(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】セグメント温度制御が可能なロータリーキルン
(51)【国際特許分類】
F27B 7/34 20060101AFI20231205BHJP
F27B 7/28 20060101ALI20231205BHJP
F27B 7/22 20060101ALI20231205BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
F27B7/34
F27B7/28
F27B7/22
F27D7/02 A
(21)【出願番号】P 2021553323
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 CN2019098962
(87)【国際公開番号】W WO2020181712
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】201910190877.4
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521402273
【氏名又は名称】金▲ガァン▼新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】▲ヂァォ▼ 友▲イー▼
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1307504(KR,B1)
【文献】特許第0105196(JP,C1)
【文献】特開昭53-095109(JP,A)
【文献】実開昭59-184095(JP,U)
【文献】中国実用新案第202470732(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 5/00- 7/42
F27D 7/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キルン本体、キルンヘッドフード、キルンテールフード、およびベースを含み、前記ベースとキルン本体の間に
前記キルン本体を駆動する駆動装置が設置され
、前記駆動装置が、モータ、減速機、駆動ギアおよび駆動ギアリングを含み、前記モータの出力軸が前記減速機の入力軸と接続され、前記減速機の出力軸が前記駆動ギアと接続され、前記駆動ギアと噛み合う前記駆動ギアリングが前記キルン本体に設置されたセグメント温度制御が可能なロータリーキルンであって、
さらに、供給セグメント、接続セグメント、および回転セグメントで構成された第1燃料供給管を含み、
前記供給セグメントは、前記キルン本体の外側壁に設置され、
前記回転セグメントは、前記キルン本体と同軸配置され、ロータリージョイントを介して燃料供給源に連結され、
前記供給セグメントと前記回転セグメントは、前記接続セグメントを介して互いに連通し、
前記キルン本体の外側壁に複数の燃焼部品が設置され、且つ
前記燃焼部品の燃料入口は、それぞれ支管を介して、前記第1燃料供給管の前記供給セグメントに連結され
、
前記回転セグメントは、前記キルン本体の供給端に設置され、且つ前記接続セグメントの一端は、前記回転セグメントに連結され、前記キルンテールフードには、供給口が設置され、且つ前記供給口は、導入管を介して前記キルン本体と互いに連通し、前記導入管は、前記キルンテールフードを突き抜けて、前記キルン本体の内部に延伸し、前記接続セグメントは、前記キルン本体の内部に設置され、且つ前記導入管の一側にあり、
前記接続セグメントの他端は、前記キルン本体の側壁を突き抜けた後、前記供給セグメントに連結され、
前記キルン本体には、タイヤおよび前記駆動ギアリングが設置され、前記タイヤおよび前記駆動ギアリングには、いずれも前記供給セグメントを通過するスルーホールが設置されたセグメント温度制御が可能なロータリーキルン。
【請求項2】
前記燃焼部品が、バーナーを含み、
前記バーナーの燃料入口は、前記支管を介して前記第1燃料供給管の前記供給セグメントに連結され、
前記バーナーの吸気口は、ファンに連結された請求項1に記載のセグメント温度制御が可能なロータリーキルン。
【請求項3】
前記キルン本体の側壁に設置するバーナータイルは、前記キルン本体の内側壁よりも高く設置された請求項2に記載のセグメント温度制御が可能なロータリーキルン。
【請求項4】
前記支管にバルブが設置された請求項1に記載のセグメント温度制御が可能なロータリーキルン。
