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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20231205BHJP
   C11D 7/18 20060101ALI20231205BHJP
   C11D 7/54 20060101ALI20231205BHJP
   D06L 4/12 20170101ALI20231205BHJP
   D06L 4/15 20170101ALI20231205BHJP
   C11D 7/60 20060101ALI20231205BHJP
   C07D 213/61 20060101ALI20231205BHJP
   C07D 213/80 20060101ALI20231205BHJP
   C07D 213/82 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
C09K3/00 109
C11D7/18
C11D7/54
D06L4/12
D06L4/15
C11D7/60
C07D213/61
C07D213/80
C07D213/82
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023547090
(86)(22)【出願日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2023014846
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2022066551
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 謙介
(72)【発明者】
【氏名】高野 仁和
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538759(JP,A)
【文献】特開2013-001699(JP,A)
【文献】国際公開第2008/050732(WO,A1)
【文献】特開昭62-166346(JP,A)
【文献】SANDMANN, G. et al.,Quantitative structure-activity relationship of fluridone derivatives with phytoene desaturase,Pesticide Biochemistry and Physiology,(1992), vol.42, No.1,pp.1-6,DOI 10.1016/0048-3575(92)90067-A
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
C07B 33/00
C11D 1/00- 19/00
C07D213/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物、下記(A1-2)で表される化合物及び下記一般式(A2-2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物〔以下、(A)成分という〕、及び水を含有し、酸性である、組成物。
【化1】

〔式(A1-1)中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上18以下のアルキル基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合している。Zは、-COO-R及び-CONH-Rから選ばれる基であり、R、Rは、それぞれ、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3以上18以下のアルキル基である。Zは、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子とは異なる炭素原子と結合している。Aは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、塩化物イオン、及び臭化物イオンから選ばれる陰イオンである。ピリジン環の炭素原子のうち、L、Zが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L、Z以外の基が結合していてもよい。〕
【化2】

〔式(A1-2)中、R は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上18以下のアルキル基であり、Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、A は、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、塩化物イオン、及び臭化物イオンから選ばれる陰イオンである。〕
【化3】

〔式(A2-2)中、R 11 は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上4以下のアルキレン基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合している。ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L以外の基が結合していてもよい。〕
【請求項2】
さらに、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(B)成分の1モル部に対する(A)成分の含有量が1モル部以上100モル部以下である、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
25℃におけるpHが7未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
酸化剤用である、請求項1に記載された組成物。
【請求項6】
漂白剤用である、請求項1に記載された組成物。
【請求項7】
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物、下記(A1-2)で表される化合物及び下記一般式(A2-2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物〔以下、(A)成分という〕を酸性の水中で保存する、化合物の保存方法。
【化4】

〔式(A1-1)中、R は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上18以下のアルキル基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合している。Zは、-COO-R 及び-CONH-R から選ばれる基であり、R 、R は、それぞれ、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3以上18以下のアルキル基である。Zは、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子とは異なる炭素原子と結合している。A は、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、塩化物イオン、及び臭化物イオンから選ばれる陰イオンである。ピリジン環の炭素原子のうち、L、Zが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L、Z以外の基が結合していてもよい。〕
【化5】

〔式(A1-2)中、R は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上18以下のアルキル基であり、Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、A は、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、塩化物イオン、及び臭化物イオンから選ばれる陰イオンである。〕
【化6】

〔式(A2-2)中、R 11 は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上4以下のアルキレン基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合している。ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L以外の基が結合していてもよい。〕
【請求項8】
(A)成分を、過酸化水素の共存下で保存する、請求項に記載の化合物の保存方法。
【請求項9】
請求項1~の何れかに記載された組成物から調製した処理液を過酸化水素の存在下、対象物と接触させる、酸化方法。
【請求項10】
請求項1~の何れかに記載された組成物から調製した処理液を過酸化水素の存在下、対象物と接触させる、漂白方法。
【請求項11】
請求項1~の何れかに記載された組成物の、酸化剤の製造のための使用。
【請求項12】
請求項1~の何れかに記載された組成物の、漂白剤の製造のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、化合物の保存方法、酸化方法、漂白方法、所定組成物の酸化剤としての使用、及び所定組成物の漂白剤としての使用に関する。
【0002】
背景技術
酸化剤組成物は、他の物質に対して酸化作用を有する化合物(酸化剤)を含む組成物である。この酸化作用は、有色物質に対しては、脱色、漂白、変色などの現象として認識され得るものである。酸化剤組成物は、風呂・トイレ・台所等の硬質物品の漂白、カビ取り、衣類等の繊維製品の漂白、汚れ・匂い原因物質の分解、除菌、パルプの漂白、繊維の精練などの様々な用途に用いられている。
【0003】
生活環境において発生する様々な汚れに対し、外観上の美観維持、衛生などの目的から、洗浄、漂白、除菌などの対処が行なわれている。なかでも、トイレ、浴室、風呂釜、配水管などの洗浄し難い場所の汚れは、界面活性剤などを主成分とした洗浄剤のみでは除去困難であり、しばしば漂白剤が使用されている。一例を挙げると、浴室の浴槽、タイル目地、ドア枠、窓枠、コントローラや、台所の三角コーナーなどの黒ずみ汚れはCladosporium属細菌等のカビが生産する色素が原因であり、クレンザーや界面活性剤だけでは除去し難いので、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の漂白作用により除去する方法が一般に行われている。
【0004】
しかしながら、次亜塩素酸ナトリウムを使用したカビ取り剤は、漂白及び洗浄性能は優れているが目や皮膚に対する刺激が強く、特有の塩素系の臭いを有し狭い浴室などで使用する場合には注意が必要であり、また、誤って酸性の洗浄剤と混合すると有毒ガスを発生するという問題がある。
【0005】
このため、このような課題の発生しない酸化剤組成物の応用例として、酸素系漂白剤を使用した剤の提案がされている。例えば、特開平3-220298号公報には、過酸化水素、アルカリ剤及び漂白活性化剤を併用した硬表面用漂白剤組成物が開示されている。
【0006】
また、特開2009-155292号公報には、水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、キレート剤、銅化合物及びバインダー化合物とからなる高い殺菌・除菌効果を発揮する組成物が開示されている。
【0007】
また、特開2002-80894号公報には、過酸化水素と有機系増粘剤と有機キレート剤と水とを含有する高粘度の組成物1と、無機アルカリと有機系増粘剤と漂白活性剤と水とを含有する高粘度の組成物2とを使用時に混合して使用される漂白剤組成物が記載されている。
【0008】
発明の概要
酸素系漂白剤は、例えば、酸化剤である過酸化水素を漂白活性化剤である有機酸エステルなどと反応させて、漂白活性種(有機過酸など)を生成させて対象物を酸化して漂白する。酸素系漂白剤の調製にあたり、漂白活性化剤は取り扱い性などの点で、水溶液の形態で安定に供給できることが望ましい。
本発明は、酸素系漂白剤の漂白活性化剤などとして利用でき、且つ水溶液の形態で安定な組成物を提供する。
【0009】
本発明は、(A)下記一般式(A1)で表される化合物及び下記一般式(A2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物〔以下、(A)成分という〕、及び水を含有し、酸性である、組成物に関する。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
〔式中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基である。R12は、炭素原子とピリジン環のNと対をなすイオンのヘテロ原子とを含み、前記ヘテロ原子とは異なるヘテロ原子を含んでいてもよい、総炭素数1以上24以下の基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1、2又は3であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素原子と結合している。Aは、陰イオンである。ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L以外の基が結合していてもよい。〕
【0013】
また、本発明は、(A)成分を酸性の水中で保存する、化合物の保存方法に関する。
【0014】
また、本発明は、前記本発明の組成物から調製した処理液を過酸化水素の存在下、対象物と接触させる、酸化方法に関する。
【0015】
また、本発明は、前記本発明の組成物から調製した処理液を過酸化水素の存在下、対象物と接触させる、漂白方法に関する。
【0016】
また、本発明は、前記本発明の組成物の、酸化剤の製造のための使用に関する。
【0017】
また、本発明は、前記本発明の組成物の、漂白剤の製造のための使用に関する。
【0018】
本発明によれば、酸素系漂白剤の漂白活性化剤などとして利用でき、且つ水溶液の形態で安定な組成物が提供される。
