の自然状態において、繊維の両端部を直線で結んだ長さをいう。自然状態とは、繊維の一方の端部を水平な板に固定し、繊維の自重で下方に垂らした状態をいう。繊維を引き伸ばしたときの長さW1とは、繊維の捲縮がなくなるまで伸ばしたときの最小荷重時の長さをいう。
【0033】
裏面シート6を構成する捲縮繊維の捲縮率は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である。また、捲縮数は、1cm当たり、好ましくは1個以上、更に好ましくは2個以上、また好ましくは10個以下、更に好ましくは8個以下である。このような捲縮率及び捲縮数とするためには、例えば、繊維の製造工程において施す捲縮処理や、潜在捲縮繊維の材質、加熱処理の温度等を適宜調整することによって行うことができる。捲縮率及び捲縮数を満たす捲縮繊維を有する裏面シート6としては、例えば上述の芯鞘構造を有する潜在捲縮繊維をエアスルー法に供して製造された不織布を用いることができる。裏面シート6をシート材の積層体とし、且つ各シート材に捲縮繊維を含む場合、上述した捲縮率及び捲縮数は、各シート材がそれぞれ独立して満たすものとする。
【0034】
裏面シート6の構成繊維は、その一部が捲縮繊維であってもよく、構成繊維の全てが捲縮繊維であってもよい。裏面シート6に含まれる捲縮繊維の割合は、保温性を高める観点から、20%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、また、100%以下であることが好ましく、80%以下であることが更に好ましい。捲縮繊維の割合は、例えば測定対象のシートから10本の繊維を無作為に取り出し、上述した捲縮率及び捲縮数をともに満たす繊維を捲縮繊維とし、捲縮率又は捲縮数のいずれかを満たさない繊維を捲縮していない繊維としたときに、捲縮繊維の本数の割合として本数基準で算出することができる。
【0035】
裏面シート6内の空隙を増加させて断熱効果を高め、温熱具の保温性を一層向上させる観点から、裏面シート6は、その構成繊維として、中実の繊維に加えて、又はこれに代えて、中空の繊維を含むことが好ましい。図5に示すように、裏面シート6が積層構造を有する場合には、第1繊維層6a及び第2繊維層6bの少なくとも一方に中空繊維を含むことが好ましく、少なくとも第1繊維層6aに中空繊維を含むことがより好ましい。
【0036】
中空繊維は、繊維の内部に単孔又は多孔からなる空洞を有する糸状体である。温熱具の保温性を高める観点から、中空繊維は、中空繊維の横断面(繊維の長さ方向と直交する断面)全体の面積に対する空洞部分の面積の百分率である中空率が10%以上であることが好ましく、15%以上であることが更に好ましく、また、50%以下であることが好ましく、40%以下であることが更に好ましい。このような中空繊維は、例えば中空繊維の原料となる熱可塑性樹脂の溶融物又は溶解物を口金から筒状に吐出しながら、吐出された筒状の溶融物又は溶解物の一端を融着させることによって製造することができる。中空繊維の横断面の形状は特に制限されず、例えば真円形、或いは後述する非真円形等が挙げられる。中空繊維の横断面の形状は、繊維の製造時に用いる口金の大きさや形状によって適宜変更することができる。中空繊維は、上述した潜在捲縮繊維に用いられる原料を用いることによって、中空であり且つ捲縮した繊維としてもよい。中空であり且つ捲縮した繊維は、例えば、上述した同心又は偏心の芯鞘構造を有し、且つ芯部分に繊維の長さ方向に延びる空洞が形成されている潜在捲縮繊維に加熱処理を施すことによって得ることができる。
【0037】
裏面シート6の構成繊維は、中空繊維と中実繊維とを混合した繊維であってもよく、構成繊維の全てが中実繊維又は中空繊維のいずれかであってもよい。保温性を高める観点から、裏面シート6に含まれる中空繊維の割合は、30%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましく、また、100%以下であることが好ましく、80%以下であることが更に好ましい。裏面シート6に含まれる中空繊維の割合は、例えば測定対象のシートから10本の繊維を無作為に取り出し、その繊維の横断面(繊維の長さ方向と直交する断面)を走査性電子顕微鏡で観察したときに、横断面の全面積に対して10%以上の空洞を繊維内部に有する繊維の本数の割合として本数基準で算出することができる。
