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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】キャップ組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20231205BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/20
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022520251
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2020074926
(87)【国際公開番号】W WO2021063634
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】19200666.6
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-アン・ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】シュエ-イ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-チエン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】チュン-イ・リ
(72)【発明者】
【氏名】シー・フン・ツ
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/237225(WO,A1)
【文献】特表2017-524399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0161513(US,A1)
【文献】国際公開第2019/121613(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置(2;2′)に取り外し可能に取り付けるように構成されているキャップ組立体(10;10′)であって、
長手方向に延在しているキャップ本体であって、薬剤送達装置(2;2′)に取り外し可能に取り付けられるように構成されている前記キャップ本体と、
前記キャップ本体に配置された電子部品(14)と、
前記キャップ本体に配置された電源(15)であって、前記電子部品(14)に給電するように構成されている前記電源(15)と、
前記キャップ本体に配置された弾性部材(18;18′;18″)であって、前記電源(15)と前記電子部品(14)との電気的接続を確立するように構成されている前記弾性部材(18;18′;18″)と、
を備えている前記キャップ組立体(10;10′)において、
前記キャップ本体が、可動部材(16;16′、16″)を備えており、前記可動部材(16;16′、16″)が、前記キャップ本体が薬剤送達装置(2;2′)に取り付けられている場合に、前記弾性部材が前記電源(15)と前記電子部品(14)との電気的接続を確立することを防止するように、前記弾性部材(18;18′、18″)及び薬剤送達装置の構成要素(21;21′)と相互作用するように構成されていることを特徴とするキャップ組立体(10;10′)。
【請求項2】
前記弾性部材(18;18′;18″)が、バネアーム、圧縮バネ、及び/若しくは捩りバネ、又はこれらの組み合わせとされることを特徴とする請求項1に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項3】
前記弾性部材(18;18′;18″)が、前記キャップ本体に固定状態で接続されている固定端と、前記可動部材に解除可能に接続されている自由端とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項4】
前記可動部材(16′;16″)が、径方向内方に突出している保持部材(16′a;16″a)を備えている可撓性アーム(16′;16″)とされ、前記保持部材(16′a;16″a)が、前記弾性部材(18′)が前記電源(15)と前記電子部品(14)との電気的接続を確立することを防止するように構成されており、
前記可撓性アーム(16′;16′)が、前記キャップ本体に対して径方向に移動可能とされることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項5】
前記可撓性アーム(16′)が、前記キャップ本体長手方向に延在しており、
前記保持部材(16′a)が、前記可撓性アーム(16′)の自由端に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項6】
前記可撓性アーム(16″)が、前記キャップ本体の長手方向に対して垂直な方向に延在しており、
前記保持部材(16″a)が、前記可撓性アーム(16″)の自由端に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項7】
前記キャップ組立体(10;10′)が、前記キャップ本体に配置された阻止部材(17)をさらに備えており、
前記阻止部材(17)が、前記弾性部材(18)が前記電源(15)と前記電子部品(14)との電気的接続を確立することを防止するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項8】
前記弾性部材(18)が、前記キャップ本体に固定状態で接続されている固定端(18a)と、前記阻止部材(17)に解除可能に接続されている自由端(18c)とを備えていることを特徴とする請求項7に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項9】
前記可動部材(16)が、前記キャップ本体に対して軸線方向に移動可能とされ、
前記可動部材(16)が、前記可動部材(16)が前記薬剤送達装置(2;2′)の前記構成要素(21;21′)と相互作用している場合に、前記弾性部材(18)の前記自由端(18c)を前記阻止部材(17)と位置合わせするように前記弾性部材(18)を付勢するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項10】
