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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】検査用ソケット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20231206BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20231206BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20231206BHJP
   H01R 13/193 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01R1/073 D
G01R31/26 J
G01R1/067 Z
H01R13/193
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020060874
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021162316
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小堀 栄治
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-215802(JP,A)
【文献】特開2020-26972(JP,A)
【文献】特開2003-45541(JP,A)
【文献】特開平1-254873(JP,A)
【文献】特表2003-536203(JP,A)
【文献】特開2006-260903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0217771(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0212111(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1594993(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06
G01R 31/26
G01R 31/28
H01R 13/193
H01L 21/66
H01R 13/24
H01R 13/46
H01R 24/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に差し込まれて前記所定方向と直交する直交方向に設けられた接点と導通可能な検査用ソケットであって、
前記所定方向に沿って弾性的に伸縮可能とされ、導電性を有する第1導電部材と、
前記接点に導かれる先端と前記第1導電部材の一端が接触する基端とが前記所定方向に沿って設けられた、導電性を有するコンタクトと、
を備え、
前記コンタクトには、前記所定方向における前記基端側の部位から前記直交方向に離間した位置に回動支点が設けられ、
前記コンタクトは、前記第1導電部材が前記基端に接触することよって前記回動支点周りに回動して前記先端が前記直交方向においては前記回動支点側に移動する検査用ソケット。
【請求項2】
前記第1導電部材は、筒状のバレルと、該バレルの内部に収容されたスプリングと、前記バレルの内部にて前記スプリングによって互いに離間する方向に付勢される複数のプランジャと、を有するコンタクトプローブとされている請求項1に記載の検査用ソケット。
【請求項3】
前記コンタクトを収容する収容部材を備え、
前記収容部材は、前記コンタクトの前記回動支点周りの回動範囲を規制する規制部を有している請求項1又は2に記載の検査用ソケット。
【請求項4】
前記コンタクトには、挿入孔が形成され、
該挿入孔に挿入される軸部を備え、
前記回動支点は、前記挿入孔に挿入された前記軸部とされている請求項3に記載の検査用ソケット。
【請求項5】
前記軸部は、前記収容部材に挿入された棒状部材とされている請求項4に記載の検査用ソケット。
【請求項6】
前記棒状部材は、棒状の金属材料の周囲に絶縁材料が設けられたものとされている請求項5に記載の検査用ソケット。
【請求項7】
前記軸部は、前記収容部材に形成されている請求項4に記載の検査用ソケット。
【請求項8】
前記第1導電部材の他端が接触する第1基板と、
前記接点が設けられた第2基板に一端が接触するとともに前記第1基板に他端が接触し、前記所定方向に沿って弾性的に伸縮可能とされ、導電性を有する第2導電部材と、
を備え、
