(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための液圧ブロック
(51)【国際特許分類】
B60T 8/34 20060101AFI20231205BHJP
B60T 11/16 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B60T8/34
B60T11/16 C
(21)【出願番号】P 2022508973
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2020064963
(87)【国際公開番号】W WO2021032331
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-11
(31)【優先権主張番号】102019212353.8
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヴェー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】タンドラー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ハグスピエル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】バレイス,アレクサンダー
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102017218301(DE,A1)
【文献】特表2019-503937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0121385(US,A1)
【文献】特表2019-509215(JP,A)
【文献】特開2015-113034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための直方体状の液圧ブロックであって、前記液圧ブロック(1)のモータ側(7)に設けられた補助動力シリンダ孔(4)と、前記補助動力シリンダ孔(4)の開口を覆う、前記モータ側(7)に配置された電動機(6)と、前記モータ側(7)に隣接する第1の固定側(13)に前記液圧ブロック(1)を固定するための固定装置(14)とを有している形式のものにおいて、
前記液圧ブロック(1)が、この液圧ブロック(1)を、選択的に前記固定側(13)
にまたはこの第1の固定側(13)に向かい合う第2の固定側(13′)に機械的に固定するための固定装置(14)を有し
、
前記液圧ブロック(1)が、前記モータ側(7)と向かい合う、前記液圧ブロック(1)のコントロールユニット側(15)に、前記補助動力シリンダ孔(4)に対して平行に設けられたペダルストロークシミュレータ(17)のための受け部(16)を有していることを特徴とする、液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための直方体状の液圧ブロック。
【請求項2】
前記液圧ブロック(1)が、該液圧ブロック(1)の互いに向かい合う前記2つの固定側(13,13′)のうちの一方に選択的に配置可能な固定装置(14)を有していることを特徴とする、請求項1記載の液圧ブロック。
【請求項3】
前記液圧ブロック(1)が、該液圧ブロック(1)の、前記モータ側(7)に向かい合う
前記コントロールユニット側(15)に、前記2つの固定側(13)の間の中心面(24)に
対して鏡像対称的に配置された、補助動力バルブ(27)のための2つの受け部(27′)を有していることを特徴とする、請求項1または2記載の液圧ブロック。
【請求項4】
前記液圧ブロック(1)が、前記モータ側(7)に向かい合う前記コントロールユニット側(15)に、テストバルブ(23)のための受け部(23′)と、同様に前記コントロールユニット側(15)にセパレートバルブ(22)のための受け部(22′)とを、
有し、前記2つの固定側(13)の間
の中心面(24)に
対して鏡像対称的に、前記テストバルブ(23)のための前記受け部(23′)と、前記セパレートバルブ(22)のための前記受け部(22′)と、が配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1
項に記載の液圧ブロック。
【請求項5】
前記液圧ブロック(1)が、この液圧ブロック(1)の前記モータ側(7)に向かい合う前記コントロールユニット側(15)に圧力センサ(25,26)のための2つの受け部(25′,26′)を
有し、
前記圧力センサ(25,26)のための前記2つの受け部(25′,26′)が前記2つの固定側(13)の間
の中心面(24)に
対して鏡像対称的に配置されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1
項に記載の液圧ブロック。
【請求項6】
前記液圧ブロック(1)が、前記モータ側(7)と前記コントロールユニット側(15)と前記2つの固定側(13)とに隣接する上短辺側(29)に、ブレーキ液貯蔵タンク(30)のための複数の接続部を有していることを特徴とする、請求項
4に記載の液圧ブロック。
【請求項7】
