(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】回線接続制御装置及び回線接続制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/00 20060101AFI20231206BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H04M3/00 B
H04M11/00 303
(21)【出願番号】P 2019178224
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 悠典
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0243803(US,A1)
【文献】特開2015-119273(JP,A)
【文献】特開平10-308781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
H04L 12/00-12/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域ネットワークへの接続を可能にする第1の接続端と、
配下の端末装置の接続を可能にする第2の接続端と、
電話番号を用いてアクセスすることにより、前記広域ネットワークを通じて所定の通信路を接続することが可能な相手先拠点の電話番号を記憶する拠点情報記憶手段と、
相手先拠点に対して割り当てられている電話番号と前記相手先拠点に配置されている相手先端末を特定するIPアドレスまたはドメインを含む、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置からの接続要求を解析し、前記電話番号と前記IPアドレスまたは前記ドメインとを抽出する解析手段と、
前記解析手段で抽出された前記電話番号に基づいて、前記拠点情報記憶手段を参照し、前記電話番号により特定される相手先が所定の通信路を接続することが可能な拠点か否かを検索する検索手段と、
前記検索手段により、前記所定の通信路を接続することが可能な拠点であることが検索された場合に、当該電話番号を用い、前記広域ネットワークを通じて前記相手先拠点にアクセスし、前記所定の通信路を接続するようにする第1の接続制御手段と、
前記解析手段で抽出された前記IPアドレスまたは前記ドメインを用い、前記相手先端末との接続を要求する端末接続要求を形成して、接続された前記所定の通信路を通じて、前記相手先拠点に提供する要求手段と、
接続された前記所定の通信路を通じて、一定時間の間において、データの送受信が無かった場合に前記所定の通信路を解放する解放制御手段と、
前記第1の接続端を通じて、自機に割り当てられた電話番号を用いた、前記所定の通信路を接続することを要求する自機宛てのアクセスを受け付けた場合に、要求元と自機との間に前記所定の通信路を接続するように処理する第2の接続制御手段と、
自機に接続された端末装置の端末識別情報とIPアドレスとドメインとを対応付けて記憶保持することができるアドレス管理記憶手段と、
前記第2の接続制御手段により接続した前記所定の通信路を通じて、端末装置を特定するIPアドレスまたはドメインを含む端末接続要求を受け付けた場合に、前記IPアドレスまたは前記ドメインに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定して、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第1の端末接続制御手段と、
前記ドメインが前記アドレス管理記憶手段に登録されておらず、前記第1の端末接続制御手段が、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定できなかった場合に、前記広域ネットワークに接続された所定のサーバ装置に前記ドメインを含む問い合わせを行い、前記ドメインに対応するIPアドレスを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定して、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第2の端末接続制御手段と、
前記取得手段で取得された前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、当該IPアドレスに対応付けて、
前記取得手段で用いられた前記ドメインを記録するように前記アドレス管理記憶手段の情報を更新する更新手段と
を備えることを特徴とする回線接続制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回線接続制御装置であって、
前記第2の接続制御手段は、前記所定の通信路を接続することを要求する自機宛てのアクセスを受け付けた場合に、前記アクセスに含まれる要求元の電話番号が、前記拠点情報記憶手段に記憶されているものである場合に、要求元と自機との間に前記所定の通信路を接続するように処理する
ことを特徴とする回線接続制御装置。
【請求項3】
広域ネットワークへの接続を可能にする第1の接続端と、
配下の端末装置の接続を可能にする第2の接続端と、
前記第1の接続端を通じて、自機に割り当てられた電話番号を用いた、所定の通信路を接続することを要求する自機宛てのアクセスを受け付けた場合に、要求元と自機との間に前記所定の通信路を接続するように処理する接続制御手段と、
自機に接続された端末装置の端末識別情報とIPアドレスとドメインとを対応付けて記憶保持することができるアドレス管理記憶手段と、
前記接続制御手段により接続した前記所定の通信路を通じて、端末装置を特定するIPアドレスまたはドメインを含む端末接続要求を受け付けた場合に、前記IPアドレスまたは前記ドメインに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定して、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第1の端末接続制御手段と、
