(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置の熱源ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 1/22 20110101AFI20231206BHJP
【FI】
F24F1/22
(21)【出願番号】P 2021161995
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】平和 大樹
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 克敏
(72)【発明者】
【氏名】高柳 誠
(72)【発明者】
【氏名】越路 泰地
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩彰
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143880(JP,A)
【文献】特開2011-232010(JP,A)
【文献】特開平03-168544(JP,A)
【文献】国際公開第2007/108447(WO,A1)
【文献】特開2009-210158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクル装置(1)の熱源ユニット(2)であって、
第1電装基板(61、62、63)と、
第2電装基板(64、65)と、
前記第1電装基板が取り付けられる第1面(58x)と、前記第2電装基板が取り付けられる第2面(58y)と、の両面を有する取付部材(58)と、
メンテナンス開口(50x)と、前記メンテナンス開口(50x)を開閉可能な蓋(51、52)と、を有する電装品ケーシング(50a)と、
を備え、
前記取付部材と前記電装品ケーシングとは連結部分(58d、56y)を介して連結されており、
前記メンテナンス開口(50x)が閉じた状態で、前記第1電装基板と前記第2電装基板と前記取付部材が前記電装品ケーシング内に収容された第1状態と、前記メンテナンス開口(50x)が開いた状態で、前記取付部材が前記連結部分の周りに回転することで前記第1電装基板と前記第2電装基板と前記取付部材との前記メンテナンス開口に対する位置が前記第1状態とは異なる位置に移動し、前記第1面(58x)が水平に広がった状態である第2状態と、に切り換わ
り、
前記取付部材(58)は、前記第2状態では、前記取付部材(58)の前記第2面(58y)と面接触する板状部により支持される、
電装品ユニット
(50)
を備えた冷凍サイクル装置(1)の熱源ユニット(2)。
【請求項2】
前記取付部材が前記連結部分の周りを前記メンテナンス開口に向けて回転することで、前記第1状態から前記第2状態に切り換わる、
請求項1に記載の
冷凍サイクル装置(1)の熱源ユニット(2)。
【請求項3】
前記取付部材は、前記取付部材の下端において前記電装品ケーシングと連結されている、
請求項1または2に記載の
冷凍サイクル装置(1)の熱源ユニット(2)。
【請求項4】
前記第2状態では、前記取付部材は、前記電装品ケーシングに引っ掛かって支持されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の
冷凍サイクル装置(1)の熱源ユニット(2)。
【請求項5】
前記第1状態から前記第2状態への切り換わりでは、前記取付部材は、前記連結部分の周りに80度以上100度以下回転する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の
冷凍サイクル装置(1)の熱源ユニット(2)。
【請求項6】
熱源メンテナンス開口(16a)を有しており、前記電装品ユニットを収容する熱源ケーシング(11
)を備え、
前記第2状態では、前記取付部材は前記熱源メンテナンス開口の縁に接触しない、
請求項1から5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置の熱源ユニット(2)。
【請求項7】
圧縮機(21
)を備え、
前記圧縮機は、前記電装品ユニットの下端よりも低い位置に設けられている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置の熱源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装品ユニットおよび冷凍サイクル装置の熱源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和装置等の冷凍サイクル装置における室外ユニットとして、圧縮機、熱交換器等の冷媒回路を構成する部品と、各種部品の制御を行うための電装品ユニットを備えたものが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2021-119322号公報)の空気調和機では、電装品箱を機械室の正面側に配置しつつ、メンテナンス時に筐体から取り外されるサービスパネルを電装品箱の正面側に設けた構造の室外機が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の特許文献1の室外ユニットでは、電装品箱の内部の電装基板の面が正面を向くように配置されており、サービスパネルを開けて、電装品箱の蓋を取り外すことにより、電装基板の部品に正面側からアクセスすることが可能になっている。しかし、電装品箱の電装品が、例えば正面以外の向きに設けられている場合には、メンテナンスが困難になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る電装品ユニットは、冷凍サイクル装置の電装品ユニットであって、第1電装基板と、第2電装基板と、取付部材と、電装品ケーシングと、を備える。取付部材は、第1面と第2面を有する。第1面は、第1電装基板が取り付けられる。第2面は、第2電装基板が取り付けられる。電装品ケーシングは、メンテナンス開口を有する。取付部材と電装品ケーシングとは、連結部分を介して連結されている。電装品ユニットは、第1状態と、第2状態と、に切り換わる。第1状態では、第1電装基板と第2電装基板と取付部材が電装品ケーシング内に収容されている。第2状態では、取付部材が連結部分の周りに回転することで第1電装基板と第2電装基板と取付部材とのメンテナンス開口に対する位置が第1状態とは異なる位置に移動する。
【0006】
取付部材が連結部分の周りに回転するための構造としては、特に限定されず、例えば、
取付部材と電装品ケーシングとを連結するヒンジ構造であってもよいし、取付部材が電装品ケーシングに対して引っ掛かった状態を維持しながら連結部分の周りに回転する構造であってもよい。また、取付部材は、連結部分との連結部分を軸として回転するものであってもよい。
【0007】
この電装品ユニットでは、電装品ユニットが第1状態のときには、メンテナンス開口を介して第1電装基板と第2電装基板のうちアクセスが容易な基板についてメンテナンスすることができる。そして、電装品ユニットが第2状態のときには、取付部材が連結部分の周りに回転することで第1電装基板と第2電装基板とのメンテナンス開口に対する位置が第1状態とは異なる位置に変わるため、第1状態ではアクセスが容易ではなかった電装基板へのアクセスが容易になる。これにより、第1電装基板と第2電装基板の両方へのアクセスが容易になる。
【0008】
第2観点に係る電装品ユニットは、第1観点に係る電装品ユニットにおいて、取付部材が連結部分の周りをメンテナンス開口に向けて回転することで、第1状態から第2状態に切り換わる。
【0009】
この電装品ユニットでは、第1状態ではアクセスが容易ではなかった電装基板へのアクセスがより容易になる。
【0010】
第3観点に係る電装品ユニットは、第1観点または第2観点に係る電装品ユニットにおいて、取付部材は、取付部材の下端において電装品ケーシングと連結されている。
【0011】
この電装品ユニットでは、取付部材の下端近傍を中心として取付部材を回転させることができる。
【0012】
第4観点に係る電装品ユニットは、第1観点から第3観点のいずれかに係る電装品ユニットにおいて、第2状態では、取付部材は、電装品ケーシングに引っ掛かって支持されている。
【0013】
この電装品ユニットでは、第2状態において取付部材が電装品ケーシングから脱落することが抑制される。
【0014】
第5観点に係る電装品ユニットは、第1観点から第4観点のいずれかに係る電装品ユニットにおいて、第1状態から第2状態への切り換わりでは、取付部材は、連結部分の周りに80度以上100度以下回転する。
【0015】
この電装品ユニットでは、第1状態ではアクセスが容易ではなかった電装基板へのアクセスがさらに容易になる。
【0016】
第6観点に係る冷凍サイクル装置の熱源ユニットは、第1観点から第5観点のいずれかに係る電装品ユニットと、熱源ケーシングと、を備えている。熱源ケーシングは、熱源メンテナンス開口を有している。熱源ケーシングは、電装品ユニットを収容する。第2状態では、取付部材は熱源メンテナンス開口の縁に接触しない。
