(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ベルト調節保持装置
(51)【国際特許分類】
A44B 11/26 20060101AFI20231206BHJP
A44B 11/06 20060101ALI20231206BHJP
A44B 11/16 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A44B11/26
A44B11/06
A44B11/16
(21)【出願番号】P 2023503548
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2021007743
(87)【国際公開番号】W WO2022185383
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】515348460
【氏名又は名称】有限会社サンクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 明典
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第1097651(EP,A1)
【文献】特開平11-178610(JP,A)
【文献】特開平7-246106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0000103(US,A1)
【文献】特開2021-37069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B11/00-11/28
A44B1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一のベルトの長さを調節し、調節した前記ベルトを保持可能に形成したベルト調節保持装置であって、
後端部に前記ベルトを前方へ挿入可能に略矩形状に開口形成されたベルト挿入部と、前記ベルト挿入部と連通され前記ベルトの挿入方向と直交する上下方向に形成された略矩形状の開口部とを有する装置本体と、
前記開口部の中で前記ベルトを前端部に捲回して後方へ折り返し可能に形成された折返し部と、前記折返し部の後端側に形成され折り返した前記ベルトと共に前記ベルト挿入部から後方へ突出可能に形成された把持部とを有し、前記装置本体内にて前後方向へ進退可能に形成された略板状のベルト折返し部材とを備え、
前記ベルト挿入部の上内壁面と下内壁面には、前記開口部側にて内方へ階段状に起立する立壁部が、左右の側壁部の間でベルト幅方向へ略連続状に形成され、
前記折返し部の上端面と下端面との少なくとも一方には、前記ベルト折返し部材の後退位置にて前記立壁部の後近傍に移動して前記立壁部との間で前記ベルトを略階段状に屈曲させ、前記ベルト折返し部材の前進位置にて前記開口部内に移動して前記ベルトの屈曲を解除する突起部が形成されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたベルト調節保持装置において、
前記折返し部は、上端面と下端面とが互いに平行に形成され、
前記突起部は、前記上端面又は前記下端面に対して前方へ向いて垂直状に起立する前壁面と、前記上端面又は前記下端面に対して斜め前方へ鋭角状に傾斜する後傾斜面とを備えたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたベルト調節保持装置において、
前記突起部は、前記折返し部の上端面と下端面とにベルト幅方向で互いに異なる位置に複数形成され、
前記上内壁面に形成された前記立壁部には、前記折返し部の上端面に形成された前記突起部と対向する位置に内方へ突出する第1突出部が形成され、
前記下内壁面に形成された前記立壁部には、前記折返し部の下端面に形成された前記突起部と対向する位置に内方へ突出する第2突出部が形成され、
前記ベルト折返し部材は、上下逆転した状態で前記装置本体内にて前後方向へ進退可能に形成されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたベルト調節保持装置において、
前記第1突出部の後端側には、前記上内壁面に向けて後上方へ傾斜する第1傾斜面が形成され、
前記第2突出部の後端側には、前記下内壁面に向けて後下方へ傾斜する第2傾斜面が形成されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載されたベルト調節保持装置において、
前記装置本体の左右の側壁部には、前記ベルト折返し部材を前進位置と後退位置との間を移動させる案内溝が前後方向に形成され、
前記折返し部の左右の外側端部には、前記案内溝に係合される案内突起が形成され、
前記折返し部は、ベルト幅方向の中央部で左右に分離して形成され、分離された左右の折返し部が、前記把持部を介して略U字状に連結されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載されたベルト調節保持装置において、
長さ固定用のベルトが基端部側に固定され、係止爪が先端部側に形成されたストライカを備え、
前記装置本体における前記開口部の前端側には、前記ストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、前記ストライカ収納部内にあって前記ストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載されたベルト調節保持装置において、
前記装置本体における前記開口部の前端側には、ベルト固定枠が形成され、当該ベルト固定枠に長さ固定用のベルトが固定されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載されたベルト調節保持装置において、
前記装置本体における前記開口部の前端側には、長さ調節用の第2のベルトを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第2のベルト挿入部を備え、
前記開口部の中で前記第2のベルトを後端部に捲回して前方へ折り返し可能に形成された第2の折返し部と、前記第2の折返し部の前端側に形成され折り返した前記第2のベルトと共に前記第2のベルト挿入部から前方へ突出可能に形成された第2の把持部とを有し、前記装置本体内にて前後方向へ進退可能に形成された略板状の第2のベルト折返し部材を備え、
前記第2のベルト挿入部の上内壁面と下内壁面には、前記開口部側にて内方へ階段状に起立する第2の立壁部が、左右の側壁部の間でベルト幅方向へ略連続状に形成され、
前記第2の折返し部の上端面と下端面との少なくとも一方には、前記第2のベルト折返し部材の前進位置にて前記第2の立壁部の前近傍に移動して前記第2の立壁部との間で前記第2のベルトを略階段状に屈曲させ、前記第2のベルト折返し部材の後退位置にて前記開口部内に移動して前記第2のベルトの屈曲を解除する第2の突起部が形成されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項9】
請求項8に記載されたベルト調節保持装置において、
前記第2の突起部は、前記第2の折返し部の上端面と下端面とにベルト幅方向で互いに異なる位置に複数形成され、
前記第2のベルト挿入部における前記上内壁面に形成された前記第2の立壁部には、前記第2の折返し部の上端面に形成された前記第2の突起部と対向する位置に内方へ突出する第3突出部が形成され、
前記第2のベルト挿入部における前記下内壁面に形成された前記第2の立壁部には、前記第2の折返し部の下端面に形成された前記第2の突起部と対向する位置に内方へ突出する第4突出部が形成され、
前記第2のベルト折返し部材は、上下逆転した状態で前記装置本体内にて前後方向へ進退可能に形成されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載されたベルト調節保持装置において、
長さ調節用の第3のベルトが基端部側に長さ調節可能に固定され、係止爪が先端部側に形成された第2のストライカを備え、
前記装置本体における前記開口部の前端側には、前記第2のストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、前記ストライカ収納部内にあって前記第2のストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項11】
請求項10に記載されたベルト調節保持装置において、
前記第2のストライカにおける前記基端部には、前端部から前記第3のベルトを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第3のベルト挿入部と、前記第3のベルト挿入部と連通され前記第3のベルトの挿入方向と直交する上下方向に形成された略矩形状の第2の開口部とを備え、
前記第2の開口部の中で前記第3のベルトを後端部に捲回して前方へ折り返し可能に形成された第3の折返し部と、前記第3の折返し部の前端側に形成され折り返した前記第3のベルトと共に前記第3のベルト挿入部から前方へ突出可能に形成された第3の把持部とを有し、前記第2のストライカ内にて前後方向へ進退可能に形成された略板状の第3のベルト折返し部材を備え、
前記第3のベルト挿入部の上内壁面と下内壁面には、前記第2の開口部側にて内方へ階段状に起立する第3の立壁部が、前記第2のストライカにおける左右の側壁部の間でベルト幅方向へ略連続状に形成され、
前記第3の折返し部の上端面と下端面との少なくとも一方には、前記第3のベルト折返し部材の前進位置にて前記第3の立壁部の前近傍に移動して前記第3の立壁部との間で前記第3のベルトを略階段状に屈曲させ、前記第3のベルト折返し部材の後退位置にて前記第2の開口部内に移動して前記第3のベルトの屈曲を解除する第3の突起部が形成されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【請求項12】
請求項11に記載されたベルト調節保持装置において、
前記第3の突起部は、前記第3の折返し部の上端面と下端面とにベルト幅方向で互いに異なる位置に複数形成され、
前記第3のベルト挿入部における前記上内壁面に形成された前記第3の立壁部には、前記第3の折返し部の上端面に形成された前記第3の突起部と対向する位置に内方へ突出する第5突出部が形成され、
前記第3のベルト挿入部における前記下内壁面に形成された前記第3の立壁部には、前記第3の折返し部の下端面に形成された前記第3の突起部と対向する位置に内方へ突出する第6突出部が形成され、
前記第3のベルト折返し部材は、上下逆転した状態で前記第2のストライカ内にて前後方向へ進退可能に形成されたことを特徴とするベルト調節保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト調節保持装置に関し、例えば、ズボン用ベルトのバックルやリュックサック、ベルト付きカバン、ウェストポーチ、ヘルメット等のベルト締結具として使用され、少なくとも一のベルトの長さを調節し、調節したベルトを保持可能に形成したベルト調節保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ズボン用ベルトのバックルやリュックサック、ベルト付きカバン、ウェストポーチ、ヘルメット等のベルト締結具では、少なくとも一のベルトの長さを調節し、調節したベルトを保持可能に形成したベルト調節保持装置が知られている。かかるベルト調節保持装置が、例えば、特許文献1、2に開示されている。
【0003】
ここで、特許文献1に開示されたバックル100では、
図25に示すように、バックル本体101の開口部102に挿入して係合させるストライカ103の基端部には、ベルト104の長さを調節するため、ベルト104を巻回して折り返すベルト折返し部105と、折り返したベルト104を重ね合わせるベルト係止部106とが、バックル100の表面側と裏面側に上下分離して配置されている。そして、ベルト折返し部105で折り返したベルト104をベルト係止部106によって略直角状に折り曲げて上下方向で重ね合わせることによって、調節したベルト104が緩むのを阻止している。
【0004】
また、特許文献2に開示されたバックル200は、
図26に示すように、ベルトの一端部201aを固定するための固定具202を有するバックル本体部203と、バックル本体部203にベルトの他端部201bを通した時にベルトに弾接する弾接板204と、弾接板204をベルト方向に押圧する押圧具205とを備え、押圧具205はベルトの厚みの違いを吸収するべく弾接板204を押圧する力を調節するための調節機構206を備えている。そして、調節機構206は、外に露出させた厚さ調節摘み207を指先で回動させることで、押圧具205を出し入れ可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-65315号公報
【文献】特開2012-232076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたバックル100では、ベルト折返し部105とベルト係止部106とが、バックル100の表面側と裏面側に上下分離して配置されているので、バックル100の厚さが過大となりやすく、使用時に邪魔になると共に、外観上の見栄えも好ましくないという問題があった。また、ベルト104の長さを調節するときには、バックル100を持ち上げるか、又はベルト係止部106を変形させて、ベルト係止部106がベルト104を重ね合わせる押圧力を緩める必要があり、その調節操作が面倒であるという問題もあった。その上、ベルト104を使用しない場合には、ベルト104に張力が作用せず、ベルト係止部106の押圧力も無くなるので、ベルトの位置ズレが生じやすい。そのため、ベルト104を使用する度に、再度調節する必要があり、調節操作が煩雑となる問題もあった。
【0007】
また、特許文献2に開示されたバックル200では、バックル本体部203にベルトの他端部201bを通した時にベルトに弾接する弾接板204と、弾接板204をベルト方向に押圧する押圧具205とを備え、押圧具205はベルトの厚みの違いを吸収するべく弾接板204を押圧する力を調節するための調節機構206を備えているので、ベルトの他端部201bをバックル本体部203から外す度に、調節機構206を調節して押圧具205が弾接板204を押圧する力を調節する必要があり、その調節操作が煩雑であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルトの長さを調節して保持でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、少なくとも一のベルトの長さを調節し、調節した前記ベルトを保持可能に形成したベルト調節保持装置であって、
後端部に前記ベルトを前方へ挿入可能に略矩形状に開口形成されたベルト挿入部と、前記ベルト挿入部と連通され前記ベルトの挿入方向と直交する上下方向に形成された略矩形状の開口部とを有する装置本体と、
