(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】表面処理剤
(51)【国際特許分類】
C08G 77/50 20060101AFI20231206BHJP
C09D 183/14 20060101ALI20231206BHJP
C09K 3/18 20060101ALI20231206BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20231206BHJP
G02B 1/18 20150101ALI20231206BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C08G77/50
C09D183/14
C09K3/18 104
G02B1/14
G02B1/18
G09F9/00 302
(21)【出願番号】P 2023069186
(22)【出願日】2023-04-20
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2022069569
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】高野 真也
(72)【発明者】
【氏名】野村 孝史
(72)【発明者】
【氏名】尾形 明俊
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大貴
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-031303(JP,A)
【文献】特開2014-148657(JP,A)
【文献】特表2021-515066(JP,A)
【文献】国際公開第2015/142562(WO,A1)
【文献】特開2016-166298(JP,A)
【文献】特開2015-054945(JP,A)
【文献】特開2015-014776(JP,A)
【文献】特表2003-505557(JP,A)
【文献】国際公開第2019/159476(WO,A1)
【文献】FEDOTOV, N. S et al.,Chemical transformations of ω-chlorosilyl-substituted carboxylic acid chlorides,Zhurnal Obshchei Khimii,ロシア,1969年,39(9),2011-2016
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00-77/62
C09K 3/18
C09D 183/00-183/16
C09K 3/18
G02B 1/14-1/18
G09F 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記
式(1):
【化1】
[式中:
R
S1はそれぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり
、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化2】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
Hは、それぞれ独立して、水酸基、又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
X
Aは、それぞれ独立して、2~10価の有機基であり、
αは、1~9の整数であり、
βは、1~9の整数であり、
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表されるシラン化合物。
【請求項2】
R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子により置換されていてもよい、C
1-18アルキル基、又はアリール基であり、
R
5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子により置換されていてもよい、C
1-18アルキル基、又はアリール基である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
2は、それぞれ独立して、メチル基又はフェニル基であり、
R
5は、それぞれ独立して、メチル基又はフェニル基である、
請求項1に記載のシラン化合物。
【請求項4】
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、又は-R
6-O-R
6-である、請求項1に記載のシラン化合物。
【請求項5】
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、又は-R
6-O-R
6-である、請求項1に記載のシラン化合物。
【請求項6】
R
4は、それぞれ独立して、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-である、請求項1に記載のシラン化合物。
【請求項7】
R
Hは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、又は(S5):
【化3】
[式中:
R
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
12は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
n1は、(SiR
11
n1R
12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
X
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、
R
13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
R
14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11-SiR
11
n1R
12
3-n1であり、
R
15は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり、
R
a1は、それぞれ独立して、-Z
1-SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1であり;
Z
1は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
21は、それぞれ独立して、-Z
1’-SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’であり;
R
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
23は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
1’は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
21’は、それぞれ独立して、-Z
1”-SiR
22”
q1”R
23”
r1”であり;
R
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
23’は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
1”は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
23”は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
R
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
c1は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
ただし、式(S3)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在し、
R
d1は、それぞれ独立して、-Z
2-CR
31
p2R
32
q2R
33
r2であり、
Z
2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
31は、それぞれ独立して、-Z
2’-CR
32’
q2’R
33’
r2’であり、
R
32は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり、
R
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
32’は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり、
R
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
3は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
35は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
R
e1は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり、
R
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。
ただし、式(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在し、
R
g1及びR
h1は、それぞれ独立して、-Z
4-SiR
11
n1R
12
3-n1、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、又は-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり、
Z
4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
ただし、式(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。]
で表される基である、請求項1に記載のシラン化合物。
【請求項8】
R
Hは、それぞれ独立して、式(S1)、式(S3)、(S4)、又は(S5)で表される基である、請求項7に記載のシラン化合物。
【請求項9】
R
Hは、それぞれ独立して、式(S3)、(S4)、又は(S5)で表される基である、請求項7に記載のシラン化合物。
【請求項10】
α、β、及びγは、1である、請求項1に記載のシラン化合物。
【請求項11】
X
Aは、下記式:
-(R
51)
p5-(X
51)
q5-
[式中:
R
51は、-(CH
2)
s5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
s5は、1~20の整数であり、
X
51は、-(X
52)
l5-であり、
X
52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-CONR
54-、-O-CONR
54-、-NR
54-及び-(CH
2)
n5-からなる群から選択される基であり、
R
54は、それぞれ独立して、水素原子、又は1価の有機基であり、
n5は、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
l5は、1~10の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される2価の有機基である、請求項1に記載のシラン化合物。
【請求項12】
X
Aは、それぞれ独立して、C
1-20アルキレン基、又は-(CH
2)
s5-CONH-(CH
2)
t5-(式中、s5は、1~20の整数であり、t5は、1~20の整数である)である、請求項1に記載のシラン化合物。
【請求項13】
請求項1に記載のシラン化合物を含有する、表面処理剤。
【請求項14】
請求項1に記載のシラン化合物、および該シラン化合物の少なくとも一部が縮合した縮合体からなる化合物の少なくとも一つを含有する、表面処理剤。
【請求項15】
真空蒸着用である、請求項13又は14に記載の表面処理剤。
【請求項16】
湿潤被覆用である、請求項13又は14に記載の表面処理剤。
【請求項17】
請求項13又は14に記載の表面処理剤を含有するペレット。
【請求項18】
基材と、該基材上に、請求項1~12のいずれか1項に記載のシラン化合物、又は請求項13~14のいずれか1項に記載の表面処理剤から形成された層とを含む物品。
【請求項19】
光学部材である、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
ディスプレイである、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
式(1a-3)又は(2a-3):
R
S1-R
61’-Si(R
62-CH=CH
2)
3 (1a-3)
(CH=CH
2-R
62)
3Si-R
61’-R
S2-R
61’-Si(R
62-CH=CH
2)
3 (2a-3)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化4】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、又はナフチレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
61’は、二価の有機基である。]
で表される化合物。
【請求項22】
式(1b-1)又は(2b-1):
R
S1-R
61-COOR
65 (1b-1)
R
65OCO-R
61-R
S2-R
61-COOR
65 (2b-1)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化5】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、又はナフチレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又は二価の有機基であり、
R
65は、水素原子、又はC
1-6アルキル基である。]
で表される化合物。
【請求項23】
式(1b-2)又は(2b-2):
R
S1-R
61-CONR
67-R
66-C(R
62-CH=CH
2)
3 (1b-2)
(CH=CH
2-R
62)
3C-R
66-NR
67CO-R
61-R
S2-R
61-CONR
67-R
66-C(R
62-CH=CH
2)
3 (2b-2)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化6】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
66は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
67は、水素原子、C
1-18アルキル基、アリール基、又はポリエーテル基である。]
で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のシラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水撥油性を提供し得ることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシラン化合物は、撥水撥油性に優れた表面処理層を与えることができるが、摩擦耐久性がより高い表面処理層を与えることできる化合物が求められている。
【0005】
本開示は、摩擦耐久性に優れた表面処理層を形成することができるシラン化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、下記の態様を含む。
[1] 下記式(1)又は(2):
【化1】
[式中:
R
S1はそれぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化2】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
Hは、それぞれ独立して、水酸基、又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
X
Aは、それぞれ独立して、2~10価の有機基であり、
αは、1~9の整数であり、
βは、1~9の整数であり、
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表されるシラン化合物。
[2] R
2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子により置換されていてもよい、C
1-18アルキル基、又はアリール基であり、
R
5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子により置換されていてもよい、C
1-18アルキル基、又はアリール基である、
上記[1]に記載の化合物。
[3] R
2は、それぞれ独立して、メチル基又はフェニル基であり、
R
5は、それぞれ独立して、メチル基又はフェニル基である、
上記[1]又は[2]に記載のシラン化合物。
[4] R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、又は-R
6-O-R
6-である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のシラン化合物。
[5] R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、又は-R
6-O-R
6-である、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のシラン化合物。
[6] R
4は、それぞれ独立して、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-である、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のシラン化合物。
[7] R
Hは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、又は(S5):
【化3】
[式中:
R
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
12は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
n1は、(SiR
11
n1R
12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
X
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、
R
13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
R
14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11-SiR
11
n1R
12
3-n1であり、
R
15は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり、
R
a1は、それぞれ独立して、-Z
1-SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1であり;
Z
1は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
21は、それぞれ独立して、-Z
1’-SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’であり;
R
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
23は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
1’は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
21’は、それぞれ独立して、-Z
1”-SiR
22”
q1”R
23”
r1”であり;
R
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
23’は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
1”は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
23”は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
R
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
c1は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
ただし、式(S3)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在し、