【0038】
保温性及び印刷性を一層優れたものとする観点から、裏面シート6は、その構成繊維として、繊維の横断面の形状が真円形の繊維に加えて、又はこれに代えて、繊維の横断面の形状が非真円形である異形繊維を含むことが好ましい。図5に示すように、裏面シート6が積層構造を有する場合には、第1繊維層6a及び第2繊維層6bの少なくとも一方に異形繊維を含むことがより好ましく、少なくとも温熱具1の外面を構成するシート材が異形繊維を含むことがより好ましい。また、第2繊維層6bに少なくとも異形繊維を含むこともより好ましい。
【0039】
異形繊維の横断面形状としては、例えば三角形や、四角形、五角形及び六角形などの凸多角形又は正多角形、星形多角形、楕円形、多葉形、W字形、X字形等が挙げられるが、本発明の効果が奏される限り、特に限定されない。
【0040】
温熱具の見栄えを良好なものとする観点から、裏面シート6における使用者の肌から遠い側の面である印刷面6Sに印刷が施されていることが好ましい。印刷を施すとは、裏面シート6の印刷面6Sの一部又は全部にインクを付着させて、裏面シート6を該シートの地色と同一の又は異なる色に着色して、文字、記号、図形、絵柄、模様、輪郭、画像、又はこれらの組み合わせ等を視認可能にすることをいう。上述のとおり、本発明の温熱具は、所定の空隙量を有する裏面シートを備えているので、所望の文字や模様等を鮮明に印刷することができ、その結果、温熱具の見栄えが良好となる。裏面シートへの印刷方法としては、シートにインクを付着可能な方法であれば特に制限はなく、例えばインクジェット印刷、ロータリー印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等が挙げられる。インクの塗工量は、インクの乾燥質量に基づく坪量として、0.5g/m以上1.5g/m以下程度とすることができる。
【0041】
温熱具1における耳掛け部4の形態は、本体部2を使用者の両眼に固定可能な態様であれば、図1及び図2に示すシート状の部材に限定されない。例えば、図6に示すように、ひも状の部材からなる耳掛け部4を採用したり、糸状又は帯状の部材からなる耳掛け部4を採用したりしてもよい。温熱具のフィット感を高める観点から、ゴムなどの弾性体を用いて、伸縮可能な耳掛け部4とすることが好ましい。
【0042】
上述した温熱具1における発熱体3の形態は、2つの発熱体3が離間して保持された形態として説明したが、使用者の両眼及びこれらの周囲に温感を付与可能であれば温熱具の形態は特に限定されない。例えば、使用者の両眼及びその周囲を覆うことができる形状及び大きさを有する1つの発熱体が表面シート5及び裏面シート6の間に保持されていてもよく、3つ以上の発熱体が表面シート5及び裏面シート6の間に保持されていてもよい。
【0043】
また、図2及び図3に示す発熱体3は、その一部が温熱具1の横方向Xの中央域で固定されているのみであったが、この形態に限られない。例えば、発熱体3と裏面シート6とが前記中央域及び前記中央域以外の領域で接着剤によって連続的に又は間欠的に接合されていてもよく、裏面シート6における発熱体3が配される位置の全面に接着剤を塗布して接合されていてもよい。
【0044】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、裏面シート6に含まれ得る中空繊維及び捲縮繊維は、これらの繊維がそれぞれ独立して含まれていてもよく、あるいは中空且つ捲縮した一本の繊維が複数本含まれていてもよい。中空且つ捲縮した繊維とする場合、該繊維は、第1繊維層6a及び第2繊維層6bの少なくとも一方に含まれていることが好ましく、第1繊維層6a及び第2繊維層6bの双方に含まれていることがより好ましい。これらの裏面シート6の各形態には、中実の繊維が更に含まれていてもよい。中空且つ捲縮した繊維については、上述した中空繊維及び捲縮繊維の説明が適宜適用される。いずれの場合であっても本発明の効果は十分に奏される。
【0045】
上述した本発明の実施形態に関し、更に以下の温熱具を開示する。
<1>
使用時に使用者の両眼を覆う形状を有する本体部と、該本体部に備えられた発熱体と、該本体部に取り付けられ且つ該本体部による使用者の両眼の被覆状態を維持可能な一対の耳掛け部とを備えた温熱具であって、