前記阻止部材(17)が、組立工程において前記薬剤送達装置(2;2′)が前記キャップ組立体(10;10′)に結合される前において、前記弾性部材(18)の前記自由端(18c)を受容するように構成されている第1の受容部分(17a)を備えていることを特徴とする請求項9に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項11】
前記阻止部材(17)が、組立工程において前記薬剤送達装置(2;2′)が前記キャップ組立体(10;10′)に結合されると、前記弾性部材(18)の前記自由端(18c)を受容するように構成されている第2の受容部分(17b)を備えていることを特徴とする請求項9に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項12】
前記弾性部材(18;18′;18″)が、前記キャップ組立体(10;10′)が前記薬剤送達装置(2;2′)から取り外されると、前記可動部材(16;16′;16″)から不可逆的に結合解除されるように構成されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項13】
前記電源(15)が、呼び掛け信号と前記薬剤送達装置(2;2′)からの前記キャップ組立体の取外操作とのうち少なくとも一方からエネルギを得るように構成されているエネルギ取得器を備えていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項14】
前記エネルギ取得器が、付随する装置からエネルギを得るように構成されていることを特徴とする請求項13に記載のキャップ組立体(10;10′)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のキャップ組立体(10;10′)を備えていることを特徴とする薬剤送達装置(2;2′)。
【請求項16】
前記薬剤送達装置(2;2′)が、利用者がアクセス可能とされる外側シェルを備えており、
前記外側シェルが、前記可動部材(16;16′;16″)と相互作用するように構成されている前記薬剤送達装置(2;2′)の前記構成要素(21;21′;21″)とされることを特徴とする請求項15に記載の薬剤送達装置(2;2′)。
【請求項17】
前記薬剤送達装置(2;2′)が、軸線方向に移動可能とされる送達部材カバーを備えており、
前記送達部材カバーが、前記可動部材(16;16′;16″)と相互作用するように構成されている前記薬剤送達装置(2;2′)の前記構成要素(21;21′)とされることを特徴とする請求項15に記載の薬剤送達装置(2;2′)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤送達装置のためのキャップ組立体に関し、具体的には、電子部品を有しているキャップ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動注入装置、吸入具や体内投与器(on-body devices)のような薬剤送達装置は、正式な医療訓練を受けていない患者が薬剤を自己投与するための装置として一般に知られている。例えば糖尿病を患っている患者や人工授精の処置を受けている人々は、インスリンやホルモン剤を繰り返し注入することを必要とする場合がある。他の患者は、例えば成長ホルモンのような他のタイプの薬剤を定期的に注入することを必要とする場合がある。
【0003】
薬剤送達装置は、正式な医療訓練を受けていない患者のために考案されており、当該薬剤送達装置の操作は、例えば病院、クリニックや医療センターのような専門の医療/ヘルスケアを施すための場所ではない患者自身の家で行われるので、利用者によって行われた送達操作それぞれを自動的に記録するという要求が存在する。記録は、利用者の薬剤摂取を監視するために又は次の操作リマインダとしてのアラームの基礎として利用者を補助することができる。当該記録は、治療規制に関して利用者を監視するために、医師やヘルスケア提供者を補助することもできる。さらに、薬剤送達装置にアクセス/利用する利用者の安全を確保するために、利用者が利用中の薬剤送達装置にアクセス又は利用することを防止することという要求も存在する。
【0004】
電子薬剤送達装置は、医療従事者の手助けを必要としないで患者自身が安全に薬を投与することができるように、且つ、医療従事者にデータを送信することができるように開発されている。データは、一般に、当該装置に内蔵されたバッテリーによって又は優先接続を介した外部電源によって給電される電子部品によって送信される。内蔵電池及び有線接続は、例えば当該装置が長い保存可能期間を有している場合における漏電(drainage of power)のような幾つかの欠点を有している。
【0005】
特許文献1は、注射ペンのためのキャップであって、当該キャップの取り外しを検出するように構成されている電子部品を具備して配置されているキャップを開示している。しかしながら、特許文献2では、金属製の注射針又は針ハブに取り付けられた共振回路の有無を検出することによってキャップの取り外しを検出し、当該電子部品から成る装置は、変化を検出可能とされるように、常時電源が入っている必要がある。薬剤送達デバイスは、例えば数月や1年のような長期間に亘って保管される場合があるので、利用者の手元に届く前に、電力消費が著しく、ひいては、より強力で高コストのバッテリーが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2002/096543号明細書
【文献】米国特許出願公開第2002/096543号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解消させた、消費電力が低く信頼性が高いキャップ組立体、より具体的には使い捨ての薬剤送達装置のためのキャップ組立体を提供することである。
【0008】