前記のように、酸素系漂白剤である過酸化水素に対して、従来、漂白活性化剤として有機酸エステルを用いることが知られている。この組み合わせでは、漂白活性種を生成する反応は、アルカリ性では比較的効率よく進行するが、中性では進行は鈍くなる。そのため、過酸化水素などの過酸を用いた漂白剤や酸化剤は、中性での漂白剤や酸化力は低下する傾向を示す。しかし、本発明の組成物を過酸化水素と組み合わせて用いると、中性でも過酸化水素による酸化力や漂白力は低下せず、優れた効果が得られる。
【0019】
発明を実施するための形態
〔組成物〕
本発明の組成物が安定性に優れる理由は必ずしも明らかではないが、通常の漂白活性化剤である活性エステル類は、酸性条件下において活性エステル基がプロトン化を受け活性化されるため、不安定となる傾向がある。一方、本発明の(A)成分は、活性エステル基を有さず、酸性条件下であっても活性化されないためであると推察される。
【0020】
また、本発明の組成物が過酸化水素と併用した場合に中性で優れた酸化力を発現する理由は必ずしも明らかではないが、本発明の組成物の(A)成分は一般的な有機過酸前駆体と比較し、過酸化水素に対する反応性が高いため、中性であっても活性種が十分に形成されるためと推察される。なお、酸性条件下においては、(A)成分と過酸化水素の反応性は極めて低く、本発明の組成物で過酸化水素が共存しても(A)成分は安定に存在できるものと推察される。
本発明の機構はこれらに限定されるものではない。
【0021】
(A)成分は、前記一般式(A1)で表される化合物及び前記一般式(A2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物である。
一般式(A1)中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基である。Rのアルキル基の炭素数は、1以上、更に8以上、更に12以上、そして、24以下、更に20以下、更に18以下である。ヘテロ原子は、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が挙げられる。Rがヘテロ原子を含むアルキル基の場合、Rの炭素数は、ヘテロ原子を除いた炭素鎖の炭素数の合計であってよい。Rは、ヘテロ原子を含まない炭素数1以上24以下のアルキル基であってよい。
【0022】
がヘテロ原子を含むアルキル基の場合、-Rとしては、例えば、-CH-(CHn11-Y-(CHn12-CHが挙げられる。ここで、Yはヘテロ原子であり、n11とn12はそれぞれ0以上22以下の整数であり、n11とn12の合計は0以上22以下である。
【0023】
一般式(A2)中、R12は、炭素原子とピリジン環のNと対をなすイオンのヘテロ原子とを含み、前記ヘテロ原子とは異なるヘテロ原子を含んでいてもよい、総炭素数1以上24以下の基である。一般式(A2)の化合物では、R12が有するイオンとピリジン環のNとがベタイン構造をなす。
-R12としては、例えば、-CH-R121-Y-R122が挙げられる。ここで、Yはヘテロ原子の陰イオンであり、R121とR122は、それぞれ、単結合又はYと異なるヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基であり、R121とR122の合計炭素数は0以上22以下である。
また、-R12としては、例えば、-CH-(CHn21-(Yn22-(CHn23-SO が挙げられる。ここで、n21及びn23は、それぞれ、0以上23以下の整数であり、n21とn23の合計は0以上23以下であり、Yはヘテロ原子であり、n22は0又は1である。
【0024】
一般式(A1)及び一般式(A2)中、Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1、2又は3であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素原子と結合している。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。なお、ピリジン環の位置番号は次の通りである。
【0025】
【化3】
【0026】
一般式(A1)中、Aは、陰イオンである。Aの陰イオンは、有機陰イオン、無機陰イオンのいずれであってもよい。Aの陰イオンとしては、例えば、pKaが5以下の酸の共役塩基である陰イオンが挙げられる。Aの陰イオンとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(OTf)、パラトルエンスルホン酸イオン(OTs)、メタンスルホン酸イオン(OMs)等のスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン(OSO3Me)等のアルキル硫酸イオン、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)等のハロゲン化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 )等のフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 )等のフルオロリン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミドイオン((CF3SO2)2N)等のイミドイオン、トリフルオロ酢酸イオン(CF3COO)等のフルオロ酢酸イオンなどが挙げられる。Aは、好ましくはOTf、OSO3Me、OTs、OMs、Cl、及びBrから選ばれる陰イオンである。
【0027】
一般式(A1)又は(A2)の化合物は、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子が、L以外の基、例えば、-COO-R、-CONH-R、-CON(R)(R)などの基(R、R、R、Rは、それぞれ、ヘテロ原子置換を含んでいてもよい炭素数3以上のアルキル基)と結合していてもよい。
【0028】
(A)成分としては、下記一般式(A1-1)で表される化合物及び下記一般式(A2-1)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
〔式中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基である。R12は、炭素原子とピリジン環のNと対をなすイオンのヘテロ原子とを含み、前記ヘテロ原子とは異なるヘテロ原子を含んでいてもよい、総炭素数1以上24以下の基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1又は2であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素と結合している。Zは、-COO-R、-CONH-R及び-CON(R)(R)から選ばれる基であり、R、R、R、Rは、それぞれ、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3以上のアルキル基である。Zは、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子とは異なる炭素原子と結合している。Aは、陰イオンである。ピリジン環の炭素原子のうち、L、Zが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L、Z以外の基が結合していてもよい。〕
【0032】
一般式(A1-1)及び一般式(A2-1)中、R、L、A、R12の具体例や好ましい例は、それぞれ、一般式(A1)及び一般式(A2)で述べたもの同じである。
一般式(A1-1)及び一般式(A2-1)中、nは、nは1又は2である。
一般式(A1-1)及び一般式(A2-1)中、Zは、-COO-R、-CONH-R及び-CON(R)(R)から選ばれる基であり、Zは、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子とは異なる炭素原子と結合している。R、R、R、Rは、本発明の組成物を酸化剤や漂白剤などに組み込んで用いる場合の酸化分解活性(以下、単に酸化分解活性ともいう)を向上させる観点から、それぞれ、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3以上、更に8以上、更に12以上、そして、24以下、更に18以下のアルキル基である。ヘテロ原子は、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が挙げられる。R、R、R及びRがヘテロ原子を含むアルキル基の場合、R、R、R及びRの炭素数は、ヘテロ原子を除いた炭素鎖の炭素数の合計であってよい。
一般式(A1-1)及び一般式(A2-1)の化合物は、ピリジン環の炭素原子のうち、L、Zが結合する炭素原子以外の炭素原子が、L、Z以外の基、例えばニトロ基、トリフルオロメチル基、スルホニル基、シアノ基、カルボキシル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基などと結合していてもよい。
【0033】
また、(A)成分としては、(A1-2)で表される化合物が挙げられる。
【0034】
【化6】
【0035】
〔式中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基であり、Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1、2又は3であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素原子と結合しており、Aは、陰イオンである。〕
【0036】
一般式(A1-2)中、R、L、Aの具体例や好ましい例は、それぞれ、一般式(A1)で述べたもの同じである。
【0037】
また、(A)成分としては、(A2-2)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
【化7】
【0039】
〔式中、Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1、2又は3であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素原子と結合している。R11は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキレン基である。〕
【0040】
一般式(A2-2)中、Lの具体例や好ましい例は、それぞれ、一般式(A1)及び一般式(A2)で述べたもの同じである。
一般式(A2-2)中、R11は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキレン基である。R11の炭素数は、例えば、2以上、更に3以上、そして、20以下、更に18以下、更に16以下、更に14以下、更に12以下、更に10以下、更に8以下、更に6以下、更に4以下である。ヘテロ原子は、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が挙げられる。R11がヘテロ原子を含むアルキレン基の場合、R11の炭素数は、ヘテロ原子を除いた炭素鎖の炭素数の合計であってよい。R11は、ヘテロ原子置換を含まない炭素数1以上24以下のアルキレン基であってよい。
【0041】
(A)成分は、前記一般式(A1-1)で表される化合物、前記一般式(A1-2)で表される化合物、前記一般式(A2-1)で表される化合物、及び前記一般式(A2-2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物であってよく、更に前記一般式(A1-1)で表される化合物、及び前記一般式(A2-2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物であってよい。
【0042】
本発明の組成物は、(A)成分を、酸化分解活性を向上させる観点から、例えば、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下含有することが好ましい。
【0043】
本発明の組成物は、水を含有する。水は、イオン交換水、水道水などが挙げられる。水は、本発明の組成物の組成の合計を100質量%にするための量で用いることができる。本発明の組成物は、水を、例えば、50質量%以上、更に80質量%以上、更に90質量%以上、そして、99質量%以下、更に95質量%以下、更に90質量%以下含有することができる。
【0044】
本発明の組成物は、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕を含有することができる。本発明の組成物が(B)成分を含有する場合、該組成物は、(B)成分を、安全性に優れる観点から、例えば、0.01質量%以上、更に1質量%以上、更に3質量%以上、そして、30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下含有することが好ましい。
【0045】
本発明の組成物が(B)成分を含有する場合、酸化分解活性を向上させる観点から、(A)成分の含有量の1モル部に対する(B)成分の含有量は、例えば、1モル部以上、更に22モル部以上、更に33モル部以上、そして、100モル部以下、更に55モル部以下、更に44モル部以下が好ましい。
【0046】
本発明の組成物は、(C)成分として、漂白活性化助剤を含有することが好ましい。
【0047】
本発明の(A)成分は、(B)成分及び(C)成分と組み合わせることで、酸化分解効果や漂白効果が向上する。その理由は必ずしも明らかではないが、次のように推察される。
(A)成分は、中性条件下で過酸化水素と反応し過酸種を生じ、これが色素と反応することにより漂白に至る。ここで、最初の(A)成分と過酸化水素が反応する段階は溶液系と布系に差異は無いものと考えられる。一方、次の段階である過酸種と汚れ色素分子が反応する段階は、溶液系と布系では大きく異なる。すなわち、溶液系では汚れ色素は溶液中に均一溶解しているが、布系ではこれが全て布上に存在するため過酸種と汚れ色素の衝突頻度は溶液系と比べ低いと考えられる。そのため、過酸種の水溶液中での安定性が漂白性能に大きく影響する。一方、(C)成分、例えば一般的にデービス酸化の触媒に用いられるイミニウム塩は、過酸種より活性酸素を受け、安定な過酸種を生成させることが知られている。本発明でも、(C)成分、例えばイミニウム塩を用いることにより不安定な(A)成分由来の過酸種が有する活性酸素を(C)成分に転位させ、安定な酸化活性種を発生させることにより、布上に存在する色素の酸化分解、漂白が可能となる。
