(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】通信装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2022108501
(22)【出願日】2022-07-05
(62)【分割の表示】P 2018009366の分割
【原出願日】2018-01-24
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】502002407
【氏名又は名称】川本電産株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】深川 豊明
(72)【発明者】
【氏名】坂藤 優介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】志水 章紀
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【審査官】木村 大吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-207496(JP,A)
【文献】特開2016-062382(JP,A)
【文献】特開2006-059236(JP,A)
【文献】登録実用新案第3137442(JP,U)
【文献】国際公開第2017/090420(WO,A1)
【文献】特表2013-535741(JP,A)
【文献】特開2014-191715(JP,A)
【文献】特開2007-028723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
F04B 49/00-51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の位置情報を取得する取得部と、
設備から当該設備を識別する識別情報を
無線で受信する受信部と、
前記受信部が前記設備の識別情報を受信するために用いた無線通信方式の通信可能距離に依存して定められた補正可能範囲内で前記設備の位置情報を補正する補正部と、
前記識別情報と、前記自装置の位置情報に基づく
、補正された前記設備の位置情報とをサーバへ送信する送信部と、
を具備す
る、通信装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記設備から当該設備の運転情報および故障情報の少なくとも一方を受信し、
前記送信部は、前記識別情報および前記設備の位置情報に加えて前記設備の運転情報および故障情報の少なくとも一方を前記サーバへ送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記設備の運転情報は、前記設備の積算運転回数および積算運転時間の少なくとも一方を含む、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記設備はポンプ装置である、請求項1乃至請求項
3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記受信部は、サーバから地図情報を受信し、
前記地図情報は、前記設備の制御に用いられるプログラムの更新が必要なバージョン情報が反映され、
前記送信部は、前記サーバから前記プログラム更新用のデータを前記設備に中継する、請求項1乃至請求項
4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記
補正された前記設備の位置情報は、
前記設備からの電波の到来方向に向かって受信電力強度に応じた距離分補正された、初期位置情報である、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
コンピュータを、
自装置の位置情報を取得する手段、
メンテナンス対象となる設備から当該設備を識別する識別情報を
無線で受信する手段、
前記受信する手段が前記設備の識別情報を受信するために用いた無線通信方式の通信可能距離に依存して定められた補正可能範囲内で、前記設備の位置情報を補正する手段と、
前記識別情報と、前記位置情報に基づく
、補正された前記設備の位置情報とをサーバへ送信する手段として機能させるためのプログラム
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備の諸情報の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気設備および機械設備は、故障を予防するために納入後も定期的にメンテナンスされる。メンテナンス事業者は、メンテナンスを適時に効率的に実施するために、対象となる設備がどこにどれくらいあるのか、また、設備の状態、例えば設備がメンテナンスをどれくらい必要としているか、などの情報を必要としている。
【0003】
特許文献1には、コンピュータ・システムが、納入後にGPS(Global Positioning System)で自身の位置情報を検出し、当該位置情報を含む管理情報を保守管理センタへ送信すること、保守管理センタがこの管理情報を登録すること、が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ポンプシステムを構成する部品の種類を識別する部品識別情報毎に、当該部品の点検周期と点検通知期間とを対応付けて記憶し、部品の次の点検通知期間が到来した場合にその部品の点検あるいは交換について端末装置に通知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-285161号公報
【文献】特開2017-180349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、それぞれのコンピュータ・システムが、位置情報を検出する手段と、管理情報を保守管理センタへ送信する手段とを備える必要がある。故に、特許文献1に記載の技術の適用先となる設備の構成次第では、かかる手段の追加により、製造コスト、通信料などの維持コスト、および消費電力が増大する可能性がある。
【0007】
特許文献2に記載のポンプシステムは、部品の点検あるいは交換について端末装置に通知しているものの、かかる通知がなされるのは点検作業中などの端末装置とポンプシステムとの通信が可能である期間に限られる。他方、それ以外の期間において、ポンプシステムの部品がどのような状態にあるのかを把握することができない。
【0008】
本発明は、設備の位置情報を含む諸情報を一元管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、通信装置は、サーバおよび対象設備と通信する。通信装置は、取得部と、受信部と、送信部とを含む。取得部は、通信装置の位置情報を取得する。受信部は、対象設備から対象設備を識別する識別情報を受信する。送信部は、識別情報と、通信装置の位置情報に基づく対象設備の位置情報とをサーバへ送信する。