R
d1は、それぞれ独立して、-Z
2-CR
31
p2R
32
q2R
33
r2であり、
Z
2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
31は、それぞれ独立して、-Z
2’-CR
32’
q2’R
33’
r2’であり、
R
32は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり、
R
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
32’は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり、
R
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
3は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
35は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
R
e1は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり、
R
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。
ただし、式(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在し、
R
g1及びR
h1は、それぞれ独立して、-Z
4-SiR
11
n1R
12
3-n1、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、又は-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり、
Z
4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
ただし、式(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。]
で表される基である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のシラン化合物。
[8] R
Hは、それぞれ独立して、式(S1)、式(S3)、(S4)、又は(S5)で表される基である、上記[7]に記載のシラン化合物。
[9] R
Hは、それぞれ独立して、式(S3)、(S4)、又は(S5)で表される基である、上記[7]に記載のシラン化合物。
[10] α、β、及びγは、1である、上記[1]~[9]のいずれか1項に記載のシラン化合物。
[11] X
Aは、下記式:
-(R
51)
p5-(X
51)
q5-
[式中:
R
51は、-(CH
2)
s5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
s5は、1~20の整数であり、
X
51は、-(X
52)
l5-であり、
X
52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-CONR
54-、-O-CONR
54-、-NR
54-及び-(CH
2)
n5-からなる群から選択される基であり、
R
54は、それぞれ独立して、水素原子、又は1価の有機基であり、
n5は、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
l5は、1~10の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される2価の有機基である、上記[1]~[10]のいずれか1項に記載のシラン化合物。
[12] X
Aは、それぞれ独立して、C
1-20アルキレン基、又は-(CH
2)
s5-CONH-(CH
2)
t5-(式中、s5は、1~20の整数であり、t5は、1~20の整数である)である、上記[1]~[11]のいずれか1項に記載のシラン化合物。
[13] 上記[1]~[12]のいずれか1項に記載のシラン化合物を含有する、表面処理剤。
[14] 上記[1]~[12]のいずれか1項に記載のシロキサン含有シラン化合物、および該シロキサン含有シラン化合物の少なくとも一部が縮合した縮合体からなる化合物の少なくとも一つを含有する、表面処理剤。
[15] 真空蒸着用である、上記[13]又は[14]に記載の表面処理剤。
[16] 湿潤被覆用である、上記[13]又は[14]に記載の表面処理剤。
[17] 上記[13]~[16]のいずれか1項に記載の表面処理剤を含有するペレット。
[18] 基材と、該基材上に、上記[1]~[12]のいずれか1項に記載のシラン化合物、又は上記[13]~[16]のいずれか1項に記載の表面処理剤から形成された層とを含む物品。
[19] 光学部材である、上記[18]に記載の物品。
[20] ディスプレイである、上記[19]に記載の物品。
[21] 式(1a-3)又は(2a-3):
R
S1-R
61’-Si(R
62-CH=CH
2)
3 (1a-3)
(CH=CH
2-R
62)
3Si-R
61’-R
S2-R
61’-Si(R
62-CH=CH
2)
3 (2a-3)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化4】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、又はナフチレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
61’は、二価の有機基である。]
で表される化合物。
[22] 式(1b-1)又は(2b-1):
R
S1-R
61-COOR
65 (1b-1)
R
65OCO-R
61-R
S2-R
61-COOR
65 (2b-1)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化5】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、又はナフチレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又は二価の有機基であり、
R
65は、水素原子、又はC
1-6アルキル基である。]
で表される化合物。
[23] 式(1b-2)又は(2b-2):
R
S1-R
61-CONR
67-R
66-C(R
62-CH=CH
2)
3 (1b-2)
(CH=CH
2-R
62)
3C-R
66-NR
67CO-R
61-R
S2-R
61-CONR
67-R
66-C(R
62-CH=CH
2)
3 (2b-2)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化6】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
66は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
67は、水素原子、C
1-18アルキル基、アリール基、又はポリエーテル基である。]
で表される化合物。
[24] 式(1c-2)又は(2c-2):
R
S1-R
61-CON(R
62-CH=CH
2)
2 (1c-2)
(CH=CH
2-R
62)
2NCO-R
61-R
S2-R
61-CON(R
62-CH=CH
2)
2 (2c-2)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化7】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基である。]
で表される化合物。
[25] 式(1d-2)又は(2d-2):
R
S1-R
61-C(OH)(R
62-CH=CH
2)
2 (1d-2)
(CH=CH
2-R
62)
2(OH)C-R
61-R
S2-R
61-C(OH)(R
62-CH=CH
2)
2 (2d-2)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化8】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基である。]
で表される化合物。
[26] 式:
R
74Si(R
71)
2-R
72-COOR
73
[式中:
R
71は、それぞれ独立して、ハロゲン原子に置換されていてもよいC
1-12アルキル基であり、
R
72は、ハロゲン原子に置換されていてもよいC
3-5アルキレン基であり、
R
73は、水素原子、又はハロゲン原子に置換されていてもよいC
1-3アルキル基であり、
R
74は、ハロゲン原子、水酸基、又は加水分解性基である。]
で表される化合物。
[27] R
71は、メチル基であり、
R
72は、直鎖のC
3-5アルキレン基であり、
R
73は、メチル基、又はエチル基であり、
R
74は、塩素原子、又は水酸基である、
上記[26]に記載の化合物。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、摩擦耐久性に優れた表面処理層を形成することができるシラン化合物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。尚、単に「有機基」と示す場合、1価の有機基を意味する。また、「2価の有機基」とは、炭素を含有する2価の基を意味する。かかる2価の有機基としては、例えば、有機基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。3価以上の有機基も同様に、有機基から所定の数の水素原子を脱離させた基を意味する。
【0009】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、炭化水素から水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、C1-20炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。炭化水素基は、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0010】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員環のヘテロシクリル基、5~10員環の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員環のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
【0011】
本明細書において用いられる場合、「加水分解性基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、-NCO、ハロゲン(これら式中、Rhは、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0012】
本明細書において用いられる場合、「アリーレン基」とは、二価の芳香族基である。アリーレン基としては、単環芳香族基であっても、多環芳香族基であってもよい。アリーレン基は、例えば、二価の1~3環式芳香族基であり、具体的には、下記のようなベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレンから2個の水素原子を脱離させた二価の基が挙げられる。上記アリーレン基は、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。なお、結合位置は任意である。
【化9】
【0013】
本開示の化合物は、下記式(1)又は(2):
【化10】
[式中:
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化11】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
Hは、それぞれ独立して、水酸基、又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
X
Aは、それぞれ独立して、2~10価の有機基であり、
αは、1~9の整数であり、
βは、1~9の整数であり、
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表されるシラン化合物である。
【0014】
Si-O結合は、イオン結合性が高く、一般的に化学的安定性が低い。本開示のシラン化合物は、Si-O結合を、Si-C結合又はC-C結合に置き換えることにより、イオン結合性を低下させ、化学的安定性を向上させることができる。
【0015】
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化12】
[式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、又はナフチレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である。
【0016】
R3は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、-R6-O-R6-、-R8-R7-R8-、-R8-R7-R9-R7-R8-、-R8-R7-R9-R6-R9-R7-R8-、又は-R9-R6-R9-R7-R9-R6-R9-であり、好ましくは、C1-12アルキレン基、又は-R6-O-R6-である。
【0017】
R4は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、-R6-O-R6-、-R8-R7-R8-、-R8-R7-R9-R7-R8-、-R8-R7-R9-R6-R9-R7-R8-、又は-R9-R6-R9-R7-R9-R6-R9-である。
【0018】
一の態様において、R4は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、又は-R6-O-R6-である。
【0019】
別の態様において、R4は、それぞれ独立して、-R8-R7-R8-、-R8-R7-R9-R7-R8-、-R8-R7-R9-R6-R9-R7-R8-、又は-R9-R6-R9-R7-R9-R6-R9-である。
【0020】
一の態様において、R3は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、又は-R6-O-R6-であり、R4は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、又は-R6-O-R6-である。
【0021】
別の態様において、R3は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、又は-R6-O-R6-であり、R4は、それぞれ独立して、-R8-R7-R8-、-R8-R7-R9-R7-R8-、-R8-R7-R9-R6-R9-R7-R8-、又は-R9-R6-R9-R7-R9-R6-R9-である。
【0022】
上記C1-12アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。C1-12アルキレン基は、好ましくは、直鎖である。
【0023】
上記C1-12アルキレン基は、好ましくはC2-8アルキレン基、より好ましくはC2-6アルキレン基である。
【0024】
R6は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基である。上記C1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。C1-6アルキレン基は、好ましくは、直鎖である。
【0025】
上記C1-6アルキレン基は、好ましくはC2-4アルキレン基、より好ましくはC2-3アルキレン基である。
【0026】
好ましい態様において、複数のR6を含む基において、すべてのR6は、同じ基である。
【0027】
R7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基である。
【0028】
一の態様において、R
7は、それぞれ独立して、
【化13】
である。
【0029】
一の態様において、R7は、フェニレン基である。
【0030】
別の態様において、R7は、ナフチレン基である。
【0031】
上記アリーレン基は、置換基を有していてもよい。置換基の数は、特に限定されず、例えば1~4個、好ましくは1又は2個である。
【0032】
一の態様において、上記フェニレン基及びナフチレン基は、置換基を有していてもよい。置換基の数は、特に限定されず、例えば1~4個、好ましくは1又は2個である。置換されているフェニレン基としては、2,5-置換フェニレンが好ましい。
【0033】
上記アリーレン基に関する置換基は、それぞれ独立して、-R41-R42である。
【0034】
R41は、単結合、酸素原子、又は硫黄原子であり、好ましくは単結合又は酸素原子であり、より好ましくは酸素原子である。
【0035】
R42は、ハロゲンにより置換されていてもよいC1-12アルキル基、-(O-R43)p、-R44-R45、-R44-OR46である。
【0036】
上記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、好ましくはフッ素である。
【0037】
R42におけるC1-12アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。
【0038】
R43は、C1-6アルキレン基、好ましくはC2-4アルキレン基である。かかるアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。
【0039】
R44は、C1-12アルキレン基、好ましくはC1-6アルキレン基である。かかるアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。
【0040】
R45は、-CH=CH2、又は-OCOCH=CH2である。
【0041】
R46は、水素原子、又はC1-6アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。C1-6アルキル基は、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはC1-2アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0042】
R8は、それぞれ独立して、単結合、又はC1-6アルキレン基である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい
【0043】
一の態様において、R8は、単結合である。
【0044】
別の態様において、R8は、C1-6アルキレン基である。
【0045】
R9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子である。
【0046】
一の態様において、R9は、単結合である。
【0047】
別の態様において、R9は、酸素原子である。
【0048】
R5は、それぞれ独立して、炭化水素基である。かかる炭化水素基は、置換されていてもよい。
【0049】
R5は、それぞれ独立して、好ましくは非置換炭化水素基、又はハロゲン原子により置換されている炭化水素基である。かかるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
【0050】
R5は、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-18アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-18アルキル基又はアリール基である。
【0051】
上記C1-18アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。C1-18アルキル基は、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基、さらにより好ましくはメチル基である。
【0052】
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。
【0053】
一の態様において、R5は、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-4アルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0054】
別の態様において、R5は、フェニル基である。
【0055】
別の態様において、R5は、それぞれ独立して、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
【0056】
xは、0~200の整数、好ましくは0~100の整数、より好ましくは1~100の整数、さらに好ましくは5~50の整数、さらにより好ましくは10~30の整数である。
【0057】
一の態様において、xは0である。
【0058】
一の態様において、xは1~200、好ましくは1~100の整数、より好ましくは5~50の整数、さらに好ましくは10~30の整数である。
