(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ヘアドライヤ用の空気加熱装置、ヘアドライヤ用のブロー装置、および前記装置を含むヘアドライヤ
(51)【国際特許分類】
A45D 20/10 20060101AFI20231205BHJP
A45D 20/38 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A45D20/10 102
A45D20/10 104
A45D20/38
(21)【出願番号】P 2021525394
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(86)【国際出願番号】 IB2019055780
(87)【国際公開番号】W WO2020016696
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】102018000007305
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521022978
【氏名又は名称】ガンマ ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】GAMMA S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Genova 28, 29022 Bobbio (Piacenza),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ラビリオ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェニ,ピエルパオロ
(72)【発明者】
【氏名】レ,レンツォ
(72)【発明者】
【氏名】フェッリ,ダニエレ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-104554(JP,A)
【文献】特開2004-351031(JP,A)
【文献】特開2017-077470(JP,A)
【文献】特開平04-221507(JP,A)
【文献】特開平08-299048(JP,A)
【文献】特開昭59-168807(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01884962(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D20/00-20/52
H05B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアドライヤ用の空気加熱装置であって、
中心軸(A)に沿って延在し且つ外面(2b)を備える内側管状体(2)であって、前記外面(2b)から、相互に角度間隔を置いた複数の放射状バッフル(4)が複数の角度セクタ(S)を規定するように延びる、内側管状体(2)と、
前記内側管状体(2)の周りに円周方向に延在し、前記複数の放射状バッフル(4)上にある波形抵抗コイル(6)であって、前記中心軸(A)に沿って連続して配置された複数のターン(7)を規定する波形抵抗コイル(6)と、
前記波形抵抗コイル(6)と電気的に接続された安全装置(9)と、
前記波形抵抗コイル(6)と電気的に接続されたサーモスタット(10)と、
絶縁材料でできており且つ前記波形抵抗コイル(6)の周りに前記内側管状体(2)と同軸に配置された外側管状体(16)と、を備え、
前記安全装置(9)および前記サーモスタット(10)は、互いに隣接し且つ共有の放射状バッフル(11)によって分離された第1の角度セクタ(S1)および第2の角度セクタ(S2)にそれぞれ収容され、
前記波形抵抗コイル(6)は、
それぞれ、前記第1の角度セクタ(S1)および前記第2の角度セクタ(S2)に配置された2つの直線部分(12)と、
前記2つの直線部分(12)の間に配置され且つ前記共有の放射状バッフル(11)を覆う少なくとも1つの固定波形(8)と、を備えた複数の第1のターン(7a)を含む、空気加熱装置。
【請求項2】
前記波形抵抗コイル(6)が、前記内側管状体(2)の周りに円周方向に向けられた一連のピークおよび溝を規定し、前記少なくとも1つの固定波形(8)は、2つの溝を含み、その間に、前記共有の放射状バッフル(11)にまたがるピークが配置される、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
各放射状バッフル(4)は、前記