前記本体部は、使用者の肌に近い側に位置する表面シートと、使用者の肌から遠い側に位置する裏面シートとを備え、
前記発熱体は、前記表面シートと前記裏面シートとの間に保持されており、
前記裏面シートは、単位面積当たりの空隙量が1000cm/m以上6000cm/m以下である、温熱具。
【0046】
<2>
前記温熱具は、長手方向に相当する横方向と、該横方向に直交する縦方向とを備え、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に、複数の前記発熱体が横方向に互いに離間して保持されている、前記<1>に記載の温熱具。
<3>
前記表面シート及び前記裏面シートはともに通気性を有している、前記<1>又は<2>に記載の温熱具。
<4>
前記発熱体は、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む、前記<1>ないし<3>のいずれか一に記載の温熱具。
<5>
前記発熱体は、繊維状物を更に含む繊維シートから構成された発熱シートである、前記<4>に記載の温熱具。
<6>
前記発熱体は、保水剤を更に含む発熱組成物から構成される、前記<4>に記載の温熱具。
【0047】
<7>
前記温熱具は、長手方向に相当する横方向と、該横方向に直交する縦方向とを備え、
前記裏面シートと前記発熱体とは接着固定部を介して固定されており、前記接着固定部は、前記温熱具の横方向中央域に設けられている、前記<1>ないし<6>のいずれか一に記載の温熱具。
<8>
前記温熱具は、長手方向に相当する横方向と、該横方向に直交する縦方向とを備え、
前記耳掛け部が、横方向の両外端域において、前記表面シートの外面に接合されて、前記本体部と前記耳掛け部とが接合された接合領域が形成されている、前記<1>ないし<7>のいずれか一に記載の温熱具。
<9>
前記接合領域は、前記本体部と前記耳掛け部とが連続的に又は間欠的に接合されて形成されている、前記<8>に記載の温熱具。
<10>
前記裏面シートは、単位面積当たりの空隙量が1000cm/m以上であることが好ましく、1500cm/m以上であることがより好ましく、2000cm/m以上であることが更に好ましく、2500cm/m以上であることが一層好ましく、6000cm/m以下であることが好ましく、5000cm/m以下であることがより好ましく、4000cm/m以下であることが更に好ましく、3000cm/m以下であることが一層好ましい、前記<1>ないし<9>のいずれか一に記載の温熱具。
【0048】
<11>
前記裏面シートは、エアスルー処理、サーマルボンド処理及びニードルパンチ処理の少なくとも一種の処理が施された不織布である、前記<1>ないし<10>のいずれか一に記載の温熱具。
<12>
前記裏面シートは、エアスルー処理及びサーマルボンド処理が施された不織布である、前記<1>ないし<11>のいずれか一に記載の温熱具。
<13>
前記表面シートが不織布であり、
前記表面シートの坪量が、10g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることが更に好ましく、200g/m以下であることが好ましく、130g/m以下であることが更に好ましい、前記<1>ないし<12>のいずれか一に記載の温熱具。
<14>
前記裏面シートが不織布であり、
前記裏面シートの坪量は、15g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることが更に好ましく、105g/m以下であることが好ましく、75g/m以下であることが更に好ましい、前記<1>ないし<13>のいずれか一に記載の温熱具。
<15>
前記裏面シートは、使用者の肌に近い側に位置する第1繊維層と、使用者の肌から遠い側に位置する第2繊維層とを備え、
第2繊維層の構成繊維は、その繊維の太さが、第1繊維層の構成繊維の太さよりも小さい、前記<1>ないし<14>のいずれか一に記載の温熱具。
【0049】
<16>
前記裏面シートが、第1繊維層と第2繊維層とを有するシート材からなる単一構造である、前記<15>に記載の温熱具。
<17>
前記裏面シートが、第1繊維層を構成するシート材と、第2繊維層を構成するシート材とを重ね合わせた複合構造である、前記<15>に記載の温熱具。
<18>
