(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】空気調和装置、空気調和システムおよび空気調和装置を監視する方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20231205BHJP
F24F 11/32 20180101ALI20231205BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20231205BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20231205BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20231205BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20231205BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20231205BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20231205BHJP
F24F 11/41 20180101ALI20231205BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F11/32
F25B49/02 520M
F24F11/52
F24F11/89
F24F11/88
F24F11/63
F24F11/64
F24F11/41 240
(21)【出願番号】P 2022552242
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(86)【国際出願番号】 JP2021000039
(87)【国際公開番号】W WO2021176826
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-29
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】河野 聡
(72)【発明者】
【氏名】荒屋 享司
(72)【発明者】
【氏名】福田 和也
(72)【発明者】
【氏名】豊田 竜一
(72)【発明者】
【氏名】深川 一成
(72)【発明者】
【氏名】井上 誠
(72)【発明者】
【氏名】北川 奈津子
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特許第6233546(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0178229(US,A1)
【文献】特開2014-224612(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195367(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/077696(WO,A1)
【文献】特開2016-223640(JP,A)
【文献】特開2017-009268(JP,A)
【文献】特開2019-052785(JP,A)
【文献】特開2019-143877(JP,A)
【文献】特開2017-048993(JP,A)
【文献】特開2012-013348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流路と、
前記空気流路を通過する空気流を生じさせるよう構成されるファンと、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記空気流路に配置される熱交換器と、
冷媒を前記熱交換器に供給するとともに前記熱交換器から前記冷媒を吐出するための冷媒管と、
前記空気流路に配置される半導体ガスセンサであって、少なくとも所定の冷媒に反応して該半導体ガスセンサの反応の強度のレベルを示す検出値を出力する半導体ガスセンサと、
前記ファンが動作中であるときに前記検出値が第一閾値以上である場合に冷媒漏洩が発生したと決定するよう構成される第一判定部と、
前記ファンが動作中ではないときに前記検出値が第二閾値以上である場合、暫定的動作としてファンの動作を始動し、そして前記ファンの前記暫定的動作を停止して、前記ファンの前記暫定的動作を停止した後の前記検出値が第三閾値以上である場合には冷媒漏洩が発生したと決定するよう構成される第二判定部であって、前記第二閾値が前記第一閾値と同一または前記第一閾値とは異なり、前記第三閾値が前記第一閾値および前記第二閾値のそれぞれと同一または前記第一閾値および前記第二閾値のそれぞれとは異なる第二判定部と、
前記第一判定部および前記第二判定部のいずれか一方によって冷媒漏洩が発生したと決定されたとき、警告情報を出力するかつ/または前記熱交換器への冷媒の供給を制限する所定の対応動作を行うよう、構成される検出結果利用部と、
を備える空気調和装置。
【請求項2】
前記冷媒管の一つに配置される膨張機構、をさらに備えており、
前記膨張機構と、前記熱交換器に接続されている冷媒管の少なくとも一部分と、は前記空気流路に配置されている、空気調和装置。
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記熱交換器および前記冷媒管は、冷媒圧縮器を含むヒートポンプ回路の一部を形成しており、
前記対応動作には、前記冷媒圧縮器の動作を停止させる信号の出力が含まれる、
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記冷媒管は、液側遮断弁およびガス側遮断弁がそれぞれ配置される液冷媒管およびガス冷媒管の一部であり、
前記対応動作には、前記液側遮断弁および前記ガス側遮断弁を閉じるための信号の出力が含まれる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記熱交換器および前記冷媒管は、冷媒圧縮器を含むヒートポンプ回路の一部を形成しており、
前記対応動作には、前記液側遮断弁を閉じる工程と、所定の条件が満たされるまで前記冷媒圧縮器を動作させる工程と、ガス側遮断弁を閉じる工程と、をこの順序で実行させるための信号の出力が含まれる、
請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記所定の対応動作には、内部の空気を排出するよう構成される空気排出機が設置される空間と前記空気流路が連通している場合に、前記空気
排出機の動作を始動するための信号の出力が含まれる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記半導体ガスセンサは、前記熱交換器に対して前記空気流の下流側に配置されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記所定の冷媒はR32冷媒であり、
前記半導体ガスセンサは、前記空気流路の内側底面に配置されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記半導体ガスセンサの周囲の環境に関する検出環境情報を取得するよう構成される情報取得部、をさらに備えており、
前記第一判定部は、さらに、前記取得した検出環境情報に基づいて前記第一閾値の値を変更するよう構成されている、
請求項1~8のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記第二判定部は、さらに、
前記ファンの前記暫定的動作を始動した後に第一時間が経過したときに、前記ファンの前記暫定的動作を停止し、
前記ファンの前記暫定的動作を停止した後の前記検出値が前記第三閾値以上か否かを繰り返し判定し、
