(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】はんだ印刷機
(51)【国際特許分類】
B41F 15/08 20060101AFI20231205BHJP
B41F 15/26 20060101ALI20231205BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B41F15/08 303E
B41F15/26 A
H05K3/34 505D
(21)【出願番号】P 2022510286
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2020013784
(87)【国際公開番号】W WO2021192175
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深草 祥史
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-289817(JP,A)
【文献】特開2011-126078(JP,A)
【文献】特開2009-027038(JP,A)
【文献】米国特許第05724889(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00 - 15/46
H05K 3/32 - 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク、および前記マスクの上面を移動するスキージを用いてペースト状はんだを基板に印刷するはんだ印刷機であって、
サイズおよび形状、材質、ならびに前記マスクを吸着するために形成された吸着穴の少なくとも一つが互いに異なる複数種類のクランププレートと、
複数種類の前記クランププレートのうち選択された一種類が交換可能にそれぞれ
上面に取り付けられるとともに、互いに離隔されかつ平行に配置される一対のベースレールと、
複数の前記クランププレートの間に水平方向に前記基板をクランプして位置決めし、または、前記クランププレートとバックアップ部材の間に垂直方向に前記基板をクランプして位置決めするクランプ機構と、
前記ベースレールに対する複数種類の前記クランププレートの取り付け位置を共通に定める位置決め部と、を備え
、
前記位置決め部は、前記ベースレールおよび複数種類の前記クランププレートの一方に設けられた位置決めピン、ならびに、前記ベースレールおよび複数種類の前記クランププレートの他方に形成されて前記位置決めピンが上下方向に嵌入する位置決め穴を含み、
前記ベースレールの上面にねじ孔が設けられ、
複数種類の前記クランププレートの各々は、前記ベースレールの前記ねじ孔の配置に一致して配置され、上下に貫通する取り付け孔を有し、
複数種類の前記クランププレートの各々は、前記ベースレールの上方から、前記位置決めピンが前記位置決め穴に嵌入するように下降させられ、取り付けビスが前記取り付け孔から前記ベースレールの前記ねじ孔へ下方に進められ、前記取り付けビスが前記ねじ孔に螺合させられることにより、前記ベースレールに取り付けられる、
はんだ印刷機。
【請求項2】
マスク、および前記マスクの上面を移動するスキージを用いてペースト状はんだを基板に印刷するはんだ印刷機であって、
サイズおよび形状、材質、ならびに前記マスクを吸着するために形成された吸着穴の少なくとも一つが互いに異なる複数種類のクランププレートと、
複数種類の前記クランププレートのうち選択された一種類が交換可能にそれぞれ
上面に取り付けられるとともに、互いに離隔されかつ平行に配置される一対のベースレールと、
複数の前記クランププレートの間に水平方向に前記基板をクランプして位置決めし、または、前記クランププレートとバックアップ部材の間に垂直方向に前記基板をクランプして位置決めするクランプ機構と、
前記ベースレールおよび複数種類の前記クランププレートの一方に設けられた位置決めピン、ならびに、前記ベースレールおよび複数種類の前記クランププレートの他方に形成されて前記位置決めピンが嵌入する位置決め穴を含む位置決め部と、
前記ベースレールの上面に設けられたねじ孔、複数種類の前記クランププレートの各々に設けられて上下に貫通する取り付け孔、および前記取り付け孔を通って前記ねじ孔に螺合する取り付けビスを含む取り付け部と、
を備えるはんだ印刷機。
【請求項3】
マスク、および前記マスクの上面を移動するスキージを用いてペースト状はんだを基板に印刷するはんだ印刷機であって、
サイズおよび形状、材質、ならびに前記マスクを吸着するために形成された吸着穴の少なくとも一つが互いに異なる複数種類のクランププレートと、
複数種類の前記クランププレートのうち選択された一種類が交換可能にそれぞれ取り付けられるとともに、互いに離隔されかつ平行に配置される一対のベースレールと、
複数の前記クランププレートの間に水平方向に前記基板をクランプして位置決めし、または、前記クランププレートとバックアップ部材の間に垂直方向に前記基板をクランプして位置決めするクランプ機構と、
前記ベースレールに対する複数種類の前記クランププレートの取り付け位置を共通に定める位置決め部と、
前記位置決め部と別体の取り付け部であって、前記位置決め部によって位置決めされた前記クランププレートを前記ベースレールに取り付ける前記取り付け部と、
