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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】床置き型暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20220101AFI20231206BHJP
   F24D 13/02 20060101ALI20231206BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20231206BHJP
【FI】
F24H3/04 302
F24D13/02 Z
F24C7/04 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022137807
(22)【出願日】2022-08-31
(65)【公開番号】P2023083211
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2021196900
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮介
(72)【発明者】
【氏名】白井 晶子
(72)【発明者】
【氏名】徳山 良輔
(72)【発明者】
【氏名】吉川 徹
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-123241(JP,U)
【文献】実開昭60-170679(JP,U)
【文献】特開平11-014152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/04
F24D 13/02
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間(I)が形成されるケーシング(11)と、
前記内部空間(I)に配置され、輻射熱を与える第1ヒータ(31)と、
前記内部空間(I)に配置され、前記第1ヒータ(31)から発生した熱線を前記ケーシング(11)の前面(12)に向けて反射する反射板(40)と、
前記ケーシング(11)に形成され、対象空間(S)の空気を吸い込む吸込口(20)と、
前記ケーシング(11)に形成され、対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(21)と、
前記内部空間(I)に設けられ、前記吸込口(20)と前記吹出口(21)とを連通する空気通路(P)と、
前記空気通路(P)に配置され、前記吸込口(20)から前記吹出口(21)に向かって空気を搬送するファン(50)と、
前記空気通路(P)の空気を加熱する第2ヒータ(33)とを備え、
前記空気通路(P)は、前記第1ヒータ(31)により加熱された空気が、前記ファン(50)に向かって流れるように形成され、
前記反射板(40)は、前記第1ヒータ(31)と前記ファン(50)とを結ぶ最短経路を横切るように配置され、
前記第2ヒータ(33)は、前記空気通路(P)内で、空気流れ方向において前記ファン(50)の下流側に配置される
床置き型暖房装置。
【請求項2】
前記ファン(50)は、前記空気通路(P)において、前記第1ヒータ(31)よりも上方に配置される
請求項1に記載の床置き型暖房装置。
【請求項3】
前記第2ヒータ(33)は、前記第1ヒータ(31)よりも下方に配置される
請求項に記載の床置き型暖房装置。
【請求項4】
前記反射板(40)は、
反射された熱線が前記前面(12)に向かって上方に進むように、前記前面(12)に向かうにつれて下方に傾斜する第1傾斜部(R1)を備える
請求項1に記載の床置き型暖房装置。
【請求項5】
前記反射板(40)は、
反射された熱線が前記前面(12)に向かって下方に進むように、前記前面(12)に向かうにつれて上方に傾斜する第2傾斜部(R2)を備える
請求項1に記載の床置き型暖房装置。
【請求項6】
前記ケーシング(11)の前面(12)は、前記第1ヒータ(31)からの熱線を透過する耐熱ガラス(60)と、前記吸込口(20)とを備え、
前記空気通路(P)は、前記耐熱ガラス(60)と前記反射板(40)との間に形成される第1流路(23)を有し、
第1流路(23)は、前記第1ヒータ(31)に面する
請求項1に記載の床置き型暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、床置き型暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の輻射暖房機は、発熱体が設けられた面状ヒータと、該面状ヒータの背面側に設けられる風路と、該風路に配置される送風機とを有する。風路は吸込口と吹出口とを連通し、吸込口から吸い込まれた空気は面状ヒータにより加熱された後、温風として吹出口から室内に吹き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-10156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような温風を吹き出す暖房装置において、送風機であるファンはヒータに比較的近くに配置される。そのため、ヒータの輻射熱の影響でファンへの熱負荷が増大し、ファンに不具合が生じるおそれがあった。
【0005】
本開示の目的は、ヒータの輻射熱によるファンに対する熱負荷を抑制する床置き型暖房装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
内部空間(I)が形成されるケーシング(11)と、
前記内部空間(I)に配置され、輻射熱を与える第1ヒータ(31)と、
前記内部空間(I)に配置され、前記第1ヒータ(31)から発生した熱線を前記ケーシング(11)の前面(12)に向けて反射する反射板(40)と、
前記ケーシング(11)に形成され、対象空間(S)の空気を吸い込む吸込口(20)と、
前記ケーシング(11)に形成され、対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(21)と、
