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▶ コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】モジュール式に拡張可能な電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20231205BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231205BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20231205BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H05K9/00 R
H05K7/20 B
H05K5/00 A
H01L23/00 C
H01L23/46 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022532605
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 DE2020200098
(87)【国際公開番号】W WO2021115540
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】102019219478.8
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フォン・ライツェンシュタイン・フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】コップ・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルヴィカ・ハーシャ
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-131034(JP,A)
【文献】特開2014-013079(JP,A)
【文献】特開2002-198671(JP,A)
【文献】特開2019-009457(JP,A)
【文献】特開2013-051133(JP,A)
【文献】米国特許第05684340(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102010026953(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010035081(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 7/20
H05K 5/00
H01L 23/00
H01L 23/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式に拡張可能な電子制御ユニット(10)であって、
電子回路基板(12)であって、前記電子回路基板(12)の少なくとも一方の側で側縁部の領域に導体トラック(18、18’)が配設され、前記導体トラック(18、18’)は前記側の内側領域(14)を囲むとともに前記側の外側領域(16)から前記内側領域(14)を分離し、前記電子回路基板(12)を少なくとも1つの電子モジュール(22、22’)に電気的に接続するための少なくとも1つのモジュール接続ポート(20)が前記外側領域(16)に配設される、電子回路基板(12)と、
-前記電子回路基板(12)を受け入れるための2つのハウジング半体(24、26)を有するハウジングであって、少なくとも1つのハウジング半体(24、26)は、少なくとも部分的に導電性の周回するシールド壁(28、30)を有し、前記シールド壁(28、30)は、前記ハウジングの組立状態において、少なくとも部分的に、前記電子回路基板(12)の少なくとも一方の側に配設される前記導体トラック(18、18’)上にあり、かつ前記導体トラック(18、18’)と前記それぞれのハウジング半体(24、26)の前記シールド壁(28、30)との間に電気的接触を確立させる、ハウジングと、を有し、
-少なくとも1つのハウジング半体(26)は、前記電子モジュール(22、22’)が前記ハウジング半体(26)の外側に配設されることができるように、前記電子モジュール(22、22’)のための、前記組立状態において前記ハウジングの外側からアクセス可能である少なくとも1つのレセプタクル(32、32’)を有し、
-前記レセプタクル(32、32’)は、前記ハウジング半体(26)の外側の前記レセプタクル(32、32’)内に配置することができる前記電子モジュール(22、22’)が、前記電子回路基板(12)の前記外側領域(16)に配設される前記モジュール接続ポート(20)に電気的に接続されることができるように配設され、
-前記電子回路基板(12)は、前記モジュール接続ポート(20)と前記内側領域(14)上に配設される1つ以上の電子アセンブリとの間に電気的接続を有する
子制御ユニット(10)。
【請求項2】
前記レセプタクル(32、32’)、前記レセプタクル(32、32’)をハウジング内部から分離する、前記ハウジング半体(26)の壁の外側に形成され、前記ハウジング半体(26)の前記壁が前記電子モジュール(22、22’)と前記電子回路基板(12)との間の前記レセプタクル(32、32’)内に配設されることを特徴とする、請求項1記載の電子制御ユニット。
【請求項3】
前記電子モジュール(22、22’)は、前記電子モジュール(22、22’)の第1の部分が前記電子回路基板(12)の前記内側領域(14)を覆うように前記レセプタクル(32)内に配設され、前記ハウジング半体(26)の前記壁
は前記電子モジュール(22、22’)と前記電子回路基板(12)との間に位置し、前記電子モジュール(22、22’)の第2の部分は前記電子回路基板(12)の前記外側領域(16)の上方に配設され、前記モジュール接続ポート(20)によって前記電子回路基板(12)に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の電子制御ユニット。
【請求項4】