前記コンタクトの先端には、前記接点側に差し込まれるときに前記コンタクトを前記直交方向に誘導して誘い込む誘い込み部が形成され、
前記第2導電部材は、前記コンタクトの誘導時に、前記第2基板に接触しない寸法に設定されている請求項1から7のいずれかに記載の検査用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタや内部に接点を有する製品には、一対のコンタクトを使用したり、内部に端子を挿入して半田付けしたり、馬蹄形のコンタクトを使用したりして接点との接触をさせていた。ここで、馬蹄形のコンタクトとは、例えば特許文献1に開示されているプローブピンのような略U字状の弾性部が形成されているコンタクトである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-26972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、繰り返しの脱着が必要となる検査用の部品においては、一対のコンタクトでは耐久性に乏しく繰り返しの使用が困難であり、半田付けによる対応では繰り返しの使用ができない。
また、馬蹄形のコンタクトでは、耐久性を考慮した場合、サイズが大きくなり部品の小型化に適用できない可能性がある。反対に、小型化を考慮した場合、耐久性が十分に確保できない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、接点との接触性を考慮しつつ、耐久性が向上したコンタクトを備えている検査用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の検査用ソケットは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の一態様に係る検査用ソケットは、所定方向に差し込まれて前記所定方向と直交する直交方向に設けられた接点と導通可能な検査用ソケットであって、前記所定方向に沿って弾性的に伸縮可能とされ、導電性を有する第1導電部材と、前記接点に導かれる先端と前記第1導電部材の一端が接触する基端とが前記所定方向に沿って設けられた、導電性を有するコンタクトと、を備え、前記コンタクトには、前記所定方向における前記基端側の部位から前記直交方向に離間した位置に回動支点が設けられ、前記コンタクトは、前記第1導電部材が前記基端に接触することよって前記回動支点周りに回動して前記先端が前記直交方向においては前記回動支点側に移動する。
【0007】
本態様に係る検査用ソケットは、所定方向に差し込まれて所定方向と直交する直交方向に設けられた接点と導通可能な検査用ソケットであって、所定方向に沿って弾性的に伸縮可能とされ、導電性を有する第1導電部材と、接点に導かれる先端と第1導電部材の一端が接触する基端とが所定方向に沿って設けられた、導電性を有するコンタクトと、を備え、コンタクトには、基端側から直交方向に離間した位置に回動支点が設けられ、コンタクトは、第1導電部材が基端に接触することよって回動支点周りに回動してコンタクトの先端が直交方向に移動するので、コンタクトの先端が直交方向に設けられた接点に接触することになる。このとき、押し込まれた第1導電部材の弾性力によってコンタクトの先端が接点に押し付けられるので、コンタクトと接点の接触性が向上して安定した電気特性を得ることができる。
また、第1導電部材を押し込まなければ弾性力がコンタクトに作用しないので、コンタクトは回動支点周りに容易に回動する。このため、コンタクトに過剰な負荷をかけることなく接点に対して着脱できる。これによって、コンタクトの耐久性が向上する。
また、第1導電部材は伸縮性を有しているので、第1導電部材が伸縮可能な範囲内でコンタクトに回動範囲が与えられることになる。このため、接点の位置が直交方向にずれていたとしても、コンタクトの回動範囲内(詳細には、コンタクトが回動することで直交方向に移動する先端の移動範囲内)で接点の位置ずれを吸収できる。
【0008】
また、本発明の一態様に係る検査用ソケットにおいて、前記第1導電部材は、筒状のバレルと、該バレルの内部に収容されたスプリングと、前記バレルの内部にて前記スプリングによって互いに離間する方向に付勢される複数のプランジャと、を有するコンタクトプローブとされている。
【0009】
本態様に係る検査用ソケットにおいて、第1導電部材は、筒状のバレルと、バレルの内部に収容されたスプリングと、バレルの内部にてスプリングによって互いに離間する方向に付勢される複数のプランジャと、を有するコンタクトプローブとされているので、スプリングによって弾性的に伸縮可能な第1導電部材を提供できる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る検査用ソケットは、前記コンタクトを収容する収容部材を備え、前記収容部材は、前記コンタクトの前記回動支点周りの回動範囲を規制する規制部を有している。
