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特許7397252広告通知システム、広告通知方法、および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】広告通知システム、広告通知方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019218192
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021089485
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】工藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 佐世子
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-018560(JP,A)
【文献】特開2016-076125(JP,A)
【文献】特開2001-282982(JP,A)
【文献】特開2017-188031(JP,A)
【文献】特開2018-152141(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108985830(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスを提供するサービス提供サーバと、
前記サービス提供サーバのサービスを利用する利用者を評価する評価サーバと、
を含む、広告通知システムであって、
前記評価サーバは、第1の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれの属性情報、趣味嗜好に関する情報、および商品に対する広告への接触に関する情報を説明変数として用い、および前記商品に対して前記第1の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれがとった行動に基づく値を目的変数として用いて機械学習を行い生成された学習済みモデルに、第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれの前記属性情報、前記趣味嗜好に関する情報、および前記商品に対する広告への接触に関する情報を入力して、前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれが前記商品に対して前記目的変数の行動をとる可能性を評価した指標値を出力し、前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれの前記指標値を前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれと対応づけて前記サービス提供サーバに送信し、
前記サービス提供サーバは、受信した前記指標値に基づいて、前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者のうち少なくとも一部の利用者に前記商品に対する広告を通知
前記商品に対する広告への接触に関する情報が、前記商品に対する広告での滞在時間、前記商品に対する広告に含まれる動画の視聴の有無、前記商品に対するオフライン広告への接触に関する情報、またはテレビジョンでの前記商品に対する広告の視聴に関する情報のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、広告通知システム。
【請求項2】
前記趣味嗜好に関する情報は、前記サービス提供サーバが提供するウェブサイトで取り扱われる商品を分類する複数のカテゴリごとに、利用者がカテゴリの商品に対して行った検索、閲覧、購買の行動をスコアで表した値である、ことを特徴とする請求項1に記載の広告通知システム。
【請求項3】
前記商品に対する広告への接触に関する情報が、前記商品に対する広告へのアクセスの有無を更に含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の広告通知システム。
【請求項4】
前記商品に対する広告への接触に関する情報が、前記商品に対するオンライン広告への接触に関する情報を更に含む、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の広告通知システム。
【請求項5】
前記学習済みモデルは、前記第1の利用者群の利用者の曜日および時間帯に応じた購買に関する情報、所定のサービスの利用に関する情報、および、販促イベントの開催時期における購買に関する情報の少なくとも1つを前記説明変数として更に用いて生成される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の広告通知システム。
【請求項6】
前記サービス提供サーバは、前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者を、前記指標値に基づいて複数のグループに分類し、それぞれのグループの利用者を複数のカテゴリにカテゴリ分けし、それぞれのカテゴリの利用者に宛てて、他のカテゴリの利用者とは異なる広告を通知する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の広告通知システム。
【請求項7】
前記商品に対する広告には、通知先の利用者を識別するための識別子が付与されている、ことを特徴とする請求項6に記載の広告通知システム。
【請求項8】
サービス提供サーバのサービスを利用する利用者を評価する評価サーバが、
第1の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれの属性情報、趣味嗜好に関する情報、および商品に対する広告への接触に関する情報を説明変数として用い、および前記商品に対して前記第1の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれがとった行動に基づく値を目的変数として用いて機械学習を行い生成された学習済みモデルに、第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれの前記属性情報、前記趣味嗜好に関する情報、および前記商品に対する広告への接触に関する情報を入力して、前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれが前記商品に対して前記目的変数の行動をとる可能性を評価した指標値を出力し、
前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれの前記指標値を前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれと対応づけて前記サービス提供サーバに送信し、
前記サービス提供サーバが、受信した前記指標値に基づいて、前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者のうち少なくとも一部の利用者に前記商品に対する広告を通知する、
ことを含