前記液圧ブロック(1)がマスタブレーキシリンダ孔(9)を有しており、該マスタブレーキシリンダ孔(9)が、前記セパレートバルブ(22)のための前記受け部(22′)および/または前記テストバルブ(23)のための前記受け部(23′)および/または前記ブレーキ液貯蔵タンク(30)のための単数および/または複数の接続部と連通していることを特徴とする、請求項
6に記載の液圧ブロック。
【請求項8】
前記液圧ブロック(1)が、
前記マスタブレーキシリンダ孔(9)と、このマスタブレーキシリンダ孔に隣接しかつこれと平行に
、マスタブレーキシリンダ(20)のためのストロークセンサ(32)またはポジションセンサ用のセンサ孔(31)とを有していることを特徴とする、請求項
7に記載の液圧ブロック。
【請求項9】
前記液圧ブロック(1)が、前記上短辺側(29)に向かい合う下短辺側(18)に電気コネクタ(36)を有していることを特徴とする、請求項
6から
8までのいずれか1
項に記載の液圧ブロック。
【請求項10】
前記液圧ブロック(1)が、前記モータ側(7)に向かい合う前記コントロールユニット側(15)に電子コントロールユニット(35)を有しており、この電子コントロールユニット(35)は、前記液圧ブロック(1)を前記第1の固定側(13)に固定する場合、前記液圧ブロック(1)を前記第1の固定側(13)に向かい合う前記第2の固定側(13′)に固定する場合と同じ電子コントロールユニット(35)であることを特徴とする、請求項1から
9までのいずれか1
項に記載の液圧ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部の特徴を有する、液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための直方体状の液圧ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、スリップ制御を行う液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧ユニットのための細い直方体状の液圧ブロックが開示されており、この液圧ブロック内に、一方の狭幅側からこれに向かい合う狭幅側に貫通するマスタブレーキシリンダ孔と、このマスタブレーキシリンダ孔に対して垂直に、同様に液圧ブロックの互いに向かい合う2つの広幅側を貫通する補助動力シリンダ孔とが設けられている。補助動力シリンダ孔に対して同軸的に、液圧ブロックの2つの広幅側のうちの一方に電動機が取り付けられている。自動車のエンジンルーム内で自動車のスプラッシュボードに液圧ブロックを固定するために、公知の液圧ブロックは、孔付き円板状の固定フランジを有しており、この固定フランジは、マスタブレーキシリンダ孔に対して同軸的に、液圧ブロックの2つの狭幅側の一方に配置されている。さらに、公知の液圧ブロックは、マスタブレーキシリンダ孔に対してもまた補助動力シリンダ孔に対しても垂直な、ペダルストロークシミュレータのための受け部としての盲孔を液圧ブロックの下短辺側に有していて、また液圧ブロックの上短辺側に配置可能なブレーキ液貯蔵容器に接続するための盲孔を液圧ブロックの上短辺側に有している。車両ブレーキ装置の液圧式のホイールブレーキに通じるブレーキ管路のための接続部が、液圧ブロックの、電動機が取り付けられる側である広幅側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102016202113号明細書
【発明の概要】
【0004】
請求項1の特徴を有する本発明による液圧ブロックは、特にスリップ制御システムを有する液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧ユニットのために設けられている。スリップ制御システムを有する、液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の主要部は、液圧ブロックを有する液圧ユニットであって、この液圧ブロックに、ブレーキ管路を介して車両ブレーキ装置の液圧式のホイールブレーキが接続されている。スリップ制御システムは、特にアンチロックブレーキシステム、トラクションスリップ制御装置および/またはビークルダイナミックコントロール/エレクトロニック・スタビリティ・プログラムであって、このために略語ABS,ASRおよび/またはFDR/ESPが一般的に使用されている。FDR/ESPは、俗語として“Schleuderschutzregelungen(アンチスキッド)”とも呼ばれる。スリップ制御システムは公知であって、ここでは詳しく説明しない。
【0005】