前記開口部の中で前記ベルトを前端部に捲回して後方へ折り返し可能に形成された折返し部と、前記折返し部の後端側に形成され折り返したベルトと共に前記ベルト挿入部から後方へ突出可能に形成された把持部とを有し、前記装置本体内にて前後方向へ進退可能に形成された略板状のベルト折返し部材とを備え、
前記ベルト挿入部の上内壁面と下内壁面には、前記開口部側にて内方へ階段状に起立する立壁部が、左右の側壁部の間でベルト幅方向へ略連続状に形成され、
前記折返し部の上端面と下端面との少なくとも一方には、前記ベルト折返し部材の後退位置にて前記立壁部の後近傍に移動して前記立壁部との間で前記ベルトを略階段状に屈曲させ、前記ベルト折返し部材の前進位置にて前記開口部内に移動して前記ベルトの屈曲を解除する突起部が形成されたことを特徴とする。
【0010】
(2)(1)に記載されたベルト調節保持装置において、
前記折返し部は、上端面と下端面とが互いに平行に形成され、
前記突起部は、前記上端面又は前記下端面に対して前方へ向いて垂直状に起立する前壁面と、前記上端面又は前記下端面に対して斜め前方へ鋭角状に傾斜する後傾斜面とを備えたことが好ましい。
【0011】
(3)(1)又は(2)に記載されたベルト調節保持装置において、
前記突起部は、前記折返し部の上端面と下端面とにベルト幅方向で互いに異なる位置に複数形成され、
前記上内壁面に形成された前記立壁部には、前記折返し部の上端面に形成された前記突起部と対向する位置に内方へ突出する第1突出部が形成され、
前記下内壁面に形成された前記立壁部には、前記折返し部の下端面に形成された前記突起部と対向する位置に内方へ突出する第2突出部が形成され、
前記ベルト折返し部材は、上下逆転した状態で前記装置本体内にて前後方向へ進退可能に形成されたことが好ましい。
【0012】
(4)(3)に記載されたベルト調節保持装置において、
前記第1突出部の後端側には、前記上内壁面に向けて後上方へ傾斜する第1傾斜面が形成され、
前記第2突出部の後端側には、前記下内壁面に向けて後下方へ傾斜する第2傾斜面が形成されたことが好ましい。
【0013】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載されたベルト調節保持装置において、
前記装置本体の左右の側壁部には、前記ベルト折返し部材を前進位置と後退位置との間を移動させる案内溝が前後方向に形成され、
前記折返し部の左右の外側端部には、前記案内溝に係合される案内突起が形成され、
前記折返し部は、ベルト幅方向の中央部で左右に分離して形成され、分離された左右の折返し部が、前記把持部を介して略U字状に連結されたことが好ましい。
【0014】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載されたベルト調節保持装置において、
長さ固定用のベルトが基端部側に固定され、係止爪が先端部側に形成されたストライカを備え、
前記装置本体における前記開口部の前端側には、前記ストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、前記ストライカ収納部内にあって前記ストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されたことが好ましい。
【0015】
(7)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載されたベルト調節保持装置において、
前記装置本体における前記開口部の前端側には、ベルト固定枠が形成され、当該ベルト固定枠に長さ固定用のベルトが固定されたことが好ましい。
【0016】
(8)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載されたベルト調節保持装置において、
前記装置本体における前記開口部の前端側には、長さ調節用の第2のベルトを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第2のベルト挿入部を備え、
前記開口部の中で前記第2のベルトを後端部に捲回して前方へ折り返し可能に形成された第2の折返し部と、前記第2の折返し部の前端側に形成され折り返した前記第2のベルトと共に前記第2のベルト挿入部から前方へ突出可能に形成された第2の把持部とを有し、前記装置本体内にて前後方向へ進退可能に形成された略板状の第2のベルト折返し部材を備え、
前記第2のベルト挿入部の上内壁面と下内壁面には、前記開口部側で内方へ階段状に起立する第2の立壁部がベルト幅方向へ略連続状に形成され、
前記第2の折返し部の上端面と下端面との少なくとも一方には、前記第2のベルト折返し部材の前進位置にて前記第2の立壁部の前近傍に移動して前記第2の立壁部との間で前記第2のベルトを略階段状に屈曲させ、前記第2のベルト折返し部材の後退位置にて前記開口部内に移動して前記第2のベルトの屈曲を解除する第2の突起部が形成されたことが好ましい。
【0017】
(9)(8)に記載されたベルト調節保持装置において、
前記第2の突起部は、前記第2の折返し部の上端面と下端面とにベルト幅方向で互いに異なる位置に複数形成され、
前記第2のベルト挿入部における前記上内壁面に形成された前記第2の立壁部には、前記第2の折返し部の上端面に形成された前記第2の突起部と対向する位置に内方へ突出する第3突出部が形成され、
前記第2のベルト挿入部における前記下内壁面に形成された前記第2の立壁部には、前記第2の折返し部の下端面に形成された前記第2の突起部と対向する位置に内方へ突出する第4突出部が形成され、
前記第2のベルト折返し部材は、上下逆転した状態で前記装置本体内にて前後方向へ進退可能に形成されたことが好ましい。
【0018】
(10)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載されたベルト調節保持装置において、
長さ調節用の第3のベルトが基端部側に長さ調節可能に固定され、係止爪が先端部側に形成された第2のストライカを備え、
前記装置本体における前記開口部の前端側には、前記第2のストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、前記ストライカ収納部内にあって前記第2のストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されたことが好ましい。
【0019】
(11)(10)に記載されたベルト調節保持装置において、
前記第2のストライカにおける前記基端部には、前端部から前記第3のベルトを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第3のベルト挿入部と、前記第3のベルト挿入部と連通され前記第3のベルトの挿入方向と直交する上下方向に形成された略矩形状の第2の開口部とを備え、
前記第2の開口部の中で前記第3のベルトを後端部に捲回して前方へ折り返し可能に形成された第3の折返し部と、前記第3の折返し部の前端側に形成され折り返した前記第3のベルトと共に前記第3のベルト挿入部から前方へ突出可能に形成された第3の把持部とを有し、前記第2のストライカ内にて前後方向へ進退可能に形成された略板状の第3のベルト折返し部材を備え、
前記第3のベルト挿入部の上内壁面と下内壁面には、前記第2の開口部側にて内方へ階段状に起立する第3の立壁部が、前記第2のストライカにおける左右の側壁部の間でベルト幅方向へ略連続状に形成され、
前記第3の折返し部の上端面と下端面との少なくとも一方には、前記第3のベルト折返し部材の前進位置にて前記第3の立壁部の前近傍に移動して前記第3の立壁部との間で前記第3のベルトを略階段状に屈曲させ、前記第3のベルト折返し部材の後退位置にて前記第2の開口部内に移動して前記第3のベルトの屈曲を解除する第3の突起部が形成されたことが好ましい。
【0020】
(12)(11)に記載されたベルト調節保持装置において、
前記第3の突起部は、前記第3の折返し部の上端面と下端面とにベルト幅方向で互いに異なる位置に複数形成され、
前記第3のベルト挿入部における前記上内壁面に形成された前記第3の立壁部には、前記第3の折返し部の上端面に形成された前記第3の突起部と対向する位置に内方へ突出する第5突出部が形成され、
前記第3のベルト挿入部における前記下内壁面に形成された前記第3の立壁部には、前記第3の折返し部の下端面に形成された前記第3の突起部と対向する位置に内方へ突出する第6突出部が形成され、
前記第3のベルト折返し部材は、上下逆転した状態で前記第2のストライカ内にて前後方向へ進退可能に形成されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルトの長さを調節して保持でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る第1実施例のベルト調節保持装置における分解状態の斜視図である。
【
図2】
図1に示すベルト調節保持装置における組付け状態(ベルトロック状態)の平面図である。
【
図5】
図1に示すベルト調節保持装置における装置本体の平面図である。
【
図8】
図1に示すベルト調節保持装置におけるベルト折返し部材の平面図である。
【
図9】
図8に示すベルト折返し部材の正面図である。
【
図10A】
図1に示すベルト調節保持装置における装置本体とベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め後上方から見た斜視図である。
【
図10B】
図1に示すベルト調節保持装置における装置本体とベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め後下方から見た斜視図である。
【
図13A】
図1に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おける装置本体とベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め後上方から見た斜視図である。
【
図13B】
図1に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おける装置本体とベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め後下方から見た斜視図である。
【
図14A】
図2に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おけるE-E断面図である。
【
図14B】
図2に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おけるF-F断面図である。
【
図14C】
図2に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おけるG-G断面図である。
【
図15】
図2に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おけるH-H断面図である。
【
図16】本実施形態に係る第2実施例のベルト調節保持装置における組付け状態(ベルトロック状態)の平面図である。
【
図18】本実施形態に係る第3実施例のベルト調節保持装置における組付け状態(ベルトロック状態)の平面図である。
【
図20A】
図18に示す第3実施例のベルト調節保持装置における装置本体と第2のベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め前上方から見た斜視図である。
【
図20B】
図18に示す第3実施例のベルト調節保持装置における装置本体と第2のベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め前下方から見た斜視図である。
【
図21】本実施形態に係る第4実施例のベルト調節保持装置における組付け状態(ベルトロック状態)の平面図である。
【
図24A】
図21に示す第4実施例のベルト調節保持装置におけるストライカ本体と第3のベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め前上方から見た斜視図である。
【
図24B】
図21に示す第4実施例のベルト調節保持装置におけるストライカ本体と第3のベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め前下方から見た斜視図である。
【
図25】特許文献1に記載されたバックルの縦断面図である。
【
図26】特許文献2に記載されたバックルの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
はじめに、本実施形態の第1実施例に係るベルト調節保持装置の構成及び動作方法を詳細に説明する。その後、本実施形態の第2実施例~第4実施例について、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0024】
<第1実施例のベルト調節保持装置>
まず、本実施形態の第1実施例に係るベルト調節保持装置について、
図1~
図15を用いて説明する。
図1に、本実施形態に係る第1実施例のベルト調節保持装置における分解状態の斜視図を示す。
図2に、
図1に示すベルト調節保持装置における組付け状態(ベルトロック状態)の平面図を示す。
図3に、
図2に示すA矢視図を示す。
図4に、
図3に示すB-B断面図を示す。
図5に、
図1に示すベルト調節保持装置における装置本体の平面図を示す。
図6に、
図5に示すD-D断面図を示す。
図7に、
図5に示すC-C断面図を示す。
図8に、
図1に示すベルト調節保持装置におけるベルト折返し部材の平面図を示す。
図9に、
図8に示すベルト折返し部材の正面図を示す。
図10に、
図1に示すベルト調節保持装置における装置本体とベルト折返し部材の斜視図を示す。
図10Aに、
図1に示すベルト調節保持装置における装置本体とベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め後上方から見た斜視図を示す。
図10Bに、
図1に示すベルト調節保持装置における装置本体とベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め後下方から見た斜視図を示す。
図11Aに、
図2に示すE-E断面図を示す。
図11Bに、
図2に示すF-F断面図を示す。
図11Cに、
図2に示すG-G断面図を示す。
図12に、
図2に示すH-H断面図を示す。
図13Aに、
図1に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おける装置本体とベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め後上方から見た斜視図を示す。
図13Bに、
図1に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おける装置本体とベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め後下方から見た斜視図を示す。
図14Aに、
図2に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おけるE-E断面図を示す。