前記商品に対する広告への接触に関する情報が、前記商品に対する広告での滞在時間、前記商品に対する広告に含まれる動画の視聴の有無、前記商品に対するオフライン広告への接触に関する情報、またはテレビジョンでの前記商品に対する広告の視聴に関する情報のうち少なくとも1つを含む、広告通知方法。
【請求項9】
第1の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれの属性情報、趣味嗜好に関する情報、および商品に対する広告への接触に関する情報を説明変数として用い、および前記商品に対して前記第1の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれがとった行動に基づく値を目的変数として用いて機械学習を行い生成された学習済みモデルに、第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれの前記属性情報、前記趣味嗜好に関する情報、および前記商品に対する広告への接触に関する情報を入力し、前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれが前記商品に対して前記目的変数の行動をとる可能性を評価した指標値を出力する出力部と、
前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者それぞれの前記指標値に基づいて、前記第2の利用者群に含まれる複数の利用者のうち少なくとも一部の利用者に前記商品に対する広告を通知する通知部と、
を含
前記商品に対する広告への接触に関する情報が、前記商品に対する広告での滞在時間、前記商品に対する広告に含まれる動画の視聴の有無、前記商品に対するオフライン広告への接触に関する情報、またはテレビジョンでの前記商品に対する広告の視聴に関する情報のうち少なくとも1つを含む、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告通知システム、広告通知方法、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及に伴い、インターネットを介した広告が盛んに配信されている。このような広告の配信では、宣伝効果を高めるために利用者に応じて選択的に広告を配信するターゲティング配信が行われている。
【0003】
これに関し、広告効果を高めることに関連する技術が知られている(例えば、特許文献1から3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-48360号公報
【文献】特開2016-38822号公報
【文献】特開2016-062411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、広告のための予算に対して広告の効果を更に高めることができれば、それだけ広告主は高い利益を得ることができる。そのため、広告の効率の更なる改善が求められている。
【0006】
1つの側面では、本発明は、広告の効率を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様の広告通知システムは、サービスを提供するサービス提供サーバと、サービス提供サーバのサービスを利用する利用者を評価する評価サーバと、を含み、評価サーバは、第1の利用者群の利用者の属性情報、趣味嗜好に関する情報、および商品に対する広告への接触に関する情報を説明変数として用い、および商品に対して第1の利用者群の利用者がとった行動に基づく値を目的変数として用いて機械学習を行い生成された学習済みモデルに、第2の利用者群の利用者の属性情報、趣味嗜好に関する情報、および商品に対する広告への接触に関する情報を入力して、第2の利用者群の利用者が商品に対して目的変数の行動をとる可能性を評価した指標値を出力し、指標値を第2の利用者群の利用者と対応づけてサービス提供サーバに送信し、サービス提供サーバは、受信した指標値に基づいて、第2の利用者群の少なくとも一部の利用者に商品に対する広告を通知する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
広告の効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る広告通知システムの構成を例示する図である。
図2】実施形態に係るサービス提供サーバのブロック構成を例示する図である。
図3】実施形態に係る評価サーバのブロック構成を例示する図である。
図4】実施形態に係る利用者情報を例示する図である。
図5】実施形態に係る学習済みモデルの生成を例示する図である。
図6】実施形態に係る利用者の行動予測のための学習済みモデルの生成処理の動作フローを例示する図である。
図7】実施形態に係る評価サーバの制御部が実行する学習済みモデルを用いた利用者の行動の予測処理の動作フローを例示する図である。
図8】実施形態に係る広告の通知処理の動作フローを例示する図である。
図9】実施形態に係る学習済みモデルを用いた広告効果の測定処理の一例を説明する図である。
図10】測定結果の一例を示す図である。
図11】別の実施形態に係る利用者情報を例示する図である。
図12】実施形態に係る学習済みモデルの生成を例示する別の図である。
図13】実施形態に係る通信装置のブロック構成を例示する図である。
図14】実施形態に係るサービス提供サーバおよび評価サーバを実現するための情報処理装置のハードウェア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。また、以下の開示において、「広告」は、「広告キャンペーン」と読み替えられてもよい。
【0011】
図1は、実施形態に係る広告通知システム100の構成を例示する図である。広告通知システム100は、例えば、サービス提供サーバ101、利用者端末102、および評価サーバ103を含む。サービス提供サーバ101、利用者端末102、および評価サーバ103は、例えば、ネットワーク110を介して通信可能に接続されていてよい。ネットワーク110は、例えば、インターネットである。
【0012】
サービス提供サーバ101は、例えば、利用者端末102を利用する利用者にサービスを提供するサーバである。サービス提供サーバ101は、例えば、通信販売のサイトを提供するサーバであったり、情報を提供するサーバであったり、SNS(Social Networking Service)サービスを提供するサーバであってよい。なお、以下では、サービス提供サーバ101が、通信販売のサイトを運用している場合を例に説明を行う。また、サービス提供サーバ101は、サービスを利用する利用者についての情報を収集する。一例では、サービス提供サーバ101は、利用者が利用者端末102を用いてサービスの利用を開始する際に、利用者のデモグラフィック情報の登録を求め、利用者端末102から利用者のデモグラフィック情報を収集する。また、サービス提供サーバ101は、例えば、サービスへのアクセス履歴から利用者の趣味嗜好の情報を収集する。また、サービス提供サーバ101は、提供するサービスで表示されるコンテンツ内に、広告を表示させてよい。例えば、サービス提供サーバ101は、依頼を受けてウェブページ(Web)などのコンテンツ内に広告を表示させる。
【0013】