【0048】
(C)成分としては、下記一般式(C-1)で表される化合物〔以下、(C-1)成分という〕が挙げられる。
【0049】
【化8】
【0050】
〔式中、Zは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基、ニトロ、ハロ、シアノ、アミノ、アミノアルキル、チオアルキル、スルホアルキル、カルボキシエステル、ヒドロキシ、及びカルボキシアミドから選ばれる基であり、nは、0以上9以下の数である。R1cは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基であり、Aは、陰イオンである。〕
【0051】
一般式(C-1)中、Aは、陰イオンである。Aの陰イオンは、有機陰イオン、無機陰イオンのいずれであってもよい。Aの陰イオンとしては、例えば、pKaが5以下の酸の共役塩基である陰イオンが挙げられる。Aの陰イオンとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(OTf)、パラトルエンスルホン酸イオン(OTs)、メタンスルホン酸イオン(OMs)等のスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン(OSO3Me)等のアルキル硫酸イオン、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)等のハロゲン化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 )等のフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 )等のフルオロリン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミドイオン((CF3SO2)2N)等のイミドイオン、トリフルオロ酢酸イオン(CF3COO)等のフルオロ酢酸イオンなどが挙げられる。Aは、好ましくはOTf、OSO3Me、OTs、OMs、BF4 、Cl、及びBrから選ばれる陰イオンである。
【0052】
(C-1)成分は、漂白活性を向上させる観点から、好ましくは第四級イミン塩、より具体的には置換又は非置換イソキノリニウム塩であり、より好ましくは3,4-ジヒドロイソキノリニウム塩であり、更に好ましくはN-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウム塩であり、より更に好ましくは、N-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウムp-トルエンスルホネート及びN-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウムテトラフルオロボレートであり、より更に好ましくは、N-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウムテトラフルオロボレートである。
【0053】
本発明の組成物が、(C)成分、更に(C-1)成分を含有する場合、該組成物は、(C)成分、更に(C-1)成分を、例えば、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に0.5質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下含有することができる。
【0054】
本発明の組成物が、(C)成分、更に(C-1)成分を含有する場合、漂白活性向上の観点から、(A)成分の含有量の1モル部に対する(C)成分、更に(C-1)成分の含有量は、例えば、0.01モル部以上、更に0.1モル部以上、更に1モル部以上、そして、100モル部以下、更に10モル部以下、更に2モル部以下であることが好ましい。
【0055】
本発明の組成物は、(B)成分及び(C)成分を含有することが好ましい。本発明の組成物が(B)成分及び(C)成分、更に(C-1)成分を含有する場合、漂白活性向上の観点から、(C)成分、更に(C-1)成分の含有量の1モル部に対する(B)成分の含有量は、例えば、1モル部以上、更に22モル部以上、更に33モル部以上、そして、100モル部以下、更に55モル部以下、更に44モル部以下であってよい。
【0056】
本発明の組成物は、(B)成分、(C)成分の他にも任意の成分を含有することができる。そのような任意の成分としては、例えば、キレート剤、増粘剤、界面活性剤、ポリマーなどが挙げられる。なお、(B)成分は過酸化水素水として配合してもよい。過酸化水素水のように、水を含む態様で所定の成分を配合する場合、その態様が含む水は、本発明の液体組成物における水成分の一部又は全部となる。
【0057】
本発明の組成物は、酸化剤用として好適である。すなわち、例えば、本発明の組成物を過酸化水素と共に酸化剤として用いる、あるいは酸化剤の製造ために用いることができる。
また、本発明の組成物は、漂白剤用として好適である。すなわち、例えば、本発明の組成物を過酸化水素と共に漂白剤として用いる、あるいは漂白剤の製造ために用いることができる。
【0058】
本発明の組成物は、使用時、例えば酸化剤又は漂白剤として使用するときの(A)成分の濃度は、例えば、0.0001質量%以上、更に0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、10質量%以下、更に1質量%以下、更に0.1質量%以下であってよい。
また、本発明の組成物が(B)成分を含有する場合、使用時、例えば酸化剤又は漂白剤として使用するときの(B)成分の濃度は、例えば、0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、そして、30質量%以下、更に3質量%以下、更に1質量%以下であってよい。
また、本発明の組成物が(C)成分を含有する場合、使用時、例えば酸化剤又は漂白剤として使用するときの(C)成分の濃度は、例えば、0.0001質量%以上、更に0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、10質量%以下、更に1質量%以下、更に0.1質量%以下であってよい。
【0059】
本発明の組成物は、液体組成物、ゲル状組成物など、いずれの形態であってもよい。本発明の組成物は、形態が液体であることが好ましい。なお、本発明の組成物は、例えば、(A)成分を含有する固体の剤と水とを混合して得ることもできる。すなわち、本発明は、(A)成分を含有する固体の剤を含んで構成される、(A)成分と水とを含有する酸性の組成物のためのキットを提供する。
【0060】
本発明の組成物は、25℃のpHが、例えば、2以上、更に3以上、そして、7未満、更に6以下、更に5以下であってよい。このようなpHにするために、pH調整剤を含有することができる。pH調整剤としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどのリン酸水素塩、乳酸、コハク酸、グルコン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸などの有機酸、リン酸、ホウ酸、塩酸、硫酸などの無機酸、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸などのスルホン酸、などが挙げられる。pH調整剤は、緩衝能を有する組み合わせで選択されてもよい。
【0061】
本発明の組成物は、風呂、トイレ、台所等の硬質物品の漂白、カビ取り、衣類の漂白、汚れ・匂い原因物質の分解、除菌、殺ウイルス、パルプの漂白、など、処理の対象物に対して酸化作用が有用な効果をもたらす様々な用途に用いることができる。本発明の組成物は、必要により過酸化水素などと組み合わせて、例えば、漂白剤組成物、漂白洗浄剤組成物、カビ取り剤組成物、脱色剤組成物、消臭剤組成物、殺菌剤組成物、殺ウイルス剤組成物などとして使用できる。なかでも、本発明の組成物は、漂白用又は漂白洗浄用であることが好ましい。更に、硬質物品の漂白用又は漂白洗浄用であることが好ましい。
【0062】
本発明により、本発明の組成物の、酸化剤の製造のための使用が提供される。
また、本発明により、本発明の組成物の、漂白剤の製造のための使用が提供される。
本発明の組成物が、酸化や漂白に適した組成であるならば、該組成物をそのまま用いて酸化剤又は漂白剤を製造することもできる。
【0063】
前記使用では、酸化剤又は漂白剤は、(A)成分を、酸化分解活性を向上させる観点から、例えば、0.0001質量%以上、更に0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、10質量%以下、更に1質量%以下、更に0.1質量%以下含有することが好ましい。前記組成物は、この範囲で(A)成分を含有することができる。
前記使用では、酸化剤又は漂白剤は(B)成分を含有することが好ましい。その場合、酸化剤又は漂白剤は、(B)成分を、例えば、0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、そして、30質量%以下、更に3質量%以下、更に1質量%以下含有することが好ましい。前記組成物は、この範囲で(B)成分を含有することができる。
前記使用では、酸化剤又は漂白剤は(C)成分を含有することができる。その場合、酸化剤又は漂白剤は、(C)成分を、例えば、0.0001質量%以上、更に0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、10質量%以下、更に1質量%以下、更に0.1質量%以下含有することが好ましい。また、(A)成分1モル部に対する(C)成分のモル部、及び(C)成分1モル部に対する(A)成分のモル部も、それぞれ、前記範囲で(C)成分を含有することが好ましい。前記組成物は、この範囲で(C)成分を含有することができる。
【0064】
〔酸化方法及び漂白方法〕
本発明により、本発明の組成物から調製した処理液を過酸化水素の存在下、対象物と接触させる、酸化方法が提供される。
また、本発明により、本発明の組成物から調製した処理液(以下、本発明の処理液ともいう)を過酸化水素の存在下、対象物と接触させる、漂白方法が提供される。
【0065】
本発明の処理液は、(A)成分、(B)成分、及び水を含有する処理液が好ましい。本発明の処理液は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び水を含有する処理液もまた好ましい。本発明の組成物が、酸化や漂白に適した組成であるならば、該組成物をそのまま本発明の処理液としてそのまま用いることもできる。また、本発明の処理液は、(A)成分を含有し(B)成分を含有しない組成物を、(B)成分の供給源となる化合物又は(B)成分を含有する組成物と混合して調製してもよい。(C)成分を用いる場合は、どのように混合してもよく、前記2つの組成物の一方又は両方が(C)成分を含有していてもよい。
【0066】
本発明の処理液は、(A)成分及び水を含有する本発明の組成物と、(B)成分及び/又は(B)成分の供給源、例えば、水中で過酸化水素を生成する過酸化物と、必要に応じて、水、(C)成分などとを混合して得ることができる。水中で過酸化水素を生成する過酸化物としては、無機過酸化物、過酸化水素付加物が挙げられ、好ましくは、過炭酸塩、トリポリリン酸塩・過酸化水素付加物、ピロリン酸塩・過酸化水素付加物、尿素・過酸化水素付加物、硫酸塩・過酸化水素付加物、過ホウ酸塩、過ケイ酸塩、過酸化塩であり、より好ましくは、過炭酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム・過酸化水素付加物、ピロリン酸ナトリウム・過酸化水素付加物、尿素・過酸化水素付加物、又は4NaSO・2H、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過ホウ酸ナトリウム四水化物、過ケイ酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム等である。また、前記のようなキットを用いて本発明の組成物を調製した後、該組成物と、(B)成分及び/又は(B)成分の供給源と、必要に応じて水、(C)成分などとを混合して得ることもできる。さらに、後述するように、使用目的に応じて、例えば、リン酸緩衝液のように緩衝剤としても機能するpH調整剤を加えて、処理液のpHを、例えば、3以上、更に5以上、更に6以上、そして、12以下、更に10以下、更に8以下に調整してもよい。
【0067】
本発明の処理液は、(A)成分を、酸化分解活性を向上させる観点から、例えば、0.0001質量%以上、更に0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、10質量%以下、更に1質量%以下、更に0.1質量%以下含有することが好ましい。
【0068】
本発明の処理液は、(B)成分を、例えば、0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、そして、30質量%以下、更に3質量%以下、更に1質量%以下含有することができる。
【0069】
本発明の処理液は、(C)成分を、酸化分解活性を向上させる観点から、例えば、0.0001質量%以上、更に0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、10質量%以下、更に1質量%以下、更に0.1質量%以下含有することができる。
【0070】
前記酸化方法及び前記漂白方法の対象物は、例えば、風呂、トイレ、台所等の硬質物品、衣類等の繊維製品などが挙げられる。前記酸化方法及び前記漂白方法では、本発明の組成物を、過酸化水素の存在下、浸漬、塗布、噴霧などの方法で対象物と接触させることができる。本発明の組成物と対象物とを接触させる際の接触時間や接触温度は限定されない。
【0071】
本発明の処理液は、本発明の組成物で述べた任意の成分を含有することができる。
【0072】
本発明の処理液のpHは、例えば、3以上、更に5以上、更に6以上、そして、12以下、更に10以下、更に8以下であってよい。このpHは、本発明の酸化方法又は漂白方法を行う温度でのpHであるが、例えば、25℃でのpHであってよい。本発明の酸化方法又は漂白方法では、過酸化水素の存在下、中性近傍のpHでも優れた酸化力又は漂白力を得ることができる。