図14Bに、
図2に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おけるF-F断面図を示す。
図14Cに、
図2に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おけるG-G断面図を示す。
図15に、
図2に示すベルト調節保持装置において、ベルト折返し部材を上下逆転した場合おけるH-H断面図を示す。
【0025】
(本ベルト調節保持装置の構成)
図1~
図15に示すように、本実施形態の第1実施例に係るベルト調節保持装置10は、少なくとも一のベルト1の長さを調節し、調節したベルト1を保持可能に形成したベルト調節保持装置10であって、装置本体2と、装置本体2内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状のベルト折返し部材3とを備えている。なお、装置本体2及びベルト折返し部材3は、熱可塑性樹脂を射出成形することによって形成できる。また、ベルト1は、樹脂製、合成繊維製、革製、又は天然繊維製等の各種ベルトに適用してもよい。
【0026】
ここで、装置本体2は、後端部211にベルト1を前方へ挿入可能に略矩形状に開口形成されたベルト挿入部21と、ベルト挿入部21と連通されベルト1の挿入方向と直交する上下方向R2に形成された略矩形状の開口部22とを有する。ここでは、開口部22は、装置本体2の上端部から下端部まで貫通して形成されているが、上端部又は下端部のいずれか一方の一部又は全体が閉塞されていても良い。また、ベルト折返し部材3は、装置本体2の開口部22の中でベルト1を前端部311に捲回して後方へ折り返し可能に形成された折返し部31と、折返し部31の後端側に形成され折り返したベルト1と共にベルト挿入部21から後方へ突出可能に形成された把持部32とを有する。
【0027】
また、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213には、開口部22側にて内方へ階段状に起立する立壁部212T、213Tが、左右の側壁部23の間でベルト幅方向R3へ略連続状に形成されている。ここでは、上内壁面212に起立する立壁部212Tと下内壁面213に起立する立壁部213Tとは、それぞれ略同一の高さで垂直状に起立し、前後方向の幅も略同一に形成されている。また、両立壁部212T、213Tは、上内壁面212及び下内壁面213の前後方向の幅と略同一に形成されている。また、立壁部212Tの下端面は、上内壁面212と略平行に形成され、立壁部213Tの上端面は、下内壁面213と略平行に形成されている。したがって、立壁部212T、213Tは、上内壁面212と下内壁面213とに対して、それぞれ内方へ階段状に起立するように形成されている。ここでは、立壁部212T、213Tは、ベルト幅方向R3へ連続状に形成されているが、部分的に離間していても、略連続状に形成されていれば良い。
【0028】
また、折返し部31の上端面312と下端面313との少なくとも一方には、ベルト折返し部材3の後退位置P1にて立壁部212T、213Tの後近傍に移動して立壁部212T、213Tとの間でベルト1を略階段状に屈曲させ、ベルト折返し部材3の前進位置P2にて開口部22内に移動してベルト1の屈曲を解除する突起部33が形成されている。ここでは、突起部33は、折返し部31の上端面312と下端面313とに、それぞれ所定の幅で複数形成されているが、上端面312と下端面313のいずれか一方のみに形成しても良い。なお、突起部33は、前端側が最も高く形成され、後端側が徐々に低くなるように形成されている。
【0029】
本第1実施例のベルト調節保持装置10は、上記構造に形成されているので、装置本体2に対してベルト1を固定するときには、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させることによって、立壁部212T、213Tと突起部33との間でベルト1を略階段状に屈曲させ、その変形抵抗でベルト1の移動を阻止することができる。また、ベルト折返し部材3は、装置本体2に対して後退位置P1より後方へ移動できないので、ベルト1を強く引っ張っても、装置本体2に対するベルト1の移動は生じない。そのため、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させるだけで、装置本体2にベルト1を簡単に固定することができる。
【0030】
また、装置本体2に対してベルト1の長さを調節するときには、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に前進位置P2へ移動させるだけで良い。すなわち、ベルト折返し部材3を前進位置P2へ移動させることによって、折返し部31の突起部33を開口部22内へ移動できるので、前進位置P2へ移動させたベルト折返し部材3における折返し部31に捲回されたベルト1は、突起部33と立壁部212T、213Tとによる拘束が解除されて、開口部22内で自由に移動させることができる。したがって、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に前進位置P2へ移動させるだけで、装置本体2に対してベルト1の長さを簡単に調節することができる。
【0031】
また、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させた状態では、立壁部212T、213Tと突起部33との間でベルト1が略階段状に屈曲されているので、ベルト折返し部材3を後退位置P1から前進位置P2へ移動させるためには、突起部33を屈曲されたベルト1と共に立壁部212T、213Tを乗り越えさせる力が必要となる。そのため、ベルト折返し部材3が、屈曲されたベルト1を介して後退位置P1にロックされた状態となる。したがって、ベルト1を使用しないときでも、装置本体2に対するベルト1の位置ズレは生じないので、ベルト1を使用する度に行うベルト調節保持装置10の再調節を不要にできる。
【0032】
また、後端部211にベルト1を前方へ挿入可能に略矩形状に開口形成されたベルト挿入部21と、ベルト挿入部21と連通されベルト1の挿入方向と直交する上下方向R2に形成された略矩形状の開口部22とを有する装置本体2と、開口部22の中でベルト1を前端部311に捲回して後方へ折り返し可能に形成された折返し部31と、折返し部31の後端側に形成され折り返したベルト1と共にベルト挿入部21から後方へ突出可能に形成された把持部32とを有し、装置本体2内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状のベルト折返し部材3とを備えたので、ベルト折返し部材3の折返し部31の上下方向R2の厚さd1を、ベルト1を折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、装置の厚さd2が過大になるのを簡単に回避できる。
【0033】
よって、本第1実施例のベルト調節保持装置10によれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルト1の長さを調節して保持でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節保持装置10を提供することができる。
【0034】
また、本第1実施例のベルト調節保持装置10において、
図9に示すように、折返し部31は、上端面312と下端面313とが互いに平行に形成され、突起部33は、上端面312又は下端面313に対して前方へ向いて垂直状に起立する前壁面331と、上端面312又は下端面313に対して斜め前方へ鋭角状に傾斜する後傾斜面332とを備えたことが好ましい。
【0035】
この場合、ベルト折返し部材3を前進位置P2から後退位置P1へ移動させる際、突起部33の後傾斜面332によって立壁部212T、213Tを押圧して、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213とを弾性的に撓ませて、両者の隙間を簡単に拡張させることができる。そのため、ベルト折返し部材3を前進位置P2から後退位置P1へ移動させる力を低減でき、より少ない操作力で装置本体2に対してベルト1を固定させることができる。なお、折返し部31の上端面312又は下端面313と立壁部212T、213Tとの隙間は、ベルト1の肉厚と同程度に形成、又はベルト1の肉厚より僅かに大きく形成されていることが好ましい。この場合、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1又は前進位置P2へ移動させる際、折返し部31の上端面312又は下端面313に当接するベルト1と立壁部212T、213Tとの間で生じる摩擦力を低減でき、より操作性が向上する。
【0036】
一方、突起部33は、折返し部31の上端面312又は下端面313に対して前方へ向いて垂直状に起立する前壁面331を備えたので、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させた状態では、立壁部212T、213Tと突起部33の前壁面331との間でベルト1をより直角に近い角度で屈曲させ、その変形抵抗を増大させることができる。そのため、ベルト折返し部材3を後退位置P1へ移動させたときには、節度感を持って装置本体2に対してベルト1をより強固に固定させることができる。
【0037】
また、
図2、
図10A~
図15に示すように、本第1実施例のベルト調節保持装置10において、突起部33は、折返し部31の上端面312と下端面313とにベルト幅方向R3で互いに異なる位置に複数形成され、ベルト挿入部21における上内壁面212に形成された立壁部212Tには、折返し部31の上端面312に形成された突起部33と対向する位置に内方へ突出する第1突出部212T1が形成され、ベルト挿入部21における下内壁面213に形成された立壁部213Tには、折返し部31の下端面313に形成された突起部33と対向する位置に内方へ突出する第2突出部213T1が形成され、ベルト折返し部材3は、上下逆転した状態で装置本体2内にて前後方向R1へ進退可能に形成されたことが好ましい。
【0038】
ここでは、複数の突起部33は、所定幅で形成され、突起部33の上記所定幅以上の間隔を空けて、ベルト幅方向R3へ直列状に配置されている。また、突起部33は、折返し部31の上端面312に複数(例えば、4つ)形成され、折返し部31の下端面313に複数(例えば、2つ)形成されている。また、ベルト挿入部21における上内壁面212に形成された立壁部212Tには、中央部近傍の2つの突起部33に対向して1つの第1突出部212T1が幅広に形成され、両端部近傍の各1つの突起部33に対向して各1つの第1突出部212T1が突起部33と略同一の幅で形成されている。また、ベルト挿入部21における下内壁面213に形成された立壁部213Tには、折返し部31の下端面313に形成された2つの突起部33と対向して、突起部33と略同一の幅で第2突出部213T1が2つ形成されている。
【0039】
この場合、上下逆転しないベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させた状態では、
図11、
図12に示すように、第1突出部212T1と突起部33とが対向する位置で第1突出部212T1と折返し部31の上端面312との隙間が第1突出部212T1の高さ分だけ縮小されると共に、第2突出部213T1と突起部33とが対向する位置で第2突出部213T1と折返し部31の下端面313との隙間が第2突出部213T1の高さ分だけ縮小される。そのため、立壁部212T、213Tと折返し部31との隙間より相対的に肉厚の薄いベルト1に対しても、折返し部31の突起部33とベルト挿入部21の第1突出部212T1及び第2突出部213T1との間でベルト1を略階段状に屈曲させることができる。したがって、肉厚の薄いベルト1であっても、装置本体2に対して強固に固定させることができる。
【0040】
一方、
図13A~
図15に示すように、ベルト折返し部材3を装置本体2に対して上下逆転した場合には、ベルト挿入部21の第1突出部212T1と第2突出部213T1とに対して、折返し部31の突起部33がベルト幅方向R3で異なる位置に配置される。そのため、上下逆転したベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させた状態では、第1突出部212T1と第2突出部213T1の影響を受けずに、立壁部212T、213Tと突起部33との間でベルト1を略階段状に屈曲させ、その変形抵抗によってベルト1の移動を阻止させることができる。したがって、上下逆転したベルト折返し部材3を後退位置P1へ移動させたときには、ベルト折返し部材3を上下逆転しない場合に比較して、装置本体2に対して肉厚の厚いベルト1を強固に固定させることができる。その結果、1つのベルト調節保持装置10において、ベルト折返し部材3を上下逆転して装置本体2に装着するという簡単な操作によって、肉厚が異なる複数のベルト1の長さを調節して保持することができる。
【0041】
また、
図10A~
図15に示すように、本第1実施例のベルト調節保持装置10において、第1突出部212T1の後端側には、ベルト挿入部21における上内壁面212に向けて後上方へ傾斜する第1傾斜面212T2が形成され、第2突出部213T1の後端側には、ベルト挿入部21における下内壁面213に向けて後下方へ傾斜する第2傾斜面213T2が形成されたことが好ましい。
【0042】
この場合、例えば、上下逆転しないベルト折返し部材3を後退位置P1から前進位置P2へ移動させる際、折返し部31の上端面312に形成した突起部33で屈曲されたベルト1が、第1傾斜面212T2を介して第1突出部212T1を上方へ押圧し、折返し部31の下端面313に形成した突起部33で屈曲されたベルト1が、第2傾斜面213T2を介して第2突出部213T1を下方へ押圧することによって、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213とを弾性的に撓ませて、両者の隙間を簡単に拡張させることができる。そのため、ベルト折返し部材3を後退位置P1から前進位置P2へ移動させる力を低減でき、より少ない操作力で装置本体2に対してベルト1の長さを調節させることができる。
【0043】
また、
図1~
図4、
図8、
図9に示すように、本第1実施例のベルト調節保持装置10において、装置本体2の左右の側壁部23には、ベルト折返し部材3を前進位置P2と後退位置P1との間を移動させる案内溝231が前後方向R1に形成され、折返し部31の左右の外側端部には、案内溝231に係合される案内突起314が形成され、また、折返し部31は、ベルト幅方向R3の中央部で左右に分離して形成され、分離された左右の折返し部31が、把持部32を介して略U字状に連結されたことが好ましい。ここでは、把持部32は、後端部321が平面視で略円弧状に形成され、後端部321は、把持し易いように、折返し部31との連結部より板厚が厚く、略円弧状断面に形成されている。また、把持部32には、分離された左右の折返し部31の案内突起314を案内溝231へ係合させ易いように、略楕円形状の切欠き部322と円形状の中空部323とが形成されている。また、案内溝231は、開口部22の内方へ向けて溝幅が拡張するテーパ状断面に形成されている。
【0044】
この場合、左右に分離された折返し部31同士を上下方向に変位させつつ互いに中央部を重ねさせて、装置本体2の側壁部23に形成された案内溝231に折返し部31に形成された案内突起314を係合させることができる。そのため、装置本体2内にベルト折返し部材3を簡単に装着することができる。また、案内溝231の前端部まで案内突起314を移動させることによって、ベルト折返し部材3を前進位置P2に移動でき、簡単にベルト1の長さを調節できる。また、案内溝231の後端部まで案内突起314を移動させることによって、ベルト折返し部材3を後退位置P1に移動でき、簡単にベルト1を装置本体2に固定できる。そのため、装置本体2内にベルト折返し部材3を簡単に装着して、ベルト1の長さをより簡単に調節し、調節したベルト1を装置本体2に固定できる。
【0045】
なお、
図4、
図8に示すように、分離された左右の折返し部31の中央側には、所定の隙間d4で対向する一対の当接座315が形成されていることが好ましい。この当接座315の隙間d4は、案内突起314が案内溝231に係合された状態では、案内突起314が案内溝231によって左右から押圧され、把持部32が弾性的に撓むことによって、係合前の隙間d4より小さい隙間d5に縮小されている。そして、上記隙間d5は、折返し部31の左右の外側端部に対する案内突起314の突出量d3より小さく形成されている。
【0046】
この場合、折返し部31の案内突起314は、把持部32の弾発力によって案内溝231から外れにくい構造であると共に、ベルト1を強く引っ張っても、左右の当接座315同士が当接して突っ張るため、案内突起314が案内溝231に係合された状態を維持できる。したがって、ベルト折返し部材3を後退位置P1に移動してベルト1を装置本体2に固定した状態では、ベルト折返し部材3が装置本体2から脱落することを回避でき、確実にベルト1を装置本体2に固定できる。
【0047】
なお、案内溝231は、開口部22の内方から側壁部23の外方までベルト幅方向R3へ平行に貫通して形成されていても良い。この場合でも、折返し部31の案内突起314の基端部が案内溝231の内周部に当接すること等によって、案内突起314と案内溝231との係合状態を維持することができる。
【0048】
また、
図1~
図6に示すように、本第1実施例のベルト調節保持装置10において、長さ固定用のベルト1Kが基端部41側に固定され、係止爪421が先端部42側に形成されたストライカ4を備え、装置本体2における開口部22の前端側には、ストライカ4を係脱可能に収納するストライカ収納部24と、ストライカ収納部24内にあってストライカ4の係止爪421と係合する係合突起241とが形成されたことが好ましい。
【0049】
ここでは、ストライカ4の基端部41と先端部42との間には、中空部411が形成されている。長さ固定用のベルト1Kは、中空部411に挿通し、基端部41に捲回して固定されている。また、ストライカ4の先端部42には、中央側に配置され左右に分離された差込み脚部422と、差込み脚部422の左右外方に配置され係止爪421を有する操作部423とが形成されている。また、ストライカ収納部24の収納室242には、差込み脚部422を前後方向R1へ案内する案内リブ243と、ストライカ4の係止爪421と係合する係合突起241とが形成されている。係合突起241は、収納室242の上内壁と下内壁とに分離して形成されている。ストライカ4の操作部423は、ストライカ4の先端部42を収納室242に収納する際に、上下に分離された係合突起241に押されて変位しつつ、係合突起241の間を通過し、収納完了時に係止爪421と係合突起241とが係合するように形成されている。なお、左右の操作部423を内方へ押圧することによって、係止爪421と係合突起241との係合を解除することができる。
【0050】
この場合、装置本体2の後端側にてベルト折返し部材3を介して長さ調節用のベルト1を長さ調節可能に固定し、装置本体2の前端側に形成されたストライカ収納部24にてストライカ4を介して長さ固定用のベルト1Kを着脱可能に連結することができる。そのため、ベルト折返し部材3とストライカ4とを装置本体2の前後方向R1で隣接して配置でき、ベルト折返し部材3とストライカ4とが上下方向R2で重なり合うことがない。その結果、装置の薄型化が可能となり、外観上の見栄えを向上できると共に、取り扱いや操作性を向上させることができる。
【0051】
(本ベルト調節保持装置の動作方法)
次に、第1実施例のベルト調節保持装置10の動作方法を、簡単に説明する。すなわち、ベルト折返し部材3における把持部32を、開口部22から装置本体2内へ挿入し、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213との隙間を通過させて、ベルト挿入部21の後端部211側へ突出させる。また、開口部22の中で、左右に分離された折返し部31を、上下方向に変位させて中央部を互いに重ねた状態で、装置本体2の側壁部23に形成された案内溝231に案内突起314を係合させる。その後、左右に分離された折返し部31を元の状態に戻す。これによって、ベルト折返し部材3を、装置本体2内に前後方向R1へ進退可能に装着することができる。そして、ベルト折返し部材3を装置本体2の前進位置P2に移動させ、長さ調節用のベルト1を、ベルト挿入部21から把持部32に沿わせて開口部22まで挿入する。また、開口部22の中でベルト1を折返し部31の前端部311を捲回させて後方へ折り返し、折り返したベルト1をベルト挿入部21から後方へ突出させる。
【0052】
次に、装置本体2に対して長さ調節用のベルト1の長さを調節するときには、折り返したベルト1と共に把持部32を把持して、ベルト折返し部材3を装置本体2の前進位置P2に移動させ、ベルト1を折返し部31から離間させて弛ませた状態として、ベルト1を前後に移動させてその長さを調節する。また、長さを調節したベルト1を装置本体2に固定するときには、折り返したベルト1と共に把持部32を把持して、ベルト折返し部材3を前進位置P2から後退位置P1へ移動させ、折返し部31の突起部33とベルト挿入部21の立壁部212T、213Tとの間でベルト1を略階段状に屈曲させて拘束する。ここで、把持部32の後端部321は、略円弧状断面に形成されているので、折り返したベルト1と共に把持部32を把持してベルト1を略階段状に屈曲させるために引っ張るときでも、把持部32を把持する指の痛み等を軽減できる。
【0053】
なお、ベルト折返し部材3は、装置本体2の後退位置P1にて案内突起314が案内溝231の後端部と当接して、ベルト挿入部21から抜け出ることが阻止される。さらに、ベルト折返し部材3を装置本体2の後退位置P1に移動させた状態では、ベルト折返し部材3が、屈曲されたベルト1を介して後退位置P1にロックされた状態となる。したがって、ベルト折返し部材3に対して前後方向の外力が多少作用した場合にも、ベルト1の固定を維持することができる。
【0054】
<第2実施例のベルト調節保持装置>
次に、本実施形態の第2実施例に係るベルト調節保持装置について、
図16、
図17を用いて説明する。
図16に、本実施形態に係る第2実施例のベルト調節保持装置における組付け状態(ベルトロック状態)の平面図を示す。
図17に、
図16に示すJ-J断面図を示す。
【0055】
図16、
図17に示すように、第2実施例に係るベルト調節保持装置10Bは、少なくとも一のベルト1の長さを調節し、調節したベルト1を保持可能に形成したベルト調節保持装置10Bであって、後端部211にベルト1を前方へ挿入可能に略矩形状に開口形成されたベルト挿入部21と、ベルト挿入部21と連通されベルト1の挿入方向と直交する上下方向R2に形成された略矩形状の開口部22とを有する装置本体2Bと、開口部22の中でベルト1を前端部311に捲回して後方へ折り返し可能に形成された折返し部31と、折返し部31の後端側に形成され折り返したベルト1と共にベルト挿入部21から後方へ突出可能に形成された把持部32とを有し、装置本体2B内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状のベルト折返し部材3とを備え、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213には、開口部22側にて内方へ階段状に起立する立壁部212T、213Tが、左右の側壁部23の間でベルト幅方向R3へ略連続状に形成され、折返し部31の上端面312と下端面313との少なくとも一方には、ベルト折返し部材3の後退位置P1にて立壁部212T、213Tの後近傍に移動して立壁部212T、213Tとの間でベルト1を略階段状に屈曲させ、ベルト折返し部材3の前進位置P2にて開口部22内に移動してベルト1の屈曲を解除する突起部33が形成された点は、上述した第1実施例と共通する。ここでは、第1実施例と共通する構成は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0056】
すなわち、第2実施例に係るベルト調節保持装置10Bでは、装置本体2Bにおける開口部22の前端側には、ベルト固定枠25が形成され、当該ベルト固定枠25に長さ固定用のベルト1Kが固定されている。ここでは、ベルト固定枠25は、前進位置P2に移動したベルト折返し部材3と隣接した位置でベルト幅方向R3へ直線状に形成され、側壁部23の先端部に連結されている。ベルト固定枠25は、略矩形状断面に形成され、長さ固定用のベルト1Kは、ベルト固定枠25の外周に捲回されて固定されている。
【0057】
本第2実施例のベルト調節保持装置10Bは、上記構造に形成されているので、装置本体2Bの後端側にてベルト折返し部材3を介して長さ調節用のベルト1を長さ調節可能に固定し、装置本体2Bの前端側にてベルト固定枠25を介して長さ固定用のベルト1Kを固定することができる。そのため、両ベルト1、1Kを連結する装置本体2Bを小型化、薄型化でき、使用時の取り扱いや操作性を向上させることができる。よって、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルト1の長さを調節して保持できるベルト調節保持装置10Bを提供することができる。
【0058】
<第3実施例のベルト調節保持装置>
次に、本実施形態の第3実施例に係るベルト調節保持装置について、
図18~
図20を用いて説明する。
図18に、本実施形態に係る第3実施例のベルト調節保持装置における組付け状態(ベルトロック状態)の平面図を示す。
図19に、
図18に示すK-K断面図を示す。
図20Aに、
図18に示す第3実施例のベルト調節保持装置における装置本体と第2のベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め前上方から見た斜視図を示す。
図20Bに、
図18に示す第3実施例のベルト調節保持装置における装置本体と第2のベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め前下方から見た斜視図を示す。
【0059】
図18~
図20Bに示すように、第3実施例に係るベルト調節保持装置10Cは、少なくとも一のベルト1の長さを調節し、調節したベルト1を保持可能に形成したベルト調節保持装置10Cであって、後端部211にベルト1を前方へ挿入可能に略矩形状に開口形成されたベルト挿入部21と、ベルト挿入部21と連通されベルト1の挿入方向と直交する上下方向R2に形成された略矩形状の開口部22とを有する装置本体2Cと、開口部22の中でベルト1を前端部311に捲回して後方へ折り返し可能に形成された折返し部31と、折返し部31の後端側に形成され折り返したベルト1と共にベルト挿入部21から後方へ突出可能に形成された把持部32とを有し、装置本体2C内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状のベルト折返し部材3とを備え、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213には、開口部22側にて内方へ階段状に起立する立壁部212T、213Tが、左右の側壁部23の間でベルト幅方向R3へ略連続状に形成され、折返し部31の上端面312と下端面313との少なくとも一方には、ベルト折返し部材3の後退位置P1にて立壁部212T、213Tの後近傍に移動して立壁部212T、213Tとの間でベルト1を略階段状に屈曲させ、ベルト折返し部材3の前進位置P2にて開口部22内に移動してベルト1の屈曲を解除する突起部33が形成された点は、上述した第1実施例と共通する。ここでは、第1実施例と共通する構成は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0060】
すなわち、第3実施例に係るベルト調節保持装置10Cでは、装置本体2Cにおける開口部22の前端側には、長さ調節用の第2のベルト1Lを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第2のベルト挿入部21Cを備えている。また、開口部22の中で第2のベルト1Lを後端部311Cに捲回して前方へ折り返し可能に形成された第2の折返し部31Cと、第2の折返し部31Cの前端側に形成され折り返した第2のベルト1Lと共に第2のベルト挿入部21Cから前方へ突出可能に形成された第2の把持部32Cとを有し、装置本体2C内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状の第2のベルト折返し部材3Cを備えている。
【0061】
なお、第2のベルト折返し部材3Cには、ベルト折返し部材3の案内突起314と略同一形状の案内突起314Cが形成され、案内溝231と係合されている。この場合、案内溝231は、ベルト折返し部材3と第2のベルト折返し部材3Cとの間で共用できるので、案内溝231の全長を短く形成でき、装置の小型化に寄与できる。
【0062】
また、第2の折返し部31Cは、折返し部31と同様に、ベルト幅方向R3の中央部で左右に分離して形成され、分離された左右の折返し部31Cが、把持部32Cを介して略U字状に連結されている。そして、分離された左右の折返し部31Cの中央側には、所定の隙間で対向する一対の当接座315Cが形成されている。そのため、第2のベルト折返し部材3Cを前進位置に移動してベルト1Lを装置本体2Cに固定した状態では、ベルト1を強く引っ張っても当接座315C同士が当接して突っ張るため、案内突起314Cが案内溝231に係合された状態を維持できる。したがって、第2のベルト折返し部材3Cが装置本体2Cから脱落することを回避でき、確実にベルト1Lを装置本体2Cに固定できる。
【0063】