【0017】
なお、第2状態では、取付部材は、上面視において、熱源メンテナンス開口と重なる位置にあることが好ましい。
【0018】
この冷凍サイクル装置の熱源ユニットでは、熱源メンテナンス開口の縁を構成する部材に取付部材の重みを負わせることを避けることができる。
【0019】
第7観点に係る冷凍サイクル装置の熱源ユニットは、第1観点から第5観点のいずれかに係る電装品ユニットと、圧縮機と、を備えている。圧縮機は、電装品ユニットの下端よりも低い位置に設けられている。
【0020】
この冷凍サイクル装置の熱源ユニットでは、電装品ユニットの存在により圧縮機のメンテナンスが困難になることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係る冷凍サイクル装置の全体構成図である。
【
図3】室外ユニットにおける室外制御部の配置等を示す概略外観斜視図である。
【
図4】第2冷却部分を移動させた状態を示す概略外観斜視図である。
【
図5】取付板と電装品等を前に回し出した状態の室外制御部を示す概略外観斜視図である。
【
図7】上前面パネルと上前蓋と下前蓋を取り外した状態の室外制御部を示す側面視概略断面図である。
【
図8】取付板と電装品等を前に回し出した状態の室外制御部を示す側面視概略断面図である。
【
図9】室外制御部の内部の平面視概略構成図である。
【
図10】室外制御部の内部の前面側部分についての正面視概略構成図である。
【
図11】室外制御部の内部の背面側部分についての背面視概略構成図である。
【
図12】室外制御部の内部の右側面視概略構成図である。
【
図14】第2冷却部分を前側に回し出した状態における室外制御部周辺の平面視概略構成図である。
【
図16】取付板と電装品等を前に回し出す途中の状態を示す室外制御部の側面視簡易断面図である。
【
図17】取付板と電装品等を前に回し出した状態を示す室外制御部の側面視簡易断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1)冷凍サイクル装置の構成
図1に、冷凍サイクル装置1の概略構成図を示す。
【0023】
冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷房および暖房に使用される装置である。冷凍サイクル装置1は、主として、熱源ユニットとしての室外ユニット2と、利用ユニットとしての室内ユニット4と、室外ユニット2と室内ユニット4とを連絡する液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5とを備えている。冷凍サイクル装置1が有する冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4と、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5とが接続されることによって構成されている。
【0024】
なお、本実施形態の冷媒回路10には、例えば、R410AまたはR32等の任意の冷媒が充填される。
【0025】
(1-1)室内ユニット
室内ユニット4は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0026】
なお、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、冷媒回路10において互いに並列接続された複数の室内ユニット4を有している。各室内ユニット4の構成は同様であるため、以下では1の室内ユニット4について説明する。
【0027】
室内ユニット4は、主として、室内膨張弁44と、室内熱交換器41と、室内ファン42と、室内制御部46と、を有している。
【0028】
室内熱交換器41は、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器41は、冷房運転時は冷媒の蒸発器として機能して室内空気の冷却を行い、暖房運転時は冷媒の放熱器又は凝縮器として機能して室内空気を暖める。室内熱交換器41のガス側には、ガス側冷媒連絡配管5が接続されている。
【0029】
室内膨張弁44は、弁開度を調節可能な電子膨張弁によって構成されている。室内膨張弁44は、室内熱交換器41と液側冷媒連絡配管6との間の冷媒流路に設けられている。
【0030】
室内ユニット4は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器41において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン42を有している。室内ファン42は、遠心ファンや多翼ファン等である。室内ファン42は、室内ファンモータ43を有している。
【0031】
室内制御部46は、室内ユニット4を構成する各部の動作を制御する。室内制御部46は、室内ユニット4の制御を行うために設けられており、ROMやRAM等のメモリと、CPU等のプロセッサ等を備えたマイクロコンピュータを有している。室内制御部46は、室外ユニット2の室外制御部50またはリモコン3との間で伝送線7aを介して制御信号等のやりとりが可能である。
【0032】
(1-2)室外ユニット
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されており、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して各室内ユニット4に接続されている。
【0033】
図2に、室外ユニット2の外観斜視図を示す。
図2においては、室外ユニット2の一部の内部構成を省略して示している。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、特にことわりのない限り、
図2に示される室外ユニット2を前方(図面の左斜前側)から見た場合の方向を意味する。ここで、本実施形態では、室外ユニット2の平面視における中心から見て、室外熱交換器23が存在しない面又は存在部分が最も小さい面が位置する方向を「前」としている。なお、
図2では、主として、室外ユニット2の内部の主要機器と室外制御部50を図示し、室外熱交換器23や他の配管等を省略している。また、
図3に、室外ユニット2における室外制御部50の配置等を示す概略外観斜視図を示す。
図3では、主として、室外制御部50、その周辺の第1冷却部分34および第2冷却部分38、室外熱交換器23、室外ファン26等を図示し、他の機器や配管等を省略している。
【0034】
室外ユニット2は、主として、室外機ケーシング11、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、室外膨張弁24、アキュムレータ25、液側閉鎖弁29、ガス側閉鎖弁28、冷却回路30、室外ファン26、室外制御部50等を有している。また、室外ユニット2には、図示しない各種のセンサが設けられている。
【0035】
本実施形態において、室外ユニット2は、室外機ケーシング11の左右の側面及び背面から空気を吸い込んで室外機ケーシング11の上端面から上方に向けて空気を吹き出す上吹き型の熱交換ユニットである。
【0036】
室外機ケーシング11は、室外ユニット2の構成要素を収容する熱源ケーシングであり、主として、主要部13と、主要部13の上に設けられるファンモジュール部12と、を有している。
【0037】
主要部13は、一対の据付脚18と、底フレーム15と、4本の支柱14と、前面パネル13aと、網部13b、13c、13dと、を有している。据付脚18は、前側に設けられたものと、後側に設けられたものを有しており、それぞれ左右方向に延びている。底フレーム15は、各据付脚18上に架け渡される。各支柱14は、底フレーム15の角部から鉛直方向に延びている。前面パネル13aは、前側の2本の支柱14の間に広がっている。網部13bは、左側の支柱14間において前後に広がるように設けられている。網部13cは、後側の支柱14間において左右に広がるように設けられている。網部13dは、右側の支柱14間において前後に広がるように設けられている。
【0038】
底フレーム15は、室外機ケーシング11の底面を形成しており、底フレーム15上には、室外熱交換器23が設けられている。ここで、室外熱交換器23は、室外機ケーシング11の背面および左右両側面に面する平面視略U字形状の熱交換器である。
【0039】
なお、上記各網部13b、13c、13dは、室外熱交換器23の外側表面に沿って広がるように設けられている。これらの各網部13b、13c、13dは、室外機ケーシング11における右側面、左側面、背面の3つの吸込口を実質的に形成している。
【0040】
前面パネル13aは、室外機ケーシング11の前面のうちの上部を構成する上前面パネル16と、室外機ケーシング11の前面のうちの下部を構成する下前面パネル17と、を有している。上前面パネル16は、室外制御部50のメンテナンス時等に取り外される。下前面パネル17は、室外制御部50の下端よりも下方に位置している圧縮機21のメンテナンス時等に取り外される。