【0073】
〔保存方法〕
本発明は、(A)成分を、酸性の水中で保存する、化合物の保存方法(以下、本発明の保存方法ともいう)を提供する。
本発明の保存方法には、本発明の組成物で述べた事項を適宜適用することができる。本発明の保存方法における(A)成分の具体例や好ましい例なども本発明の組成物と同じである。本発明の保存方法は、(A)成分や本発明の組成物の保存方法であってよい。
【0074】
本発明の保存方法では、酸性の水中、(A)成分の含有量が、例えば、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下であってよい。
【0075】
本発明の保存方法では、(A)成分を酸性の水中で保存する。保存に用いる酸性の水は、pHが、例えば、2以上、更に3以上、そして、7未満、更に6以下、更に5以下であってよい。このようなpHにするために、pH調整剤を含有することができる。pH調整剤としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどのリン酸水素塩、乳酸、コハク酸、グルコン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸などの有機酸、リン酸、ホウ酸、塩酸、硫酸などの無機酸、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸などのスルホン酸、などが挙げられる。pH調整剤は、緩衝能を有する組み合わせで選択されてもよい。なお、このpHは、(A)成分、及び(B)成分などの任意成分を含んだ状態でのpHである。
【0076】
本発明の保存方法は、(A)成分以外の成分の共存下で行うことができる。例えば、本発明の組成物で述べた任意成分を酸性の水に添加して保存を行うことができる。
本発明では、(B)成分の過酸化水素の共存下で(A)成分を酸性の水中で保存することが好ましい。(B)成分を共存させる場合、本発明の保存方法では、酸性の水中、(B)成分の含有量が、例えば、0.01質量%以上、更に1質量%以上、更に3質量%以上、そして、30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下であってよい。
また、本発明では、(C)成分の漂白活性化助剤の共存下で(A)成分を酸性の水中で保存することが好ましい。(C)成分を共存させる場合、本発明の保存方法では、酸性の水中、(C)成分の含有量が、例えば、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下であってよい。
【0077】
本発明の保存方法は、例えば、本発明の組成物、更に酸化剤用である本発明の組成物又は漂白剤用である本発明の組成物の保存方法として用いることができる。
【0078】
本発明の保存方法では、酸性の水の温度は、特に限定されないが、例えば、0℃以上、更に25℃以上、そして、60℃以下、更に50℃以下であってよい。
【0079】
本発明の保存方法では、保存の期間は、特に限定されないが、例えば、1日以上、更に14日以上、そして、730日以下、更に365日以下であってよい。
【0080】
本発明の保存方法では、例えば、所定の容器に、水と(A)成分と必要に応じて(B)成分、(C)成分、その他の任意成分を投入し、液性を酸性、好ましくは前記範囲のpHに調整して、(A)成分を保存することができる。容器の形状、容量などは限定されない。容器は、蓋、栓など、開口の封止手段を有するものが好ましい。
【0081】
上述した実施の形態に加え、本発明は以下の態様を開示する。
<1>
(A)下記一般式(A1)で表される化合物及び下記一般式(A2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物〔以下、(A)成分という〕、及び水を含有し、酸性である、組成物。
【0082】
【化9】
【0083】
【化10】
【0084】
〔式中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基である。R12は、炭素原子とピリジン環のNと対をなすイオンのヘテロ原子とを含み、前記ヘテロ原子とは異なるヘテロ原子を含んでいてもよい、総炭素数1以上24以下の基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1、2又は3であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素原子と結合している。Aは、陰イオンである。ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L以外の基が結合していてもよい。〕
【0085】
<2>
前記一般式(A1)において、Rのアルキル基の炭素数は、1以上、更に8以上、更に12以上、そして、24以下、更に20以下、更に18以下である、<1>に記載された組成物。
【0086】
<3>
前記一般式(A1)において、Rのヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びリン原子から選ばれる少なくとも1種である、<1>又は<2>に記載された組成物。
【0087】
<4>
前記一般式(A1)において、Rは、ヘテロ原子を含まない炭素数1以上24以下のアルキル基である、<1>~<3>の何れかに記載された組成物。
【0088】
<5>
前記一般式(A1)において、Rは、ヘテロ原子を含むアルキル基である、更に-CH-(CHn11-Y-(CHn12-CHであり、Yはヘテロ原子であり、n11とn12は、それぞれ、0以上22以下の整数であり、n11とn12の合計は0以上22以下である、<1>~<3>の何れかに記載された組成物。
【0089】
<6>
前記一般式(A2)において、-R12は、-CH-R121-Y-R122であり、Yはヘテロ原子の陰イオンであり、R121とR122は単結合であるか、又はYと異なるヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基であり、R121とR122の合計炭素数は0以上22以下である、<1>~<5>の何れかに記載された組成物。
【0090】
<7>
前記一般式(A2)において、-R12は、-CH-(CHn21-(Yn22-(CHn23-SO であり、n21及びn23は、それぞれ、0以上23以下の整数であり、n21とn23の合計は0以上23以下であり、Yはヘテロ原子であり、n22は0又は1である、<1>~<5>の何れかに記載された組成物。
【0091】
<8>
前記一般式(A1)又は一般式(A2)において、Lは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である、更に塩素原子である、<1>~<7>の何れかに記載された組成物。
【0092】
<9>
前記一般式(A1)において、Aは、有機陰イオン及び無機陰イオンから選ばれる陰イオンである、<1>~<8>の何れかに記載された組成物。
【0093】
<10>
前記一般式(A1)において、Aは、pKaが5以下の酸の共役塩基である陰イオンである、<1>~<9>の何れかに記載された組成物。
【0094】
<11>
前記一般式(A1)において、Aは、スルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、ハロゲン化物イオン、フルオロホウ酸イオン、フルオロリン酸イオン、イミドイオン、及びフルオロ酢酸イオンから選ばれる陰イオンである、さらに、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(OTf)、パラトルエンスルホン酸イオン(OTs)、メタンスルホン酸イオン(OMs)、メチル硫酸イオン(OSO3Me)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 )、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミドイオン((CF3SO2)2N)、及びトリフルオロ酢酸イオン(CF3COO)から選ばれる陰イオンである、さらに、OTf、OSO3Me、OTs、OMs、Cl、及びBrから選ばれる陰イオンである<1>~<10>の何れかに記載された組成物。
【0095】
<12>
前記一般式(A1)又は一般式(A2)おいて、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子が、L以外の基と結合している、更に、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子が、-COO-R、-CONH-R、及び-CON(R)(R)(ここで、R、R、R、Rは、それぞれ、ヘテロ原子置換を含んでいてもよい炭素数3以上のアルキル基である)から選ばれる基と結合している、<1>~<11>の何れかに記載された組成物。
【0096】
<13>
(A)成分が、下記一般式(A1-1)で表される化合物、下記一般式(A1-2)で表される化合物、下記一般式(A2-1)、及び下記一般式(A2-2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物である、更に下記一般式(A1-1)で表される化合物、下記一般式(A1-2)で表される化合物、及び下記一般式(A2-2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物である、更に下記一般式(A1-1)で表される化合物、及び下記一般式(A2-2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物である、<1>~<12>の何れかに記載された組成物。
【0097】
【化11】
【0098】
〔式(A1-1)中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1又は2であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素と結合している。Zは、-COO-R、-CONH-R及び-CON(R)(R)から選ばれる基であり、R、R、R、Rは、それぞれ、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3以上のアルキル基である。Zは、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子とは異なる炭素原子と結合している。Aは、陰イオンである。ピリジン環の炭素原子のうち、L、Zが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L、Z以外の基が結合していてもよい。〕
【0099】
【化12】
【0100】
〔式(A1-2)中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基であり、Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1、2又は3であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素原子と結合しており、Aは、陰イオンである。〕
【0101】
【化13】
【0102】
〔式(A2-1)中、R12は、炭素原子とピリジン環のNと対をなすイオンのヘテロ原子とを含み、前記ヘテロ原子とは異なるヘテロ原子を含んでいてもよい、総炭素数1以上24以下の基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1又は2であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素と結合している。Zは、-COO-R、-CONH-R及び-CON(R)(R)から選ばれる基であり、R、R、R、Rは、それぞれ、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3以上のアルキル基である。Zは、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子とは異なる炭素原子と結合している。Aは、陰イオンである。ピリジン環の炭素原子のうち、L、Zが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L、Z以外の基が結合していてもよい。〕
【0103】
【化14】
【0104】
〔式(A2-2)中、R11は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキレン基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1又は2であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素と結合している。ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L以外の基が結合していてもよい。〕
【0105】
<14>
前記一般式(A1-1)又は一般式(A1-2)において、Rのアルキル基の炭素数は、1以上、更に8以上、更に12以上、そして、24以下、更に20以下、更に18以下である、<13>に記載された組成物。
【0106】
<15>
前記一般式(A1-1)又は一般式(A1-2)において、Rのヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びリン原子から選ばれる少なくとも1種である、<13>又は<14>に記載された組成物。
【0107】
<16>
前記一般式(A1-1)又は一般式(A1-2)において、Rは、ヘテロ原子を含まない炭素数1以上24以下のアルキル基である、<13>~<15>の何れかに記載された組成物。
【0108】
<17>
前記一般式(A1-1)又は一般式(A1-2)において、Rは、ヘテロ原子を含むアルキル基である、更に-CH-(CHn11-Y-(CHn12-CHであり、Yはヘテロ原子であり、n11とn12は、それぞれ、0以上22以下の整数であり、n11とn12の合計は0以上22以下である、<13>~<15>の何れかに記載された組成物。