利用者端末102は、例えば、利用者が利用する端末であり、サービス提供サーバ101が提供するサービスのウェブサイトにアクセスし、サービスを受ける。一例では、利用者は、利用者端末102でサービス提供サーバ101が運営する通信販売のサイトのウェブページに接続し、商品の購入などを行うことができる。なお、ネットワーク110には、複数の利用者の利用者端末102が接続されていてよい。
【0014】
評価サーバ103は、例えば、広告代理店が運用するサーバであってよく、広告主からの依頼を受けて商品やサービスなどを宣伝するための広告の表示を、サービス提供サーバ101に依頼する。また、実施形態では、評価サーバ103は、例えば、サービス提供サーバ101が提供するサービスの利用者の行動を推定する処理を実行する。例えば、評価サーバ103は、サービス提供サーバ101からサービスを利用する利用者についての情報の提供を受ける。例えば、評価サーバ103は、サービス提供サーバ101から利用者のデモグラフィック情報、および趣味嗜好の情報などの提供を受けてよい。そして、実施形態では評価サーバ103は、利用者の趣味嗜好の情報に基づいて機械学習を行い得られた学習済みモデルを用いて利用者の広告に対する行動を予測する。そのため、広告の対象の商品に対して利用者がどのような行動をとるかを高い精度で予測することが可能になる。そして、実施形態によれば予測に基づいて広告効率を改善することが可能になる。以下、実施形態を更に詳細に説明する。
【0015】
図2は、実施形態に係るサービス提供サーバ101のブロック構成を例示する図である。サービス提供サーバ101は、例えば、制御部201、記憶部202、および通信部203を含む。制御部201は、例えば、サービス提供サーバ101の全体を制御する。サービス提供サーバ101の記憶部202は、例えば、後述する利用者情報400,1100などの情報を記憶していてよい。通信部203は、例えば、ネットワーク110を介して利用者端末102、および評価サーバ103と通信してよい。これらの各部の詳細および記憶部202に格納されている情報の詳細については後述する。
【0016】
図3は、実施形態に係る評価サーバ103のブロック構成を例示する図である。評価サーバ103は、例えば、制御部301、記憶部302、および通信部303を含む。制御部301は、例えば、評価サーバ103の全体を制御する。評価サーバ103の記憶部302は、例えば、後述する利用者情報400,1100などの情報を記憶していてよい。通信部303は、例えば、ネットワーク110を介してサービス提供サーバ101、および利用者端末102と通信してよい。これらの各部の詳細および記憶部302に格納されている情報の詳細については後述する。
【0017】
図4は、実施形態に係る利用者情報400を例示する図である。利用者情報400には、サービス提供サーバ101が提供するサービスに登録している利用者に関する情報が登録されている。利用者情報400の情報は、例えば後述するように、評価サーバ103に提供され、利用者の広告に対する行動を予測するために利用されてよい。図4の例では、利用者情報400には、例えば、デモグラフィック情報、趣味嗜好情報、広告接触情報、利用者行動情報などの複数の種類の利用者に関する情報が、利用者ごとに登録されている。
【0018】
デモグラフィック情報は、例えば、利用者のデモグラフィックな情報であってよく、一例では、性別、年齢、所在地、結婚の有無、子供の有無、ペットの有無、車の有無、家の有無、および保険加入の有無の情報を含む。デモグラフィック情報は、例えば、サービス提供サーバ101が提供するサービスに利用者を登録する際に、利用者に入力させることで収集することができる。なお、利用者のデモグラフィックな情報を、例えば、属性情報とも呼ぶことがある。また、デモグラフィック情報は、図4に示す情報に限定されるものではない。例えば、デモグラフィック情報は、上述の一部の情報を含んでいなくてもよく、また、別に更なる情報を含んでいてもよい。例えば、デモグラフィック情報は、人口統計学的属性の情報を含んでもよく、人口統計学的属性の情報は、例えば、居住地域、収入、学歴、および職業を含む。
【0019】
趣味嗜好情報は、例えば、利用者の趣味嗜好に関する情報であってよく、一例では、趣味嗜好に関連する様々なカテゴリに対する関心の度合いを、利用者の行動に基づいて数値化したスコアであってよい。趣味嗜好情報は、例えば、サービス提供サーバ101が提供するサービスに対して利用者がとった行動から取得することが可能である。例えば、サービス提供サーバ101が通信販売のサービスを提供しており、様々なカテゴリの商品を取り扱っているとする。カテゴリは、例えば、通信販売サイトで取り扱われる商品の分類であってよく、ファッション、インナーウェア、靴、アクセサリー、キッズ・ベビー商品、美容・コスメ、健康食品、アウトドア・スポーツ、教育系教材、スイーツ・お菓子、旅行グッズなどを含んでよい。なお、趣味嗜好のカテゴリは、図4に示す情報に限定されるものではない。例えば、趣味嗜好情報は、上述の一部のカテゴリを含んでいなくてもよく、また、別に更なるカテゴリを含んでいてもよい。
【0020】
そして、それらのカテゴリの商品に対する利用者の行動から、利用者の趣味嗜好を評価してスコアにすることが可能である。例えば、利用者が、カテゴリに属する商品を、検索したらaポイント、検索および閲覧したらbポイント、購入したらcポイント、複数回同じ商品を購入していたらdポイントというように、商品に対する利用者の行動に対して所定のポイントを割り当てる。なお、検索よりも検索閲覧、検索閲覧よりも購入、購入よりも複数回購入の方が、カテゴリの商品に対する利用者の関心が高いことが推定される(即ち、検索<検索閲覧<購入<複数回購入で関心度が高い)。そのため、一例では、検索のaポイントよりも検索閲覧のbポイントに高い値が割り当てられてよく、検索閲覧のbポイントよりも購入のcポイントに高い値が割り当てられてよく、購入のcポイントよりも複数回購入のdポイントに高い値が割り当てられてよい(即ち、a<b<c<d)。そして、例えば、カテゴリの商品ごとに、利用者のとった行動と対応するポイントを積算することで、カテゴリに対する利用者の趣味嗜好を数値化し、評価することができる。なお、趣味嗜好情報として用いるスコアは、これに限定されるものではく、その他の方法で各カテゴリの商品に対する関心度を評価してスコアが計算されてもよい。例えば、別の例では、カテゴリに含まれる複数の商品に対して計算したスコアを平均した値を、カテゴリに対するスコアとして用いることもできる。
【0021】
広告接触情報は、広告の依頼者が出している広告への利用者の接触に関する情報である。例えば、サービス提供サーバ101は、評価サーバ103から依頼を受けた広告を通信販売のサイトのウェブページなどに掲載してよく、広告接触情報は、一例では、その掲載した広告に対する利用者の接触に関する情報である。広告接触情報は、例えば、ページ接触有無、滞在時間、および動画視聴有無の情報を含んでよい。ページ接触有無は、例えば、広告のリンクを開くなどして、商品に対する広告のページにアクセスしたか否かの情報であってよい。滞在時間は、例えば、商品に対する広告のページにアクセスがあった場合にその滞在時間を示す情報である。滞在時間は、一例では、利用者の累計の滞在時間であってよく、別の例では、最長の滞在時間であってよく、或いは、滞在時間を所定のアルゴリズムで評価したスコアであってもよい。動画視聴有無は、例えば、商品に対する広告のページで公開している動画を視聴したか否かの情報であってよい。一例では、動画視聴有無には、利用者が動画を最後まで見た(完全視聴した)場合に、動画視聴を有りが登録されてよい。
