(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】CNTパルプのネットワークにより画定された構造物を製造するための系および方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20231205BHJP
H01G 11/36 20130101ALI20231205BHJP
C01B 32/158 20170101ALI20231205BHJP
C23C 16/22 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01G11/36
C01B32/158
C23C16/22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022030702
(22)【出願日】2022-03-01
(62)【分割の表示】P 2019546761の分割
【原出願日】2017-11-07
【審査請求日】2022-03-01
(32)【優先日】2016-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514257262
【氏名又は名称】ナノコンプ テクノロジーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャウアー,マーク・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ゼイラ,エイタン
(72)【発明者】
【氏名】ガイラス,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ブライアン
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-025077(JP,A)
【文献】特開2012-221672(JP,A)
【文献】特開2010-244911(JP,A)
【文献】特表2009-507338(JP,A)
【文献】特表2010-538444(JP,A)
【文献】特表2015-513799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0178543(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102683644(CN,A)
【文献】特表2010-525549(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0310941(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0104551(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0256451(US,A1)
【文献】特開平05-246786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M、H01G、C01B、C23C
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学蒸着法(CVD)反応器中に一定量のCNTパルプを投入する工程と、
前記CVD反応器内の前記CNTパルプ上にシランガスを流す工程と、
前記CNTパルプをシリコンのナノスケール層で被覆するために、前記CNTパルプを加熱する工程と
を含み、前記CNTパルプは、
1mm超の長さを有する
CNTから得られた相互接続されたカーボンナノチューブの3次元の拡張ネットワークを
有する、前記CNTパルプ上にナノスケールのシリコン層を形成する方法。
【請求項2】
更に、前記CVD反応器内の前記CNTパルプ上に、前記シランガスと一緒にアルゴンガスまたは水素ガスの少なくとも一方を流す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコン被膜の前記ナノスケール層は50ナノメートル未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CVD反応器は、ホットウォール抵抗加熱炉であり、そして前記加熱する工程は更に、前記CVD反応器を抵抗加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CVD反応器は、コールドウォール流動床反応器であり、そして前記CNTパルプを加熱する工程は更に、誘電加熱またはマイクロウェーブ加熱のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本開示は、カーボンナノチューブ(CNT)パルプネットワークを製造するための組成物(compositions)および方法、そして具体的には、CNTパルプのネットワークが画定する構造物、に関する。
【0002】
技術分野
本願は、これにより、この特許の内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする、2016年11月15日に出願された、米国特許出願(USC Utility Application)第15/351,912号に対する恩典および優先権を請求する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池(LiB)およびスーパーキャパシター(SC)のような、充電式エネルギー蓄積装置(ESD)は、電子装置に広く使用される。しかし、ESDは一般に、限られた厚さと容量をもつ、エネルギー貯蔵活性物質を有する硬い構造物である。更に、LiBカソード中の活性物質は一般に、固有の導電率を、ほとんどもしくは全くもたない金属酸化物である。前記カソードの活性物質全体に電子を伝達するためには、導電添加剤を使用しなければならない。現在の技術は、前記導電添加剤として、前記カソードの活性物質層の使用可能な厚さを限定する場合がある、ある形態のカーボンブラック(CB)を使用している。より厚い活性物質層は一般に、前記必要な導電率を達成するために、より多量のCBを必要とする。しかし、CBの濃度が約5重量%を超えると、前記材料は機械的に不安定になり、乾燥するとマッドクラックする(mud-crack)であろう。これは、前記カソード層の厚さを約100ミクロン未満に限定し、それにより、フル充電電池(full battery)に必要な容量を達成するために、多数の層を必要とする。各層は、エネルギー貯蔵容量に寄与しない空間を占居し、重量を付加する場合があるセパレーターおよび集電体をもたなければならない。より厚い活性層を有することは、前記電池中の層の数および従ってセパレーターの数を低減させ、従って全体的電池のセルの容積および重量的容量(gravimetric capacity)の増加をもたらすと考えられる。
【0004】
粉末形態の、十分に分離された、短い、(<100ミクロンの長さの)カーボンナノチューブが、LiBカソード内の導電添加剤として使用されて来、そしてカーボンブラックより約3分の1の低濃度で前記活性物質において電子伝達のための浸透閾値(percolation threshold)を達成した。しかし、これらの粉末化CNTは、機械的強度に改善を提供しなかった。
【発明の概要】
【0005】
幾つかの実施態様において、構造物が提供される。該構造物は、相互接続されたカーボンナノチューブ(CNT)パルプのネットワークにより画定された本体を含み、前記CNTパルプは、前記構造物全体の電子伝達を可能にするために十分な量を提供される。前記構造物はまた、前記CNTパルプネットワーク内に分散された結合物質を含む。前記構造物はまた、イオンの貯蔵のための、前記本体全体に分布された活性物質を含む。
【0006】