また、第2のベルト挿入部21Cの上内壁面212Cと下内壁面213Cには、開口部22側にて内方へ階段状に起立する第2の立壁部212CT、213CTが、左右の側壁部23の間でベルト幅方向R3へ略連続状に形成されている。また、第2の折返し部31Cの上端面312Cと下端面313Cとの少なくとも一方には、第2のベルト折返し部材3Cの前進位置にて第2の立壁部212CT、213CTの前近傍に移動して第2の立壁部212CT、213CTとの間で第2のベルト1Lを略階段状に屈曲させ、第2のベルト折返し部材3Cの後退位置にて開口部22内に移動して第2のベルト1Lの屈曲を解除する第2の突起部33Cが形成されている。なお、第2の突起部33Cは、後端側が最も高く形成され、前端側が徐々に低くなるように形成されている。
【0064】
本第3実施例のベルト調節保持装置10Cは、上記構造に形成されているので、装置本体2Cに対して第2のベルト1Lを固定するときには、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に前進位置へ移動させることによって、第2の立壁部212CT、213CTと第2の突起部33Cとの間で第2のベルト1Lを略階段状に屈曲させ、その変形抵抗で第2のベルト1Lの移動を阻止することができる。また、第2のベルト折返し部材3Cは、装置本体2Cに対して前進位置より前方へ移動できないので、第2のベルト1Lを強く引っ張っても、装置本体2Cに対する第2のベルト1Lの移動は生じない。そのため、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に前進位置へ移動させるだけで、装置本体2Cに第2のベルト1Lを簡単に固定することができる。
【0065】
また、装置本体2Cに対して第2のベルト1Lの長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に後退位置へ移動させるだけで良い。すなわち、第2のベルト折返し部材3Cを後退位置へ移動させることによって、第2の突起部33Cを開口部22内へ移動できるので、後退位置へ移動した第2のベルト折返し部材3Cにおける第2の折返し部31Cに捲回された第2のベルト1Lは、第2の突起部33Cと第2の立壁部212CT、213CTとによる屈曲が解除されて、開口部22内で自由に移動させることができる。したがって、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に後退位置へ移動させるだけで、装置本体2Cに対して第2のベルト1Lの長さを簡単に調節することができる。
【0066】
また、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に前進位置へ移動させた状態では、第2の立壁部212CT、213CTと第2の突起部33Cとの間で第2のベルト1Lが略階段状に屈曲されているので、第2のベルト折返し部材3Cを前進位置から後退位置へ移動させるためには、第2の突起部33Cを屈曲された第2のベルト1Lと共に第2の立壁部212CT、213CTを乗り越えさせる力が必要となる。そのため、第2のベルト折返し部材3Cが、屈曲された第2のベルト1Lを介して前進位置にロックされた状態となる。したがって、第2のベルト1Lを使用しないときでも、装置本体2Cに対する第2のベルト1Lの位置ズレは生じないので、第2のベルト1Lを使用する度に行うベルト調節保持装置10Cの再調節を不要にできる。
【0067】
また、装置本体2Cにおける開口部22の前端側には、長さ調節用の第2のベルト1Lを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第2のベルト挿入部21Cを備え、開口部22の中で第2のベルト1Lを後端部311Cに捲回して前方へ折り返し可能に形成された第2の折返し部31Cと、第2の折返し部31Cの前端側に形成され折り返した第2のベルト1Lと共に第2のベルト挿入部21Cから前方へ突出可能に形成された第2の把持部32Cとを有し、装置本体2C内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状の第2のベルト折返し部材3Cを備えたので、第2の折返し部31Cの上下方向R2の厚さを、第2のベルト1Lを折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、装置の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。よって、上記第3実施例のベルト調節保持装置10Cによれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルト1、1Lの長さを調節して保持でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節保持装置10Cを提供することができる。
【0068】
また、本第3実施例のベルト調節保持装置10Cにおいて、第2の突起部33Cは、第2の折返し部31Cの上端面312Cと下端面313Cとにベルト幅方向R3で互いに異なる位置に複数形成され、第2のベルト挿入部21Cにおける上内壁面212Cに形成された第2の立壁部212CTには、第2の折返し部31Cの上端面312Cに形成された第2の突起部33Cと対向する位置に内方へ突出する第3突出部212CT1が形成され、第2のベルト挿入部21Cにおける下内壁面213Cに形成された第2の立壁部213CTには、第2の折返し部31Cの下端面313Cに形成された第2の突起部33Cと対向する位置に内方へ突出する第4突出部213CT1が形成され、第2のベルト折返し部材3Cは、上下逆転した状態で装置本体2C内にて前後方向R1へ進退可能に形成されたことが好ましい。
【0069】
この場合、上下逆転しない第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に前進位置へ移動させた状態では、第3突出部212CT1と第2の突起部33Cとが対向する位置で第3突出部212CT1と第2の折返し部31Cの上端面312Cとの隙間が第3突出部212CT1の高さ分だけ縮小されると共に、第4突出部213CT1と第2の突起部33Cとが対向する位置で第4突出部213CT1と第2の折返し部31Cの下端面313Cとの隙間が第4突出部213CT1の高さ分だけ縮小される。そのため、第2の立壁部212CT、213CTと第2の折返し部31Cとの隙間より相対的に肉厚の薄いベルト1Lに対しても、第2の突起部33Cと第3突出部212CT1、第4突出部213CT1との各間で第2のベルト1Lを略階段状に屈曲させることができる。したがって、肉厚の薄いベルト1Lであっても、装置本体2Cに対して強固に固定させることができる。
【0070】
一方、第2のベルト折返し部材3Cを装置本体2Cに対して上下逆転した場合には、第3突出部212CT1と第4突出部213CT1とに対して、第2の突起部33Cがベルト幅方向R3で異なる位置に配置される。そのため、上下逆転した第2のベルト折返し部材3Cを折り返したベルト1Lと共に前進位置へ移動させた状態では、第3突出部212CT1と第4突出部213CT1の影響を受けずに、第2の立壁部212CT、213CTと第2の突起部33Cとの間で第2のベルト1Lを略階段状に屈曲させ、その変形抵抗によって第2のベルト1Lの移動を阻止させることができる。したがって、上下逆転した第2のベルト折返し部材3Cを前進位置へ移動させたときには、第2のベルト折返し部材3Cを上下逆転しない場合に比較して、装置本体2Cに対して肉厚の厚いベルト1Lを強固に固定させることができる。その結果、1つのベルト調節保持装置10Cにおいて、第2のベルト折返し部材3Cを上下逆転して装置本体2Cに装着するという簡単な操作によって、肉厚が異なる複数のベルト1Lの長さを調節して保持することができる。
【0071】
また、本第3実施例のベルト調節保持装置10Cにおいて、第3突出部212CT1の前端側には、第2のベルト挿入部21Cにおける上内壁面212Cに向けて前上方へ傾斜する第3傾斜面212CT2が形成され、第4突出部213CT1の前端側には、第2のベルト挿入部21Cにおける下内壁面213Cに向けて前下方へ傾斜する第4傾斜面213CT2が形成されたことが好ましい。
【0072】
この場合、例えば、上下逆転しない第2のベルト折返し部材3Cを前進位置から後退位置へ移動させる際、第2の折返し部31Cの上端面312Cに形成した第2の突起部33Cで屈曲された第2のベルト1Lが、第3傾斜面212CT2を介して第3突出部212CT1を上方へ押圧し、第2の折返し部31Cの下端面313Cに形成した第2の突起部33Cで屈曲された第2のベルト1Lが、第4傾斜面213CT2を介して第4突出部213CT1を下方へ押圧することによって、第2のベルト挿入部21Cの上内壁面212Cと下内壁面213Cとを弾性的に撓ませて、両者の隙間を簡単に拡張させることができる。そのため、第2のベルト折返し部材3Cを前進位置から後退位置へ移動させる力を低減でき、より少ない操作力で装置本体2Cに対して第2のベルト1Lの長さを調節させることができる。
【0073】
<第4実施例のベルト調節保持装置>
次に、本実施形態の第4実施例に係るベルト調節保持装置について、
図21~
図24を用いて説明する。
図21に、本実施形態に係る第4実施例のベルト調節保持装置における組付け状態(ベルトロック状態)の平面図を示す。
図22に、
図21に示すL矢視図を示す。
図23に、
図22に示すM-M断面図を示す。
図24Aに、
図21に示す第4実施例のベルト調節保持装置におけるストライカ本体と第3のベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め前上方から見た斜視図を示す。
図24Bに、
図21に示す第4実施例のベルト調節保持装置におけるストライカ本体と第3のベルト折返し部材の斜視図であって、装置の斜め前下方から見た斜視図を示す。
【0074】
図21~
図24Bに示すように、第4実施例に係るベルト調節保持装置10Dは、少なくとも一のベルト1の長さを調節し、調節したベルト1を保持可能に形成したベルト調節保持装置10Dであって、後端部211にベルト1を前方へ挿入可能に略矩形状に開口形成されたベルト挿入部21と、ベルト挿入部21と連通されベルト1の挿入方向と直交する上下方向R2に形成された略矩形状の開口部22とを有する装置本体2Dと、開口部22の中でベルト1を前端部311に捲回して後方へ折り返し可能に形成された折返し部31と、折返し部31の後端側に形成され折り返したベルト1と共にベルト挿入部21から後方へ突出可能に形成された把持部32とを有し、装置本体2D内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状のベルト折返し部材3とを備え、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213には、開口部22側にて内方へ階段状に起立する立壁部212T、213Tが、左右の側壁部23の間でベルト幅方向R3へ略連続状に形成され、折返し部31の上端面312と下端面313との少なくとも一方には、ベルト折返し部材3の後退位置P1にて立壁部212T、213Tの後近傍に移動して立壁部212T、213Tとの間でベルト1を略階段状に屈曲させ、ベルト折返し部材3の前進位置P2にて開口部22内に移動してベルト1の屈曲を解除する突起部33が形成された点は、上述した第1実施例と共通する。ここでは、第1実施例と共通する構成は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0075】
すなわち、第4実施例に係るベルト調節保持装置10Dでは、長さ調節用の第3のベルト1Mが基端部4K側に調節可能に固定され、係止爪421が先端部42側に形成された第2のストライカ4Dを備え、装置本体2Dにおける開口部22の前端側には、第2のストライカ4Dを係脱可能に収納するストライカ収納部24と、ストライカ収納部24内にあって第2のストライカ4Dの係止爪421と係合する係合突起241とが形成されている。
【0076】
ここでは、第1実施例と同様に、第2のストライカ4Dの先端部42には、中央側に配置され左右に分離された差込み脚部422と、差込み脚部422の左右外方に配置され係止爪421を有する操作部423とが形成されている。また、ストライカ収納部24の収納室242には、差込み脚部422を前後方向R1へ案内する案内リブ243と、第2のストライカ4Dの係止爪421と係合する係合突起241とが形成されている。係合突起241は、収納室242の上内壁と下内壁とに分離して形成されている。第2のストライカ4Dの操作部423は、第2のストライカ4Dの先端部42を収納室242に収納する際に、上下に分離された係合突起241に押されて変位しつつ、係合突起241の間を通過し、収納完了時に係止爪421と係合突起241とが係合するように形成されている。なお、左右の操作部423を内方へ押圧することによって、係止爪421と係合突起241との係合を解除することができる。
【0077】
この場合、装置本体2Dの後端側にてベルト折返し部材3を介して長さ調節用のベルト1を長さ調節可能に固定し、装置本体2Dの前端側に形成されたストライカ収納部24にて第2のストライカ4Dを介して長さ調節用の第3のベルト1Mを長さ調節及び着脱可能に連結することができる。そのため、ベルト折返し部材3と第2のストライカ4Dとを装置本体2Dの前後方向R1で隣接して配置でき、ベルト折返し部材3と第2のストライカ4Dとが上下方向R2で重なり合うことがない。その結果、装置の薄型化が可能となり、外観上の見栄えを向上できると共に、取り扱いや操作性を向上させることができる。
【0078】
また、本第4実施例のベルト調節保持装置10Dにおいて、第2のストライカ4Dにおける基端部4Kには、前端部411Dから第3のベルト1Mを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第3のベルト挿入部41Dと、第3のベルト挿入部41Dと連通され第3のベルト1Mの挿入方向と直交する上下方向R2に形成された略矩形状の第2の開口部42Dとを備え、第2の開口部42Dの中で第3のベルト1Mを後端部311Dに捲回して前方へ折り返し可能に形成された第3の折返し部31Dと、第3の折返し部31Dの前端側に形成され折り返した第3のベルト1Mと共に第3のベルト挿入部41Dから前方へ突出可能に形成された第3の把持部32Dとを有し、第2のストライカ4D内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状の第3のベルト折返し部材3Dを備え、第3のベルト挿入部41Dの上内壁面412Dと下内壁面413Dには、第2の開口部42D側にて内方へ階段状に起立する第3の立壁部412DT、413DTが、第2のストライカ4Dにおける左右の側壁部43Dの間でベルト幅方向R3へ略連続状に形成され、第3の折返し部31Dの上端面312Dと下端面313Dとの少なくとも一方には、第3のベルト折返し部材3Dの前進位置にて第3の立壁部412DT、413DTの前近傍に移動して第3の立壁部412DT、413DTとの間で第3のベルト1Mを略階段状に屈曲させ、第3のベルト折返し部材3Dの後退位置にて第2の開口部42D内に移動して第3のベルト1Mの屈曲を解除する第3の突起部33Dが形成されたことが好ましい。
