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特許7397459機器制御システム、それに用いられる送信サーバーおよび機器制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】機器制御システム、それに用いられる送信サーバーおよび機器制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20231206BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04Q9/00 301B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018132161
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020010275
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000144991
【氏名又は名称】株式会社四国総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(72)【発明者】
【氏名】中西 美一
【合議体】
【審判長】猪瀬 隆広
【審判官】山中 実
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-48595号公報(JP,A)
【文献】特開2008-299597号公報(JP,A)
【文献】特開2016-12867(JP,A)
【文献】特開2011-61676(JP,A)
【文献】特開2015-87885(JP,A)
【文献】特表2011-502811(JP,A)
【文献】特開2013-172198(JP,A)
【文献】特開2015-41550(JP,A)
【文献】特開2015-41548(JP,A)
【文献】特開2010-45490(JP,A)
【文献】特開2008-113180(JP,A)
【文献】特開2017-143430(JP,A)
【文献】特開2017-183784(JP,A)
【文献】特開2015-19351(JP,A)
【文献】特許第6322315(JP,B1)
【文献】特開2012-55078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00 301 , H04Q 9/00 301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーケンス番号および配信回数情報を含む制御情報をブロードキャスト送信する送信サーバーと、
広域無線通信回線を介してブロードキャスト送信により受信した前記制御情報に基づき電気機器を制御する多数の機器制御装置と、を備え、前記送信サーバーから前記制御情報をブロードキャスト送信することに加え、前記機器制御装置からも複製した前記制御情報をブロードキャスト送信することにより前記送信サーバーからの前記制御情報が届かない範囲に存在する前記機器制御装置に前記制御情報を伝達する機器制御システムであって、
前記送信サーバーは、一方向通信により前記機器制御装置に前記制御情報を送信し、
前記機器制御装置は、前記制御情報を前記送信サーバーのブロードキャスト送信により受信できない場合に、他の前記機器制御装置から前記制御情報をブロードキャスト送信により受信するよう構成されており、
前記機器制御装置が、ON設定およびOFF設定を管理するリピート配信管理部と、前記制御情報の配信回数をカウントする配信回数カウンタと、を備え、前記制御情報を受信した際に、前記リピート配信管理部がON設定である場合に、前記配信回数情報を増加させた制御情報をランダムな遅延時間を加えて他の機器制御装置にブロードキャスト送信すること、
前記機器制御装置が、既に同一のシーケンス番号の制御情報をブロードキャスト送信済みの場合は、ブロードキャスト送信をしないことを特徴とする機器制御システム。
【請求項2】
前記広域無線通信回線が、LPWA(Low Power Wide Area)方式の通信回線であることを特徴とする請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記機器制御装置が、前記配信回数が所定回数以上である場合に、他の機器制御装置にブロードキャスト送信をしないことを特徴とする請求項1または2に記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記制御情報は、当該制御情報を送信する前記送信サーバーまたは前記機器制御装置の時刻情報を含み、
前記機器制御装置は、前記送信サーバーまたは他の前記機器制御装置から受信した前記制御情報に含まれる時刻情報に基づいて同期を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項5】
前記電気機器が、貯湯式電気給湯器であり、
前記機器制御装置が、貯湯式電気給湯器の通電を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項6】
前記制御情報が、範囲位置情報を含み、
前記機器制御装置が、個別位置情報を有しており、前記範囲位置情報の範囲に前記個別位置情報の位置が含まれる場合にのみ、前記貯湯式電気給湯器の通電を制御することを特徴とする請求項5に記載の機器制御システム。
【請求項7】
前記電気機器が、警報装置であり、
前記機器制御装置が、前記警報装置による警報の報知を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の機器制御システムで用いられる機器制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御情報をブロードキャスト送信する送信サーバーと、無線通信回線を介して受信した制御情報に基づき電気機器を制御する複数の機器制御装置とを備える機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信回線を介して制御装置と電力貯蔵機器とが接続された電力貯蔵システムにおいて、制御装置から電力貯蔵機器に制御情報を送信し、当該制御情報に基づいて、電力貯蔵機器が負荷(電気機器)に供給する電力の放電量を制御するシステムが知られている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-57092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、電力貯蔵機器に取り付けられる制御装置ごとに、電力貯蔵機器が負荷(電気機器)に供給する電力の放電量を算出する構成のため、電力貯蔵機器ごとに複雑かつ高価な制御装置が必要となってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、発明者は、LPWA(Low Power Wide Area)などの広域無線通信を利用し、従来のような複数の機器制御装置からサーバーに情報を収集する方法とは反対に、送信サーバーから制御情報を複数の機器制御装置にブロードキャスト送信し、複数の機器制御装置により電気機器を制御するとの着想を得てシステムの構築を試みた。しかしながら、LPWAなどの広域無線通信により、送信サーバーから制御情報を複数の機器制御装置にブロードキャスト送信し、各機器制御装置において各電気機器の動作を制御させる場合に、建物(障害物)などの周囲の環境や、山間部などの立地(地形)によっては、送信サーバーからブロードキャスト送信された制御情報を機器制御装置において受信できない場合があった。
【0006】
本発明は、障害物や地形などの影響で送信サーバーからの制御情報が届かない範囲に存在する機器制御装置(ノード)にも、確実に制御情報を伝達することを可能とする機器制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る機器制御システムは、シーケンス番号および配信回数情報を含む制御情報をブロードキャスト送信する送信サーバーと、広域無線通信回線を介してブロードキャスト送信により受信した前記制御情報に基づき電気機器を制御する多数の機器制御装置と、を備え、前記送信サーバーから前記制御情報をブロードキャスト送信することに加え、前記機器制御装置からも複製した前記制御情報をブロードキャスト送信することにより前記送信サーバーからの前記制御情報が届かない範囲に存在する前記機器制御装置に前記制御情報を伝達する機器制御システムであって、前記送信サーバーは、一方向通信により前記機器制御装置に前記制御情報を送信し、前記機器制御装置は、前記制御情報を前記送信サーバーのブロードキャスト送信により受信できない場合に、他の前記機器制御装置から前記制御情報をブロードキャスト送信により受信するよう構成されており、前記機器制御装置が、ON設定およびOFF設定を管理するリピート配信管理部と、前記制御情報の配信回数をカウントする配信回数カウンタと、を備え、前記制御情報を受信した際に、前記リピート配信管理部がON設定である場合に、前記配信回数情報を増加させた制御情報をランダムな遅延時間を加えて他の機器制御装置にブロードキャスト送信すること、前記機器制御装置が、既に同一のシーケンス番号の制御情報をブロードキャスト送信済みの場合は、ブロードキャスト送信をしないことを特徴とする。
上記機器制御システムにおいて、前記広域無線通信回線が、LPWA(Low Power Wide Area)方式の通信回線であるように構成することができる。
上記機器制御システムにおいて、前記機器制御装置が、前記配信回数が所定回数以上である場合に、他の機器制御装置にブロードキャスト送信をしないように構成することができる。
上記機器制御システムにおいて、前記制御情報は、当該制御情報を送信する前記送信サーバーまたは前記機器制御装置の時刻情報を含み、前記機器制御装置は、前記送信サーバーまたは他の前記機器制御装置から受信した前記制御情報に含まれる時刻情報に基づいて同期を行うように構成することができる。
上記機器制御システムにおいて、前記電気機器が、貯湯式電気給湯器であり、前記機器制御装置が、貯湯式電気給湯器の通電を制御するように構成することができる。
上記機器制御システムにおいて、前記制御情報が、範囲位置情報を含み、前記機器制御装置が、個別位置情報を有しており、前記範囲位置情報の範囲に前記個別位置情報の位置が含まれる場合にのみ、前記貯湯式電気給湯器の通電を制御するように構成することができる。
上記機器制御システムにおいて、前記電気機器が、警報装置であり、前記機器制御装置が、前記警報装置による警報の報知を制御するように構成することができる。
本発明に係る機器制御装置は、上記機器制御システムで用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、障害物や地形などの影響で送信サーバーからの制御情報が届かない範囲に存在する機器制御装置(ノード)にも、確実に制御情報を伝達することを可能とする機器制御システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る機器制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】障害物の陰にある機器制御装置への制御情報の伝達方法を説明するための図である。
図3】CPCを説明するための図である。
図4】第1実施形態に係る機器制御システムの機器制御処理を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る機器制御システムの概要を説明するための図である。
図6】第2実施形態に係る送信サーバー側の機器制御処理を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る機器制御装置側の機器制御処理を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る貯湯式電気給湯器側の機器制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、実施形態例に係る機器制御システムを図に基づいて説明する。
【0011】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る機器制御システムは、津波、地滑り等の大規模自然災害発生時に、避難対象エリアに分散設置され、避難警告を報知する多数(たとえば、数万台)の警報装置をタイムリーに制御するものである。
【0012】
図1は、本実施形態に係る機器制御システムの構成を示す概略図である。本発明に係る機器制御システムは、図1に示すように、送信サーバー1と、複数の機器制御装置2と、当該複数の機器制御装置2がそれぞれ制御する複数の警報装置3とから構成される。図1に示す例では、機器制御装置2および警報装置3をそれぞれ2台だけ例示しているが、機器制御装置2および警報装置3の数は特に限定されない。たとえば、送信サーバー1と機器制御装置2との設置台数の比率を1台:数百~数万台とすることができる。また、機器制御装置2は1台の警報装置3につき1台取り付けることができる。
【0013】
図1に示すように、送信サーバー1と複数の機器制御装置2とは、後述する広域無線通信回線を通じて、少なくとも送信サーバー1から機器制御装置2への通信が可能となっている。また、複数の機器制御装置2間も、後述する広域無線通信回線を通じて、通信が可能となっている。さらに、機器制御装置2と警報装置3とは、有線または無線により、少なくとも機器制御装置2から警報装置3への通信が可能となっている。なお、図1において、実線は信号の流れを示しており、破線は電力の流れを示している。
【0014】
送信サーバー1は、機器制御装置2が警報装置3の動作を制御するための制御情報を、複数の機器制御装置2に送信する装置である。送信サーバー1により送信される制御情報がより多くの機器制御装置2で受信できるように、送信サーバー1は、複数ある機器制御装置2の中心位置の近傍であり、かつ、標高の高い位置に設置することが好ましい。送信サーバー1は、図1に示すように、処理装置10とサーバー側無線通信装置11とを有する。
【0015】
処理装置10は、制御情報を生成し、生成した制御情報をブロードキャスト送信するためのプログラムが格納された記憶装置と、このプログラムを実行する演算装置と、を備える。本実施形態において、制御情報には、制御情報を識別するためのシーケンス番号と、後述するコピーカウンター(CPC)、コピーカウンターの最大値(CPC_Max)、送信時刻、および警報情報が含まれる。警報情報には、警報装置3に警報を報知させるための指令や、警報装置3に表示させる警告メッセージ情報などを含むことができる。また、送信時刻は、処理装置10に備えるクロックから取得した時刻に基づいて設定することができる。
【0016】
処理装置10は、たとえば、自然災害情報を収集する外部サーバーや、処理装置10が有する振動センサーなどのセンサー(不図示)から、津波や地滑りなどの自然災害の発生、または自然災害を予兆する情報を取得した場合に、上述したシーケンス番号、CPC、CPC_Max、送信時刻および警報情報を含む制御情報を生成する。そして、処理装置10は、生成した制御情報を、サーバー側無線通信装置11に出力する。なお、シーケンス番号は、たとえば1~255の番号を繰り返して使用することができる。
【0017】
