(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】車両用シート装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20231206BHJP
A47C 7/40 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B60N2/68
A47C7/40
(21)【出願番号】P 2019155852
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】馬場 広
(72)【発明者】
【氏名】亀井 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】漆原 良太
(72)【発明者】
【氏名】新井 拓也
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-088553(JP,A)
【文献】特開2001-149176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
A47C 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションフレーム(15)ならびに当該シートクッションフレーム(15)に連結されるシートバックフレーム(16)が、側板部(18a,25a)と、当該側板部(18a,25a)の外側縁から側方に張り出す鍔部(18b,18c;25b,25c,25d)とを一体に有しつつ相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレーム(18,25A,25B,25C,25D)をそれぞれ備える車両用シート装置において、
前記シートクッションフレーム(15)および前記シートバックフレーム(16)の少なくとも一方の前記サイドフレーム(18,25A,25B,25C,25D)が、前記側板部(18a,25a)を少なくとも含む基準板厚領域(A2,A1)の基準板厚(ta2,ta1)と、前記鍔部(18b,18c;25b,25c,25d)を少なくとも含む板厚増加領域(B2,B1)で前記基準板厚(ta2,ta1)よりも厚肉とした増加板厚(tb2,tb1)とを有しつつ、前記基準板厚領域(A2,A1)および前記板厚増加領域(B2,B1)で板厚を変化させて形成され
、
前記板厚増加領域(B1)の一部が、前記側板部(25a)に取付けられる取付け部品(30)を三方向から囲んで定められることを特徴とする車両用シート装置。
【請求項2】
シートクッションフレーム(15)ならびに当該シートクッションフレーム(15)に連結されるシートバックフレーム(16)が、側板部(18a,25a)と、当該側板部(18a,25a)の外側縁から側方に張り出す鍔部(18b,18c;25b,25c,25d)とを一体に有しつつ相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレーム(18,25A,25B,25C,25D)をそれぞれ備える車両用シート装置において、
前記シートクッションフレーム(15)および前記シートバックフレーム(16)の少なくとも一方の前記サイドフレーム(18,25A,25B,25C,25D)が、前記側板部(18a,25a)を少なくとも含む基準板厚領域(A2,A1)の基準板厚(ta2,ta1)と、前記鍔部(18b,18c;25b,25c,25d)を少なくとも含む板厚増加領域(B2,B1)で前記基準板厚(ta2,ta1)よりも厚肉とした増加板厚(tb2,tb1)とを有しつつ、前記基準板厚領域(A2,A1)および前記板厚増加領域(B2,B1)で板厚を変化させて形成され、
前記板厚増加領域(B1)のうち相互に離隔した部位間を結ぶ補強部(38,39)が、前記側板部(25a)に設けられることを特徴とす
る車両用シート装置。
【請求項3】
前記板厚増加領域(B1)のうち相互に離隔した部位間を結ぶ補強部(38,39)が、前記側板部(25a)に設けられることを特徴とする請求
項1に記載の車両用シート装置。
【請求項4】
前記板厚増加領域(B2,B1)が、前記側板部(18a,25a)の外側縁部のうち前記鍔部(18b,18c;25b,25c,25d)に屈曲した形状で一体に連なる部分とを含んで設定されることを特徴とする請求項1
~3のいずれか1項に記載の車両用シート装置。
【請求項5】
前記シートバックフレーム(16)が備える前記サイドフレーム(25A,25B,25C,25D)の前記側板部(25a)に、前記シートクッションフレーム(15)に対する前記シートバックフレーム(16)の角度を調整可能なリクライニングユニット(30)を取付けるためのリクライニングユニット取付け部(32)が設けられ、当該リクライニングユニット取付け部(32)が前記板厚増加領域(B1)の前記増加板厚(tb1)よりも厚肉に形成されることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の車両用シート装置。
