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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】昇降搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/00 20060101AFI20231206BHJP
   B65G 17/40 20060101ALI20231206BHJP
   B65G 17/12 20060101ALI20231206BHJP
   B65G 17/18 20060101ALI20231206BHJP
   B65G 23/23 20060101ALI20231206BHJP
   B65G 23/36 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65G17/00 D
B65G17/40
B65G17/12 Z
B65G17/18 A
B65G23/23
B65G23/36
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019182361
(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公開番号】P2021054641
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】石川 和広
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-519634(JP,A)
【文献】特開平04-112103(JP,A)
【文献】実開昭64-032825(JP,U)
【文献】特開平05-328535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00 - 17/48
B65G 23/00 - 23/44
B65G 54/00 - 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受渡し位置の間で物品を搬送可能な昇降搬送装置であって、
複数の搬送ユニットと、
前記搬送ユニットを制御する制御部と、
を備え、
それぞれの前記搬送ユニットは、
上下方向に延びる鉛直軌道を含んだ形状の軌道であって、複数の前記搬送ユニットで共通である周回軌道に沿って移動することで、前記複数の受渡し位置を通過可能な昇降台と、
前記昇降台を前記周回軌道に沿って移動させるための駆動力を発生させる駆動部と、
前記周回軌道に対応する循環軌道に沿って循環可能なループ状の部材であり、前記駆動部が発生させた前記駆動力により循環することで前記昇降台を移動させる循環部材と、
を備え、
前記制御部は、それぞれの前記搬送ユニットにおける前記循環部材の循環を、他の搬送ユニットに対して独立に制御し、
それぞれの前記搬送ユニットが備える前記昇降台は、
上下方向の軸を中心として回転可能な回転子と、
前記回転子の回転によって駆動され、物品の受渡しのために当該物品を搬送する搬送装置と、
を有し、
昇降台用固定子が、複数の前記受渡し位置に対応して設けられ、
前記昇降台用固定子は中空状に形成され、
前記昇降台用固定子の内部空間は、前記昇降台用固定子の上下方向の両端において外部に開放され、
前記昇降台用固定子には、前記内部空間を水平方向で外部に開放させる開放部が、前記上下方向の両端の開放部分を接続するように形成され、
前記昇降台が複数の前記受渡し位置の何れかにある場合に、当該受渡し位置の前記昇降台用固定子は、当該昇降台における前記回転子と非接触にかつ当該回転子を取り囲むように位置し、
前記昇降台用固定子は、前記回転子を取り囲んだ状態で磁気作用を発生させることにより、前記回転子を非接触で駆動することを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項2】
請求項に記載の昇降搬送装置であって、
前記駆動部は、前記循環部材に連結された可動子と、固定側に設けられた循環駆動用固定子と、を備えたリニアモータであることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項3】
請求項に記載の昇降搬送装置であって、
前記循環駆動用固定子は、複数の前記搬送ユニットに共通であることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項4】
請求項又はに記載の昇降搬送装置であって、
前記可動子及び前記昇降台は、前記循環部材に対して、ループ状の当該循環部材を等しい長さで2つに分割する位置に配置されていることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項5】
請求項に記載の昇降搬送装置であって、
前記駆動部は、回転式モータであり、
前記回転式モータが発生させた回転力により駆動回転部材が回転することで、前記循環部材が駆動されることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項6】
請求項に記載の昇降搬送装置であって、
前記循環部材は、チェーンであり、
前記回転式モータは、電動モータであり、
前記駆動回転部材は、前記チェーンと噛み合うスプロケットであることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項7】
請求項又はに記載の昇降搬送装置であって、
前記循環部材に、2つの前記昇降台が取り付けられ、
2つの前記昇降台は、前記循環部材に対して、ループ状の当該循環部材を等しい長さで2つに分割する位置に配置されていることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項8】
請求項又はに記載の昇降搬送装置であって、
