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特許7397165音響機器、プログラム、及び再生制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】音響機器、プログラム、及び再生制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20231205BHJP
   G06F 3/04847 20220101ALI20231205BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20231205BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H04R3/00
G06F3/04847
G06F3/0488
G10K15/04 302F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022504818
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2020008935
(87)【国際公開番号】W WO2021176563
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】315017409
【氏名又は名称】AlphaTheta株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞下 崇
(72)【発明者】
【氏名】木戸 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】三笠 政之
(72)【発明者】
【氏名】富井 正道
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0029867(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
G10K 15/00-15/12
H04M 1/00
H04M 1/02- 1/23
H04M 1/24- 1/82
H04M 99/00
H04R 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を用いた音響機器であって、
楽曲データを再生する再生部と、
前記楽曲データに対する再生設定に関するユーザー操作を受け付けるための操作子を表示するディスプレイと、
前記ディスプレイの表面に設けられ、前記ユーザー操作を受け付けるタッチパネルと、
前記ディスプレイに表示された前記操作子に対応する前記タッチパネルへの接触開始時または接触終了時における前記楽曲データの再生位置に関する前記再生設定の種類を、前記接触開始時から前記接触終了時までの間の前記タッチパネル上の接触位置の変化の方向に基づいて決定する再生制御部と、を備える音響機器。
【請求項2】
前記再生制御部は、前記変化の方向と、前記接触開始時から前記接触終了時までの間の前記タッチパネル上の前記接触位置の変化量とに応じて、前記楽曲データの前記再生位置と、再生動作とを関連付ける、請求項1に記載の音響機器。
【請求項3】
前記再生制御部は、前記変化量が所定の閾値以上である場合と、前記変化量が所定の閾値未満である場合とで、前記楽曲データの前記再生位置にそれぞれ異なる前記再生動作を関連付ける、請求項2に記載の音響機器。
【請求項4】
前記変化の方向は、第1の方向と、前記第1の方向に対向する第2の方向とを含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の音響機器。
【請求項5】
前記再生制御部は、前記再生動作として、前記再生位置からの前記楽曲データの再生開始と、前記再生位置での前記楽曲データの再生待機と、前記再生位置の位置指定との少なくとも1つを関連付ける、請求項2または請求項3に記載の音響機器。
【請求項6】
前記再生制御部は、前記楽曲データの拍位置情報に基づいて、前記再生位置を決定する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の音響機器。
【請求項7】
前記操作子の少なくとも一部は、前記ディスプレイの表示画面のうち、ユーザーが前記携帯端末を片手で把持した状態で、前記携帯端末を把持した手の親指により選択可能な位置に表示される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の音響機器。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の音響機器としてコンピュータを機能させるように構成されたプログラム。
【請求項9】
携帯端末を用いた音響機器であって、楽曲データを再生する再生部と、
前記楽曲データに対する再生設定に関するユーザー操作を受け付けるための操作子を表示するディスプレイと、前記ディスプレイの表面に設けられ、前記ユーザー操作を受け付けるタッチパネルと、を備える音響機器によって実施される再生制御方法であって、
前記ユーザー操作を受け付けるステップと、
前記ディスプレイに表示された前記操作子に対応する前記タッチパネルへの接触開始時または接触終了時における前記楽曲データの再生位置に関する前記再生設定の種類を、前記接触開始時から前記接触終了時までの間の前記タッチパネル上の接触位置の変化の方向に基づいて決定するステップと、を含む再生制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響機器、プログラム、及び再生制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DJ(Disc Jockey)がDJコントローラー等の再生制御装置、コンピュータ等を操作してDJパフォーマンスを行う際に、前もって仕込み作業と呼ばれる事前作業を行う必要がある。仕込み作業には、楽曲の選択、楽曲データの解析(BPMやKEYの検出、拍位置の検出、調整、キューポイントの設定等)、複数の楽曲間の相性確認等の作業が含まれる。このような仕込み作業をコンピュータで行う場合、複数のプレーヤーの情報が並列して表示され、ユーザーは各プレーヤーの仕込み作業、および、楽曲ごとの仕込み作業を行う。
