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特許7397175操作装置、操作装置を含むネットワークシステム、及び、操作装置のための無線コネクションをセキュア化する方法
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  • 特許-操作装置、操作装置を含むネットワークシステム、及び、操作装置のための無線コネクションをセキュア化する方法 図1a
  • 特許-操作装置、操作装置を含むネットワークシステム、及び、操作装置のための無線コネクションをセキュア化する方法 図1b
  • 特許-操作装置、操作装置を含むネットワークシステム、及び、操作装置のための無線コネクションをセキュア化する方法 図2
  • 特許-操作装置、操作装置を含むネットワークシステム、及び、操作装置のための無線コネクションをセキュア化する方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】操作装置、操作装置を含むネットワークシステム、及び、操作装置のための無線コネクションをセキュア化する方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H04Q9/00 301Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022514783
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2020074590
(87)【国際公開番号】W WO2021043900
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】102019213477.7
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランク カヴァン
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-226246(JP,A)
【文献】特開2009-163578(JP,A)
【文献】特開2011-061336(JP,A)
【文献】特開2002-262336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械(3)と、前記機械(3)を操作するためのモバイル操作装置(2)とを含むネットワークシステム(1)であって、
前記操作装置(2)は、第1のネットワーク領域(9a)内の第1の無線局(8a)と第2のネットワーク領域(9b)内の第2の無線局(8b)とを介して前記機械(3)に信号技術的に接続されており、
前記第1のネットワーク領域(9a)及び前記第2のネットワーク領域(9b)は、オーバラップ領域(10a,10b,10c)において重なっており、前記オーバラップ領域(10a)において前記第1の無線局(8a)から前記第2の無線局(8b)への前記操作装置(2)の接続交代が行われ、
前記ネットワークシステム(1)はさらに、無線局に関連するデータを評価する評価装置(12)と、評価された前記無線局に関連するデータに基づいて前記操作装置(2)を駆動制御する制御装置(13)とを含み、
前記操作装置(2)は、少なくとも1つの情報信号及び警告信号を出力するシグナリングユニット(5)を含み、
前記操作装置(2)は、当該操作装置(2)と前記機械(3)との間の信号強度を検査し、かつ、検査信号を前記無線局に関連するデータとして前記評価装置(12)へ伝送する検査ユニット(15)を含む、
ネットワークシステム(1)。
【請求項2】
機械(3)と、前記機械(3)を操作するためのモバイル操作装置(2)とを含むネットワークシステム(1)であって、
前記操作装置(2)は、第1のネットワーク領域(9a)内の第1の無線局(8a)と第2のネットワーク領域(9b)内の第2の無線局(8b)とを介して前記機械(3)に信号技術的に接続されており、
前記第1のネットワーク領域(9a)及び前記第2のネットワーク領域(9b)は、オーバラップ領域(10a,10b,10c)において重なっており、前記オーバラップ領域(10a)において前記第1の無線局(8a)から前記第2の無線局(8b)への前記操作装置(2)の接続交代が行われ、