前記可動子は、断面U字状に形成され、
前記可動子によって取り囲まれた内部空間を、前記循環駆動用固定子が相対的に通過可能であることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項9】
請求項からまでの何れか一項に記載の昇降搬送装置であって、
前記循環駆動用固定子は、前記循環部材の循環軌道に沿って複数並べて設けられ、
前記可動子の走行方向において、隣り合う前記循環駆動用固定子同士の間隔は、前記可動子の長さよりも短いことを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項10】
請求項1からまでの何れか一項に記載の昇降搬送装置であって、
前記昇降台は、前記循環部材に片持ち状態で支持されていることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の昇降搬送装置であって、
複数階の建築物において、異なる階の間で物品を搬送するために用いられることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項12】
請求項1に記載の昇降搬送装置であって、
複数段のラックにおいて、異なる段の間で物品を搬送するために用いられることを特徴とする昇降搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の受渡し位置の間で物品を昇降させて搬送する昇降搬送装置が知られている。特許文献1は、この種の昇降搬送装置である垂直搬送設備を開示する。
【0003】
特許文献1の垂直搬送設備は、垂直搬送ダクト内を昇降移動する無端回動体に複数の荷受台を設けている。また、この垂直搬送設備は、荷受台側に配置された一次側導体と、荷の搬入出部のダクト側に配設された二次側導体とで形成されるリニアモータを設けている。リニアモータは、荷受台と荷(物品)の搬入出部との間で荷を受け渡しする移載装置を構成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭64-32825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、複数の荷受台に関して、ある無端回動体の周方向で隣り合う荷受台同士の当該周方向の幅が他のものと同じである。即ち、複数の荷受台が、無端回動体に対して等ピッチで配置されている。よって、物品をピッチに合わせて荷受台に搬入する必要がある。そのため、1つの荷受台に物品を搬入している間に他の荷受台に物品を搬入できずに、物品の搬送効率の低下を招くことがある。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、物品の搬送効率の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の昇降搬送装置が提供される。即ち、この昇降搬送装置は、複数の受渡し位置の間で物品を搬送可能である。前記昇降搬送装置は、複数の搬送ユニットと、制御部と、を備える。前記制御部は、前記搬送ユニットを制御する。それぞれの前記搬送ユニットは、昇降台と、駆動部と、循環部材と、を備える。前記昇降台は、上下方向に延びる鉛直軌道を含んだ形状の軌道であって、複数の前記搬送ユニットで共通である周回軌道に沿って移動することで、前記複数の受渡し位置を通過可能である。前記駆動部は、前記昇降台を前記周回軌道に沿って移動させるための駆動力を発生させる。前記循環部材は、前記周回軌道に対応する循環軌道に沿って循環可能なループ状の部材であり、前記駆動部が発生させた前記駆動力により循環することで前記昇降台を移動させる。前記制御部は、それぞれの前記搬送ユニットにおける前記循環部材の循環を、他の搬送ユニットに対して独立に制御する。それぞれの前記搬送ユニットが備える前記昇降台は、回転子と、搬送装置と、を有する。前記回転子は、上下方向の軸を中心として回転可能である。前記搬送装置は、前記回転子の回転によって駆動され、物品の受渡しのために当該物品を搬送する。昇降台用固定子が、複数の前記受渡し位置に対応して設けられる。前記昇降台用固定子は中空状に形成される。前記昇降台用固定子の内部空間は、前記昇降台用固定子の上下方向の両端において外部に開放される。前記昇降台用固定子には、前記内部空間を水平方向で外部に開放させる開放部が、前記上下方向の両端の開放部分を接続するように形成される。前記昇降台が複数の前記受渡し位置の何れかにある場合に、当該受渡し位置の前記昇降台用固定子は、当該昇降台における前記回転子と非接触にかつ当該回転子を取り囲むように位置する。前記昇降台用固定子は、前記回転子を取り囲んだ状態で磁気作用を発生させることにより、前記回転子を非接触で駆動する。
【0009】
これにより、各搬送ユニットの昇降台を、周回軌道に沿って、他の搬送ユニットの昇降台に対して独立に移動させることができる。従って、移動方向で隣り合う昇降台同士の間隔を、機械的な干渉が生じない範囲において適宜増減させながら、物品を搬送することができる。よって、物品の搬送効率を効果的に向上させることができる。回転子及び昇降台用固定子から構成されるモータに対し、可動部材である昇降台等に電線を設けることなく昇降台用固定子に電力を供給することで、搬送装置を駆動することができる。
【0012】
前記の昇降搬送装置においては、前記駆動部は、前記循環部材に連結された可動子と、固定側に設けられた循環駆動用固定子と、を備えたリニアモータとすることができる。
【0013】
この場合、可動部材である循環部材等に電線を設けることなく固定側の循環駆動用固定子に電力を供給することで、リニアモータにより可動子に推力を発生させて昇降台を移動させることができる。
【0014】
前記の昇降搬送装置においては、前記循環駆動用固定子は、複数の前記搬送ユニットに共通であることが好ましい。
【0015】
これにより、部品点数を低減することができる。
【0016】