を備えるはんだ印刷機。
【請求項4】
マスク、および前記マスクの上面を移動するスキージを用いてペースト状はんだを基板に印刷するはんだ印刷機であって、
前記マスクを吸着するために
表面に形成された吸着穴の
個数および配置の少なくとも
一方が互いに異なる複数種類のクランププレートと、
複数種類の前記クランププレートのうち選択された一種類が交換可能にそれぞれ
上面に取り付けられるとともに
負圧源に連通される吸引穴が設けられ、互いに離隔されかつ平行に配置される一対のベースレールと、
複数の前記クランププレートの間に水平方向に前記基板をクランプして位置決めし、または、前記クランププレートとバックアップ部材の間に垂直方向に前記基板をクランプして位置決めするクランプ機構と、を備え
、
複数種類の前記クランププレートの各々は、前記ベースプレートへの取り付け状態において全ての前記吸着穴と前記吸引穴とを連通する吸引溝が裏面に設けられる、
はんだ印刷機。
【請求項5】
前記ベースレールに対する複数種類の前記クランププレートの取り付け位置を共通に定める位置決め部をさらに備える、請求項
4に記載のはんだ印刷機。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記ベースレールおよび複数種類の前記クランププレートの一方に設けられた位置決めピン、ならびに、前記ベースレールおよび複数種類の前記クランププレートの他方に形成されて前記位置決めピンが嵌入する位置決め穴を含む、請求項
5に記載のはんだ印刷機。
【請求項7】
複数種類の前記クランププレートは、前記マスクの大きさおよび前記スキージの移動方向に直交する幅寸法の少なくとも一方に対応して、前記ベースレールに沿う長さ方向
のサイズが互いに異なる、請求項1~
6のいずれか一項に記載のはんだ印刷機。
【請求項8】
複数種類の前記クランププレートは、前記マスクの大きさおよび前記スキージの移動ストローク範囲の少なくとも一方に対応して、前記ベースレールの長さ方向に直交する幅方向
のサイズが互いに異なり、
前記ベースレールと比較して大きな幅方向の前記サイズをもつ前記クランププレートは、一対の前記ベースレールの外方に張り出して取り付けられる、
請求項1~
7のいずれか一項に記載のはんだ印刷機。
【請求項9】
複数種類の前記クランププレートは、前記スキージの移動方向に延びる前記マスクの有効幅寸法に対応して、前記ベースレールの長さ方向に直交する幅方向
のサイズが互いに異なり、
前記ベースレールと比較して小さな幅方向の前記サイズをもつ前記クランププレートは、一対の前記ベースレールの向かい合う内側に揃えて取り付けられる、
請求項1~
8のいずれか一項に記載のはんだ印刷機。
【請求項10】
複数種類の前記クランププレートは、クランプする前記基板の複数種類の材質に対応して、金属製および樹脂製の前記材質を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載のはんだ印刷機。
【請求項11】
複数種類の前記クランププレートは、前記スキージが移動する際に前記マスクに要求される前記クランププレートへの密着状態に対応して、前記吸着穴の大きさ、個数、および配置位置の少なくとも一つが互いに異なる、請求項1~
10のいずれか一項に記載のはんだ印刷機。
【請求項12】
前記クランププレートは、撮像および画像処理による自動判別方法、ならびに目視による有人判別方法で前記クランププレートの種類を判別可能なマークを有する、請求項1~
11のいずれか一項に記載のはんだ印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、マスクおよびスキージを用いてペースト状はんだを基板に印刷するはんだ印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に対基板作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。さらに、対基板作業を実施するはんだ印刷機、部品装着機、リフロー機、および基板検査機などを並べて配置し、対基板作業ラインを構成することが一般的になっている。はんだ印刷機は、マスクおよびスキージを用いてペースト状はんだを基板に印刷する。多くのはんだ印刷機は、印刷対象となる基板を位置決めするためのクランプ機構を備える。はんだ印刷機のクランプ機構に関する技術例が特許文献1、2に開示されている。
【0003】
特許文献1のスクリーン印刷機は、ベースブロック上にクランプバーを交換可能に備えたクランプレールを用いて、基板をクランプする。クランプバーは、つば部を有するトップクランプ面と、平坦なサイドクランプ面とを有して、ベースブロックの着脱凹部に配置される。これによれば、クランプバーの向きを変更して用いることでクランプ面の切り換えが可能となり、サイドクランプ方式およびトップクランプ方式のいずれにも対応することができる、とされている。
【0004】
また、特許文献2のスクリーン印刷装置において、基板をクランプするクランプユニットは、一対の帯状のクランプ片を具備している。そして、クランプ片の上面に複数の吸引孔が設けられ、各吸引孔は、負圧供給手段によって負圧に設定される。これにより、マスクは、クランプ片の上面に吸着保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/145280号