液圧ブロックは、車両ブレーキ装置若しくはそのスリップ制御システムの液圧構成要素を機械的に固定および液圧的に接続するために用いられる。このような液圧構成要素は、特に電磁弁、逆止弁、液圧蓄圧器、減衰室、圧力センサおよび補助動力式ブレーキ圧発生器であって、この場合、補助動力式ブレーキ圧発生器は、一般的な形式でピストンシリンダユニットを有しており、このピストンシリンダユニットは、液圧ブロックの補助動力シリンダ孔内に収容されているか若しくは収容される。補助動力式ブレーキ圧発生器のピストンシリンダユニットのピストンは、しばしば、プランジャピストンとも呼ばれ、補助動力シリンダ孔は、プランジャ受け部、プランジャ孔等とも呼ばれる。補助動力により圧力を発生させるために、補助動力式ブレーキ圧発生器のピストンは、液圧ブロックの外に取り付けられているかまたは取り付けられる電動機によって電気機械的にねじ伝動装置または一般的に回転/並進運動-変換伝動装置を介してシリンダ内でしゅう動せしめられ、この場合、電動機およびねじ伝動装置または変換伝動装置に、機械的な減速歯車伝動装置、特に遊星歯車伝動装置が介在されていてよい。補助動力シリンダ孔は液圧ブロック内で補助動力式ブレーキ圧発生器のシリンダを形成しているか、またはシリンダ、シリンダブシュ等が補助動力シリンダ孔に若しくは中に配置されていてよい。補助動力シリンダ孔は、補助動力式ブレーキ圧発生器のピストンシリンダユニットまたはピストンのための受け部と解釈されてもよい。
【0006】
液圧構成要素は、液圧ブロック内の受け部内に固定されており、これらの受け部は、たいていの場合、部分的に直径段部を有する円筒形の貫通孔又は盲孔として構成されている。「接続」とは、複数の受け部若しくはこれらの受け部内に固定された液圧構成要素が液圧ブロック内の管路を通じて車両ブレーキ装置若しくはそのスリップ制御システムの液圧回路図に従って接続されている、という意味である。管路は典型的な形式で液圧ブロックに穿孔されている。
【0007】
車両ブレーキ装置若しくはそのスリップ制御システムの液圧構成要素が装備されて、液圧ブロックは液圧ユニットを形成し、この場合、「装備される」とは、液圧構成要素が、この液圧構成要素のためにそれぞれ設けられた、液圧ブロックの受け部内に固定されている、という意味である。
【0008】
本発明による液圧ブロックは、直方体状であって、好適な形式で直交座標式に作孔されていて、特に金属より成っている。「直交座標式に作孔されている」とは、液圧構成要素のための複数の受け部および、これらの受け部を接続する複数の管路が互いに直角に、かつ液圧ブロックの面および縁部に対して平行および垂直に液圧ブロック内に設けられている、という意味である。個々の斜めの受け部および/または管路も可能である。ここでは、互いに直交し合う若しくはその軸線が直交し合う直線、軸線、孔、シリンダ等だけが「垂直」と呼ばれるのではなく、他の直線、軸線、孔、シリンダ等に対して半径方向で平行にずらされて若しくはその軸線が他の直線、軸線、孔、シリンダ等に対して半径方向で平行にずらされて液圧ブロック内に設けられた直線、軸線、孔、シリンダ等も「垂直」と呼ばれる。
【0009】
本発明による液圧ブロックは、一方側で補助動力シリンダ孔を有しており、この場合、補助動力シリンダ孔は、盲孔であってよいかまたは液圧ブロックの向かい合った側に貫通する貫通孔であってよい。補助動力シリンダ孔は、既に前述したように、補助動力式ブレーキ圧発生器のピストンを受けるために用いられる。補助動力式ブレーキ圧発生器のピストンは、しばしばプランジャピストンとも呼ばれる。ピストンは、補助動力によってブレーキ圧を発生させるために、つまり電気機械式にブレーキ圧を発生させるために、電動機によってねじ伝動装置を介してまたはその他の回転/並進運動-変換伝動装置によって補助動力シリンダ孔内でしゅう動可能である。電動機とねじ伝動装置との間に機械的な減速歯車伝動装置が設けられていてよい。補助動力式ブレーキ圧発生器のピストンは、補助動力シリンダ孔内で直接的にしゅう動可能であるか、または液圧ブロックの補助動力シリンダ孔にもしくは孔内に配置されたシリンダ、シリンダブシュ等内でしゅう動可能であってよい。補助動力シリンダ孔の開口において、好適には補助動力シリンダ孔に対して同軸的に、電動機が液圧ブロックの外に配置されている。電動機が配置されている液圧ブロックの側は、ここではモータ側と呼ばれる。
【0010】
液圧ブロックは、例えばエンジンルーム内でスプラッシュボードに固定されるか、または自動車の(フロント)トランクルームにまたは自動車の室内に固定される。スプラッシュボードは、自動車の車体の一部であって、フロントガラスの下の車室をエンジンルームからまたはフロントトランクルームから分離する。液圧ブロックが、液圧ブロックのモータ側に隣接する、ここでは液圧ブロックの固定側とも呼ばれる側に固定される。本発明によれば、液圧ブロックは互いに向かい合う2つの固定側を有しており、これらの固定側に液圧ブロックが選択的に固定されてよいようになっているので、選択的に左側または右側に電動機を有する液圧ブロックが、自動車の例えばスプラッシュボードに固定され得る。
【0011】
補助動力式ブレーキ圧発生器の電動機を選択的に液圧ブロックの左側または右側に有する液圧ブロックの配置の可能性によって、自動車の例えばエンジンルーム内への液圧ブロックの取り付けを、スペース状況に適合させることができ、この場合、内燃機関またはその他の原動機、車両バッテリおよびその他のエンジンルーム内に配置されたユニットが事故の際に移動することも考慮されるので、内燃機関またはその他の原動機、車両バッテリおよびその他のユニットが、事故の際に液圧ブロックおよび液圧ブロックの外側に配置された電動機とできるだけ衝突することがなく、また液圧ブロックを介して、液圧ブロックが配置された自動車のスプラッシュボードは変形しない。電動機を液圧ブロックの左側または右側に配置するために、電動機が選択的に液圧ブロックのモータ側またはこれと向かい合う側に配置されるのではなく、液圧ブロックのモータ側に電動機を有する液圧ブロックが選択的に、互いに向かい合う2つの固定側のうちの一方で以って、自動車の例えばスプラッシュボードに配置され、これによって、液圧ブロックの左側または右側における電動機の位置が得られる。「左側」および「右側」は、自動車の例えばエンジンルーム内における液圧ブロックの取り付け位置に関連している。