前記の昇降搬送装置においては、前記可動子及び前記昇降台は、前記循環部材に対して、ループ状の当該循環部材を等しい長さで2つに分割する位置に配置されていることが好ましい。
【0017】
これにより、昇降台が周回軌道のどの位置にあっても、可動子を、昇降台に対するカウンタウェイトとして機能させることができる。従って、別に設けるカウンタウェイトを軽量化したり、カウンタウェイトを省略したりすることができる。
【0018】
前記の昇降搬送装置においては、以下の構成とすることができる。即ち、前記駆動部は、回転式モータである。前記回転式モータが発生させた回転力により駆動回転部材が回転することで、前記循環部材が駆動される。
【0019】
これにより、簡素な構成で循環駆動部材を駆動することができる。
【0020】
前記の昇降搬送装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記循環部材は、チェーンである。前記回転式モータは、電動モータである。前記駆動回転部材は、前記チェーンと噛み合うスプロケットである。
【0021】
これにより、簡素な構成を実現できる。
【0022】
前記の昇降搬送装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記循環部材に、2つの前記昇降台が取り付けられる。2つの前記昇降台は、前記循環部材に対して、ループ状の当該循環部材を等しい長さで2つに分割する位置に配置されている。
【0023】
これにより、昇降台が周回軌道のどの位置にあっても、一方の昇降台を、他方の昇降台のカウンタウェイトとして機能させることができる。
【0024】
前記の昇降搬送装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記可動子は、断面U字状に形成される。前記可動子によって取り囲まれた内部空間を、前記循環駆動用固定子が相対的に通過可能である。
【0025】
これにより、強力なリニアモータを実現することができる。
【0026】
前記の昇降搬送装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記循環駆動用固定子は、前記周回軌道に沿って複数並べて設けられる。前記可動子の走行方向において、隣り合う前記循環駆動用固定子同士の間隔は、前記可動子の長さよりも短い。
【0027】
これにより、可動子が何れの位置にあっても、何れかの循環駆動用固定子が可動子に磁気を作用させ得る状態を維持することができる。従って、リニアモータによる安定した駆動を実現できる。
【0028】
前記の昇降搬送装置においては、前記昇降台は、前記循環部材に片持ち状態で支持されていることが好ましい。
【0029】
これにより、搬送ユニットを簡易に構成することができる。
【0030】
前記の昇降搬送装置は、複数階の建築物において、異なる階の間で物品を搬送するために用いることができる。
【0031】
この場合、階間搬送の効率を向上させることができる。
【0032】
前記の昇降搬送装置は、複数段のラックにおいて、異なる段の間で物品を搬送するために用いることができる。
【0033】
この場合、異なる段の間で物品を効率的に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る昇降搬送装置の模式図。
図2】複数の搬送ユニットの位置関係を説明する斜視図。
図3】昇降台を詳細に示す拡大斜視図。
図4】昇降搬送装置の機能的な構成を示すブロック図。
図5】変形例の昇降搬送装置において、1つの搬送ユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、図面を参照して、本発明の一実施の形態に係る昇降搬送装置1を説明する。図1は、昇降搬送装置1の模式図である。図2は、複数の搬送ユニット11の位置関係を説明する斜視図である。図3は、昇降台15を詳細に示す拡大斜視図である。
【0036】
本実施形態の昇降搬送装置1は、複数階を有する工場(建築物)において、異なる階の間で物品を搬送する階間搬送装置として用いられる。本実施形態において、工場は1階から3階までの3階建てである。
【0037】
図1に示すように、工場のそれぞれの階間で物品3を搬送できるように、第1搬送部6A~6C及び第2搬送部7A~7Cが工場に配置される。1階に第1搬送部6A及び第2搬送部7Aが、2階に第1搬送部6B及び第2搬送部7Bが、3階に第1搬送部6C及び第2搬送部7Cが、それぞれ配置される。第1搬送部6A~6Cは、昇降搬送装置1の水平方向一側に配置され、昇降搬送装置1へ物品3を搬入することができる。第2搬送部7A~7Cは、昇降搬送装置1を挟んで第1搬送部6A~6Cと反対側に配置され、昇降搬送装置1から物品3を搬出することができる。第1搬送部6A~6C及び第2搬送部7A~7Cは、例えばベルトコンベアとして構成することができるが、これに限定されない。
【0038】
昇降搬送装置1においては、複数の受渡し位置がそれぞれ定められている。受渡し位置とは、物品3の荷積み及び荷下ろしのうち少なくとも何れかを行う位置である。本実施形態では、受渡し位置は、荷積み位置と荷下ろし位置とに分けられる。荷積み位置は、昇降搬送装置1と、第1搬送部6A~6Cのそれぞれと、が接続する3箇所である。荷下ろし位置は、昇降搬送装置1と、第2搬送部7A~7Cのそれぞれと、が接続する3箇所である。
【0039】
受渡し位置の数及び位置等は、工場の階数及び搬送部のレイアウト等に応じて任意に変更することができる。例えば、1つの受渡し位置で荷積み及び荷下ろしの両方が可能となるように構成しても良い。
【0040】
図1に示すように、昇降搬送装置1は、複数の搬送ユニット11と、フレーム(固定側部材)12と、を備える。本実施形態において、搬送ユニット11は6つ設けられている。ただし、図1では、昇降搬送装置1の構成をわかり易く示すために、6つのうち3つの搬送ユニット11だけが描かれ、他は省略されている。図2では、6つのうち1つの搬送ユニット11が実線で描かれ、もう1つの搬送ユニット11が二点鎖線で描かれ、他は省略されている。図3には、1つの搬送ユニット11に相当する構成だけが示されている。