【0022】
利用者行動情報は、例えば、広告の対象の商品に対して利用者がとった行動であってよい。なお、利用者行動情報は、実施形態において予測したい利用者の行動であってよい。例えば、図4では、利用者行動情報として利用者が広告の対象の商品に申し込んだか否かを示す申し込み有無の情報が登録されている。
【0023】
なお、図4の利用者情報400において情報を収集する所定の期間は、例えば、直近の1年間など、全ての利用者で共通した期間であってよい。或いは、別の実施形態では、例えば、広告の対象の商品への申し込みを行った利用者については、初回の申し込み日の直近の1年間を用いるなど、情報を収集する期間は利用者に応じて異なっていてもよい。例えば、広告の対象の商品への申し込みを行った利用者は、申し込み後には、その広告に対する興味が薄れていると考えられる。そのため、広告の対象の商品への申し込みを行った利用者については、申し込みの前の所定期間の情報を取得して利用することで、広告の対象の商品に対する利用者の購買意欲がより反映された情報を得ることができる。
【0024】
以上に例示した情報が利用者情報400には登録されていてもよい。なお、利用者情報400に登録される情報は、上記に限定されるものではなく、別の例では、上述の情報の一部が削除されていてもよく、また、新たな情報が追加されていてもよい。利用者情報400に追加される更なる情報の例については図11を参照して後述する。
【0025】
そして、実施形態では評価サーバ103は、サービス提供サーバ101から図4の利用者情報400の提供を受け、利用者情報400に登録されている利用者群の利用者を特徴づける情報に基づいて機械学習を実行し、利用者の広告に対する反応を予測するための学習済みモデルを生成する。
【0026】
図5は、実施形態に係る学習済みモデルの生成を例示する図である。図5に示すように、例えば、利用者情報400に登録されている利用者群の情報を教師データのセットとして用いて機械学習を行うことができる。例えば、デモグラフィック情報、趣味嗜好情報、広告接触情報は、説明変数として用いることができる。また、利用者行動情報の申し込みの有無を目的変数として用いることができ、それにより、例えば、広告に対する申し込みの可能性を評価する指標値を出力する学習済みモデルを生成することができる。
【0027】
例えば、評価サーバ103の制御部301は、図5に示すように、利用者情報400に登録されているデモグラフィック情報、趣味嗜好情報、広告接触情報に含まれる各項目の情報を説明変数としてモデルに入力する。また、制御部301は、利用者行動情報の広告の対象の商品に対する申し込みの有無を数値化し、目的変数として用いる。一例では、制御部301は、申し込み有りを1ポイント、申し込み無しを0ポイントで目的変数として用い、重回帰分析によりパラメータの学習を行って、学習済みモデルを生成してよい。それにより、利用者の申し込みの可能性を評価した指標値(スコア)を出力する学習済みモデルを生成することができる。また、モデルには、例えば、勾配ブースティング、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークなどの既知のモデルを利用することができる。
【0028】
なお、実施形態では、利用者のデモグラフィック情報、趣味嗜好情報、および広告接触情報を用いることで学習済みモデルによる予測精度の向上を図っているが、例えば、デモグラフィック情報および広告接触情報については、機械学習に用いられなくてもよい。また、例えば、デモグラフィック情報、趣味嗜好情報、広告接触情報に含まれる各項目の情報についても、一部は機械学習に用いられなくてもよく、別な情報が更に含まれていてもよい。例えば、生成した学習済みモデルのパラメータの重みに基づき、予測に対する寄与の小さい説明変数を特定可能な場合には、重みが所定以下で低い説明変数を除いて、学習モデルの再構築を行ってもよい。それにより、学習済みモデルによる予測精度を向上させることが可能である。
【0029】
また、教師データとして、何を説明変数として用い、何を目的変数として用いて機械学習を行うかは、何を予測するかによって変わり得る。例えば、別の実施形態において対象の商品を何度も購入するようなロイヤルティの高い利用者を見極めたい場合には、所定期間における広告対象の商品の購入回数を目的変数として用いて学習を行ってもよい。また、更に別の例では、趣味嗜好情報の説明変数として、特定のカテゴリの記事に対して「いいね!ボタン」を押したか否か、特定のリンクをクリックしたか否か、およびSNSにおいてつながっているユーザの属性などの情報が用いられてもよい。
【0030】
例えば、以上のようにして、目的変数とした情報を予測する学習済みモデルを生成することができる。なお、得られた学習済みモデルの予測精度を、別途用意した検証用のデータで検証する処理が更に行われてもよい。
【0031】
図6は、実施形態に係る利用者の行動予測のための学習済みモデルの生成処理の動作フローを例示する図である。例えば、評価サーバ103の制御部301は、学習済みモデルの生成処理の実行指示が入力されると、図6の動作フローを開始してよい。
【0032】
ステップ601(以降、ステップを“S”と記載し、例えば、S601と表記する)において制御部301は、教師データセットを受け付ける。例えば、制御部301は、サービス提供サーバ101から図4の利用者情報400の提供を受け、利用者情報400を教師データセットとして用いてよい。なお、利用者情報400は、例えば、利用者の個人情報を含むこともあるため、サービス提供サーバ101から評価サーバ103に提供される際に、一部の情報が別の情報でマスクされていてもよい。一例として、利用者情報400において利用者IDは、提供の際に別の識別情報を割り当ててマスクされてもよく、この場合、サービス提供サーバ101の記憶部202には、利用者IDと、別の識別情報とを対応づける情報が記憶されてよい。
【0033】
そして、評価サーバ103の制御部301は、図5を参照して述べたように、提供された利用者情報400に登録されているデモグラフィック情報、趣味嗜好情報、広告接触情報の各項目のうち、任意の情報を説明変数として取得してよい。また、制御部301は、目的変数として、例えば、利用者情報400に登録されている利用者行動情報の申し込みの有無を取得してよい。
【0034】
S602において制御部301は、利用者情報400から読み出した情報を用いて機械学習を実行する。例えば、制御部301は、図5で述べたように、申し込み有無を目的変数として用い、また、デモグラフィック情報、趣味嗜好情報、および広告接触情報のカテゴリの項目の情報を説明変数として用いて重回帰分析によりモデルのパラメータを学習し、学習済みモデルを生成してよい。なお、モデルには、例えば、勾配ブースティング、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークなどの既知のモデルを利用することができる。
【0035】
S603において制御部301は、生成した学習済みモデルを記憶部302に保存し、本動作フローは終了する。
【0036】
図6の動作フローによれば、制御部301は、利用者の趣味嗜好に関する情報を考慮して、利用者が目的変数として設定した行動をとる可能性を評価した指標値を出力する学習済みモデルを生成することができる。そのため、実施形態によれば、利用者が目的変数として設定した行動をとる可能性を高い精度で予測することが可能となる。