DJパフォーマンスにおいては、常に新しい楽曲や新しいパフォーマンスが求められており、DJは新しい楽曲および奏法を常に模索している。そのため、作業場所の制約がなく手軽に実施可能な方法として、コンピュータの代わりにスマートフォンおよびタブレット端末などの携帯端末を使用した仕込み作業への要望も多い。そこで、例えば、非特許文献1には、コンピュータでも携帯端末でも仕込み作業を実施可能なアプリケーションが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】DJ Player Professional (iMect Ltd.社)のアプリケーション紹介ホームページ(https://apps.apple.com/jp/app/dj-player-professional/id339810085)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯端末は、コンピュータと比較すると表示画面の大きさに制約がある。仕込み作業は、上述したように多岐にわたるため、携帯端末でコンピュータと同様の仕込み作業を実現するためには、表示画面に表示する情報の量を減らしたり、操作子等を小さくしたりするなどの対応が考えられる。しかし、このような対応行うと、操作性および視認性が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、携帯端末を用いた音響機器において、仕込み作業における高い操作性および視認性を実現することが可能な音響機器、プログラムおよび再生制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある観点によれば、携帯端末を用いた音響機器であって、楽曲データを再生する再生部と、前記楽曲データに対する再生設定に関するユーザー操作を受け付けるための操作子を表示するディスプレイと、前記ディスプレイの表面に設けられ、前記ユーザー操作を受け付けるタッチパネルと、前記ディスプレイに表示された前記操作子に対応する前記タッチパネルへの接触開始時または接触終了時における前記楽曲データの再生位置に関する前記再生設定の種類を、前記接触開始時から前記接触終了時までの間の前記タッチパネル上の接触位置の変化の方向に基づいて決定する再生制御部と、を備える音響機器が提供される。
【0007】
本発明の別の観点によれば、上記の音響機器としてコンピュータを機能させるように構成されたプログラムが提供される。
【0008】
本発明のさらに別の観点によれば、携帯端末を用いた音響機器であって、楽曲データを再生する再生部と、前記楽曲データに対する再生設定に関するユーザー操作を受け付けるための操作子を表示するディスプレイと、前記ディスプレイの表面に設けられ、前記ユーザー操作を受け付けるタッチパネルと、を備える音響機器によって実施される再生制御方法であって、前記ユーザー操作を受け付けるステップと、前記ディスプレイに表示された前記操作子に対応する前記タッチパネルへの接触開始時または接触終了時における前記楽曲データの再生位置に関する前記再生設定の種類を、前記接触開始時から前記接触終了時までの間の前記タッチパネル上の接触位置の変化の方向に基づいて決定するステップと、を含む再生制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る音響機器の概略的な機能構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態における表示画面の例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態における表示画面の別の例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態における表示画面の別の例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態における表示画面の別の例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態における表示画面の別の例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態における表示画面の別の例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る再生制御方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態における表示画面の別の例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る再生制御方法を示す別のフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態における表示画面の別の例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る再生制御方法を示す別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る音響機器の概略的な機能構成を示すブロック図である。本発明の一実施形態に係る音響機器は、スマートフォンおよびタブレットなどの携帯端末を用いた音響機器である。以下では携帯端末の一例として、スマートフォンを例に挙げて説明する。音響機器100は、第1の楽曲データを再生する第1のプレーヤー(以下、プレーヤーAと称する)および第2の楽曲データを再生する第2のプレーヤー(以下、プレーヤーBと称する)の機能と、プレーヤーAおよびプレーヤーBの両方を制御するミキサーの機能とを備える。