本明細書では、“遠位(distal)”との用語が使用される場合には、“遠位(distal)”は、用量送達部位から離隔するように向いている方向を指している。“遠位部/端(distal part/end)”との用語が使用される場合には、“遠位部/端(distal part/end)”は、薬剤送達装置の利用の際に用量送達部位から最も離隔して配置されている、薬剤送達装置の部分/端又は薬剤送達装置の部材の部分/端を指している。対応して、“近位(proximal)”との用語が使用される場合には、“近位(proximal)”は、用量送達部位を向いている方向を指している。“近位部/端(proximal part/end)”との用語が使用される場合には、“近位部/端(proximal part/end)”は、薬剤送達装置の利用の際に用量送達部位に最も近く配置されている、薬剤送達装置の部分/端又は薬剤送達装置の部材の部分/端を指している。
【0009】
さらに、“長手方向(longitudinal)”、“長手方向に(longitudinal)”、“軸線方向に(axially)”、又は“軸線方向(axial)”との用語は、近位端から遠位端に延在している方向であって、装置及び/又は構成部品の最大長さの方向において装置又は構成部品に沿った方向を指している。
【0010】
同様に、“横方向(traverse)”、“横方向(transversal)”、“横方向に(transversally)”は、長手方向に対して略垂直とされる方向を指している。
【0011】
本発明の目的は、キャップ組み立てたいが薬剤送達装置から取り外された場合に限り作動する電子部品を備えた薬剤送達装置のための簡便で高い信頼性を有する組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一の実施態様によれば、当該目的は、請求項1に記載の堅牢で信頼性の高いキャップ組立体によって達成される。
【0013】
従って、本発明は、薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けるように構成されているキャップ組立体であって、長手方向に延在しているキャップ本体であって、薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるように構成されているキャップ本体と、キャップ本体に関連する電子部品と、キャップ本体に関連する電源であって、電子部品に給電するように構成されている電源と、キャップ本体に関連する弾性部材であって、電源と電子部品との電気的接続を確立するように構成されている弾性部材と、を備えているキャップ組立体において、キャップ本体が、可動部材を備えており、可動部材が、キャップ本体が薬剤送達装置に取り付けられている場合に、弾性部材が電源と電子部品との電気的接続を確立することを防止するように、弾性部材及び薬剤送達装置の構成要素と相互作用するように構成されていることを特徴とするキャップ組立体を提供する。
【0014】
一の実施例では、電子部品は、プロセッサを備えている。
【0015】
一の実施例では、電子部品は、メモリ、時計、通信ユニット、測定器及び/又はセンサを少なくとも備えている。
【0016】
一の実施例では、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、又は電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、又は例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)のようなフラッシュメモリとされる。
【0017】
一の実施例では、通信ユニットは、例えばRFID、NFC、赤外線、ZigBee、Bluetooth(登録商標)のような短距離通信ユニットとされる。
【0018】
一の実施例では、通信ユニットは、例えば3G、4G、CAT-M1、NB-IoT、LoRa、Sigfox、5G、GPRSのような長距離通信ユニットとされる。
【0019】
一の実施例では、通信ユニットは、無線通信又は有線通信を提供することができる。
【0020】
一の実施例では、測定器は、例えばスピーカやブザーのような音響測定器とされる。
【0021】
一の実施例では、測定器は、例えば電子インク方式ディスプレイ、LCDディスプレイやLED発光体のような視覚的測定器とされる。
【0022】
一の実施例では、測定器は、例えば振動計のような触覚測定器とされる。
【0023】
一の実施例では、センサは、例えば加速度計やジャイロスコープのような方位センサとされる。
【0024】
一の実施例では、センサは、例えば温度センサ、振動センサ、又は接触センサのような環境条件センサとされる。
【0025】
一の実施例では、電源は、コイン型電池又はコンデンサとされる。
【0026】
一の実施例では、電源は、1つの電池、又は、一方の電池の縁部が他方の電池の縁部と接触するように互いに積み重ねられているか又は隣接して配置されている少なくとも2つの電池の集合とされる。
【0027】
一の実施例では、電源は、充電式電池とされる。
【0028】
一の実施例では、電源は、太陽光発電電源、静電容量型電源、又は有機物を分解することによって電気を生成するバイオアクティブ電源とされる。
【0029】
一の実施例では、電源は、呼び掛け信号と薬剤送達装置(2;2′)からのキャップ組立体(10;10′)の取外操作との少なくとも1つからエネルギを得るように構成されているエネルギ取得器を含んでいる制御要素とされる。
【0030】
一の実施例では、エネルギ取得器は、付随する装置からエネルギを得るように構成されている。
【0031】
一の実施例では、エネルギ取得器は、電磁発電機に接続されている。
【0032】
一の実施例では、エネルギ取得器は、圧電材料要素に接続されている。
【0033】
一の実施例では、弾性部材は、バネアーム、圧縮バネ、及び/若しくは捩りバネ、又はこれらの組み合わせとされる。
【0034】
一の実施例では、弾性部材は、可撓性を有しているリボン、可撓性を有しているワイヤ、スポンジ、又はゴム状の桿体とされる。
【0035】
一の実施例では、弾性部材は、導電性材料から作られている。
【0036】
一の実施例では、弾性部材の外面は、導電性材料層で被覆されている。
【0037】
一の実施例では、弾性部材は、キャップ本体に一体化されているか又はキャップ本体に固定状態で接続されている固定端と、可動部材に解除可能に接続されている自由端とを備えている。
【0038】
一の実施例では、弾性部材は、キャップ組立体が薬剤送達装置に取り付けられている場合に張設構成で配置されており、キャップ組立体が薬剤送達装置から取り外されている場合に弛緩構成で配置されている。
【0039】