【0011】
本態様に係る検査用ソケットは、コンタクトを収容する収容部材を備え、収容部材は、コンタクトの回動支点周りの回動範囲を規制する規制部を有しているので、例えば検査用ソケットの装着時に、接点に対するコンタクトの位置を定めることができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る検査用ソケットにおいて、前記コンタクトには、挿入孔が形成され、該挿入孔に挿入される軸部を備え、前記回動支点は、前記挿入孔に挿入された前記軸部とされている。
【0013】
本態様に係る検査用ソケットにおいて、コンタクトには、挿入孔が形成され、検査用ソケットは、挿入孔に挿入される軸部を備え、回動支点は、挿入孔に挿入された軸部とされているので、簡便な構造で回動支点を提供できる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る検査用ソケットにおいて、前記軸部は、前記収容部材に挿入された棒状部材とされている。
【0015】
本態様に係る検査用ソケットにおいて、軸部は、収容部材に挿入された棒状部材とされているので、簡便な構造で軸部を提供できる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る検査用ソケットにおいて、前記棒状部材は、棒状の金属材料の周囲に絶縁材料が設けられたものとされている。
【0017】
本態様に係る検査用ソケットにおいて、棒状部材は、棒状の金属材料の周囲に絶縁材料が設けられたものとされているので、金属材料によって棒状部材に強度を持たせるとともに絶縁材料によって棒状部材の絶縁性を確保できる。
なお、絶縁材料を樹脂製とすることで、絶縁性に加えて耐摩耗性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る検査用ソケットにおいて、前記軸部は、前記収容部材に形成されている。
【0019】
本態様に係る検査用ソケットにおいて、軸部は収容部材に形成されているので、別途軸部となる部材を用意する必要がなく部品点数の削減を実現できる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る検査用ソケットは、前記第1導電部材の他端が接触する第1基板と、前記接点が設けられた第2基板に一端が接触するとともに前記第1基板に他端が接触し、前記所定方向に沿って弾性的に伸縮可能とされ、導電性を有する第2導電部材と、を備え、前記コンタクトの先端には、前記接点側に差し込まれるときに前記コンタクトを前記直交方向に誘導して誘い込む誘い込み部が形成され、前記第2導電部材は、前記コンタクトの誘導時に、前記第2基板に接触しない寸法に設定されている。
【0021】
本態様に係る検査用ソケットは、第1導電部材の他端が接触する第1基板と、接点が設けられた第2基板に一端が接触するとともに第1基板に他端が接触し、所定方向に沿って弾性的に伸縮可能とされ、導電性を有する第2導電部材と、を備え、コンタクトの先端には、接点側に差し込まれるときにコンタクトを直交方向に誘導して誘い込む誘い込み部が形成され、第2導電部材は、コンタクトの誘導時に、第2基板に接触しない寸法に設定されているので、コンタクトの誘導に追随して第2導電部材が直交方向に移動したとしても、第2導電部材が第2基板に負荷(例えば、自重や弾性力による力)を与えないので第2基板が第2導電部材によって損傷することを回避できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、接点との接触性を考慮しつつ、耐久性が向上したコンタクトを備えている検査用ソケットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る検査用ソケットの斜視図である。
図2図1に示す検査用ソケットが装着されるパッケージ基板の斜視図である。
図3図1に示す検査用ソケットの分解斜視図である。
図4】コンタクトユニットの斜視図である。
図5】コンタクトの斜視図である。
図6図4に示すコンタクトユニットの分解斜視図である。
図7】コンタクトに棒状部材が挿入された状態の斜視図である。
図8図1に示す切断線VIII-VIIIにおける検査用ソケットの縦断面図である。
図9】第1コンタクトプローブ及び第2コンタクトプローブの斜視図である。