【請求項6】
前記側板部(25a)のうち前記板厚増加領域(B1)に含まれる部分の一部に、内外いずれかに隆起した補強部(37,67)が設けられることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の車両用シート装置。
【請求項7】
前記基準板厚領域(A1)に含まれる部分で前記側板部(25a)に貫通孔(40,41,42,43,44,45,46)が形成されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両用シート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションフレームならびに当該シートクッションフレームに連結されるシートバックフレームが、側板部と、当該側板部の外側縁から側方に張り出す鍔部とを一体に有しつつ相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレームをそれぞれ備える車両用シート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用シート装置において、シートバックフレームにおけるサイドフレームが、側板部と、この側板部の外側縁に連設される鍔部とを一体に有して断面コ字形に形成されるようにした車両用シート装置が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、サイドフレームの側板部および鍔部が同一板厚を有するように形成されており、このようなサイドフレームの剛性を高めるには、板厚増加で対処することが可能であるが、そうすると重量増加を招くことになる。このため重量増加を極力抑制しつつサイドフレームの剛性を高めることが望まれている。
【0005】
本発明は。かかる事情に鑑みてなされたものであり、重量増加を極力抑制しつつサイドフレームの剛性を高め得るようにした車両シート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、シートクッションフレームならびに当該シートクッションフレームに連結されるシートバックフレームが、側板部と、当該側板部の外側縁から側方に張り出す鍔部とを一体に有しつつ相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレームをそれぞれ備える車両用シート装置において、前記シートクッションフレームおよび前記シートバックフレームの少なくとも一方の前記サイドフレームが、前記側板部を少なくとも含む基準板厚領域の基準板厚と、前記鍔部を少なくとも含む板厚増加領域で前記基準板厚よりも厚肉とした増加板厚とを有しつつ、前記基準板厚領域および前記板厚増加領域で板厚を変化させて形成され、前記板厚増加領域の一部が、前記側板部に取付けられる取付け部品を三方向から囲んで定められることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、シートクッションフレームならびに当該シートクッションフレームに連結されるシートバックフレームが、側板部と、当該側板部の外側縁から側方に張り出す鍔部とを一体に有しつつ相互に離間した位置に並んで直線状に延びる一対のサイドフレームをそれぞれ備える車両用シート装置において、前記シートクッションフレームおよび前記シートバックフレームの少なくとも一方の前記サイドフレームが、前記側板部を少なくとも含む基準板厚領域の基準板厚と、前記鍔部を少なくとも含む板厚増加領域で前記基準板厚よりも厚肉とした増加板厚とを有しつつ、前記基準板厚領域および前記板厚増加領域で板厚を変化させて形成され、前記板厚増加領域のうち相互に離隔した部位間を結ぶ補強部が、前記側板部に設けられることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記板厚増加領域のうち相互に離隔した部位間を結ぶ補強部が、前記側板部に設けられることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1~第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記板厚増加領域が、前記側板部の外側縁部のうち前記鍔部に屈曲した形状で一体に連なる部分とを含んで設定されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1~第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記シートバックフレームが備える前記サイドフレームの前記側板部に、前記シートクッションフレームに対する前記シートバックフレームの角度を調整可能なリクライニングユニットを取付けるためのリクライニングユニット取付け部が設けられ、当該リクライニングユニット取付け部が前記板厚増加領域の前記増加板厚よりも厚肉に形成されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第1~第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記側板部のうち前記板厚増加領域に含まれる部分の一部に、内外いずれかに隆起した補強部が設けられることを第6の特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、第1~第6の特徴の構成のいずれかに加えて、前記基準板厚領域に含まれる部分で前記側板部に貫通孔が形成されることを第7の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、シートクッションフレームおよびシートバックフレームの少なくとも一方のサイドフレームの少なくとも鍔部を含む一部を厚肉にすることで、サイドフレームの重量増加を極力抑制しつつ、サイドフレームの剛性を高めることが可能となる。しかも、側板部への取付け部品の取付け部を三方向から囲む範囲が厚肉に形成されることで、取付け部の剛性向上を図ることができる。
【0014】
また本発明の第2,第3の特徴によれば、板厚増加領域の相互に離隔した部位間が補強部で結ばれるので、サイドフレームの剛性がより一層向上する。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば、板厚増加領域が前記側板部の外側縁部の一部であって前記鍔部に屈曲した形状で一体に連なる部分を含んで設定されることによって、サイドフレームの剛性をより高めることができる。
【0016】
本発明の第5の特徴によれば、シートバックフレームにおけるサイドフレームの側板部にリクライニングユニットを取付けるために設けられたリクライニングユニット取付け部が、板厚増加領域の増加肉厚よりも厚肉となることで、リクライニングユニットの取付け剛性が向上する。
【0017】
本発明の第6の特徴によれば、板厚増加領域に含まれる部分で側板部の一部に内外いずれかに隆起した補強部が設けられるので、側板部の剛性をより高めることができる。
【0018】
本発明の第7の特徴によれば、基準板厚領域で側板部に貫通孔が形成されるので、貫通孔の加工精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施の形態のシートフレームの斜視図である。
【
図2】シートバック側サイドフレームの側面図である。
【
図5】シートクッション側サイドフレームの側面図である。
【
図7】第2の実施の形態のシートバック側サイドフレームの側面図である。
【
図8】第3の実施の形態のシートバック側サイドフレームの側面図である。
【
図9】第4の実施の形態のシートバック側サイドフレームの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明で「前後」、「左右」および「上下」は、着座者が車両前後方向前方に正面を向けた姿勢にある状態で当該着座者から見た方向を言うものとする。
【0021】
先ず
図1において、車幅方向に間隔をあけつつ相互に平行に並んで直線状に延びる一対のスライドレール11に沿って移動可能なシートフレーム12は、シートクッション(図示せず)を支持するシートクッションフレーム15と、前記シートクッションの上方に配置されるシートバック(図示せず)を支持するようにして前記シートクッションフレーム15に連結されるシートバックフレーム16とを備え、前記シートクッションフレーム15および前記スライドレール11間には、前記シートクッションフレーム15の高さを調節可能な高さ調整機構17が設けられる。
【0022】
シートクッションフレーム15は、車幅方向で相互に離間した位置に並ぶようにしつつ車両前後方向で直線状に延びる一対のシートクッション側サイドフレーム18と、それらのシートクッション側サイドフレーム18の前端部間を連結するパンフレーム19と、一対の前記シートクッション側サイドフレーム18の後端部間を連結するリヤパイプ20とを有する。
【0023】
前記パンフレーム19および前記リヤパイプ20間には、前記シートクッションを介して着座者の荷重を受けて弾性変形するクッション側受圧部材21が架け渡される。このクッション側受圧部材21は、金属線を左右に蛇行するようにジグザグに湾曲して成る複数(この実施の形態では4個)のシートスプリング22を有し、それらのシートスプリング22は、隣接するシートスプリング22同士が左右対称となるように配置される。複数の前記シートスプリング22の前端部は、前記シートフレーム12における前記パンフレーム19に設けられる係止部23にそれぞれ係合される。また相互に隣接する前記シートスプリング22の後端部は、前記シートフレーム12の前記リヤパイプ20に係合されるとともに、インサート成形によって前記シートスプリングと一体に成形される樹脂製の後端部連結部材24で連結されており、前記後端部連結部材24が、前記リヤパイプ20を覆うように形成される。