図1に示されるように、音響機器100は、ディスプレイ110と、タッチパネル120と、制御部130と、楽曲データ格納部140と、音声出力部150とを含む。上記の各部の機能は、例えばコンピュータのハードウェア構成を備える音響機器において、プロセッサがプログラムに従って動作することによって実現される。以下、各部の機能についてさらに説明する。
【0012】
ディスプレイ110は、音響機器100における各種の情報、およびユーザー操作を受け付けるための操作子を含む画面を表示する表示装置である。ディスプレイ110としては、液晶表示装置、有機EL表示装置等、各種方式の表示装置を採用できる。
タッチパネル120は、ディスプレイ110の表面に設けられている。タッチパネル120は、ユーザーによる接触位置を検出して、接触位置を示す座標等の情報を制御部130に出力する。タッチパネル120としては、静電容量式、抵抗膜方式等、各種方式のタッチパネルを採用できる。
【0013】
制御部130は、例えば通信インターフェース、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、及び、作業領域となるメモリーによって音響機器100に実装され、音響機器100の動作を制御する。制御部130は、プロセッサがメモリーに格納された、又は通信インターフェースを介して受信されたプログラムに従って動作することによって実現される表示制御部131と、受付部132と、第1再生部133と、第2再生部134と、再生制御部135とを含む。
【0014】
表示制御部131は、音響機器100によって再生される楽曲データの情報、および楽曲データに対する再生設定および再生制御に関するユーザー操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)の表示要素(以下、操作子ともいう)を含む画面をディスプレイ110に表示させる。
受付部132は、タッチパネル120により検出されたユーザーによる接触位置に基づいて、ユーザー操作を受け付ける。そして、受付部132は、ユーザー操作の内容を示す情報を制御部130内の各部に供給する。
【0015】
第1再生部133は、第1のプレーヤーであるプレーヤーAにおける楽曲データの再生を行い、第2再生部134は、第2のプレーヤーであるプレーヤーBにおける楽曲データの再生を行い、音声信号を後述する音声出力部150に出力する。
再生制御部135は、タッチパネル120および受付部132を介したユーザー操作に基づいて、後述する楽曲データ格納部140から楽曲データを取得し、第1再生部133および第2再生部134を制御することにより、取得した楽曲データの再生制御を行う。
【0016】
楽曲データ格納部140は、HDD(Hard Disk Drive)またはフラッシュメモリー等により、楽曲データを格納可能に構成されている。楽曲データ格納部140には、複数の楽曲データがMP3形式等の所定の形式で格納されている。楽曲データは、音声情報に加えて、例えば、楽曲のBPM、アートワーク、タイトル、アーティスト名、アルバム名、キー、DJプレイ回数及びジャンル等の情報をタグ情報として含む。楽曲データ格納部140に格納される楽曲データには、再生位置の情報であるタイムスタンプが対応付けられる。
【0017】
なお、音響機器100は、通信インターフェースを備え、外部記憶装置およびコンピュータ等に記憶された楽曲データを、図示しない通信インターフェースを介して取得し、楽曲データ格納部140に格納する構成としてもよい。この場合、音響機器100には楽曲データ格納部140が含まれず、外部記憶装置が楽曲データ格納部140として機能する。
音声出力部150は、スピーカおよびヘッドフォン端子等を備え、第1再生部133および第2再生部134により再生された楽曲データの音声信号を音声情報として出力する。
【0018】
以上説明した音響機器100において、ユーザーが仕込み作業を行う際に、ディスプレイ110に表示される表示画面について説明する。
【0019】
図2から図7は、本実施形態における表示画面の例を示す図である。表示制御部131は、図2に示されるように、プレーヤーAに関する再生設定および再生制御を行うための第1の画面であるプレーヤー画面D1と、プレーヤーBに関する再生設定および再生制御を行うための第2の画面であるプレーヤー画面D2と、プレーヤーAにおける第1の楽曲データおよびプレーヤーBにおける第2の楽曲データの両方に対する再生制御を行うための第3の画面であるミキサー画面D3との何れかをディスプレイ110に表示する。
【0020】
図2において、プレーヤー画面D1の上部には、現在選択されているプレーヤーを示す情報が表示される表示領域201が設けられる。具体的には、表示領域201には、プレーヤーAを示す「A」、プレーヤーBを示す「B」、およびミキサーを示す「AB」の文字表示と、何れが選択されているかを示す下線とが表示される。ユーザーは「A」、「B」および「AB」の何れに下線が表示されているかを目視することにより、選択されているプレーヤーを確認可能である。
【0021】
表示領域201の下側には、プレーヤーAにロードされている楽曲データの情報を示す表示領域202が設けられる。表示領域202には、楽曲データのタイトル、アーティスト名、楽曲に関するサムネイル等が表示される。
表示領域202の下側には、プレーヤーAにロードされている楽曲データ全体の波形情報が表示される表示領域203が設けられる。
表示領域203の下側には、プレーヤーAにロードされている楽曲データの部分波形情報が表示される表示領域204が設けられる。なお、部分波形情報とは、楽曲データの波形情報のうち、現在の再生位置を含む所定時間範囲内の波形情報を拡大して示すものである。
【0022】
表示領域204の下側には、プレーヤーAにロードされている楽曲データに対するユーザー操作を受け付けるための各操作子が表示される表示領域205が設けられる。