サーバー側無線通信装置11は、無線通信回線を介して、処理装置10が生成した制御情報をブロードキャスト送信する。本実施形態において、サーバー側無線通信装置11は、いわゆるLPWA(Low Power Wide Area)方式の無線通信回線を介して、制御情報を複数の機器制御装置2に送信する。なお、本実施形態では、LPWAの無線通信回線方式として、ブロードキャスト送信をサポートした920MHz帯LoRaWANを採用している。LoRaWANは、広域通信(たとえば1km以上、実測数km程度)が可能であり、低消費電力(たとえば送信時の電力が百mAまたは数十mA以下、待機時はその1/00程度)であり、低データレート (1通信あたりのデータ量がたとえば数百byteまたは数十byte以下)であることを特徴とし、マルチホップ機能は有していない。また、サーバー側無線通信装置11の電波出力はたとえば250mWであり、通信可能距離は都市部で5km程度、郊外で15km程度である。所管エリアに配置された機器制御装置2との通信は一方向通信であり、機器制御装置2からの情報を受信することは想定されていない。なお、送信サーバー1は、図示しない有線通信ポートを有し、当該有線通信ポートを介して、外部サーバーからの各種情報を受信することができる。
【0018】
機器制御装置2は、図1に示すように、機器側無線通信装置21と、制御装置22と、電源装置23とを備える。機器側無線通信装置21は、サーバー側無線通信装置11と同様に、LPWA方式の無線通信回線を介して制御情報を送受信することが可能であり、ブロードキャスト送信をサポートした920MHz帯LoRaWANを採用している。機器側無線通信装置21の電波出力は、費用対効果の観点から、送信サーバー1よりも小さくすることが好ましく、たとえば20mWとすることができ、この場合、通信可能距離は都市部で1km程度とすることができる。なお、機器側無線通信装置21による制御情報の送信は、制御装置22の制御に従って行われる。
【0019】
制御装置22は、たとえばMCU(Micro Controller Unit)であり、制御情報に基づいて警報装置3の動作を制御するとともに、他の機器制御装置2に制御情報をリピート配信するためのプログラムを記憶する記憶装置と、演算装置とを備える。制御装置22は、記憶装置に記憶された制御プログラムを演算装置で実行することで、警報装置3の動作を制御する制御機能と、他の機器制御装置2に制御情報を再送するリピート配信を行うか否かを判定する判定機能と、リピート配信を実行する配信機能と、を有する。以下に、制御装置22の各機能について説明する。
【0020】
制御装置22の制御機能は、警報装置3の動作を制御する。具体的には、制御機能は、制御装置22が機器側無線通信装置21から制御情報を取得した場合に、警報装置3に警報を報知させるように、警報装置3を動作させる。また、本実施形態では、送信サーバー1から制御情報がブロードキャスト送信されることに加えて、他の機器制御装置2からも送信サーバー1から送信された制御情報を複製した制御情報がブロードキャスト送信される。送信サーバー1から送信された制御情報から派出した、他の機器制御装置2から送信された制御情報により、機器制御装置2が警報装置3に再度警報を行わせないように、本実施形態では、制御情報に、制御情報を識別するためのシーケンス番号(たとえば1~255までを繰り返して付与する)が含まれる。制御機能は、一定期間(たとえば一日)内に同じシーケンス番号を有する制御情報を2度以上取得した場合には、当該制御情報を破棄し、当該制御情報に基づく警報装置3の報知は行わない。
【0021】
制御装置22の判定機能は、他の機器制御装置2に制御情報を再送するリピート配信を行うか否かを判定する。ここで、図2は、送信サーバー1によるブロードキャスト送信の一例を示す図である。図2に示すように、送信サーバー1は、送信サーバー1を中心とする一定の範囲に制御情報をブロードキャスト送信する。図2に示す例では、送信サーバー1のブロードキャスト送信の範囲内に機器制御装置2a~2kが存在している。この場合、送信サーバー1でブロードキャスト送信された制御装置は、通常、機器制御装置2a~2kで受信されることとなるが、図2に示す機器制御装置2gのように、送信サーバー1と機器制御装置2との間の通信を遮蔽する障害物(建物B)が存在する場合、機器制御装置2gにおいて、送信サーバー1からブロードキャスト送信された制御情報が受信できない場合がある。このような場合、機器制御装置2e,2fから、制御情報をブロードキャスト送信することで、送信サーバー1からのブロードキャスト送信が受信できない機器制御装置2gにおいても制御情報を受信することが可能となる。
【0022】
本実施形態においては、このように、送信サーバー1から制御情報がブロードキャスト送信された場合に、送信サーバー1からブロードキャスト送信された制御情報を受信できない他の機器制御装置2のために、送信サーバー1からブロードキャスト送信された制御情報を、機器制御装置2が再送することを「リピート配信」と称す。本実施形態では、機器制御装置2の全てがリピート配信を行う機能を有するが、リピート配信を行う必要のある機器制御装置2のみについてリピート配信の機能をオンに設定しておく。すなわち、本実施形態では、送信サーバー1からブロードキャスト送信された制御情報を受信できない機器制御装置2を予め調査しておき、当該機器制御装置2にブロードキャスト送信が可能な機器制御装置2を予め決定しておく。そして、決定した機器制御装置2がリピート配信を実行できるように、リピート配信機能をオンに設定しておく(制御装置22の記憶装置に記憶しておく)。これにより、リピート配信機能がオンに設定された機器制御装置2だけがリピート配信を実行することとなる。なお、リピート配信機能の設定は、送信サーバー1から送信する信号により、遠隔から設定することができる。
【0023】
制御装置22の判定機能は、まず、機器制御装置2のリピート配信機能がオンに設定されているかを判断する。リピート配信機能がオンに設定されていない場合、判定機能は、リピート配信を行わないと判定する。一方、リピート配信機能がオンに設定されている場合、判定機能は、機器制御装置2のブロードキャスト送信範囲に他の機器制御装置2が存在するかを判断する。機器制御装置2のブロードキャスト送信範囲に他の機器制御装置2が存在するか否かの情報は、予め調査により、制御装置22の記憶装置に記憶しておくことができる。判定機能は、制御装置22の記憶装置から当該情報を読み出すことで、機器制御装置2のブロードキャスト送信範囲に他の機器制御装置2が存在するかを判断することができる。なお、ブロードキャスト送信範囲に他の機器制御装置2が存在するか否かの情報は、管理者が実際に機器制御装置2の場所まで行って記憶装置に記憶させてもよいが、送信サーバー1から機器制御装置2にブロードキャスト送信することで、または、他の機器制御装置2からリピート配信を行うことで、対象とする機器制御装置2の記憶装置に記憶することが可能となっている。
【0024】
また、本実施形態において、判定機能は、リピート配信が無限に繰り返されないように、コピーカウンター(以下、CPCという)が最大値(以下、CPC_Maxという)に達していないかを判断する。CPCは、制御情報に含まれている情報であり、送信サーバー1が送信する制御情報にはCPC=0として設定されており、制御情報が他の機器制御装置2によりリレーされる度に1が加算される(詳細は後述する)。また、CPC_Maxは、制御装置22が制御情報を複製しブロードキャスト送信(リピート配信)することができる回数を定めたものであり、CPCと同様に、送信サーバー1からブロードキャスト送信される制御情報に含まれる。なお、CPC_Maxの値は、管理者が予め設定しておくことができる。
【0025】
本実施形態において、制御装置22は、送信サーバー1または他の機器制御装置2からブロードキャスト送信された制御情報を複製し、複製した制御情報を他の機器制御装置2にブロードキャスト送信する。本実施形態では、図3に示すように、送信サーバー1からCPC=0を含む制御情報がブロードキャスト送信される。そして、送信サーバー1からブロードキャスト送信された制御情報を受信した機器制御装置2は、他の機器制御装置2にブロードキャスト送信(リピート配信)を行う際に、受信した制御情報を複製するとともに、複製した制御情報に含まれるCPCに1を加算する。これにより、図3に示す例において、機器制御装置2m,2rは、CPC=1を含む制御情報を、他の機器制御装置2n,2sに送信する。また、機器制御装置2m,2rから制御情報を受信した機器制御装置2n,2sは、機器制御装置2m,2rから受信した制御情報を複製するとともに、CPCに1を加算してCPC=2とし、CPC=2を含む制御情報をブロードキャスト送信(リピート配信)する。同様に、機器制御装置2n,2o,2p,2t,2wにおいても制御情報のCPCに1を加算して、加算したCPCを含む制御情報をブロードキャスト送信(リピート配信)する。