波形抵抗コイルの前記複数のターンを収容するための一連のシートを規定するように、歯のある半径方向外側縁部(4b)を有し、前記固定波形(8)は、ハウジングシートで前記共有のバッフル(11)を覆っている、請求項1または2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記安全装置(9)および前記サーモスタット(10)が、前記中心軸(A)に沿ってそれぞれの軸方向の外形寸法を有し、前記複数の第1のターン(7a)は、少なくとも前記軸方向の外形寸法において延びる、請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記波形抵抗コイル(6)が、前記軸方向の外形寸法の外側に位置し且つ前記直線部分(12)を持たない1つまたは複数の第2のターン(7b)をさらに備える、請求項4に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記内側管状体(2)が一体であり、前記相互に角度間隔を置いた複数の放射状バッフル(4)を保持するための複数の保持部分(5)を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記内側管状体(2)は、プラスチック材料を成形することによって形成され、前記外側管状体(16)はマイカでできている、請求項6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記内側管状体(2)の外側に第3の角度セクタ(S3)に配置され且つ前記中心軸(A)に対して横方向に向けられたサーミスタ(13)を備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記内側管状体(2)が、前記中心軸(A)に沿って、使用時の空気流入口である第1のセクション(3a)と、使用時の空気流出口である第2のセクション(3b)との間に延び、前記サーミスタ(13)は、前記波形抵抗コイル(6)によって加熱された空気の流れを受け取るために、前記第2のセクション(3b)の近くに配置されている、請求項8に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記内側管状体(2)の前記第1のセクションに配置された複数の電気接続(14)と、前記内側管状体(2)に固定され且つ前記複数の電気接続(14)から前記サーミスタ(13)まで延びる少なくとも一対の導電性トラック(15)とを備える、請求項9に記載の加熱装置。
【請求項11】
ヘアドライヤ用のブロー装置であって、
請求項
9または10に記載の加熱装置(1)と、
前記加熱装置(1)の前記内側管状体(2)の内部に収容され且つ前記中心軸(A)と同軸に回転可能な駆動シャフト(53)を備えた固定子体(52)を備えた電気モータ(51)であって、前記駆動シャフト(53)が前記内側管状体(2)の前記第1のセクション(3a)から突出する自由端(53a)まで軸方向に延びる、電気モータ(51)と、
前記自由端(53a)に固定され且つ前記加熱装置(1)に向けられた空気の流れを生成するように成形された複数のブレード(54a)を備えたファン(54)と、を備えるブロー装置。
【請求項12】
前記電気モータ(51)および前記加熱装置(1)を制御する制御回路(55)であって、前記加熱装置(1)の前記内側管状体(2)の内部に収容され且つ前記電気モータ(51)の前記固定子体(52)に隣接する制御回路(55)を備える、請求項11に記載のブロー装置。
【請求項13】
ヘアドライヤであって、
ハンドル(101)と、
前記ハンドル(101)に対して横方向に延在し且つ内側管状壁(103a)と外側管状壁(103b)との間に囲まれた環状チャンバ(103)を内部に規定する本体(102)であって、前記環状チャンバ(103)が、その軸方向の端部の一方に配置された少なくとも1つの出口環状口(104)を有する、本体(102)と、
前記環状チャンバ(103)の内部に配置された、請求項1から10のいずれか1項に記載の加熱装置(1)と、を備えるヘアドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤ用の空気加熱装置、ヘアドライヤ用のブロー装置、および前記装置を含むヘアドライヤに関する。
【0002】
したがって、本発明は、小型家電製品の分野、より正確には、ヘアドライヤのブローダクト内に挿入される加熱部品の生産および製造にその主な用途を見出す。
【背景技術】
【0003】
ヘアドライヤ部門は、最終製品に関して数年間ほとんど革新されていないが、最近、技術の観点およびデザインの観点の両方の観点から、かなり革新的な後押しがあった。
