(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 17/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A01D17/00
(21)【出願番号】P 2020069270
(22)【出願日】2020-04-07
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】小畑 真人
(72)【発明者】
【氏名】湯原 光治
(72)【発明者】
【氏名】小林 信也
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-227818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送部分及び第2搬送部分を有し、前記第1搬送部分が回動中心軸を中心として前記第2搬送部分に対して上下方向に回動可能な収穫物搬送手段と、
前記収穫物搬送手段を停止させるための停止部材と、
前記停止部材が接続された抜止接続部材とを備え、
前記回動中心軸は、前記第1搬送部分に固定されかつ前記第2搬送部分の軸挿通孔に挿通され、
前記抜止接続部材は、
前記回動中心軸が前記軸挿通孔から抜け出るのを防止するとともに、
前記第1搬送部分
が前記回動中心軸を中心として上方に回動した際に、前記回動中心軸とともに回動して前記停止部材を引っ張ることにより、クラッチを入状態から切状態に切り換えて前記収穫物搬送手段の作動を停止する
ことを特徴とする収穫機。
【請求項2】
抜止接続部材は、
回動中心軸に固定された固定部と、
停止部材が接続された接続部とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の収穫機。
【請求項3】
固定部は、回動中心軸に嵌合する筒状に形成され、
接続部は、前記固定部の軸方向端部側に設けられている
ことを特徴とする請求項2記載の収穫機。
【請求項4】
停止部材は、クラッチワイヤーであり、
前記クラッチワイヤーの先端部が、接続部の突出部分に接続されている
ことを特徴とする請求項2又は3記載の収穫機。
【請求項5】
抜止接続部材を回動中心軸に対して固定するための固定部材を備える
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品点数の低減を図ることができる収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された収穫機が知られており、この収穫機は、第1搬送部分が左右方向の回動中心軸を中心として第2搬送部分に対して上下方向に回動可能な収穫物搬送手段を備えている。
【0003】
そして、収穫物搬送手段(コンベヤ)は、例えば
図12に示すように、前コンベヤ枠1に固定されかつ支点枠2の円弧状の長孔3に挿通されたワイヤー接続ピン4を備え、このワイヤー接続ピン4にコンベヤ停止用のクラッチワイヤー5が接続されている。また、前コンベヤ枠1に固定された回動中心軸(回動支点)は支点枠2の軸挿通孔に挿通され、この回動中心軸にナット6が螺合されることで抜止用の座金7が支点枠2に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の収穫機の如く円弧状の長孔3を形成した支点枠2やワイヤー接続ピン4等を備える構成では、部品点数が多いという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、部品点数の低減を図ることができる収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の収穫機は、第1搬送部分及び第2搬送部分を有し、前記第1搬送部分が回動中心軸を中心として前記第2搬送部分に対して上下方向に回動可能な収穫物搬送手段と、前記収穫物搬送手段を停止させるための停止部材と、前記停止部材が接続された抜止接続部材とを備え、前記回動中心軸は、前記第1搬送部分に固定されかつ前記第2搬送部分の軸挿通孔に挿通され、前記抜止接続部材は、前記回動中心軸が前記軸挿通孔から抜け出るのを防止するとともに、前記第1搬送部分の上方回動時に前記停止部材を動かすものである。
【0008】
請求項2記載の収穫機は、請求項1記載の収穫機において、抜止接続部材は、回動中心軸に固定された固定部と、停止部材が接続された接続部とを有するものである。
【0009】
請求項3記載の収穫機は、請求項2記載の収穫機において、固定部は、回動中心軸に嵌合する筒状に形成され、接続部は、前記固定部の軸方向端部側に設けられているものである。
【0010】
請求項4記載の収穫機は、請求項2又は3記載の収穫機において、停止部材は、クラッチワイヤーであり、前記クラッチワイヤーの先端部が、接続部の突出部分に接続されているものである。
【0011】
請求項5記載の収穫機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の収穫機において、抜止接続部材を回動中心軸に対して固定するための固定部材を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、部品点数の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る収穫機の左側の側面図である。
【
図6】同上収穫機の格納姿勢の左側の側面図である。
【
図7】(a)ないし(c)は同上収穫機が備える安全体を示す図である。
【
図8】同上収穫機が備える振動手段を示す図である。
【
図9】同上収穫機のコンベヤの一部分解斜視図である。
【
図10】(a)及び(b)は抜止接続部材(コンベヤ受け)の斜視図である。