【0024】
前記シートバックフレーム16は、車幅方向で相互に離間した位置に並ぶようにして上下方向に延びる一対のシートバック側サイドフレーム25Aと、それらのシートバック側サイドフレーム25Aの上部間を連結するヘッドレスト取付けブラケット26と、一対の前記シートバック側サイドフレーム25Aの下端部間を連結するロアフレーム27とを有する。
【0025】
図2および
図3を併せて参照して、前記シートバック側サイドフレーム25Aは、側板部2
5aと、その側板部25aの前縁部から内側に張り出す前側鍔部25bと、前記側板部25aの後縁部から内側に張り出す後側鍔部25cと、前記側板部25aの下縁部から内側に張り出す下側鍔部25dとを一体に有して、金属板材のプレス成形によって形成される。
【0026】
図4を併せて参照して、前記シートバック側サイドフレーム25Aの上部にはブラケット
支持部25eが設けられ、このブラケット
支持部25eは、前記前側鍔部25bが前記側板部25aに近接する側に折り畳まれるとともに、前記後側鍔部25cが車両前後方向前方に向かって開いた略C字形に屈曲されることにより構成される。
【0027】
前記ヘッドレスト取付けブラケット26は、パイプ材が下方に向かって開く略U字状に屈曲成形されて成り、このヘッドレスト取付けブラケット26の両端部が、前記シートバック側サイドフレーム25Aの上部のブラケット支持部25eに嵌合、固着される。また前記ヘッドレスト取付けブラケット26には、一対の筒状のヘッドレスト支持部材28が固着される。
【0028】
再び
図1に注目して、左右一対の前記シートクッション側サイドフレーム18の後端部には連結ブラケット29がそれぞれ締結され、それらの連結ブラケット29には、左右一対の前記シートバック側サイドフレーム25Aの下端部がリクライニングユニット30を介して連結される。前記リクライニングユニット30の回転軸31は、左右一対の前記シートバック側サイドフレーム25Aの下端部に、それらのシートバック側サイドフレーム25Aの下端部に連結される前記ロアフレーム27を貫通して取付けられ、リクライニングユニット30の作動によって前記シートフレーム12に対する前記シートバックフレーム16の角度を調整することができる。
【0029】
また左右一対の前記シートバック側サイドフレーム25A間には、前記シートバックを介して着座者の荷重を受けること弾性変形可能なバック側受圧部材34が配置される。樹脂等によって弾性変形可能に形成される前記バック側受圧部材34は、上部連結ワイヤ35および下部連結ワイヤ36を介して左右の前記シートバック側サイドフレーム25A間に架け渡される。
【0030】
前記シートバック側サイドフレーム25Aは、前記側板部25aを少なくとも含む第1の基準板厚領域A1の基準板厚ta1と、前記前側鍔部25b、前記後側鍔部25cおよび前記下側鍔部25dを少なくとも含む第1の板厚増加領域B1で前記基準板厚ta1よりも厚肉とした増加板厚tb1とを有しつつ、前記第1の基準板厚領域A1および前記第1の板厚増加領域B1で板厚を変化させて形成される。
【0031】
前記第1の板厚増加領域B1は、この実施の形態では、前記前側鍔部25b、前記後側鍔部25cおよび前記下側鍔部25dと、前記側板部25aの外側縁部の一部とを含むように設定されるものであり、
図3および
図4で示すように、前記側板部25aの外側縁部のうち前記前側鍔部25b、前記後側鍔部25cおよび前記下側鍔部25dに屈曲した形状で一体に連なる部分を含んで前記第1の板厚増加領域B1が設定される。
【0032】
また前記側板部25aの下端部には、取付け部品である前記リクライニングユニット30を取付けるための第1の貫通孔40を有するリクライニングユニット取付け部32が設けられており、このリクライニングユニット取付け部32は、前記第1の板厚増加領域B1の一部で前、後および下の三方向から囲まれており、前記リクライニングユニット30は前記第1の板厚増加領域B1で三方向から囲まれることになる。
【0033】
しかも前記リクライニングユニット取付け部32は、前記第1の板厚増加領域B1の前記増加板厚tb1よりも厚肉に形成されるものであり、前記リクライニングユニット取付け部32は前記増加板厚tb1よりも厚肉の板厚tcを有するように形成される。
【0034】
また前記側板部25aのうち前記第1の板厚増加領域B1に含まれる部分の一部に、内外いずれかに隆起した補強部が設けられるものであり、この実施の形態では、前記側板部25aの後側縁部のうち前記後側鍔部25cに屈曲した形状で一体に連なって前記第1の板厚増加領域Bに含まれる部分に、前記後側鍔部25cに沿いつつ上下方向に延びる第1の補強部37が設けられ、この第1の補強部37は、前記シートバック側サイドフレーム25Aのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。
【0035】
