(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】水タバコ装置
(51)【国際特許分類】
A24F 1/30 20060101AFI20231205BHJP
A24F 40/05 20200101ALI20231205BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20231205BHJP
【FI】
A24F1/30
A24F40/05
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2022538407
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 GB2021050842
(87)【国際公開番号】W WO2021205158
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-06-21
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522238642
【氏名又は名称】シャヒーン イノベーションズ ホールディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イマド ラフード
(72)【発明者】
【氏名】モハンメド アルシャイバ サレハ ガナム アルマズルーイ
(72)【発明者】
【氏名】サジド バッティ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ マコヴェック
(72)【発明者】
【氏名】クレメント ラムール
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0206001(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104055225(CN,A)
【文献】国際公開第2019/069160(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03278678(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03298912(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 1/30
A24F 40/05
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いステムと前記ステムの第1の端部に取り付けられる水チャンバとを有する水タバコを使用するための水タバコ装置であって、前記水タバコ装置は、
それぞれのミスト出口ポートを備える複数の超音波ミスト発生装置と、
前記ミスト発生装置の各々に電気的に接続され、前記ミスト発生装置を作動させるように構成されたドライバ装置と、
前記水タバコ装置を前記水タバコの前記ステムの第2の端部に取り付けるように構成された水タバコ取付アレンジメント
と、
を備え、
前記水タバコ取付アレンジメントは、前記ミスト発生装置の少なくとも1つが前記ドライバ装置によって起動されると、前記起動したミスト発生装置の各々によって発生したミストが流体流路に沿って流れ、前記水タバコ装置から前記水タバコに出るように、前記ミスト発生装置の前記ミスト出口ポートから前記水タバコ装置を出る前記流体流路を提供する水タバコ出口ポートを有する、水タバコ装置。
【請求項2】
前記ドライバ装置は、データバスによってミスト発生装置の各々に電気的に接続され、前記ドライバ装置は、前記ミスト発生装置に対するそれぞれの固有の識別子を用いて前記ミスト発生装置の各々を識別及び制御するように構成される請求項1に記載の水タバコ装置。
【請求項3】
前記ミスト発生装置の各々識別アレンジメントを備え、前記識別アレンジメントは:
前記ミスト発生装置のための固有の識別子を記憶するメモリを有する集積回路と、
前記集積回路と通信するための電子インターフェイスを提供する電気接続部と、
を備える、請求項1又は請求項2に記載の水タバコ装置。
【請求項4】
前記ドライバ装置が前記ミスト発生装置の各々を制御して、他のミスト発生装置から独立して起動するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の水タバコ装置。
【請求項5】
前記ドライバ装置が前記ミスト発生装置を所定の順序で作動するように制御するべく構成されている、請求項4に記載の水タバコ装置。
【請求項6】
各ミスト発生装置が:
前記ミスト発生装置の前記ミスト出口ポートと流体連通しているマニホールドパイプを有し、前記ミスト出口ポートから放出されたミストが前記マニホールドパイプ内で合流して前記水タバコ装置から流出するマニホールドを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の水タバコ装置。
【請求項7】
前記水タバコ装置が前記マニホールドに、互いに90°で相対的に取外し可能に結合された4つのミスト発生装置を含む、請求項6に記載の水タバコ装置。
【請求項8】
前記ミスト発生装置の各々が前記ドライバ装置から分離可能となるように前記ドライバ装置に取外し可能な形で取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の水タバコ装置。
【請求項9】
前記ミスト発生装置の各々が:
細長く、空気入口ポート及び前記ミスト出口ポートを備えるミスト発生器ハウジングと、
前記ミスト発生器ハウジング内に設けられた液体チャンバであって、霧化される液体を収容するための液体チャンバと、
前記ミスト発生器ハウジング内に設けられた超音波処理チャンバと、
前記液体チャンバと前記超音波処理チャンバとの間に延在する毛細管要素であって、前記毛細管要素の第1の部分が前記液体チャンバ内にあり、前記毛細管要素の第2の部分が前記超音波処理チャンバ内にあるようにする毛細管要素と、
前記超音波処理チャンバ内に設けられた概して平面状の霧化表面を有する超音波トランスデューサであって、前記霧化表面の平面が前記ミスト発生器ハウジングの長手方向の長さと実質的に平行であるように、前記ミスト発生器ハウジング内に取り付けられ、前記毛細管要素の第2の部分の一部は、前記霧化表面の一部に重なっており、前記超音波トランスデューサが、前記霧化表面を振動させて、前記毛細管要素の第2の部分によって運ばれる液体を霧化して、前記超音波処理チャンバ内に霧化した液体及び空気からなるミストを生成するように構成されている、超音波トランスデューサと、
前記空気入口ポート、前記超音波処理チャンバ、及び前記ミスト出口ポートの間に空気流路を提供する空気流アレンジメントと、
を備える請求項1~8のいずれか一項に記載の水タバコ装置。
【請求項10】
各ミスト発生装置が、
前記ミスト発生器ハウジング内に保持されるトランスデューサホルダであって、前記トランスデューサホルダが前記超音波トランスデューサを保持し、前記霧化表面の一部に重ねられた前記毛細管要素の第2の部分を維持する、トランスデューサホルダと、
前記液体チャンバと前記超音波処理チャンバとの間に障壁を提供する仕切り部分であって、前記仕切り部分が、前記毛細管要素の第1の部分の一部が延在する毛細管開口部を含む仕切り部分と、をさらに含む請求項9に記載の水タバコ装置。
【請求項11】
前記毛細管要素が100%竹繊維である、請求項9又は請求項10に記載の水タバコ装置。
【請求項12】
前記空気流アレンジメントが空気の流れが前記超音波処理チャンバに通過するときに、前記空気の流れが前記超音波トランスデューサの前記霧化表面に対して実質的に垂直になるように、前記空気流路に沿った前記空気の流れの方向を変えるように構成される、請求項9~11のいずれか一項に記載の水タバコ装置。
【請求項13】
前記液体チャンバが1.05 Pa*sから1.412 Pa*sの間の動粘度と1.1 g/mlから1.3 g/mlの間の液体密度を有する液体を含む請求項9~12のいずれか一項に記載の水タバコ装置。
【請求項14】
前記液体チャンバが約2:1のモル比のレブリン酸とニコチンを含む液体を含む請求項9~13のいずれか一項に記載の水タバコ装置。
【請求項15】
前記ドライバ装置が:
各ミスト発生装置の各超音波振動子を駆動するための所定の周波数の交流駆動信号を生成するように構成された交流ドライバと、
前記超音波トランスデューサが前記交流駆動信号によって駆動されるときに、前記超音波トランスデューサによって使用される有効電力を監視するように構成された有効電力監視アレンジメントであって、前記超音波トランスデューサによって使用される有効電力を示す監視信号を提供するように構成された有効電力監視アレンジメントと、
前記交流ドライバを制御し、前記有効電力監視アレンジメントから前記監視信
号を受信するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに以下を行わせる命令を格納するメモリと:
A. 前記交流ドライバを制御して、所定のスイープ周波数で前記超音波トランスデューサに交流駆動信号を出力させる;
B. 前記監視信号に基づいて、前記超音波トランスデューサによって使用されている有効電力を計算する;
C. 前記交流ドライバを制御して前記交流駆動信号を変調し、前記超音波トランスデューサが使用する有効電力を最大化する;
D. 前記超音波トランスデューサによって使用される最大有効電力と前記交流駆動信号の前記スイープ周波数の記録をメモリに保存する;
E. 所定の反復回数の後、前記スイープ周波数がスイープ開始周波数からスイープ終了周波数まで増加するように、各反復で前記スイープ周波数が増加しながら、手順A-Dを所定の回数だけ繰り返す;
F. 前記メモリに格納された記録から、前記超音波トランスデューサによって最大有効電力が使用される交流駆動信号のスイープ周波数である交流駆動信号の最適周波数を特定する
G. 前記交流ドライバを制御して、最適な周波数で前記超音波トランスデューサに交流駆動信号を出力し、前記超音波トランスデューサを駆動して液体を霧化させる、
を備える請求項9~14のいずれか一項に記載の水タバコ装置。
【請求項16】
前記有効電力監視アレンジメントが:
前記超音波トランスデューサを駆動する前記交流駆動信号の駆動電流を感知するように構成された電流感知アレンジメントであって、前記有効電力監視アレンジメントが、感知された駆動電流を示す監視信号を提供するように構成された電流感知アレンジメントを備える、請求項15に記載の水タバコ装置。
【請求項17】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに以下を行わせる命令を記憶する、請求項15又は請求項16に記載の水タバコ装置:
スイープ周波数をスイープ開始周波数2900kHzからスイープ終了周波数2960kHzまでインクリメントしながら、手順A~Dを繰り返す。
【請求項18】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに以下を行わせる命令を記憶する、請求項15又は請求項16に記載の水タバコ装置:
スイープ周波数をスイープ開始周波数2900kHzからスイープ終了周波数3100kHzまでインクリメントしながら、手順A~Dを繰り返す。
【請求項19】
前記交流ドライバが前記超音波トランスデューサによって使用されている有効電力を最大化するために、パルス幅変調によって交流駆動信号を変調する請求項15~18のいずれか一項に記載の水タバコ装置。
【請求項20】
水タバコであって、
水チャンバと、
前記水チャンバに取り付けられる第1の端部を有する細長いステムであって、ステムの第2の端部から、前記ステムを通り、前記第1の端部まで延在するミスト流路を備えるステムと、
請求項1~19のいずれか一項に記載の水タバコ装置であって、前記水タバコ装置の前記水タバコ取付アレンジメントが、前記ステムの第2端で前記水タバコのステムに取り付けられる水タバコ装置と、
を備える水タバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本願は、それぞれの優先権の利益を主張し、参照によりその全体を本願に組み入れる。2020年4月6日に出願された欧州特許出願番号20168245.7、2020年4月6日に出願された欧州特許出願番号20168231.7、2020年4月9日に出願された欧州特許出願番号20168938.7、2020年6月1日に出願された米国特許出願番号16/889667、2020年10月8日に出願された米国特許出願番号17/065992、2020年12月15日に出願された米国特許出願番号17/1222025及び2021年4月1日に出願された米国特許出願番号17/220189。
【0002】
本発明は、水タバコ装置に関するものである。本発明は、より詳細には、超音波振動を利用してミストを発生させる水タバコ装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
伝統的な水タバコは、粉砕されたタバコの葉を炭火で熱しながら燃焼させる喫煙具である。炭の熱で砕いたタバコの葉を燃やし、煙を発生させ、ガラスチャンバの中で水を通し、吸引することで使用者に届ける。吸入しやすいように、高温の煙を水で冷やす。
【0004】
水タバコは何世紀も前に古代ペルシャやインドで始まったと言われている。現在では、イギリス、フランス、ロシア、中東、アメリカなど世界各地で水タバコカフェが人気を集めている。
【0005】
現代の典型的な水タバコは、ヘッド(底に穴が開いている)、金属製のボディ、ウォーターボウル、マウスピース付きのフレキシブルなホースで構成されている。スチームストーンや水タバコペンなど、新しい形の電子式水タバコ製品も登場している。これらの製品は電池又は主電源で作動し、ニコチンや香料などの化学物質を含む液体を加熱して煙を発生させ、それを吸引するものである。
【0006】
使用者の多くは、これをタバコを吸うよりも害が少ないと考えているが、水タバコの喫煙には、タバコを吸うのと同じ健康上のリスクが多くある。
【0007】
したがって、本書に記載された問題の少なくともいくつかに対処しようとする改良された水タバコ装置の必要性が当技術分野において存在する。
【0008】