図10図2に示す切断線X-Xにおけるコネクタの横断面図である。
図11】検査用ソケット及びパッケージ基板の縦断面図である(装着前)。
図12図11に示すA部の部分拡大図である。
図13】検査用ソケット及びパッケージ基板の縦断面図である(装着中)。
図14図13に示すB部の部分拡大図である。
図15】検査用ソケット及びパッケージ基板の縦断面図である(装着後)。
図16図15に示すC部の部分拡大図である。
図17】検査用ソケット及びパッケージ基板の縦断面図である(テスト時)。
図18図17に示すD部の部分拡大図である。
図19】変形例に係るコネクタの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る検査用ソケット1ついて図面を用いて説明する。
【0025】
本実施形態に係る検査用ソケット1(図1参照。以下「ソケット1」という。)は、図2に示すパッケージ基板(第2基板)80に設けられたコネクタ81に対して導通させるための電子部品である。
【0026】
[検査用ソケットの構成について]
以下、ソケット1の構成について説明する。
図1及び図3に示すように、ソケット1は、コンタクト20が保持されたコンタクトユニット40と、コンタクトユニット40が固定されるA基板42と、A基板42と近接離間可能に接続されるB基板43と、B基板43に固定されるプリント基板(第1基板)44と、を備えており、それぞれの部品がネジ等の締結部材で接続されて一体となっている(図1参照)。
【0027】
図4に示すように、コンタクトユニット40は、コンタクト20と、コンタクト20を収容するケーシング(収容部材)41と、を備えている。
【0028】
図5に示すように、コンタクト20は導電性を有する略L字状の薄板部材とされており、先端21及び基端22が所定方向(同図において上下方向)に沿って設けられている。なお、所定方向は、ソケット1をコネクタ81に差し込むとき、ソケット1の差込方向に略一致する。
コンタクト20の先端21側には、所定方向と直交する直交方向に突出した接触部24が形成されている。また、接触部24の頂点から先端21にかけてはテーパ部(誘い込み部)25が形成されている。
一方、コンタクト20の基端22側には、直交方向において基端22から離間した位置に挿入孔23が形成されている。この挿入孔23には、後述の棒状部材49が挿入される(図6及び図7参照)。
【0029】
上記のように構成されたコンタクト20は、図6に示すように、挿入孔23が互いに外側を向くように2列に配列された状態でケーシング41の一の面側(同図において下面側)から挿入される。
図4及び図6に示すように、ケーシング41には、コンタクト20の挿入方向に沿った薄い仕切り板41cが形成されており、仕切り板41cによってコンタクト20同士を隔てることで、図4に示すように、各コンタクト20を互いに接触させることなく整列させている。
コンタクト20は、厚さが0.15mm程度とされる。また、1つの列を構成する複数のコンタクト20は、0.4mmピッチに並べられる。なお、これらの数値は例示であり、仕様に応じて適宜変更されてもよい。
【0030】
図6及び図7に示すように、コンタクトユニット40はコンタクト20をケーシング41に対して回動自在に軸支する回動支点としての棒状部材(軸部)49を備えている。
棒状部材49は、例えば、金属材料の周囲に絶縁材料(例えば樹脂等)が設けられたものとされる。これによって、金属材料による強度確保と絶縁材料による絶縁性とを両立できる。
図6に示すように、棒状部材49は、全てのコンタクト20がケーシング41に挿入され後に、軸方向に沿ってケーシング41に挿入される。このとき、図7に示すように、棒状部材49が同列の全てのコンタクト20の挿入孔23に挿入されることで、全てのコンタクト20がケーシング41に保持されたコンタクトユニット40が構成されることになる。また、コンタクト20は、棒状部材49を回動支点にケーシング41内で回動可能に軸支されることになる。
【0031】
図1及び図3に示すように、上記のように構成されたコンタクトユニット40は、コンタクト20の基端22がA基板42に臨むようにして、A基板42の一の面(同図において上面)に対して固定ネジ45によって固定される。このとき、ケーシング41の一の面に形成された位置決めピン41aがA基板42の一の面に形成された位置決め穴42bに嵌合されて、コンタクトユニット40がA基板42に対して位置決めされる。
【0032】
