(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】装飾用途とディスプレイ用カバー用途のための湾曲成形プラスチック表面への薄い強化ガラスの積層
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20231205BHJP
C03C 21/00 20060101ALI20231205BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20231205BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20231205BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B29C45/14
C03C21/00 101
B60R11/02 C
B60K37/00 A
B60K35/00 Z
(21)【出願番号】P 2022055252
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2018567708の分割
【原出願日】2017-06-28
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ティモシー ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ヤアウェイ サン
【審査官】菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-001349(JP,A)
【文献】特表2015-525193(JP,A)
【文献】特開昭58-073681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
C03C 21/00
B60R 11/02
B60K 37/00
B60K 35/00
C03B 23/02-23/037
C03C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品において、
非平面形状、第1の主面および反対の第2の主面を含む冷間成形されたガラス基板と;
前記ガラス基板に結合されているとともに、該ガラス基板を非平面形状に保持するよう構成されている非平面剛性支持構造と;
を備え、
前記冷間成形されたガラス基板のみが、前記物品中でガラス基板であり、
前記冷間成形されたガラス基板が、1つ以上のコーティングまたは表面処理を含む化学強化されたガラスの単一のシートを有し、
前記第1の主面および前記反対の第2の主面が互いに異なる表面圧縮応力を有するにもかかわらず、前記非平面剛性支持構造が前記冷間成形されたガラス基板を非平面形状に保持するよう、前記非平面剛性支持構造は、前記ガラス基板の前記第1の主面に結合されているだけであり、
前記非平面剛性支持構造は、自動車の部品に取り付けられるよう構成されて
おり、
前記自動車の内装の基部が、ダッシュボード、センターコンソール、計器パネル、シートバック、シートフロント、床板、ドアパネル、ピラー、およびアームレストを含む、物品。
【請求項2】
前記第1の主面および前記第2の主面のうちの少なくとも一方の上に装飾インクコーティングをさらに有する、請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記非平面剛性支持構造が、接着剤なしに、前記第1の主面上に形成されているとともに前記第1の主面に結合している、請求項1記載の物品。
【請求項4】
物品において、
非平面形状、第1の主面および反対の第2の主面を含む冷間成形されたガラス基板と;
前記ガラス基板の前記第1の主面に結合されているとともに、前記冷間成形されたガラス基板が非対称表面圧縮応力分布を有する際、該ガラス基板を非平面形状に保持するよう構成されている非平面剛性支持構造と;
を備え、
前記冷間成形されたガラス基板のみが、前記物品中で、ガラスシートであり、
前記非平面剛性支持構造が、接着剤なしに、前記第1の主面上に形成されているとともに前記第1の主面に結合している、物品。
【請求項5】
前記冷間成形されたガラス基板が、前記第1の主面と前記第2の主面との間に延在する小表面を有し、
前記小表面上のエッジインタフェースが、接着剤を含まない、請求項
4記載の物品。
【請求項6】
前記非平面剛性支持構造と前記冷間成形されたガラス基板との間の接触領域の全てが、前記第1の主面上に存在する、請求項
4記載の物品。
【請求項7】
前記第1の主面および前記第2の主面のうちの少なくとも一方の上に装飾インクコーティングをさらに有する、請求項
4記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2017年1月10日に出願された米国仮特許出願第62/444470号、および2016年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/355542号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、湾曲した冷間成形ガラス基板、そのようなガラス基板を備えた物品、および関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
湾曲したガラス基板が多くの状況において望ましい。そのような状況の1つに、電化製品に組み込まれることがある、湾曲ディスプレイ、建築構成要素(例えば、壁、窓、モジュール式家具、シャワーのドア、鏡など)、乗り物(例えば、自動車、航空機、船舶など)、または他の用途のためのカバーガラスとしての使用がある。熱成形などの、そのような湾曲したガラス基板を成形する既存の方法には、光学的歪みおよび表面模様(marking)を含む欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、優れた表示品質を維持しつつ、熱成形された湾曲ガラス基板に典型的に見られる光学的歪みおよび表面模様を示さない湾曲ガラス基板が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、非平面剛性支持構造に結合した冷間成形ガラス基板を備えた物品、およびそのような物品を製造する方法に関する。
【0006】
本開示の第1の態様は、ここに記載された物品を成形する方法に関する。1つ以上の実施の形態において、その方法は、ダイを使用して、実質的に平らなガラス基板を非平面形状に冷間成形する工程を含む。
【0007】
1つ以上の実施の形態において、前記方法は、冷間成形されたガラス基板を非平面剛性支持構造に連結する工程を含む。1つ以上の実施の形態において、冷間成形されたガラス基板を非平面剛性支持構造に連結する工程は、冷間成形されたガラス基板を非平面剛性支持構造に結合する工程を含む。ある例では、冷間成形されたガラス基板は、複数の非平面地点で、非平面剛性支持構造に連結または結合されることがある。そのような連結または結合は、ダイを使用して行うことができる。1つ以上の実施の形態において、その方法は、同時に、実質的に平らなガラス基板を冷間成形し、冷間成形されたガラス基板を非平面剛性支持構造に連結する工程を含むことがある。
【0008】
いくつかの実施の形態において、方法は、射出成形用ダイを使用して、平らなガラス基板を非平面形状に冷間成形する工程を含む。いくつかの実施の形態において、そのダイが、冷間成形されたガラス基板を非平面形状に保持している間に、非平面剛性支持構造を冷間成形されたガラス基板上に射出成形することによって、結合が行われる。
【0009】
いくつかの実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は、互いに反対の主面を有し、前記非平面剛性支持構造は、それらの主面の一方のみに結合される。
【0010】
いくつかの実施の形態において、前記方法は、結合工程後、冷間成形されたガラス基板と非平面剛性支持構造との間の界面の少なくとも一部に接着剤を施す工程をさらに含む。いくつかの実施の形態において、その界面は、冷間成形されたガラス基板のエッジ(または主面に垂直な微小面)および非平面剛性支持構造との間である。1つ以上の実施の形態において、その方法は、その界面で、そのエッジまたは非平面剛性支持構造の少なくとも一部に接着剤を施す工程を含む。
【0011】
いくつかの実施の形態において、方法は、ガラス基板を非平面形状に冷間成形する工程を含む。いくつかの実施の形態において、その方法は、ダイを使用して、冷間成形されたガラス基板を非平面剛性支持構造に直接結合する工程を含む。1つ以上の実施の形態において、その非平面剛性支持構造は、結合前に成形されている。
【0012】
いくつかの実施の形態において、ダイは凹部を含み、非平面剛性支持構造は、結合前に、その凹部に置かれる。
【0013】
いくつかの実施の形態において、前記方法は、冷間成形の前に、実質的に平らなガラス基板の表面にコーティングおよび表面処理の一方または両方を施す工程をさらに含む。1つ以上の実施の形態において、その方法は、冷間成形の後に、実質的に平らなガラス基板の表面にコーティングおよび表面処理の一方または両方を施す工程をさらに含む。いずれの場合も、その表面は、互いに反対の主面およびそれらの主面に垂直な微小面(エッジを形成する)のいずれか1つ以上を含むことができる。1つ以上の実施の形態において、そのコーティングは、インクコーティング、反射防止コーティング、防眩コーティング、および/または任意の他の適切なコーティングであってよい。1つ以上の実施の形態において、その表面処理は、防眩表面、触覚フィードバックを与える触覚表面、しるしなどを与える陥凹部および/または隆起部を含むことがある。
【0014】
いくつかの実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は、開口領域を含む。その冷間成形されたガラス基板が前記非平面剛性支持構造に連結されたときに、その開口領域は、その非平面剛性支持構造と直接接触していない。1つ以上の実施の形態において、その開口領域は、非平面剛性支持構造により維持された湾曲形状を有する。冷間成形されたガラス基板および非平面剛性支持構造の少なくとも一方にディスプレイを取り付けることができ、よって、そのディスプレイは、冷間成形されたガラス基板の開口領域を通じて、少なくとも部分的に目に見える。
【0015】
いくつかの実施の形態において、冷間成形の最中と後に、ガラス基板の温度は、そのガラス転移温度を超えない。1つ以上の実施の形態において、そのガラス基板の温度は800°F(または約427℃)を超えない。
【0016】
いくつかの実施の形態において、前記方法は、実質的に平らなガラス基板を強化する工程を含む。1つ以上の実施の形態において、その方法は、実質的に平らなガラス基板を化学強化する工程、実質的に平らなガラス基板を熱強化する工程、実質的に平らなガラス基板を機械的に強化する工程、もしくは化学強化、熱強化および機械的強化のいずれか1つ以上を使用して実質的に平らなガラス基板を強化する工程を含む。
【0017】