幾つかの実施態様において、構造物を形成する方法が提供される。該方法は、カーボンナノチューブ(CNT)パルプを、結合剤、活性物質および溶媒と混合して、分散物を形成する工程を含む。前記方法はまた、前記分散物を基板に適用する工程を含む。前記方法
はまた、前記分散物を硬化して、CNTパルプネットワークをその中に形成されている構造物を形成する工程を含み、前記CNTパルプは前記ネットワークを介して前記構造物全体の電子伝達を可能にするために十分な量を提供される。
【0007】
幾つかの実施態様において、エネルギー蓄積装置が提供される。前記エネルギー蓄積装置は1つのハウジングを含む。前記エネルギー蓄積装置はまた、前記ハウジング内に配置された第1の集電体を含む。前記エネルギー蓄積装置はまた、第1の集電体と電気的に接続された第1の構造物を含む。第1の構造物は、相互接続したカーボンナノチューブ(CNT)パルプの第1のネットワークにより画定された第1の本体を含み、前記CNTパルプは、第1の構造物全体の電子伝達を可能にするために十分な量を提供される。第1の構造物はまた、第1のCNTパルプネットワーク内に分散された第1の結合物質を含む。第1の構造物はまた、イオン貯蔵のために第1の本体全体に分散された第1の活性物質を含む。
【0008】
前記エネルギー蓄積装置はまた、前記ハウジング内に配置された第2の集電体を含む。前記エネルギー蓄積装置はまた、第2の集電体と電気的に接続した第2の構造物を含む。
【0009】
第2の構造物は、相互接続されたカーボンナノチューブ(CNT)パルプの第2のネットワークにより画定された第2の本体を含み、前記CNTパルプは、第2の構造物全体の電子伝達を可能にするために十分な量を提供される。第2の構造物はまた、第2のCNTパルプネットワーク内に分散された第2の結合物質を含む。第2の構造物はまた、イオン貯蔵のために、第2の本体全体に分布された第2の活性物質を含む。前記エネルギー蓄積装置はまた、第1および第2の構造物間の直接的電気接触を妨げ、そして第1および第2の構造物間のイオンの通過を可能にするために、第1の構造物と第2の構造物との間に挿入配置されたセパレーターを含む。
【0010】
幾つかの実施態様において、前記CNTパルプ上にナノスケールのシリコン層を形成する方法が提供される。前記方法は、「化学蒸着法(CVD)」反応器中に一定量のCNTパルプを投入する工程を含む。前記方法はまた、前記CVD反応器内の前記CNTパルプ上にシランガスを流す工程を含む。前記方法はまた、前記CNTパルプをシリコンのナノスケール層で被覆するために前記CNTパルプを加熱する工程を含む。
【0011】
本開示の実施態様は、添付図を参照して更に説明される。示される図面は必ずしも実測値に基づかないが、その代り、全般的に、本開示の実施態様の原理を説明することに重点が置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、様々な実施態様に従う、CNTパルプネットワークにより画定された構造物を形成する方法を表わすフロー図である。
【
図2】
図2は、様々な実施態様に従う、CNT材料の、十分に絡み合ったネットワークの直接的回収用システムを表わす図である。
【
図3】
図3は、様々な実施態様に従う、CNTパルプを形成する方法を表わすフロー図である。
【
図4】
図4は、様々な実施態様に従う、CNTパルプネットワークにより画定された構造物の一部の顕微鏡画像である。
【
図5】
図5は、様々な実施態様に従う、CNTパルプネットワークにより画定された構造物を含む、エネルギー蓄積装置を表わすブロック図である。
【
図6】
図6は、様々な実施態様に従う、様々なリチウム鉄リン酸塩カソードの複合体(composites)の固有抵抗(resistivity)を表わすプロットである。
【
図7】
図7は、様々な実施態様に従う、様々なカソード組成物(compositions)のカソードの放電容量を表わすプロットである。
【
図8】
図8は、様々な実施態様に従う、様々なカソード負荷物(loadings)および組成物のカソードの放電容量を表わすプロットである。
【
図9】
図9Aはたわみ(flexure)を受けている従来のカソードの画像である。
図9Bは、様々な実施態様に従う、たわみを受けているCNTパルプネットワークにより画定された構造物の画像である。
【
図10】
図10は、様々な実施態様に従う、様々なアノード組成物のアノード容量を表わすプロットである。
【
図11】
図11は、様々な実施態様に従う、ナノスケールシリコンを形成する方法を表わすフロー図である。
【0013】
上記図面は本開示を示すが、考察で特記されるように、他の実施態様もまた想定される。本開示は、表明により説明的実施態様を提示し、限定を意味しない。本開示の原理の範囲および趣旨の内に入る、幾多の、他の改変および実施態様が当業者により考案される場合がある。
【0014】
詳細な説明
様々な実施態様に従って、その中にカーボンナノチューブ(CNT)パルプネットワークを有する構造物を製造するための、改善された組成物および方法が提供される。様々な実施態様に従って、前記組成物および方法は、CNTパルプネットワークにより画定された本体と、活性物質と、前記活性物質および前記CNTパルプネットワークを結合する結合剤とを有する構造物を含む場合がある。幾つかの実施態様において、前記構造物は、活性物質と、溶媒と、結合剤との中に分散されたCNTパルプを含む分散物を硬化する工程により形成される場合がある。
【0015】
幾つかの実施態様において、前記構造物は、CBまたは粉末CNTのいずれよりもずっと低い濃度で、前記活性物質全体の電子伝達のための浸透閾値を達成する、十分に絡み合った(well-entangled)CNTの複数の束から形成される、相互接続ネットワークを取り入れる。幾つかの実施態様において、長いCNT(>1mm)を含む、分枝状の、束状の、そして十分に分散されたCNTパルプの十分に絡み合ったネットワークは、カーボンブラックより約8ないし16分の1に低い濃度で、LiBに対する前記の必要な導電性およびイオン伝導性を提供し、そして更に、より厚いカソード、柔軟な電池、並びに進歩したアノードおよびカソードの化学、を可能にする機械的支持体を提供する場合がある。
【0016】
本明細書で使用される浸透閾値(percolation threshold)は、前記構造物全体に導電性および熱伝導性を提供するために十分な、導電添加剤(カーボンブラックまたはCNTパルプのような)の濃度または重量百分率を表わす。すなわち、前記浸透閾値を超えると、前記導電添加剤は、前記構造物全体に導電性および/または熱伝導性を提供するために十分に接続されている。導電性の場合には、前記相互接続導電添加剤は、前記活性物質全体の電子伝達を可能にする。それに対し、前記浸透閾値未満においては、前記の相互接続導電添加剤間の長距離接続性は、前記構造物全体に導電性を提供するためには不十分であり、従って、電子伝達は、たとえあったとしても、前記活性物質の狭い、局所的部分に限られる。
【0017】
本開示に記載される十分に絡み合ったネットワークはまた、より厚いカソードと、アノードにおけるナノスケールシリコン添加物と、前記構造物の柔軟性とを可能にするための改善された機械的強度を与える。幾つかの実施態様において、前記構造物は、電池またはキャパシターのような「エネルギー蓄積装置ESD」のカソード、アノードまたは電極の
うちの1種以上を含む場合がある。
【0018】
図1を参照して、様々な実施態様に基づいて、構造物を形成する方法200が提供される。方法200は、分散物を形成するために、カーボンナノチューブ(CNT)パルプを、結合剤、および活性物質、および溶媒と混合する工程201を含む。方法200は更に、前記分散物を基板に適用する工程203を含む。方法200は更に、その中に前記構造物の浸透閾値を超える長距離接続性を有するCNTパルプネットワークが形成されている構造物を形成するために、前記分散物を硬化する工程205を含む。
