(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】焼結鉱の製造方法
(51)【国際特許分類】
C22B 1/16 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
C22B1/16 G
(21)【出願番号】P 2019238749
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】矢部 英昭
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/115262(WO,A1)
【文献】特開2000-237528(JP,A)
【文献】特開平06-179872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00 - 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS-M8801のロガ試験方法によって測定されたロガ指数が10以下の石炭(ただし、無煙炭を除く)を、1050℃以上1300℃以下の乾留温度で乾留し、
前記乾留によって得られたチャーを含む焼結用炭材を用いて、焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項2】
前記焼結用炭材に含まれる固定炭素の含有量を100質量%としたとき、前記焼結用炭材に占める前記チャーの固定炭素の含有量は70質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項3】
前記石炭は、褐炭、亜瀝青炭及び揮発分を25質量%以上含む高揮発瀝青炭のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結鉱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結用炭材の製造方法、特に、低品位炭のチャーを焼結用として使用する際の、焼結用として好ましい性質が得られるチャー化の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結用の炭材としては、通常コークスや無煙炭が利用されている。近年、資源拡大、安価な石炭を利用する観点から、低品位炭の利用が検討されている。低品位炭は揮発分が多いため、焼結用炭材としてそのままでは使用することができない。すなわち、未処理の低品位炭を焼結用炭材として使用すると、排ガス中に揮散した揮発分が後段の電気集塵機の電極に付着し、火災を起こす危険がある。したがって、焼結用炭材として用いるためには、低品位炭をチャー化し、揮発分を所定量まで減少させる必要がある。
【0003】
特許文献1には、焼結用燃料の炭材として、石炭を300℃以上900℃以下の温度で熱分解して得られたチャーを焼結原料に配合する技術が開示されている。特許文献2には、石炭を原料とし、乾留処理温度を650~850℃の範囲内に調整し、焼結用燃料炭材としてのチャーを製造する焼結用燃料炭材の製造方法が開示されている。
【0004】
非特許文献1には、粉コークスの窒素含有量と加熱温度との関係を調べるために、粉コークスを1400℃以上に加熱することが開示されている。非特許文献2にも、非特許文献1に類似した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-230558号公報
【文献】特開2010-209212号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】CAMP-ISIJ,75-S50
【文献】エネルギー学会誌, Vol71,766
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載された焼結鉱の製造方法では、乾留温度が比較的低いため、焼結鉱の生産性の向上及びNOX排出量の低減を十分に図ることができない。また、非特許文献1及び2は、脱窒の挙動を把握するために、粉コークスなどを1050℃以上に加熱しており、焼結鉱の生産性の向上については、考慮されていない。
【0008】
本発明は、低品位炭から得られたチャーを焼結用の炭材として用いる焼結鉱の製造方法において、焼結鉱の生産性の向上及びNOX排出量の低減を両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は(1)JIS-M8801のロガ試験方法によって測定されたロガ指数が10以下の石炭(ただし、無煙炭を除く)を、1050℃以上1300℃以下の乾留温度で乾留し、前記乾留によって得られたチャーを含む焼結用炭材を用いて、焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【0010】