いくつかの実施の形態において、ここに記載された方法のいずれかにより、物品が形成される。
【0018】
本開示の第2の態様は、互いに反対の主面および湾曲または非平面形状を有する冷間成形されたガラス基板であって、互いに反対の主面の各々が、互いに異なる表面応力を有する、ガラス基板を備えた物品に関する。1つ以上の実施の形態において、その冷間成形されたガラス基板は、前記湾曲または非平面形状(すなわち、冷間成形されたガラス基板と同じ湾曲または非平面形状)を有する剛性支持構造に連結されている。1つ以上の実施の形態において、その冷間成形されたガラス基板は、非平面剛性支持構造に結合されている。いくつかの実施の形態において、その剛性支持構造は、それらの主面の一方のみに結合されている。
【0019】
1つ以上の実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は、前記剛性支持構造と直接接触していない開口領域を含み、その開口領域は、その剛性支持構造により維持された湾曲形状を有する。
【0020】
いくつかの実施の形態において、前記剛性支持構造は展開可能な表面を有する。1つ以上の実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は展開可能な表面を有する。いくつかの実施の形態において、その剛性支持構造およびその冷間成形されたガラス基板の両方とも、展開可能な表面を有する。
【0021】
いくつかの実施の形態において、冷間成形されたガラス基板および非平面剛性支持構造の少なくとも一方にディスプレイが取り付けられている。1つ以上の実施の形態において、そのディスプレイは、冷間成形されたガラス基板の開口領域を通じて、少なくとも部分的にまたは完全に目に見える。1つ以上の実施の形態において、その冷間成形されたガラス基板には、開口領域がないことがあり(すなわち、そのガラス基板は連続シートであることがあり)、そのディスプレイは、その冷間成形されたガラス基板を通じて目に見えることがある。
【0022】
いくつかの実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は、その少なくとも一方の主面上にコーティングおよび表面処理のいずれか一方または両方を含む。そのコーティングは、インクコーティング、反射防止コーティング、防眩コーティング、および/または任意の他の適切なコーティングであってよい。その表面処理は、防眩表面、触覚フィードバックを与える触覚表面、しるしなどを与える陥凹部および/または隆起部を含むことがある。
【0023】
いくつかの実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は強化ガラス基板である。その強化ガラスとしては、化学強化ガラス、熱強化ガラス、機械的強化ガラス、もしくは化学強化、熱強化および機械的強化のいずれか1つ以上を使用して強化されたガラスが挙げられるであろう。
【0024】
先の段落の実施の形態は、どの順序で組み合わされてもよい。
【0025】
添付図面がここに含まれ、それらは、本明細書の一部を形成し、本開示の実施の形態を示す。それらの図面は、説明と共に、開示された実施の形態の原理を説明し、関連技術分野の当業者が、開示された実施の形態を製造し、使用できるようにするのに役立つ。これらの図面は、限定ではなく、説明を意図している。本開示は、広く、これらの実施の形態に関して記載されているが、本開示の範囲をこれらの特定の実施の形態に限定する意図はないことを理解すべきである。図面において、同様の参照番号は、同一のまたは機能的に類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】1つ以上の実施の形態による、例示の湾曲形状を持つように設計された射出成形用ダイ、および実質的に平らなガラス基板の説明図
【
図2】ガラス基板を非平面形状に冷間成形する、
図1のダイの説明図
【
図3】冷間成形されたガラス基板の背面に結合された非平面剛性支持構造を形成するために材料がダイの凹部に射出成形された後の、
図2のダイの説明図
【
図4】
図3のダイおよびそのダイが引き離された後の得られた物品の説明図。得られた物品は、非平面剛性支持構造に結合した冷間成形されたガラス基板である。その冷間成形されたカバーガラス基板は、その冷間成形されたガラス基板の主面に連結された非平面剛性支持構造の剛性のために、設計曲率を維持する。
【
図5】接着剤により
図4の非平面剛性支持構造に結合された冷間成形されたガラス基板の説明図
【
図6】1つ以上の実施の形態による、非平面剛性支持構造に結合された冷間成形されたガラス基板の斜視図
【
図7】非平面剛性支持構造に結合された冷間成形されたガラス基板の上面図。その曲率は、1つ以上の実施の形態により、視野角のために目に見えない。
【
図8】1つ以上の実施の形態による、特定の所望の湾曲形状に設計された直接結合ダイ、平らなガラス基板、およびダイの凹部に挿入された非平面剛性支持構造の説明図
【
図9】ガラス基板を非平面形状に冷間成形し、非平面剛性支持構造を冷間成形されたガラス基板に結合する、
図8のダイの説明図
【
図10】
図9のダイおよびそのダイが引き離された後の得られた物品の説明図。得られた物品は、非平面剛性支持構造に結合された冷間成形されたガラス基板である。その冷間成形されたカバーガラス基板は、その冷間成形されたガラス基板の主面に連結された非平面剛性支持構造の剛性のために、設計曲率を維持する。
【
図11】接着剤により
図10の非平面剛性支持構造に結合された冷間成形されたガラス基板の説明図
【
図12】
図1から5に示された過程に対応する過程の流れ図
【
図13】
図8から10に示された過程に対応する過程の流れ図
【
図14】1つ以上の実施の形態による、ダイ内にガラス基板を位置付けるリッジを有するダイの説明図
【
図15】1つ以上の実施の形態による、非平面剛性支持構造に結合した冷間成形されたガラス基板を備えた自動車の内装ディスプレイの説明図
【
図16】1つ以上の実施の形態による、冷間成形されたガラス基板に結合したディスプレイを有する、非平面剛性支持構造に結合した冷間成形されたガラス基板の上面図。曲率は、視野角のために目に見えない。
【
図17】1つ以上の実施の形態による、1つのローラを使用して、展開可能な表面を有する剛性支持構造に施されたガラス基板の側面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
乗り物の製造業者は、今日の運転者および乗員に、よりよくコネクトし、保護し、安全に情報を提供する内装を作っている。その上、業界は、自律運転へと向かっているので、大判の目立つディスプレイを作製する必要がある。いくつかのOEM先からのニューモデルにタッチ機能を備えた大型ディスプレイへの傾向がすでにある。そのような傾向は、電化製品、建築構成要素(例えば、壁、窓、モジュール式家具、シャワーのドア、鏡など)、および他の乗り物(例えば、航空機、船舶など)においても出現している。しかしながら、これらのディスプレイのほとんどは、二次元のプラスチックカバーレンズからなる。
【0028】
自動車内装産業および関連する産業におけるこれらの先行きのために、三次元の透明な表面を製造するための低コスト技術を開発する必要がある。化学強化、熱強化および/または機械的強化されたガラス材料などの強化ガラス材料が、特にそのガラス材料がディスプレイ用の湾曲カバーガラスとして使用される場合、そのような表面としての使用に、特に望ましい。
【0029】
しかしながら、湾曲ガラス表面を形成するための多くの方法は、ガラス基板に熱成形過程(ガラスの転移温度を超える温度にガラス基板を加熱する工程を含む熱成形過程を含む)を施す工程を含む。そのような過程は、関与する高温のために、エネルギーを大量に消費し得、そのような過程により、製品に多大な費用が加わる。さらに、熱成形過程は、強度を劣化させることがある、または反射防止(AR)コーティングまたはインクコーティングなどの、ガラス基板上に存在するどのコーティングにも損傷を与えることがある。さらに、熱成形過程は、歪みおよび模様など、ガラス自体に望ましくない特徴を与えることがある。
【0030】
本開示の様々な態様は、湾曲形状を示し、維持できる冷間成形されたガラス基板を備えた物品に関する。ここに用いられているように、「冷間成形」は、湾曲または非平面形状を得るためにガラス基板をそのガラスのガラス転移温度より低い温度で曲げることを称する。1つ以上の実施の形態において、この温度は約800°F(または427℃)未満である。得られた湾曲または非平面ガラス基板は、冷間成形されたガラス基板である。
【0031】
いくつかの実施の形態において、冷間成形されたガラス基板の主面の一部は、「展開可能な」表面を含むことがある。展開可能な表面は、ガウスの曲率がゼロである表面を有する。1つ以上の実施の形態において、その展開可能な表面は、冷間成形されたガラス基板の全ての地点が、ゼロに等しいガウスの曲率(GC)を有し(GCは、Kmax×Kminと等しく、式中、KmaxおよびKminは、Kmax=1/R’およびKmin=1/R”と定義される主曲率である)、KmaxおよびKminの一方はゼロではないことを意味する。R’は最大曲率半径であり、R”は最小曲率半径である。1つ以上の実施の形態において、その冷間成形されたガラス基板の表面は、その表面の平面内で伸張または圧縮を行わずに、平面に平坦化できる。
【0032】
展開可能な表面の例としては、円錐、円筒、オロイド(oloid)、正接展開可能表面、およびその部分が挙げられる。単一曲線に投影する表面は、展開可能な表面である。
【0033】
1つ以上の実施の形態において、前記物品は、非平面形状、第1の主面およびその第1の主面と反対の第2の主面を有する冷間成形されたガラス基板を備え、その冷間成形されたガラス基板は非平面剛性支持構造に連結されている。1つ以上の実施の形態において、その冷間成形されたガラス基板は、結合によって、その非平面剛性支持構造に連結されている。1つ以上の実施の形態において、非平面剛性支持構造に連結された冷間成形されたガラス基板を結合するために、接着剤が使用される。1つ以上の実施の形態において、その非平面剛性支持構造は、その冷間成形されたガラス基板上に射出成形されている。
【0034】
1つ以上の実施の形態において、前記非平面剛性支持構造は、1つ以上の地点で前記冷間成形されたガラス基板の第1の主面に連結されており、その1つ以上の地点は非平面地点であることがある。いくつかの実施の形態において、その非平面剛性支持構造は、複数の非平面地点でその第1の主面に結合されている。
【0035】
1つ以上の実施の形態において、第1と第2の互いに反対の主面の各々は、互いに異なる表面応力を示す。応力におけるそのような差は、冷間成形により生じる。その応力は、ガラス基板に施された強化過程により存在することがある任意の表面応力に加え、冷間成形過程により生じる表面圧縮応力を含み得る。ガラス基板は、ガラス転移温度をはるかに下回る温度に維持されるので、これらの応力は熱的に緩和されない。いくつかの実施の形態において、その冷間成形されたガラス基板は、前記1つ以上の非平面地点で、その近くで、またはそれに隣接して、互いに異なる表面圧縮応力を、その第1と第2の主面で示す。