前記電子回路基板(12)は多層回路基板であり、前記モジュール接続ポート(20)と前記内側領域(14)上に配設される1つ又は複数の電子アセンブリとの間の電気的接続が、前記多層回路基板の1つ又は複数の内層において具現化されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項5】
前記電子回路基板(12)は、前記電子制御ユニットの標準機能を実装するよう構成され、前記モジュール接続ポート(20)は、前記モジュール接続ポート(20)に接続される電子モジュール(22、22’)によって、前電子制御ユニットの更なる機能を実装するよう構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項6】
前記電子制御ユニットは、前記モジュール接続ポート(20)に接続される電子モジュール(22、22’)が、前記電子制御ユニット(10)の前記ハウジングの前記ハウジング半体(24、26)を分解することなく交換することができるように構成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項7】
前記レセプタクル(32、32’)のうちの少なくとも1つは、冷却要素(23’’)を有する電子モジュール(22’)を収容するよう構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項8】
保護カバー(33、33’)が前記レセプタクル(32、32’)のために設けられ、前記保護カバー(33、33’)は、前記ハウジング半体(24、26)の一方に取り付けるために構成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項9】
前記ハウジング半体(24、26)の少なくとも1つは、前記電子回路基板(12)上に配設される少なくとも1つのアセンブリを冷却するための一体型ヒートシンク(35)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項10】
少なくとも1つのケーブル接続ポート(20’、20’’)が前記電子回路基板(12)の前記外側領域(16)に配設され、前記電子回路基板(12)は、前記ケーブル接続ポート(20’、20’’)と前記内側領域(14)に配設される1つ又は複数の電子アセンブリとの間に電気的接続を有し、少なくとも1つのハウジング半体(26)は、各ケーブル接続ポート(20’、20’’)に対して1つのレセプタクル(34、34’)を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項11】
前記少なくとも1つのケーブル接続ポート(20’、20’’)は、前記電子回路基板(12)の角部領域に配設され、特に、各ケーブル接続ポート(20’、20’’)は、各ケーブル接続ポート(20’、20’’)の挿入方向が横平面において前記電子回路基板(12)の側縁に対して略45°の角度を有するように、前記電子回路基板(12)の角部領域に配設されることを特徴とする、請求項10に記載の電子制御ユニット。
【請求項12】
電子モジュール(22)が前記ハウジングの前記外側のレセプタクルに装着されていない限り、前記レセプタクル(32)の内側に配設され、前記モジュール接続ポート(20)への開口部(37)を覆う保護カバー(36)が設けられることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電子制御ユニット(10)の機能を拡張するよう構成され電子モジュール(22)であって、前記電子モジュール(22)を前記電子制御ユニット(10)のハウジング半体(26)のレセプタクル(32)に配置する場合、コネクタ(25)を介して前記電子モジュール(22)と前記電子制御ユニット(10)の前記電子回路基板(12)とが電気的に接触する、電子モジュール(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車で用いるためのモジュール式拡張可能電子制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御ユニット(ECU)は、主に、様々な閉ループ及び開ループ制御タスクのために自動車工学において用いられ、一般的に、電子機器を保護するためのハウジングに収容される1つ又は複数の電子回路基板を有している。自動車において用いられる電子制御ユニットは、設置場所に応じて異なる環境の影響に対して設計されなければならない。例えば、内燃機関等の熱源の近くに位置する電子制御ユニットは、敏感な電子機器を過度の外部温度によって引き起こされる損傷から保護するために、広い温度範囲に対して設計されなければならない。湿気の影響が高い設置場所に配設される電子制御ユニットは、電子機器への湿気の進入に対応して封止されなければならない。特に埃及び他の汚染物質に対する保護も、例えば短絡及び火災を防止するよう、電子制御ユニットにとって重要である。その上、自動車における電子機器の密度の増加により、電子制御ユニットはまた、適切な電磁適合性(EMC)に対して設計されなければならない。自動車環境における電子制御ユニットに対するこれらの異なる要件を満たすために、電子制御ユニットのハウジングは、通常、収容される電子機器及び設置場所に対して特別に適合される。
【0003】
例えば、欧州特許出願公開第2594122A2号明細書は、自動車分野のための電子制御ユニットを示しており、そこでは、2つの金属ハウジング半体が、プリント回路基板の内側領域を両側で取り囲み、取り囲む金属トラック上に載置され、その結果、内部の敏感な電子機器が保護され、電気接触がハウジングの外側に配設される接続部によって行われている。しかし、モジュール式拡張性は提供されていない。
【0004】
追加のシステムにより電子制御ユニットを拡張するために、これらのシステムは、いわゆる基板対基板プラグコネクタによって追加のモジュールとして、メイン電子部品又はメインモジュールと同じハウジング内に一体化することができる。基板対基板プラグコネクタは、2つ以上の電子回路基板を電気的に接続するために用いられる特別な基板実装プラグコネクタである。
【0005】
しかし、モジュールレベルにおけるこの種のシステム統合は、以下の問題を引き起こす可能性がある。追加されたモジュールは、モジュール上に統合されたシステムを欠いたメインモジュールの通常動作と比較して、メインモジュールの挙動に影響を及ぼす可能性があるため、無干渉を、多くの場合、EMC及び熱の理由から保証することができない。電子制御ユニットを製造した後に電子制御ユニットのモジュールにシステムを追加することは、例えば、電子制御ユニットの保証を、通常、製造業者が維持することができないため、問題となる。既存の電子制御ユニットにモジュールを追加することに関する柔軟性には限界がある。