【0010】
本発明の別の態様によれば、サーバは、通信装置と通信する。サーバは、受信部と、作成部と、送信部とを含む。受信部は、通信装置から対象設備の識別情報および位置情報を受信する。対象設備の位置情報は、通信装置の位置情報に基づいている。作成部は、対象設備を表すアイコンを位置情報に従ってマッピングし、地図情報を作成する。送信部は、通信装置へ地図情報を送信する。
【0011】
本発明の別の態様によれば、ポンプ装置は、通信装置と通信する。ポンプ装置は、ポンプと、記憶部と、送信部とを含む。記憶部は、ポンプ装置の識別情報が保存される。送信部は、記憶部から読み出された識別情報を通信装置へ送信する。通信装置は、ポンプ装置の識別情報と、通信装置の位置情報に基づくポンプ装置の位置情報とをサーバへ送信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設備の位置情報を含む諸情報を一元管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るポンプ情報管理システムを例示するブロック図。
【
図2】
図1中の通信装置の構成を例示するブロック図。
【
図3】
図1中のサーバの構成を例示するブロック図。
【
図4】
図1中のポンプ装置の構成を例示するブロック図。
【
図5】
図3のサーバによって作成され、
図2の通信装置に表示される地図情報を例示する図。
【
図6】
図2の通信装置による位置情報の補正の説明図。
【
図7】
図3のサーバに保存されるポンプ情報を例示する図。
【
図8】
図2の通信装置の動作を例示するフローチャート。
【
図9】
図3のサーバの動作を例示するフローチャート。
【
図10】
図4のポンプ装置の動作を例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。
【0015】
なお、以降の説明において便宜上、管理の対象となる設備(対象設備)をポンプ装置と仮定するが、対象設備はこれに限定されない。対象設備は、任意の電気設備または機械設備、例えば、コンピュータ、OA(Office Automation)機器、家電機器、ロボット、産業機械などを含み得る。対象設備は、典型的には定期的なメンテナンスなどの納入後のアフターフォローを要する設備であるが、アフターフォローが想定されない設備も含み得る。
【0016】
(実施形態)
実施形態に係るポンプ情報管理システムは、
図1に例示されるように、通信装置100と、サーバ200と、ポンプ装置300とを含む。
【0017】
通信装置100は、例えば、移動通信(3G、4G)、Wimaxなどの無線通信技術を用いて、ネットワーク経由でサーバ200に接続できる。他方、通信装置100は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などの(近距離)無線通信技術、またはUSB(Universal Serial Bus)などの有線通信技術を用いて、ポンプ装置300に接続できる。
【0018】
通信装置100は、ポンプ装置300から当該ポンプ装置300を識別する識別情報を含むポンプ情報を受信する。ポンプ情報は、識別情報の他にポンプ装置300の運転情報または故障情報を含み得る。他方、通信装置100は、例えばGPSを利用して当該通信装置100自体の位置情報を取得する。通信装置100は、後述されるように、この位置情報に基づいてポンプ装置300の位置情報を導出し、受信したポンプ情報と共にサーバ200へ送信(アップロード)する。
【0019】
また、通信装置100は、サーバ200から地図情報を受信(ダウンロード)し、これを表示することもできる。この地図情報は、通信装置100または図示されない他の通信装置から収集された位置情報およびポンプ情報に基づいて、サーバ200によって作成される。この地図情報では、ポンプ装置300または図示されない他のポンプ装置を表すアイコンがその位置情報に従ってマッピングされており、それぞれのポンプ装置(300)のポンプ情報を閲覧することもできる。故に、この地図情報によれば、通信装置100のユーザ(例えば、メンテナンス作業員)が、どこにどれくらいのポンプ装置が設置されていて、それぞれがどのような状態であるのかを俯瞰することができる。この地図情報は、例えばポンプ装置のメンテナンス計画の策定に利用され、メンテナンスを適時に効率的に実施するのに役立つ。
【0020】
ところで、通信装置100の位置は、厳密にはポンプ装置300の位置とは異なる。具体的には、通信装置100の位置は、ポンプ装置300の位置から数十メートルまたはそれ以上離れている可能性がある。そこで、通信装置100は、ポンプ装置300の位置を補正するユーザ入力を受け付けてもよい。通信装置100は、このユーザ入力に基づいてポンプ装置300の位置情報を計算し、補正後の位置情報をサーバ200へ送信する。これにより、地図情報上でポンプ装置300のアイコンがより正確な位置にマッピングされるので、例えば再メンテナンス時にポンプ装置300の発見に手間取る、近隣に設置された他のポンプ装置と取り違える、などの事態を予防できる。
【0021】
なお、地図情報は、通信装置100、すなわちポンプ装置300が設置された現場付近にある端末に限られず、例えばメンテナンス作業員に指示を与えるオペレータが使用する端末にダウンロードされてもよい。
【0022】
サーバ200は、通信装置100からポンプ装置300の位置情報およびポンプ情報を受信する。サーバ200は、通信装置100または図示されない他の通信装置から、ポンプ装置300以外の図示されないポンプ装置の位置情報およびポンプ情報も同様に収集してもよい。サーバ200は、ポンプ装置300または図示されない他のポンプ装置を表すアイコンを、当該ポンプ装置(300)の位置情報に従ってマッピングし、地図情報を作成する。そして、サーバ200は、通信装置100または図示されない他の通信装置からの要求に応じて、地図情報を送信する。
【0023】
また、サーバ200は、ポンプ情報に含まれる運転情報に基づいてポンプ装置(300)のアイコンの外観を異ならせて地図情報を作成してもよい。アイコンの外観を異ならせるとは、同一の絵柄のアイコンの色、模様、装飾などを変更することであってもよいし、異なる絵柄のアイコンに切り替えることであってもよい。この地図情報によれば、メンテナンス作業員またはオペレータは、ポンプ装置(300)がどのような状態にあるのかを直感的に把握することができる。さらに、サーバ200は、ポンプ装置(300)の現在の運転状態を推定し、推定運転状態に応じてアイコンの外観を異ならせてもよい。これにより、ポンプ情報の報告が頻繁に行われなかったとしても、ポンプ装置(300)が現在どのような状態にあるのかをより正確にかつ直感的に把握させることができる。