前記ドメインが前記アドレス管理記憶手段に登録されておらず、前記第1の端末接続制御手段が、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定できなかった場合に、前記広域ネットワークに接続された所定のサーバ装置に前記ドメインを含む問い合わせを行い、前記ドメインに対応するIPアドレスを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定して、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第2の端末接続制御手段と、
前記取得手段で取得された前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、当該IPアドレスに対応付けて、
前記取得手段で用いられた前記ドメインを記録するように前記アドレス管理記憶手段の情報を更新する更新手段と
を備えることを特徴とする回線接続制御装置。
【請求項4】
広域ネットワークへの接続を可能にする第1の接続端と、配下の端末装置の接続を可能にする第2の接続端と、電話番号を用いてアクセスすることにより、前記広域ネットワークを通じて所定の通信路を接続することが可能な相手先拠点の電話番号を記憶する拠点情報記憶手段と、自機に接続された端末装置の端末識別情報とIPアドレスとドメインとを対応付けて記憶保持することができるアドレス管理記憶手段とを備えた回線接続制御装置で用いられる回線接続制御方法であって、
解析手段が、相手先拠点に対して割り当てられている電話番号と前記相手先拠点に配置されている相手先端末を特定するIPアドレスまたはドメインとを含む、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置からの接続要求を解析し、前記電話番号と前記IPアドレスまたは前記ドメインとを抽出する解析工程と、
検索手段が、前記解析工程で抽出した前記電話番号に基づいて、前記拠点情報記憶手段を参照し、前記電話番号により特定される相手先が所定の通信路を接続することが可能な拠点か否かを検索する検索工程と、
前記検索工程において、前記所定の通信路を接続することが可能な拠点であることを検索した場合に、第1の接続制御手段が、当該電話番号を用い、前記広域ネットワークを通じて前記相手先拠点にアクセスし、前記所定の通信路を接続するようにする第1の接続制御工程と、
要求手段が、前記解析工程で抽出した前記IPアドレスまたは前記ドメインを用い、前記相手先端末との接続を要求する端末接続要求を形成して、接続された前記所定の通信路を通じて、前記相手先拠点に提供する要求工程と、
解放制御手段が、接続された前記所定の通信路を通じて、一定時間の間にデータの送受信が無かった場合において、前記所定の通信路を解放する解放制御工程と、
第2の接続制御手段が、前記第1の接続端を通じて、自機に割り当てられた電話番号を用いた、前記所定の通信路を接続することを要求する自機宛てのアクセスを受け付けた場合に、要求元と自機との間に前記所定の通信路を接続するように処理する第2の接続制御工程と、
前記第2の接続制御工程において接続した前記所定の通信路を通じて、端末装置を特定するIPアドレスまたはドメインを含む端末接続要求を受け付けた場合に、第1の端末接続制御手段が、前記IPアドレスまたは前記ドメインに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定して、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第1の端末接続制御工程と、
前記ドメインが前記アドレス管理記憶手段に登録されておらず、前記第1の端末接続制御工程において、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定できなかった場合に、取得手段が、前記広域ネットワークに接続された所定のサーバ装置に前記ドメインを含む問い合わせを行い、前記ドメインに対応するIPアドレスを取得する取得工程と、
第2の端末接続制御手段が、前記取得工程で取得した前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定して、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第2の端末接続制御工程と、
更新手段が、前記取得工程で取得した前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、当該IPアドレスに対応付けて、
前記取得工程で用いられた前記ドメインを記録するように前記アドレス管理記憶手段の情報を更新する更新工程と
を有することを特徴とする回線接続制御方法。
【請求項5】
広域ネットワークへの接続を可能にする第1の接続端と、配下の端末装置の接続を可能にする第2の接続端と、自機に接続された端末装置の端末識別情報とIPアドレスとドメインとを対応付けて記憶保持することができるアドレス管理記憶手段とを備えた回線接続制御装置で用いられる回線接続制御方法であって、
前記第1の接続端を通じて、自機に割り当てられた電話番号を用いた、所定の通信路を接続することを要求する自機宛てのアクセスを受け付けた場合に、接続制御手段が、要求元と自機との間に前記所定の通信路を接続するように処理する接続制御工程と、
前記接続制御工程において接続した前記所定の通信路を通じて、端末装置を特定するIPアドレスまたはドメインを含む端末接続要求を受け付けた場合に、端末接続制御手段が、前記IPアドレスまたは前記ドメインに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定し、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第1の端末接続制御工程と、
前記ドメインが前記アドレス管理記憶手段に登録されておらず、前記第1の端末接続制御工程において、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定できなかった場合に、取得手段が、前記広域ネットワークに接続された所定のサーバ装置に前記ドメインを含む問い合わせを行い、前記ドメインに対応するIPアドレスを取得する取得工程と、
第2の端末接続制御手段が、前記取得工程で取得した前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定して、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第2の端末接続制御工程と、
