(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】湯沸かし器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/21 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A47J27/21 101N
(21)【出願番号】P 2020083567
(22)【出願日】2020-05-12
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉広
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108814280(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0280913(US,A1)
【文献】特開2020-048721(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107890283(CN,A)
【文献】国際公開第2018/045694(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0081511(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0069093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器と、
前記液体容器を収容する収容体と、
前記液体容器を加熱する加熱部と、
前記液体容器の下部から前記収容体を貫通して前記収容体の外部まで延びると共に前記液体容器の内部空間と連通する吐出経路を形成する吐出管と、
前記収容体に取り付けられる把持部と、を備え、
前記把持部に配設される操作部と、
前記吐出管
の部分のうち先端部分とは異なる部分に設けられ、前記操作部が操作されない際は前記吐出経路を閉じる閉状態とし、前記操作部が操作された際は前記吐出経路を開ける開状態とする開閉弁と、をさらに備える、湯沸かし器。
【請求項2】
前記吐出経路の出口は、前記収容体の前方に位置しており、
前記吐出経路の入口は、前記液体容器の前側部分に形成される、
請求項1に記載の湯沸かし器。
【請求項3】
前記吐出経路の入口は、前記加熱部より上方に形成される、
請求項1または2に記載の湯沸かし器。
【請求項4】
前記開閉弁に作用を及ぼすことが可能である作用部を含み、前記操作部の運動を前記作用部に伝達する運動伝達機構をさらに備え、
前記操作部が操作された場合、前記作用部が前記開閉弁を前記開状態とする
請求項1から3のいずれか1項に記載の湯沸かし器。
【請求項5】
前記開閉弁は、前記吐出管の基端部分に設けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の湯沸かし器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケトルや電気ポットなどの湯沸かし器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「ポツト内筒内に設けられた少なくとも1個の平板状の間仕切りと、この間仕切りにより区切られて形成された少なくとも2つの加熱室と、前記間仕切りに設けられた逆流防止弁及び小穴とを備えることを特徴とする小人数用湯沸しポツト」が提案されている(例えば、実開平02-043927号公報等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示される湯沸かし器では、吐出管が液体容器の下部から延びるように設計されている。このような湯沸かし器では、転倒の際に、吐出管を通じて液体容器内の液体が外に漏出してしまうことが懸念される。
【0005】
本発明の課題は、吐出管が液体容器の下部から延びる湯沸かし器において、転倒の際に吐出管を通じて液体容器内の液体が外部に漏出することを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る湯沸かし器は、
液体容器と、
前記液体容器を収容する収容体と、
前記液体容器を加熱する加熱部と、
前記液体容器の下部から前記収容体を貫通して前記収容体の外部まで延びると共に前記液体容器の内部空間と連通する吐出経路を形成する吐出管と、
前記収容体に取り付けられる把持部と、を備え、
前記把持部に配設される操作部と、
前記吐出管の部分のうち先端部分とは異なる部分に設けられ、前記操作部が操作されない際は前記吐出経路を閉じる閉状態とし、前記操作部が操作された際は前記吐出経路を開ける開状態とする開閉弁と、をさらに備える。
【0007】
上記構成によれば、使用者が液体容器中の液体を使用しようとする場合、その使用者は、通常、把持部を把持しながら操作部を操作して開閉弁を開状態とし、液体容器中の液体を外に出す。一方、使用者が液体容器中の液体を使用しない場合、操作部が使用者によって操作されないため、開閉弁は閉状態に保たれる。このため、使用者が液体容器中の液体を使用しない際に湯沸かし器が転倒しても、液体容器の下部から延びる吐出管を通じて液体容器内の液体が漏出することを防ぐことができる。