【0026】
また、リピート配信を行う場合に、判定機能は、受信した制御情報に含まれるCPCが、CPC_Maxに達しているか否かを判断し、CPCがCPC_Maxに達している場合には、リピート配信を行わないと判定する。たとえば、図3に示す例では、各機器制御装置2においてCPC_Maxが4に設定されている。そのため、判定機能は、他の機器制御装置2から受信したCPCが4に達しているか否かを判断する。たとえば、図3に示す機器制御装置2xは、他の機器制御装置2wからCPC=4を含む制御情報を受信している。この場合、機器制御装置2xの判定機能は、CPCがCPC_Maxの4に達していると判断し、リピート配信を行わないと判定する。その結果、機器制御装置2xから機器制御装置2y,2zに制御情報は伝達されないこととなる。
【0027】
制御装置22の配信機能は、判定機能によりリピート配信を行うことが判定された場合に、他の機器制御装置2にブロードキャスト送信を行う、リピート配信を実行する。具体的には、配信機能は、受信した制御情報のCPCに1を加算し、変更したCPCの情報を含む制御情報を、他の機器制御装置2に対してブロードキャスト送信する。また、本実施形態において、配信機能は、自己の機器制御装置2によるリピート配信と、他の機器制御装置2のリピート配信とのタイミングが重ならないように、遅延時間を乱数生成により求め、受信した制御情報に含まれる送信時刻から当該遅延時間が経過した後に、制御情報をリピート配信する。また、配信機能は、リピート配信を行う際に、制御情報に含まれる送信時刻を、自己の機器制御装置2によりリピート配信をする送信時刻で更新して、更新した制御情報をリピート配信する。なお、送信時刻は、制御装置22が備えるクロックから更新時の時刻を取得すればよい。
【0028】
なお、本実施形態では、各機器制御装置2の時刻が以下の方法により同期される。すなわち、本実施形態では、送信サーバー1から機器制御装置2に一方向にブロードキャスト通信が行われるため、NTP(Network Time Protocol)などの双方向通信が必要なプロトコルで同期が行えない。そこで、本実施形態では、送信サーバー1が、制御情報に送信サーバー1の現在時刻を含めて機器制御装置2に送信し、機器制御装置2は制御情報に含まれる時刻で、機器制御装置2の現在時刻を更新することで、送信サーバー1との同期を行う。また、機器制御装置2は、リピート配信においてブロードキャスト送信する制御情報に当該機器制御装置2の現在時刻を含めることで、送信サーバー1から制御情報を受信できない機器制御装置2においても、他の機器制御装置2と同期することが可能となる。なお、送信サーバー1から送信した制御情報が機器制御装置2に受信されるまでの遅延時間を追加して機器制御装置2の現在時刻を更新することで、機器制御装置2の内部クロックをより正確に送信サーバー1の内部クロックに同期することが可能であり、また、機器制御装置2と他の機器制御装置2間の時刻同期も同様により正確に行うことが可能である。なお、遅延時間は、送信サーバー1と機器制御装置2との位置関係などに基づいて予め設定しておくことができる。
【0029】
機器制御装置2は、外部の商用電源を用いて動作可能であるが、商用電源からの電力供給が得られない場合に、機器側無線通信装置21および制御装置22に電力を供給するための電源装置23を備えている。電源装置23は、たとえば複数本の単三型リチウム乾電池により構成することができ、機器側無線通信装置21および制御装置22を3日程度動作させることができることが好ましい。これにより、災害などで停電が生じた場合でも、機器制御装置2を安定して稼働せることができ、警報装置3に警報を行わせることができる。なお、電源装置23は、警報装置3にも電力を供給できるように構成することもできる。
【0030】
警報装置3は、サイレンまたはランプなどの警報を報知するための装置である。本実施形態において警報装置3は、CPUを有する処理部、制御プログラムを記憶する記憶部、ネットワークポートを有する通信部、表示部、および、スピーカを備えており、機器制御装置2から受信した制御信号に基づきスピーカから警報を出力し、表示部に警報を出力する。警報装置3は、たとえば各家庭に設置することもでき、この場合、設置台数は数万台から数十万台のオーダーとなる。警報装置3は、記憶部に予め定められたパターンの警報文を記憶しており、制御情報に含まれる警報番号に対応した警報文を表示部および/またはスピーカに出力させることができる。
【0031】
次いで、図4を参照して、第1実施形態に係る機器制御システムの機器制御処理について説明する。なお、図4は、第1実施形態に係る機器制御処理のうち、各機器制御装置2において行われる機器制御処理を示している。本実施形態では、送信サーバー1が、津波、地滑り等の大規模自然災害が発生した旨の情報、または発生する兆候がある旨の情報を取得した場合に、制御情報をブロードキャスト送信することで開始される。
【0032】
図4に示すように、ステップS101では、機器側無線通信装置21により、送信サーバー1からブロードキャスト送信された制御情報が受信され、制御装置22へと出力される。
【0033】
ステップS102では、制御装置22の制御機能により、所定期間内に同一のシーケンス番号の制御情報を既に取得しているか否かの判断が行われる。所定期間内に同一のシーケンス番号の制御情報を既に取得している場合には、図4に示す機器制御処理を終了する。一方、所定期間内に同一のシーケンス番号の制御情報を取得していない場合には、ステップS103に進む。
【0034】
ステップS103では、制御装置22の制御機能により、警報装置3の動作制御が行われる。本実施形態において、制御機能は、制御情報に基づいて、警報装置3に警報を報知させる。
【0035】
ステップS104では、制御装置22の判定機能により、自己の機器制御装置2のリピート配信機能がオンに設定されているか否かの判断が行われる。リピート配信機能の設定は、送信サーバー1から送信する信号により遠隔から設定することもできるし、管理者が予め制御装置22の記憶装置に記憶することもできる。判定機能は、記憶装置からリピート配信機能の設定情報を読み出すことで、リピート配信機能がオンに設定されているか否かを判断することができる。リピート配信機能がオンに設定されていない場合には、図4に示す機器制御処理を終了し、ステップS101に戻る。リピート配信機能がオンに設定されている場合には、ステップS105に進む。
【0036】
ステップS105では、制御装置22の判定機能により、機器制御装置2のブロードキャスト範囲に他の機器制御装置2が存在するか否かの判断が行われる。ブロードキャスト範囲に他の機器制御装置2が存在するか否かの情報も予め制御装置22の記憶装置に記憶されており、判定機能は、記憶装置から当該情報を読み出すことで、ブロードキャスト範囲に他の機器制御装置2が存在するか否かを判断することができる。ブロードキャスト範囲に他の機器制御装置2が存在しない場合には、図4に示す機器制御処理を終了し、ステップS101に戻る。ブロードキャスト範囲に他の機器制御装置2が存在する場合には、ステップS106に進む。
【0037】
ステップS106では、制御装置22の判定機能により、受信した制御情報に含まれるCPCがCPC_Maxに達しているか否かの判断が行われる。具体的には、判定機能は、受信した制御情報に含まれるCPC_MaxとCPCとを比較する。受信した制御情報に含まれるCPCがCPC_Max以上である場合には、図4に示す機器制御処理を終了し、ステップS101に戻る。一方、受信した制御情報に含まれるCPCがCPC_Max未満である場合には、ステップS107に進む。
