(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】木製部材内への補強筋埋設方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/26 20060101AFI20231206BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
E04B1/26 E
E04B1/58 511L
E04B1/58 507T
(21)【出願番号】P 2023137079
(22)【出願日】2023-08-25
【審査請求日】2023-08-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507403160
【氏名又は名称】株式会社中東
(73)【特許権者】
【識別番号】390024394
【氏名又は名称】山本ビニター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】小坂 勇治
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7036330(JP,B1)
【文献】特開2019-52425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00- 1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製部材内に補強筋埋設用孔を穿設する孔穿設工程と、該補強筋埋設用孔に伝導体から成る補強筋を挿入する補強筋挿入工程と、該挿入した上記補強筋と連通しつつ外部に露出する端子部を形成する端子部形成工程と、上記補強筋埋設用孔内にエポキシ系接着剤を充填する接着剤充填工程と、上記端子部を電源に接続して上記補強筋を第一電極として利用すると共に該第一電極に対向する第二電極を配して高周波電力を印加する印加工程と、該印加によって上記木製部材内の上記接着剤を加熱して当該接着剤を硬化させる接着剤硬化工程を備えることを特徴とする木製部材内への補強筋埋設方法。
【請求項2】
複数の上記補強筋に同時に上記高周波電力を印加し、該各補強筋をそれぞれ第一電極として利用することを特徴とする請求項1に記載の木製部材内への補強筋埋設方法。
【請求項3】
上記第二電極を上記木製部材の周部に配することを特徴とする請求項1記載の木製部材内への補強筋埋設方法。
【請求項4】
上記第二電極を複数配し、該各第二電極に同時に上記高周波電力を印加することを特徴とする請求項3記載の木製部材内への補強筋埋設方法。
【請求項5】
上記第一電極として利用する補強筋以外の上記補強筋を上記第二電極として利用することを特徴とする請求項1記載の木製部材内への補強筋埋設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木製部材(木製の柱等)を接合部材として木製梁やコンクリート基礎、鋼材等の被接合部材と補強筋を介して接合する場合や、木製部材自体を補強する場合に、木製部材内に充填した接着剤を用いて補強筋を埋設する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、補強筋を木製部材内に接着剤を介して埋設することが一般的に行われており、接着剤の硬化促進のために、木製部材内部の接着剤を加熱することが行われている。接着剤を加熱する方法として、木製部材の外部を毛布などで覆って加熱し当該木製部材内部の接着剤を温める方法、つまり熱伝導加熱方法では温度上昇のスピードが遅いと共に木製部材内部の接着剤を効果的に加熱することは困難である。
【0003】
また、集成材をはじめとした木製部材の製造現場において、木製ラミナを集成接着する際に、高周波電力の印加による誘電加熱を利用してレゾルシノール系接着剤の硬化促進を図ることが知られているが、誘電加熱においては、誘電体損失係数が高いものから順に加熱される特性を有しており、補強筋の埋設に用いられるエポキシ系接着剤のように木製部材よりも誘電体損失係数が低い接着剤の場合、当該接着剤よりも先に木製部材が加熱され内部温度が高温となってしまい、この過加熱により当該木製部材自身の材色変化や強度劣化が生じてしまうことが知られている。
【0004】