前記ファンの前記暫定的動作を停止した後に前記第一時間と同一であるまたは前記第一時間とは異なる第二時間が経過するまでに前記検出値が前記第三閾値以上であると決定されたときに、冷媒漏洩が発生したと決定する、
ように構成されている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項11】
前記第二判定部は、さらに、
前記暫定的動作と、前記検出値が前記第三閾値以上か否かの判定と、を実行し、
次いで、
前記暫定的動作と、前記検出値が前記第三閾値以上か否かの判定と、を、最後の暫定的動作の後の前記第二時間内に前記検出値が前記第三閾値以上
であると決定されている限り、所定の回数まで繰り返し、
前記所定の回数の前記暫定的動作のそれぞれの暫定的動作の後の前記第二時間内に前記検出値が前記第三閾値以上であると連続して決定された場合、冷媒漏洩が発生したと決定する、
ように構成されている、
請求項10に記載の空気調和装置。
【請求項12】
前記半導体ガスセンサは、前記検出値を連続的にまたは繰り返し出力するよう構成され、
前記ファンが動作中には、前記ファンが前記暫定的動作である場合を除き、前記第一判定部は、前記検出値を前記第一閾値と連続的にまたは繰り返し比較するよう構成され、
前記第二判定部は、前記ファンが動作していない際には前記ファンの前記暫定的動作後を除いて前記検出値を前記第二閾値と連続的にまたは繰り返し比較するように、そして前記ファンの前記暫定的動作後前記ファンが動作していない間に冷媒漏洩が発生したか否かを判定するよう前記検出値と前記第三閾値とを連続的にまたは繰り返し比較するように、構成されている、
請求項10または11に記載の空気調和装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の空気調和装置である利用側ユニットと、
冷媒を用いて前記利用側ユニットに冷たい温度および/または熱い温度を供給するよう構成される熱源側ユニットと、
前記熱源側ユニットの動作を制御するよう構成されるシステムコントローラと、
を備え、
前記システムコントローラは、さらに、前記ファンが前記暫定的動作の間、前記熱源側ユニットの動作を続けるよう構成される、空気調和システム。
【請求項14】
空気流路と、前記空気流路を通過する空気流を生じさせるよう構成されるファンと、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記空気流路に配置される熱交換器と、冷媒を前記熱交換器に供給するとともに前記熱交換器から前記冷媒を吐出するための冷媒管と、前記空気流路に配置される半導体ガスセンサであって少なくとも所定の冷媒に反応して該半導体ガスセンサの反応の強度のレベルを示す検出値を出力する半導体ガスセンサと、を備える空気調和装置を監視する方法であって、
前記ファンが動作中であるときに前記検出値が第一閾値以上である場合に冷媒漏洩が発生したと決定する工程と、
前記ファンが動作中でないときに前記検出値が第二閾値以上である場合、暫定的動作として前記ファンの動作を始動する工程であって、前記第二閾値が前記第一閾値と同一または前記第一閾値とは異なる工程と、
前記ファンの前記暫定的動作を停止する工程と、
前記ファンの前記暫定的動作を停止した後の前記検出値が第三閾値以上である場合、冷媒漏洩が発生したと決定する工程であって、前記第三閾値が前記第一閾値および前記第二閾値のそれぞれと同一または前記第一閾値および前記第二閾値のそれぞれとは異なる工程と、
冷媒漏洩が発生したと決定したときに、警告情報を出力するかつ/または前記熱交換器への冷媒の供給を制限する所定の対応動作を行う工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、空気調和装置、空気調和システムおよび空気調和装置を監視する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(欧州特許出願公開公報第3396261号(EP3396261A1))には、半導体ガスセンサを用いて空気調和装置内における冷媒漏洩の発生を検出するよう構成される空気調和装置が提案されている。空気調和装置は、例えば冷媒漏洩の発生が検出されたときに警告情報を出力するなどの動作を行うよう構成される。冷媒漏洩が空気調和装置で生じたときに、特に可燃性冷媒または微燃性冷媒が用いられている場合に、必要な安全対策をとることは重要である。半導体ガスセンサは、一般的には容易にかつ安価に入手可能である。このため、空気調和装置の安全性を低コストで高めることができる。
【0003】
一方、半導体ガスセンサは、冷媒等の対象物質だけでなくまた、炭化水素等の他の物質(以下「対象外物質」という)にも反応する。例えば、化学物質のガスおよび/または粒子(以下「化学物質」というする)が空気調和装置によって空気調和される空間および/または空気調和装置が配置される空間(以下「対象空間」という)に存在するときに、半導体ガスセンサは化学物質を検出でき、高い検出値を出力してしまうことになる。その結果、冷媒漏洩が発生したと誤って判断されることになる。このような誤検出によって、多くの不必要な対応が行われてしまう。
【0004】
この点に関しては、特許文献1(欧州特許出願公開公報第3396261号)には、非対象物質を吸着するよう構成される微粒子吸着フィルタとして多孔物質を使用することが、さらに提案されている。多孔物質は、空気調和装置の空気入口を覆うよう配置されている。これにより、冷媒漏洩検出に対する非対象物質の影響を低減することができる。
【0005】
しかしながら、予期しない非対象物質が存在するときに、多孔物質が必ずしも適切に機能するとは限らない。このため、誤検出を効果的に低減することはできない。一方で、漏れの判断に用いる検出値の閾値を、このような誤検出を回避するために上げると、実際の冷媒漏洩を検出し損なうことになる。このような検出漏れによって、必要な安全対策がとられなくなってしまう。また、多孔物質によって空気入口を覆うことによって、空気の吸引抵抗が増加する。このため、空気調和装置の空気調和性能が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、空気調和性能を低下することなく空気調和装置および空気調和システムの使いやすさおよび安全性を向上させることである。
【0008】
本発明の第一面では、空気流路とファンと熱交換器と冷媒管と半導体ガスセンサと第一判定部と第二判定部と検出結果利用部とを備える空気調和装置を提供する。ファンは、空気流路を通過する空気流を生じさせるよう構成される。熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう空気流路に配置される。冷媒管は、冷媒を熱交換器に供給するとともに、熱交換器から冷媒を吐出する。半導体ガスセンサは、空気流路に配置される。半導体ガスセンサは、少なくとも所定の冷媒に反応して半導体ガスセンサの反応の強度のレベルを示す検出値を出力する。第一判定部は、ファンが動作中であるときに検出値が第一閾値以上である場合に冷媒漏洩が発生したと決定するよう構成される。第二判定部は、ファンが動作中ではないときに検出値が第二閾値以上である場合、暫定的動作としてファンの動作を始動し、そしてファンの暫定的動作を停止して、ファンの暫定的動作を停止した後の検出値が第三閾値以上である場合には冷媒漏洩が発生したと決定するよう構成される。第二閾値は、第一閾値と同一または第一閾値とは異なる。第三閾値は、第一閾値および第二閾値のそれぞれと同一または第一閾値および第二閾値のそれぞれとは異なる。検出結果利用部は、第一判定部および第二判定部のいずれか一方によって冷媒漏洩が発生したと決定されたとき、警告情報を出力するかつ/または熱交換器への冷媒の供給を制限する所定の対応動作を行うよう、構成される。
【0009】