【0038】
ステップS107では、制御装置22の配信機能により、受信した制御情報が複製される。そして、ステップS108では、配信機能により、複製された制御情報において、CPCに1が加算される。ステップS109では、制御装置22の配信機能により、機器側無線通信装置21を介して、制御情報のブロードキャスト送信、すなわちリピート配信が行われる。なお、ステップS109において、配信機能は、遅延時間を乱数生成により求め、受信した制御情報に含まれる送信時刻から当該遅延時間が経過した後に、制御情報をリピート配信する。また、配信機能は、リピート配信を行う際に、制御情報に含まれる送信時刻を、自己の機器制御装置2によりリピート配信をする送信時刻で更新して、更新した制御情報をリピート配信する。
【0039】
ステップS109でリピート配信が行われるとステップS101に戻り、制御装置22は、送信サーバー1または他の機器制御装置2から制御情報を受信するまで待機する。そして、送信サーバー1または他の機器制御装置2から制御情報を受信すると、上述したようにステップS101~S109の処理を繰り返す。
【0040】
以上に説明した第1実施形態に係る機器制御システムによれば、送信サーバー1から多数の機器制御装置2にブロードキャスト送信により制御情報を送信するため、多数の警報装置3の動作を瞬時に制御することができる。また、第1実施形態に係る機器制御システムによれば、地形、構造物等の影響でブロードキャスト送信が届かない場所にある機器制御装置2に対しても、近隣の機器制御装置2が受信した制御情報をリピート配信することにより、確実かつタイムリーに制御信号を伝達することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態において、機器制御装置2は、920MHz帯を利用した無線通信を行うため、自然災害などで携帯電話用回線の混線が生じた場合でも、安定して通信を行うことができる。また、機器制御装置2は、電源装置23からの電力でも稼働できるため、自然災害などで停電が生じた場合でも、警報装置3を一定期間安定して動作させることができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、既存の警報装置3に、機器制御装置2を取り付けるだけで、本実施形態に係る機器制御システムを構築することができるため、比較的安価に、本実施形態に係る機器制御システムを提供することができる。また、本実施形態では、LPWA(Low Power Wide Area)方式のサーバー側無線通信装置11および機器側無線通信装置21を用いて、送信サーバー1および機器制御装置2を構成することで、たとえば、3G/LTE方式の無線通信装置を用いた構成と比べて、安価に、かつ、消費電力を抑えることが可能な機器制御システムを提供することができる。また、衛星回線を利用したシステムと比べても、安価に機器制御システムを提供することができる。
【0043】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る機器制御システムは、警報装置3に代えて、大規模太陽光発電装置(いわゆるメガソーラー)における太陽光パネルや家庭用の小規模太陽光発電装置における太陽光パネル(以下、単に太陽光パネルという。)が発電した電気を用いて給湯が可能な貯湯式電気給湯器4を備え、機器制御装置2が、貯湯式電気給湯器4への通電を制御情報に基づいて制御するシステムである。図5は、第2実施形態に係る機器制御システムを説明するための図である。第2実施形態では、図5に示すように、数Km~数十Km程度の太陽光発電エリアに複数の太陽光パネルが配置されている。当該複数の太陽光パネルで発電した電気は、送電線などの送電系統により遠方の施設まで送電することもできるが降圧動作などの変換動作が必要な場合があり、変換ロスや送電ロスが生じてしまう場合がある。そのため、本実施形態では、太陽光発電エリアに位置する太陽光パネルで発電した電気を当該太陽光発電エリアに位置する電気機器(負荷)で消費することで電気の地産地消を行い、これにより、変換ロスや送電ロスを抑えて、効率良く電気を使用することを目的とする。
【0044】
ここで、太陽光発電エリアに位置する太陽光パネルの発電電力は配電系統を介して当該太陽光発電エリア内の電気機器(負荷)に配電されるが、太陽光パネルの発電量が負荷の消費電力量よりも多い場合、余剰電力量が生じることとなり、太陽光パネルで発電した全ての電気を地産地消できないこととなる。そのため、本実施形態では、太陽光パネルで発電され、太陽光発電エリアに存在する冷暖房装置や照明装置などの負荷で消費しきれない余剰電力量の電気を、商用電源の深夜電力を用いて給湯を行っていた貯湯式電気給湯器4に配電系統を介して通電することで、送電による電力ロスや変換ロスを低減し、かつ、送電系統の負担軽減および安定化を図り、電力供給の低コスト化を実現するものである。第2実施形態に係る機器制御システムでは、送信サーバー1において、太陽光パネルの余剰電力量(太陽光パネルの発電量-貯湯式電気給湯器4以外の負荷による消費電力量)を予測し、予測した余剰電力量に基づいて、太陽光パネルで発電した電気を貯湯式電気給湯器4に供給するための通電制御情報を、貯湯式電気給湯器4に取り付けた機器制御装置2にブロードキャスト送信することで、太陽光パネルで発電した電気を受け入れた配電系統から貯湯式電気給湯器4への給電を制御する。
【0045】
すなわち、従来の貯湯式電気給湯器では、翌日(特に翌日の夕刻)に使用されるお湯を、安価な料金の深夜電力を用いて本日の深夜から通電加熱を行い貯湯することで、給湯にかかる電気の費用を抑えるものであった。これに対して、第2実施形態に係る機器制御システムでは、太陽光パネルで発電される翌日の余剰電力量を予測し、翌日の日中に余剰電力で通電を行うことで、電気の地産地消を図り、電力供給の低コスト化をより促進することができる。以下に、第2実施形態に係る機器制御システムについて詳細に説明する。
【0046】
送信サーバー1の処理装置10は、配電系統から貯湯式電気給湯器4への通電を制御するための制御情報を生成し、ブロードキャスト送信により、制御エリア内に存在する複数の機器制御装置2に制御信号を伝達する。ここで、本実施形態において、処理装置10は、制御エリアごとに制御情報を生成する。制御エリアとは、図5に示すように、制御対象となっている機器制御装置2が存在する制御エリア全体を分割したエリアであり、図5に示す例では、BL-1~BL-9の9つの制御エリアを例示している。図5に示す例において、処理装置10は、BL-1~BL-9の9つの制御エリアにそれぞれ対応する9つの制御情報を生成し、各制御エリアBL-1~BL-9に位置する機器制御装置2に、当該機器制御装置2が位置する制御エリア(対象制御エリア)に応じた制御情報を伝達する。
【0047】
処理装置10は、制御エリアごとに制御情報を生成しブロードキャスト送信するために、外部情報取得機能、発電量予測機能、余剰電力量算出機能、通電開始時刻決定機能、制御情報生成機能、およびブロードキャスト送信機能を有する。以下に、処理装置10が備える各機能について説明する。なお、以下においては、図5に示す例を用いて説明する。
【0048】
処理装置10の外部情報取得機能は、図示しない有線通信ポートを介して、制御エリアごとの余剰電力量を算出するための各種情報を外部サーバーから取得する。具体的には、外部情報取得機能は、外部の天気予報情報サーバーから制御エリアBL1~BL9ごとの翌日のメッシュ天気予報情報(晴れ・曇り・雨の情報、気温、湿度、日照時間、日照強度などを含むことができる)を取得する。また、外部情報取得機能は、冷暖房装置や照明装置などの負荷の消費電力量の情報を収集し統計を算出している外部統計サーバーから、天気条件(晴れ・曇り・雨の情報、気温、湿度、日照時間、日照強度などを含むことができる)ごと、および制御エリアBL1~BL9ごとの、負荷(貯湯式電気給湯器4を除く)の消費電力量の統計データを取得する。なお、外部情報取得機能は、負荷(貯湯式電気給湯器4を除く)の消費電力量の統計データのうち、翌日の天気に対応する統計データのみを、制御エリアBL1~BL9ごとに取得する構成とすることもできる。