(2)前記焼結用炭材に含まれる固定炭素の含有量を100質量%としたとき、前記焼結用炭材に占める前記チャーの固定炭素の含有量は70質量%以上であることを特徴とする上記(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
【0011】
(3)前記石炭は、褐炭、亜瀝青炭及び揮発分を25質量%以上含む高揮発瀝青炭のうち少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の焼結鉱の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低品位炭をチャー化する際に、乾留温度を1050℃以上1300℃以下に設定することにより、焼結鉱の生産性の向上及びNOX排出量の低減を両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、焼結用の原料の名称として使用する、「新原料」および「配合原料」の用語の定義は、第5版鉄鋼便覧、第1巻、2.5焼結操業、53頁に拠る。
【0014】
本発明の焼結鉱の製造方法において用いられる焼結用炭材には、低品位炭を由来とするチャーが含まれている。本発明における低品位炭とは、JIS-M8801のロガ試験方法によって測定されたロガ指数が10以下の石炭(ただし、無煙炭を除く)である。この種の石炭として、褐炭、亜瀝青炭及び高揮発瀝青炭を用いることができる。高揮発瀝青炭とは、主に発電用途(微粉炭燃焼ボイラー)に用いられ、粘結性が低位であって、かつ、揮発分が比較的高い(揮発分の割合が25質量%以上)ものをいう。
【0015】
ロガ指数が10超の低品位炭を由来とするチャーは、燃焼性が悪く、十分に焼結鉱の生産性を向上させることも、NOX排出量を削減することもできないから、本発明から除外した。
【0016】
ロガ指数は、JIS-M8801に規定されているロガ試験方法によって算出される。以下、ロガ試験方法について、簡単に説明する。
【0017】
粒径が200μm以下である低品位炭1gと標準無煙炭5gを、るつぼ中で十分混合する。標準無煙炭としては、灰分(無水ベース)が4.0%以下であり、揮発分(無水ベース)が5.0~6.5%であり、粒径が300~400μmである無煙炭が用いられる。次に、耐熱鋼おもりを用いて、るつぼ中の低品位炭及び標準無煙炭に対して、所定時間(少なくとも30秒)の間、一定の荷重(59N)を加える。
【0018】
次に、炉内温度が850±10℃に設定された電気炉内に上述したるつぼを配置して、15分間、低品位炭及び標準無煙炭を加熱(乾留)する。そして、加熱したるつぼを耐熱板に配置して45分間冷却した後、るつぼの内容物(以下、乾留物という場合がある)の質量を測定するとともに、1mmの円孔板ふるいを用いて、篩上の乾留物の質量を測定する。
【0019】
次に、るつぼの内容物(乾留物)をドラムに入れて、ドラムを所定の回転速度(50rpm)で5分間回転させることにより、乾留物に対して破壊処理を行う。ドラムの内径は200mm、ドラムの深さは70mmであり、ドラムの内周壁には、長さ70mm、幅30mmの2枚の羽根が対称に配置されている。
【0020】
次に、1mmの円孔板ふるいを用いて、破壊処理後の乾留物の篩い分けを行い、篩上の質量を測定する。上述した破壊処理を3回繰り返して行い、下記式(2)に基づいてロガ指数を算出する。
【式2】
【0021】
【0022】
上記式(2)において、RIはロガ指数である。m1は、乾留後のるつぼの内容物(乾留物)の全質量[g]、m2は、1回目の破壊処理を行う前における篩上の乾留物の質量[g]、m3は、1回目の破壊処理を行った後における篩上の乾留物の質量[g]である。m4は、2回目の破壊処理を行った後における篩上の乾留物の質量[g]、m5は、3回目の破壊処理を行った後における篩上の乾留物の質量[g]である。
【0023】
低品位炭を、所定の温度で乾留することによりチャーを製造する。所定の温度は、1050℃以上1300℃以下である。乾留温度が1050℃未満に低下すると、焼結鉱の生産性を向上する効果及びNOX排出量を削減する効果を十分に発現させることができない。すなわち、乾留温度が低いと、生成するチャーの燃焼速度が過大となる。その結果、焼結使用時に燃焼前線降下速度(Flame Front Speed,以下FFSと呼称)が過度に増速して、成品歩留が低下するため、焼結鉱の生産性を十分に向上させることができない。また、乾留温度が低いと、生成するチャーに含まれる窒素を十分に減らすことができない。そのため、焼結使用時にNOX排出量を削減することができない。乾留温度が1300℃を超過すると、NOX排出量については十分に削減することができるが、FFSが過度に減速するため、焼結鉱の生産性を十分に向上させることができない。
【0024】