本発明は、改良された水タバコ装置を提供しようとするものである。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの配置によると、以下を備える水タバコ装置が提供される:それぞれのミスト排出口が設けられた複数の超音波ミスト発生装置。各ミスト発生装置に電気的に接続され、該ミスト発生装置を作動させるように構成されたドライバ装置。水タバコ装置を水タバコに取り付けるように構成された水タバコ取り付け装置、ミスト発生装置のミスト出口ポートから水タバコ装置への排出口を提供する水タバコ出口ポートを備えた水タバコ取り付けアレンジメントであり、ミスト発生装置の少なくとも一つがドライバ装置によって起動されたときに、活性化された各ミスト発生装置によって生成されたミストが流体流路に沿って流れ、水タバコ装置から水タバコに出るもの。
【0010】
いくつかの配置では、ドライバ装置はデータバスによってミスト発生装置の各々に電気的に接続され、ドライバ装置はミスト発生装置に対するそれぞれの一意の識別子を用いて各ミスト発生装置を識別及び制御するように構成される。
【0011】
いくつかの配置では、それぞれのミスト発生装置は、識別アレンジメントをさらに備え、識別アレンジメントは、ミスト発生装置の一意の識別子を格納するメモリを有する集積回路と、集積回路と通信するための電子インターフェースを提供する電気接続を備える。
【0012】
いくつかの配置では、ドライバ装置は、それぞれのミスト発生装置を制御して、他のミスト発生装置から独立して起動するように構成されている。
【0013】
いくつかの配置では、ドライバ装置は、それぞれのミスト発生装置を所定の順序で作動するように制御するべく構成されている。
【0014】
いくつかの配置では、各ミスト発生装置は、ミスト発生装置のミスト出口ポートと流体連通しているマニホールドパイプを有するマニホールドであって、ミスト出口ポートから出力されたミストがマニホールドパイプ内で結合してマニホールドパイプを通って水タバコ装置から流出するマニホールドを備える。
【0015】
いくつかの配置では、水タバコ装置は、マニホールドに互いに90°相対的に取外し可能に結合された4つのミスト発生装置から構成される。
【0016】
いくつかの配置では、各ミスト発生装置は、各ミスト発生装置がドライバ装置から分離可能であるように、ドライバ装置に取外し可能に取り付けられる。
【0017】
いくつかの配置では、各ミスト発生装置は以下のものを備える:細長く、空気入口ポートとミスト出口ポートとを備えるミスト発生装置ハウジングと、ミスト発生装置ハウジング内に設けられた液体チャンバであって、液体チャンバが霧化される液体を含む液体チャンバと、ミスト発生装置ハウジング内に設けられた超音波処理チャンバと、液体チャンバと超音波処理チャンバの間に延び、毛細管要素の第1の部分が液体チャンバ内に、毛細管要素の第2の部分が音波処理チャンバ内にある毛細管要素であって、第1の部分には毛細管要素が含まれるもの。超音波処理チャンバ内に設けられた概して平面状の霧化表面を有する超音波トランスデューサであって、霧化表面の平面がミスト発生装置ハウジングの長手方向の長さと実質的に平行であるように、超音波トランスデューサがミスト発生装置ハウジング内に取り付けられる、超音波トランスデューサ。毛細管要素の第2の部分の一部が霧化面の一部に重なっており、超音波トランスデューサがミスト化面を振動させて毛細管要素の第2の部分が運ぶ液体を霧化して超音波処理チャンバ内にミスト化液体と空気からなるミストを発生させるように構成されている、請求項1に記載の超音波処理装置。空気入口ポート、超音波処理チャンバ、及び空気出口ポートの間に空気流路を提供する空気流アレンジメント。
【0018】
いくつかの配置では、各ミスト発生装置は、ミスト発生装置ハウジング内に保持されるトランスデューサホルダであって、トランスデューサ要素は、超音波トランスデューサを保持し、霧化表面の一部に重ねられた毛細管要素の第2の部分を保持するトランスデューサホルダと、液体チャンバと超音波処理チャンバの間にバリアを提供する仕切り部であって、仕切り部は毛細管要素の第1の部分の一部が延びる毛細管開口を構成している仕切り部をさらに備える。
【0019】
いくつかの配置では、毛細管要素は100%竹繊維である。
【0020】
いくつかの配置では、空気流アレンジメントは、空気の流れが超音波処理チャンバに通過するときに、空気の流れが超音波トランスデューサの霧化表面に対して実質的に垂直になるように、空気流路に沿った空気の流れの方向を変えるように構成される。
【0021】
いくつかの配置では、液体チャンバは、1.05Pa*sから1.412 Pa*sの間の動粘度と1.1g/mlから1.3g/mlの間の液体密度を有する液体を含む。
【0022】
いくつかの配置では、液体チャンバは、レブリン酸とニコチンの約2:1のモル比を含む液体を含んでいる。
【0023】
いくつかの配置では、ドライバ装置は、以下を備える:各ミスト発生装置内のそれぞれの超音波トランスデューサを駆動するために所定の周波数で交流駆動信号を生成するように構成される交流ドライバ。超音波トランスデューサが交流駆動信号によって駆動されるときに超音波トランスデューサによって使用される有効電力を監視するように構成される有効電力監視アレンジメントであって、有効電力監視アレンジメントは、超音波トランスデューサによって使用される有効電力を示す監視信号を提供するように構成される有効電力監視アレンジメント。交流ドライバを制御し、有効電力監視アレンジメントから監視信号を受信するように構成されるプロセッサ。プロセッサによって実行されると、プロセッサに以下を行わせる命令を記憶するメモリ:
A. 交流ドライバを制御して、所定のスイープ周波数で超音波トランスデューサに交流駆動信号を出力させる
B. 監視信号に基づいて、超音波トランスデューサによって使用されている有効電力を計算する
C. 交流ドライバを制御して交流駆動信号を変調し、超音波トランスデューサが使用する有効電力を最大化する
D. 超音波トランスデューサによって使用される最大有効電力と交流駆動信号のスイープ周波数の記録をメモリに保存する
E. 所定の反復回数の後、スイープ周波数がスイープ開始周波数からスイープ終了周波数まで増加するように、各反復でスイープ周波数が増加しながら、ステップA-Dを所定の回数だけ繰り返す
F. メモリに格納された記録から、超音波トランスデューサによって最大の有効電力が使用される交流駆動信号のスイープ周波数である交流駆動信号の最適周波数を特定する
G. 交流ドライバを制御して、最適な周波数で超音波トランスデューサに交流駆動信号を出力し、超音波トランスデューサを駆動して液体を霧化させる。
【0024】
いくつかの配置では、有効電力監視アレンジメントは、超音波トランスデューサを駆動する交流駆動信号の駆動電流を感知するための電流感知アレンジメントを備え、有効電力監視アレンジメントは、感知された駆動電流を示す監視信号を提供するように設計されている。
【0025】
いくつかの配置では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、スイープ周波数が2900kHzのスイープ開始周波数から2960kHzのスイープ終了周波数まで増加するステップA~Dを繰り返すように命令することを記憶している。
【0026】
いくつかの配置では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、スイープ周波数が2900kHzのスイープ開始周波数から3100kHzのスイープ終了周波数まで増加するステップA~Dを繰り返すように命令することを記憶している。
【0027】
いくつかの配置では、交流ドライバは、超音波トランスデューサによって使用されている有効電力を最大化するために、パルス幅変調によって交流駆動信号を変調する。
【0028】
いくつかの配置によれば、以下を備える水タバコが提供される:ウォーターチャンバ、ウォーターチャンバに取り付けられた第1の端部を有する細長いステムであって、前記ステムの第2の端部から、前記ステムを通って、前記第1の端部まで延びるミスト流路。以下に定義する請求項1~19のいずれかに記載の水タバコ装置であって、水タバコ装置の水タバコ取付アレンジメントがステムの第2端において水タバコのステムに取り付けられることを特徴とするもの。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明をより容易に理解するために、本発明の実施形態は、次に、添付の図面を参照しながら、例として説明する:
【
図1】
図1は、超音波ミスト吸入器の構成要素の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、吸入器液体リザーバ構造体の構成要素の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、吸入器液体リザーバ構造体の構成要素の断面図である。
【
図5】
図5は、RLC回路としてモデル化された圧電トランスデューサを示す模式図である。
【
図6】
図6は、RLC回路の周波数対対数インピーダンスのグラフである。
【
図7】
図7は、圧電トランスデューサの動作の誘導性領域と容量性領域を示す周波数対数インピーダンスのグラフである。
【
図8】
図8は、周波数コントローラの動作を示すフロー図である。
【
図9】
図9は、本開示のミスト発生装置の斜視透視図である。
【
図10】
図10は、本開示のミスト発生装置の斜視透視図である。
【
図11】
図11は、本開示のミスト発生装置の図解的な分解透視図である。
【
図12】
図12は、本開示のトランスデューサホルダの斜視透視図である。
【
図13】
図13は、本開示のトランスデューサホルダの斜視透視図である。
【
図16】
図16は、本開示のトランスデューサホルダの斜視透視図である。
【
図17】
図17は、本開示のトランスデューサホルダの斜視透視図である。
【
図18】
図18は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図20】
図20は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図21】
図21は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図23】
図23は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図24】
図24は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図25】
図25は、本開示のハウジングの一部の図解的な透視図である。
【
図26】
図26は、本開示の回路基板の図解的な透視図である。
【
図27】
図27は、本開示の回路基板の図解的な透視図である。
【
図28】
図28は、本開示のミスト発生装置の図解的な分解透視図である。
【
図29】
図29は、本開示のミスト発生装置の図解的な分解透視図である。
【
図30】
図30は、本開示のミスト発生装置を示す断面図である。
【
図31】
図31は、本開示のミスト発生装置を示す断面図である。
【
図32】
図32は、本開示のミスト発生装置を示す断面図である。
【
図33】
図33は、本開示の水タバコ装置の図解的透視図である。
【
図34】
図34は、本開示の水タバコ装置の水タバコ本体及びウォーターボウルに取り付けられた水タバコ装置の斜視透視図である。
【
図35】
図35は、本開示の水タバコ装置の斜視分解透視図である。
【
図36】
図36は、本開示の水タバコ装置の構成要素を示す斜視透視図である。
【
図37】
図37は、本開示の水タバコ装置の構成要素を示す斜視透視図である。
【
図38】
図38は、本開示のドライバ装置の構成要素を示す斜視透視図である。
【
図39】
図39は、本開示のドライバ装置の構成要素を示す斜視透視図である。
【
図40】
図40は、本開示の水タバコ装置及び4つのミスト発生装置の構成要素を示す斜視透視図である。
【
図41】
図41は、本開示の水タバコ装置の構成要素を示す斜視透視図である。
【
図42】
図42は、本開示の水タバコ装置の構成要素を示す斜視断面図である。
【
図43】
図43は、本開示の水タバコ装置の水タバコ本体及びウォーターボウルに取り付けられた水タバコ装置の斜視透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本開示の態様は、添付の図と共に読まれた場合、以下の詳細な説明から最もよく理解される。当業界の標準的な慣行にしたがって、様々な特徴は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際、様々な特徴の寸法は、議論を明確にするために任意に増やしたり減らしたりすることができる。
【0031】
以下の開示は、提供される主題の様々な特徴を実施するための多くの異なる実施形態、又は例を提供する。構成要素、濃度、用途、及び配置の具体例は、本開示を簡略化するために以下に説明される。もちろん、これらは単なる例であり、限定することを意図していない。例えば、以下の説明における第1の特徴及び第2の特徴の取り付けは、第1の特徴及び第2の特徴が直接接触して取り付けられる実施形態を含んでもよく、また、第1の特徴及び第2の特徴が直接接触していなくてもよいように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴が配置され得る実施形態を含んでもよい。加えて、本開示は、様々な例において参照数字及び/又は文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、単純化及び明確化のためであり、それ自体は、議論された様々な実施形態及び/又は構成間の関係を指示するものではない。
【0032】
以下の開示は、代表的な配置又は例について説明するものである。各配置又は各例は、実施形態とみなされる場合があり、本開示において、「配置」又は「例」への言及は、「実施形態」に変更されてもよい。
【0033】
いくつかの配置の水タバコ装置は、超音波エアロゾル化技術を組み込んでいる。いくつかの配置の水タバコ装置は、従来の水タバコヘッド(石炭加熱式又は電子加熱式)を置き換えるように構成される。いくつかの配置の水タバコ装置は、タバコ及び炭(又は電子加熱要素)を収容する従来の水タバコヘッドの代わりに、既存のステム又は金属製の本体及びウォーターチャンバ/ボウルに分離可能な形で取り付けられる。