【0019】
混合工程201は、例えばFlacktek(登録商標)二重非対称遠心分離実験室ミキサーのような高剪断ミキサーを使用して、例えば、CNTパルプと、結合剤と、活性物質と、溶媒とを一緒に混合する工程を含む場合がある。幾つかの実施態様において、混合工程201は単一工程を伴う場合がある。幾つかの実施態様において、混合工程201は2工程を含む場合がある。例えば、様々な実施態様に従って、混合工程201は、最初に前記CNTパルプを前記結合剤および前記溶媒と混合して前記分散物を形成する工程と、次に、前記分散物に、前記活性物質および/または更なる溶媒を添加する工程と、再度混合する工程とにより実施される場合がある。幾つかの実施態様において、最初に前記CNTパルプを、前記結合剤および前記溶媒とともに混合する工程は、前記分散物全体に前記CNTパルプと前記結合剤の実質的に均一な分配を達成するために必要な時間にわたり、あらゆる適切な速度で前記高剪断ミキサーを運転することにより実施される場合がある。例えば、3、000センチポアズ以上のあらゆる粘度を含むあらゆる適切な粘度を有する、CNTパルプ、結合剤、および溶媒の前記分散物が調製される場合がある。幾つかの実施態様において、本分散物は、良好な分散を達成するために、非常に高い粘度、例えば約20,000ないし約250,000センチポアズを示す場合がある。このような高粘度は、硬化前の長期貯蔵期間中に、前記分散物内の前記CNTパルプの凝集を防止する場合がある。従って、幾つかの実施態様において、このような高粘度を有する前記CNTパルプと、前記結合剤と、前記溶媒とから形成される分散物は、後の時間に(例えば、倉庫貯蔵および/または発送後に)前記活性物質および溶媒と合わされ、そして混合されて前記分散物を完成する場合がある。
【0020】
幾つかの実施態様において、前記活性物質が添加され、混合される場合、前記分散物は希釈されて、適用工程(203)および硬化工程(205)に適した粘度の分散物を生成する場合がある。幾つかの実施態様において、前記CNTパルプネットワークの形成を促進し、そして適用および硬化に適した下流のコンシステンシーを提供して(例えば、適用203および硬化205の工程におけるような)前記構造物を形成するために、前記分散物は、適用および硬化のために、例えば、約3,000ないし約6,000センチポアズの粘度を有する分散物に希釈される場合がある。幾つかの実施態様において、CNTパルプの実質的に均一な分配を維持し、そして前記の十分に絡み合ったネットワークの形成を維持し、促進するために、前記の高粘度分散物は前記の所望粘度まで、連続的に希釈される場合がある。すなわち、幾つかの実施態様において、前記所望粘度(例えば、3,000ないし6,000センチポアズ間)を達成するために必要な溶媒の総量の一部が添加され、そして、前記活性物質と混合され、次に前記溶媒の更なる部分が添加、混合される場合がある。この方法は、前記の所望粘度および、従って前記所望分散物が達成されるまで反復される場合がある。
【0021】
幾つかの実施態様において、前記CNTパルプは複数のCNTを含む場合がある。現在、ナノチューブを成長させ、そして前記パルプの原料として働くためのこれらのナノチューブから製造される糸、シートまたはケーブル構造物を形成するための複数の方法およびそれらのバリエーションが存在する。これらは、(1)ほぼ常圧または高圧において、そして約400℃を超える温度で起こる場合がある一般的な方法の、「化学蒸着法(CVD
)」、(2)高い完成度を有するチューブを与える場合がある高温法の「アーク放電法」、および(3)「レーザーアブレーション法」:を含む。
【0022】
幾つかの実施態様において、CVD法または当該業界で知られた類似の気相熱分解法は、カーボンナノチューブを含む適切なナノ構造物を形成するために使用される場合がある。CVD法用の成長温度は、比較的低い範囲、例えば約400℃ないし約1350℃の場合がある。幾つかの実施態様において、単層(SWNT)または多層(MWNT)両方のカーボンナノチューブ(CNT)は、試薬の炭素含有ガス(すなわち、気体炭素源)の存在下に、ナノスケールの触媒粒子を曝露することにより成長させられる場合がある。とりわけ、前記ナノスケール触媒粒子は、既存の粒子の添加か、金属有機物(metal-organic)前駆体または非金属触媒からの前記粒子のIn situ合成かのいずれかにより、前記試薬の炭素含有ガス中に導入される場合がある。SWNTおよびMWNT両者が成長する場合があるが、特定の場合には、比較的高い成長速度およびロープ様構造を形成する傾向のために、SWNTが選択される場合があり、取り扱い、熱伝導度、電子的性質および強度での利点を提供する場合がある。
【0023】
本発明と関連して生成される個々のカーボンナノチューブの強度は、例えば、約30GPa以上である場合がある。注目すべきことには、強度は欠陥に感受性である。しかし、本発明において二次加工されたカーボンナノチューブの弾性率は欠陥に感受性ではない場合があり、そして約1ないし約1.2TPaの間にわたる場合がある。更に、一般的に構造物感受性パラメーターである場合があるこれらのナノチューブの破損歪(strain
to failure)は、本発明において、約10重量%ないし最大約25重量%の範囲の場合がある。
【0024】
更に、本発明のナノチューブは比較的小さい直径を提供される場合がある。本発明の1つの実施態様において、本発明において二次加工されたナノチューブは、1nm未満から約30nmまでの範囲の粒径を提供される場合がある。本発明の1つの実施態様に基づいて製造されたカーボンナノチューブは、市販のカーボンナノチューブに比較されると、長さが延長される(すなわち長いチューブである)場合があることは認められなければならない。本発明の1つの実施態様において、本発明で製作されたナノチューブは、ミリメートル(mm)範囲の長さで提供される場合がある。
【0025】
本願全体にわたり、炭素から合成されたナノチューブに言及されているが、窒化ホウ素、MoS2またはそれらの組み合わせのような1種以上の他の化合物が、本発明と関連したナノチューブの合成に使用される場合があることは特記しなければならない。例えば、窒化ホウ素ナノチューブもまた、成長される場合があるが、異なる化学的前駆体による場合があることは理解されなければならない。更に、個々のカーボンナノチューブにおける固有抵抗を低下させるために、ホウ素および/または窒素が使用される場合があることを特記しなければならない。更に、プラズマCVD等のような他の方法もまた、本発明のナノチューブを製作するために使用される場合がある。
【0026】
幾つかの実施態様において、前記CNTパルプは、例えば
図3を参照して以下に更に詳述される通りに形成される、CNTパルプを含む場合がある。幾つかの実施態様において、前記CNTパルプは、前記構造物の機械的性質および安定性を高めながら、前記構造物全体に長距離の電気接続性を有する(すなわち、前記構造物の浸透閾値を超える)導電補助物を提供するための三次元CNTパルプネットワークを形成することが可能な、あらゆるCNTパルプの場合がある。一般に、前記CNTパルプは、あらゆるCNTシート、CNTストリップ、CNTテープ、複数のバルク回収CNT、CNT糸、他のいずれかの適切な、十分絡み合ったCNT材料、またはそれらの組み合わせから製造される場合がある。
【0027】