【0004】
特に、ブローダクトの新しい形態が開発され、これは、従来の先細の管状体とは異なり、種々の且つより魅力的な形状を持つ。
【0005】
特に成功している形態は環状のものであり、ブローダクトはおおよそ円筒形の管状ダクトによって「自明に」範囲を定められるのではなく、一対の同心円管によって適切に範囲を定められたチャンバ内で環状に延びる。
【0006】
この形態は、特定の且つ効率的な空気の放出を可能にすることに加えて、電化製品の本体を通る「スルー」ライトにより、製品に魅力的で独特の外観を与える。
【0007】
しかしながら、このタイプの解決策は、スペースの重要な問題をもたらす。まず第一に加熱装置、すなわち、電気抵抗によって規定される、空気を加熱するのに役立つ全ての部品の収容のために利用可能な容積は、実際には非常に制限されているためである。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、従来技術の上記の欠点を克服することができる、ヘアドライヤ用の空気加熱装置、ブロー装置、および前記装置を含むヘアドライヤを提供することである。
【0009】
特に、本発明の1つの目的は、コンパクトで且つ効率的な、ヘアドライヤ用の空気加熱装置を提供することである。
【0010】
さらに、本発明のさらなる目的は、空気流量を増加させるのに特に強力なヘアドライヤを提供することである。
【0011】
前記目的は、連続する請求項1から10の1つまたは複数の特徴を有するヘアドライヤ用の空気加熱装置によって、並びに請求項11および12に記載のヘアドライヤ用のブロー装置および請求項13に記載のヘアドライヤによって達成される。
【0012】
特に、本発明の目的は、中心軸に沿って延在し且つ外面を備える内側管状体であって、当該外面から相互に角度間隔を置いた複数の放射状バッフルが複数の角度セクタを規定するように延びた内側管状体を備えた、ヘアドライヤ用の空気加熱装置によって達成される。
【0013】
好ましくは、前記内側管状体の周りに円周方向に延在し、前記複数の放射状バッフル上にある波形抵抗コイルであって、中心軸に沿って連続して配置された複数のターンを規定する波形抵抗コイルが備わっている。
【0014】
好ましくは、前記コイルと電気的に接続された安全装置が備わっている。
【0015】
装置は、好ましくは、前記コイルと電気的に接続されたサーモスタットを含む。
【0016】
好ましくは、絶縁材料でできており且つ前記波形抵抗コイルの周りに前記内側管状体と同軸に配置された外側管状体が備わっている。
【0017】
好ましくは、安全装置およびサーモスタットは、それぞれ、第1および第2の角度セクタに収容されており、これらは、互いに隣接し且つ共有の放射状バッフルによって分離されている。
【0018】
好ましくは、波形抵抗コイルは、以下を備えた複数の第1のターンを含む。すなわち、
それぞれ、第1および第2の角度セクタに配置された2つの直線部分と、
前記2つの直線部分の間に配置され且つ前記共有の放射状バッフルを覆う少なくとも1つの固定波形と、を備えた複数の第1のターンを含む。
【0019】
有利なことに、このようにして、コイルの安定性を損なうことなく、安全装置およびサーモスタットを収容するためのスペースが得られる。
【0020】
さらに、好ましくは、安全装置およびサーモスタットは、前記中心軸に沿ってそれぞれの軸方向の外形寸法を有する(内側管状体のサイズよりも小さい)。
【0021】
複数の第1のターンは、好ましくは、少なくとも前記軸方向の外形寸法において延びる。
【0022】
さらに、好ましくは、波形抵抗コイルは、前記軸方向の外形寸法の外側に位置し且つ前記直線部分を持たない1つまたは複数の第2のターンを含む。
【0023】
有利なことに、このようにして、加熱装置の容積を損なうことなく、発熱が最大化される。
【0024】
装置は、好ましくは、第3の角度セクタで内側管状体の外側に配置され且つ前記中心軸に対して横方向に向けられ、気流と接触する表面を最大化するサーミスタを備える。
【0025】
内側管状体は、使用時の空気流入口である第1のセクションと、使用時の空気流出口である第2のセクションとの間で中心軸に沿って延びることに留意されたい。
【0026】
サーミスタは、波形抵抗コイルによって加熱された空気の流れを受け取るために、好ましくは第2のセクションの近くに配置される。
【0027】
サーミスタおよび波形ワイヤへの電力の供給を可能にするために、内側管状体の前記第1のセクションに配置された複数の電気接続と、内側管状体に固定され且つ前記電気接続から前記サーミスタまで延びる少なくとも1対の導電性トラックとが備わっている。
