(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20231205BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231205BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20231205BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20231205BHJP
H01L 23/40 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H05K7/14 G
H05K7/20 B
H01L25/04 C
H01L23/40 A
(21)【出願番号】P 2022524430
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2021018318
(87)【国際公開番号】W WO2021235329
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2020088123
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】黒木 渉
(72)【発明者】
【氏名】堀越 眞一
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3098236(JP,U)
【文献】特開2000-22370(JP,A)
【文献】実開昭52-9360(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 7/20
H01L 25/07
H01L 23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基
板と、前記基板の一方の
面に固定された発熱部
品と、前記発熱部品の前記基板の反対
側に設けられ、前記発熱部品からの熱を放熱する放熱
器と、前記放熱器を前記基板に取り付けるためのステ
ーとを備える電子装
置であって、
前記ステーは、前記放熱器の前記基板側の
面または
該面以外の前記放熱器の側面
にネジによって固定され、かつ、前記基板に
半田接合され、
前記ステーと前記放熱器とを前記ネジで固定する際に発生する前記ステーと前記放熱器との回転を防止するために、前記ステ
ーは、前記放熱器と嵌合して接触して
いる、電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置であって、
前記ステーは、前記放熱器の前記基板側の面に前記ネジによって固定され、
前記基板には、前記ネジを操作する工具が挿通される貫通孔が形成されている、電子装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の電子装置であって、
前記放熱器は、
前記ステーと前記放熱器とを前記ネジで固定する際に発生する前記ステーと前記放熱器との回転を防止する嵌合
溝を有し、
前記
ステーが前記嵌合溝と嵌合する、電子装置。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の電子装置であって
、
前記ステーの一端部
が前記放熱器と嵌合して接触し、
前記ステーの他端
部が前記基板に
半田接合されている、電子装置。
【請求項5】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の電子装置であって
、
前記ステーの
延び方向の中央部分
が前記放熱器と嵌合して接触し、
前記ステーの
前記延び方向の両端
部が前記基板に
半田接合されている、電子装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記ステーと前記放熱器との回転を防止するために、前記
ステーおよび前記放熱器の一方には突出
部が設けられ、他方には凹
部が設けられ、
前記突出部と前記凹部とが嵌合する、電子装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の電子装置であって、
前記
ステーおよび前記放熱器の一方には、突出方向と直交する面の断面形状が多角形状または楕円形状の前記突出部が1つ設けられ、他方には凹み方向と直交する面の断面形状が多角形状または楕円形状の前記凹部が1つ設けられている、電子装置。
【請求項8】
請求項
6に記載の電子装置であって、
前記
ステーおよび前記放熱器の一方には、突出方向と直交する面の断面形状が円形状の前記突出部が複数設けられ、他方には凹み方向と直交する面の断面形状が円形状の前記凹部が複数設けられており、