そこで、本発明者は、上述した熱伝導加熱方法の問題点と誘電加熱方法の問題点を、これら両加熱方法をハイブリッドに用いることにより解消できることを見出し、下記特許文献1に示す補強筋埋設方法を開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の補強筋埋設方法によれば、一対の電極間に木製部材をセットして高周波電力を印加することにより木製部材自体を加熱し、該加熱された木製部材からの熱伝導によって接着剤を加熱することができるので、木製部材内部のエポキシ系接着剤を短時間で効果的に加熱することができる。よって、適切にエポキシ系接着剤の硬化を促進することができ、ひいては木製部材内に強固に補強筋を埋設することができる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の補強筋埋設方法にあっては、木製部材が大断面の場合、電極同士の間隔が大きくなってしまうので、当該木製部材を効果的に加熱することができず、したがって接着剤に熱伝導することもできなくなってしまうおそれがある。
【0008】
特に近年は中層や高層の建築物の柱や梁等にも木製部材を使用する場合が多く、木製部材の大断面化が進んでおり、大断面の木製部材への補強筋埋設においても短時間で効果的に接着剤を加熱することができる方法が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る補強筋埋設方法は、上記従来の補強筋埋設方法が抱える課題を有効に解決するために開発されたものであり、木製部材が大断面であっても、その内部に充填された接着剤を適切に加熱することができる補強筋埋設方法を提供するものである。
【0010】
要述すると、本発明に係る木製部材内への補強筋埋設方法(以下、単に「補強筋埋設方法」という。)は、木製部材内に補強筋を埋設する方法であって、次の工程を備えることを特徴とする。
【0011】
すなわち、木製部材内に補強筋埋設用孔を穿設する孔穿設工程と、該補強筋埋設用孔に伝導体から成る補強筋を挿入する補強筋挿入工程と、該挿入した上記補強筋と連通しつつ外部に露出する端子部を形成する端子部形成工程と、上記補強筋埋設用孔内にエポキシ系接着剤を充填する接着剤充填工程と、上記端子部を電源に接続して上記補強筋を第一電極として利用すると共に該第一電極に対向する第二電極を配して高周波電力を印加する印加工程と、該印加によって上記木製部材内の上記接着剤を加熱して当該接着剤を硬化させる接着剤硬化工程を備える。よって木製部材内に埋設される補強筋を電極として使用することができ、大断面であっても木製部材を効果的に加熱することができ、ひいては木製部材内の接着剤の適切な硬化促進を図ることができる。
【0012】
好ましくは、複数の上記補強筋に同時に上記高周波電力を印加し、該各補強筋をそれぞれ第一電極として利用することにより、広範囲に同時に誘電加熱を施すことができる。
【0013】
また、上記第二電極を上記木製部材の周部に配することにより、上記第一電極との対向状態を調整することができるため、当該第二電極と上記第一電極で挟まれた木製部材部分を適切に加熱し、最終的に上記第一電極として利用される補強筋の周囲の接着剤を有効に加熱することができる。さらに好ましくは、上記第二電極を複数配し、該各第二電極に同時に上記高周波電力を印加することにより、確実に木製部材を加熱し、その内部の接着剤を加熱することができる。
【0014】
また、上記第一電極として利用する補強筋以外の上記補強筋を上記第二電極として利用することにより、上記第一電極として利用する補強筋と、上記第二電極として利用する補強筋の間の木製部材部分を有効に誘電加熱することができ、その木製部材部分に接する接着剤を熱伝導加熱して硬化促進を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る補強筋埋設方法によれば、木製部材が大断面であっても、当該木製部材内に短時間で確実且つ強固に補強筋を埋設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る補強筋埋設方法における孔穿設工程を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る補強筋埋設方法における補強筋挿入工程及び接着剤充填工程を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る補強筋埋設方法における端子部形成工程を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る補強筋埋設方法における印加工程及び接着剤硬化工程を示す斜視図である。