前記ネットワークシステム(1)はさらに、無線局に関連するデータを評価する評価装置(12)と、評価された前記無線局に関連するデータに基づいて前記操作装置(2)を駆動制御する制御装置(13)とを含み、
前記操作装置(2)は、少なくとも1つの情報信号及び警告信号を出力するシグナリングユニット(5)を含み、
前記情報信号及び前記警告信号は、光信号、触覚信号及び/又は音響信号であり、及び/又は、
前記情報信号及び前記警告信号は、前記オーバラップ領域(10a,10b,10c)が配置されている及び/又は前記接続交代が発生する及び/又は前記接続交代が行われる少なくとも1つの方向へ向かう方向指示を含む、
ネットワークシステム(1)。
【請求項3】
前記制御装置(13)は、評価された前記無線局に関連するデータに基づいて、前記少なくとも1つの情報信号及び警告信号が出力されるように、前記シグナリングユニット(5)を駆動制御する及び/又は動作させる、
請求項1又は2に記載のネットワークシステム(1)。
【請求項4】
前記操作装置(2)は、当該操作装置(2)の位置を識別し、かつ、位置信号を前記無線局に関連するデータとして前記評価装置(12)へ伝送する位置特定ユニット(14)を含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のネットワークシステム(1)。
【請求項5】
前記評価装置(12)は、前記無線局に関連するデータに基づいてネットワークカバレッジマップを作成し出力するように構成されている、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のネットワークシステム(1)。
【請求項6】
ネットワークシステム(1)、特に請求項1乃至のいずれか一項に記載のネットワークシステム(1)のモバイル操作装置(2)のための無線コネクションをセキュア化する方法であって、
前記操作装置(2)は、第1のネットワーク領域(9a)内の第1の無線局(8a)と第2のネットワーク領域(9b)内の第2の無線局(8b)との間において前記機械(3)に接続されており、
接続交代が発生する場合に情報信号及び警告信号が出力される、
無線コネクションをセキュア化する方法。
【請求項7】
前記情報信号及び前記警告信号は、光信号、触覚信号及び/又は音響信号を含み、前記光信号、前記触覚信号及び/又は前記音響信号は、前記オーバラップ領域(10a,10b,10c)が配置された方向及び/又は前記接続交代が行われる方向を向いた前記操作装置(2)の外面若しくは外縁において出力される、
請求項に記載の無線コネクションをセキュア化する方法。
【請求項8】
前記情報信号及び前記警告信号は、前記オーバラップ領域(10a,10b,10c)への前記操作装置(2)の接近度が増加するにつれて変化する及び/又は増幅される、
請求項に記載の無線コネクションをセキュア化する方法。
【請求項9】
特に請求項乃至のいずれか一項に記載の無線コネクションをセキュア化する方法を実行する請求項1乃至のいずれか一項に記載のネットワークシステム(1)のためのモバイル操作装置(2)であって、
前記操作装置(2)は、第1のネットワーク領域(9a)内の第1の無線局(8a)と第2のネットワーク領域(9b)内の第2の無線局(8b)との間において機械(3)に接続されるように構成されており、
前記操作装置(2)は、接続交代が発生する場合に情報信号及び警告信号を出力するように構成されている、
操作装置(2)。
【請求項10】
前記操作装置(2)は、前記情報信号及び前記警告信号を光信号、触覚信号及び/又は音響信号として出力するように構成されており、
前記操作装置(2)は、前記光信号、前記触覚信号及び/又は前記音響信号を、前記オーバラップ領域(10a,10b,10c)が配置された方向及び/又は前記接続交代が行われる方向を向いた前記操作装置(2)の外面若しくは外縁において出力する、
請求項に記載の操作装置(2)。
【請求項11】
前記操作装置(2)は、前記オーバラップ領域(10a,10b,10c)への前記操作装置(2)の接近度が増加するにつれて前記情報信号及び前記警告信号を変化させて及び/又は増幅して出力するように構成されている、