【0028】
これまでに説明されてきたことに関して補完的であるが独立している、本発明のさらなる態様によれば、本発明の目的は、ハンドルおよび前記ハンドルに対して横方向に延在し且つその中に格納区画を規定する本体を含むヘアドライヤによって達成される。
【0029】
好ましくは、前記本体は、その主軸に沿って、吸引口と環状ブローノズルを規定する空気出口との間で延びる。
【0030】
特に、本体は第1の端部と第2の端部との間に延びる。
【0031】
好ましくは、第1の端部は吸引口を有し、第2の端部は環状ブローノズルを規定する空気出口を有する。
【0032】
好ましくは、格納区画に収容されたブロー装置が備わっている。
【0033】
ブロー装置は、好ましくは、ヘアドライヤ用の空気加熱装置、電気モータ、およびファンを含む。
【0034】
好ましくは、空気加熱装置は、中心軸に沿って延在する内側管状体を含み、その周りに波形抵抗コイルが巻かれており、波形抵抗コイルは、中心軸に沿って連続して配置された複数のターンを規定する。
【0035】
好ましくは、電気モータは、加熱装置の内側管状体の内部に収容され且つ前記中心軸と同軸に回転可能な駆動シャフトを備えた固定子体を備えている。
【0036】
好ましくは、ファンは、駆動シャフトの自由端に固定され且つ加熱装置に向けられた空気の流れを生成するように成形された複数のブレードを備えている。
【0037】
好ましくは、ブロー装置は、前記ファンが加熱装置の前記内側管状体と前記吸引口との間に配置されるように向けられる。
【0038】
有利なことに、このようにして、従来のタイプのケーシング(または本体)の存在下でさえ、空気流量の高い増加係数を有するヘアドライヤを得ることが可能であり、装置の製造を簡単且つ安価にする。
【0039】
本発明のさらなる態様によれば、ブロー装置は、前記電気モータおよび前記加熱装置を制御する制御回路を含み、これは、加熱装置の前記内側管状体の内部に収容され且つ電気モータの固定子体に隣接する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
これらおよび他の特徴は、それに関連する利点とともに、添付の図に示されているように、以下の例示的な、したがって非限定的な、ヘアドライヤ用の空気加熱装置およびブロー装置の好ましい、したがって非排他的な実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【
図1】本発明によるヘアドライヤ用の空気加熱装置の正面斜視図を示す。
【
図2】他の部分を強調表示するために一部が削除された、
図1と同じ斜視図を示す。
【
図4】他の部分を強調表示するために一部が削除された、
図1の空気加熱装置の背面斜視図を示す。
【
図5】本発明の第1の実施形態によるヘアドライヤの概略断面図を示す。
【
図6a-6b】それぞれ、本発明によるヘアドライヤ用のブロー装置の正面および背面の斜視概略図を示す。
【
図7a-7c】本発明による第2の実施形態によるヘアドライヤの断面図、側面図、および正面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
添付の図を参照して、数字1は、本発明によるヘアドライヤ100、200用の空気加熱装置を示す。
【0042】
加熱装置1は、支持体(以下でより良く説明される)に加えて、抵抗コイルであって、電流がそれを通過するときに、それに当たる気流の温度を上昇させるように過熱する抵抗コイルを含むという点で、一般に「抵抗」として規定されるタイプである。
【0043】
したがって、一般に、空気加熱装置1は支持体を備え、支持体の周りに少なくとも1つの抵抗ワイヤが巻かれており、気流の温度を上昇させるために、動作可能に上流に配置された通気/ブロー手段によって生成された気流が、使用中、少なくとも1つの抵抗ワイヤに当たる。
【0044】
本発明に関して、支持体は、中心軸「A」に沿って延在する内側管状体2であって、両方ともが実質的に円筒形である内面2aおよび外面2bを備えた内側管状体2によって規定される。
【0045】
内側管状体2は、第1のセクション3aと第2のセクション3bとの間で中心軸「A」に沿って長手方向に延びる。
【0046】
使用中、すなわち、装置1がヘアドライヤ100、200に取り付けられている場合、第1のセクション3aは空気流入口セクションであり、第2のセクション3bは空気流出口セクションである。
【0047】
相互に角度間隔を置いた複数の放射状バッフル4は、複数の角度セクタ「S」を規定するように、内側管状体2の外面2bから延びる。