表示領域205には、図2に示されるように、プレーヤーAにおける再生制御に関する操作子として、基本的な再生制御に関する操作子OP1、再生位置のスキップ操作に関する操作子OP2、繰り返し再生に関する操作子OP3が含まれる。また、表示領域205には、プレーヤーAにおける再生設定に関する操作子として、再生設定の種類を選択するための操作子OP4が含まれる。
【0023】
操作子OP1には、プレーヤーAにおける再生または一時停止ボタン、トラックサーチボタン、CUEボタン等が含まれる。なお、トラックサーチボタンに加えて、または、代えて、サーチボタンを含んでもよい。また、ユーザー操作の内容(所定の時間以上選択し続ける長押し等)に応じて、トラックサーチボタンおよびサーチボタンの両方として機能するボタンを含んでもよい。
操作子OP2には、プレーヤーAにおける再生時に早送り方向または巻き戻し方向に再生位置をスキップするボタン、およびスキップの間隔を選択するセレクトボックスB1等が含まれる。なお、セレクトボックスB1を選択するユーザー操作が行われると、ディスプレイ110には、図3に示すプレーヤー画面D4が表示される。プレーヤー画面D4には、図3に示すように、上述した操作子OP2に加えて、スキップの間隔を指定可能なリストを含む操作子OP5が含まれる。なお、プレーヤー画面D4のうち操作子OP5以外の部分については、プレーヤー画面D1と同様である。以下、図4から図7の説明においては、プレーヤー画面D1と異なる部分についてのみ説明し、プレーヤー画面D1と同様の部分については説明を省略する。
【0024】
操作子OP3には、設定対象の楽曲データの一部の繰り返し再生に関する設定を行うための操作子として、マニュアルで起終点を指定するマニュアルモードと、起点および繰り返し区間を指定するオートモードとの何れかを選択するセレクトボックスB2、マニュアルモードにおいて繰り返し再生の起終点を指定するINボタンおよびOUTボタン等が含まれる。なお、セレクトボックスB2を選択するユーザー操作が行われ、オートモードが選択されると、ディスプレイ110には、図4に示すプレーヤー画面D5が表示される。プレーヤー画面D5には、図4に示すように、上述した操作子OP3に代えて、上述したセレクトボックスB2、オートモードにおいて繰り返し再生の起点を指定するためのボタン、繰り返し区間を指定するボタン等を含む操作子OP6が含まれる。
【0025】
操作子OP4には、再生設定の種類を選択するための操作子として、HOME画面を呼び出すMAINボタン、拍位置情報の設定を行うためのGRIDボタン、MEMORY CUEの設定を行うためのMEMORYボタン、HOT CUEの設定を行うためのHOT CUEボタンが含まれる。MAINボタンを選択するユーザー操作が行われると、ディスプレイ110には、HOME画面として、上述したプレーヤー画面D1が表示される。
【0026】
GRIDボタンを選択するユーザー操作が行われると、ディスプレイ110には、図5に示すプレーヤー画面D6が表示される。プレーヤー画面D6には、図5に示すように、上述したプレーヤー画面D1の操作子OP2およびOP3に代えて、設定対象の楽曲データに関するGRIDの位置および幅を調整するボタン等を含む操作子OP7が含まれる。図5の例では、操作子OP7の表示に際し、楽曲データのタイトル、アーティスト名、楽曲に関するサムネイル等が表示される表示領域202の表示が省略される。後述する図6および図7についても同様である。
【0027】
MEMORY CUEは、設定対象の楽曲データについて、指定された再生位置での楽曲データの再生待機を行うための再生設定である。MEMORYボタンを選択するユーザー操作が行われると、ディスプレイ110には、図6に示すプレーヤー画面D7が表示される。プレーヤー画面D7には、図6に示すように、上述したプレーヤー画面D1の操作子OP2およびOP3に代えて、MEMORY CUEの追加または削除ボタン、MEMORY CUEの呼び出しボタン、MEMORY CUEの詳細情報の設定および呼び出しボタン等を含む操作子OP8が含まれる。なお、MEMORY CUEの設定に際しては、上述した拍位置情報に基づいて、再生位置を決定してもよい。
【0028】
HOT CUEは、設定対象の楽曲データについて、指定された再生位置から楽曲データの再生開始を行うための再生設定である。HOT CUEボタンを選択するユーザー操作が行われると、ディスプレイ110には、図7に示すプレーヤー画面D8が表示される。プレーヤー画面D8には、図7に示すように、HOT CUEの追加または削除ボタン、HOT CUEの呼び出しボタン、HOT CUEの詳細情報の設定および呼び出しボタン等を含む操作子OP9が含まれる。なお、HOT CUEの設定に際しても、上述した拍位置情報に基づいて、再生位置を決定してもよい。
【0029】
ここまで説明したように、プレーヤー画面D1、D4からD8は、プレーヤーAに関する再生設定および再生制御を行うための第1の画面であり、操作子OP1からOP9は、第1の画面に含まれる第1の操作子である。ユーザーは、タッチパネル120を操作して第1の画面をディスプレイ110に表示させることにより、プレーヤーAの第1の楽曲データに対する再生設定および再生制御等を行うことができる。
【0030】
再び図2を参照して、プレーヤーBに関する再生設定および再生制御を行うためのプレーヤー画面D2について説明する。プレーヤー画面D2には、図2に示すように、プレーヤーBにロードされている楽曲データに関する操作子を含む表示領域301から305が設けられる。各表示領域は、上述したプレーヤー画面D1の対応する表示領域とそれぞれ同様であるため、説明を省略する。また、表示領域305に含まれる各操作子についても、プレーヤー画面D1およびD4からD8で説明した対応する操作子とそれぞれ同様であるため、説明を省略する。
【0031】