【文献】特開2007-320207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のスクリーン印刷機では、はんだの印刷内容などに応じて、サイドクランプ方式およびトップクランプ方式を選択できる点は好ましい。しかしながら、基板の種類を変更するときに、クランプバーの向きの変更だけでは対応できない場合がある。例えば、大きなサイズの基板に変更するときに、クランプレールの全体を交換する改造作業の必要が生じる。また、基板の種類の変更に伴い、特許文献2に開示された複数の吸引孔の大きさや個数を変更したほうが良い場合もある。これらの場合、改造作業およびその後の調整作業に大きな手間が掛かっていた。
【0007】
それゆえ、本明細書は、多種多様な基板の種類に応じて、わずかな手間で基板のクランプを可能とするはんだ印刷機を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、マスク、および前記マスクの上面を移動するスキージを用いてペースト状はんだを基板に印刷するはんだ印刷機であって、サイズおよび形状、材質、ならびに前記マスクを吸着するために形成された吸着穴の少なくとも一つが互いに異なる複数種類のクランププレートと、複数種類の前記クランププレートのうち選択された一種類が交換可能にそれぞれ取り付けられるとともに、互いに離隔されかつ平行に配置される一対のベースレールと、複数の前記クランププレートの間に水平方向に前記基板をクランプして位置決めし、または、前記クランププレートとバックアップ部材の間に垂直方向に前記基板をクランプして位置決めするクランプ機構と、を備えるはんだ印刷機を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示するはんだ印刷機では、サイズおよび形状、材質、ならびに吸着穴の少なくとも一つが互いに異なる複数種類のクランププレートを予め準備しておき、そのうちの一種類を選択して一対のベースレールに取り付けることができる。これにより、多種多様な基板の種類に応じて、クランププレートのみを交換して基板をクランプすることができ、ベースレールの全体を交換する必要がない。したがって、交換や調整の手間がわずかで済む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態のはんだ印刷機の上部を省略した斜視図である。
【
図2】実施形態のはんだ印刷機の内部構成を簡易的に示した右側面図である。
【
図5】標準的なクランププレートの裏面の斜視図である。
【
図6】標準的なクランププレートを一対のベースレールに取り付けた状態を示す平面図である。
【
図7】長尺サイズのクランププレートの取り付け状態を示す平面図である。
【
図8】幅広サイズのクランププレートの取り付け状態を示す平面図である。
【
図9】幅狭サイズのクランププレートを用いて基板を印刷実施位置に位置決めした状態の一部分を示す右側面図である。
【
図10】吸着穴の個数が標準よりも多いクランププレートの取り付け状態を示す平面図である。
【
図11】はんだ印刷機の使用方法を説明する使用フローの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.はんだ印刷機1の全体構成
実施形態のはんだ印刷機1の全体構成について、
図1および
図2を参考にして説明する。はんだ印刷機1は、マスク6およびスキージ7を用いてペースト状はんだを基板Kに印刷する。はんだ印刷機1は、マスク6およびスキージ7以外に、ベッド2、基板搬送装置3、一対のベースレール41、複数種類のクランププレート(42~46)、クランプ機構51、および昇降機構56などで構成される。
図1および
図2の左上の矢印に示されるように、はんだ印刷機1の上下前後左右を定める。前後方向は、スキージ7の移動方向となり、左から右に向かう方向は、基板Kの搬送方向となる。
【0012】
ベッド2は、基台やベースとも呼ばれ、概ね直方体の箱形状または枠形状に形成されて、各種の装置や機構などが組み付けられる。基板搬送装置3は、基板Kを印刷実施位置の真下まで搬入するとともに、印刷済みの基板Kを搬出する。
図2に示されるように、基板搬送装置3は、支持台31、固定ガイドレール32、可動ガイドレール33、一対のコンベアベルト34、および図略のベルト駆動部などで構成される。支持台31は、左右方向に長い概ね矩形板状の部材であり、水平に配置される。支持台31は、より大きな別の支持台35の上側に固定される。
【0013】
固定ガイドレール32は、左右方向に長い概ね矩形板状の部材であり、支持台31の前側の長辺の上側に立てて配置される。可動ガイドレール33は、固定ガイドレール32と概ね同じ大きさの矩形板状の部材であり、支持台31の後側の長辺に近い上側に立てて配置される。可動ガイドレール33は、固定ガイドレール32と平行した状態を保ちつつ、支持台31上を移動できるように構成されている。これにより、固定ガイドレール32と可動ガイドレール33の離間距離は、変更可能となっている。固定ガイドレール32および可動ガイドレール33の左右方向の中央辺りに印刷実施位置が設定されている。