【0041】
それぞれの搬送ユニット11は、第1搬送部6A~6Cと第2搬送部7A~7Cとの間で、複数の階に跨って配置される。複数の搬送ユニット11は、それぞれ、第1搬送部6A~6Cの何れかから物品3を受け取って、当該物品を第2搬送部7A~7Cの何れかへ搬送する。搬送元と搬送先の階は任意である。
【0042】
それぞれの搬送ユニット11は、昇降台15と、リニアモータ(駆動部)16と、チェーン(循環部材)17と、を備える。
【0043】
昇降台15は、本実施形態では、1つの搬送ユニット11につき1つ備えられている。昇降台15は、複数の受渡し位置を結ぶように配置された周回軌道20に沿って、循環的に移動することができる。この周回軌道20は、複数の階に跨るように上下方向に延びる鉛直軌道を含む。受渡し位置は何れも、この鉛直軌道の途中部又は端部に配置されている。
【0044】
周回軌道20は、6つの搬送ユニット11で共通である。従って、6つの昇降台15が、同一の周回軌道20に沿って移動する。6つの昇降台15のそれぞれは、周回軌道20に沿って移動することで、6つの受渡し位置を順次通過する。
【0045】
昇降台15の数(言い換えれば、搬送ユニット11の数)は、複数であれば任意である。昇降台15の数は、本実施形態では受渡し位置の数と等しいが、受渡し位置の数より多くても少なくても良い。
【0046】
リニアモータ16は、昇降台15を周回軌道20に沿って移動させるための駆動力を発生させる。リニアモータ16は、図4に示す制御部100により制御される。制御部100の詳細については後述する。
【0047】
チェーン17は、ループ状の部材である。チェーン17は、周回軌道20に対応する循環軌道に沿って走行するように循環可能に構成されている。循環軌道は、周回軌道20を内周側に一定距離だけオフセットした形状となっている。循環軌道は、上下方向の仮想の軸に関して対称である。昇降台15は、チェーン17の適宜の位置に取り付けられている。チェーン17には、可動子65が取り付けられている。
【0048】
この構成で、リニアモータ16が駆動力を発生させた場合、チェーン17は、前記駆動力を昇降台15に伝達する。従って、チェーン17は、リニアモータ16の駆動力を昇降台15に伝達する伝達部材であるということができる。チェーン17は、リニアモータ16が発生させた駆動力によって循環軌道を循環する。これに伴って、昇降台15は周回軌道20に沿って移動する。
【0049】
次に、図2及び図3を主に参照して、搬送ユニット11の構成について詳細に説明する。
【0050】
図2に示すように、複数の搬送ユニット11は、各搬送ユニット11のチェーン17が小さな間隔をあけて1列に並ぶように配置されている。図2には2本のチェーン17だけが示されているが、実際は6つのチェーン17が並べて配置されている。それぞれのチェーン17の循環軌道は同一形状であり、各チェーン17は他のチェーン17と互いに平行に配置されている。従って、チェーン17が並べられる方向に沿って見たとき、全てのチェーン17の循環軌道が一致している。
【0051】
それぞれの搬送ユニット11において、チェーン17の経路を循環軌道に沿って案内するために、スプロケット62、及び、図略のガイドが配置されている。スプロケット62等は、図1に示すフレーム12に支持されている。それぞれのチェーン17は、他のチェーン17と独立して循環することができる。
【0052】
昇降台15の移動経路である上述の周回軌道20は、複数のチェーン17(言い換えれば、循環軌道)が並んで位置する領域に対して、当該チェーン17が並べられる方向の一側に配置されている。各搬送ユニット11の昇降台15は、周回軌道20を適宜の間隔で分割するように、それぞれのチェーン17に配置されている。
【0053】
昇降台15は、昇降台本体21と、搬送装置22と、駆動伝達機構23と、回転子24と、被検知部25と、を備えている。
【0054】
昇降台本体21は、搬送装置22を介して、物品3を支持することができる。昇降台本体21は、第1連結部31を介して、搬送ユニット11のチェーン17に連結されている。
【0055】
具体的には、第1連結部31は、支持走行部材33と、チェーン固定部材34と、を有する。
【0056】
支持走行部材33は、チェーン17の循環軌道の外側に配置されている。支持走行部材33は、チェーン17をガイドするためのスプロケット62の軸方向と平行に延びるように、細長い棒状に形成されている。
【0057】
チェーン固定部材34は、支持走行部材33と、チェーン17と、を互いに連結する。チェーン固定部材34は、細長い棒状に形成されている。
【0058】
支持走行部材33は、複数のチェーン17が並んで位置する領域から、当該チェーン17が並べられる方向の一側に突出している。そして、この突出部分に、昇降台本体21が回転可能に支持されている。従って、昇降台本体21(言い換えれば、昇降台15)は、チェーン17に片持ち状態で支持される。
【0059】
昇降台15を片持ち支持とすることで、昇降台15を挟んで両側にチェーン17を配置する必要が無くなる。従って、構成を簡素化できる。
【0060】
支持走行部材33の走行経路は、ガイド部材70によって案内される。ガイド部材70は、前述の周回軌道20に対応した形状のガイド溝を有している。ガイド部材70は、支持走行部材33の複数箇所に接触して案内することができる。支持走行部材33は、チェーン17の駆動により、当該チェーン17の外周側を前述のガイド溝に沿って周回走行する。
【0061】
支持走行部材33と昇降台本体21との間には、図略の姿勢保持機構が設けられている。支持走行部材33は周回走行に伴って向きが変化するが、この姿勢保持機構によって、昇降台本体21の向きを常に水平に保持することができる。詳細は省略するが、姿勢保持機構としては公知の構成を適宜使用することができる。