【0048】
これらの放射状バッフル4は、内側管状体2内に係合する半径方向内側縁部と半径方向外側縁部4aとの間で、内側管状体2の外面2bから始まり、半径方向に沿ってそれから離れる(中心軸「A」から発散する)ように、主軸に平行に延在する。
【0049】
内側管状体2は、好ましくは、上記複数の放射状バッフル4に結合された複数の保持部分5を備える。
【0050】
より正確には、内側管状体2は、外面2bにおいて、各々が対応するそれぞれの放射状バッフル4を有し且つそれを保持し且つそれを直立位置に保つ複数の結合/結合可能なハウジングを備える。
【0051】
好ましい実施形態では、内側管状体2は単一の本体であり、上記複数の保持部分5はその上に直接形成されることに留意されたい。
【0052】
好ましくは、内側管状体2は、断熱プラスチック材料でできており、より好ましくは、上記複数の保持部分5は、成形によって得られる。
【0053】
代わりに、上記複数の放射状バッフル4は、好ましくは、電気絶縁および耐熱材料、例えば、マイカまたは他の帯電防止材料でできている。
【0054】
装置1はさらに、内側管状体2の周りに円周方向に延びる波形抵抗コイル6を備え、波形抵抗コイル6は、前述のように、それに当たる気流を加熱する目的を有する。
【0055】
コイル6は、上記複数の放射状バッフル4上に載って延在し且つ中心軸「A」に沿って連続して配置された複数のターン7を規定する。
【0056】
熱伝達を最大化するために、コイル6を形成する抵抗ワイヤは、正弦波および/またはジグザグおよび/または正方形および/またはらせん状のうねり、より一般的には、あらゆる形態のうねりを含むことができる少なくとも1つの事前に規定された波形に従って成形されることに留意されたい。
【0057】
図示の実施形態では、コイルの各ターン7は、一連のピークおよび溝を規定する波状パターンに従って、内側管状体2の周りに円周方向に延びる。
【0058】
好ましくは、各放射状バッフル4の半径方向外側縁部4aは、抵抗コイル6のターン7のための一連のハウジングシートを規定するために、歯のある形状を有する。
【0059】
換言すれば、溝が2つの連続する歯の間に形成され、放射状バッフル4上にあるターン7のセクションをその中に収容して、それが軸方向にスライドするのを防ぐ。
【0060】
好ましくは、上述の複数のターン7は、半径方向外側縁部4aを覆う波形ワイヤの少なくとも1つのピークによって規定される固定波形8が各放射状バッフル4に配置されるようなサイズである。
【0061】
有利なことに、この構造はコイルに安定性を与え、その効率を最大化し、とりわけ、衝撃に対する堅牢性を保証する。
【0062】
熱的および電気的観点の両方からコイル6の安全性を保証するために、装置1は、前記波形抵抗コイル6と電気的に接続された安全装置9およびサーモスタット10を備える。
【0063】
より正確には、安全装置9およびサーモスタット10は、電流が抵抗ワイヤを流れる前に電流を遮ることを可能にするために、波形抵抗コイル6の電気的に上流に配置されている。
【0064】
安全装置9は、好ましくは温度ヒューズであり、より好ましくは、異常な動作状態での過度の温度を防ぐために(70℃から260℃の温度で)調整される。
【0065】
他方、サーモスタット10は、好ましくは、温度制限値を超えた場合に、可逆的な方法で接点を開くように(60℃から170℃の温度で)調整される。
【0066】
本発明の態様の1つによれば、安全装置9およびサーモスタット10は、それぞれ、互いに隣接し且つ共有の放射状バッフル11によって分離された第1の角度セクタ「S1」および第2の角度セクタ「S2」に収容される。
【0067】
より正確には、安全装置9およびサーモスタット10はそれぞれ、中心軸「A」に平行に向けられた優先方向に沿って延びる。
【0068】
好ましい実施形態では、内側管状体2は、前記第1の角度セクタS1および/または第2の角度セクタS2において、安全装置9および/またはサーモスタット10を受け入れるためのそれぞれのスロット2cを有する。
【0069】
このスロットは、安全装置9またはサーモスタット10の厚さの少なくとも一部が内側管状体2に埋め込まれることを可能にし、したがって、それぞれの角度セクタ内のその半径方向の外形寸法を縮小する。
【0070】
第1の角度セクタ「S1」および第2の角度セクタ「S2」は、好ましくは、他の角度セクタ「S」よりも大きいサイズを有することに留意されたい。
【0071】
好ましい実施形態では、第1の角度セクタ「S1」および第2の角度セクタ「S2」は、同じ角度サイズ、より好ましくは約45°の角度サイズを有する。