複数の前記突出部と複数の前記凹部とが嵌合する、電子装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電子装置であって、
前記発熱部品は、前記放熱器に取り外し可能に固定されている、電子装置。
【請求項10】
基板と、前記基板の一方の面に固定された発熱部品と、前記発熱部品の前記基板の反対側に設けられ、前記発熱部品からの熱を放熱する放熱器と、前記放熱器を前記基板に取り付けるためのステーとを備える電子装置であって、
前記ステーは、前記放熱器の前記基板側の面または該面以外の前記放熱器の側面に締結部材によって固定され、かつ、前記基板に半田接合され、
前記ステーは、前記放熱器と嵌合して接触しており、
前記締結部材は、リベット、または、クリップである、電子装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電子装置であって、
前記放熱器は、前記ステーと前記放熱器との回転を防止する嵌合溝を有し、
前記ステーが前記嵌合溝と嵌合する、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と、基板に固定された発熱部品と、発熱部品の基板の反対側に設けられ、発熱部品からの熱を放熱する放熱器と、放熱器を基板に取り付けるためのステーとを備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワー素子等の発熱部品を基板に固定し、発熱部品からの熱を放熱する放熱器を発熱部品の基板の反対側に設けた電子装置では、放熱器がステーを介して基板に固定されている。この場合、発熱部品およびステーは、例えば、半田により基板に固定され、かつ、ネジによって放熱器に固定される。
【0003】
ここで、発熱部品を交換する際には、すべての半田を溶かした状態で、発熱部品およびステーから基板を取り外し、その後、ネジを緩めて放熱器から発熱部品を取り外す。そのため、交換作業が煩雑となる。このような交換作業に代えて、ネジを緩めて放熱器を発熱部品およびステーから取り外し、発熱部品の半田のみを溶かすことで、発熱部品を基板から取り外すことが考えられる。
【0004】
なお、特開2016-178132号公報には、ボルトによって放熱器が基板に固定される制御装置(電子装置)が開示されている。
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、ネジによってステーを放熱器に固定する場合、ネジを回す際に、ネジの締結箇所を中心にステーが回転する可能性がある。そのため、ステーの回転を防止するための治具が必要となる。
【0006】
また、ネジでステーを放熱器に固定した場合でも、半田等でステーを基板に固定する前に、運搬時の振動や衝撃等による力がステーに加わることで、ネジの締結箇所を中心にステーが回転する可能性がある。そのため、ステーが回転しないように、ステーの放熱器との接触部分を複数のネジで固定しておく必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、回転防止用の治具を用いることなく、ステーを放熱器に固定する際の回転を防止するとともに、ステーを放熱器に固定するためのネジ等の締結部材の個数を削減することができる電子装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の態様は、基板と、前記基板の一方の面に固定された発熱部品と、前記発熱部品の前記基板の反対側に設けられ、前記発熱部品からの熱を放熱する放熱器と、前記放熱器を前記基板に取り付けるためのステーとを備える電子装置である。この場合、前記ステーは、前記放熱器の前記基板側の面または前記放熱器の側面に固定され、かつ、前記基板に固定される。また、前記ステーの前記放熱器との接触部分は、前記放熱器と嵌合して接触している。また、前記電子装置は、前記接触部分を前記放熱器に対して取り外し可能に固定するための締結部材をさらに備える。
【0009】
本発明の態様によれば、ステーの放熱器との接触部分が放熱器と嵌合して接触するので、回転防止用の治具を用いることなく、ステーを放熱器に固定する際の回転を防止することができるとともに、ステーを放熱器に固定するためのネジ等の締結部材の個数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1の電子装置から基板を取り外した状態を示す底面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図5】
