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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20231206BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F7/08 101B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019088266
(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2020183832
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 浩介
(72)【発明者】
【氏名】山本 昌由
(72)【発明者】
【氏名】酒井 岳人
(72)【発明者】
【氏名】松木 義孝
(72)【発明者】
【氏名】藤本 徹
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-211794(JP,A)
【文献】特開2001-012763(JP,A)
【文献】特開2001-074283(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216127(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒との熱交換により調和空気を生成する熱交換器(22)を有し、空調対象空間に調和空気を供給する複数台の室内機(20)と、
前記空調対象空間における前記冷媒の漏洩を検知し、複数台の前記室内機それぞれに対応する冷媒センサ(24)と、
前記室内機(20)と通信可能に接続され、前記空調対象空間における複数の異なる位置において、ファンによる給気及び/又はファンによる排気をそれぞれ行う複数台の換気装置(30)と、
前記換気装置(30)の動作を制御する制御部(36)と、
を備え、
前記制御部(36)は、前記冷媒センサ(24)が冷媒の漏洩を検知した場合に、前記複数台の換気装置(30)のうち、前記空調対象空間における冷媒が漏洩した室内機に最も近い位置に給気口及び/又は排気口が設けられた換気装置を作動させる、空調システム(S)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は空調システムに関する。さらに詳しくは、空調機及び換気装置を備えた空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
事務所ビル、ホテル等の比較的規模の大きい建物では、通常、冷風や温風を生成する空調機と、居室に外気を供給するとともに当該居室の排気を行う換気装置とが併用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空調機から冷媒が居室内に漏洩すると、酸欠等の不都合が発生する可能性があるが、前述した、空調機及び換気装置を備えた従来の空調システムでは冷媒漏洩について考慮されていなかった。
【0004】
本開示は、換気装置の作動により漏洩冷媒の希釈又は排出を促進させることができる空調システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の観点に係る空調システムは、
(1)冷媒との熱交換により調和空気を生成する熱交換器を有する空調機と、
空調対象空間における前記冷媒の漏洩を検知するための冷媒センサと、
前記空調機と通信可能に接続され、ファンによる給気及び/又はファンによる排気を行う複数台の換気装置と、
前記換気装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記冷媒センサが冷媒の漏洩を検知した場合に、前記複数台の換気装置のうち、冷媒が漏洩した空調機に最も近い換気装置を作動させる。
【0006】
本開示の第1の観点に係る空調システムでは、冷媒センサが冷媒の漏洩を検知した場合に、複数台の換気装置のうち冷媒が漏洩した空調機に最も近い換気装置を作動させる。これにより、省エネを図りつつ漏洩冷媒の希釈又は排出を促進させることができる。空調システムにおける換気装置は、ユーザーのリモートコントロール操作等によって運転オフにされている場合もあるが、本開示の空調システムでは、このような場合でも換気装置を強制的に作動させるので、居室等の空調対象空間に供給される風量を増やして漏洩冷媒の希釈又は排出を促進させることができる。その際、複数台の換気装置のうち冷媒が漏洩した空調機に最も近い換気装置を作動させるので省エネを図ることができる。
【0007】
本開示の第2の観点に係る空調システムは、
(2)冷媒との熱交換により調和空気を生成する熱交換器を有する空調機、及び、前記空調機と通信可能に接続され、ファンによる給気及び/又はファンによる排気を行う換気装置を含む空調ゾーンを複数備えた空調システムであって、
前記空調システムは、さらに