幾つかの実施態様において、前記CNT材料は、様々な実施態様に基づいて、この特許の内容全体を本願明細書に引用したものとする、米国特許第8,999,285号明細書に記載された通りの、「浮遊触媒化学蒸着法(FV-CVD)」により製造される場合がある。CNT製造の前記FV-CVD法は、それらが形成されるときに、気相にある間に十分に絡み合った、非常に長いナノチューブ(>100ミクロン)をもたらす場合がある。前記CNT材料は前記の炉の高温領域を出るときに、前記ナノチューブは、絡み合い、束になり、その上、他のCNTの生成法によって得ることは不可能な、相互接続され、分枝化した束の拡張ネットワークに凝集する。幾つかの実施態様において、FV-CVDにより製造された相互接続CNTの拡張ネットワークは、前記パルプ化工程を通して保持され、従って従来のカーボンブラックおよびCNT粉末に比較して、電気的および機械的性質が改善される。
【0028】
図2を参照して、幾つかの実施態様において、CNT材料は、回収システム2000により前記FV-CVD反応器から回収される場合がある。幾つかの実施態様において、システム2000は、合成室2001に連結される場合がある。合成室2001は概して、反応ガスがその中に供給される場合がある入口端2001a、延長された長さのナノチューブの合成が起こる場合がある高温領域2002、および、前記反応の生成物、すなわち、前記の延長した長さのナノチューブと排気ガスがそこから排出しそして回収される場合がある出口端2001bを含む。幾つかの実施態様において、合成室2001は、前記高温領域2002中を延伸する石英管2003を含む場合がある。
図2に一般的に図示されているが、合成室2001のデザインには他の形態が使用される場合があることを認めなければならない。
【0029】
幾つかの実施態様において、前記システム2000はハウジング2005を含む。
図2に図示される通りのハウジング2005は、合成室2001内から環境中への有害な可能性がある空中の粒状物の放出を最少にし、そして酸素が前記システム2000中に侵入して前記合成室2001に到達することを防止するために、実質的に気密性の場合がある。とりわけ、合成室2001内の酸素の存在は、完全性(integrity)に影響を与え、そして前記ナノチューブの生産を危うくする場合がある。
【0030】
システム2000はまた、合成室2001の出口端2001bを実質的に気密なやり方で嵌合するためのハウジング2005の入口2005aを含む場合がある。幾つかの実施態様において、前記CNT材料が合成室2001を排出するときに、前記ナノチューブは絡み合い、束になり、その上、相互接続した、分枝化する束の拡張ネットワークに凝集する。幾つかの実施態様において、これらの拡張ネットワークは、そよ風により膨張された吹き流しに類似の形状の、中空のCNT「ソックス」を形成する傾向をもつ。従って、前記CNTは、
図2に示される通り、回転メッシュ円板2009上にCNTソックス2007を吸引し(例えば、円板2007の裏側上への真空吸引により)そして、メスまたは「医師」のナイフ2011により回転円板2009から前記CNTを取り除くことにより、合成室2001からハウジング2005内に回収される場合がある。とりわけ、CNTソックス2007が回転メッシュ円板2009上に吸引されるときに、前記CNT材料は円板2009上に膜を形成し、次に、CNTソックス2007の新規部分が円板2009上に吸引されるときに、ブレード2011がそれをこすり落とし、切断する。次に、前記CNT材料は回収ビン2015か、その後のパルプ化のための他の回収容器かの中に、落下するか、あるいはそれに運搬される場合がある。
【0031】
幾つかの実施態様において、前記真空吸引は、ガスおよび熱がそれを通ってハウジング2005を排出する場合がある少なくとも1つのガス排出口2013の一部として提供される場合がある。1つの実施態様において、排出口2013から排出するガスは、水のよ
うな液体、または、排気2007の上流で回収されなかったナノ物質を回収するためのフィルター中を通過させられる場合がある。更に、前記排気ガスは、前記排気ガスの様々な成分を不活化するために、火炎で処理される場合があり、例えば反応性水素は酸化されて水を形成する場合がある。
【0032】
回転円板2009の回収機構を有する回収システム2000に関して以上説明したが、本開示に照らして、幾つかの実施態様において、前記の、十分に絡み合ったCNTネットワークを破壊せずに、前記FV-CVD環境から前記CNT材料を回収、除去するあらゆる方法が、様々な実施態様に従って使用される場合があることは明白であろう。例えば、幾つかの実施態様において、FV-CVDによりもたらされるCNT材料の回収は、米国特許第7,993,620号および同第8,722,171号明細書に記載の通りの、(例えば、回収されたCNTを一緒に撚ることによる)CNT糸またはトウ(tow)の形成および/またはCNTシートの形成により実施される場合がある。前記特許のそれぞれは、その内容全体が本願明細書に取り込まれる。
【0033】
幾つかの実施態様において、前記CNT材料は、最初に鉄その他の含有物を含む場合がある。幾つかの実施態様において、このような含有物は望ましくなく、好ましくはパルプ化の前に除去される場合がある。例えば、幾つかの実施態様において、鉄含有物は、前記CNT材料を、不活性雰囲気または還元性雰囲気内で高温(例えば、約1800℃)まで加熱することにより、前記CNT材料から排除される場合がある。このような温度において、前記の鉄は前記CNT材料から蒸発除去され(distilled out)、より冷たい表面上に再固化される場合がある。幾つかの実施態様において、含有物のこのような除去は、例えば、上述されたFV-CVD反応器のようなCVD反応器、または例えば米国特許第8,999,285号および同第7,993,620号明細書に記載されたいずれかのCNT反応器内で実施される場合がある。
【0034】
幾つかの実施態様において、例えば鉄含有物のような含有物は、前記CNT材料を大気中で約500℃に加熱することにより除去されて、処理される場合がある。例えば、幾つかの実施態様において、前記CNT材料は、大気中で約2時間、前記500℃に加熱され、次に、塩酸で処理されて、鉄含有物を除去される場合がある。
【0035】
幾つかの実施態様において、前記CNTパルプは、例えば、あらゆるCNTシート、CNTストリップ、CNTテープ、バルク回収CNT、CNT糸、本明細書に上述されたあらゆるCNT材料、あらゆる、他の、適切な、十分絡み合わされたCNT材料またはそれらの組み合わせのようなあらゆる適切なCNT材料から形成される場合がある。
図3を参照して、様々な実施態様に基づいてCNTパルプを形成するための方法1100が提供される。方法1100は、CNTパルプを形成するための、CNTシート、CNTストリップ、CNTテープ、バルク回収CNT、CNT糸、あらゆる十分絡み合わされたCNT材料、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を、パルプ化装置により、パルプ化する工程1101を含む。前記方法はまた、前記CNTパルプの少なくとも一部を、第1の粉砕機において粉砕する工程1103を含む。前記方法はまた、第2の粉砕機において、前記CNTパルプを離解する(disaggregate)工程1105を含む。
【0036】
パルプ化工程1101は、様々な実施態様に従って、パルプ化装置中に、ストリップもしくはシートまたは直接回収されたCNT材料を投入し、そして前記物質をパルプ化して、CNTパルプを形成する工程により実施される場合がある。パルプ化装置は様々な実施態様に基づいて、例えば、Hollanderビーター、円錐形リファイナー、スタンプミルまたはあらゆる他の適切な機械的パルプ化装置またはそれらの組み合わせを含む場合がある。
【0037】
様々な実施態様に基づいて、前記CNTパルプはパルプの粒度を確認するために試験される場合があり、次に使用者はパルプ化工程を継続するべきかどうか決定する場合がある。幾つかの実施態様において、前記CNTパルプは、該CNTパルプを脱水して、例えばCNTのプレスケーキを形成することにより、(例えば、粉砕工程1103におけるような)粉砕のための準備をされる場合がある。
