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特許7397107石膏プラスターボードを生産するための方法
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  • 特許-石膏プラスターボードを生産するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】石膏プラスターボードを生産するための方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20231205BHJP
   B28B 1/50 20060101ALI20231205BHJP
   B28B 11/12 20060101ALI20231205BHJP
   C04B 28/14 20060101ALI20231205BHJP
   C04B 18/16 20230101ALI20231205BHJP
   C04B 24/22 20060101ALI20231205BHJP
   C04B 24/40 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B28B1/30
B28B1/50
B28B11/12
C04B28/14
C04B18/16
C04B24/22 Z
C04B24/40
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022020143
(22)【出願日】2022-02-14
(62)【分割の表示】P 2019038641の分割
【原出願日】2013-10-07
(65)【公開番号】P2022078070
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ピウォワースキ,ヤツェク
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-330174(JP,A)
【文献】特表2008-546620(JP,A)
【文献】特表2008-509824(JP,A)
【文献】特開平02-137781(JP,A)
【文献】特表2010-513213(JP,A)
【文献】特表2004-508259(JP,A)
【文献】特表平04-504099(JP,A)
【文献】特開平05-238850(JP,A)
【文献】特表平07-504856(JP,A)
【文献】特開昭60-171261(JP,A)
【文献】特開昭62-041747(JP,A)
【文献】特表2004-517018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0074977(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0150190(US,A1)
【文献】特表2008-543705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/00- 1/54
B28B11/00-19/00
C04B 2/00-32/02
C04B40/00-40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリミングデバイスまたはバンドラ鋸を使用したプラスターボードトリミング工程の石膏プラスターボード残余物から入手されるバンドラ屑であって、疎水性剤としてシリコーン油を含浸させられたプラスターボードの生産プロセスから得られる前記バンドラ屑を、供給するステップと;
石膏プラスターボードを生産するための石膏スラリーに、量Xの前記バンドラ屑を加えるステップと:
を含み、
石膏プラスターボードを生産するための前記バンドラ屑の量Xは、0.1g/m≦X≦30g/mであり、および、ナフタレンスルホネート系添加剤が2~15g/mの量で石膏スラリーに加えられており、および、前記シリコーン油は、ポリメチル水素シロキサンである、
石膏プラスターボードを生産するための方法。
【請求項2】
バンドラ屑を供給するステップが、ピンミルにおいて残余物を製粉することを含む
ことを特徴とする、
請求項1に記載の石膏プラスターボードを生産するための方法。
【請求項3】
発泡剤が、石膏スラリーに加えられる
ことを特徴とする、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
いくつかの石膏プラスターボードが、連続的に生産され、ここで、以前に生産された石膏プラスターボードの残余物の少なくとも一部が、生産工程に戻される
ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