空調対象空間における前記冷媒の漏洩を検知するための冷媒センサと、
前記換気装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記冷媒センサが冷媒の漏洩を検知した場合に、冷媒が漏洩した空調機を含む空調ゾーンの換気装置を作動させる。
【0008】
本開示の第2の観点に係る空調システムでは、冷媒センサが冷媒の漏洩を検知した場合に、冷媒が漏洩した空調機を含む空調ゾーンの換気装置を作動させる。複数の空調ゾーンが存在する場合、これらの空調ゾーンは、通常、壁又は間仕切りにより空間的に分離されている。この場合、或る空調ゾーンの空調機に配設されている冷媒センサが漏洩冷媒を検知した場合に、他の空調ゾーンの換気装置を作動させても、当該空調機が配設されている或る空調ゾーンにおける漏洩冷媒の希釈又は排出には、ほとんど寄与しない。第2の観点に係る空調システムでは、冷媒が漏洩した空調機を含む空調ゾーンの換気装置を作動させるので、省エネを図りつつ漏洩冷媒の希釈又は排出を効果的に促進させることができる。
【0009】
(3)前記(2)の空調システムにおいて、前記空調ゾーンに含まれる空調機及び換気装置がリモートコントローラにより操作可能であるものとすることができる。この場合、リモートコントローラにより操作可能とされる空調機及び換気装置を含む空調ゾーンは、通常、壁や間仕切り等で区画された領域であることが多いので、省エネを図りつつ当該区画された領域からの漏洩冷媒の希釈又は排出を効果的に促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の空調システムの一実施形態の構成説明図である。
図2図1に示される空調システムの熱源ユニット及び空調ゾーンZ1の冷媒配管系統及び空気系統の説明図である。
図3】換気装置における全熱交換器の構成を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の空調システムを詳細に説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
〔空調システムの全体構成〕
図1は、本開示の一実施形態に係る空調システムSの構成説明図であり、図2は、図1に示される熱源ユニット及び空調ゾーンZ1の冷媒配管系統及び空気系統を示す説明図である。空調システムSは、冷媒配管方式の分散型の空気調和装置を備えており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことで空調対象空間である空調ゾーンZ1~2内を冷暖房するとともに、後述する換気装置により当該空調ゾーンZ1~2及び換気ゾーン内の換気を行う。本明細書では、例えば同一のリモートコントローラに通信可能に接続されている空調機及び換気装置により空調される一の領域ないしは空間、又は、空調システムを集中的に制御する集中コントローラにおいて予め登録されている所定の空調機及び換気装置により空調される一の領域ないしは空間を「空調ゾーン」という。かかる空調ゾーンは、壁や間仕切り等により空間的に仕切られた閉じられた空間(閉空間)である場合が多いが、このような閉空間に限定されるものではない。一の建物においては、通常、1又は複数の空調ゾーンが存在する。なお、本実施形態に係る空調システムSは、空調機による空調が行われる空調ゾーンZ1及びZ2以外に、換気装置による換気だけが行われる換気ゾーンをカバーしている。
【0013】
空調システムSが適用される空調ゾーンZは、事務所、ホテル、劇場、店舗等、冷房及び/又は暖房と換気とが行われる建物において適宜設定することができる。空調システムSは、空調ゾーンZ外に設置される熱源ユニット10と、空調ゾーンZ内に設置される空調機である室内機20と、空調ゾーンZ外に設置される換気装置30とを備えている。なお、図1では、室内機20と換気装置30との位置関係を分かり易くするために、空調ゾーンZ内に換気装置を描いているが、厳密には、当該換気装置は空調ゾーンZを構成する居室の、例えば天井裏に配設されており、空調対象とされる空間内に配設されてはいない。空調ゾーンZ1において、換気装置30aの給気口又は排気口(図示せず)は、換気装置30b及び30cの給気口又は排気口よりも室内機20aに近い位置に設けられている。また、換気装置30cの給気口又は排気口(図示せず)は、換気装置30a及び30bの給気口又は排気口よりも室内機20bに近い位置に設けられている。
【0014】
同様に、空調ゾーンZ2において、換気装置30dの給気口又は排気口(図示せず)は、換気装置30eの給気口又は排気口よりの室内機20cに近い位置に設けられている。なお、換気装置30a~eが空調ゾーンZ外に配設される場合においても同様に、換気装置30aの給気口又は排気口(図示せず)は、換気装置30b及び30cの給気口又は排気口よりも室内機20aに近い位置に設けられている。
【0015】