【
図6】印加工程及び接着剤硬化工程の他例を示す斜視図である。
【
図7】一対の電極の双方を補強筋を利用して構成する印加工程及び接着剤硬化工程を示す斜視図である。
【
図8】複数本の補強筋への電力供給例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る補強筋埋設方法の最適な実施例について、
図1~
図8に基づき、説明する。
【0018】
<基本構成>
本発明に係る補強筋埋設方法は、
図1~
図8に示すように、木製の建築材料の如き木製部材10内へ接着剤を介して補強筋1を埋設する方法である。埋設される補強筋1は、木製部材10を接合部材として木製梁やコンクリート基礎、鋼材等の被接合部材と補強筋を介して接合する場合の接合部材として機能する他、当然に木製部材自体を補強する。木製部材10としては、無垢の木製部材の他、構造用の集成材やLVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)、CLT(Cross Laminated Timber)を用いることができる。
【0019】
本発明に係る補強筋埋設方法は、基本構成として、次の各工程を備える。
【0020】
まず、
図1~
図3に示すように、木製部材10に補強筋埋設用孔12を穿設する孔穿設工程と、該補強筋埋設用孔12に補強筋1を挿入する補強筋挿入工程と、該挿入した上記補強筋と連通しつつ外部に露出する端子部20を形成する端子部形成工程と、上記補強筋埋設用孔12内に接着剤2を充填し該接着剤2で補強筋1の外表面を覆う接着剤充填工程とを備える。
【0021】
次いで、
図4に示すように、補強筋1の端子部20を電源(交流電源)30に接続して当該補強筋1を第一電極31として利用すると共に該第一電極31に対向する第二電極32を配して高周波電力を印加する印加工程と、該印加によって木製部材10内の接着剤2を加熱して当該接着剤2を硬化させる接着剤硬化工程を備えるものである。
【0022】
補強筋1としては、異形鉄筋、全ネジボルト、丸鋼等の金属製の棒状体の他、伝導体から成る補強筋を使用することができ、必要な強度や使用箇所の耐荷重によって適宜使い分けることができる。埋設する補強筋の本数は接合箇所や補強箇所によって適宜調整することができる。
【0023】
また、接着剤2としては、エポキシ系接着剤を用いる。エポキシ系接着剤は硬化後、高強度の接着剤層を形成し補強筋1を確実に埋設する。エポキシ系接着剤は、高周波(短波:3~30MHz,超短波:30~300MHz)に対する誘電体損失係数が、構造材として使用するために乾燥させた木製部材10の誘電体損失係数よりも総じて低いことが知られている。よって、誘電加熱においては、木製部材10の方が接着剤2よりも優先的に加熱され、当該加熱された木製部材10から熱伝導して接着剤2が加熱される。
【0024】
好ましくは、接着剤2として、液体の主剤と液体の硬化剤から成る二液硬化型のエポキシ系接着剤を用い、硬化開始タイミングを調整できるようにすると共に、高硬度の接着剤層(補強筋埋設層)を形成できるようにする。接着剤2の粘度は、補強筋1の外表面全体への周りこみと当該外表面での保持性の両立を考慮し、適宜調整できる。
【0025】
次いで、本発明に係る補強筋埋設方法の各工程について詳述する。
【0026】
<孔穿設工程>
図1に示すように、補強筋1が埋設される木製部材10には、部材製造工場又は工事現場において、補強筋1を挿入する補強筋埋設用孔12を予め穿設する。該補強筋埋設用孔12は接合面11において開口している。補強筋1の本数は必要な強度等により適宜選択し、該補強筋1の本数に対応する数の補強筋埋設用孔12を穿設する。なお、図中の13は各補強筋埋設用孔12にそれぞれ連通する接着剤充填用孔である。
【0027】
補強筋埋設用孔12の孔径は、補強筋1の直径(最大直径)の1.2倍~1.5倍の孔径として、補強筋1の位置ズレや傾きを吸収できるようにすると共に、十分な量の接着剤2で補強筋1の外表面、特に外周面を覆うことができるようにする。
【0028】
<補強筋挿入工程,端子部形成工程>
次いで、
図2に示すように、上述した補強筋埋設用孔12のそれぞれに補強筋1を挿入する。
【0029】