A基板42の他の面(同図において下面)には、B基板43が段付きネジ47によって固定される。このとき、A基板42の他の面に形成された位置決めピン42aがB基板43の一の面(同図において上面)に形成された位置決め穴43bに嵌合されて、B基板43がA基板42に対して位置決めされる。このとき、図3に示すように、A基板42とB基板43との間にはコイルバネ46が介設されており互いに離間する方向に付勢された状態でB基板43がA基板42に対して段付きネジ47によって固定される。これによって、段付きネジ47によって規制される範囲内において、A基板42とB基板43とが近接離間可能に固定されることになる。
なお、無負荷時において、A基板42とB基板43とは最も離間した状態となる(図8参照)。
【0033】
図1及び図3に示すように、B基板43の他の面(同図において下面)には、プリント基板44が固定ネジ48によって固定される。このとき、B基板43の他の面に形成された位置決めピン43aがプリント基板44の一の面(同図において上面)に形成された位置決め穴44bに嵌合されて、プリント基板44がB基板43に対して位置決めされる。
【0034】
図3に示すように、プリント基板44には、後述する第1コンタクトプローブ(第1導電部材)10及び第2コンタクトプローブ(第2導電部材)30が接触する接点44cが設けられている。
【0035】
A基板42とB基板43との間には複数の第1コンタクトプローブ10及び複数の第2コンタクトプローブ30が介設されている。
詳細には、図8に示すように、第1コンタクトプローブ10及び第2コンタクトプローブ30はA基板42及びB基板43に形成された収容孔42c,43cに1本ずつ収容され、収容孔42c,43cに形成された肩部42d,43dに後述するバレル13が当接することで保持される。
【0036】
図9に示すように、第1コンタクトプローブ10は、筒状のバレル13と、バレル13の両端側に設けられたAプランジャ11及びBプランジャ12とを有している。Aプランジャ11及びBプランジャ12の基端はバレル13に収容されている。また、バレル13には弾性的に伸縮する部品(例えばスプリング)が収容されており、Aプランジャ11及びBプランジャ12の基端に接触している。これによって、Aプランジャ11及びBプランジャ12は、互いに離間する方向に弾性的に付勢される。
なお、第1コンタクトプローブ10は、片端摺動タイプでもよいし両端摺動タイプでもよい。また、弾性的に伸縮するように構成された導電性の電子部品であればこの形態に限定されない。
【0037】
第2コンタクトプローブ30についても第1コンタクトプローブ10を同様の構成とされている。なお、第2コンタクトプローブ30は、第1コンタクトプローブ10よりも長尺のものとされる。
【0038】
図8に示すように、A基板42及びB基板43に収容・保持された第1コンタクトプローブ10は、Aプランジャ11がコンタクト20の基端22に一対一で接触可能とされ、Bプランジャ12がプリント基板44に接触可能とされる。
【0039】
A基板42及びB基板43に収容・保持された第2コンタクトプローブ30は、Aプランジャ31がA基板42から突出するとともに、Bプランジャ32がプリント基板44に接触可能とされる。
【0040】
[パッケージ基板及びコネクタの構成について]
次に、ソケット1が接続されるパッケージ基板80及びコネクタ81について説明する。
図2に示すように、パッケージ基板80には、コネクタ81とパッド82が設けられている。
【0041】
図2及び図10に示すように、コネクタ81はパッケージ基板80上に設けられ、略U字状の横断面を有する部品とされている。コネクタ81の対向する内壁には複数の端子(接点)81aが並べて取り付けられており、端子81aはコネクタ81から延出してパッケージ基板80にそれぞれ接続されている。端子81aには、ソケット1のコンタクト20が一対一で接触する。
【0042】
図2に示すように、パッド82は直接的にパッケージ基板80上に設けられており、パッド82には、ソケット1の第2コンタクトプローブ30が一対一で接触する。
【0043】
[検査用ソケットの装着について]
次に、上記のように構成されたソケット1及びコネクタ81の装着方法について説明する。
図11から図18に示すように、ソケット1は、コンタクトユニット40が下方に位置する向きで装着される。すなわち、図1図3から図8に対して上下反転した状態となる。
【0044】
図11及び図12(装着前の状態)に示すように、第1コンタクトプローブ10のAプランジャ11は、A基板42に収容されるとともに先端がコンタクト20の基端22に接触している。このとき、コンタクト20の基端22には、第1コンタクトプローブ10の自重(例えば、1mgf程度)だけが負荷されている。自重が基端22に作用することで、コンタクト20は棒状部材49周りに回動して、先端21が直交方向の外側(先端21同士が離間する方向)に広がるように移動する。