熱源ユニット10と室内機20は、液冷媒連結管11及びガス冷媒連結管12により接続されている。また、換気装置30と、空調ゾーンZとは給気(SA)用ダクト31及び還気(RA)用ダクト32により接続されている。空調ゾーンZ内において、室内機20は床面に設置してもよいし、天井付近に配設してもよいし、また、天井裏に配設してもよい。なお、図1に示される実施形態では、一例として空調ゾーンZ1に2台の室内機20が描かれているが、室内機20の数は1台でもよいし、3台以上でもよい。また、複数の換気装置として3台の換気装置30が描かれているが、換気装置30の数も2台でもよいし、4台以上でもよい。
【0016】
熱源ユニット10は、圧縮機13、四路切換弁14、熱源側熱交換器15、熱源側膨張弁16、液側閉鎖弁17、及びガス側閉鎖弁18を備えている。熱源ユニット10には、集中コントローラ40が通信可能に接続されており、この集中コントローラ40によって建物が3つのゾーン、すなわち2つの空調ゾーンZ1、Z2及び1つの換気ゾーンに分けられている。空調ゾーンZ1には、2台の室内機20aと、3台の換気装置30a、30b、30cとが配設されている。空調ゾーンZ2には、1台の室内機20bと、2台の換気装置30c、30dとが配設されている。熱源ユニット10と、3台の室内機20a、20b、20cと、6台の換気装置30a、30b、30c、30d、30e、30fとは、図1において破線で示されるように、通信可能に接続されている。
【0017】
圧縮機13は、圧縮機用のモータ(図示せず)によって駆動される密閉式圧縮機であり、吸入流路13aからガス冷媒を吸入する。
【0018】
四路切換弁14は、冷媒の流れの方向を切り換えるための機構である。冷房運転時には、図2において実線で示されるように、四路切換弁14は、圧縮機13の吐出側の冷媒配管13bと熱源側熱交換器15の一端とを接続するとともに、圧縮機13の吸入側の吸入流路13aとガス側閉鎖弁18とを接続する。これにより、熱源側熱交換器15が、圧縮機13によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能し、かつ、後述する利用側熱交換器が、熱源側熱交換器15において凝縮した冷媒の蒸発器として機能する。
【0019】
また、暖房運転時には、図2において破線で示されるように、四路切換弁14は、圧縮機13の吐出側の冷媒配管13bとガス側閉鎖弁18とを接続するとともに、吸入流路13aと熱源側熱交換器15の一端とを接続する。これにより、利用側熱交換器が、圧縮機13によって圧縮された冷媒の凝縮器として機能し、かつ、熱源側熱交換器15が、利用側熱交換器において冷却された冷媒の蒸発器として機能する。
【0020】
熱源ユニット10は、当該熱源ユニット10内に外気を取り入れ、熱源側熱交換器15を流れる冷媒との間で熱交換された外気を屋外に排出するための熱源側ファン19を備えている。
【0021】
室内機20は、それぞれ冷媒連絡管11、12を介して熱源ユニット10に接続されている。図1に示される3台の室内機20は、いずれも同じ外形及び内部構造である。室内機20は、利用側膨張弁21、利用側熱交換器22、及び利用側ファン23を備えている。利用側ファン23は、室内機20内に居室Rの空気を吸入し、利用側熱交換器22を流れる冷媒との間で熱交換された空気を空調ゾーンZに供給する。本実施形態における室内機20は、利用側熱交換器22及び冷媒配管等から漏洩した冷媒を検知する冷媒センサ24を備えている(図2参照)。冷媒センサ24の位置は、漏洩冷媒が検知可能な箇所であれば特に限定されないが、例えば、冷媒配管同士の接合点、冷媒配管の90度以上の曲げ箇所、配管厚さが薄い箇所等、冷媒の漏洩が発生しやすい箇所の近傍に配置することが望ましい。なお、冷媒センサ24は、室内機20の内部に配設する以外に、例えば室温や風量等を設定するための後述するリモートコントローラに搭載したり、また、居室の壁面等の適宜の箇所に配設したりすることもできる。
【0022】
また、室内機20は、冷媒センサ24からの検知信号を受信したり、室内機20における利用側ファン23等の動作を制御したりする制御部25を備えている。この制御部25は、後述する換気装置30の制御部36と通信可能に接続されている。
【0023】
換気装置30は、空調ゾーンZ及び換気ゾーンに新鮮な外気OAを供給するとともに、空調ゾーンZ及び換気ゾーンからの還気RAを機外に排出する。換気装置30は、全熱交換器33と、送風用ファン34と、排気用ファン35と、当該送風用ファン34及び排気用ファン35の動作を制御する制御部36とを備えている。本実施形態における全熱交換器33は、室外からの外気OAと居室からの還気RAとがほぼ直交するように構成された直交型の全熱交換器である。全熱交換器33は、図3に示されるように、伝熱性及び透湿性を有する平板状の仕切板33aと、ほぼ三角形状の断面を有しており、流路高さを維持する間隔板33bとの積層体から構成されている。間隔板33bは、或る側面において上下方向(図3において上下の方向)で波形状の断面が1枚おきに現れるように、1枚ごとに90度角度を変えて積層されている。これにより、透湿性を有する仕切板33aを挟んで給気側通路(図3における白抜き矢印参照)と排気側通路(図3における黒矢印参照)とが形成され、この仕切板33aを介して顕熱と潜熱の交換が行われるようになっている。本実施形態における換気装置30は、ファンにより給気され、ファンにより排気される第1種換気装置である。なお、本開示における換気装置として、給気はファンにより行い、排気は自然排気である第2種換気装置、又は、排気はファンにより行い、給気は自然給気である第3種換気装置を用いることもできる。