前記内部空間(I)に設けられ、前記吸込口(20)と前記吹出口(21)とを連通する空気通路(P)と、
前記空気通路(P)に配置され、前記吸込口(20)から前記吹出口(21)に向かって空気を搬送するファン(50)とを備え、
前記空気通路(P)は、前記第1ヒータ(31)により加熱された空気が、前記ファン(50)に向かって流れるように形成され、
前記反射板(40)は、前記第1ヒータ(31)と前記ファン(50)とを結ぶ最短経路を横切るように配置される床置き型暖房装置である。
【0007】
第1の態様では、反射板(40)が、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短経路を横切るように配置されるため、第1ヒータ(31)からの熱線がファン(50)に直接照射されることを抑制できる。加えて、第1ヒータ(31)近傍を流れる空気が最短距離でファン(50)に到達することを抑制できる。その結果、床置き型暖房装置(10)は、ファン(50)に対する熱負荷を抑えることができ、ファン(50)に発生する不具合を抑制できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
前記第1ヒータ(31)からの熱線を透過するパネル(60)を備え、
前記パネル(60)は、前記ヒータの前方に配置され、
前記第1ヒータ(31)と前記ファン(50)とを結ぶ最短距離は、前記第1ヒータ(31)と前記パネル(60)とを結ぶ最短距離よりも長い。
【0009】
第2の態様では、第1ヒータ(31)およびファン(50)は、互いに比較的離れた位置にあるため、第1ヒータ(31)の輻射熱によるファン(50)への影響を抑えることができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記ファン(50)は、前記第1ヒータ(31)よりも下方に配置される。
【0011】
第3の態様では、第1ヒータ(31)の熱影響は内部空間(I)上部に集中するため、ファン(50)が下方に位置することで、ファン(50)に対する熱の影響を小さくできる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第1または第2の態様において、
前記ファン(50)は、前記空気通路(P)において、前記第1ヒータ(31)よりも上方に配置される。
【0013】
第4の態様においても、ファン(50)に対する熱負荷を抑えることができ、ファン(50)に発生する不具合を抑制できる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第4の態様において、
前記空気通路(P)の空気を加熱する第2ヒータ(33)をさらに備え、
前記第2ヒータ(33)は、前記第1ヒータ(31)よりも下方に配置される。
【0015】
第5の態様では、ファン(50)と第2ヒータ(33)とは比較的離れた位置に設けられるため、ファン(50)に対する第2ヒータ(33)による熱負荷の影響を抑えることができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、
前記反射板(40)は、
反射された熱線が前記前面(12)に向かって上方に進むように、前記前面(12)に向かうにつれて下方に傾斜する第1傾斜部(R1)を備える。
【0017】
第6の態様では、反射した熱線の進む方向を上向きにすることで、前面の前方にいる人の足元だけでなく人の胴体に当たるような高さに輻射熱を与えることができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、
前記反射板(40)は、
反射された熱線が前記前面(12)に向かって下方に進むように、前記前面(12)に向かうにつれて上方に傾斜する第2傾斜部(R2)を備える。
【0019】
第7の態様では、例えば、反射した熱線の進む方向を下向きにすることで、人の胴体に当たるような高さに輻射熱を与えることができる。
【0020】
本開示の第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、
前記空気通路(P)は、前記第1ヒータ(31)と前記ケーシング(11)の後面(13)との間に配置される前記反射板(40)と、前記後面(13)との間に形成される第1空間(25)を含み、
前記ファン(50)は、前記第1ヒータ(31)よりも下方に配置され、
前記反射板(40)は、前記第1空間(25)において上方から下方に向かって流れる空気を前記ファン(50)へ直接案内するガイド部(42)を有し、
前記ガイド部(42)は、前記ファン(50)よりも前記後面(13)側に膨出するように形成される。
【0021】
第8の態様では、第1空間(25)を流れる空気は、ガイド部(42)に沿うようにファン(50)に流れ込むことができる。このことにより空気通路(P)の通風抵抗を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る床置き型暖房装置の概略の斜視図である。
図2図2は、床置き型暖房装置の左右方向に直角な断面図である。
図3図3は、制御部に関するブロック図である。
図4図4は、図2のIV-IV矢視断面図である。
図5図5は、反射板により反射された熱線が進む方向を説明する図である
図6図6は、変形例1に係る床置き型暖房装置の図2に相当する図である。
図7図7は、変形例2に係る床置き型暖房装置の図2に相当する図である。
図8図8は、変形例3に係る床置き型暖房装置の図2に相当する図である。
図9図9は、変形例4に係る床置き型暖房装置の図2に相当する図である。
図10図10は、変形例5に係る床置き型暖房装置の図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0024】
(1)床置き型暖房装置の概要
実施形態に係る床置き型暖房装置(10)について図1および図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「右」、および「左」は、原則として、図1の矢印で示す方向を意味する。図1図2および図6から図9に示す太矢印は、空気が流れる方向を示す。
【0025】