【0041】
ファンモジュール部12は、各支柱14の上端に取り付けられる。ファンモジュール部12は、前側板12a、左側板12b、背側板12c、右側板12dを有する略直方体形状の箱体であり、上下方向に貫通している。ファンモジュール部12は、内部に室外ファン26が収容されることで、上方向に流れる空気流れの流路を形成している。
【0042】
圧縮機21は、例えば、圧縮機用モータ21aによって駆動される容積式圧縮機である。本実施形態では、2台の圧縮機21が互いに並列に接続されている。圧縮機用モータ21aは、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動される。圧縮機21は、圧縮機用モータ21aにおける駆動周波数を変えて回転数を変化させることで、運転容量が可変である。圧縮機21の吐出側は、四路切換弁22における複数の接続ポートのうちの1つに接続される。本実施形態において圧縮機21は、底フレーム15上に載置されている。
【0043】
アキュムレータ25は、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つとの間に設けられている冷媒容器である。本実施形態においてアキュムレータ25は、底フレーム15上に載置されている。
【0044】
室外熱交換器23は、例えば、複数の伝熱管と、複数のフィンと、により構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室外熱交換器23は、冷房運転時に冷媒の放熱器又は凝縮器として機能し、暖房運転時に冷媒の蒸発器として機能する。室外熱交換器23のガス側には、冷媒配管を介して、四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つが接続されている。室外熱交換器23の液側には、冷媒配管を介して、室外膨張弁24が接続されている。
【0045】
室外ファン26は、ファンモジュール部12内に収容されている。室外ファン26は、室外機ケーシング11の下部周囲から内部に室外空気を吸入することで、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、ファンモジュール部12の上端面に設けられた吹出口から上方に向けて排出する空気流れを形成する。この室外ファン26は、DCファンモータからなる室外ファンモータ26aによって駆動されるプロペラファン等であり、風量可変である。本実施形態において、室外ファンモータ26aは、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動する。
【0046】
室外膨張弁24は、冷媒回路10内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために弁開度を調節可能な電動膨張弁である。室外膨張弁24は、室外熱交換器23の液側出口と液側閉鎖弁29との間に設けられている。
【0047】
四路切換弁22は、複数の接続ポートを有している。四路切換弁22は、複数の接続ポートの接続状態を切り換えることで、冷媒回路10を冷房運転接続状態と暖房運転接続状態とに切り換える。冷房運転接続状態では、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23とが接続され、圧縮機21の吸入側とガス側閉鎖弁28とが接続される。暖房運転接続状態では、圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁28とが接続され、圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23とが接続される。
【0048】
液側閉鎖弁29は、液側冷媒連絡配管6との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁29は、室外膨張弁24の室外熱交換器23側とは反対側に対して冷媒配管を介して接続されている。ガス側閉鎖弁28は、ガス側冷媒連絡配管5との接続口に設けられた弁である。ガス側閉鎖弁28は、四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つに対して冷媒配管を介して接続されている。
【0049】
冷却回路30は、室外制御部50が有している後述する発熱部品等の電装品を冷却させるための回路であって、第1冷却回路31と、第2冷却回路35と、を有している。
【0050】
第1冷却回路31は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つとの間から分岐し、四路切換弁22の複数の接続ポートの1つとアキュムレータ25との間に合流するように冷媒を流す回路である。第1冷却回路31は、第1熱交換器32と、第1膨張弁33と、第1冷却部分34と、を有している。第1熱交換器32、第1膨張弁33、第1冷却部分34は、第1冷却回路31においてこの順に冷媒が流れるように設けられている。なお、本実施形態において、第1熱交換器32は、伝熱フィンを共有することにより、室外熱交換器23及び後述の第2熱交換器36と一体化されている。第1膨張弁33は、第1冷却回路31内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために弁開度を調節可能な電動膨張弁である。第1冷却部分34は、後述の第1熱伝達部材34aを介して室外制御部50の発熱部品等の電装品が収容されている空間を、室外制御部50の背面側から冷却するように設けられている。
【0051】
第2冷却回路35は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22の複数の接続ポートのうちの1つとの間から分岐し、四路切換弁22の複数の接続ポートの1つとアキュムレータ25との間に合流するように冷媒を流す回路である。第2冷却回路35は、第2熱交換器36と、第2冷却部分38と、第2膨張弁37と、を有している。第2熱交換器36、第2冷却部分38、第2膨張弁37は、第2冷却回路35においてこの順に冷媒が流れるように設けられている。なお、本実施形態において、第2熱交換器36は、伝熱フィンを共有することにより、室外熱交換器23及び第1熱交換器32と一体化されている。第2膨張弁37は、第2冷却回路35内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために弁開度を調節可能な電動膨張弁である。第2冷却部分38は、後述の第2熱伝達部材38aを介して、室外制御部50の発熱部品等の電装品に対して前側から熱的に接触し、冷却させるように設けられている。
【0052】
なお、詳細は後述するが、室外ユニット2の施工時または室外ユニット2の室外制御部50等のメンテナンスを行う際には、まず、
図6、
図7の側面視概略断面図に示すように、室外機ケーシング11における上前面パネル16を取り外した後、後述の電装品ケーシング50aにおける上前蓋51と下前蓋52を取り外して電装品メンテナンス開口50xを開ける。これにより、電装品メンテナンス開口50xに対して、
図7の矢印D1で示す方向からアクセスすることができ、室外制御部50における後述の第4基板64および第5基板65をメンテナンスすることが可能になる。
【0053】
次に、
図4に示すように、第2冷却回路35における第2冷却部分38を前側に移動させる。具体的には、第2冷却部分38の両端から延びる第1接続配管39a、第2接続配管39bをねじるように回転させることで、第2冷却部分38が前側に回し出された状態にする。これにより、
図5の概略外観斜視図および
図8、
図9の側面視概略断面図に示すように、室外制御部50のうち後述の取付板58および取付板58と一体化されている電装品を電装品メンテナンス開口50x側に回し出すことができる。これにより、室外制御部50における後述の第1基板61と第2基板62と第3基板63に対して、
図8において矢印D2で示す方向からアクセスすることで、第1基板61と第2基板62と第3基板63を上からメンテナンスすることが可能になる。
【0054】
室外制御部50は、室外機ケーシング11のうち、ファンモジュール部12の下方であって、前側寄りであって、上前面パネル16の背面側に対向するように設けられている。より具体的には、室外制御部50は、圧縮機21とアキュムレータ25よりも前側に位置しており、圧縮機21の上端よりも上方に配置されている。圧縮機21は、室外制御部50の下端よりも下方に設けられているため、圧縮機21のメンテナンス時には、室外機ケーシング11から下前面パネル17を取り外せば圧縮機21にアクセスすることが可能となっており、圧縮機21にアクセスする際に室外制御部50が邪魔になることがない。