【0109】
<18>
前記一般式(A2-1)において、-R12は、-CH-R121-Y-R122であり、Yはヘテロ原子の陰イオンであり、R121とR122は単結合であるか、又はYと異なるヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基であり、R121とR122の合計炭素数は0以上22以下である、<13>~<17>の何れかに記載された組成物。
【0110】
<19>
前記一般式(A2-1)において、-R12は、-CH-(CHn21-(Yn22-(CHn23-SO であり、n21及びn23は、それぞれ、0以上23以下の整数であり、n21とn23の合計は0以上23以下であり、Yはヘテロ原子であり、n22は0又は1である、<13>~<17>の何れかに記載された組成物。
【0111】
<20>
前記一般式(A1-1)、一般式(A1-2)、一般式(A2-1)又は一般式(A2-2)において、Lは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子である、更に塩素原子である、<13>~<19>の何れかに記載された組成物。
【0112】
<21>
前記一般式(A1-1)、又は一般式(A1-2)において、Aは、有機陰イオン及び無機陰イオンから選ばれる陰イオンである、<13>~<20>の何れかに記載された組成物。
【0113】
<22>
前記一般式(A1-1)、又は一般式(A1-2)において、Aは、pKaが5以下の酸の共役塩基である陰イオンである、<13>~<21>の何れかに記載された組成物。
【0114】
<23>
前記一般式(A1-1)、又は一般式(A1-2)において、Aは、スルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、ハロゲン化物イオン、フルオロホウ酸イオン、フルオロリン酸イオン、イミドイオン、及びフルオロ酢酸イオンから選ばれる陰イオンである、さらに、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(OTf)、パラトルエンスルホン酸イオン(OTs)、メタンスルホン酸イオン(OMs)、メチル硫酸イオン(OSO3Me)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 )、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミドイオン((CF3SO2)2N)、及びトリフルオロ酢酸イオン(CF3COO)から選ばれる陰イオンである、さらに、OTf、OSO3Me、OTs、OMs、Cl、及びBrから選ばれる陰イオンである、<13>~<22>の何れかに記載された組成物。
【0115】
<24>
前記一般式(A1-1)、又は一般式(A2-1)において、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子が、L以外の基と結合している、更に、ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子が、-COO-R、-CONH-R、及び-CON(R)(R)(ここで、R、R、R、Rは、それぞれ、ヘテロ原子置換を含んでいてもよい炭素数3以上のアルキル基である)から選ばれる基と結合している、<13>~<23>の何れかに記載された組成物。
【0116】
<25>
前記一般式(A2-2)において、R11の炭素数は、2以上、更に3以上、そして、20以下、更に18以下、更に16以下、更に14以下、更に12以下、更に10以下、更に8以下、更に6以下、更に4以下である、<13>~<24>の何れかに記載された組成物。
【0117】
<26>
前記一般式(A2-2)において、R11がヘテロ原子を含み、ヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びリン原子から選ばれる少なくとも1種である、<13>~<25>の何れかに記載された組成物。
【0118】
<27>
前記一般式(A2-2)において、R11は、ヘテロ原子置換を含まない炭素数1以上24以下のアルキレン基である、<13>~<25>の何れかに記載された組成物。
【0119】
<28>
前記一般式(A1-1)中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-COO-R及び-CONH-Rから選ばれる基であり、Zは、ピリジン環の3位と結合しており、Aは、-OTfである、<13>~<27>の何れかに記載された組成物。
【0120】
<29>
前記一般式(A1-1)中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-COO-Rであり、Zは、ピリジン環の3位と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、-OTfである、<13>~<28>の何れかに記載された組成物。
【0121】
<30>
前記一般式(A1-1)中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-CONH-Rであり、Zは、ピリジン環の3位と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、-OTfである、<13>~<29>の何れかに記載された組成物。
【0122】
<31>
前記一般式(A1-2)中、Rは、ドデシル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、-OTfである、<13>~<30>の何れかに記載された組成物。
【0123】
<32>
前記一般式(A2-2)中、R11は、炭素数3のアルキレン基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、-OTfである、<13>~<31>の何れかに記載された組成物。
【0124】
<33>
(A)成分を、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下含有する、<1>~<32>の何れかに記載された組成物。
【0125】
<34>
水を、50質量%以上、更に80質量%以上、更に90質量%以上、そして、99質量%以下、更に95質量%以下、更に90質量%以下含有する、<1>~<33>の何れかに記載された組成物。
【0126】
<35>
さらに、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕を含有する、<1>~<30>の何れかに記載された組成物。
【0127】
<36>
(B)成分を、0.01質量%以上、更に1質量%以上、更に3質量%以上、そして、30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下含有する、<35>に記載された組成物。
【0128】
<37>
(B)成分の1モル部に対する(A)成分の含有量が、更に22モル部以上、更に33モル部以上、そして、100モル部以下、更に55モル部以下、更に44モル部以下である、<35>又は<36>に記載された組成物。
【0129】
<38>
さらに、(C)漂白活性化助剤〔以下、(C成分という〕を含有する、<1>~<37の何れかに記載された組成物。
【0130】
<39>
(C)成分が、下記一般式(C-1)で表される化合物である、<38>に記載された組成物。
【0131】
【化15】
【0132】
〔式中、Zは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基、ニトロ、ハロ、シアノ、アミノ、アミノアルキル、チオアルキル、スルホアルキル、カルボキシエステル、ヒドロキシ、及びカルボキシアミドから選ばれる基であり、nは、0以上9以下の数である。R1cは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基であり、Aは、陰イオンである。〕
【0133】
<40>
前記一般式(C-1)中、nは、0であり、R1cは、メチル基であり、Aは、BF4 である、<39>に記載された化合物。
【0134】
<41>
(C)成分を、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下含有する、<39>又は<40>に記載された組成物。
【0135】
<42>
(A)成分の含有量の1モル部に対する(C)成分の含有量は、0.01モル部以上、更に0.1モル部以上、更に1モル部以上、そして、100モル部以下、更に10モル部以下、更に2モル部以下である、<39>~<41>の何れかに記載された組成物。
【0136】
<43>
(B)成分及び(C)成分を含有し、(C)成分の含有量の1モル部に対する(B)成分の含有量は、1モル部以上、更に22モル部以上、更に33モル部以上、そして、100モル部以下、更に55モル部以下、更に44モル部以下である、<38>~<42>の何れかに記載された組成物。
【0137】
<44>
25℃におけるpHが、2以上、更に3以上、そして、7未満、更に6以下、更に5以下である、<1>~<43>の何れかに記載された組成物。
【0138】
<45>
pH調整剤を含有する、<1>~<44>の何れかに記載された組成物。
【0139】
<46>
pH調整剤が、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素カリウムから選ばれるリン酸水素塩、乳酸、コハク酸、グルコン酸、クエン酸、酢酸、及び酒石酸から選ばれる有機酸、リン酸、ホウ酸、塩酸、及び硫酸から選ばれる無機酸、並びに、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、及びメタンスルホン酸から選ばれるスルホン酸、から選ばれるpH調整剤である、<45>に記載された組成物。
【0140】
<47>
酸化剤用である、<1>~<46>の何れかに記載された組成物。
【0141】
<48>
漂白剤用である、<1>~<46>の何れかに記載された組成物。
【0142】
<49>
<1>~<48>の何れかに記載された組成物から調製した処理液を過酸化水素の存在下、対象物と接触させる、酸化方法。
【0143】
<50>
<1>~<48>の何れかに記載された組成物から調製した処理液を過酸化水素の存在下、対象物と接触させる、漂白方法。
【0144】
<51>
前記処理液は、(A)成分、(B)成分、及び水を含有する、<49>又は<50>に記載された方法。
【0145】
<52>
前記処理液は、(B)成分を、0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、そして、30質量%以下、更に3質量%以下、更に1質量%以下含有する、<51>に記載された方法。
【0146】
<53>
前記処理液は、(A)成分を、0.0001質量%以上、更に0.001質量%以上、更に0.01質量%以上、そして、10質量%以下、更に1質量%以下、更に0.1質量%以下含有する、<49>~<52>の何れかに記載された方法。
【0147】
<54>
前記処理液は、水を、80質量%以上、更に90質量%以上、更に95質量%以上、そして、99.99質量%以下、更に98質量%以下、更に95質量%以下含有する、<49>~<53>の何れかに記載された方法。
【0148】
<55>
前記処理液のpHは、3以上、更に5以上、更に6以上、そして、12以下、更に10以下、更に8以下である、<49>~<54>の何れかに記載された方法。
【0149】
<56>
(A)下記一般式(A1)で表される化合物及び下記一般式(A2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物〔以下、(A)成分という〕を酸性の水中で保存する、化合物の保存方法。
【0150】
【化16】
【0151】
【化17】
【0152】
〔式中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基である。R12は、炭素原子とピリジン環のNと対をなすイオンのヘテロ原子とを含み、前記ヘテロ原子とは異なるヘテロ原子を含んでいてもよい、総炭素数1以上24以下の基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1、2又は3であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素原子と結合している。Aは、陰イオンである。ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L以外の基が結合していてもよい。〕
【0153】
<57>
前記水中での(A)成分の含有量が、0.01質量%以上、更に0.1質量%以上、更に1質量%以上、そして、20質量%以下、更に10質量%以下、更に5質量%以下である、<56>に記載された化合物の保存方法。
【0154】
<58>
(A)成分を、pHが、2以上、更に3以上、そして、7未満、更に6以下、更に5以下の水中で保存する、<56>又は<57>に記載された化合物の保存方法。
【0155】
<59>
(A)成分を保存する水は、pH調整剤を含有する、<56>~<58>の何れかに記載された化合物の保存方法。
【0156】
<60>
pH調整剤が、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素カリウムから選ばれるリン酸水素塩、乳酸、コハク酸、グルコン酸、クエン酸、酢酸、及び酒石酸から選ばれる有機酸、リン酸、ホウ酸、塩酸、及び硫酸から選ばれる無機酸、並びに、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、及びメタンスルホン酸から選ばれるスルホン酸、から選ばれるpH調整剤である、<59>に記載された化合物の保存方法。
【0157】
<61>
(A)成分を、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕の共存下で保存する、<56>~<60>に記載の化合物の保存方法。
【0158】
<62>
前記水中での(B)成分の含有量が、0.01質量%以上、更に1質量%以上、更に3質量%以上、そして、30質量%以下、更に20質量%以下、更に10質量%以下である、<61>に記載された化合物の保存方法。