更新手段が、前記取得工程で取得した前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、当該IPアドレスに対応付けて、
前記取得工程で用いられた前記ドメインを記録するように前記アドレス管理記憶手段の情報を更新する更新工程と
を有することを特徴とする回線接続制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電話会社が提供するデータコネクトサービスなどを利用することにより、目的とする相手先との間にセキュアな(安全性の高い)通信路を接続した後に、データの送受信を行う場合に有用な回線接続制御装置、回線接続制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の電話会社が提供する通信サービスの1つとして、帯域確保型データ通信サービスである「データコネクトサービス」がある。データコネクトサービスを利用すると、電話番号による接続要求で相手先との間にセキュアな通信路を接続し、接続中に音声通話をする他、種々のデータ、例えば画像データやテキストデータなどの送受信が可能になる。従って、音声通話をしながら、画像やテキストなどの双方による確認が可能になる他、安定に、秘匿性高くデータ等の送受信が可能になる。
【0003】
後に記す特許文献1には、IPv4プロトコルを用いてデータコネクトサービスを提供するIP電話システムにおいて、IPv6アドレスによってP2P(ピアツーピア)通信が可能かを判別できるようにする発明が開示されている。特許文献1に記載の発明により、データコネクトサービスの利用を前提としつつ、データコネクトセッションを終了し、その後に、IPv4アドレスに基づいてインターネット通信(P2P通信)によりデータ送受信をできるようにすることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データコネクトサービスを利用する場合には、上述したように、電話番号による接続要求で相手先との間に通信路を接続する。このため、ネットワーク管理者が使用希望者からの要求に応じて、データコネクトサービスによる通信路(以下、単にデータコネクトと記載する。)を確立(接続)する作業を行う必要がある。
図7は、データコネクトサービスの利用態様について説明するための図である。
図7に示すように、拠点Aには、回線接続制御装置100Aの配下に、管理者PC(Personal Computer)2Aと外部操作PC3Aが接続されて通信システムが構成されている。また、拠点Bには、回線接続制御装置100Bの配下に、閲覧対象PC3Bが接続されて通信システムが構成されている。
【0006】
拠点Aに構成された通信システムと拠点Bに構成された通信システムとは、広域ネットワーク4を通じて接続可能にされている。広域ネットワーク4は、インターネットなどを含む、いわゆるIP(Internet protocol)網である。
図7に示したように構成される通信システムにおいて、拠点Aの外部操作PC3Aを通じて、拠点Bの閲覧対象PC3Bに蓄積されているデータを、データコネクトサービスを利用して閲覧する場合を考える。この場合、外部操作PC3Aの使用者は、拠点Aに構成された通信システムの管理者に対して、拠点Bの閲覧対象PC3Bのデータを参照するため、拠点Bとの間にデータコネクトを確立することを要請する。
【0007】
拠点Aの管理者は、
図7の(1)に示すように、管理者PC2Aを用いて、回線接続制御装置100AのWeb保守画面にログインする。次に、拠点Aの管理者は、
図7の(2)に示すように、管理者PC2Aを通じて、接続先の電話番号を指定するなどの所定の操作を行い、データコネクトへの接続を実行する。これにより、
図7において(3)及び点線矢印で示したように、データコネクトが確立され、セキュアで所定の帯域が確保された通信路(データコネクト)を通じてデータの送受が可能になる。これにより、外部操作PC3Aの使用者は、
図7の(4)に示すように、外部操作PC3Aを通じて、拠点Bの閲覧対象PC3Bへアクセスし、通信が開始される。すなわち、拠点Aの外部操作PC3Aを通じて、拠点Bの閲覧対象PC3Bの蓄積データを、確立されたデータコネクトを通じて閲覧できる。
【0008】
この後、外部操作PC3Aを通じての、閲覧対象PC3Bの蓄積データの閲覧を終了した場合には、
図7の(a)に示すように、外部操作PC3Aを操作して、閲覧対象PC3Bとの通信を切断する。この場合、外部操作PC3Aと閲覧対象PC3Bとの通信は終了しても、回線接続制御装置100Aと回線接続制御装置100Bとの間に確立されたデータコネクトは接続されたままである。そこで、外部操作PC3Aの使用者は、拠点Aの管理者に対して、データコネクトの切断を依頼する。管理者は、
図7の(b)に示すように、管理者PC2Aを通じて、回線接続制御装置100AのWeb保守画面にログインする。次に、
図7の(c)に示すように、データコネクトの切断(確立したデータコネクトを解放)する操作を行う。これにより、確立されていた拠点Aと拠点Bとの間にデータコネクトが解放される。
【0009】
図8は、
図7を用いて説明した通信システムにおいて、データコネクトの確立(接続)から終了(解放)までの処理を示すシーケンス図である。
図8に示すように、管理者PC2Aを通じて、回線接続制御装置100Aの保守画面にWebログインし(ステップS101)、接続実行の操作を行わないと(ステップS102)、データコネクトの確立(ステップS103)ができない。データコネクトが確立されて、外部操作PC3Aは、閲覧対象PC3Bにアクセスして(ステップS104)、通信が可能になる(ステップS105)。
【0010】
また、外部操作PC3Aが、閲覧対象PC3Bとの通信を切断すると(ステップS201)、外部操作PC3Aと閲覧対象PC3Bとの間の通信は終了する(ステップS202)。しかし、データコネクトは確立されたままである。このため、外部操作PC3Aの使用者の要請により、管理者が管理者PC2Aを操作し、回線接続制御装置100Aの保守画面にWebログインし(ステップS203)、切断実行の操作を行う(ステップS204)。これにより、データコネクトが終了する(ステップS205)。このように、データコネクトの確立及び終了には、必ず管理者が介在することとなるため、もっと手軽に利用できるようにしたいとする要求がある。
【0011】