図4の電子装置から基板を取り外した状態を示す底面図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図9】第3変形例の電子装置において、基板を取り外した状態を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の電子装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0012】
[1.実施の形態]
図1は、実施の形態の電子装置10の側面図である。
【0013】
電子装置10は、基板12と、基板12の一方の面(上面12u)側に固定された発熱部品14と、発熱部品14の基板12の反対側(上面14u)に設けられ、発熱部品14からの熱を放熱する放熱器16と、放熱器16を基板12に取り付けるための複数のステー18とを備える。
【0014】
基板12は、例えば、プリント基板であり、電気絶縁材料からなる基板12の内部や、該基板12の一方の面(上面12u)および他方の面(底面12l)には、不図示の回路パターンが形成されている。また、基板12には、各種の端子等が挿通する複数の貫通孔20、22が上下方向に形成されている。さらに、基板12には、後述する複数本のネジ24、26の直下の箇所に、ドライバー等の工具を挿通可能な貫通孔28が上下方向に形成されている。
【0015】
発熱部品14は、例えば、インテリジェント・パワー・モジュール(IPM)や絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のようなパワー素子である。発熱部品14は、不図示の電源からの電力供給によって駆動した際に発熱する。また、発熱部品14の基板12側の底面14lには、ピン状の複数の端子30が設けられている。発熱部品14は、複数の端子30が複数の貫通孔20を挿通した状態で、複数の端子30と回路パターンとが半田で接合されることにより、基板12の上面12u側に固定される。また、発熱部品14は、2本のネジ24によって、放熱器16の基板12側の面(底面16b)に取り外し可能に、面接触で固定される。
【0016】
複数のステー18は、放熱器16の基板12側の面(底面16b)に固定され、かつ、基板12に固定されている。具体的に、複数のステー18は、略L字状の金属製の板状部材である。各ステー18の一端部18a(接触部分)は、それぞれ、放熱器16の底面16bに面接触した状態で、1本のネジ26によって放熱器16の底面16bに取り外し可能に固定されている。また、ステー18の他端部18bは、ピン状に形成され、貫通孔22を挿通した状態で、回路パターンと半田で接合されることにより、基板12に固定される。なお、
図1~
図3の実施の形態では、4個のステー18が設けられる場合を図示している。
【0017】
放熱器16は、例えば、ヒートシンクであって、基板12側の平板状のベース32と、ベース32の基板12との反対側に設けられ、基板12から離間するように上方に向かって延びる複数のフィン34とから構成される。なお、以下の説明では、「放熱器16の底面16b」を「ベース32の底面16b」と呼称する場合がある。
【0018】
ベース32の底面16bには、2つの嵌合溝36が形成されている。2つの嵌合溝36には、4個のステー18の一端部18aが嵌合している。すなわち、2つの嵌合溝36は、4個のステー18の一端部18aが嵌合可能な程度の幅および深さに形成されている。したがって、4個のステー18は、一端部18aが嵌合溝36に嵌合することにより、該一端部18aが嵌合溝36の幅方向に大まかに位置決めされた状態でベース32の底面16bに面接触する(
図2および
図3参照)。この状態で、4個のステー18の一端部18aは、それぞれ、1本のネジ26によって、嵌合溝36内に固定される。
【0019】
このように構成される電子装置10を組み立てる場合、まず、嵌合溝36にステー18の一端部18aを嵌め込み、ステー18の一端部18aと嵌合溝36とを面接触させる。これにより、ステー18の一端部18aは、嵌合溝36の幅方向に大まかに位置決めされる。
【0020】
次に、1本のネジ26によって、ステー18の一端部18aを放熱器16(ベース32)の底面16bの所定位置に固定する。この場合、ステー18の一端部18aが嵌合溝36の幅方向に位置決めされている。そのため、ネジ26を回して、ベース32の底面16b側に形成されたネジ孔38に螺合させた場合、ネジ26の締結箇所を中心に、ステー18が所定角度(一端部18aと嵌合溝36との成す角度)以上回転することを規制することができる。
【0021】
なお、前述のように、電子装置10は、4個のステー18を備える。そのため、残りの3個のステー18に対しても、同様の作業を行う。
【0022】