請求項10に記載の操作装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械と、当該機械を操作するためのモバイル操作装置とを含むネットワークシステムに関する。操作装置は、第1のネットワーク領域内の第1の無線局と第2のネットワーク領域内の第2の無線局とを介して機械に信号技術的に接続されている。第1のネットワーク領域及び第2のネットワーク領域は、オーバラップ領域において重なっている。オーバラップ領域において、第1の無線局から第2の無線局への操作装置の接続交代が行われる。当該ネットワークシステムはさらに、無線局に関連するデータを評価する評価装置と、評価された無線局に関連するデータに基づいて操作装置を駆動制御する制御装置とを含む。
【背景技術】
【0002】
従来技術
製造システムにおいては、複数の機械が、通常ケーブル接続された操作装置及び制御装置によって信号技術的に駆動制御される。この場合、機械の周囲にいる人員に充分な安全が得られるように、機械若しくは機械部分のプロセス及び/又は動作をトリガする信号の他、緊急遮断又は緊急停止のような安全に関連する信号も、伝送され処理されることがある。また、ケーブルなしで、特に無線を介して接続された、機械を駆動制御する操作装置及び制御装置も既に公知である。
【0003】
例として、基礎的な従来技術をなすであろう刊行物としての独国特許第19920299号明細書に、安全を保証するための信号を検出し伝送し処理する方法及び装置が記載されている。安全を保証するための信号は、送信器側で検出され、無線を介して論理的に受信器側へ伝送される。受信されたデータは、受信器側で処理されて監視される。これにより、機械を制御する信号と共に、緊急遮断又は緊急停止のような安全を保証するための信号の無線伝送を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許第19920299号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示
本発明の範囲においては、請求項1に記載の特徴を有するモバイル操作装置、請求項7に記載の特徴を有するネットワークシステムのモバイル操作装置のための無線コネクションをセキュア化する方法、及び、請求項10に記載の特徴を有するネットワークシステムのためのモバイル操作装置を提案する。本発明の好ましい又は有利な実施形態は、各従属請求項、以下の説明及び/又は添付の各図から得られる。
【0006】
ネットワークシステムは、機械とモバイル操作装置とを含む。好適には、モバイル操作装置は、ワイヤなしで、特に無線コネクションを介して機械に接続されている。モバイル操作装置は、機械を操作するように構成されている。例として、機械は、複数の機械部分を備えた製造機械及び/又は製造ロボットであり、機械及び/又はロボットは、製造ライン内に配置可能である。
【0007】
好適には、モバイル操作装置は、いわゆる人間機械インタフェース及び/又はいわゆるマンマシンインタフェースである。構造的には、モバイル操作装置は操作パネルとして構成可能である。好ましくは、操作装置は、手で持って扱える形態を有しているので、ユーザが携行することができる。
【0008】
操作装置は、第1のネットワーク領域内の第1の無線局と第2のネットワーク領域内の第2の無線局とを介して機械に信号技術的に接続されている。本発明の範囲においては、相応に対応付けられたネットワーク領域内の2つを超える無線局、例えば、3つ、4つ又は5つのネットワーク領域内に3つ、4つ又は5つの無線局を設け、これらのネットワーク領域内において各操作装置を機械に信号技術的に接続することができる。
【0009】
第1のネットワーク領域及び第2のネットワーク領域は、オーバラップ領域において重なっている。2つを超えるネットワーク領域が存在する場合、これらは少なくとも1つの他のオーバラップ領域においても重なり得る。オーバラップ領域においては、特に、2つを超えるオーバラップ領域が存在する場合、オーバラップ領域のそれぞれにおいて第1の無線局から第2の無線局への操作装置の接続交代が行われる。こうした接続交代は、通常、いわゆるハンドオーバとも称される。
【0010】