【0034】
他の配置では、水タバコ装置は、完全な水タバコ装置としてのステム/本体及びウォーターチャンバ/ボウルを備えている。
【0035】
ボウルの形状は様々で、伝統的な装飾や近未来的な装飾が施されており、個人の好みに応じて選ぶことができる。いくつかの配置の超音波エアロゾル化水タバコ装置の設計と開発は、伝統を念頭に置いて、任意の既存の水タバコに適合する交換可能なヘッドを作成するために実行された。
【0036】
以下の開示は、超音波ミスト発生装置の構成要素と機能性を説明する。次に、本開示は、複数の超音波ミスト発生装置を組み込んだ、いくつかの配置の水タバコ装置について説明する。
【0037】
従来の電子気化吸入器は、吸入器内の液体を加熱するように構成された金属部品の高温を誘発し、したがって、吸い込むことができる液体を気化させることに依存する傾向がある。液体は、通常、プロピレングリコール(PG)及び植物性グリセリン(VG)の溶液にブレンドされたニコチン及び香料を含み、これらは、高温で加熱部品を介して気化される。従来の吸入器の問題点として、金属が燃える可能性があり、その後、燃えた液体と一緒に金属を吸い込む可能性がある。また、加熱された液体による焦げた臭いや味を好まない人もいる。
【0038】
図1~
図4は、超音波処理チャンバを構成する超音波吸入器を示す図である。以下の開示で使用される「ミスト」という表現は、先行技術から知られる従来の吸入器において通常行われるように液体が加熱されないことを意味することに留意されたい。実際、従来の吸入器は、液体をその沸騰温度以上に加熱して蒸気を発生させるために加熱素子を使用するが、これはミストとは異なるものである。
【0039】
液体を高強度で超音波処理する場合、液体媒体中に伝播する音波は、周波数に依存して異なる速度で、高圧(圧縮)及び低圧(希釈)サイクルを交互に生じる。低圧サイクルでは、高強度の超音波が液体中に小さな真空の気泡や空隙を作る。この現象をキャビテーションという。この気泡がエネルギーを吸収できない体積になると、高圧サイクルで激しく崩壊する。このとき、局所的に非常に高い圧力が発生する。キャビテーションでは、壊れた毛細管波が発生し、液体の表面張力を破った微小な液滴が霧状になって素早く空中に放出される。
【0040】
以下、キャビテーション現象について、より具体的に説明する。
【0041】
超音波振動により液体を霧化すると、液体中に微細な水泡が発生する。
【0042】
この気泡の生成は、超音波振動手段によって発生する強い超音波による負圧によって生じる空洞の形成過程である。
【0043】
正圧サイクルの間、空洞の大きさが比較的小さく無視できるほど小さくなり、空洞の急速な成長につながる高強度の超音波。
【0044】
超音波は、他の音波と同様に、圧縮と膨張のサイクルで構成されている。液体と接触すると、圧縮サイクルは液体に正の圧力をかけ、分子同士を押し付ける。膨張のサイクルでは、負の圧力がかかり、分子が互いに引き離される。
【0045】
強い超音波は、正圧と負圧の領域を作り出す。負圧の時に空洞ができ、大きくなることがある。空洞が臨界サイズに達すると、空洞は崩壊する。
【0046】
必要な負圧の大きさは、液体の種類と純度によって異なる。純度の高い液体の場合、引張強度が非常に大きいため、市販の超音波発生器では空洞を形成するのに十分な負圧を発生させることができない。例えば、純水では1,000気圧以上の陰圧が必要だが、最も強力な超音波発生器でも50気圧程度の陰圧しか発生しない。液体の引張強さは、液体粒子の隙間に閉じ込められた気体によって低下する。この効果は、固体材料に発生する亀裂による強度低下と類似している。気体で満たされた隙間に音波による負圧サイクルをかけると、圧力低下により隙間の気体が膨張し、小さな気泡が溶液中に放出される。
【0047】
しかし、超音波を照射された気泡は、音波の圧縮と膨張のサイクルを交互に繰り返すことでエネルギーを吸収し続ける。これにより、気泡は成長・収縮を繰り返し、気泡内部の空隙と外部の液体との間でダイナミックなバランスを保っている。また、超音波によって、気泡の大きさが変化することもある。また、気泡の平均的な大きさが大きくなる場合もある。
【0048】
空洞の成長は、音の強さに依存する。高強度の超音波は、負圧サイクルの間に空洞を急速に拡大し、正圧サイクルの間に空洞が収縮する機会がないようにすることができる。このように、空洞は1回の音波の周期で急速に成長することができる。
【0049】
低強度の超音波の場合、空洞の大きさは膨張と圧縮のサイクルと同位相で振動する。低強度の超音波によって生成された空洞の表面は、膨張サイクルの方が圧縮サイクルよりもわずかに大きくなる。空洞に出入りする気体の量は表面積に依存するので、膨張サイクルでは空洞への拡散が圧縮サイクルでの拡散よりわずかに大きくなる。つまり、音の周期ごとに、空洞は収縮より膨張の方が少し大きくなる。何度も繰り返しているうちに、空洞はゆっくりと大きくなっていく。
【0050】
成長した空洞は、最終的に超音波のエネルギーを最も効率的に吸収する臨界サイズに到達することが分かっている。この臨界サイズは、超音波の周波数に依存する。高強度の超音波によって空洞が非常に急速に成長すると、もはや超音波からエネルギーを効率的に吸収することができなくなる。このエネルギー入力がなければ、空洞はもはやそれ自体を維持することができない。液体が押し寄せ、空洞は非線形応答により崩壊する。
【0051】
爆縮によって放出されたエネルギーによって、液体は微細な粒子に分解され、ミストとして空気中に飛散する。
【0052】
上記の非線形応答現象を記述する方程式は、「レイリー・プレセット」方程式で記述することができる。この式は、流体力学で用いられる「ナビエ・ストークス」方程式から導き出すことができる。
【0053】
本発明者らのアプローチは、気泡体積Vを動的パラメータとし、散逸を記述する物理学が、半径を動的パラメータとする、より古典的な形式で用いられるものと同一である「レイリー・プレセット」方程式を書き換えることであった。
【0054】
この方程式は次のように導かれる:
【0055】
【0056】
超音波霧化吸入器では、液体は動粘度が1.05パスカル秒から1.412パスカル秒の間である。
【0057】
粘度、密度、空気中への液体噴霧の所望の目標気泡体積を適切なパラメータとして上記の式を解くことにより、液体の粘度範囲1.05パスカル秒と1.412パスカル秒で2.8MHzから3.2MHzの周波数囲が約0.25ミクロンから0.5ミクロンの気泡体積を作り出すことが判明している。
【0058】
超音波キャビテーションのプロセスは、生成されたミスト中のニコチン濃度に大きな影響を与える。
【0059】
発熱体を使用しないため、発熱体の焦げ付きがなく、副流煙の影響を低減することができる。
【0060】
いくつかの配置では、前記液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンと30~43%(w/w)のプロピレングリコールを含み、前記プロピレングリコールは、ニコチン及び任意に香料を含む。
【0061】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、超音波処理チャンバと液体チャンバの間に延びてもよい。
【0062】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、少なくとも一部が竹繊維である材料である。
【0063】
毛細管要素により、高い吸収容量、高い吸収速度だけでなく、高い液保持率も実現できる。
【0064】
毛細管に使用される提案材料の固有の特性は、超音波ミスト吸入器の効率的な機能に大きな影響を与えることが判明した。
【0065】
さらに、本材料の固有の特性として、良好な透湿性を維持しつつ、良好な吸湿性を有している。これにより、吸引した液体を効率よく毛細管に浸透させることができるとともに、高い吸水性により大量の液体を保持することができ、市販されている他の製品と比較して超音波ミスト吸入器をより長く使用することができるようになった。
【0066】
竹繊維を使用するもう一つの大きな利点は、竹繊維の中にもともと存在する天然由来の抗菌性生物製剤である「クン」によって、抗菌性、抗真菌性、防臭性があり、医療用途に適していることである。
【0067】
この竹繊維固有の特性は、超音波処理における竹繊維の利点に関して、数値解析により検証されている。
【0068】
以下の式は、毛細管要素として使用するための竹繊維材料及び綿、紙、又は他の繊維ストランドなどの他の材料でテストされており、竹繊維が超音波処理での使用のためにはるかに優れた特性を有することを実証している:
【0069】
【0070】
【0071】
図1には、使い捨ての超音波ミスト吸入器100が描かれている。
図1から分かるように、超音波ミスト吸入器100は、直径に比して長さが比較的長い円筒形の本体を有している。形状及び外観に関して、超音波ミスト吸入器100は、典型的なタバコの外観を模倣するように設計されている。例えば、吸入器は、主にタバコのタバコ棒部分を模倣する第1の部分101と、主にフィルターを模倣する第2の部分102とを特徴とすることができる。使い捨てのアレンジメントでは、第1部分と第2部分とは、単一の、しかし分離可能な装置の領域である。第1部分101及び第2部分102という呼称は、各部分に主に含まれる構成要素を便宜的に区別するために用いられる。
【0072】
図1から分かるように、超音波ミスト吸入器は、マウスピース1、液体リザーバ構造体2、及びケーシング3から構成されている。第1部分101はケーシング3を構成し、第2部分102はマウスピース1及びリザーバ構造体2を構成する。
【0073】
第1の部分101には、電源エネルギーが含まれている。
【0074】
蓄電装置30は、超音波ミスト吸入器100に電力を供給する。蓄電装置30は、リチウムイオン電池、アルカリ電池、亜鉛-炭素電池、ニッケル水素電池、ニッケル-カドミウム電池などの電池、スーパーキャパシタ、又はこれらの組み合わせとすることができるが、これらに限定されるわけではない。使い捨てのアレンジメントでは、電気貯蔵装置30は再充電可能ではないが、再使用可能なアレンジメントでは、電気貯蔵装置30は再充電可能となるように選択されるであろう。使い捨てのアレンジメントでは、電気貯蔵装置30は、主に、吸入器100の寿命にわたって一定の電圧を供給するように選択される。そうでなければ、吸入器の性能は時間とともに劣化することになる。装置の寿命にわたって一定の電圧出力を提供することができる好ましい電気貯蔵装置には、リチウムイオン電池及びリチウムポリマー電池が含まれる。
【0075】
電気貯蔵装置30は、一般に正端子に対応する第1の端部30aと、一般に負端子に対応する第2の端部30bとを有する。負極端子は、第1端部30aまで延びている。
【0076】
蓄電装置30は第1部分101に位置し、液体リザーバ構造体2は第2部分102に位置するので、接合部は、それらの構成要素の間に電気的な通信を提供することが必要である。第1の部分101が第2の部分102に締め付けられるときに一緒に圧縮される少なくとも電極又はプローブを用いて電気通信が確立される。
【0077】
この装置では、再利用可能とするために、蓄電装置30は充電可能となっている。ケーシング3には、充電口32が設けられている。
【0078】
集積回路4は、近位端4a及び遠位端4bを有する。電気貯蔵装置30の第1端30aの正端子は、フレキシブル集積回路4の正リードと電気的に連通している。電気貯蔵装置30の第2の端部30bの負端子は、集積回路4の負リードと電気的に通信している。集積回路4の遠位端4bは、マイクロプロセッサを含んで構成されている。マイクロプロセッサは、センサからのデータを処理し、ライトを制御し、第2の部分102における超音波振動5に電流の流れを指示し、予めプログラムされた時間の後に電流の流れを終了させるように構成されている。
【0079】
センサは、超音波ミスト吸入器100が使用されているとき(使用者が吸入器を吸引したとき)を検出し、マイクロプロセッサを作動させる。センサは、圧力、空気流、又は振動の変化を検出するように選択することができる。一つの配置では、センサは圧力センサである。デジタル装置では、センサは連続的な読み取りを行い、その結果、デジタルセンサは連続的に電流を引き込む必要があるが、その量は小さく、全体の電池寿命への影響は無視できるほどだろう。
【0080】
いくつかの配置では、集積回路4は、高周波で直流を交流に変換するために
4つのMOSFETによって形成されることが可能なHブリッジを構成している。
【0081】
図2及び
図3を参照すると、一つの配置による液体リザーバ構造体2の図解が示されている。液体リザーバ構造体2は、霧化される液体を受け取るように適合された液体チャンバ21と、液体チャンバ21と流体連通している超音波処理チャンバ22とからなる。
【0082】
示されている配置では、液体リザーバ構造体2は、超音波処理チャンバ22から周囲に向かう空気通路を提供する吸入チャネル20を備える。
【0083】
センサ位置の配置例として、超音波処理チャンバ22にセンサを配置してもよい。
【0084】
吸入チャンネル20は、錐体部20aと内部容器20bを有する。
【0085】
図4A及び
図4Bに描かれているように、さらに吸入チャネル20は、周囲から超音波処理チャンバ22に空気流を送達するための空気流部材27を有する。
【0086】
気流部材27は、一体に作られた気流ブリッジ27a及び気流ダクト27bを有し、気流ブリッジ27aは吸入チャネル20の一部を形成する2つの気道開口27a’を有し、気流ダクト27bは気流ブリッジ27aから超音波処理チャンバ22内に延びて周囲から超音波処理チャンバへの空気流を提供するためにある。
【0087】
気流ブリッジ27aは、第2の直径20a2において錐体要素20aと協働する。
【0088】
気流ブリッジ27aは、気流を気流ダクト27bに送達する2つの対向する周辺開口部27a’’を有する。
【0089】
気流ブリッジ27aとフラストコニカル要素20aとの協働は、2つの対向する周辺開口部27a’’がフラストコニカル要素20aの相補的開口部20a’’と協働するように配置される。
【0090】
口金1と錐体部20aは半径方向に間隔をあけて配置され、その間に気流室28が配置されている。
【0091】
図1及び