【0008】
本発明では、
前記吐出経路の出口は、前記収容体の前方に位置しており、
前記吐出経路の入口は、前記液体容器の前側部分に形成されると好適である。
【0009】
上記構成によれば、吐出経路が開状態時に液体容器内の液体をカップや湯飲みなどの他の容器等に注ぐ等した後に、液体容器内の液体をできるだけ使い切ることができる。
【0010】
本発明では、
前記吐出経路の入口は、前記加熱部より上方に形成されると好適である。
【0011】
上記構成によれば、加熱部は、液体容器中の液体を効率よく均一に加熱することができる。
【0012】
本発明では、
前記開閉弁に作用を及ぼすことが可能である作用部を含み、前記操作部の運動を前記作用部に伝達する運動伝達機構がさらに備えられ、
前記操作部が操作された場合、前記作用部が前記開閉弁を前記開状態とすると好適である。
【0013】
上記構成によれば、モータなどの電動機を用いず吐出経路の開閉状態を切り換えることができる。このため、この湯沸かし器では、製造コストをできるだけ抑制することができる。
【0014】
本発明では、
前記開閉弁は、前記吐出管の基端部分に設けられていると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気ケトルの縦断面図である。なお、本図は、開閉ボタンが押圧されていない状態である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電気ケトルの縦断面図である。なお、本図は、開閉ボタンが押圧されている状態である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルの構成>
本発明の実施形態に係る電気ケトル100は、いわゆるグースネック型の電気ケトルであって、
図1および
図2に示されるように、主に、ケトル本体200および電源台500から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0017】
1.ケトル本体
ケトル本体200は、電源台500に着脱自在に載置される。電気ケトル100の使用者は、お湯を沸かしたいときにケトル本体200を電源台500上に載置し、お湯を使用するときにケトル本体200を電源台500から取り外すことができる。そして、このケトル本体200は、
図1および
図2に示されるように、主に、本体ユニット300および蓋ユニット250から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0018】
(1)本体ユニット
本体ユニット300は、
図1および
図2に示されるように、主に、筐体310、液体容器320、ヒータユニット340、取っ手ユニット400、吐出管440、止水機構450およびリンク機構480から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0019】
(1-1)筐体
筐体310は、樹脂やステンレスなどの金属などで形成された部材であって、
図1~
図4に示されるように、液体容器320、ヒータユニット340、取っ手ユニット400、吐出管440、止水機構450およびリンク機構480を収容している。この筐体310は、主に、外側壁部材311および底部材312から構成される。外側壁部材311は、
図1~
図4に示されるように、液体容器320の外周を覆うと共にリンク機構480の後側リンク部材481の外側を覆っている。なお、本実施形態では、外側壁部材311は、略円筒形状の部材の周壁の一部が切り取られた形状すなわち部分円筒形状を有している。そして、
図1および
図2に示されるように、この切り取られた部分すなわちスリット部分に、取っ手ユニット400の本体接続部402が嵌め込まれている。すなわち、本体ユニット300の外周壁は、その大部分が外側壁部材311で構成され、一部分が取っ手ユニット400の本体接続部402で構成されている。また、この外側壁部材311の下端近傍の内周面には、内周側に向かって突起する爪受け部(図示せず)が形成されている。そして、この爪受け部に底部材312の爪部(図示せず)が係止され、複数の爪係止構造が形成されることによって外側壁部材311の下側に底部材312が取り付けられる。底部材312は、
図1~
図4に示されるように、本体ユニット300の底部を構成しており、ヒータユニット340や、リンク機構480の下側リンク部材485などを下から覆っている。底部材312は、上述の通り、爪係止構造を介して外側壁部材311に係止されている。また、底部材312には、給電端子342の下端を露出される開口が形成されている。
【0020】
(1-2)液体容器
液体容器320は、その内部に液体を溜めることができる部材であって、
図1~
