(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】少なくとも1つの糸パッケージを押し出すための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B65H 67/052 20060101AFI20231205BHJP
D01D 7/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65H67/052
D01D7/00 A
(21)【出願番号】P 2021514027
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2019073707
(87)【国際公開番号】W WO2020053064
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】102018007334.4
(32)【優先日】2018-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ライナルト フォス
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ツェンツェン
(72)【発明者】
【氏名】アーヌルフ ザウアー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン コヴァルスキー
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-118031(JP,A)
【文献】特表2001-506214(JP,A)
【文献】特開昭61-019824(JP,A)
【文献】特開2016-175761(JP,A)
【文献】特開平08-084881(JP,A)
【文献】特表2011-509900(JP,A)
【文献】実開平05-069030(JP,U)
【文献】実開昭59-176850(JP,U)
【文献】実開昭50-077531(JP,U)
【文献】実開昭53-041424(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第10008036(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第107497732(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 54/00-54/553
B65H 67/00-67/08
D01D 1/00-13/02
D01H 1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの糸パッケージを押し出すための方法であって、前記糸パッケージが、突出している巻取りスピンドルに保持されており、前記巻取りスピンドルに沿ってプッシング手段が案内可能である、方法において、
前記プッシング手段と組み合わされたクリーニング手段を用いて、前記巻取りスピンドルの周面から、前記糸パッケージの移動時または前記糸パッケージの移動後に残糸を除去することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記巻取りスピンドルの前記周面を、前記巻取りスピンドルに沿って移動させられる掻取り手段との接触によってクリーニングする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記巻取りスピンドルの前記周面をブラッシングする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記巻取りスピンドルの前記周面にノズル装置の空気流を供給し、前記ノズル装置を前記巻取りスピンドルに沿って移動させる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記巻取りスピンドルの自由端部において落下するルーズな前記残糸を捕集しかつ吸い込む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
巻取り機の突出している巻取りスピンドル(3.1,3.2)に保持されている少なくとも1つの糸パッケージを押し出すための装置であって、プッシング手段(13)と、前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)に沿って前記プッシング手段(13)を移動させるためのプッシングアクチュエータ(14)とを備えている装置において、
可動のクリーニング手段(15)が設けられており、前記クリーニング手段(15)によって前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)の周面から、前記糸パッケージ(7)の押出し中または前記糸パッケージ(7)の押出し後に残糸が除去され
、前記クリーニング手段(15)は前記プッシング手段(13)と組み合わされていることを特徴とする、
押出し装置。
【請求項7】