【0062】
図3等に示すように、昇降台本体21には、搬送装置22と、駆動伝達機構23と、回転子24と、被検知部25と、が設けられている。
【0063】
搬送装置22は、物品3の受渡しを行うために、水平な方向(昇降台15の昇降方向と交差する方向)に当該物品3を搬送する。搬送装置22は、本実施形態では、複数並べて配置されたチェーン39から構成されている。それぞれのチェーン39は、駆動スプロケットと、従動スプロケットと、の間に巻き掛けられている。駆動スプロケットには入力軸が固定され、この入力軸が、昇降台本体21の側部に突出している。搬送装置22は、後述のモータ50により駆動される。
【0064】
駆動伝達機構23は、後述のモータ50の駆動力を搬送装置22に伝達する。駆動伝達機構23は、昇降台本体21の側部に配置されるベベルギア44,45により構成されている。ベベルギア44は、モータ50の出力軸に固定される。ベベルギア45は、搬送装置22のチェーン39の駆動スプロケットの入力軸に固定される。2つのベベルギア44,45は、互いに噛み合っている。以上により、モータ50の出力軸の回転を、搬送装置22のチェーンに伝達することができる。
【0065】
回転子24は、円柱状の部材であり、昇降台本体21の側部に配置されている。回転子24は、各受渡し位置に対応して配置された昇降台用固定子71とともに、モータ50を構成する。昇降台本体21には、上下1対の支持アーム51が固定される。回転子24は、上下1対の支持アーム51の間に配置され、当該支持アーム51の先端部に支持される。回転子24は、上下方向の軸を中心として回転することができる。回転子24には出力軸が設けられており、この出力軸に前述のベベルギア44が固定される。
【0066】
回転子24には、複数の永久磁石が、当該回転子24の周方向にS極とN極とが交互に並ぶように配置される。回転子24と昇降台用固定子71とが非接触にて対向する状態で、昇降台用固定子71が磁気を作用させることにより、回転子24に回転力が発生する。この回転力が、出力軸から駆動力として取り出される。
【0067】
昇降台用固定子71は、昇降台15の回転子24に対して磁気を作用させることができる。昇降台用固定子71は、各受渡し位置につき1つ配置されている。それぞれの昇降台用固定子71は、周回軌道20に沿った昇降台15の移動に伴って回転子24が通過する軌跡に対応して配置される。それぞれの昇降台用固定子71は地上側(フレーム12側)に固定的に設置されているので、チェーン17が駆動されても昇降台用固定子71が移動することはない。
【0068】
図3に示すように、それぞれの昇降台用固定子71は、平面視でC字状に形成されている。具体的に説明すると、昇降台用固定子71の内部空間81は、昇降台用固定子71の上端において上方に開放され、下端において下方に開放されている。また、昇降台用固定子71には、内部空間81を水平方向で外部に開放させる開放部82が、上下方向の両端の開放部分を接続するように形成される。この開放部82は、昇降台本体21側に設けられている。
【0069】
昇降台15に設けられた回転子24、支持アーム51、ベベルギア44,45等は、昇降台15の昇降に伴って、昇降台用固定子71の内部空間81又は開放部82を上下方向に通過することができる。
【0070】
昇降台用固定子71の内壁は、対応する受渡し位置に昇降台15があるときに、当該昇降台15の回転子24と非接触にかつ当該回転子24を取り囲むように設けられている。この内壁に、複数のコイルが、当該回転子24の周方向に沿って並べて配置される。従って、昇降台用固定子71においてコイルに電流を流すことにより、回転子24を非接触で回転駆動することができる。
【0071】
被検知部25は、本実施形態では永久磁石として構成されている。詳細は後述するが、各受渡し位置には、位置センサ73が設けられている。位置センサ73は、磁気センサとして構成されており、被検知部25を検知することができる。
【0072】
次に、リニアモータ16について詳細に説明する。リニアモータ16は、可動子65と、循環駆動用固定子72と、を備える。
【0073】
可動子65は、チェーン17の周方向の外側に配置されている。可動子65は、第2連結部66を介して、搬送ユニット11のチェーン17に連結されている。
【0074】
第2連結部66は、第1連結部31と類似した構成であり、支持走行部材67と、チェーン固定部材68と、を備える。
【0075】
支持走行部材67は、チェーン17をガイドするためのスプロケット62の軸方向と平行に延びるように、細長い棒状に形成されている。支持走行部材67は、チェーン17の駆動により、当該チェーン17の外周側を、ガイド部材70のガイド溝に沿って周回走行する。
【0076】
チェーン固定部材68は、支持走行部材67と、チェーン17と、を互いに連結する。
【0077】
可動子65の軌道は、6つの搬送ユニット11で共通となっている。従って、6つの可動子65が、同一の軌道に沿って走行する。
【0078】
それぞれの可動子65は、チェーン17の長手方向に並べられた複数(本実施形態では、3つ)の可動子要素から構成される。第2連結部66には、支持走行部材67及びチェーン固定部材68が複数設けられている。それぞれの可動子要素は、隣り合って位置する支持走行部材67を繋ぐように、当該支持走行部材67に対してヒンジ機構を介して連結されている。従って、経路の曲線部分を可動子65が走行するとき、可動子65は、図1の下部に示すように、可動子要素の連結部分を境に適宜折れ曲がることができる。
【0079】
可動子65(具体的には、それぞれの可動子要素)は、図2に示すように、その走行方向に垂直な平面で切った断面がU字状となるように形成されている。可動子65は、その開放部がチェーン17の外周側を向くように配置される。U字状の可動子65において、その内部空間を挟んだ両側には、複数の永久磁石が設けられる。