床置き型暖房装置(10)は、対象空間である室内空間(S)を暖房する。床置き型暖房装置(10)は、室内空間(S)の床面(F)に設置される。床置き型暖房装置(10)は、輻射熱により室内空間(S)を暖房する。加えて、床置き型暖房装置(10)は、室内空間(S)の室内空気を加熱し、加熱した空気を室内空間(S)へ供給する。
【0026】
床置き型暖房装置(10)は、ケーシング(11)と、第1ヒータ(31)と、反射板(40)と、ファン(50)と、耐熱ガラス(60)とを備えている。第1ヒータ(31)は、遠赤外線(熱線)を発する。反射板(40)は、第1ヒータ(31)から発する熱線を、ケーシング(11)の前方に向けて反射する。耐熱ガラス(60)は、第1ヒータ(31)から発する熱を吸収する。耐熱ガラス(60)は、第1ヒータ(31)からの熱線を透過する。耐熱ガラス(60)は吸熱板、あるいは防護板として機能する。
【0027】
(2)ケーシング
ケーシング(11)は、中空の略直方体状に形成される。ケーシング(11)は、例えば樹脂材料で構成される。ケーシング(11)は、上下に縦長の箱状に形成される。ケーシング(11)は、6つの面(12,13,14,15,16,17)を有する。6つの面は、前面(12)と後面(13)と上面(14)と下面(15)と右面(16)と左面(17)とで構成される。前面(12)は、ケーシング(11)の前側に位置し、後面(13)はケーシング(11)の後側に位置し、上面(14)はケーシング(11)の上側に位置し、下面(15)はケーシング(11)の下側に位置し、右面(16)はケーシング(11)の右側に位置し、左面(17)はケーシング(11)の左側に位置する。
【0028】
図1および図2に示すように、ケーシング(11)の前面(12)には、矩形状の前側開口(11a)が形成される。前側開口(11a)は、ケーシング(11)の上端から吸込口(20)付近に亘って形成される。前側開口(11a)は、ケーシング(11)の右面(16)から左面(17)に亘って形成される。前側開口(11a)には、耐熱ガラス(60)が設けられる。耐熱ガラス(60)は、前側開口(11a)を塞ぐようにケーシング(11)に固定される。
【0029】
ケーシング(11)の前面(12)には、吸込口(20)と吹出口(21)とが形成される。吸込口(20)は室内空間(S)の空気を吸い込むための開口である。吹出口(21)は、ケーシング(11)内の空気を室内空間(S)へ吹き出すための開口である。吸込口(20)および吹出口(21)は、ケーシング(11)の下部に位置する。具体的には、吹出口(21)はケーシング(11)の下端部に位置する。吹出口(21)は、室内空間(S)の床面(F)付近に位置する。吹出口(21)は、ケーシング(11)の右面(16)から左面(17)に亘るように左右に延びている。吸込口(20)は、吹出口(21)の上方に位置する。吹出口(21)は、吸込口(20)の上辺に沿って左右に延びている。ケーシング(11)の内部空間(I)には、吸込口(20)と吹出口(21)とを連通する空気通路(P)が形成される。
【0030】
(3)ヒータ
本実施形態の床置き型暖房装置(10)は、2つの第1ヒータ(31)を有する。第1ヒータ(31)の数量は単なる例示であり、1つ、または3つ以上であってもよい。各第1ヒータ(31)は、ケーシング(11)の内部空間(I)に配置される。具体的に、各第1ヒータ(31)は、後述する第1流路(23)に配置される。各第1ヒータ(31)は、ケーシング(11)の内部空間(I)に設けられる支持部材(32)(図4参照)に固定される。
【0031】
2つの第1ヒータ(31)は、耐熱ガラス(60)の後方に配置される。第1ヒータ(31)は、輻射熱を与える。第1ヒータ(31)は、セラミックを含有する遠赤外線コーティングがなされている。各第1ヒータ(31)は、左右方向に延びるパイプ状、あるいは略棒状に形成される。2つの第1ヒータ(31)は、上下方向に並んで配置される。別の言い方をすると、2つの第1ヒータ(31)は、ケーシング(11)の前面(12)および後面(13)に沿う方向に配列される。2つの第1ヒータ(31)は、互いに平行な状態で等間隔置きに配置される。第1ヒータ(31)から発する熱線は、第1ヒータ(31)の軸心を中心として全周に広がる。別の言い方をすると、ケーシング(11)を左右方向からみて、第1ヒータ(31)は放射状に熱線を放つ。
【0032】
(4)反射板
反射板(40)は、平板の金属板により形成される。反射板(40)は、内部空間(I)に配置される。反射板(40)は、第1ヒータ(31)と後面(13)との間に配置される。反射板(40)は、前面(12)および後面(13)に向かい合って配置される。反射板(40)の左端及び右端は、支持部材(32)(図4参照)に固定される。反射板(40)の下端は、支持板(39)に固定される。反射板(40)の上端と上面(14)との間には隙間が形成される。この隙間は、後述する連通路(24)である。
【0033】
(5)ファン
ファン(50)は、空気通路(P)に配置される。ファン(50)は、空気通路(P)の空気を吸込口(20)から吹出口(21)に向かって搬送する。本実施形態のファン(50)は、クロスフロー式のファンである。図1に模式的に示すように、ファン(50)は、左右方向に延びるファン本体(51)と、ファン本体(51)を回転駆動するファンモータ(52)とを有する。ファン(50)は、ケーシング(11)の内部空間(I)において、第1ヒータ(31)よりも下方に配置される。
【0034】
具体的には、ファン(50)は、空気通路(P)において、第1ヒータ(31)よりも空気流れの下流側に配置される。ファン(50)は、吹出口(21)の近傍に配置される。具体的には、ファン(50)は吹出口(21)と略同じ高さ位置に配置される。ファン(50)は、前面(12)と後面(13)との間の中間よりも前面(12)寄りに配置される。ファン(50)と第1ヒータ(31)とを結ぶ最短経路L1は、第1ヒータ(31)と耐熱ガラス(60)とを結ぶ最短経路L2よりも長い。
【0035】
(6)耐熱ガラス