【0059】
yは、0~200の整数、好ましくは0~100の整数、より好ましくは1~100の整数、さらに好ましくは5~50の整数、さらにより好ましくは10~30の整数である。
【0060】
一の態様において、yは0である。
【0061】
一の態様において、yは1~200、好ましくは1~100の整数、より好ましくは5~50の整数、さらに好ましくは10~30の整数である。
【0062】
zは、0~200の整数、好ましくは0~100の整数、より好ましくは1~100の整数、さらに好ましくは5~50の整数、さらにより好ましくは10~30の整数である。
【0063】
一の態様において、zは0である。
【0064】
一の態様において、zは1~200、好ましくは1~100の整数、より好ましくは5~50の整数、さらに好ましくは10~30の整数である。
【0065】
RSは、ランダムポリマーであっても、ブロックポリマーであってもよい。
【0066】
R1は、炭化水素基である。
【0067】
R2は、それぞれ独立して、炭化水素基である。
【0068】
R1及びR2における炭化水素基は、置換されていてもよい。
【0069】
R1及びR2は、それぞれ独立して、好ましくは非置換炭化水素基、又はハロゲン原子により置換されている炭化水素基である。かかるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
【0070】
R1及びR2は、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-18アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-18アルキル基又はアリール基である。
【0071】
上記C1-18アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。C1-18アルキル基は、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基、さらにより好ましくはメチル基である。
【0072】
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。
【0073】
一の態様において、R1及びR2は、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-4アルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0074】
別の態様において、R1及びR2は、フェニル基である。
【0075】
別の態様において、R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
【0076】
RHは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、又は1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基であり、RH中には、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が1つ以上存在する。
【0077】
好ましい態様において、R
Hは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化14】
[式中:
R
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
12は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
n1は、(SiR
11
n1R
12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
X
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、
R
13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
R
14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11-SiR
11
n1R
12
3-n1であり、
R
15は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり、
R
a1は、それぞれ独立して、-Z
1-SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1であり;
Z
1は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
21は、それぞれ独立して、-Z
1’-SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’であり;
R
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
23は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
1’は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
21’は、それぞれ独立して、-Z
1”-SiR
22”
q1”R
23”
r1”であり;
R
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
23’は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
1”は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
R
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
23”は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
R
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
c1は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
ただし、式(S3)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在し、
R
d1は、それぞれ独立して、-Z
2-CR
31
p2R
32
q2R
33
r2であり、
Z
2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
31は、それぞれ独立して、-Z
2’-CR
32’
q2’R
33’
r2’であり、
R
32は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり、
R
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
R
32’は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり、
R
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
Z
3は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
R
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R
35は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
R
e1は、それぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり、
R
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。
ただし、式(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在し、
R
g1及びR
h1は、それぞれ独立して、-Z
4-SiR
11
n1R
12
3-n1、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、又は-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり、
Z
4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり、
ただし、式(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。]
で表される基である。
【0078】
上記式中、R11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0079】
R11は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0080】
R11は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0081】
上記式中、R12は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0082】
R12において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0083】
上記式中、n1は、(SiR11
n1R12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、式(S1)において、n1が1~3である(SiR11
n1R12
3-n1)単位が少なくとも2つ存在する。換言すれば、式(S1)において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0084】
n1は、(SiR11
n1R12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0085】
上記式中、X11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基である。かかる2価の有機基は、好ましくは-R28-Ox-R29-(式中、R28及びR29は、それぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、xは0又は1である。)である。かかるC1-20アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。かかるC1-20アルキレン基は、好ましくはC1-10アルキレン基、より好ましくはC1-6アルキレン基、さらに好ましくはC1-3アルキレン基である。
【0086】
一の態様において、X11は、それぞれ独立して、-C1-6アルキレン-O-C1-6アルキレン-又は-O-C1-6アルキレン-である。
【0087】
好ましい態様において、X11は、それぞれ独立して、単結合又は直鎖のC1-6アルキレン基であり、好ましくは単結合又は直鎖のC1-3アルキレン基、より好ましくは単結合又は直鎖のC1-2アルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖のC1-2アルキレン基である。
【0088】
上記式中、R13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基である。
【0089】
好ましい態様において、R13は、それぞれ独立して、水素原子又は直鎖のC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子又は直鎖のC1-3アルキル基、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0090】
上記式中、R15は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
【0091】
一の態様において、R15は、それぞれ独立して、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
【0092】
好ましい態様において、R15は、単結合である。
【0093】
上記式中、tは、それぞれ独立して、2以上の整数である。
【0094】
好ましい態様において、tは、それぞれ独立して、2~10の整数、好ましくは2~6の整数である。
【0095】
上記式中、R14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X11-SiR11
n1R12
3-n1である。かかるハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。好ましい態様において、R14は、水素原子である。
【0096】
一の態様において、式(S1)は、下記式(S1-a)である。
【化15】
[式中、
R
11、R
12、R
13、X
11、及びn1は、上記式(S1)の記載と同意義であり、
t1及びt2は、それぞれ独立して、1以上の整数、好ましくは1~10の整数、より好ましくは2~10の整数、例えば1~5の整数又は2~5の整数であり、
t1及びt2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0097】
好ましい態様において、式(S1)は、下記式(S1-b)である。
【化16】
[式中、R
11、R
12、R
13、X
11、n1及びtは、上記式(S1)の記載と同意義である]
【0098】
上記式中、Ra1は、それぞれ独立して、-Z1-SiR21
p1R22
q1R23
r1である。
【0099】
上記Z1は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1として記載する構造は、右側が(SiR21
p1R22
q1R23
r1)に結合する。
【0100】
好ましい態様において、Z1は、2価の有機基である。
【0101】
好ましい態様において、Z1は、Z1が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S2)において、(Si-Z1-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0102】
上記Z1は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1-O-(CH2)z2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0103】
好ましい態様において、Z1は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4-である。
【0104】
別の好ましい態様において、上記Z1は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1は、-CH2CH2-であり得る。
【0105】
上記R21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’である。
【0106】
上記Z1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)に結合する。
【0107】
好ましい態様において、Z1’は、2価の有機基である。
【0108】
好ましい態様において、Z1’は、Z1’が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S2)において、(Si-Z1’-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0109】
上記Z1’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1’-O-(CH2)z2’-(式中、z1’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3’-フェニレン-(CH2)z4’-(式中、z3’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0110】
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3’-フェニレン-(CH2)z4’-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4’-である。
【0111】
別の好ましい態様において、上記Z1’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CH2CH2-であり得る。
【0112】
上記R21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22”
q1”R23”
r1”である。
【0113】
上記Z1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1”として記載する構造は、右側が(SiR22”
q1”R23”
r1”)に結合する。
【0114】
好ましい態様において、Z1”は、2価の有機基である。
【0115】
好ましい態様において、Z1”は、Z1”が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S2)において、(Si-Z1”-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0116】
上記Z1”は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1”-O-(CH2)z2”-(式中、z1”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3”-フェニレン-(CH2)z4”-(式中、z3”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0117】
好ましい態様において、Z1”は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3”-フェニレン-(CH2)z4”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4”-である。Z1”がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0118】
別の好ましい態様において、上記Z1”は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1”は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CH2CH2-であり得る。
【0119】
上記R22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0120】
上記R22”は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0121】
上記R22”は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0122】
上記R23”は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0123】
上記R23”において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0124】
上記q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q1”とr1”の合計は、(SiR22”
q1”R23”
r1”)単位において、3である。
【0125】
上記q1”は、(SiR22”
q1”R23”
r1”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0126】
上記R22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0127】
R22’は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0128】
R22’は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0129】
上記R23’は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0130】
R23’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0131】
上記p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p’、q1’及びr1’の合計は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位において、3である。
【0132】
一の態様において、p1’は、0である。
【0133】