次に、2本のネジ24をベース32の底面16b側の中央部に形成された2つのネジ孔39に螺合させることで、発熱部品14をベース32の底面16bに固定する。次に、基板12の複数の貫通孔20、22に、発熱部品14の複数の端子30と4個のステー18の他端部18bとを挿通させる。その後、複数の端子30および各ステー18の他端部18bと、基板12の回路パターンとを半田で接合する。これにより、発熱部品14および各ステー18の他端部18bが基板12に固定される。
【0023】
一方、発熱部品14を交換する際には、次のような作業を行う。まず、複数の貫通孔28にドライバー等の工具を挿通させ、該工具を用いて複数のネジ24、26を緩める。これにより、複数のネジ24、26が放熱器16から取り外され、4個のステー18および発熱部品14と、放熱器16とを上下方向に離間させることができる。次に、発熱部品14の複数の端子30と回路パターンとを接合している半田のみ溶かすことで、基板12から発熱部品14を取り外す。これにより、該発熱部品14を交換することができる。
【0024】
図4は、比較例の電子装置40の側面図であり、
図5は、該電子装置40から基板12を取り外した状態を示す底面図である。なお、
図4および
図5において、
図1~
図3の実施の形態の電子装置10と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて説明する。
【0025】
比較例の電子装置40では、ベース32の底面16bに嵌合溝36が形成されていない。したがって、4個のステー18は、それぞれ、2本のネジ26によって、ベース32の底面16bに固定されている。すなわち、比較例の電子装置40では、仮に1本のネジ26でステー18の一端部18aを放熱器16に固定し、該ステー18を基板12に固定する場合、運搬時の振動や衝撃等による力がステー18に加わることで、1本のネジ26の締結箇所を中心にステー18が回転する可能性がある。そこで、比較例では、ステー18が回転しないように、ステー18の一端部18aを2本のネジ26で固定している。これにより、ネジ26の本数が多くなり、電子装置40の組み立て作業や、発熱部品14の交換作業が煩雑となる。
【0026】
これに対して、実施の形態の電子装置10では、前述のように、ステー18の一端部18aを嵌合溝36に嵌合させ、ベース32の底面16bに面接触させた状態で、1本のネジ26によって、ステー18の一端部18aをベース32の底面16bに固定する。これにより、ステー18の一端部18aをベース32の底面16bに固定するためのネジ26の本数を削減することができる。
【0027】
また、ステー18の一端部18aが嵌合溝36に嵌合することで、ステー18の一端部18aが嵌合溝36の幅方向に位置決めされる。これにより、1本のネジ26によってステー18の一端部18aをベース32の底面16bに固定する際、ネジ26の締結箇所を中心としたステー18の回転を防止することができる。
【0028】
このように実施の形態の電子装置10では、電子装置10の組み立て作業や、発熱部品14の交換作業を容易に、かつ、効率よく行うことができる。また、回転防止用の治具を用いることなく、ステー18の一端部18aをベース32の底面16bに固定する際、ステー18の回転を防止することができる。
【0029】
[2.変形例]
次に、
図1~
図3の実施の形態の電子装置10の変形例(第1~第8変形例)について、
図6~
図15を参照しながら説明する。なお、第1~第8変形例において、実施の形態の電子装置10と同じ構成については、同じ参照符号を付け、詳細な説明を省略する。
【0030】
(2.1 第1変形例)
第1変形例の電子装置10Aは、
図6および
図7に示すように、ステー18の一端部18aを放熱器16に固定するネジ26の締結方向が、実施の形態の電子装置10(
図1~
図3参照)におけるネジ26の締結方向とは逆方向である点が異なる。この場合、嵌合溝36は、2つのフィン34の隙間42をベース32の底面16bに投影した箇所に設けられる。また、基板12には、該ネジ26に対応する貫通孔28は設けられていない。
【0031】
そして、第1変形例において、ステー18の一端部18aをベース32の底面16bに固定する場合、まず、嵌合溝36にステー18の一端部18aを嵌め込む。これにより、ステー18の一端部18aは、ベース32の底面16bに面接触した状態で、嵌合溝36の幅方向に位置決めされる。次に、隙間42を介してネジ26をネジ孔38に差し込み、ドライバー等の工具を用いてネジ26を回す。ネジ26は、ステー18の一端部18aの底面側に配置されたナット44と螺合する。これにより、ステー18の一端部18aがベース32の底面16bに固定される。