図4に示されるように、外側壁部材311の内部に収容されている。そして、この液体容器320は、内側壁部材321およびヒータプレート334から構成されている。内側壁部材321は、樹脂やステンレスなどの金属などで形成された部材であって、
図1~
図4に示されるように液体容器320の側壁を構成している。ヒータプレート334は、金属製の板材であって、
図1~
図4に示されるように、内側壁部材321の下側の開口を閉塞するように覆っている。すなわち、ヒータプレート334は、液体容器320の底部を構成している。なお、ヒータプレート334の前部には、貫通口が形成されている。
図3および
図4に示されるように、この貫通口には弁箱460が嵌め込まれ、ヒータプレート334の上面と弁箱460の鍔部462とが密着した状態となる。また、このヒータプレート334の下面には、ヒータユニット340の一構成部品であるプリントヒータ341が配設されている。なお、内側壁部材321の内周面およびヒータプレート334の上面には、フッ素樹脂等の耐蝕性樹脂(図示せず)が塗装されていてもよい。
【0021】
(1-3)ヒータユニット
ヒータユニット340は、
図1および
図2に示されるように、底部材312とヒータプレート334との間に配設されており、主に、プリントヒータ341および給電端子342から構成される。プリントヒータ341は、液体容器320内の液体を加熱する役目を担っている。給電端子342が、電源台500に設けられた接続端子501と電気的に接続されると、接続端子501からプリントヒータ341へ給電される。なお、このヒータユニット340としては、従来公知の電気ケトルのヒータユニットを適用することができる。
【0022】
(1-4)取っ手ユニット
取っ手ユニット400は、ケトル本体200の後方側を構成している。取っ手ユニット400は、
図1および
図2に示されるように、主に、把持部401、本体接続部402および開閉ボタン420から構成される。
【0023】
把持部401は、樹脂などで形成された部材であって、使用者がケトル本体200を持ち運ぶ際の持ち手としての役目を担う。把持部401は、本体接続部402から下方に向かって突出するように、本体接続部402と一体的に形成されている。
図1および
図2に示されるように、把持部401の上部には、開閉ボタン420が押圧可能に配設されている。なお、この開閉ボタン420は、図示しないコイルスプリングにより斜め後方向に付勢されている。
【0024】
本体接続部402は、上述の通り、本体ユニット300の外周壁の一部を構成している。言い換えると、取っ手ユニット400は、本体接続部402によって本体ユニット300の外側壁部材311と結合されている。
【0025】
開閉ボタン420は、
図1および
図2に示されるように、押圧可能に把持部401の上部に配設されている。そして、
図1および
図2に示されるように、開閉ボタン420の前側部分には、押当部421が形成されている。この押当部421は、
図1および
図2に示されるように、後側リンク部材481の上端部に当接しており、使用者が開閉ボタン420を押圧した場合に後側リンク部材481を下方向に押し下げる。
【0026】
(1-5)吐出管
吐出管440は、
図1および
図2に示されるように、筐体310の内部から底部材312を貫通して筐体310の外側まで前方向に沿って延びた後、湾曲しながら上方向に沿って延びた形状を呈している。そして、
図1~
図4に示されるように、筐体310の内部に位置している吐出管440の後端部位441の外周には、弁底部材463の吐出管接続部463cが水密に嵌め込まれている。そして、吐出管440の注ぎ口442は、筐体310の前方に位置している。
【0027】
(1-6)止水機構
止水機構450は、
図3および
図4に示されるように、主に、弁箱460、弁底部材463、開閉弁470およびコイルスプリング474から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0028】
弁箱460は、
図3および
図4に示されるように、開閉弁470およびコイルスプリング474を収容する部材であって、胴体部461、弁座部466および鍔部462から形成されている。胴体部461は、
図3および
図4に示されるように、円筒形状を呈する部位である。
図3および
図4に示されるように、胴体部461の下側部位の前側には弁出口が形成されている。また、
図3および
図4に示されるように、この胴体部461の上端には、弁座部466が形成されている。弁座部466は、上述の通り、胴体部461の上端に形成されている。そして、この弁座部466の中央には弁入口464が形成されている。そして、
図3および
図4に示されるように、この弁入口464は、弁体472によって開閉される。鍔部462は、
図3および
図4に示されるように胴体部461の上端部から外方に向かって延びている。
図3および
図4に示されるように鍔部462の後側の部位は、パッキンPKを介してヒータプレート334およびプリントヒータ341等に支持されており、鍔部462の前側の部位は、パッキンPKを介して液体容器320の内側壁部材321に支持されている。パッキンPKは、鍔部462の後側の部位と、ヒータプレート334およびプリントヒータ341等とを水密に保っていると共に、鍔部462の前側の部位と液体容器320の内側壁部材321とを水密に保っている。