以上のことに鑑み、例えば、データコネクトサービスのように、利用に際して電話番号により通信路を接続する必要が生じる通信サービスを、より簡単に利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の回線接続制御装置は、
広域ネットワークへの接続を可能にする第1の接続端と、
配下の端末装置の接続を可能にする第2の接続端と、
電話番号を用いてアクセスすることにより、前記広域ネットワークを通じて所定の通信路を接続することが可能な相手先拠点の電話番号を記憶する拠点情報記憶手段と、
相手先拠点に対して割り当てられている電話番号と前記相手先拠点に配置されている相手先端末を特定するIPアドレスまたはドメインを含む、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置からの接続要求を解析し、前記電話番号と前記IPアドレスまたは前記ドメインとを抽出する解析手段と、
前記解析手段で抽出された前記電話番号に基づいて、前記拠点情報記憶手段を参照し、前記電話番号により特定される相手先が所定の通信路を接続することが可能な拠点か否かを検索する検索手段と、
前記検索手段により、前記所定の通信路を接続することが可能な拠点であることが検索された場合に、当該電話番号を用い、前記広域ネットワークを通じて前記相手先拠点にアクセスし、前記所定の通信路を接続するようにする第1の接続制御手段と、
前記解析手段で抽出された前記IPアドレスまたは前記ドメインを用い、前記相手先端末との接続を要求する端末接続要求を形成して、接続された前記所定の通信路を通じて、前記相手先拠点に提供する要求手段と、
接続された前記所定の通信路を通じて、一定時間の間において、データの送受信が無かった場合に前記所定の通信路を解放する解放制御手段と、
前記第1の接続端を通じて、自機に割り当てられた電話番号を用いた、前記所定の通信路を接続することを要求する自機宛てのアクセスを受け付けた場合に、要求元と自機との間に前記所定の通信路を接続するように処理する第2の接続制御手段と、
自機に接続された端末装置の端末識別情報とIPアドレスとドメインとを対応付けて記憶保持することができるアドレス管理記憶手段と、
前記第2の接続制御手段により接続した前記所定の通信路を通じて、端末装置を特定するIPアドレスまたはドメインを含む端末接続要求を受け付けた場合に、前記IPアドレスまたは前記ドメインに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定して、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第1の端末接続制御手段と、
前記ドメインが前記アドレス管理記憶手段に登録されておらず、前記第1の端末接続制御手段が、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定できなかった場合に、前記広域ネットワークに接続された所定のサーバ装置に前記ドメインを含む問い合わせを行い、前記ドメインに対応するIPアドレスを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、前記第2の接続端に接続された配下の端末装置を特定して、要求元の端末装置との間で通信を可能にする第2の端末接続制御手段と、
前記取得手段で取得された前記IPアドレスに基づいて、前記アドレス管理記憶手段を参照し、当該IPアドレスに対応付けて、前記取得手段で用いられた前記ドメインを記録するように前記アドレス管理記憶手段の情報を更新する更新手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、管理者等の手を煩わせるなどのことなく、例えば、データコネクトサービスのように、利用に際して電話番号により所定の通信路を接続する必要が生じる通信サービスを、より簡単に利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態の通信システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】実施の形態の回線接続制御装置の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図3】拠点情報DB(Data Base)の格納データの例を説明するための図である。
【
図4】アドレス管理DB(Data Base)の格納データの例を説明するための図である。
【
図5】外部操作PC(Personal Computer)から送信される接続要求の構成例を説明するための図である。
【
図6】実施の形態の通信システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図7】従来の通信システムの構成例を説明するための図である。
【
図8】従来の通信システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法の一実施の形態について説明する。以下においては、拠点Aに構成された通信システムと拠点Bに構成された通信システムとの間に、電話会社が提供するデータコネクトサービスを利用して、データコネクト(所定の通信路)を確立(接続)し、通信を行う場合を例にして説明する。なお、データコネクトサービスを利用して、確立される所定の通信路(通信回線)は、いわゆるVPN(Virtual Private Network)であり、セキュアな通信路である。
【0019】
[通信システムの構成例]
図1は、実施の形態の通信システムの構成例を説明するための図である。
図1に示すように、拠点Aには、回線接続制御装置1Aの配下に、外部操作PC3Aが接続されて通信システムが構成されている。また、拠点Bには、回線接続制御装置1Bの配下に閲覧対象PC3Bが接続されて通信システムが構成されている。
図1と上述した
図7とを比較すると分かるように、この実施の形態の通信システムにおいては、管理者PC2Aが存在していない点が、
図7に示した従来の通信システムとの大きな違いである。なお、説明を簡単にするため、回線接続制御装置1Aには、外部操作PC3Aが接続され、回線接続制御装置1Bには、閲覧対象PC3Bが接続されている場合を示している。しかし、実際には、回線接続制御装置1A、1Bのそれぞれには、複数のPCを接続することが可能である。
【0020】