【0006】
例えば、独国特許出願公開第10307082A1号明細書は、自動車の車載電気システムのための電子制御ユニットを開示しており、ここで、追加の装置又はモジュールを挿入するためのプラグインカードスロットがハウジング内に設けられている。しかし、ハウジング、EMCシールド等についての更なる詳細は見出すことができない。
【0007】
欧州特許出願公開第1782667A1号明細書は、電気通信伝送のための基地局に対する概念を説明しており、汚れ、温度、及びEMCの影響に関するその要件は、そもそも自動車分野における要件と同等ではない。モジュール式の拡張が説明されているが、設計の実施形態の詳細は不明なままである。その図4は、中央領域に開口部を有する基本アセンブリ402の分解略図を示し、その寸法は、おそらくブロックとして示される内部アンテナ403に適合すべきであり、おそらく共通カバー404によって閉じることができるが、開口部の種類、部品間の電気的接続、並びに任意の可能性のあるシールドは、ここではより詳細に得ることはできない。
【0008】
図12以降は、個々のセグメントがハウジング内及びプリント回路基板上に形成され、セグメントが、対応するシールド壁及びプリント回路基板上の電気接地導体トラックによって互いから相互にシールドされる、別の例示的な実施形態を示している。伝送インターフェースのための任意選択の追加のプリント回路基板1210はここでは図12に提供されており、前者は、ハウジングが開放される場合にコネクタプラグ1211によって対応するセグメント内部に接続することができる。ハウジングの中央領域において、1209は、任意選択の内部アンテナへの特定されていない機械的インターフェースを示しており、ここで位置は、追加のプリント回路基板1210のものとは明白に異なり、その上また、開口部の種類、部品間の電気的接続、及び任意の可能性のあるシールドは、ここではより詳細に得ることはできない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで、特に自動車に用いるためのモジュール式拡張可能電子制御ユニットを、以下に説明する。
【0010】
第1の態様によれば、モジュール式拡張可能電子制御ユニットであって、導体トラックが電子回路基板の側縁部の領域における少なくとも一方の側に配設される電子回路基板であって、導体トラックは一方側の内側領域を囲み、一方側の外側領域から後者を分離する、電子回路基板を有するモジュール式拡張可能電子制御ユニットが開示される。この外側領域は、従って、電子回路基板の側縁部の領域にあり、従って、導体トラックによって囲まれる内側領域の空間的に外側にある面上にあり、後者は、接地トラックとして、電気接地接続に電気的に接続されることが好ましい。電子回路基板を少なくとも1つの電子モジュールに電気的に接続するための少なくとも1つのモジュール接続ポートが、この外側領域に配設される。
【0011】
ハウジングは、電子回路基板を受け入れるための2つの半体を有する。ハウジングの少なくとも1つの半体は、ここで、ハウジングの組立状態において、電子回路基板の少なくとも一方の側に配設される導体トラック上に少なくとも部分的にあり、導体トラックとそれぞれのハウジング半体の少なくとも部分的に導電性のシールド壁との間に電気的接触を確立させる、包囲する少なくとも部分的に導電性のシールド壁を有する。
【0012】
少なくとも1つのハウジング半体は、外側に、従ってハウジング内部から離間して面し、ハウジング壁によって分離される外部側に、少なくとも1つの電子モジュールのための、組立状態においてハウジングの外側からアクセス可能である少なくとも1つのレセプタクルを有する。
【0013】
少なくとも1つのレセプタクルは、レセプタクルに任意選択で、即ち追加的に配置される少なくとも1つの電子モジュールが、電子回路基板の外側領域に配設される少なくとも1つのモジュール接続ポートに電気的に接続されることができるように配設される。電子回路基板は、少なくとも1つのモジュール接続ポートと内側領域上に配設される1つ又は複数の電子アセンブリとの間に電気接続を有する。レセプタクルは、外側に形成され、好ましくはまた、電子モジュールを収容するハウジング半体の壁における凹部の形状で形成され、ハウジング半体の壁は、いずれの場合も、レセプタクル内の電子モジュールと電子回路基板との間で、電子回路基板の内側領域に配設される。レセプタクル内の電子モジュールは、ここで、電子モジュールの第1の部分が電子回路基板の内側領域を覆うように、電子回路基板に対して平行に配設されるのが好ましく、既に上で説明したように、ハウジングの壁はそれらの間に位置する。電子モジュールの第2の部分、即ち第1の部分とは異なる部分は、電子回路基板の外側領域の上方に配設され、少なくとも1つのモジュール接続ポートを有する開口部によって電子回路基板に接続される。電子回路基板は多層基板とすることができる。少なくとも1つのモジュール接続ポートと内側領域上に配設される1つ又は複数の電子アセンブリとの間の電気的接続は、この場合、多層回路基板の1つ又は複数の内層において実装することができる。
【0014】
特に、電子回路基板は、電子制御ユニットの標準機能を実装するよう設計することができ、少なくとも1つのモジュール接続ポートは、それに接続される電子モジュールによって、接続される電子モジュールによって電子制御ユニットの更なる機能を実装するよう設計することができる。
【0015】
電子制御ユニットは、少なくとも1つのモジュール接続ポートに接続される電子モジュールが、電子制御ユニットのハウジングのハウジング半体を分解することなく交換することができるように設計することができる。2つのハウジング半体は、ここで、好ましくはシールド壁によって、電気導体トラック上に取り囲むようにあり、電子回路基板の内側領域をEMC密的に封止する。任意選択の電子モジュールは、ハウジング半体のうちの少なくとも1つの外側にそのレセプタクル内に配設され、その上でアクセス可能であり、いかなるハウジング半体を開放する必要なく、外側領域にも位置するモジュール接続ポートによって接続することが可能である。