【0159】
<63>
前記保存方法は、<1>~<48>の何れかに記載された組成物、更に酸化剤用である前記組成物又は漂白剤用である前記組成物の保存方法である、<56>~<62>の何れかに記載された保存方法。
【0160】
<64>
酸性の水の温度は、0℃以上、更に25℃以上、そして、60℃以下、更に50℃以下である、<56>~<63>の何れかに記載された保存方法。
【0161】
<65>
保存の期間は、1日以上、更に14日以上、そして、730日以下、更に365日以下である、<56>~<64>の何れかに記載された保存方法。
【0162】
<66>
<1>~<48>の何れかに記載された組成物の、酸化剤の製造のための使用。
【0163】
<67>
<1>~<48>の何れかに記載された組成物の、漂白剤の製造のための使用。
【0164】
<68>
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物から調製した処理液を、対象物と接触させる、酸化方法又は漂白方法であって、
前記処理液はpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有する、
酸化方法又は漂白方法。
【0165】
【化18】
【0166】
〔式中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-COO-Rであり、Zは、ピリジン環の3位の炭素原子と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、OTfである。〕
【0167】
<69>
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物から調製した処理液を、対象物と接触させる、酸化方法又は漂白方法であって、
前記処理液はpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有する、
酸化方法又は漂白方法。
【0168】
【化19】
【0169】
〔式中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-CONH-Rであり、Zは、ピリジン環の3位の炭素原子と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、OTfである。〕
【0170】
<70>
(A)下記一般式(A1-2)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物から調製した処理液を、対象物と接触させる、酸化方法又は漂白方法であって、
前記処理液はpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有する、
酸化方法又は漂白方法。
【0171】
【化20】
【0172】
〔式中、Rは、ドデシル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、OTfである。〕
【0173】
<71>
(A)下記一般式(A2-2)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物から調製した処理液を、対象物と接触させる、酸化方法又は漂白方法であって、
前記処理液はpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有する、
酸化方法又は漂白方法。
【0174】
【化21】
【0175】
〔式中、R11は、炭素数3のアルキレン基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、OTfである。〕
【0176】
<72>
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物から調製した、酸化用又は漂白用の処理液であって、
前記処理液は25℃でのpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有する、
酸化用又は漂白用の処理液。
【0177】
【化22】
【0178】
〔式中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-COO-Rであり、Zは、ピリジン環の3位の炭素原子と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、OTfである。〕
【0179】
<73>
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物から調製した、酸化用又は漂白用の処理液であって、
前記処理液は25℃でのpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有する、
酸化用又は漂白用の処理液。
【0180】
【化23】
【0181】
〔式中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-CONH-Rであり、Zは、ピリジン環の3位の炭素原子と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、OTfである。〕
【0182】
<74>
(A)下記一般式(A1-2)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物から調製した、酸化用又は漂白用の処理液であって、
前記処理液は25℃でのpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有する、
酸化用又は漂白用の処理液。
【0183】
【化24】
【0184】
〔式中、Rは、ドデシル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、OTfである。〕
【0185】
<75>
(A)下記一般式(A2-2)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物から調製した、酸化用又は漂白用の処理液であって、
前記処理液は25℃でのpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有する、
酸化用又は漂白用の処理液。
【0186】
【化25】
【0187】
〔式中、R11は、炭素数3のアルキレン基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、OTfである。〕
【0188】
<76>
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物を0.0001質量%以上1質量%以下、(B)過酸化水素を0.001質量%以上3質量%以下、及び水を80質量%以上99.99質量%以下含有し、25℃でのpHが5以上10以下である、酸化用又は漂白用の処理液。
【0189】
【化26】
【0190】
〔式中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-COO-Rであり、Zは、ピリジン環の3位の炭素原子と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、OTfである。〕
【0191】
<77>
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物を0.0001質量%以上1質量%以下、(B)過酸化水素を0.001質量%以上3質量%以下、及び水を80質量%以上99.99質量%以下含有し、25℃でのpHが5以上10以下である、酸化用又は漂白用の処理液。
【0192】
【化27】
【0193】
〔式中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-CONH-Rであり、Zは、ピリジン環の3位の炭素原子と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、OTfである。〕
【0194】
<78>
(A)下記一般式(A1-2)で表される化合物を0.0001質量%以上1質量%以下、(B)過酸化水素を0.001質量%以上3質量%以下、及び水を80質量%以上99.99質量%以下含有し、25℃でのpHが5以上10以下である、酸化用又は漂白用の処理液。
【0195】
【化28】
【0196】
〔式中、Rは、ドデシル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、OTfである。〕
【0197】
<79>
(A)下記一般式(A2-2)で表される化合物を0.0001質量%以上1質量%以下、(B)過酸化水素を0.001質量%以上3質量%以下、及び水を80質量%以上99.99質量%以下含有し、25℃でのpHが5以上10以下である、酸化用又は漂白用の処理液。
【0198】
【化29】
【0199】
〔式中、R11は、炭素数3のアルキレン基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、OTfである。〕
【0200】
<80>
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物を用いた、酸化用又は漂白用の処理液の製造方法であって、
前記処理液は25℃でのpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有し、
任意に前記液体組成物と水とを混合することを含む、
酸化用又は漂白用の処理液の製造方法。
【0201】
【化30】
【0202】
〔式中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-COO-Rであり、Zは、ピリジン環の3位の炭素原子と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、OTfである。〕
【0203】
<81>
(A)下記一般式(A1-1)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物を用いた、酸化用又は漂白用の処理液の製造方法であって、
前記処理液は25℃でのpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有し、
任意に前記液体組成物と水とを混合することを含む、
酸化用又は漂白用の処理液の製造方法。
【0204】
【化31】
【0205】
〔式中、Rは、メチル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Zは、-CONH-Rであり、Zは、ピリジン環の3位の炭素原子と結合しており、Rは、ブチル基であり、Aは、OTfである。〕
【0206】
<82>
(A)下記一般式(A1-2)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物を用いた、酸化用又は漂白用の処理液の製造方法であって、
前記処理液は25℃でのpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有し、
任意に前記液体組成物と水とを混合することを含む、
酸化用又は漂白用の処理液の製造方法。
【0207】
【化32】
【0208】
〔式中、Rは、ドデシル基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、OTfである。〕
【0209】
<83>
(A)下記一般式(A2-2)で表される化合物〔以下、(A)成分という〕、(B)過酸化水素〔以下、(B)成分という〕、及び水を含有し、酸性である液体組成物を用いた、酸化用又は漂白用の処理液の製造方法であって、
前記処理液は25℃でのpHが5以上10以下であり、
前記処理液は(A)成分を0.0001質量%以上1質量%以下含有し、
前記処理液は(B)成分を0.001質量%以上3質量%以下含有し、
前記処理液は水を80質量%以上99.99質量%以下含有し、
任意に前記液体組成物と水とを混合することを含む、
酸化用又は漂白用の処理液の製造方法。
【0210】
【化33】
【0211】
〔式中、R11は、炭素数3のアルキレン基であり、Lは、塩素原子であり、nは1であり、Lは、ピリジン環の2位の炭素原子と結合しており、Aは、OTfである。〕
【0212】
実施例
合成例1
3-(ブトキシカルバモイル)-2-クロロ-1-メチルピリジン-1-イウム トリフルオロメタンスルホン酸〔3-(butylcarbamoyl)-2-chloro-1-methylpyridin-1-ium trifluoromethanesulfonate〕(表1-1の実施例1-1等の化合物)を次の二段階のスキームで合成した。
【0213】
まず、前記化合物の中間体を次のスキームで合成した。合成は200mLの三ツ口ナスフラスコを用いて行った。
【0214】
【化34】
【0215】
2-クロロニコチン酸クロリド(5g, 28.41mmol)のジクロロメタン(56.82mL)溶液を0℃に冷却し、そこに2.19gのブチルアミン(29.83mmol, 1.05 eq.)を滴下し、続いて4.31gのトリエチルアミン(42.62mmol, 1.5eq.)を滴下し、室温(25℃)にて1時間撹拌した。反応終了後、反応液に対し飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層をロータリーエバポレーターで濃縮し、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1→3:1)で精製し、標題化合物の中間体を5.74g(27.0mmol,収率95%)得た。当該化合物の1H NMRの測定結果は次の通りであった。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 8.5(1H, d, J = 4.8 Hz),8.1 (1H, d, J = 8 Hz), 7.4 (1H, dd, J = 4.8, 8 Hz), 6.5(1H, s), 3.5 (2H, q, J= 5.6, 7.2 Hz), 1.7-1.7 (2H, m), 1.6-1.4 (2H, m), 1.0(3H, t, J = 7.6 Hz) ppm.