【0080】
可動子65において、永久磁石は、当該可動子65の走行方向でS極とN極とが交互に並ぶように配置される。可動子65と循環駆動用固定子72とが非接触にて対向する状態で、循環駆動用固定子72が磁気を作用させることにより、可動子65に直線的な推進力が発生する。この推進力によって、チェーン17が循環駆動される。
【0081】
循環駆動用固定子72は、可動子65に対して磁気を作用させることができる。循環駆動用固定子72は、チェーン17の外周側に、適宜の間隔で複数並べて配置されている。循環駆動用固定子72は、上述のフレーム12に固定される。それぞれの循環駆動用固定子72は、可動子65の走行軌跡に対応して配置される。それぞれの循環駆動用固定子72は固定的に設置されているので、チェーン17が駆動されても循環駆動用固定子72が移動することはない。
【0082】
循環駆動用固定子72は、複数の搬送ユニット11のリニアモータ16に関して共通のものである。即ち、循環駆動用固定子72は、6つの搬送ユニット11に対して1組設けられている。
【0083】
それぞれの循環駆動用固定子72は、プレート状に形成されている。この循環駆動用固定子72は、チェーン17の走行に伴って可動子65が走行するときに、U字状に形成された当該可動子65の内部空間を相対的に通過することができる。
【0084】
循環駆動用固定子72には、複数のコイルが、可動子65の走行方向に沿って並べて配置される。従って、循環駆動用固定子72においてコイルに電流を流すことにより、可動子65を非接触で直線的に駆動することができる。
【0085】
循環駆動用固定子72に配置されるコイルは、図示しないが、コアを有しない構成となっている。循環駆動用固定子72が可動子65の内部空間に差し込まれた状態では、コアレスタイプのコイルの両側に、可動子65の永久磁石が位置する。コアレスタイプのコイルを、両側から永久磁石で挟み込むように構成することで、吸着力を相殺しつつ、リニアモータ16の強い駆動力を実現することができる。
【0086】
前述のとおり、可動子65は、可動子要素を走行方向に適宜繋げて構成されているので、走行方向でのある程度の長さが確保されている。従って、可動子65の走行方向で隣り合う任意の2つの循環駆動用固定子72に着目した場合に、その間隔S1は、可動子65の走行方向の長さL1よりも短くなっている(S1<L1)。よって、可動子65が走行経路のどの位置にあるときも、複数のうち何れかの循環駆動用固定子72が当該可動子65に対向して、磁気を作用させることができる。
【0087】
それぞれの搬送ユニット11に着目した場合に、可動子65及び昇降台15は、チェーン17に対して、ループ状の当該チェーン17を等しい長さで2つに分割する位置に配置されている。即ち、チェーン17の周方向に関し、可動子65を基準として半周分ズレた位置に昇降台15が配置されている。これにより、可動子65及び昇降台15がどの位置にあっても、昇降台15に対して可動子65を一種のカウンタウェイトとして機能させることができる。
【0088】
次に、図4を参照して、昇降搬送装置1の制御について説明する。図4は、昇降搬送装置1の機能的な構成を示すブロック図である。
【0089】
昇降搬送装置1は、制御部100を更に備える。制御部100は、それぞれの搬送ユニット11を、他の搬送ユニット11に対して独立に制御することができる。
【0090】
制御部100は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備える公知のコンピュータから構成される。ROMには、各種プログラム等が記憶されている。CPUは、各種プログラム等をROMから読み出して実行することができる。
【0091】
制御部100は、昇降台用固定子71と、循環駆動用固定子72と、位置センサ73と、に接続されている。
【0092】
循環駆動用固定子72の磁気は、当該循環駆動用固定子72と対向する位置にある可動子65には作用させられる一方、対向する位置にない可動子65には作用させられない。即ち、可動子65に磁気を作用させることが可能な循環駆動用固定子72は、当該可動子65の位置に応じて異なる。制御部100は、それぞれの搬送ユニット11における可動子65に関し、当該可動子65に対向する循環駆動用固定子72が磁気を作用させるように、各循環駆動用固定子72を独立して制御する。
【0093】
以上により、それぞれの搬送ユニット11(昇降台15)を、他の搬送ユニット11(昇降台15)と連動させずに、移動/停止させたり、移動時の速度を変更したりすることができる。即ち、複数の昇降台15を、それぞれ個別の速度で昇降させることができる。
【0094】
例えば、以下のような制御が考えられる。原則として、6つの昇降台15は、互いに等しい間隔を保って、適宜の設定速度で一方向に移動する。このとき、例えば、所定の昇降台15が、物品3の荷積みのために何れかの受渡し位置で減速又は停止する場合を考える。この場合でも、他の昇降台15は、前記所定の昇降台15と干渉しない範囲内において、減速等を行わずに物品3の搬送又は荷積みのために何れかの受渡し位置へ向かう動作を継続することができる。物品3の荷積みのために減速又は停止していた昇降台15は、荷積みが完了すると、しばらくの間、上記の設定速度よりも少し大きな速度で移動する。これにより、先行の昇降台15に対する遅れを解消することができる。
【0095】
このように、本実施形態では、1つの昇降台15の減速又は停止が、他の昇降台15での搬送に影響しにくくなる。従って、それぞれの昇降台15での物品3の受渡しのタイミングに柔軟性を持たせながら搬送を行うことができるので、全体としての搬送効率を向上させることができる。
【0096】
上述のとおり、位置センサ73は磁気センサとして構成されており、昇降台15の被検知部25を非接触で検知することができる。ただし、位置センサ73は上記に限定されず、例えば光センサ等とすることもできる。