石膏スラリーに加えられるバンドラ屑の量が、Xであり、欧州規格EN 520 type A13に従う石膏プラスターボードを生産するために0.6g/m≦X≦2g/mであるか、または欧州規格EN 520 type H2 13に従う石膏プラスターボードを生産するために2.4g/m≦X≦3g/mである
ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ナフタレンスルホネート系添加剤が、4~8g/mの量において、石膏スラリーに加えられる
ことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
疎水性剤としてシリコーン油を含浸させられたプラスターボードの生産プロセスにおいてバンドラ鋸を使用したプラスターボードトリミング工程の石膏プラスターボード残余物から得られるバンドラ屑の使用であって、前記シリコーン油は、ポリメチル水素シロキサンであり、ナフタレンスルホネート系添加剤が2~15g/m の量で加えられている石膏スラリーにおける前記バンドラ屑の量Xが、0.1g/m≦X≦30g/m、または欧州規格EN 520 type A13に従う石膏プラスターボードを生産するために0.6g/m≦X≦2g/mであるか、または欧州規格EN 520 type H2 13に従う石膏プラスターボードを生産するために0.4g/m≦X≦3g/mである、石膏プラスターボードを生産するための添加物としての前記バンドラ屑の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の石膏プラスターボードを生産するための方法、請求項9に記載の石膏プラスターボードを生産するためのバンドラ屑を準備する方法、請求項10に記載の石膏プラスターボードを生産するための添加物としてのバンドラ屑の使用、請求項11に記載の装置、および、請求項14に記載のプラスターボードに関する。
【背景技術】
【0002】
石膏プラスターボードを生産するための方法は、よく知られている。石膏スラリーは、通常、乾燥石膏層を供給するために支持および/または移送デバイス上で準備され、および、乾燥される。石膏層は、単一の石膏プラスターボードを完成させるためにトリムされる。プラスターボードをトリムするステップは、通常、トリミングデバイス、特にバンドラ鋸の使用を含む。かかるプラスターボードは、比較的に軽く、および、さらなる利点を有する。例えば、プラスターボードの重量を減少させるために、細孔を作るための発泡剤を使用することが知られている。しかしながら、かかる添加物は、高価である。一般的に、添加物は、異なる特性、特に異なる重量を備えるプラスターボードを生産するために使用される。比較的に低い重量のプラスターボードを生産するための、添加物としての発泡剤の消費高は、非常に高い。発泡剤の高い消費は、比較的に高い生産工程コストという結果になる。最終的に、比較的に軽い重量のプラスターボードを生産することは、原理上は、発泡剤を非常に大量に使用することによって可能である。
【発明の概要】
【0003】
石膏プラスターボードおよび対応する装置を製造する方法を提案することは、本発明の目的であり、ここで、コストおよび重量は、比較的に低い。
【0004】
この目的は、同封の請求項の主題によって達成される。
【0005】
本発明によると、石膏プラスターボードを生産するための方法は、次のステップを含む:
- トリミングデバイス、特にバンドラ鋸を使用して、石膏プラスターボードのトリミングの石膏プラスターボード残余物から入手されるバンドラ屑を供給すること
- 石膏プラスターボードを生産するための石膏スラリーに、バンドラ屑の少なくとも一部を加えること。
【0006】
本発明の中心的側面は、小さく、制御された量における生産工程のための、添加物としての(生の)バンドラ屑の使用にある。一般的に、トリムされたプラスターボードの残余物またはスクラップは、処分されなければならないごみである。しかしながら、本発明によると、この「ごみ」は、石膏プラスターボードの特性を改良するために使用される。特に、例えば石膏コアにおいて、プラスターボードの(少なくとも部分の)有利な多孔性を達成することは、(生の)バンドラ屑の使用によって可能である。
【0007】
好ましくは、バンドラ屑の量は、(精密に)制御され(例えば開ループ)、および/または、規制される(閉ループ制御)。それによって、(生の)バンドラ屑の量は、軽く、安定的な(それぞれ硬いまたは硬直した)プラスターボードを達成するために、最適化され得る。
【0008】
好ましくは、バンドラ屑を供給するステップは、好ましくはピンミルにおける残余物の製粉を含む。ボードの残余物(またはスクラップ)は、除塵システムによって収集され得る。製粉工程は、特にピンミルの使用によって(微)粉を供給し得る。製粉された残余物は、軽い石膏プラスターボードが供給され得るように、生産工程に(制御された方法において)加えられ得る。
【0009】