【0012】
固定するために、液圧ブロックは、例えば雌ねじ山を有するねじ山付き孔を、両固定側に有していてよい。互いに向かい合う2つの固定側のねじ山付き孔は、好適な形式で同じ孔パターンを有している。これは、ねじ山付き孔の配置が互いに同じであるという意味である。それぞれ固定のために設けられる若しくは使用されるねじ山付き孔を、固定側に設けることも可能である。液圧ブロックを固定するためのねじ山付き孔またはその他の一般的な装置が、一般的に液圧ブロックの固定装置と解釈されてもよい。液圧ブロックは例えば固定フランジまたはその他の固定装置を有していてもよく、この固定装置は、液圧ブロックの互いに向かい合う2つの固定側のうちの一方に選択的に配置可能であって、この固定装置によって液圧ブロックは自動車の例えばスプラッシュボードに固定可能である。固定フランジは、固定装置または固定装置の一部を形成し、例えば液圧ブロックの互いに向かい合う2つの固定側のねじ山付き孔と協働して液圧ブロックの固定装置を形成する。
【0013】
マスタブレーキシリンダ孔は液圧ブロック内に好適な形式で設けられているが、液圧ブロック内のマスタブレーキシリンダ孔は本発明にとって必須ではない。マスタブレーキシリンダ孔は、好適な形式で補助動力シリンダ孔に対して垂直に、互いに向かい合う一方の固定側から他方の固定側に貫通して液圧ブロック内に配置されている。液圧ブロックを固定するためのねじ山付き孔は、マスタブレーキシリンダ孔に対して平行にこのマスタブレーキシリンダ孔を取り囲んで液圧ブロックの両固定側内に設けられていてよい。
【0014】
マスタブレーキシリンダ孔は、車両ブレーキ装置を筋力で操作または補助動力で操作するための、マスタブレーキシリンダの単数または複数のピストン用に設けられている、つまり、複数のピストンのうちの1つが、(フット)ブレーキペダルまたは(ハンド)ブレーキレバーによって機械的にマスタブレーキシリンダ孔内でしゅう動可能である。単数または複数のピストンが、液圧ブロックのマスタブレーキシリンダ孔内に直接的にしゅう動可能に受け入れられていてよいか、またはシリンダ、シリンダブシュ等がマスタブレーキシリンダ孔にまたは中に配置されていて、このマスタブレーキシリンダ孔内で単数または複数のピストンがしゅう動可能である。液圧ブロック、またはマスタブレーキシリンダ孔を取り囲む、液圧ブロックの部分は、マスタブレーキシリンダを形成する。
【0015】
液圧ブロックがマスタブレーキシリンダ孔を有している場合、液圧ブロックはペダルストロークシミュレータのための受け部も有しているのが好ましい。ペダルストロークシミュレータは、本発明による液圧ブロック内の中空室であって、この中空室内にペダルストロークシミュレータが配置可能であって、この場合、ペダルストロークシミュレータは完全にまたは部分的に受け部内に配置可能であってよい。ペダルストロークシミュレータが部分的に受け部内に配置可能である場合、ペダルストロークシミュレータは液圧ブロックから突き出している。ペダルストロークシミュレータのピストンは、受け部内で直接的にしゅう動可能であってよいか、または液圧ブロック内でペダルストロークシミュレータのための受け部にまたは中に配置されたシリンダ、シリンダブシュ等内でしゅう動可能である。シミュレータピストンは、ばね弾性的、ガス圧弾性的またはその他の形式で弾性的に付勢されている。シミュレータピストンは、好適にはシミュレータバルブとも呼ばれ得る電磁弁を介してマスタブレーキシリンダに接続されており、車両ブレーキ装置の補助動力操作時にマスタブレーキシリンダがセパレートバルブの閉鎖によって車両ブレーキ装置から液圧的に分離されることによってブレーキ液がマスタブレーキシリンダから車両ブレーキ装置内に押しやられなくなったときに、マスタブレーキシリンダからブレーキ液を受け入れるために用いられる。ペダルストロークシミュレータは、車両ブレーキ装置の補助動力操作時にマスタブレーキシリンダ内でピストンをしゅう動させることができ、この場合、ピストンをしゅう動させるための力は、通常通りにしゅう動ストロークの増大に伴って上昇する。本発明によれば、ペダルストロークシミュレータの別の構造形式も可能であり、またこの別の構造形式に適合された、液圧ブロック内のペダルストロークシミュレータのための受け部も可能である。このようなペダルストロークシミュレータのための受け部は、特に補助動力シリンダ孔に対して平行、およびひいては液圧ブロック内のマスタブレーキシリンダ孔に対して垂直に設けられている。
【0016】
従属請求項は、独立請求に記載された本発明の発展形態および好適な実施形態を対象としている。
【0017】
従属請求項は、ホイールブレーキ内でホイールブレーキ圧を調整しかつスリップ制御する複数のバルブのための受け部の配置、およびこれらの受け部の相互接続、マスタブレーキシリンダ孔との接続、補助動力シリンダ孔との接続、ペダルストロークシミュレータとの接続、およびホイールブレーキおよびブレーキ液貯蔵タンクとの接続に関し、並びにマスタブレーキシリンダ孔の配置、ペダルストロークシミュレータの受け部の配置、および液圧式のホイールブレーキを液圧ブロックに接続するブレーキ管路のための接続部の配置、およびブレーキ液貯蔵タンクのための接続部の配置に関する。