【0016】
レセプタクルのうちの少なくとも1つは、冷却要素を有する電子モジュールを収容するよう構成することができる。
【0017】
ハウジング半体の1つに取り付けられるよう構成される保護カバーを、レセプタクルのために設けることができる。
【0018】
ハウジング半体の少なくとも1つは、電子回路基板上に配設される少なくとも1つのアセンブリを冷却するための一体型ヒートシンクを有することができる。
【0019】
少なくとも1つのケーブル接続ポートを電子回路基板の外側領域に配設することができ、電子回路基板は、少なくとも1つのケーブル接続ポートと内側領域に配設される1つ又は複数の電子アセンブリとの間に電気的接続を有することができ、少なくとも1つのハウジング半体は、各ケーブル接続ポートに対して1つのレセプタクルを有する。
【0020】
少なくとも1つのケーブル接続ポートは、電子回路基板の角部領域に配設することができ、各ケーブル接続ポートは、特に、各ケーブル接続ポートの挿入方向が横平面において電子回路基板の側縁に対して略45°の角度となるように、電子回路基板の角部領域に配設することができる。
【0021】
更に好ましい設計実施形態において、電子モジュールがハウジングの外側のレセプタクルに装着されていない限り、レセプタクルの内側に配設され、少なくとも1つのモジュール接続ポートへの開口を覆う保護カバーが設けられる。この保護カバーは、ここで、無論、レセプタクル及びその中に挿入される電子モジュールの上方に延在する保護カバーよりも小さいが、同時に、モジュール接続ポート又はその上に既に予め組み立てられるコネクタプラグの領域を外部影響に対して保護する。加えて、この内側保護カバーは、より簡単に、例えば接着フォイルとして、任意選択的にEMC効果のための金属中間層と共に設計することができるか、又は前記内側保護カバーは、非破壊的に除去できないように形成することもでき、従って操作の証拠として、即ち、保護カバーが破壊された場合には損傷又は操作が記録され、保証が無効となるように機能する。
【0022】
更なる態様により開示するのは、本明細書中に開示するような電子制御ユニットの機能を拡張するよう構成され、電子回路基板を有する電子モジュールであって、電子回路基板を電子制御ユニットのハウジング半体のレセプタクルに配置する場合、接続ポートが電子制御ユニットの電子回路基板のモジュール接続ポートと電気的に接触するように、接続ポートが電子回路基板の一方の側に配設される、電子モジュールである。
【0023】
更なる特徴は、図面に示す例示的な実施形態に関連して以下の説明から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】モジュール式に拡張可能な電子制御ユニットの例示的な実施形態の分解図を上方から斜めの斜視図で示す。
図2図1に示す例示的な実施形態の更なる分解図を下方から斜めの斜視図で示す。
図3】モジュール式に拡張可能な電子制御装置の更なる例示的な実施形態の分解図を上方から斜めの図で示す。
図4】組立状態における図3からのモジュール式に拡張可能な電子制御ユニットの更なる例示的な実施形態の斜視図を示す。
図5A1に示す制御ユニットの電子回路基板の側の平面図を示す。
図5B下側ハウジング半体の内側の平面図を示す。
図6A側ハウジング半体の内側の平面図を示す。
図6B図1に示す制御ユニットの電子回路基板の側の平面図を示す。
図7A】更なる設計実施形態と、図7Bに詳細に示す断面の位置とを略図で示す。
図7B図7Aによるアセンブリの一部を通る断面を示す。
図8A】ハウジングを欠いた、図7Aによる設計実施形態による電子回路基板及び任意選択の電子モジュールの形状及び位置の3次元図を示す。
図8B】ハウジングを欠いた、図7Aによる設計実施形態による電子回路基板及び任意選択の電子モジュールの位置の平面図を示す。
図9A】2つの任意選択の電子モジュールを有する設計実施形態を示す。
図9B】任意選択の電子モジュールを欠き、レセプタクルが開いたままではあるが、モジュール接続ポートへの開口部のためのレセプタクル内部の保護カバーを有する設計実施形態を示す。
図10A】任意選択の電子モジュールを欠き、レセプタクルが開いたままであり、更にモジュール接続ポートへの開口部を覆う保護カバーを欠いた設計実施形態の平面図を示す。
図10B図9Bによる実施形態の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明において、同一の、機能的に同一の、及び機能的に関連する要素には、同じ参照符号を提供する可能性がある。絶対値は、単に例として以下に示されており、制限するものとして理解されるべきではない。
【0026】
追加の電子モジュールによってモジュール式に拡張可能な電子制御ユニット10を、図1及び2の斜視図に示している。
【0027】
電子制御ユニット10は、電子制御ユニット10のメインモジュールを形成し、電子制御ユニットの標準機能を実装する電子回路基板12を有する。電子回路基板12は、両側、即ちその上側及び下側に、電子回路基板12の周辺領域に配設され、導体トラック18によって後者から分離される内側領域14及び外側領域16が、この、特に閉じた導体トラック18によって形成されるように、電子回路基板12全体を取り囲む導体トラック18を有することができる。電子回路基板12は、両側、即ちその上面及び下面に、特に電子部品を実装することもできる。
【0028】
導体トラック18は接地トラックとして設けられている。図5A及び6Bは、導体トラック18が回路基板12の上側の周辺領域において取り囲むように配設され(図6B)、別の導体トラック18’が電子回路基板12の下側の周辺領域において取り囲むように同様に配設される(図5A)、電子回路基板12の一実施例を示している。
【0029】
電子回路基板の外側領域16において、1つ又は複数のモジュール接続ポート20及び20’’’及び/又は1つ又は複数のケーブル接続ポート20’、20’’を、前記電子回路基板の上側及び/又は下側に配設することができる。ケーブル接続ポート20’、20’’は、特に、それぞれ電子回路基板12の角部領域に、特に、前記ケーブル接続ポート20’、20’’の挿入方向が、その横平面において電子回路基板12の側縁に対して略45°の角度を有するように配設することができ、その結果、水及び汚れ又は埃の進入が、任意の更なる封止手段を欠いて機械的に防止される(「傘の原理」)。電子部品及び/又はアセンブリは、内側領域14に配設することができる。