上記の構成では、冷媒漏洩検出は、空気流路に配置される半導体ガスセンサを用いて行われる。空気流路には、ファンの動作によって空気流が発生する空気調和装置における任意の空間を含めることができる。ファンの動作の際にセンサから出力される検出値が高いときに、安全対策としての所定の対応動作が速やかに行われる。一方、ファンが動作していない際にセンサから出力される検出値が高いときには、ファンの動作として先ず暫定的動作が行われる。その後、検出値がまだ高いかまたはファンの暫定的動作後さらに高くなった場合には、所定の対応動作が行われる。ここで暫定的動作は、空気調和装置の空気調和動作とは独立して一定時間実行される動作であると言うことができる。
【0010】
空気調和装置の冷媒の漏れは、熱交換器においてまたはその周辺において発生する傾向があり、そして一定期間続く傾向がある。したがって、冷媒漏洩が発生している場合には、センサの周囲の空気(以下「センサ雰囲気空気」という)をファンの動作によって撹拌または換気したとしても、空気中の冷媒の密度は低下しないと考えられる。また、センサ雰囲気空気における冷媒の密度が低下したとしても、ファンの動作が停止された後にはすぐに増加し始める。
【0011】
一方、対象空間における化学物質の発生はそれほど長く続かない。対象空間における化学物質の発生が続くとしても、化学物質の発生箇所は冷媒漏洩箇所と比較してセンサから離れている。このため、センサ雰囲気空気に達した非対象物質としての化学物質はファンの動作によって容易に希釈され、そしてセンサ雰囲気空気における化学物質の密度はファンが動作中には高くならないと考えられる。また、ファンが停止した後センサ雰囲気空気における化学物質の密度が再び増加するまで時間がかかる。
【0012】
こうして、第一面にかかる空気調和装置により、可能な限り誤検出および検出抜けを回避しながら空気調和装置の冷媒漏洩の発生を検出することができ、したがって、必要なときにのみ可能な限り早く必要な安全対策をとることができる。また、特許文献1(欧州特許出願公開公報第3396261号)において提案されている非対象物質を吸着するための多孔物質を必要としない。したがって、空気調和性能を低下することなく非常に使いやすく安全性が高い空気調和装置に提供することができる。
【0013】
上述した空気調和装置の好ましい態様では、空気調和装置は、さらに、冷媒管の一つに配置される膨張機構を備える。膨張機構と、熱交換器に接続されている冷媒管の少なくとも一部分と、は空気流路に配置されている。
【0014】
上記の構成により、膨張機構からの冷媒漏洩を、そして膨張機構および熱交換器と接続している冷媒管の部分からの冷媒漏洩を、空気流路に配置される半導体ガスセンサによって検出することができる。熱交換器だけでなく膨張機構および上記の部分もまた比較的冷媒漏洩箇所となりやすい。このことから、空気調和装置の安全性をさらに改善することができる。
【0015】
上述した空気調和装置のうちのいずれか一において他の好ましい態様では、熱交換器および冷媒管は、冷媒圧縮器を含むヒートポンプ回路の一部を形成する。また、対応動作には、冷媒圧縮器の動作を停止させる信号の出力が含まれる。
【0016】
上記の構成により、冷媒漏洩が発生したときには、冷媒圧縮器の動作を停止させ、空気調和装置への冷媒のさらなる供給を停止することができる。このことから、空気調和装置の安全性をさらに改善することができる。
【0017】
上述した空気調和装置のうちのいずれか一においてさらなる他の好ましい態様では、冷媒管は、液側遮断弁およびガス側遮断弁がそれぞれ配置される液冷媒管およびガス冷媒管の一部である。また、対応動作には、液側遮断弁およびガス側遮断弁を閉じるための信号の出力が含まれる。
【0018】
上記の構成により、冷媒漏洩が発生したときには、冷媒圧縮器への空気調和装置の接続を遮断し、空気調和装置への冷媒のさらなる供給を停止することができる。このことから、空気調和装置の安全性をさらに改善することができる。
【0019】
上述した空気調和装置のうちのいずれか一においてさらなる他の好ましい態様では、熱交換器および冷媒管は、冷媒圧縮器を含むヒートポンプ回路の一部を形成している。また、対応動作には、液側遮断弁を閉じる工程と、所定の条件が満たされるまで冷媒圧縮器を動作させる工程と、ガス側遮断弁を閉じる工程と、をこの順序で実行させるための信号の出力が含まれる。
【0020】
上記の構成により、冷媒漏洩が発生したときには、空気調和装置内の冷媒をポンプダウン動作によって回収し、空気調和装置からの冷媒のさらなる漏れを回避することができる。このことから、空気調和装置の安全性をさらに改善することができる。
【0021】
上述した空気調和装置のうちのいずれか一においてさらなる他の好ましい態様では、所定の対応動作には、内部の空気を排出するよう構成される空気排出機が設置される空間と空気流路が連通している場合に、熱交換器への冷媒の供給が限定された後に空気ファンの動作を始動するための信号の出力が含まれる。
【0022】
上記の構成により、冷媒漏洩が発生したときには、空気調和装置の対象空間を換気して、対象空間に存在している漏れた冷媒を希釈または排出することができる。このことから、空気調和装置の安全性をさらに改善することができる。
【0023】
上述した空気調和装置のうちのいずれか一においてさらなる他の好ましい態様では、半導体ガスセンサは、熱交換器に対して空気流の下流側に配置されている。
【0024】
上記の構成により、熱交換器でまたはその周辺において冷媒漏洩が発生したときには、漏れた冷媒をセンサ雰囲気空気へと向けて流すことができ、したがって、半導体ガスセンサによってより確実に検出することができる。このことから、空気調和装置の安全性をさらに改善することができる。
【0025】
上述した空気調和装置のうちのいずれか一においてさらなる他の好ましい態様では、所定の冷媒はR32冷媒であり、半導体ガスセンサは、空気流路の内側底面に配置されている。
【0026】
上記の構成により、R32冷媒は空気より重いので、熱交換器でまたはその周辺において冷媒漏洩が発生したときには、漏れた冷媒を下に向けてセンサ雰囲気空気へと流すことができる。R32冷媒には、オゾン層破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数が低いという特性がある。したがって、確実に安全性を高めながら環境にやさしい空気調和装置を達成することができる。
【0027】
上述した空気調和装置のうちのいずれか一においてさらなる他の好ましい態様では、空気調和装置はさらに、半導体ガスセンサの周囲の環境に関する検出環境情報を取得するよう構成される情報取得部を備える。第一判定部は、さらに、取得した検出環境情報に基づいて第一閾値の値を変更するよう構成される。
【0028】
センサ雰囲気空気における漏れた冷媒の密度は、半導体ガスセンサの周囲の環境に応じて変化することになる。例えば、ファンによる空気の流れの量が大きい場合、漏れた冷媒の密度は低くなる傾向がある。センサ雰囲気空気の湿度が低い場合、半導体ガスセンサは非対象物質により反応する傾向がある。このように、上記の構成によって、空気調和装置の安全性および使いやすさを向上するために冷媒漏洩検出の精度を改善することができる。
【0029】
上述した空気調和装置のうちのいずれか一においてさらなる他の好ましい態様では、第二判定部は、さらに、ファンの暫定的動作を始動した後に第一時間が経過したときに、ファンの暫定的動作を停止し、ファンの暫定的動作を停止した後の検出値が第三閾値以上か否かを繰り返し判定し、ファンの暫定的動作を停止した後に第一時間と同一であるまたは第一時間とは異なる第二時間が経過するまでに検出値が第三閾値以上であると決定されたときに、冷媒漏洩が発生したと決定するよう構成される。
【0030】