図1に示すように、拠点Aに構成された通信システムと拠点Bに構成された通信システムとは、広域ネットワーク4を通じて接続されている。広域ネットワーク4は、インターネットなどを含む、いわゆるIP(Internet protocol)網である。
図1に示したように構成される通信システムにおいて、拠点Aの外部操作PC3Aを通じて、拠点Bの閲覧対象PC3Bに蓄積されているデータを、データコネクトサービスを利用して閲覧する場合を考える。すなわち、外部操作PC3Aがデータコネクトサービスを利用して閲覧対象PC3Bにアクセスする場合を考える。
【0021】
この場合、外部操作PC3Aの使用者は、
図1において(1)に示すように、URL(uniform resource locator)アクセスを行う。具体的に、外部操作PC3Aは、使用者から目的とする相手先拠点である拠点Bの回線接続制御装置1Bに割り当てられている電話番号と、アクセス先である閲覧対象PC3Bに割り当てられているIPアドレスまたはドメインの入力を受け付ける。外部操作PC3Aは、受け付けた当該電話番号を先頭に位置付け、次に当該IPアドレスまたは当該ドメインを位置付けた接続要求(URL)を形成し、これを回線接続制御装置1Aに送信する。なお、後述もするが、電話番号とIPアドレスまたはドメインとの間は、例えば、「.(ピリオド)」、あるいは「/(スラッシュ)」といった所定のセパレータを設ける。この実施の形態では、セパレータとして、「.(ピリオド)」を用いるものとする。
【0022】
回線接続制御装置1Aでは、配下の外部操作PC3Aからの接続要求(URL)を受信し、受信した接続要求の先頭からセパレータである「.(ピリオド)」までが10桁以上の数字列であった場合に、当該数字列である電話番号とIPアドレスまたはドメインを抽出する。回線接続制御装置1Aは、
図1において(2)が示すように、抽出した電話番号が、自己が保持する拠点情報DBに登録されたデータコネクトサービスを用いて接続可能な拠点かどうかを検索する。この検索により、抽出した電話番号が、データコネクトサービスを用いて接続可能な拠点であることが検索されたとする。この場合、回線接続制御装置1Aは、
図1において(3)が示すように、当該電話番号を用いて相手先である拠点Bの回線接続制御装置1Bに電話をかけ、
図1において点線で示すように、回線接続制御装置1Bとの間に所定の通信路を接続する。すなわち、管理者等を介在させることなく、回線接続制御装置1Aが自動でデータコネクトを確立する。
【0023】
また、回線接続制御装置1Aは、抽出したIPアドレスまたはドメインを、確立したデータコネクトを通じて回線接続制御装置1Bに送信し、目的とする閲覧対象PC3Bにアクセスできるように要請する。回線接続制御装置1Bは、回線接続制御装置1AからIPアドレスが提供された場合は、提供されたIPアドレスに基づいて、自機のアドレス管理DBを参照し、閲覧対象PC3Bを特定する。また、回線接続制御装置1Bは、回線接続制御装置1Aからドメインが提供された場合は、広域ネットワーク4上に設けられているDNS(Domain Name System)サーバ5にアクセスし、アドレス解決を行うようにし、ドメインからIPアドレスを特定する。回線接続制御装置1Bは、特定したIPアドレスに基づいて、自機のアドレス管理DBを参照し、閲覧対象PC3Bを特定する。
【0024】
これにより、拠点A側の外部操作PC3Aと拠点B側の閲覧対象PC3Bとの間を、データコネクトを介して接続し、
図1において(4)に示すように、通信を開始する。これにより外部操作PC3Aは、セキュアなデータコネクト(所定の通信路)を通じて、閲覧対象PC3Bにアクセスし、閲覧対象PC3Bに蓄積されているデータを閲覧することなどができる。
【0025】
この後、外部操作PC3Aを通じての、閲覧対象PC3Bの蓄積データの閲覧を終了した場合には、外部操作PC3Aを操作して、閲覧対象PC3Bとの通信を切断(終了)する。この場合、回線接続制御装置1Aは、
図1において(a)に示すように、一定時間データの送受が無いことを確認し、
図1において(b)に示すように、データコネクトを自動的に切断する。
【0026】
これにより、回線接続制御装置1Aと回線接続制御装置1Bとの間に確立されていたデータコネクトが解放される。このように、この実施の形態の通信システムにおいては、主には回線接続制御装置1A、1Bの機能により、従来、必要であった管理者等によりデータコネクタの接続操作を一切必要とすることなく、自動的にデータコネクトの接続、解放ができる。
【0027】
以下においては、この実施の形態の通信システムを構成する回線接続制御装置1A、1Bの構成例について説明する。なお、この実施の形態の回線接続制御装置1A、1Bは、同様に構成され、同様の機能を実現するものである。すなわち、
図1を用いて説明した例とは逆に、拠点Bの回線接続制御装置1Bの配下の閲覧対象PC3Bからの要求に応じて、回線接続制御装置1Bから拠点Aの回線接続制御装置1Aとの間にデータコネクトを確立することもできる。これにより、拠点Bの回線接続制御装置1Bの配下の閲覧対象PC3Bから回線接続制御装置1Aの配下の外部操作PC3Aにアクセスして通信を行うことも可能である。このため、以下においては、特に区別して示す必要がある場合を除き、回線接続制御装置1Aと回線接続制御装置1Bとを総称して回線接続制御装置1と記載する。
【0028】
[回線接続制御装置1の構成例]
図2は、回線接続制御装置1の構成例を説明するためのブロック図である。接続端101Tは、広域ネットワーク4との接続を可能にする。通信I/F(Inter Face)101は、広域ネットワーク4を通じての通信機能を実現する。制御部102は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどが接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、回線接続制御装置1の各部を制御する。記憶装置103は、例えば、HDD(hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)などの、記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録媒体への記録、変更、削除を行う。記憶装置103は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0029】