【0037】
以下、図7を参照して、生成した学習済みモデルを用いた利用者の行動の予測処理を説明する。図7は、実施形態に係る評価サーバ103の制御部301が実行する学習済みモデルを用いた利用者の行動の予測処理の動作フローを例示する図である。制御部301は、例えば、広告の通知処理の実行指示が入力されると、図7に示す利用者の行動の予測処理の動作フローを開始してよい。
【0038】
S701において制御部301は、利用者の情報を取得する。例えば、制御部301は、サービス提供サーバ101から予め提供を受けた利用者情報400を記憶部302に保存していてよく、記憶部302に保存されている利用者情報400から、学習済みモデルの生成には利用されていない予測対象の利用者群の利用者のデータを読み出して利用者の情報を取得してよい。また、別な例では、制御部301は、S701においてサービス提供サーバ101に要求して利用者情報400の提供を受け、提供された利用者情報400を記憶部302に保存し、そこから利用者の情報を取得してもよい。また、サービス提供サーバ101から提供される利用者情報400は、上述のように一部の情報がマスクされていたり、別な情報に置き換えられていたりしてもよい。S701で情報を取得する行動の予測対象の利用者群の利用者は、例えば、目的変数として設定した行動を未だとっていない利用者であってよい。
【0039】
S702において制御部301は、読み出したそれぞれの利用者について、利用者の情報を学習済みモデルに入力し、広告の対象の商品に対して目的変数として設定した行動を実行する可能性を評価した指標値を取得する。
【0040】
S703において制御部301は、利用者に対して求めた指標値を、その利用者と対応づけて、サービス提供サーバ101に通知する。
【0041】
以上で述べたように、実施形態によれば利用者と対応づけてその利用者が目的変数として設定した行動を実行する可能性を評価した指標値をサービス提供サーバ101に提供することができる。
【0042】
続いて、図8および図9を参照して、広告の通知処理を説明する。図8は、実施形態に係る広告の通知処理の動作フローを例示する図である。また、図9は、実施形態に係る学習済みモデルを用いた広告効果の測定処理の一例を説明する図である。なお、以下では、利用者にABテストを実施して広告効果の測定を行う場合を例に説明を行う。
【0043】
制御部201は、例えば、広告の通知処理の実行指示が入力されると、図8に示す広告の通知処理の動作フローを開始してよい。
【0044】
S801において制御部201は、利用者情報400から、学習済みモデルの生成には利用されていない予測対象の利用者群の利用者のデータを読み出して、評価サーバ103に提供する。なお、予測対象の利用者群の利用者は、例えば、目的変数として設定した行動を未だとっていない利用者であってよい。
【0045】
S802において制御部201は、広告の対象の商品に対して学習済みモデルの生成で目的変数として設定した行動を実行する可能性を評価した指標値が、提供した利用者のデータと対応づけられた情報を評価サーバ103から取得する。なお、指標値は、例えば、評価サーバ103の制御部301が、提供された利用者のデータを、図6の処理で生成された学習済みモデルに入力することで取得されてよい。
【0046】
S803においてサービス提供サーバ101の制御部201は、利用者と対応づけられた指標値に基づいて、利用者を複数のグループに分ける。図9(a)は、利用者のグループ分けとカテゴリ分けを例示している。一例では、制御部201は、図9(a)に示すように、指標値の高い側から順に利用者を以下の4つのグループに分けてよい。
グループ1:上位25%
グループ2:上位26%から50%
グループ3:上位51%から75%
グループ4:上位76%から100%
【0047】
そして、S804において制御部201は、複数のグループの各グループの利用者を、複数のカテゴリに分ける。例えば、制御部201は、図9(a)に示すように、上述の4つのグループのそれぞれの利用者を、ランダムにカテゴリAと、カテゴリBの2つのカテゴリに分けてよい。
【0048】
S805において制御部201は、それぞれのグループの利用者に対してカテゴリごとに異なる広告を通知する。広告にはそれぞれの通知先の利用者を識別可能な識別子が付与されていてよい。また、広告は一例では、広告の対象の商品への申し込みを促すメッセージと、広告のウェブサイトへのアクセスを提供する情報(例えば、URLやURLをコードする二次元コード)とを含んでよい。なお、広告の通知は、例えばメールなどで利用者に送付されてもよいし、物理的な媒体にメッセージを印字した郵便物などとして利用者に配達されてもよい。
【0049】
図9(b)は、広告の送信および結果の測定を説明する図である。図9(b)に示す例では、カテゴリAの利用者にはクーポン付きの広告が通知されており、一方、カテゴリBの利用者にはクーポン無しの広告が通知されている。
【0050】
例えば、カテゴリAに通知される広告では利用者は、広告に付与されたQRコード(登録商標)などの二次元コードを介してカテゴリAの利用者用に用意されたウェブサイト(例えば、LP:ランディングページ)にアクセスすることができる。そして、そのウェブサイトには商品を購入した場合にポイント10倍付与などの特典が得られるキャンペーンにエントリーするリンクが含まれており、利用者はキャンペーンにエントリーすることができる。なお、キャンペーンにエントリーして商品を購入した利用者については、後日、10倍のポイントが付与されてよい。
【0051】
一方、例えば、カテゴリBに通知される広告では利用者は、広告に付与された二次元コードなどを介してカテゴリBの利用者用に用意されたウェブサイト(例えば、LP)にアクセスすることができる。そして、そのウェブサイトにはクーポンが付加されておらず、単に商品の購入ページへとアクセスするためのリンク(図9(b)の購入)が含まれている。そのため、利用者は、リンクを開くと、クーポンにエントリーをせずに、商品の購入ページへと飛ぶ。
【0052】
そして、S806において制御部201は、利用者が商品の購入ページで対象の商品を購入するなどの行動をとった場合、その利用者を通知した広告に付した識別子に基づいて識別し、広告の通知に対して利用者のとった行動を結果として測定する。
【0053】
続いて、S807において制御部201は、学習済みモデルの生成には利用されておらず、かつ、S801の処理でも評価サーバ103に提供していない新たな利用者のデータを利用者情報400から読み出して、評価サーバ103に提供する。なお、提供する新たな利用者は、例えば、目的変数として設定した行動を未だとっていない利用者であってよい。
【0054】
S808において制御部201は、広告の対象の商品に対して学習済みモデルの生成で目的変数として設定した行動を実行する可能性を評価した指標値を、新たな利用者のデータと対応づけて評価サーバ103から取得する。なお、指標値は、例えば、評価サーバ103の制御部301が、提供された新たな利用者のデータを、図6の処理で生成された学習済みモデルに入力することで取得されてよい。
【0055】