プレーヤー画面D2、およびD4からD8に対応する不図示の表示画面は、プレーヤーBに関する再生設定および再生制御を行うための第2の画面であり、操作子OP1からOP9に対応する操作子は、第2の画面に含まれる第2の操作子である。ユーザーは、タッチパネル120を操作して第2の画面をディスプレイ110に表示させることにより、プレーヤーBの第2の楽曲データに対する再生設定および再生制御等を行うことができる。
【0032】
次に、プレーヤーAおよびプレーヤーBの両方に関する再生制御を行うためのミキサー画面D3について説明する。ミキサー画面D3は、基本的には、図2に示すようにプレーヤーAに関する上述したプレーヤー画面D1と、プレーヤーBに関する上述したプレーヤー画面D2とが水平方向に並列に表示された構成である。ミキサー画面D3の表示領域401から406のうち、表示領域401は、プレーヤー画面D1およびD2の対応する表示領域と同様である。
【0033】
表示領域402Aおよび402Bは、プレーヤー画面D1およびD2の対応する表示領域がそれぞれ水平方向に並列に表示されたものである。表示領域407Aおよび407Bには、プレーヤーAおよびプレーヤーBのBPMを示す情報、およびプレーヤーAおよびプレーヤーBのBPMを自動的に同期させる、いわゆるBEAT SYNCの状態を示す情報等が表示される。表示領域403Aおよび403Bは、プレーヤー画面D1およびD2の対応する表示領域がそれぞれ水平方向に並列に表示されたものである。
【0034】
表示領域404Aおよび404Bは、プレーヤー画面D1およびD2の対応する表示領域204および304について、それぞれ波形情報の上半分および下半分が垂直方向に並列に表示されたものである。表示領域405Aおよび405Bは、プレーヤー画面D1の表示領域205およびD2の表示領域305のそれぞれ一部が水平方向に並列に表示されたものである。ここで、表示領域405Aおよび405Bには、上記の各表示領域に表示されていた基本的な再生制御に関する操作子OP1、再生位置のスキップ操作に関する操作子OP2の一部は表示されるが、繰り返し再生に関する操作子OP3、再生設定の種類を選択するための操作子OP4は表示されない。
表示領域406には、プレーヤーAおよびプレーヤーBから出力される楽曲データの出力レベル比率を調整するためのクロスフェーダーを含む操作子OP10が含まれる。
【0035】
上記のようなミキサー画面D3は、プレーヤーAの第1の楽曲データおよびプレーヤーBの第2の楽曲データの両方に対する再生制御、つまり、ミキシングに関する第3の操作子を含む第3の画面である。ユーザーは、タッチパネル120を操作して第3の画面をディスプレイ110に表示させることにより、プレーヤーAの第1の楽曲データおよびプレーヤーBの第2の楽曲データの両方に共通する再生制御、および、第1の楽曲データおよび第2の楽曲データの相性確認等、ミキサーに関する再生制御を行うことができる。
ここまで説明したように、音響機器100においては、仕込み作業の目的に応じて、プレーヤーごとに複数の表示画面が設けられる。具体的には、例えば、ユーザーはプレーヤー画面D1およびD2のそれぞれを表示して第1の楽曲データおよび第2の楽曲データのそれぞれについて、繰り返し再生、GRID設定、MEMORY CUEの設定、HOT CUEの設定等の再生設定操作を行い、ミキサー画面D3を表示して第1の楽曲データと第2の楽曲データとを再生した場合の相性の確認を行う。
【0036】
次に、設定対象および表示対象のプレーヤー変更時の各部の動作について説明する。プレーヤーを変更する場合、ユーザーは、ディスプレイ110上の任意の位置において水平方向に指を滑らせる、いわゆるフリック操作を行うことによって、選択されているプレーヤーを変更することができる。この時、フリック操作の方向と各表示画面との関係は、2つのプレーヤーがミキサーの両側に配置される位置関係にしたがっている。そのため、携帯端末を用いた音響機器100であっても、ユーザーは実際のDJ機器と同様のイメージで仕込み作業を行うことができる。
なお、ユーザーは、図2のプレーヤー画面D1からD3の表示領域201、301、401で説明した「A」、「B」および「AB」の文字情報の何れかを選択することによっても、選プレーヤーを変更することができる。ただし、ユーザーが音響機器100を片手で把持している場合、表示画面の上部は操作しにくいため、上述したフリック操作の方が操作性が高い。
【0037】
図8は、プレーヤー変更時の各部の動作を示すフローチャートである。
図8に示された例では、まず、受付部132がタッチパネル120を介してプレーヤーの変更操作が行われたか否かを判定する(ステップS101)。
受付部132がプレーヤーの変更操作が行われたと判定すると(ステップS101YES)、受付部132は、タッチパネル120により検出されたユーザーによる接触位置に基づいて、何れのプレーヤーが選択されたかを判定する(ステップS102)。
【0038】
プレーヤーAが選択されたと受付部132が判定すると、表示制御部131は、第1の画面をディスプレイ110に表示させる(ステップS103)。また、プレーヤーBが選択されたと受付部132が判定すると、表示制御部131は、第2の画面をディスプレイ110に表示させる(ステップS104)。また、ミキサーが選択されたと受付部132が判定すると、表示制御部131は、第3の画面をディスプレイ110に表示させる(ステップS105)。
【0039】
なお、表示制御部131によってディスプレイ110の表示内容が遷移した際に、第1再生部133、第2再生部134、および再生制御部135は、遷移前の第1の画面、第2の画面、および第3の画面で設定された再生設定および再生制御の設定値を維持する。そのため、ユーザーがプレーヤーの変更を頻繁に行った場合でも、プレーヤーの変更の前後で設定値が維持される。
【0040】