拠点情報DB104は、電話番号を用いてアクセスすることにより、広域ネットワーク4を通じてデータコネクトサービスを利用した所定の通信路(データコネクト)を確立することが可能な相手先拠点の電話番号などを記憶保持する。
図3は、拠点情報DB104の格納データの例を説明するための図である。
図3に示すように、拠点情報DB104には、相手先ID、相手先名称、電話番号が記憶保持される。相手先IDは、データコネクトを確立することができる相手先の識別情報である。相手先名称は、データコネクトを確立することができる相手先の名称である。電話番号は、データコネクトを確立することができる相手先の電話番号である。
【0030】
拠点情報DB104に格納されている電話番号が割り当てられている相手先は、回線接続制御装置1を通じてデータコネクトを確立することができる相手先である。
図3に示す例の場合には、相手先IDが「01」で、相手先名称が「北海道支社」で、電話番号が「011-123-4567」である相手先が、回線接続制御装置1を通じてデータコネクトを確立することができる相手先として登録されている。同様に、「東北支社」や「関東支社」についても、回線接続制御装置1を通じてデータコネクトを確立することができる相手先として登録されている。
【0031】
アドレス管理DB105は、回線接続制御装置1に接続可能にされた通信端末からのレジスタ要求(登録要求)に応じて、要求元の通信端末を特定するための情報を記憶保持する。
図4は、アドレス管理DB105の格納データの例を説明するための図である。
図4に示すように、アドレス管理DB105には、端末ID、種別、IPアドレス、ポート番号、その他の情報が記憶保持される。端末IDは、登録要求元の通信端末の識別情報である。種別は、例えば、回線接続制御装置1の配下か、他の回線接続制御装置の配下かなど、登録要求元の所在領域を示す情報である。IPアドレスは、登録要求元の通信端末に割り当てられたIPアドレスであり、ポート番号は登録要求元の通信端末が用いるポートの番号である。
【0032】
なお、その他の情報としては、例えば、MAC(Media Access Control address)アドレス、機器種別(電話機かPCかなど)といった種々の情報を記憶保持することが可能である。そして、
図4に示した例の場合には、回線接続制御装置1の配下には、端末IDが「101」、「102」などの通信端末が接続されており、それらのIPアドレスなどの情報を特定することができるようになっている。このアドレス管理DB105の情報により、外部からのアクセス要求に応じたIPアドレスに応じて、接続先のPCなどを特定できる。
【0033】
LAN接続端は、配下の通信端末との接続を可能にする。LANI/F106は、当該LANを通じて接続される配下の通信端末との間での通信機能を実現する。接続要求解析部111は、LAN接続端106Tを通じて接続されている配下の通信端末からのデータコネクトの接続要求(URL)を受け付けて、これを解析し、必要情報を抽出する。上述したように、配下の通信端末からのデータコネクトの接続要求は、相手先拠点に対して割り当てられている電話番号と相手先拠点に配置されている相手先端末を特定するアドレス情報とを含む。
【0034】
図5は、回線接続制御装置1Aの配下の通信端末である外部操作PC3Aから送信されるデータコネクトの接続要求の構成例を説明するための図である。
図5(A)は、相手先拠点の回線接続制御装置に割り当てられている電話番号と、当該回線接続制御装置の配下の通信端末(PC)に割り当てられているIPアドレスからなるデータコネクトの接続要求の例である。また、
図5(B)は、相手先拠点の回線接続制御装置に割り当てられている電話番号と、当該回線接続制御装置の配下の通信端末(PC)に割り当てられているドメインからなるデータコネクトの接続要求の例である。いずれの場合にも、電話番号とIPアドやドメインとの間には、セパレータとして「.(ピリオド)」が設けられている。
【0035】
接続要求解析部111は、
図5(A)、(B)に示したような、データコネクトの接続要求をLAN接続端106T及びLANI/F106を通じて受け付けた場合に、これを解析し、電話番号とIPアドレスやドメインとを分離して、そのそれぞれを抽出する。なお、接続要求解析部111は、先頭から最初の「.(ピリオド)」までが、10桁以上の数字列である場合には、これをデータコネクトの接続要求の電話番号部分であると特定する。また、この場合において、接続要求解析部111は、最初の「.(ピリオド)」以降の情報が、アドレス情報、すなわち、IPアドレスやドメインであると特定する。
【0036】
相手先拠点検索部112は、接続要求解析部111で抽出された相手先拠点の電話番号に基づいて、
図3を用いて説明した拠点情報DB104を参照し、当該電話番号により特定される相手先は、データコネクトを接続することが可能な相手先拠点か否かを検索する。相手先拠点検索部112により、接続要求解析部111を通じて抽出された電話番号により特定される相手先拠点が、データコネクトを接続することが可能な拠点であることが検索されたとする。この場合に、第1の回線接続制御部113は、当該電話番号を用い、広域ネットワーク4を通じて当該相手先拠点にアクセスし、データコネクトを確立する処理を行う。
【0037】
端末接続要求部114は、接続要求解析部111で抽出された相手先拠点の目的とする通信端末のアドレス情報(IPアドレスまたはドメイン)を用い、目的とする相手先の通信端末(相手先端末)との接続を要求する端末接続要求を形成する。端末接続要求部114は、形成した端末接続要求を確立されたデータコネクトを通じて、相手先拠点に送信する。ここまでの各部の処理により、データコネクトの接続要求に応じて、データコネクトを確立(接続)し、当該データコネクトを通じて、目的とする相手先拠点の相手先端末と通信を行うことができるようにされる。すなわち、回線接続制御装置1によるデータコネクトの自動接続機能が実現される。
【0038】
回線解放制御部115は、上述したように、データコネクトが確立(接続)された後に、接続端101T及び通信I/F101を通じたで他の送受信を監視する。この監視の結果、回線解放制御部115は、接続したデータコネクトを通じて、一定時間、データの送受信が無かった場合に、データコネクトを解放する処理を行う。回線解放制御部115の機能により、回線接続制御装置1によるデータコネクトの自動解放機能が実現される。
【0039】