挿入した補強筋1は、
図3に示すように、一端部1a及び他端部1bを露出させて端子部20を形成する。換言すると、補強筋埋設用孔12内に補強筋1を挿入する際に、補強筋1の一端部1a及び他端部1bを補強筋埋設用孔12から突出させて、当該突出端部を端子部20として利用する。なお、本発明においては、補強筋1の一端部1a又は他端部1bのみを突出させて端子部20として利用することも実施に応じ任意である。
【0030】
好ましくは、端子部20として利用する補強筋1の端部にネジ山21を形成し、後述するように、該ネジ山21にナット22を螺合させることにより、補強筋1の強固な固定を図ると共に、後述する印加工程において、電線等との接続を容易にして端子部20として利用し易くする。
【0031】
また、上述のように補強筋1の突出端部を端子部20として利用する場合、その突出端部は他の部材との接合にも利用することができる。
【0032】
本発明にあっては、既述のように補強筋1の突出端部を端子部20として利用する他、
図5に示すように、補強筋1の端部を補強筋埋設用孔12から突出させずに、補強筋1を筒構造にし、その内周面にネジ溝23を刻設し、該ネジ溝23にボルト24を螺合することにより、該ボルト24の頭部を端子部20とすることができる。
【0033】
<接着剤充填工程>
上述のように、各補強筋埋設用孔12内に補強筋1を挿入した後、用意した接着剤2を接着剤充填用孔13から注入し、
図4内の拡大図に示すように、補強筋1の外周面1cと補強筋埋設用孔12の内周面12a間に万遍なく接着剤2を行きわたらせ、補強筋1の外表面を接着剤2で覆うように充填する。このように、補強筋1の外表面を接着剤2で覆うことにより、確実に補強筋1を埋設する。
【0034】
なお、本発明においては、湯煎等の既知の熱伝導加熱方法を用いて、接着剤2を充填前に予め温めておくことを排除しない。
【0035】
<印加工程,接着剤硬化工程>
上述のように、木製部材10内において補強筋1の周りに接着剤2を充填した後、
図4に示すように、電極として利用する補強筋1の端子部20を電線等を介して交流電源30と接続して当該補強筋1を第一電極31として利用する。また、同じく交流電源30に接続した第二電極32を第一電極31に対向するように配する。
【0036】
このように、第一電極31と第二電極32を対向させた状態で交流電源30から電力を供給することにより、該第一電極31と第二電極32に挟まれた部分に高周波電力を印加し、該印加によって当該部分が加熱され、その熱が伝導して接着剤2を加熱し当該接着剤2の硬化促進を図る。
【0037】
本発明にあっては、第一電極31として利用する補強筋1の数は単数でも複数でも可能であり、補強筋1の埋設位置等によって適宜選択できる。ただし、複数本の補強筋1に同時に高周波電力を印加し、該各補強筋1をそれぞれ第一電極31として利用すれば、広範囲に同時に誘電加熱を施すことができる。複数本の補強筋1に同時に高周波電力を印加する場合、例えば、
図8に示すように、薄銅板等の金属板25を介して行えば、簡易構造ながら高さ調整や変形等が容易となり、複数本の補強筋1に確実に電力を供給することができる。
【0038】
また、第二電極32は、
図4,
図6に示すように、木製部材10の周部に配することができる。したがって、第二電極32の第一電極31との対向状態を自由に調整することができるため、当該第二電極32と第一電極31で挟まれた木製部材部分を適切に加熱し、最終的には、第一電極31として利用される補強筋1の周囲の接着剤を有効に加熱することができる。
【0039】
なお、具体的には図示しないが、第一電極31に対して複数の第二電極32を対向させて配することができる。例えば、
図4に示す第二電極32の位置と、
図6に示す第二電極32の位置の双方の位置に第二電極32を配して、第一電極31に対して複数の第二電極32を対向させて配することができる。このように、第二電極32を複数配し、該各第二電極32に同時に高周波電力を印加することにより、確実に木製部材1を加熱し、その内部の接着剤2を加熱することができる。
【0040】
また、本発明においては、第一電極31として利用する補強筋1以外の補強筋1を第二電極32として利用することができる。このように構成することにより、第一電極31として利用する補強筋1と、第二電極32として利用する補強筋1の間の木製部材部分を有効に誘電加熱することができ、その木製部材部分に接する接着剤2を熱伝導加熱して硬化促進を図ることができる。