耐熱ガラス(60)は、本開示のパネル(60)の一例である。耐熱ガラス(60)は、平板状に形成される。耐熱ガラス(60)は、ケーシング(11)の前側開口(11a)に設けられる。耐熱ガラス(60)は、ケーシング(11)の前面(12)に沿って形成される。具体的には、耐熱ガラス(60)は、ケーシング(11)の上端から吸込口(20)に亘って上下に延びている。耐熱ガラス(60)は、ケーシング(11)の左面(17)から右面(16)に亘って左右に延びている。
【0036】
耐熱ガラス(60)は、耐熱性に優れたガラス材料で構成される。耐熱ガラス(60)は、第1ヒータ(31)および反射板(40)から発する遠赤外線を透過する特性を有する。一方、耐熱ガラス(60)は、第1ヒータ(31)および反射板(40)から発する熱を吸収する特性を有する。
【0037】
(7)空気通路
空気通路(P)は、ケーシング(11)の内部空間(I)に設けられる。空気通路(P)は、吸込口(20)と吹出口(21)とを連通する。空気通路(P)は、空気流れの上流から下流に向かって順に、吸込空間(22)、第1流路(23)、連通路(24)、第2流路(25)、および吹出空間(26)を含む。
【0038】
吸込空間(22)は、吸込口(20)と繋がる。吸込空間(22)は、吸込口(20)の奥側(後側)に形成される。
【0039】
第1流路(23)は、吸込空間(22)と連通路(24)の上流端とを連通する。第1流路(23)は、耐熱ガラス(60)と反射板(40)との間に形成される。厳密には、第1流路(23)は、耐熱ガラス(60)の後面と反射板(40)の前面との間に形成される。2つの第1ヒータ(31)は、第1流路(23)に面するように配置される。第1流路(23)は、空気が上方に流れる流路を構成している。
【0040】
連通路(24)は、第1流路(23)と第2流路(25)との間に形成される。連通路(24)は、反射板(40)の上側に形成される。厳密には、連通路(24)は、反射板(40)の上端とケーシング(11)の下面(15)との間の隙間の空間である。連通路(24)では、上方を向く空気流れがUターンして下方を向く空気流れとなる。
【0041】
第2流路(25)は、連通路(24)の下流端と吹出口(21)とを連通する。第2流路(25)は、反射板(40)とケーシング(11)の後面(13)との間に形成される。第2流路(25)は、本開示の第1空間(25)の一例である。第2流路(25)は、空気が上方から下方に向かって流れる流路を構成している。
【0042】
吹出空間(26)は、第2流路(25)の下流端と吹出口(21)とを連通する。吹出空間(26)では後面(13)から前面(12)に向かって空気が流れる。吹出空間(26)には、ファン(50)が配置される。ファン(50)は、2つの第1ヒータ(31)よりも下方に配置される。
【0043】
(8)制御部
図3に示すように、床置き型暖房装置(10)は、制御部(C)を備える。制御部(C)は、ファンモータ(52)および第1ヒータ(31)を制御する。具体的には、制御部(C)は、ファンモータ(52)のON/OFF、およびファンモータ(52)の回転数を制御する。制御部(C)は、第1ヒータ(31)のON/OFF、および第1ヒータ(31)の出力を制御する。
【0044】
(9)運転動作
床置き型暖房装置(10)の運転動作について図1および図2を参照しながら説明する。床置き型暖房装置(10)の運転時には、第1ヒータ(31)が通電状態となり、ファン(50)が運転状態となる。
【0045】
第1ヒータ(31)が通電状態になると、第1ヒータ(31)から熱線が放出される。第1ヒータ(31)から発する熱線の一部は、直接的に前方へ進む。第1ヒータ(31)から発する熱線の残部は、反射板(40)で反射された後、間接的に前方へ進む。前方へ進んだ熱線は、耐熱ガラス(60)を透過する。このように、ケーシング(11)の前側へ輻射熱が放出される。耐熱ガラス(60)は、第1ヒータ(31)の熱を吸収する。
【0046】
ファン(50)が運転されると、室内空間(S)の室内空気は吸込口(20)に吸い込まれる。この空気は、吸込空間(22)から第1流路(23)に流入し、連通路(24)に向かって上向きに流れる。第1流路(23)の空気は、2つの第1ヒータ(31)と、該第1ヒータ(31)から吸熱した耐熱ガラス(60)とにより順次加熱される。
【0047】
第1流路(23)で加熱された空気は、連通路(24)を介して第2流路(25)に流入する。第2流路(25)の空気は、第1ヒータ(31)から吸熱した反射板(40)によって加熱されながら下方に向かって流れる。
【0048】
この空気は、反射板(40)の下端を通過した後、吹出空間(26)に流入する。吹出空間(26)の空気は、ファン(50)を通過した後、吹出口(21)から室内空間(S)に温風として吹き出される。
【0049】
このように、本実施形態の床置き型暖房装置(10)は、吹出口(21)から温風を吹き出すことで、耐熱ガラス(60)からの輻射熱だけでなく、吹出口(21)からの温風によって室内空間(S)を暖房できる。吹出口(21)は、ケーシング(11)の下部に位置する。具体的には、吹出口(21)は床面(F)に沿った位置になる。このため、ユーザの足下に温風を吹き出すことができ、ユーザの快適性を向上できる。
【0050】
(10)反射板の形状
図2図4および図5を用いて、本開示の反射板(40)の形状について説明する。図5に示す矢印は、反射された熱線が進む方向を示す。
【0051】
反射板(40)は、左右方向に延びるとともに、該左右方向において略同一の断面形状を有する。反射板(40)は、第1曲面部(41)、第2曲面部(42)および連結部(43)を有する。第1曲面部(41)は、第2曲面部(42)の上方に配置される。連結部(43)は、第1曲面部(41)と第2曲面部(42)とを連結する。第1曲面部(41)および第2曲面部(42)は略同一形状である。
【0052】
第1曲面部(41)および第2曲面部(42)は、前方から後方に向かって膨出するように形成される。第1曲面部(41)および第2曲面部(42)の、左右方向から見た縦断面の形状は円弧状である。連結部(43)は、左右方向に延びる平坦な板形状である。連結部(43)の板面は、前面(12)および後面(13)に対向する。連結部(43)は、第1曲面部(41)の下端と、第2曲面部(42)の上端とに接続する。
【0053】