【0014】
一対のコンベアベルト34は、固定ガイドレール32および可動ガイドレール33の向かい合う内側の上部にそれぞれ配置される。一対のコンベアベルト34は、コンベア搬送面に基板Kを載置した状態で輪転して、基板Kを搬送する。ベルト駆動部は、コンベアベルト34の輪転を駆動する。ベルルト駆動部は、例えばステッピングモータが用いられ、正転および逆転が可能となっている。これにより、基板Kの搬送に加えて、停止位置の微調整、および、逆方向への返送が可能となっている。
【0015】
ベースレール41は、細長い矩形板状の部材である。一対のベースレール41は、固定ガイドレール32および可動ガイドレール33の上面にそれぞれ固定される。
図1に示されるように、一対のベースレール41は、互いに離隔されかつ平行に配置される。ベースレール41は、印刷実施位置の領域を超えて左右方向に延在する。それでも、ベースレール41の長さ方向のサイズは、固定ガイドレール32や可動ガイドレール33よりも小さい。
【0016】
ベースレール41の幅方向のサイズは、固定ガイドレール32や可動ガイドレール33の上面の幅寸法よりも大きい。一対のベースレール41の向かい合う内側の側面は、固定ガイドレール32と可動ガイドレール33とが向かい合う内側の側面に揃えられている。これにより、基板Kの上昇(詳細後述)が妨げられない。一方、一対のベースレール41の外側の側面は、固定ガイドレール32や可動ガイドレール33よりも外方(
図1の前後方向)に張り出している。
【0017】
クランププレート(42~46)は、複数種類あり(
図6~
図10参照)、各種類の少なくとも一対が予め準備される。クランププレート(42~46)は、細長い矩形板状の部材であり、長さ方向のサイズがベースレール41よりも短い。一対のクランププレート(42~46)のうち選択された一種類が、一対のベースレール41の上面に交換可能に取り付けられる。
図1および
図2において、標準的なクランププレート42が例示されている。クランププレート(42~46)は、基板Kをクランプする部材、およびマスク6の下面を支持する部材を兼ねる。ベースレール41およびクランププレート(42~46)については、後で詳述する。
【0018】
クランプ機構51は、基板Kをクランプして位置決めする。クランプ機構51は、バックアップテーブル52、複数のバックアップピン53、昇降用モータ54、およびクランプ用モータ55などで構成される。バックアップテーブル52は、基板Kに近い大きさをもつ矩形板状の部材である。バックアップテーブル52は、固定ガイドレール32と可動ガイドレール33の間に、水平姿勢で昇降可能に配置される。
【0019】
複数のバックアップピン53は、基板Kの下面を押し上げる棒状の部材である。バックアップピン53は、バックアップテーブル52の上面に立てて配置される。バックアップピン53は、基板Kの裏面に形成されたランド(電極)や装着された部品を避けるために、バックアップテーブル52上で位置変更および個数変更が可能となっている。バックアップテーブル52およびバックアップピン53は、基板Kを押し上げるバックアップ部材を構成する。
【0020】
昇降用モータ54は、支持台31の下側に設けられる。昇降用モータ54は、支持台31を上下に貫通するボールねじ送り機構541を介して、バックアップテーブル52を昇降駆動する。クランプ用モータ55は、支持台31の下部に、昇降用モータ54と並んで設けられる。クランプ用モータ55は、ボールねじ送り機構551を介して、可動ガイドレール33を前後方向に駆動する。
【0021】
ここで、クランプ機構51のサイドクランプ方式およびトップクランプ方式のクランプ動作について説明する。サイドクランプ方式では、基板Kが印刷実施位置の真下まで搬入されると、まず、昇降用モータ54が動作する。これにより、バックアップピン53は、基板Kをクランププレート42と同じ高さまで押し上げる。次に、クランプ用モータ55が動作して、可動ガイドレール33を固定ガイドレール32に接近させ、一対のクランププレート42の離間距離を狭めてゆく。これにより、クランプ機構51は、一対のクランププレート42の間に水平方向に基板Kをクランプして位置決めする。
【0022】
また、トップクランプ方式では、一対のクランププレート42は、向かい合う内側に張り出す鍔部を有する。そして、基板Kが搬入されると、まず、クランプ用モータ55が動作する。これにより、クランププレート42の鍔部の位置は、基板Kの縁の上方に調整される。次に、昇降用モータ54が動作し、バックアップピン53により基板Kを押し上げてクランププレート42に近付けてゆく。これにより、クランプ機構51は、クランププレート42の鍔部とバックアップピン53の間に垂直方向に基板Kをクランプして位置決めする。
【0023】
昇降機構56は、基板搬送装置3およびクランプ機構51と一緒に基板Kを上昇させて、印刷実施位置の高さに位置決めする。昇降機構56は、昇降台57、案内部58、ボールねじ送り機構59、および昇降用モータ5Aなどで構成される。昇降台57は、基板搬送装置3およびクランプ機構51の最下部となる支持台35の下面を支持する。昇降台57は、支持台35に接する水平部571、および水平部571の後部から下方に延びる垂直部572をもつ。垂直部572の後面の下寄りに2個の案内部58が設けられる。2個の案内部58は、ベッド2に垂直方向に設けられたガイドレール21に対して、昇降可能に係合する。