上述したように、表示制御部131は、タッチパネル120を介したユーザー操作に基づいて、第1の画面、第2の画面、および第3の画面を相互に遷移してディスプレイ110に表示させる。そのため、表示制御部131は、第1の画面をディスプレイ110に表示させる第1の表示制御部、第2の画面をディスプレイ110に表示させる第2の表示制御部、第3の画面をディスプレイ110に表示させる第3の表示制御部、および各画面を相互に遷移させてディスプレイ110に表示させる表示遷移制御部の各部として機能することになる。
【0041】
したがって、ユーザーは、仕込み作業の目的に応じて、プレーヤーを順次変更して設定対象の楽曲データに対する再生設定および再生制御を行うことができる。例えば、プレーヤーAを用いてCUE設定等の楽曲データに対する仕込み作業行い、ミキサーを用いてプレーヤーAおよびプレーヤーBの楽曲データとの相性確認を行い、またプレーヤーAに戻って調整を行うといった連続的な仕込み作業を容易に実現できる。
また、プレーヤーAおよびプレーヤーBを用いた仕込み作業と、ミキサーを用いた仕込み作業とを分け、プレーヤー画面にはプレーヤーを用いた仕込み作業で必要とされる操作子のみを設け、ミキサー画面にはミキサーを用いた仕込み作業で必要とされる操作子のみを設けた。そのため、携帯端末を用いた音響機器100であっても、表示画面に表示する情報の量を減らしたり、操作子等を小さくしたりすることなく、仕込み作業における高い操作性および視認性を実現することができる。
【0042】
なお、上述した例では、ミキサーに関する再生制御を行うための第3の画面の一例として、図2に示したミキサー画面D3をディスプレイ110に表示する例を示した。しかし、表示制御部131は、ミキサー画面D3を表示させる第1のモード(以下、通常モードと称する)と、プレーヤーAの第1の楽曲データおよびプレーヤーBの第2の楽曲データに対する統合された再生制御に関する操作子を表示させる第2のモード(以下、DUAL CONTROLモードと称する)とを、ユーザー操作に基づいて切り替えてもよい。
【0043】
図9は、通常モードにおける第3の画面であるミキサー画面D9と、DUAL CONTROLモードにおける第3の画面であるミキサー画面D10とを示す。ミキサー画面D9は、図2のミキサー画面D3と略同様の構成である。通常モードにおけるミキサー画面D9の表示領域のうち、表示領域505Aおよび505Bを除く各表示領域は、それぞれ、ミキサー画面D3の対応する表示領域と同様である。表示領域505Aおよび505Bには、ミキサー画面D3の表示領域405Aおよび405Bに重畳するようにDUAL CONTROLボタンを含む操作子OP11が含まれる。
【0044】
DUAL CONTROLボタンを選択するユーザー操作が行われると、ディスプレイ110には、図9に示すミキサー画面D10が表示される。DUAL CONTROLモードにおけるミキサー画面D10は、図9のミキサー画面D9と略同様の構成である。DUAL CONTROLモードにおけるミキサー画面D10の表示領域のうち、表示領域605を除く各表示領域は、それぞれ、ミキサー画面D9の対応する表示領域と同様である。表示領域605には、DUAL CONTROL解除ボタンを含む操作子OP12と、ミキサー画面D9の表示領域505Aまたは505Bと同様で、プレーヤーAの第1の楽曲データおよびプレーヤーBの第2の楽曲データに対する統合された再生制御に関する操作子OP13とが含まれる。
DUAL CONTROL解除ボタンを選択するユーザー操作が行われると、ディスプレイ110には、再び図9に示す通常モードにおけるミキサー画面D9が表示される。
【0045】
図10は、ミキサーに関する再生制御を行うための第3の画面のモード切り替え時の各部の動作を示すフローチャートである。
図10に示された例では、まず、受付部132がタッチパネル120を介してDUAL CONTROLの切り替え操作が行われたか否かを判定する(ステップS201)。DUAL CONTROLの切り替え操作は、上述したように、ユーザーが、ミキサー画面D9において、DUAL CONTROLボタンを選択するか、または、ミキサー画面D10において、DUAL CONTROL解除ボタンを選択することにより行われる。
【0046】
受付部132がDUAL CONTROLの切り替え操作が行われたと判定すると(ステップS201YES)、表示制御部131は、ユーザー操作に応じてモードを切り替えて、通常モードにおけるミキサー画面D9またはDUAL CONTROLモードにおけるミキサー画面D10をディスプレイ110に表示させる(ステップS202)。
【0047】
このように、ユーザー操作に基づいて、第1の楽曲データに対する再生制御に関する操作子、および第2の楽曲データに対する再生制御に関する操作子を別個に含む第3の操作子を表示させる第1のモードと、第1の楽曲データおよび第2の楽曲データに対する統合された再生制御に関する操作子を含む第3の操作子を表示させる第2のモードとを切り替えることにより、第2のモードにおいては、プレーヤーAの第1の楽曲データおよびプレーヤーBの第2の楽曲データのミックスの結果をすばやく確認することができる。従来は、ミックスの確認をするために、プレーヤーAおよびプレーヤーBに対する再生指示を同時に行う必要があったが、第2のモードのであるDUAL CONTROLモードにおいては、統合された再生制御に関する操作子を操作するのみでミックスの確認が可能となる。
【0048】
また、上述した例では、図6に示したプレーヤー画面D7をディスプレイ110に表示させてMEMORY CUEに関する設定を行い、図7に示したプレーヤー画面D8をディスプレイ110に表示させてHOT CUEに関する設定を行う場合を例に挙げて説明したが、他の手法で行う構成としてもよい。
以下では、一例として、再生位置と再生動作とを関連付けるCUE設定を、より簡便に設定可能なQUICK CUEモードについて説明する。
【0049】