一の態様において、p1’は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1’は、3である。
【0134】
一の態様において、q1’は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0135】
一の態様において、p1’は0であり、q1’は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0136】
上記R22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0137】
R22は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0138】
R22は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0139】
上記R23は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0140】
R23において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0141】
上記p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p1、q1とr1の合計は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位において、3である。
【0142】
一の態様において、p1は、0である。
【0143】
一の態様において、p1は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1は、3である。
【0144】
一の態様において、q1は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0145】
一の態様において、p1は0であり、q1は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0146】
上記式中、Rb1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0147】
上記Rb1は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0148】
上記Rb1は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0149】
上記式中、Rc1は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0150】
上記Rc1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0151】
上記k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k1、l1とm1の合計は、(SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1)単位において、3である。
【0152】
一の態様において、k1は、(SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。好ましい態様において、k1は、3である。
【0153】
式(S2)において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0154】
好ましい態様において、式(S2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0155】
好ましい態様において、式(S2)で表される基は、-Z1-SiR22
q1R23
r1(式中、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1は、0~2の整数である。)、-Z1’-SiR22’
q1’R23’
r1’(式中、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1’は、0~2の整数である。)、又は-Z1”-SiR22”
q1”R23”
r1”(式中、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1”は、0~2の整数である。)のいずれか1つを有する。Z1、Z1’、Z1”、R22、R23、R22’、R23’、R22”、及びR23”は、上記と同意義である。
【0156】
好ましい態様において、式(S2)において、R21’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21’において、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0157】
好ましい態様において、式(S2)において、R21が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21において、p1’は、0であり、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0158】
好ましい態様において、式(S2)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、p1は、0であり、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0159】
好ましい態様において、式(S2)において、k1は2又は3、好ましくは3であり、p1は0であり、q1は2又は3、好ましくは3である。
【0160】
Rd1は、それぞれ独立して、-Z2-CR31
p2R32
q2R33
r2である。
【0161】
Z2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z2として記載する構造は、右側が(CR31
p2R32
q2R33
r2)に結合する。
【0162】
好ましい態様において、Z2は、2価の有機基である。
【0163】
好ましい態様において、Z2は、シロキサン結合を含まない。
【0164】
上記Z2は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5-O-(CH2)z6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7-フェニレン-(CH2)z8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0165】
好ましい態様において、Z2は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7-フェニレン-(CH2)z8-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8-である。Z2がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0166】
別の好ましい態様において、上記Z2は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z2は、-CH2CH2-であり得る。
【0167】
R31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’
q2’R33’
r2’である。
【0168】
Z2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z2’として記載する構造は、右側が(CR32’
q2’R33’
r2’)に結合する。
【0169】
好ましい態様において、Z2’は、シロキサン結合を含まない。
【0170】
上記Z2’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5’-O-(CH2)z6’-(式中、z5’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7’-フェニレン-(CH2)z8’-(式中、z7’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0171】
好ましい態様において、Z2’は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7’-フェニレン-(CH2)z8’-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8’-である。Z2’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0172】
別の好ましい態様において、上記Z2’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2’は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CH2CH2-であり得る。
【0173】
上記R32’は、それぞれ独立して、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2である。
【0174】
上記Z3は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z3として記載する構造は、右側が(SiR34
n2R35
3-n2)に結合する。
【0175】
一の態様において、Z3は酸素原子である。
【0176】
一の態様において、Z3は2価の有機基である。
【0177】
好ましい態様において、Z3は、シロキサン結合を含まない。
【0178】
上記Z3は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0179】
好ましい態様において、Z3は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8”-である。Z3がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0180】
別の好ましい態様において、上記Z3は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z3は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z3は、-CH2CH2-であり得る。
【0181】
上記R34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0182】
R34は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0183】
R34は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0184】
上記R35は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0185】
上記R35において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0186】
上記式中、n2は、(SiR34
n2R35
3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、式(S3)の末端部分においては、n2が1~3である(SiR34
n2R35
3-n2)単位が少なくとも2つ存在する。換言すれば、式(S3)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0187】
n2は、(SiR34
n2R35
3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0188】
上記R33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0189】
上記R33’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(CsH2s)t1-(O-CsH2s)t2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0190】
一の態様において、R33’は、水酸基である。
【0191】
別の態様において、R33’は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0192】
上記q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q2’とr2’の合計は、(CR32’
q2’R33’
r2’)単位において、3である。
【0193】
q2’は、(CR32’
q2’R33’
r2’)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0194】
R32は、それぞれ独立して、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2である。かかる-Z3-SiR34
n2R35
3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0195】
上記R33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0196】
上記R33において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(CsH2s)t1-(O-CsH2s)t2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0197】
一の態様において、R33は、水酸基である。
【0198】
別の態様において、R33は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0199】
上記p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p2、q2及びr2の合計は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位において、3である。
【0200】
一の態様において、p2は、0である。
【0201】
一の態様において、p2は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p2は、3である。
【0202】
一の態様において、q2は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0203】
一の態様において、p2は0であり、q2は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0204】
上記Re1は、それぞれ独立して、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2である。かかる-Z3-SiR34
n2R35
3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0205】
上記Rf1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0206】
上記Rf1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(CsH2s)t1-(O-CsH2s)t2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0207】
一の態様において、Rf1は、水酸基である。
【0208】
別の態様において、Rf1は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0209】
上記k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2及びm2の合計は、(CRd1
k2Re1
l2Rf1
m2)単位において、3である。
【0210】
一の態様において、n2が1~3、好ましくは2又は3、より好ましくは3である(SiR34
n2R35
3-n2)単位は、式(S3)の各末端部分において、2個以上、例えば2~27個、好ましくは2~9個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは3個存在する。
【0211】
好ましい態様において、式(S3)において、R32’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32’において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0212】
好ましい態様において、式(S3)において、R32が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0213】
好ましい態様において、式(S3)において、Re1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0214】
好ましい態様において、式(S3)において、k2は0であり、l2は2又は3、好ましくは3であり、n2は、2又は3、好ましくは3である。
【0215】
上記Rg1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z4-SiR11
n1R12
3-n1、-Z4-SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1、-Z4-CRd1
k2Re1
l2Rf1
m2である。ここに、R11、R12、Ra1、Rb2、Rc1、Rd1、Re1、Rf1、n1、k1、l1、m1、k2、l2、及びm2は、上記と同意義である。
【0216】
好ましい態様において、Rg1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z4-SiR11
n1R12
3-n1である。
【0217】
上記Z4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z4として記載する構造は、右側が(SiR11
n1R12
3-n1)に結合する。
【0218】
一の態様において、Z4は酸素原子である。
【0219】
一の態様において、Z4は2価の有機基である。
【0220】
好ましい態様において、Z4は、シロキサン結合を含まない。
【0221】
上記Z4は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0222】
好ましい態様において、Z4は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8”-である。Z3がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0223】
別の好ましい態様において、上記Z4は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z4は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z4は、-CH2CH2-であり得る。
【0224】
一の態様において、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)は、シロキサン結合を含まない。
【0225】
一の態様において、RHは、式(S1)、(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。
【0226】
一の態様において、RHは、式(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。
【0227】
一の態様において、RHは、式(S3)、又は(S4)で表される基である。
【0228】
一の態様において、RHは、式(S5)で表される基である。
【0229】
一の態様において、RHは、式(S1)で表される基である。好ましい態様において、式(S1)は、式(S1-b)で表される基である。好ましい態様において、式中、R13は、水素原子であり、X11は、単結合、又は-R28-Ox-R29-(式中、R28及びR29は、それぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、xは0又は1である。)であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0230】
一の態様において、RHは、式(S2)で表される基である。好ましい態様において、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0231】
一の態様において、RHは、式(S3)で表される基である。好ましい態様において、式(S3)は、-SiRa1
2Rc1、又は-SiRa1
3であり、Ra1は、-Z1-SiR22
q1R23