図2に描かれているように、マウスピース1は、2つの対向する周辺開口部1’’を有する。
【0092】
気流ブリッジ27aの周辺開口部27a’’、20a’’、1’’、フラストコニカル要素20a及びマウスピース1は、超音波処理チャンバ22に最大限の空気流を直接供給する。
【0093】
錐体要素20aは、吸入チャネル20と同様の方向に整列された内部通路を含み、第1の直径20a1が第2の直径20a2のそれよりも小さく、内部通路が錐体要素20aにわたって直径を減少させるように、内部通路を有している。
【0094】
錐体要素20aは、超音波振動手段5及び毛細管要素7と整列して配置され、第1の直径20a1はマウスピース1の内部ダクト11に連通し、第2の直径20a2は内部容器20bに連通している。
【0095】
内部容器20bは、超音波処理チャンバ22と液体チャンバ21とを区画する内壁を有する。
【0096】
液体リザーバ構造体2は、液体チャンバ21の外壁を区画する外容器20cを有している。
【0097】
内側容器20b及び外側容器20cは、それぞれ、液体チャンバ21の内壁及び外壁である。
【0098】
液体リザーバ構造体2は、口金1とケーシング3との間に配置され、口金1及びケーシング3に対して着脱可能である。
【0099】
液体リザーバ構造体2及びマウスピース1又はケーシング3は、互いに係合するための相補的なアレンジメントを含んでもよく;さらにそのような相補的アレンジメントは、バヨネット型アレンジメント;ねじ係合型アレンジメント;磁気アレンジメント;又は摩擦嵌合アレンジメントのいずれかを含んでもよく、液体リザーバ構造体2はアレンジメントの一部分を含み、マウスピース1又はケーシング3は、アレンジメントの相補的部分を含んでいる。
【0100】
再使用可能なアレンジメントでは、構成要素は実質的に同じである。使い捨てのアレンジメントに対する再使用可能なアレンジメントの違いは、液体リザーバ構造体2を交換するためになされる収容である。
【0101】
図3に示すように、液体チャンバ21は、液体チャンバ21の内側容器20bと外側容器20cを閉じる上壁23と底壁25を有する。
【0102】
毛細管要素7は、内側容器20bの第1部分20b1と第2部分20b2との間に配置されている。
【0103】
毛細管要素7は、超音波処理チャンバから液体チャンバまで延びる平坦な形状を有する。
【0104】
図2又は
図3に描かれているように、毛細管要素7は、U字形の中央部7aとL字形の周辺部7bとから構成されている。
【0105】
L字形状の部分7bは、内側容器20b上の液体チャンバ21内に、底壁25に沿って延びている。
【0106】
U字状部分7aは、超音波処理チャンバ21内に収容されている。U字状部分7aは、内側容器20b上で、底壁25に沿うように設けられている。
【0107】
超音波霧化吸入器において、U字部7aは、内側部分7a1と外側部分7a2とを有し、内側部分7a1は超音波振動手段5の霧化面50と面接触しており、外側部分7a2は超音波振動手段5と面接触していない。
【0108】
液体チャンバ21の底壁25は、液体チャンバ21と超音波処理チャンバ22とを閉鎖する底板25である。底板25は密閉されているため、超音波処理チャンバ22からケーシング3への液体の漏れは防止されている。
【0109】
底板25は、弾性部材8が挿入される凹部25bを有する上面25aを有している。超音波振動手段5は、弾性部材8によって支持されている。弾性部材8は、超音波振動手段5を維持するための溝が設計された内孔8’を有する環状板状のゴムから形成されている。
【0110】
液体チャンバ21の上壁23は、液体チャンバ23を閉じるキャップ23である。
【0111】
天壁23は、液体チャンバ21が収容し得る液体の最大レベルを表す上面23と、液体チャンバ21内の液体の最小レベルを表す下面25とを有する。
【0112】
天壁23は密閉されているため、液体チャンバ21から口金1への液体の漏れは防止される。
【0113】
天壁23と底壁25は、ネジ、接着剤、摩擦などの固定手段により、液体リザーバ構造体2に固定されている。
【0114】
図3に描かれているように、弾性部材は超音波振動手段5と線接触しており、超音波振動手段5と吸入器の壁との接触を防ぐことで、液体リザーバ構造体の振動の抑制がより効果的に防止される。したがって、霧化部材によって霧化された液体の微粒子をより遠くまで噴霧することができる。
【0115】
図3に描かれているように、内側容器20bは、第1部分20b1と第2部分20b2との間に、毛細管要素7が超音波処理チャンバ21から延びている開口部20b’を有している。毛細管要素7は、開口部20b’を介して液体チャンバ21から液体を吸収する。毛細管要素7は、ウィックである。毛細管要素7は、毛細管現象によって液体を超音波処理チャンバ22に輸送する。いくつかの配置では、毛細管要素7は、竹繊維で作られている。いくつかの配置では、毛細管要素7は、0.27mmと0.32mmの間の厚さであり、38g/m
2 と48g/m
2 の間の密度を有していてもよい。
【0116】
図3から分かるように、超音波振動の手段5は、毛細管要素7の直下に配置されている。
【0117】
超音波振動手段5は、超音波トランスデューサであってもよい。配置では、超音波振動手段5は、圧電トランスデューサであってもよく、円形の板状に設計されていてもよい。圧電トランスデューサの材質は、セラミックであってもよい。
【0118】
また、超音波振動手段5には、様々なトランスデューサ材料を使用することができる。
【0119】
気流ダクト27b1の端部は、超音波振動手段5と向き合っている。超音波振動手段5は、電気接触器101a、101bと電気的に連絡している。注目すべきは、集積回路4の遠位端4bが内側電極と外側電極を有することである。内側電極は、スプリングコンタクトプローブである第1の電気接触子101aに接触し、外側電極は、サイドピンである第2の電気接触子101bに接触する。集積回路4を介して、第1の電気接点101aは、マイクロプロセッサにより蓄電装置30の正極端子と電気的に通信し、第2の電気接点101bは、蓄電装置30の負極端子と電気的に通信している。
【0120】
電気接点101a、101bは、底板25を横断している。底板25は、液体リザーバ構造体2の周壁26の内側に受けられるようになっている。底板25は、相補的な隆起の上に載っており、それによって、液体チャンバ21と超音波処理チャンバ22を形成している。
【0121】
内側容器20bは、機械的なバネが適用される円形の内側スロット20dから構成される。
【0122】
中央部分7a1を超音波振動手段5に押し付けることによって、機械的なバネ9は、それらの間の接触面を確保する。
【0123】
リザーバ構造体2及び底板25は、様々な熱可塑性材料を用いて作ることができる。
【0124】
使用者が超音波ミスト吸入器100を吸引すると、空気流が周辺開口部1’’から吸引されて気流チャンバ28を貫通し、気流ブリッジ27aの周辺開口部27a’’とフラストコニカル要素20aを通り、気流ダクト27bを介して超音波処理チャンバ22に流れ落ち、直接毛細管要素7にかかる。同時に、液体は毛細管現象によりリザーバチャンバ21から複数の開口部20b’を通り、毛細管要素7に吸い込まれる。毛細管要素7は、液体を吸入器100の超音波振動手段5と接触させる。また、使用者の吸引により、圧力センサが集積回路4を作動させ、集積回路4が超音波振動手段5に電流を導く。このように、使用者が吸入器100のマウスピース1で吸引すると、2つの動作が同時に起こる。まず、センサが集積回路4を作動させ、これが超音波振動手段5が振動を開始するきっかけとなる。第2に、吸引によって、開口部20b’を通る液体の流れが始まるように、リザーバチャンバ21の外の圧力を低下させ、これが毛細管要素7を飽和させる。毛細管要素7は、液体を超音波振動手段5に搬送し、超音波振動手段5によって毛細管路内に気泡を形成させ、液体をミスト化させる。そして、ミスト化された液体を使用者が吸引する。
【0125】
いくつかの配置では、集積回路4は、超音波振動手段5が動作する周波数を制御するように構成されている周波数コントローラを含んでいる。周波数コントローラは、プロセッサとメモリとを備え、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに周波数コントローラの少なくとも1つの機能を実行させる実行可能命令を記憶している。
【0126】
上述したように、いくつかの配置では、超音波ミスト吸入器100は、約0.25~0.5ミクロンの気泡体積を生成するために、1.05Pa・s~1.412Pa・sの液体粘度を有する液体を気化するために2.8MHz~3.2MHzの周波数を持つ信号で超音波振動手段5を駆動させる。しかし、異なる粘度を有する液体又は他の用途のために、それは超音波振動手段5が異なる周波数で駆動される可能性がある。
【0127】
ミスト発生器の異なる用途ごとに、ミストの発生を最適化するために超音波振動手段5を駆動するための最適な周波数又は周波数範囲が存在する。超音波振動手段5が圧電トランスデューサである配置では、最適な周波数又は周波数範囲は、少なくとも以下の4つのパラメータに依存することになる:
【0128】
1.トランスデューサの製造工程
いくつかの配置では、超音波振動手段5は、圧電セラミックからなる。圧電セラミックは、化合物を混合してセラミック生地を作ることによって製造されるが、この混合工程は、製造全体を通じて一貫していない場合がある。この不均一性により、硬化した圧電セラミックの共振周波数にばらつきが生じることがある。
【0129】
圧電セラミックの共振周波数が装置の必要動作周波数に対応していない場合、装置の動作中にミストが発生しない。ニコチンミスト吸入器の場合、圧電セラミックの共振周波数がわずかにずれただけでもミストの生成に影響を与え、そのデバイスが使用者に適切なニコチンレベルを提供できないことを意味する。
【0130】
2.トランスデューサへの負荷
動作中、圧電トランスデューサへの負荷が変化すると、圧電トランスデューサ全体の振動の変位が抑制される。圧電トランスデューサの振動を最適に変位させるには、回路が最大変位に十分な電力を供給できるように駆動周波数を調整する必要がある。
【0131】
発振器の効率に影響を与える負荷の種類としては、トランスデューサ上の液体の量(ウィッキング材料の湿度)、トランスデューサとの永久的な接触を保つためにウィッキング材料に加えられるバネの力などを挙げることができる。また、電気的な接続手段も含まれる場合がある。
【0132】
3.温度
圧電トランスデューサの超音波振動は、装置に組み込んで部分的に減衰させる。これには、トランスデューサをシリコン/ゴムのリングに入れ、スプリングでトランスデューサの上にあるウィッキング材に圧力をかけることが考えられる。この振動の減衰により、トランスデューサの上とその周辺の局所的な温度は上昇する。
【0133】
温度の上昇は、トランスデューサの分子挙動の変化により、振動に影響を与える。温度の上昇は、セラミックの分子により多くのエネルギーを与え、その結晶構造に一時的な影響を及ぼす。温度が下がるとこの影響は逆転するが、最適な発振を維持するためには供給する周波数の変調が必要である。この周波数変調は、従来の固定周波数デバイスでは実現できなかった。
【0134】
また、温度上昇により気化される溶液(eリキッド)の粘度が低下するため、キャビテーションを誘起して連続的なミスト生成を維持するために駆動周波数の変更が必要となる場合がある。従来の固定周波数装置の場合、駆動周波数を変更せずに液体の粘度を下げると、ミスト生成が減少又は完全に停止し、装置が動作不能になる。
【0135】
4.電源までの距離
電子回路の発振周波数は、トランスデューサと発振器-ドライバ間の配線長によって変化することがある。電子回路の周波数は、トランスデューサと残りの回路との距離に反比例する。
【0136】
距離パラメータは主にデバイスに固定されているが、デバイスの製造過程で変化し、デバイスの全体的な効率を低下させる可能性がある。そのため、デバイスの駆動周波数を変更して変動を補償し、デバイスの効率を最適化することが望まれる。
【0137】
圧電トランスデューサは、
図5に示すように、電子回路中のRLC回路としてモデル化することができる。上述した4つのパラメータは、RLC回路全体のインダクタンス、キャパシタンス、抵抗の変化としてモデル化することができ、トランスデューサに供給される共振周波数範囲を変化させることができる。回路の周波数がトランスデューサの共振点付近まで上昇すると、回路全体の対数インピーダンスは最小に落ち込み、次に最大に上昇してから中央の範囲に落ち着く。
【0138】
図6は、RLC回路における周波数上昇に伴う全体インピーダンスの変化を説明する一般的なグラフである。
図7は、圧電トランスデューサが、第1の所定周波数f
s以下の周波数では第1の容量性領域で、第2の所定周波数f
p以上の周波数では第2の容量性領域でコンデンサとして作用する様子を示す図である。圧電トランスデューサは、第1及び第2の所定周波数f
s、f
pの間の周波数において、誘導性領域でインダクタとして作用する。トランスデューサの最適な発振を維持し、したがって最大効率を得るためには、トランスデューサを流れる電流を誘導領域内の周波数に維持する必要がある。
【0139】
いくつかの配置の装置の周波数コントローラは、装置の効率を最大化するために、圧電トランスデューサ(超音波振動手段5)の発振周波数を誘導領域内に維持するように構成される。
【0140】
周波数コントローラは、所定のスイープ周波数範囲にわたって漸次追跡する周波数でトランスデューサを駆動するスイープ動作を実行するように構成されている。周波数コントローラがスイープを実行するとき、周波数コントローラは、トランスデューサに結合されたアナログ-デジタル変換器のアナログ-デジタル変換(ADC)値を監視する。いくつかの配置では、ADC値は、トランスデューサを横切る電圧に比例するADCのパラメータである。他の配置では、ADC値は、トランスデューサを流れる電流に比例するADCのパラメータである。
【0141】
以下により詳細に説明するように、いくつかの配置の周波数コントローラは、トランスデューサを流れる電流を監視することによって、超音波トランスデューサによって使用されている有効電力を決定する。
【0142】