【0049】
処理装置10の発電量予測機能は、翌日の太陽光パネルの発電量を制御エリアごとに予測する。そこで、まず、発電量予測機能は、太陽光パネルの位置情報を取得し、各制御エリアBL1~BL9に存在する太陽光パネルを特定する。なお、太陽光パネルの位置情報は、処理装置10の記憶装置に予め設定しておくことができる。そして、発電量予測機能は、外部情報取得機能により取得された翌日のメッシュ天気予報情報と、各制御エリアBL1~BL9の太陽光パネルの機器情報とに基づいて、太陽光パネルでの翌日の発電量を、制御エリアBL1~BL9ごとに予測する。なお、太陽光パネルでの発電量の予測方法は、公知の方法を用いて行うことができる。
【0050】
処理装置10の余剰電力量予測機能は、発電量予測機能により予測された制御エリアBL1~BL9ごとの太陽光パネルの翌日の発電量と、外部情報取得機能により取得された制御エリアBL1~BL9ごとの負荷(貯湯式電気給湯器4を除く)の翌日の消費電力量との差を、制御エリアBL1~BL9ごとの翌日の余剰電力量として予測する。
【0051】
処理装置10の通電開始時刻決定機能は、余剰電力量予測機能により予測された制御エリアBL1~BL9ごとの余剰電力量に基づいて、配電系統から貯湯式電気給湯器4への通電を日中に開始する日中通電開始時刻(翌日の日中通電開始時刻)を制御エリアBL1~BL9ごとに決定する。ここで、本実施形態では、貯湯式電気給湯器4側において、安価な料金の深夜電力を用いて通電加熱を行うように夜間通電開始時刻が予め設定されているが、予め設定した夜間通電開始時刻から通電加熱を行った場合には、翌日に太陽光パネルで生じた余剰電力を貯湯式電気給湯器4で消費することができない場合がある。本実施形態では、このような場合に、貯湯式電気給湯器4に日中の指定された時間帯に通電加熱を行わせることで、電気の地産地消を実現させるものである。そのため、通電開始時刻決定機能は、所定の夜間通電開始時刻までに、翌日の日中通電加熱により制御エリアBL1~BL9内の余剰電力量を制御エリアBL1~BL9内の指定された制御エリアの貯湯式電気給湯器4に消費させる時刻を、翌日の日中通電開始時刻として決定する。これにより、所定の夜間通電加熱は行わず、通電開始時刻決定機能により決定された日中通電開始時刻から所定の日中通電終了時刻まで貯湯式電気給湯器4に通電加熱を行わせることで、制御エリアBL1~BL9内の指定された制御エリアの余剰電力量を当該制御エリア内の貯湯式電気給湯器4で消費することが可能となる。なお、所定の日中通電終了時刻は、管理者が予め適宜設定することができる。
【0052】
処理装置10の制御情報生成機能は、通電開始時刻決定機能に決定された日中通電開始時刻を含む制御情報を生成する。ここで、日中通電開始時刻は、制御エリアBL1~BL9ごとに決定されるが、送信サーバー1のブロードキャスト送信は、送信サーバー1を中心として制御エリア全域に送信されるため、特定の制御エリアのみに当該制御エリアの日中通電開始時刻を送信することはできない。そこで、制御情報生成機能は、日中通電開始時刻の送信対象となる対象制御エリアを特定するための対象制御エリア情報を制御情報に加えている。具体的には、制御情報生成機能は、対象制御エリアの東端経度・西端経度・北端緯度・南端緯度の情報を、対象制御エリア情報として生成する。たとえば、図5に示す例において、制御情報生成機能は、制御エリアBL-2を対象制御エリアとする場合、制御エリアBL-2の東端経度である経度A・西端経度である経度B・北端緯度である緯度c・南端緯度である緯度dの情報を、対象制御エリア情報として生成する。
【0053】
そして、制御情報生成機能は、対象制御エリアの日中通電開始時刻、対象制御エリア情報、並びに第1実施形態の制御情報と同様に、CPC、CPC_Max、送信時刻の情報を含む制御情報を生成する。なお、日中通電開始時刻は2バイトで構成することができ、対象制御エリア情報を構成する東端経度・西端経度・北端緯度・南端緯度の情報はそれぞれ4バイトで構成することができる。
【0054】
処理装置10のブロードキャスト送信機能は、サーバー側無線通信装置11を介して、制御エリアBL1~BL9ごとの日中通電開始時刻を含む制御情報を、所定の夜間通電開始時刻までに、各機器制御装置2にブロードキャスト送信する。
【0055】
機器制御装置2は、送信サーバー1から制御情報を受信し、受信した制御情報に基づいて、配電系統から貯湯式電気給湯器4への通電を制御する。ここで、第2実施形態に係る制御装置22の制御機能は、第1実施形態に係る制御装置22の制御機能に代えて、以下に説明する機能を有する。
【0056】
すなわち、制御装置22の制御機能は、まず、受信した制御情報に含まれる対象制御エリア情報に基づいて、自己の機器制御装置2が対象制御エリアに存在するか否かを判断する。具体的には、制御機能は、制御装置22の記憶装置から自己の機器制御装置2の位置情報(緯度・経度)を取得し、自己の機器制御装置2が、対象制御エリア情報の東端経度・西端経度・北端緯度・南端緯度で特定される対象制御エリア内に位置する場合に、自己の機器制御装置2が対象制御エリアに存在すると判断する。
【0057】
そして、制御機能は、自己の機器制御装置2が対象制御エリアに存在すると判断した場合に、受信した制御情報に含まれる翌日の日中通電開始時刻の情報を取得し、制御装置22の記憶装置に記憶すると共に、当日の夜間通電を中止する。また、夜間通電が中止された翌日、制御機能は、前日に取得した本日の日中通電開始時刻の情報を制御装置22の記憶装置から読み出し、現在時刻が本日の日中通電開始時刻となったかを繰り返し判定する。そして、現在時刻が本日の日中通電開始時刻になった場合に、制御機能は、予め決められている日中通電終了時刻までの間、配電系統から貯湯式電気給湯器4に通電するように、貯湯式電気給湯器4を制御する。なお、現在時刻は、制御装置22が備えるクロックから取得することができる。
【0058】
なお、制御装置22は、第1実施形態と同様に、他の機器制御装置2に制御情報を送信するリピート配信を行うか否かを判定する判定機能と、リピート配信を実行する配信機能と、を有する。これにより、図2に示すように、障害物や地形により、送信サーバー1からブロードキャスト送信された制御情報を受信できない機器制御装置2が存在する場合でも、当該機器制御装置2に確実に制御情報を伝達することができる。
【0059】
貯湯式電気給湯器4は、電力を用いて水を加熱し、加熱した湯を貯湯することが可能な装置である。本実施形態において、貯湯式電気給湯器4は、電気で駆動するヒートポンプまたはヒーターなどによって湯を沸かして200~1000L程度の容量の貯湯タンクに温水を溜めておき、必要に応じてその貯湯タンクから給湯する給湯器とすることができる。貯湯式電気給湯器4は、顧客の操作による通電制御が最優先され、当該操作がなされていない場合は、予め設定された制御プログラムに基づいて、夜間(たとえば23時~翌朝7時)の安価に販売されている商用電源の電気によって給湯するように設定されている。また、本実施形態では、送信サーバー1または他の機器制御装置2からブロードキャスト送信された制御情報を受けた機器制御装置2からの制御情報に基づき、余剰電力を日中通電により貯湯するように設定されている。
【0060】