図4に示されるように、第1と第2の主面121および122は、曲率の向きに応じて、引張または圧縮下にある。非平面剛性支持構造130に隣接する第1の位置121Aでの第1の主面121は引張下にある一方で、同じ非平面剛性支持構造130に隣接する第2の位置122Aでの第2の主面122は圧縮下にある。したがって、第2の位置122Aでの第2の主面122は、第1の位置121Aでの第1の主面121よりも大きい表面圧縮応力を示す。ガラス基板120が、ここに記載されたように強化され、冷間成形される前に表面圧縮応力を示す場合でさえも、この非対称な表面圧縮応力が示される。1つ以上の実施の形態において、それぞれの第1と第2の主面121、122の第1の位置121Aおよび第2の位置122Aは、その第1の位置および第2の位置のいずれか一方または両方が、非平面剛性支持構造130から5センチメートル以下の距離に位置しているように、同じ非平面剛性支持構造に隣接している。1つ以上の実施の形態において、第1の位置および第2の位置のいずれか一方または両方が、非平面剛性支持構造130から4センチメートル以下、3センチメートル以下、2センチメートル以下、1センチメートル以下、または0.5センチメートル以下の距離に位置している。非平面剛性支持構造130に対する第1と第2の位置の距離は、非平面剛性支持構造130の中心131から、それぞれの第1と第2の位置まで測定される。いくつかの実施の形態において、第1の位置121Aおよび第2の位置122Aは、
図5に示されるように、互いに直接反対に位置しており、ここに記載された非対称の表面圧縮応力を示す。
【0036】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス基板の第1の主面および第2の主面のいずれか一方または両方が、コーティングまたは表面処理を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、そのコーティングは、インクコーティング、反射防止コーティング、防眩コーティング、および/または任意の他の適切なコーティングであってよい。1つ以上の実施の形態において、その表面処理は、防眩表面、触覚フィードバックを与える触覚表面、しるしなどを与える陥凹部および/または隆起部を含むことがある。
【0037】
ある例では、前記物品は、前記冷間成形されたガラス基板と前記非平面剛性支持構造との間の界面に施された接着剤を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、その界面は、その冷間成形されたガラス基板の1つ以上の微小面とその非平面剛性支持構造との間にある。1つ以上の実施の形態において、その界面は、1つ以上の微小面が露出されるように、接着剤や他の材料を実質的に含まないことがある。
【0038】
ある例では、前記冷間成形されたガラス基板は、前記非平面剛性支持構造と直接接触していない開口領域を含み、その開口領域は、その非平面剛性支持構造により維持された湾曲形状を有する。ある例では、前記物品は、ガラス基板および非平面剛性支持構造の少なくとも一方の上に配置されたディスプレイを備え、ここで、そのディスプレイは、冷間成形されたガラス基板を通じて少なくとも部分的にまたは完全に目に見える。ある例では、そのディスプレイは、ガラス基板と非平面剛性支持構造との間に配置されている。ある例では、そのディスプレイは、ガラス基板および非平面剛性支持構造の少なくとも一方に取り付けられることがある。
【0039】
いくつかの実施の形態において、冷間成形されたガラス基板は、ここに記載されたように、展開可能な表面を有する。ある例では、その冷間成形されたガラス基板は、複雑な展開可能な表面を含むことがあり、その表面は、円錐、円筒、オロイド、平面および正接展開可能表面などの2つ以上の展開可能な表面の組合せである。例えば、複雑な展開可能な表面は、少なくとも平面と少なくとも凹形の表面、または少なくとも平面と少なくとも凸形の表面、または少なくとも凹形と少なくとも凸形の表面の組合せであることがある。
【0040】
いくつかの実施の形態において、複雑な展開可能な表面は、平面、円錐形、円筒形、および他の展開可能な表面の組合せによっても形成されることがあり、内向きと外向きの曲げの両方を含むことがある。いくつかの実施の形態において、平面、円錐形、円筒形、および他の展開可能な表面の組合せは、ある展開可能な表面から別のものに進みながら、鋭いエッジが形成されない様式であることがある。
【0041】
いくつかの実施の形態において、複雑な展開可能な表面または複雑な展開可能な表面は、1つ以上の平面部分、1つ以上の円錐部分、1つ以上の円筒部分、および/または1つ以上の他の展開可能な表面部分を含むことがある。
【0042】
図示された実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は、実質的に一定であり、互いに反対の主面の間の距離として定義される厚さ(t)を有する。ここに用いられる厚さ(t)は、ガラス基板の最大厚を称する。1つ以上の実施の形態において、その冷間成形されたガラス基板は、約1.5mm以下の厚さ(t)を有する。例えば、その厚さは、約0.1mmから約1.5mm、約0.15mmから約1.5mm、約0.2mmから約1.5mm、約0.25mmから約1.5mm、約0.3mmから約1.5mm、約0.35mmから約1.5mm、約0.4mmから約1.5mm、約0.45mmから約1.5mm、約0.5mmから約1.5mm、約0.55mmから約1.5mm、約0.6mmから約1.5mm、約0.65mmから約1.5mm、約0.7mmから約1.5mm、約0.1mmから約1.4mm、約0.1mmから約1.3mm、約0.1mmから約1.2mm、約0.1mmから約1.1mm、約0.1mmから約1.05mm、約0.1mmから約1mm、約0.1mmから約0.95mm、約0.1mmから約0.9mm、約0.1mmから約0.85mm、約0.1mmから約0.8mm、約0.1mmから約0.75mm、約0.1mmから約0.7mm、約0.1mmから約0.65mm、約0.1mmから約0.6mm、約0.1mmから約0.55mm、約0.1mmから約0.5mm、約0.1mmから約0.4mm、または約0.3mmから約0.7mmの範囲にあることがある。
【0043】
1つ以上の実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は、約5cmから約250cm、約10cmから約250cm、約15cmから約250cm、約20cmから約250cm、約25cmから約250cm、約30cmから約250cm、約35cmから約250cm、約40cmから約250cm、約45cmから約250cm、約50cmから約250cm、約55cmから約250cm、約60cmから約250cm、約65cmから約250cm、約70cmから約250cm、約75cmから約250cm、約80cmから約250cm、約85cmから約250cm、約90cmから約250cm、約95cmから約250cm、約100cmから約250cm、約110cmから約250cm、約120cmから約250cm、約130cmから約250cm、約140cmから約250cm、約150cmから約250cm、約5cmから約240cm、約5cmから約230cm、約5cmから約220cm、約5cmから約210cm、約5cmから約200cm、約5cmから約190cm、約5cmから約180cm、約5cmから約170cm、約5cmから約160cm、約5cmから約150cm、約5cmから約140cm、約5cmから約130cm、約5cmから約120cm、約5cmから約110cm、約5cmから約100cm、約5cmから約90cm、約5cmから約80cm、または約5cmから約75cmの範囲の幅を有する。
【0044】
1つ以上の実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は、約5cmから約250cm、約10cmから約250cm、約15cmから約250cm、約20cmから約250cm、約25cmから約250cm、約30cmから約250cm、約35cmから約250cm、約40cmから約250cm、約45cmから約250cm、約50cmから約250cm、約55cmから約250cm、約60cmから約250cm、約65cmから約250cm、約70cmから約250cm、約75cmから約250cm、約80cmから約250cm、約85cmから約250cm、約90cmから約250cm、約95cmから約250cm、約100cmから約250cm、約110cmから約250cm、約120cmから約250cm、約130cmから約250cm、約140cmから約250cm、約150cmから約250cm、約5cmから約240cm、約5cmから約230cm、約5cmから約220cm、約5cmから約210cm、約5cmから約200cm、約5cmから約190cm、約5cmから約180cm、約5cmから約170cm、約5cmから約160cm、約5cmから約150cm、約5cmから約140cm、約5cmから約130cm、約5cmから約120cm、約5cmから約110cm、約5cmから約100cm、約5cmから約90cm、約5cmから約80cm、または約5cmから約75cmの範囲の長さを有する。
【0045】
1つ以上の実施の形態において、一方または両方の主面の一部は凸形状を含み、その凸形状のR’は、約37.5mmから約500mmの範囲にある。凸面を有するいくつかの実施の形態において、その基板の厚さは0.4mmであることがあり、R’は、約100mmから約200mm、約125mmから約200mm、約150mmから約200mm、約175mmから約200mm、約100mmから約175mm、約100mmから約150mm、または約100mmから約125mmの範囲にあることがある。凸面を有するいくつかの実施の形態において、基板の厚さは0.55mmであることがあり、R’は、約150mmから約250mm、約175mmから約250mm、約200mmから約250mm、約225mmから約250mm、約150mmから約225mm、約150mmから約200mm、または約150mmから約175mmの範囲にあることがある。凸面を有するいくつかの実施の形態において、基板の厚さは0.7mmであることがあり、R’は、約200mmから約300mm、約225mmから約300mm、約250mmから約300mm、約275mmから約300mm、約200mmから約275mm、約200mmから約250mm、または約200mmから約225mmの範囲にあることがある。凸面を有するいくつかの実施の形態において、基板の厚さは1.1mmであることがあり、R’は、約350mmから約450mm、約375mmから約450mm、約300mmから約450mm、約325mmから約450mm、約350mmから約425mm、約350mmから約400mm、または約350mmから約375mmの範囲にあることがある。凸面を有するいくつかの実施の形態において、基板の厚さは1.3mmであることがあり、R’は、約450mmから約550mm、約475mmから約550mm、約400mmから約550mm、約425mmから約550mm、約450mmから約525mm、約450mmから約500mm、または約450mmから約475mmの範囲にあることがある。