従って、接続要求解析部111、相手先拠点検索部112、第1の回線接続制御部113、端末接続要求部114、回線解放制御部115の各部を備えることにより、
図1に示した発信側の回線接続制御装置1Aが備えるべき機能が実現できる。更に、この実施の形態の回線接続制御装置1は、第2の回線接続制御部116と、端末接続制御部117とを備える。
【0040】
回線接続制御装置1が、接続端101T及び通信I/F101を通じて、自機に割り当てられた電話番号を用いた、データコネクトを接続することを要求する自機宛てのアクセスを受け付けたとする。この場合に、第2の回線接続制御部116は、当該アクセスに含まれる要求元の電話番号が、自機の拠点情報DB104に登録されたものであり、データコネクトの接続が可能な相手先拠点に割り当てられているものか否かを確認する。データコネクトの接続が可能な相手先拠点に割り当てられている電話番号であることが確認できると、第2の回線接続制御部116は、アクセス要求元と自機との間にデータコネクトを確立(接続)するように処理を行う。このように、発信側からの接続要求に応じて、受信側がデータコネクトの確立処理を行うことにより、データコネクトが確立(接続)される。
【0041】
回線接続制御装置1において、第2の回線接続制御部116が機能して接続したデータコネクトを通じて、アドレス情報(IPアドレスやドメイン)を含む端末接続要求を受け付けたとする。この場合に、端末接続制御部117が機能し、受信したアドレス情報に基づいて、配下の端末装置を特定し、要求元の端末装置との間で通信を可能にする。具体的に、端末接続制御部117は、受信したアドレス情報が、IPアドレスである場合には、当該IPアドレスに基づいて、アドレス管理DB105を参照し、接続先となるべき配下の端末装置を特定して接続処理を行う。
【0042】
また、端末接続制御部117は、受信したアドレス情報が、ドメインである場合には、広域ネットワーク4に接続されているDNSサーバ5に当該ドメインを送信し、アドレス解決を要求する。これにより、DNSサーバ5の機能により、ドメインに対応するIPアドレスが特定され、回線接続制御装置1はこれを取得する。端末接続制御部117は、解決されたIPアドレスに基づいて、アドレス管理DB105を参照し、接続先となるべき配下の端末装置を特定して接続処理を行う。
【0043】
このように、回線接続制御装置1が、第2の回線接続制御部116と、端末接続制御部117とを備えることにより、
図1に示した着信側の回線接続制御装置1Bが備えるべき機能を実現できる。回線接続制御装置1は、
図1に示した外部操作PC3Aが備えるべき機能と閲覧対象PC3Bが備えるべき機能との両方を備えるものである。従って、この実施の形態の回線接続制御装置1は、自機からデータコネクトの接続要求を送信して相手先との間にデータコネクトを確立し、通信を行う機能を実現する。また、この実施の形態の回線接続制御装置1は、相手先からのデータコネクトの接続要求に応じてデータコネクトを確立し、通信を行う機能を実現する。すなわち、回線接続制御装置1は、発信側の機能と着信側の機能との両方を実現できる構成を備えている。
【0044】
[通信システムの動作]
次に、
図2~
図5を用いて説明した回線接続制御装置1と同様に構成される回線接続制御装置1Aと回線接続制御装置1Bとが用いられて構成される
図1に示した通信システムにおいて行われる処理について説明する。
図6は、実施の形態の通信システムの動作を説明するためのシーケンス図である。以下においても、
図1を用いて説明したように、拠点Aの回線接続制御装置1Aの配下の外部操作PC3Aから拠点Bの回線接続制御装置1Bの配下の閲覧対象PC3Bにアクセスする場合を例にして説明する。
【0045】
まず、外部操作PC3Aは、使用者からの指示に応じて、データコネクトの確立のためのURLの入力アプリケーションを実行する。これにより、外部操作PC3Aにおいては、URLの入力を受け付けて、データコネクトの接続要求を形成すると共に、回線接続制御装置1Aにアクセスし、当該接続要求を提供する処理を行う(ステップS1)。当該URLは、
図5を用いて説明したように、拠点Bの回線接続制御装置1Bに割り当てられている電話番号と、閲覧対象PC3Bに割り当てられているIPアドレス又はドメインとからなるものである。
【0046】
回線接続制御装置1Aでは、(1)接続要求解析部111が機能し、配下の外部操作PC3Aから受信した接続要求を解析し、電話番号とアドレス情報とを分離、抽出する。(2)ここで抽出した電話番号に基づいて、相手先拠点検索部112が拠点情報DB104を参照して、相手先拠点がデータコネクトの接続が可能な相手先かを検索する。相手先拠点検索部112により電話番号により特定される相手先拠点がデータコネクトの接続が可能な拠点であることが検索できたら、(3)第1の回線接続制御部113が、当該相手先拠点の回線接続制御装置1Bに電話をかけて、データコネクトを接続する。回線接続制御装置1Aは、この(1)~(3)までの処理を実行し、目的とする相手先拠点との間にデータコネクトを確立するようにする(ステップS2)。
【0047】
相手先拠点の回線接続制御装置1Bでは、第2の回線接続制御部116が機能して、回線接続制御装置1Aから要求に応じて、データコネクトを接続するように処理することになる。これにより、
図6に示すように、拠点Aの回線接続制御装置1Aと拠点Bの回線接続制御装置1Bとの間にデータコネクトが確立(接続)される(ステップS3)。このように、ステップS1~ステップS3までの処理により、データコネクトが確立され、当該データコネクトを通じて通信ができる環境が整えられる。
【0048】
次に、回線接続制御装置1Aは、外部操作PC3Aからの接続要求から抽出したアドレス情報を、確立されたデータコネクトを通じて、回線接続制御装置1Bに送信する(ステップS4)。これに応じて、回線接続制御装置1Bでは、端末接続制御部117が機能し、アドレス管理DB105を参照し、接続先となる閲覧対象PC3Bを特定して、閲覧対象PC3Bを接続先としてデータコネクトを通じて通信が行えるようにする(ステップS5)。なお、端末接続制御部117は、受信したアドレス情報がIPアドレスであれば、これをそのまま用い、ドメインであれば、DNSサーバ5を用いてアドレス解決することにより当該ドメインに対応するIPアドレスを得て、接続先を特定することになる。
【0049】