また前記第1の板厚増加領域B1のうち相互に離隔した部位間を結ぶ補強部が前記側板部に25aに設けられるものであり、この実施の形態では、前記側板部25aの前側縁部および後側縁部間を結ぶ第2および第3の補強部38,39が前記側板部25aに設けられる。前記第2の補強部38は、前記第1の補強部37の上下方向中間部から車両前後方向前方に延びて前記側板部25aに設けられ、前記第3の補強部39は、前記第1の補強部37の下端部からわずかに前上がりに傾斜しつつ車両前後方向前方に延びて前記側板部25aに設けられる。これらの第2および第3の補強部38,39は、前記シートバック側サイドフレーム25Aのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。
【0036】
ところで前記シートバック側サイドフレーム25Aの前記側板部25aのうち前記第1の基準板厚領域A1に含まれる部分には、前記第1の貫通孔40に加えて、第2~第7の貫通孔41,42,43,44,45,46が形成される。
【0037】
前記第2の貫通孔41および前記第3の貫通孔42は、前記バック側受圧部材34の前記上部連結ワイヤ35および前記下部連結ワイヤ36を取付けるためのものであり、前記第4の貫通孔43および前記第5の貫通孔44は左右一対のシートバック側サイドフレーム25Aのうちドア側に配置されるシートバック側サイドフレーム25Aに取付けられるエアバッグモジュール47を取付けるためのものであり、前記第6の貫通孔45および前記第7の貫通孔46はエアバッグの展開を抑制する力布(図示せず)を取付けるためのものである。
【0038】
図5および
図6において、前記シートクッションフレーム15における前記シートクッション側サイドフレーム18は、側板部18aと、その側板部18aの上縁部から内側に張り出す上側鍔部18bと、前記側板部18aの下縁部から内側に張り出す下側鍔部18cとを一体に有して、金属板材のプレス成形によって形成される。
【0039】
このシートクッション側サイドフレーム18は、前記側板部18aを少なくとも含む第2の基準板厚領域A2の基準板厚ta2と、前記上側鍔部18bおよび前記下側鍔部18cを少なくとも含む第2の板厚増加領域B2で前記基準板厚ta2よりも厚肉とした増加板厚tb2とを有しつつ、前記第2の基準板厚領域A2および前記第2の板厚増加領域B2で板厚を変化させて形成される。
【0040】
前記第2の板厚増加領域B2は、この実施の形態では、前記上側鍔部18bおよび前記下側鍔部18cと、前記側板部18aの外側縁部の一部とを含むように設定されるものであり、前記側板部18aの外側縁部のうち前記上側鍔部18bに屈曲した形状で一体に連なる部分ならびに前記下側鍔部18cに屈曲した形状で一体に連なる部分を含むように、前記第2の板厚増加領域B2が設定される。
【0041】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、シートクッションフレーム15およびシートバックフレーム16の少なくとも一方、この実施の形態では前記シートバックフレーム16が有するシートバック側サイドフレーム25と、前記シートクッションフレーム15が有するシートクッション側フレーム18とが、側板部25a,18aを少なくとも含む第1および第2の基準板厚領域A1,A2の基準板厚ta1,ta2と、前側鍔部25b、後側鍔部25bおよび側鍔部25cをを少なくとも含む第1の板厚増加領域B1ならびに上側鍔部18bおよび下側鍔部18cを少なくとも含む第2の板厚増加領域B2で前記基準板厚ta1,ta2よりも厚肉とした増加板厚tb1,tb2とを有しつつ、前記第1および第2の基準板厚領域A1,A2と、前記第1および第2の板厚増加領域B1,B2とで板厚を変化させて形成されるので、前記シートバック側サイドフレーム25および前記シートクッション側サイドフレーム18の重量増加を極力抑制しつつ、それらのサイドフレーム25,28の剛性を高めることが可能となる。
【0042】
また前記第1および第2の板厚増加領域B1,B2が、前記側板部25a,18aの外側縁部のうち前記前側鍔部25b、後側鍔部25bおよび側鍔部25cに屈曲した形状で一体に連なる部分、ならびに前記上側鍔部18bおよび下側鍔部18cに屈曲した形状で一体に連なる部分を含んで設定されるので、前記シートバック側サイドフレーム25および前記シートクッション側サイドフレーム18の剛性をより高めることができる。
【0043】
また前記シートバック側サイドフレーム25において、前記第1の板厚増加領域B1の一部が、前記側板部25aに取付けられる取付け部品であるリクライニングユニット30を三方向から囲んで定められるので、リクライニングユニット30の取付け部の剛性向上を図ることができる。
【0044】
しかもシートバックフレーム側サイドフレーム25の側板部25aに、前記リクライニングユニット30を取付けるためのリクライニングユニット取付け部32が設けられ、当該リクライニングユニット取付け部32が前記第1の板厚増加領域B1の前記増加板厚tb1よりも厚肉に形成されるので、リクライニングユニット32の取付け剛性が向上する。