r1であり、Z1は、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1-O-(CH2)z2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、又は、-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、q1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0232】
一の態様において、RHは、式(S4)で表される基である。好ましい態様において、式(S4)は、-CRe1
2Rf1、又は-CRe1
3であり、Re1は、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2であり、Z3は、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n2は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0233】
一の態様において、RHは、式(S5)で表される基である。好ましい態様において、Rg1及びRh1は、-Z4-SiR11
n1R12
3-n1であり、Z4は、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0234】
XAは、主に撥水性等の機能を提供するシルアルキレン部(RS1又はRS2)と基材との結合能を提供するシラン部(RH)とを連結するリンカーと解される。従って、当該XAは、式(1)及び(2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの基であってもよい。
【0235】
式(1)において、αは1~9の整数であり、βは1~9の整数である。これらα及びβは、XAの価数に応じて変化し得る。α及びβの和は、XAの価数と同じである。例えば、XAが10価の有機基である場合、α及びβの和は10であり、例えばαが9かつβが1、αが5かつβが5、又はαが1かつβが9となり得る。また、XAが2価の有機基である場合、α及びβは1である。
【0236】
式(2)において、γは1~9の整数である。γは、XAの価数に応じて変化し得る。即ち、γは、XAの価数から1を引いた値である。
【0237】
XAは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基である。
【0238】
XAにおける2~10価の有機基は、好ましくは2~8価の有機基である。一の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは2~4価の有機基であり、より好ましくは2価の有機基である。別の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは3~8価の有機基、より好ましくは3~6価の有機基である。
【0239】
一の態様において、XAは、単結合又は2価の有機基であり、α、β、及びγは1である。
【0240】
一の態様において、XAは3~6価の有機基であり、αは1であり、βは2~5であり、γは2~5である。
【0241】
一の態様において、XAは、3価の有機基であり、αは1であり、βは2である。
【0242】
X
Aが、単結合又は2価の有機基である場合、式(1)及び(2)は、下記式(1’)及び(2’)で表される。
【化17】
【0243】
一の態様において、XAは2価の有機基である。
【0244】
一の態様において、XAとしては、例えば、下記式:
-(R51)p5-(X51)q5-
[式中:
R51は、単結合、-(CH2)s5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、好ましくは-(CH2)s5-であり、
s5は、1~20の整数、好ましくは1~15の整数、より好ましくは1~10の整数、さらにより好ましくは1~6の整数、例えば1~3の整数であり、あるいは、1~20の整数、好ましくは4~15の整数、より好ましくは7~13の整数であり、
X51は、-(X52)l5-であり、
X52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-CONR54-、-O-CONR54-、-NR54-及び-(CH2)n5-からなる群から選択される基であり、
R54は、それぞれ独立して、水素原子、又は1価の有機基であり、好ましくは水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)又は炭素数1~10のオキシアルキレン含有基であり、
n5は、それぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~15の整数、より好ましくは1~10の整数、さらにより好ましくは1~6の整数、例えば1~3の整数であり、
l5は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される2価の有機基が挙げられる。ここに、XA(典型的にはXAの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、XAは、これらの基により置換されていない。
【0245】
上記炭素数1~10のオキシアルキレン含有基は、-O-C1-10アルキレン-を含む基であり、例えば、-R55-(-O-C1-10アルキレン)n-R56(式中、R55は、単結合又は2価の有機基、好ましくはC1-6アルキレン基であり、nは任意の整数、好ましくは2~10の整数であり、R56は、水素原子又は1価の有機基、好ましくはC1-6アルキル基である。)である。上記アルキレン基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0246】
好ましい態様において、XAは、それぞれ独立して、-(R51)p5-(X51)q5-R52-である。R52は、単結合、-(CH2)t5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、好ましくは-(CH2)t5-である。t5は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R52(典型的にはR52の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R56は、これらの基により置換されていない。
【0247】
好ましくは、XAは、それぞれ独立して、
C1-20アルキレン基、
-R51-X53-R52-、又は
[式中、R51及びR52は、上記と同意義であり、
X53は、
-O-、
-S-、
-CO-、
-C(O)O-、
-CONR54-、
-O-CONR54-、
-O-(CH2)u5-CONR54-、
-O-(CH2)u5-CO-、又は
-CONR54-(CH2)u5-N(R54)-、
(式中、R54は、上記と同意義であり、
u5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。)である。]
であり得る。
【0248】
より好ましくは、XAは、それぞれ独立して、
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-、
-X53-(CH2)t5-、又は
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-
[式中、X53、s5及びt5は、上記と同意義である。]
である。
【0249】
好ましい態様において、XAは、それぞれ独立して、
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-、
-X53-(CH2)t5-又は
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-
[式中、
X53は、-O-、-CO-、-CONR54-、-O-CONR54-、-O-(CH2)u5-CONR54-、又は-O-(CH2)u5-CO-であり、
R54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)又は炭素数1~10のオキシアルキレン含有基であり、
s5、t5、及びu5は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0250】
好ましい態様において、XAは、それぞれ独立して、
-(CH2)s5-O-(CH2)t5-、
-(CH2)s5-CONR54-(CH2)t5-、
-(CH2)s5-O-(CH2)u5-CO-、又は
-(CH2)s5-O-(CH2)u5-CONR54-(CH2)t5-
[式中、
R54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)又は炭素数1~10のオキシアルキレン含有基であり、
s5、t5、及びu5は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0251】
好ましい態様において、XAは、C1-20アルキレン基、又は-(CH2)s5-CONH-(CH2)t5-である。
【0252】
一の態様において、XAは、C1-20アルキレン基である。
【0253】
別の態様において、XAは、-(CH2)s5-CONH-(CH2)t5-である。
【0254】
XAは、それぞれ独立して、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。一の態様において、XAは、非置換である。
【0255】
尚、上記XAは、各式の左側がRS1又はRS2に結合し、右側がRHに結合する。
【0256】
一の態様において、本開示のシラン化合物は、式(1)で表されるシラン化合物である。
【0257】
一の態様において、本開示のシラン化合物は、式(2)で表されるシラン化合物である。
【0258】
上記式(1)又は(2)で表されるシラン化合物は、特に限定されるものではないが、5×102~1×105の数平均分子量を有し得る。上記式(1)又は(2)で表されるシラン化合物は、好ましくは1,000~30,000、より好ましくは1,500~10,000の数平均分子量を有することが、摩耗耐久性の観点から好ましい。なお、かかる「数平均分子量」は、1H-NMRにより測定される値とする。
【0259】
上記シラン化合物は、例えば、シルアルキレン構造を有する化合物と、加水分解性シラン基を有する化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0260】
ポリシルアルキレンの合成は、例えば、シラシクロブタンの開環重合による方法が知られている(特開2015-54945号公報)。
【0261】
上記合成に用いられるモノマーとしては、シラシクロアルカン(環状シルアルキレン)を用いることができる。例えば、1,1-ジメチルシラシクロブタン、1,1-ジメチルシラシクロペンタン、1,1-ジメチルシラシクロヘキサン、4,4-ジメチル-1-オキサ-4-シラシクロヘキサン、1-エチル-1-メチルシラシクロブタン、1-メチル-1-プロピルシラシクロブタン、1-ブチル-1-メチルシラシクロブタン、1-ヘキシル-1-メチルシラシクロブタン、1-メチル-1-オクチルシラシクロブタン等が挙げられる。
【0262】
ポリシルアルキレンシロキサンの合成は、例えば、1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタンの重縮合、あるいは、2,2,5,5-テトラメチル-2,5-ジシラ-1-オキサシクロペンタンの開環重合による方法が知られている(Org. Lett., Vol. 8, No. 21, 2006, 4683)。
【0263】
上記の重縮合に用いられるモノマーとしては、ジクロロシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物を用いることができる。例えば、1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタン、1,3-ビス(クロロジメチルシリル)プロパン、1,6-ビス(クロロジメチルシリル)ヘキサン、1,8-ビス(クロロジメチルシリル)オクタン、1,2-ビス(メトキシジメチルシリル)エタン、1,3-ビス(メトキシジメチルシリル)プロパン、1,6-ビス(メトキシジメチルシリル)ヘキサン、1,8-ビス(メトキシジメチルシリル)オクタン等が挙げられる。
【0264】
上記の開環重合に用いるモノマーとしては、環状シルアルキレンシロキサン化合物を用いることができる。例えば、2,2,5,5-テトラメチル-2,5-ジシラ-1-オキサシクロペンタン、2,2,6,6-テトラメチル-2,6-ジシラ-1-オキサシクロヘキサン、2,2,4,4,6,6,8,8-オクタメチル-2,4,6,8-テトラシラ-1,5-ジオキサシクロオクタン等が挙げられる。
【0265】
上記開環重合、又は重縮合の後に、得られたポリシルアルキレン、またはポリシルアルキレンシロキサンを、反応性シラン基を有する化合物と反応させることにより、シルアルキレン構造を有する化合物の末端にオレフィンを導入することができる。反応性シラン基を有する化合物としては、モノクロロシラン化合物を用いることができる。
【0266】
上記モノクロロシラン化合物としては、例えば、下記に示すような、末端にオレフィン構造を有するモノクロロシラン化合物が挙げられる。
【0267】
【0268】
次いで、下記式(1a-1)又は(2a-1):
RS1-R61-CH=CH2 (1a-1)
CH2=CH-R61-RS2-R61-CH=CH2 (2a-1)
[式中、
RS1及びRS2は、式(1)及び(2)におけるRS1及びRS2と同意義であり、
R61は、単結合、又は二価の有機基である。]
で表される化合物と、式(4):
HSiR60
3 (4)
[式中、R60は、それぞれ独立して、ハロゲン原子(例えば、I、Br、Cl、F等)またはC1-6アルコキシ基である。]
で表される化合物と反応させて、下記式(1a-2)又は(2a-2):
RS1-R61-CH2CH2-SiR60
3 (1a-2)
R60
3Si-CH2CH2-R61-RS2-R61-CH2CH2-SiR60
3 (2a-2)
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。次いで、式(1a-2)又は(2a-2)で表される化合物と、下記式(5):
Hal-J-R62-CH=CH2 (5)
[式中:
Halは、ハロゲン原子(例えば、I、Br、Cl、F等)であり、
Jは、Mg、Cu、PdまたはZnであり、
R62は、結合、又はC1-12アルキレン基である。]
で表される化合物と反応させることにより、下記式(1a-3)又は(2a-3):
RS1-R61’-Si(R62-CH=CH2)3 (1a-3)
(CH=CH2-R62)3Si-R61’-RS2-R61’-Si(R62-CH=CH2)3 (2a-3)
[式中、
R61’は、二価の有機基であり、
他の記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。次いで、式(1a-3)又は(2a-3)で表される化合物と、下記式(6):
HSiR63
mR64
3-m (6)
[式中、
R63は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R64は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
mは、1~3である。]
で表される化合物と反応させることにより、式(1-1)又は(2-1):
RS1-R61’-Si(R62’-SiR63
mR64
3-m)3 (1-1)
(R63
mR64
3-mSi-R62’)3Si-R61’-RS2-R61’-Si(R62’-SiR63
mR64
3-m)3 (2-2)
[式中、
R62’は、C2-14アルキレン基であり、
他の記号は、上記と同意義である。]
で表されるシラン化合物を得ることができる。
【0269】
別の方法として、上記で得られたポリシルアルキレン、またはポリシルアルキレンシロキサンを、反応性シラン基を有する化合物と反応させることにより、シルアルキレン構造を有する化合物の末端にカルボニル基を導入することができる。
【0270】
反応性シラン基を有する化合物は、例えば、式:
R74Si(R71)2-R72-COOR73
[式中:
R71は、それぞれ独立して、ハロゲン原子に置換されていてもよい、C1-12アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基、さらに好ましくはメチル基であり、
R72は、ハロゲン原子に置換されていてもよい、C2-12アルキレン基、好ましくはC3-5アルキレン基であり、
R73は、水素原子、又はハロゲン原子に置換されていてもよい、C1-3アルキル基、好ましくはメチル基、又はエチル基であり、より好ましくはメチル基であり、
R74は、ハロゲン原子、水酸基、又は加水分解性基、好ましくはハロゲン原子、又は水酸基、より好ましくは塩素原子、又は水酸基である。]
で表される化合物である。上記アルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。上記アルキル基は、好ましくは非置換である。上記アルキレン基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。上記アルキレン基は、好ましくは非置換である。上記ハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子である。
【0271】
具体的には、上記反応性シラン基を有する化合物としては、下記に示すような、末端にエステル構造を有するモノクロロシランを有する化合物が挙げられる。
【化19】
【0272】
次いで、下記式(1b-1)又は(2b-1):
RS1-R61-COOR65 (1b-1)
R65OCO-R61-RS2-R61-COOR65 (2b-1)
[式中、
RS1及びRS2は、式(1)及び(2)におけるRS1及びRS2と同意義であり、
R61は、単結合、又は二価の有機基であり、
R65は、水素原子、又はC1-6アルキル基である。]
で表される化合物と、式(7):
NH2-R66-C(R62-CH=CH2)3 (7)
[式中、
R62は、単結合、又はC1-12アルキレン基であり、
R66は、単結合、又はC1-12アルキレン基である。]
で表される化合物と反応させて、下記式(1b-2)又は(2b-2):
RS1-R61-CONH-R66-C(R62-CH=CH2)3 (1b-2)
(CH=CH2-R62)3C-R66-NHCO-R61-RS2-R61-CONH-R66-C(R62-CH=CH2)3 (2b-2)
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。次いで、式(1b-2)又は(2b-2)で表される化合物と、下記式(6):
HSiR63
mR64
3-m (6)
[式中、
R63は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R64は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
mは、1~3である。]
で表される化合物と反応させることにより、式(1-2)又は(2-2):
RS1-R61-CONH-R66-C(R62’-SiR63
mR64
3-m)3 (1-2)
(R63
mR64
3-mSi-R62’)3C-R66-NHCO-R61-RS2-R61-CONH-R66-C(R62’-SiR63
mR64
3-m)3 (2-2)
[式中、
R62’は、C2-14アルキレン基であり、
他の記号は、上記と同意義である。]
で表されるシラン化合物を得ることができる。
【0273】
別の方法として、下記式(1b-1)又は(2b-1):
RS1-R61-COOR65 (1b-1)
R65OCO-R61-RS2-R61-COOR65 (2b-1)
[式中、
RS1及びRS2は、式(1)及び(2)におけるRS1及びRS2と同意義であり、
R61は、C1-12アルキレン基であり、
R65は、水素原子、又はC1-6アルキル基である。]
で表される化合物と、式(8):
HN(R62-CH=CH2)2 (8)
[式中、
R62は、C1-12アルキレン基である。]
で表される化合物と反応させて、下記式(1c-2)又は(2c-2):
RS1-R61-CON(R62-CH=CH2)2 (1c-2)
(CH=CH2-R62)2NCO-R61-RS2-R61-CON(R62-CH=CH2)2 (2c-2)
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。次いで、式(1c-2)又は(2c-2)で表される化合物と、下記式(6):
HSiR63
mR64
3-m (6)
[式中、
R63は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R64は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
mは、1~3である。]
で表される化合物と反応させることにより、式(1-3)又は(2-3):
RS1-R61-CON(R62’-SiR63
mR64
3-m)2 (1-3)
(R63
mR64