S809において制御部201は、測定した結果に基づいて、新たな利用者と対応する指標値に対して通知する広告を決定し、S810において決定した広告を新たな利用者の利用者端末102に通知し、本動作フローは終了する。なお、S806からS810で実行される結果の測定と、それに基づく通知の更なる詳細については、図10を参照して後述する。
【0056】
以上で述べたように、実施形態によれば、利用者の趣味嗜好に関する情報や広告への接触に関する情報を考慮して生成された学習済みモデルにより、利用者が目的変数として設定した行動をとる可能性を評価した指標値を得ることができる。また、得られた指標値に基づいて利用者をグループ分けし、いわゆるABテストなどの広告効果の測定を実施することができる。
【0057】
図10は、S806で測定した測定結果の一例を示す図である。図10では、それぞれのグループごとに、カテゴリAの申し込み率と、カテゴリBでの申し込み率とが示されている。なお、申し込み率は、例えば、グループのカテゴリに含まれる利用者の人数に対して、実際の申し込みを行った人数が占める比率を示す情報である。そして、これらの情報は、広告効率の改善に役立てることができる。
【0058】
例えば、広告の対象の商品への申し込み率が、グループ1:上位25%のグループにおいて、カテゴリAとカテゴリBで大差が無く、どちらも高かったとする。この場合、広告の対象の商品に対する利用者の関心がとても高いため、クーポンを付与しても、しなくても、多くの人が申し込みを行ったことが考えられる。この場合、これらの利用者にクーポンを配布しても、申し込みの増加はあまり見込めず、広告費の無用な投資となってしまう恐れがある。そのため、例えば、グループ1の利用者にはクーポンを配布しないことを検討することができる。
【0059】
また、例えば、広告の対象の商品への申し込み率が、グループ4:上位76%から100%では、カテゴリAのクーポンを付与した利用者も、カテゴリBのクーポンを付与しなかった利用者も、どちらも申し込みが少なく、低かったとする。この場合、広告の対象の商品に対する利用者の関心が低く、これらの利用者に広告を通知したり、クーポンを配布したりしても、申し込みの増加が見込めず、無駄な労力および投資となる恐れがある。そのため、例えば、グループ4の利用者にはクーポンを配布しないことを検討することができる。
【0060】
一方で、広告の対象の商品への申し込み率が、グループ2:上位26%から50%およびグループ3:上位51%から75%では、カテゴリAの割引のクーポンを付与した利用者が、カテゴリBの割引のクーポンを付与しなかった利用者よりも顕著に増えていたとする。この場合、これらの利用者にクーポンを配布することで、広告による大きな効果を期待できる。
【0061】
そのため、S809の処理では制御部201は、例えば、新たに広告を通知する対象の利用者が、学習済みモデルで得られた指標値を用いてグループ2およびグループ3に分類された場合に、その利用者にはカテゴリAのクーポンを付与した広告を通知するように、利用者に通知する広告を決定することができる。また、例えば、制御部201は、新たに広告を通知する対象の利用者が、学習済みモデルで得られた指標値を用いてグループ1およびグループ4に分類された場合に、その利用者にはカテゴリBのクーポン無しの広告を通知するように、利用者に通知する広告を決定することができる。
【0062】
以上で述べたように、実施形態によれば、広告の対象の商品に対して利用者がとる行動を学習済みモデルで予測し、予測結果に基づいて利用者をグループ分けすることができる。また、更に、実施形態によれば、グループごとに利用者をカテゴリ分けし、カテゴリごとに異なる広告を通知するなどして、いわゆるABテストなどの広告効果の測定を実施することができる。そして、制御部201は、測定の結果に基づいて、上述のように、ポイント付与などのクーポン等を適切な利用者に配布することが可能になる。その結果、広告予算の配分を最適化することができる。
【0063】
なお、図8の動作フローの実行の際に、過去のS803からS806、およびS809の処理の実行でグループに対して通知する広告が既に決定されている場合には、S803からS806、およびS809の処理は省略されてもよい。この場合、制御部201は、S802の処理の後、フローをS807に進め、その後に得られた指標値と対応するグループに対して過去に決定されている広告を通知してよい。また、一部のグループについては広告を通知する効果が低いことが過去の測定で分かっていることもある。この場合には、それらのグループに指標値が分類された利用者には広告を配信しなくてもよく、広告効果の高いグループに分類された一部の利用者にのみ広告を通知してもよい。
【0064】
また、上記の例では、カテゴリ分けとしてAとBの2つのカテゴリに分ける例を示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、3以上のカテゴリに分けてテストが行われてもよい。一例として、グループを、クーポン無し、クーポン有り(ポイント5倍)、クーポン有り(ポイント10倍)、クーポン有り(ポイント15倍)などの3以上のカテゴリに分けてテストが実行されてもよい。それにより、グループごとに付与する最適なクーポンの倍率を決定することが可能である。
【0065】
以上において、実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、学習済みモデルの生成に用いるための利用者情報400は、利用者の更なる情報を含んでいてもよい。図11は、別の実施形態に係る利用者情報1100を例示する図である。なお、図11の利用者情報1100において、No.2からNo.25には、図4に示す利用者情報400と同様の情報が登録されていてよい。そして、図11の例では、利用者情報1100は、更に、購買情報、サービス履歴情報、イベント時期購買情報、および他メディア接触情報を含んでいる。
【0066】
購買情報は、所定期間における利用者の曜日および時間帯に応じた購買行動の傾向を示す情報である。例えば、図11では、購買情報として、所定期間における商品の平日朝の購買回数、平日昼の購買回数、平日夕方の購買回数、平日夜の購買回数、および週末の購買回数が登録されている。
【0067】
サービス利用情報は、例えば、サービス提供サーバ101で提供している他のサービスの利用履歴であってよい。図11の例では、サービス提供サーバ101は、通信販売のサイトの他に、ゴルフ予約サービスと、旅行予約サービスを提供しており、それぞれのサービスでの利用者の予約回数が登録されている。
【0068】
イベント時期購買情報は、例えば、販促イベントの開催時期における利用者の購買に関する情報であってよい。図11では、販促イベントごとに購買回数が登録されている。販促イベントは、例えば、バレンタインデー、ホワイトデー、父の日・母の日、お中元時期、敬老の日、ハロウィン、お歳暮時期、クリスマスなどのイベントであってよい。なお、購買回数は、例えば、販促イベントの開催期間における利用者による商品の購買の回数であってよい。また、販促イベントの開催期間は、例えば、バレンタインデーなどの所定の日付で行われるイベントの場合には、その日付を含む前後の1カ月間(例えば、イベントの前の4週間からイベント後の数日)などの所定の期間に設定されていてよい。また、お中元などの時期を対象とするイベントの場合、そのイベントの時期が販促イベントの開催期間に設定されていてよい。
【0069】