操作装置がユーザによって携行され、ユーザがオーバラップ領域に接近し及び/又はオーバラップ領域に進入した場合、接続の無線信号、特に無線コネクションは、操作装置と機械との間において弱まることがある。操作装置を携行したユーザがオーバラップ領域を横断すると、重なったネットワーク領域内に配置されている無線局間において操作装置から機械への接続の交代が発生する。これにより、操作装置と機械との間の接続の短時間の中断が発生し得る。
【0011】
本発明の範囲においては、好適には、操作装置を携行したユーザの接近時に、ネットワーク領域の境界セクションにおいて無線信号を弱化させることもできる。特に、境界セクションが他のネットワーク領域とは重ならず、特に、各ネットワーク領域がオーバラップなしで配置される。任意手段として、境界セクションを通過する際には接続を遮断することができる。
【0012】
ネットワークシステムは、無線局に関連するデータを評価する評価装置を有する。ネットワークシステムはさらに、評価された無線局に関連するデータに基づいて操作装置を駆動制御する制御装置も有する。
【0013】
本発明によれば、操作装置はシグナリングユニットを有する。好ましくは、シグナリングユニットは、操作装置内に組み込まれる。シグナリングユニットは、特に、評価された無線局に関連するデータに依存する少なくとも1つの情報信号及び警告信号を出力するように構成されている。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態においては、制御装置は、少なくとも1つの情報信号及び警告信号が出力されるように、シグナリングユニットを動作させる。代替的に又は補完的に、制御装置は、評価された無線局に関連するデータに基づいて、少なくとも1つの情報信号及び警告信号が出力されるように、シグナリングユニットを駆動制御する。
【0015】
通常、操作装置を携行したユーザは、機械の監視のためにこの機械の直接近傍に持続的に位置することはない。このため、機械の周囲における高度な安全措置が必要である。機械の周囲に滞在するユーザ及び他の人員の安全性を保証するために、ネットワークシステムにおいては、特に、接続交代及び/又は境界セクションの通過に基づいて操作装置と機械との間の接続が中断又は遮断されたときに直ちに安全状態、例えば緊急遮断状態への機械の切り換えが行われるように構成されている。機械の安全状態において、機械の製造又は加工は停止するが、これにより、遅延が発生して高いコストが発生し得る。
【0016】
本発明に係るネットワークシステムにより、特に、接続交代及び任意手段として補完的な境界セクションの通過を回避又は低減することによって、機械が安全状態へ移行することによる製造プロセスの不要な中断を回避することができる。ただし、このためには、オーバラップ領域がどこに配置されているか及び/又は境界セクションがどこを走っているかをユーザが知ることが必要である。このことを知るのみで、ユーザは、オーバラップ領域及び/又は境界セクションへの接近、進入及び/又は通過を適時に抑制することができる。特に、ユーザは、他の経路を取ったり又は迂回したりすることができる。
【0017】
従って、特に有利には、オーバラップ領域及び/又は境界セクションへの接近、進入及び/又は通過による操作装置と機械との間の接続の接続交代、接続の中断及び/又は接続の遮断が発生する場合、そのことを操作装置のユーザに対してシグナリングユニットの情報信号及び警告信号によって示すことができる。ユーザが警告を受けることにより、ユーザは適時に反応して、ネットワーク交代、接続の中断及び/又は接続の遮断を回避し、ひいては機械の安全状態への切り換えを阻止することができる。
【0018】
本発明の可能な構成上の一使用形態において、操作装置は位置特定ユニットを有する。好適には、位置特定ユニットは、操作装置の位置を識別するように構成されている。特に、位置特定ユニットは、操作装置の位置についての位置信号を無線局に関連するデータとして評価装置へ伝送するように構成されている。これにより、有利には、制御装置がネットワーク領域内における操作装置の位置に従って操作装置、特にシグナリングユニットを駆動制御することを保証することができる。
【0019】
代替的に又は任意手段として補完的に、ネットワークシステムは検査ユニットを含む。好適には、検査ユニットは、操作装置と機械との間の信号強度を検査する及び/又は監視するように構成されている。特に、検査ユニットは、信号強度検査の検査信号を無線局に関連するデータとして評価装置に伝送するように構成されている。