前記クリーニング手段(15)は掻取り装置(21)を有しており、前記掻取り装置(21)によって掻取り手段(24)が、前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)の周面に接触状態で保持可能である、請求項6記載の押出し装置。
【請求項8】
前記掻取り手段(24)は、環状のブラシ(25)によって形成されている、請求項7記載の押出し装置。
【請求項9】
前記クリーニング手段(15)は、環状のノズル装置(27)を有しており、前記ノズル装置(27)によって、前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)の周面に空気流が発生可能である、請求項6記載の押出し装置。
【請求項10】
前記クリーニング手段(15)は、前記プッシング手段(13)に結合されていて、前記プッシング手段(13)と一緒に運動可能である、請求項6から9までのいずれか1項記載の押出し装置。
【請求項11】
前記クリーニング手段(15)に別体のアクチュエータ(16)が割り当てられており、前記プッシング手段(13)と前記クリーニング手段(15)とは、別個に前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)に沿って運動可能である、請求項6から9までのいずれか1項記載の押出し装置。
【請求項12】
前記クリーニング手段(15)には、前記巻取りスピンドル(3.1,3.2)の自由端部において、吸込み装置(22)が割り当てられている、請求項6から11までのいずれか1項記載の押出し装置。
【請求項13】
糸を巻き取るための巻取り機であって、糸パッケージ(7)を収容するための、突出するように保持されている少なくとも1つの巻取りスピンドル(3.1,3.2)と、請求項6から12までのいずれか1項記載の押出し装置(8)とを備えている巻取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された、少なくとも1つの糸パッケージを押し出すための方法、および請求項6の前提部に記載された、少なくとも1つの糸パッケージを押し出すための装置に関する。
【0002】
合成糸の製造時に、糸を溶融紡糸後にそれぞれパッケージに巻き取ることが知られている。連続的な材料流を実現するために、好ましくは、突出するように保持されている2つの巻取りスピンドルを用いて巻き取るための巻取り機が使用され、両巻取りスピンドルは、1つの可動の支持体に配置されていて、交互に巻取り領域と交換領域とに案内される。これによって、溶融紡糸された糸を、プロセス中断なしに連続的に糸パッケージに巻き取ることができる。糸を収容するために巻取りユニットごとに、巻管が巻取りスピンドルの周面に被せ嵌められていて、クランプされており、巻管の周面において糸は糸パッケージに巻き取られる。巻取り領域において保持された巻取りスピンドルは、周面における巻取り済みの糸パッケージを押し出すことができるようにするために、押出し装置と協働する。
【0003】
少なくとも1つの糸パッケージを押し出すための、冒頭に述べた形式の方法および冒頭に述べた形式の装置は、国際公開第98/28218号に基づいて公知である。少なくとも1つの糸パッケージを押し出すための公知の方法および公知の装置では、プッシング手段がプッシングアクチュエータによって巻取りスピンドルに沿って案内される。プッシング手段は、巻管の端部に、または直接パッケージの端面に係合する。この場合同時に複数の糸パッケージを、巻取りスピンドルから押し出すことができる。プッシング手段を、プッシングアクチュエータによって巻取りスピンドルの自由端部に至るまで案内することができる。
【0004】
しかしながら、糸パッケージの移動時に、糸パッケージの周面に存在しているルーズな糸端部が解離し、糸パッケージから落下するという状態が発生することがある。このような落下する糸端部は、次いで巻取りスピンドルの周面において捕捉され、不所望の残糸を生ぜしめることがある。プッシングリングまたはプッシングフォークとして形成されていてよいプッシング手段の構成に関連して、押出し作業が繰り返されると巻取りスピンドルの軸受端部に、残糸または糸塊の隆起状の堆積物が発生し、このような堆積物によって引っ掛かりが発生してしまうことがある。
【0005】
ゆえに、本発明の課題は、少なくとも1つの糸パッケージを押し出すための、冒頭に述べた形式の方法、および少なくとも1つの糸パッケージを押し出すための、冒頭に述べた形式の装置を改良して、巻取りスピンドルの周面における残糸の付着物を回避する方法および装置を提供することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、巻取りスピンドルの周面から、糸パッケージの移動時または糸パッケージの移動後に残糸を除去することによって解決される。
【0007】
本発明に係る装置のための解決策では、可動のクリーニング手段が設けられており、このクリーニング手段によって巻取りスピンドルの周面から、糸パッケージの押出し中または糸パッケージの押出し後に残糸が除去される。
【0008】
本発明の好適な発展形態は、それぞれの従属請求項の特徴および特徴の組合せによって定義されている。
【0009】