【0038】
幾つかの実施態様において、前記CNTパルプは次に、更なる加工のために乾燥される場合がある。乾燥は、例えば、空気乾燥、オーブン乾燥、真空オーブン乾燥により、または、他のいずれかの適切な乾燥法により実施される場合がある。幾つかの実施態様において、前記CNTパルプ粒子は、約90℃から約110℃まで温度のオーブン内で約4ないし約12時間にわたり乾燥される場合がある。
【0039】
様々な実施態様に基づく前記粉砕工程1103は、前記CNTパルプをCNTパルプ粒子に破壊するために粉砕機を使用することにより実施される場合がある。幾つかの実施態様において、前記粉砕機によって前記CNTパルプの粒度は変らず、次の乾燥のために、CNTパルプの比較的大きな固まりを、構成要素のCNTパルプ粒子に分解するだけである。幾つかの実施態様において、前記粉砕機は、例えば、コーヒー粉砕機、工業用バーミル(burr mill)、それらの組み合わせ、または他のいずれかの適切な粉砕装置を含む場合がある。
【0040】
幾つかの実施態様において、前記CNTパルプは、前記CNTパルプのイオン伝導率を高めるために化学的に修飾され、そして/または、被覆される場合がある。このような化学的修飾物は、例えば、ポリシラザン、ポリ尿素シラザン、導電ポリマー、ポリアミン、ポリチオフェン、ポリアミドによる浸透物(infiltration)、カルボキシレートもしくはアミン官能基を導入するための化学的修飾物、イオン伝導率を高めるために適するあらゆる修飾物、またはそれらの組み合わせを含む場合がある。幾つかの実施態様において、前記化学的修飾および/または被覆は、粉砕工程1103の後に、しかし離解工程1105の前に実施される場合がある。しかし、本開示に照らして、前記化学的修飾および/または被覆は、例えば、パルプ化工程1101の前、パルプ化工程1101の後、しかし粉砕工程1103の前、粉砕工程1103の後、しかし離解工程1105の前、離解工程1105の後、またはそれらの組み合わせを含むあらゆるときに実施される場合があることは明白であろう。更に、本開示に照らして、幾つかの実施態様において、前記化学的修飾および/または被覆は、前記パルプ化工程全体の異なる地点における段階で実施される場合があり、そして/または、複数の修飾物および/または被膜を適用する場合があることは明白であろう。
【0041】
第2の粉砕機における前記CNTパルプを離解する工程1105は、第2の粉砕機(例えば、コーヒー粉砕機、工業的バ-ミル、それらの組み合わせ、または他のいずれかの適切な粉砕装置)に前記乾燥CNTパルプを添加することにより実施される場合がある。幾つかの実施態様において、離解工程1105はまた、前記乾燥CNTパルプを粉砕して、あらゆる残留する固まりまたは凝集物(agglomerations)を粉砕し、それにより前記CNTパルプの量を増加して前記CNTパルプを形成する工程を含む。幾つかの実施態様において、離解工程1105は、粉砕工程1103において製造された前記粉砕CNTパルプの容量の約5ないし約15倍を有するCNTパルプを製造する場合がある(すなわち、前記粉砕CNTパルプは、前記離解CNTパルプより約5倍ないし約15倍、濃密である)。前記CNTパルプを離解する工程1105は好都合には、前記CNTパルプのより広い表面積およびより良い分散を提供する。凝集物(clumping)を低減または回避することにより、前記CNTパルプの分散性は改善され、そして前記CNTパルプネットワーク形成中の前記固まり形成の危険性が低下する。それに対し、もし前記CNTパルプが十分に分散されない場合は、前記ナノチューブは固まり(clump)、
そして前記活性物質粒子を相互接続させるために、より大量の物質が必要とされ、それにより、活性物質の量を低減させ、従って、前記構造物の性能を低下させるであろう。
【0042】
再度、
図1を参照して、幾つかの実施態様において前記結合剤は、例えば、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)またはそれらの組み合わせ、のうちの1種以上を含む場合がある。より一般的には、前記結合剤は前記硬化構造物中の活性物質に前記CNTパルプを結合するために適するあらゆる物質である場合がある。
【0043】
幾つかの実施態様において前記溶媒は、例えば、n-メチル-2-ピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート、水、エタノール、シクロヘキシルピロリドン(CHP)、1-ベンジル-2-ピロリジノン(NBenP)、アニリン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンまたはそれらの組み合わせのうちの1種以上を含む場合がある(例えば、溶媒は、水と約5重量%ないし約10重量%のエタノールとの溶液である)。幾つかの実施態様において、前記溶媒はまた、水性分散液から生成されたアノード中に、最適なイオン伝導率のためのpHバッファーおよび微小構造物を含む場合がある。より一般的には、前記溶媒は、結合剤、CNTパルプおよび活性物質をその中に分散するためのあらゆる適切な流体を含む場合がある。
【0044】
様々な実施態様に基づいて、前記分散物は、CNTパルプ、結合物質および溶媒のあらゆる流体混合物を含む場合がある。幾つかの実施態様において、前記分散物は、前記溶媒中に分散された約0.1重量%ないし約2重量%のCNTパルプおよび約0.4重量%ないし約15重量%の結合物質を含む場合がある。例えば幾つかの実施態様において、前記分散物は、NMP溶媒中に分散された約0.8重量%のCNTパルプおよび約4.8重量%の結合剤を含む場合がある。幾つかの実施態様において前記分散物は、5重量%エタノールと水との溶媒溶液中に分散された、約1.0重量%のCNTパルプおよび約4.5重量%の結合剤を含む場合がある。
【0045】
混合工程203は、例えば、活性物質および更なる溶媒を、前記分散物と混合して別の分散物を形成する工程を含む場合がある。様々な実施態様に基づいて、前記活性物質は、前記高剪断ミキサー(または更なる高剪断ミキサー)を使用して、前記の更なる溶媒および前記活性物質を前記分散物と混合する工程を含む場合がある。様々な実施態様に基づいて、前記混合工程は、前記溶媒中に前記活性物質の前記分散物との実質的に均一な混合を達成するために必要な一定期間にわたり、あらゆる適切な速度で前記高剪断ミキサーを運転する工程により実施される場合がある。幾つかの実施態様において、前記CNTパルプ粒子はそれにより(例えば、
図3に示され、以下に更に詳述される通りに)前記活性物質と結合しそして絡み合い、それにより前記三次元のCNTパルプネットワークを一部形成する場合がある。
【0046】
幾つかの実施態様において、前記活性物質は、例えば、リチウム鉄リン酸塩(LFP)、ニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リチウムコバルト酸化物(LCO)、リチウムマンガン酸化物(LMO)、ナノスケールシリコン、黒鉛またはそれらの組み合わせのうちの1種以上を含む場合がある。より一般的には、前記活性物質は、電気エネルギーを貯蔵するために、正もしくは負の電荷を維持するために適するあらゆる物質である場合がある。
【0047】
幾つかの実施態様において、前記分散物は、前記溶媒中に分散された、約0.1重量%ないし約2重量%のCNTパルプ、約1重量%ないし約5重量%の結合物質、および約10重量%ないし約50重量%の活性物質を含む場合がある。例えば、幾つかの実施態様において、前記分散物は、NMP溶媒中に分散された、約0.25重量%のCNTパルプ、