【0024】
ポンプ装置300は、後述されるように記憶部を含む電装部を備えており、例えば製造時、出荷時、納入時などのタイミングで、この記憶部に当該ポンプ装置300の識別情報が書き込まれる。そして、ポンプ装置300は、例えば通信装置100からの要求に応じて、自己の識別情報を記憶部から読み出し、通信装置100へ送信する。
【0025】
以下、
図1中の通信装置100、サーバ200およびポンプ装置300の構成および動作について順に図面を用いて説明する。
通信装置100は、例えば、PC(Personal Computer)、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォンなど)などであり得るが、これらに限られない。通信装置100は、ポンプ装置300の識別情報および位置情報を含む伝送データの生成、ポンプ装置300の位置情報の補正、などを行うプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)など)と、かかる処理を実現するために当該プロセッサによって実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータなどを一時的に格納するメモリとを含んでいる。このプログラムは、例えばポンプ管理アプリケーションと呼ぶこともできる。
【0026】
通信装置100は、さらに、外部装置に接続するための通信I/F(インタフェース)を利用可能である。通信I/Fは、通信装置100に内蔵されてもよいし、通信装置100に外付けされてもよい。
【0027】
通信I/Fは、ネットワーク、典型的にはインターネット経由でサーバ200と通信をする。通信I/Fは、サーバ200へポンプ装置300の識別情報および位置情報を含む伝送データなどを送信(アップロード)したり、サーバ200から地図情報を受信(ダウンロード)したりする。
【0028】
また、通信I/Fは、例えばBluetooth、Wi-Fi、NFCなどの近距離無線通信技術を用いて、ポンプ装置300と通信をする。通信I/Fは、ポンプ装置300から当該ポンプ装置300の識別情報を受信する。
【0029】
なお、サーバ200に接続するための通信I/Fは、ポンプ装置300に接続するための通信I/Fと共通であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、前者が4Gモジュールであって、後者がBluetoothモジュールであってもよい。このほか、通信I/Fは、通信装置100の位置情報を取得するためのGPSモジュールを含み得る。
【0030】
通信装置100は、さらに、例えば地図情報を含むダウンロードコンテンツ、Webページ、などの映像および/または音声を出力するための出力I/Fを利用可能である。出力I/Fは、通信装置100に内蔵されてもよいし、通信装置100に外付けされてもよい。
【0031】
出力I/Fは、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスおよび/または音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含み得る。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。
【0032】
通信装置100は、さらに、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fを利用可能である。入力I/Fは、通信装置100に内蔵されてもよいし、通信装置100に外付けされてもよい。
【0033】
入力I/Fは、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどであってもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ユーザ入力は、典型的には、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下などであり得る。このほか、ユーザ入力は、例えば、マイクロフォンによって捉えられる音声などを含むこともできる。
【0034】
次に、
図2を用いて通信装置100の構成例の説明を続ける。
図2の通信装置100は、位置情報取得部101と、受信部102と、送信部103と、表示部104と、入力部105と、制御部110とを含む。
【0035】
位置情報取得部101は、通信装置100の位置情報を取得し、制御部110へ送る。具体的には、位置情報取得部101は、ユーザ入力、またはプログラムの命令などをトリガとして、GPSで位置情報を取得する。位置情報取得部101は、前述のプロセッサおよびメモリと、通信I/Fとの組み合わせに相当し得る。
【0036】
なお、位置情報取得部101は、例えばポンプ装置300またはその付近を撮影した写真または動画に付与されたGPS位置情報を利用してもよい。この場合に、写真または動画データがポンプ情報の一部としてアップロードされてもよい。これにより、ポンプ装置300およびその付近の様子を、現地に居ないメンテナンス作業員およびオペレータが把握することが可能となる。さらに、位置情報取得部101は、GPSに限らず、例えば受信部102および/または送信部103が接続している基地局の情報に基づいて通信装置100の位置情報を取得してもよい。
【0037】
受信部102は、ポンプ装置300から、当該ポンプ装置300の識別情報を含むポンプ情報を受信する。受信部102は、受信したポンプ情報を制御部110へ送る。また、受信部102は、サーバ200から地図情報を受信する。受信部102は、受信した地図情報を制御部110へ送る。受信部102は、前述の通信I/Fに相当し得る。
【0038】
なお、受信部102は、サーバ200からデータを受信するための機能部と、ポンプ装置300からデータを受信するための機能部とに分離することもできる。
【0039】
ここで、ポンプ装置300の識別情報は、例えば、当該ポンプ装置300の製品名に相当する形式情報および/または当該形式情報をコード化した製品番号と、当該ポンプ装置300の個体識別番号に相当する製造番号とを含み得る。これらの情報により、ポンプ装置300がどの製品のどの個体であるのかを識別することが可能となる。なお、製品番号および製造番号は、必ずしも別の情報要素でなくてもよく、1つの番号から製品および個体の両方が識別可能であるように設計することも可能である。
【0040】