【0072】
代わりに、他の角度セクタ「S」は約30°の角度サイズを有する。
【0073】
言い換えれば、角度セクタ「S」を規定する放射状バッフル4は、安全装置9およびサーモスタット10のハウジング容積を増加させるために異なる角度配置を持つ角度セクタ「S1」および第2の角度セクタ「S2」を規定する放射状バッフル4を除いて、互いに角度的に等間隔に配置されている。
【0074】
本発明のさらなる態様によれば、さらに、波形抵抗コイル6は、以下を備えた複数の第1のターン7aを備える。すなわち、
それぞれ、第1の角度セクタ「S1」および第2の角度セクタ「S2」に配置された2つの直線部分12と、
前記2つの直線部分12の間に配置され且つ前記共有の放射状バッフル11を覆う少なくとも1つの固定波形8と、を備えた複数の第1のターン7aを備える。
【0075】
有利には、このようにして、装置1の効率性またはその堅牢性を損なうことなく、安全装置9およびサーモスタット10を第1の角度セクタ「S1」および第2の角度セクタ「S2」内に収容するのに十分なスペースを作り出すことが可能である。
【0076】
好ましくは、固定波形8は、2つの溝を含み、その間に、共有の放射状バッフル11にまたがるピークが配置され、好ましくは、バッフルの半径方向外側縁部の2つの連続する歯の間に収容される。
【0077】
したがって、2つの直線部分12は、実際には、内側管状体2の外側で中心軸「A」に沿って延びる2つの角柱ハウジング(すなわち、平行六面体)を規定する。
【0078】
安全装置9およびサーモスタット10は、中心軸「A」に沿ってそれぞれの軸方向の外形寸法を有し、好ましくは内側管状体2の軸方向範囲よりも小さく、波形抵抗コイル6の複数の第1のターン7aは、前記軸方向の外形寸法において延びることに留意されたい。
【0079】
好ましい実施形態によれば、波形抵抗コイル6は、前記軸方向の外形寸法の外側に位置し且つ前記直線部分12を持たない1つまたは複数の第2のターン7bを含む。
【0080】
有利なことに、このようにして、コイルの分布が最適化され、熱の生成が最大化される。
【0081】
好ましくは、さらに、装置は、第3の角度セクタS3で内側管状体2の外側に配置され且つ前記中心軸「A」に対して横方向に向けられたサーミスタ13をさらに備える。
【0082】
好ましくは、正確で且つユーザの知覚と一致する測定のために、サーミスタ13は、内側管状体2の第2のセクション3bの近くに配置される。
【0083】
このようにして、実際には、サーミスタは、波形抵抗コイル6によって既に加熱された気流を受け取るように配置され、ユーザの知覚と起こり得る制御との間の遅延を可能な限り低減する。
【0084】
これに関して、装置1は、内側管状体2の第1のセクション3aに配置された複数の電気接続14を含むことに留意されたい。サーミスタ13への電流の伝達を可能にするために、内側管状体2に固定され且つ前記複数の電気接続14から前記サーミスタ13まで延びる少なくとも1対の導電性トラック15が備わっている。
【0085】
好ましくは、一対のトラック15は、内側管状体2の内面2aに固定されている。
【0086】
さらに、好ましくは、装置1は、絶縁材料でできており且つ前記波形抵抗コイル6を保護するために前記波形抵抗コイル6の周りに前記内側管状体2と同軸に配置された外側管状体16をさらに備える。
【0087】
好ましい実施形態では、外側管状体16もマイカなどでできているが、放射状バッフル4と同じ材料でできている。
【0088】
好ましくは、位置決め中に、外側管状体16は、内側管状体2に取り付けられる。
【0089】
これに関して、組み立て位置の達成を容易にするために、放射状バッフル4の少なくとも一部の半径方向外側縁部は、外側管状体16の周縁に隣接するサイズの軸方向の放射状当接ショルダ17を備える。
【0090】
加熱装置1は、そのコンパクトで且つ環状形態のおかげで、使用中、ハンドル101および(少なくとも使用中)ハンドルを横切って延び且つ内側管状壁103aと外側管状壁103bとの間に囲まれた環状チャンバ103をその中に規定する本体102を含むヘアドライヤ100の内部に挿入される。
【0091】
環状チャンバ103は、
図5に概略的に示されるように、その軸方向の端部の一方に位置する少なくとも1つの出口環状口104を有し且つ内部に加熱装置1を含む。
【0092】
図6a-6bに示されるさらなる実施形態では、加熱装置1は、ヘアドライヤ100、200用の通気(またはブロー)装置50のアセンブリにおいて使用される。
【0093】