約1.0重量%の結合剤、および約50重量%の活性物質を含む場合がある。他の実施態様において、前記分散物は、約pH=3にバッファーされた水中に、約0.5重量%のCNTパルプ、約2.2重量%の結合剤、約50重量%の活性物質、約5重量%のエタノールを含む場合がある。
【0048】
基板に前記分散物を適用する工程203は、例えば、医師のメス、ナイフ、金ごて、分配装置(dispenser)またはそれらの組み合わせのうちの1種以上を使用して実施される場合がある。より一般的には前記の適用工程は、基板上に前記分散物を分配可能なあらゆる適切な装置またはシステムを使用して実施される場合がある。
【0049】
様々な実施態様に基づいて、前記基板は、1つの表面を有し、そして前記分散物と化学的に相容性のあらゆる物質を含む場合がある。例えば、幾つかの実施態様において、1種以上の前記基板は、集電体、カソード集電体、アノード集電体、アルミニウムフォイルもしくはプレート、銅フォイルもしくはプレート、ステンレス鋼フォイルもしくはプレート、他のいずれかの適切な金属のワイアもしくはフォイル、CNTシート、テープ、糸、ワイア、グラフェン、黒鉛の形態の炭素材料(carbon material)またはそれらのあらゆる組み合わせを含む場合がある。幾つかの実施態様における、それらに代わる基板は、前記分散物がその上に硬化され後に除去される場合がある、テフロンその他のシートを含む場合がある。例えば、幾つかの実施態様において、アノードまたはカソード集電体は、前記アノードまたはカソード構造物と統合される場合があり、従って、前記アノードまたはカソード構造物は前記テフロンその他の除去可能なシート上に硬化され、次に、その後の加工および使用のために除去される場合がある。
【0050】
前記分散物を硬化して、その中にCNTパルプネットワークを形成されている構造物を形成する工程205は、様々な実施態様に基づいて、前記分散物を空気乾燥または加熱する工程のうちの1つ以上により実施される場合がある。幾つかの実施態様において、前記分散物は165℃で2時間空気乾燥される。
【0051】
様々な実施態様に従って、前記構造物は、一旦硬化されると前記活性物質全体に三次元的に拡張する場合がある、CNTパルプネットワークと、該CNTパルプネットワークを前記活性物質と結合する結合物質とにより画定された、本体を含む場合がある。例えば、今度は
図4を参照して、様々な実施態様に基づいて、活性物質303を前記CNTパルプと結合ネットワークとに結合する、CNTパルプおよび結合ネットワーク301を含む構造物300の走査電子顕微鏡画像が提供される。
【0052】
前記CNTパルプネットワーク301は、例えば、
図3を参照して更に詳述された通りに製造された、CNTパルプから形成される場合がある。一般に前記CNTパルプは、前記構造物の機械的性質および安定度を高めながら、前記構造物全体に長距離の電気接続性を有する(すなわち、前記構造物の浸透閾値を超える)導電補助体を提供するために三次元のCNTパルプネットワーク301を形成することが可能なあらゆるCNTパルプである場合がある。
【0053】
図4の画像に示される構造物300は、NMC活性物質中に約0.5重量%のCNTパルプおよび約3重量%のPVDF結合剤の特定の組成物を含むが、様々な実施態様に従う構造物はこの組成物に限定はされない。例えば、本明細書に記載されるあらゆる構造物は様々な実施態様に従って使用される場合がある。更に、本開示に照らして、前記CNTパルプネットワーク301が、(例えば約0.5重量%のCNTパルプにおける)前記構造物300の浸透閾値を超え、そして前記構造物300に、物質の高められた性質を提供するために十分な量で存在することを条件として、様々な実施態様に従って、材料のあらゆる組み合わせ、材料のあらゆる比率、および/または、あらゆる幅、高さ、厚さまたは形
状を有するあらゆる組成物を使用する場合があることは明白であるろう。
【0054】
図5を参照して、エネルギー蓄積装置(ESD)100は、様々な実施態様に従って、第1の活性層101に接続した第1の集電体102と、第2の活性103に接続した第2の集電体104と、その中間に挿入されたセパレーター105とを含む。
【0055】
第1および第2の集電体102、104は、様々な実施態様に従って、アルミニウムフォイル、銅フォイル、ステンレス鋼フォイル、他のいずれかの適切な金属のワイアもしくはフォイル、CNTシート、テープ、糸、ワイア、グラフェン、黒鉛の形状の炭素物質、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む場合がある。幾つかの実施態様において、明白に分離された集電体は必要とされない場合があり、その代わりに、第1および第2の集電体102、104の一方もしくは両方が、第1もしくは第2の活性層101、103中に統合される場合がある。
【0056】
幾つかの実施態様において、第1の活性層101は、集電体102に接続される場合がある。第1の活性層101は、例えば、活性物質、結合剤、およびCNTネットワークを含む場合がある。幾つかの実施態様において、第1の活性層はまた、1種以上の性能向上物質を含む場合がある。幾つかの実施態様において、性能向上物質は、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、ポリマー、粉末ナノチューブ、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む場合があるがこれらに限定されない。幾つかの実施態様において、第1の活性層101は電池のカソードである場合があり、そして前記活性物質は、リチウム鉄リン酸塩(LFP)、リチウムコバルト酸化物(LCO)、ニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、硫黄、カプセル封入硫黄、ポリマー、電荷移動イオンを貯蔵する場合がある他のいずれかの物質、またはそれらの組み合わせを含む場合があるがそれらに限定はされない。
【0057】
幾つかの実施態様において、第1の活性層101は、スーパーキャパシターまたは擬似キャパシターにおける電極である場合があり、そして前記活性物質は、導電多孔質物質、例えば黒鉛、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、またはそれらのあらゆる組み合わせ、並びに、ルテニウム酸化物、イリジウム酸化物またはマンガン酸化物、またはそれらの組み合わせを含む場合がある遷移金属酸化物のような、レドックス動態を示す物質を含む場合があるがそれらに限定はされない。
【0058】
幾つかの実施態様において、前記結合剤は、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、その他の適切な可溶性もしくは分散性ポリマー、またはそれらの組み合わせを含む場合があるがそれらに限定はされない。
【0059】
幾つかの実施態様において、前記セパレーター105は、前記の2基の集電体102、104間の直接の電気的接触を抑制もしくは阻止する場合があるが、適当なイオン透過を可能にする場合がある。幾つかの実施態様において、前記セパレーターは、多孔質ポリエチレン(PE)および多孔質ポリプロピレン(PP)、ナイロン、ガラス繊維、窒化ホウ素ナノチューブ、またはそれらの組み合わせを含む場合があるがそれらに限定はされない。
【0060】
幾つかの実施態様において、第2の活性層103は、第2の集電体104に接続される場合がある。第2の活性層103は、活性物質、結合剤、および分散CNTネットワークを含む場合がある。幾つかの実施態様において、第2の活性層103はまた、性能向上物質を含む場合がある。幾つかの実施態様において、第2の活性層103は電池のアノードを含む場合があり、そして前記活性物質は、黒鉛、シリコン、ガリウム、錫酸化物、鉄酸化物、チタン酸化物、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む場合があるがそれらに限