さらに、識別情報またはポンプ情報の一部として、ポンプ装置300の制御に用いられるプログラム(例えばファームウェア)のバージョン情報を示す改訂番号が含まれてもよい。これにより、ファームウェアの更新が必要なポンプ装置とそうでないポンプ装置とを地図情報上で(例えばアイコンの外観により)区別して表示することが可能となる。ここで、通信装置100は、ポンプ装置300のために、サーバ200または他のサーバに保存されたファームウェア更新用のデータを中継してもよい。
【0041】
ポンプ情報は、ポンプ装置300の識別情報に加えて、例えばポンプ装置300の運転情報および/または故障情報を含んでいてもよい。運転情報は、ポンプ装置300の運転に関する履歴、例えばポンプ装置300がいつどのように運転されたか、どのくらい運転されたか、などを表し得る。運転情報は、例えば、ポンプ装置300の積算運転回数および/または積算運転時間を含み得る。故障情報は、ポンプ装置300の故障に関する履歴、例えばポンプ装置300がいつどのような故障をしたか、どのくらい故障したか、などを表し得る。
【0042】
送信部103は、制御部110から伝送データを受け取り、これをサーバ200へ送信(アップロード)する。伝送データは、後述されるように、ポンプ装置300のポンプ情報および位置情報の組み合わせ、ポンプ装置300の補正済の位置情報などであり得る。伝送データは、前述のポンプ管理アプリケーション独自のプロトコルを利用して伝送されてもよいし、一般的なプロトコルを利用して例えば電子メールの一部として送信されてもよい。送信部103は、前述の通信I/Fに相当し得る。
【0043】
なお、送信部103は、通信装置100とポンプ装置300との接続を確立するための何らかのデータ、例えば通信装置100およびポンプ装置300がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合にはアドバタイザとしてのポンプ装置300へのリクエスト、を送信することもあり得る。
【0044】
表示部104は、制御部110から、例えば、前述のポンプ管理アプリケーションの画面、地図情報などの表示対象データを受け取り、これを表示する。表示部104は、前述の出力I/Fに相当し得る。
【0045】
地図情報の一例が
図5に示される。
図5の地図情報では、地図画像に、ポンプ装置300および図示されない他のポンプ装置を表すアイコンP1~P4がその位置情報に従ってマッピングされている。故に、メンテナンス作業員および/またはオペレータは、どの地域にどれくらいのポンプ装置が設置されているかを俯瞰することができる。さらに、各アイコンの表すポンプ装置のポンプ情報を地図情報上で表示可能としてもよい。これにより、メンテナンス作業員および/またはオペレータは、設置されたポンプ装置の形式(または製品番号)、製造番号、運転情報、故障情報、改訂番号などを、現地に居なくても確認することができる。なお、地図情報の視認性が低下するのを避けるために、例えばユーザによって選択されたアイコンに限ってポンプ情報がポップアップ表示されるようにしてもよい。
【0046】
入力部105は、ユーザ入力を受け取る。入力部105は、ユーザ入力を制御部110へ送る。ユーザ入力は、例えば前述のポンプ管理アプリケーションを起動するためのユーザ入力であってもよいし、当該ポンプ管理アプリケーションを操作するためのユーザ入力であってもよいし、ポンプ装置300またはその付近の写真または動画を撮影するためのユーザ入力であってもよいし、後述される、ポンプ装置300の位置情報を補正するためのユーザ入力であってもよい。入力部105は、前述の入力I/Fに相当し得る。
【0047】
制御部110は、通信装置100の内部の各種機能部に対する制御、各種機能部から収集されたデータに基づく演算などを行う。具体的には、制御部110は、送信部103に送信させる伝送データを生成する伝送データ生成部111と、ポンプ装置300の位置情報を補正する位置補正部112とを含む。制御部110は、前述のプロセッサおよびメモリに相当し得る。
【0048】
伝送データ生成部111は、位置情報取得部101から通信装置100の位置情報を受け取り、受信部102からポンプ装置300のポンプ情報を受け取る。伝送データ生成部111は、例えば、通信装置100の位置情報に基づくポンプ装置300の位置情報と、当該ポンプ装置300のポンプ情報と組み合わせて(例えば結合後にパケット化)伝送データを生成する。また、伝送データ生成部111は、位置補正部112からポンプ装置300の補正後の位置情報を受け取ることもあり得る。伝送データ生成部111は、ポンプ装置300の補正後の位置情報と、当該ポンプ装置300のポンプ情報(例えば識別情報)と組み合わせて伝送データを生成する。伝送データ生成部111は、伝送データを送信部103へ送る。
【0049】
位置補正部112は、受信部102から地図情報を受け取り、入力部105からポンプ装置300の位置情報を補正するためのユーザ入力を受け取る。位置補正部112は、ユーザ入力に応じてポンプ装置300の位置情報を補正する。ポンプ装置300の初期位置情報として通信装置100の位置情報を用いた場合には、当該初期位置情報はポンプ装置300の真の位置を表していない。ポンプ装置300と通信装置100との間は、数十メートルまたはそれ以上離れているかもしれない。通信装置100のユーザが、目視でポンプ装置300の位置情報を補正するユーザ入力を行うことで、当該ポンプ装置300のより正確な位置情報を、現地に居ないメンテナンス作業員およびオペレータが把握することが可能となる。
【0050】
例えば、表示部104によって表示された
図5の地図情報上でユーザがポンプ装置300のアイコンP3をドラッグ操作すると、位置補正部112は
図6に例示されるように当該アイコンP3の位置が移動するように地図情報を書き換える。位置補正部112は、移動後のアイコンに対応する位置情報(すなわち、補正後の位置情報)を伝送データ生成部111へ送る。これにより、表示部104に表示された書き換え後の地図情報とサーバ200に保存されるポンプ情報との間で、ポンプ装置300の位置情報を一致させることができる。
【0051】
ここで、通信装置100およびポンプ装置300の接続が確立していることを前提に、通信装置100の位置情報がポンプ装置300の初期位置情報として利用されることを鑑みると、両者の間の距離の最大値は、理論上、両者の接続に用いられる無線通信方式の通信可能範囲によって定められる。故に、位置補正部112は、例えば受信部102がポンプ装置300からポンプ情報を受信するために用いた無線通信方式に依存して定められた補正可能範囲内に限って対象設備の位置情報の補正を許容してもよい。これにより、例えばユーザの誤操作または勘違いなどでポンプ装置300の位置情報が誤って書き換えられるのを防ぐことができる。
【0052】
無線通信方式がBluetoothの場合の補正可能範囲は、通信装置100の位置から例えば半径30mと定められてよい。他方、無線通信方式がWi-Fiの場合の補正可能範囲は、通信装置100の位置から例えば半径100mと定められてよい。