【請求項5】
前記接続セグメントは、前記キルンヘッドフード内に設置され、且つ
前記供給セグメントの端部は、前記キルンヘッドフード内に延伸して、前記接続セグメントに連結された請求項
1に記載のセグメント温度制御が可能なロータリーキルン。
【請求項6】
前記接続セグメントは、径方向に沿って配置された請求項
1に記載のセグメント温度制御が可能なロータリーキルン。
【請求項7】
前記キルン本体内に、間隔を置いて配置された第1耐火タイルおよび第2耐火タイルが設置され、
且つ前記第1耐火タイルおよび前記第2耐火タイルは、共同で歯型構造を形成する請求項1に記載のセグメント温度制御が可能なロータリーキルン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キルンに関するものであり、特に、セグメント温度制御が可能なロータリーキルンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建材、冶金、化学工業、環境保護等の多くの生産業において、固体材料に対して機械、物理、または化学処理を行う際にロータリーシリンダーが幅広く使用されており、この種の装置をロータリーキルンと称している。その技術性能および運転状況は、大部分が企業の製品品質と生産コストによって決められる。既存のロータリーキルンの構造は、
図8に示した通りである。
【0003】
キルン本体は、支持ホイールによって支持され、駆動装置がキルン本体と連動してその軸線の周りを旋回して、回転運動を行う。キルン本体の一端に燃焼器が設置され、キルン本体内の温度場を確立するために、必要な熱量を提供する。材料を投入口からキルン本体に入れると、キルン本体の回転とともに材料がキルン本体の中で散らばって転がりながら、キルン本体の軸線に沿って排出端に向かって運動し、同時に、材料が熱作用によって物理、化学、または材料化学変化を起こす。燃焼器がキルン本体の一端にあるため、キルン本体が長い時、キルン本体内で長さ方向の各セグメントの温度に制御することが困難になる。そのため、装置の生産率、キルン本体内の温度分布、および焼成雰囲気等の要素を同時に兼ね備えることが難しく、単位キルン本体断面積の生産率が低く、単位完成品のエネルギー消費が高くなる。
【0004】
この問題を解決するため、特許番号2017218534981の特許は、燃焼器をキルン本体の側壁に設置する揺動キルンを公開し、温度制御が不正確な問題を解決しているが、キルン本体は揺動するだけで、回転することができないため、使用上、かなり制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題に対し、本発明は、セグメント温度制御が可能なロータリーキルンを提供する。このキルンは、セグメント温度制御を実現して、キルン本体内の温度場をより正確に制御できるだけでなく、回転することもできるため、従来のロータリーキルンと比べて、応用範囲がさらに広い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
セグメント温度制御が可能なロータリーキルンは、キルン本体、キルンヘッドフード、キルンテールフード、およびベースを含み、前記ベースとキルン本体の間に駆動装置が設置され、さらに、供給セグメント、接続セグメント、および回転セグメントで構成された第1燃料供給管を含み、前記供給セグメントは、前記キルン本体の外側壁に設置され、前記回転セグメントは、前記キルン本体と同軸配置され、ロータリージョイントを介して燃料供給源に連結され、前記供給セグメントと回転セグメントは、接続セグメントを介して互いに連通し、
前記キルン本体の外側壁に複数の燃焼部品が設置され、且つ前記燃焼部品の燃料入口は、それぞれ支管を介して前記第1燃料供給管の供給セグメントに連結される。
【0007】
さらに、前記燃焼部品は、バーナーを含み、前記バーナーの燃料入口は、支管を介して前記第1燃料供給管の供給セグメントに連結され、前記バーナーの吸気口は、ファンに連結される。
【0008】
さらに、前記キルン本体の側壁に設置するバーナータイルは、前記キルン本体の内側壁よりも高く設置される。
【0009】
さらに、前記支管に、バルブが設置される。
【0010】
さらに、前記キルン本体には、タイヤおよび駆動ギアリングが設置され、前記タイヤおよび駆動ギアリングには、いずれも前記供給セグメントを通過するスルーホールが設置される。