定はされない。前記結合剤は、例えば、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、その他の適切な分散性ポリマー、またはそれらの組み合わせの場合がある。幾つかの実施態様において、第2の活性層103は、スーパーキャパシターまたは擬似キャパシター中の電極を含む場合があり、そして前記活性物質は、例えば、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、カーボンナノチューブまたはそれらのあらゆる組み合わせのような、導電多孔質物質を含む場合がある。
【0061】
幾つかの実施態様において、第1の活性層101は、
図1を参照して上述された方法に従って構成された構造物を含み、前記第1の活性層101は、約0.5重量%ないし約20重量%のCNTパルプ、例えば、約1.0重量%ないし約2.0重量%のCNTパルプ、約2重量%ないし約50重量%の結合剤、例えば、約2重量%ないし約5重量%の結合剤、および約30重量%ないし約97.5重量%の活性物質、の組成物を有する場合がある。例えば幾つかの実施態様において、第1の活性層101は、約0.5重量%のCNTパルプ、3重量%のPVDF(結合剤)および約96.5重量%の活性物質の組成を有する場合がある。
【0062】
幾つかの実施態様において、第2の活性層103は、
図1を参照して上述された方法に従って構成された構造物を含み、第2の活性層103は、約0.5重量%ないし約2重量%のCNTパルプ、約2重量%ないし約5重量%の結合剤、および、約10重量%ないし約95重量%のナノスケールシリコンの組成を有する場合がある。幾つかの実施態様において、第2の活性層103は更に黒鉛を含む場合があり、第2の活性層103は約7.5重量%ないし約87.5重量%の黒鉛を含む。例えば、幾つかの実施態様において、第2の活性層103は、約1重量%のCNTパルプ、約4.5重量%のCMC(結合剤)、約10重量%のナノスケールシリコンおよび約84.5重量%の黒鉛の組成を有する場合がある。
【0063】
図6は、様々な実施態様に従う様々なリチウム鉄リン酸塩カソード複合体のオーム-センチメートル単位の固有抵抗を表わすプロットである。とりわけ
図6は、リチウム鉄リン酸塩(LFP)活性物質中に約1重量%のカーボンブラックを分散されている従来のカソード複合体と、LFP中に約0.5重量%ないし約0.9重量%のCNT粉末を分散されている従来のカソード複合体と、本開示に基づく、LFP中に約0.1重量%ないし約0.6重量%のCNTパルプを分散されているカソード複合体との固有抵抗を比較している。
図6に示されるように、前記約0.6重量%のCNTパルプのカソード複合体は、前記従来のカーボンブラックおよび粉末CNT複合体よりも更に低い濃度(CNT粉末で約0.9重量%、および、カーボンブラックで1重量%に比較して約0.6重量%)で実質的に低下した固有抵抗(例えば、CNT粉末で約10オーム-cmおよびカーボンブラックで約30オーム-cmに比較して、約1オーム-cm)を示す。好都合には、低下した固有抵抗は、前記カソードのより速い充電および放電を可能にし、そしてより低い濃度の導電補助体は、前記カソード内に更なる活性物質を含ませ、それによりカソード容量を増加させる。
【0064】
幾つかの実施態様において、前記CNTパルプネットワークを形成するCNTパルプは好都合にも前記構造物の浸透閾値を超える場合がある。
図7は、様々な実施態様に基づいて、様々なニッケルマンガンコバルト(NMC)カソード組成物の、mAh/g単位のカソード容量を表わすプロットである。とりわけ
図7は、NMC中に分散された4重量%のカーボンブラックの従来の複合体と、NMC中約0.25重量%のCNTパルプの複合体と、NMC中約0.5重量%のCNTパルプの複合体と、NMC中約0.75重量%のCNTパルプの複合体とに対する様々なカソード放電率におけるカソード容量を示す。
図7に示されるように、前記約0.25重量%のCNTパルプ複合体は、完全な浸透閾値を達
成せず、従って2Cの放電率においては約50mAh/gの比較的低い容量を示す。しかし、C/2およびC/10のようなより低い放電率においては、約0.25重量%のCNTパルプの複合体は、従来技術の4重量%のカーボンブラック技術品の性能に釣り合うことが可能である。更に
図7に示されるように、他の複合体はそれぞれ、2Cの放電率において約110mAh/gの同様な容量を示すが、約0.5重量%のCNTパルプ複合体および約0.75重量%のCNTパルプ複合体は、C/10のような比較的低い放電率においては、比較的高い容量(前記カーボンブラックで約120mAhに比較して約140mAh)を示す。従って、
図7に示されるように、CNTパルプネットワークで形成された構造物は、2Cの放電率(高電力印加)に対して、従来のカーボンブラック組成物に比較して、8分の1の低い濃度の(すなわち、約0.5重量%対約4重量%)導電添加剤で浸透閾値を達成する場合がある。より低い電力印加に対しては、16分の1の低い濃度が適切である。
【0065】
幾つかの実施態様において、前記CNTパルプネットワークは前記カソードに、機械的性質の改善と、固有抵抗の低減とを与えるので、活性物質のより高い負荷を伴うカソードが形成される場合がある。
図8は、様々な実施態様に従う、1平方センチメートル当りのミリグラム単位のカソード物質の密度(mg/cm
2)により示される通りの、様々なカソード負荷物の、mAh/g単位のカソード容量を表わすプロットである。
図8はとりわけ、約21mg/cm
2の活性物質負荷を有するNMC中に分散された、約2.5重量%のカーボンブラックおよび約1.5重量%の黒鉛の従来の複合体と、約12mg/cm
2の活性物質の負荷を有するNMC中約0.5重量%のCNTパルプの複合体と、約21mg/cm
2の活性物質負荷を有するNMC中約0.5%重量CNTパルプの複合体とに対する様々なカソード放電率におけるカソード容量を表わす。
図8に示されるように、約2.5重量%のカーボンブラックおよび約1.5重量%の黒鉛の従来の複合体の厚さがより厚いために、前記従来の複合体は、約40mAh/gのカソード容量に対してより高い放電率2Cで破壊する。それに対し、より厚い約0.5重量%のCNTパルプ複合体は、より薄い約0.5重量%のCNTパルプ複合体とほぼ一致したカソード容量を示す(約12mg/cm
2の前記複合体で約120mAh/gに比較して、2Cの放電率における約110mAh/g)。
【0066】
前記カソード性能の改善は、前記CNTパルプネットワークが前記活性物質層の機械的安定性のみならず導電度をも高めるために生じる。カソードの活性物質(AM)は本質的に非導電性であり、前記AM中へ、および、AM中から電荷を移動するために導電添加剤(CA)を必要とする。従来技術のCAは、カーボンブラック(CB)である。しかしCBは、前記物質に何の機械的強度をも与えず、従って、浸透閾値に到達するためにより多量のCBが必要とされ、前記AMがより厚くなるに従って、前記カソードは機械的に、より不安定になるが、その理由は、ある時点で、前記カソードの活性層はばらばらになるためである。この懸念と齟齬をきたすために、電池の機能性において、セパレーターおよび集電体のような非活性物質によって占居される前記電池中の容積を縮小するために、前記活性層をできるだけ厚くさせることが望ましい。しかし、(例えば、約4重量%から約5重量%までのCBへ、または、厚さの増加による)前記CB量の増加は、前記電極の引っ張り強さをほぼゼロにまで著しく低下させる。約5重量%より高いCB濃度において、前記カソード物質は乾燥すると破壊する(mud-crack)。好都合なことには、本明細書に開示されたCNTパルプネットワークは、より良い導電性を与え、従って、より少量の導電添加剤を必要とするのみならず更に、機械的安定性を高める。従って本開示のCNTパルプネットワークは、前記カソードの機械的および電気的破壊を伴わずに、より厚いカソードを可能にする。