【0020】
例として、検査ユニットは、信号強度の算定及び監視のために、周期的なテスト信号を機械へ送信する。テスト信号が機械へ到達すると、例えば、応答信号が機械から検査ユニットへ返送される。これは、操作装置と機械との間に充分な接続が存在することを意味する。テスト信号が遅延して機械に到来した場合、又は、応答信号が遅延して返送されてきた場合、これは、弱い接続を示す。なお、無線信号が機械に到来しなかった場合、特に、応答信号が得られなかった場合、これは、操作装置と機械との間の接続が中断されていることを意味する。無線信号の信号強度を監視することによって、有利には制御装置が信号強度に基づいて操作装置、特にシグナリングユニットを駆動制御することを保証することができる。
【0021】
有利には、本発明の範囲において、評価装置により、無線局に関連するデータに基づいてネットワークカバレッジマップが作成可能かつ出力可能となる。特に、ネットワークカバレッジマップは、位置特定ユニットによる持続的な位置識別に基づいて、及び/又は、検査ユニットによる周期的な信号強度検査に基づいて、規則的に更新可能である。
【0022】
本発明の好ましい構造的な構成においては、情報信号及び警告信号は、光信号、触覚信号及び/又は音響信号である。例として、光信号は、シグナリングユニットの少なくとも1つの発光表示部のオンオフである。少なくとも1つの発光表示部は、例えば、複数のLEDとして構成可能である。任意手段として、LEDを操作装置のケーシングに配置することもできる。情報伝達のために、1つ又は複数又は総てのLEDがオンオフされる。また、1つ又は複数又は総てのLEDが、所定の情報信号及び警告信号の送信のために、それぞれ異なり得る又は変化し得る色を有するものとしてもよい。
【0023】
触覚信号は、例えば、操作装置に組み込まれたシグナリングユニットの振動であるものとしてよい。音響信号は、例えば、シグナリングユニットのスピーカを介して出力可能な警告トーン又は警告音である。本発明の範囲において、少なくとも1つの情報信号及び警告信号は、1つ又は複数のオーバラップ領域及び/又は境界セクションへの接近度が増加するにつれて変化する又は増幅されるものであってよい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態においては、情報信号及び警告信号は、オーバラップ領域が配置されている及び/又は接続交代が発生する及び/又は無線コネクションの一時的な中断が発生する少なくとも1つの方向へ向かう方向指示を含む。代替的に又は任意手段として補完的に、方向指示は、ネットワーク領域の境界セクションが配置されている及び/又は無線コネクションの遮断が切迫している少なくとも1つの方向を示す。
【0025】
少なくとも1つの方向指示は、好ましくは、光信号又は触覚信号が操作装置のうちオーバラップ領域又は境界セクションを向いた側において出力されることによって行うことができる。代替的に又は任意手段として補完的に、光信号は、LEDがその色を変化させ又は点滅させることであるものとしてもよい。音響信号が構成される場合、この音響信号は、オーバラップ領域又は領域境界への接近によって発生させることができ、及び/又は、その音量若しくは周波数を増加させることができる。
【0026】
本発明のさらなる対象は、上記の説明による及び/又は請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモバイル操作装置のための無線コネクションをセキュア化する方法を成しており、ここで、モバイル操作装置は、第1のネットワーク領域内の第1の無線局と第2のネットワーク領域内の第2の無線局との間において機械に接続されている。本発明によれば、当該方法の範囲において、接続交代がする場合に情報信号及び警告信号が出力される。任意手段として補完的に、情報信号及び警報信号は、信号強度の低下が発生する場合、無線信号の中断が発生する場合、及び/又は、無線信号の遮断が発生する場合に出力される。
【0027】
無線コネクションをセキュア化する方法の範囲において、好ましくは、情報信号及び警告信号、例えば、光信号、触覚信号及び/又は音響信号は、操作装置の外面、特に、操作装置のケーシングの外面において出力される。好ましくは、情報信号及び警告信号は、オーバラップ領域若しくは境界セクションを向いた外面において、及び/又は、接続交代、接続中断若しくは接続遮断が発生する方の外面において、出力される。