【0053】
或いは、位置補正部112が地図情報を直接的に書き換える代わりに、通信装置100がポンプ装置300の位置情報を補正するためのユーザ入力をサーバ200へ送信し、サーバ200が地図情報を書き換えて返送し、通信装置100が当該地図情報を受信および表示してもよい。この場合に、位置補正部112は不要となり得る。
【0054】
なお、ポンプ装置300の初期位置情報は、通信装置100の位置情報と同一に設定されてもよいが、通信装置100の位置情報を何らかのアルゴリズムで自動的に補正したものであってもよい。例えば、通信装置100の位置情報を、ポンプ装置300からの電波の到来方向に向かって受信電力強度に応じた距離分ずらすことで、ポンプ装置300の初期位置情報が生成されてもよい。或いは、通信装置100から見たポンプ装置300の方向および両者の距離(これらは、目算であってもよいし、実際に計測されてもよい)をユーザが入力し、通信装置100の位置情報をこれらに基づいてずらすことでポンプ装置300の初期位置情報が生成されてもよい。
【0055】
次に、サーバ200の構成例を説明する。サーバ200は、例えばWebサーバなどのサーバコンピュータである。サーバ200は、通信装置100からの要求の処理、地図情報の作成、後述される運転情報の推定などを行うプロセッサと、かかる処理を実現するために当該プロセッサによって実行されるプログラムおよび当該プロセッサによって使用されるデータなどを一時的に格納するメモリとを含んでいる。
【0056】
サーバ200は、さらに、外部装置に接続するための通信I/Fを利用可能である。通信I/Fは、サーバ200に内蔵されてもよいし、サーバ200に外付けされてもよい。
【0057】
通信I/Fは、ネットワーク、典型的にはインターネット経由で通信装置100と通信をする。通信I/Fは、通信装置100からポンプ装置300の識別情報および位置情報を含む伝送データなどを受信したり、通信装置100へ地図情報を送信したりする。
【0058】
サーバ200は、さらに、データを蓄積するための補助記憶装置を利用可能である。補助記憶装置は、サーバ200に内蔵されてもよいし、サーバ200に外付けされてもよい。
【0059】
補助記憶装置は、例えば、通信装置100または図示されない他の通信装置から受信したポンプ情報、当該ポンプ情報に基づいて作成された地図情報、などを蓄積する。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体であることが好ましい。或いは、補助記憶装置は、サーバ200にネットワーク経由で接続されたファイルサーバであり得る。
【0060】
次に、
図3を用いてサーバ200の構成例の説明を続ける。
図3のサーバ200は、受信部201と、送信部202と、ポンプ情報記憶部203と、地図情報記憶部204と、制御部210とを含む。
【0061】
受信部201は、通信装置100から伝送データ、例えばポンプ装置300のポンプ情報および位置情報の組み合わせ、ポンプ装置300の補正後の位置情報などを受信する。受信部201は、受信データを制御部210へ送る。受信部201は、前述の通信I/Fに相当し得る。
【0062】
送信部202は、制御部210から伝送データ、例えば地図情報を受け取り、これを通信装置100へ送信する。送信部202は、前述の通信I/Fに相当し得る。
【0063】
ポンプ情報記憶部203は、通信装置100または図示されない他の通信装置から送信(報告)されたポンプ装置(300)のポンプ情報および位置情報を格納する。ポンプ情報記憶部203は、前述の補助記憶装置に相当し得る。
【0064】
ポンプ情報記憶部203への情報の読み書きは、制御部210によって行われる。例えば、受信部201が通信装置100からポンプ装置300のポンプ情報および位置情報を含む伝送データを受信すると、制御部210は当該ポンプ情報および位置情報をポンプ情報記憶部203に保存する。また、受信部201が通信装置100からポンプ装置300の補正後の位置情報を含む伝送データを受信すると、制御部210は当該補正後の位置情報によってポンプ情報記憶部203に記憶されているポンプ装置300の位置情報を書き換える。さらに、制御部210は、地図情報を作成するために、ポンプ情報記憶部203に保存されたポンプ情報を読み出す。
【0065】
ポンプ情報記憶部203には、例えば通信装置100または図示されない他の通信装置から報告がある度に、
図7に例示されるように、報告対象となるポンプ装置(300)を識別する識別情報と、当該ポンプ装置(300)の位置情報と、報告日時とが保存され、ポンプ装置(300)の報告時の運転情報および故障情報がさらに保存されてよい。
【0066】
地図情報記憶部204は、制御部210によって作成された地図情報を格納する。地図情報記憶部204は、前述の補助記憶装置に相当し得る。地図情報記憶部204への情報の読み書きは、制御部210によって行われる。例えば、受信部201が通信装置100または図示されない他の通信装置からポンプ装置(300)のポンプ情報および位置情報を受信すると、制御部210は収集済みのポンプ情報および位置情報に基づいて地図情報を作成し、地図情報記憶部204に保存する。なお、既に地図情報が作成されている場合には、制御部210は地図情報を地図情報記憶部204から読み出し、受信したポンプ情報および位置情報を追加して当該地図情報を更新し、更新後の地図情報を地図情報記憶部204に保存してもよい。また、例えば、受信部201が通信装置100または図示されない他の通信装置か地図情報のダウンロード要求を受信すると、制御部210は地図情報記憶部204に保存された地図情報を読み出す。
【0067】
なお、後述されるように、制御部210が各ポンプ装置(300)の現在の運転情報を推定する場合には、推定が行われるタイミングで地図情報記憶部204に保存された地図情報が更新されてもよい。例えば、地図情報がダウンロードされる度に制御部210が各ポンプ装置(300)の現在の推定運転情報を地図情報に反映するのであれば、前述のダウンロード要求の受信時に、制御部210は、地図情報記憶部204に保存された地図情報を読み出し、現在の推定運転情報に基づいて地図情報を更新し、地図情報記憶部204に更新後の地図情報を保存する。
【0068】
制御部210は、サーバ200の内部の各種機能部に対する制御、各種機能部から収集されたデータに基づく演算などを行う。具体的には、制御部210は、通信装置100からの要求を処理する要求処理部211と、地図情報を作成する地図情報作成部212と、ポンプ情報記憶部203に登録済みのポンプ装置(300)の現在の運転情報を推定する運転情報推定部213とを含む。制御部210は、前述のプロセッサおよびメモリに相当し得る。