一の実施例では、弾性部材は、弾性部材の固定端において電子部品に固定状態で接続するように、且つ、弾性部材の自由端において電源に選択的に接続するように構成されている。
【0040】
一の実施例では、弾性部材は、弾性部材の固定端において電源に固定状態で接続するように、且つ、弾性部材の自由端において電子部品に選択的に接続するように構成されている。
【0041】
一の実施例では、可動部材は、キャップ組立体が薬剤送達装置に取り付けられている場合に、弾性部材と相互作用し、弾性部材を張設構成で保持するように構成されている。
【0042】
一の実施例では、可動部材は、径方向内方に突出している保持部材を備えており、保持部材は、弾性部材が電源と電子部品との電気的接続を確立することを防止するように構成されており、可撓性アームが、キャップ本体に対して径方向に移動可能とされる。
【0043】
一の実施例では、可撓性アームは、キャップ本体に対して長手方向に延在しており、保持部材は、可撓性アームの自由端に配置されている。
【0044】
一の実施例では、可撓性アームは、キャップ本体に対して横方向に延在しており、保持部材は、可撓性アームの自由端に配置されている。
【0045】
一の実施例では、キャップ組立体は、キャップ本体に関連する阻止部材をさらに備えており、阻止部材は、弾性部材が電源と電子部品との電気的接続を確立することを防止するように構成されている。
【0046】
一の実施例では、弾性部材は、キャップ本体と一体化されているか又は固定状態で接続されている固定端と、阻止部材に解除可能に接続されている自由端とを備えている。
【0047】
一の実施例では、可動部材は、キャップ本体に対して軸線方向に移動可能とされ、可動部材は、可動部材が薬剤送達装置の構成要素と相互作用する場合に、阻止部材と位置合わせされるように弾性部材を付勢するように構成されている。
【0048】
一の実施例では、阻止部材は、組立工程において薬剤送達装置がキャップ組立体に結合される前に、弾性部材の自由端を受容するように構成されている第1の受容部分を備えている。
【0049】
一の実施例では、阻止部材は、組立工程において薬剤送達装置がキャップ組立体に結合されると、弾性部材の自由端を受容するように構成されている第2の受容部分を備えている。
【0050】
一の実施例では、可動部材は、断熱性を有する弾性シートとされる。
【0051】
一の実施例では、可動部材は、キャップ組立体が薬剤送達装置に組み付けられると、薬剤送達装置の構成要素に固定状態で取り付けられる。
【0052】
一の実施例では、可動部材は、キャップ組立体が薬剤送達装置に組み付けられると、薬剤送達装置の構成要素に固定される。
【0053】
一の実施例では、弾性部材は、キャップ組立体が医薬送達装置から取り外されると、可動部材から不可逆的に結合解除されるように構成されている。
【0054】
一の実施例では、上述のキャップ組立体を含んでいる薬剤送達装置が設けられている。
【0055】
一の実施例では、薬剤送達装置は、注射装置、体内装置、吸入装置、鼻腔噴霧器、又は医療用噴霧器とされる。
【0056】
一の実施例では、薬剤送達装置は、利用者がアクセス可能とされる外側シェルを備えており、外側シェルは、可動部材と相互作用するように構成されている薬剤送達装置の構成要素とされる。
【0057】
一の実施例では、利用者がアクセス可能とされる外側シェルは、薬剤送達装置のハウジング又は吸入装置のマウスピースとされる。
【0058】
一の実施例では、軸線方向に移動可能とされる送達部材カバーを備えており、送達部材カバーは、薬剤送達装置は、可動部材と相互作用するように構成されている薬剤送達装置の構成要素とされる。
【0059】
一の実施例では、軸線方向に移動可能とされる送達部材カバーは、薬剤送達装置の薬物送達部材を覆うように構成されている。
【0060】
一の実施例では、薬剤送達装置は、作動要素を備えており、作動要素は、可動部材と相互作用するように構成されている薬剤送達装置の構成要素とされる。
【0061】
一の実施例では、作動要素は、薬剤送達装置の薬物送達操作を作動させるように構成されている。
【0062】
一の実施例では、作動要素は、作動ボタンとされる。
【0063】
一の実施例では、薬剤送達装置は、安全部材を備えており、安全部材は、可動部材と相互作用するように構成されている薬剤送達装置の構成要素とされる。
【0064】
一の実施例では、薬剤送達装置は、噴霧ノズルを含んでおり、噴霧ノズルは、可動部材と相互作用するように構成されている薬剤送達装置の構成要素とされる。
【0065】
他の実施態様、特徴、及び利点は、上記の発明の概要、並びに図面及び特許請求の範囲を含む以下の説明から明らかになる。
【0066】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書において明示的に他の意味で定義されていない限り、技術分野における一般的な意味に従って解釈されるべきである。要素、装置、構成要素、手段等への言及はすべて、明示的に別段の記載がない限り、当該要素、装置、構成要素、手段等の少なくとも1つの例を示す物として広義に解釈されるべきである。
【0067】
次に、本発明の技術的思想に基づく特定の実施例について、添付図面を参照しつつ、例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】薬剤送達装置の近位端に取り付けられているキャップ組立体を表わす。
図2図1に表わすキャップ組立体を表わす。
図3】薬剤送達装置の遠位端に取り付けられているキャップ組立体を表わす。
図4図3に表わすキャップ組立体のさらなる詳細図である。
図5】電源を具備するキャップ組立体のベースを表わす。
図6】電源及び電子部品を具備するキャップ組立体のベースを表わす。
図7A】キャップ組立体の第1の実施例におけるキャップ組立体の弾性部材を表わす。
図7B】キャップ組立体の第1の実施例におけるキャップ組立体の弾性部材を表わす。
図8】キャップ組立体の第1の実施例におけるキャップ組立体の可動部材を表わす。
図9】キャップ組立体の第1の実施例におけるキャップ組立体の阻止部材を表示する。
図10】キャップ組立体の第1の実施例におけるキャップ組立体の部品を表わす。
図11A】異なる段階におけるキャップ組立体の第1の実施例を表わす。
図11B】異なる段階におけるキャップ組立体の第1の実施例を表わす。
図11C】異なる段階におけるキャップ組立体の第1の実施例を表わす。