【0079】
なお、第3のベルト折返し部材3Dには、ベルト折返し部材3の案内突起314と略同一形状の案内突起314Dが形成され、第2のストライカ4Dにおける左右の側壁部43Dには、案内突起314が係合する案内溝431Dが形成されている。この案内溝431Dは、第3のベルト折返し部材3Dの前進位置から後退位置まで、ベルト幅方向R3へ平行に側壁部43Dを貫通して形成されている。また、第3の突起部33Dは、後端側が最も高く形成され、前端側が徐々に低くなるように形成されている。
【0080】
また、第3の折返し部31Dは、折返し部31と同様に、ベルト幅方向R3の中央部で左右に分離して形成され、分離された左右の折返し部31Dが、把持部32Dを介して略U字状に連結されている。そして、分離された左右の折返し部31Dの中央側には、所定の隙間d5で対向する一対の当接座315Dが形成されている。そのため、第3のベルト折返し部材3Dを前進位置に移動して第3のベルト1Mを第2のストライカ4Dに固定した状態では、第3のベルト1Mを強く引っ張っても当接座315D同士が当接して突っ張るため、案内突起314Dが案内溝431Dに係合された状態を維持できる。したがって、第3のベルト折返し部材3Dが第2のストライカ4Dから脱落することを回避でき、確実に第3のベルト1Mを第2のストライカ4Dに固定できる。
【0081】
本第4実施例のベルト調節保持装置10Dは、上記構造に形成されているので、第2のストライカ4Dに対して第3のベルト1Mを固定するときには、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に前進位置へ移動させることによって、第3の立壁部412DT、413DTと第3の突起部33Dとの間で第3のベルト1Mを略階段状に屈曲させ、その変形抵抗で第3のベルト1Mの移動を阻止することができる。また、第3のベルト折返し部材3Dは、第2のストライカ4Dに対して前進位置より前方へ移動できないので、第3のベルト1Mを強く引っ張っても、第2のストライカ4Dに対する第3のベルト1Mの移動は生じない。そのため、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に前進位置へ移動させるだけで、第2のストライカ4Dに第3のベルト1Mを簡単に固定することができる。
【0082】
また、第2のストライカ4Dに対して第3のベルト1Mの長さを調節するときには、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に後退位置へ移動させるだけで良い。すなわち、第3のベルト折返し部材3Dを後退位置へ移動させることによって、第3の突起部33Dを第2の開口部42D内へ移動できるので、後退位置へ移動した第3のベルト折返し部材3Dにおける第3の折返し部31Dに捲回された第3のベルト1Mは、第3の突起部33Dと第3の立壁部412DT、413DTとによる屈曲が解除されて、第2の開口部42D内で自由に移動させることができる。したがって、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に後退位置へ移動させるだけで、第2のストライカ4Dに対して第3のベルト1Mの長さを簡単に調節することができる。
【0083】
また、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に前進位置へ移動させた状態では、第3の立壁部412DT、413DTと第3の突起部33Dとの間で第3のベルト1Mが略階段状に屈曲されているので、第3のベルト折返し部材3Dを前進位置から後退位置へ移動させるためには、第3の突起部33Dを屈曲された第3のベルト1Mと共に第3の立壁部412DT、413DTを乗り越えさせる力が必要となる。そのため、第3のベルト折返し部材3Dが、屈曲された第3のベルト1Mを介して前進位置にロックされた状態となる。したがって、第3のベルト1Mを使用しないときでも、第2のストライカ4Dに対する第3のベルト1Mの位置ズレは生じないので、第3のベルト1Mを使用する度に行う本ベルト調節保持装置10Dの再調節を不要にできる。
【0084】
また、第2のストライカ4Dにおける第2の開口部42Dの前端側には、長さ調節用の第3のベルト1Mを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第3のベルト挿入部41Dを備え、第2の開口部42Dの中で第3のベルト1Mを後端部311Dに捲回して前方へ折り返し可能に形成された第3の折返し部31Dと、第3の折返し部31Dの前端側に形成され折り返した第3のベルト1Mと共に第3のベルト挿入部41Dから前方へ突出可能に形成された第3の把持部32Dとを有し、第2のストライカ4D内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状の第3のベルト折返し部材3Dを備えたので、第3の折返し部31Dの上下方向R2の厚さを、第3のベルト1Mを折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、装置の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。よって、上記第4実施例のベルト調節保持装置10Dによれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルト1、1Mの長さを調節して保持でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節保持装置10Dを提供することができる。
【0085】
また、本第4実施例のベルト調節保持装置10Dにおいて、第3の突起部33Dは、第3の折返し部31Dの上端面312Dと下端面313Dとにベルト幅方向R3で互いに異なる位置に複数形成され、第3のベルト挿入部41Dにおける上内壁面412Dに形成された第3の立壁部412DTには、第3の折返し部31Dの上端面312Dに形成された第3の突起部33Dと対向する位置に内方へ突出する第5突出部412DT1が形成され、第3のベルト挿入部41Dにおける下内壁面413Dに形成された第3の立壁部413DTには、第3の折返し部31Dの下端面313Dに形成された第3の突起部33Dと対向する位置に内方へ突出する第6突出部413DT1が形成され、第3のベルト折返し部材3Dは、上下逆転した状態で第2のストライカ4D内にて前後方向R1へ進退可能に形成されたことが好ましい。
【0086】
この場合、上下逆転しない第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に前進位置へ移動させた状態では、第5突出部412DT1と第3の突起部33Dとが対向する位置で第5突出部412DT1と第3の折返し部31Dの上端面312Dとの隙間が第5突出部412DT1の高さ分だけ縮小されると共に、第6突出部413DT1と第3の突起部33Dとが対向する位置で第6突出部413DT1と第3の折返し部31Dの下端面313Dとの隙間が第6突出部413DT1の高さ分だけ縮小される。そのため、第3の立壁部412DT、413DTと第3の折返し部31Dとの隙間より相対的に肉厚の薄いベルト1Mに対しても、第3の突起部33Dと第5突出部412DT1、第6突出部413DT1との各間で第3のベルト1Mを略階段状に屈曲させることができる。したがって、肉厚の薄いベルト1Mであっても、第2のストライカ4Dに対して強固に固定させることができる。
【0087】
一方、第3のベルト折返し部材3Dを第2のストライカ4Dに対して上下逆転した場合には、第5突出部412DT1と第6突出部413DT1とに対して、第3の突起部33Dがベルト幅方向R3で異なる位置に配置される。そのため、上下逆転した第3のベルト折返し部材3Dを折り返したベルト1Mと共に前進位置へ移動させた状態では、第5突出部412DT1と第6突出部413DT1の影響を受けずに、第3の立壁部412DT、413DTと第3の突起部33Dとの間で第3のベルト1Mを略階段状に屈曲させ、その変形抵抗によって第3のベルト1Mの移動を阻止させることができる。したがって、上下逆転した第3のベルト折返し部材3Dを前進位置へ移動させたときには、第3のベルト折返し部材3Dを上下逆転しない場合に比較して、第2のストライカ4Dに対して肉厚の厚いベルト1Mを強固に固定させることができる。その結果、1つのベルト調節保持装置10Dにおいて、第3のベルト折返し部材3Dを上下逆転して第2のストライカ4Dに装着するという簡単な操作によって、肉厚が異なる複数のベルト1Mの長さを調節して保持することができる。
【0088】
また、本第4実施例のベルト調節保持装置10Dにおいて、第5突出部412DT1の前端側には、第3のベルト挿入部41Dにおける上内壁面412Dに向けて前上方へ傾斜する第5傾斜面412DT2が形成され、第6突出部413DT1の前端側には、第3のベルト挿入部41Dにおける下内壁面413Dに向けて前下方へ傾斜する第6傾斜面413DT2が形成されたことが好ましい。
【0089】
この場合、例えば、上下逆転しない第3のベルト折返し部材3Dを前進位置から後退位置へ移動させる際、第3の折返し部31Dの上端面312Dに形成した第3の突起部33Dで屈曲された第3のベルト1Mが、第5傾斜面412DT2を介して第5突出部412DT1を上方へ押圧し、第3の折返し部31Dの下端面313Dに形成した第3の突起部33Dで屈曲された第3のベルト1Mが、第6傾斜面413DT2を介して第6突出部413DT1を下方へ押圧することによって、第3のベルト挿入部41Dの上内壁面412Dと下内壁面413Dとを弾性的に撓ませて、両者の隙間を簡単に拡張させることができる。そのため、第3のベルト折返し部材3Dを前進位置から後退位置へ移動させる力を低減でき、より少ない操作力で第2のストライカ4Dに対して第3のベルト1Mの長さを調節させることができる。
【0090】
また、本第4実施例のベルト調節保持装置10Dにおいて、第5突出部412DT1の前端側には、第3のベルト挿入部41Dにおける上内壁面412Dに向けて前上方へ傾斜する第5傾斜面412DT2が形成され、第6突出部413DT1の前端側には、第3のベルト挿入部41Dにおける下内壁面413Dに向けて前下方へ傾斜する第6傾斜面413DT2が形成されたことが好ましい。
【0091】
この場合、例えば、上下逆転しない第3のベルト折返し部材3Dを前進位置から後退位置へ移動させる際、第3の折返し部31Dの上端面312Dに形成した第3の突起部33Dで屈曲された第3のベルト1Mが、第5傾斜面412DT2を介して第5突出部412DT1を上方へ押圧し、第3の折返し部31Dの下端面313Dに形成した第3の突起部33Dで屈曲された第3のベルト1Mが、第6傾斜面413DT2を介して第6突出部413DT1を下方へ押圧することによって、第3のベルト挿入部41Dの上内壁面412Dと下内壁面413Dとを弾性的に撓ませて、両者の隙間を簡単に拡張させることができる。そのため、第3のベルト折返し部材3Dを前進位置から後退位置へ移動させる力を低減でき、より少ない操作力で第2のストライカ4Dに対して第3のベルト1Mの長さを調節させることができる。
【0092】
<作用効果>
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るベルト調節保持装置10、10B、10C、10Dによれば、後端部211にベルト1を前方へ挿入可能に略矩形状に開口形成されたベルト挿入部21と、ベルト挿入部21と連通されベルト1の挿入方向と直交する上下方向R2に形成された略矩形状の開口部22とを有する装置本体2、2B、2C、2Dと、開口部22の中でベルト1を前端部311に捲回して後方へ折り返し可能に形成された折返し部31と、折返し部31の後端側に形成され折り返したベルト1と共にベルト挿入部21から後方へ突出可能に形成された把持部32とを有し、装置本体2、2B、2C、2D内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状のベルト折返し部材3とを備え、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213には、開口部22側にて内方へ階段状に起立する立壁部212T、213Tが、左右の側壁部23の間でベルト幅方向R3へ略連続状に形成され、折返し部31の上端面312と下端面313との少なくとも一方には、ベルト折返し部材3の後退位置P1にて立壁部212T、213Tの後近傍に移動して立壁部212T、213Tとの間でベルト1を略階段状に屈曲させ、ベルト折返し部材3の前進位置P2にて開口部22内に移動してベルト1の屈曲を解除する突起部33が形成されたので、装置本体2、2B、2C、2Dに対してベルト1を固定するときには、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させることによって、立壁部212T、213Tと突起部33との間でベルト1を略階段状に屈曲させ、その変形抵抗でベルト1の移動を阻止することができる。また、ベルト折返し部材3は、装置本体2、2B、2C、2Dに対して後退位置P1より後方へ移動できないので、ベルト1を強く引っ張っても、装置本体2、2B、2C、2Dに対するベルト1の移動は生じない。そのため、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させるだけで、装置本体2、2B、2C、2Dにベルト1を簡単に固定することができる。
【0093】
また、装置本体2、2B、2C、2Dに対してベルト1の長さを調節するときには、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に前進位置P2へ移動させるだけで良い。すなわち、ベルト折返し部材3を前進位置P2へ移動させることによって、折返し部31の突起部33を開口部22内へ移動できるので、前進位置P2へ移動させたベルト折返し部材3における折返し部31に捲回されたベルト1は、突起部33と立壁部212T、213Tとによる拘束が解除されて、開口部22内で自由に移動させることができる。したがって、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に前進位置P2へ移動させるだけで、装置本体2、2B、2C、2Dに対してベルト1の長さを簡単に調節することができる。
【0094】
また、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させた状態では、立壁部212T、213Tと突起部33との間でベルト1が略階段状に屈曲されているので、ベルト折返し部材3を後退位置P1から前進位置P2へ移動させるためには、突起部33を屈曲されたベルト1と共に立壁部212T、213Tを乗り越えさせる力が必要となる。そのため、ベルト折返し部材3が、屈曲されたベルト1を介して後退位置P1にロックされた状態となる。したがって、ベルト1を使用しないときでも、装置本体2、2B、2C、2Dに対するベルト1の位置ズレは生じないので、ベルト1を使用する度に行うベルト調節保持装置10、10B、10C、10Dの再調節を不要にできる。
【0095】