スイープ動作の間、周波数コントローラは、トランスデューサのための周波数の誘導領域を探し出す。周波数コントローラが誘導領域を特定すると、周波数コントローラは、ADC値を記録し、トランスデューサによる超音波キャビテーションを最適化するために、トランスデューサの駆動周波数を誘導領域内の周波数(すなわち、第1及び第2の所定の周波数fs、fpの間)でロックする。駆動周波数が誘導領域内にロックされると、トランスデューサの電気機械結合係数が最大化され、それによって、装置の効率が最大化される。
【0143】
いくつかの配置では、周波数コントローラは、発振が開始又は再始動されるたびに誘導領域の位置を特定するためにスイープ動作を行うように構成される。配置では、周波数コントローラは、発振が開始されるたびに誘導領域内の新しい周波数で駆動周波数をロックし、それによって、装置の動作効率に影響を与えるパラメータの変化を補償するように構成されている。
【0144】
いくつかの配置では、周波数コントローラは、最適なミスト生成を保証し、使用者への薬物送達の効率を最大化する。いくつかの配置では、周波数コントローラは、デバイスを最適化し、効率を向上させ、使用者への治療送達を最大化する。
【0145】
他の配置では、周波数コントローラは、デバイスを最適化し、超音波を使用する他の任意のデバイスの効率を向上させる。いくつかの配置では、周波数コントローラは、超音波応答性薬物送達システムからの薬物放出の促進を拡張するために、治療用途の超音波技術と共に使用するように構成される。動作中に正確で最適な周波数を有することにより、マイクロバブル、ナノバブル、ナノドロップレット、リポソーム、エマルジョン、ミセル、又は他の任意の送達システムが非常に効果的であることが保証される。
【0146】
いくつかの配置では、上記のような最適なミスト生成及び化合物の最適な送達を保証するために、周波数コントローラは、再帰モードで動作するように構成される。周波数コントローラが再帰モードで動作する場合、周波数コントローラは、デバイスの動作中に周波数のスイープを周期的に実行し、ADC値を監視して、ADC値がトランスデューサの最適発振を示す所定の閾値以上であるか否かを判断する。
【0147】
いくつかの配置では、周波数コントローラは、周波数コントローラがトランスデューサのための可能なより良い周波数を特定できる場合に備えて、装置が液体をエアロゾル化する過程にある間にスイープ動作を実行する。周波数コントローラがより良い周波数を特定した場合、周波数コントローラは、装置の最適な動作を維持するために、駆動周波数を新たに特定されたより良い周波数でロックする。
【0148】
いくつかの配置では、周波数コントローラは、デバイスの動作中に周期的に所定の持続時間の間、周波数のスイープを実行する。上述した配置の装置の場合、スイープの所定の持続時間及びスイープ間の時間期間は、装置の機能を最適化するように選択される。超音波ミスト吸入器に実装される場合、これは、使用者の吸入全体を通じて使用者への最適な送達を保証する。
【0149】
図8は、いくつかの配置の周波数コントローラの動作のフロー図である。
【0150】
以下の開示は、上述した配置と同じ要素の多くからなるミスト発生装置のさらなる配置を開示する。上述した配置の要素は、本開示の残りの部分で説明した配置の要素のいずれかと入れ替えることができる。
【0151】
以下に説明するミスト発生装置は、後述する水タバコ装置202とともに使用されるか、又は、水タバコ装置202とともに使用するためのものである。他の配置では、水タバコ装置202は、本明細書に記載のミスト発生装置201に代えて、複数の他のミスト発生装置を含んで構成される。
【0152】
十分なエアロゾル生成を保証するために、いくつかの配置のミスト発生装置201は、正確に又は実質的に16mmの直径の超音波/圧電トランスデューサからなる。このトランスデューサは、所望のエアロゾル量生成に必要な周波数及び電力を制御するために、特定の静電容量及びインピーダンス値に合わせて製造される。
【0153】
直径16mmの円盤状の超音波トランスデューサを水平に配置すると、ミスト発生装置が大きくなる。サイズを縮小するために、この配置の超音波トランスデューサは、超音波処理チャンバ内で垂直に保持される(超音波トランスデューサの平面が、エアロゾルミストの流れに概ね平行であり、及び/又はミスト発生装置の長手方向の長さに概ね平行である)。別の言い方をすれば、超音波トランスデューサは、ミスト発生装置の基部に対して一般に垂直である。
【0154】
ここで添付図面の
図9から
図11を参照すると、ミスト発生装置201は、細長く、任意に互いに取り付けられる2つのハウジング部分205、206から形成されるミスト発生装置ハウジング204から構成される。ミスト発生器ハウジング204は、空気入口ポート207とミスト出口ポート208とから構成される。
【0155】
この配置では、ミスト発生器ハウジング204は、射出成形プラスチック、具体的には、医療用途に典型的に使用されるポリプロピレンである。この配置では、ミスト発生器ハウジング204は、異相共重合体である。より詳細には、非常に高い剛性と高い衝撃強度の最適な組み合わせを有するBF970MOヘテロフェーズコポリマーである。この材料で成形されたミスト発生器ハウジング部品は、良好な帯電防止性能を示す。
【0156】
ポリプロピレンなどの異相コポリマーは、この材料が超音波処理チャンバ219からミスト出口ポート208を通って流れる際にエアロゾルの凝縮を引き起こさないので、ミスト発生器ハウジング204に特に好適である。このプラスチック材料はまた、工業的な破砕及び洗浄プロセスを用いて容易に直接リサイクルすることができる。
【0157】
図10において、ミスト出口ポート208は、閉鎖要素209によって閉鎖されている。しかしながら、ミスト吸入器200の使用時には、
図9に示すように、閉鎖要素209がミスト出口ポート208から取り外されることが理解されよう。
【0158】
ここで
図12及び
図13を参照すると、ミスト発生装置200は、ミスト発生装置ハウジング204内に保持されるトランスデューサホルダ210を備える。トランスデューサホルダ210は、この配置では、円柱状又は概ね円筒状の本体部211と、円形の上下の開口部212、213から構成されている。トランスデューサホルダ210には、
図13に示すように、超音波トランスデューサ215の端部を受け入れるための内部チャネル214が設けられている。
【0159】
トランスデューサホルダ210は、電極217が水タバコ装置202の交流ドライバに電気的に接続され得るように、超音波トランスデューサ215から電極217が延びる切断部216を内蔵し、以下により詳細に説明されるように、電極217は、超音波トランスデューサ215から延びる。
【0160】
再び
図11を参照すると、ミスト発生装置201は、ミスト発生装置ハウジング204内に設けられる液体チャンバ218を備える。液体チャンバ218は霧化される液体を収容するためのものである。いくつかの配置では、液体が液体チャンバ218に収容される。他の配置では、液体チャンバ218は、最初は空であり、その後液体チャンバに液体が充填される。
【0161】
いくつかの配置の超音波ミスト発生装置201で使用するのに適した液体(本明細書ではeリキッドとも呼ばれる)組成物は、以下のレブリン酸ニコチンからなるニコチン塩で構成されている:
組成物中の植物性グリセリンの相対量は:55から80%(w/w)、又は60から80%(w/w)、又は65から75%(w/w)、又は70%(w/w)、及び/又は組成物中のプロピレングリコールの相対量は:5~30%(w/w)、又は10~30%(w/w)、又は15~25%(w/w)、又は20%(w/w)、及び/又は組成物中の水の相対量は:5~15%(w/w)、又は7~12%(w/w)、又は10%(w/w)、及び/又は組成物中のニコチン及び/又はニコチン塩の量は:0.1~80mg/ml、又は0.1~50mg/ml、又は1~25mg/ml、又は
10~20mg/ml、又は17mg/ml。
【0162】
いくつかの配置では、ミスト発生装置201は、1.05パスカル・秒から1.412パスカル・秒の間の動粘度を有する電子液体を収容する。
【0163】
いくつかの配置では、液体チャンバ218は、1:1のモル比でニコチンレブリン酸塩を含む液体を含有する。
【0164】
いくつかの配置では、液体チャンバ218は、ニコチン、プロピレングリコール、植物性グリセリン、水、及び香料を含むeリキッドを含む。いくつかの例では、eリキッド中の各成分の%濃度は、以下の表1、表2、表3又は表4に示されている。
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
非限定的な例では、溶液中のニコチンは、すべて又は一部がレブリン酸ニコチンの形態である。
【0170】
レブリン酸ニコチン塩は、溶液中でニコチンとレブリン酸を結合させることによって形成される。この結果、レブリン酸アニオンとニコチンカチオンからなるレブリン酸ニコチン塩が形成される。
【0171】
表1、表2、表3及び表4に示すeリキッド中のニコチンの%濃度は、ほぼ17mg/mlに相当する。
【0172】
いくつかの配置では、液体チャンバ218は、1.05パスカル秒~1.412パスカル秒の間の動粘度と1.1g/ml~1.3g/mlの間の液体密度とを有する液体を含む。
【0173】
いくつかの配置では、液体チャンバ218内の液体は、使用者が水タバコ装置によって生成されたミストを吸入するときに使用者が味わう香料(例えば、フルーツフレーバー)からなる。
【0174】
粘度、密度の正しいパラメータを持つ電子液体を使用し、空気中に液体スプレーの所望の目標バブルボリュームを持つことによって、1.05パスカル・秒と1.412パスカル・秒の液体粘度範囲と約1.1~1.3 g/mL の密度(Hertzから密度範囲を取得)に対する2.8MHz~3.2MHzの周波数は、液滴の90%は1ミクロン以下とその50%は0.5ミクロン以下の液滴ボリュームを生み出すことがわかっている。
【0175】
ミスト発生装置201は、ミスト発生装置ハウジング204内に設けられる超音波処理チャンバ219を含んで構成される。
【0176】
図12及び
図13に戻り、トランスデューサホルダ210は、液体チャンバ218と超音波処理チャンバ219との間に障壁を提供する仕切り部220を含んで構成される。仕切り部分220によって提供される障壁は、超音波処理チャンバ219が液体チャンバ218から液体で溢れるリスク、又は超音波トランスデューサ215上の毛細管要素が過飽和になるリスクを最小限にし、そのいずれもが超音波トランスデューサ215の過負荷と効率を低下させる。さらに、超音波処理チャンバ219を溢れさせたり、毛細管要素を過飽和にすることは、吸入の際に使用者が液体を吸い込むという不快な体験も引き起こしかねない。このリスクを軽減するために、トランスデューサホルダ210の仕切り部分220は、超音波処理チャンバ219と液体チャンバ218との間の壁として着座する。
【0177】
仕切り部220は、毛細管要素を介して、液体チャンバ218から超音波処理チャンバ219へ液体が流れることができる唯一の手段である毛細管開口部221を構成している。この配置では、毛細管開口部221は、0.2mm~0.4mmの幅を有する細長いスロットである。毛細管開口221の寸法は、毛細管開口221の縁が、超音波処理チャンバ219への液体流の制御を加えるために毛細管開口221を通って延びる毛細管要素に作用するバイアス力を提供するようなものである。
【0178】
この配置では、トランスデューサホルダ210は、液体シリコーンゴム(LSR)である。この配置では、液体シリコーンゴムは、ショアA 60の硬度を有する。のLSR材料は、トランスデューサホルダ210が振動を減衰させることなく、超音波トランスデューサ215が振動することを保証する。この配置では、超音波トランスデューサ215の振動変位は2~5ナノメートルであり、何らかの減衰効果があると、超音波トランスデューサ215の効率が低下する可能性がある。したがって、このLSRの材料と硬度は、最小限の妥協で最適な性能を得るために選択される。
【0179】
次に
図14及び
図15を参照すると、ミスト発生装置201は、液体チャンバ218から超音波処理チャンバ219に(薬剤又は他の物質を含む)液体を移送するための毛細管又は毛細管要素222を含んでいる。毛細管要素222は、第1部分223と第2部分224とを有する平面状又は概ね平面状である。この配置では、第1部分223は、長方形又は概ね長方形の形状を有し、第2部分224は、部分的に円形の形状を有する。
【0180】
この配置では、毛細管要素222は、第1及び第2の部分223,224とそれぞれ同じ形状の第3の部分225及び第4の部分226から構成される。この配置の毛細管要素222は、
図15に示すように、第1及び第2の部分223,224と第3及び第4の部分225,226とが互いに重ね合わされるように折り線227を中心に折り畳まれる。
【0181】
この配置では、毛細管要素は、約0.28mmの厚さを有する。
図15に示すように、毛細管要素222を折り曲げて2つの層を有するようにすると、毛細管要素の全体の厚さは約0.56mmとなる。この二重層はまた、最適なエアロゾル生成のために超音波トランスデューサ215上に常に十分な液体が存在することを保証する。
【0182】
この配置では、毛細管要素222が折り畳まれると、第1及び第3部分223、225の下端は、毛細管要素222が液体を吸収する速度を最大化するために液体チャンバ218内の液体中に位置する毛細管要素222の部分の表面積を増大させる拡大下端228を画定する。
【0183】
この配置では、毛細管要素222は100%竹繊維である。他の配置では、毛細管要素は少なくとも75%の竹繊維のものである。毛細管要素として竹繊維を使用する利点は、上述したとおりである。
【0184】
ここで
図16及び
図17を参照すると、毛細管要素222は、超音波トランスデューサ215の霧化表面の一部に重畳した毛細管要素222の第2部分224をトランスデューサホルダ210が保持するように、トランスデューサホルダ210によって保持される。この配置では、円形の第2部分224は、トランスデューサホルダ210の内側凹部214内に収まっている。
【0185】
毛細管要素222の第1部分223は、トランスデューサホルダ210の毛細管開口221を通って延びている。
【0186】
次に
図18から