【0024】
空調ゾーンZ1には、リモートコントローラ41aが配設されており、室内機20a、20b及び換気装置30a、30b、30cは当該リモートコントローラ41aと通信可能に接続されている。同様に、空調ゾーンZ2には、リモートコントローラ41bが配設されており、室内機20c及び換気装置30d、30eは当該リモートコントローラ41bと通信可能に接続されている。例えば、空調ゾーンZ1の室内機20及び換気装置30は、通常は前記集中コントローラ40によって、その運転が制御されているが、リモートコントローラ41aを操作することでユーザーが温度調節や機器運転の発停等を行うことができる。図1に示される実施形態では、同一のリモートコントローラに通信可能に接続されている空調機及び換気装置により空調される一の領域ないしは空間が、空調ゾーンを構成している。
【0025】
〔空調システムSの動作〕
前述した構成を有する空調システムSは、以下のようにして冷房運転又は暖房運転を行う。
冷房運転時には、前述したように、四路切換弁14は図2において実線で示される状態となる。この状態において、圧縮機13から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁14を経由して凝縮器として機能する熱源側熱交換器15に送られ、熱源側ファン19によって供給される外気と熱交換を行って冷却される。熱源側熱交換器15において冷却されて液化した高圧の冷媒は、液冷媒連絡管11を経由して各室内機20に送られる。各室内機20に送られた冷媒は、利用側膨張弁21によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、蒸発器として機能する利用側熱交換器22において空調ゾーンZ内の空気と熱交換をし、蒸発して低圧のガス冷媒となる。利用側熱交換器22において加熱された低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管12を経由して熱源ユニット10に送られ、四路切換弁14を経由して再び圧縮機13に吸入される。
【0026】
一方、暖房運転時には、前述したように、四路切換弁14は図2において破線で示される状態となる。この状態において、圧縮機13から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁14及びガス冷媒連絡管12を経由して各室内機20に送られる。各室内機20に送られた高圧のガス冷媒は、凝縮器として機能する利用側熱交換器22に送られ、空調ゾーンZ内の空気と熱交換を行って冷却された後、利用側膨張弁21を通過し、液冷媒連絡管11を経由して熱源ユニット10に送られる。熱源ユニット10に送られた高圧の冷媒は、熱源側膨張弁16によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、蒸発器として機能する熱源側熱交換器15に流入する。熱源側熱交換器15に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、熱源側ファン19によって供給される外気と熱交換を行って加熱され、蒸発して低圧の冷媒となる。熱源側熱交換器15を出た低圧のガス冷媒は、四路切換弁14を経由して再び圧縮機13に吸入される。
【0027】
〔換気装置の(強制)作動〕
<第1実施形態>
冷媒センサが冷媒の漏洩を検知しないときの通常運転時には、前記のような冷房運転又は暖房運転とともに、換気装置30による空調ゾーンZ及び換気ゾーンの換気が行われる。必要な換気量(m/h)は空調ゾーンZ及び換気ゾーンの用途及び当該空調ゾーンZ及び換気ゾーンの床面積に応じて選定される。換気装置30は、通常、この必要な換気量を満たすように運転されるが、例えば、春や秋の中間期等において窓を開けることで自然換気を行う場合は、換気装置30の運転をオフ(OFF)にすることがある。この運転オフは、運転スケジュールに沿って行われる場合もあれば、ユーザーがリモートコントローラ41a、41b(図1参照)を操作して行う場合もある。複数の換気装置30が設けられている場合は、その一部の換気装置30の運転をオフにすることもある。
【0028】
本実施形態では、室内機20に配設された冷媒センサ24が冷媒の漏洩を検知した場合に、当該冷媒が漏洩した室内機20に最も近い換気装置を作動させる。具体的に、例えば室内機20aからの冷媒漏洩が検知された場合に、この室内機20aに最も近い換気装置30aを作動させる。これにより、省エネを図りつつ、効果的に漏洩冷媒の希釈又は排出を行うことができる。また、室内機20bからの冷媒漏洩が検知された場合には、当該室内機20bに最も近い換気装置30cが作動される。