ファンの暫定的動作の時間があまりに短い場合、センサ雰囲気空気における非対象物質の密度は、冷媒漏洩と区別するほど十分には低いレベルに低下しないであろう。一方、上記の時間があまりに長い場合、冷媒漏洩が発生したと決定するには不必要なほど長い時間となるであろう。また、暫定的動作と冷媒漏洩が発生したか否かの決定(以下「冷媒漏洩の決定」という)との間の経過時間があまりに短い場合、非対象物質の存在と区別するほど十分に高いレベルまで、センサ雰囲気空気の漏れた冷媒の密度は増加しないであろう。一方、上記の経過時間があまりに長い場合、冷媒漏洩が発生したと決定するには不必要なほど長い時間となるであろう。
【0031】
この点で、上記の構成によって、空気調和装置の安全性および使いやすさを向上するために冷媒漏洩検出の精度を改善することができる。冷媒漏洩の発生を高精度で検出するのに適切な第一時間および第二時間を、予め実験に基づいて決定しておくことができる。
【0032】
第二判定部が、ファンの暫定的動作を停止した後に第二時間が経過するまでに検出値が第三閾値以上であると決定されたときに、冷媒漏洩が発生したと決定するよう構成されている上述した空気調和装置のうちのいずれか一においてさらなる他の好ましい態様では、第二判定部は、さらに、暫定的動作と、検出値が第三閾値以上か否かの判定と、を、最後の暫定的動作の後の第二時間内に検出値が第三閾値以上であると決定されている限り、所定の回数まで繰り返し、所定の回数の暫定的動作のそれぞれの暫定的動作の後の第二時間内に検出値が第三閾値以上であると連続して決定された場合、冷媒漏洩が発生したと決定するよう、構成される。
【0033】
上記の構成によって、冷媒漏洩の決定がファンの暫定的動作を実行することによって実行される場合、所定の回数の暫定的動作のそれぞれの暫定的動作の後の検出値が第三閾値以上であると連続して決定されない限り、冷媒漏洩が発生したとは決定されない。センサ雰囲気空気における非対象物質の密度は、ファンの暫定的動作の後には何かの理由で一時的に高くなることもあるであろう。このため、このような場合であっても誤検出を防止することができる。したがって、空気調和装置の安全性および使いやすさを向上するために冷媒漏洩検出の精度を改善することができる。
【0034】
第二判定部が、ファンの暫定的動作を停止した後に第二時間が経過するまでに検出値が第三閾値以上であると決定されたときに、冷媒漏洩が発生したと決定するよう構成されている上述した空気調和装置のうちのいずれか一においてさらなる他の好ましい態様では、半導体ガスセンサは、検出値を連続的にまたは繰り返し出力するよう構成される。また、ファンが動作中には、ファンが暫定的動作である場合を除き、第一判定部は、検出値を第一閾値と連続的にまたは繰り返し比較するよう構成される。そしてまた、第二判定部は、ファンが動作していない際にはファンの暫定的動作後を除いて検出値を第二閾値と連続的にまたは繰り返し比較するように、そしてファンの暫定的動作後ファンが動作していない間に冷媒漏洩が発生したか否かを判定するよう検出値と第三閾値とを連続的にまたは繰り返し比較するように、構成される。
【0035】
上記の構成によって、冷媒漏洩が発生したか否かを判定するために、センサの検出値と閾値との比較が連続的にまたは繰り返し実行される。これにより、冷媒漏洩が発生した直後に、冷媒漏洩の発生を検出することができる。
【0036】
本発明の第二面では、上述したいずれかの空気調和装置である利用側ユニットと、冷媒を用いて利用側ユニットに冷たい温度および/または熱い温度を供給するよう構成される熱源側ユニットと、熱源側ユニットの動作を制御するよう構成されるシステムコントローラと、を備える空気調和システムを提供する。システムコントローラは、さらに、ファンの暫定的動作の間、熱源側ユニットの動作を続けるよう構成される。
【0037】
上記の構成によって、本発明の第一面と少なくとも同じ理由で、空気調和性能を低下することなく非常に使いやすく安全性が高い空気調和システムを提供することができる。さらに、ファンが暫定的動作中であるときでも、熱源側ユニットはその動作を続けることができるからでもある。したがって、誤検出によって熱源側ユニットが不必要に停止することを防止することができる。
【0038】
本発明の第三面では、空気流路とファンと熱交換器と冷媒管と半導体ガスセンサとを備える空気調和装置を監視する方法を提供する。ファンは、空気流路を通過する空気流を生じさせるよう構成される。熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう空気流路に配置される。冷媒管は、冷媒を熱交換器に供給するとともに、熱交換器から冷媒を吐出する。半導体ガスセンサは、空気流路に配置される。半導体ガスセンサは、少なくとも所定の冷媒に反応して半導体ガスセンサの反応の強度のレベルを示す検出値を出力する。方法は、第一閾値による冷媒漏洩発生決定工程と、ファン暫定的動作始動工程と、ファン暫定的動作停止工程と、第三閾値による冷媒漏洩発生決定工程と、所定対応動作実行工程と、を含む。第一閾値による冷媒漏洩発生決定工程においては、ファンが動作中であるときに、検出値が第一閾値以上である場合に、冷媒漏洩が発生したと決定される。ファン暫定的動作始動工程においては、ファンが動作中でないときに、検出値が第二閾値以上である場合、暫定的動作としてファンの動作が始動される。第二閾値は第一閾値と同一または第一閾値とは異なる。ファン暫定的動作停止工程においては、ファンの暫定的動作が停止される。第三閾値による冷媒漏洩発生決定工程においては、ファンの暫定的動作を停止した後の検出値が第三閾値以上である場合、冷媒漏洩が発生したと決定される。第三閾値は第一閾値および第二閾値のそれぞれと同一または第一閾値および第二閾値のそれぞれとは異なる。所定対応動作実行工程においては。冷媒漏洩が発生したと決定されたときに、警告情報を出力するかつ/または熱交換器への冷媒の供給を制限する所定の対応動作が実行される。
【0039】
上記の工程によって、本発明の第一面と少なくとも同じ理由で、空気調和性能を低下することなく空気調和装置の使いやすさおよび安全性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にかかる空気調和システムの概略的構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すコントローラの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、コントローラによって実行されるプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
<好ましい実施形態の詳細な説明>
本発明にかかる空気調和システムの好ましい実施形態(以下「本実施形態」という)を、図面を参照して、説明する。
【0042】
<システムの構成>
図1は、本実施形態にかかる空気調和システムの概略的構成図である。
【0043】
図1に示す通り、本実施形態にかかる空気調和システム100は、ヒートポンプ回路を形成する熱源側ユニット200および利用側ユニット300を備える。利用側ユニット300は、本発明にかかる空気調和装置に対応する。例えば、利用側ユニット300は対象空間400内に配置され、熱源側ユニット200は対象空間400外に配置される。熱源側ユニット200および利用側ユニット300を別々に生産し、その後、後述する管を介して互いに接続することができる。あるいは、熱源側ユニット200および利用側ユニット300を単一の統合ユニットとして製造することもできる。
【0044】
<熱源側ユニットの構成>
熱源側ユニット200は、冷媒圧縮器210とモード切換機構220と熱源側熱交換器230と熱源側膨張機構240と液側遮断弁250とガス側遮断弁260とアキュムレータ270とを備える。冷媒圧縮器210の吐出口とモード切換機構220とは高圧冷媒管281によって接続される。モード切換機構220と熱源側熱交換器230とは第一ガス冷媒管282によって接続される。熱源側熱交換器230と利用側ユニット300とは液冷媒管283によって接続される。利用側ユニット300とモード切換機構220とは第二ガス冷媒管284によって接続される。冷媒圧縮器210の吐出口とモード切換機構220とは低圧冷媒管285によって接続される。