3-mSi-R62’)2NCO-R61-RS2-R61-CON(R62’-SiR63
mR64
3-m)2 (2-3)
[式中、
R62’は、C2-14アルキレン基であり、
他の記号は、上記と同意義である。]
で表されるシラン化合物を得ることができる。
【0274】
別の方法として、下記式(1b-1)又は(2b-1):
RS1-R61-COOR65 (1b-1)
R65OCO-R61-RS2-R61-COOR65 (2b-1)
[式中、
RS1及びRS2は、式(1)及び(2)におけるRS1及びRS2と同意義であり、
R61は、C1-12アルキレン基であり、
R65は、水素原子、又はC1-6アルキル基である。]
で表される化合物を、
M-R62-CH=CH2
[式中:
Mは、金属含有基、例えばLi、ハロゲン-Mg、又はZnであり、
R62は、C1-12アルキレン基である。]
で表される化合物と反応させて、下記式(1d-2)又は(2d-2):
RS1-R61-C(OH)(R62-CH=CH2)2 (1d-2)
(CH=CH2-R62)2(OH)C-R61-RS2-R61-C(OH)(R62-CH=CH2)2 (2d-2)
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。次いで、式(1d-2)又は(2d-2)で表される化合物と、下記式(6):
HSiR63
mR64
3-m (6)
[式中、
R63は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R64は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
mは、1~3である。]
で表される化合物と反応させることにより、式(1-4)又は(2-4):
RS1-R61-C(OH)(R62’-SiR63
mR64
3-m)2 (1-4)
(R63
mR64
3-mSi-R62’)2(OH)C-R61-RS2-R61-C(OH)(R62’-SiR63
mR64
3-m)2 (2-4)
[式中、
R62’は、C2-14アルキレン基であり、
他の各記号は、上記と同意義である。]
で表されるシラン化合物を得ることができる。
【0275】
別の方法として、下記式(1d-2)又は(2d-2):
RS1-R61-C(OH)(R62-CH=CH2)2 (1d-2)
(CH=CH2-R62)2(OH)C-R61-RS2-R61-C(OH)(R62-CH=CH2)2 (2d-2)
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物を、オレフィン化材、例えば、
R69-R68-CH=CH2
[式中、
R68は、C1-12アルキレン基であり、
R69は、ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、好ましくは臭素原子である。]
で表される化合物と反応させて、下記式(1e-1)又は(2e-1):
RS1-R61-C(OR68-CH=CH2)(R62-CH=CH2)2 (1e-1)
(CH=CH2-R62)2(CH=CH2-R68O)C-R61-RS2-R61-C(OR68-CH=CH2)(R62-CH=CH2)2 (2e-1)
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。次いで、式(1e-1)又は(2e-1)で表される化合物と、下記式(6):
HSiR63
mR64
3-m (6)
[式中、
R63は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R64は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
mは、1~3である。]
で表される化合物と反応させることにより、式(1-5)又は(2-5):
RS1-R61-C(OR62’-SiR63
mR64
3-m)(R62’-SiR63
mR64
3-m)2 (1-5)
(R63
mR64
3-mSi-R62’)2(SiR63
mR64
3-m-R62’O)C-R61-RS2-R61-C(OR62’-SiR63
mR64
3-m)(R62’-SiR63
mR64
3-m)2 (2-5)
[式中、
R62’は、それぞれ独立して、C2-14アルキレン基であり、
他の各記号は、上記と同意義である。]
で表されるシラン化合物を得ることができる。
【0276】
別の方法として、下記式(1d-2)又は(2d-2):
RS1-R61-C(OH)(R62-CH=CH2)2 (1d-2)
(CH=CH2-R62)2(OH)C-R61-RS2-R61-C(OH)(R62-CH=CH2)2 (2d-2)
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物を、ポリエーテル基導入剤、例えば
R78-R75-(OR76)x-R77
[式中、
R75は、C1-6アルキレン基であり、
R76は、C1-6アルキレン基であり、
R77は、水素原子、水酸基、又はC1-6アルキル基であり、
R78は、ハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子であり、
xは、0~20の整数である。]
で表される化合物と反応させて、下記式(1f-1)又は(2f-1):
RS1-R61-C(OR79)(R62-CH=CH2)2 (1d-2)
(CH=CH2-R62)2(R79O)C-R61-RS2-R61-C(OR79)(R62-CH=CH2)2 (2d-2)
[式中:
R79は、-R75-(OR76)x-R77であり、
他の各記号は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。次いで、式(1f-1)又は(2f-1)で表される化合物と、下記式(6):
HSiR63
mR64
3-m (6)
[式中、
R63は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
R64は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
mは、1~3である。]
で表される化合物と反応させることにより、式(1-6)又は(2-6):
RS1-R61-C(OR79)(R62’-SiR63
mR64
3-m)2 (1-6)
(R63
mR64
3-mSi-R62’)2(R79O)C-R61-RS2-R61-C(OR79)(R62’-SiR63
mR64
3-m)2 (2-6)
[式中、
R62’は、それぞれ独立して、C2-14アルキレン基であり、
他の各記号は、上記と同意義である。]
で表されるシラン化合物を得ることができる。
【0277】
本開示は、式(1)又は(2)で表される少なくとも1種のシラン化合物の製造中間体として下記を提供する。なお、下記式中、式(1)及び(2)と同じ記号は、式(1)及び(2)におけるものと同じものを示し、同様の態様を有する。
【0278】
式(1a-3)又は(2a-3):
R
S1-R
61’-Si(R
62-CH=CH
2)
3 (1a-3)
(CH=CH
2-R
62)
3Si-R
61’-R
S2-R
61’-Si(R
62-CH=CH
2)
3 (2a-3)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化20】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、又はナフチレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
61’は、二価の有機基である。]
で表される化合物。
【0279】
式(1b-1)又は(2b-1):
R
S1-R
61-COOR
65 (1b-1)
R
65OCO-R
61-R
S2-R
61-COOR
65 (2b-1)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化21】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、又はナフチレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又は二価の有機基であり、
R
65は、水素原子、又はC
1-6アルキル基である。]
で表される化合物。
【0280】
式(1b-2)又は(2b-2):
R
S1-R
61-CONR
67-R
66-C(R
62-CH=CH
2)
3 (1b-2)
(CH=CH
2-R
62)
3C-R
66-NR
67CO-R
61-R
S2-R
61-CONR
67-R
66-C(R
62-CH=CH
2)
3 (2b-2)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化22】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又は二価の有機基(好ましくは、C
1-12アルキレン基)であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
66は、単結合、又はC
1-12アルキレン基であり、
R
67は、水素原子、C
1-18アルキル基、アリール基、又はポリエーテル基である。]
で表される化合物。
【0281】
式(1c-2)又は(2c-2):
R
S1-R
61-CON(R
62-CH=CH
2)
2 (1c-2)
(CH=CH
2-R
62)
2NCO-R
61-R
S2-R
61-CON(R
62-CH=CH
2)
2 (2c-2)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化23】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又は二価の有機基(好ましくは、C
1-12アルキレン基)であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基である。]
で表される化合物。
【0282】
式(1d-2)又は(2d-2):
R
S1-R
61-C(OH)(R
62-CH=CH
2)
2 (1d-2)
(CH=CH
2-R
62)
2(OH)C-R
61-R
S2-R
61-C(OH)(R
62-CH=CH
2)
2 (2d-2)
[式中、
R
S1は、それぞれ独立して、R
1-R
S-SiR
2
2-であり、
R
S2は、-R
S-SiR
2
2-であり、
R
Sは、それぞれ独立して、下記式:
【化24】
(式中:
R
3は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
4は、それぞれ独立して、C
1-12アルキレン基、-R
6-O-R
6-、-R
8-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
7-R
8-、-R
8-R
7-R
9-R
6-R
9-R
7-R
8-、又は-R
9-R
6-R
9-R
7-R
9-R
6-R
9-であり、
R
6は、それぞれ独立して、C
1-6アルキレン基であり、
R
7は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基であり、
R
8は、それぞれ独立して、単結合、又はC
1-6アルキレン基であり、
R
9は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
R
5は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
1は、炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R
61は、単結合、又は二価の有機基(好ましくは、C
1-12アルキレン基)であり、
R
62は、単結合、又はC
1-12アルキレン基である。]
で表される化合物。
【0283】
上記式中、R61は、二価の有機基である。一の態様において、R61は、単結合である。別の態様において、R61は、二価の有機基である。上記二価の有機基としては、好ましくは、C0-12アルキレン基-CONH-C0-12アルキレン基、又はC1-12アルキレン基である。
【0284】
上記式中、R61’は、二価の有機基である。一の態様において、R61’は、C0-12アルキレン基-CONH-C2-14アルキレン基、又はC2-14アルキレン基である。
【0285】
上記式中、R62は、単結合、又はC1-12アルキレン基である。
【0286】
上記式中、R65は、水素原子、又はC1-6アルキル基である。
【0287】
上記式中、R66は、水素原子、又はC1-6アルキル基である。
【0288】
R67は、水素原子、C1-18アルキル基、アリール基、又はポリエーテル基である。
【0289】
次に、本発明の表面処理剤について説明する。
【0290】
本開示の表面処理剤は、式(1)又は(2)で表される少なくとも1種のシラン化合物を含有する。
【0291】
一の態様において、本開示の表面処理剤中、シラン化合物は、式(1)で表される化合物である。
【0292】
別の態様において、本開示の表面処理剤中、シラン化合物は、式(2)で表される化合物である。
【0293】
別の態様において、本開示の表面処理剤中、シラン化合物は、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物である。
【0294】
本開示の表面処理剤中、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との合計に対して、式(2)で表される化合物が、好ましくは0.1モル%以上35モル%以下である。式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との合計に対する式(2)で表される化合物の含有量の下限は、好ましくは0.1モル%、より好ましくは0.2モル%、さらに好ましくは0.5モル%、さらにより好ましくは1モル%、特に好ましくは2モル%、特別には5モル%であり得る。式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との合計に対する式(2)で表される化合物の含有量の上限は、好ましくは35モル%、より好ましくは30モル%、さらに好ましくは20モル%、さらにより好ましくは15モル%又は10モル%であり得る。式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との合計に対する式(2)で表される化合物は、好ましくは0.1モル%以上30モル%以下、より好ましくは0.1モル%以上20モル%以下、さらに好ましくは0.2モル%以上10モル%以下、さらにより好ましくは0.5モル%以上10モル%以下、特に好ましくは1モル%以上10モル%以下、例えば2モル%以上10モル%以下又は5モル%以上10モル%以下である。
【0295】
一の態様において、上記の式(1)又は(2)で表される化合物の含有量は、表面処理剤全体に対して、好ましくは0.1~50.0質量%、より好ましくは1.0~30.0質量%、さらに好ましくは5.0~25.0質量%、特に好ましくは10.0~20.0質量%であり得る。
【0296】
別の態様において、上記の式(1)又は(2)で表される化合物の含有量は、表面処理剤全体に対して、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.01~10質量%、さらに好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.05~2質量%であり得る。
【0297】
一の態様において、本開示の表面処理剤は、本開示のシラン化合物、及び本開示のシラン化合物の少なくとも一部が縮合した縮合体の少なくとも1つを含有する。
【0298】
本開示の表面処理剤は、溶媒、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、アミン化合物、アルコール類、触媒、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
【0299】
上記溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシロキサン類;1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシド、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、ゼオローラH、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、HFE7100、HFE7200、HFE7300、CF3CH2OH、CF3CF2CH2OH、(CF3)2CHOH等のフッ素含有溶媒等が挙げられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。
【0300】
シリコーンオイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3a):
R1a-(SiR3a
2-O)a1-SiR3a
2-R1a ・・・(3a)
[式中:
R1aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基であり、
R3aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基であり、
a1は、2~3000である。]
で表される化合物が挙げられる。
【0301】
上記R3aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基である。かかる炭化水素基は、置換されていてもよい。
【0302】
R3aは、それぞれ独立して、好ましくは非置換炭化水素基、又はハロゲン原子により置換されている炭化水素基である。かかるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
【0303】
R3aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基又はアリール基である。
【0304】
上記C1-6アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖
である。C1-6アルキル基は、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0305】
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。
【0306】
一の態様において、R3aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0307】
別の態様において、R3aは、フェニル基である。
【0308】
別の態様において、R3aは、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
【0309】
上記R1aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基であり、上記R3aと同意義である。
【0310】
R1aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基又はアリール基である。
【0311】
一の態様において、R1aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0312】
別の態様において、R1aは、フェニル基である。
【0313】
別の態様において、R1aは、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
【0314】
上記a1は、2~1500である。a1は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、例えば30以上、又は50以上であり得る。a1は、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下、さらにより好ましくは150以下、例えば100以下、又は80以下であり得る。
【0315】
a1は、好ましくは5~1000、より好ましくは10~500、さらに好ましくは15~200、さらにより好ましくは15~150であり得る。
【0316】
別のシリコーンオイルとしては、下記(3b):
R1a-RS2-R3a ・・・(3b)
[式中:
R1aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
R3aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
RS2は、式(2)の記載と同意義である。]
で表される化合物が挙げられる。
【0317】
上記シリコーンオイルは、500~1000000、好ましくは1000~100000の平均分子量を有していてよい。シリコーンオイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
【0318】
上記シリコーンオイルとしては、例えば-(SiR3a