【0024】
垂直部572の前面には、ボールナット591が固定されている。ボールナット591は、上下方向に延在するねじ軸592に螺合している。ボールナット591およびねじ軸592は、ボールねじ送り機構59を構成する。ベッド2に固定された昇降用モータ5Aは、ねじ軸592を軸周りに回転駆動する。これにより、ボールナット591がねじ軸592に対して進退し、昇降台57が昇降する。昇降台57の上昇により、支持台35上の全部材が上昇し、基板Kは、印刷実施位置の高さに到達して、マスク6の下面に接する。同時に、クランププレート42は、マスク6の下面を支持する。
【0025】
マスク6は、基板Kの上面に形成されたランドにクリーム状はんだを印刷するときの版型である。したがって、マスク6は、基板Kの種類ごとに相違する。マスク6は、基板Kよりも一回り大きな矩形シートの形状をもち、ランドの配置に対応する印刷孔をもつ。マスク6は、矩形枠状のマスク枠61に保持され、水平方向に延在する。
【0026】
マスク枠61は、基板搬送装置3およびクランプ機構51の上側に配置される。基板Kを基準としてマスク6の位置を合わせるために(版合せのために)、マスク枠61の水平二方向の位置および水平面内での回転角が調整可能に構成されている。これに限定されず、マスク6を基準として基板Kの位置を合わせるために、昇降台57に対する支持台35の水平二方向の位置および水平面内での回転角が調整可能に構成されてもよい。
【0027】
スキージ7は、概ね前後対称形状の一対で構成され、マスク6の上側に配置される。一対のスキージ7は、スキージヘッド71の下側に昇降可能に支持される。スキージヘッド71の移動方向に応じて、一方のスキージ7が下降する。スキージヘッド71は、前後方向に平行して延在するねじ軸722およびガイドロッド73に装架される。スキージヘッド71は、ねじ軸722に螺合するボールナット721を有する。ボールナット721およびねじ軸722は、ボールねじ送り機構72を構成する。
【0028】
図略の駆動モータがねじ軸722を軸周りに回転駆動すると、ボールナット721は、ねじ軸722に対して進退する。これにより、スキージヘッド71は、前後方向に移動する。このとき、下降している一方のスキージ7は、マスク6の上面を移動しつつペースト状はんだを移動させて、印刷動作を行う。なお、スキージ7の近傍には、ペースト状はんだを適宜補給するはんだ補給機構(図略)が付属されている。スキージ7の移動ストローク範囲は、マスク6の種類に応じて調整可能となっている。さらに、基板Kおよびマスク6の複数種類の大きさに対応するために、複数種類のスキージ7が交換して用いられる。複数種類のスキージ7は、幅寸法(
図2の紙面表裏方向の寸法)が互いに異なる。
【0029】
また、
図2に示されるように、基板搬送装置3とマスク6の間の高さ位置に、カメラ8が設けられる。カメラ8は、下向き姿勢で基板Kの上面を撮像して画像データを取得する。この画像データの画像処理により、基板Kに付設された位置マークが認識され、基板Kの正確な位置が取得される。さらに、基板Kに付設された識別コードが認識され、基板Kの種類や個体番号が取得される。
【0030】
さらに、カメラ8は、上向き姿勢でマスク6の下面を撮像して画像データを取得する。この画像データの画像処理により、マスク6の正確な位置や回転角度が取得され、さらに、マスク6の種類に関する情報が取得される。取得された各種情報は、基板Kとマスク6の組み合わせの正誤判定や、基板Kとマスク6の版合わせなどに用いられる。なお、基板Kが上昇駆動されて印刷が行われている間、カメラ8は、ガイドレール81を伝って邪魔にならない退避位置に移動している。また、カメラ8は、ガイドレール81を伝って移動することにより、撮像領域を変更することができる。
【0031】
2.ベースレール41およびクランププレート42の詳細構成
次に、ベースレール41の詳細構成について、
図3を参考にして説明する。ベースレール41は、前述したように細長い矩形板状の部材である。ベースレール41は、長さ方向の両端に位置する係止部411によって、固定ガイドレール32や可動ガイドレール33に固定される。ベースレール41の二つの長辺の縁寄りに、複数のねじ孔412が設けられる。ねじ孔412には、図略の取り付けビスが螺合する。ねじ孔412の個数は、
図3では20個とされており、これに限定されない。なお、複数のねじ孔412の配置ピッチは、一定である必要はない。
【0032】
一対のベースレール41の向かい合う内側の長辺の縁寄りに、2個の位置決めピン413が起立して設けられる。2個の位置決めピン413の離間距離は、最も短いクランププレートの長さ方向のサイズよりも小さく設定される。これにより、全種類のクランププレート(42~46)に対して、2個の位置決めピン413を共通に用いることができる。さらに、ベースレール41の幅方向の中央寄りに、吸引穴414が設けられる。吸引穴414の個数は、
図3では3個とされており、これに限定されない。ベースレール41が取り付けられた状態で、吸引穴414は、図略の負圧源に連通される。