バンドラ屑は、好ましくは、(含浸)プラスターボードの生産工程から入手され、ここで、疎水性剤は、好ましくはシリコーン油(ポリメチル水素シロキサン)である。かかるバンドラ屑は、有利な多孔性を備える軽いプラスターボードの生産を可能にする。
【0010】
好ましい態様において、(安定的な)発泡剤は、石膏スラリーに加えられる。この場合、バンドラ屑は、大きな空気細孔の生成のための触媒としての役目を果たす。よって、発泡剤の量は、比較的に軽い重量のプラスターボードを生産するために、比較的に低く(または大きく増やさなく)てもよい。
【0011】
(生の)バンドラ屑の追加は、軽く、安定的な石膏プラスターボードが生産され得るように、細孔集積効果という結果になる。(紙が生産工程内で使用される場合)紙接着は、より高い重量を備え、または改良されてさえあるボードに匹敵する。
【0012】
複数の石膏プラスターボードは、連続的に生産されてもよく、ここで、以前に生産された石膏プラスターボードの残余物(の一部のみ)は、生産工程に戻される。これは、バンドラ屑または残余物のある量のみが、生産工程の中に再導入されてもよいことを意味する。それによって、石膏プラスターボードの特性、および、特に(生の)バンドラ屑の触媒効果を制御することが可能である。
【0013】
好ましくは、石膏スラリーに加えられるバンドラ屑の量は、Xであり、ここで0.1g/m≦X≦30g/m、好ましくは0.2g/m≦X≦10g/m、さらに好ましくは0.5g/m≦X≦4g/m、特に(A13のために)0.6g/m≦X≦2g/mまたは(H2 13のために)2.4g/m≦X≦3g/mである。Xは、上の範囲の間で変わってもよく、または、(好ましくは上記の範囲内の値を有して)一定でもよい。(生の)バンドラ屑の量が生産工程の間で変更される場合、それは、プラスターボードのタイプおよび生産ライン上の挙動、ならびに石膏プラスターボード(石膏コア)の求められる多孔性によってもよい。いずれの場合においても、軽く、安定的な石膏プラスターボードは、(良い紙接着を備えて)供給され得る。「A13」という用語は、欧州規格EN 520 type A、厚さ=12.5mmによる石膏プラスターボードを意味する。「H2 13」という用語は、欧州規格EN 520 type H2、厚さ=12.5mmによる石膏プラスターボードを意味する。
【0014】
(ナフタレン)スルホネート系液化剤は、好ましくは2~15g/mの量において、さらに好ましくは4~8g/mの量において、石膏スラリーに加えられてもよい。かかる追加は、軽いプラスターボードが生産され得るように、(生の)バンドラ屑の多孔性効果をさらに改良する。特に、(ナフタレン)スルホネート系液化剤は、(発泡剤が加えられる場合)大きな空気細孔の生成のための(生の)バンドラ屑の触媒効果を強く助ける。2~15g/m、好ましくは4~8g/mの量において液化剤(ナフタレンスルホネート系液化剤)を加えることは、有利である。
【0015】
本発明のさらなる側面によると、石膏プラスターボードを生産するための(生の)バンドラ屑を準備する方法は、(特に上記の生産方法によると)以下のステップを含む:
- 化粧しっくい、水およびシリコーン油の混合物を混合すること
- ひとかたまりの混合物を形成すること
- (生の)バンドラ屑を準備するためにかたまりを乾燥させ、および、細かく砕くこと。
【0016】
それによって、軽く、安定的なプラスターボードは、(改良された紙接着を備えて)生産され得る。
【0017】
本発明のさらなる側面によると、バンドラ屑は、石膏プラスターボードを生産するための添加物として使用されてもよく、ここで、石膏スラリーにおけるバンドラ屑の量Xは、好ましくは0.1g/m≦X≦30g/m、さらに好ましくは0.2g/m≦X≦10g/m、さらに好ましくは0.5g/m≦X≦4g/m、特にA13のために0.6g/m≦X≦2g/mまたはH2 13のために2.4g/m≦X≦3g/mである。
【0018】
本発明の他の1つの側面によると、(特に上記の方法および/または使用のための)石膏プラスターボードを生産するための装置は、以下を含む
- トリミングデバイス、特にバンドラ鋸を使用して、プラスターボードトリミングの石膏プラスターボード残余物から入手されるバンドラ屑を供給するためのデバイス、
- 石膏プラスターボードを生産するために石膏スラリーにバンドラ屑の少なくとも一部を加えるための手段、
- 石膏スラリー内でバンドラ屑の量を制御し、および/または、規制するための制御および/または規制手段。
【0019】
好ましくは、トリミングデバイス、特にバンドラ鋸は、装置の部分である。制御手段は、開ループ制御手段でもよい。規制手段は、閉ループ制御手段でもよい。装置は、残余物を製粉するためにミル、特にピンミルを含んでもよい。さらに、装置は、石膏スラリーに発泡剤および/または液化剤を加えるための手段を含んでもよい。いずれの場合においても、特に制御および/または規制手段によって、軽く、安定的な石膏プラスターボードを生産することは、可能である。コストは、減少する。