【0029】
弁底部材463は、ゴム等の弾性部材から形成される可撓性シール部材であって、
図3および
図4に示されるように、主に、胴体部463a、弁棒支持部463b、吐出管接続部463cおよび変形部463dから形成されている。胴体部463aは、円筒形状を呈する部位であって、
図3および
図4に示されるように弁箱460の胴体部461の外周に水密に嵌め込まれている。弁棒支持部463bには、
図3および
図4に示されるように弁棒471の本体部471aの下端部が嵌め込まれている。吐出管接続部463cは、胴体部463aの下側部位の前側から前方に向かって延びる円筒形状部位であって、吐出管440の後端部位441の外周に水密に嵌め込まれている。変形部463dは、
図3および
図4に示されるように、胴体部463aから弁棒支持部463bに向かって延びる変形可能な部位であって、弁棒471の上下動に伴って変形する。
【0030】
開閉弁470は、弁入口464を開閉するための部材であって、
図3および
図4に示されるように、弁棒471および弁体472から構成される。弁棒471は、
図3および
図4に示されるように、弁入口464を通じて上下移動可能である棒状部材であって、本体部471aおよび翼部471bから形成されている。本体部471aは、
図3および
図4に示されるように弁棒471の中心軸を形成する部位であって、上下方向に沿って延びている。そして、この本体部471aの上部には弁体472が固定されており、下端部は弁底部材463の弁棒支持部463bに嵌め込まれている。翼部471bは、
図3および
図4に示されるように、本体部471aの中央部から外周方向に向かって延びている。そして、この翼部471bの下端部にはコイルスプリング474が嵌め込まれている。弁体472は、
図3および
図4に示されるように、弁棒471の上部に嵌め込まれており、弁入口464より上側に位置している。そして、
図3に示されるように、弁棒471が下側リンク部材485によって押し上げられていない状態では、弁体472は、コイルスプリングの付勢力によって弁箱460の弁座部466に水密に接触させられて、弁入口464を閉状態としている。一方、
図4に示されるように、弁棒471が下側リンク部材485によって押し上げられた状態では、弁体472は、弁箱460の弁座部466から離れて上方に位置し、弁入口464を開状態としている。
【0031】
コイルスプリング474は、開閉弁470を下方に向けて付勢するための部材であって、上述の通り、弁箱460に収容されている。なお、
図1~
図4に示されるように、コイルスプリング474の上端部は弁座部466の下面に当接しており、コイルスプリング474の下端部は弁棒471の翼部471bの下端部の外周に嵌め込まれている。
【0032】
(1-7)リンク機構
リンク機構480は、開閉ボタン420の運動を開閉弁470に伝達することによって開閉弁470を開閉するための部材であって、
図1および
図2に示されるように、主に、後側リンク部材481および下側リンク部材485から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0033】
後側リンク部材481は、
図1および
図2に示されるように、上下方向に沿って配設される長尺部材であって、液体容器320の後部と本体接続部402との間に配設されている。上述の通り、後側リンク部材481の上端部には、開閉ボタン420の押当部421が当接されている。また、後側リンク部材481の下端部は、
図1および
図2に示されるように、下側リンク部材485の後端部と連結している。
【0034】
下側リンク部材485は、
図1~
図4に示されるように、前後方向に沿って配設される長尺部材であって、底部材312の底部の直上に配設されている。上述の通り、下側リンク部材485の後端部は、後側リンク部材481の下端部と連結している。そして、下側リンク部材485の前端部は、
図1~
図4に示されるように、弁底部材463の弁棒支持部463bの直下に位置している。なお、
図3に示されるように、弁入口464が閉状態となっている場合、下側リンク部材485と弁底部材463の弁棒支持部463bとはわずかに離れるように設計されている。そして、
図1および
図2に示される状態において、下側リンク部材485の中央部には、水平方向に延びる回転軸(図示せず)が形成されている(言い換えれば、平面透視において、下側リンク部材485の中央部には、下側リンク部材485の延伸方向に対して垂直に伸びる回転軸が形成されている。)。つまり、下側リンク部材485はこの回転軸を中心として回転可能である。そして、後側リンク部材481が下方向に押し下げられることによって下側リンク部材485の後端部が回転軸を中心として下方向に回動すると、下側リンク部材485の前端部が回転軸を中心として上方向に回動して弁底部材463の弁棒支持部463bに当接してそれを押し上げることになる(