【0028】
特に好ましくは、無線コネクションをセキュア化する方法の範囲において、少なくとも1つの情報信号及び警告信号は、オーバラップ領域又は境界セクションへの操作装置、特に操作装置内に組み込まれたシグナリングユニットの接近度が増加するにつれて、変化する及び/又は増幅される。
【0029】
本発明のさらなる対象は、上述した無線コネクションをセキュア化する方法を実行する特に上述したネットワークシステムのためのモバイル操作装置を成しており、操作装置は、第1のネットワーク領域内の第1の無線局と第2のネットワーク領域内の第2の無線局との間において機械に接続されるように構成されており、操作装置は、接続交代が発生する場合に情報信号及び警告信号を出力するように構成されている。好適には、操作装置は、情報信号及び警告信号を光信号、触覚信号及び/又は音響信号として出力するように構成されており、操作装置は、光信号、触覚信号及び/又は音響信号を、オーバラップ領域が配置された方向及び/又は接続交代が行われる方向を向いた操作装置の外面若しくは外縁において出力する。特に、操作装置はさらに、オーバラップ領域への操作装置の接近度が増加するにつれて情報信号及び警告信号を変化させて及び/又は増幅して出力するように構成されている。
【0030】
好適には、モバイル操作装置は、複数の外面を含むケーシングを有する。好ましくは、シグナリングユニットの少なくとも1つの発光デバイス、特にLEDがケーシング内に配置されている。例として、LEDは、縁領域に沿って及び/又はケーシングの外面に沿って前後に列を成すように配置されている。
【0031】
本発明のさらなる特徴、利点及び作用は、本発明の好ましい実施例についての以下の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1a】ネットワークシステムの機械を操作するための、ネットワークシステムのモバイル操作装置を示す上面図である。
図1b】操作装置を示す側面図である。
図2】操作装置が3つのネットワーク領域の無線局を介して機械に接続された、図1aの操作装置を含むネットワークシステムを示す図である。
図3】操作装置が2つのネットワーク領域の無線局を介して機械に接続された、図1bの操作装置を含むネットワークシステムを示す図である。
【0033】
図面においては、相互に対応する部分又は同一の部分には、同一の参照番号を付してある。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1a及び図1bには、ネットワークシステム1(図2及び図3を参照)のためのモバイル操作装置2が示されている。図1aには、操作装置2が上面図において示されており、図1bには、側面図において示されている。
【0035】
操作装置2は、手動操作部を備えたほぼ正方形の操作パネルとして構成されている。モバイル操作装置2を用いて、ユーザは、ネットワークシステム1の機械3(図2及び図3を参照)を操作することができ、その間、ユーザは操作装置2を携行し、特に、持続的にではないが機械3の直接近傍に位置する。このために、操作装置2は、ワイヤなしで、特に無線コネクションを介して機械3に接続されている。
【0036】
操作装置2は、ケーシング4及びシグナリングユニット5を含み、ここで、シグナリングユニット5は、ケーシング4内に収容されている。シグナリングユニット5は、少なくとも1つの情報信号及び警告信号を出力することができる。
【0037】
シグナリングユニット5は、少なくとも1つの情報信号及び警告信号として少なくとも1つの光信号を出力する複数のLED6の形態の少なくとも1つの発光デバイスを含む。LED6は、ケーシング4の、操作装置2を取り巻く縁領域に、前後に列を成すように配置されている。
【0038】
図3から見て取れるように、シグナリングユニット5は、少なくとも1つの情報信号及び警告信号としての振動アラームを生成する振動装置7も含む。他の実施例において、代替的に又は補完的に、シグナリングユニット5が、少なくとも1つの情報信号及び警告信号として警告トーン又は警告音の形態の少なくとも1つの音響信号を出力するスピーカを含むものとしてもよい。