【0018】
明細書および図面に開示されたすべての特徴は、単独でもまたは基本的に任意の組合せでも、本発明の実施例において実現可能である。すべてではなく、本発明の請求項または実施例の一つの特徴だけまたは複数の特徴を有する本発明の構成が、基本的に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による液圧ブロックのモータ側を示す図である。
【
図2】
図1に示した液圧ブロックの固定側を示す図である。
【
図3】
図1に示した液圧ブロックの、モータ側と向かい合うコントロールユニット側を示す図である。
【
図4】液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置の液圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を以下に、図面に示した実施例を用いて詳しく説明する。
【0021】
図面は、本発明を説明および理解するために簡略化された概略的な図である。
【0022】
図1乃至
図3は、様々な側のスリップ制御システムを備えた液圧式の補助動力式車両ブレーキ装置3の液圧ユニット2の本発明による液圧ブロック1を示す。このようなスリップ制御システムは、例えばアンチロックブレーキシステム、トラクションスリップ制御装置および/またはビークルダイナミックコントロール/エレクトロニック・スタビリティ・プログラムであって、このために略語ABS,ASRおよび/またはFDR/ESPが一般的に用いられている。スリップ制御システムは公知であって、ここでは詳しく説明しない。
図4は、補助動力式車両ブレーキ装置3の液圧回路図を示す。
【0023】
この実施例では、液圧ブロック1は細い直方体状の金属ブロックであって、その互いに向かい合う広幅側は概ね正方形である。「細い」とは、2つの広幅側の間隔が、広幅側の幅または長さの半分よりも大きくない、という意味である。この実施例では、2つの広幅側の相互の間隔は、広幅側の幅または長さの概ね1/3乃至1/4である。その他の側比も可能である。
【0024】
液圧ブロック1は、補助動力式車両ブレーキ装置のブレーキ圧制御を含むスリップ制御システムの液圧構成要素を機械的に固定および液圧的に接続するために用いられる。このような液圧構成要素は、液圧ブロック内の受け部内に固定されている特に電磁弁、逆止弁、液圧蓄圧器、減衰室および圧力センサである。受け部は、円筒形の凹部、盲孔であり、および/または貫通孔でもあり、これらの凹部および/または孔は、直径段部を有していてよく、これらの凹部および/または孔内に液圧構成要素が組み込まれ、例えば環状のかしめ部によって気密に固定されているか若しくは固定される。液圧構成要素は、受け部内に埋め込まれているかまたは液圧ブロック1から突き出していてよい。液圧構成要素、以下に説明される補助動力式ブレーキ圧発生器の電動機および電子コントロールユニットが装備されて、液圧ブロック1は、補助動力式車両ブレーキ装置3のブレーキ圧制御およびスリップ制御を行うための液圧ユニット2を形成する。
【0025】
液圧的な接続とは、液圧構成要素のための受け部が、液圧ブロック1を貫通案内されている管路によって、
図4に示された補助動力式車両ブレーキ装置3の液圧回路図若しくはそのスリップ制御システムに従って互いに接続されている、という意味である。受け部と管路とは、液圧ブロック1のいわゆる「作孔」を形成し、この場合、受け部および管路は、基本的に穿孔とは異なる方法で製作されてもよい。本発明による液圧ブロック1は直交座標式に作孔されており、これは、液圧構成要素およびこれらの液圧構成要素を接続する管路のための受け部が、互いに並びに直方体状の液圧ブロック1の側面および縁部に対して平行かつ垂直に延在している、という意味である。個別の受け部および/または管路は、液圧ブロック1内で斜めに設けられていてもよい。液圧ブロック1は、車両ブレーキ装置の
図4に示したすべての構成要素のための受け部を有していてよいか、または構成要素の1つの部分のための受け部だけが存在し、ブレーキ管路によって図示の液圧ブロックに接続される、図示していないその他の液圧ブロック内の構成要素のその他の1つの部分のための受け部が設けられている。
【0026】
本発明による液圧ブロック1は、互いに向かい合う幅広側の一方から垂直に他方の幅広側に向かって液圧ブロック1を貫通して延びる補助動力シリンダ孔4を有している。補助動力シリンダ孔4は、しばしばプランジャピストンとも呼ばれる、補助動力式ブレーキ圧発生器の図示していないピストンをしゅう動可能に受けるために用いられる。補助動力式ブレーキ圧発生器のピストンは、補助動力シリンダ孔4内で直接的にしゅう動可能であってよい。本発明の図示および記載した実施例では、ここでは補助動力シリンダ5と呼ばれるシリンダが、補助動力シリンダ孔4内に配置されている。補助動力シリンダ5は、両幅広側で液圧ブロック1から突き出している。これによって、液圧ブロック1の両幅広側の間隔よりも軸方向で長い補助動力シリンダ5を得ることができる。補助動力シリンダ孔4内でピストンをガイドするためのシリンダブシュが配置されていてもよい。