【0045】
熱源側膨張機構240は液冷媒管283に配置される。液側遮断弁250は、熱源側ユニット200内において、液冷媒管283の、冷媒圧縮器210から最も離間した部分に配置される。ガス側遮断弁260は、熱源側ユニット200内において、第二ガス冷媒管284の、冷媒圧縮器210から最も離間した部分に配置される。アキュムレータ270は低圧冷媒管285に配置される。
【0046】
冷媒圧縮器210は、吸込口を介して低圧冷媒管285から冷媒を吸い込み、吸い込んだ冷媒を圧縮し、そして吐出口から高圧冷媒管281へと圧縮した冷媒を吐出するよう、に構成される。
【0047】
モード切換機構220は、冷房動作モードと暖房動作モードとの間で空気調和システム100の状態を切り換えるよう構成される。冷房動作モードにおいては、第一ガス冷媒管282は高圧冷媒管281に接続され、低圧冷媒管285は第二ガス冷媒管284に接続される。暖房動作モードにおいては、高圧冷媒管281は第二ガス冷媒管284に接続され、低圧冷媒管285は第一ガス冷媒管282に接続される。モード切換機構220を、四路切換セレクター弁であってもよいし、分岐管とセレクター弁の組合せであってもよい。
【0048】
熱源側熱交換器230は、内部を流れる冷媒と通過する流体との間で熱交換を行うよう構成される。流体は、空気、水または他の冷媒であってよい。熱源側熱交換器230は、流体の流れを促進するために、ファンまたはポンプを備えることができる。
【0049】
液冷媒管内を流れる冷媒を、冷媒が熱源側熱交換器230に向かって流れるとき(すなわち暖房動作の際)には、減圧して膨張させるよう、熱源側膨張機構240は構成される。熱源側膨張機構240を電気膨張弁とすることができる。液側遮断弁250は、液冷媒管283を介して冷媒が熱源側ユニット200から流れ出てくるのを停止することができる。ガス側遮断弁260は、第二ガス冷媒管284を介して冷媒が熱源側ユニット200から流れ出てくるのを停止することができる。液側遮断弁250およびガス側遮断弁260を電気膨張弁とすることができる。アキュムレータ270は、ヒートポンプ回路内の過剰な冷媒を蓄積するよう構成されるとともに、アキュムレータ270内へと流れ込む冷媒からガス冷媒を分離し、分離されたガス冷媒を冷媒圧縮器210へと向かわせるよう、構成される。
【0050】
熱源側ユニット200はさらに、システムコントローラ290を有する。システムコントローラ290と熱源側ユニット200における機械との間の有線/無線通信経路(図示せず)を介して熱源側ユニット200の動作を制御するよう、システムコントローラ290は構成される。特に、システムコントローラ290は、利用側ユニット300から送信される信号(後述するポンプダウン信号を含む)を有線/無線通信経路(図示せず)を介して受信するよう、シ構成される。ポンプダウン信号を受信すると、システムコントローラ290はポンプダウン動作を実行するよう構成される。ポンプダウン動作においては、液側遮断弁250を閉じる工程と、所定の状態が満たされるまで(例えばあるパラメータがポンプダウンの終了を示すまで)冷媒圧縮器210を動作させる工程と、ガス側遮断弁260を閉じる工程と、が実行される。これにより、利用側ユニット300の冷媒を、熱源側ユニット200側に回収することができる。
【0051】
システムコントローラ290は、図示しないが、CPU(中央処理装置)などの演算回路と、CPUによって用いられるRAM(ランダムアクセスメモリ)などの作業メモリと、CPUによって用いられる制御プログラムおよび情報を記憶するROM(読み出し専用メモリ)などの記録媒体と、を有する。システムコントローラ290は、熱源側ユニット200の動作を制御するために制御プログラムを実行するCPUによって情報処理および信号処理を行うよう構成される。
【0052】
熱源側ユニット200では、上記の構成によって、循環させる冷媒を切り換える方式により利用側ユニット300に冷たい温度および熱い温度を供給することができるとともに、利用側ユニット300からの信号に基づいて利用側ユニット300への温度供給を制限または停止することができる。
【0053】
<利用側ユニットの構成>
利用側ユニット300は、空気流路310とファン320と熱交換器(熱交換器)330と膨張機構340と半導体ガスセンサ350と情報出力装置360とコントローラ500とを備える。熱交換器330は、熱源側ユニット200から延設される液冷媒管283および第二ガス冷媒管284のそれぞれに接続される。言い換えれば、熱交換器330は、冷媒管283,284を介して熱源側ユニット200の冷媒圧縮器210に接続されている。膨張機構340は液冷媒管283に配置される。熱交換器330および半導体ガスセンサ350は、空気流路310に配置される。好ましくは、膨張機構340と、熱交換器330に接続される冷媒管283,284の一部と、もまた、空気流路310に配置される。
【0054】
空気流路310は、対象空間400へと開口しているまたは連通している空気入口311および空気出口312を有する。空気入口311から空気出口312へと向かって熱交換器330を通って空気が流れさせるよう、空気流路310は構成される。
【0055】
空気入口311から空気出口312へと空気流路310を通過する空気流を発生させるよう、ファン320は構成される。例えば、ファン320は熱交換器330に対して空気出口312側に配置される。
【0056】
熱交換器330は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう構成される。例えば、熱交換器330は、それぞれが液冷媒管283および第二ガス冷媒管284に接続される二つのヘッダと、二つのヘッダを接続する複数のチューブ(管)と、チューブから外向きに延設されるフィン(図示せず)と、を有する。熱交換器330は、冷却運転の際には液冷媒管283から冷媒を取り入れて第二ガス冷媒管284へと冷媒を吐出するとともに、暖房動作の際には第二ガス冷媒管284から冷媒を取り入れて液冷媒管283へと冷媒を吐出すよう、構成される。
【0057】
液冷媒管内を流れる冷媒を、冷媒が熱交換器330に向かって流れるとき(すなわち冷房動作の際)には、減圧して膨張させるよう、膨張機構340は構成される。膨張機構340を電気膨張弁とできる。
【0058】
半導体ガスセンサ350は、少なくとも所定の冷媒に反応可能であり、半導体ガスセンサ350の反応の強度のレベルを示す検出値を出力するよう構成されている。半導体ガスセンサ350は、検出値(以下「センサ検出値Vs」という)を連続的にもしくは定期的に、および/またはコントローラ500の要求に応じて、出力することができる。所定の冷媒は、熱交換器内を流れる冷媒(例えばR32冷媒)である。R32冷媒のように冷媒が空気より重い場合、半導体ガスセンサ350は好ましくは空気流路310の内側底面に配置される。内側底面は、半導体ガスセンサ350が配置される凹部を有することができる。また、半導体ガスセンサ350は、好ましくは、熱交換器330に対して空気流の下流側に、すなわち熱交換器330に対して空気出口312側に配置される。
【0059】
有線/無線通信経路(図示せず)を介して後述する警告信号を含むコントローラ500からの信号を受信するよう、情報出力装置360は構成される。情報出力装置360は、警告信号を受信したときに、利用側ユニット300における冷媒漏洩の発生を示す音、光および/または視覚的画像を用いる警告情報を出力するよう、構成される。情報出力装置360は、拡声器、電灯および/またはディスプレイ装置とすることができる。
【0060】