【0046】
1つ以上の実施の形態において、一方または両方の主面の一部は凹形状を含み、その凹形状のR’(最大曲率半径)は、約20mmから約500mmの範囲にある。凹面を有するいくつかの実施の形態において、その基板の厚さは0.4mmであることがあり、R’は、約15mmから約100mm、約30mmから約100mm、約50mmから約100mm、約75mmから約100mm、約15mmから約75mm、約15mmから約50mm、または約15mmから約30mmの範囲にあることがある。凹面を有するいくつかの実施の形態において、基板の厚さは0.55mmであることがあり、R’は、約20mmから約150mm、約40mmから約150mm、約50mmから約150mm、約75mmから約150mm、約20mmから約125mm、約20mmから約100mm、または約20mmから約75mmの範囲にあることがある。凹面を有するいくつかの実施の形態において、基板の厚さは0.7mmであることがあり、R’は、約25mmから約175mm、約50mmから約175mm、約75mmから約175mm、約100mmから約175mm、約150mmから約175mm、約25mmから約150mm、約25mmから約125mm、約25mmから約100mm、または約25mmから約75mmの範囲にあることがある。凹面を有するいくつかの実施の形態において、基板の厚さは1.1mmであることがあり、R’は、約40mmから約225mm、約50mmから約225mm、約75mmから約225mm、約100mmから約225mm、約150mmから約225mm、約40mmから約200mm、約40mmから約175mm、約40mmから約150mm、または約40mmから約100mmの範囲にあることがある。凹面を有するいくつかの実施の形態において、基板の厚さは1.3mmであることがあり、R’は、約150mmから約250mm、約175mmから約250mm、約200mmから約250mm、約225mmから約250mm、約150mmから約225mm、約150mmから約200mm、または約150mmから約175mmの範囲にあることがある。
【0047】
いくつかの実施の形態において、前記冷間成形されたガラス基板は、強化されている(冷間成形の前に)。例えば、そのガラス基板は、熱強化、化学強化、機械的強化のいずれか1つ以上により、またはその組合せにより、強化されることがある。いくつかの実施の形態において、強化ガラス基板は、その基板の表面から圧縮応力深さ(または圧縮応力層の深さまたはDOL)まで延在する圧縮応力(CS)層を有する。圧縮深さは、圧縮応力が引張応力に切り替わる深さである。引張応力を示すガラス基板内の領域は、しばしば、中央張力またはCT層と呼ばれる。
【0048】
ここに用いられているように、「熱強化」とは、基板の強度を改善するために熱処理されているガラス基板を称する。熱強化されたガラス基板において、CS層は、基板をガラス転移温度より高い(すなわち、ガラスの軟化点に近いまたはそれに近づく)高温に加熱し、次いで、ガラスの表面領域をガラスの内部領域よりも急激に冷却することにより形成される。その表面領域と内部領域との間の冷却速度の差により、その表面に残留CS層が生じる。
【0049】
熱強化過程により生じる表面圧縮の程度に影響する要因としては、空冷温度、体積、および少なくとも10,000ポンド毎平方インチ(psi)(約69MPa)の表面圧縮を生じる他の変数が挙げられる。化学強化されたガラス基板において、ガラス網目構造が緩和し得る温度より低い温度で小さいほうのイオンを大きいほうのイオンで置換すると、ガラスの表面に亘りイオンの分布が生じ、これにより応力プロファイルが生じる。入ってくるイオンのより大きい体積により、表面から延在するCS層およびガラスの中央にCT層が生じる。
【0050】
化学強化は、ガラス基板の表面またはその近くにあるイオンが、溶融塩浴からのより大きい金属イオンと交換されるように、所定の期間に亘りガラス基板を溶融塩浴中に浸漬する工程を含むイオン交換過程により行うことができる。いくつかの実施の形態において、その溶融塩浴の温度は約375℃から約450℃であり、所定の期間は約4から約8時間の範囲にある。一例において、ガラス基板中のナトリウムイオンは、硝酸カリウム塩浴などの塩浴からのカリウムイオンと交換されるが、ルビジウムやセシウムなどの、原子半径がより大きい他のアルカリ金属イオンが、ガラス中のより小さいアルカリ金属イオンを交換し得る。別の例では、ガラス基板中のリチウムイオンが、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、またはその組合せを含むことがある溶融塩浴からのカリウムおよび/またはナトリウムイオンにより交換されるが、ルビジウムやセシウムなどの、原子半径がより大きい他のアルカリ金属イオンが、ガラス中のより小さいアルカリ金属イオンを交換し得る。いくつかの実施の形態において、ガラス基板中のより小さいアルカリ金属イオンは、Ag+イオンにより交換され得る。同様に、イオン交換過程に、以下に限られないが、硫酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物などの他のアルカリ金属塩を使用してもよい。そのガラス基板は、単一浴、もしくは互いに同じまたは異なる組成および/または温度を有することがある多数の連続した浴中に浸漬されることがある。いくつかの実施の形態において、そのような多数の浴中の浸漬は、互いに異なる期間に亘ることがある。
【0051】
機械的に強化されたガラス基板において、前記CS層は、ガラス基板の複数の部分の間の熱膨張係数の不一致により生じる。
【0052】
強化されたガラス基板において、DOLは、以下の近似的関係(式1):
CS≒(CS×DOL)/(厚さ-(2×DOL)) (1)
によりCT値に関連付けられ、式中、厚さは強化ガラス基板の全厚である。特に明記のない限り、CTおよびCSは、ここではメガパスカル(MPa)で表されるのに対し、厚さおよびDOLはミリメートルまたはマイクロメートルで表される。特に明記のない限り、CS値は、表面で測定された値であり、CT値は引張応力値(式1により決定されるような)である。ここに与えられるCS値およびCT値は、絶対値として与えられる。
【0053】
いくつかの実施の形態において、強化済みの冷間成形されたガラス基板は、300MPa以上、例えば、400MPa以上、450MPa以上、500MPa以上、550MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、700MPa以上、750MPa以上、または800MPa以上の表面CSを有し得る。いくつかの実施の形態において、表面CSは、冷間成形されたガラス基板における最大CSである。強化済みの冷間成形されたガラス基板は、15マイクロメートル以上、20マイクロメートル以上(例えば、25、30、35、40、45、50マイクロメートル以上)のDOLを有することがある。1つ以上の実施の形態において、強化済みの冷間成形されたガラス基板は、10MPa以上、20MPa以上、30MPa以上、40MPa以上(例えば、42MPa、45MPa、または50MPa以上)であるが、100MPa未満(例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55MPa以下)の最大CT値を有することがある。1つ以上の特別な実施の形態において、強化済みの冷間成形されたガラス基板は、以下の内の1つ以上を有する:500MPa超の表面CS、15マイクロメートル超のDOL、および18MPa超の最大CT。
【0054】
そのCSおよびDOLは、有限会社折原製作所(日本国、東京都)により製造されている市販のFSM-6000計器などの表面応力測定器により決定することができる。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する、応力光学係数(SOC)の精密測定に依存する。SOCは、次に、その両方の方法が、その内容がここに全て引用される、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM基準C770-98(2013)に記載されたファイバおよび4点曲げ法、並びにバルクシリンダ法などの当該技術分野で公知の方法により測定される。
【0055】
前記ガラス基板の材料は様々であってよい。ここに記載された物品を形成するために使用されるガラス基板は、非晶質または結晶質であって差し支えない。この点に関して、「ガラス」という用語の使用が、一般的であり、厳密に非晶質だけではない材料を包含することが意図されている。いくつかの実施の形態による非晶質ガラス基板は、ソーダ石灰ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、およびアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスから選択することができる。結晶質ガラス基板の例としては、ガラスセラミック、サファイアまたはスピネルが挙げられる。ガラスセラミックの例としては、Li2O・Al2O3・SiO2系(すなわち、LAS系)ガラスセラミック、MgO・Al2O3・SiO2系(すなわち、MAS系)ガラスセラミック、ムライト、スピネル、α-石英、β-石英固溶体、葉長石、二ケイ酸リチウム、β-スポジュメン、ネフェリン、およびアルミナのいずれか1つ以上の結晶相を含むガラスセラミックが挙げられる。
【0056】
ガラス基板は、様々な異なる過程を使用して提供されることがある。例えば、例示のガラス基板成形法としては、フロートガラス法、並びにフュージョンドロー法およびスロットドロー法などのダウンドロー法が挙げられる。フロートガラス法により調製されるガラス基板は、滑らかな表面により特徴付けることができ、均一な厚さは、溶融ガラスを溶融金属、典型的にスズの床の上に浮遊させることによって作られる。例示の過程において、溶融スズ床の表面上に供給される溶融ガラスが、浮遊するガラスリボンを形成する。このガラスリボンがスズ浴に沿って流れるときに、その温度は、ガラスリボンが、スズからローラに持ち上げられる固体のガラス基板に固化するまで、徐々に低下する。一旦浴から離れたら、そのガラス基板は、さらに冷却し、焼き鈍して、内部応力を減少させることができる。
【0057】
ダウンドロー法では、比較的無垢な表面を有する均一な厚さを持つガラス基板が製造される。ガラス基板の平均曲げ強度は、表面傷の量とサイズにより制御されるので、接触が最小の無垢な表面はより高い初期強度を有する。ダウンドローされたガラス基板は、約2ミリメートル未満の厚さを有するシートまで板引きされることがある。その上、ダウンドローされたガラス基板は、費用のかかる研削および研磨を行わずに最終用途に使用できる、非常に平らで滑らかな表面を有する。