また、後端部211にベルト1を前方へ挿入可能に略矩形状に開口形成されたベルト挿入部21と、ベルト挿入部21と連通されベルト1の挿入方向と直交する上下方向R2に形成された略矩形状の開口部22とを有する装置本体2、2B、2C、2Dと、開口部22の中でベルト1を前端部311に捲回して後方へ折り返し可能に形成された折返し部31と、折返し部31の後端側に形成され折り返したベルト1と共にベルト挿入部21から後方へ突出可能に形成された把持部32とを有し、装置本体2、2B、2C、2D内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状のベルト折返し部材3とを備えたので、ベルト折返し部材3の折返し部31の上下方向R2の厚さd1を、ベルト1を折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、装置の厚さd2が過大になるのを簡単に回避できる。
【0096】
よって、本実施形態によれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルト1の長さを調節して保持でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節保持装置10、10B、10C、10Dを提供することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、折返し部31は、上端面312と下端面313とが互いに平行に形成され、突起部33は、上端面312又は下端面313に対して前方へ向いて垂直状に起立する前壁面331と、上端面312又は下端面313に対して斜め前方へ鋭角状に傾斜する後傾斜面332とを備えたので、ベルト折返し部材3を前進位置P2から後退位置P1へ移動させる際、突起部33の後傾斜面332によって立壁部212T、213Tを押圧して、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213とを弾性的に撓ませて、両者の隙間を簡単に拡張させることができる。そのため、ベルト折返し部材3を後退位置P1へ移動させる力を低減でき、より少ない操作力で装置本体2、2B、2C、2Dに対してベルト1を固定させることができる。
【0098】
一方、突起部33は、上端面312又は下端面313に対して前方へ向いて垂直状に起立する前壁面331を備えたので、ベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させた状態では、立壁部212T、213Tと突起部33の前壁面331との間でベルト1をより直角に近い角度で屈曲させ、その変形抵抗を増大させることができる。そのため、ベルト折返し部材3を後退位置P1へ移動させたときには、装置本体2、2B、2C、2Dに対して節度感を持ってベルト1をより強固に固定させることができる。
【0099】
また、本実施形態によれば、突起部33は、折返し部31の上端面312と下端面313とにベルト幅方向R3で互いに異なる位置に複数形成され、上内壁面212に形成された立壁部212Tには、折返し部31の上端面312に形成された突起部33と対向する位置に内方へ突出する第1突出部212T1が形成され、下内壁面213に形成された立壁部213Tには、折返し部31の下端面313に形成された突起部33と対向する位置に内方へ突出する第2突出部213T1が形成されたので、上下逆転しないベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させた状態では、第1突出部212T1と突起部33とが対向する位置で第1突出部212T1と折返し部31の上端面312との隙間が第1突出部212T1の高さ分だけ縮小されると共に、第2突出部213T1と突起部33とが対向する位置で第2突出部213T1と折返し部31の下端面313との隙間が第2突出部213T1の高さ分だけ縮小される。そのため、立壁部212T、213Tと折返し部31との隙間より相対的に肉厚の薄いベルト1に対しても、折返し部31の突起部33とベルト挿入部21の第1突出部212T1及び第2突出部213T1との間でベルト1を略階段状に屈曲させることができる。したがって、肉厚の薄いベルト1であっても、装置本体2、2B、2C、2Dに対して強固に固定させることができる。
【0100】
一方、ベルト折返し部材3は、上下逆転した状態で装置本体2、2B、2C、2D内にて前後方向R1へ進退可能に形成されたので、ベルト折返し部材3を装置本体2、2B、2C、2Dに対して上下逆転した場合には、ベルト挿入部21の第1突出部212T1と第2突出部213T1とに対して、折返し部31の突起部33がベルト幅方向R3で異なる位置に配置される。そのため、上下逆転したベルト折返し部材3を折り返したベルト1と共に後退位置P1へ移動させた状態では、第1突出部212T1と第2突出部213T1の影響を受けずに、立壁部212T、213Tと突起部33との間でベルト1を略階段状に屈曲させ、その変形抵抗によってベルト1の移動を阻止させることができる。したがって、上下逆転したベルト折返し部材3を後退位置P1へ移動させたときには、ベルト折返し部材3を上下逆転しない場合に比較して、装置本体2、2B、2C、2Dに対して肉厚の厚いベルト1を強固に固定させることができる。その結果、1つのベルト調節保持装置10、10B、10C、10Dにおいて、ベルト折返し部材3を上下逆転して装置本体2、2B、2C、2Dに装着するという簡単さ操作によって、肉厚が異なる複数のベルト1に対して、その長さを調節し保持することができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、第1突出部212T1の後端側には、上内壁面212に向けて後上方へ傾斜する第1傾斜面212T2が形成され、第2突出部213T1の後端側には、下内壁面213に向けて後下方へ傾斜する第2傾斜面213T2が形成されたので、上下逆転しないベルト折返し部材3を後退位置P1から前進位置P2へ移動させる際、折返し部31の上端面312に形成した突起部33で屈曲されたベルト1が、第1傾斜面212T2を介して第1突出部212T1を上方へ押圧し、折返し部31の下端面313に形成した突起部33で屈曲されたベルト1が、第2傾斜面213T2を介して第2突出部213T1を下方へ押圧することによって、ベルト挿入部21の上内壁面212と下内壁面213とを弾性的に撓ませて、両者の隙間を簡単に拡張させることができる。そのため、ベルト折返し部材3を後退位置P1から前進位置P2へ移動させる力を低減でき、より少ない操作力で装置本体2、2B、2C、2Dに対してベルト1の長さを調節させることができる。
【0102】
また、本実施形態によれば、装置本体2、2B、2C、2Dの左右の側壁部23には、ベルト折返し部材3を前進位置P2と後退位置P1との間を移動させる案内溝231が前後方向R1に形成され、折返し部31の左右の外側端部には、案内溝231に係合される案内突起314が形成され、折返し部31は、ベルト幅方向R3の中央部で左右に分離して形成され、分離された左右の折返し部31が、把持部32を介して略U字状に連結されたので、左右に分離された折返し部31同士を上下方向に変位させつつ互いに中央部を重ねさせて、装置本体2、2B、2C、2Dの側壁部23に形成された案内溝231に折返し部31に形成された案内突起314を係合させることによって、装置本体2、2B、2C、2D内にベルト折返し部材3を簡単に装着することができる。また、案内溝231の前端部まで案内突起314を移動させることによって、ベルト折返し部材3を前進位置P2に移動でき、簡単にベルト1の長さを調節できる。また、案内溝231の後端部まで案内突起314を移動させることによって、ベルト折返し部材3を後退位置P1に移動でき、簡単にベルト1を固定できる。そのため、装置本体2、2B、2C、2D内にベルト折返し部材3を簡単に装着して、ベルト1の長さをより簡単に調節し、調節したベルト1を装置本体2、2B、2C、2Dに固定できる。
【0103】
また、本実施形態によれば、長さ固定用のベルト1Kが基端部41側に固定され、係止爪421が先端部42側に形成されたストライカ4を備え、装置本体2における開口部22の前端側には、ストライカ4を係脱可能に収納するストライカ収納部24と、ストライカ収納部24内にあってストライカ4の係止爪421と係合する係合突起241とが形成されたので、装置本体2の後端側にてベルト折返し部材3を介して長さ調節用のベルト1を長さ調節可能に固定し、装置本体2の前端側に形成されたストライカ収納部24にてストライカ4を介して長さ固定用のベルト1Kを着脱可能に連結することができる。そのため、ベルト折返し部材3とストライカ4とを装置本体2の前後方向R1で隣接して配置でき、ベルト折返し部材3とストライカ4とが上下方向R2で重なり合うことがない。その結果、装置の薄型化が可能となり、外観上の見栄えを向上できると共に、取り扱いや操作性を向上させることができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、装置本体2Bにおける開口部22の前端側には、ベルト固定枠25が形成され、当該ベルト固定枠25に長さ固定用のベルト1Kが固定されたので、装置本体2Bの後端側にてベルト折返し部材3を介して長さ調節用のベルト1を長さ調節可能に固定し、装置本体2Bの前端側にてベルト固定枠25を介して長さ固定用のベルト1Kを固定することができる。そのため、両ベルト1、1Kを連結する装置本体2Bを小型化、薄型化でき、使用時の取り扱いや操作性を向上させることができる。よって、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルト1の長さを調節して保持できるベルト調節保持装置10Bを提供することができる。
【0105】
また、本実施形態によれば、装置本体2Cにおける開口部22の前端側には、長さ調節用の第2のベルト1Lを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第2のベルト挿入部21Cを備え、開口部22の中で第2のベルト1Lを後端部311Cに捲回して前方へ折り返し可能に形成された第2の折返し部31Cと、第2の折返し部31Cの前端側に形成され折り返した第2のベルト1Lと共に第2のベルト挿入部21Cから前方へ突出可能に形成された第2の把持部32Cとを有し、装置本体2C内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状の第2のベルト折返し部材3Cを備え、第2のベルト挿入部21Cの上内壁面212Cと下内壁面213Cには、開口部22側にて内方へ階段状に起立する第2の立壁部212CT、213CTが、左右の側壁部23の間でベルト幅方向R3へ略連続状に形成され、第2の折返し部31Cの上端面312Cと下端面313Cとの少なくとも一方には、第2のベルト折返し部材3Cの前進位置にて第2の立壁部212CT、213CTの前近傍に移動して第2の立壁部212CT、213CTとの間で第2のベルト1Lを略階段状に屈曲させ、第2のベルト折返し部材3Cの後退位置にて開口部22内に移動して第2のベルト1Lの屈曲を解除する第2の突起部33Cが形成されたので、装置本体2Cに対して第2のベルト1Lを固定するときには、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に前進位置へ移動させることによって、第2の立壁部212CT、213CTと第2の突起部33Cとの間で第2のベルト1Lを略階段状に屈曲させ、その変形抵抗で第2のベルト1Lの移動を阻止することができる。また、第2のベルト折返し部材3Cは、装置本体2Cに対して前進位置より前方へ移動できないので、第2のベルト1Lを強く引っ張っても、装置本体2Cに対する第2のベルト1Lの移動は生じない。そのため、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に前進位置へ移動させるだけで、装置本体2Cに第2のベルト1Lを簡単に固定することができる。
【0106】
また、装置本体2Cに対して第2のベルト1Lの長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に後退位置へ移動させるだけで良い。すなわち、第2のベルト折返し部材3Cを後退位置へ移動させることによって、第2の突起部33Cを開口部22内へ移動できるので、後退位置へ移動した第2のベルト折返し部材3Cにおける第2の折返し部31Cに捲回された第2のベルト1Lは、第2の突起部33Cと第2の立壁部212CT、213CTとによる屈曲が解除されて、開口部22内で自由に移動させることができる。したがって、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に後退位置へ移動させるだけで、装置本体2Cに対して第2のベルト1Lの長さを簡単に調節することができる。
【0107】
また、第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に前進位置へ移動させた状態では、第2の立壁部212CT、213CTと第2の突起部33Cとの間で第2のベルト1Lが略階段状に屈曲されているので、第2のベルト折返し部材3Cを前進位置から後退位置へ移動させるためには、第2の突起部33Cを屈曲された第2のベルト1Lと共に第2の立壁部212CT、213CTを乗り越えさせる力が必要となる。そのため、第2のベルト折返し部材3Cが、屈曲された第2のベルト1Lを介して前進位置にロックされた状態となる。したがって、第2のベルト1Lを使用しないときでも、装置本体2Cに対する第2のベルト1Lの位置ズレは生じないので、第2のベルト1Lを使用する度に行うベルト調節保持装置10Cの再調節を不要にできる。
【0108】