図7に示すように、室外制御部50には、室外機ケーシング11の上前面パネル16を取ることで登場する熱源メンテナンス開口としての開口16aを介して、現地作業員がアクセスすることができる。なお、開口16aは、左前に位置する支柱14と、右前に位置する支柱14と、ファンモジュール部12の前側板12aの下縁と、下前面パネル17の上縁と、によって縁取られており、前後方向に開口している。室外制御部50は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する。室外制御部50は、室外ユニット2の制御を行うために設けられており、ROMやRAM等のメモリと、CPU等のプロセッサ等を備えたマイクロコンピュータを有しており、圧縮機用モータ21a、室外ファンモータ26a、室外膨張弁24、四路切換弁22、第1膨張弁33、第2膨張弁37等の状態を制御する。室外制御部50は、各室内ユニット4の室内制御部46やリモコン3との間で伝送線7aを介して制御信号等のやりとりを行うこと可能である。以上の各室内制御部46と室外制御部50とリモコン3とは、伝送線7aによって互いに接続されることで、冷凍サイクル装置1全体の運転制御を行う制御部7を構成している。
【0055】
制御部7は、図示しない各種センサの検出信号を受けることができるように接続されるとともに、これらの検出信号等に基づいて各種機器の制御を行う。なお、制御部7は、上述の各種制御を実行するCPU等のプロセッサと、各種制御の実行等に用いられる情報が格納されたROMやRAM等のメモリ等を有している。
【0056】
(1-3)冷媒連絡配管
液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5は、冷凍サイクル装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管である。
【0057】
なお、複数の室内ユニット4を有する本実施形態の冷凍サイクル装置1では、液側冷媒連絡配管6は各室内ユニットに対応するようにして分岐した部分を有しており、ガス側冷媒連絡配管5は各室内ユニットに対応するようにして分岐した部分を有している。
【0058】
(2)冷媒回路における冷凍サイクル
冷凍サイクル装置1の冷媒回路10では、四路切換弁22の接続状態を切り換えることで、主として、冷房運転と暖房運転を行う。ここでは、冷媒回路10のうち冷却回路30以外の部分についての運転について説明する。
【0059】
(2-1)冷房運転
冷房運転は、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23側に、圧縮機21の吸入側が各室内熱交換器41側となるように、四路切換弁22の接続状態が切り換えられた状態で行われる。
【0060】
圧縮機21は、例えば、各室内ユニット4における冷房負荷を処理するように周波数が制御される。これにより、圧縮機21に吸入された低圧圧力の冷媒は、圧縮機21から吐出されて高圧圧力の冷媒となり、四路切換弁22を経て室外熱交換器23に流入する。
【0061】
室外熱交換器23に流入した冷媒は、冷媒の熱を放熱し、凝縮する。室外熱交換器23を流出した冷媒は、冷房運転時において制御部7によって全開状態に制御された室外膨張弁24を通過する。
【0062】
室外膨張弁24を通過した冷媒は、液側閉鎖弁29を通過して、液側冷媒連絡配管6に送られる。
【0063】
液側冷媒連絡配管6を流れる冷媒は、分岐した後に、各室内ユニット4に送られる。
【0064】
各室内ユニット4に流入した冷媒は、室内膨張弁44において冷凍サイクルの低圧圧力となるまで減圧される。なお、室内膨張弁44の弁開度は、制御部7によって、例えば、室内熱交換器41の出口側の冷媒の過熱度が所定の目標過熱度となるように制御される。
【0065】
各室内ユニット4の各室内膨張弁44で減圧された冷媒は、各室内熱交換器41において蒸発する。各室内熱交換器41において蒸発した冷媒は、合流してガス側冷媒連絡配管5を流れる。
【0066】
ガス側冷媒連絡配管5を流れた冷媒は、室外ユニット2のガス側閉鎖弁28、四路切換弁22、アキュムレータ25を介して圧縮機21に再び吸入される。
【0067】
(2-2)暖房運転
暖房運転は、圧縮機21の吐出側が各室内熱交換器41側に、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23側となるように、四路切換弁22の接続状態が切り換えられた状態で行われる。
【0068】
圧縮機21は、例えば、各室内ユニットにおける暖房負荷を処理できるように周波数が制御される。これにより、圧縮機21から吐出された高圧圧力の冷媒は、四路切換弁22、ガス側冷媒連絡配管5を介して各室内ユニット4に向けて流れる。
【0069】
ここで、ガス側冷媒連絡配管5を通過した冷媒は、分岐して、各室内ユニット4に流入する。
【0070】
各室内ユニット4に流入した冷媒は、各室内熱交換器41において放熱し、凝縮する。なお、各室内膨張弁44の弁開度は、暖房運転時は、例えば、室内熱交換器41の出口を流れる冷媒の過冷却度が所定の値となるように制御される。
【0071】
このようにして、各室内熱交換器41において凝縮し、各室内膨張弁44を通過した冷媒は、合流して液側冷媒連絡配管6を流れる。
【0072】
液側冷媒連絡配管6を流れた冷媒は、液側閉鎖弁29を通じて室外ユニット2に供給される。液側閉鎖弁29を通過した冷媒は、室外膨張弁24において冷凍サイクルの低圧圧力まで減圧される。具体的には、例えば、圧縮機21の吸入側を流れる冷媒の過熱度が目標過熱度となるように、室外膨張弁24の弁開度が制御される。
【0073】
室外熱交換器23に送られた冷媒は、蒸発し、四路切換弁22、アキュムレータ25を介して圧縮機21に再び吸入される。
【0074】
(3)冷却回路における冷媒流れ
ここでは、冷媒回路10のうち冷却回路30における運転について説明する。
【0075】
冷却回路30の第1冷却回路31および第2冷却回路35には、冷房運転時および暖房運転時のいずれにおいても冷媒を流すことができる。冷房運転時および暖房運転時のいずれにおいても、より具体的には圧縮機21が駆動している際は常時、第1冷却回路31および第2冷却回路35に冷媒を流すように、室外制御部50が第1膨張弁33および第2膨張弁37の弁開度を制御するようにしてもよい。
【0076】
ここで、第1冷却回路31の第1冷却部分34には、圧縮機21から吐出され、第1熱交換器32で放熱した後に、第1膨張弁33で減圧された冷媒が導かれる。第1冷却部分34を流れる冷媒は、室外制御部50の発熱部品からの熱を受けて少なくとも一部が蒸発し、アキュムレータ25に向けて流れる。
【0077】
また、第2冷却回路35の第2冷却部分38には、圧縮機21から吐出され、第2熱交換器36で放熱した後の冷媒が導かれる。第2冷却部分38を流れる冷媒は、室外制御部50の発熱部品からの熱を受けて少なくとも一部が蒸発し、第2膨張弁37を通過する際に減圧され、アキュムレータ25に向けて流れる。このため、第1冷却部分34を流れる冷媒の温度と、第2冷却部分38を流れる冷媒の温度と、は異なっており、第1冷却部分34を流れる冷媒の温度の方が低い。
【0078】
(4)室外制御部の詳細構成
図9に、室外制御部50の内部の平面視概略構成図を示す。
図10に、室外制御部50の内部の前面側部分について正面視概略構成図を示す。
図11に、室外制御部50の内部の背面側部分についての背面視概略構成図を示す。
図12に、室外制御部50の内部の右側面視概略構成図を示す。
【0079】
室外制御部50は、電装品ケーシング50aと、蓋用シール材50bと、上前蓋51と、下前蓋52と、取付板58と、仕切板59と、第1基板61と、第2基板62と、第3基板63と、第4基板64と、第5基板65と、を有している。
【0080】
電装品ケーシング50aは、背面57と、天面55と、下面56と、右側面54と、左側面53と、を有している。背面57、天面55、下面56、右側面54、左側面53、は、金属製である。背面57、天面55、下面56、右側面54、および、左側面53は、シーミング加工により隙間が生じないように連結することで一体的に構成されている。
【0081】
電装品ケーシング50aは、前端部において前後方向に開口した電装品メンテナンス開口50xを有している。電装品メンテナンス開口50xの縁は、背面57、天面55、下面56、右側面54、左側面53の各前側縁部により構成される。電装品ケーシング50aの電装品メンテナンス開口50xは、上方部分が上前蓋51によって、下方部分が下前蓋52によってカバーされる。上前蓋51および下前蓋52は、いずれも前面視略矩形の板金であり、上前蓋51は、下前蓋52の上に位置している。なお、上前蓋51は、板厚方向に貫通した点検口51aを有している。この点検口51aは、点検蓋51bによって開閉可能に塞がれる。上前蓋51と下前蓋52が電装品ケーシング50aに取り付けられた状態では、背面57、天面55、下面56、右側面54、左側面53、上前蓋51、および、下前蓋52によって略箱状体が形成される。
【0082】