各曲面部(41,42)には、第1ヒータ(31)が1つずつ配置される。第1ヒータ(31)は、曲面部(41,42)の膨出した頂部(T)の前側に配置される。頂部(T)は、曲面部(41,42)の後端である。第1ヒータ(31)は、曲面部(41,42)の前端よりも後方に配置される。具体的に、第1ヒータ(31)は、各曲面部(41,42)の放物線の焦点に配置される。
【0054】
(10-1)第1傾斜部および第2傾斜部
各曲面部(41,42)は、第1傾斜部(R1)と第2傾斜部(R2)とを有する。第1傾斜部(R1)は、曲面部(41,42)の下側部分である。第2傾斜部(R2)は、曲面部(41,42)の上側部分である。第1傾斜部(R1)は、反射された熱線が前面(12)に向かって上向きに導かれるように、前面(12)に向かうにつれて下方に傾斜する。一方、第2傾斜部(R2)は、反射された熱線が前面(12)に向かって下向きに導かれるように、前面(12)に向かうにつれて上方に傾斜する。
【0055】
このように、反射板(40)の各曲面部(41,42)が第1傾斜部(R1)および第2傾斜部(R2)を有することで、前面(12)の前方にいるユーザの足元だけでなく、該ユーザの胴体に向けて輻射熱を与える一方、該ユーザの顔には輻射熱が当たりにくくなる。このことで、ユーザに与える快適性が向上する。具体的に、本実施形態の床置き型暖房装置(10)の輻射範囲は、前面(12)から前方に向かって1.8mの位置から高さ1.1mまでの高さの範囲である。
【0056】
反射板(40)は、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短経路L1を横切るように配置される。具体的に、反射板(40)のうち第2曲面部(42)の第1傾斜部(R1)が、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短経路L1内に配置される。このような配置により、第2曲面部(42)に配置される第1ヒータ(31)からファン(50)に直接向かう熱線が、第2曲面部(42)の第1傾斜部(R1)により遮られる。また、このような第2曲面部(42)の配置により、第1流路(23)において第1ヒータ(31)加熱された空気が、最短経路L1で直接ファン(50)に流入しない。
【0057】
(10-2)ガイド部
反射板(40)は、ガイド部(42)を有する。本実施形態の第2曲面部(42)は、ガイド部(42)の一例である。第2曲面部(42)は、第2流路(25)において上方から下方に向かって流れる空気をファン(50)へ直接案内する。第2曲面部(42)は、ファン(50)よりも後面(13)側に膨出するように形成される。具体的に、第2曲面部(42)の第1傾斜部(R1)の下端の下方にファン(50)が配置される。このような配置により、第2曲面部(42)の後端は、ファン(50)よりも後方に配置される。このように第2曲面部(42)が形成されることで、第2流路(25)を下方に向かって流れる空気は、第2曲面部(42)の後方を流れる際に、第1傾斜部(R1)の裏面をつたうようにファン(50)に向かって流れる。
【0058】
(11)特徴
(11-1)
本実施形態の床置き型暖房装置(10)は、第1ヒータ(31)から発生した熱線をケーシング(11)の前面(12)に向けて反射する反射板(40)と、吸込口(20)と吹出口(21)とを連通する空気通路(P)とを備える。空気通路(P)は、第1ヒータ(31)により加熱された空気が、ファン(50)に向かって流れるように形成される。反射板(40)は、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短経路L1を横切るように配置される。具体的に、反射板(40)の第2曲面部(42)の第1傾斜部(R1)が、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短経路L1を横切るように配置される。このため、第1ヒータ(31)から放射された熱線がファン(50)に直接当たることを抑制できる。加えて、ファン(50)に与える輻射熱の影響を抑えることができると共に、第1ヒータ(31)により加熱された空気が最短経路L1でファン(50)に流入することを抑制できる。その結果、床置き型暖房装置(10)は、熱負荷に起因するファン(50)の不具合を避けることができる。
【0059】
(11-2)
本実施形態の床置き型暖房装置(10)では、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短距離は、第1ヒータ(31)とパネル(60)とを結ぶ最短距離よりも長い。これにより、床置き型暖房装置(10)は、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短距離が長いほど、ファン(50)に対する第1ヒータ(31)による輻射熱の影響を抑えることができる。
【0060】
(11-3)
本実施形態の床置き型暖房装置(10)では、ファン(50)は、空気通路(P)において、第1ヒータ(31)よりも下方に配置される。第1ヒータ(31)の熱影響は内部空間(I)上部に集中するため、このようにファン(50)が第1ヒータ(31)よりも下方に配置されることで、ファン(50)に対する熱の影響を小さくできる。
【0061】
(11-4)
本実施形態の床置き型暖房装置(10)では、反射板(40)の第1傾斜部(R1)は、反射された熱線がケーシング(11)の前面(12)に向かって上向きに進むように、前面(12)に向かうにつれて下方に傾斜する。このように、反射された熱線の進む方向を上向きにすることで、床置き型暖房装置(10)の正面にいる人の足元だけでなく、人の胴体に当たるような高さに輻射熱を与えることができる。その結果、床置き型暖房装置(10)は、人が感じる快適性を向上できる。
【0062】
(11-5)
本実施形態の床置き型暖房装置(10)では、反射板(40)の第2傾斜部(R2)は、反射された熱線がケーシング(11)の前面(12)に向かって下方に進むように、前面(12)に向かうにつれて上方に傾斜する。このように、反射された熱線の進む方向を下向きにすることで、例えば、人の胴体に当たるような高さに輻射熱を効率的に与えることができる。