続いて、図6図8を参照して、第2実施形態に係る機器制御処理のフローチャートについて説明する。なお、図6は、第2実施形態に係る送信サーバー1側の機器制御処理を示すフローチャートであり、図7は、第2実施形態に係る機器制御装置2側の機器制御処理を示すフローチャートであり、図8は、貯湯式電気給湯器4側の機器制御処理を示すフローチャートである。従来の貯湯式電気給湯器では、翌日(特に翌日の夕刻)に使用されるお湯を、安価な料金の深夜電力を用いて本日の深夜に通電加熱を行い、貯湯する処理を行っていたのに対して、第2実施形態に係る機器制御処理では、太陽光パネルで発電される翌日の余剰電力量を予測し、余剰電力量がある場合には、本日の夜間通電は行わずに、翌日の日中に、余剰電力を用いて通電加熱を行うことで、深夜電力よりも余剰電力を優先して給湯に用いるものである。そのため、図6図8に示す処理は、毎日、所定の夜間通電開始時刻が開始される前までに行われる。
【0061】
まず、送信サーバー1側の機器制御処理について説明する。図6に示すように、ステップS201では、処理装置10の外部情報取得機能により、図示しない有線通信ポートから、制御エリアごとの翌日の余剰電力量を算出するための情報が取得される。具体的には、外部情報取得機能は、外部サーバーから、翌日のメッシュ天気予報情報を制御エリアBL1~BL9ごとに取得するとともに、翌日の負荷(貯湯式電気給湯器4を除く)の消費電力量の統計データを制御エリアBL1~BL9ごとに取得する。
【0062】
ステップS202では、処理装置10の発電量予測機能により、太陽光パネルの位置情報が取得される。そして、ステップS203では、処理装置10の発電量予測機能により、ステップS201で取得された翌日のメッシュ天気予報情報と、ステップS202で取得した太陽光パネルの位置情報とに基づいて、制御エリアBL1~BL9ごとの太陽光パネルの翌日の発電量が予測される。
【0063】
ステップS204では、処理装置10の余剰電力量予測機能により、ステップS203で予測した制御エリアBL1~BL9ごとの太陽光パネルの翌日の発電量と、ステップS201で取得した制御エリアBL1~BL9ごとの負荷(貯湯式電気給湯器4を除く)の翌日の消費電力量との差が、制御エリアBL1~BL9ごとの翌日の余剰電力量として予測される。
【0064】
ステップS205では、処理装置10の通電開始時刻決定機能により、ステップS204で予測された制御エリアBL1~BL9ごとの翌日の余剰電力量に基づいて、翌日の日中通電開始時刻が、制御エリアBL1~BL9ごとに決定される。
【0065】
ステップS206では、処理装置10の制御情報生成機能により、ステップS205で決定された翌日の日中通電開始時刻を含む制御情報が生成される。なお、本実施形態において、制御情報生成機能は、シーケンス番号、対象制御エリアの翌日の日中通電開始時刻、対象制御エリア情報(対象制御エリアの東端経度・西端経度・北端緯度・南端緯度の情報)、送信時刻、CPC、およびCPC_Maxの情報を含む情報を制御情報として生成する。
【0066】
ステップS207では、処理装置10のブロードキャスト送信機能により、サーバー側無線通信装置11を介して、制御エリアBL1~BL9ごとの翌日の日中通電開始時刻を含む制御情報が、所定の夜間通電開始時刻までに、各機器制御装置2にブロードキャスト送信される。
【0067】
続いて、機器制御装置2側の機器制御処理について説明する。図7に示すように、ステップS301では、制御装置22の制御機能により、送信サーバー1または他の機器制御装置2からブロードキャスト送信された制御情報を受信したか否かの判断が行われる。制御情報を受信した場合には、リピート配信を行うか否かを判断するためにステップS302に進む。一方、制御情報を受信していない場合には、図7の機器制御処理を終了し、ステップS301に戻る。
【0068】
ステップS302では、制御装置22の制御機能により、受信した制御信号に含まれる対象制御エリア情報に基づいて、自己の機器制御装置2が対象制御エリア内に位置するか否かの判断が行われる。自己の機器制御装置2が対象制御エリア内に位置しない場合には、図7の機器制御処理を終了し、ステップS301に戻る。一方、自己の機器制御装置2が対象制御エリア内に位置する場合には、受信した制御信号(翌日の日中通電開始時刻を含む)を記憶装置に記憶し、ステップS303に進む。
【0069】
ステップS303では、制御装置22の制御機能により、所定期間内に同一のシーケンス番号の制御情報を既に取得しているか否か判断され、所定期間内に同一のシーケンス番号の制御情報を既に取得している場合には、図7の機器制御処理を終了し、ステップS301に戻る。一方、所定期間内に同一のシーケンス番号の制御情報を既に取得していない場合には、ステップS304において、制御装置22の制御機能により、貯湯式電気給湯器4に対して日中通電指示が行われる。これにより、後述する図8の貯湯式電気給湯器4側の機器制御処理において日中通電が行われることとなる。
【0070】
ステップS305~S309では、第1実施形態のステップS104~S109と同様に処理が行われる。すなわち、リピート配信機能がオンに設定されており(ステップS305=Yes)、機器制御装置2のブロードキャスト範囲に他の機器制御装置2が存在し(ステップS306=Yes)、かつ、CPCがCPC_Maxに達していない場合に(ステップS307=No)、受信した制御信号を複製し(ステップS308)、CPCに1を加算し(ステップS309)、制御信号を他の機器制御装置2にブロードキャスト送信するリピート配信を行う(ステップS310)。そして、ステップS311に進む。なお、リピート配信機能がオンに設定されていない場合(ステップS305=No)、機器制御装置2のブロードキャスト範囲に他の機器制御装置2が存在しない場合(ステップS306=No)、または、CPCがCPC_Maxに達している場合(ステップS307=Yes)には、リピート配信を行わずに、図7の機器制御処理を終了し、ステップS301に戻る。
【0071】
続いて、貯湯式電気給湯器4側の機器制御処理について説明する。ステップS401では、貯湯式電気給湯器4により、顧客操作が行われたか否かの判断が行われる。顧客操作が行われていない場合には、ステップS404に進む。一方、顧客操作が行われた場合には、ステップS402に進み、商用電源から貯湯式電気給湯器4への通電が行われる。なお、ステップS402の処理は、顧客による操作が終了するまで行われる(ステップS403)。
【0072】
ステップS404では、貯湯式電気給湯器4により、貯湯式電気給湯器4の貯湯余裕量(お湯を溜められる空き容量)が所定値以上であるか判断される。貯湯余裕量が所定値未満である場合(余剰電力量を貯湯式電気給湯器4で消費させることが困難な場合)、図8の機器制御処理を終了し、ステップS401に戻る。一方、貯湯余裕量が所定値以上である場合、ステップS405に進む。
【0073】
ステップS405では、貯湯式電気給湯器4により、日中通電指示があるか否かの判断が行われる。ここで、図7に示すように、機器制御装置2において、制御情報が受信され(ステップS301=Yes)、機器制御装置2が対象制御エリア内に位置すると判断され(ステップS302=Yes)、かつ、所定期間内に同一のシーケンス番号の制御情報を既に取得していないと判断された場合には(ステップS303=No)、図7のステップS304において、機器制御装置2から貯湯式電気給湯器4に対して日中通電指示が行われる。このステップS405では、貯湯式電気給湯器4により、図7のステップS304において、機器制御装置2から貯湯式電気給湯器4に対して日中通電指示が行われた否かの判断が行われる。日中通電指示がある場合には、本日の夜間通電は中止して翌日の日中通電を実行するためにステップS406に進む。一方、日中通電指示がない場合には、本日の夜間通電を実行するためにステップS410に進む。
【0074】