【0027】
駆動するために、つまり補助動力シリンダ5内でピストンをしゅう動させるために、補助動力シリンダ孔4に対して同軸的に、液圧ブロック1の両幅広側のうちの一方、ここではモータ側7と呼ばれる側の外に電動機6が取り付けられている。この電動機6は、図面では見えていない減速歯車伝動装置としての遊星歯車伝動装置、および同様に見えていないねじ伝動装置としての循環式ボールねじ伝動装置を介してピストンをしゅう動させる。電動機6と減速歯車伝動装置とねじ伝動装置と補助動力シリンダ5と、この補助動力シリンダ5内でしゅう動可能なピストンとは、補助動力制動の液圧式のブレーキ圧を発生させるための補助動力式ブレーキ圧発生器8を形成する。
【0028】
補助動力シリンダ孔4に対して垂直に、液圧ブロック1内にマスタブレーキシリンダ孔9が設けられている。「垂直に」とは、補助動力シリンダ孔4が、両幅広側に対して平行に、この実施例では液圧ブロック1内の両幅広側の間の中央に設けられている、という意味である。マスタブレーキシリンダ孔9は、液圧ブロック1の両幅広側ひいてはモータ側7に隣接する、液圧ブロック1の互いに向かい合う一方の狭幅側から他方の狭幅側に貫通している。マスタブレーキシリンダ孔9は、マスタブレーキシリンダ20(
図4)の単数または複数の図示していないピストンをしゅう動可能に受けるために用いられる。いわゆる一次ピストンまたはロッドピストンは、機械的におよび筋力で図示していないフットブレーキペダルによってピストンロッド10を介してまたは図示していないハンドブレーキレバーによって、マスタブレーキシリンダ孔9内でしゅう動せしめられる。単数または複数のピストンがマスタブレーキシリンダ孔9内で直接的にしゅう動可能に受け入れられていてよいか、またはマスタブレーキシリンダ孔9内にシリンダまたはシリンダブシュが配置され、例えば押し込まれていて、このシリンダ/シリンダブシュ内でマスタブレーキシリンダ20の単数または複数のピストンがしゅう動可能にガイドされている。
【0029】
マスタブレーキシリンダ孔9および補助動力シリンダ孔4は、直径段部および環状の溝を有する円筒形の貫通孔であって、簡略的にシリンダとして示されている。
【0030】
マスタブレーキシリンダ孔9に対して同軸的に、固定フランジ11が液圧ブロック1の狭幅側に配置されており、この固定フランジ11をピストンロッド10が貫通している。
図2に示されているように、液圧ブロック1は固定フランジ11をねじ固定するための雌ねじ山を備えたねじ山付き孔12を有しており、このねじ山付き孔12は、液圧ブロック1の互いに向かい合う両狭幅側でマスタブレーキシリンダ孔9の開口を取り囲んで分配配置されている。これによって、固定フランジ11は、液圧ブロック1の互いに向かい合う両狭幅側のうちの一方に選択的に配置することができる。これらの狭幅側はここでは固定側13と呼ばれる。両固定側13のうちの一方における固定フランジ11の配置は、
図1乃至
図3では実線で示されていて、これに向かい合う他方の固定側13における固定フランジ11の配置は破線で示されている。区別するために、ここでは、実線で示された固定フランジ11が図示されている固定側13が第1の固定側13として示されていて、これに向かい合う、破線で示された固定フランジ11が図示されている固定側13′が第2の固定側13′として示されている。固定フランジ11をねじ固定するための雌ねじ山を備えたねじ山付き孔12は、両固定側13,13′に設けられているか、またはそれぞれの液圧ブロック1を固定するために用いられるべき固定側13,13′にだけ設けられていてよい。液圧ブロック1における固定フランジ11の、ねじ固定による固定とは異なる固定が可能である。
【0031】
液圧ブロック1を固定フランジ11によって、エンジンルーム内で図示していない自動車のスプラッシュボードに配置するようになっている。第1の固定側13で液圧ブロック1を固定することによって、電動機6を有するモータ側7は、液圧ブロック1若しくは液圧ユニット2の取り付け位置に関連して例えば液圧ブロック1の左側の図示していない自動車のエンジンルーム内に位置し、第1の固定側13に向かい合う第2の固定側13′で液圧ブロック1を固定することによって、電動機6を有するモータ側7は、取付け位置に関連して液圧ブロック1の右側に位置する。液圧ブロック1を、選択的に2つの固定側13,13′のうちの一方で以って、固定フランジ11なしで例えばねじ固定によってねじ孔12に直接的に固定することも可能である。
【0032】
ここではコントロールユニット側15と呼ばれる、モータ側7と向かい合う幅広側で、液圧ブロック1は、ペダルストロークシミュレータ17のための受け部16を有している。ペダルストロークシミュレータ17のための受け部7は、コントロールユニット側15と垂直に交わる円筒形の凹部若しくは円筒形の盲孔である。つまりペダルストロークシミュレータ17のための受け部16は、補助動力シリンダ孔4に対して平行に、かつマスタブレーキシリンダ孔9に対して垂直に液圧ブロック1内に設けられている。この実施例では、ペダルストロークシミュレータ17のための受け部16は、モータ側7およびコントロールユニット側15の概ね中央に配置された補助動力シリンダ孔4と2つの固定側13のうちの一方との間で、下短辺側18の近傍に位置しており、この下短辺側18は、モータ側7、コントロールユニット側15および2つの固定側13に隣接していて、液圧ブロック1若しくは液圧ユニット2の所定の使用位置において下側に位置している。