【0039】
操作装置2はさらに、位置特定ユニット14を含む。位置特定ユニット14は、操作装置2の位置を識別する。位置特定ユニット14は、例えば、GPSシステムとして構成可能である。
【0040】
操作装置2は、代替的に又は補完的に、検査ユニット15を有する。検査ユニット15は、操作装置2と機械3との間の接続の信号強度、特に、無線コネクションの信号強度を検査する。このために検査ユニット15は、周期的な検査信号を機械3へ送信し、機械3側では、検査信号の受信後に応答信号を操作装置2へ返送する。操作装置2の検査信号が機械3に到来した場合、又は、操作装置2が返送された応答信号を受け取った場合、充分な信号強度での接続が形成されている。検査信号が機械3に遅延して到来した場合、又は、応答信号が操作装置2に遅延して到来した場合には、操作装置2と機械3との間の信号強度が弱くなっている。検査信号又は応答信号が全く到来しなかった場合、これは、操作装置2と機械3との間の接続が中断していることを意味する。
【0041】
図2には、操作装置2と機械3とを含むネットワークシステム1が示されている。ネットワークシステム1は3つの無線局8a,8b,8cを含み、ここで、無線局8a,8b,8cのそれぞれは、固有のネットワーク領域9a,9b,9c内に配置されている。よって、3つのネットワーク領域9a,9b,9cが存在する。3つのネットワーク領域9a,9b,9cは、3つのオーバラップ領域10a,10b,10cにおいて重なっている。オーバラップ領域10a,10b,10cのそれぞれにおいて、各無線局8a,8b,8c間における接続交代、特に、いわゆるハンドオーバが行われる。
【0042】
操作装置2がユーザによってオーバラップ領域10a,10b,10cへ移動させられ、これにより、ハンドオーバがトリガされると、担当の無線局8a,8b,8cが交代する。これにより、無線局8a,8b,8cのうちの1つを介して操作装置2と機械3との間にそれまで形成されていた接続が短時間だけ中断され、短い中断時間の後に、無線局8a,8b,8cのうちの他の1つを介して再び引き受けられる。
【0043】
機械3の周囲におけるユーザ及び他の人員の安全を保証するために、ネットワークシステム1内においては、操作装置2と機械3との間の接続が中断されたときに直ちに機械3が安全状態、例えば緊急遮断状態へ切り換えられるように構成されている。ここで、機械3の安全状態は、製造プロセスの中断をまねき、遅延及び高いコストを発生させる。よって、機械3は、やむを得ず必要な場合にのみ安全状態へ移行されるべきであり、これにより、製造プロセスの不要な中断及びこれによる相応のコストを回避することができる。
【0044】
操作装置2は、評価装置12と制御装置13とを含む。評価装置12は、無線局に関連するデータを評価し、これを制御装置13へ送信するように構成されている。制御装置13は、評価された無線局に関連するデータに基づいて、少なくとも1つの情報信号及び警告信号が出力されるように、操作装置2、特にシグナリングユニット5を駆動制御する。
【0045】
無線局に関連するデータは、操作装置2の位置を表す位置信号として、位置特定ユニット14から評価装置12へ送信される。代替的に又は任意手段として補完的に、無線局に関連するデータは、接続の信号強度、接続の中断又は接続の遮断を表す検査信号の形態で、検査ユニット15から評価装置12へ送信される。
【0046】
評価装置12が、無線局に関連するデータに基づき、操作装置2がオーバラップ領域10a,10b,10cのうちの1つ及び/又は境界セクション11a,11b,11cのうちの1つに接近したことを評価すると、制御装置13は、シグナリングユニット5を駆動制御して情報信号及び警告信号を出力させ、これにより、ユーザが適時に操作装置2と機械3との間の接続の接続交代、接続の中断又は接続の遮断の警告を受けられるようにする。
【0047】
有利には、評価装置12によって評価された無線局に関連するデータに基づいて、常に更新されるネットワークカバレッジマップが作成可能及び出力可能となる。
【0048】
図2に示されているように、操作装置2は第1のネットワーク領域9a内に位置している。当該操作装置2は、第1の無線局8aを介して機械3に信号技術的に接続されている。当該操作装置2は、ユーザが進入した場合に接続交代ひいては短時間の接続の中断が起こるオーバラップ領域10cに接近している。