他メディア接触情報には、例えば、広告の依頼者が、サービス提供サーバ101が提供する通信販売のサイト以外にも、他のメディアを介して同じ商品に対する広告を出している場合に、その他のメディアでの利用者の広告への接触に関する情報が登録されてよい。なお、他のメディアでの広告は、例えば、SNS(social networking service)に掲載される広告、オンライン雑誌メディアに掲載される広告、広告の依頼主の自社のホームページに掲載された広告などのサービス提供サーバ101とは別のサーバや別のサービスでのオンライン広告、およびテレビジョン(以下、テレビと呼ぶことがある)での広告を含んでよい。図11の例では、他メディア接触情報には、利用者が他のメディアを介して広告に接触したか否かを示す情報、および他のメディアを介して広告に接触した回数の情報が登録されている。
【0070】
なお、例えば、サービス提供サーバ101が提供する通信販売サービスのウェブサイト内での行動は、利用者にサービスへのログイン等を行わせることで収集することが可能である。しかしながら、他のメディアでの行動は、サービス提供サーバ101が提供するサービス外で行われることもあるため、別の方法で収集が行われてもよい。一例として、サービス提供サーバ101のサービスに登録している利用者が、他のメディアを介して広告に接触した否かを、Cookie(クッキー)およびIP(Internet Protocol)アドレスなどの情報を用いて特定することが可能である。
【0071】
例えば、サービス提供サーバ101にアクセスしてきた利用者端末102のブラウザに、広告のサイトのクッキーが保存されていれば、利用者が広告に接触していると見なすことができる。この場合、広告のサイトが、サービス提供サーバ101とは別のサーバで提供されていても、また、サービス提供サーバ101が提供するサービスに利用者端末102がログインしていない状態で広告接触していても、広告への接触を検出することができる。
【0072】
また、例えば、利用者がテレビのCM(Commercial Message)で広告に接触することもある。この場合に、例えば、そのテレビが、テレビの視聴ログをテレビおよびルータなどの少なくとも1つのIPアドレスと関連付けて記憶していれば、その視聴ログの情報をサービス提供サーバ101で収集することで、対象の広告のCMの視聴が行われたテレビのIPアドレスを取得することができる。なお、サービス提供サーバ101の制御部201は、一例では、テレビから視聴ログを収集する別のサーバを介して、テレビの視聴ログの情報を取得してもよい。例えば、評価サーバ103は、テレビから視聴ログを収集して、サービス提供サーバ101に提供してよい。また、別の例として、広告のサイトを提供する別のサーバからアクセスログを取得することで、サービス提供サーバ101の制御部201は、広告のページにアクセスしたデバイスのIPアドレスを特定してもよい。
【0073】
そして、得られたIPアドレスが、サービス提供サーバ101のサービスに登録している利用者の利用者端末102のIPアドレスと一致する場合に、サービス提供サーバ101の制御部201は、その利用者端末102の利用者が広告に接触していると判定することができる。
【0074】
また更に、例えば、広告にピクセルタグを仕込み、広告が表示された際にタグを発火させることで、広告に接触した視聴者のデバイスのIPアドレスなどの情報を収集することができる。また、クッキーの代わりに、利用者端末102にインストールされるアプリケーションから取得される識別子を利用することもでき、例えば、IDFA(Identification For Advertisers)、ADID(Advertising ID)などの広告識別子を利用することができる。例えば、これらの情報を用いて、サービス提供サーバ101の制御部201は、他メディアでの広告への接触の情報を取得してよい。また更に、他メディア接触情報は、新聞、雑誌、チラシ、看板などのオフライン広告への接触を含んでもよい。この場合にも、例えば、オフライン広告で二次元コードなどを用いて特定のウェブページなどにアクセスさせることで、オフライン広告への利用者の接触を検出することが可能である。
【0075】
以上に述べたように、利用者情報1100には追加の情報が含まれていてもよい。そして、評価サーバ103の制御部301は、図11に示す追加の情報を含む利用者情報1100の提供をサービス提供サーバ101から受けて、広告の対象の商品に対する利用者の行動を予測する学習済みモデルを生成してよい。
【0076】
図12は、実施形態に係る学習済みモデルの生成を例示する別の図である。図12に示すように、例えば、利用者情報1100に登録されているデモグラフィック情報、趣味嗜好情報、広告接触情報、購買情報、サービス利用情報、イベント時期購買情報、および他メディア接触情報の各項目の情報は、説明変数として用いることができる。また、利用者行動情報の申し込みの有無を目的変数として利用することで、例えば、図5で述べたのと同様に、広告に対する申し込みの可能性を評価した指標値を出力する学習済みモデルを生成することができる。なお、図12の例では、図5で述べた例よりも説明変数が増えているため、学習済みモデルによる利用者の行動予測精度が向上する可能性がある。
【0077】
なお、上述の例では、利用者情報400および利用者情報1100に登録されている情報をサービス提供サーバ101で収集し、評価サーバ103に提供する例を述べたが、利用者情報400および利用者情報1100に登録される情報は別のサーバで収集されてもよい。例えば、別の実施形態では、利用者情報1100に登録されている他メディア接触情報などの少なくとも一部の情報については評価サーバ103や別のサーバにおいて収集されてよく、評価サーバ103の制御部301は、その情報をサービス提供サーバ101から提供された情報と統合して、学習済みモデルの生成や指標値の取得に利用してもよい。
【0078】
以上においていくつかの実施形態を例示したが実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態に示す動作フローは例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、または、一部の処理が省略されてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、広告通知システム100が、サービス提供サーバ101、利用者端末102、および評価サーバ103を含む例を述べたが、実施形態はこれに限定されるものではない。広告通知システム100は、上述の一部の構成を含んでいなくても、別に更なる構成を含んでいてもよい。例えば、上述の例では、評価サーバ103が上述の図6および図7の処理を実行して、学習済みモデルの生成と指標値の提供を実行している。また、サービス提供サーバ101が、通信販売などのサービスを提供しつつ、上述の図8の処理を実行して評価サーバ103から提供された指標値に基づいて利用者に対する広告の通知の制御を実行している。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の図6および図7の処理で述べた学習済みモデルの生成と指標値の提供の処理は、サービス提供サーバ101で実行されてもよい。そして、この場合、図7の動作フローは実行されなくてよく、サービス提供サーバ101の制御部201は、S801およびS807で利用者情報400,1100から利用者の情報を読み出すと、そのまま、S802およびS808で学習済みモデルに入力し、指標値を取得してもよい。