【0020】
本発明の他の1つの側面によると、プラスターボードは、上記の方法によって、および/または、バンドラ屑の使用の下で生産されてもよく、例えば、上記の方法を経て、および/または、上記の装置を使用することによって生産されてもよい。
【0021】
紙プラスターボードのための、および/または、繊維プラスターボードのための本発明の方法および/または装置を使用することは、好ましい。
【0022】
「g/m」という用語は、好ましくは、(ボードの厚さが変わる場合であっても)生産される石膏ボードの平方メートル単位のいかなる物質の消費量を意味してもよい。
【0023】
本発明はいま、同封の図への言及を備える例として、詳細に記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明による石膏プラスターボードを生産する方法のステップの略図を示す。
【0025】
石膏プラスターボードの生産における最後のステップは、石膏プラスターボードのトリミングである。上記トリミングは、また、手順の出発点としてみなされなければならない。ある時点で、石膏プラスターボード(この態様において、疎水性剤がシリコーン油、ポリメチル水素シロキサンである含浸プラスターボード)は、トリムされる。トリムされたプラスターボードは、顧客への移送のために準備されてもよい。しかしながら、トリミング工程の残余物は、除塵システムによって収集され、および、ピンミルにおいて微粉に製粉される。残余物の一部は、残余物の一部のみがピンミルにおいて製粉されるように収集され、および、貯蔵されてもよい。これは、材料が生産工程の中に完全に戻されるわけでも、全面的に捨てられるわけでもないことを意味する。
【0026】
結果として生じるバンドラ屑もまた、収集され、または、貯蔵されてもよく、および、(ピンミルおよび/または収集される/貯蔵されるバンドラ屑から直接来る)バンドラ屑(の一部)は、石膏スラリーに加えられる。この例におけるバンドラ屑の量は、0.1g/m~30g/m、好ましくは0.2g/m~10g/m、さらに(A13のために)0.6~2g/mおよび(H2 13のために)2.4~3.0g/mの間で変わってもよい。いずれの場合においても、(生の)バンドラ屑は、小さく、制御された量において加えられる。
【0027】
生産工程(それぞれ、石膏スラリー)に加えられる(生の)バンドラ屑の量を制御するために、制御デバイスが使用されることは、本発明の重要な一般的特徴である。
【0028】
さらに、発泡剤は、石膏スラリーに加えられる。したがって、(生の)バンドラ屑は、大きな空気細孔の生成のための触媒として使用される。(生の)バンドラ屑がない場合、同じ量の発泡剤は、より多くのより微細な細孔という結果になるであろう。好ましくは、(生の)バンドラ屑の量および発泡剤の量の間の制御された相関性は、(およそ)直線的である。したがって、(生の)バンドラ屑の追加が増加する場合、発泡剤の消費は、より高い。(生の)バンドラ屑の正確な量および発泡剤の対応する量は、プラスターボードの重量および安定性のための要件による。
【0029】
(生の)バンドラ屑は、よく知られている不安定な泡のために観察される細孔集積に類似の細孔集積を可能にする。
【0030】
本質において、生産工程に加えられる(生の)バンドラ屑の量は、プラスターボードコア多孔性に影響を与える。相関性は、(およそ)直線的である;(生の)バンドラ屑のより大きな量は、より高い石膏(コア)多孔性という結果になる。精密には、(生の)バンドラ屑の量およびコア多孔性の間の相関性は、生産条件による。しかしながら、同じ製品のためにこの相関性は、(多かれ少なかれ)直線的である。
【0031】
発泡触媒としての(生の)バンドラ屑の追加を備える上記の解決策は、テストされた。結果は、より低い紙接着なしの、実質的なボード重量の減少であった(逆に、紙接着は、改良さえされた)。したがって、本発明は、低重量プラスターボードの生産を可能にする。
【0032】
本態様において、バンドラ屑は、トリミング工程の残余物から準備される。代替的に、別のラインにおいて(生の)バンドラ屑材料(またはバンドラ屑の軽い材料)を入手することは、可能である。例えば、化粧しっくい、水およびシリコーン油は、かたまりを作るために一緒に混合され得る。このかたまりは、粉砕機において乾燥され、および、細かく砕かれ得る。そして、細かく砕かれる材料は、プラスターボード生産工程において化粧しっくいストリームに加えられ得る。テストは、多孔性のための類似の効果が予期され得ることを示した。しかしながら、トリミング工程からの(生の)バンドラ屑が十分な量において利用可能であるため、この(生の)バンドラ屑を使用することが好ましい。
図1