なお、1H NMRの測定条件は、以下の通りであった(以下同様)。
1H NMR測定条件>
・装置:Vnmr 400MR DD2(Agilent社製)
・測定温度:25℃
・待ち時間:10秒
・積算回数:8回
・観測範囲:6410.3Hz
・パルス:45°
・データポイント:65536
【0216】
次に、前記中間体(3.6g, 16.9mmol)のジクロロメタン(34mL)溶液を0℃に冷却した。これに対しトリフルオロメタンスルホン酸メチル(3.1g, 18.6mmol, 1.1 eq.)を加え、室温(25℃)で1時間撹拌した。反応終了後、反応終液をエバポレーターで濃縮した後、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより標題化合物を得た(6.1g, 収率96%)。当該化合物の1H NMRの測定結果は次の通りであった。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ:=9.0 (1H, d), 8.4 (1H,d), 8.0 (1H, s), 7.9 (1H, t), 4.4 (3H, s), 3.4 (2H, t), 1.64-1.57 (2H, m),1.46-1.37 (2H, m), 0.9 (3H, t) ppm.
【0217】
合成例2
3-(ブトキシカルボニル)-2-クロロ-1-メチルピリジン-1-イウム トリフルオロメタンスルホン酸〔3-(butoxycarbonyl)-2-chloro-1-methylpyridin-1-ium trifluoromethanesulfonate〕(表1-1の実施例1-2等の化合物)を次の二段階のスキームで合成した。
【0218】
まず、前記化合物の中間体を次のスキームで合成した。合成は200mLの三ツ口ナスフラスコを用いて行った。
【0219】
【化35】
【0220】
5g(28.41mmol)の2-クロロニコチン酸クロリドとジクロロメタン(56.82mL)とから得た溶液に対し、2.32g(31.25mmol, 1.1eq.)の1-ブタノールを加え、これを0℃に冷却した。そこに4.32gのトリエチルアミン(42.62mol, 1.5eq.)を滴下し、室温(25℃)で1時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることにより反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を水、及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1→1:1)を用いて精製し、標題化合物の中間体を5.95g(27.85mmol, 収率98%)得た。当該化合物の1H NMRの測定結果は次の通りであった。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 8.5(1H, d, J = 4.8 Hz),8.2 (1H, d, J = 8 Hz), 7.3 (1H, dd, J = 4.8, 8 Hz), 4.4(2H, t, J = 6.4 Hz),1.8-1.7 (2H, m), 1.5-1.4 (2H, m), 1.0 (3H, t, J = 7.6 Hz)ppm.
【0221】
次に、前記中間体(3.6g, 16.8mmol)のジクロロメタン(34mL)溶液を0℃に冷却した。これに対しトリフルオロメタンスルホン酸メチル(3.0g, 18.5mmol, 1.1 eq.)を加え、室温(25℃)で1時間撹拌した。反応終了後、反応終液をエバポレーターで濃縮した後、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより標題化合物を得た(6.4g, 収率100%)。当該化合物の1H NMRの測定結果は次の通りであった。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 9.4(1H, d), 8.7 (1H,d), 8.1 (1H, t), 4.5 (3H, s), 4.4 (2H, t), 1.82-1.75 (2H, m),1.5-1.4 (2H, m),1.0 (3H, t) ppm.
【0222】
合成例3
3-(2-クロロピリジン-1-イウム-1-イル)プロパン-1-スルホン酸〔3-(2-chloropyridin-1-ium-1-yl)propane-1-sulfonate〕(表1-1の実施例1-3等の化合物)を次のスキームで合成した。合成は200mLの一つ口ナスフラスコを用いて行った。
【0223】
【化36】
【0224】
2-クロロピリジン(5g, 44.03mmol)に対し、1,3-プロパンサルトン(4.03g, 33.02mmol, 0.75 eq.)を加え、60℃で5時間撹拌した。反終液に対しアセトンを加え、生じた結晶を濾取し、減圧下で乾燥させることにより標題化合物を4.98g得た(21.14mmol, 収率64%)。当該化合物の1H NMRの測定結果は次の通りであった。
1H NMR(400 MHz, D2O) : 9.0 (1H,d, J = 6.4 Hz),8.5 (1H, t, J = 6.4 Hz), 8.2 (1H, d, J = 8.4 Hz), 8.0 (1H, t, J= 8.4 Hz), 5.0(2H, t, J = 8 Hz), 3.1 (2H, t, J =7.2 Hz), 2.5 (2H, m) ppm.
【0225】
合成例4
2-クロロ-1-(ドデシル)ピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホナート(2-chloro-1-(dodecyl)pyridin-1-ium trifluoromethane sulfonate)(表1-1の実施例1-4等の化合物)を次のスキームで合成した。合成は100mLの三ツ口ナスフラスコを用いて行った。
【0226】
【化37】
【0227】
1.18gのドデカノール(6.32mmol)のジクロロメタン(12.6mL)溶液を0℃に冷却し、そこにトリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.67g, 9.48mmol、1.5 eq.)、ピリジン(0.55g, 6.95mmol、1.1 eq.)を順次滴下し、0℃にて1時間撹拌した。反応終了後、反応液にヘキサンを加え生じた結晶を濾過した後、濾液をエバポレーターで濃縮した。得られた残渣に対しヘキサンを加え、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、有機層を濃縮し、得られた残渣を生成することなく次の反応に用いた。
先の反応で得られた残渣(ドデシルトリフルオロメタンスルホナートとして1.33g, 4.19mmol、1.1eq.)に対し、ジクロロメタン(7.62mL)、2-クロロピリジン(0.43g,3.81mmol)を加え、45℃で撹拌した。反応終了後、反応液をエバポレーターを用いて濃縮し、標題化合物を得た。当該化合物の1H NMRの測定結果は次の通りであった。
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 9.1(1H, d、J = 6 Hz), 8.5 (1H, t, J = 6.4 Hz), 8.1 (2H, m),4.8 (2H, m), 1.9(1H, m), 1.8 (1H, m), 1.6 (1H, m), 1.5 (1H, m), 1.4-1.2(6H, m),1.0 (3H, t, J =6.8 Hz), 0.9 (6H, m) ppm.