【0033】
次に、標準的なクランププレート42の詳細構成について、
図4~
図6を参考にして説明する。クランププレート42は、前述したように細長い矩形板状の部材である。
図4に示されるように、クランププレート42の長さ方向のサイズL1は、ベースレール41のサイズの半分よりも少し大きい。クランププレート42の幅方向のサイズW1は、ベースレール41のサイズに概ね一致する。長さ方向のサイズL1は、基板Kやマスク6の大きさに対応して適正に設定される。仮にサイズL1が過小であると、クランププレート42は、基板Kを十分にクランプできず、さらには上昇時にマスク6の十分な面積を支持できない。仮にサイズL1が過大であると、クランププレート42は、上昇時にマスク枠61に抵触して不具合が生じる。
【0034】
クランププレート42は、両方の長辺の縁寄りに、複数の取り付け孔422を有する。取り付け孔422は、その内径が前述した取り付けビスの外径より大きめに設定され、取り付けビスの挿通が自在となっている。取り付けビスの挿入を容易とするため、あるいは、取り付けビスの頭部の位置を安定化させるために、取り付け孔422の入り口に座繰りが設けられてもよい。取り付け孔422の個数は、
図4では8個とされており、これに限定されない。ただし、複数の取り付け孔422の配置は、ベースレール41の複数のねじ孔412の配置に一致している。
【0035】
また、一対のクランププレート42の向かい合う内側の長辺の縁寄りに、2個の位置決め穴423が設けられる。位置決め穴423の形状および大きさは、位置決めピン413が殆ど隙間なく嵌入するように精密に形成されている。2個の位置決め穴423の離間距離は、2個の位置決めピン413の離間距離に一致している。ベースレール41にクランププレート42を取り付ける際、位置決めピン413が位置決め穴423に嵌入して、クランププレート42の取り付け位置が定まる。なお、取り付け孔422は、上下に開口する貫通孔であることが必要である。一方、位置決め穴423は、貫通孔に限定されず、下方のみに開口する有底穴でもよい。
【0036】
さらに、クランププレート42の表面に、多数(
図4の例では45個)の概ね円形の吸着穴424が設けられる。また、
図5に示されるように、クランププレート42の裏面に、吸引溝425が設けられる。吸引溝425は、多くの分岐部を有して、全ての吸着穴424に連通している。さらに、クランププレート42の表面に、マーク427が表示される。標準的なクランププレート42のマーク427は、黒丸の形状をもつ。
【0037】
クランププレート42の取り付け作業では、まず、クランププレート42をベースレール41の上方に移動し、位置決めピン413が位置決め穴423に嵌入するようにクランププレート42を下降させる。次に、取り付けビスをクランププレート42の取り付け孔422からベースレール41のねじ孔412に進め、ドライバーを用いて取り付けビスをねじ孔412に螺合させる。これにより、
図6に示された取り付け状態となる。
【0038】
取り付け状態において、ベースレール41とクランププレート42は密着する。このとき、クランププレート42の吸引溝425は、吸着穴424と吸引穴414とを連通し、他に対して気密を維持する。そして、負圧源が動作すると、負圧が吸引穴414および吸引溝425を経由して吸着穴424に伝わる。吸着穴424は、外部のエアを吸引する。これにより、マスク6は、吸着穴424に吸着され、クランププレート42や基板Kとの密着性が確保される。
【0039】
3.複数種類のクランププレート(42~46)の相違点
複数種類のクランププレート(42~46)は、多種多様な基板Kの種類に応じて予め準備される。複数種類のクランププレート(42~46)の相違点として、前述したトップクランプ方式に対応するための鍔部の有無がある。さらに、別の相違点について、
図6~
図10を参考にして説明する。
【0040】
図7に示される長尺サイズのクランププレート43は、大型の基板K2に対応するために用いられる。詳述すると、大型の基板K2に対して、標準よりも大きなマスク6が用いられ、さらに、幅寸法が標準よりも大きなスキージ7が用いられる。大きなマスク6および大きなスキージ7に対応するため、クランププレート43の長さ方向のサイズL2は、標準的なクランププレート42のサイズL1よりも大きく設定されている。
【0041】
また、クランププレート43は、12個の取り付け孔432を有し、標準的なクランププレート42と比較して多数となっている。12個の取り付け孔432のうち中央寄りの8個は、標準的なクランププレート42の取り付け孔422と同じ配置であり、端寄りの4個が追加されている。一方、2個の位置決め穴433の形状、大きさ、および離間距離は、標準的なクランププレート42の位置決め穴423と同じである。また、クランププレート43は、63個の吸着穴434を有し、標準的なクランププレート42と比較して多数となっている。さらに、クランププレート43の表面に、白丸の形状をもつマーク437が表示されている。
【0042】
次に、