コントローラ500と利用側ユニット300における機械との間の有線/無線通信経路(図示せず)を介して利用側ユニット300の動作を制御するよう、コントローラ500は構成される。特に、コントローラ500は、センサ検出値Vsに基づいて利用側ユニット300において冷媒漏洩が生じたか否かを判定するよう、構成される。コントローラ500は、冷媒漏洩が発生したと決定したとき、警告信号を情報出力装置360へと送信するよう、そして、ポンプダウン信号を熱源側ユニット200のシステムコントローラ290へと送信するよう、構成される。
図1に示す対象空間400内の空気を排出するよう構成されるエアブロワー410が設置される場合、後述する通り、コントローラ500はエアブロワー410の動作を始動するための換気信号をさらに出力することができる。
【0061】
コントローラ500は、図示しないが、CPUなどの演算回路と、CPUによって用いられるRAMなどの作業メモリと、CPUによって用いられる制御プログラムおよび情報を記憶するROMなどの記録媒体と、を有する。コントローラ500は、利用側ユニット300の動作を制御するために制御プログラムを実行するCPUによって情報処理および信号処理を行うよう構成される。コントローラ500の詳細は以下で説明する。
【0062】
上記の構成を有する利用側ユニット300では、対象空間400を空気調和するために冷媒を用いて熱源側ユニット200から供給される冷たいまたは熱い温度を利用することができる。また、冷媒漏洩が熱交換器330においてまたはその周辺において発生したとき、冷媒漏洩を検出して、必要な安全対策をとることができる。
【0063】
一方、
図1に示す通り、対象空間400内に化学物質401が存在するときには、化学物質401は半導体ガスセンサ350のセンサ雰囲気空気へと来て、冷媒漏洩が発生していない場合であっても、半導体ガスセンサ350は高い検出値を出力することになる。この点に関しては、利用側ユニット300のコントローラ500は、このような誤検出および検出抜けを可能な限り回避するよう、以下に説明する通り、冷媒漏洩の判定を実行するように構成される。
【0064】
<コントローラの機能的構成>
図2は、利用側ユニット300のコントローラ500の機能的構成を示しているブロック図である。
【0065】
図2に示す通り、コントローラ500は、記憶部510と検出値取得部520とユニット制御部530と情報出力部540と漏洩検出部550とを有する。
【0066】
記憶部510は、漏洩検出部550によって読取り可能な形式で情報を記憶する。記憶する情報には、検出値閾値Vth(第一閾値Vth1、第二閾値Vth2および第三閾値Vth3)と第一時間P1と第二時間P2と後述するカウンタ閾値Cthとが含まれる。これらのパラメータは、冷媒漏洩の誤検出および検出抜けを可能な限り回避するよう、実験等で予め測定される。記憶部510は、複数のセットのパラメータを記憶できる。この場合、操作インタフェース(例えば利用側ユニット300のリモート・コントローラ)を介したユーザによる複数のセットのパラメータからのパラメータセットの選択を、コントローラ500は受け付けることができる。
【0067】
検出値取得部520は、半導体ガスセンサ350(
図1を参照)から連続的にまたは定期的に出力されるセンサ検出値Vsを取得するよう、構成される。検出値取得部520は、半導体ガスセンサ350がセンサ検出値Vsを定期的に出力するよう、要求することもできる。センサ雰囲気空気におけるセンサが反応する物質の密度が変化するとき、センサ検出値Vsにはこの変化がほぼリアルタイムに反映される。検出値取得部520は、取得したセンサに検出値Vsを漏洩検出部550へと送信するよう構成される。
【0068】
ユニット制御部530は、ファン320および膨張機構340(
図1を参照)の動作を制御することによって、熱源側ユニット200から供給される冷たいまたは熱い温度を利用するよう利用側ユニット300の動作を制御するように、構成される。また、漏洩検出部550から命令に従ってファン320を動作するよう、ユニット制御部530は構成される。ユニット制御部530をさらに、ファン320が動作中であるか否かと、ファン320が適切に機能しているか否かと、を漏洩検出部550に通知するよう、構成することもできる。
【0069】
情報出力部540は、漏洩検出部550からの命令に従って、信号を情報出力装置360およびシステムコントローラ290(
図1を参照)へと出力するよう構成される。情報出力部540は、通信インタフェース装置を有することができる。
【0070】
漏洩検出部550は、センサ検出値Vsに基づいて冷媒漏洩の判定を実行し、ユニット制御部530および情報出力部540を介して必要な安全対策をとるよう、構成される。漏洩検出部550は、第一判定部551と第二判定部552と検出結果利用部553とを有する。
【0071】
ファン320が動作中の間、第一判定部551は、センサ検出値Vsを検出値閾値Vthと連続的にまたは繰り返し比較するよう構成される。ファン320が動作中であるときにセンサ検出値Vsが検出値閾値Vth(第一閾値Vth1)以上である場合、冷媒漏洩が発生したと決定するよう、第一判定部551は構成される。第一判定部551は、その決定を検出結果利用部553へと通知するよう構成される。第一判定部551を、さらに、ファン320が故障している場合には、そのことを検出結果利用部553へと通知するよう構成することもできる。
【0072】
ファン320が動作していない際には、第二判定部552が、センサ検出値Vsを検出値閾値Vth(第二閾値Vth2)と連続的にまたは繰り返し比較するよう構成される。第二判定部552は、ファン320が動作中でないときにセンサ検出値Vsが第二閾値以上である場合、暫定的動作としてファン320の動作を始動しそしてファン320の暫定的動作を停止するよう、構成される。暫定的動作は、利用側ユニット300の通常の空気調和動作とは独立して一定時間実行される動作であると言うことができる。
【0073】
その後、第二判定部552は、再度、センサ検出値Vsを検出値閾値Vth(第三閾値Vth3)と連続的にまたは繰り返し比較するよう構成される。ファン320の暫定的動作を停止した後に第二時間P2が経過するまでに検出値Vsが検出値閾値Vth以上であると決定されたときに、冷媒漏洩が発生したと決定するよう、第二判定部552は構成される。第二判定部552は、その決定を検出結果利用部553へと通知するよう構成される。第二判定部552を、さらに、ファン320が故障している場合には、そのことを検出結果利用部553へと通知するよう構成することもできる。
【0074】
ここで、ファン320が動作中でない間に使用する検出値閾値Vth(第二閾値)を、ファン320が動作中の間に使用する検出値閾値Vth(第一閾値)と同一とすることも異なる値とすることもできる。ファン320の暫定的動作の後使用する検出値閾値Vth(第三閾値)を、ファン320が動作中の間に使用する検出値閾値Vth(第一閾値)およびファン320が動作中でない間に使用する検出値閾値Vth(第二閾値)と同一とすることも異なる値とすることもできる。第二時間P2を、第一時間P1と同一とすることも異なる時間とすることもできる。
【0075】
第一判定部551および第二判定部552のいずれか一方によって冷媒漏洩が発生したと決定されたとき、警告情報を出力するかつ/または熱交換器330への冷媒の供給を制限する所定の対応動作を行うよう、検出結果利用部553は構成される。検出結果利用部553をさらに、ファン320が故障している場合には、所定の対応動作を行うよう構成することもできる。
【0076】
所定の動作には、システムコントローラ290にポンプダウン動作を実行させるための上述のポンプダウン信号の、システムコントローラ290への、出力が含まれる。所定の動作には、熱源側ユニット200の冷媒圧縮器210の動作を停止させるための信号の出力を含めることができる。所定の動作には、漏れた冷媒を希釈するためのファン320の動作の再開、警告情報を出力するための上述の警告信号の情報出力装置360への出力、および/またはエアブロワー410の動作を始動するための換気信号のエアブロワー410への出力を含めることもできる。