【0063】
(11-6)
本実施形態の床置き型暖房装置(10)では、空気通路(P)は、反射板(40)と後面(13)との間に形成される第2流路(25)(第1空間)を含む。ファン(50)は、第2流路(25)において第1ヒータ(31)よりも下方に配置され、反射板(40)は、第2流路(25)において上方から下方に向かって流れる空気を前記ファン(50)へ直接案内する第2曲面部(42)(ガイド部)を有する。第2曲面部(42)(ガイド部)は、ファン(50)よりも後面(13)側に膨出するように形成される。このことで、上方から下方に向かって流れる第2流路(25)の空気は、第2曲面部(42)の第1傾斜部(R1)をつたって、該第1傾斜部(R1)の下端の下方に配置されるファン(50)に流れ込みやすくなる。その結果、床置き型暖房装置(10)は、空気通路(P)の通風抵抗を抑えることができる。
【0064】
(12)変形例
上記実施形態については、以下のような変形例の構成としてもよい。以下では、主として上記実施形態と異なる点について述べる。
【0065】
(12-1)変形例1
図6に示す変形例1の床置き型暖房装置(10)では、上記実施形態の床置き側暖房装置のケーシング(11)の前側開口(11a)に相当する部分が吸込口(20)を構成する。本例の吸込口(20)には、複数の孔(H)を有する吸込部材(60)が設けられる。吸込部材(60)は、本開示のパネル(60)の一例である。吸込部材(60)は、例えば、パンチングプレートである。パンチングプレートは、平板状のSUS等の金属素材で構成される。吸込部材(60)は、ケーシング(11)の吸込口(20)を覆うようにケーシング(11)の前面(12)に設けられる。吸込部材(60)は、吸込口(20)の上端から下端に亘って上下方向に延びる。吸込部材(60)は、吸込口(20)の左端から右端に亘って左右方向に延びる。複数の孔(H)は、吸込部材(60)の略全面に形成される。そのため、吸込口(20)の略全面から室内空間(S)の空気を吸い込むことができる。本例のパネル(60)は、メッシュ部材であってもよい。
【0066】
床置き型暖房装置(10)の運転時には、上記実施形態と同様、第1ヒータ(31)の熱線の一部は前方に進み、残部は反射板(40)に反射し、最終的にケーシング(11)の前方へ進む。
【0067】
室内空間(S)の空気は、吸込部材(60)の略全面を介して吸い込まれる。このように本例の吸込口(20)の開口面積を大きくできるため、吸い込み風量を増大できる。本例の空気通路(P)は、吸込空間(22)を有さない。吸込口(20)からの空気は、第1流路(23)に直接流入する。第1流路(23)において第1ヒータ(31)により加熱された空気は、連通路(24)を介して第2流路(25)に流入する。第2流路(25)の空気は、第1ヒータ(31)により加熱された反射板(40)により加熱されながら下方に向かって流れる。この空気は、反射板(40)の下端を通過した後、吹出空間(26)に流入して、ファン(50)を通過する。ファン(50)を通過した空気は、吹出口(21)から温風として室内空間(S)に吹き出される。
【0068】
(12-2)変形例2
図7に示す変形例2の床置き型暖房装置(10)では、上記変形例1の床置き型暖房装置(10)に耐熱ガラス(61)が設けられる。耐熱ガラス(61)は、吸込部材(60)の後方、かつ、第1ヒータ(31)の前方に配置される。耐熱ガラス(61)は、上記実施形態と同様に、第1ヒータ(31)および反射板(40)から発する遠赤外線を透過する特性と、第1ヒータ(31)および反射板(40)から発する熱を吸収する特性とを有する。
【0069】
耐熱ガラス(61)の左右端は、ケーシング(11)の支持部材(図示省略)に固定される。耐熱ガラス(61)の下端は、支持板(39)に固定される。耐熱ガラス(61)の上端は、上面(14)の下方に配置される。別の言い方をすると、耐熱ガラス(61)の上端と上面(14)との間には、隙間が形成される。耐熱ガラス(61)は、吸込部材(60)に対向する。具体的には、耐熱ガラス(61)の全域が、前後方向において吸込部材(60)と重なるように配置される。
【0070】
変形例2の第1流路(23)は、吸込部材(60)と耐熱ガラス(61)との間に形成される。具体的に、第1流路(23)は、吸込部材(60)の前面と耐熱ガラス(61)の後面との間に形成される。耐熱ガラス(61)と反射板(40)との間には、第1ヒータ(31)が配置される空間が形成される。この空間は、実質的には空気が流れない空間である。
【0071】
床置き型暖房装置(10)の運転時には、上記実施形態と同様、第1ヒータ(31)の熱線の一部は前方に進み、残部は反射板(40)に反射して前方に進む。前方に進む熱線のほぼ全てが、耐熱ガラス(61)を透過して吸込部材(60)に向かい、最終的にケーシング(11)の前方へ進む。
【0072】
吸込口(20)から吸い込まれた室内空間(S)の空気は、第1流路(23)において加熱される。具体的に、第1流路(23)の空気は、第1ヒータ(31)から吸熱した耐熱ガラスにより加熱される。第1流路(23)の空気は、連通路(24)を介して第2流路(25)に流入する。第2流路(25)の空気は、第1ヒータ(31)から吸熱した反射板(40)により加熱されながら下方に向かって流れる。反射板(40)を通過した空気は、吹出空間(26)に流入して、ファン(50)を通過する。ファン(50)を通過した空気は、吹出口(21)から温風として室内空間(S)に吹き出される。
【0073】
本例の床置き型暖房装置(10)では、耐熱ガラス(61)が第1ヒータ(31)から吸収した熱を空気通路(P)の空気の加熱に利用できる。加えて、耐熱ガラス(61)が第1ヒータ(31)から吸熱するため、耐熱ガラス(61)の前方に配置される吸込部材(60)が過剰に加熱されることを抑制できる。その結果、ユーザに対する安全性を確保できる。
【0074】
(12-3)変形例3
図8に示す変形例3の床置き型暖房装置(10)では、パネル(60)として、前側吸込部材(60)が設けられる。前側吸込部材(60)は、上記変形例1及び2の吸込部材(60)と同様に、吸込口(20)に設けられる。変形例3の床置き型暖房装置(10)は、後側吸込部材(61)を有する。後側吸込部材(61)は、複数の孔(H)を有するパンチングプレートである。