【0069】
要求処理部211は、受信部201から、通信装置100からの要求を受け取り、これを処理する。例えば、要求処理部211は、地図情報のダウンロード要求を受け取った場合には、地図情報作成部212に地図情報の作成(更新)を指示し、作成された地図情報を伝送データとして送信部202へ送る。また、要求処理部211は、ポンプ装置(300)のポンプ情報および位置情報(これらは、ポンプ装置(300)の登録/更新要求と解釈することもできる)を受け取った場合には、当該ポンプ情報および位置情報をポンプ情報記憶部203に保存し、さらに地図情報記憶部204に地図情報の作成(更新)を指示してもよい。さらに、要求処理部211は、ポンプ装置(300)の補正後の位置情報(これは、ポンプ装置(300)の位置情報の補正要求と解釈することもできる)を受け取った場合には、当該補正後の位置情報によってポンプ情報記憶部203に保存された対応する位置情報を書き換え、さらに地図情報記憶部204に地図情報の作成(更新)を指示してもよい。
【0070】
地図情報作成部212は、要求処理部211からの指示に従って、地図情報を作成(更新)する。具体的には、地図情報作成部212は、ポンプ情報記憶部203に保存された各ポンプ装置(300)のポンプ情報および位置情報を読み出し、当該ポンプ装置(300)を表すアイコンを当該ポンプ装置(300)の位置情報に従ってマッピングすることで地図情報を作成する。地図情報作成部212は、作成した地図情報を地図情報記憶部204に保存する。なお、地図情報作成部212は、作成済みの地図情報を、新たに収集されたポンプ情報および位置情報を用いて更新することにより地図情報の作成を省力化してもよい。
【0071】
ここで、地図情報作成部212は、ポンプ装置(300)のアイコンの外観が当該ポンプ装置(300)の運転情報に依存して異なるように地図情報を作成してもよい。前述のように、アイコンの外観を異ならせるとは、同一の絵柄のアイコンの色、模様、装飾などを変更することであってもよいし、異なる絵柄のアイコンに切り替えることであってもよい。これにより、メンテナンス作業員および/またはオペレータは、ポンプ装置(300)の運転状態を直感的に把握することができる。一例として、地図情報作成部212は、運転状態が正常であるポンプ装置(300)のアイコンを緑色、運転状態が要注意であるポンプ装置(300)のアイコンを黄色、運転状態が要メンテナンス/故障であるポンプ装置(300)のアイコンを赤色で色分けしてもよい。
【0072】
また、地図情報作成部212は、報告時の運転情報ではなく、後述される現在の推定運転情報に依存して、ポンプ装置(300)のアイコンの外観を異ならせてもよい。これにより、メンテナンス作業員および/またはオペレータは、報告から長期間経過したポンプ装置(300)であっても妥当な運転状態を直感的に把握することができる。
【0073】
運転情報推定部213は、例えば地図情報作成部212による地図情報の作成前に、ポンプ情報記憶部203に登録済みの各ポンプ装置(300)の現在の運転情報を推定し、推定運転情報を地図情報作成部212へ送る。
【0074】
具体的には、運転情報推定部213は、各ポンプ装置(300)の積算運転回数および積算運転時間の一方または両方を推定し得る。運転情報推定部213は、対象となるポンプ装置(300)の積算運転回数および/または積算運転時間が受信されてからの経過時間に応じて、当該積算運転回数および/または積算運転時間を増加させて現在の推定積算運転回数および/または推定積算運転時間を得る。
【0075】
積算運転回数および/または積算運転時間の増加速度は、例えば対象となるポンプ装置(300)の形式、使用環境、使用目的などに応じて定められた定数であってもよいし、当該ポンプ装置(300)について個別に計算されてもよい。例えば、運転情報推定部213は、対象となるポンプ装置(300)について報告された最新の積算運転回数および/または積算運転時間と、これよりも古い積算運転回数および/または積算運転時間との差分を、両者の報告日時の差で除算することで、積算運転回数および/または積算運転時間が単位時間あたりでどのくらい増えるか、すなわち積算運転回数および/または積算運転時間の増加速度、を統計的に求めることができる。
【0076】
なお、現在の推定運転情報は、地図情報上で他のポンプ情報と共に表示可能としてもよい。これにより、メンテナンス作業員および/またはオペレータは、アイコンの外観による直感的ながらも粗い運転状態の把握と、数値による詳細な運転状態の把握とを必要に応じて使い分けることができる。
【0077】
次に、ポンプ装置300の構成例を説明する。ポンプ装置300は、電装部を内蔵したポンプである。ポンプ装置300の電装部は、ポンプ情報の読み書きおよび送出などを行うプロセッサと、かかる処理を実現するために当該プロセッサによって実行されるプログラムおよび当該プロセッサによって使用されるデータなどを一時的に格納するメモリとを含んでいる。これらプロセッサおよびメモリは、例えばマイクロコントローラとして統合されていてもよい。
【0078】
ポンプ装置300は、さらに、外部装置に接続するための通信I/Fを利用可能である。通信I/Fは、ポンプ装置300に内蔵されてもよいし、ポンプ装置300に外付けされてもよい。
【0079】
通信I/Fは、例えばBluetooth、Wi-Fi、NFCなどの近距離無線通信技術を用いて、通信装置100と通信をする。通信I/Fは、通信装置100へポンプ装置300の識別情報を送信する。
【0080】
また、通信I/Fは、ポンプ装置300の製造時、出荷時、納入時などに当該ポンプ装置300の識別情報の書き込み要求を受信する。この通信I/Fは、通信装置100に接続するための通信I/Fと共通であってもよいし、異なっていてもよい。
【0081】
ポンプ装置300は、さらに、データを蓄積するための補助記憶装置を利用可能である。補助記憶装置は、ポンプ装置300に内蔵されてもよいし、ポンプ装置300に外付けされてもよい。
【0082】
補助記憶装置は、例えば、ポンプ装置300のポンプ情報などを蓄積する。補助記憶装置は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体であることが好ましい。なお、ポンプ情報のうち不変の情報である形式、製品番号、製造番号などは、ポンプ装置300の製造時、出荷時、納入時などに、例えばマイクロコントローラに内蔵されたROMに書き込まれてもよい。これらの情報の書き込みは、有線または無線通信のいずれを用いて行われてもよい。他方、ポンプ情報のうち可変の情報である運転情報、故障情報、改訂番号などは、ポンプ装置300の納入後に適宜更新され得る。
【0083】
次に、
図4を用いてポンプ装置300の構成例の説明を続ける。