【0077】
コントローラ500では、上記の構成によって、ファン320が運転中でないときには冷媒漏洩の判定はファン320の暫定的動作の実行後に行われ、ファン320が運転中であるときには暫定的動作を実行することなく冷媒漏洩の判定が行われる。ファン320が動作しているときと、ファン320が動作することを停止した後と、には、センサ雰囲気空気における化学物質401の密度は高くなるとは考えにくい。こうして、化学物質の影響を受けることなく区別して、冷媒漏洩を検出することができる。
【0078】
<コントローラの動作>
図3は、コントローラ500によって実行されるプロセスを示すフローチャートである。
【0079】
ステップS1100において、検出値取得部520はセンサ検出値Vsを半導体ガスセンサ350から取得する。ステップS1200において、第一判定部551は、ファン320が動作しているか否かを判定する。ファン320が動作している場合(S1200:Yes)、第一判定部551はステップS1300へと進み、そうでなければ(S1200:No)後述するステップS1400へと進む。
【0080】
ステップS1300において、第一判定部551は、センサ検出値Vsが第一閾値Vth1(検出値閾値Vth)より低いか否かを判定する。検出値取得部520または第一判定部551は、一定の時間におけるセンサ検出値Vsの移動平均値を取得し、その移動平均値を、ステップS1300において第一閾値Vth1と比較するセンサ検出値Vsとして使用することができる。センサ検出値Vsが第一閾値Vth1より低い場合(S1300:Yes)、第一判定部551は後述するステップS2500へと進み、そうでなければ、すなわちセンサ検出値Vsが第一閾値Vth1以上である場合(S1300:No)、第一判定部551は後述するステップS2400へと進む。
【0081】
ステップS1400において、第二判定部552は、センサ検出値Vsが第二閾値Vth2(検出値閾値Vth)より低いか否かを判定する。検出値取得部520または第二判定部552は、一定の時間におけるセンサ検出値Vsの移動平均値を取得し、その移動平均値を、ステップS1400において第二閾値Vth2と比較するセンサ検出値Vsとして使用することができる。
【0082】
センサ検出値Vsが第二閾値Vth2より低い場合(S1400:Yes)、第二判定部552は後述するステップS2500へと進み、そうでなければ、すなわちセンサ検出値Vsが第二閾値Vth2以上である場合(S1400:No)、第二判定部552は後述するステップS1500へと進む。ステップS1400においてセンサ検出値Vsが第二閾値Vth2以上であると決定されたとき同時に、漏洩検出部550は第一予備的警告情報を情報出力装置360へと情報出力部540を介して出力することもできる。第一予備的警告情報は、後述するステップS2400において出力される警告情報と区別できる情報である。
【0083】
ステップS1500において、第一判定部551は、ファン320が故障しているか否かを判定する。ファン320が故障している場合(S1500:Yes)、第一判定部551は後述するステップS2400へと進み、そうでなければ(S1500:No)ステップS1600へと進む。ファン320が故障しているか否かの判定を、第一判定部551の代わりに、検出結果利用部553によって実行することもできる。
【0084】
ステップS1600において、第二判定部552は、値“0”をカウンタ変数Cに設定する。ステップS1700において、値“1”がカウンタ変数Cに加算される。ステップS1800において、第二判定部552は、ファン320に暫定的動作を始動させる。言い換えれば、ファン320が動作中でないときにセンサ検出値Vsが第二閾値Vth2以上である場合、第二判定部552はファン320の暫定的動作を始動する。その後、暫定的動作が始動した後に第一時間P1が経過すると、第二判定部552はファン320に暫定的動作を停止させる。こうして、第二判定部552は、ファン320を第一時間P1だけ動作させる。また、暫定的動作が終了されたときに、第二判定部552は、暫定的動作の後の経過時間を測定するためにタイマ値Tを再設定(リセット)しそして作動させる。
【0085】
なお、ステップS1800においてファン320が暫定的動作中であるとき、第一判定部551はセンサ検出値Vsを第一閾値Vth1と比較しないことを記載しておく。ステップS1800においてファン320が暫定的動作中である間、熱源側ユニット200のシステムコントローラ290は熱源側ユニット200の動作を続ける。
【0086】
ステップS1900において、第二判定部552は、ファン320が故障しているか否かを判定する。ファン320が故障している場合(S1900:Yes)、第二判定部552は後述するステップS2400へと進み、そうでなければ(S1900:No)ステップS2000へと進む。ファン320が故障しているか否かの判定を、第二判定部552の代わりに、検出結果利用部553によって実行することもできる。
【0087】
ステップS2000において、検出値取得部520はセンサ検出値Vsを半導体ガスセンサ350から再度取得する。ステップS2100において、第二判定部552は、センサ検出値Vsが第三閾値Vth3(検出値閾値Vth)より低いか否かを判定する。検出値取得部520または第二判定部552は、一定の時間におけるセンサ検出値Vsの移動平均値を取得し、その移動平均値を、ステップS2100において第三閾値Vth3と比較するセンサ検出値Vsとして使用することができる。
【0088】
センサ検出値Vsが第三閾値Vth3より低い場合(S2100:Yes)、第二判定部552はステップS2200へと進み、そうでなければ、すなわちセンサ検出値Vsが第三閾値Vth3以上である場合(S2100:No)、第二判定部552は後述するステップS2300へと進む。ステップS2100においてセンサ検出値Vsが第三閾値Vth3以上であると決定されたとき同時に、漏洩検出部550は第二予備的警告情報を情報出力装置360へと情報出力部540を介して出力することもできる。第二予備的警告情報は、後述するステップS2400において出力される警告情報と区別できる情報であり、上述した第一予備的警告情報が出力されていた場合には、その第一予備的警告情報と好ましくはさらに区別できる情報である。
【0089】
ステップS2200において、第二判定部552は、タイマ値Tが第二時間P2より小さいか否かを判定する。タイマ値Tが第二時間P2より小さい場合(S2200:Yes)、第二判定部552はステップS2000へと戻り、そうでなければ(S2200:No)後述するステップS2500へと進む。こうして、ファン320の暫定的動作を停止した後のセンサ検出値Vsが第三閾値Vth3以上か否かを、第二判定部552は繰り返し判定する。そして、最後の暫定的動作の後の第二時間P2内にセンサ検出値Vsが第三閾値Vth3以上であると決定された場合、第二判定部552はステップS2300へ進む。
【0090】
ステップS2300において、第二判定部552は、カウンタ変数Cの値がカウンタ閾値Cthより小さいか否かを判定する。カウンタ閾値Cthは自然数である。カウンタ変数Cの値がカウンタ閾値Cthより小さい場合(S2300:Yes)、第二判定部552はステップS1700へと進む。こうして、第二判定部552は、ファン320の暫定的動作と、センサ検出値Vsが第三閾値Vth3以上か否かの判定と、を、最後の暫定的動作の後の第二時間P2内にセンサ検出値Vsが第三閾値Vth3以上であると決定されている限り、カウンタ閾値Cthによって定義される回数まで、繰り返す。カウンタ変数Cの値がカウンタ閾値Cthに達した場合(S2300:No)、第二判定部552はステップS2400へと進む。