第1繊維層を構成するシート材の坪量は、10g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることが更に好ましく、70g/m以下であることが好ましく、50g/m以下であることが更に好ましい、前記<17>に記載の温熱具。
<19>
第2繊維層を構成するシート材の坪量は、5g/m以上であることが好ましく、10g/m以上であることが更に好ましく、35g/m以下であることが好ましく、25g/m以下であることが更に好ましい、前記<17>又は<18>に記載の温熱具。
【0050】
<20>
第1繊維層を構成する繊維の繊度は、1.5dtex以上であることが好ましく、2.0dtex以上であることが更に好ましく、また、10.0dtex以下であることが好ましく、5.0dtex以下であることが更に好ましい、前記<15>ないし<19>のいずれか一に記載の温熱具。
<21>
第2繊維層の構成繊維の繊度は、0.8dtex以上であることが好ましく、1.0dtex以上であることが更に好ましく、また、2.0dtex以下であることが好ましく、3.0dtex以下であることが更に好ましい、前記<15>ないし<20>のいずれか一に記載の温熱具。
<22>
前記裏面シートは捲縮繊維を含む、前記<1>ないし<21>のいずれか一に記載の温熱具。
<23>
第1繊維層及び第2繊維層の少なくとも一方に捲縮繊維を含む、前記<15>ないし<21>のいずれか一に記載の温熱具。
<24>
第1繊維層及び第2繊維層の双方に捲縮繊維を含む、前記<15>ないし<21>のいずれか一に記載の温熱具。
【0051】
<25>
前記捲縮繊維は、同心芯鞘型又は偏心芯鞘型の複合繊維を含み、
前記複合繊維における芯/鞘の組み合わせが、ポリプロピレン/エチレン-プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、又はポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレンである、前記<22>ないし<24>のいずれか一に記載の温熱具。
<26>
前記捲縮繊維の捲縮率は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である、前記<22>ないし<25>のいずれか一に記載の温熱具。
<27>
前記捲縮繊維の捲縮数は、1cm当たり、好ましくは1個以上、更に好ましくは2個以上、また好ましくは10個以下、更に好ましくは8個以下である、前記<22>ないし<26>のいずれか一に記載の温熱具。
<28>
前記裏面シートに含まれる捲縮繊維の割合は、本数基準で、20%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、また、100%以下であることが好ましく、80%以下であることが更に好ましい、前記<22>ないし<27>のいずれか一に記載の温熱具。
【0052】
<29>
前記裏面シートは中空繊維を含む、前記<1>ないし<28>のいずれか一に記載の温熱具。
<30>
少なくとも第2繊維層に中空繊維を含む、前記<15>ないし<21>、<23>ないし<28>のいずれか一に記載の温熱具。
<31>
前記中空繊維は、その中空率が10%以上であることが好ましく、15%以上であることが更に好ましく、また、50%以下であることが好ましく、40%以下であることが更に好ましい、前記<29>又は<30>に記載の温熱具。
<32>
前記裏面シートに含まれる中空繊維の割合は、本数基準で、30%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましく、また、100%以下であることが好ましく、80%以下であることが更に好ましい、前記<29>ないし<31>のいずれか一に記載の温熱具。
<33>
前記裏面シートは、繊維の横断面の形状が非真円形である異形繊維を含む、前記<1>ないし<32>のいずれか一に記載の温熱具。
<34>
繊維の横断面の形状が非真円形である異形繊維を少なくとも第2繊維層に含む、前記<15>ないし<21>、<23>ないし<28>、<30>ないし<32>のいずれか一に記載の温熱具。
【0053】
<35>
前記裏面シートは、中空且つ捲縮した繊維と、中実の繊維とを含む、前記<1>ないし<34>のいずれか一に記載の温熱具。
<36>