図8に示される幅広サイズのクランププレート44は、スキージ7の移動ストローク範囲Stが大きい場合に用いられる。詳述すると、基板K3では、部品の装着領域が基板K3の端縁の付近にまで及んでいる。このため、マスク6の印刷孔の存在領域が標準より拡がっている。そして、スキージ7の移動ストローク範囲Stは、マスク6の印刷孔の位置に加えて、ペースト状はんだを練り合わせる領域を考慮して設定される。設定された移動ストローク範囲Stでマスク6の下面を支持できるように、クランププレート44の幅方向のサイズW2は、標準的なクランププレート42のサイズW1よりも大きく設定されている。
【0043】
ここで、サイズW2がサイズW1よりも大きい分だけ、クランププレート44は、ベースレール41の外方に張り出して取り付けられる。また、クランププレート44の取り付け孔442、位置決め穴443、および吸着穴444の個数や配置は、標準的なクランププレート42と同じである。さらに、クランププレート44の表面に、黒い正方形の形状をもつマーク447が表示されている。なお、クランププレート44の吸着穴444の個数や配置は、標準的なクランププレート42と異なっていてもよい。
【0044】
仮に、基板K3に対して標準的なクランププレート42を用いると、移動ストローク範囲Stの端寄りでマスク6が支持されない。これにより、スキージ7の印刷動作が不安定化する。例えば、マスク6が下方に窪んでスキージ7との間に隙間が生じ、ペースト状はんだの一部が取り残された状態でスキージ7が移動する。すると、マスク6の一部の印刷孔にペースト状はんだが十分に行き渡らず、印刷ムラとなるおそれが生じる。
【0045】
次に、
図9に示される幅狭サイズのクランププレート45は、マスク6の有効幅寸法WAが基板Kのサイズに対して小さな余裕(サイズW1の2倍未満の余裕)しかない場合に用いられる。詳述すると、マスク6は、実際にはメッシュ62およびテープ63を用いてマスク枠61に保持される。メッシュ62は、内側の矩形開口部がマスク6よりも一回り小さな矩形枠状に形成され、マスク枠61の下側に固定される。マスク6は、メッシュ62の下側に配置される。テープ63は、粘着性能ないしは接着性能をもち、マスク6の下面からメッシュ62の下面まで延在して、マスク6をメッシュ62に貼り付けている。換言すると、マスク6は、その周縁がメッシュ62とテープ63の間に挟み込まれて保持される。
【0046】
さらに、テープ63は、メッシュ62よりも中央寄りまで延在している。マスク6の幅方向のサイズのうち保持する部材(メッシュ62、テープ63)に重ならない範囲、すなわちマスク6のみの存在範囲が有効幅寸法WAとなる。クランププレート45は、テープ63に当接せずに、有効幅寸法WAの端寄りの位置で直接的にマスク6を支持する必要がある。このため、クランププレート45の幅方向のサイズW3は、ベースレール41の幅方向のサイズ(クランププレート42のサイズW1に相当)よりも小さく設定されている。かつ、クランププレート45は、一対のベースレール41の向かい合う内側に揃えて取り付けられる。
【0047】
図9において、仮に、クランププレート45に代えて標準的なクランププレート42を用いると、クランププレート42はテープ63に当接する。すると、マスク6と基板Kとの間に、テープ63の厚さに相当する隙間が生じるため、印刷品質が低下する。これを避けるためには、クランププレート42が有効幅寸法WAの範囲内に収まるように固定ガイドレール32と可動ガイドレール33の離間距離を小さくする必要が生じる。結果として、適用できる基板Kの幅方向のサイズが小さくなってしまう。別の見方をすれば、標準的なクランププレート42に代えてクランププレート45を用いることにより、適用できる基板Kの幅方向のサイズを大きくすることができる。
【0048】
クランププレート45には、2個の位置決め穴、複数の取り付け孔、および複数の吸着穴が設けられる。ただし、クランププレート45の取り付け孔および吸着穴の個数は、標準的なクランププレート42よりも少数となる。さらに、クランププレート45の表面に、白い正方形の形状をもつマークが表示されている。
【0049】
次に、
図10に示されるクランププレート46は、スキージ7が移動する際にマスク6に要求されるクランププレート46への密着状態の条件が厳しい場合に用いられる。例えば、基板K4のランドが標準よりも小さく、したがって、マスク6の印刷孔が極小である場合に、高い印刷品質が必要とされる。この場合、マスク6の密着状態を特に良好に保ち、印刷時のにじみ等の品質低下を防止することが好ましい。また、トップクランプ方式においては、基板K4とマスク6の間に鍔部が介在して密着性が低下しがちになるので、マスク6の密着状態を特に良好に保つことが好ましい。
【0050】
クランププレート46は、標準的なクランププレート42と同じ大きさである。ただし、クランププレート46は、標準的なクランププレート42と比較して3倍の個数の吸着穴464を有する。したがって、クランププレート46は、マスク6に対する密着性が特に高い。また、クランププレート46の取り付け孔462および位置決め穴463の個数や配置は、標準的なクランププレート42と同じである。さらに、クランププレート46の表面に、黒い三角形の形状をもつマーク467が表示されている。なお、吸着穴464の個数を増加させる代わりに大径化しても、マスク6に対する密着性が高められる。
【0051】