乾留装置の種類は、上述の所定の温度で乾留できる装置であれば、特に問わない。例えば、シャフト炉(竪型炉)、内燃式のロータリーキルン、高炉用コークスを製造するためのコークス炉(室炉)等を用いることができる。また、外熱式のロータリーキルンであっても、鉄皮を耐熱温度の高い金属で構成することにより、本実施形態の乾留装置として用いることができる。
【0025】
焼結用炭材に使用されるチャーの新原料(鉄鉱石、雑原料及び副原料の総和)に対する使用比率は、焼結用炭材に含まれる固定炭素に対するチャー由来の固定炭素の質量比率が70%以上、すなわち、焼結用炭材に含まれる固定炭素の含有量を100質量%としたとき前記チャーの固定炭素の含有量が70質量%以上となるように、設定するのが好ましい。チャーの対新原料使用比率をその範囲とすることで、本実施形態のチャーの有用性(焼結鉱の生産性の向上及びNOX排出量の低減)を十分に享受することができる。
【0026】
上述のチャー由来の固定炭素の質量比率を、チャーの対新原料使用比率(質量%(外数))を用いて数式で表すと、以下の通りである。なお、ここでは、焼結用炭材として、チャー、粉コークス及び無煙炭料の混合物が用いられるものとする。
チャー由来の固定炭素の質量比率(質量%)=xX/(xX+yY+zZ)
ここで、xはチャーに含まれる固定炭素の含有量(質量%)であり、yは粉コークスに含まれる固定炭素の含有量(質量%)であり、zは無煙炭に含まれる固定炭素の含有量(質量%)である。また、Xはチャーの使用比率(対新原料質量%)であり、Yは粉コークスの使用比率(対新原料質量%)であり、Zは無煙炭の使用比率(対新原料質量%)である。あるいは、X、Y、Zは、配合原料(=新原料+炭材+返鉱)に対する比率であってもよい。すなわち、Xを配合原料に使用されるチャーの使用比率(kg/t-配合原料)、Yを配合原料に使用される粉コークスの使用比率(kg/t-配合原料)、Zを配合原料に使用される無煙炭の使用比率(kg/t-配合原料)としても、同様に計算できる。
つまり、上述のチャー由来の固定炭素の質量比率(質量%)が、全炭材由来の固定炭素のうち70質量%以上となるように、配合条件を設定することが望ましい。
【0027】
また、新原料を100質量%としたとき、焼結用炭材の固定炭素量は、外数で3.0質量%以上4.5質量%以下とするのが好ましい。
【実施例】
【0028】
次に、実施例を示しながら本発明について具体的に説明する。表1に本実施例で使用した低品位炭の工業分析値、元素分析値及びロガ指数を示した。C、H、Nの元素分析には、LECO社製のCHN628(JIS-M8819に準拠)を使用した。Total-Sの元素分析は、横型管状炉を用いた高温燃焼法にしたがって行った(JIS-M8813に準拠)。
【表1】
石炭A及びBはそれぞれ褐炭及び亜瀝青炭であり、乾留時に殆ど軟化溶融しないため、いずれもロガ指数はほぼ0であった。石炭Cは、高揮発瀝青炭であり、石炭A及びBと同様に軟化溶融性が殆どないため、ロガ指数は10以下であった。石炭Dは、石炭Cとは石炭性状が異なる高揮発瀝青炭であり、若干の軟化溶融性を有しているため、ロガ指数は10超であった。
【0029】
表1に示す石炭を乾燥後に10mm以下に粉砕し、適量を反応容器内に充填した。窒素ガスを反応容器に流通させながら、10℃/minの昇温速度で所定の目標温度まで昇温した後、1時間保温することによって、チャーのサンプルを製造した。表2に、製造したチャーの工業分析値を示した。また、従来法と比較するため、焼結用炭材として通常用いられる粉コークスの工業分析値も併せて示した。なお、チャーA-1~A-5は、石炭Aを由来とするチャーであり、チャーB-1~B-5は、石炭Bを由来とするチャーであり、チャーC-1~C-5は、石炭Cを由来とするチャーであり、チャーD-1~D-3は、石炭Dを由来とするチャーである。
【表2】
【0030】
製造したチャーを焼結用炭材として用いて、焼結鍋試験を実施した。焼結鍋試験は、焼結プロセスを実験室規模でシミュレートするものであり、この焼結鍋試験によって、FFS、焼結鉱の成品歩留、生産率、NOX排出量及びNOX転換率を測定した。
【0031】
焼結鍋試験に用いられる焼結原料の配合条件は、下記表3に示す通りとした。
【表3】
表3において、新原料(鉄鉱石及び副原料の総和)が100質量%であり、返鉱の量及び炭材中の固定炭素量については、外数で表した。使用した炭材の粒度分布は、全て同じにした。粒度分布の詳細は、以下の表4に示す通りとした。
【表4】
【0032】
焼結鍋試験では、まず、任意の直径及び高さを有する円筒形状の焼結鍋に焼結原料を充填した。ここで、焼結鉱を床敷として焼結鍋にセットした後、床敷上に焼結原料を充填した。そして、焼結鍋内の焼結原料層の表面を点火するとともに、焼結鍋の下部に設置された風箱からブロワによって空気を吸引した。これにより、焼結原料層での焼結プロセスをシミュレートすることができる。
【0033】