【0058】
フュージョンドロー法では、例えば、溶融ガラス原材料を受け入れるための通路を有するドロー用タンクを使用する。その通路には、通路の両側に通路の長さに沿って上部で開いた堰がある。その通路が溶融材料で満たされると、溶融ガラスが堰を越えて溢れる。溶融ガラスは、重力のために、2つの流れるガラス膜としてドロー用タンクの外面を下方に流れる。ドロー用タンクのこれらの外面は、ドロー用タンクの下の縁で接合するように、下方かつ内側に延在する。この2つの流れるガラス膜はこの縁で接合し、融合して、単一の流れるガラスシートを形成する。このフュージョンドロー法は、通路を越えて流れる2つのガラス膜は互いに融合するので、結果として得られたガラスシートの外面はその装置のどの部分とも接触しないという利点を提供する。したがって、フュージョンドロー法により形成されたガラスシートの表面特性は、そのような接触により影響を受けない。
【0059】
スロットドロー法は、フュージョンドロー法とは異なる。スロットドロー法において、溶融原材料ガラスがドロー用タンクに提供される。このドロー用タンクの下部には開放スロットがあり、このスロットの長さに亘りノズルが延在している。溶融ガラスは、このスロット/ノズルを通って流れ、連続したシートとして下方に、焼き鈍し領域へと板引きされる。
【0060】
1つ以上の実施の形態において、前記物品は1枚のガラス基板を備える。1つ以上の実施の形態において、その物品は第2のガラス基板を備えることがある。そのような実施の形態において、第2のガラス基板は、冷間成形されたガラス基板と積層板を形成する。1つ以上の実施の形態において、第2のガラス基板は、前記冷間成形されたガラス基板と同じ湾曲または非平面形状を有するように冷間成形されている。いくつかの実施の形態において、それらのガラス基板は、中間層により隔てられることがあり、それゆえ、いくつかの実施の形態による積層板は、中間層により互いに結合された少なくとも2枚のガラス基板を備える。そのような実施の形態において、その冷間成形されたガラス基板の一方の主面は、前記非平面剛性支持構造に連結されており、その冷間成形されたガラス基板の反対の主面は中間層と接触しており、この中間層は、冷間成形されたガラス基板と第2のガラス基板との間に配置されることがある。適切な中間層の例としては、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVA)、イオノマー、および熱可塑性ポリウレタン(TPU)が挙げられる。この第2のガラス基板は、先に記載されたように強化(化学的、熱的、および/または機械的)されていても差し支えない。
【0061】
前記第2のガラス基板はユーザに面することがあるのに対し、前記冷間成形されたガラス基板は反対方向に面することがある。例えば、前記物品が乗り物の内装、電化製品または建築構成要素に使用される場合、第2のガラス基板は、ユーザ・インターフェースを形成することがある。自動車の窓ガラスなどの乗り物用途において、冷間成形されたガラス基板は乗り物または自動車の内部に露出されることがあり、第2のガラス基板は、自動車の外部環境に面することがあり、逆も同様である。自動車の内装において、冷間成形されたガラス基板は露出されず、下にある支持体(例えば、ディスプレイ、ダッシュボード、センターコンソール、計器パネル、シートバック、シートフロント、床板、ドアパネル、ピラー、アームレストなど)(および剛性非平面支持構造)上に面し、第2のガラス基板は乗り物または自動車の内部に、それゆえユーザに露出される。建築用途において、第2のガラス基板は、ビル、部屋、または家具の内部に露出され、第1の層は、ビル、部屋、または家具の外部環境に面する。
【0062】
ここに開示された物品のいくつかの実施の形態は、自動車の内装に有用である。何故ならば、そのような物品は、湾曲ディスプレイに適合する湾曲カバーを提供するからである。湾曲ディスプレイに適合するために、カバーは、最適な嵌め合いを確実にし、高品質の鑑賞を可能にするように、湾曲ディスプレイの形状に密接に適合するべきである。光学的品質が高く、費用効率が高いカバーを提供することも望ましい。カバーを正確な形状に熱成形することは、その所望の形状を得る上での課題を提示する。その上、ガラスが使用される場合、カバーをその軟化点に加熱することの不都合な影響(例えば、歪み、およびしるし)を最小にすることは難題である。冷間成形の概念は、これらの課題に対処し、ガラスの使用が可能になるが、冷間成形の形状を維持し、剛性を与えるのに十分な支持を与える上で、新たな課題を作り出す。薄いガラス基板を規定の形状に冷間成形する能力は、高品質の費用効率の高い解決策の機会を提示する。
【0063】
ここに記載された物品の実施の形態は、冷間成形されたガラス基板が湾曲形状を維持しつつ、冷間成形により生じる応力が最小になるように、非平面剛性支持構造により支持された冷間成形されたガラス基板を含む。その物品にディスプレイが組み込まれている実施の形態において、その冷間成形されたガラス基板の表面は、ディスプレイの形状と一致する。
【0064】
高品質に関して、ここに記載された物品は、湾曲ディスプレイへの優れた適合を可能にし、高い光学的品質を示す。冷間成形されたガラス基板は、湾曲ディスプレイを収容できる可撓性特徴を有することがある。冷間成形は、熱成形過程で損なわれ得る平らなガラス基板の高い品質を維持する。この概念は、優れた応力管理も可能にし、大面積に亘る支持を与えることにより、冷間成形応力を最小にする。
【0065】
さらに、ここに記載された物品は、しばしば望ましい、コーティングおよび表面処理にも適合する。より詳しくは、ここに記載された物品は、湾曲基板表面上に高品質コーティングおよび表面処理を容易に組み込むことができ、そのようなコーティングは、通常は、平らな部分に制限される。例えば、ARおよびAGコーティング並びにAG表面は、様々な困難な周囲照明条件におけるディスプレイの可視性を改善するであろう;しかしながら、高品質の多層ARコーティングプロセスは、一般に、蒸着またはスパッタリング被覆技術を利用して行われる。これらの技術は、通常、そのプロセスの性質のために、平らな表面上の蒸着に限定される。湾曲した三次元表面上にこれらのコーティングを与えることは、困難であり、そのプロセスの費用をさらに増す。1つ以上の実施の形態によれば、コーティングおよび/または表面処理は、冷間成形の前にガラス基板に施されることがあり、次に、被覆されたおよび/または処理されたガラス基板を冷間成形すると、熱成形に関連する問題(すなわち、取扱いおよび/または高い加工温度によるコーティングおよび/または表面処理に対する損傷)が避けられる。1つ以上の実施の形態において、そのコーティングは、インクコーティング、反射防止コーティング、防眩コーティング、および/または任意の他の適切なコーティングであってよい。1つ以上の実施の形態において、その表面処理は、防眩表面、触覚フィードバックを与える触覚表面、しるしなどを与える陥凹部および/または隆起部を含むことがある。装飾インクコーティングは、様々な形状の/湾曲表面に施すことができるが、これらのコーティングを平らな表面に施すプロセスは、より単純であり、よりよく確立されており、より費用効率が高い。さらに、表面処理(典型的に、エッチング処理により形成される)も、通常、平らな表面に施される。したがって、ここに記載された物品は、実質的に平らなガラス基板上へのコーティングおよび/または表面処理の施用を可能にし、次に、その基板が湾曲形状に冷間成形される。その冷間成形過程は、ある熱過程と同じ様式では、コーティングまたは表面処理を劣化させない。
【0066】
本開示の別の態様は、ここに記載された物品を成形する方法に関する。1つ以上の実施の形態において、その方法は、必要に応じて、上述したコーティングまたは表面処理を含み得る、実質的に平らなガラス基板(ここに記載されたようなガラス基板など)を、所望の形状を示し、維持するように十分に支持された冷間成形されたガラス基板に変形させる。1つ以上の実施の形態において、その方法は、実質的に平らなガラス基板を、湾曲ディスプレイの形状に一致するまたは近似の形状に冷間成形する工程を含む。
【0067】
いくつかの実施の形態において、前記ガラス基板を所望の形状に冷間成形するためにダイが使用される。ここに用いられているように、ダイは、所望の形状をガラス基板に与え、そのガラス基板に非平面剛性支持構造を取り付けるために使用される構造を含む。そのダイ自体は、完成物品の一部ではなく、むしろ、多くの完成物品を作るために繰り返し使用されることがある。1つ以上の実施の形態において、「ダイ」という用語は、物体に所望の形状を与えるために使用される器具を称する。そのような実施の形態において、「ダイ」は、第1の部品と第2の部品の少なくとも2つの部品であって、その第1と第2の部品の間に配置された可撓性物体に所望の形状を与えるために互いに押し付けることができる部品を有する。1つ以上の実施の形態において、ダイが所望の形状を与えている間に、そのダイは、非平面剛性支持構造を冷間成形されたガラス基板に結合するためにも使用される。その非平面剛性支持構造が冷間成形されたガラス基板に一旦結合されたら、そのダイは取り外すことができ、その非平面剛性支持構造は冷間成形されたガラス基板の所望の形状を維持する。ダイは、冷間成形されたガラス基板に結合された非平面剛性支持構造を備えた多数の物品に同じ形状を再現可能かつ正確に作り出すために何度も再利用されることがある。
【0068】
いくつかの実施の形態において、ここに記載された実質的に平らなガラス基板を、湾曲形状を有する冷間成形されたガラス基板に変形させるために、射出成形過程が用いられる。1つ以上の実施の形態において、ガラス基板の主面上に支持構造が射出成形される。1つ以上の実施の形態において、そのガラス基板は、その支持構造を射出成形する前に、冷間成形されることがある。その射出成形された支持構造は、冷間成形されたガラス基板を規定の形状に保持する非平面剛性支持構造を形成する。いくつかの実施の形態において、冷間成形されたガラス基板の表面に結合された非平面剛性支持構造を形成するために、射出成形が使用される。どの適切な射出成形過程および材料を使用してもよい。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)および熱可塑性ポリウレタン(TPU)が、その非平面剛性支持構造を射出成形するために使用される2つの一般的な材料である。いくつかの実施の形態において、反応射出成形(RIM)が使用されることがある。RIMに使用される一般的な材料としては、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリイソシアヌレート、ポリエステル、ポリフェノール、ポリエポキシド、およびナイロン6が挙げられる。異なる材料は、異なる作動パラメータを有するであろう。装置、作動パラメータ(例えば、圧力、流量、温度)、金型設計が、異なる材料について異なるであろう。典型的な射出成形温度は300°Fから450°F(約150℃から約230℃)に及び、典型的な加工圧力は200psiから1000psi超(約1.38MPaから約6.9MPa超)に及び得る;しかしながら、どの適切な工程パラメータを使用してもよい。