図12】キャップ組立体の第2の実施例におけるキャップ組立体の部品を表わす。
図13】キャップ組立体の第2の実施例において、電子部品と電源との間で利用される回路を表わす。
図14】キャップ組立体の第2実施形態における可動部材を表わす。
図15A】異なる段階におけるキャップ組立体の第2の実施例を表わす。
図15B】異なる段階におけるキャップ組立体の第2の実施例を表わす。
図16A】キャップ組立体の第2の実施例における代替的な構造を有する可動部材を表わす。
図16B】キャップ組立体の第2の実施例における代替的な構造を有する可動部材を表わす。
図17A図16Aに表わす可動部材の運動を表わす。
図17B図16Bに表わす可動部材の運動を表わす。
図18A】キャップ組立体が薬剤送達装置に取り付けられている場合における、キャップ組立体の第3の実施例の可動部材を表わす。
図18B】キャップ組立体が薬剤送達装置に取り付けられている場合における、キャップ組立体の第3の実施例の可動部材を表わす。
図19A】キャップ組立体が薬剤送達装置から取り外されている場合における、キャップ組立体の第3の実施例のキャップ組立体を表わす。
図19B】キャップ組立体が薬剤送達装置から取り外されている場合における、キャップ組立体の第3の実施例のキャップ組立体を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本出願は、薬剤送達装置のためのキャップ組立体に関し、例示的な実施例を表わす添付図面を参照しつつ、以下において、さらに詳細に説明するものである。しかしながら、キャップ組立体は、多くの異なる形態で実現可能であるので、本明細書に示す実施例に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これら実施例は、このような開示が徹底的且つ完全であるように例示的に提供されるにすぎず、当業者に本発明の概念の範囲を十分に理解させるものである。同種の参照符号は、本明細書全体を通じて同種の要素を指している。
【0070】
様々な実施例によると、薬剤送達装置は、ハウジングと、ハウジングの内部に少なくとも部分的に配置されている薬剤送達組立体と、ハウジングの内部に配置されている薬剤容器と、薬剤容器に接続されている又は接続可能とされる送達部材と、薬剤送達装置ハウジングの端部を少なくとも部分的に覆うように構成されているキャップ組立体とを備えている。薬剤送達装置は、ハウジングの内部に少なくとも部分的に配置されていると共に薬剤送達組立体に関連する送達部材カバーを備えている。送達部材カバーは、少なくとも2つの位置の間においてハウジングに対して移動可能とされる。
【0071】
図1は、取付可能とされるキャップ組立体(10)を具備する薬剤送達装置(2)を表わす。キャップ組立体(10)は、薬剤送達装置(2)の薬物送達部材、例えば針や噴霧ノズルを解除可能に覆うように構成されている。図2に表わすように、キャップ組立体(10)は、長手方向軸線(L)に沿って延在しているキャップ本体を備えている。キャップ本体は、近位本体部分(12)と遠位本体部分(11)とを備えている。好ましい実施例では、近位本体部分(12)は、キャップ組立体(10)が薬剤送達装置(2)に取り付けられた場合に薬剤送達装置(2)の外側に配置されるように構成されているので、利用者は、近位本体部分(12)の外面を把持して、キャップ組立体(10)を取り外すことができる。好ましくは、遠位本体部分(11)は、キャップ組立体(10)が薬剤送達装置(2)に取り付けられている場合に、薬剤送達装置(2)の内部に配置されている。好ましい実施例では、遠位本体部分(11)は、薬剤送達装置(2)の薬物送達部材を囲むように構成されている。また、遠位本体部分(11)は、例えば把持アームを有する送達部材シールド除去装置を備えているので、医薬送達部材が送達部材シールドによって覆われている場合には、遠位本体部分(11)によって、利用者は送達部材シールドを容易に除去することができる。
【0072】
図3図4は、取付可能とされるキャップ組立体(10′)を具備する薬剤送達装置(2′)を表わす。長手方向に延在しているキャップ組立体(10′)は、薬剤送達装置(2′)の遠位端に配置されており、例えば作動ボタンや安全ピンのような薬剤送達装置(2′)の構成要素(21′)を取り外し可能に覆うように構成されているので、例えばキャップ組立体(10′)を取り外す前に、薬剤送達装置(2′)の利用者が作動ボタン又は安全ピンにアクセスすることが防止される。キャップ組立体(10′)は、遠位本体部分(12′)と近位本体部分(11′)とを有しているキャップ本体を備えている。遠位本体部分(12′)は、利用者によってアクセスされるように構成されているので、利用者は、遠位本体部分(12′)を把持することによってキャップ組立体(10′)を取り外すことができる。好ましくは、近位本体部分(11′)は、薬剤送達装置(2′)の内部に配置されており、薬剤送達装置の構成要素(21′)を囲むように構成されている。
【0073】
さらに、キャップ組立体(10;10′)は、ベース(13)と、例えばコイン電池のような電源(15)と、好ましくはプリント回路基板(PCB)のような電子部品(14)と、導電性材料から構成されている弾性部材(18;18′;18″)と、可動部材(16;16′;16″)とを備えている。
【0074】
電源は、1つの電池を備えているものとして図示及び説明されているが、別の実施例では、一方の電池の縁部が他方の電池の縁部と接触するように積み重ねられた又は隣接して配置された少なくとも2つの電池が利用される場合もある。電池は、再充電可能なタイプとされる場合がある。他の実施例では、電源は、例えば太陽光発電電源、静電容量型電源、有機材料を分解することによって電気を生成するバイオアクティブ電源のような、他の供給源によって電子部品に提供される。
【0075】