【0032】
このように、第1変形例の電子装置10Aは、実施の形態の電子装置10と比較して、ネジ26の締結方向が互いに逆方向である。そのため、実施の形態の電子装置10と同様の効果が得られる。
【0033】
(2.2 第2変形例)
第2変形例の電子装置10Bは、
図8に示すように、嵌合溝36が形成されていない。第2変形例では、ステー18の一端部18aのベース32側の面(上面)に突出部46が形成されている。また、ベース32の底面16bには、突出部46に対応して凹部48が設けられている。突出部46と凹部48とが嵌合することで、ベース32の底面16bにステー18の一端部18aが面接触する。この状態で、1本のネジ26を回すことにより、ステー18の一端部18aがベース32の底面16bに固定される。
【0034】
この場合、上方向が突出部46の突出方向で、かつ、突出方向と直交する突出部46の面(水平面)の断面形状が多角形状または楕円形状であれば、1個のステー18について、1つの突出部46が設けられる。一方、ベース32の底面16bには、凹み方向(上方向)と直交する面(水平面)の断面形状が多角形状または楕円形状の凹部48が1つ設けられる。これにより、突出部46と凹部48とが嵌合することで、ベース32の底面16bに対してステー18の一端部18aを面接触で位置決めすることができる。この結果、ネジ26でステー18の一端部18aをベース32の底面16bに固定する際、ネジ26を中心にステー18が回転することを効果的に防止することができる。
【0035】
また、突出方向と直交する面の断面形状が円形状である場合、1個のステー18について、複数の突出部46が設けられる。一方、ベース32の底面16bには、凹み方向と直交する面の断面形状が円形状の凹部48が複数設けられる。これにより、複数の突出部46と複数の凹部48とが嵌合することで、ベース32の底面16bに対してステー18の一端部18aを面接触で位置決めすることができる。この場合でも、ネジ26でステー18の一端部18aをベース32の底面16bに固定する際、ネジ26を中心にステー18が回転することを効果的に防止することができる。
【0036】
したがって、第2変形例でも、実施の形態の電子装置10と同様の効果が得られる。
【0037】
なお、第2変形例では、ベース32の底面16bに突出部46を設け、ステー18の一端部18aに凹部48を設けてもよい。この場合でも、上記の効果が得られる。ベース32の底面16bに突出部46を設ける場合、通常のダボ出し加工が難しいため、例えば、3Dプリンタを用いた金属積層造形技術を用いて突出部46を形成すればよい。
【0038】
(2.3 第3変形例)
第3変形例の電子装置10Cは、
図9に示すように、ステー18の中央部分18cが嵌合溝36に嵌め込まれ、ステー18の両端部18dが基板12に固定される点で、実施の形態の電子装置10(
図1~
図3参照)とは異なる。なお、両端部18dは、他端部18bのように基板12に固定される。
【0039】
この場合、1つの嵌合溝36に1個のステー18が嵌め込まれている。また、1個のステー18の中央部分18cが嵌合溝36に嵌合し、ベース32の底面16bに面接触している状態で、1本のネジ26によって、ステー18の中央部分18cがベース32の底面16bに固定される。
【0040】
第3変形例では、実施の形態、第1変形例および第2変形例(
図1~
図3および
図6~
図8参照)と比較して、ステー18の全長が長くなり、ステー18のコストが高くなる一方で、ネジ26の本数を削減することができる。なお、1個のステー18に用いられるネジ26の本数については、1本から2本に増やすことも可能である。
【0041】
(2.4 第4変形例)
第4変形例の電子装置10Dは、
図10に示すように、放熱器16に設けられたクリップ50(締結部材)でステー18の一端部18aを挟持することにより、ステー18の一端部18aを嵌合溝36に嵌め込んだ状態でベース32の底面16bに固定する。したがって、第4変形例は、実施の形態(
図1~
図3参照)および第1~第3変形例(
図6~
図9参照)とは異なり、ステー18の一端部18aをベース32の底面16bに固定するためのネジ26は設けられていない。
【0042】
この場合、各嵌合溝36の両端部がより深い収容溝52として形成され、2つの収容溝52に2つのクリップ50が配置されている。2つのクリップ50は、ステー18の一端部18aを挟み込む爪状の挟持部50aが互いに向かい合うように配置されている。
【0043】