図4参照)。
【0035】
(2)蓋ユニット
蓋ユニット250は、
図1および
図2に示されるように、本体ユニット300に着脱自在に装着されている。電気ケトル100の使用者は、蓋ユニット250の上部に設けられたロック機構(図示せず)を解除状態にすることで、本体ユニット300から蓋ユニット250を取り外すことができる。こうすることで、液体容器320内に液体を入れることができる。そして、この液体を加熱する際には、蓋ユニット250を本体ユニット300に装着させて、液体容器320内を閉空間とする。
【0036】
ロック機構は、蓋ユニット250を本体ユニット300に係止するための機構である。ロック機構は、主に、一対のロックレバー、および、各ロックレバーと連結されたコイルスプリングから構成される。ロックレバーは、電気ケトル100の使用者が本体ユニット300から蓋ユニット250を取り外す際に指で触れる操作部分として使用される。なお、一対のロックレバーは、コイルスプリングによって左右外方に向かって付勢されている。そして、蓋ユニット250が本体ユニット300に装着されている状態では、ロックレバーの一部が本体ユニット300に嵌まり込んだ状態となり、蓋ユニット250は本体ユニット300に係止される。
【0037】
2.電源台
電源台500は、電気ケトル100へ電気を供給する給電部の役割を果たすともに、電気ケトル100の台座の役割を果たす。電源台500は、主に、電源スイッチ(図示せず)、電源コード(図示せず)、電源プラグ(図示せず)、ヒータユニット340と電気的に接続される接続端子501から構成される。電源スイッチは、ヒータユニット340の給電端子342と、接続端子501との接続状態を切り換えるためのスイッチである。電源スイッチがONになると、ヒータユニット340は電源台500と通電される。これにより、ヒータユニット340には電気が供給され、液体容器320内の液体が加熱される。なお、電源台500については、従来公知の電気ケトルの電源台と同様の構成が適用できる。
【0038】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルにおける吐出経路の開閉状態について>
本発明の実施形態に係る電気ケトル100では、開閉ボタン420、止水機構450およびリンク機構480によって、吐出経路A(
図4参照)の開閉状態(すなわち弁入口464の開閉状態)を切り換えることができる。以下、吐出経路Aを開状態または吐出経路Aを閉状態とする際における開閉ボタン420の動作、止水機構450の動作およびリンク機構480の動作について説明する。
【0039】
まず、吐出経路Aが閉状態である場合の開閉ボタン420、止水機構450およびリンク機構480の状態を、
図1および
図3を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る電気ケトル100では、吐出経路Aが閉状態となるのは、開閉ボタン420が押圧されていない場合である。開閉ボタン420が押圧されていない場合、下側リンク部材485の前端部と弁底部材463の弁棒支持部463bとは当接せず、コイルスプリング474が開閉弁470を下方に向けて付勢している状態が維持されるため、開閉弁470が弁入口464を覆って塞ぐことになる。かかる状態では、液体容器320内に液体を貯めることができ、ケトル本体200が傾けられても液体容器320内の液体が吐出経路Aを通って注ぎ口442から吐出されない。
【0040】
次に、吐出経路Aが開状態である場合の開閉ボタン420、止水機構450およびリンク機構480の状態を、
図2および
図4を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る電気ケトル100では、吐出経路Aが開状態となるのは、開閉ボタン420が押圧されている場合である。まず、使用者は、把持部401を把持しながら開閉ボタン420を押圧すると、開閉ボタン420の押当部421によって後側リンク部材481が下方向に押し下げられる。そして、これにより、下側リンク部材485の後端部が下方向に押し下げられる。このように下側リンク部材485の後端部が下方向に押し下げられると、下側リンク部材485の前端部が回転軸を中心として上方向に回動し(すなわち、下側リンク部材485がシーソー運動をする。)、その結果、下側リンク部材485の前端部が、弁底部材463の弁棒支持部463bに当接し、その後、コイルスプリング474の付勢力に逆らって開閉弁470を上方向に押し上げる。なお、このとき、
図4に示されるように、弁底部材463の変形部463dが変形する。この結果、弁入口464が開いて(開閉弁470が開状態となり)、吐出経路Aが開状態となる。この状態で、使用者がカップや湯飲みなどの容器に注ぎ口442を近づけるようにケトル本体200を前方に傾けると、液体容器320内の液体は、
図4の太線矢印で示されるように吐出経路Aを通って、注ぎ口442から吐出される。そして、使用者が開閉ボタン420の押圧をやめると、開閉弁470によって弁入口464が閉じられて吐出経路Aが閉状態となる。