【0097】
制御部100は、位置センサ73の検知結果に基づいて昇降台15が目的の受渡し位置に到達したことを検知すると、昇降台用固定子71が当該昇降台15の回転子24に磁気を作用させるように、昇降台用固定子71を制御する。これにより搬送装置22が駆動され、昇降台15に対する物品3の荷積み又は荷下ろしを行うことができる。
【0098】
本実施形態において、モータ50を構成する昇降台用固定子71、及び、リニアモータ16を構成する循環駆動用固定子72は、何れも地上側に(建築物に)固定的に(言い換えれば、昇降台15の移動に連動して動かないように位置固定に)設けられている。従って、昇降台15が移動しても、昇降台用固定子71及び循環駆動用固定子72のコイルに電流を流すための電線が絡んだり切れたりすることがない。この結果、構成の簡素化を実現することができる。
【0099】
以上に説明したように、本実施形態の昇降搬送装置1は、複数の受渡し位置の間で物品3を搬送可能である。昇降搬送装置1は、複数の搬送ユニット11と、制御部100と、を備える。制御部100は、搬送ユニット11を制御する。それぞれの搬送ユニット11は、昇降台15と、リニアモータ16と、チェーン17と、を備える。昇降台15は、上下方向に延びる鉛直軌道を含んだ形状の軌道であって、複数の搬送ユニット11で共通である周回軌道20に沿って移動することで、前記複数の受渡し位置を通過可能である。リニアモータ16は、昇降台15を周回軌道20に沿って移動させるための駆動力を発生させる。チェーン17は、周回軌道20に対応する循環軌道に沿って走行可能なループ状の部材であり、リニアモータ16が発生させた駆動力により走行することで昇降台15を移動させる。制御部100は、それぞれの搬送ユニット11におけるチェーン17の走行を、他の搬送ユニット11に対して独立に制御する。
【0100】
これにより、各搬送ユニット11の昇降台15を、周回軌道20に沿って、他の搬送ユニット11の昇降台15に対して独立に移動させることができる。従って、移動方向で隣り合う昇降台15同士の間隔を、機械的な干渉が生じない範囲において適宜増減させながら、物品3を搬送することができる。よって、物品3の搬送効率を効果的に向上させることができる。
【0101】
また、他の昇降台15が移動している場合にも、受渡し位置に昇降台15を停止させた状態で物品3の受渡しを行うことができるため、安定して物品3の受渡しを行うことができる。
【0102】
また、本実施形態の昇降搬送装置1において、それぞれの搬送ユニット11が備える昇降台15は、回転子24と、搬送装置22と、を有する。回転子24は、上下方向の軸を中心として回転可能である。搬送装置22は、回転子24の回転によって駆動され、物品3の受渡しのために当該物品3を搬送する。昇降台用固定子71が、複数の受渡し位置に対応して設けられる。昇降台用固定子71は中空状に形成される。昇降台用固定子71の内部空間81は、昇降台用固定子71の上下方向の両端において外部に開放される。昇降台用固定子71には、内部空間81を水平方向で外部に開放させる開放部82が、上下方向の両端の開放部分を接続するように形成される。昇降台15が複数の受渡し位置の何れかにある場合に、受渡し位置の昇降台用固定子71は、昇降台15における回転子24と非接触にかつ回転子24を取り囲むように位置する。昇降台用固定子71は、回転子24を取り囲んだ状態で磁気作用を発生させることにより、回転子24を非接触で駆動する。
【0103】
これにより、回転子24及び昇降台用固定子71から構成されるモータ50に対し、可動部材である昇降台15等に電線を設けることなく地上側の昇降台用固定子71に電力を供給することで、搬送装置22を駆動することができる。
【0104】
また、本実施形態の昇降搬送装置1において、リニアモータ16が、昇降台15を周回軌道20に沿って移動させるための駆動力を発生させる。リニアモータ16は、チェーン17に連結された可動子65と、固定側に設けられた循環駆動用固定子72と、を備える。
【0105】
これにより、可動部材であるチェーン17等に電線を設けることなく地上側(固定側)の循環駆動用固定子72に電力を供給することで、リニアモータ16により可動子65に推力を発生させて昇降台15を移動させることができる。
【0106】
また、本実施形態の昇降搬送装置1において、循環駆動用固定子72は、複数の搬送ユニット11に共通である。
【0107】
これにより、部品点数を低減することができる。
【0108】
また、本実施形態の昇降搬送装置1において、可動子65及び昇降台15は、チェーン17に対して、ループ状のチェーン17を等しい長さで2つに分割する位置に配置されている。
【0109】
これにより、昇降台15が周回軌道20のどの位置にあっても、可動子65を、昇降台15に対するカウンタウェイトとして機能させることができる。従って、別に設けるカウンタウェイトを軽量化したり、カウンタウェイトを省略したりすることができる。
【0110】
また、本実施形態の昇降搬送装置1において、可動子65は、断面U字状に形成される。可動子65によって取り囲まれた内部空間を、循環駆動用固定子72が相対的に通過可能である。
【0111】
これにより、強力なリニアモータ16を実現することができる。
【0112】
また、本実施形態の昇降搬送装置1において、循環駆動用固定子72は、チェーン17の循環軌道に沿って複数並べて設けられる。可動子65の走行方向において、隣り合う循環駆動用固定子72同士の間隔S1は、可動子65の長さL1よりも短い(S1<L1)。
【0113】
これにより、可動子65が何れの位置にあっても、何れかの循環駆動用固定子72が可動子65に磁気を作用させ得る状態を維持することができる。従って、リニアモータ16による安定した駆動を実現できる。
【0114】