第1繊維層及び第2繊維層の少なくとも一方に、中空且つ捲縮した繊維と、中実の繊維とを含む、前記<15>ないし<21>、<23>ないし<28>、<30>ないし<32>、<34>のいずれか一に記載の温熱具。
<37>
第1繊維層及び第2繊維層の双方に、中空且つ捲縮した繊維と、中実の繊維とを含む、前記<15>ないし<21>、<23>ないし<28>、<30>ないし<32>、<34>のいずれか一に記載の温熱具。
<38>
第1繊維層に、中空且つ捲縮した繊維と、中実の繊維とを含む、前記<15>ないし<21>、<23>ないし<28>、<30>ないし<32>、<34>、<36>のいずれか一に記載の温熱具。
<39>
前記裏面シートにおける使用者の肌から遠い側の面に印刷が施されている、前記<1>ないし<38>のいずれか一に記載の温熱具。
<40>
前記耳掛け部がシート材からなり、耳を通すための挿通部が該シート材に形成されている、前記<1>ないし<39>のいずれか一に記載の温熱具。
<41>
前記耳掛け部は、ひも状、糸状又は帯状の部材からなる、前記<1>ないし<39>のいずれか一に記載の温熱具。
<42>
前記部材は弾性体である、前記<41>に記載の温熱具。
【実施例
【0054】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0055】
〔実施例1〕
表面シート5として、ポリプロピレンを原料とし、繊度が1.0dtexの中実の繊維と、ポリプロピレンとエチレン・プロピレン共重合体を原料とし、繊度が2.2dtexの貼り合わせ繊維とを含む坪量80g/mのニードルパンチ不織布を単層で用いた。
裏面シート6として、以下のシート材を用いた。すなわち、ポリエチレンテレフタレート(以下、ポリエステルともいう。)を芯とし、ポリエチレンを鞘とする偏心且つ中空の潜在捲縮芯鞘繊維(繊度2.8dtex、中空率15%)のみを含む第1原料集合体(坪量20g/m)と、ポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする中実の芯鞘繊維(繊度2.8dtex)のみを含む第2原料集合体(坪量10g/m)とを混ぜ合わせ、これらの原料集合体に対して、140℃の空気流を10秒間当ててエアスルー処理し、捲縮繊維を含む一枚の繊維集合体を製造した。その後、表面温度が124℃の熱ロールを用いて、前記繊維集合体を0.3MPaで押圧し、サーマルボンド処理を行い、一枚のシート材からなる裏面シート6とした。この裏面シート6は、第1原料集合体由来の中空且つ捲縮した繊維と、第2原料集合体由来の中実の繊維とが混在し、各集合体間が剥離不能な単一構造のシートであった。裏面シート6は、坪量30g/m、捲縮繊維及び中空繊維の割合は50%、空隙量は1635cm/mであった。
発熱体3は、特開2003-102761号公報に記載の材料及び方法に従って作製し、被酸化性金属、保水材、繊維状物、電解質及び水を含む発熱シートとした。第2繊維層6bが使用者の肌から遠い面に配されるように裏面シート6を配置し、この状態で、表面シート5と裏面シート6との間にシート状の発熱体3を保持し、図1に示す温熱具を製造した。
【0056】
〔実施例2〕
裏面シート6として、以下のシート材を用いた他は、実施例1と同様に温熱具を製造した。
裏面シート6として、ポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする偏心且つ中空の潜在捲縮芯鞘繊維(繊度2.8dtex、中空率15%)及びポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする中実の芯鞘繊維(繊度2.8dtex)の二種の繊維を含む第1原料繊維集合体(坪量20g/m)と、ポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする中実の芯鞘繊維(繊度1.7dtex)のみを含む第2原料繊維集合体(坪量10g/m)とを重ね合わせて原料積層体とし、この原料積層体に対して、実施例1と同様の条件でエアスルー処理し、捲縮繊維を含み、且つ複数の繊維層からなる積層体を製造した。その後、実施例1と同様の条件で、前記積層体の第2原料シートが存在する側の面にサーマルボンド処理を行い、複数の繊維層からなり、各層間が剥離不能な単一構造の裏面シート6とした。詳細には、この裏面シート6は、中空且つ捲縮した繊維と中実の繊維との双方を有する第1繊維層6aと、中実の繊維のみを有する第2繊維層6bとの二つの繊維層を有する一枚のシート材からなる単一構造のシートであった。本実施例の裏面シート6は、坪量30g/m、空隙量は1695cm/mであった。