幾つかの実施態様では、電源は、呼び掛け信号と薬剤送達装置(2;2′)からのキャップ組立体(10;10′)の取外操作とのうち少なくとも一方からエネルギを得るように構成されているエネルギ取得器(energy harvester)を含んでいる制御要素とされる。制御要素は、エネルギ取得器によって供給されるエネルギの電圧レベルを上昇させるように構成されているブーストコンバータを含んでいる。制御要素は、例えばμW~nWのIO電力範囲の超低電力プラットフォームチップとされる。例えば、キャップ組立体(10;10′)は、付随する装置からエネルギを獲得し、付随する装置にデータを送信するように構成されている。キャップ組立体(10;10′)は、付随する装置によって生成されたRF信号を捕捉し、これらRF信号を電気信号に変換するように構成されており、これにより電気信号が昇圧され、キャップ組立体の1つ又は複数の構成要素に電気エネルギが供給される。次に、キャップ組立体(10;10′)は、例えばキャップ組立体(10;10′)を薬剤送達装置(2;2′)から除去したことについての日付及び時刻のようなデータを付随する装置に送信することができる。付随する装置は、携帯電話/スマートフォン、コンピュータ、ネットワーク機器若しくは同様の物、又はこれらの組み合わせとされる。別の実施例では、エネルギ取得器は、電磁発電機、例えばコイルに接続されている。さらに、薬剤送達装置(21;21′;21″)の構成要素は、磁石と共に配置されている場合があり、この場合には、磁石は、キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)に取り付けられている場合に、電磁発電機の周囲領域に配置されている。薬剤送達装置(2;2′)からのキャップ組立体(10;10′)の取外操作によって、磁石が移動されるので、電磁発電機において磁束が変化し、その結果として電気エネルギが、ファラデーの法則に基づいて電磁発電機に誘導される。代替的な実施例では、キャップ組立体(10;10′)は、エネルギ取得器に接続されている圧電材料要素をさらに備えている場合があり、この場合には、圧電材料要素は、薬剤送達装置(2;2′)からのキャップ組立体(10;10′)の取外操作によって変形するように配置されている。
【0076】
図5図6に表わすように、ベース(13)は、電源(15)及び電子部品(14)を支持するように構成されている。ベース(13)は、キャップ組立体(10;10′)の本体部分(12;12′)と一体化されているか、又はキャップ組立体(10;10′)の本体部分(12;12′)に取付可能とされる。
【0077】
電子部品(14)は、少なくとも2つの電極を備えており、電源(15)に接続し、閉ループ回路を形成するように構成されている。電子部品(14)は、一方の電極を介して電源(15)と永続的に接触するように構成されており、他方の電極は、初期状態において、電源(15)と接触しない状態を維持している。一方の電極が電源(15)と接触していないので、電子部品(14)と電源(15)とは電気的に接続されていない。
【0078】
図7A図7Bに表わす弾性部材(18)は、圧縮部分(18a)と捩り部分(18b)とを備えている。圧縮部分(18a)は、キャップ本体(10、10′)に対して軸線(L)に沿って軸線方向に移動/圧縮するように構成されており、捩り部分(18b)は、軸線(L)に対して横方向に移動するように構成されている。捩り部分(18b)は、自由端(18c)を備えている。圧縮部分(18a)は、ベース(13)に配置されており、電子部品(14)の一方の電極と接触しているので、圧縮部分(18a)は、弾性部材(18)の固定端であり、捩り部分(18b)は、弾性部材(18)の自由端である。
【0079】
可動部材(16)は、弾性部材(18)の圧縮部分(18a)と共に、第1の端部(16a)に配置されており、第2の端部(16b)において薬剤送達装置(2;2′)の構成要素(21;21′;21″)と相互作用するよう構成されており、キャップ本体(10;10′)に対して軸線(L)に沿って軸線方向に移動するように構成されている。
【0080】
可動部材(16)と相互作用する薬剤送達装置(2;2′)の構成要素(21;21′;21″)は、軸線方向において遠位に向かう付勢力に抗して弾性部材(18)の圧縮部分(18a)から可動部材(16)が軸線方向に移動することを阻止することができる構成要素である。薬剤送達装置の構成要素は、例えば、利用者がアクセス可能な外側シェル、送達部材カバー、噴霧ノズル、マウスピース、又は薬剤送達装置の安全ピン若しくは作動ボタンとされる。
【0081】
当該実施例では、キャップ組立体(10;10′)は、図9に表わすように、捩り部分(18b)の自由端(18c)と相互作用するように構成されている阻止部材(17)をさらに備えている。阻止部材(17)は、第1の受容部分(17a)と第2の受容部分(17b)とを備えており、第1の受容部分(17a)と第2の受容部分(17b)とは両方とも、異なる段階ではあるが、捩り部分(18b)の自由端(18c)を受容するように構成されている。
【0082】
弾性部材(18)の捩り部分(18b)が、第1の受容部分(17a)又は第2の受容部分(17b)に受容された場合には、弾性部材(18)の捩り部分(18b)には張力が作用し、付勢力が蓄積される。第2の受容部分(17b)は、弾性部材(18)の捩り部分(18b)に蓄積された付勢力の経路に沿って、第1の受容部分(17a)に対してオフセットされている。キャップ組立体(10;10′)が依然として薬剤送達装置(2;2′)に取り付けられていない場合には、捩り部分(18b)の自由端(18c)は、組立工程の際に、第1の受容部分(17a)に受容されるように構成されている。キャップ組立体を薬剤送達装置(2;2′)に取り付けると、薬剤送達装置(2;2′)の構成要素(21;21′)が、弾性部材(18)の圧縮部分(18a)を押圧するように可動部材(16)を押圧するので、捩り部分(18b)の自由端(18c)が、圧縮部分(18a)と共に軸線方向に移動し、阻止部材(17)の第2の受容部分(17b)と位置合わせされる。自由端(18c)が第1の受容部分(17a)から脱離するように移動されると、自由端(18c)は、軸線(L)に対して横方向に移動開始し、最終的には、捩り部分(18b)の自由端(18c)が阻止され、第2の受容部分(17b)に受容される。利用者が薬剤送達装置(2;2′)からキャップ組立体(10;10′)を取り外すと、弾性部材(18)の圧縮部分(18a)は、軸線(L)に対して軸線方向に伸張することが可能となり、これにより自由端(18c)は、第2の受容部分(17b)から脱離するように移動する。第1の受容部分(17a)と第2の受容部分(17b)が、互いに対してオフセットされるので、自由端(18c)は、阻止部材(18)のいかなる部分によっても阻止されなくなり、軸線(L)に対する横方向に自在に移動可能となる。
【0083】