ステップS406では、貯湯式電気給湯器4により、日中通電開始時刻となったか否かの判断がされる。貯湯式電気給湯器4は、機器制御装置2から日中通電開始時刻を取得することができる。そして、日中通電開始時刻になっていない場合(ステップS406=No)には、図8の機器制御処理を終了し、ステップS401に戻る。なお、ステップS401に戻った後も、顧客による操作が行われない場合には、日中通電指示がなされているため、再度、ステップS406に戻り、日中通電開始時刻となったか否かを、日中通電開始時刻まで繰り返し判断することとなる。そのため、日中通電指示がされている場合には、日中通電が終了するまで、ステップS410~S412の夜間通電は行われないこととなる。
【0075】
そして、ステップS406において、日中通電開始時刻となったと判断された場合に、貯湯式電気給湯器4は、日中通電開始時刻から日中通電終了時刻まで、配電系統から貯湯式電気給湯器4への通電を行う(ステップS408、S409)。そして、貯湯式電気給湯器4は、日中通電終了時刻になると、ステップS410において、日中通電指示を解除する。そして、図8の機器制御処理を終了し、ステップS401に戻る。
【0076】
また、ステップS405において、日中通電指示がないと判断された場合、すなわち、機器制御装置2が送信サーバー1または他の機器制御装置2から当日の夜間通電についての制御情報を受信していない場合、受信した制御情報が自己の機器制御装置2が位置する対象制御エリア内を対象とするものではない場合、あるいは、所定期間内に同一のシーケンス番号の制御情報を既に取得している場合には、ステップS410に進む。ステップS410では、貯湯式電気給湯器4により、夜間通電開始時刻になったか否かの判断が行われる。本実施形態において、貯湯式電気給湯器4は、夜間(たとえば23時~翌朝7時)の商用電源の電気によって給湯することができるように、夜間給湯用の夜間通電開始時刻(たとえば23時)および深夜通電終了時刻(たとえば7時)の情報を記憶装置に記憶している。そのため、貯湯式電気給湯器4は、記憶装置から読み出した夜間通電開始時刻と、演算装置に備えるクロックから読み出した現在時刻とを比較することで、夜間通電開始時刻になったか否かを判断することができる。夜間通電開始時刻になった場合には、ステップS411に進み、商用電源からの通電が行われる。そして、ステップS412に進み、夜間通電終了時刻となるまで、商用電源からの通電が行われ、夜間の貯湯が行われる。そして、夜間通電終了時刻となると、商用電源からの通電を終了し、図8の機器制御処理を終了してステップS401に戻る。
【0077】
以上のように、図6図8に示す、第2実施形態に係る機器制御処理では、本日の夜間通電開始時刻(たとえば23時)前に、送信サーバー1から制御情報が送信され、翌日の余剰電力量に基づいて翌日の日中通電を行うか否かが判断される。そして、翌日の日中通電を行うと判断された場合には、本日の夜間通電開始時刻(たとえば23時)からの夜間通電は行わずに、翌日の日中通電開始時刻(たとえば10時)から日中通電終了時刻(たとえば16時)までの日中通電を行う。そして、翌日の日中通電終了時刻(たとえば16時)から、翌日の夜間通電開始時刻(たとえば23時)までの間に、再度、送信サーバー1から制御情報が送信され、翌々日の余剰電力量に基づいて翌々日の日中通電を行うか否かが判断される。このように、本実施形態では、毎日、日中通電終了時刻(たとえば16時)から夜間通電開始時刻(たとえば23時)までの間に、図6図8に示す機器制御処理により、その日の夜間通電を行うか、その日の夜間通電は行わずにその次の日の日中通電を行うかの判断が行われることとなる。
【0078】
以上のように、第2実施形態では、太陽光発電エリアに存在する太陽光パネルの発電電力のうち、当該太陽光発電エリアに存在する冷暖房装置や照明装置などの負荷で消費されない余剰電力を、当該太陽光発電エリアに存在する貯湯式電気給湯器4で消費することができ、送電による電力ロスを低減し、かつ、送電系統の負担軽減および安定化を図ることができ、電力供給の低コスト化を実現することもできる。また、太陽光パネルで発電した余剰電力を効率よく貯湯式電気給湯器4で消費できるため、太陽光パネルの数を増やすこともできる。
【0079】
また、第2実施形態に係る機器制御システムでは、図5に示すように、制御エリア全体を複数の制御エリアに分割し、制御エリアごとに制御情報を生成し、機器制御装置2が位置する各制御エリアに応じた制御情報で各機器制御装置2に貯湯式電気給湯器4を制御させることで、各制御エリアにおける太陽光パネルの発電量、各制御エリアにおける電力消費量などに応じて、貯湯式電気給湯器4の通電を細やかに制御することができる。
【0080】
さらに、本実施形態では、日中通電開始時刻から日中通電終了時刻まで、機器制御装置2により配電系統から貯湯式電気給湯器4への通電を行わせ、夜間における商用電源からの通電を抑制する。これにより、太陽光パネルで発電した余剰電力を貯湯式電気給湯器4での給湯に使用することができ、電気の地産地消を図ることができる。特に、本実施形態において、貯湯式電気給湯器4は、余剰電力で生成したお湯を貯湯することができるため、余剰電力で温めたお湯を夜間に使用することができ、その分、貯湯式電気給湯器4の電力消費にかかるコストを低減することもできる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
上述した実施形態では、CPC_Maxが制御情報に含まれており、制御情報をブロードキャスト送信することで、各機器制御装置2で制御情報に含まれるCPC_Maxを参照する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、CPC_Maxを各機器制御装置2の記憶装置に予め記憶しておくことで、CPC_Maxを記憶装置から読み出す構成とすることができる。
【0083】
また、上述した実施形態では、サーバー側無線通信装置11の電波出力を250mWとし、機器側無線通信装置21の電波出力を20mWとする構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、サーバー側無線通信装置11および機器側無線通信装置21の電波出力は適宜設定することができる。特に、本実施形態では、警報装置3または貯湯式電気給湯器4から送信サーバー1に向けて情報を送信するものではないため、比較的容易に、サーバー側無線通信装置11および機器側無線通信装置21の電波出力を大きくすることができる。
【0084】
また、上述した第2実施形態では、昼間での太陽光パネルで発電した電力を貯湯式電気給湯器4での給湯に使用する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、蓄電池を有する場合には、朝の給湯のために蓄電池に蓄えた電力を貯湯式電気給湯器4に深夜に通電させる制御情報を機器制御装置2に送信する構成としてもよい。
【0085】
さらに、上述した第2実施形態では、機器制御装置2が、配電系統から貯湯式電気給湯器4への通電を制御する構成を例示したが、この構成に加えて、たとえば自然災害時に、送信サーバー1から機器制御装置2に、貯湯式電気給湯器4への通電を停止するように制御情報をブロードキャスト送信することもできる。これにより、制御エリア内における自然災害時の電力負荷を抑制することができる。
【0086】
加えて、上述した第2実施形態では、翌日の日中通電を行う場合には、本日の夜間通電を禁止する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば翌日の余剰電力量が少なく、翌日の日中通電だけでは翌日使用されるお湯を賄えない場合には、翌日の日中通電で温められるお湯の分を残して、本日の夜間通電を行う構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0087】
1…送信サーバー
10…処理装置
11…サーバー側無線通信装置
2,2a~2z…機器制御装置
21…機器側無線通信装置
22…制御装置
23…電源装置
3…警報装置
4…貯湯式電気給湯器
図1
図2
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図8