【0080】
また、更に別の実施形態では、上述の図8の広告を通知する処理は、サービス提供サーバ101から利用者情報400,1100の提供を受けた評価サーバ103の制御部301が実行してもよい。そして、この場合、図7の動作フローは実行されなくてよく、評価サーバ103の制御部301は、S801およびS807で利用者情報400,1100の提供をサービス提供サーバ101から受けると、そのまま、S802およびS808で学習済みモデルに入力し、指標値を取得してよい。
【0081】
以上で述べたように、上述のサービス提供サーバ101および評価サーバ103が実行する処理は、1台の装置に実装されてもよく、または、より多くの装置を用いて実装されてもよい。
【0082】
図13は、実施形態に係る上述の処理が統合されて実行される通信装置1300のブロック構成を例示する図である。通信装置1300は、例えば、サービス提供サーバ101であっても、評価サーバ103であってもよい。通信装置1300は、例えば、制御部1301、記憶部1302、および通信部1303を含む。制御部1301は、例えば、出力部1311および通知部1312を含む。記憶部1302は、例えば、利用者情報400または利用者情報1100などの情報を記憶していてよい。通信部1303は、例えば、ネットワーク110を介して利用者端末102などと通信してよい。
【0083】
そして、この場合、制御部1301は、例えば、S802およびS808の処理では出力部1311として動作する。また、制御部1301は、例えば、S805およびS810の処理では通知部1312として動作する。
【0084】
図14は、実施形態に係るサービス提供サーバ101および評価サーバ103を実現するためのコンピュータなどの情報処理装置1400のハードウェア構成を例示する図である。図14の情報処理装置1400のハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1401、メモリ1402、記憶装置1403、読取装置1404、通信インタフェース1406、および入出力インタフェース1407を備える。なお、プロセッサ1401、メモリ1402、記憶装置1403、読取装置1404、通信インタフェース1406、入出力インタフェース1407は、例えば、バス1408を介して互いに接続されている。
【0085】
プロセッサ1401は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ1401は、メモリ1402を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した制御部201、制御部301、および制御部1301の一部または全部の機能を提供する。例えば、サービス提供サーバ101のプロセッサ1401は、記憶装置1403に格納されているプログラムを読み出して実行することで、図8の処理を実行してよい。また、評価サーバ103のプロセッサ1401は、記憶装置1403に格納されているプログラムを読み出して実行することで、図6および図7の処理を実行してよい。
【0086】
メモリ1402は、例えば半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでいてよい。記憶装置1403は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0087】
読取装置1404は、プロセッサ1401の指示に従って着脱可能記憶媒体1405にアクセスする。着脱可能記憶媒体1405は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD-ROM、DVD等)などにより実現される。なお、USBは、Universal Serial Busの略称である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
【0088】
なお、上述の記憶部202、記憶部302、および記憶部1302は、例えばメモリ1402、記憶装置1403、および着脱可能記憶媒体1405を含んでよい。例えば、サービス提供サーバ101および評価サーバ103の記憶装置1403には、利用者情報400,1100が格納されている。
【0089】
通信インタフェース1406は、プロセッサ1401の指示に従ってネットワーク110を介してデータを送受信する。通信インタフェース1406は、上述の通信部203、通信部303、および通信部1303の一例である。入出力インタフェース1407は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースであってよい。入力装置は、例えばキーボード、マウス、およびタッチパネルなどの入力を受け付ける装置である。出力装置は、例えばディスプレーなどの表示装置、およびスピーカなどの音声装置などの出力を行う装置である。
【0090】
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態でサービス提供サーバ101、評価サーバ103、および通信装置1300に提供される。
(1)記憶装置1403に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体1405により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0091】
なお、図14を参照して述べた情報処理装置1400のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の機能部の一部が削除されてもよく、新たな構成要素が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の制御部201、制御部301、および制御部1301の一部または全部の機能がFPGAおよびSoCなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
【0092】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してまたは置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0093】
100 :広告通知システム
101 :サービス提供サーバ
102 :利用者端末
103 :評価サーバ
110 :ネットワーク
201 :制御部
202 :記憶部
203 :通信部
301 :制御部
302 :記憶部
303 :通信部
400 :利用者情報
601 :ステップ
1100 :利用者情報
1300 :通信装置
1301 :制御部
1302 :記憶部
1303 :通信部
1311 :出力部
1312 :通知部
1400 :情報処理装置
1401 :プロセッサ
1402 :メモリ
1403 :記憶装置
1404 :読取装置
1405 :着脱可能記憶媒体
1406 :通信インタフェース
1407 :入出力インタフェース
1408 :バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14