なお、ケーシング41にはコンタクト20の回動範囲を規制する規制部41dが形成されており、基端22に力が負荷されたコンタクト20の先端21が直交方向の外側に広がり過ぎないように構成されている。一方、第1コンタクトプローブ10のBプランジャ12は、43に収容されておりプリント基板44に接触していない。
【0045】
第2コンタクトプローブ30のAプランジャ31は、A基板42に収容・保持され、先端側がA基板42から突出しているがパッケージ基板80には接触していない。また、第2コンタクトプローブ30のBプランジャ32は、B基板43に収容されておりプリント基板44に接触していない。
【0046】
次に、図13及び図14(装着中の状態)に示すように、図11及び図12の状態から、ソケット1をパッケージ基板80側に接近させて、コネクタ81の対向する端子81a間にコンタクト20の先端21を導く。このとき、コンタクト20の先端21にはテーパ部25が形成されているので、直交方向の位置ずれをキャンセルするようにコンタクト20を端子81a間に誘導して適切な位置に誘い込むことができる。
このとき、第1コンタクトプローブ10のAプランジャ11は、A基板42に収容されるとともに先端がコンタクト20の基端22に接触している。一方、第1コンタクトプローブ10のBプランジャ12は、B基板43に収容されておりプリント基板44に接触していない。このため、コンタクト20の基端22は、依然として第1コンタクトプローブ10の自重のみが負荷された状態となる。
【0047】
第2コンタクトプローブ30のAプランジャ31は、A基板42に収容・保持され、先端側がA基板42から突出している。このとき、第2コンタクトプローブ30のAプランジャ31は、テーパ部25によってコンタクト20が端子81a間に誘導されるときにおいて、パッケージ基板80に接触しない程度の長さとされている。また、第2コンタクトプローブ30のBプランジャ32は、B基板43に収容されておりプリント基板44に接触していない。これによって、コンタクト20の誘導に伴ってソケット1が直交方向に移動したとしても、Bプランジャ32がプリント基板44を傷つけることがない。
【0048】
次に、図15及び図16(装着後の状態)に示すように、図13及び図14の状態から、ソケット1をパッケージ基板80側に更に接近させて、コネクタ81にコンタクト20の先端21を差し込む。このとき、コンタクト20の先端21の接触部24が端子81aに接触することで先端21が直交方向における内側(先端21同士が近接する方向)に移動する。これに伴って、コンタクト20が棒状部材49周りに回動して、基端22が上方に移動するとともに第1コンタクトプローブ10を上方に押し上げる。
このとき、第1コンタクトプローブ10のAプランジャ11は、コンタクト20の基端22に接触している。一方、第1コンタクトプローブ10のBプランジャ12は、依然としてB基板43に収容されておりプリント基板44に接触していない。このため、コンタクト20の基端22には第1コンタクトプローブ10の自重しか作用していないので、コンタクト20は容易に棒状部材49周りに回動する。
【0049】
第2コンタクトプローブ30のAプランジャ31は、A基板42に収容され、先端側がA基板42から突出している。このとき、第2コンタクトプローブ30のAプランジャ31は、パッケージ基板80に設けられたパッド82に接触している。なお、コンタクト20の誘導は既に完了しているので、Bプランジャ32がプリント基板44を傷つけることはない。一方、第2コンタクトプローブ30のBプランジャ32は、B基板43に収容されておりプリント基板44に接触していない。
【0050】
次に、図17及び図18(テスト時の状態)に示すように、図15及び図16の状態から、B基板43がA基板42に接触するまでB基板43を押し込む。これによって、第1コンタクトプローブ10のBプランジャ12がプリント基板44に接触するとともに、第1コンタクトプローブ10のAプランジャ11及び/又はBプランジャ12がバレル13内に押し込まれる。このとき、バレル13内に設けられAプランジャ11及びBプランジャ12を付勢しているスプリングの弾性力によってコンタクト20の基端22が下方に向かって押し付けられる。基端22に押し付け力が作用することで、コンタクト20は棒状部材49周りに回動して、先端21が直交方向の外側(先端21同士が離間する方向)に広がるように移動する。これによって、コンタクト20の先端21に形成された接触部24がコネクタ81の端子81aに押し付けられて、接触部24と端子81aとの接触性を向上させることができる。