ここで、2つのステー18の一端部18aを嵌合溝36の中央部分に嵌め込むと、ステー18の一端部18aと嵌合溝36とが嵌合し、ステー18の一端部18aが嵌合溝36の幅方向に位置決めされる。この状態で、2つのステー18の一端部18aを嵌合溝36の両端部に向かってスライドさせると、ステー18の一端部18aがクリップ50の挟持部50aに挿入され、弾性力で挟持される。この結果、2つのステー18の一端部18aは、ベース32の底面16bに固定される。
【0044】
このように、第4変形例の電子装置10Dでは、回転防止用の治具や、ステー18の一端部18aを固定するためのネジ26を不要にすることができる。また、クリップ50の弾性力でステー18の一端部18aを挟持するので、ステー18の他端部18bを基板12に固定する際、ステー18の回転を効果的に防止することができる。
【0045】
なお、クリップ50は、
図10の形状に限定されることはない。弾性力によってステー18の一端部18aを挟持可能であれば、どのような構造のクリップ50であってもよい。例えば、
図10に示す断面U字状のクリップ50に代えて、断面Ω形状のクリップ50を採用してもよい。
【0046】
(2.5 第5変形例)
第5変形例の電子装置10Eは、
図11および
図12に示すように、放熱器16の側面16sに上下方向に沿って嵌合溝36が形成され、該嵌合溝36にステー18の一端部18aが嵌合する。この場合、ステー18は、他端部18bから上方に延び、L字に屈曲して上方にさらに延びている。ステー18の一端部18aと他端部18bとを連結する屈曲部分18eは、ベース32の底面16bに面接触している。また、第4変形例(
図10参照)と同様に、嵌合溝36に嵌め込まれたステー18の一端部18aは、嵌合溝36の上側に設けられたクリップ50に挟持されている。
【0047】
図12に示すように、クリップ50は、ステー18の一端部18aと、嵌合溝36が形成されるフィン34とを挟み込む。すなわち、ステー18の一端部18aを嵌合溝36の下端部に嵌め込んだ状態で、嵌合溝36の上端部に向かってスライドさせると、ステー18の一端部18aがクリップ50の挟持部50aに挿入される。クリップ50は、弾性力でステー18の一端部18aと、嵌合溝36が形成されるフィン34とを挟持し、ステー18の一端部18aを嵌合溝36に固定する。
【0048】
第5変形例の電子装置10Eでも、第4変形例と同様の効果が得られる。なお、
図11および
図12では、放熱器16を支持するため、ステー18に屈曲部分18eを設けているが、上下方向にストレートに延びるステー18を用いた場合でも、上記の効果が得られる。
【0049】
(2.6 第6変形例)
第6変形例の電子装置10Fは、
図13に示すように、放熱器16の側面16sに水平方向に沿って嵌合溝36が形成され、該嵌合溝36にステー18の一端部18aが嵌合される。この場合も、ステー18の一端部18aを嵌合溝36に嵌め込み、放熱器16の側面16sに面接触させた状態で、ネジ26でステー18の一端部18aを放熱器16の側面16sに固定することができる。したがって、第6変形例でも、実施の形態と同様の効果が得られる。
【0050】
(2.7 第7変形例)
第7変形例の電子装置10Gは、
図14に示すように、放熱器16の側面16sに水平方向に沿って嵌合溝36が形成され、該嵌合溝36の両端部にクリップ50がそれぞれ配置されている。この場合も、第4および第5変形例(
図10~
図12参照)と同様に、ステー18の一端部18aを嵌合溝36に嵌め込み、放熱器16の側面16sに面接触させた状態で、クリップ50によってステー18の一端部18aを放熱器16の側面16sに固定することができる。したがって、第7変形例でも、第4および第5変形例と同様の効果が得られる。
【0051】
(2.8 第8変形例)
第8変形例の電子装置10Hは、
図15に示すように、放熱器16の側面16sに水平方向に沿って嵌合溝36が形成され、ステー18の中央部分18cが嵌合溝36に嵌め込まれている。この場合も、第3変形例(
図9参照)と同様に、ステー18の中央部分18cを嵌合溝36に嵌め込み、放熱器16の側面16sに面接触させた状態で、ネジ26によってステー18の中央部分18cを放熱器16の側面16sに固定することができる。したがって、第8変形例でも、第3変形例と同様の効果が得られる。
【0052】
(その他の変形例)
上記の実施の形態および第1~第8変形例では、ステー18を放熱器16に固定する締結部材として、ネジ26またはクリップ50を用いた場合について説明した。ネジ26またはクリップ50に代えて、リベットを用いてステー18を放熱器16に固定することも可能である。
【0053】