【0030】
内側領域14上の部品/アセンブリは、特に多層の電子回路基板12の1つ又は複数の内層によって具現化される1つ又は複数の線によってモジュール接続ポート20、20’’’に電気的に接続することができ、その結果、導体トラック18及び18’は、電子回路基板12の平面に対して垂直に見た場合、電子回路基板12の内層を含む。
【0031】
電子制御ユニット10のハウジングは、2つのハウジング半体24及び26を有し、図5Bは、第1の下側のハウジング半体24の内部の平面図を示し、側の図6Aは、第2の上側のハウジング半体26の内部の平面図を示している。両ハウジング半体24、26はそれぞれ、包囲する少なくとも部分的に導電性のシールド壁28及び30をそれぞれ有する。シールド壁28は、それぞれのハウジング半体24、26と一体となるように形成することができ、特にハウジング半体24、26と同じ材料から構成することができる。電気的なシールドのために、シールド壁28、30は、銅等の導電性材料から形成することができ、又はかかる材料によりコーティングすることができる。
【0032】
ハウジングの組立状態において、両ハウジング半体24、26が互いに結合されており、電子回路基板12がハウジング内に配設されている場合、ハウジング半体24、26のシールド壁28は少なくとも部分的に導体トラック18、18’上にあり、その結果、電気的な接触が導体トラック18、18’と各ハウジング半体24、26のシールド壁28との間に形成される。
【0033】
結果として、上側及び下側の電子回路基板12の内側領域14は、ハウジング半体24、26及びシールド壁28によってEMCの影響から効果的にシールドすることができる。
【0034】
上側ハウジング半体26は、電子制御ユニット10のメイン電子回路基板12の機能を拡張するように、それぞれ電子モジュール22及び22’のためのレセプタクル32及び32’を有する。レセプタクル32及び32’は、ハウジングの外側からアクセス可能であり、ハウジングの組立状態において、モジュール接続ポート20、20’’’がこれらのレセプタクル32、32’によってアクセス可能であり、コネクタ25によってレセプタクル内に配置される電子モジュール22が、それぞれのレセプタクル内に存在するモジュール接続ポート20によって接触できるように、ハウジング半体26の外壁上に設けられる。コネクタ25が既にモジュール接続ポート20又は電子モジュール22に予め組み付けられているかどうかは、機能にとって重要ではない。
【0035】
しかし、メイン電子回路基板12上のモジュール接続ポート20、20’’’の位置は、外縁領域16に配設され、従って保護された内側領域14とは別個であることは強調されるべきである。
【0036】
電子モジュール22、22’は、例えば、顧客固有のソフトウェア及び/又はハードウェアを提供するよう、電子回路基板12の機能を拡張するよう構成することができる。データは、コネクタ25及びモジュール接続ポート20によって提供される電子インターフェースによって、電子モジュール22と電子回路基板12との間で交換することができ、例えば、電子インターフェースは、電子回路基板12と電子モジュール22との間のバス接続を提供することができ、電子モジュール22上のプロセッサは、追加の機能により電子回路基板12の機能を拡張することができるカスタムソフトウェアを実行することができる。同様に、電子モジュール22’は、電子インターフェースによって電子回路基板12に接続することができる。図1において見て取ることができるように、電子モジュール22’は、ファン23’’等の冷却要素によって冷却することができる。特に、ファン23’’は、動作中にファン23’’によって排出されなければならない廃熱を生じるアセンブリの上方に配設することができる。
【0037】
ファン等の冷却要素は、設置空間がこれのために利用可能である場合、電子モジュール22上に配設することもできる。電子モジュール22’が他の機能を有しておらず、冷却要素、特にアクティブファンを接続するためにのみ用いられることも考えられ、これは特に、対応する高い冷却能力が必要とされる極めて過酷な熱条件下で電子制御ユニットを用いることを可能にする。能動的対流も、アセンブリの全体的な熱負荷容量を向上させることができる。
【0038】
レセプタクル32及び32’は、電子モジュール22、22’を過度に高い又は過度に低い温度、湿気、汚れ等のような外部影響から保護するために、保護カバー33及び33’により閉じることができる。保護カバー33、33’は、電子モジュール22、22’をEMCの影響からシールドするために、特に導電性材料から作成することもできる。保護カバー33、33’は、例えばゴムシールによって、それらが湿気のいかなる侵入も防ぐためにレセプタクル32、32’を封止するように構成することもできる。保護カバーによって閉じられるレセプタクルから廃熱を排出するための少なくとも1つの開口部であって、例えば、アセンブリのファン23’’によってレセプタクル32’から排出される廃熱を排出するためのファン23’’の上方のカバー33’’内の開口部等を、保護カバーに設けることができる。
【0039】
上側ハウジング半体26はまた、前記レセプタクル34、34’がケーブル接続ポート20’、20’’を湿気、EMC、及び機械的負荷等の外部影響からシールドするように設計することができる、ケーブル接続ポート20’、20’’のためのレセプタクル34、34’を有することもできる。
【0040】
更に、上側ハウジング半体26は、電子回路基板12の上側及び/又は下側に配設される少なくとも1つのアセンブリを冷却するために用いることができる、特に冷却フィンの形状の一体型ヒートシンク35を有することができる。電子回路基板12の下側に配設されるアセンブリは、下方から冷却され、電子回路基板12の上側のヒートシンク35への熱接続を有することができる。
【0041】
図3は、図1及び2に示す電子制御ユニット10と同様に、追加の電子モジュールによりモジュール式に拡張可能であり、電気プラグイン接続部23を有する別の電子モジュール22’’がレセプタクル32内に配置され、それに応じて異なる設計の保護カバー33’’、33’’’がレセプタクル32、32’を覆うために用いられるという点で後者とは異なる電子制御ユニット10’の斜視図を示している。保護カバー33’’は、ここで、電子制御ユニット10’の外部から電子モジュール22’’の電気プラグ接続部23へのアクセスを可能にするように構成される。