【0228】
<試薬>
実施例、比較例、参考例及び比較参考例で用いた試薬は以下の通りである。
・リン酸(85%):富士フイルム和光純薬株式会社製
・リン酸水素二ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・リン酸二水素カリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・リン酸二水素ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・3-(トリメチルシリル)-1-プロパン-1,1,2,2,3,3-d6-スルホン酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・エタノール(99.5%):富士フイルム和光純薬株式会社製
・クルクミン:富士フイルム和光純薬株式会社製
・アセトニトリル:富士フイルム和光純薬株式会社製
・過酸化水素(30%):富士フイルム和光純薬株式会社製
( )内は有効分量である。表中の量は、有効分量である。
【0229】
〔実施例1及び比較例1〕
<保存安定性の評価1>
リン酸とリン酸二水素ナトリウムと重水を用いてpH=2.5のリン酸緩衝液を作製し、これを用いて表1-1の(A)成分が26.4mM、3-(トリメチルシリル)-1-プロパン-1,1,2,2,3,3-d6-スルホン酸ナトリウム(標準物質)が3mMの溶液を調製した。この溶液は、前記標準物質を除いた組成が表1-1の組成(質量%)の液体組成物に相当する。表1-1の実施例の液体組成物は、酸化剤ないし漂白剤の原料として使用できるものである。液体組成物を作製した直後に1H NMRを測定し、測定後は室温(25℃)にて保存した。最初の測定から1時間経過後にもう一度1H NMRを測定した。1H NMRの測定条件は前記と同じであった。得られたチャートの標準物質とのピーク比から、評価化合物((A)成分)のピークの減少量を算出し、内部標準法によって(A)成分の残存率の値(%)を求め、保存安定性を評価した。結果を表1-1に示す。数値が高いほど、保存安定性に優れることを示す。
【0230】
【表1-1】
【0231】
<保存安定性の評価2>
炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムと重水を用いてpH=10.5の炭酸緩衝液を作製し、これを用いて表1-2の(A)成分が26.4mM、3-(トリメチルシリル)-1-プロパン-1,1,2,2,3,3-d6-スルホン酸ナトリウム(標準物質)が3mMの溶液を調製した。この溶液は、前記標準物質を除いた組成が表1-2の組成(質量%)の液体組成物に相当する。この液体組成物を用いた以外は前述の保存安定性の評価1と同様に保存安定性を評価した。結果を表1-2に示す。数値が高いほど、保存安定性に優れることを示す。
【0232】
【表1-2】
【0233】
〔実施例2及び比較例2〕
<保存安定性の評価3>
リン酸とリン酸二水素ナトリウムと重水を用いてpH=2.5のリン酸緩衝液を作製し、これを用いて(B)成分の過酸化水素が3%、表2の(A)成分が26.4mM、3-(トリメチルシリル)-1-プロパン-1,1,2,2,3,3-d6-スルホン酸ナトリウム(標準物質)が3mMの溶液を調製した。この溶液は、前記標準物質を除いた組成が表2の組成(質量%)の液体組成物に相当する。表2の実施例の液体組成物は、酸化剤ないし漂白剤として使用できるものである。この液体組成物を用いた以外は前述の保存安定性の評価1と同様に保存安定性を評価した。結果を表2に示す。数値が高いほど、保存安定性に優れることを示す。なお、表2には、(A)成分に該当しない化合物も、便宜的に(A)成分の欄に示した。
【0234】
【表2】
【0235】
〔参考例1及び比較参考例1〕
<酸化力の評価>
イオン交換水を用いて5.29mMの(A)成分(表3)の溶液(A液とする)、イオン交換水と30%過酸化水素とを用いて1765mMの(B)成分の溶液(B液とする)、エタノールを用いて1.32mMのクルクミン溶液を、それぞれ、作製した。なお、表3には、(A)成分に該当しない化合物も、便宜的に(A)成分の欄に示した。リン酸二水素カリウムとリン酸水素二ナトリウムを用いてpH=7.3に調整したリン酸緩衝液18.8mLに対してB液を0.1mL、A液を1mL添加し、10秒間撹拌した後にクルクミン溶液を0.1mL添加し、10分間撹拌した(終濃度は、(A)成分0.264mM、(B)成分8.824mM、クルクミン0.0066mMであった)。10分後、反応液より0.5mLを採取し、これにクエンチ液(0.5Mリン酸水溶液/アセトニトリル=1:1(vol))を0.5mL添加し、サンプル液とした。これをHPLCで定量することで、クルクミンの残存量を求めた。なお、この評価は、表2の液体組成物を中性条件で用いた場合の酸化分解活性を評価する試験に相当する。
HPLCによる定量の結果、表3の液体組成物の中性条件下での酸化分解活性(酸化力(%)、下記式により算出)は表3に示す通りであった。数値が高いほど、酸化分解活性に優れることを示す。なお、HPLCの条件は以下の通りであった。
酸化力(%)=100×[(クルクミンの使用量-クルクミンの残存量)/クルクミンの使用量]
<HPLC条件>
・装置
SHIMAZU CBM-20A
Pump:LC-20A, UV-Vis detector:SPD-20A, PDA detector:SPD-M20A, Column oven:CTO-20A, Auto sampler:SIL-20A
・分析条件
Column:L-column ODS,150mm×4.6mm, 5μm(一般財団法人 化学物質評価機構)
Oven temperature:40℃, Detector:UV(430nm), Injection volume:10μl, Flow rate:1.0mL/min, Mobile phase:A=50mM phosphoric acid,B=acetonitrile
【0236】
【表3】
【0237】
〔参考例2及び比較参考例2〕
(1)漂白性能の評価
(1-1)汚染布の調製
6cm×6cmの木綿2003の布に対して、ぶどうジュース(アサヒ飲料株式会社、Welch'sグレープ100)又はコーヒー(日本コカ&middot;コーラ株式会社、GEORGIA 香香るブレンド)を、100μL滴下し、バイアルキャップ上で一晩乾燥した。
【0238】
(1-2)汚染布の漂白洗浄及び評価
表4に示す(A)成分、(B)成分、(C)成分を用いて汚染布の漂白洗浄を行い、漂白力を評価した。漂白力の評価は、ぶどうジュースの汚染布とコーヒーの汚染布で、別々に行った。
漂白評価は室温(25℃)下にて行い、撹拌にはマグネチックスターラーと撹拌子を用いた。プラスチック製カップにpH=7.3のリン酸緩衝液(50mM)を入れた(量は汚染布一枚に対し80~100ml)。一部の例では、アルカリ性条件とするために、リン酸緩衝液に代えてpH=10.5の炭酸緩衝液(50mM)を用いた。リン酸緩衝液は、参考例1と同じものである。炭酸緩衝液は、比較例1(保存安定性の評価2)と同じものである。
前記カップに6%の過酸化水素溶液((B)成分の水溶液)を、(B)成分として0.03質量%となるように添加した。
次に、前記カップに(A)成分の水溶液を、(A)成分として0.26mMとなるように、表4の質量%で添加し、10秒後に各種汚染布を投入した。一条件につき、汚染布を2枚(N=2)使用した。
(C)成分の漂白活性化助剤を添加する場合は、(A)成分の水溶液を添加してから10秒後、(C)成分の水溶液を、(C)成分として0.26mMとなるように、表4の質量%で前記カップに添加し、さらに10秒経過後に汚染布を投入した。なお、漂白活性化助剤は、2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2-イウム テトラフルオロボレート(2-methyl-3,4-dihydroisoquinolin-2-ium tetrafluoroborate)であり、下記の方法で合成された化合物である。
10分間、150~200rpmで撹拌後、汚染布を取り出し、洗面器に張った水道水にてためすすぎを2回実施した。
すすぎ後、脱水機にて2分間脱水し、汚染布を自然乾燥させた。
予め測定しておいた洗浄前の反射率のZ値、白布のZ値、洗浄後のZ値から下記式にて、漂白率を算出した。結果を表4に示した。反射率の測定には、分光色差計 SE 6000(日本電色工業社製)を用いた。
【0239】
【数1】
【0240】
R0:白布の反射率のZ値
RS:汚染布の洗浄前の反射率のZ値
RW:汚染布の洗浄後の反射率のZ値
【0241】
<(C)成分(漂白活性化助剤)の合成例>
(C)成分の漂白活性化助剤である2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2-イウム テトラフルオロボレート(2-methyl-3,4-dihydroisoquinolin-2-ium tetrafluoroborate)を次のスキームにより合成した。合成は50mLの1つ口ナスフラスコを用いて行った。
【0242】
【化38】
【0243】
ナスフラスコに対し、3,4-ジヒドロイソキノリニウム(1g, 7.6mmol)とジクロロメタン(15ml)を加え、室温(25℃)下撹拌した。そこにメーヤワイン試薬(1.24g, 8.38mmol, 1.1 eq.)を滴下し、室温(25℃)で1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターを用いてジクロロメタンを留去し、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄した。洗浄後、乾燥し、目的物である2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-2-イウム テトラフルオロボレート(2-methyl-3,4-dihydroisoquinolin-2-ium tetrafluoroborate)(分子量233.02)を得た(1.8g, quant.)。当該化合物の1H NMRの測定結果は次の通りであった(1H NMRの測定条件は前記と同じ)。
1H NMR(400MHz, CH3CN) δ=3.24 (t, 2H), 3.70 (s, 3H), 3.97 (t, 2H), 7.45-7.56 (m, 2H), 7.74-7.79 (m, 2H), 8.74 (s, 1H).
【0244】
【表4】
【0245】
〔参考例3及び比較参考例3〕
参考例2等と同様に、ただし、汚染布はコーヒーの汚染布のみとし、当該汚染布の調製に用いるコーヒーを日本コカ&middot;コーラ株式会社、GEORGIA 香る微糖に変更し、汚染布の洗浄、すすぎ後の乾燥を自然乾燥に変更して、漂白力を評価した。結果を表5に示す。
【0246】
【表5】
【要約】
本発明は、(A)下記一般式(A1)で表される化合物及び下記一般式(A2)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物、及び水を含有し、酸性である、組成物である。
【化1】
【化2】
〔式中、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1以上24以下のアルキル基である。R12は、炭素原子とピリジン環のNと対をなすイオンのヘテロ原子とを含み、前記ヘテロ原子とは異なるヘテロ原子を含んでいてもよい、総炭素数1以上24以下の基である。Lは、n個のハロゲン原子であり、nは1、2又は3であり、Lは、ピリジン環の2位、4位及び6位の何れかn個の異なる炭素原子と結合している。Aは、陰イオンである。ピリジン環の炭素原子のうち、Lが結合する炭素原子以外の炭素原子は、L以外の基が結合していてもよい。〕