本発明は、巻取りスピンドルからの1つまたは複数の糸パッケージのそれぞれの押出し後に、巻取りスピンドルから付着している残糸が直接除去されるという特別な利点を有している。このようにして1つの糸パッケージのそれぞれの押出し後に、ルーズな糸端部の存在し得る付着物を直接除去することができる。特に自動化された工程を顧慮すると、これによって、巻管の新たな収容および巻取りスピンドルにおけるパッケージの新たな巻取りのための高い運転確実性が得られる。
【0010】
しかしながら、特に好適であることが判明している方法変化形態では、巻取りスピンドルの周面を、巻取りスピンドルに沿って移動させられる掻取り手段との接触によってクリーニングする。このようにすると、掻取り手段と巻取りスピンドルの周面との間の機械的な接触によって直接、残糸を受け止めかつ除去することができる。
【0011】
押出し装置は、そのために、好ましくは掻取り装置を有しており、この掻取り装置によって掻取り手段が、巻取りスピンドルの周面に接触状態で保持可能である。このように構成されていると、巻取りスピンドルの周面全体の汚れを、クリーニング手段の並進運動によって強力に除去することができる。
【0012】
巻取りスピンドルの周面における残糸の受け止めおよび除去は、好ましくは巻取りスピンドルの周面をブラッシングすることによって達成される。
【0013】
したがって、掻取り手段は、好ましくは巻取りスピンドルに沿って案内可能である環状のブラシによって形成される。
【0014】
巻取りスピンドルが可能な限りシールドされて保持されている場合のために、好適に実施することができる方法変化形態では、巻取りスピンドルの周面にノズル装置の空気流を供給し、ノズル装置を、巻取りスピンドルに沿って移動させる。
【0015】
そのために、押出し装置のクリーニング手段は、第1の構成変化形態では、環状のノズル装置によって形成されており、このノズル装置によって、巻取りスピンドルの周面に空気流が発生可能である。このように構成されていると、巻取りスピンドルの周面における残糸を吹き飛ばすことができる。
【0016】
クリーニング手段の案内は、押出し装置の好適な発展形態によれば、プッシング手段と組み合わせることができ、これによって、クリーニング手段およびプッシング手段は、プッシングアクチュエータによって案内可能である。
【0017】
しかしながら、択一的に、クリーニング手段に、プッシング手段とは無関係に巻取りスピンドルに沿って運動可能である別体のアクチュエータを割り当てるという可能性もある。
【0018】
巻取りスピンドルにおいて捕捉されたルーズな残糸を、その除去後に収容できるようにするために、さらに、巻取りスピンドルの自由端部において落下するルーズな残糸を捕集しかつ吸い込むことが提案されている。そのために、巻取りスピンドルの自由端部において、吸込み装置がクリーニング手段の一部として配設されている。
【0019】
本発明に係る押出し装置を備えて構成された巻取り機は、糸パッケージの取外しおよび空管の装着が全自動式に実施可能であり、オペレータによる更なるコントロールが不要であるという特別な利点を有している。したがって、本発明に係る巻取り機は、溶融紡糸プロセスの完全な自動化のために適している。
【0020】
次に本発明を、本発明に係る押出し装置の幾つかの実施例について、添付の図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る押出し装置の第1実施例を備えた本発明に係る巻取り機を概略的に示す側面図である。
【
図2】
図1に示された本発明に係る押出し装置の実施例を概略的に示す断面図である。
【
図3】本発明に係る押出し装置の別の実施例を概略的に示す断面図である。
【
図4】本発明に係る押出し装置のさらに別の実施例を概略的に示す断面図である。
【0022】
図1には、本発明に係る押出し装置の第1実施例を備えた本発明に係る巻取り機が、側面図で概略的に示されている。巻取り機はその構造が一例として示されており、合成糸を連続的に中断なしに巻き取るための溶融紡糸プロセスにおいて使用される。このような巻取り機は、複数の糸を互いに平行に並べて糸パッケージに巻き取るために、好ましくは複数の巻取りユニットを備えている。巻取り機のこの図示された実施例では、ただ1つの巻取りユニットだけが機械フレーム1に形成されている。しかしながら、本発明にとって、1つの糸パッケージが巻き取られるかまたは複数の糸パッケージが同時に巻き取られるかは、重要ではない。本発明は、両バージョンを対象としている。巻取りユニットの数とは無関係に、そのために、突出している巻取りスピンドル3.1が設けられており、この巻取りスピンドル3.1は、スピンドル駆動装置5.1を用いて駆動される。
【0023】
巻取り機では巻取りスピンドル3.1は、突出するように巻取りリボルバ2に保持されている。巻取りリボルバ2は、機械フレーム1に回転可能に支持されていて、回転駆動装置4に連結されている。回転駆動装置4を介して、巻取りリボルバ2は回転することができる。
【0024】
巻取りスピンドル3.1に対して180°ずらされて、巻取りリボルバ2は第2の巻取りスピンドル3.2を支持しており、この第2の巻取りスピンドル3.2も突出するように保持されていて、長手方向端部において第2のスピンドル駆動装置5.2に連結されている。巻取りスピンドル3.1,3.2は、巻取りリボルバ2の回転によって交互に巻取り領域と交換領域とに案内されることができる。