【0042】
図4は、組立状態、即ち、ハウジング半体24及び26が組み立てられ、保護カバー33’’及び33’’’が電子モジュールのためのレセプタクルを覆って装着されるこの電子制御ユニット10’を示している。
【0043】
レセプタクル34、34’に設けられるケーブル接続ポートの向きもまた、そのメインプラグイン軸が電子制御ユニット10’の側縁部に対して略45°の角度で通っており、図4に明確に見ることができる。結果として、電子制御ユニット10、10’の両側のケーブル接続ポートは、略45°下方に整列され、これは自動車における設置に有利となり得る。
【0044】
図5及び6を参照すると、それぞれの導電性シールド壁28、30に対して電子回路基板12の対応する側の導体トラック18、18’の鏡面対称プロフィルが、再度指摘されるべきである。電子制御ユニットの組立状態において、両ハウジング半体24及び26が組み立てられ、電子回路基板12がハウジング半体の間に位置する場合、包囲し、少なくとも部分的に導電性のシールド壁28、30は、電子回路基板12の対応する側の導体トラック18、18’上に少なくとも部分的にあり、その結果、電子回路基板12の内側領域14を、シールド壁28、30及びハウジング半体24、26によってEMCの影響から効率的にシールドすることができる。特に、内側領域14上の電子モジュール22、22’、22’’及び任意選択的にケーブル接続ポート20’、20’’からのEMCの影響を回避するか又は少なくとも抑制することができるように、内側領域14を外側領域16から電気的にシールドすることができる。
【0045】
シールド壁30を有する導体トラック18によってシールドされる内側領域14の外側の外側領域16内の任意選択の電子モジュールを接続するための電子回路基板12上のモジュール接続ポート20の位置も、図Bにおいて明確に識別することができる。ハウジング半体26は、従って、内側領域14の上方でも閉じられており、即ち、ハウジングの壁の結果として、外壁の外側のレセプタクル32は、その内側領域から、特に電子回路基板12の内側領域14からシールドされる。
【0046】
図7Aは、本発明の更なる設計実施形態を略図で示し、ここで、ケーブル接続ポート20’、20’’及び任意選択の電子モジュール22上の任意選択の電気プラグイン端子23は全て、ハウジングの同じ側に配設されており、これは基本機能には無関係である。図7Aは、主に、図7Bに詳細に示す断面の位置を明確にする役割を果たしている。
【0047】
従って、図7Bは、図7Aによるアセンブリの一部を通る断面を示している。図7Bの底部から始めると、下側ハウジング半体24を示しており、後者はメイン電子回路基板12の内側領域14の上方のチャンバを示しており、その中に、このメイン電子回路基板12上のチャンバアセンブリを保護した状態で配設することができる。このチャンバは、シールド壁30によって横方向に区切られている。既に説明したように、シールド壁30はメイン電子回路基板12の下側まで延在し、後者の上で、接地導体トラック18と接触している。メイン電子回路基板12の上側には、メイン電子回路基板12上の部品のためのチャンバも上側ハウジング半体26によって形成されており、前記チャンバは、また、対応するシールド壁28によって、及び上部のハウジング26の壁によって、環境並びにレセプタクル32内に配設される任意選択の電子モジュール22の両方に対して、横方向に保護されている。レセプタクル32は、従って、それ自体閉じられているハウジングの外側に配設される。
【0048】
図7Bにおいて容易に見て取ることができるように、メイン電子回路基板12は、内側領域14を超えて外側領域16内に横方向に延在し(境界は2つの外壁28、30を通して見て取ることができる)、ここで、任意選択の電子モジュール22とメイン電子回路基板上に位置するモジュール接続ポートとの間の接続のためのコネクタ25が配設される。結果として、2つの閉じられたハウジング半体24、26によって完全に保護されるメイン電子回路基板12のみを有する電子制御ユニットを、例えば供給業者とOEMとの間で出荷することが可能であるか、又は電子モジュール22が必要とされない場合であっても前記電子制御ユニットを用いることさえ可能である。しかし、加えて、電子制御ユニット10は、ハウジング半体24、26を開く必要なしに、電子モジュール22をいつでも後付けするか、又は新しいものと交換することができる。このようにして、内側領域14は恒久的に保護され、残される。追加の外側シールド33のみが、この目的のために任意選択的に開放される。
【0049】
図8Aは、ハウジング半体24及び26を欠いた、図7Aによる設計実施形態による電子回路基板12及び任意選択の電子モジュール22の形状及び位置の3次元図を示している。しかし、この図8Aは、主に図7Bのより良好な理解のために役立つ。詳細には、図8Bは、図7Aによる設計実施形態による電子回路基板の様々な領域(14、16)の上方の任意選択の電子モジュール22の位置の正確な平面図を示している。ここでは、メイン電子回路基板12上の接地トラック18のコースを辿ることが特に重要であり、前記コースは、図8Bの中央領域において直接見ることができるが、電子モジュール22の領域の下は、(メイン)電子回路基板(12)上の外側領域16に対する内側領域14の位置を最終的に強調するように、ここでは破線により略図的に続いている。詳細には、電子モジュール22は、電子モジュール22の第1の部分が電子回路基板(12)の内側領域14を覆うように配設される。そこでは、ハウジング半体26の壁は、無論、実際には電子モジュール22と電子回路基板12との間に位置しており、最初に12の上に22を示すことができるようにするために、ここでは省略せざるを得なかった。
【0050】