【
図11】(a)ないし(c)はコンベヤ前側部分の回動図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図11を参照して説明する。
【0015】
図1ないし
図6において、11は農作業機である収穫機で、この収穫機11は、圃場の収穫物(農作物)Wの収穫作業を行うための小型の自走式収穫装置である。収穫対象である収穫物Wは、例えば圃場の土中に生育した略球形状の馬鈴薯である。なお、収穫物Wは、馬鈴薯以外に、例えば薩摩芋、玉葱、人参等でもよい。
【0016】
収穫機11は、機枠12に設置された駆動源であるエンジン13と、このエンジン13からの動力に基づいて作動する左右の走行手段であるクローラ14と、同じくエンジン13からの動力に基づいて作動して収穫物Wを搬送方向(斜め上後方)に搬送可能な収穫物搬送手段であるコンベヤ15と、このコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるための振動手段17とを備えている。
【0017】
そして、コンベヤ15は、前側の第1搬送部分であるコンベヤ前側部分15aと、後側の第2搬送部分であるコンベヤ後側部分15bとを有し、コンベヤ前側部分15aが左右方向の回動中心軸22(22L,22R)を中心としてコンベヤ後側部分15bに対して上下方向に回動可能となっている。
【0018】
具体的には、回動部分であるコンベヤ前側部分15aは、駆動手段であるシリンダ21の伸縮(作動)に基づいて、同軸上に位置した左右2本の回動中心軸22L,22Rを中心としてコンベヤ後側部分15bに対して上下方向に回動可能となっている。そして、コンベヤ前側部分15aは、シリンダ21の伸び動作に基づく上方回動により非作業状態(格納状態)となり、シリンダ21の縮み動作に基づく下方回動により作業状態となる。また、このコンベヤ前側部分15aは、掘取刃23及びゲージ輪24を有し、このゲージ輪24の高さ位置(上下位置)は調整ハンドル25によって調整可能である。
【0019】
また、収穫機11は、作業者が座る左右の座席26と、この各座席26の近傍に設けられたステップ27と、左側の座席26に座った作業者が操作可能な操作手段28と、収穫物収納容器であるコンテナ(収穫物Wが収納される容器)が載置される前コンテナ台29、後コンテナ台30及び補助コンテナ台40とを備えている。
【0020】
前コンテナ台29は座席26よりも前方側に配置され、後コンテナ台30及び補助コンテナ台40が座席26よりも後方側に配置されている。後コンテナ台30は、コンベヤ15のコンベヤ後側部分15bの後端部に設けられている。また、操作手段28は、各種の操作レバーや操作スイッチ等からなるもので、例えば主クラッチレバー61、補助クラッチレバー62、エンジン停止スイッチ63等を有している。
【0021】
さらに、収穫機11は、コンベヤ後側部分15bに対するコンベヤ前側部分15aの上方回動時における作業者の安全を図るための左右の安全体71を備えている。そして、この収穫機11では、シリンダ21の作動により所定位置(例えば上限位置である非作業位置)まで上方回動した非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動を安全体71によって規制可能な構成となっている。つまり、この安全体71は、シリンダ21の故障等による非作業状態のコンベヤ前側部分15aの落下(自重による下方回動)を防止する落下防止機能を兼ね備えたものである。
【0022】
ここで、安全体71は、
図7(a)ないし(c)にも示すように、コンベヤ前側部分15aの側板46(46a)に立設された取付部材(ゲージ輪用の取付フレーム)72に連結ピン73を介して回動可能に連結された長手状の安全カバー部材76と、この安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)に対して固定(ロック)するための固定部材である着脱ピン77とを有している。
【0023】
安全カバー部材76は、作業者が前後の側板46(46a,46b)間で手等を挟まないようにコンベヤ15の両部分15a,15bの側板46(46a,46b)の上方部を同時に覆う断面コ字状の長手状部材である。この安全カバー部材76の後端部の上側には作業用孔(スライド用孔)78が形成され、その後端部の下側には固定用孔79が形成されている。
【0024】
着脱ピン77は、安全カバー部材76に対して着脱可能な頭付きピン部材である。この着脱ピン77は、丸軸状の軸部81と、この軸部81の基端に設けられた頭部82とを有している。軸部81の先端部には先端側孔83が形成され、軸部81の基端部には基端側孔84が形成されている。
【0025】
コンベヤ後側部分15bの側板46(46b)は、鉛直状の側板部86と、この側板部86の上端部から内側(搬送部16側)に向かって突出する上板部87と、この上板部87の内端部から下方に向かって突出する突出板部88とを有している。側板部86の内面の所定部分には補強部材(例えば補強座金等)90が溶接固定されている。これら補強部材90及び側板部86には、固定用孔91,92がそれぞれ形成されている。
【0026】
そして、
図7(a)及び(b)に示すように、作業時には、着脱ピン77は、安全カバー部材76の作業用孔78に挿入され、その後に基端側孔84に挿入されたRピン(抜止用ピン)93によって当該作業用孔78から抜け出ない状態とされ、この状態で、当該着脱ピン77は、シリンダ21の作動に基づくコンベヤ前側部分15aの回動に応じてコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)の上板部87の上面87a上をこの上面87aと線状に接触した状態で当該上面87aに沿ってスライドする。なおこのとき、例えば収穫物W、土、作業者の手等との当接によってRピン93が抜けることがないように、Rピン93は基端側孔84に挿入されて安全カバー部材76内に位置している。