【0069】
いくつかの実施の形態において、実質的に平らなガラス基板を冷間成形し、それを非平面剛性支持構造に結合するめたに、直接結合過程が使用され、ここで、非平面剛性支持構造は冷間成形されたガラス基板に剛性を与え、その冷間成形されたガラス基板を所望の湾曲または非平面形状に保持する。
【0070】
ここに記載された物品を得るために、直接結合または射出成形以外の様々な技術を使用してもよい。
【0071】
前記工程の実施の形態が図面に示されており、それらの図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。様々な図面の異なる部分は、概念をよりよく図解するために、いくつかの部分が、他の部分に相対スケールで描かれていないことがある。
【0072】
図1は、特定の所望の湾曲形状に設計された射出成形用ダイ110、および互いに反対の主面121と122を有する平らなガラス基板120を示している。射出成形用ダイ110は、第1のダイ部品111および第2のダイ部品112の2つの部品を備える。第1と第2のダイ部品111および112は、冷間成形されたガラス基板に望ましいものに対応する湾曲形状を有する。第1のダイ部品111は、射出成形過程の一部として溶融材料を受け容れるように構成された凹部113を含む。平らなガラス基板120は、第1と第2のダイ部品111および112の間に配置されるが、まだ冷間成形されていない。
【0073】
図2は、実質的に平らなガラス基板120を非平面形状に冷間成形する、
図1のダイ110を示している。その冷間成形は、ガラス基板120が間に配置されている間に第1と第2のダイ部品111および112を互いに押し付けることによって、行われる。
図2において、凹部113は空のままである。
【0074】
図3は、凹部113中に材料が射出成形されて、冷間成形されたガラス基板120の背面に結合された非平面剛性支持構造130を形成した後の、
図2のダイを示している。
【0075】
図4は、
図3のダイ、および第1と第2のダイ部品111および112が引き離された後の得られた物品を示している。その得られた物品は、非平面剛性支持構造130に結合された冷間成形されたガラス基板120である。その冷間成形されたガラス基板120は、非平面剛性支持構造130の剛性のために、第1と第2のダイ部品111および112により与えられた曲率を維持する。互いに反対の主面の各々(第1の主面121および第2の主面122)は、曲率の向きに応じて引張下または圧縮下にある。
図4において、非平面剛性支持構造130に隣接した第1の位置121Aでの第1の主面121は引張下にあるのに対し、非平面剛性支持構造130に隣接した第2の位置122Aでの第2の主面122は圧縮下にある。したがって、第2の位置122Aでの第2の主面122は、第1の位置121Aでの第1の主面121よりも大きい表面圧縮応力を示す。基板120が、ここに記載されたように強化され、冷間成形される前に表面圧縮応力を示す場合でさえも、このことが示される。
【0076】
図5は、
図4の非平面剛性支持構造130に結合された冷間成形されたガラス基板120を示しており、冷間成形されたガラス基板120が非平面剛性支持構造130に結合されている界面に沿って、追加の接着剤140が加えられている。追加の接着剤140は、随意的であり、冷間成形されたガラス基板120と非平面剛性支持構造130との間の結合を改善するのに役立つことがある。追加の接着剤140は、金型を用いずに施してよいが、全体構造は、それでも、冷間成形されたガラス基板120を非平面剛性支持構造130に結合するために金型を使用することによって得られる精度から恩恵を受ける。
【0077】
図6は、非平面剛性支持構造130に結合された冷間成形されたガラス基板120の斜視図を示している。
【0078】
図7は、非平面剛性支持構造130に結合された冷間成形されたガラス基板120の上面図を示している。その曲率は、視野角のために、目に見えない。線7-7’が、
図1~5に示された断面を示す。
図8~11は、同様の断面を示す。
【0079】
図8は、特定の所望の湾曲形状に設計された直接結合用ダイ810、および平らなガラス基板820を示している。直接結合用ダイ810は、第1のダイ部品811および第2のダイ部品812の2つの部品を備える。第1と第2のダイ部品811および812は、冷間成形されたガラス基板に所望なものに対応する湾曲形状を有する。第1のダイ部品811は、別の過程により形成された非平面剛性支持構造830を受け容れるように構成された凹部813を含む。非平面剛性支持構造830は、射出成形など、どの適切な過程により形成されてもよい。非平面剛性支持構造830が、第1のダイ部品811内の凹部813中に挿入されている。必要に応じて、非平面剛性支持構造830が凹部813中に挿入される前または後に、どの適切な過程によって、接着剤層831を非平面剛性支持構造830に施してもよい。平らなガラス基板820は、第1と第2のダイ部品811および812の間に配置されているが、まだ冷間成形されていない。
【0080】
図9は、ガラス基板820を非平面形状に冷間成形し、非平面剛性支持構造をその冷間成形されたガラス基板に結合する、
図8のダイ810を示している。その冷間成形は、ガラス基板820が間に配置されている間に第1と第2のダイ部品811および812を互いに押し付けることによって、行われる。第1と第2のダイ部品811および812のこの互いの押し付けにより、非平面剛性支持構造830をガラス基板820と接触させ、非平面剛性支持構造830をガラス基板820に結合させる。凹部813により、ガラス基板820に対する非平面剛性支持構造830の正確な位置決めが確実になる。
【0081】
図10は、
図9のダイ810、およびダイ810が引き離された後の得られた物品を示している。その得られた物品は、非平面剛性支持構造830に結合された冷間成形されたガラス基板820である。必要に応じて、接着剤層831が、そのような結合の手助けをすることがある。冷間成形されたガラス基板820は、非平面剛性支持構造830の剛性のために、第1と第2のダイ部品811および812により与えられた曲率を維持する。
【0082】
図11は、
図10の非平面剛性支持構造830に結合された冷間成形されたガラス基板820を示しており、冷間成形されたガラス基板820が非平面剛性支持構造830に結合されている界面に沿って、追加の接着剤840が加えられている。追加の接着剤840は、随意的であり、冷間成形されたガラス基板820と非平面剛性支持構造830との間の結合を改善するのに役立つであろう。追加の接着剤840は、金型を用いずに施してもよいが、全体構造は、それでも、冷間成形されたガラス基板820を非平面剛性支持構造830に結合するために金型を使用することによって得られる精度から恩恵を受ける。
【0083】
図12は、
図1から5に示された過程に対応する過程の流れ図を示す。下記の工程が、順番に行われる。
【0084】
工程1210-ダイ110を用いて、ガラス基板120を所望の形状に冷間成形する。
【0085】
工程1220-射出成形によって、剛性支持構造130を凹部113内に形成し、冷間成形されたガラス基板120に結合する。
【0086】
工程1230-ダイ110を取り外す。
【0087】
工程1240-必要に応じて、追加の接着剤140を施す。
【0088】
図13は、
図8から10に示された過程に対応する過程の流れ図を示す。下記の工程が、順番に行われる。
【0089】
工程1310-凹部113内に剛性支持構造830を配置する。
【0090】
工程1320-ダイ810を用いて、ガラス基板820を所望の形状に冷間成形しつつ、冷間成形されたガラス基板820に剛性支持構造830を直接結合する。
【0091】
工程1330-ダイ810を取り外す。
【0092】
工程1340-必要に応じて、追加の接着剤840を施す。
【0093】
図14は、第1のダイ部品1411および第2のダイ部品1412を有するダイ1410を示している。第1のダイ部品1411は凹部1413を含む。図から分かるように、第1のダイ部品1411および第2のダイ部品1412は両方とも、ガラス基板1420を第1と第2のダイ部品1411および1412に対して正確に位置決めするのに有用なリッジ1414を備える。これにより、射出成形、直接結合、または他のダイを用いた過程によるものであろうとなかろうと、剛性支持構造をガラス基板1420に対して正確に配置することができる。いくつかの実施の形態において、リッジは、第1のダイ部品1411および第2のダイ部品1412の一方のみに存在することがある。いくつかの実施の形態において、リッジ1414はなくてもよい。
【0094】
図15は、以下に限られないが、いくつかの実施の形態において製造することができる、モニタを有する、計器群、コンソール・ディスプレイ、またはセンター・スタック・ディスプレイを含む、自動車内装ディスプレイの部品、部分の例を示している。冷間成形されたガラス基板が剛性支持構造1530に結合されている。冷間成形されたガラス基板1510は、非平面剛性支持構造1530と直接接触していない開口領域1550を含む。開口領域1550は、非平面剛性支持構造1530により維持された湾曲形状を有する。モニタまたはディスプレイが開口領域1550に積層されることがある。剛性支持構造1530は、自動車の他の部分(ダッシュボード、センターコンソール、計器パネル、シートバック、シートフロント、床板、ドアパネル、ピラー、アームレストなど)または建築用途(壁、窓、壁板、家具、電化製品、ドアなど)に取り付けられるように設計することができる。
図15の実施の形態は、
図12の実施の形態、および
図13の実施の形態を含む、ここに開示された様々な過程のいずれにより形成されてもよい。
【0095】
図16は、非平面剛性支持構造130に結合された冷間成形されたガラス基板120の上面図を示している。曲率は、視野角のために、目に見えない。非平面剛性支持構造130の内部が、その非平面剛性支持構造と直接接触していない冷間成形されたガラス基板の開口領域1610を画成する。開口領域1610は、その非平面剛性支持構造により維持された湾曲形状を有する。ディスプレイ1620が冷間成形されたガラス基板120に取り付けられている。ディスプレイ1620は、冷間成形されたガラス基板120の開口領域1610を通じて目に見える。
【0096】
いくつかの実施の形態において、ガラス基板は湾曲形状に冷間成形されており、その湾曲形状は、展開可能な表面または複雑な展開可能な表面を含むことがある。その冷間成形されたガラス基板をそのような形状に保持する力は、非平面剛性支持構造に連結された冷間成形されたガラス基板の主面の異なる部分または全体に亘り印加され、維持される。1つ以上の実施の形態において、その力は、連結がその形状を維持するのに十分となるまで、複数の非平面地点で印加され、維持される。例えば、
図1~5の実施の形態において、非平面剛性支持構造130の材料が、射出成形用ダイ110がなくてもガラス基板120の冷間成形された形状を維持するほど十分に固化され、ガラス基板120に結合されるまで、射出成形用ダイ110が、