取付板58は、電装品ケーシング50aの内部を、前側と後側に仕切るように上下左右に広がっている。取付板58は、正面視において矩形の板状部材であり、背面側を向いた第1平面58xと、前側を向いた第2平面58yと、を有している。なお、取付板58の第2面58yは、電装品ケーシング50aの電装品メンテナンス開口50xと対向している。取付板58は、金属製であり、強度を高めるために周囲をフランジ立ち上げ加工している。取付板58は、電装品ケーシング50aの内部における前後方向の中心近傍に設けられている。取付板58には、第1基板61と、第2基板62と、第3基板63と、第4基板64と、第5基板65が取り付けられている。仕切板59は、電装品ケーシング50aの内部の取付板58よりも前側の空間を上下に仕切るように水平に広がっている。仕切板59は、金属製である。仕切板59は、電装品ケーシング50aの内部における上下方向の中心近傍に設けられている。これにより、電装品ケーシング50a内部は、取付板58に対して背面側である第1空間S1と、取付板58に対して前面側であって仕切板59よりも上方の第2空間S2と、取付板58に対して前面側であって仕切板59よりも下方の第3空間S3と、に仕切られている。なお、取付板58の第2平面58yの左右方向中央近傍の上端には、前側に向けて延びた取手58zが設けられている。この取手58zを手前側に引くことで、取付板58を前側に向けて旋回させることができる。
【0083】
なお、仕切板59は、第2空間S2と第3空間S3とを連通させるように上下方向に貫通した第1開口59aを有している。また、取付板58は、第1空間S1と第2空間S2とを連通させるように前後方向に貫通した第2開口58aを有している。なお、取付板58には、第1空間S1と第3空間S3とを直接連通させる開口は設けられていない。仕切板59の第1開口59aには、
図13に示す配線用シール材90が取り付けられる。
【0084】
電装品ケーシング50aの下面56は、取付板58よりも後側において、第1空間S1と電装品ケーシング50aの下側の外部空間とを連通する開口56bを有している。開口56bは、後述する第3基板63に設けられたIPMから延びる電気配線63bが通過する。下面56の開口56bには、
図13に示す配線用シール材90が取り付けられる。なお、配線用シール材90としては、任意の弾性部材を用いることができるが、本実施形態ではゴムブッシュが用いられている。
【0085】
なお、電装品ケーシング50aの下面56は、取付板58よりも前側であって、左端部近傍において、可動面56mを有している。この可動面56mは、第2冷却回路35のうちの第2冷却部分38の各端部に接続された後述の第1接続配管39aおよび第2接続配管39bを上下方向に貫通させるための開口が形成されている。可動面56mは、第1接続配管39aおよび第2接続配管39bと共に、前側に向けてスライド移動することで、下面56から分離させることが可能である。
【0086】
配線用シール材90は、仕切部91と、第1円筒部92と、第2円筒部93と、連通部94と、を有しており、ゴム等の柔軟性のある素材で構成されている。仕切部91は、略矩形の板状を有している。第1円筒部92は、仕切部91の平面部分から延び出すように設けられた円筒形状部分である。第2円筒部93は、仕切部91の平面部分から、第1円筒部92側とは反対側に延び出すように設けられた円筒形状部分である。連通部94は、仕切部91のうち、第1円筒部92の内側と第2円筒部93の内側とを繋ぐ位置に設けられており、仕切部91の板厚方向に貫通するように放射状に設けられた複数の切り込みを有している。この配線用シール材90は、第1円筒部92と第2円筒部93のいずれかを第1開口59aの内側に嵌めることにより、仕切板59に取り付けられる。
【0087】
なお、取付板58の第2開口58aにおいても、同様に、
図13に示す配線用シール材90が取り付けられる。配線用シール材90は、第1円筒部92と第2円筒部93のいずれかを第2開口58aの内側に嵌めることにより、取付板58に取り付けられる。
【0088】
上前蓋51は、電装品ケーシング50aの天面55、右側面54、左側面53の前側縁部と、仕切板59の前側縁部と、に対して嵌め込まれる。なお、天面55、下面56、右側面54、左側面53、仕切板59は、各前側縁部を縁取るように蓋用シール材50bが設けられている。蓋用シール材50bは、例えば、各前側縁部に沿うように設けられたゴム等により形成されたパッキンであってよい。当該パッキンとしては、縁部を挟み込むU字パッキンであることが好ましい。
【0089】
下前蓋52は、電装品ケーシング50aの下面56、右側面54、左側面53の前側縁部と、仕切板59の前側縁部と、に対して嵌め込まれる。下前蓋52についても同様に、上述の蓋用シール材50bが設けられていることにより、下前蓋52が取り付けられた状態では、下前蓋52と、下面56、右側面54、左側面53、仕切板59の前側縁部との間の隙間が埋められ、第3空間S3の密閉性を高めることが可能になっている。
【0090】
なお、電装品ケーシング50aの外周を構成する面のうち、背面57が最も広い面である。背面57の左右方向の長さは、左側面53の前後方向の長さよりも長く、右側面54の前後方向の長さよりも長い。このため、第1冷却回路31の第1冷却部分34は、電装品ケーシング50aの背面57に対して熱的に接触する箇所を、左右方向に十分に長く確保することが可能になっている。
【0091】
図15に、室外制御部50の側面視簡易断面図を示す。ここでは、電装品ケーシング50aに対して取付板58が固定されている状態について、各基板や電装品を省略して簡潔に示している。
【0092】
電装品ケーシング50aの天面55には、前後方向の中心近傍において左右に延びるように設けられており、下方に突出した凸部55xが形成されている。天面55の下側の面には、凸部55xよりも背面側において固定部材55yが溶接固定されている。固定部材55yは、溶接固定された箇所から下方に延びた後、凸部55xよりも前まで前方向に延び、その後、さらに下方に延びるように構成されている。
【0093】
電装品ケーシング50aの下面56には、前後方向の中心近傍において左右に延びるように設けられており、上方に突出した凸部56xが形成されている。下面56の上側の面には、凸部56xよりも背面側において固定部材56yが溶接固定されている。固定部材56yは、溶接固定された箇所から前側上方に向けて凸部56xよりも上まで延びた後、凸部56xよりも前まで前方向に延び、その後、さらに下方に延びるように構成されている。この固定部材56yは、電装品ケーシング50aの下面56を構成している板金部分よりも板厚が厚いか、または、強度が高い材料により構成されている。
【0094】
取付板58は、上端から背面側に延びた上面部58uと、下端から背面側に延びた下面部58dと、を有している。
上面部58uは、通常時は、電装品ケーシング50aの天面55の凸部55xと同じ高さ位置に位置する。上面部58uには、上面部58uと電装品ケーシング50aの天面55との間の隙間を埋めるためのシール材58sが設けられている。具体的には、シール材58sは、取付板58の上面部58uの後ろ側端部と、電装品ケーシング50aの天面55の凸部55xの前側部分と、の間に介在する。本実施形態では、シール材58sは、U字パッキンである。取付板58の上方部分と、電装品ケーシング50aの天面55に固定されている固定部材55yの前側端部とは、前後方向に重なった部分を有しており、互いに螺旋55sによって固定される。螺旋55sによって固定された状態では、取付板58の上面部58uは、後ろ側に付勢され、シール材58sを介して天面55の凸部55xに押しつけられる。下面部58dは、通常時は、電装品ケーシング50aの下面56の凸部56xと同じ高さ位置に位置する。下面部58dには、下面部58dと電装品ケーシング50aの下面56との間の隙間を埋めるためのシール材58tが設けられている。具体的には、シール材58tは、取付板58の下面部58dの後ろ側端部と、電装品ケーシング50aの下面56の凸部56xの前側部分と、の間に介在する。本実施形態では、シール材58tは、U字パッキンである。取付板58の下方部分と、電装品ケーシング50aの下面56に固定されている固定部材56yの前側端部とは、前後方向に重なった部分を有しており、互いに螺旋56sによって固定される。螺旋56sによって固定された状態では、取付板58の下面部58dは、後ろ側に付勢され、シール材58tを介して下面56の凸部56xに押しつけられる。
【0095】
第1基板61、第2基板62、第3基板63、第4基板64、および、第5基板65は、いずれも、上下左右に広がった板状部材であり、正面視において略矩形状を有しており、取付板58に対して固定されている。具体的には、第1基板61は、本実施形態では2つ設けられており、第1空間S1の上方において左右に分かれて位置しており、取付板58の第1平面58x上に面平行となるように設けられている。第3基板63は、本実施形態では2つ設けられており、第1空間S1の下方において左右に分かれて位置しており、取付板58の第1平面58x上に面平行となるように設けられている。第2基板62は、第1空間S1の左右方向中心の下方において、2つの第3基板63の間に位置しており、取付板58の第1平面58x上に面平行となるように設けられている。第4基板64は、第2空間S2の右側上方に位置しており、取付板58の第2平面58y上に面平行となるように設けられている。第5基板65は、第2空間S2の左側上方に位置しており、取付板58の第2平面58y上に面平行となるように設けられている。