【0057】
〔実施例3〕
裏面シート6として、以下のシート材を用いた他は、実施例1と同様に温熱具を製造した。
裏面シート6として、ポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする偏心且つ中空の潜在捲縮芯鞘繊維(繊度2.8dtex、中空率15%)及びポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする中実の芯鞘繊維(繊度2.8dtex)の二種の繊維を含む第1原料繊維集合体(坪量30g/m)と、ポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする中実の芯鞘繊維(繊度1.7dtex)のみを含む第2原料繊維集合体(坪量15g/m)とを重ね合わせて原料積層体とし、この原料積層体に対して、実施例1と同様の条件でエアスルー処理し、捲縮繊維を含み、且つ複数の繊維層からなる積層体を製造した。その後、実施例1と同様の条件で、前記積層体の第2原料繊維集合体が存在する側の面にサーマルボンド処理を行い、複数の繊維層からなり、各層間が剥離不能な単一構造の裏面シート6とした。この裏面シート6は、中空且つ捲縮した繊維と中実の繊維との双方を有する第1繊維層6aと、中実の繊維を有する第2繊維層6bとの二つの繊維層を有する一枚のシート材からなる単一構造のシートであった。本実施例の裏面シート6は、坪量45g/m、空隙量は2533cm/mであった。
【0058】
〔実施例4〕
裏面シート6として、以下のシート材を用いた他は、実施例1と同様に温熱具を製造した。
裏面シート6として、ポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする偏心且つ中空の潜在捲縮芯鞘繊維(繊度2.8dtex、中空率15%)及びポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする中実の芯鞘繊維(繊度2.8dtex)の二種の繊維を含む第1原料繊維集合体(坪量30g/m)と、ポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする中実の芯鞘繊維(繊度1.7dtex)のみを含む第2原料繊維集合体(坪量15g/m)とを重ね合わせて原料積層体とし、この原料積層体に対して、実施例1と同様の条件でエアスルー処理し、捲縮繊維を含み、且つ複数の繊維層からなる積層体を製造した。その後、実施例1と同様の条件で、前記積層体の第2原料繊維集合体が存在する側の面にサーマルボンド処理を行い、各層間が剥離不能な単一構造のシート材からなる繊維集合体A(坪量45g/m)を製造した。
別途、ポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする偏心且つ中空の潜在捲縮芯鞘繊維(繊度2.8dtex、中空率15%)のみを含む第1原料集合体(坪量20g/m)と、ポリエステルを芯とし、ポリエチレンを鞘とする中実の芯鞘繊維(繊度2.8dtex)のみを含む第2原料集合体(坪量10g/m)とを混ぜ合わせ、これらの坪量30g/mの原料集合体に対して、140℃の空気流を10秒間当ててエアスルー処理し、捲縮繊維を含み、各層間が剥離不能な単一構造のシート材からなる繊維集合体Bを製造した。
得られた繊維集合体A及び繊維集合体Bをホットメルト接着剤で貼り合わせて、複数枚のシート材からなる坪量75g/mの各層間が剥離不能な単一構造の裏面シート6とした。この裏面シート6は、中空且つ捲縮した繊維と中実の繊維との双方を含む繊維集合体Bを有する二層構造の第1繊維層6aと、中空且つ捲縮した繊維と中実の繊維との双方を含む繊維集合体Aを有する二層構造の第2繊維層6bとの二つの繊維層を剥離不能に有し、繊維集合体Aにおける第2原料シートが印刷面を形成している単一構造のシートであった。空隙量は5113cm/mであった。
【0059】
〔比較例1〕