図20を参照すると、ミスト発生器ハウジング204の第2部分206は、トランスデューサホルダ222を受け、超音波処理チャンバ219の壁の一部を形成する概ね円形の壁229からなる。
【0187】
接触開口部230及び231は、超音波トランスデューサ215の電極との電気的接続を形成する電気接触部232及び233を受け入れるために、第2部分206の側壁に設けられている。
【0188】
この配置では、ミスト出口ポート208で液体を吸収するために、吸収性チップ又は吸収性要素234が、ミスト出口ポート208に隣接して設けられている。この配置では、吸収性要素234は竹繊維のものである。
【0189】
次に
図21から
図23を参照すると、ミスト発生器ハウジング204の第1部分205は、第2部分206と同様の形状であり、超音波処理チャンバ219の壁のさらなる部分を形成し、トランスデューサホルダ210を保持する概して円形の壁部235をさらに備える。
【0190】
この配置では、ミスト出口ポート208に隣接して、ミスト出口ポート208で液体を吸収するための吸収要素236がさらに設けられる。
【0191】
この配置では、ミスト発生器ハウジング204の第1部分205は、
図24に示すように、リテーナばね238の下端を支持するばね支持アレンジメント237を構成している。
【0192】
リテーナばね238の上端は、リテーナばね238が毛細管要素222を超音波トランスデューサ215の霧化表面に対してバイアスするバイアス力を与えるように、毛細管要素222の第2の部分224に接触する。
【0193】
図25を参照すると、ミスト発生器ハウジング204の2つの部分205、206が互いに取り付けられる前に、トランスデューサホルダ210が所定の位置にあり、ミスト発生器ハウジング204の第2の部分206によって保持されていることが示されている。
【0194】
図26~
図29を参照して、この配置では、ミスト発生装置201は、識別配列239を含んで構成されている。識別アレンジメント239は、一面に設けられた電気接点241を有するプリント回路基板240と、他面に設けられた集積回路242及び別のオプション部品243とから構成される。
【0195】
集積回路242は、ミスト発生装置201に固有の識別子を記憶するメモリを有する。電気接点241は、集積回路242と通信するための電子的なインタフェースを提供する。
【0196】
プリント回路基板240は、この配置では、ミスト発生器ハウジング204の一側面の凹部244内に取り付けられている。集積回路242及び任意の他の電子部品243は、プリント回路基板240がミスト発生器ハウジング204の側面と概ね面一となるように、さらなる凹部245内に収まっている。
【0197】
この配置では、集積回路242は、製造業者からの純正ミスト発生器のみを装置と共に使用することを可能にする偽造防止機能を提供するワンタイム・プログラマブル(OTP)デバイスである。この偽造防止機能は、ミスト発生装置201に(プリント回路基板240と)接着される特定のカスタム集積回路(IC)として、ミスト発生装置201に実装される。ICとしてのOTPは、ミスト発生装置201(及びその内容物)のその寿命にわたる完全なトレーサビリティ、ならびに使用者による消費の正確な監視を可能にする真にユニークな情報を含んでいる。OTP ICにより、ミスト発生装置201は、許可された場合にのみミストを発生させるように機能することができる。
【0198】
OTPは、特徴として、特定のミスト発生装置201のオーソライズドステータスを規定する。実際、カルボニルの排出を防止し、エアロゾルを安全な水準に保つために、実験により、約1000秒間のエアロゾル化後にミスト発生装置201は液体チャンバ218内の液体が空になったと見なされることが示されている。そのようにして、純正品でない、又は空のミスト発生装置201は、この所定の使用時間の後、作動させることができなくなる。
【0199】
特徴としてのOTPは、デジタルセールポイント、モバイルコンパニオンアプリケーション、及びミスト発生装置201の連携による完全な連鎖の一部であってもよい。信頼できる当事者によって製造され、デジタルセールポイントで販売された純正のミスト発生装置201のみが水タバコ発生装置202で使用することが唾液る。OTP ICは、ミスト発生装置201を認識する水タバコ装置202によって読み取られる。
いくつかの配置では、OTP ICは、ミスト発生装置201と同じように使い捨てである。ミスト発生器201が空であるとみなされるときはいつでも、水タバコデバイス202に挿入された場合、それは活性化されない。同様に、偽造されたミスト発生装置201は、水タバコ装置202において機能しないであろう。
【0200】
図30~
図32は、動作中のミスト発生装置201内を空気が流れる様子を示す図である。
【0201】
液状の薬剤(ニコチンなど)を超音波処理することで霧状にする(エアロゾル化)。しかし、このミストは、上昇するエアロゾルを置換するのに十分な周囲空気が利用可能でなければ、超音波トランスデューサ215の上に沈降してしまう。超音波処理チャンバ219では、ミスト(エアロゾル)が発生し、ミスト出口ポート208を介して引き出されるため、空気を継続的に送達することが要求される。この要件に応えるために、空気流路が設けられる。この配置では、気流チャネルは11.5mm2の平均断面積を有し、これは平均的な使用者からの負圧に基づいて計算されて超音波照射チャンバ219に設計されている。これはまた、吸入されたエアロゾルのミスト対空気比を制御し、使用者に送達される薬物の量を制御する。
【0202】
設計要件に基づき、空気流路は、超音波処理チャンバ219の底部から開始するように経路設定される。エアロゾルチャンバの底部の開口部は、装置内の気流ブリッジへの開口部と整列し、かつこれに緊密に隣接している。空気流路は、リザーバに沿って垂直に上方に走り、超音波処理チャンバの中心(超音波トランスデューサ215と同心)まで続く。ここで、90°内側に曲がる。その後、流路は超音波トランスデューサ215から約1.5mmのところまで続いている。この経路により、超音波トランスデューサ215の霧化面の方向に直接送達される周囲空気が最大化される。空気は、チャネルを通ってトランスデューサに向かって流れ、生成されたミストを集めながら、ミスト出口ポート208を通って出て行く。
【0203】
ここで添付図面の
図33及び34を参照すると、いくつかの配置の水タバコ装置202は、既存の水タバコ246に取外し可能に取り付けられるように構成されている。水タバコ装置202は、そうでなければタバコと炭(又は電子加熱要素)を収容する従来の水タバコヘッドの代わりに、ステム247に取り付けられる。
【0204】
水タバコ246は、水室と、水室に取り付けられる第1の端部を有する細長いステム247とから構成される。ステム247は、ステム247の第2の端部から、ステム247を通り、第1の端部へ、そして水室内へ延びるミスト流路を構成している。
【0205】
この配置では、水タバコ装置202は、水タバコ246のステム247の第2の端部に取外し可能に取り付けられる。しかしながら、他の配置では、水タバコ装置202は、取り外し可能に設計されておらず、代わりに、水タバコ246のステム247に固定されているか、又はステム247と一体的に形成されている。
【0206】
添付図面の
図35~43を参照すると、水タバコ装置202は、互いに取り付けられるか又は取外し可能に取り付けられるベース249及びカバー250を組み込んだハウジング248から構成される。この配置では、ハウジング248は、円筒形であり、概して円盤状である。
【0207】
この配置では、カバー250は、空気が水タバコ装置202の中に引き込まれることを可能にするために、複数の空気入口251を備える。ベース249には、空気及びミストを水タバコ装置202から水タバコ246に流出させるための水タバコ流出口252が設けられている。水タバコ出口ポート252の直径は、使用者が水タバコ装置202を通って水タバコ246に空気を素早く引き込み、水タバコ246内の水中を移動するミストの気泡を発生させるのに十分なものである。
【0208】
この配置では、水タバコ出口ポート252は、水タバコ246のステム247の端部を受け入れる円形の開口部である。水タバコ装置202は、水タバコ装置202とステム247との間に概ね気密性の高いシールが形成された状態で、水タバコ246のステム247に支持される。
【0209】
この配置では、水タバコ装置202は、eリキッドを含む電子部品及びミスト発生装置がハウジング248内に収容された自己充足型の装置である。
【0210】
この配置では、水タバコ装置202は、互いに積み重ねられる上部支持プレート253、中間支持プレート254及び下部支持プレート255から構成される。支持プレート253~255は、水タバコ装置202内の複数のミスト発生装置201を支持する。各ミスト発生装置は、本開示で説明したようなミスト発生装置201である。この配置では、ミスト発生器201は、空のとき(すなわち、eリキッドが部分的又は完全に枯渇したとき)にミスト発生装置201を交換できるように、水タバコデバイス202に取外し可能に取り付けられている。
【0211】
この配置では、水タバコ装置202は、水タバコ装置202のコントローラによって制御される4つのミスト発生装置201からなる。他の配置では、水タバコ装置202は、複数のミスト発生装置201、例えば少なくとも2つのミスト発生装置201から構成される。
【0212】
水タバコ装置202は、水タバコ装置202のコントローラと各ミスト発生装置201の電気接点232及び233との間の電気的接続を確立する第1接点端子259を備える。水タバコ装置202は、水タバコ装置202のコントローラと各ミスト発生装置201のOTP PCB上の電気接点241との間の電気的接続を確立する第2の接点端子260を備える。
【0213】
この配置において、水タバコ装置202は、上部支持プレート253の上に配置される上部プリント回路基板(PCB)256と、中間支持プレート254と下部支持プレート255との間に配置される中間PCB257とから構成される。下部支持プレート255の下には、下PCB258が配置されている PCB256~258は、水タバコ装置202のドライバ装置を構成する電子部品を搭載している。PCB256~258は、各PCB256~258上の電子部品が互いに通信できるように、互いに電気的に結合されている。
【0214】
この配置では、3つのPCB256~258があるが、他の配置は、水タバコ装置202のドライバ装置の同じ機能を実行する1つのPCBのみ又は複数のPCBから構成されている。
【0215】
この配置では、水タバコ装置202は、支持プレート253~255が互いに取外し可能に取り付けられることを可能にする複数の磁石261からなる。支持プレート253~255とPCB256~258とが互いに積層され、ミスト発生装置201が支持プレート253~255の間に保持された状態で水タバコ装置202が組み立てられると、カバー250がベース249上に置かれ、複数のネジ262を用いてカバー250がベース249に取外し可能に取り付けられる。
【0216】
上部支持プレート253は、上部支持プレート253の一側面の中央に配置されるマニホールド263を構成している。この配置では、マニホールド263は、それぞれのミスト発生装置201の出口ポート208をそれぞれ受け入れる4つの開口部264(
図40ではそのうちの1つだけが見えている)を備えている。この配置では、水タバコ装置202は、互いに90°相対してマニホールドに取外し可能に結合される4つのミスト発生装置201からなる。他の配置では、マニホールド263は、水タバコ装置202と共に使用されるミスト発生装置201の数に対応するように異なる数の開口部264からなる。
【0217】
マニホールド263は、ミスト発生装置201によって発生したミストが結合してマニホールド263からマニホールドパイプ265の外に流下できるように、開口部264と流体連通しているマニホールドパイプ265から構成されている。水タバコ装置202が組み立てられると、マニホールドパイプ265は、中間支持プレート254の開口266及び中間PCB257の開口267を通って延びる。マニホールドパイプ265は、次に、下部支持プレート255を通って延びる出口パイプ268に接続し、下部支持プレートを通って水タバコ装置202の水タバコ出口ポート252に流体流路を提供する。
【0218】
出口パイプ268は、下部支持プレート255の下側から下方に延び、下部PCB258の開口部269を通っている。出口パイプ268は、次に、水タバコ装置202のベース249に設けられた開口部270を通って延びる。この配置では、出口パイプ268及び水タバコ出口ポート252は、水タバコ装置202を水タバコ246に取り付けるか又は取り付けるように構成された水タバコ取り付けアレンジメント271である。この配置では、水タバコ装置202は、水タバコのステム247の一部を水タバコ出口ポート252に挿入することによって、水タバコ246に取り付けられる。
【0219】
水タバコ出口ポート252は、
図42及び
図43に示すように、ミスト発生装置201によって発生したミストが水タバコ装置202から流出し、水タバコ246に入るような、ミスト発生装置201のミスト出口ポート208から、水タバコ装置202に出る流体の流路272を提供する。空気とミストの混合により、水タバコ246の水中には気泡が発生する。気泡は、吸入時に、水タバコの水鉢の水面上に上昇するミストとともに水面を抜け出し、パイプを伝って使用者に至る。
【0220】
この配置では、上部PCB256は、ミスト発生装置201のミスト出口ポート208の近傍における空気の圧力を感知する圧力センサを担持する。それにより、圧力センサは、使用者が水タバコを引き、流体流路272に沿ってミスト発生装置201を通して空気を吸引するとき、ミスト出口ポート208の近傍の負圧を検出する。圧力センサは、後述するように、水タバコ装置のコントローラに信号を提供し、コントローラがミスト発生装置201の少なくとも1つを作動させて、使用者が水タバコに吸引する際にミストを発生させるようにするためのものである。
【0221】