2-O)a1―のa1が30以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得ることができる。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0319】
上記シリコーンオイルは、本開示の表面処理剤に対して、例えば0~50質量%、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.1~5質量%含まれ得る。
【0320】
本開示の表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、上記本開示のシラン化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~300質量部、好ましくは0~100質量部、より好ましくは0~50質量部、更に好ましくは0~10質量部で含まれ得る。
【0321】
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0322】
上記アルコール類としては、例えば1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、tert-ブタノール、CF3CH2OH、CF3CF2CH2OH、(CF3)2CHOHが挙げられる。これらのアルコール類を表面処理剤に添加することにより、表面処理剤の安定性を向上させ、また、パーシラン化合物と溶媒の相溶性を改善させる。
【0323】
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B、Si、Ta、Nb、Mo、W、Cr、Hf、V等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)等が挙げられる。
【0324】
上記脂肪族アミン化合物としては、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン等を挙げることができる。上記芳香族アミン化合物としては、例えば、アニリン、ピリジン等を挙げることができる。
【0325】
好ましい態様において、上記遷移金属は、M-R(式中、Mは、遷移金属原子であり、Rは加水分解性基である。)で表される遷移金属化合物として含まれる。遷移金属化合物を、遷移金属と加水分解性基とが結合した化合物とすることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性をさらに向上させることができる。
【0326】
上記加水分解性基とは、上記シラン化合物に関する加水分解性基と同様に、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、遷移金属原子から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-ORm、-OCORm、-O-N=CRm
2、-NRm
2、-NHRm、-NCO、ハロゲン(これら式中、Rmは、置換または非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
【0327】
好ましい態様において、上記加水分解性基とは、-ORmであり、好ましくはメトキシまたはエトキシである。加水分解性基としてアルコキシ基を用いることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性をさらに向上させることができる。
【0328】
一の態様において、上記加水分解性基は、上記したシラン化合物に含まれる加水分解性基と同じであってもよい。シラン化合物と遷移金属化合物における加水分解性基を同じ基とすることにより、かかる加水分解性基が相互に交換された場合であっても、その影響を小さくすることができる。
【0329】
別の態様において、上記加水分解性基は、上記したシラン化合物に含まれる加水分解性基と異なっていてもよい。シラン化合物と遷移金属化合物における加水分解性基を異なるものとすることにより、加水分解の反応性を制御することができる。
【0330】
一の態様において、上記加水分解性基と、上記シラン化合物に含まれる加水分解性基は、表面処理剤中において、相互に入れ替わっていてもよい。
【0331】
好ましい態様において、上記遷移金属化合物は、Ta(ORm)5であり、好ましくはTa(OCH2CH3)5であり得る。
【0332】
上記触媒は、表面処理剤全体に対して、例えば、0.0002質量%以上含まれ得る。上記触媒は、表面処理剤全体に対して、0.02質量%以上含まれることが好ましく、0.04質量%以上含まれることがより好ましい。上記触媒は、表面処理剤全体に対して、例えば、10質量%以下含まれてもよく、特に1質量%以下含まれる。本開示の表面処理剤は、上記触媒が、上記のような濃度含むことによって、より耐久性の良好な表面処理層の形成に寄与し得る。
【0333】
上記触媒の含有量は、本開示のシラン化合物に対して0~10質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%が特に好ましい。
【0334】
触媒は、本開示のシラン化合物の加水分解及び脱水縮合を促進し、本開示の表面処理剤により形成される層の形成を促進する。
【0335】
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
【0336】
本開示の表面処理剤は、上記した成分に加え、不純物として、例えばPt、Rh、Ru、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリフェニルホスフィン、NaCl、KCl、シランの縮合物などを微量含み得る。
【0337】
一の態様において、本開示の表面処理剤は、乾燥被覆法、好ましくは真空蒸着用である。
【0338】
一の態様において、本開示の表面処理剤は、湿潤被覆法、好ましくは浸漬コーティング用である。
【0339】
本開示の表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
【0340】
以下、本開示の物品について説明する。
【0341】
本開示の物品は、基材と、該基材表面に本開示の表面処理剤より形成された層(表面処理層)とを含む。
【0342】
本開示において使用可能な基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然又は合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよい)、金属、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、衛生用品、任意の適切な材料で構成され得る。
【0343】
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラス又は透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(又は膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層及び多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti2O3、Ti2O5、Al2O3、Ta2O5、Ta3O5,Nb2O5、HfO2、Si3N4、CeO2、MgO、Y2O3、SnO2、MgF2、WO3などが挙げられる。これらの無機物は、単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiO2及び/又はSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I-CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、及び液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
【0344】
上記基材の形状は、特に限定されず、例えば、板状、フィルム、その他の形態であってよい。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途及び具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
【0345】
一の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜又は熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入又は増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素-炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア-ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
【0346】
別の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi-H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
【0347】
好ましい態様において、上記基材はガラスである。かかるガラスとしては、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、及び化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
【0348】
本開示の物品は、上記基材の表面に、上記の本開示の表面処理剤の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の表面処理剤から層を形成することにより製造することができる。
【0349】
本開示の表面処理剤の層形成は、上記表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用できる。
【0350】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ワイプコーティング、スキージーコート法、ダイコート、インクジェット、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法及び類似の方法が挙げられる。
【0351】
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVD及び類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム及び類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVD及び類似の方法が挙げられる。
【0352】
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0353】
湿潤被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。本開示の組成物の安定性及び溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C6F13CH2CH3(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(C3F7OCH3)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(C4F9OCH3)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(C4F9OC2H5)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(C2F5CF(OCH3)C3F7)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分枝状であってよい)、あるいはCF3CH2OCF2CHF2(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000))、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン等のシロキサン類など。これらの溶媒は、単独で、又は、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテルが好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(C4F9OCH3)及び/又はパーフルオロブチルエチルエーテル(C4F9OC2H5)が特に好ましい。
【0354】
乾燥被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、又は、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
【0355】
表面処理剤の層形成は、層中で本開示の表面処理剤が、加水分解及び脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
【0356】
触媒には、任意の適切な酸又は塩基、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)等を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン等の有機アミン類などを使用できる。遷移金属、脂肪族アミン化合物、及び芳香族アミン化合物は、上記と同様のものが挙げられる。
【0357】
本開示の物品に含まれる表面処理層は、高い摩耗耐久性の双方を有する。また、上記表面処理層は、高い摩耗耐久性に加えて、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(又は潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)、耐薬品性などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
【0358】
従って、本開示はさらに、上記表面処理層を最外層に有する光学材料にも関する。
【0359】
光学材料としては、後記に例示するようなディスプレイ等に関する光学材料のほか、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例えば、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイ又はそれらのディスプレイの保護板、又はそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
【0360】
本開示の物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu-ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD-R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
【0361】
また、本開示の物品は、医療機器又は医療材料であってもよい。また、本開示によって得られる層を有する物品は、自動車内外装部材であってもよい。外装材の例には、次のものが挙げられる:ウィンドウ、ライトカバー、社外カメラカバー。内装材の例には、次のものが挙げられる:インパネカバー、ナビゲーションシステムタッチパネル、加飾内装材。
【0362】
上記層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、上記層の厚さは、1~50nm、1~30nm、好ましくは1~15nmの範囲であることが、光学性能、摩耗耐久性及び防汚性の点から好ましい。
【0363】
以上、本開示の化合物、組成物、及び物品について詳述した。なお、本開示の化合物、組成物、及び物品などは、上記で例示したものに限定されない。
【実施例】
【0364】
以下、本開示について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0365】
(合成例0)
ガラス製容器に、1,1-ジメチルシラシクロブタン(3.75g)、THF(3.75g)、n-ヘキサン(3.75g)を添加した。この反応液を、-50℃まで冷却し、n-ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.82mL)を添加し、1時間攪拌して重合反応を行った。その後、アリルクロロジメチルシラン(0.52g)を加え、同温にて30分攪拌した。得られた反応液を室温まで昇温し、水、トルエンを加え、分液抽出した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、ろ液を濃縮、乾燥させ、下記のポリシルアルキレン基含有化合物(A)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH=CH2(3.84g、Mw:4468、Mw/Mn:1.43)を得た。
【0366】
【0367】
1H NMR (C6D6, 400 MHz) δ[ppm]: 0.01-0.14 (m), 0.04-0.15 (m), 0.47-0.56 (m), 0.56-0.85 (m), 0.88-0.97 (m), 1.23-1.40 (m), 1.41-1.58 (m), 1.59-1.71 (m), 4.82-5.00 (m), 5.69-5.89 (m).
【0368】
(実施例)
(合成例1)
合成例0で得られた化合物(A)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH=CH2を1.51g、トルエンを1.5mL、トリアセトキシメチルシランを0.023g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.1mL、それぞれ加えた後、トリクロロシランを0.4mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、トルエン1.2mLを加え、氷浴で5℃以下まで冷却し、アリルマグネシウムクロリド (テトラヒドロフラン溶液, 約1.0mol/L)を4mL加えて、室温で一昼夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、下記のポリシルアルキレン基含有化合物(B)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH2CH2Si(CH2CH=CH2)3 1.25gを得た。
【0369】
【0370】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.209-0.166 (m), 0.371-0.739 (m), 0.861-0.989 (m), 1.211-1.403 (m), 1.432-1.722 (m), 4.799-5.090 (m), 5.723-5.832 (m)
【0371】
(合成例2)
合成例1で得られたポリシルアルキレン基含有化合物(B)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH2CH2Si(CH2CH=CH2)3を1.22g、トルエンを1.2ml、トリアセトキシメチルシランを0.015g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.084g、それぞれ加えた後、トリクロロシランを0.4mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、トルエン1.2mLを加え、メタノール0.06g、オルトギ酸トリメチル1.24gの混合溶液を加えた後、50℃に加熱し3時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記のポリシルアルキレン基含有化合物(C)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH2CH2Si(CH2CH2CH2Si(OCH3)3)3 1.19gを得た。
【0372】
ポリシルアルキレン基含有化合物(C)
【化27】
(n≒50)
【0373】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.211-0.090 (m), 0.368-0.607 (m), 0.645-0.734 (m), 0.859-0.894 (t), 0.928-0.965 (t), 1.109-1.386 (m), 1.418-1.677 (m), 3.421-3.760 (m)
【0374】
(合成例3)
1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタンを5g、トルエンを1.5mL、水を0.84mL、それぞれ加えた後、100℃に加熱し8時間撹拌して重縮合反応を行った。精製を行った後、アリルクロロジメチルシラン3.13gおよびピリジン2.76gを加え、室温にて30分攪拌した。得られた反応液を減圧濃縮し、アセトニトリルで洗浄することにより下記のポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(D)CH2=CHCH2(CH3)2SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH=CH2 3.5gを得た。