図1において巻取りスピンドル3.1は巻取り領域にあり、巻取りスピンドル3.2は交換領域にある。
【0025】
糸12を糸パッケージ7に巻き取るために、巻取りスピンドル3.1の周面および巻取りスピンドル3.2の周面にはそれぞれ巻管6が被せ嵌められていて、クランプされている。そのために、巻管6は、巻取りスピンドル3.1,3.2の自由端部を介して予め被せ嵌められる。
【0026】
巻取り領域において巻取りスピンドル3.1には、糸12を巻き取るために押付けローラ9および綾振り装置11が割り当てられている。綾振り装置11、押付けローラ9、および巻取りスピンドル3.1は、糸走路において相前後して機械フレーム1に保持されており、これによって、走入する糸12を、綾振り装置11の内部における往復案内によって、押付けローラ9を介して糸パッケージ7のパッケージ表面において綾巻きのために巻き重ねることができる。押付けローラ9は、ローラ支持体10に保持されており、ローラ支持体10は、好ましくは可動に形成されていて、巻き取るべき糸パッケージの逃出運動を制御するためのセンサとして働く。そのために、例えば押付けローラ9の行程をセンサによって検出することができ、このセンサは、制御回路を備えた巻取りリボルバ2の回転駆動装置4に接続されている。
【0027】
図1に示された運転状況において、巻取り済みの糸パッケージ7を備えた巻取りスピンドル3.2は交換領域に位置している。交換領域では、それぞれの巻取りスピンドル、この場合には巻取りスピンドル3.2に押出し装置8が割り当てられている。巻管6ひいては糸パッケージ7を押し出すために、押出し装置8は、巻取りスピンドル3.2の軸線方向において可動のプッシング手段13を有しており、このプッシング手段13は、プッシングアクチュエータ14を用いて巻取りスピンドル3.2に沿って往復案内可能である。
【0028】
プッシング手段13には、軸線方向において移動可能に巻取りスピンドル3.2の周面に保持されているクリーニング手段15が割り当てられている。
【0029】
押出し装置8の更なる説明のために、
図1において追加的に
図2における図示を参照する。
【0030】
図2にはプッシング手段13およびクリーニング手段15が断面図で示されている。クリーニング手段15は、環状の掻取り装置21として形成されていて、プッシング手段13として働くプッシングリング20に結合されている。プッシングリング20および掻取り装置21は、軸受端部に至るまで、突出している巻取りスピンドル3.2に被せ嵌められていて、巻管6のためのストッパを形成している。
【0031】
図1における図示から分かるように、巻取りスピンドル3.1にも同様に、被せ嵌められた巻管6のためのストッパを形成するプッシングリング20および掻取り装置21が被せ嵌められている。
【0032】
図2における図示から分かるように、掻取り装置21は、巻取りスピンドル3.2の周面に接触している掻取り手段24を有している。掻取り手段24としては軟質のプラスチックを使用することができる。
【0033】
交換領域において押出し装置8は、巻取りスピンドル3.2における巻取り済みのパッケージ7を押し出すために働き、これによって、巻取りスピンドル3.2に新しい巻管を装着することができる。そのために、プッシングアーム19が、プッシングリング20と掻取り装置21との間に形成された切欠き18内に係合する。プッシングアーム19は、プッシングアクチュエータ14に不動に連結されていて、巻取りスピンドル3.2に平行に移動させられる。プッシングリング20および掻取り装置21は、巻取りスピンドルに沿って滑動し、掻取り手段24は、巻取りスピンドル3.2の周面を接触状態で取り囲んでいて、巻取りスピンドル3.2の表面をクリーニングする。プッシングリング20および掻取り装置21は、掻取り手段24が巻取りスピンドル3.2の自由端部に達するまで、巻取りスピンドル3.2の自由端部に至るまで移動させられる。
【0034】
図1における図示から分かるように、巻取りスピンドル3.2の自由端部の下には、キャッチホッパ23を備えた吸込み装置22が割り当てられている。これによって、掻取り装置21によって巻取りスピンドル3.2の周面から押し出された残糸、例えば糸屑を、キャッチホッパ23によって捕捉し、吸込み装置22を介してゴミ箱に供給することができる。糸パッケージ7の押出しおよび巻取りスピンドル3.2のクリーニング後に、プッシングリング20および掻取り装置21は、巻取りスピンドル3.2の軸受端部に戻し案内される。
【0035】
押出し装置の、
図1および
図2に示された実施例は、特に、巻取りスピンドル3.1または3.2の周面が可能な限り滑らかな表面を有している場合に適している。通常このような巻取りスピンドルは、糸パッケージを収容するための巻管6を固定するために、周面にクランプ装置を有している。このような場合、巻取りスピンドルの周面をクリーニングするために、好ましくはブラシ形状の掻取り手段が使用される。そのために、
図3には、可能な押出し装置8の別の実施例が概略的に断面図で示されている。
【0036】