図4のポンプ装置300は、ポンプ301と、電装部310とを含む。ポンプ301は、任意の種類のポンプであり得る。すなわち、ポンプ301は、揚水、排水、送水、圧縮などいずれの用途のポンプであってもよい。また、この実施形態を、ポンプ装置300とは異なる対象設備に適用する場合には、ポンプ301は他の機械装置または電気装置に置き換わる。
【0084】
電装部310は、制御部311と、ポンプ情報記憶部312と、受信部313と、送信部314とを含む。
【0085】
制御部311は、ポンプ301および電装部310の内部の各種機能部に対する制御、これらから収集されたデータに基づく演算などを行う。制御部311は、前述のプロセッサおよびメモリに相当し得る。
【0086】
具体的には、制御部311は、ポンプ装置300の製造時、出荷時、納入時などに、受信部313からポンプ装置300の識別情報の書き込み要求を受け取り、これをポンプ情報記憶部312に保存する。また、制御部311は、ポンプ301の運転制御を行ったり、ポンプ301の運転または故障に関するイベントに応じてポンプ情報記憶部312に保存されているポンプ装置300の運転情報または故障情報を更新したりする。さらに、制御部311は、例えば通信装置100との接続確立後に、ポンプ装置300のポンプ情報をポンプ情報記憶部312から読み出し、これを伝送データとして送信部314へ送る。
【0087】
ポンプ情報記憶部312は、ポンプ装置300のポンプ情報、例えば、ポンプ装置300の識別情報、運転情報、故障情報などを格納する。ポンプ情報記憶部312は、例えば前述の補助記憶装置に相当し得る。ポンプ情報記憶部312への情報の読み書きは制御部311によって行われる。
【0088】
受信部313は、ポンプ装置300の製造時、出荷時、納入時などに、ポンプ装置300の識別情報の書き込み要求を受信し、これを制御部311へ送る。受信部313は、前述の通信I/Fに相当し得る。
【0089】
なお、受信部313は、通信装置100とポンプ装置300との接続を確立するための何らかのデータ、例えば通信装置100およびポンプ装置300がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、スキャナとしての通信装置100からのリクエスト、を受信することもあり得る。
【0090】
送信部314は、制御部311から伝送データを受け取り、これを通信装置100へ送信する。伝送データは、例えばポンプ装置300のポンプ情報であるが、他にも通信装置100との接続を確立するために必要なデータを含み得る。送信部314は、前述の通信I/Fに相当し得る。
【0091】
次に、
図8を用いて、通信装置100の動作例を説明する。まず、通信装置100は、ポンプ装置300と接続を確立する(ステップS401)。例えば、通信装置100は、ポンプ管理アプリケーションの実行中は、接続相手となるポンプ装置300を常時または断続的にスキャンするように構成されてよい。これにより、メンテナンス対象となるポンプ装置(300)は勿論、それ以外のポンプ装置(300)であっても、ポンプ管理アプリケーションの実行中の通信装置100を所持したユーザが付近を通りがかった時に、自動的に接続を確立し、ポンプ情報および位置情報を報告することが可能となる。これは、メンテナンス作業員に負担をかけることなく、サーバ200がポンプ情報および位置情報を収集できる機会が増えることを意味する。例えば、納入作業員またはメンテナンス作業員がポンプ装置(300)の納入時またはメンテナンス時になされるべき報告を逸したとしても、ポンプ管理アプリケーションの実行中の通信装置100を所持した誰かが当該ポンプ装置(300)の付近を通りがかるだけで補完が可能となる。
【0092】
位置情報取得部101は、ステップS401の後に、通信装置100の位置情報を取得する(ステップS402)。他方、受信部102は、ステップS401の後に、ポンプ装置300からポンプ情報を受信する(ステップS403)。
【0093】
なお、ポンプ情報は、通信装置100からの要求をトリガとしてポンプ装置300から送信されてもよいし、ステップS401の後に自動的に送信されてもよい。また、これらステップS402およびステップS403は、
図8と逆の順序で行われてもよいし、並列的に行われてもよい。或いは、ポンプ情報は、例えばWi-Fiにおけるビーコンフレームなどの接続の確立前に送信される信号に埋め込まれてもよい。この場合には、ステップS401は省略され得、ステップS403の後にステップS402が行われ得る。
【0094】
伝送データ生成部111は、ステップS402において取得された位置情報に基づくポンプ装置300の位置情報と、ステップS403において受信されたポンプ情報とを組み合わせ、伝送データを生成する(ステップS404)。そして、送信部103は、ステップS404において生成された伝送データを、サーバ200へ送信(アップロード)する(ステップS405)。
【0095】
ステップS401からステップS405までの処理により、通信装置100は、ポンプ装置300の位置情報およびポンプ情報をサーバ200に報告できる。その後、受信部102は、ステップS405においてアップロードされた情報が反映された地図情報をダウンロードできる(ステップS406)。地図情報は、ステップS405の後に自動的にダウンロードされてもよいし、ユーザ入力をトリガとしてダウンロードされてもよい。
【0096】
表示部104は、ステップS406においてダウンロードされた地図情報を表示する(ステップS407)。ユーザは、ステップS407において表示された地図情報とポンプ装置300の実際の設置状況とを見比べて、ステップS405においてアップロードされた位置情報を補正するためのユーザ入力を入力部105に与えることができる。位置補正部112は、入力部105の受け取ったユーザ入力に応じて、ポンプ装置300の位置情報を補正する(ステップS408)。そして、送信部103はステップS408において生成された、補正後の位置情報をサーバ200へアップロードする(ステップS409)。
【0097】
次に、
図9を用いて、サーバ200の動作例を説明する。まず、受信部201は、通信装置100から伝送データを受信する(ステップS501)。ここでの伝送データは、ポンプ装置300のポンプ情報(少なくとも識別情報)および位置情報を含む。そして、ポンプ装置300の位置情報は、通信装置100の位置情報に基づいている。
【0098】
要求処理部211は、ステップS501において受信された伝送データに含まれるポンプ情報および位置情報を、ポンプ情報記憶部203に保存する(ステップS502)。続いて、受信部201は、ステップS501において受信した伝送データの送信元から、地図情報の取得要求を受信することがある(ステップS503)。なお、地図情報は、ステップS501において受信された伝送データの送信元となる通信装置100のために自動的に作成され送信されてもよい。この場合には、ステップS503は不要となり得る。