【0096】
第1基板61には、電装品であり、発熱部品であるノイズフィルタ61aが設けられている。第2基板62には、室外ファン26に用いられる電装品であり、発熱部品であるIPM(Intelligent Power Module)62aが設けられている。第3基板63には、圧縮機21のインバータ用の電装品であり、発熱部品であるIPM(Intelligent Power Module)63aが設けられている。なお、ノイズフィルタ61a、IPM62a、IPM63aは、いずれも第1空間S1に収容されているが、電装品ケーシング50aの背面57からは前側に離れて位置している。これにより、第1空間S1の背面57が第1冷却部分34によって冷却されることで背面57に結露が生じることがあっても、結露水がノイズフィルタ61a、IPM62a、IPM63aに至ることが抑制される。なお、第1基板61、第2基板62、第3基板63は、いずれも、室外ユニット2を施工する際に現地作業員による設定等の作業は発生せず、室外ユニット2が工場から出荷された状態のままで用いられる。
【0097】
第4基板64には、補助制御基板であり、各種電装品64aが設けられている。第5基板65は、主制御基板であり、各種電装品65aが設けられている。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、ユーザの希望等により任意に選択可能または追加可能なオプション機能を有している。オプション機能としては、特に限定されないが、オンデマンド制御等が挙げられる。当該オプション機能は、室外制御部50における第2空間S2に配置された第4基板64と第5基板65において設定可能である。オプション機能の室外制御部50における設定は、室外ユニット2の施工時において、現地作業員が、第4基板64および第5基板65にアクセスし、これらについて手動で操作することで行われる。具体的には、第4基板64と第5基板65には、それぞれ設定を行うためのスイッチ等が設けられている。電装品65aを有する第5基板65および電装品64aを有する第4基板64へのアクセスは、上前蓋51を取り外してアクセスすることができる。なお、第2空間S2を前側から覆う上前蓋51には、上述の通り、点検蓋51bで塞がっている点検口51aが設けられている。このため、第5基板65については、上前蓋51の全体を取り外すこと無く、点検蓋51bを取り外すだけで、点検口51aを介して施工時やメンテナンス等の作業を行うことも可能である。
【0098】
なお、第1基板61からは、電気配線61bが延び出している。第2基板62からは、電気配線62bが延び出している。第3基板63からは、電気配線63bが延び出している。第4基板64からは、電気配線64bが延び出している。第5基板65からは、電気配線65bが延び出している。なお、これらの電気配線61b、62b、63b、64b、65bは、
図10、
図11においてのみ図示している。電気配線61b、62b、64b、65bは、第3空間S3の右下方に設けられた端子台69の接続端子に接続される。電気配線63bは、第1空間S1の下方の下面56に取り付けられた配線用シール材90の連通部94を通ることで開口56bを通過した後、圧縮機21に接続される。
【0099】
ここで、第2空間S2に設けられた第4基板64から延びる電気配線64bと、第5基板65から延びる電気配線65bは、仕切板59の中央近傍において上下に貫通するように設けられた第1開口59aを介して第3空間S3に引き込まれて、端子台69の接続端子に接続される。より具体的には、電気配線64bと電気配線65bは、仕切板59に取り付けられた配線用シール材90の連通部94を通ることで、第1開口59aを通過している。
【0100】
また、第1空間S1に設けられた第1基板61から延びる電気配線61bと、第2基板62から延びる電気配線62bは、取付板58の中央近傍において前後に貫通するように設けられた第2開口58aを介して第2空間S2に引き込まれた後、仕切板59に設けられた第1開口59aを介して第3空間S3に引き込まれて、端子台69の接続端子に接続される。より具体的には、電気配線61bと電気配線62bは、取付板58に取り付けられた配線用シール材90の連通部94を通ることで第2開口58aを通過した後、仕切板59に取り付けられた配線用シール材90の連通部94を通ることで第1開口59aを通過している。
【0101】
なお、端子台69の接続端子には、圧縮機21以外の接続対象となる各制御機器や各センサ等から延びた電気配線95が接続される。電装品ケーシング50aの下面56のうち第3空間S3の端子台69の下方に位置する部分には、圧縮機21以外の他の機器から延びた電気配線95を通すための開口56aが設けられている。本実施形態では、下面56のうち第1空間S1の下方に位置する開口56bを通過する電気配線63bについては室外ユニット2の工場出荷時に既に圧縮機21と接続済みであるが、他の機器から延びた電気配線95と端子台69の接続端子とは、室外ユニット2の工場出荷時は接続されておらず、施工時に現地作業員によって接続される。具体的には、作業員は、下前蓋52を取り外すことで第3空間S3を解放させ、圧縮機21以外の機器から延びた電気配線95を、下面56の開口56aを通して、端子台69の接続端子に接続し、下前蓋52により第3空間S3を封止する。
【0102】
(5)第1冷却部分34による冷却
室外制御部50の第1空間S1は、第1冷却回路31の第1冷却部分34によって冷却される。具体的には、第1冷却回路31の第1冷却部分34は、電装品ケーシング50aの背面側上端近傍において、電装品ケーシング50aの背面側から複数の第1熱伝達部材34aを介して熱的に接触するように設けられている。第1熱伝達部材34aは、電装品ケーシング50aの背面57に平行に広がった平面を有しており、当該平面が背面57に面接触するようにして用いられる。第1冷却部分34は、電装品ケーシング50aの背面において左側端部から右側端部へ延びた後、U字形状部分を介して折り返し、左側端部へと延びており、往きと返りで上下に並ぶように設けられている。
【0103】
このように、室外制御部50の第1空間S1では、背面側上方の空間が第1冷却回路31の第1冷却部分34によって冷やされることで、第1空間S1において、
図12中に点線で示すような自然対流を生じさせることが可能になり、第1空間S1の冷却効率を高めることができる。具体的には、第1空間S1の背面側上方で生じた冷気は、背面側において下降した後、発熱部品であるIPM62aおよびIPM63aを冷却することで暖められ、前側において上昇気流となって上昇し、発熱部品であるノイズフィルタ61aについても冷却し、循環する。本実施形態では、IPM62aやIPM63aの方がノイズフィルタ61aよりも発熱度合いが高いため、IPM62aやIPM63aを優先的に冷却することが可能になっている。
【0104】
複数の第1熱伝達部材34aは、以下に述べる固定部70とスペーサ72を用いて、電装品ケーシング50aの背面57に向けて押し付けられた状態で固定されている。
【0105】
固定部70は、背面側固定部材71と、左側固定部材73と、右側固定部材74と、左側被固定部材75と、右側被固定部材76と、螺子77と、螺子78とを有している。
【0106】
背面側固定部材71は、電装品ケーシング50aの背面57の上端部近傍において、第1冷却部分34の長手方向である左右方向に沿って延びた棒状部材である。背面側固定部材71の右端部は、電装品ケーシング50aの右側面54よりもさらに右側に位置している。背面側固定部材71の左端部は、電装品ケーシング50aの左側面53よりもさらに左側に位置している。
【0107】
左側固定部材73は、電装品ケーシング50aの左側面53の上端部近傍において、前後方向に沿って延びた棒状部材である。左側固定部材73の後端部は、背面側固定部材71の左端部と連結されている。左側被固定部材75は、電装品ケーシング50aの左側面53の外側に対してロウ付けまたは螺子等により固定されている。左側被固定部材75は、電装品ケーシング50aの前後方向の中心よりも前側において、左側面53からさらに左側に突出した被固定部分を有している。螺子77は、左側固定部材73の前側端部と、左側被固定部材75のうちの被固定部分と、を締結する。具体的には、左側固定部材73の前側端部に対して、左側被固定部材75の被固定部分を前側から接するように配置させた状態で、左側被固定部材75の被固定部分の前側から後方に向けて螺子77をねじ込むようにして両者を締結する。左側固定部材73は、螺子77によって左側被固定部材75と連結することにより、前側に引っ張られた状態となる。これにより、左側固定部材73と連結されている背面側固定部材71の左側端部が前側に向けて付勢される。
【0108】