この別の実施例でもプッシング手段13およびクリーニング手段15は、同様に環状のユニットとして巻取りスピンドル3.2の周面に保持されている。プッシングリング20および掻取り装置21は、プッシングアーム19を介して巻取りスピンドルの軸線方向において移動させられることができ、プッシングアーム19は、ここでは図示されていないプッシングアクチュエータに不動に連結されている。
【0037】
掻取り装置21は、掻取り手段24として環状に形成されたブラシ25を有しており、このブラシ25の剛毛は、巻取りスピンドル3.2の周面に接触している。糸パッケージの押出し時に巻取りスピンドルの周面全体を、ブラシ25によって処理することができ、これによって、存在し得る残糸を掻き取ることができる。
図3に示された押出し装置の機能は、
図1および
図2に示された実施例と同じであるので、ここでは更なる説明を省く。
【0038】
図1、
図2、および
図3に示された実施例では、プッシング手段13およびクリーニング手段15を一緒に巻取りスピンドル3.1,3.2に沿って案内するために、押出し装置8はプッシングアクチュエータを使用する。しかしながら、基本的には、プッシング手段13とクリーニング手段15とを互いに無関係に巻取りスピンドルに沿って案内するという可能性もある。例えばプッシングリング20と掻取り装置21とは図示の実施例では、糸パッケージの押出し後に次いで巻取りスピンドルのクリーニングを実施するために、分離することができる。クリーニング手段15の並進運動の他に、特にブラシ形状の掻取り手段では、掻取り装置21は、巻取りスピンドルに沿って回転運動を実施することができる。このようにすると、掻取り装置21の並進運動と回転運動との重畳によって、巻取りスピンドルにおける高いクリーニング効果を得ることができる。さらにプッシング手段とクリーニング手段との分離時には、クリーニング工程を押出し工程の周期と異ならせて実施するという可能性がある。例えば巻取りスピンドルのうちの1つの巻取りスピンドルにおける糸パッケージの各5回の押出し後に、1回のクリーニングを実施することができる。
【0039】
図4には、可能な押出し装置の別の実施例が示されている。
図4は、巻取りスピンドル3.2の周面におけるプッシング手段13およびクリーニング手段15が断面図で示されている。
【0040】
プッシング手段13は本実施例では、ここでは図示されていないプッシングアクチュエータに不動に連結されているプッシングフォーク26によって形成されている。プッシングフォーク26には、これによって、
図1に示された実施例の巻取りスピンドル3.1,3.2の周面に、別体のプッシング手段を設ける必要がないという利点がある。
【0041】
巻取りリボルバ2の回転運動によって、巻取りスピンドル3.1,3.2を交互にプッシングフォーク26内に導入することができる。そのために、プッシングフォーク26は、巻取りスピンドル3.1,3.2を交互に収容できるように回動可能に形成されている。1つの糸パッケージを移動させるために、プッシングフォーク26はプッシングアクチュエータによって巻取りスピンドルに沿って並進運動させられ、これによって、糸パッケージは巻取りスピンドルの自由端部に供給される。
【0042】
巻取りスピンドルの周面において、クリーニング手段15は、別体に形成されていて、環状のノズル装置27として構成されている。ノズル装置27は、ノズル装置27を軸線方向で巻取りスピンドルに沿って移動させるアクチュエータ16に連結されている。ノズル装置27は、巻取りスピンドル3.2の周面に向かって方向付けられた複数の空気ノズル28を有している。これらの空気ノズル28は、圧縮空気管路29を介して、ここでは図示されていない圧縮空気源に連結されており、この圧縮空気源は、ノズル装置27の押出し運動中に作動可能である。このように構成されていると、巻取りスピンドルの表面に空気流を供給することができ、これによって、存在し得る残糸および糸屑を吹き飛ばすことができる。しかしながら、このような押出し装置は、好ましくは単に、巻取りスピンドルのシールドが交換領域に設けられている巻取り機においてしか使用されない。ノズル装置27は、アクチュエータ16を介してプッシングフォーク26とは無関係に案内されることができる。このように構成されていると、ノズル装置27は、例えば1つの糸パッケージの2回ごとの押出し工程後に、巻取りスピンドルのクリーニングを実施することができる。
【0043】
図4に示された押出し装置8の実施例では、プッシング手段13とクリーニング手段15とは、互いに無関係に巻取りスピンドルに沿って案内される。この方法変化形態は、掻取り装置とも組合せ可能である。このように構成されていると、掻取り装置を機械フレームに配置するという可能性もあり、これによって、巻取りスピンドル3.1,3.2は単に交換領域においてしか、掻取り装置の掻取り手段と接触しない。このとき、掻取り手段は、例えば半割シェル形状のまたはフォーク形状のブラシによって形成されていてよく、このようなブラシは、交換領域においてそれぞれの巻取りスピンドルに接触させられる。巻取りスピンドルをクリーニングするために巻取りスピンドルは、掻取り手段が巻取りスピンドルに沿って移動させられる間、低い回転数で駆動される。掻取り手段の並進運動と巻取りスピンドルの回転運動との組合せによって、同様に強力なクリーニングが行われる。