この配置では、下部PCB258は、水タバコ装置202の他の電子部品を制御し、電力を分配する電力制御構成要素273を担持する。いくつかの配置では、電力制御コンポーネント273は、水タバコ装置202に取外し可能に取り付けられている主電源アダプタなどの外部電源から電力を受け取る。この配置では、水タバコヘッド202は、20V~40Vの範囲のDC電圧で外部電源アダプタから電力を供給されるように構成される。
【0222】
他の配置では、水タバコ装置202は、水タバコ装置202内に組み込まれ、電力制御コンポーネント273に接続されるバッテリからなる。いくつかの配置では、バッテリーは、再充電可能なリポバッテリーである。いくつかの配置では、バッテリーは、20V~40VのDC電圧を出力するように構成される。いくつかの配置では、バッテリーは、高い放電率を有する。高い放電率は、ミスト発生装置201の超音波トランスデューサによって必要とされる電圧増幅のために必要である。高い放電率を有するという要件のために、いくつかの配置のリポバッテリは、連続的な電流引き込みのために特別に設計されている。いくつかの配置では、充電ポートが水タバコ装置202に設けられ、外部電源によってバッテリーを充電することができるようにする。
【0223】
中間PCB257は、水タバコ装置202のコントローラ又はコンピューティングデバイスのプロセッサ274及びメモリ275を組み込んでいる。この配置では、プロセッサ274とメモリ275は、水タバコ装置202内のドライバ装置の構成要素である。この配置では、ドライバ装置の機能は、プロセッサ274によって実行されると、プロセッサ274にドライバ装置を制御して少なくとも1つの機能を実行させるメモリ275に格納される実行可能な命令で実装される。ドライバ装置は、ミスト発生装置201の各々に電気的に接続される。この配置では、水タバコ装置202のドライバ装置は、I2Cデータバスのようなデータバスによって各ミスト発生装置201と通信するために結合される。
【0224】
この配置では、各ミスト発生装置201は、データバスを介してミスト発生装置201を制御する際に使用される一意の識別子によって識別される。
【0225】
いくつかの配置では、一意の識別子は、ミスト発生装置201のOTP ICに格納される。
【0226】
いくつかの配置では、ドライバ装置は、各それぞれのミスト発生装置を独立して制御する。いくつかの配置では、制御機能は、メモリ275に格納された実行可能な命令で実装される。独立した制御構成は、ドライバ装置が、他のミスト発生装置201から独立して各ミスト発生装置201を作動又は停止させることを可能にする。したがって、ドライバ装置は、1つ又は複数のミスト発生装置201を制御して、所定の要件に従って同時に又は交互にミストを発生させることができる。
【0227】
いくつかの配置では、ドライバ装置は、ミスト発生装置201を順番に連続して作動及び/又は停止させるように制御する。いくつかの配置では、ミスト発生装置201の作動のシーケンスは、ミストが水タバコの水室内の水を気泡で通過できるように十分に速く発生することを保証することによって、水タバコ装置202の動作を最適化する。いくつかの配置の水タバコ装置202は、それによって、使用者が水タバコマウスピースを引くと、ミストの気泡が水室内の水を通して高速で描かれることを可能にする。その結果、水溶性化合物(例えば、植物性グリセリン、香料など)は、使用者による吸入のためにミストの泡の中で水中を移動することができる。
【0228】
いくつかの配置では、ドライバ装置は、ミスト発生装置201を制御して、所定の時間の長さの間、順番に次々と起動させる。いくつかの配置では、ドライバ装置は、ミスト発生装置201が時計回り又は反時計回りの方向で次々と及び/又は一度に1つずつ起動されるように回転して起動するように、ミスト発生装置201を制御する。
【0229】
いくつかの配置では、ドライバ装置は、ミスト発生装置201を制御して、対で作動させる。いくつかの配置では、ドライバ装置は、2つのミスト発生装置201を同時に起動するように制御する;互いに隣接する2つのミスト発生装置201又は互いに対向する2つのミスト発生装置201のいずれかである。
【0230】
いくつかの配置では、ドライバ装置は、ミスト発生装置201が、その毛細管222にeリキッドを適切にくわえていない場合、又は液体チャンバ218がeリキッドの空又はほぼ空の場合、活性化されないように構成されている。これは、水タバコ装置202が正しい動作を維持することを保証することによって、水タバコ装置202の保護を提供する。
【0231】
水タバコ装置202のドライバ装置の電子機器(PCB256~258に分散している)は、後述するように分割されている。以下の説明では、1つのミスト発生装置201の制御について言及するが、フーカ装置202のドライバ装置が各ミスト発生装置201を同じように独立して制御することは理解されよう。
【0232】
粒子サイズが1um以下の最も効率的なエアロゾル化を得るために、ドライバ装置は、高い適応周波数(約3MHz)を有する超音波トランスデューサ215(圧電セラミックディスク(PZT))を受ける接点パッドを提供する。
【0233】
この部分は、高周波を提供するだけでなく、超音波トランスデューサ215を故障から保護しながら、常に最適化されたキャビテーションを提供する必要がある。
【0234】
PZTの機械的変形は、それに印加される交流電圧振幅と連動しており、超音波照射のたびにシステムの最適な機能及び送達を保証するためには、最大変形を常にPZTに送達する必要がある。
【0235】
しかし、PZTの故障を防ぐためには、PZTに伝達される有効電力を正確に制御する必要がある。
【0236】
プロセッサ274とメモリ275は、PZTの機械的な振動振幅を損なうことなく、PZTに与える有効電力の変調を瞬間的に制御するように構成されている。
【0237】
PZTに印加する交流電圧をPWM(Pulse Width Modulation)することで、振動の機械的な振幅を一定に保つことができる。
【0238】
実際、電圧変調の場合と同様に、実効デューティサイクル変調でも印加される実効電圧は同じになるが、PZTに伝達される有効電力は劣化する実際、以下の式で表される:
【0239】
【0240】
ここでは
【0241】
【0242】
第一高調波を考える場合、Irmsはトランスデューサに印加される実電圧の振幅の関数であり、パルス幅変調はトランスデューサに送達される電圧の持続時間を変化させるため、Irmsを制御する。
【0243】
PMICの具体的な設計は、最先端の設計を採用し、制御部が使用するフィードバックループと監視経路の完全なセットを含む、PZTに適用する周波数範囲とステップの超精密制御を可能にする。
【0244】
この配置では、ドライバ装置はDC/DC昇圧コンバータとトランスで構成され、PZT接点パッドに必要な電力を送達する。
【0245】
この配置では、ドライバ装置は、電池からの電圧を所定の周波数の交流駆動信号に変換して超音波トランスデューサを駆動するための交流ドライバで構成される。
【0246】
ドライバ装置は、超音波トランスデューサが交流駆動信号によって駆動されるときに超音波トランスデューサ(上述)によって使用される有効電力を監視するための有効電力監視アレンジメントを構成する。有効電力モニタリングアレンジメントは、超音波トランスデューサによって使用される有効電力を示すモニタリング信号を提供する。
【0247】
ドライバ装置内のプロセッサ274は、交流ドライバを制御し、有効電力監視アレンジメントから監視信号driveを受信する。
【0248】
ドライバ装置のメモリ275は、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに以下を行わせる命令を格納する:
A.交流ドライバを制御して、所定のスイープ周波数で超音波トランスデューサに交流駆動信号を出力させる;
B. 監視信号に基づいて、超音波トランスデューサによって使用されている有効電力を計算する;
C. 交流ドライバを制御して交流駆動信号を変調し、超音波トランスデューサが使用する有効電力を最大化する;
D. 超音波トランスデューサによって使用される最大有効電力と交流駆動信号のスイープ周波数の記録をメモリに保存する;
E. 所定の反復回数の後、スイープ周波数がスイープ開始周波数からスイープ終了周波数まで増加するように、各反復でスイープ周波数が増加しながら、ステップA-Dを所定の回数だけ繰り返す;
F. メモリに格納された記録から、超音波トランスデューサによって最大の有効電力が使用される交流駆動信号のスイープ周波数である交流駆動信号の最適周波数を特定する
G. 交流ドライバを制御して、最適な周波数で超音波トランスデューサに交流駆動信号を出力し、超音波トランスデューサを駆動して液体を霧化させる。
【0249】
いくつかの配置では、有効電力監視アレンジメントは、超音波トランスデューサを駆動する交流駆動信号の駆動電流を感知するための電流感知アレンジメントを備え、有効電力監視アレンジメントは、感知された駆動電流を示す監視信号を提供する。
【0250】
いくつかの配置では、電流感知アレンジメントは、感知された駆動電流をプロセッサによって処理するためのデジタル信号に変換するアナログ-デジタルトランスデューサを備える。
【0251】
いくつかの配置では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、スイープ周波数が2900kHzのスイープ開始周波数から2960kHzのスイープ終了周波数まで増加する上記のステップA~Dを繰り返すように命令することを記憶している。
【0252】
いくつかの配置では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、スイープ周波数が2900kHzのスイープ開始周波数から3100kHzのスイープ終了周波数まで増加する上記のステップA~Dを繰り返すように命令することを記憶している。
【0253】
いくつかの配置では、メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに:ステップGにおいて、最適周波数から所定のシフト量だけシフトされた周波数で超音波トランスデューサに交流駆動信号を出力するように交流ドライバを制御させる命令を格納する。
【0254】
いくつかの配置では、所定のシフト量は、最適な周波数の1~10%の間である。
【0255】
本装置に使用されている圧力センサーは、2つの目的を兼ねている。1つ目の目的は、音波エンジンの不要な偶発的な始動(超音波トランスデューサの駆動)を防止することである。この機能はデバイスの処理アレンジメントに実装されているが、低消費電力に最適化されており、真の吸入と呼ばれるものを正確に検出し分類するために、温度や周囲の圧力などの環境パラメータを内部補正と基準設定により常に測定している。
【0256】
圧力センサーの第二の目的は、正確な吸入量測定のために使用者の吸入時間を正確にモニターできるだけでなく、使用者の吸入の強さを判断できるようにすることである。全体として、吸入のたびに圧力プロファイルを完全に描き出し、吸入の終わりを予測してエアロゾル化の最適化を行うことができる。
【0257】
いくつかの配置では、水タバコ装置202は、BluetoothTM Low Energy(BLE)マイクロコントローラで構成される。これにより、極めて正確な吸入時間、最適化されたエアロゾル化、安全なミストを保証する多数のパラメータの監視、非純正のeリキッドやエアロゾルチャンバの使用防止、過熱のリスクに対するデバイスとオーバーミストに対する使用者の保護の両方を、一度に実現することが可能になった。
【0258】
BLEマイクロコントローラを使用することで、無線アップデートが可能になり、匿名化されたデータ収集とPZTモデリング用のトレーニング済みAIに基づいて、改善されたソフトウェアを使用者に継続的に提供できる。
【0259】
水タバコ装置202は、毎日の顧客の使用のための正確で、信頼できる、安全なエアロゾル化ソリューションであり、そのため、制御され、信頼できるエアロゾル化を提供する必要がある。
【0260】
これは、次のようにいくつかのセクションに分けることができる内部メソッドによって実行される。
【0261】
ソニケーション
最も最適なエアロゾル化を提供するために、超音波トランスデューサ(PZT)又は各ミスト発生装置201は、最も効率的な方法で振動する必要がある。
【0262】
周波数
圧電セラミックスの電気機械的特性から、部品は共振周波数で最も効率が高くなる。しかし、PZTを長時間共振させ続けると、部品が破損し、エアロゾルチャンバが使用できなくなることが避けられない。
【0263】
また、圧電材料を使用する際の重要なポイントとして、製造時のばらつきと、温度や寿命によるばらつきがある。
【0264】
1um以下の液滴を生成するためにPZTを3MHzで共振させるには、吸入のたびに、装置で使用するすべてのエアロゾルチャンバ内で特定のPZTの「スイートスポット」を探し、ターゲットするための適応的な方法が必要である。
【0265】
スイープ
吸入のたびに「スイートスポット」を特定する必要があるため、また使いすぎのため、PZTの温度は社内のダブルスイープ方式で変化している。
【0266】
最初のスイープは、装置が特定のエアロゾル・チャンバで、すべての熱放散が起こり、PZTが「デフォルト温度」まで冷却するのに十分と考えられる時間使用されていないときに使用される。この手順は、コールドスタートとも呼ばれる。この手順の間、PZTは必要なエアロゾルを生成するためにブーストが必要である。これは、広範な研究と実験を考慮し、共振点をカバーする2900kHzから2960kHzの間の周波数の小さなサブセットのみを通過することで達成される。
【0267】
この範囲内の各周波数は、音波エンジンが作動し、PZTを通過する電流が積極的に監視され、アナログ・デジタル・コンバータ(ADC)を介してマイクロコントローラによって保存され、PZTが使用する電力を正確に差し引くことができるように電流に変換される。
【0268】
これにより、周波数に関するPZTのコールドプロファイルが得られ、吸入中に使用される周波数は、最も電流を使用するもの、つまり最も低いインピーダンスの周波数となる。
【0269】
2回目のスイープは、その後の吸入中に行われ、温度と変形に関するPZTプロファイルの修正により、2900kHzから3100kHzの間の全周波数範囲をカバーする。このホットプロファイルは、適用するシフトを決定するために使用される。
【0270】
シフト