裏面シート6として、繊度が1.7dtexのポリエステル繊維からなるスパンレース不織布(坪量40g/m)を単独で用い、該不織布にエアスルー処理及びサーマルボンド処理を行わなかった他は、実施例1と同様に温熱具を製造した。裏面シート6の空隙量は501cm/mであった。
【0060】
〔保温性の評価〕
裏面シートの保温性の評価は、以下の方法で行った。測定サンプルとして、温度センサー及び熱流束計を有する測定装置(Intercross社製、ペルチェ210)上に、寸法が4cm×3cmの実施例又は比較例で用いた裏面シートを、裏面シートにおける使用者の肌に近い側に配される面が面接触するように配し、裏面シートの使用者の肌から遠い側に配される面上に該シートと同じ寸法の非通気シート(紙と樹脂とのラミネート)を配し、これらのシートを測定装置に固定した。次いで、20℃、50%RH環境下で、以下に示す温度プロファイル(1)~(3)の順で熱を付与し、熱流束(W/m)の変化を経時的に測定した。また、対照サンプルとして、測定装置に非通気シートのみを固定した場合での熱流束(W/m)の変化も同様に測定した。これらの測定は2回行い、それぞれの平均値を平均熱流束とした。保温性の評価は、測定サンプルにおける温度プロファイル(3)での平均熱流束と、対象サンプルにおける温度プロファイル(3)での平均熱流束との差を保温効果指数(W/m)として示した。保温効果指数が高いほど、保温性が高いことを意味する。結果を以下の表1に示す。
【0061】
<温度プロファイル>
(1)測定前:30℃で一定、5分間
(2)測定開始(0秒)~100秒:30℃から50℃まで一定昇温
(3)100秒~280秒:50℃で一定
【0062】
〔皮膚温度の評価〕
実施例及び比較例の温熱具をヒトに装着させ、表面シート5と接する部位の皮膚に温度センサー(グラム社製、型番:LT-8シリーズ LT-ST08-12)を取り付け、皮膚温度(℃)の変化を経時的に測定した。測定環境はいずれも15℃、50%RHとし、測定時間は30分間とした。表面シート5側での最高到達温度(℃)及び38℃持続時間(分)を測定した。最高到達温度の測定は2回行い、その平均値とした。本評価は、到達温度が高く且つ持続時間が長いほど保温性が高いものであることを意味する。結果を以下の表1に示す。
【0063】
〔印刷性の評価〕
実施例及び比較例で用いた裏面シート6の印刷面に、フレキソ印刷で、油性フレキソインキを用いて、文字からなる印刷を施した。実施例1ないし4は、第2繊維層6bの外方側に印刷を施した。インクの塗工量は、乾燥質量として1g/mであり、印刷による圧縮度は45%であった。これらの印刷性を以下の基準で評価した。結果を以下の表1に示す。
【0064】
<評価基準>
A:印刷された文字の輪郭が鮮明であり、文字を容易に認識できる。
B:印刷された文字の輪郭はややぼやけているが、文字を認識できる。
C:印刷された文字がかすれていたり、文字の輪郭がぼやけていたりして、文字を認識できない。
【0065】
〔使用感の評価〕
実施例及び比較例の温熱具を、専門パネラー5名に装着してもらい、温熱具の使用感を以下の基準で評価してもらった。各パネラーの評価点の算術平均値を算出し、使用感を評価した。評価点の算術平均点が2点以上であれば、温熱具の使用感が良好であることを示す。結果を以下の表1に示す。
【0066】
<使用感の評価基準>
3点:装着時に重みを感じず、使用感がとても良好である。
2点:装着時に重みを感じることがあるが、使用感が良好である。
1点:装着時に重みを強く感じ、不快である。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示すように、所定の空隙量を有する裏面シートを用いた各実施例の温熱具は、比較例の温熱具と比較して、保温性が高く、適温な温熱を長時間使用者に付与可能であることが判る。また、実施例及び比較例の温熱具は、印刷性が高く、使用感も良好であることも判る。したがって、本発明の温熱具は、保温性及び印刷性に両立して優れており、これに加えて、使用感も良好なものであることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、保温性及び印刷性が両立して優れた温熱具が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6