実際には、このブロー装置50は、電気モータ51が加熱装置1の内側管状体2の内部に収容されなければならないことを提供する。
【0094】
特に、電気モータ51は、固定子体52と、駆動シャフト53に接続された回転可能な回転子とを備える。
【0095】
固定子体52は、内側管状体2に収容されている。駆動シャフト53は、中心軸「A」と同軸に回転可能であり且つ内側管状体2の第1のセクション3aから突出する自由端53aまで軸方向に延びる。
【0096】
換言すれば、自由端53aは、加熱装置1の軸方向の外形寸法から突出している。
【0097】
これに関して、実際には、ブロー装置50は、シャフトの前記自由端53aに固定されたファン54であって、加熱装置1に向けられた空気の流れを生成するように成形された複数のブレード54aを備えたファン54を備える。
【0098】
特に、ファン54は、内側管状体2の第1のセクション3aに面し且つ上記の複数のブレードが少なくとも部分的に波形抵抗コイル6に面するように半径方向の広がりを有する。
【0099】
有利なことに、このようにして、加熱および通気/ブロー動作が限られたスペースで実行される、非常にコンパクトで且つ機能的な構造を得ることが可能である。
【0100】
さらに、好ましくは、ブロー装置50はまた、電気モータ51および/または加熱装置1のための制御回路55を含む。
【0101】
次に、この制御回路55は、好ましくは、加熱装置1の内側管状体2の内部に収容され且つ電気モータ51の固定子体52に隣接し、これにより、装置50の外形寸法をさらに小さくすることができる。
【0102】
本明細書に記載のブロー装置50および本発明の目的に関して、抵抗コイルは任意のタイプまたは形状であり得、例えば角度セクタの外側に配置することもできる安全装置9およびサーモスタット10を収容するための直線部分の存在を含むことは、好ましくはあるが厳密には必要ではないことに留意されたい。
【0103】
実際、抵抗コイルの形態並びに安全装置9およびサーモスタット10の配置とは無関係に、ブロー装置50は、
図7a-7cに例として概略的に示されるヘアドライヤ200の内部で使用することができる。
【0104】
そのようなヘアドライヤ200は、ハンドル201と、前記ハンドル201に対して横方向に延びる本体202とを備える。
【0105】
本体202は、その中に、第1の端部203aと第2の端部203bとの間にその主軸に沿って延びる格納区画203を規定する。
【0106】
第1の端部203aは、吸引口204を有する。換言すれば、開口部は、好ましくはグリッド205またはフィルタメッシュによって塞がれている第1の端部203aに設けられている。
【0107】
他方、第2の端部203bは、環状ブローノズル207を規定する空気出口206を有する。
【0108】
ブロー装置50は、格納区画203内に収容され且つファン54が前記吸引口204に面するように向けられ、加熱装置1の内側管状体2の前記第2のセクションは前記出口206に面する。
【0109】
好ましくは、ブローノズル207の環状形状を規定するために、セクションレデューサ208が設けられており、これは、環状ギャップの範囲を定めるように本体202の前記出口206に同軸に挿入される。
【0110】
より正確には、セクションレデューサ208は、出口206に挿入され且つ部分的にその外側に突出する少なくとも1つの管状壁208aと、ヘアドライヤ200の外側から見える少なくとも1つの後壁208bとを備える。
【0111】
本発明は、意図された目的を達成し、重要な利点を達成する。
【0112】
実際、固定波形を組み入れた2つの隣接する直線部分を備えた複数のターンを有するコイルの配置は、その(機械的)堅牢性を損なうことなく、装置の効率を最大化することを可能にする。
【0113】
実際、ヒューズとサーモスタットを2つの隣接する角度セクタに配置することにより、内側管状体に沿った電気接続を減らすことが可能になる。
【0114】
2つの直線部分の間に固定波形を設けることにより、2つの直線部分が、知られているように、衝撃に対する顕著な耐性を保証する必要があるコイルの脆弱性を増加させるのを防ぐ。
【0115】
さらに、直線部分の存在に関係なく、「同軸の」加熱装置の配置により、モータ/抵抗構造を組み合わせることが可能になり、コンパクトなブロー装置を非常に簡単に製造できる。
【0116】
さらに、環状の熱気流を生成することができるこのブロー装置の使用は、従来のタイプの格納本体の存在下でさえ空気の環状ブレードを生成するように設計されたヘアドライヤの製造のために、革新的な方法で利用することができる。