【0033】
ペダルストロークシミュレータ17は、シミュレータバルブ19を介してマスタブレーキシリンダ20に接続された(
図4の液圧回路図参照)、例えばばね付勢されたピストンを有するピストンシリンダユニットである。ペダルストロークシミュレータ17のための受け部16に対して同軸的に、円筒形のカップ状のカバーが、液圧ブロック1のコントロールユニット側15に取り付けられており、このカバーは、ペダルストロークシミュレータ17のための受け部16を形成する凹部と協働して、ペダルストロークシミュレータ17のピストンシリンダユニットのシリンダ21を形成する。
【0034】
液圧ブロック1のコントロールユニット側15に、直径段部を有していてよい盲孔が、補助動力式車両ブレーキ装置3のブレーキ圧制御システムおよびスリップ制御システムの電磁弁のための受け部として設けられている。
【0035】
液圧ブロック1は、車両ブレーキ装置3のブレーキ回路をマスタブレーキシリンダ20に接続するセパレートバルブ22(
図4参照)のための受け部22′と、マスタブレーキシリンダ20とブレーキ液貯蔵タンク24との間に位置するテストバルブ23(
図4)のための受け部23′とを有しており、受け部22′,23′は、コントロールユニット側15で同じ高さに、つまり、液圧ブロック1の上短辺側29から同じ間隔を保って、また中心面24に対して鏡像対称的に、液圧ブロック1の2つの固定側13の間の中央に配置されている。2つの受け部22′,23′は、マスタブレーキシリンダ孔9の軸線の上に位置していて、このマスタブレーキシリンダ孔9内に開口しているので、マスタブレーキシリンダ孔9は2つの受け部22′,23′と連通している。同様に、マスタブレーキシリンダ孔9は、ブレーキ液貯蔵タンク30のための接続部と連通している。セパレートバルブ22およびテストバルブ23は同じマグネットコイルを有しているので、2つのバルブ22,23は受け部22′,23′内に沈み込ませることができる。
【0036】
さらに、液圧ブロック1は、補助動力式ブレーキ圧発生器8に接続された圧力センサ25のための、および車両ブレーキ装置3のマスタブレーキシリンダ20に接続された圧力センサ26(
図4)のための受け部25′,26′としての2つの凹部を有している。これらの受け部25′,26′は、同様に、同じ高さ位置で、またセパレートバルブ22およびテストバルブ23のための受け部22′,23′よりも低い位置で、同様に中心面24に対して鏡像対称的に液圧ブロック1のコントロールユニット側15に設けられている。
【0037】
圧力センサ25,26のための受け部25′,26′の下で、液圧ブロック1の上短辺側29と下短辺側18との間の概ね中央の高さ位置に、液圧ブロック1のコントロールユニット側15の中心面24に対して鏡像対称的に、補助動力バルブ27のための2つの受け部27′が設けられており、これらの受け部27′を介して、車両ブレーキ装置3の2つのブレーキ回路が補助動力式ブレーキ圧発生器8に接続されている(
図4)。
【0038】
バルブドーム23″,27″は、電磁弁の電機子およびコイルを収容していて、コントロールユニット側15で液圧ブロック1から突き出しており、これらは
図2に見てとれる。液圧ブロック1のコントロールユニット側15には、電磁弁のための受け部としての別の盲孔が設けられているが、これらの盲孔は、
図1乃至3には示されておらず説明もされていない。これらの電磁弁は、
図4の液圧回路図内に見てとれる。
【0039】
下短辺側18に向かい合う上短辺側29に、液圧ブロック1は、液圧ブロック1上に載せられるブレーキ液貯蔵タンク30を接続するための、図面には示されていない3つの凹部を有している。上短辺側29は、液圧ブロック1若しくは液圧ユニット2の所定の使用位置において上側に位置している。
【0040】
マスタブレーキシリンダ孔9に対して平行に、かつその近傍で、液圧ブロック1は、マスタブレーキシリンダ20のピストンのためのストロークセンサ32またはポジションセンサ用のセンサ孔31を有している。センサ孔31は、マスタブレーキシリンダ孔9の周囲の基本的に任意の箇所で、液圧ブロックの一方から他方の固定側13に貫通していてよい。好適な形式で、センサ孔31は、マスタブレーキシリンダ孔9の上または下で、モータ側7とこれに向かい合うコントロールユニット側15との間の液圧ブロック1の中心面に配置されている。別の可能性は、向かい合う固定側13から、中心面24までよりも先の液圧ブロック1内に達する、マスタブレーキシリンダ孔9に対して平行な2つのセンサ孔31である。2つのセンサ孔31は、マスタブレーキシリンダ孔9の周方向で互いにずらされているので、相互に入り込んで開口していない。
図2には、2つのセンサ孔31のうちの一方が破線で示されており、このセンサ孔は、マスタブレーキシリンダ孔9の周方向で右にずらされている。向かい合っている固定側13の図示されていないセンサ孔31は、好適には鏡像対称的に、つまりモータ側7とコントロールユニット側15との間で中心面を基準にして向かい合っている側に配置されている。