【0049】
評価装置12によって評価された無線局に関連するデータに基づき、制御装置13は、光信号の形態の少なくとも1つの情報信号及び警告信号が出力されるように、シグナリングユニット5を駆動制御する。このために、それぞれ異なる色のLED6が発光を行う。特に、ケーシング4のうち設計されているオーバラップ領域10cを向いた外面に配置された、第1の色のLED6a、例えば、赤又は橙のLED6aが発光する。ケーシング4の他の外面に配置された残余の総てのLED6bは、第2の色、例えば、緑又は白で発光する。このようにして、ユーザに対し、オーバラップ領域10cがどの方向に配置されているかを表示可能であり、これにより、機械3の安全状態への切り換えを阻止するために、場合によりユーザは、他の方向へ進むことができる。
【0050】
これに代えて、図2によれば、第1のネットワーク領域9a内に位置しており第1のオーバラップ領域10aへ接近する、代替的に示されている操作装置2aにおいて、第1のオーバラップ領域10aを向いたケーシング4の外面又は外縁に配置されたLED6cのみを発光させることも可能である。代替的に示されている操作装置2aの残余の総てのLED6dは、発光しない。
【0051】
また、設計されたオーバラップ領域10aの方向においてケーシング4の外面又は外縁に配置されているLED6cが、操作装置2のオーバラップ領域10aへの接近があった場合に点滅し、これに対して、オーバラップ領域10aを向いていないLED6dは、発光せず又は点滅しないようにすることも可能である。LED6cの点滅の周波数は、オーバラップ領域10aへの接近度が増加するにつれて増加させることができ、及び/又は、距離が増加するにつれて低下させることができ、これにより、ユーザは、オーバラップ領域10aまでの距離をより良好に推定することができる。
【0052】
図3には、第1のネットワーク領域9a内の第1の無線局8a及び第2のネットワーク領域9b内の第2の無線局8bを含むネットワークシステム1が示されている。第1のネットワーク領域9aは、第1のオーバラップ領域10aにおいて第2のネットワーク領域9bに重なっている。
【0053】
操作装置2は、第1のネットワーク領域9a内に位置しており、第1の無線局8aを介して機械3に接続されている。図3の平面図に示されている操作装置2の右方の外面又は外縁が、第1のオーバラップ領域10aに接近している。評価装置12によって評価された無線局に関連するデータに基づき、制御装置13がシグナリングユニット5を駆動制御して、振動アラームの形態の触覚信号を右方に配置された振動装置7aへと出力させ、これにより、右方を向いた外面又は外縁が振動する。また相応に、左方を向いた外面又は外縁が、例えば、境界セクション11aに接近した場合には、左方に配置された振動装置7bの振動アラームが振動する。これにより、ユーザは、操作装置2が振動した場所にオーバラップ領域10aが配置されており、従って、接続交代が起こるという注意喚起を受けることができる。上述した周波数変更に対応して、振動アラームの振動も、接近度の増加につれて増幅させることができ、及び/又は、オーバラップ領域10aからの距離の増加につれて低下させることができる。
【0054】
代替的に又は任意手段として補完的に、ユーザがオーバラップ領域10a,10b,10cのいずれかへ進入する方向へ移動した場合、警告トーン又は警告音の形態の音響信号を出力させることもできる。音響信号の音量は、接近度が増加するにつれて増加させることができ、及び/又は、距離が増加するにつれて低下させることができる。また、音響信号の出力の周波数も、オーバラップ領域10a,10b,10cへの接近度の増加につれて増加させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ネットワークシステム
2 操作装置
3 機械
4 ケーシング
5 シグナリングユニット
6,6a~6c LED
7,7a,7b 振動装置
8a~8c 無線局
9a~9c ネットワーク領域
10a~10c オーバラップ領域
11a~11c 境界セクション
12 評価装置
13 制御装置
14 位置特定ユニット
15 検査ユニット
図1a
図1b
図2
図3