図11は、図2で説明したプレーヤー画面D1と、QUICK CUEモードにおいてMEMORY CUEに関する設定を行うためのプレーヤー画面D11と、QUICK CUEモードにおいてHOT CUEに関する設定を行うためのプレーヤー画面D12とを示す。
プレーヤー画面D1、D11、D12には、楽曲データの部分波形情報が表示される表示領域204の下方に、QUICK CUEボタンを含む操作子OP14が含まれる。QUICK CUEボタンが表示領域204の近傍に配置されることにより、ユーザーは楽曲データの部分波形情報から視線を外さずに操作を行うことが可能である。また、QUICK CUEボタンが表示領域204の下方に配置されることにより、ユーザーによる操作時に楽曲データの部分波形情報がユーザーの手指によって遮蔽されるという問題を回避することができる。
【0050】
QUICK CUEモードにおいて、ユーザーは、QUICK CUEボタンを選択するタップ操作、あるいは、QUICK CUEボタンを起点として水平方向に指を滑らせる、いわゆるフリック操作を行うことによって、複数種類のCUE設定を簡便に行うことができる。より具体的には、再生制御部135は、タップ操作に応じて、現在の再生位置にCUE設定を行ういわゆるCURRENT CUEの設定を行い、第1の方向である左方向へのフリック操作に応じて、MEMORY CUEの設定を行い、第1の方向と対向する第2の方向である右方向へのフリック操作に応じて、HOT CUEの設定を行う。
【0051】
図12は、QUICK CUEモードにおける各部の動作を示すフローチャートである。
図12に示された例では、まず、受付部132がタッチパネル120を介してQUICK CUEボタンへの接触が開始されたか否かを判定する(ステップS301)。受付部132がQUICK CUEボタンへの接触が開始されたと判定すると(ステップS301YES)、再生制御部135は、接触開始時の再生位置を取得する(ステップS302)。
【0052】
次に、受付部132がタッチパネル120を介して水平方向における接触位置の移動があるか否かを判定する(ステップS303)。接触位置の移動の有無の判定は、例えば、接触位置の変化の方向と、変化量および所定の閾値の比較とにより行うことができる。
【0053】
一定時間を経ても受付部132が水平方向における接触位置の移動があると判定しない場合(ステップS303NO)はステップS305に進み、受付部132が水平方向における接触位置の移動があると判定すると(ステップS303YES)、再生制御部135は、移動方向に応じてCUEの種類を決定し、表示制御部131は、決定したCUEの種類を示す情報をディスプレイ110に表示する(ステップS304)。
受付部132が左方向への接触位置の移動があると判定すると、再生制御部135は、CUEの種類をMEMORY CUEに決定し、表示制御部131は、図11のプレーヤー画面D11に示すように、「MEMORY」との文字情報をディスプレイ110に表示する。このような表示により、ユーザーはMEMORY CUEを設定可能であることを確認することができる。
一方、受付部132が右方向への接触位置の移動があると判定すると、再生制御部135は、CUEの種類をHOT CUEに決定し、表示制御部131は、図11のプレーヤー画面D12に示すように、「HOT CUE」との文字情報をディスプレイ110に表示する。このような表示により、ユーザーはHOT CUEを設定可能であることを確認することができる。
【0054】
次に、受付部132がタッチパネル120への接触が終了したか否かを判定する(ステップS305)。一定時間を経ても受付部132がタッチパネル120への接触が終了したと判定しない場合(ステップS305NO)はステップS303に戻り、受付部132がタッチパネル120への接触が終了したと判定すると(ステップS305YES)、再生制御部135は、接触終了時の再生位置を取得する(ステップS306)。
【0055】
そして、再生制御部135は、接触終了時のタッチパネル120上の接触位置を取得し(ステップS307)、接触位置の変化の方向および変化量を算出する(ステップS308)。
接触位置の変化の方向および変化量は、ステップS301におけるQUICK CUEボタンへの接触開始時からステップS305におけるタッチパネル120への接触終了時までの間のタッチパネル120上の接触位置の変化の方向および変化量であり、タッチパネル120上のQUICK CUEボタンの座標情報と、ステップS307で取得した接触位置の座標情報との差異を求めることにより算出できる。
【0056】
再生制御部135は、算出した変化の方向および変化量に基づいてCUEの種類を決定し(ステップS309)、CUEを設定する(ステップS310)。
例えば、ステップS301においてQUICK CUEボタンへの接触が開始され、ステップS303において水平方向における接触位置の変化量が所定の閾値未満であるため接触位置の移動がないと判定され、ステップS305においてタッチパネル120への接触が終了した場合、再生制御部135は、タップ操作が行われたと判断し、タッチパネル120への接触終了時の再生位置にCURRENT CUEの設定を行う。
【0057】
また、例えば、ステップS301においてQUICK CUEボタンへの接触が開始され、ステップS303において左方向における接触位置の変化量が所定の閾値以上であるため接触位置の左方向への移動があると判定され、ステップS305においてタッチパネル120への接触が終了した場合、再生制御部135は、左方向へのフリック操作が行われたと判断し、タッチパネル120への接触終了時の再生位置と、その再生位置での楽曲データの再生待機を示す再生動作とを関連付けて、MEMORY CUEの設定を行う。
【0058】
また、例えば、ステップS301においてQUICK CUEボタンへの接触が開始され、ステップS303において右方向における接触位置の変化量が所定の閾値以上であるため接触位置の右方向への移動があると判定され、ステップS305においてタッチパネル120への接触が終了した場合、再生制御部135は、右方向へのフリック操作が行われたと判断し、タッチパネル120への接触終了時の再生位置と、その再生位置での楽曲データの再生開始を示す再生動作とを関連付けて、HOT CUEの設定を行う。