【0041】
液圧ブロック1のコントロールユニット側15にボックス状のコントロールユニットハウジング33が取り付けられており、このコントロールユニットハウジング33の開放側が液圧ブロック1に面していて、液圧ブロック1によって閉鎖される。
図3にはコントロールユニットハウジング33は図示されていない。コントロールユニットハウジング33は、補助動力シリンダ5、ペダルストロークシミュレータ17のシリンダ21、バルブドーム23″,27″および圧力センサ25,26をカバーし、かつ液圧ブロック1のコントロールユニット側15のシールによって水および腐食に対して保護する。
【0042】
コントロールユニットハウジング33内に、単数または複数の集積回路、マイクロプロセッサおよび/またはその他の電子部品を備えたプリント配線板34が配置されており、これらが電子コントロールユニット35を形成している。電子コントロールユニット35は、特に圧力センサ25,26および補助動力式ブレーキ圧発生器8の電動機6からの信号を受信し、電動機6、電磁弁22,23,27およびそのようなブレーキ圧制御システムおよびスリップ制御システムの液圧構成要素を開ループ制御若しくは閉ループ制御する。
【0043】
電子コントロールユニット35は、互いに向かい合う2つの固定側13,13′のうちのどちらに液圧ブロック1が固定されるかとは関係なく、同じである。たしかに、異なるコントロールユニット35を有する液圧ブロック1若しくは液圧ユニット2が可能であるが、それぞれ使用されたコントロールユニット35は、互いに向かい合う2つの固定側13,13′のどちらに液圧ブロック1が固定されているか若しくは固定されるかに左右されることはない。これはいずれにしても、ソフトウエアが適合され得る、コントロールユニット35のハードウエアのために当てはまる。この液圧ブロック1は、同じ電子コントロールユニット35を備え、第1の固定側13またはこれと向かい合う第2の固定側13′に選択的に固定され、使用され得る。
【0044】
コントロールユニットハウジング33に、電子コントロールユニット35のための多極性の電気コネクタ36および電動機6の電源が一体成形されている。コネクタ36は、液圧ブロック1の下短辺側18の下に位置していて、図示してない対抗コネクタを差し込むためにモータ側7の方向からアクセス可能である。
【0045】
ブレーキ管路接続部37としての盲孔がモータ側7に設けられている。盲孔は、ブレーキ管路をねじニップルと接続するための雌ねじ山を有しているか、またはブレーキ管路をしめによってニップルと接続するために、特に盲孔内に押し込む際に気密に自動的にかしめられるセルフクリンチニップルと接続するために、ねじ山なしであってよい。ブレーキ管路と、補助動力式車両ブレーキ装置3の液圧構成要素の一部を有する図示していない別の液圧ブロックとが接続可能であるか、または液圧ブロック1にホイールブレーキが接続可能である。例えばエンジンルーム内に配置された液圧ユニット2におけるブレーキ管路接続部37が良好にアクセス可能であるように、これらのブレーキ管路接続部37は、液圧ブロック1が図示していない自動車の例えばスプラッシュボードに固定される固定側13,13′から、できるだけ遠ざけられる。したがって、液圧ブロック1若しくは液圧ユニット2を第1の固定側13に固定するために、
図1で2つのブレーキ管路接続部37が、液圧ブロック1の、中心面24を基準にして第1の固定側13とは反対側に設けられている。第1の固定側13に向いた、中心面24の側には、2つのブレーキ管路接続部37のために僅かなスペースしか存在しないので、液圧ブロック1はその第2の固定側13′に固定するために、中心面24を基準にして第2の固定側13′とは反対側に、
図1に破線で示されている、1つのブレーキ管路接続部37しか有していない。第2のブレーキ管路接続部37として2つのブレーキ管路接続部37のうちの一方、つまり第2の固定側13′から遠ざけられているブレーキ管路接続部37が、第2の固定側13′に面した、中心面24の側で使用される。第2の固定側13′に近い方のブレーキ管路接続部37は省かれる。
【符号の説明】
【0046】
1 液圧ブロック
2 液圧ユニット
3 補助動力式車両ブレーキ装置
4 補助動力シリンダ孔
5 補助動力シリンダ
6 電動機
7 モータ側
8 補助動力式ブレーキ圧発生器
9 マスタブレーキシリンダ孔
10 ピストンロッド
11 固定フランジ
12 ねじ山付き孔
13 第1の固定側、狭幅側
13′ 第2の固定側、狭幅側
14 固定装置
15 コントロールユニット側
16 受け部
17 ペダルストロークシミュレータ
18 下短辺側
19 シミュレータバルブ
20 マスタブレーキシリンダ
21 シリンダ
22 セパレートバルブ
22′ 受け部
23 テストバルブ
23′ 受け部
23″ バルブドーム
24 中心面
25 圧力センサ
25′,26′ 受け部
26 圧力センサ
27 補助動力バルブ
27′ 受け部
27″ バルブドーム
29 上短辺側
30 ブレーキ液貯蔵タンク
31 センサ孔
32 ストロークセンサ
33 コントロールユニットハウジング
34 プリント配線板
35 電子コントロールユニット
36 電気コネクタ、コネクタ
37 ブレーキ管路接続部