【0075】
後側吸込部材(61)は、第1流路(23)に配置される。後側吸込部材(61)は、前側吸込部材(60)の後方、かつ、第1ヒータ(31)の前方に配置される。後側吸込部材(61)の左右端は、ケーシング(11)の支持部材(図示省略)に固定される。後側吸込部材(61)の下端は、支持板(39)に固定される。後側吸込部材(61)の上端は上面(14)に固定される。後側吸込部材(61)は、前側吸込部材(60)に対向する。後側吸込部材(61)は、前後方向において前側吸込部材(60)の全域と重なるように配置される。
【0076】
床置き型暖房装置(10)の運転時には、上記実施形態と同様、第1ヒータ(31)の熱線の一部は前方に進み、残部は反射板(40)に反射して前方に進む。前方に進む熱線のほぼ全てが、後側吸込部材(61)を介して前側吸込部材(60)に向かい、最終的にケーシング(11)の前方へ進む。後側吸込部材(61)は、第1ヒータ(31)の熱の一部を吸収する。
【0077】
第1流路(23)では、前側吸込部材(60)を介して第1流路(23)に吸い込まれた空気の一部は、後側吸込部材(61)の複数の孔(H)を通過する。第1流路(23)の空気は、第1ヒータ(31)と、第1ヒータ(31)の熱を吸収した後側吸込部材(61)とにより加熱される。この空気は、連通路(24)を介して、第2流路(25)に流入する。第2流路(25)の空気は、第1ヒータ(31)から吸熱した反射板(40)により加熱されながら下方に流れる。反射板(40)の下端を通過した空気は、吹出空間(26)の下部のファン(50)を通過して、吹出口(21)から室内空間(S)に吹き出される。
【0078】
本例においても、後側吸込部材(61)が第1ヒータ(31)の熱を吸収することで、前側吸込部材(60)が過剰に加熱されることを抑制できる。
【0079】
(12-4)変形例4
図9に示す変形例4の床置き型暖房装置(10)は、上記実施形態の床置き型暖房装置(10)に後側耐熱ガラス(61)が設けられる。
【0080】
変形例4の床置き型暖房装置(10)は、パネル(60)として前側耐熱ガラス(60)が設けられる。前側耐熱ガラス(60)は、上記実施形態の耐熱ガラス(60)である。具体的に、前側耐熱ガラス(60)は、ケーシング(11)の前側開口(11a)に設けられる。前側耐熱ガラス(60)は、ケーシング(11)の前面(12)に沿って形成される。具体的には、前側耐熱ガラス(60)は、ケーシング(11)の上端から吸込口(20)に亘って上下に延びている。前側耐熱ガラス(60)は、ケーシング(11)の左面(17)から右面(16)に亘って左右に延びている。
【0081】
後側耐熱ガラス(61)は、前側耐熱ガラス(60)と同様に、平板状に形成された耐熱性に優れたガラス材料で構成される。後側耐熱ガラス(61)は、第1ヒータ(31)および反射板(40)から発する遠赤外線を透過する特性を有する。後側耐熱ガラス(61)は、第1ヒータ(31)および反射板(40)から発する熱を吸収する特性を有する。
【0082】
後側耐熱ガラス(61)は、ケーシング(11)の前面(12)よりも後方、かつ、第1ヒータ(31)よりも前方に配置される。後側耐熱ガラス(61)は、前側耐熱ガラス(60)と平行な状態で支持部材(図示省略)を介してケーシング(11)に固定される。後側耐熱ガラス(61)は、前側耐熱ガラス(60)と対向する。後側耐熱ガラス(61)の下端の高さ位置は、前側耐熱ガラス(60)の下端の高さ位置と概ね等しい。後側耐熱ガラス(61)の上端の高さ位置は、後側耐熱ガラス(61)の上端の高さ位置よりも低い。後側耐熱ガラス(61)の全域が、前後方向において、前側耐熱ガラス(60)と重なる。
【0083】
変形例4の反射板(40)は、前側反射板(40a)および後側反射板(40b)を有する。前側反射板(40a)は、上記実施形態の反射板(40)と同じ構成である。変形例4においても、反射板(40)は、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短経路L1を横切るように配置される。具体的に、前側反射板(40a)の第2曲面部(42)の第1傾斜部(R1)が、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短経路L1上に介在する。
【0084】
後側反射板(40b)は、第1ヒータ(31)および前側反射板(40a)の後方に配置される。後側反射板(40b)の上端は、第1支持板(35)を介してケーシング(11)に固定される。後側反射板(40b)の下端は、第2支持板(36)を介してケーシング(11)に固定される。
【0085】
後側反射板(40b)は、図8の紙面方向(左右方向)に直角な断面視において、略円弧状の第3曲面部(44)を含む。第3曲面部(44)は、左右方向に延びるとともに、該左右方向において略同一の断面形状を有する。具体的には、第3曲面部(44)は、後方に膨出した曲面状に形成される。第3曲面部(44)の前面には、第1ヒータ(31)の熱線を前方に反射する第3傾斜部(R3)が形成される。後側反射板(40b)により、反射板(40)と後面(13)との間の空間には空気が流れない。
【0086】
変形例4の第1流路(23)は、後側耐熱ガラス(61)と前側耐熱ガラス(60)との間に形成される。第1流路(23)は、空気が上方に流れる流路を構成している。変形例4の連通路(24)は、前側耐熱ガラス(60)と上面(14)との間に形成される。連通路(24)では、上方を向く空気流れがUターンして下方を向く空気流れとなる。変形例4の第2流路(25)は、前側反射板(40a)と、後側耐熱ガラス(61)との間に形成される。第2流路(25)は、空気が下方に流れる流路を構成している。変形例4の吹出空間(26)は、吹出口(21)の奥側(後側)に形成される。吹出空間(26)には、ファン(50)が配置される。
【0087】