本実施例では、直径が300mmであり、高さが600mmである焼結鍋を用いた。1530kPaの負圧で空気を吸引しながら、焼結鍋内の焼結原料層の表面をバーナによって1分間点火することにより、焼結を開始した。風箱に設置した温度センサによって排ガスの温度を測定し続け、排ガスの温度が最大値に到達したタイミングを焼結完了時点(BTP;Burn Through Pointとも言う)とした。大気吸引は焼結完了時点からさらに3分が経過したときに終了した。
【0034】
焼結時間は、焼結原料層の点火を開始した時刻から焼結完了時点までの時間である。FFSは、焼結鍋に焼結原料を充填したときの焼結原料層の層厚(焼結鍋の高さ方向のサイズ)を、焼結時間で除算した値である。
【0035】
成品歩留とは、5mm以上を成品としたときの焼結鉱成品の歩留である。具体的には、下記式(3)に基づいて、成品歩留Rが算出される。ここに、Msは篩目の大きさが5mmの篩により篩い分けた篩上の焼結鉱の質量を、Mtは元の焼結ケーキの質量から床敷鉱の質量を減じた質量である。
【式3】
【0036】
【0037】
生産率とは、焼結機単位面積あたりの成品焼結鉱の生産速度[t/24h・m2]である。本鍋試験での生産率Pは、5mmの篩により篩い分けた篩上の焼結鉱の質量Ms[t]を、焼結鍋試験装置の面積S[0.07m2]及び焼結時間ts[min]により除算したものであり、下記式(4)に基づいて算出される。
【式4】
【0038】
【0039】
NOxの排出量とは、鍋の点火を開始してから焼結完了時点までの間に排出された排ガス中に含有されるNOxの量(NO及びNO2の総量)を窒素重量(酸素を含まない)[kg]として表したものである。
【0040】
NOxの転換率とは、鍋試験の原料の炭材中に含まれる窒素量に対して、排ガス中でNOx(NO及びNO2)として検出された窒素量の割合を百分率で表した値である。
【0041】
焼結鍋試験の結果は、以下の表5乃至表8に示す通りである。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0042】
表5~表7に示す炭材は、粉コークス又はチャーだけで構成した。表8に示す炭材は、粉コークス及びチャーを混合した混合原料とした。焼結鍋試験で使用した炭材は、全て固定炭素量が参考例の粉コークスと略同一となるように設定した。例えば、比較例A1(表5参照)のチャーA-1は、チャー使用比率が100%であるため、チャーA-1だけで固定炭素量が3.9質量%(外数)となるように配合量を決定した。つまり、チャーA-1の配合量は、表2に示すチャーA-1の固定炭素量(94.2質量%)に基づき、3.9を0.942で除算することにより、4.14質量%(外数)とした。
【0043】
また、比較例A4(表8参照)のチャーA-1は、チャー使用比率が50%であるため、粉コークスに含まれる固定炭素量及びチャーA-1に含まれる固定炭素量が共に1.95質量%(外数)となるように配合量を決定した。つまり、粉コークスの配合量は、表2に示す粉コークスの固定炭素量(87.2質量%)に基づき、1.95を0.872で除算することにより、2.24質量%(外数)とした。また、チャーA-1の配合量は、表2に示すチャーA-1の固定炭素量(94.2質量%)に基づき、1.95を0.942で除算することにより、2.07質量%(外数)とした。
【0044】
(チャー使用比率100%の場合)
石炭A~Cを、1050~1300℃の乾留温度で乾留したチャーを使用した場合、いずれも焼結鉱の生産性が最も向上し、かつ、十分なNOx排出量の低減が、可能となることがわかった。すなわち、1050℃未満の乾留温度で製造したチャーを用いた場合には、それよりも生産率が低下し、NOx排出量も増加した。1300℃より高温の温度で製造したチャーを用いた場合にはNOx排出量は最も低減可能であるが、一方で生産率が大幅に低下した。また、1300℃を上回る高温でチャーを製造するためには、製造プロセスで消費されるエネルギー量が増大し、熱効率が悪化することも問題となる。
石炭Dは、ロガ指数が10超で燃焼性が悪いため、乾留温度を本発明の範囲に設定しても、焼結鉱の生産性の向上及びNOx排出量の低減を十分に図ることができなかった。
以上の結果から、焼結鉱の生産性の向上及びNOx排出量の低減を両立するためには、以下の二つの条件が必要であることがわかった。
条件1:ロガ指数が10以下の低品位炭(ただし、無煙炭を除く)を乾留したチャーを、焼結用炭材として用いる。
条件2:低品位炭の乾留温度を1050℃以上1300℃以下に設定する。
【0045】
(チャー及び粉コークスの混合原料の場合)
チャーの使用比率を50%とした場合には、800℃と1100℃で製造したチャーの生産率には差異がほとんど生じなかったが、使用比率を70%に高めると、1100℃で製造したチャーの生産率も明らかに大きくなった。従って、粉コークスと併用する場合は、チャーの使用比率を70%以上に高めることが好ましいと考えた。