図3に示された位置に維持することができる。同様に、
図8~10に示された実施の形態において、接着剤層831が十分に硬化し、ガラス基板820が、直接結合用ダイ810がなくてもガラス基板820の冷間成形された形状を維持するのに剛性支持構造830に十分に結合されるまで、直接結合用ダイ810が、
図9に示された位置に維持することができる。
【0097】
力は、ある区域において、その区域の間隔を介したまたは周期的な部分に力を印加することによって、「維持」されるであろう。例えば、直接結合用ダイ810は、
図9に示されるように、剛性支持構造830が存在するところを除いてどこでも、ガラス基板820と接触するであろう。もしくは、そのような接触に間隙があることがあり、その場合、接触は、接着剤層831が硬化できるまで、ガラス基板820を適所に保持するのに十分な地点で維持される。
【0098】
複雑な展開可能な表面の異なる領域に亘り、力が印加・維持されない場合、面倒な事態が生じるであろう。例えば、力を印加し維持するダイ工程または他の工程を使用する代わりに、1つのローラが使用される場合、ガラス基板を、複雑な展開可能な表面を有する剛性支持構造に結合することは難しいであろう。控えめに言っても、収率が劣ると予測される。理論により束縛されないが、冷間成形されたガラスには、内部応力が存在する。外的制約がない場合、この応力により、ガラスが元の形状に動かされるであろう。
【0099】
例えば、
図17に示されるように、最初に平面であるガラス基板1720を、複雑な展開可能な表面-真ん中の表面が外側の2つの表面と反対の凹面を有する、3つの隣接する円筒表面-を有する剛性支持構造1730に押し付けるために、1つのローラ1790が用いられる。剛性支持構造1730上に、接着剤層1731が存在する。ローラ1790が左から右に通過するときに、ローラ1790の左手の冷間成形されたガラス基板1720における応力は、矢印1780により示されるように、ガラス基板1720を平面形状に戻す傾向にある。これらの応力は、剥離、または低収率をもたらすであろう。単純な形状について、この現象は、存在しないであろう(例えば、平面)、または他の様式で対処されるであろう(例えば、ガラスを接着剤で円筒の内部に接着する場合、ガラスの平面に亘るわずかな圧縮応力が、接着剤が硬化するときに、どこでもガラスを接着剤に押し付けるであろう)。しかし、複雑な展開可能な表面について、特に、異なるが領域が異なる凹面を有するものについて、力の印加と維持が好ましい。
【0100】
別の態様は、非平面剛性支持構造を含む基部、およびその非平面支持構造上に配置された冷間成形されたガラス基板(またはここに記載されたような、冷間成形された基板を含む積層板)を備えた乗り物内装システムに関する。1つ以上の実施の形態において、その基部は、非平面支持構造と冷間成形された基板(または冷間成形された基板を含む積層板)との間に配置されたディスプレイを備える。そのディスプレイは湾曲していることがある。1つ以上の実施の形態において、冷間成形されたガラス基板の厚さは、1.5mm以下(または約0.4mmから約1.3mm)である。
【0101】
1つ以上の実施の形態において、そのような乗り物内装システムに使用される冷間成形されたガラス基板はガラス表面を含み、そのガラス表面の全ての地点が、ゼロに等しいガウスの曲率(GC)を有し(GC=Kmax×Kmin、式中、KmaxおよびKminは、Kmax=1/R’およびKmin=1/R”と定義される主曲率である)、KmaxおよびKminの一方はゼロではなく、R’は最大曲率半径であり、R”は最小曲率半径である。そのガラス表面は、冷間成形されたガラス基板の互いに反対の主面の一方または両方であることがある。
【0102】
1つ以上の実施の形態において、前記基部は、センターコンソール、ダッシュボード、アームレスト、ピラー、シートバック、床板、ヘッドレスト、ドアパネル、およびハンドルのいずれか1つを含む。その乗り物は、自動車、船舶、および航空機のいずれか1つであってよい。
【0103】
本開示の実施の形態が、同一または機能的に類似の要素を示すために同様の参照番号が使用されている、添付図面に示されているような、その実施の形態を参照して、ここに詳しく記載されている。「1つの実施の形態」、「ある実施の形態」、「いくつかの実施の形態」、「特定の実施の形態」などへの言及は、記載された実施の形態が、特定の性質、構造、または特徴を含むことがあるが、全ての実施の形態が、その特定の性質、構造、または特徴を必ずしも含まなくてもよいことを示す。その上、そのような句は、同じ実施の形態を必ずしも言及していない。さらに、特定の性質、構造、または特徴が、ある実施の形態に関して記載されている場合、明白に記載されていようとなかろうと、他の実施の形態に関するそのような性質、構造、または特徴に影響することが、当業者の知識に含まれることが考えられる。
【0104】
ここに用いられているように、「含む」は、制約のない移行句である。移行句の「含む」の後に続く要素のリストは、非排他的なリストであり、よって、そのリストに具体的に列挙されたものに加えて、要素が存在することもある。
【0105】
以下の例は、本開示の制限ではなく、説明である。当該分野で通常遭遇し、当業者に明白であろう、様々な条件およびパラメータの他の適切な変更および適用は、本開示の精神および範囲に含まれる。
【0106】
本開示の態様(1)は、方法において、ダイを使用して、平らなガラス基板を非平面形状に冷間成形する工程、およびそのダイを使用して、複数の非平面地点で、その冷間成形されたガラス基板を非平面剛性支持構造に結合する工程を有してなる方法に関する。
【0107】
本開示の態様(2)は、そのダイが射出成形用ダイであり、結合する工程が、そのダイが冷間成形されたガラス基板を非平面形状に保持している間に、冷間成形されたガラス基板上に非平面剛性支持構造を射出成形することによって行われる、態様(1)の方法に関する。
【0108】
本開示の態様(3)は、その非平面剛性支持構造が、結合する工程の前に形成され、その結合する工程が、そのダイを使用して、非平面剛性支持構造上に冷間成形されたガラス基板を直接結合する工程を含む、態様(1)の方法に関する。
【0109】
本開示の態様(4)は、結合する工程の前に、非平面剛性支持構造をダイの凹部内に配置する工程をさらに含む、態様(3)の方法に関する。
【0110】
本開示の態様(5)は、結合する工程の前に、非平面剛性支持構造および平らなガラス基板の少なくとも一方に接着剤を施す工程をさらに含む、態様(3)または態様(4)の方法に関する。
【0111】
本開示の態様(6)は、結合する工程の後、冷間成形されたガラス基板と非平面剛性支持構造との間の界面のエッジに接着剤を施す工程をさらに含む、態様(1)から(5)のいずれか1つの方法に関する。
【0112】
本開示の態様(7)は、冷間成形する工程の前に、平らなガラス基板にコーティングを施す工程をさらに含む、態様(1)から(6)のいずれか1つの方法に関する。
【0113】
本開示の態様(8)は、そのコーティングがインクコーティングである、態様(7)の方法に関する。
【0114】
本開示の態様(9)は、そのコーティングが反射防止コーティングである、態様(7)の方法に関する。
【0115】
本開示の態様(10)は、冷間成形されたガラス基板が、非平面剛性支持構造に結合された後、その非平面剛性支持構造と直接接触していない開口領域を含み、その開口領域が、その非平面剛性支持構造によって維持された湾曲形状を有する、態様(7)から(9)のいずれか1つの方法に関する。
【0116】
本開示の態様(11)は、冷間成形されたガラス基板および非平面剛性支持構造の少なくとも一方にディスプレイを、そのディスプレイが冷間成形されたガラス基板の開口領域を通じて目に見えるように取り付ける工程をさらに含む、態様(10)の方法に関する。
【0117】
本開示の態様(12)は、冷間成形する工程の最中または後に、ガラス基板の温度が800°F(約427℃)を超えない、態様(1)から(11)のいずれか1つの方法に関する。
【0118】
本開示の態様(13)は、そのガラス基板が強化ガラスからなる、態様(1)から(12)のいずれか1つの方法に関する。
【0119】
本開示の態様(14)は、その冷間成形されたガラス基板が互いに反対の主面を有し、一方の主面に、非平面剛性支持構造がない、態様(1)から(13)のいずれか1つの方法に関する。
【0120】
態様(15)は、物品において、非平面形状並びに第1の主面および反対の第2の主面であって、互いに異なる表面圧縮応力を有する第1と第2の主面を含む冷間成形されたガラス基板と;複数の非平面地点で第1の主面に結合された非平面剛性支持構造とを備えた物品に関する。
【0121】
態様(16)は、その非平面剛性支持構造が、その冷間成形されたガラス基板がその非平面形状を含んでいる間に、冷間成形されたガラス基板上に射出成形される、態様(15)の物品に関する。
【0122】
態様(17)は、その冷間成形されたガラス基板が、第1の主面と反対の第2の主面を有し、その第2の主面がコーティングまたは表面処理を含む、態様(15)の物品に関する。
【0123】
本開示の態様(18)は、冷間成形されたガラス基板と非平面剛性支持構造との間に界面のエッジに施されたエッジ接着剤をさらに備える、態様(15)から(17)のいずれか1つの物品に関する。
【0124】
本開示の態様(19)は、その冷間成形されたガラス基板が、非平面剛性支持構造と直接接触していない開口領域を含み、その開口領域は、その非平面剛性支持構造により維持された湾曲形状を有する、態様(15)から(18)のいずれか1つの物品に関する。
【0125】
態様(20)は、冷間成形されたガラス基板および非平面剛性支持構造の少なくとも一方に取り付けられたディスプレイをさらに備え、そのディスプレイは冷間成形されたガラス基板を通じて目に見える、態様(19)の物品に関する。
【0126】
本開示の態様(21)は、その冷間成形されたガラス基板上に配置されたコーティングをさらに備える、態様(15)から(20)のいずれか1つの物品に関する。
【0127】
本開示の態様(22)は、そのコーティングがインクコーティングである、態様(21)の物品に関する。
【0128】
本開示の態様(23)は、そのコーティングが反射防止コーティングである、態様(21)の物品に関する。
【0129】
本開示の態様(24)は、互いに反対の主面および湾曲形状を有するガラス基板を備えた物品であって、その互いに反対の主面は、互いに異なる表面応力を有し、そのガラス基板は、その湾曲形状を有する剛性支持構造に取り付けられており、そのガラス基板は、非平面の剛性支持構造と直接接触していない開口領域を含み、その開口領域は、その非平面剛性支持構造により維持された湾曲形状を有する、物品に関する。
【0130】
本開示の態様(25)は、複雑な展開可能な表面を有する非平面剛性支持構造と;その非平面剛性支持構造に結合された冷間成形されたガラス基板であって、その複雑な展開可能な表面を有する冷間成形されたガラス基板とを備えた物品に関する。