【0045】
またシートバックフレーム側サイドフレーム25の前記側板部のうち前記第1の板厚増加領域A1に含まれる部分の一部に、内外いずれかに隆起した第1の補強部37が設けられるので、前記側板部25aの剛性をより高めることができる。
【0046】
また前記シートバックフレーム側サイドフレーム25における前記第1の板厚増加領域A1のうち相互に離隔した部位間を結ぶ第2および第3の補強部38,39が、前記側板部25aに設けられるので、前記シートバックフレーム側サイドフレーム25の剛性がより一層向上する。
【0047】
さらに前記シートバックフレーム側サイドフレーム25において、前記第1の基準板厚領域A1に含まれる部分で前記側板部25aに第1~第7の貫通孔40~46が形成されるので、第1~第7の貫通孔40~46の加工精度を高めることができる。
【0048】
本発明の第2の実施の形態について
図7を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0049】
シートバック側サイドフレーム25Bの側板部25aには、内外いずれかに隆起する第4の補強部67および第2の補強部38が設けられる。前記第4の補強部67は、前下がりに傾斜した傾斜部67aを下部に有しつつ、前記第1の板厚増加領域A1に含まれるようにして前記後側鍔部25cに沿いつつ上下方向に延びて前記側板部25aに設けられる。また前記第2の補強部38は、前記シートバック側サイドフレーム25Bの長手方向とは交差する方向に延びつつ、前記第4の補強部67の上下方向中間部から車両前後方向前方に延びて前記側板部25aに設けられ、前記第4の補強部67および前記第2の補強部38は、この実施の形態では、前記シートバック側サイドフレーム25Bのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。
【0050】
この第2の実施の形態によっても上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0051】
本発明の第3の実施の形態について
図8を参照しながら説明するが、上記第1および第2の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0052】
シートバック側サイドフレーム25Cの側板部25aには、内外いずれかに隆起する第4の補強部67、第5の補強部68および第2の補強部38が設けられる。前記第5の補強部68は、前記第4の補強部67における傾斜部67aの基端部から前記シートバック側サイドフレーム25Cの長手方向とは交差する方向で車両前後方向前方に延びて前記側板部25aに設けられる。また前記第2の補強部38は、前記シートバック側サイドフレーム25Cの長手方向とは交差する方向に延びて前記側板部25aに設けられ、前記第4の補強部67、前記第5の補強部68および前記第2の補強部38は、この実施の形態では、前記シートバック側サイドフレーム25Cのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。
【0053】
この第3の実施の形態によっても上記第1および第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0054】
本発明の第4の実施の形態について
図9を参照しながら説明するが、上記第1~第3の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0055】
シートバック側サイドフレーム25Dの側板部25aには、内外いずれかに隆起する第1の補強部37、第6~第8の補強部69,70,71が設けられ、これらの補強部37,69~71は、この実施の形態では、前記シートバック側サイドフレーム25Dのプレス加工時に内側に隆起するように形成される。
【0056】
前記第6の補強部69、第7の補強部70および前記第8の補強部71は、上下方向に相互に間隔をあけた位置で車両前後方向に延びるようにして前記側板部25aに設けられる。
【0057】
この第4の実施の形態によっても上記第1~第3の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0059】
15・・・シートクッションフレーム
16・・・シートバックフレーム
18,25A,25B,25C,25D・・・サイドフレーム
18a,25a・・・側板部
18b,18c,25b,25c,25d・・・鍔部
30・・・取付け部品であるリクライニングユニット
32・・・リクライニングユニット取付け部
37,38,39,67・・・補強部
40,41,42,43,44,45,46・・・貫通孔
A1,A2・・・基準板厚領域
B1,B2・・・板厚増加領域
ta1,ta2・・・基準板厚
tb1,tb2・・・増加板厚