電子モジュール22の第2の、即ち異なる部分は、電子回路基板12の外側領域16の上方に配設され、そこで、少なくとも1つのモジュール接続ポート20又はその上に配設されるコネクタ25によって、電子回路基板12に接続される。電子モジュール22は、従って、電子回路基板12に対して平行であり、一方の部分によって外側領域16の一部を、及び他方の部分によって内側領域14の一部を覆い、ここでハウジング壁は、内側部分14と電子モジュールとの間のハウジング半体に位置する一方で、外側領域16を覆う領域のハウジング半体26は、電子モジュール22をモジュール接続ポート20に接続するためにコネクタ25のための開口部37を有する。
【0051】
図9Aは、再度、ここではその保護カバー33の背後に隠れており、ここでは任意選択の接続部23によってのみ見て取ることができる2つの任意選択の電子モジュール(22)を有する図7及び図8による構成の3次元全体図を示している。比較として、図9Bは、任意選択の電子モジュールを欠き、レセプタクル32が開いたままとなっている設計実施形態を示している。一方、たとえレセプタクル32自体が開いたままであっても、ハウジング半体のハウジング壁がメイン電子回路基板の内側領域をどのように保護し続けるのかは、容易に理解することができる。しかし、好ましい改良形態によれば、保護カバー36は、モジュール接続ポート(20、ここでは同様に覆われている)への開口部(37、36の下に隠れている)を覆ってレセプタクル32の内側にある。
【0052】
この理由のため、図10Aは、任意選択の電子モジュールがなく、レセプタクル32が開いたままであり、依然として保護カバー(36、ここでは省略されている)がなく、従って、モジュール接続ポート22又はそこに配設されるコネクタ25へのハウジング壁における、それ自体はその下に隠れている開口部37を欠いた、構成の平面図を示している。しかし、この状況において、環境の影響及びEMC干渉が少なくともメイン電子回路基板12の外側領域16に入り込む可能性があるため、この開口部37は、特に電子制御ユニット10が任意選択の電子モジュールを欠いて市販又は動作される場合、図10Bに示すように、保護カバー36により閉じられることが好ましい。
【0053】
本明細書中に開示するようなハウジングを有する電子制御ユニットは、例えば保護コードIP42により、-40℃~+85℃の動作温度範囲のために設計することができる。ハウジングに一体化されるヒートシンクは、例えばAlSi9Cu3アルミダイキャストから作成することができる。AlMg3金属シートをカバー材料として用いることができる。冷却概念は、能動的に(例えばファン23’’によって)及び/又は受動的に(例えばハウジング半体26に一体化されるヒートシンク35によって)実装することができる。
【0054】
本明細書中に説明するモジュール式拡張可能電子制御ユニットの概念は、特に以下に列挙する利点及び選択項目を提供する。
-電子モジュールを既存の電子制御ユニットに一体化することを可能にし、その結果として、電子制御ユニットのメインモジュールの機能を柔軟に拡張することができる。
-ハウジングは、メインモジュールを実装する電子制御ユニットの電子回路基板をEMC及び熱の影響に対してシールドすることができ、その結果、メインモジュールの挙動が、EMC又は熱の影響により、電子制御ユニットに接続される追加の電子モジュールによって影響を受けないため、EMC及び熱の理由による無干渉を保証することができる。特に、ISO26262に準拠する「無干渉」を、車両における安全関連用途に対して保証することができる。
電子制御ユニットが製造された後であっても、製造業者の保証を無効にする可能性がある、電子制御ユニットハウジングを剥がして電子制御ユニットのメインモジュールを実装する電子回路基板を曝露する必要なく、1つ又は複数の電子モジュールを追加することができる。
-高度な柔軟性が達成される。例えば、追加システムの代わりに冷却ファンを、従って、電子制御ユニットに任意選択的に一体化させることができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
モジュール式に拡張可能な電子制御ユニット(10)であって、
-電子回路基板(12)であって、前記電子回路基板(12)の少なくとも一方の側で側縁部の領域に導体トラック(18、18’)が配設され、前記導体トラック(18、18’)は、前記側の内側領域(14)を囲むとともに前記側の外側領域(16)から前記内側領域(14)を分離し、前記電子回路基板(12)を少なくとも1つの電子モジュール(22、22’)に電気的に接続するための少なくとも1つのモジュール接続ポート(20)が前記外側領域(16)に配設される、電子回路基板(12)と、
-前記電子回路基板(12)を受け入れるための2つの半体(24、26)を有するハウジングであって、少なくとも1つのハウジング半体(24、26)は、少なくとも部分的に導電性の周回するシールド壁(28、30)を有し、前記シールド壁(28、30)は、前記ハウジングの組立状態において、少なくとも部分的に、前記電子回路基板(12)の少なくとも一方の側に配設される前記導体トラック(18、18’)上にあり、かつ前記導体トラック(18、18’)と前記それぞれのハウジング半体(24、26)の前記シールド壁(28、30)との間に電気的接触を確立させる、ハウジングと、を有し、
-少なくとも1つのハウジング半体(26)は、前記電子モジュール(22、22’)が前記ハウジング半体(26)の外側に配設されることができるように、前記電子モジュール(22、22’)のための、前記組立状態において前記ハウジングの外側からアクセス可能である少なくとも1つのレセプタクル(32、32’)を有し、
-前記レセプタクル(32、32’)は、前記ハウジング半体(26)の外側の前記レセプタクル(32、32’)内に配置することができる前記電子モジュール(22、22’)が、前記電子回路基板(12)の前記外側領域(16)に配設される前記モジュール接続ポート(20)に電気的に接続されることができるように配設され、
-前記電子回路基板(12)は、前記モジュール接続ポート(20)と前記内側領域(14)上に配設される1つ以上の電子アセンブリとの間に電気的接続を有する、
電子制御ユニット(10)。
2.
前記レセプタクル(32、32’)は、前記レセプタクル(32、32’)をハウジング内部から分離する、前記ハウジング半体(26)の壁の外側に形成され、前記ハウジング半体(26)の前記壁が前記電子モジュール(22、22’)と前記電子回路基板(12)との間の前記レセプタクル(32、32’)内に配設されることを特徴とする、上記1記載の電子制御ユニット。
3.