右側固定部材74は、電装品ケーシング50aの右側面54の上端部近傍において、前後方向に沿って延びた棒状部材である。右側固定部材74の後端部は、背面側固定部材71の右端部と連結されている。右側被固定部材76は、電装品ケーシング50aの右側面54の外側に対してロウ付けまたは螺子等により固定されている。右側被固定部材76は、電装品ケーシング50aの前後方向の中心よりも前側において、右側面54からさらに右側に突出した被固定部分を有している。螺子78は、右側固定部材74の前側端部と、右側被固定部材76のうちの被固定部分と、を締結する。具体的には、右側固定部材74の前側端部に対して、右側被固定部材76の被固定部分を前側から接するように配置させた状態で、右側被固定部材76の被固定部分の前側から後方に向けて螺子78をねじ込むようにして両者を締結する。右側固定部材74は、螺子78によって右側被固定部材76と連結することにより、前側に引っ張られた状態となる。これにより、右側固定部材74と連結されている背面側固定部材71の左側端部が前側に向けて付勢される。
【0109】
なお、スペーサ72は、複数の第1熱伝達部材34aの背面側に接するように設けられており、第1冷却部分34の長手方向である左右方向に沿って延びた棒状部材である。このスペーサ72の背面側には、背面側固定部材71が接している。スペーサ72の左端部は背面側固定部材71の左端部よりも右側に位置し、スペーサ72の右端部は背面側固定部材71の右端部よりも左側に位置している。スペーサ72の下方には、第1冷却部分34のうちU字形状の部分の下端部分から左に伸びた部分が位置しており、スペーサ72の上方には、第1冷却部分34のうちU字形状の部分の上端部分から左に伸びた部分が位置している。スペーサ72の右側端部よりもさらに右側には、第1冷却部分34のU字形状の部分が位置している。これにより、背面側固定部材71が前側に付勢された状態でも、背面側固定部材71が第1冷却部分34のU字形状の部分を押しつぶすことがない。
【0110】
なお、第1冷却回路31の第1冷却部分34は、上面視において、電装品ケーシング50aの背面57と、背面側固定部材71と、の間に位置している。これにより、前側から、背面57、第1冷却部分34、背面側固定部材71の順に並んでいる。
【0111】
以上の配置構成により、左側固定部材73と右側固定部材74とが前側に付勢されることで、背面側固定部材71はスペーサ72を介して複数の第1熱伝達部材34aを電装品ケーシング50aの背面57に押し付けることができる。第1冷却回路31の第1冷却部分34が固定されている複数の第1熱伝達部材34aは、電装品ケーシング50aの背面57に対する良好な接触状態を維持している。これにより、第1冷却回路31の第1冷却部分34は、電装品ケーシング50aの背面57に対して熱的に接触することができる。
【0112】
(6)第2冷却部分38による冷却
室外制御部50の取付板58のうち第3空間S3に面する部分の上方近傍には、第2冷却回路35の第2冷却部分38が、複数の第2熱伝達部材38aを介して熱的に接触するように設けられている。第2熱伝達部材38aは、取付板58に平行に広がった平面を有しており、当該平面が取付板58に面接触するようにして用いられる。
【0113】
第2冷却部分38の各端部に接続された第1接続配管39aおよび第2接続配管39bは、電装品ケーシング50aの下面56のうち第3空間S3の左下に位置する部分に設けられた可動面56mの開口を上下方向に通過している。これにより、第2冷却回路35が第3空間S3内に引き込まれ、第2冷却部分38が第3空間S3内に位置している。第3空間S3内では、第2冷却部分38は、第1接続配管39aの端部と接続された箇所から右側端部へ延びた後、U字形状部分を介して折り返し、第2接続配管39bの端部と接続された箇所に至るまで左側に戻るように延びている。第2接続配管39bと第2冷却部分38との接続部分は、第1接続配管39aと第2冷却部分38との接続部分の上に並ぶように設けられている。
【0114】
このように、室外制御部50の取付板58のうち第3空間S3に面する部分の上方近傍部分が第2冷却回路35の第2冷却部分38によって冷やされることで、取付板58のうち第3空間S3側とは反対側を向いた第1平面58xが面する第1空間S1に設けられた発熱部品であるIPM62aおよびIPM63aを冷却することが可能になる。
【0115】
なお、各第2熱伝達部材38aは、前後方向に延びた螺子38bによって、取付板58の前側から固定されている。
【0116】
(7)第2冷却部分38の詳細
第2冷却回路35は、第2冷却部分38の下側の一端から延びた第1接続配管39aと、第2冷却部分38の上側の他端から延びた第2接続配管39bと、を有している。
【0117】
第1接続配管39aは、第1湾曲部81a、第1直線部81b、第2湾曲部81c、第2直線部82、第3湾曲部83a、第3直線部83b、第4湾曲部83c、第5湾曲部84a、第4直線部84b、第6湾曲部84cの各配管部分を有している。これら第1湾曲部81a、第1直線部81b、第2湾曲部81c、第2直線部82、第3湾曲部83a、第3直線部83b、第4湾曲部83c、第5湾曲部84a、第4直線部84b、第6湾曲部84cは、第2冷却部分38の下側の一端から、この順となるように互いに繋がっている。なお、第1直線部81b、第3直線部83b、第4直線部84bは、いずれも上下方向に延びている。本実施形態では、第4直線部84bは、第1直線部81bよりも長く、第3直線部83bよりも長い。第2直線部82は、左右方向に延びている。第1湾曲部81a、第2湾曲部81c、第3湾曲部83a、第4湾曲部83c、第5湾曲部84a、第6湾曲部84cは、いずれも90度の湾曲形状を有している。
【0118】
第2接続配管39bは、第7湾曲部85a、第5直線部85b、第8湾曲部85c、第6直線部86、第9湾曲部87a、第7直線部87b、第10湾曲部87c、第8直線部88、第11湾曲部89a、第9直線部89b、第12湾曲部89cの各配管部分を有している。これら第7湾曲部85a、第5直線部85b、第8湾曲部85c、第6直線部86、第9湾曲部87a、第7直線部87b、第10湾曲部87c、第8直線部88、第11湾曲部89a、第9直線部89b、第12湾曲部89cは、第2冷却部分38の上側の他端から、この順となるように互いに繋がっている。なお、第5直線部85b、第7直線部87b、第9直線部89b、いずれも上下方向に延びている。本実施形態では、第9直線部89bは、第5直線部85bよりも長く、第7直線部87bよりも長い。第6直線部86、第8直線部88は、左右方向に延びている。第7湾曲部85a、第8湾曲部85c、第9湾曲部87a、第10湾曲部87c、第11湾曲部89a、第12湾曲部89cは、いずれも90度の湾曲形状を有している。
【0119】
以上の構成により、第1接続配管39aは、第2冷却部分38の下側の端部から、第1湾曲部81aにおいて下方に曲がり、第1直線部81bにおいて下方に延びることで可動面56mを上下方向に貫通して、電装品ケーシング50aの外側下方に伸び出している。そして、第1接続配管39aは、第2湾曲部81cにおいて左側に曲がり、第2直線部82において左側に延びた後、第3湾曲部83aにおいて上方に曲がっている。さらに、第1接続配管39aは、第3直線部83bにおいて上方に延びた後、第4湾曲部83cにおいて左側に曲がり、第5湾曲部84aにおいて下方に曲がった後、第4直線部84bにおいて下方に延びて、第6湾曲部84cにおいて右側に曲がっている。
【0120】
また、第2接続配管39bは、第2冷却部分38の上側の端部から、第7湾曲部85aにおいて下方に曲がり、第5直線部85bにおいて下方に延びることで可動面56mを上下方向に貫通して、電装品ケーシング50aの外側下方に伸び出している。そして、第2接続配管39bは、第8湾曲部85cにおいて左側に曲がり、第6直線部86において左側に延びた後、第9湾曲部87aにおいて上方に曲がっている。さらに、第2接続配管39bは、第7直線部87bにおいて上方に延びた後、第10湾曲部87cにおいて左側に曲がっている。そして、第2接続配管39bは、第8直線部88において左側に延びた後、第11湾曲部89aにおいて下方に曲がり、第9直線部89bにおいて下方に延びた後、第12湾曲部89cにおいて右側に曲がっている。
【0121】
ここで、第1接続配管39aと第2接続配管39bとは、互いに沿うようにして延びており、第2冷却回路35を回転させる際の回転軸となる方向に略平行に延びる部分が十分に長く確保されている。
【0122】
(8)室外制御部50のメンテナンス等
室外制御部50は、上述のように、取付板58の第1平面58xに取り付けられている第1基板61と第2基板62と第3基板63、および、取付板58の第2平面58yに取り付けられている第4基板64と第5基板65について、冷凍サイクル装置1の室外ユニット2の施工後に各種メンテナンスが行われる。
【0123】
室外制御部50において、取付板58の第2平面58yに取り付けられている第4基板64および第5基板65のメンテナンスは、
図6、
図7の側面視概略断面図に示すように、室外機ケーシング11における上前面パネル16を取り外した後、電装品ケーシング50aの上前蓋51と下前蓋52を取り外すことで電装品メンテナンス開口50xを解放させ、