これにより、拠点Aの外部操作PC3Aと拠点Bの閲覧対象PC3Bとが、データコネクトを通じて接続され、データの送受信、つまり通信を行うことができるようにされる。(ステップS6)。つまり、外部操作PC3Aは、データコネクトというセキュアな通信路を、配下の端末からの接続要求に応じて管理者の手を介在させることなく自動的に確立することができる。これにより、外部操作PC3Aは、は、データコネクトというセキュアな通信路を通じて、閲覧対象PC3Bとの間で通信を行って、閲覧対象PC3Bに蓄積さえているデータの閲覧が可能になる。
【0050】
この後、拠点Aの外部操作PC3Aの使用者が、拠点Bの閲覧対象PC3Bの蓄積データの閲覧をし終えたとする。この場合、外部操作PC3Aの使用者は、外部操作PC3Aを操作して、拠点Bの閲覧対象PC3Bとの間の通信を終了する処理を行う(ステップS11)。これにより、拠点Aの外部操作PC3Aと拠点Bの閲覧対象PC3Bとの間の通信は終了する(ステップS12)。
【0051】
しかし、拠点Aの回線接続制御装置1Aと拠点Bの回線接続制御装置1Bとの間に接続したデータコネクトは確立されたままである。このため、回線接続制御装置1Aの回線解放制御部115は、接続端101Tと通信I/F101とを通じた送受信の状態を監視し、接続中のデータコネクトを通じて一定時間、パケットの送受信が行われていないかを判別する(ステップS13)。接続中のデータコネクトを通じて一定時間、パケットの送受信が行われていないと判別した場合、回線解放制御部115は、接続中のデータコネクトを終了(解放)するように処理する(ステップS14)。これにより、確立(接続)されたデータコネクトが回線接続制御装置1Aの機能により、自動的に解放される。
【0052】
なお、ステップS5において、ドメインに基づくアドレス解決がされている場合、当該ドメインと解決されたIPアドレスとを対応付けて、アドレス管理DB105で管理すれば、繰り返しのアドレス解決処理を行う必要はない。すなわち、一度アドレス解決されていれば、繰り返えしアドレス解決を行わなくてもよい。
【0053】
[実施の形態の効果]
上述したように、実施の形態の回線接続制御装置1は、配下の端末装置からのデータコネクトの相手先拠点の電話番と相手先端末のアドレス情報を含む接続要求に基づいて、管理者を介在させることなく自動的にデータコネクトを確立(接続)できる。また、確立したデータコネクトを通じた通信が終了した場合、当該データコネクトを通じて行われる通信の状態を監視することにより、接続中のデータコネクトの終了(解放)も回線接続制御装置1が自動的に行うことができる。これにより、セキュアなデータコネクトを必要な場合に簡単に接続してこれを利用することができるので、データコネクトの使い勝手をよりよくすることができる。
【0054】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、所定の通信路は、電話会社が提供するデータコネクトサービスの通信路であるものとして説明したがこれに限るものではない。広域ネットワークとしてのIP網を通じて接続する通信路であって、電話番号を用いて接続する相手先を特定してセキュアな通信路を確立(接続)する態様の通信路を用いる場合にこの発明を適用できる。
【0055】
また、回線接続制御装置1A、1Bの配下の端末装置は、PCだけでなく、タブレットPC、スマートフォン等と呼ばれる高機能携帯電話端末など、IP回線に接続して通信を行うことが可能な種々の通信端末を用いることが可能である。
【0056】
なお、上述した実施の形態では、外部操作PC3Aが、閲覧対象PC3Bの蓄積データを閲覧するものとして説明したが、これに限るものではない。接続される所定の通信路は、通信回線であるので、双方向に通信が可能である。また、上述もしたように、音声通話を行いながら、動画データを送受して、動画確認するようにしたり、テキストデータを送受して、文書を確認したりすることももちろん可能である。
【0057】
また、上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項における第1の接続端の機能は、実施の形態の回線接続制御装置の接続端101Tが実現し、請求項の第2の接続端の機能は、LAN接続端106Tが実現している。また、請求項の拠点情報記憶手段の機能は、拠点情報DB104が実現し、解析手段の機能は、接続要求解析部111が実現し、検索手段の機能は、相手先拠点検索部112が実現している。また、請求項の第1の接続制御手段の機能は、第1の回線接続制御部113が実現し、要求手段の機能は、端末接続要求部114が実現し、解放制御手段の機能は、回線解放制御部115が実現している。また、請求項の第2の接続制御手段の機能は、第2の回線接続制御部116が実現し、第1、第2の端末接続制御手段の機能は、端末接続制御部117が実現している。
【0058】
また、
図2を用いて説明した回線接続制御装置1で行われる所定の通信路であるデータコネクトを確立して、相手先端末と通信を行い、通信終了後に確立したデータコネクトを解放する処理が、この発明の回線接続制御方法である。より具体的には、
図6のシーケンス図を用いて説明した方法が、この発明の回線接続制御方法の一実施の形態が適用されたものである。
【0059】
また、
図2に示した接続要求解析部111、相手先拠点検索部112、第1の回線接続制御部113、端末接続要求部114、回線解放制御部115の各機能は、制御部102で実行されるプログラムにより、制御部102の機能として実現することもできる。同様に、第2の回線接続制御部116、端末接続制御部117の各機能は、制御部102で実行されるプログラムにより、制御部102の機能として実現することもできる。すなわち、
図6のシーケンス図を用いて説明した処理を行うプログラムを構成し、これを回線接続制御装置に搭載して、制御部で実行可能にしておくことにより、この発明の回線接続制御装置を実現できる。
【符号の説明】
【0060】
1、1A、1B…回線接続制御装置、101T…接続端、101…通信I/F、102…制御部、103…記憶装置、104…拠点情報DB、105…アドレス管理DB、106T…LAN接続端、111…接続要求解析部、112…相手先拠点検索部、113…第1の回線接続制御部、114…端末接続要求部、115…回線解放制御部、116…第2の回線接続制御部、117…端末接続制御部、2A…管理者PC、3A…外部操作PC、3B…閲覧対象PC、4…広域ネットワーク、5…DNSサーバ