また、クリップ50についても、耐振動性を高めるため、人手では容易に外すことができず、工具によってのみ外すことが可能な弾性力を有するクリップ50であればよい。さらに、クリップ50およびリベットの材質についても、金属製または樹脂製であればよい。例えば、スクリベット、トリムクリップ、プッシュターンリベット、プラスティリベット、カヌークリップ、アンカークリップのような各種のクリップやリベットを、放熱器16にステー18を固定するための締結部材として好適に採用することができる。
【0054】
さらに、基板12に対するステー18の固定部分についても、半田による接合に代えて、上記の各種のリベットやクリップを用いて基板12に固定してもよい。
【0055】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0056】
基板(12)と、基板(12)の一方の面(12u)に固定された発熱部品(14)と、発熱部品(14)の基板(12)の反対側(14u)に設けられ、発熱部品(14)からの熱を放熱する放熱器(16)と、放熱器(16)を基板(12)に取り付けるためのステー(18)とを備える電子装置(10、10A~10H)であって、ステー(18)は、放熱器(16)の基板(12)側の面(16b)または放熱器(16)の側面(16s)に固定され、かつ、基板(12)に固定され、ステー(18)の放熱器(16)との接触部分(18a、18c)は、放熱器(16)と嵌合して接触しており、接触部分(18a、18c)を放熱器(16)に対して取り外し可能に固定するための締結部材(26、50)をさらに備える。
【0057】
このように、ステー(18)の放熱器(16)との接触部分(18a、18c)が放熱器(16)と嵌合して接触するので、回転防止用の治具を用いることなく、ステー(18)を放熱器(16)に固定する際の回転を防止することができるとともに、ステー(18)を放熱器(16)に固定するためのネジ等の締結部材(26、50)の個数を削減することができる。
【0058】
放熱器(16)は、嵌合溝(36)を有し、接触部分(18a、18c)が嵌合溝(36)と嵌合する。これにより、接触部分(18a、18c)と放熱器(16)とを容易に嵌合して接触させることができる。
【0059】
接触部分(18a)は、ステー(18)の一端部(18a)であり、ステー(18)の他端部(18b)が基板(12)に固定されている。これにより、ステー(18)を介して、放熱器(16)を基板(12)に容易に支持させることができる。
【0060】
接触部分(18c)は、ステー(18)の中央部分(18c)であり、ステー(18)の両端部(18d)が基板(12)に固定されている。ステー(18)が長くなるため、ステー(18)のコストが高くなるが、ステー(18)を嵌合溝(36)に確実に嵌合させることができる。
【0061】
接触部分(18a、18c)および放熱器(16)の一方には突出部(46)が設けられ、他方には凹部(48)が設けられ、突出部(46)と凹部(48)とが嵌合する。この場合でも、突出部(46)と凹部(48)とが嵌合することで、回転防止用の治具が不要になるとともに、ステー(18)を放熱器(16)に固定するためのネジ等の締結部材(26、50)の個数を削減することができる。
【0062】
接触部分(18a、18c)および放熱器(16)の一方には、突出方向と直交する面の断面形状が多角形状または楕円形状の突出部(46)が1つ設けられ、他方には凹み方向と直交する面の断面形状が多角形状または楕円形状の凹部(48)が1つ設けられている。これにより、放熱器(16)に対してステー(18)の接触部分(18a、18c)を確実に位置決めしつつ、ステー(18)の回転を防止することができる。
【0063】
接触部分(18a、18c)および放熱器(16)の一方には、突出方向と直交する面の断面形状が円形状の突出部(46)が複数設けられ、他方には凹み方向と直交する面の断面形状が円形状の凹部(48)が複数設けられており、複数の突出部(46)と複数の凹部(48)とが嵌合する。この場合でも、放熱器(16)に対するステー(18)の接触部分(18a、18c)を確実に位置決めしつつ、ステー(18)の回転を防止することができる。
【0064】
締結部材(26、50)は、ネジ(26)、リベット、または、クリップ(50)である。これにより、低コストかつ簡易にステー(18)を放熱器(16)に固定することができる。
【0065】
発熱部品(14)は、放熱器(16)に取り外し可能に固定されている。これにより、放熱器(16)に対する発熱部品(14)の取り付けおよび取り外しを容易に行うことができる。
【0066】
発熱部品(14)は、基板(12)に半田で接合され、ステー(18)の基板(12)との固定部分(18b、18d)は、基板(12)に半田で接合されている。これにより、従来と同様の構成で発熱部品(14)やステー(18)を基板(12)に固定することができる。