【0059】
なお、上述の例では、接触終了時の再生位置にCUEを設定する例を示したが、接触開始時の再生位置にCUEを設定してもよいし、接触開始時と接触終了時との何れかをユーザーにより選択可能としても良い。また、変化の方向のみに基づいて、設定を行う構成としてもよい。
また、QUICK CUEモードにおいては、操作精度が低下する場合もあるため、再生位置を拍位置に吸着させてもよい。また、QUICK CUEモードを、プレーヤーBに関する再生設定および再生制御を行うための第2の画面、およびミキサーに関する再生制御を行うための第3の画面に適用してもよい。
【0060】
このように、ディスプレイ110に表示された操作子に対応するタッチパネル120への接触開始時または接触終了時における楽曲データの再生位置に関する再生設定の種類を、接触開始時から接触終了時までの間のタッチパネル120上の接触位置の変化の方向に基づいて決定することにより、タッチパネル120に対するシンプルな操作で、複数種類のCUE設定を行うことができる。従来は、CUE設定の種類ごとに設定画面を呼び出したり、再生位置を指定した後に、改めてその再生位置に再生動作を関連付けたりする必要があったが、QUICK CUEモードにおいては、直感的かつ簡便な操作で、ユーザーの所望のCUE設定を行うことができる。
また、上述した変化の方向と、接触開始時から接触終了時までの間のタッチパネル120上の接触位置の変化量とに応じて、楽曲データの再生位置と、再生動作とを関連付けることにより、より詳細な設定を簡単な操作で行うことができる。
【0061】
以上で説明したような本発明の一実施形態によれば、携帯端末を用いた音響機器において、仕込み作業における高い操作性および視認性を実現することができる。
従来、スマートフォンを想定した縦長の表示画面では、複数のプレーヤーが垂直方向に並列に表示されたり、複数のプレーヤーは水平方向に並列に表示される代わりに再生方向が垂直方向に表示されたりと、ユーザーに違和感を与えるレイアウトのものが多かった。また、横長の表示画面では、使用時にユーザーがスマートフォンを持ち替えたり、両手で把持したりする必要があった。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、縦長の表示画面であっても、ユーザーは実際のDJ機器と同様のイメージで仕込み作業を行うことができる。また、縦長の表示画面であるため、使用時にスマートフォンを持ち替える必要もなく、片手で把持した状態で仕込み作業を行うことができる。
【0063】
なお、上記実施形態で説明した各ユーザー操作は一例であり、本実施形態に限定されない。例えば、水平方向のフリック操作に代えて、垂直方向のフリック操作を採用してもよい。また、各指示に割り振るユーザー操作をユーザーにより設定可能としても良い。
【0064】
また、上記実施形態で説明した各表示画面は一例であり、各要素、デザイン、配置等は本実施形態に限定されない。例えば、楽曲データ全体の波形情報および部分波形情報に加えて、または、楽曲データ全体の波形情報および部分波形情報に代えて、レコード盤またはレコード盤を模した図形、ジョグダイヤル等を設けてもよい。また、各表示画面の各要素、デザイン、配置等をユーザーにより設定可能としても良い。
【0065】
また、上記実施形態の各表示画面に含まれる各操作子は一例であり、操作子の種類、デザイン、配置等は本実施形態に限定されない。例えば、操作子には、ジョグダイヤル、テンポスライダー、パフォーマンスパッド(再生制御に関する各種機能を割り当てることができる汎用性操作子)、フェーズおよびノイズ等のエフェクト処理に関する操作子、チャンネルフェーダー等が含まれてもよい。また、各操作子の種類、デザイン、配置等をユーザーにより設定可能としても良い。ただし、各操作子は、ディスプレイ110の表示画面のうち、ユーザーが音響機器100を片手で把持した状態で、把持した手の親指により選択可能な位置に表示されるとより好ましい。
【0066】
また、上記実施形態では、1つのディスプレイ110を備える音響機器100を例に挙げて説明したが、2つ以上の表示装置を備える音響機器100に本発明を適用してもよい。
【0067】
上記実施形態では、音響機器100として、スマートフォンを用いた音響機器を例に挙げて説明したが、タブレット端末などの携帯端末を用いた音響機器であってもよい。また、プレーヤー、プレーヤーを制御するミキサー、プレーヤーとミキサーとが一体化したDJシステム、再生機能を備えないDJコントローラー、電子楽器、カラオケ機器、ゲーム機等に本発明を適用してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、音響機器100の制御部130は、図示しない記憶部および記録媒体からプログラムを読み取って実行することによって、上述した処理を行うとした。しかしながら、これに限らず、例えば、制御部130は、ネットワーク上の機器からプログラムを取得して実行してもよい。なお、記録媒体としては、ディスク型記録媒体、HDD、並びに、半導体メモリー等が挙げられる。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変形例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0070】
100…音響機器、110…ディスプレイ、120…タッチパネル、130…制御部、131…表示制御部、132…受付部、133…第1再生部、134…第2再生部、135…再生制御部、140…楽曲データ格納部、150…音声出力部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12