【0131】
本開示の態様(26)は、そのガラス基板および非平面剛性支持構造の少なくとも一方に取り付けられたディスプレイをさらに備え、そのディスプレイは、そのガラス基板の開口領域を通じて目に見える、態様(25)または態様(24)の物品に関する。
【0132】
本開示の態様(27)は、そのガラス基板上に配置されたコーティングをさらに備える、態様(24)から(26)のいずれか1つの物品に関する。
【0133】
本開示の態様(28)は、そのコーティングがインクコーティングである、態様(27)の物品に関する。
【0134】
本開示の態様(29)は、そのコーティングが反射防止コーティングである、態様(27)の物品に関する。
【0135】
本開示の態様(30)は、そのガラス基板が化学強化されたガラス基板である、態様(24)から(29)のいずれか1つの物品に関する。
【0136】
本開示の態様(31)は、一方の主面にその非平面剛性支持構造がない、態様(24)から(30)のいずれか1つの物品に関する。
【0137】
本開示の態様(32)は、その冷間成形されたガラス基板が複雑な展開可能な表面を有する、態様(24)から(31)のいずれか1つの物品に関する。
【0138】
本開示の態様(33)は、湾曲表面を有する基部と、その湾曲表面上に配置された冷間成形されたガラス基板を備えた物品とを含む乗り物内装システムにおいて、そのガラス基板は表面を有し、その表面の全ての地点が、ゼロに等しいガウスの曲率(GC)を有し(GC=Kmax×Kmin、式中、KmaxおよびKminは、Kmax=1/R’およびKmin=1/R”と定義される主曲率である)、KmaxおよびKminの一方はゼロではなく、R’は最大曲率半径であり、R”は最小曲率半径である、乗り物内装システムに関する。
【0139】
態様(34)は、そのガラス基板の厚さが約1.5mm以下である、態様(33)の乗り物内装システムに関する。
【0140】
態様(35)は、その表面の一部が凹形状を有し、その凹形状のR’が約37.5mmから約500mmの範囲にある、態様(33)または態様(34)の乗り物内装システムに関する。
【0141】
態様(36)は、その表面の一部が凸形状を有し、その凸形状のR’が約20mmから約500mmの範囲にある、態様(33)または態様(34)の乗り物内装システムに関する。
【0142】
態様(37)は、ディスプレイをさらに含む、態様(33)から(36)のいずれか1つの乗り物内装システムに関する。
【0143】
態様(38)は、そのディスプレイが基部と物品との間に配置されている、態様(37)の乗り物内装システムに関する。
【0144】
態様(39)は、そのディスプレイが湾曲している、態様(37)または態様(38)の乗り物内装システムに関する。
【0145】
態様(40)は、そのガラス基板が強化されている、態様(33)から(39)のいずれか1つの乗り物内装システムに関する。
【0146】
様々な実施の形態をここに記載してきたが、それらは、例示として提示されたものに過ぎず、限定としてではない。ここに提示された教示および指針に基づいて、開示された実施の形態の等価物の意味と範囲内で、適用および改変が意図されていることが明白であろう。したがって、本開示の精神および範囲から逸脱せずに、ここに開示された実施の形態に、形態と詳細の様々な変更が行えることが当業者に明白であろう。ここに提示された実施の形態の要素は、必ずしも相互に排他的ではなく、当業者に認識されるように、様々な要求を満たすように、置き換えられてもよい。
【0147】
ここに記載された実施の形態は、どのような順序で組み合わされてもよい。
【0148】
ここに用いられている言葉遣いまたは用語法は、制限ではなく、説明目的のためであることが理解されよう。本開示の広さと範囲は、上述した例示の実施の形態のいずれによって制限されるべきでなく、以下の特許請求の範囲およびその等価物にしたがってのみ、定義されるべきである。
【0149】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0150】
実施形態1
方法において、
ダイを使用して、平らなガラス基板を非平面形状に冷間成形する工程、および
前記ダイを使用して、複数の非平面地点で、冷間成形された前記ガラス基板を非平面剛性支持構造に結合する工程、
を有してなる方法。
【0151】
実施形態2
前記ダイが射出成形用ダイであり、
前記結合する工程が、前記ダイが、冷間成形された前記ガラス基板を前記非平面形状に保持している間に、該冷間成形されたガラス基板上に前記非平面剛性支持構造を射出成形することによって行われる、
実施形態1に記載の方法。
【0152】
実施形態3
前記非平面剛性支持構造が、前記結合する工程の前に形成され、
該結合する工程が、前記ダイを使用して、前記非平面剛性支持構造上に冷間成形された前記ガラス基板を直接結合する工程を含む、
実施形態1に記載の方法。
【0153】
実施形態4
前記結合する工程の前に、前記非平面剛性支持構造を前記ダイの凹部内に配置する工程をさらに含む、実施形態3に記載の方法。
【0154】
実施形態5
前記結合する工程の前に、前記非平面剛性支持構造および前記平らなガラス基板の少なくとも一方に接着剤を施す工程をさらに含む、実施形態3または4に記載の方法。
【0155】
実施形態6
前記結合する工程の後、冷間成形された前記ガラス基板と前記非平面剛性支持構造との間の界面のエッジに接着剤を施す工程をさらに含む、実施形態1から5いずれか1つに記載の方法。
【0156】
実施形態7
前記冷間成形する工程の前に、前記平らなガラス基板にコーティングを施す工程をさらに含む、実施形態1から6いずれか1つに記載の方法。
【0157】
実施形態8
前記コーティングがインクコーティングである、実施形態7に記載の方法。
【0158】
実施形態9
前記コーティングが反射防止コーティングである、実施形態7に記載の方法。
【0159】
実施形態10
冷間成形された前記ガラス基板が、前記非平面剛性支持構造に結合された後、該非平面剛性支持構造と直接接触していない開口領域を含み、該開口領域が、該非平面剛性支持構造によって維持された湾曲形状を有する、実施形態1から9いずれか1つに記載の方法。
【0160】
実施形態11
前記冷間成形されたガラス基板および前記非平面剛性支持構造の少なくとも一方にディスプレイを、該ディスプレイが該冷間成形されたガラス基板の前記開口領域を通じて目に見えるように取り付ける工程をさらに含む、実施形態10に記載の方法。
【0161】
実施形態12
前記冷間成形する工程の最中または後に、前記ガラス基板の温度が800°F(約427℃)を超えない、実施形態1から11いずれか1つに記載の方法。
【0162】
実施形態13
前記ガラス基板が強化ガラスからなる、実施形態1から12いずれか1つに記載の方法。
【0163】
実施形態14
冷間成形され前記たガラス基板が互いに反対の主面を有し、一方の主面に、前記非平面剛性支持構造がない、実施形態1から13いずれか1つに記載の方法。
【0164】
実施形態15
物品において、
非平面形状並びに第1の主面および反対の第2の主面であって、互いに異なる表面圧縮応力を有する第1と第2の主面を含む冷間成形されたガラス基板と;
複数の非平面地点で前記第1の主面に結合された非平面剛性支持構造と;
を備えた物品。
【0165】
実施形態16
前記非平面剛性支持構造が、前記冷間成形されたガラス基板が前記非平面形状を含んでいる間に、該冷間成形されたガラス基板上に射出成形される、実施形態15に記載の物品。
【0166】
実施形態17
前記冷間成形されたガラス基板が、前記第1の主面と反対の第2の主面を有し、該第2の主面がコーティングまたは表面処理を含む、実施形態15に記載の物品。
【0167】
実施形態18
前記冷間成形されたガラス基板と前記非平面剛性支持構造との間に界面のエッジに施されたエッジ接着剤をさらに備える、実施形態15から17いずれか1つに記載の物品。
【0168】
実施形態19
前記冷間成形されたガラス基板が、前記非平面剛性支持構造と直接接触していない開口領域を含み、該開口領域は、該非平面剛性支持構造により維持された湾曲形状を有する、実施形態15から18いずれか1つに記載の物品。
【0169】
実施形態20
前記冷間成形されたガラス基板および前記非平面剛性支持構造の少なくとも一方に取り付けられたディスプレイをさらに備え、該ディスプレイは該冷間成形されたガラス基板を通じて目に見える、実施形態19に記載の物品。
【0170】
実施形態21
前記冷間成形されたガラス基板上に配置されたコーティングをさらに備える、実施形態15から20いずれか1つに記載の物品。
【0171】
実施形態22
前記コーティングがインクコーティングである、実施形態21に記載の物品。
【0172】
実施形態23
前記コーティングが反射防止コーティングである、実施形態21に記載の物品。
【0173】
実施形態24
互いに反対の主面および湾曲形状を有するガラス基板を備えた物品であって、
前記互いに反対の主面は、互いに異なる表面応力を有し、
前記ガラス基板は、前記湾曲形状を有する剛性支持構造に取り付けられており、
前記ガラス基板は、非平面の前記剛性支持構造と直接接触していない開口領域を含み、該開口領域は、該非平面剛性支持構造により維持された湾曲形状を有する、物品。
【0174】
実施形態25
複雑な展開可能な表面を有する非平面剛性支持構造と;
前記非平面剛性支持構造に結合された冷間成形されたガラス基板であって、前記複雑な展開可能な表面を有する冷間成形されたガラス基板と;
を備えた物品。
【0175】
実施形態26
前記ガラス基板および前記非平面剛性支持構造の少なくとも一方に取り付けられたディスプレイをさらに備え、該ディスプレイは該ガラス基板の開口領域を通じて目に見える、実施形態24または25に記載の物品。
【0176】
実施形態27
前記ガラス基板上に配置されたコーティングをさらに備える、実施形態24から26いずれか1つに記載の物品。
【0177】
実施形態28
前記コーティングがインクコーティングである、実施形態27に記載の物品。
【0178】
実施形態29
前記コーティングが反射防止コーティングである、実施形態27に記載の物品。
【0179】
実施形態30
前記ガラス基板が化学強化されたガラス基板である、実施形態24から29いずれか1つに記載の物品。
【0180】
実施形態31
一方の主面に前記非平面剛性支持構造がない、実施形態24から30いずれか1つに記載の物品。
【0181】
実施形態32
冷間成形された前記ガラス基板が複雑な展開可能な表面を有する、実施形態24から31いずれか1つに記載の物品。
【符号の説明】
【0182】
110 射出成形用ダイ
111、811、1411 第1のダイ部品
112、812、1412 第2のダイ部品
113 凹部
120、820、1420 ガラス基板
121 第1の主面
122 第2の主面
130、830、1530 非平面剛性支持構造
140、840 接着剤
810 直接結合用ダイ
831 接着剤層
1410 ダイ
1414 リッジ
1510 冷間成形されたガラス基板
1550、1610 開口領域
1620 ディスプレイ