図10に表わすように、電子部品(14)は、一方の電極を介して電源(15)に接続されており、他方の電極を介して弾性部材(18)に接続されている。従って、弾性部材(18)の捩り部分(18b)の自由端(18c)が軸線(L)に対して横方向に自在に移動し、電源(15)と接触した場合に限り、当該接触によって、電子部品(14)と電源(15)との電気的接続が確立される。
【0084】
図11A図11Cは、様々な段階における上述の実施例を表わす。図11Aは、キャップ組立体(10;10′)が依然として薬剤送達装置(2;2′)から取り外されている組立工程段階を表わす。当該段階では、弾性部材(18)の圧縮部分が弛緩されて、弾性部材(18)の捩り部分(18b)の自由端(18c)が阻止部材(17)の第1の受容部分(17a)に受容されており、自由端(18c)には張力が作用している。図11Bは、キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)に装着されている状態を表わす。当該段階では、弾性部材(18)の圧縮部分(18a)は圧縮されており、弾性部材(18)の捩り部分(18b)の自由端(18c)は阻止部材(17)の第2の受容部分(17b)に受容されており、自由端(18c)には依然として張力が作用している。図11Cは、薬剤送達装置(2;2′)の利用者が薬剤送達装置(2;2′)からキャップ組立体(10;10′)を取り外した段階を表わす。当該段階では、弾性部材(18)の圧縮部分(18a)は再び弛緩されて、弾性部材(18)の捩り部分(18b)が第2の受容部分(17b)から強制的に脱離される。第1の受容部分(17a)と第2の受容部分(17b)とのオフセットに起因して、捩り部分(18b)の自由端は、阻止部材(17)のいかなる部分によっても阻止されない。弾性部材(18)の捩り部分(18b)に蓄積された引張力によって自由端(18c)が移動されると、自由端は電源(15)と接触し、電源(15)と電子部品(14)との電気的接続が確立される。
【0085】
図12は、他の実施例を表わす。ベース(13)及び電源(15)の配置は、上述の実施例と同一である。当該実施例における電子部品(14)は、第1の電極(14a)と第2の電極(14b)とを備えている。電源(15)と電子部品(14)との電気的接続は、図13に表わすように、第1の電極(14a)と第2の電極(14b)との接続を介して確立される。
【0086】
当該実施例における可動部材(16′)は、図14に表わすように、図2に表わすキャップ本体の遠位本体部(11)に配置されている。さらに、可動部材は、図4に表わすキャップ本体(10)の近位側本体部(11′)に配置されている。
【0087】
可動部材(16′)は、長手方向軸線(L)に沿って長手方向に延在している一対の可撓性アームを備えており、可撓性アームそれぞれが、は固定端と自由端とを有している。固定端は、キャップ本体と一体化されているか、又はキャップ本体に固定状態で配置されている。可撓性アームそれぞれが、当該可撓性アームの自由端において、径方向内方に突出している保持部材(16′a)を備えている。好ましい実施例では、径方向内方に突出している保持部材(16′a)は楔状とされる。可撓性アームの自由端は、キャップ本体の長手方向軸線(L)に対して径方向外方に撓むように構成されている。
【0088】
可撓性アームは、薬剤送達装置(2;2′)の構成要素(21;21′;21″)と相互作用するように構成されている。薬剤送達装置(2;2′)の構成要素(21;21′;21″)は、キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)に取り付けられている場合に径方向外方への可撓性アームの自由端の移動が制限されるように、可撓性アーム(16;16′)の外面を囲むように構成されている。自由端は、第1の電極及び第2の電極に対して所定の距離で離隔して配置されている。
【0089】
当該実施例では、弾性部材(18′)は、好ましくは圧縮バネとされ、長手方向軸線(L)に沿って軸線方向に移動するように構成されている。キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)に取り付けられると、弾性部材(18′)は圧縮され、キャップ本体の内面に形成された隆起部と保持部材(16′a)との間に配置される。
【0090】
図15Aに表わすように、利用者が薬剤送達装置(2;2′)からキャップ組立体(10;10′)を取り外す前では、薬剤送達装置の構成要素(21)は可動部材(16′)と相互作用し、可動部材(16′)の自由端が径方向外方に撓むことを防止するので、弾性部材(18′)が圧縮される。図15Bに表わすように、薬剤送達装置(2;2′)の利用者がキャップ組立体(10;10′)を薬剤送達装置(2;2′)から取り外すと、薬剤送達装置(2;2′)の構成要素(21)が、可動部材(16′)と相互作用しなくなるので、可動部材の自由端は径方向外方に移動可能となり、これにより弾性部材(18′)が保持部材(16′a)を越えて軸線方向に移動し、第1の電極(14a)及び第2の電極(14b)と接触するので、電子部品(14)と電源(15)との電気的接続が確立される。
【0091】
当該実施例では、可動部材(16″)は、図16A及び図16Bに表わす構造に変更されている場合があり、この場合には、可動部材(16″)が長手方向軸線(L)に対して横方向に延在している。可動部材(16″)は、可撓性アームを備えており、可撓性アームは、キャップ本体と一体化されているか又はキャップ本体に固定されている固定端と、自由端とを有している。自由端は、径方向内方に突出している保持部材(16″a)を備えており、好ましくは、楔状の縁部を具備する隆起部とされる。
【0092】
図17A及び図17Bに表わすように、薬剤送達装置(2;2′)の構成要素(21)は、キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)に取り付けられている場合に、可動部材(16″)と相互作用するように構成されている。弾性部材(18′)は、キャップ本体の隆起部と径方向内方に突出している保持部材(16″a)との間に圧縮構成で配置されている。キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)から取り外されている場合には、可撓性アーム(16″)は、弾性部材(18′)の付勢力の作用下において径方向外方に移動可能とされる。従って、弾性部材(18′)によって、上述のように、電子部品と電源(15)との電気的接続が確立される。