図7の矢印D1で示す方向からアクセスすることにより行う。このようにして、第4基板64と第5基板65について、施工後の取り換えや設定等のメンテナンスが可能になる。なお、第4基板64と第5基板65については、施工時においても、電装品メンテナンス開口50xを解放させ、
図7の矢印D1で示す方向からアクセスできる状態とすることで、各種設定が行われる。
【0124】
次に、室外制御部50において、取付板58の第1平面58xに取り付けられている第1基板61と第2基板62と第3基板63のメンテナンスは、
図8、
図14、
図16、
図17に示すように、第2冷却回路35を前側に回し出した状態にした後、取付板58を電装品ケーシング50aに対して前側に90度回し倒す。これにより、取付板58の第1平面58xが鉛直上方を向いた状態にすることができ、作業員は、第1基板61と第2基板62と第3基板63を上から見下ろすようにして作業することが可能になる。また、取付板58の第1平面58xが水平に広がった状態となるため、作業に必要な部品を取付板58の第1平面58x上に置いた状態で取付板58を作業台として使うことでき、作業性が向上する。このようにして、第1基板61と第2基板62と第3基板63について、施工後の取り換えや設定等のメンテナンスが可能になる。また、単に、取付板58を電装品ケーシング50aに対して前に回転させるだけであるため、室外制御部50と制御機器を接続する電気配線については、取り外すことなく作業を行うことが可能となっている。また、取付板58が電装品ケーシング50aに対して前に回し倒された状態では、取付板58は平面視において室外機ケーシング11の開口16aと重なる位置となるが、取付板58は、正面視において室外機ケーシング11の開口16aの内側に位置しており、開口16aの縁に接触しない。これにより、室外機ケーシング11の開口16aの縁に、複数の電装品等を備えて重量物となっている取付板58の重みが掛かることを避けることが可能になっている。
【0125】
具体的には、第2冷却回路35は、
図14に示すように、左側部分において上下に延びる部分を略回転軸として前側に旋回させることにより、移動させることができる。ここで、第2冷却回路35を旋回移動させる際には、室外機ケーシング11の上前面パネル16を取り外し、室外制御部50の上前蓋51と下前蓋52を取り外して電装品メンテナンス開口50xを開いた状態にする。そして、次に、作業員は、各螺子38bを取り外すことで、各第2熱伝達部材38aを取付板58から外す。この状態で、作業員は、第1接続配管39aの第4直線部84bと、第2接続配管39bの第9直線部89bと、をそれぞれ回転軸としてねじるように、または、第4直線部84bと第9直線部89bの間を回転軸としてねじるようにして、第2冷却回路35を90度回転させる。これにより、電装品ケーシング50aの下面56のうちの可動面56mと第1接続配管39aと第2接続配管39bとを一体として、第2冷却回路35の第2冷却部分38を前側に旋回移動させる。
【0126】
これにより、取付板58は、
図16に示すように、取付板58の下端部分と電装品ケーシング50aの下面56とが接触する部分またはその周辺を略回転軸として、取付板58を前側に倒すようにして回し出すことができる。なお、前側に回し出された取付板58は、
図17に示すように、水平な状態となって、電装品ケーシング50aに支持される。具体的には、取付板58の第2平面58yは、電装品ケーシング50aの下面56のうち凸部56xよりも前側の部分が下から面接触した状態となって支持される。さらに、取付板58の下面部58dの先端近傍が、シール材58tを介して、電装品ケーシング50aの下面56に固定されている固定部材56yに支持される。より具体的には、取付板58の下面部58dの先端近傍は、取付板58およびこれに取り付けられている各基板の重さにより前側に付勢されるが、電装品ケーシング50aの固定部材56yの前側端部の後ろ側面により後ろ側に向けて支持される。
【0127】
(9)実施形態の特徴
本実施形態の冷凍サイクル装置1の室外ユニット2では、室外制御部50は、1つの取付板58の第1平面58xと第2平面58yの両面に複数の基板を設けることにより、電装品を多く取り付けることが可能になっている。これにより、室外ユニット2が大容量化し、圧縮機21が複数設けられる等、制御対象となる要素が増大した場合であっても、電装品の収容スペースをコンパクト化させることができる。これにより、室外制御部50のサイズを小型化させることが可能になっている。
【0128】
そして、このように取付板58の両面に電装品を設けた構成とした場合であっても、本実施形態の室外制御部50では、取付板58を電装品ケーシング50aに対して回転させることで、電装品ケーシング50a内において縦に延びた状態と、横に寝かせた状態と、に切り換えることができる。これにより、取付板58の両面に電装品を設けた場合においても、各面に実装されている電装品のメンテナンス等を容易に行うことができる。また、電装品のメンテナンスのために必要となる作業スペースも狭小化させることができる。
【0129】
また、取付板58の下面部58dを、シール材58tを介して、電装品ケーシング50aの固定部材56yに引っ掛けるだけという簡易な構成により、取付板58を電装品ケーシング50aに対して回転可能としている。このため、両者をヒンジで連結する等の複雑な構造と比較して、コストを低く抑えることができている。
【0130】
また、室外制御部50は、第1冷却回路31の第1冷却部分34と第2冷却回路35の第2冷却部分38を用いて冷却されるため、電装品の発熱を抑制し、室外制御部50の信頼性を高めることができる。
【0131】
(10)他の実施形態
(10-1)他の実施形態A
上記実施形態では、取付板58の下端と電装品ケーシング50aの下面56との接触部分を中心として取付板58が回転し、第1平面58xが鉛直上方を向く姿勢となる場合を例として挙げて説明した。
【0132】
これに対して、取付板58が電装品ケーシング50aに対して回転する態様は、これに限られず、例えば、取付板58の上端と電装品ケーシング50aの天面55との接触部分を中心として取付板58が回転するようにしてもよい。また、取付板58の上端と下端との間の部分を中心として、取付板58が電装品ケーシング50aに対して回転するようにしてもよい。さらに、取付板58の左側端部または右側端部を回転軸として電装品ケーシング50aに対して回転することができる構造としてもよい。
【0133】
なお、これらの取付板58を回転可能とするための具体的な構造は、特に限定されない。例えば、取付板58と電装品ケーシング50aとは、ヒンジ等の回転可能な構造により連結されていてもよい。
【0134】
(10-2)他の実施形態B
上記実施形態では、取付板58を電装品ケーシング50aに対して90度回転させる場合を例として挙げて説明した。
【0135】
これに対して、取付板58が電装品ケーシング50aに対して回転する角度は、特に限定されず、取付板58の両面に実装された電装品のメンテナンス作業等が容易になる程度の角度であればよい。例えば、取付板58が電装品ケーシング50aに対して180度回転するようにしてもよい。
【0136】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0137】
1 :冷凍サイクル装置
2 :室外ユニット(熱源ユニット)
4 :室内ユニット
5 :ガス冷媒連絡配管
6 :液冷媒連絡配管
10 :冷媒回路
11 :室外機ケーシング(熱源ケーシング)
16 :上前面パネル
16a :開口(熱源メンテナンス開口)
21 :圧縮機
23 :室外熱交換器
26 :室外ファン
30 :冷却回路
31 :第1冷却回路
34 :第1冷却部分
34a :第1熱伝達部材
35 :第2冷却回路
38 :第2冷却部分
50 :室外制御部(電装品ユニット)
50a :電装品ケーシング
50b :蓋用シール材
50x :電装品メンテナンス開口(メンテナンス開口)
51 :上前蓋
51a :点検口
51b :点検蓋
52 :下前蓋
53 :左側面
54 :右側面
55y :固定部材
56y :固定部材(連結部分)
57 :背面
58 :取付板(取付部材)
58a :第2開口
58d :下面部(連結部分)
58s :シール材
58t :シール材
58u :上面部
58x :第1平面(第1面)
58y :第2平面(第2面)
59 :仕切板
59a :第1開口
59y :第2平面(第2面)
61 :第1基板(第1電装基板)
61a :ノイズフィルタ
62 :第2基板(第1電装基板)
62a :IPM
63 :第3基板(第1電装基板)
63a :IPM
64 :第4基板(第2電装基板)
64a :電装品
65 :第5基板(第2電装基板)
65a :電装品
69 :端子台
90 :配線用シール材
S1 :第1空間
S2 :第2空間
S3 :第3空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0138】