エアロゾル化が最適でなければならないため、低温吸入時にはシフトは使用されず、PZTは共振周波数で振動することになる。これは、短時間で繰り返さない限り起こりえず、そうでなければPZTは必然的に壊れる。
【0271】
しかし、シフトは、低インピーダンス周波数をターゲットとする方法として、ほとんどの吸入時に使用され、故障から保護しながらPZTの準最適な動作を実現する。
【0272】
吸入中にホットプロファイルとコールドプロファイルが保存されるので、マイクロコントローラは、スイープ中にPZTを流れる電流の測定値にしたがって適切なシフト周波数を選択し、安全な機械的動作を保証することができる。
【0273】
圧電部品は、二重共鳴/反共鳴周波数の外側と内側とでは挙動が異なるため、シフトする方向の選択が重要である。PZTは誘導性であり、容量性ではないので、選択するシフトは常に共振周波数と反共振周波数で定義されるこの範囲であるべきである。
【0274】
最後に、最低インピーダンスに近いが共振から十分離れるように、シフトの割合は10%以下に維持される。
【0275】
調整
PZTの本質的な性質により、吸入は毎回異なる。ピエゾ素子以外にも、エアロゾルチャンバ内に残っているeリキッドの量、ガーゼのウィッキング状態、デバイスのバッテリーレベルなど、数多くのパラメータが吸入の結果に影響を及ぼす。
【0276】
このため、エアロゾルチャンバ内のPZTが使用する電流を常時モニターし、マイクロコントローラーが周波数やデューティサイクルなどのパラメータを常に調整することで、エアロゾルチャンバにあらかじめ定義された範囲内で最も安定した電力を供給し、最も最適な安全エアロゾル化に関する研究及び実験結果に基づいている。
【0277】
バッテリー監視
いくつかの配置では、バッテリーは、水タバコ装置202内に統合されている。これらの配置では、水タバコ装置202は、水タバコ装置202に必要な電圧を提供するDC リポバッテリーによって給電される。高い放電速度を有するという要件のために、いくつかの配置のリポバッテリーは、連続的な電流引き込みのために特別に設計されている。
【0278】
超音波発生部を作動させると電池の電圧が低下し、大きく変動するため、マイクロコントローラーはエアロゾル室内のPZTが使用する電力を常に監視し、適切かつ安全なエアロゾル発生を保証している。
【0279】
また、エアロゾル化の鍵は制御であるため、この装置はまず、装置の制御・情報部が常に機能し、超音波処理部の不利益となるような停止をしないことを保証している。
【0280】
このため、調整方法はリアルタイムのバッテリー残量を大きく考慮し、必要であれば、バッテリーを安全なレベルに維持するためにデューティサイクルなどのパラメーターを変更し、ソニックエンジン始動前にバッテリー残量が少なくなった場合、制御・情報セクションが始動を阻止するようになっている。
【0281】
パワーコントロール
エアロゾル化の鍵は制御であると言われるように、この装置で使われている方法は、PZTのプロファイル、PZT内部の電流、装置のバッテリーレベルを常に考慮したリアルタイムの多次元関数である。
【0282】
これらはすべて、最適な吸入を実現するために装置のあらゆる要素を監視・制御できるマイクロコントローラーの使用によってのみ達成可能である。
【0283】
インターバル
ピエゾ電気部品に依存しているため、吸入が停止すると超音波照射部が作動しないようになっている。2回の吸入の間の安全ディレイは、前の吸入の持続時間によって適応される。これにより、次の作動の前にガーゼが適切に吸引されるようになる。
【0284】
この機能により、デバイスは安全に動作し、PZT素子を破損したり、使用者を有毒成分にさらすことなく、エアロゾル化をより最適な状態にすることができる。
【0285】
コネクティビティ(BLE)
デバイスの制御・情報部は、Bluetooth Low Energy対応マイクロコントローラーによる無線通信システムで構成されている。無線通信システムは、デバイスのプロセッサと通信し、ドライバーデバイスとスマートフォンなどのコンピューティングデバイスとの間でデータを送受信するように構成されている。
【0286】
Bluetooth Low Energyによるコンパニオン・モバイル・アプリケーションとの接続は、この通信に必要な電力が小さいため、Wi-Fi、従来のBluetooth、GSM、さらにはLTE-MやNB-IOTなどの従来の無線接続ソリューションと比較して、まったく使用しない場合でもデバイスを長期間にわたって機能させ続けることが可能である。
【0287】
最も重要なのは、この接続性によって、機能としてのOTPと、吸入の完全な制御と安全性が実現されることである。吸入の共振周波数から使用したもの、又は使用者によって作られた陰圧と持続時間に至るまで、あらゆるデータが保存され、さらなる分析と組み込みソフトウェアの改良のためにBLEを介して転送される。
【0288】
最後に、この接続性により、機器内部及び無線(OTA)で組み込みファームウェアの更新が可能になり、常に最新バージョンを迅速に展開できることが保証される。これにより、デバイスの拡張性が高まり、デバイスがメンテナンスされることが保証される。
【0289】
電子タバコのエアロゾル化は、液体を直接加熱するのではなく、圧電ディスクの機械的作用によって達成されるため、電子タバコの個々の成分(プロピレングリコール、植物性グリセリン、香料成分など)はほとんどそのままで、従来の電子タバコで見られた高い割合でアクロレイン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどの小さな有害成分に分解されない。
【0290】
超音波技術を含む上記の全ての用途は、最適な性能のために超音波処理の周波数を最適化する周波数コントローラによって達成される最適化から利益を得ることができる。
【0291】
本書の開示は、ニコチン送達のための使用に限定されないことが理解されよう。本書に開示される装置は、任意の薬剤、又は他の化合物(CBDなど)と共に使用するためのものであり、薬剤又は化合物は、装置によるエアロゾル化のために装置の液体チャンバ内で液体で提供される。
【0292】
いくつかの配置の水タバコ装置202は、炭又は電気要素からの熱を使用してタバコを燃やす従来の水タバコヘッドに代わる健康的なものである。それにもかかわらず、いくつかの配置の水タバコ装置202は、水タバコの水中のミストの気泡により、依然として従来の水タバコと同じユーザー体験を提供する。したがって、使用者は、従来のタバコを燃やす水タバコの代わりに、いくつかの配置の超音波水タバコ装置202を使用し、それによって水タバコでタバコを吸うことの危険性を避けたいと思う可能性が高い。
【0293】
前述は、当業者が本開示の様々な側面をより良く理解できるように、いくつかの配置又は実施形態の特徴を概説したものである。当業者は、本書に導入された様々な配置又は実施形態の同じ目的を遂行し及び/又は同じ利点を達成するための他のプロセス及び構造を設計又は修正するための基礎として本開示を容易に使用し得ることを理解するべきである。また、当業者は、そのような同等の構造が本開示の精神及び範囲から逸脱しないこと、並びに、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本書に様々な変更、置換、及び改変を行うことができることを認識すべきである。
【0294】
構造的特徴又は方法論的行為に特有の言語で主題を説明してきたが、添付の請求項の主題は、必ずしも上記の特定の特徴又は行為に限定されないことが理解される。むしろ、上述した特定の特徴や行為は、請求項の少なくとも一部を実施するための例示的な形態として開示されている。
【0295】
本書では、例又は実施形態の様々な動作が提供される。動作の一部又は全部が説明される順序は、これらの動作が必ずしも順序に依存することを意味するように解釈されるべきではない。代替的な順序は、本書の利益を有することが理解されるであろう。さらに、すべての操作が、本書で提供される各実施形態に必ずしも存在するわけではないことが理解されよう。また、いくつかの例又は実施形態において、すべての操作が必要であるとは限らないことも理解されよう。
【0296】
さらに、「例示的な」は、本書では、例、インスタンス、イラストレーションなどとして役立つことを意味し、必ずしも有利であるとは限らない。本願で使用される「又は」は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することが意図される。さらに、本願及び添付の特許請求の範囲で使用される「a」及び「an」は、他に指定されない限り、又は文脈から単数形に向けられることが明らかでない限り、一般に「1つ又は複数」を意味するものと解釈される。さらに、「含む」、「有する」、「有する」、「有する」、又はそれらの変形が使用される限り、かかる用語は、用語「含む」と同様の方法で包括的であることを意図している。また、特に断らない限り、「第1」、「第2」などは、時間的側面、空間的側面、順序などを示唆することを意図していない。
【0297】
むしろ、このような用語は、特徴、要素、アイテムなどの識別子、名称などとして使用されるに過ぎない。
【0298】
例えば、第1の要素及び第2の要素は、一般に、要素A及び要素B、又は2つの異なる要素もしくは2つの同一の要素又は同一の要素に対応する。
【0299】
また、本開示は、1つ以上の実施態様に関して示され、説明されてきたが、本書及び付属図面の読解及び理解に基づき、当業者の他の者には、同等の変更及び修正が生じるであろう。本開示は、すべてのそのような変更及び修正を含み、以下の請求項の範囲によってのみ制限される。特に、上述した特徴(例えば、要素、資源など)によって実行される様々な機能に関して、そのような特徴を説明するために使用される用語は、特に示されない限り、開示された構造と構造的に同等ではないとしても、説明された特徴の所定の機能を実行する任意の特徴(例えば、機能的に同等である)に対応すると意図されている。加えて、本開示の特定の特徴は、いくつかの実施態様のうちの1つに関してのみ開示されたかもしれないが、かかる特徴は、任意の所与の又は特定の用途に対して所望され有利であるように、他の実施態様の1つ又は複数の他の特徴と組み合わされるかもしれない。
【0300】
本書に記載された主題及び機能的動作の例又は実施形態は、本書に開示された構造及びそれらの構造的等価物を含むデジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアで、又はそれらの1つ以上の組み合わせで実装され得る。
【0301】
いくつかの例又は実施形態は、データ処理装置による実行、又はデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールを使用して実装される。コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステム又は組込みシステムにおけるハードドライブなどの製造品とすることができる。コンピュータ可読媒体は、有線又は無線ネットワークを介したコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールの配信などによって、別々に取得し、後にコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールで符号化することができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、記憶装置、又はそれらの1つ以上の組合せとすることができる。
【0302】
「計算装置」及び「データ処理装置」という用語は、データを処理するためのすべての装置、デバイス、及び機械を包含し、例としてプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサやコンピュータが含まれる。装置は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を構築するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、ランタイム環境、又はそれらの1つ以上の組合せを構成するコードを含むことが可能である。さらに、本装置は、ウェブサービス、分散コンピューティング、グリッドコンピューティング基盤など、様々な異なるコンピューティングモデル基盤を採用することができる。
本書に記載されたプロセス及び論理フローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行され、入力データに対して動作し、出力を生成することによって機能を実行することが可能である。
【0303】
コンピュータ・プログラムの実行に適したプロセッサには、一例として、汎用及び特殊目的のマイクロプロセッサ、及びあらゆる種類のデジタル・コンピュータの任意の1つ又は複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令とデータを受け取ることになる。コンピュータの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令とデータを格納するための1つ以上のメモリ装置である。一般に、コンピュータは、データを格納するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクからデータを受信するか、又はその両方にデータを転送するように動作可能に結合されるか、又はその両方を含むことになる。しかしながら、コンピュータはそのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令及びデータを格納するのに適したデバイスには、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスが含まれる。
【0304】
本書において、「compose」は「含む、構成する」を意味し、「comprising」は「含む、構成する」を意味する。
【0305】
前述の説明、又は以下の請求項、又は添付図面に開示された特徴は、それらの具体的な形態で、又は開示された機能を実行するための手段、又は開示された結果を達成するための方法又はプロセスの観点から適宜表現され、別々に、又はそれらの特徴の任意の組み合わせで、その多様な形態で発明を実現するために利用されることができる。