【0011】
さらに、前記回転セグメントは、前記キルン本体の供給端に設置され、且つ前記接続セグメントの一端は、前記回転セグメントに連結され、前記接続セグメントの他端は、前記キルン本体の側壁を突き抜けた後、前記供給セグメントに連結される。
【0012】
さらに、前記回転セグメントは、前記キルン本体の排出端に設置される。
【0013】
さらに、前記接続セグメントは、前記キルンヘッドフード内に設置され、且つ前記供給セグメントの端部は、前記キルンヘッドフード内に延伸して、前記接続セグメントに連結される。
【0014】
さらに、前記接続セグメントは、径方向に沿って配置される。
【0015】
さらに、前記キルン本体内に、間隔を置いて配置された第1耐火タイルおよび第2耐火タイルが設置され、且つ前記第1耐火タイルおよび第2耐火タイルは、共同で歯型構造を形成する。
【発明の効果】
【0016】
1、複数セットの燃焼部品をキルン本体の側壁に設置し、軸方向に沿って分布させることにより、キルン本体内の温度場および雰囲気の制御をさらに便利に、且つ簡単にし、制御精度を上げることができる。
【0017】
2、キルン本体内の温度場制御の要求に応じて、燃焼部品の数量、間隔、および燃料の流量を調整することができるため、最小のエネルギー消費で必要な温度場に到達することができ、装置の生産率、キルン内の温度分布、および焼成雰囲気等の要求を同時に満たし、単位断面積のキルン体生産率を上げ、単位完成品のエネルギー消費を下げることができる。
【0018】
3、このキルンは、揺動も回転運動も実現することができるため、異なる材料の焼成の技術要求を満たすことができ、従来のロータリーキルンと比べて、応用範囲をさらに広げることができる。
【0019】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0021】
【
図7】第2実施形態における第1燃料供給管の配置構造概略図である。
【
図8】従来のロータリーキルンの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施例1
【0023】
図1に示すように、セグメント温度制御が可能なロータリーキルンは、キルン本体1、前記キルン本体1の左端に設置されたキルンテールフード2、および前記キルン本体1の右端に設置されたキルンヘッドフード3を含む。前記キルン本体1の下方にベース4が設置され、且つ前記ベース4と前記キルン本体1は、回転接続される。
【0024】
具体的な実施形態として、本実施例で述べる前記キルン本体1には、2つのタイヤ14を少なくとも設置し、前記ベース4には、前記キルン本体1を支持するための2つの支持ホイール41を各タイヤ14の下方に対称的に設置する。前記タイヤ14は、前記支持ホイール41で圧着される。
【0025】
前記キルンテールフード2に、供給口21が設置され、且つ前記供給口21は、導入管22を介して前記キルン本体1と互いに連通し、前記導入管22は、前記キルンテールフード2を突き抜けて、前記キルン本体1の内部に延伸する。前記キルンヘッドフード3の下端に、排出口31が設置される。
【0026】
図4に示すように、前記キルン本体1内に、間隔を置いて配置された第1耐火タイル11および第2耐火タイル12が設置され、且つ前記第1耐火タイル11および第2耐火タイル12は、共同で歯型構造を形成する。
【0027】
前記ベース4とキルン本体1の間に、前記キルン本体1が回転するよう駆動するための駆動装置が設置される。
図1に示すように、前記駆動装置は、モータ53、減速機54、駆動ギア51、および駆動ギアリング52を含む。前記モータ53の出力軸は、前記減速機54の入力軸に連結され、前記減速機54の出力軸は、前記駆動ギア51に連結され、前記駆動ギア51と互いに噛み合う駆動ギアリング52が前記キルン本体1に設置される。前記駆動ギアリング52は、前記キルン本体1の中部に設置されるのが好ましい。
【0028】
図1、
図3、および