前記電子モジュール(22、22’)は、前記電子モジュール(22、22’)の第1の部分が前記電子回路基板(12)の前記内側領域(14)を覆うように前記レセプタクル(32)内に配設され、前記ハウジング半体(26)の前記壁は前記電子モジュール(22、22’)と前記電子回路基板(12)との間に位置し、前記電子モジュール(22、22’)の第2の部分は前記電子回路基板(12)の前記外側領域(16)の上方に配設され、前記モジュール接続ポート(20)によって前記電子回路基板(12)に接続されることを特徴とする、上記2の電子制御ユニット。
4.
前記電子回路基板(12)は多層回路基板であり、前記モジュール接続ポート(20)と前記内側領域(14)上に配設される1つ又は複数の電子アセンブリとの間の電気的接続が、前記多層回路基板の1つ又は複数の内層において具現化されることを特徴とする、上記1~3のいずれか一つの電子制御ユニット。
5.
前記電子回路基板(12)は、前記電子制御ユニットの標準機能を実装するよう構成され、前記モジュール接続ポート(20)は、前記モジュール接続ポート(20)に接続される電子モジュール(22、22’)によって、前記電子制御ユニットの更なる機能を実装するよう構成されることを特徴とする、上記1~4のいずれか一つの電子制御ユニット。
6.
前記電子制御ユニットは、前記モジュール接続ポート(20)に接続される電子モジュール(22、22’)が、前記電子制御ユニット(10)の前記ハウジングの前記ハウジング半体(24、26)を分解することなく交換することができるように構成されることを特徴とする、上記1~5のいずれか一つの電子制御ユニット。
7.
前記レセプタクル(32、32’)のうちの少なくとも1つは、冷却要素(23’’)を有する電子モジュール(22’)を収容するよう構成されることを特徴とする、上記1~6のいずれか一つの電子制御ユニット。
8.
保護カバー(33、33’)が前記レセプタクル(32、32’)のために設けられ、前記保護カバー(33、33’)は、前記ハウジング半体(24、26)の一方に取り付けるために構成されることを特徴とする、上記1~7のいずれか一つの電子制御ユニット。
9.
前記ハウジング半体(24、26)の少なくとも1つは、前記電子回路基板(12)上に配設される少なくとも1つのアセンブリを冷却するための一体型ヒートシンク(35)を有することを特徴とする、上記1~8のいずれか一つの電子制御ユニット。
10.
少なくとも1つのケーブル接続ポート(20’、20’’)が前記電子回路基板(12)の前記外側領域(16)に配設され、前記電子回路基板(12)は、前記ケーブル接続ポート(20’、20’’)と前記内側領域(14)に配設される1つ又は複数の電子アセンブリとの間に電気的接続を有し、少なくとも1つのハウジング半体(26)は、各ケーブル接続ポート(20’、20’’)に対して1つのレセプタクル(34、34’)を有することを特徴とする、上記1~9のいずれか一つの電子制御ユニット。
11.
前記少なくとも1つのケーブル接続ポート(20’、20’’)は、前記電子回路基板(12)の角部領域に配設され、特に、各ケーブル接続ポート(20’、20’’)は、各ケーブル接続ポート(20’、20’’)の挿入方向が横平面において前記電子回路基板(12)の側縁に対して略45°の角度を有するように、前記電子回路基板(12)の角部領域に配設されることを特徴とする、上記10の電子制御ユニット。
12.
電子モジュール(22)が前記ハウジングの前記外側のレセプタクルに装着されていない限り、前記レセプタクル(32)の内側に配設され、前記モジュール接続ポート(20)への開口部(37)を覆う保護カバー(36)が設けられることを特徴とする、上記1~11のいずれか一つの電子制御ユニット。
13.
上記1~12のいずれか一つの電子制御ユニット(10)の機能を拡張するよう構成された電子モジュール(22)であって、前記電子モジュール(22)を前記電子制御ユニット(10)のハウジング半体(26)のレセプタクル(32)に配置する場合、コネクタ(25)を介して前記電子モジュール(22)と前記電子制御ユニット(10)の前記電子回路基板(12)とが電気的に接触する、電子モジュール(22)。
【符号の説明】
【0055】
10 電子制御ユニット
12 電子回路基板
14 電子回路基板の内側領域
16 電子回路基板の外側領域
18 電子回路基板上の閉じた(接地)導体トラック
20;20’’’ 任意選択の電子モジュール(22)を接続するための電子回路基板上のモジュール接続ポート
20’,20’’ ケーブル接続ポート
22,22’ 少なくとも一方のハウジング半体の外側のレセプタクル(32)内の任意選択の電子モジュール
23 任意選択の電子モジュール(22)上の任意選択の電気プラグイン接続部
23’’ 任意選択のファン
24,26 ハウジング半体
25 電子回路基板(12)と任意選択の電子モジュール(22)との間のコネクタ
28,30 シールド壁
32,32’ ハウジング半体の外側の任意選択の電子モジュール(22)のためのレセプタクル
33,33’ レセプタクル32及び32’のための保護カバー
33’’,33’’’ プラグイン接続部23及び任意選択のファン(23’’)のための保護カバー
34,34’ ケーブル接続ポート20’、20’’のためのレセプタクル
35 ハウジング半体の一方に一体化されるヒートシンク
36 電子モジュール(22)が装着されていない場合のモジュール接続ポート(20)への開口部(37)のためのレセプタクル(32)内部の保護カバー
37 モジュール接続ポート(20)と電子モジュール(22)との間のコネクタ(25)のためのハウジング半体(26)のレセプタクル(32)における開口部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7a
図7b
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B