【0029】
なお、本開示では、最も近い1台の換気装置以外に、「近い換気装置」として、当該最も近い換気装置を含む2台以上の換気装置を作動させることもできる。図1~2に示される実施形態では、空調ゾーンZ1内に3台の換気装置30a,30b、30cが配設されているが、例えば、或る空調ゾーンに3台の換気装置が配設されている場合、冷媒が漏洩した室内機に最も近い換気装置と、その次に近い換気装置とを作動させることもできる。図1に示される実施形態の場合、例えば室内機20aからの冷媒漏洩が検知された場合、当該室内機20aに最も近い換気装置30aと、その次に近い換気装置30bとを作動させることができる。
【0030】
前記「近い換気装置」は、室内機及び換気装置にWi-Fiを付設しておき、冷媒漏洩時に、室内機側からWi-Fiをとばし、その反応強度により換気装置の位置関係を把握することで選定することができる。そして、選定された換気装置を作動させることで、漏洩冷媒を効果的に希釈又は排出させることができる。複数台の換気装置が選定された場合、そのうちの最も近い換気装置だけを作動させることもできる。「近い換気装置」としては、例えば、冷媒が漏洩した室内機から所定距離以内、例えば10m以内の換気装置とすることができる。かかる、位置関係の把握は、Wi-Fi以外にも、例えばGPSやBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を利用して行うこともできる。
【0031】
図1に示される実施形態では、空調ゾーンZ1内の2台の室内機20と、3台の換気装置30とが通信可能に接続されている。室内機20の冷媒センサ24が冷媒の漏洩を検知すると、その情報は当該室内機20に配設された制御部25に送信される。制御部25は、前記のようにして選定された、当該冷媒が漏洩した室内機20に最も近い換気装置に作動信号を送信して、この作動信号を受信した換気装置が作動して空調ゾーンZ1の換気を行う。これにより、漏洩冷媒の希釈又は空調ゾーンZ1からの排出を効果的に促進させることができる。
【0032】
<第2実施形態>
図1に示される空調システムSは2つの空調ゾーンゾーンZ1及び空調ゾーンZ2を備えている。各空調ゾーンは、空調機である室内機及び換気装置を備えている。また、2つの空調ゾーンZ1、Z2及び換気ゾーンは、図示しない壁又は間仕切りにより空間的に分離されている。したがって、例えば室内機20aに配設されている冷媒センサが漏洩冷媒を検知した場合に、空調ゾーンZ2の換気装置30c、30dを作動させても、当該室内機20aが配設されている空調ゾーンZ1における漏洩冷媒の希釈又は排出には、ほとんど寄与しない。本実施形態では、冷媒が漏洩した室内機を含む空調ゾーンの換気装置を作動させる。例えば、室内機20a又は室内機20bからの冷媒漏洩が検知された場合は、当該室内機20a及び室内機20bを含む空調ゾーンZ1の換気装置30を作動させる。これにより、省エネを図りつつ漏洩冷媒の希釈又は排出を効果的に促進させることができる。
なお、この場合に、空調ゾーンZ1に含まれる3台の換気装置30a、30b、30cをすべて作動させてもよいし、また、第1実施形態のように、冷媒が漏洩した室内機に最も近い室内機を作動させてもよい。
【0033】
〔その他の変形例〕
本開示は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば前述した実施形態では、熱源ユニットの数は1であるが、2台以上の熱源ユニットを採用することができ、熱源ユニット、室内機及び換気装置の数及び配置は、特に限定されるものではなく、適宜選定して空調システムを構成することができる。
【0034】
また、前述した実施形態では、空調システム内に2つの空調ゾーンが設定されているが、空調ゾーンの数は1でもよいし、3以上でもよい。さらに、換気ゾーンを含まない空調システムとすることもできる。
また、前述した実施形態では、換気装置内に直交型の全熱交換器を配設しているが、ロータの回転により還気からの熱回収を行う回転型の全熱交換器を採用することもできる。また、換気装置における、かかる全熱交換器の採用を省略することもできる。
【符号の説明】
【0035】
10 : 熱源ユニット
13 : 圧縮機
14 : 四路切換弁
15 : 熱源側熱交換器
16 : 熱源側膨張弁
19 : 熱源側ファン
20 : 室内機(空調機)
21 : 利用側膨張弁
22 : 利用側熱交換器
23 : 利用側ファン
24 : 冷媒センサ
25 : 制御部
30 : 換気装置
33 : 全熱交換器
34 : 送風用ファン
35 : 排気用ファン
36 : 制御部
40 : 集中コントローラ
41a: リモートコントローラ
41b: リモートコントローラ
S : 空調システム
Z : 空調ゾーン


























図1
図2
図3