上記実施形態と同様に、第1ヒータ(31)が通電状態になると、第1ヒータ(31)から熱線が放出される。第1ヒータ(31)から発する熱線の一部は、直接的に前方へ移動する。第1ヒータ(31)から発する熱線の残部は、前側反射板(40a)および後側反射板(40b)で反射された後、間接的に前方へ移動する。これにより、ケーシング(11)の前側へ輻射熱が放出される。
【0088】
第1ヒータ(31)から放出された熱が後側耐熱ガラス(61)を透過すると、この熱が後側耐熱ガラス(61)に吸収される。次いで、後側耐熱ガラス(61)を透過した熱が前側耐熱ガラス(60)を透過すると、この熱が前側耐熱ガラス(60)に吸収される。このように、第1ヒータ(31)の前側に後側耐熱ガラス(61)および前側耐熱ガラス(60)を設けることで、ケーシング(11)の前側の温度が過剰に高くなることを抑制できる。
【0089】
ファン(50)が運転されると、室内空間(S)の室内空気が吸込口(20)に吸い込まれる。この空気は、第1流路(23)を上方に流れる。第1流路(23)の空気は、前側耐熱ガラス(60)および後側耐熱ガラス(61)の熱が付与されることで加熱される。連通路(24)を介して、第2流路(25)に流入した空気は、第2流路(25)の下方に向かって流れる過程で、第1ヒータ(31)により加熱される。加熱された空気は、ファン(50)を通過して、吹出口(21)から温風として室内空間(S)に吹き出される。
【0090】
このように本例では、第1流路(23)において後側耐熱ガラス(61)の前面および前側耐熱ガラス(60)の後面に沿って空気が流れることで、後側耐熱ガラス(61)および前側耐熱ガラス(60)で吸熱した熱を、空気の加熱に利用できる。同時に、後側耐熱ガラス(61)および後側耐熱ガラス(61)を空気によって冷却できるので、ケーシング(11)の前側の温度が過剰に高くなることを抑制できる。
【0091】
特に、前側耐熱ガラス(60)は、ケーシング(11)の外部に露出しているため、前側耐熱ガラス(60)の表面温度が高くなり過ぎると、ユーザの安全性が損なわれてしまう。これに対し、本実施形態では、前側耐熱ガラス(60)の表面温度を下げることができるので、ユーザの安全性を確保できる。
【0092】
(12-5)変形例5
図10に示す変形例5の床置き型暖房装置(10)では、ファン(50)の位置が上記変形例1と異なる。ファン(50)は、空気通路(P)において、2つの第1ヒータ(31)のうち上側に配置される第1ヒータ(31)よりも上方に配置される。ファン(50)は、第2流路(25)の上流端またその近傍に配置される。本例においても、反射板(40)は、第1ヒータ(31)とファン(50)とを結ぶ最短経路を横切るように配置される。
【0093】
本例の床置き型暖房装置(10)は、第2ヒータ(33)を備える。第2ヒータ(33)は、例えば通電状態されることで発熱する電気ヒータである。第2ヒータ(33)は、サーミスタやペルチェ素子などの熱電素子を有する。第2ヒータ(33)は、第2流路(25)の下端に配置される。具体的に、第2ヒータ(33)は、2つの第1ヒータ(31)のうち下側に配置される第1ヒータ(31)よりも下方に配置される。
【0094】
第2ヒータ(33)は、空気通路(P)の空気を加熱する。具体的に、第2ヒータ(33)は、第2流路(25)の空気を加熱する。本例の床置き型暖房装置(10)では、ファン(50)はケーシング(11)の上端付近に配置されるのに対し、第2ヒータ(33)はケーシング(11)の下端付近に配置される。このように、ファン(50)は、第2ヒータ(33)から比較的離れた位置に設けられるため、第2ヒータ(33)の発熱によるファン(50)への影響が抑制される。
【0095】
本例の床置き型暖房装置(10)では、第1ヒータ(31)、第2ヒータ(33)及びファン(50)を運転させることで、第1ヒータ(31)から吸熱した反射板(40)により加熱されながら下方に向かって流れる。反射板(40)の後面の下端を通過した空気は、第2ヒータ(33)を通過することでさらに加熱される。このように、第1ヒータ(31)のみの加熱では不足する吹出口(21)の温風温度を第2ヒータ(33)により加熱することで補うことができる。さらに、第2ヒータ(33)及びファン(50)を運転させることで、吹出口(21)から温風のみを吹き出す運転を実行できる。
【0096】
(13)その他の実施形態
上記実施形態、および各変形例については、以下のような構成としてもよい。
【0097】
第1曲面部(41)及び第2曲面部(42)は、第1傾斜部(R1)及び第2傾斜部(R2)の有無、または第1曲面部(41)及び第2曲面部(42)における熱線の反射位置に関わらず、反射板(40)により反射された第1ヒータ(31)からの熱線が前面(12)に向かって略水平に進むように形成されてもよい。このことにより、前面(12)の前方を集中的に暖めることができる。この場合において、反射板(40)により反射された熱線が前面(12)に向かって略水平に進むように形成された第1曲面部(41)及び第2曲面部(42)の取り付け角度を調節して、反射板(40)により反射された熱線が前面(12)に向かって上向きに進むようにしてもよいし、下向きに進むようにしてもよい。
【0098】
本開示のパネル(60)は、上記の実施形態において、前側開口(11a)に形成されるものとして説明したが、パネル(60)は、前側開口(11a)の内側、すなわちケーシング(11)の前面(12)より内側に形成されてもよいし、ケーシング(11)の前面(12)に沿って形成されてもよい。
【0099】
パネル(60)は、耐熱フィルムであってもよい。耐熱フィルムが前側開口(11a)を覆うように設けられてもよい。
【0100】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上説明したように、本開示は、床置き型暖房装置について有用である。
【符号の説明】
【0102】
11 ケーシング
12 前面
13 後面
20 吸込口
21 吹出口
25 第2流路(第1空間)
31 第1ヒータ
33 第2ヒータ
40 反射板
42 第2曲面部(ガイド部)
50 ファン
60 パネル
P 空気通路
R1 第1傾斜部
R2 第2傾斜部
S 室内空間(対象空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10