また、本実施形態の昇降搬送装置1において、昇降台15は、チェーン17に片持ち状態で支持される。
【0115】
これにより、搬送ユニット11の簡素な構成を実現することができる。
【0116】
また、本実施形態の昇降搬送装置1は、複数階の工場において、異なる階の間で物品を搬送するために用いられる。
【0117】
これにより、階間での効率的な搬送を実現することができる。
【0118】
次に、上記の実施形態の変形例を説明する。図5は、変形例に係る昇降搬送装置1xにおいて、1つの搬送ユニット11だけを示す斜視図である。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0119】
本変形例の昇降搬送装置1xにおいて、チェーン17は、リニアモータ16ではなく、回転力を発生させる回転式モータ91によって循環駆動される。本変形例の昇降搬送装置1xでは、リニアモータ16を構成する可動子65及び循環駆動用固定子72は備えられていない。
【0120】
チェーン17を案内する4つのスプロケット62のうち1つが、駆動スプロケット62a(駆動回転部材)となっている。駆動スプロケット62aは、回転式モータ91が発生させた回転力が、伝動チェーン92を介して伝達されることで駆動される。
【0121】
本変形例では、1つの搬送ユニット11につき昇降台15が2つ設けられている。2つの昇降台15は、チェーン17に対して、ループ状の当該チェーン17を等しい長さで2つに分割する位置に配置されている。これにより、一方の昇降台15を、他方の昇降台15に対するカウンタウェイトとして機能させることができる。
【0122】
図5では1つの搬送ユニット11だけが示されているが、本変形例の昇降搬送装置1xは、3つの搬送ユニット11を備える。3つのチェーン17が、小さな間隔をあけて並べて配置される。それぞれの搬送ユニット11(言い換えれば、チェーン17)に対し、回転式モータ91が配置される。従って、それぞれの搬送ユニット11を独立して制御することができる。複数の回転式モータ91の配置スペースを確保するために、チェーン17の駆動スプロケット62aの位置を、4つのスプロケット62の間で、搬送ユニット11毎に異ならせることが好ましい。
【0123】
本変形例では、6つの昇降台15は、3つのチェーン17によって駆動される。同一のチェーン17に取り付けられた2つの昇降台15を1つの組と考えると、同じ組の2つの昇降台15は、一方が移動/停止すると他方も移動/停止することになる。しかしながら、異なる組に属する昇降台15は、互いに独立して移動/停止することができる。
【0124】
以上に説明したように、本変形例の昇降搬送装置1xにおいては、回転式モータ91が、昇降台15を周回軌道20に沿って移動させるための駆動力を発生させる。回転式モータ91が発生させた回転力により駆動スプロケット62aが回転することで、チェーン17が駆動される。
【0125】
これにより、簡素な構成でチェーン17を駆動することができる。
【0126】
また、本変形例の昇降搬送装置1xにおいて、チェーン17が、周回軌道20に対応する循環軌道に沿って走行する。回転式モータ91は、電動モータである。駆動スプロケット62aは、チェーン17と噛み合う。
【0127】
これにより、簡素な構成を実現できる。
【0128】
また、本変形例の昇降搬送装置1xにおいて、チェーン17に、2つの昇降台15が取り付けられる。2つの昇降台15は、チェーン17に対して、ループ状のチェーン17を等しい長さで2つに分割する位置に配置されている。
【0129】
これにより、昇降台15がどの位置にあっても、一方の昇降台15を、他方の昇降台15のカウンタウェイトとして機能させることができる。
【0130】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0131】
昇降搬送装置1は、工場以外の建築物、例えば倉庫に用いられても良い。昇降搬送装置1は、階間搬送装置とは別の用途に用いても良い。例えば、昇降搬送装置1を、複数の段を有するラックにおいて、異なる段の間で物品を搬送するために用いることもできる。当該ラックにおいて、同一段での物品の移動は、水平方向に往復移動可能な台車により行うこともできる。
【0132】
上記の実施形態では、可動子65は、循環駆動用固定子72を挟むようにU字状に形成されている。しかしながら、可動子65の形状は任意である。例えば、可動子65が、循環駆動用固定子72と対向する板状に形成されても良い。
【0133】
上記の実施形態では、循環駆動用固定子72は、複数の搬送ユニット11のリニアモータ16について共通である。しかしながら、それぞれの搬送ユニット11に対して循環駆動用固定子72を設けても良い。この場合、それぞれの搬送ユニット11において、可動子65は互いに別々の軌道を走行することになる。
【0134】
リニアモータ16を用いた上述の実施形態において、1つの搬送ユニット11につき2つの昇降台15及び2つの可動子65が設けられても良い。
【0135】
図5の変形例において、2つのうち1つの昇降台15が省略されても良い。
【0136】
搬送対象の物品3は任意であるが、例えば、ケース、FOUP等とすることが考えられる。
【0137】
各搬送ユニット11には、昇降台15(物品3)の落下を防止するための落下防止機構を設けても良い。この落下防止機構としては、例えば、従来公知のものを採用することができる。
【0138】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0139】
1,1x 昇降搬送装置
3 物品
11 搬送ユニット
15 昇降台
16 リニアモータ(駆動部)
17 チェーン(循環部材)
20 周回軌道
22 搬送装置
24 回転子
62 スプロケット
65 可動子
71 昇降台用固定子
72 循環駆動用固定子
91 回転式モータ(電動モータ、駆動部)
100 制御部
L1 長さ
S1 間隔
図1
図2
図3
図4
図5