【0041】
<本発明の実施形態に係る電気ケトルの特徴>
(1)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、開閉ボタン420が、押圧可能に把持部401の上部に配設されている。また、後側リンク部材481が、開閉ボタン420の押当部421と当接するように液体容器320の後部と本体接続部402との間に配設され、下側リンク部材485が、後側リンク部材481と連結するように底部材312の底部の直上に配設されている。そして、開閉ボタン420が押圧されている状態では、開閉ボタン420の押当部421によって後側リンク部材481が下方向に押し下げられると共に下側リンク部材485の後端部が押し下げられ、その結果、下側リンク部材485の前端部が回転軸を中心として上方向に回動する。そして、下側リンク部材485の前端部が弁箱460の弁底部材463の弁棒支持部463bに当接し、その後、コイルスプリング474の付勢力に逆らって開閉弁470を上方向に押し上げて、吐出経路Aを開状態とする。このため、この電気ケトル100では、片手で把持部401を把持しながらでその手で開閉ボタン420を押圧することができる。一方、開閉ボタン420が押圧されていない場合、下側リンク部材485の前端部と弁底部材463の弁棒支持部463bとが当接せず、コイルスプリング474が開閉弁470を下方に向けて付勢している状態が維持されるため、開閉弁470が弁入口464を覆って塞ぐことになる。このため、この電気ケトル100では、片手で把持部401を把持しながら吐出経路Aの開閉状態を切り換えることができると共に、転倒した場合であっても吐出管440を通じて液体容器320内の液体が外に漏出することを防ぐことができる。
【0042】
(2)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、モータなどの電動機を用いずにできるだけ構成部品を少なくした上で吐出経路Aの開閉状態を切り換えることができる。このため、この電気ケトル100は、製造コストをできるだけ抑制することができる。
【0043】
(3)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、注ぎ口442が筐体310の前方に位置していると共に、弁入口464がヒータプレート334の前部に形成されている。このため、この電気ケトル100では、液体容器320内の液体をできるだけ使い切ることができる。
【0044】
(4)
本発明の実施形態にかかる電気ケトル100では、弁入口464は、プリントヒータ341より上方に形成されている。このため、この電気ケトル100では、プリントヒータ341は、液体容器320内の液体を効率よく均一に加熱することができる。
【0045】
<変形例>
(A)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、吐出管440は、筐体310の内部から底部材312を貫通して筐体310の外側まで前方向に沿って延びた後、湾曲しながら上方向に沿って延びた形状を呈していた。しかし、吐出管440の形状は特に限定されず、吐出管440は底部材312の前側部分ではなく外側壁部材311の前側部分を貫通してもよい。
【0046】
(B)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、ヒータユニット340の給電端子342と、接続端子501との接続状態を切り換えるための電源スイッチが、電源台500に構成されていた。しかし、電源スイッチは、例えば、蓋ユニット250や取っ手ユニット400などに配設されてもよい。
【0047】
(C)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、使用者が開閉ボタン420を押圧すると吐出経路Aが開状態となり、使用者が開閉ボタン420の押圧をやめると吐出経路Aが閉状態となる。しかし、使用者が開閉ボタン420を一度押圧し開閉ボタン420から手を離しても、開閉ボタン420が押圧されたままロックされ、吐出経路Aが開状態のまま維持されてもよい。そして、使用者がもう一度開閉ボタン420を押圧し開閉ボタン420から手を離すことで、開閉ボタン420の押圧状態が解除され、吐出経路Aが閉状態に遷移するようにしてもよい。
【0048】
(D)
先の実施形態に係る電気ケトル100では、加熱源としてプリントヒータ341が採用されたが、加熱源は特に限定されず、シーズヒータ等であってもよい。
【0049】
なお、上記変形例(A)~(D)は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
310 筐体(収容体)
320 液体容器
341 プリントヒータ(加熱部)
401 把持部
420 開閉ボタン(操作部)
440 吐出管
442 注ぎ口(吐出経路の出口)
464 弁入口(吐出経路の入口)
470 開閉弁
481 後側リンク部材(運動伝達機構)
485 下側リンク部材(作用部)
A 吐出経路