【0091】
カウンタ閾値Cthが“1”である場合、ステップS1600,S1700およびS2300は不要である。ステップS2100においてセンサ検出値Vsが第三閾値Vth3以上であると決定された場合、プロセスはステップS2400へと直接進む。
【0092】
ステップS2400において、第一判定部551または第二判定部552は冷媒漏洩が発生したと決定する。言い換えれば、ファン320が運転中であるときにセンサ検出値Vsが第一閾値Vth1以上である場合に、第一判定部551は冷媒漏洩が発生したと決定する。ファン320が運転中ではない間、カウンタ閾値Cthによって定義される所定の回数の暫定的動作のそれぞれの暫定的動作の後の第二時間P2内にセンサ検出値Vsが第三閾値Vth3以上であると連続して決定された場合、第二判定部552は冷媒漏洩が発生したと決定する。
【0093】
その結果、検出結果利用部553は、警告情報の出力や熱交換器330への冷媒の供給の制限等の上述の所定の動作を実行する。冷媒漏洩が発生したと決定されたときファン320が運転中であるか否かに応じて、検出結果利用部553は警告情報を、異なる方式でおよび/または異なる内容として、出力することができる。
【0094】
ステップS1500またはステップS1900においてファン320が故障していることが分かった場合、ステップS2400において検出結果利用部553は所定の動作を行うこともできる。この場合、出力される警告情報は、好ましくは、冷媒漏洩が発生したと決定された場合に出力される警告情報とは区別できる情報とする。
【0095】
ステップS2500において、漏洩検出部550は、動作の終了が指定されたか否かを判定する。指定は、ユーザ操作、他の装置または漏洩検出部550自体によって行うことができる。動作の終了が指定されていない場合(S2500:No)、漏洩検出部550はステップS1100へと戻り、指定されている場合(S2500:Yes)、その動作を終了する。
【0096】
上記のプロセスによって、冷媒漏洩が発生したときにはいつでも、コントローラ500は利用側ユニット300における冷媒漏洩の発生を適切にかつ速やかに検出することができる。なお、センサ検出値Vsに関する判定をファン320の状態に関する判定後に行うよう、上述したステップS1500およびS1200の実行順序を変更できることを記載しておく。
【0097】
また、上記ステップのうちの一部を利用側ユニット300の必要とされる性能および/または状況に応じて省略できることを記載しておく。例えば、ファン320の故障を他の手段によって検出できる場合には、ステップS1500および/またはS1900を省略できる。
【0098】
<有利な効果>
上述した通り、ファン320が動作中でないときにセンサ検出値Vsが検出値閾値Vth以上である場合、利用側ユニット300のファン320の暫定的動作を実行し、暫定的動作後であってもセンサ検出値Vsが検出値閾値Vth以上である場合に冷媒漏洩が発生したと決定するよう、本実施形態の空気調和システム100は構成される。また、ファン320が動作中であるときにセンサ検出値が高い場合、ファン320の暫定的動作を実行することなく冷媒漏洩が発生したと決定するよう、空気調和システム100は構成される。これにより、誤検出と検出抜けとの両方を可能な限り回避しながら利用側ユニット300の冷媒漏洩を検出することができる。しかも欧州特許出願公開公報第3396261号において提案されている非対象物質を吸着するための多孔物質を必要としない。したがって、上記の技術的な効果を、空気調和システム100の空気調和性能を低下することなく達成できる。
【0099】
冷媒漏洩が発生したと決定したときに、空気調和システム100はさらに、警告情報を出力するかつ/また熱交換器330への冷媒の供給を制限する所定の動作を実行するよう構成される。この結果、空気調和システム100の使いやすさおよび安全性を改善することができる。
【0100】
<変形例>
コントローラ500またはユニット制御部530を、利用側ユニット300の筐体(ハウジング)外に配置することもできる。例えば、コントローラ500またはユニット制御部530を、熱源側ユニット200のシステムコントローラ290に配置することもできる。また、情報出力装置360を、利用側ユニット300のハウジング外に配置することもできる。例えば、情報出力装置360を、空気調和装置に動作信号等を送信するモバイル機器(例えばスマートフォンまたはリモート・コントローラ)とすることもできる。
【0101】
利用側ユニット300はさらに、半導体ガスセンサ350の周囲の環境に関する検出環境情報を取得するよう構成される情報取得部を有することもできる。検出環境情報には、ファン320の動作速度や空気流路310に配置されている湿度センサから出力される検出値等を含めることができる。この場合、第一判定部551を、さらに、取得した検出環境情報に基づいて第一閾値の値を変更するよう構成することもできる。検出環境情報の想定される内容と第一閾値として設定される値との間の相関を、実験に基づいて予め最適化しておくことができる。
【0102】
空気調和システム100を、冷房動作と暖房動作のいずれの一方だけを行うよう構成することもできる。複数の利用側ユニット300を、単一または複数の熱源側ユニット200に接続することもできる。複数の利用側ユニット300を、それぞれが液側遮断弁250またはガス側遮断弁260を有する分岐させた複数の液冷媒管283および第二ガス冷媒管284によって、共通の熱源側ユニット200に接続することもできる。この場合、検出結果利用部553によって実行される所定の動作には、対応する液側遮断弁250およびガス側遮断弁260を閉じるための信号の出力を含めることが好ましい。これにより、冷媒の供給の制限を、冷媒漏洩が発生した利用側ユニット300だけに限定することができ、したがって、他の利用側ユニット300の動作に影響を及ぼすことを回避できる。
【0103】
本発明の説明のためにいくつかの実施例が選択されたに過ぎず、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の変更、変形ができることは、本開示から当業者には明らかであろう。例えば、特に記載しない限り、必要に応じておよび/または所望により、種々のコンポーネントの大きさ、形状、配置、向きを、変更によりそれらの意図する機能を損なわない限り、変更できる。特に記載しない限り、直接的に接続された、または互いが接触しているよう示した二つのコンポーネントは変更によりそれらの意図する機能を損なわない限り、それらの間に中間構造を有することができる。特に記載しない限り、一つのエレメントの機能は二つによって達成することができ、またその逆の場合も同様である。一の態様の構造および機能を他の態様に適用することもできる。すべての利点が必ずしも同時に特定の態様にもたらされる必要はない。したがって、本発明にかかる実施形態の上記説明は例示のためのみのものである。
【符号の説明】
【0104】
100 空気調和システム
200 熱源側ユニット
210 冷媒圧縮器
220 モード切換機構
230 熱源側熱交換器
240 熱源側膨張機構
250 液側遮断弁
260 ガス側遮断弁
270 アキュムレータ
281 高圧冷媒管
282 第一ガス冷媒管
283 液冷媒管
284 第二ガス冷媒管
285 低圧冷媒管
290 システムコントローラ
300 利用側ユニット
310 空気流路
311 空気入口
312 空気出口
320 ファン
330 熱交換器
340 膨張機構
350 半導体ガスセンサ
360 情報出力装置
400 対象空間
401 化学物質
410 エアブロワー
500 コントローラ
510 記憶部
520 検出値取得部
530 ユニット制御部
540 情報出力部
550 漏洩検出部
551 第一判定部
552 第二判定部
553 検出結果利用部