また、装置本体2Cにおける開口部22の前端側には、長さ調節用の第2のベルト1Lを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第2のベルト挿入部21Cを備え、開口部22の中で第2のベルト1Lを後端部311Cに捲回して前方へ折り返し可能に形成された第2の折返し部31Cと、第2の折返し部31Cの前端側に形成され折り返した第2のベルト1Lと共に第2のベルト挿入部21Cから前方へ突出可能に形成された第2の把持部32Cとを有し、装置本体2C内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状の第2のベルト折返し部材3Cを備えたので、第2の折返し部31Cの上下方向R2の厚さを、第2のベルト1Lを折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、装置の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。よって、本実施形態によれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルト1、1Lの長さを調節して保持でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節保持装置10Cを提供することができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、第2の突起部33Cは、第2の折返し部31Cの上端面312Cと下端面313Cとにベルト幅方向R3で互いに異なる位置に複数形成され、第2のベルト挿入部21Cにおける上内壁面212Cに形成された第2の立壁部212CTには、第2の折返し部31Cの上端面312Cに形成された第2の突起部33Cと対向する位置に内方へ突出する第3突出部212CT1が形成され、第2のベルト挿入部21Cにおける下内壁面213Cに形成された第2の立壁部213CTには、第2の折返し部31Cの下端面313Cに形成された第2の突起部33Cと対向する位置に内方へ突出する第4突出部213CT1が形成されたので、上下逆転しない第2のベルト折返し部材3Cを折り返した第2のベルト1Lと共に前進位置へ移動させた状態では、第3突出部212CT1と第2の突起部33Cとが対向する位置で第3突出部212CT1と第2の折返し部31Cの上端面312Cとの隙間が第3突出部212CT1の高さ分だけ縮小されると共に、第4突出部213CT1と第2の突起部33Cとが対向する位置で第4突出部213CT1と第2の折返し部31Cの下端面313Cとの隙間が第4突出部213CT1の高さ分だけ縮小される。そのため、第2の立壁部212CT、213CTと第2の折返し部31Cとの隙間より相対的に肉厚の薄いベルト1Lに対しても、第2の突起部33Cと第3突出部212CT1、第4突出部213CT1との各間で第2のベルト1Lを略階段状に屈曲させることができる。したがって、肉厚の薄いベルト1Lであっても、装置本体2Cに対して強固に固定させることができる。
【0110】
一方、第2のベルト折返し部材3Cは、上下逆転した状態で装置本体2C内にて前後方向R1へ進退可能に形成されたので、第2のベルト折返し部材3Cを装置本体2Cに対して上下逆転した場合には、第3突出部212CT1と第4突出部213CT1とに対して、第2の突起部33Cがベルト幅方向R3で異なる位置に配置される。そのため、上下逆転した第2のベルト折返し部材3Cを折り返したベルト1Lと共に前進位置へ移動させた状態では、第3突出部212CT1と第4突出部213CT1の影響を受けずに、第2の立壁部212CT、213CTと第2の突起部33Cとの間で第2のベルト1Lを略階段状に屈曲させ、その変形抵抗によって第2のベルト1Lの移動を阻止させることができる。したがって、上下逆転した第2のベルト折返し部材3Cを前進位置へ移動させたときには、第2のベルト折返し部材3Cを上下逆転しない場合に比較して、装置本体2Cに対して肉厚の厚いベルトを強固に固定させることができる。その結果、1つのベルト調節保持装置10Cにおいて、第2のベルト折返し部材3Cを上下逆転して装置本体2Cに装着するという簡単な操作によって、肉厚が異なる複数のベルト1に対して、その長さを調節し保持することができる。
【0111】
また、本実施形態によれば、長さ調節用の第3のベルト1Mが基端部4K側に調節可能に固定され、係止爪421が先端部42側に形成された第2のストライカ4Dを備え、装置本体2Dにおける開口部22の前端側には、第2のストライカ4Dを係脱可能に収納するストライカ収納部24と、ストライカ収納部24内にあって第2のストライカ4Dの係止爪421と係合する係合突起241とが形成されたので、装置本体2Dの後端側にてベルト折返し部材3を介して長さ調節用のベルト1を長さ調節可能に固定し、装置本体2Dの前端側に形成されたストライカ収納部24にて第2のストライカ4Dを介して長さ調節用の第3のベルト1Mを長さ調節及び着脱可能に連結することができる。そのため、ベルト折返し部材3と第2のストライカ4Dとを装置本体2Dの前後方向R1で隣接して配置でき、ベルト折返し部材3と第2のストライカ4Dとが上下方向R2で重なり合うことがない。その結果、装置の薄型化が可能となり、外観上の見栄えを向上できると共に、取り扱いや操作性を向上させることができる。
【0112】
また、本実施形態によれば、第2のストライカ4Dにおける基端部4Kには、前端部411Dから第3のベルト1Mを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第3のベルト挿入部41Dと、第3のベルト挿入部41Dと連通され第3のベルト1Mの挿入方向と直交する上下方向R2に形成された略矩形状の第2の開口部42Dとを備え、第2の開口部42Dの中で第3のベルト1Mを後端部311Dに捲回して前方へ折り返し可能に形成された第3の折返し部31Dと、第3の折返し部31Dの前端側に形成され折り返した第3のベルト1Mと共に第3のベルト挿入部41Dから前方へ突出可能に形成された第3の把持部32Dとを有し、第2のストライカ4D内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状の第3のベルト折返し部材3Dを備え、第3のベルト挿入部41Dの上内壁面412Dと下内壁面413Dには、第2の開口部42D側にて内方へ階段状に起立する第3の立壁部412DT、413DTが、第2のストライカ4Dにおける左右の側壁部43Dの間でベルト幅方向R3へ略連続状に形成され、第3の折返し部31Dの上端面312Dと下端面313Dとの少なくとも一方には、第3のベルト折返し部材3Dの前進位置にて第3の立壁部412DT、413DTの前近傍に移動して第3の立壁部412DT、413DTとの間で第3のベルト1Mを略階段状に屈曲させ、第3のベルト折返し部材3Dの後退位置にて第2の開口部42D内に移動して第3のベルト1Mの屈曲を解除する第3の突起部33Dが形成されたので、第2のストライカ4Dに対して第3のベルト1Mを固定するときには、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に前進位置へ移動させることによって、第3の立壁部412DT、413DTと第3の突起部33Dとの間で第3のベルト1Mを略階段状に屈曲させ、その変形抵抗で第3のベルト1Mの移動を阻止することができる。また、第3のベルト折返し部材3Dは、第2のストライカ4Dに対して前進位置より前方へ移動できないので、第3のベルト1Mを強く引っ張っても、第2のストライカ4Dに対する第3のベルト1Mの移動は生じない。そのため、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に前進位置へ移動させるだけで、第2のストライカ4Dに第3のベルト1Mを簡単に固定することができる。
【0113】
また、第2のストライカ4Dに対して第3のベルト1Mの長さを調節するときには、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に後退位置へ移動させるだけで良い。すなわち、第3のベルト折返し部材3Dを後退位置へ移動させることによって、第3の突起部33Dを第2の開口部42D内へ移動できるので、後退位置へ移動した第3のベルト折返し部材3Dにおける第3の折返し部31Dに捲回された第3のベルト1Mは、第3の突起部33Dと第3の立壁部412DT、413DTとによる屈曲が解除されて、第2の開口部42D内で自由に移動させることができる。したがって、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に後退位置へ移動させるだけで、第2のストライカ4Dに対して第3のベルト1Mの長さを簡単に調節することができる。
【0114】
また、第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に前進位置へ移動させた状態では、第3の立壁部412DT、413DTと第3の突起部33Dとの間で第3のベルト1Mが略階段状に屈曲されているので、第3のベルト折返し部材3Dを前進位置から後退位置へ移動させるためには、第3の突起部33Dを屈曲された第3のベルト1Mと共に第3の立壁部412DT、413DTを乗り越えさせる力が必要となる。そのため、第3のベルト折返し部材3Dが、屈曲された第3のベルト1Mを介して前進位置にロックされた状態となる。したがって、第3のベルト1Mを使用しないときでも、第2のストライカ4Dに対する第3のベルト1Mの位置ズレは生じないので、第3のベルト1Mを使用する度に行う本ベルト調節保持装置10Dの再調節を不要にできる。
【0115】
また、第2のストライカ4Dにおける第2の開口部42Dの前端側には、長さ調節用の第3のベルト1Mを後方へ挿入可能に略矩形状に開口形成された第3のベルト挿入部41Dを備え、第2の開口部42Dの中で第3のベルト1Mを後端部311Dに捲回して前方へ折り返し可能に形成された第3の折返し部31Dと、第3の折返し部31Dの前端側に形成され折り返した第3のベルト1Mと共に第3のベルト挿入部41Dから前方へ突出可能に形成された第3の把持部32Dとを有し、第2のストライカ4D内にて前後方向R1へ進退可能に形成された略板状の第3のベルト折返し部材3Dを備えたので、第3の折返し部31Dの上下方向R2の厚さを、第3のベルト1Mを折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、装置の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。よって、本実施形態によれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルト1、1Mの長さを調節して保持でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節保持装置10Dを提供することができる。
【0116】
また、本実施形態によれば、第3の突起部33Dは、第3の折返し部31Dの上端面312Dと下端面313Dとにベルト幅方向R3で互いに異なる位置に複数形成され、第3のベルト挿入部41Dにおける上内壁面412Dに形成された第3の立壁部412DTには、第3の折返し部31Dの上端面312Dに形成された第3の突起部33Dと対向する位置に内方へ突出する第5突出部412DT1が形成され、第3のベルト挿入部41Dにおける下内壁面413Dに形成された第3の立壁部413DTには、第3の折返し部31Dの下端面313Dに形成された第3の突起部33Dと対向する位置に内方へ突出する第6突出部413DT1が形成され、第3のベルト折返し部材3Dは、上下逆転した状態で第2のストライカ4D内にて前後方向R1へ進退可能に形成されたので、上下逆転しない第3のベルト折返し部材3Dを折り返した第3のベルト1Mと共に前進位置へ移動させた状態では、第5突出部412DT1と第3の突起部33Dとが対向する位置で第5突出部412DT1と第3の折返し部31Dの上端面312Dとの隙間が第5突出部412DT1の高さ分だけ縮小されると共に、第6突出部413DT1と第3の突起部33Dとが対向する位置で第6突出部413DT1と第3の折返し部31Dの下端面313Dとの隙間が第6突出部413DT1の高さ分だけ縮小される。そのため、第3の立壁部412DT、413DTと第3の折返し部31Dとの隙間より相対的に肉厚の薄いベルト1Mに対しても、第3の突起部33Dと第5突出部412DT1、第6突出部413DT1との各間で第3のベルト1Mを略階段状に屈曲させることができる。したがって、肉厚の薄いベルト1Mであっても、第2のストライカ4Dに対して強固に固定させることができる。
【0117】
一方、第3のベルト折返し部材3Dを第2のストライカ4Dに対して上下逆転した場合には、第5突出部412DT1と第6突出部413DT1とに対して、第3の突起部33Dがベルト幅方向R3で異なる位置に配置される。そのため、上下逆転した第3のベルト折返し部材3Dを折り返したベルト1Mと共に前進位置へ移動させた状態では、第5突出部412DT1と第6突出部413DT1の影響を受けずに、第3の立壁部412DT、413DTと第3の突起部33Dとの間で第3のベルト1Mを略階段状に屈曲させ、その変形抵抗によって第3のベルト1Mの移動を阻止させることができる。したがって、上下逆転した第3のベルト折返し部材3Dを前進位置へ移動させたときには、第3のベルト折返し部材3Dを上下逆転しない場合に比較して、第2のストライカ4Dに対して肉厚の厚いベルト1Mを強固に固定させることができる。その結果、1つのベルト調節保持装置10Dにおいて、第3のベルト折返し部材3Dを上下逆転して第2のストライカ4Dに装着するという簡単な操作によって、肉厚が異なる複数のベルト1Mの長さを調節して保持することができる。
【0118】
<変形例>
以上、詳細に説明した実施形態は、本願発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更することができる。例えば、本第1実施例のベルト調節保持装置10によれば、突起部33は、折返し部31の上端面312と下端面313とにベルト幅方向R3で互いに異なる位置に複数形成され、上内壁面212に形成された立壁部212Tには、折返し部31の上端面312に形成された突起部33と対向する位置に内方へ突出する第1突出部212T1が形成され、下内壁面213に形成された立壁部213Tには、折返し部31の下端面313に形成された突起部33と対向する位置に内方へ突出する第2突出部213T1が形成されたが、必ずしもこれに限る必要はない。
【0119】
例えば、突起部33は、折返し部31の上端面312と下端面313とにベルト幅方向R3で互いに同じ位置に複数形成されても良い。また、立壁部212T、213Tには、第1突出部212T1、第2突出部213T1のいずれか一方又は両方が形成されていない場合でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、ズボン用ベルトのバックルやリュックサック、ベルト付きカバン、ウェストポーチ、ヘルメット等のベルト締結具として使用され、少なくとも一のベルトの長さを調節し、調節したベルトを保持可能に形成したベルト調節保持装置として利用できる。
【符号の説明】
【0121】
1、1K、1L、1M ベルト
2、2B、2C、2M 装置本体
3、3C、3D ベルト折返し部材
4、4D ストライカ
4K 基端部
10、10B、10C、10D ベルト調節保持装置
21、21C、41D ベルト挿入部
22、42D 開口部
23、43D 側壁部
24 ストライカ収納部
25 ベルト固定枠
31、31C、31D 折返し部
32、32C、32D 把持部
33、33C、33D 突起部
41 基端部
42 先端部
211 後端部
212、212C、412D 上内壁面
212T、212CT、412DT 立壁部
212T1 第1突出部
212T2 第1傾斜面
212CT1 第3突出部
212CT2 第3傾斜面
213、213C、413D 下内壁面
213T、213CT、413DT 立壁部
213T1 第2突出部
213T2 第2傾斜面
213CT1 第4突出部
213CT2 第4傾斜面
231、431D 案内溝
241 係合突起
311 前端部
311C、311D 後端部
312、312C、312D 上端面
313、313C、313D 下端面
314、314D 案内突起
331 前壁面
332 後傾斜面
411D 前端部
421 係止爪