【0051】
また、第2コンタクトプローブ30のBプランジャ32がプリント基板44に接触するとともに、第2コンタクトプローブ30のAプランジャ31及び/又はBプランジャ32がバレル33内に押し込まれる。これによって、第2コンタクトプローブ30とパッケージ基板80及びプリント基板44との接触性を向上させることができる。
【0052】
以上により、コンタクト20及び第1コンタクトプローブ10並びに第2コンタクトプローブ30を介して、プリント基板44とパッケージ基板80とが導通することになる。
【0053】
なお、軸部自体を省略して、コンタクト20の基端22側を取り囲むケーシング41の形状によってコンタクト20を回動自在に保持してもよい。この場合、部品点数の削減が可能となる。
【0054】
本実施形態は以下の効果を奏する。
コンタクト20には、基端22側から直交方向に離間した位置に回動支点(棒状部材49)が設けられ、コンタクト20は、第1コンタクトプローブ10が基端22に接触することよって回動支点周りに回動してコンタクト20の先端21が直交方向に移動するので、コンタクト20の先端21が直交方向に設けられた端子81aに接触することになる。このとき、B基板43によって押し込まれた第1コンタクトプローブ10の弾性力によってコンタクト20の先端21(詳細には接触部24)が端子81aに押し付けられるので、コンタクト20と端子81aの接触性が向上して安定した電気特性を得ることができる。
【0055】
また、第1コンタクトプローブ10をB基板43で押し込まなければ弾性力がコンタクト20に作用しないので、コンタクト20は回動支点周りに容易に回動する。このため、コンタクト20に過剰な負荷をかけることなくコネクタ81に対して着脱できる。これによって、コンタクト20の耐久性が向上する。
【0056】
また、第1コンタクトプローブ10は伸縮性を有しているので、第1コンタクトプローブ10が伸縮可能な範囲内でコンタクト20に回動範囲が与えられることになる。このため、端子81aの位置が直交方向にずれていたとしても、コンタクト20の回動範囲内(詳細には、コンタクト20が回動することで直交方向に移動する先端21の移動範囲内)で端子81aの位置ずれを吸収できる。
【0057】
また、回動支点は、コンタクト20の挿入孔23に挿入された棒状部材49とされているので、簡便な構造で回動支点を提供できる。
【0058】
また、第2コンタクトプローブ30は、コンタクト20の誘導時に、パッケージ基板80に接触しない寸法に設定されているので、コンタクト20の誘導に追随して第2コンタクトプローブ30が直交方向に移動したとしても、第2コンタクトプローブ30がパッケージ基板80に負荷(例えば、自重や弾性力による力)を与えないのでパッケージ基板80が第2コンタクトプローブ30によって損傷することを回避できる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、複数のコンタクト20が2列に配列されたソケット1を例に説明したが、コンタクト20は1列であってもよい。この場合、図19に示すように、パッケージ基板180上のコネクタ181は、壁部の片側面に端子181aが設けられ形態となる。
また、コンタクト20が接触する接点(端子81a等に相当)は、基板に設けられたスルーホール等であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 検査用ソケット(ソケット)
10 第1コンタクトプローブ(第1導電部材)
11 Aプランジャ
12 Bプランジャ
13 バレル
20 コンタクト
21 先端
22 基端
23 挿入孔
24 接触部
25 テーパ部(誘い込み部)
30 第2コンタクトプローブ(第2導電部材)
31 Aプランジャ
32 Bプランジャ
33 バレル
40 コンタクトユニット
41 ケーシング(収容部材)
41a 位置決めピン
41c 仕切り板
41d 規制部
42 A基板
42a 位置決めピン
42b 位置決め穴
42c 収容孔
42d 肩部
43 B基板
43a 位置決めピン
43b 位置決め穴
43c 収容孔
43d 肩部
44 プリント基板(第1基板)
44b 位置決め穴
44c 接点
45 固定ネジ
46 コイルバネ
47 段付きネジ
48 固定ネジ
49 棒状部材(軸部)
80 パッケージ基板(第2基板)
81 コネクタ
81a 端子
82 パッド
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図19