【0093】
図18A及び図18B並びに図19A及び図19Bは、さらなる実施形態を表わす。当該実施例では、電源(15)及び電子部品(14)は、上述の実施例と同一である。電子部品(14)は、初期状態において、一方の電極のみを介して電源(15)に接続されており、電源(15)と電子部品(14)との電気的接続は、電子部品(14)及び電源(15)の両方の他方の電極に接続されている弾性部材(18″)を介して確立される必要がある。
【0094】
図18A及び図18Bに表わすように、キャップ組立体(10;10′)は、可動部材(16″)と弾性部材(18″)とを備えている。可動部材(16″)は、保持部材(16″a)及び伸長部材(16″b)を有している弾性断熱シートとされる。弾性部材(18″)は、キャップ本体に固定される固定端と、キャップ本体に対して径方向に移動可能とされる自由端とを備えている。組立工程の際には、弾性部材(18″)の自由端には、張力が作用し、好ましくは、当該自由端は径方向内方に撓む。可動部材(16″)の保持部材(16″a)は、弾性部材(18″)の自由端が径方向外方に移動することが防止されるように、弾性部材(18″)の自由端に隣接して配置されている。
【0095】
キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2)に取り付けられている場合に、可動部材(16″)の伸長部材(16″b)が、好ましくは接着機能によって薬剤送達装置(2)の部品(21″)に、固定されるよう構成されている。
【0096】
好ましい実施例では、弾性部材(18″)の固定端も、電源(15)に接続されている。可動部材(16″)の保持部材(16″a)が、弾性部材(18″)の自由端を電子部品(14)の電極から絶縁するので、電子部品(14)と電源(15)との電気的接続が防止される。
【0097】
図19A及び図19Bに表わすように、可動部材(16″)の伸張部材(16″b)は薬剤送達装置(2)の構成要素(21″)に固定されているので、キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2)から取り外されると、可動部材(16″)も薬剤送達装置(2)と共に移動される。これにより、可動部材(16″)の保持部材(16″a)は、弾性部材(18″)の自由端から取り外される。そして、弾性部材(18″)の自由端は、弾性部材(18″)の復元力の作用下において径方向外方に撓み、電子部品(14)の電極と接触するので、電子部品(14)と電源(15)との電気的接続が確立される。
【0098】
すべての実施例において、キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)から取り外された後に、弾性部材(18;18′;18″)は、その張設構成/圧縮構成から緩和構成に移行可能となり、製造ツールを用いずに張設構成/圧縮構成に復帰させることはできない。従って、弾性部材(18;18′;18″)は、可動部材(16;16′;16″)の移動によって有効な影響を受けないので、電子部品(14)及び/又は電源(15)と相互作用しなくなる。これにより、弾性部材(18;18′;18″)及び可動部材(16;16′;16″)は、互いから不可逆的に結合解除される。
【0099】
キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)から取り外された後には、これにより弾性部材(18;18′;18″)は可動部材(16;16′;16″)から不可逆的に結合解除されるので、電子部品(14)と電源(15)との電気的接続は、キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)に再度取り付けられても損なわれない。
【0100】
電子部品(14)と電源(15)との電気的接続は、キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)から取り外された場合に限り確立されるので、薬剤送達装置(2;2′)の保管段階又は出荷段階の際には、電力は消費されない。
【0101】
キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)から取り外された後に、電子部品(14)と電源(15)との電気的接続が確立される。電子部品(14)は、例えば、キャップを取り外したというイベントを電子部品(14)のメモリに記録する機能、キャップが取り外されていることを薬剤送達装置(2;2′)の利用者に提示する機能、キャップが取り外されていることを示す信号を付随する装置、クラウド、リモートコンピューティング装置、又はこれらの組み合わせに送信する機能、環境条件を感知する機能、外部コンピューティング装置と通信する機能のうち少なくとも1つの機能又はこれら機能の組み合わせを実行するように構成されている。
【0102】
電子部品(14)と電源(15)との間の電気的接続は、キャップ組立体(10;10′)が薬剤送達装置(2;2′)に再度取り付けられた場合であっても損なわれないので、装置は、キャップ組立体(10;10′)の取り外しが以前に発生したか否かを電子部品(14)が利用者に提示するように、薬剤送達装置(2;2′)の改竄防止の証拠としても機能する。
【0103】
本発明の技術的思想について、主に幾つかの例を参照しつつ説明した。しかしながら、当業者であれば容易に理解可能なように、特許請求の範囲に定義される本発明の技術的思想の範囲内であれば、上述の実施例以外の実施例であっても同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0104】
2;2′ 薬剤送達装置
10;10′ キャップ組立体
14 電子部品
15 電源
16;16′、16″ 可動部材(可撓性アーム)
16′a;16″a 保持部材
17 阻止部材
17a 第1の受容部分
17b 第2の受容部分
18;18′;18″ 弾性部材
18a 固定端
18c 自由端
21;21′;21″ 構成要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B