【0099】
ステップS503の後に、運転情報推定部213は、ポンプ情報記憶部203に登録済みの各ポンプ装置(300)の現在の運転情報を推定する(ステップS504)。なお、現在の運転情報の推定は、地図情報の作成タイミングとは独立の周期で、例えば1日1回などの周期で行われ、ポンプ情報の一部としてポンプ情報記憶部203に保存されてもよい。この場合には、ステップS503の後のステップS504が行われないこともあり得る。ステップS503の後のステップS504を省略すると、ステップS504の処理が不要となるので、地図情報のダウンロードに要する時間を短縮することが可能となる。他方、
図9のようにステップS503の後のステップS504を行うことで、通信装置100は、最新の推定運転情報が反映された地図情報をダウンロードできる。
【0100】
ステップS503の後に、地図情報作成部212は、ポンプ情報記憶部203に保存されている各ポンプ装置(300)の位置情報およびポンプ情報に基づいて、地図情報を作成する(ステップS505)。なお、地図情報作成部212は、過去に地図情報を作成している場合には、地図情報記憶部204に保存されている地図情報を利用し得るし、直前にステップS504が行われている場合には、推定運転情報を利用し得る。
【0101】
地図情報作成部212は、ステップS505において作成した地図情報を地図情報記憶部204に保存する(ステップS506)。他方、送信部202は、ステップS505において作成された地図情報を、ステップS501において受信された伝送データの送信元となる通信装置100へ送信する(ステップS507)。なお、ステップS507において、地図情報は、ステップS501において受信された伝送データの送信元となる通信装置100に限らず、ポンプ管理アプリケーションを実行中の図示されない他の通信装置へもブロードキャストされてもよい。これにより、ポンプ管理アプリケーションを実行中の通信装置(100)の画面では、他の通信装置(100)から報告された情報に基づいて地図情報がリアルタイムに更新される。これは、例えば複数の納入作業員またはメンテナンス作業員が同一または近隣の地域で並列に作業するケースにおいて、作業員間の連携に役立つ可能性がある。
【0102】
続いて、受信部201は、ステップS501において受信された伝送データの送信元となる通信装置100から、ポンプ装置300の補正後の位置情報を受信することがある(ステップS508)。そして、要求処理部211は、ステップS502においてポンプ情報記憶部203に保存した、ポンプ装置300の位置情報を、ステップS508において受信された補正後の位置情報によって書き換える(ステップS509)。なお、ステップS509の後にさらに、地図情報の作成、送信が行われてもよい。
【0103】
次に、
図10を用いて、ポンプ装置300の動作例を説明する。
図10の動作は、ポンプ装置300の電装部310が電源遮断などにより動作を終了するまで繰り返される(ステップS607)。
【0104】
制御部311は、ポンプ301が運転している間は、運転イベント(または故障イベント)に応じて、ポンプ情報記憶部312に保存されているポンプ装置300の運転情報(または故障情報)を更新する(ステップS601およびステップS602)。具体的には、制御部311は、ポンプ情報記憶部312に保存されている積算運転回数および/または積算運転時間を読み出し、これらをポンプ301の運転実態に従って増やす。それから、制御部311は、更新後のポンプ情報をポンプ情報記憶部312に保存する(ステップS603)。
【0105】
また、制御部311は、ポンプ装置300と通信装置100との接続が確立すると、ポンプ情報記憶部312からポンプ情報を読み出す(ステップS604およびステップS605)。そして、送信部314は、ステップS605において読みだされたポンプ情報を通信装置100へ送信する(ステップS607)。
【0106】
なお、前述のように、ポンプ情報は、例えばWi-Fiにおけるビーコンフレームなどの接続の確立前に送信される信号に埋め込まれてもよい。この場合には、ポンプ装置300と通信装置100との接続が確立したことを条件とせずに、ステップS605およびステップS606が行われてもよい。
【0107】
以上説明したように、実施形態に係る通信装置は、例えばポンプ装置などの対象設備から当該対象設備の識別情報を含む設備情報を受信し、これを当該通信装置の位置情報に基づく対象設備の位置情報と共にサーバへ報告する。故に、この通信装置によれば、対象設備がGPSモジュールのような位置情報を検出する手段と、移動通信モジュールのような情報をサーバへ送信する手段とを備えていない場合であっても、当該対象設備の大凡の位置情報と設備情報とをサーバに集約して一元管理することが可能となる。他方、対象設備は、かかる手段を備える必要がなくなることで、製造コスト、通信料などの維持コスト、および消費電力を節約できる可能性がある。
【0108】
さらに、実施形態に係るサーバは、通信装置から報告された対象設備の諸情報に基づいて地図情報を作成し、通信装置に送信する。この地図情報によれば、例えば通信装置のユーザであるメンテナンス作業員が、どこにどれくらいの対象設備が設置されていて、それぞれがどのような状態であるのかを俯瞰することができる。そして、この地図情報は、対象設備の納入後のアフターフォロー(例えば、メンテナンス)計画の策定に利用され、アフターフォローを適時に効率的に実施するのに役立つ。
【0109】
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
【0110】
上記各実施形態において説明された種々の機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
【0111】
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、汎用のコンピュータを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
【符号の説明】
【0112】
100・・・通信装置
101・・・位置情報取得部
102,201,313・・・受信部
103,202,314・・・送信部
104・・・表示部
105・・・入力部
110,210,311・・・制御部
111・・・伝送データ生成部
112・・・位置補正部
200・・・サーバ
203,312・・・ポンプ情報記憶部
204・・・地図情報記憶部
211・・・要求処理部
212・・・地図情報作成部
213・・・運転情報推定部
300・・・ポンプ装置
301・・・ポンプ
310・・・電装部