【0041】
第一電極31と第二電極32は、電源側電極としても、アース側電極としても、使用することができる。したがって、第一電極31と第二電極32の極性を切り替えられるように構成し、電源側電極とアース側電極を入れ替えて、印加を複数回行うことにより、接着剤2をムラなく加熱することができる。また、第一電極31と第二電極32の位置や対向状態を変えて、印加を複数回行うことによっても、接着剤2をムラなく加熱することができる。
【0042】
印加する高周波電力は、加熱範囲によって適宜調整する。加熱範囲が小さい場合には、たとえば小出力(0.1~5kw)とすることもできる。また、高周波発振器は、既知の電子管式、半導体式の装置を用いることができる。特に半導体式の小型発振器を利用すれば、工事現場での使用や高所での使用において、頗る好都合となる。なお、本発明において、高周波は、誘電加熱において従来用いられている既知の周波数(短波:3~30MHz,超短波:30~300MHz)、波長(短波:100~10m,超短波:10~1m)の電磁波である。
【0043】
そして、高周波電力とその印加時間を調整し、温度センサー等の既知のセンシング手段を用いて木製部材10の内部温度が100℃を超えないように且つ高温を保つように監視しつつ印加を行う。木製部材10を誘電加熱により加熱し、当該加熱された木製部材10から接着剤2へと熱伝導加熱する過程において、当該木製部材10の劣化防止を図るためである。
【0044】
上述のように、木製部材10の内部温度を100℃を超えない程度に保つことにより、接着剤2を加熱する。好ましくは、接着剤2の硬化促進のためには当該接着剤2が50~90℃となるように加熱する。なお、本発明にあっては、印加工程及び接着剤硬化工程において、木製部材10の内部に存する接着剤2を加熱し硬化を促すだけで良く、ラミナ接着のように加圧接着は不要である。
【0045】
以上のとおり、本発明に係る補強筋埋設方法によれば、誘電加熱と熱伝導加熱をハイブリッドすることにより、木製部材10を被接合部材に短時間で確実且つ強固に接合することができると共に、木製部材10を短時間で確実且つ強固に補強することができる。
【0046】
さらに、木製部材10が大断面であっても、当該木製部材10内の接着剤2を加熱することができる。したがって、短時間で確実且つ強固に補強筋1を木製部材10内に埋設することができ、木製部材10自身の補強や、他部材との接合に貢献することができる。
【0047】
なお、上記の実施例においては、木製部材10の両端部を接合面11として利用する場合を示したが、本発明においては、木製部材10の一端部のみを接合面11として利用する場合も当然に含まれる。また、上記の実施例においては、木製部材10の長手方向に沿って補強筋1を埋設した場合について説明したが、本発明においては、木製部材10の短手方向(長手方向に直交する方向)に沿って補強筋1を埋設する場合を排除しない。
【0048】
また、本発明に係る補強筋埋設方法において、接着剤充填工程と端子部形成工程はどちらを先に行っても良く、同時に行っても良い。
【符号の説明】
【0049】
1…補強筋、1a…一端部、1b…他端部、1c…外周面、2…接着剤、10…木製部材(被接合部材)、11…接合面、12…補強筋埋設用孔、12a…内周面、13…接着剤充填用孔、20…端子部、21…ネジ山、22…ナット、23…ネジ溝、24…ボルト、25…金属板、30…交流電源、31…第一電極、32…第二電極。
【要約】
【課題】 誘電加熱方法と熱伝導加熱方法の双方を用いて、木製部材を非接合部材に短時間で確実に且つ強固に接合するための方法、及び、木製部材を短時間で且つ強固に補強するための方法の提供。
【解決手段】 本発明に係る木製部材内への補強筋埋設方法は、木製部材内に補強筋埋設用孔を穿設する孔穿設工程と、該補強筋埋設用孔に伝導体から成る補強筋を挿入する補強筋挿入工程と、該挿入した上記補強筋と連通しつつ外部に露出する端子部を形成する端子部形成工程と、上記補強筋埋設用孔内にエポキシ系接着剤を充填する接着剤充填工程と、上記端子部を電源に接続して上記補強筋を第一電極として利用すると共に該第一電極に対向する第二電極を配して高周波電力を印加する印加工程と、該印加によって上記木製部材内の上記接着剤を加熱して当該接着剤を硬化させる接着剤硬化工程を備える。
【選択図】
図4