上述した5種類のクランププレート(42~46)は金属製である。さらに、標準的なクランププレート42と同一形状をもつ樹脂製のクランププレートを用いることができる。樹脂製のクランププレートは、基板Kの材質が破損しやすい場合、例えば、セラミック製の基板Kに用いられる。
【0052】
ここで、5種類のクランププレート(42~46)の各々が有する位置決め穴(423、433、443、463)の個数、配置、大きさ、および形状は、共通とされている。したがって、位置決めピン413は、どの位置決め穴(423、433、443、463)にも嵌入可能である。つまり、位置決めピン413および位置決め穴(423、433、443、463)は、ベースレール41に対するクランププレート(42~46)の取り付け位置を共通に定める位置決め部の一実施形態となっている。
【0053】
また、クランププレート(42~46)の各々が有するマーク(427、437、447、467)は、クランププレート(42~46)の種類の判別を可能とする。つまり、マーク(427、437、447、467)は、カメラ8による撮像およびその後の画像処理によって自動判別される。また、マーク(427、437、447、467)は、作業者の目視により有人判別される。したがって、クランププレート(42~46)の種類を取り違えるおそれが低減される。
【0054】
4.はんだ印刷機1の使用方法および効果
次に、実施形態のはんだ印刷機1の使用方法および効果について、
図11の使用フローを参考にして説明する。この使用フローは、印刷対象となる基板Kの種類を変更するときに実施される。
図11の工程P1で、基板製品の生産計画などに基づいて、印刷実施条件が決定される。印刷実施条件は、基板Kの種類および印刷予定枚数、ならびに、使用するマスク6、スキージ7、およびクランププレート(42~46)などを指定するものである。
【0055】
次の工程P2で、作業者は、印刷実施条件に基づいて、段取り替え作業を実施する。段取り替え作業では、これまで使用していたマスク6が取り外され、印刷実施条件に指定された別のマスク6が取り付けられる。スキージ7およびクランププレート(42~46)については、継続して使用される場合もあれば、交換して取り付けられる場合もある。クランププレート(42~46)を交換する場合、作業者は、マーク(427、437、447、467)を目視して判別するので、クランププレート(42~46)を取り違えることがない。
【0056】
次の工程P3で、カメラ8は、撮像および画像処理を行って、段取り替え作業の作業内容を確認する。詳述すると、カメラ8は、下向き姿勢でクランププレート(42~46)の上面を撮像して画像データを取得する。この画像データの画像処理により、マーク(427、437、447、467)が判別される。これにより、取り付け済みのクランププレート(42~46)が印刷実施条件に合致しているか、否かが確認される。また、カメラ8は、上向き姿勢でマスク6の下面を撮像して画像データを取得する。この画像データの画像処理により、マスク6の種類に関する情報が取得される。これにより、取り付け済みのマスク6が印刷実施条件に合致しているか、否かが確認される。
【0057】
次の工程P4で、カメラ8を用いた確認の結果が良好であったか否かが判定される。結果が良好でない場合、段取り替え作業の再実施の要求が表示部(図略)に表示され、使用フローは工程P2に戻される。結果が良好である場合の工程P5で、はんだ印刷機1は、印刷作業を開始する。
【0058】
実施形態のはんだ印刷機1では、サイズ(L1、L2、W1、W2、W3)および形状、材質、ならびに吸着穴(424、434、444、464)の少なくとも一つが互いに異なる複数種類のクランププレート(42~46)を予め準備しておき、そのうちの一種類を選択して一対のベースレール41に取り付けることができる。これにより、多種多様な基板(K、K2、K3、K4)の種類に応じて、クランププレート(42~46)のみを交換して基板(K、K2、K3、K4)をクランプすることができ、ベースレール41の全体を交換する必要がない。したがって、交換や調整の手間がわずかで済む。
【0059】
5.実施形態の応用および変形
なお、位置決め部を構成する位置決めピン413および位置決め穴(423、433、443、463)は入れ替わってもよい。すなわち、ベースレール41が位置決め穴を有し、クランププレート(42~46)が位置決めピンを有してもよい。また、はんだ印刷機は、クランププレート(42~46)が吸着穴(424、434、444、464)を有さず、マスク6を安定的に保持する専用の機構を別に備える構成でもよい。実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1:はんだ印刷機 2:ベッド 3:基板搬送装置 41:ベースレール 413:位置決めピン 42、43、44、45、46:クランププレート 423、433、443、463:位置決め穴 424、434、444、464:吸着穴 427、437、447、467:マーク 51:クランプ機構 52:バックアップテーブル 53:バックアップピン 54:昇降用モータ 55:クランプ用モータ 56:昇降機構 6:マスク 61:マスク枠 7:スキージ 71:スキージヘッド 8:カメラ K、K2、K3、K4:基板