【0375】
ポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(D)
【化28】
(n≒25)
【0376】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.094-0.292 (m), 0.346-0.788 (m), 1.533-1.573 (d), 4.837-4.905 (m), 5.738-5.846 (m)
【0377】
(合成例4)
合成例3で得られたポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(D)CH2=CHCH2(CH3)2SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH=CH2を2.0g、トルエンを2.0mL、トリアセトキシメチルシランを0.013g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.1mL、それぞれ加えた後、トリクロロシランを0.4mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、トルエン2.0mLを加え、氷浴で5℃以下まで冷却し、アリルマグネシウムクロリド (テトラヒドロフラン溶液, 約1.0mol/L)を8.0mL加えて、室温で一昼夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、下記のポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(E)(CH2=CHCH2)3SiCH2CH2CH2(CH3)2SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2Si(CH2CH=CH2)3 2.00gを得た。
【0378】
ポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(E)
【化29】
(n≒25)
【0379】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.114-0.263 (m), 0.393-0.415 (m), 0.585-0.678 (m), 1.255-1.434 (m), 1.535-1.593 (m), 4.842-5.037 (m), 5.734-5.837 (m)
【0380】
(合成例5)
合成例4で得られたポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(E)(CH2=CHCH2)3SiCH2CH2CH2(CH3)2SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2Si(CH2CH=CH2)3を1.97g、トルエンを1.2ml、トリアセトキシメチルシランを0.017g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.084g、それぞれ加えた後、トリクロロシランを0.4mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、トルエン1.2mLを加え、メタノール0.11g、オルトギ酸トリメチル1.50gの混合溶液を加えた後、50℃に加熱し3時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記のポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(F)((CH3O)3SiCH2CH2CH2)3SiCH2CH2CH2(CH3)2SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2Si(CH2CH2CH2Si(OCH3)3)3 2.02gを得た。
【0381】
ポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(F)
【化30】
(n≒25)
【0382】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]:-0.122-0.174 (m), 0.313-0.440 (m), 0.472-0.744(m), 0.855-1.030 (m), 1.247-1.701 (m), 3.421-3.474 (m), 3.497-3.641 (m)
【0383】
(合成例6)
トリエチルシラノールを0.085g、1、5、7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.049g、テトラヒドロフランを15.6mL、それぞれ加えた後、2、2、5、5-テトラメチル-1、2、5-オキサジシロラン5.02gを仕込み、30℃で3時間攪拌した。安息香酸を0.11g加え、精製を行った後、THF5mLを加え、アリルクロロジメチルシラン0.94mLおよびピリジン0.81mLを加え、30℃で15分攪拌した。得られた反応液を減圧濃縮し、アセトニトリルで洗浄することにより下記のポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(G)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH=CH2 3.84gを得た。
【0384】
ポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(G)
【化31】
(n≒32)
【0385】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]:0.004-0.277 (m), 0.332-0.575 (m), 0.911-0.950 (t), 1.542-1.590 (m), 4.800-4.895 (m), 5.730-5.838 (m)
【0386】
(合成例7)
合成例6で得られたポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(G)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH=CH2を2.01g、トルエンを2.0mL、トリアセトキシメチルシランを0.013g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.075g、それぞれ加えた後、トリクロロシランを0.5mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、トルエン2.0mLを加え、氷浴で5℃以下まで冷却し、アリルマグネシウムクロリド (テトラヒドロフラン溶液, 約1.0mol/L)を8.0mL加えて、室温で一昼夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、下記のポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(H)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2Si(CH2CH=CH2)3 1.95gを得た。
【0387】
ポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(H)
【化32】
(n≒32)
【0388】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]:-0.115-0.185 (m), 0.321-0.678 (m), 0.903-0.942 (t), 1.255-1.432 (m), 1.511-1.677 (m), 4.797-4.902 (m), 5.727-5.841 (m)
【0389】
(合成例8)
合成例7で得られたポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(H)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2Si(CH2CH=CH2)3を1.91g、トルエンを2.0ml、トリアセトキシメチルシランを0.0098g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.17g、それぞれ加えた後、トリクロロシランを0.5mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、トルエン2.0mLを加え、メタノール0.11g、オルトギ酸トリメチル2.37gの混合溶液を加えた後、50℃に加熱し3時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記のポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(I)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2Si(CH2CH2CH2Si(OCH3)3)3 2.06gを得た。
【0390】
ポリシルアルキレンシロキサン基含有化合物(I)
【化33】
(n≒32)
【0391】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]:-0.117-0.182 (m), 0.322-0.750 (m), 0.901-0.941 (t), 1.227-1.621 (m), 3.376-3.646 (m)
【0392】
(合成例9)
ガラス製密閉反応容器に、カルステッド(Karstedt’s)触媒(44.9mg)、4-ペンテン酸メチル(9.93g)、クロロジメチルシラン(10.09g)を加え、50℃で5分撹拌した。得られた反応液を700Pa~800Paに減圧下で蒸留し、下記の化合物(J)5-(クロロジメチルシリル)ペンタン酸メチル10.5gを得た。
【0393】
5-(クロロジメチルシリル)ペンタン酸メチル(J)
【化34】
【0394】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: δ0.36 (s, 6H) , 0.78-0.82 (m, 2H) , 1.36-1.44 (m, 2H) , 1.62 (q, J=7.6Hz, 2H) , 2.26 (t, J=8.0Hz, 2H), 3.58 (s, 3H)
【0395】
(合成例10)
トリエチルシラノールを0.84g、1、5、7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.22g、テトラヒドロフランを50mL、それぞれ加えた後、2、2、5、5-テトラメチル-1、2、5-オキサジシロラン23.5mLを仕込み、30℃で3時間攪拌した。ピリジンを2.96gと合成例9で得られた5-(クロロジメチルシリル)ペンタン酸メチルを5.21g加え、室温で12時間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、シリカゲルカラムにより精製を行うことにより化合物(L)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2COOCH3(3.35g)を得た。繰り返し単位数nの平均値は、20である。
【0396】
【0397】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]:-0.04-0.19 (m), 0.36-0.44 (m), 0.47-0.59 (m), 0.90-94 (t), 1.30-1.44 (m), 1.61-1.69 (m), 2.29-2.34 (m), 3.66-3.67 (m)
【0398】
(合成例11)
合成例10で得られた化合物(L)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2COOCH3を3.0g、テトラヒドロフランを6g、水を25g、水酸化リチウムを混合し、50℃で終夜撹拌した。その後、塩酸で洗浄し、減圧濃縮することで、(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2COOHを得た。続いて4-[2,2-ジ(2-プロピレニル)]ペンテニルアミンを1.28g、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を1.49g、ジクロロメタンを6.5g、それぞれ混合し、室温で終夜攪拌した。その後、精製を行うことにより、化合物(M)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CONHCH2C(CH2CH=CH2)3(3.23g)を得た。繰り返し単位数nの平均値は60である。
【0399】
【0400】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]:-0.05-0.05 (m), 0.34-0.40 (m), 0.43-0.51 (m), 0.87-0.90 (t), 1.07-1.15 (m), 1.18-1.35 (m), 1.58-1.77 (m), 2.14-2.20 (m), 2.24-2.32 (m), 5.01-5.08 (m), 5.74-5.88 (m)
【0401】
(合成例12)
合成例11で得られた化合物(M)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CONHCH2C(CH2CH=CH2)3を1.01g、トルエンを1、74g、ピリジンを0.05mL、カールシュテッド触媒のキシレン溶液を0.10g、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを0.4mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する化合物(N)(CH3CH2)3SiO(Si(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2O)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CONHCH2C(CH2CH2CH2Si(OCH3)3)3(1.08g)を得た。
【0402】
【0403】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]:-0.06-0.18 (m), 0.36-0.47 (m), 0.49-0.62 (m), 0.90-0.94 (t), 1.15-1.40 (m), 1.62-1.80 (m), 2.14-2.23 (m), 3.48-3.62 (m)
【0404】
(合成例13)
ガラス製容器に、1,1-ジメチルシラシクロブタン7.60g)、THF(7.60g)、n-ヘキサン(7.60g)を添加した。この反応液を、-50℃まで冷却し、n-ブチルリチウム/ヘキサン溶液(3.69mL)を添加し、1時間攪拌して重合反応を行った。その後、5-(クロロジメチルシリル)ペンタン酸メチル(1.64g)を加え、同温にて30分攪拌した。得られた反応液を室温まで昇温し、水、トルエンを加え、分液抽出した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、ろ液を濃縮、乾燥させたのち、ヘキサンを展開溶媒としてシリカゲルカラムにて精製を行うことにより、下記のポリシルアルキレン基含有化合物(P)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2COOCH3(2.60g、Mw:5652、Mw/Mn:1.31)を得た。
【0405】
【0406】
1H NMR (C6D6, 400 MHz) δ[ppm]: 0.01-0.14 (m), 0.04-0.15 (m), 0.47-0.56 (m), 0.56-0.85 (m), 0.88-0.97 (m), 1.23-1.40 (m), 1.41-1.58 (m), 1.59-1.71 (m), 2.29-2.34 (m), 3.66-3.67 (m)
【0407】
(合成例14)
合成例13で得られた化合物(P)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2COOCH3を2.0g、テトラヒドロフランを2.5g、水を11g、水酸化リチウムを混合し、50℃で終夜撹拌した。その後、塩酸で洗浄し、減圧濃縮することで、CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2COOHを得た。続いて4-[2,2-ジ(2-プロピレニル)]ペンテニルアミンを0.53g、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を0.62g、ジクロロメタンを2.7g、それぞれ混合し、室温で終夜攪拌した。その後、精製を行うことにより、化合物(Q)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CONHCH2C(CH2CH=CH2)3(2.15g、Mw:6769、Mw/Mn:1.37)を得た。
【0408】
【0409】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.209-0.166 (m), 0.371-0.739 (m), 0.861-0.989 (m), 1.211-1.403 (m), 1.432-1.722 (m), 2.14-2.20 (m), 2.24-2.32 (m), 5.01-5.08 (m), 5.74-5.88 (m)
【0410】
(合成例15)
合成例14で得られた化合物(Q)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CONHCH2C(CH2CH=CH2)3を2.00g、トルエンを2.0g、ピリジンを0.05mL、カールシュテッド触媒のキシレン溶液を0.11g、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを0.4mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する化合物(R)CH3CH2CH2CH2(Si(CH3)2CH2CH2CH2)nSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CONHCH2C(CH2CH2CH2Si(OCH3)3)3(1.08g、Mw:7586、Mw/Mn:1.35)を得た。
【0411】
【0412】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.211-0.090 (m), 0.368-0.607 (m), 0.645-0.734 (m), 0.859-0.894 (t), 0.928-0.965 (t), 1.109-1.386 (m), 1.418-1.677 (m), 2.14-2.23 (m), 3.48-3.62 (m)
【0413】
比較例1
比較化合物として、下記化合物(O)を準備した。
【化41】
【0414】
<表面処理層の形成>
上記で得られた化合物(C)、(F)、(I)、(N)及び(R)、ならびに比較化合物(O)を20wt%の1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン溶液となるよう希釈し、表面処理剤1~6を得た。上記で調製した表面処理剤1~6を、化学強化ガラス(コーニング社製、ゴリラガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。
具体的には、真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに表面処理剤0.1gを充填し、真空蒸着装置内を圧力3.0×10-3Pa以下に排気した。その後、電子線蒸着方式により二酸化ケイ素を7nmの厚さで蒸着させて二酸化ケイ素膜を形成し、続いて抵抗加熱方式によりボートを加熱することで表面処理層を形成した。
【0415】
<評価>
[耐摩耗性評価]
耐摩耗試験後の水の静的接触角が高いほど、摩擦による性能の低下が小さく、耐摩耗性に優れる。
(初期評価)
初期評価(摩擦回数0回)として、表面処理層の形成後、表面上の余剰分を拭き上げたのちに、水の静的接触角を測定した。
(耐摩耗性試験後の評価)
形成された表面処理層に対して、ラビングテスター(井元製作所社製)を用いて、下記条件で摩擦子を往復させた。所定の摩擦回数において、水の静的接触角を測定した。結果は下記表に示す。
摩擦子:ベンコット M-3II(製品名、旭化成社製)
移動距離(片道):60mm
移動速度:8,400mm/分
荷重:100g/3cm2
【0416】
【産業上の利用可能性】
【0417】
本開示の表面処理剤は、種々多様な用途に好適に利用され得る。