【0067】
図9A-9Bを参照して、前記CNTパルプネットワークにより与えられる、機械的安定性の増強は、更に前記カソードおよびアノード、および、従ってこのようなアノードお
よびカソードを使用するするあらゆる電池全体の、より強い柔軟性を可能にする。電池の柔軟性は、装着可能な電子機器および個人用コンピューターを含む広範な用途に有用な場合がある。しかし、電池の真の柔軟性を得るためには、前記アノードおよび前記カソードは機械的に堅牢で柔軟でなければならない。
図9Aは、LFP中約5重量%のカーボンブラック添加剤を有する従来のカソードの画像であり、そして
図9Bは、LFP中約1重量%のCNTパルプを有する本開示のカソード構造物の画像である。
図9Aに示されるように、従来のカソードは、2.5cm直径のジベル(dowel)の周囲に巻かれると亀裂する。それに対し
図9Bに示されるように、約1重量%のCNTパルプのカソードは、0.32cmのドエルの周囲に巻かれるときにも亀裂しない。本開示を考慮すると、CNTパルプを含む他のいずれかの組成物が、様々な実施態様に従って使用される場合があることは明白であろう。一般に、柔軟性と容量との間には二律背反(trade-off)が存在するようであるが、CNTおよび結合剤の割合の増加は更なる柔軟性をもたらす場合がある。しかし、すべての組成物において、CNTパルプ物質の含有は、電池の活性物質に、従来のカーボンブラックまたはCNT粉末添加剤によっては得られることができない柔軟性および強度を与える場合がある。
【0068】
幾つかの実施態様において、その中を延伸するCNTパルプネットワークを有するアノードが提供される場合がある。
図10は、様々な実施態様に従う、様々なアノード組成物の、mAh/g単位の経時的なアノード容量を表わすプロットである。
図10はとりわけ、すべて黒鉛のアノードと、約10重量%シリコンナノ物質のアノードとの最大理論的容量を並記された、黒鉛中約10重量%のナノスケールシリコン(Si)の従来の複合体と、様々な実施態様に従う、黒鉛中約10重量%のナノスケールシリコンと約1重量%のCNTパルプとの複合体とに対する充電/放電サイクルの関数としてのアノード容量を表わす。約10重量%Siのアノードの理論的容量は、Li
15Si
4の推定最大Li-Si化学量論に基づいて計算される。
図10に示されるように、約1重量%のCNTパルプを含むアノードは、11回の試験サイクル全てに対して、より高いアノード容量を維持することによりCNTパルプを含まない複合体の性能をしのぎ、そして更に第2のサイクルにおいて約10重量%シリコンのアノードに対する前記の理論的最大のアノード容量に近づきさえする。これは更に、シリコンのような広い表面積のナノ粒子を含むときでも、CNTパルプの添加は被膜の電気的および機械的性質の両方を高めるために使用される場合があることを示す。
【0069】
背景として、シリコンは、372mAh/gのみの理論的容量を伴う従来のアノード技術(すなわち、黒鉛)に比較して、その高い理論的容量(Li
22Si
5で4200mAh/g、またはLi
15Si
4で3572mAh/g)のために、LiBのアノード中にリチウム金属を貯蔵するための魅力的材料である。しかし、LiBアノードに対するシリコンの添加に伴う1つの永続的問題は、前記容量が、前記充電/放電サイクルとともに衰退することである。前記衰退は、リチウム化/脱リチウム化期間の、3Xないし4Xの膨張/収縮による前記Siの亀裂/粉末化による。この亀裂は、約50ナノメートル未満の粒径もしくは厚さであるシリコンと定義されるナノスケールのSiによっては生じない。しかし、ナノスケールのSiの生産は典型的には、非常に高価であり、非常に困難であるか、またはそれら両方であり、そして、被覆可能で、その結果機械的に堅牢の両方である被膜中にそれらを取り入れる際の、その広い表面積のために問題を形成する。
図10に見られるサイクルとともに容量に認められる前記衰退は、有意な割合の約50nmを超えるSi粒子の存在のためであると考えられる。
【0070】
図11を参照して、ナノスケールシリコン材料を形成するための化学蒸着(CVD)法1200が提供される。該方法は、一定量のCNTパルプを、CVD反応器中に投入する工程1201を含む。前記方法はまた、前記CVD反応器内の前記CNTパルプ上にシランガスを流す工程1203を含む。前記方法はまた、前記CNTパルプを、シリコンのナ
ノスケール層で被覆するために前記CVD反応器を加熱する工程1205を含む。
【0071】
前記CVD反応器内にCNTパルプの前記の量を投入する工程1201は、例えば、CVD反応器内に上記の通りに生産された一定量のCNTパルプか、一定量の他のCNTナノ粒子かを投入することにより実施される場合がある。様々な実施態様に従って、CVD反応器は、コールドウォール(cold-wall)流動床反応器、ホットウォール(hot-wall)抵抗加熱炉、または、それらの組み合わせのうちの1種以上を含む場合がある。
【0072】
前記CVD反応器内の前記CNTパルプ上にシランガスを流す工程1203は、例えば、前記CVD反応器にシランガスの流れを提供することにより(例えば、圧縮ガスライン、ガスのビン、または他のいずれかの適当なガス流動機序により)実施される場合がある。幾つかの実施態様において、流動工程1203はまた、混合物中の1種以上の更なるガスと一緒に前記シランガスを流す工程を含む場合がある。例えば、幾つかの実施態様において、水素、シランおよびアルゴンの混合物が前記CVD反応器内の前記CNTパルプ上に流される場合がある。
【0073】
シリコンのナノスケール層で、前記CNTパルプを被覆するために、前記CVD反応器を加熱する、加熱工程1205は、例えば、誘導加熱またはマイクロウェーブ加熱によるコールドウォール石英炉を加熱する工程により、あるいは、前記反応器を抵抗加熱することによるホットウォール抵抗加熱炉を加熱することにより実施される場合がある。本開示を考慮すると、様々な実施態様に従って、前記の所望される被膜厚さおよび均一性は、前記パルプの温度と、炉圧と、流入ガスの組成および流速とを変えることにより調整される場合があることが認められるであろう。
【0074】
本開示の様々な態様は、単独で、組み合わせて、あるいは、上述された実施態様中に、具体的には考察されなかった様々な変法(arrangements)で使用される場合があり、従って、前記の説明中に示されるか、前記図面中に描かれるかされた構成部品の詳細および配列に対するその適用に限定はされない。例えば、1つの実施態様に説明された態様は、他の実施態様中に説明された態様と、どんな方法で組み合わされてもよい。更に、本明細書で使用される文言(phraseology)および専門用語(terminology)は、説明の目的のためのものであり、限定するものと見なすべきではない。
【0075】
クレーム要素を修飾するために前記クレームにおける「第1の」、「第2の」、「第3の」、等のような序数の使用は、それだけでは、ある方法の行為(acts)が実施される、他のまたは仮の順序に対する1つのクレーム要素の、どんな優先(priority)、優位(precedence)または順序をも暗示するものではなく、単に前記クレーム要素を区別するために、特定の名称を有する1つのクレーム要素を、同一名称(しかし前記序数の使用のための)を有する他の要素から区別するための名称(labels)として使用される。