図6に示すように、前記キルン本体1に、供給セグメント71、接続セグメント72、および回転セグメント73を含む第1燃料供給管7が設置される。前記供給セグメント71は、前記キルン本体1の外側壁に固定設置され、且つ前記各タイヤ14と前記駆動ギアリング52に、いずれも前記供給セグメント71を突き抜けるスルーホールが設置される。前記回転セグメント73は、前記キルンテールフード2内に設置されるとともに、前記キルン本体1と同軸配置され、前記回転セグメント73は、左に向かって前記キルンテールフード2を突き抜けて、前記キルンテールフード2の外部に延伸する。前記接続セグメント72は、前記キルン本体1の内部に設置され、且つ導入管22の一側にあり、前記接続セグメント72の一端は、前記回転セグメント73の端部に連結され、前記接続セグメント72の他端は、前記キルン本体1の側壁を突き抜けた後、前記供給セグメント71の端部に連結される。前記接続セグメント72は、径方向に沿って配置されるのが好ましい。
【0029】
前記第1燃料供給管7の回転セグメント73は、ロータリージョイント9を介して燃料供給源8に連結される。ここで、前記ロータリージョイント9の構造は、現有技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0030】
図1に示すように、前記キルン本体1の外側壁に、軸方向に沿って複数の燃焼部品6が設置される。具体的な実施形態として、本実施例で述べる前記キルン本体1の外側壁には、4組の燃焼部品6を設置する。前記燃焼部品6の燃料入口は、それぞれ支管62を介して前記第1燃料供給管7の供給セグメント71に連結される。前記燃焼部品6のノズルは、前記キルン本体1の側壁を突き抜けて、前記キルン本体1の内部に延伸する。
【0031】
ここで、前記支管62は、軟質管であっても、硬質管であってもよい。
【0032】
図2および
図5に示すように、前記燃焼部品6は、前記キルン本体1に固定設置されたバーナー61を含み、前記バーナー61の燃料入口は、支管62を介して前記第1燃料供給管7の供給セグメント71に連結され、且つ前記支管62に、燃料の流量を制御するためのバルブ64が設置される。前記バーナー61の吸気口は、ファン63に連結される。
【0033】
ここで、前記燃焼部品6は、一体型燃焼器を採用してもよい。ただし、最も好ましい実施形態として、本実施例で述べる燃焼部品6は、結合型構造を採用する。その理由は、主に、動作過程において、燃焼部品6がキルン本体1と一緒に回転するため、燃焼部品6の体積は、小さければ小さいほどよいからである。一体型燃焼器を採用した場合、回転半径が大きくなり、燃焼器のサイズに応じて他の部品のサイズを適宜調整する(例えば、ベース4の高さを増やす)必要があるため、全体的な装置の構造サイズが大きくなる。
【0034】
さらに、動作時にキルン本体1内の材料がバーナー61を塞ぐのを回避して、燃焼器の正常動作を確保するため、
図5に示すように、前記キルン本体1の側壁に設置するバーナータイル13を前記キルン本体1の内側壁よりも高く設置する。ここで述べるバーナータイル13およびその設置構造は、現有技術に属し、従来のキルンにおいて応用されているため、ここでは説明を省略する。
【0035】
実施例2
【0036】
図7に示すように、前記回転セグメント73は、前記キルンヘッドフード3内に設置されるとともに、前記キルン本体1と同軸配置され、前記回転セグメント73の右端は、前記キルンヘッドフード3を突き抜けて、前記キルンヘッドフード3の外部に延伸する。
【0037】
さらに、動作時に、前記キルン本体1内の温度は、供給端の方が排出端よりも低いため、前記回転セグメント73を前記キルンヘッドフード3内に設置した時、前記接続セグメント72がキルン本体1内に設置されていても、高温環境においてセキュリティリスクが存在する。そのため、
図7に示すように、前記接続セグメント72を前記キルンヘッドフード3内に設置し、且つ前記接続セグメント72の一端を前記回転セグメント73の端部に連結して、前記接続セグメント72の他端を前記供給セグメント71の端部に連結し、前記供給セグメント71の端部を前記キルンヘッドフード3内に延伸させる。前記接続セグメント72は、径方向に沿って配置するのが好ましい。その他の構造については、実施例1と同じである。
【符号の説明】
【0038】
1 キルン
2 キルンテールフード
3 キルンヘッドフード
4 ベース
6 燃焼部品
7 第1燃料供給管
8 燃料供給源
9 ロータリージョイント
11 第1耐火タイル
12 第2耐火タイル
13 バーナータイル
14 タイヤ
21 供給口
22 導入管
31 排出口
41 タイヤ
51 駆動ギア
52 駆動ギアリング
53 モータ
54 減速機
61 バーナー
62 支管
63 ファン
64 バルブ
71 供給セグメント
72 接続セグメント
73 回転セグメント