【0027】
また、
図6及び
図7(c)に示すように、非作業時(格納時)には、着脱ピン77は、互いに対向したピン挿入孔である固定用孔79,91,92に挿入され、その後に先端側孔83に挿入されたRピン93によって当該固定用孔79,91,92から抜け出ない状態にされる。そして、この状態において、例えばシリンダ21の故障等が原因で非作業状態のコンベヤ前側部分15aが自重で下方回動しようとした場合でも、コンベヤ後側部分15bに対して固定された固定状態(ロック状態)の安全体71によって非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動が規制され、当該非作業状態が維持される。なおこのとき、Rピン93を着脱ピン77に対して容易に脱着できるように、Rピン93は先端側孔83に挿入されて安全カバー部材76外に位置している。
【0028】
また一方、コンベヤ15は、非作業時に前後の長さが短くできるように互いに回動可能に連結されたコンベヤ前側部分15a及びコンベヤ後側部分15bを有した折畳み可能なもので、圃場における畝の土中に植生した収穫物Wをその土中から掘り取って搬送方向に搬送する掘取搬送装置(収穫物搬送手段)である。
【0029】
そして、このコンベヤ15は、当該コンベヤ15上に収穫物Wとともに搬入された圃場の土を土落下開口(隣り合う搬送バー43間の間隙)20から落下させながら収穫物Wを斜め上後方(搬送方向)に向けて搬送する回行可能な無端状の搬送部16を有している。なお、搬送部16の前側部分はコンベヤ前側部分15aの一部であり、搬送部16の後側部分はコンベヤ後側部分15bの一部である。
【0030】
搬送部16は、前端部に位置する従動ローラ(従動回転体)31と後端部に位置する駆動ローラ(駆動回転体)32とに巻き掛けられ、その駆動ローラ32の駆動回転により所定方向に回行しながら収穫物Wを搬送する。この搬送部16は、複数の土落下開口20から土を落下させながら収穫物Wを搬送する往路面部33を上側に有し、この往路面部(往路面部のうちのベルト部分)33がローラ体(支持体)35と固定ガイド体36とによって下方から支持されている。
【0031】
また、搬送部16は、所定方向に回行する左右一対の帯状の無端部材である無端ベルト(ベルト部分)41と、これら両無端ベルト41間に架設され、当該無端ベルト41とともに回行して収穫物Wを搬送方向に搬送する左右方向長手状の複数本の搬送部材である搬送バー(コンベヤバー)43とを有している。搬送方向に互いに隣り合う搬送バー43間には、圃場に向けて土を落下させるための土落下開口20が存在する。
【0032】
複数本の搬送バー43は、例えば互いに形状等が異なって最下位置(振動ローラ101との当接位置である下端位置)の高さがそれぞれ異なる3種類の搬送バー43a,43b,43cによって構成されており、そのうちの1種類の搬送バー43(43a)が立上りコンベヤバーである。そして、この搬送バー43(43a)は、他の搬送バー43(43b,43c)よりも上方に位置して収穫物Wの転がりを防止する上方突出状の転がり防止部(立上り部)44を有している。
【0033】
さらに、左右のローラ体35は、所定方向に従動回転しながら搬送部16の無端ベルト41の中間部分を下方から支持する中間従動ローラ体である。このローラ体35は、細長板状の固定部材(石避け板)51を含む固定手段50によって、コンベヤ後側部分15bの側板46(46a)の所定部分に固定されている。
【0034】
また一方、振動手段17は、土を振るい落とすためにコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるためのコンベヤ振動装置である。そして、この振動手段17は、少なくとも3つの状態、すなわち例えば搬送部16を第1振動強さ(振幅「20mm」及び振幅「9mm」を有する振動強さ)で振動させる第1振動入状態(振動「強」状態)と、搬送部16を第1振動強さよりも弱い第2振動強さ(振幅「8.2mm」を有する振動強さ)で振動させる第2振動入状態(振動「弱」状態)と、搬送部16に振動を付与しない振動切状態(振動「切」状態)とに選択的に切換可能となっている。
【0035】
ここで、
図8に示すように、振動手段17は、振動入状態時(第1振動入状態時、第2振動入状態時)に搬送部16の搬送バー43との当接に基づいて搬送部16に振動を付与する上下動可能な左右の振動付与体である振動ローラ101と、振動切状態時に振動ローラ101が搬送部16の搬送バー43に当接しないように搬送部16の無端ベルト41を摺動可能(スライド可能)に支持する上下動可能な板状の左右の支持体である支持ガイド102とを有している。
【0036】
また、振動手段17は、この振動手段17の状態を3つの状態のうち選択したいずれか一の状態に切り換えるための回動可能な操作体である操作レバー103を有し、振動ローラ101及び支持ガイド102はその操作レバー103の回動操作に基づく上下動により振動手段17の状態に対応する所定位置に同時に設定される。すなわち、操作レバー103をロックピン104で第1振動入位置に固定することで振動手段17が第1振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で第2振動入位置に固定することで振動手段17が第2振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で振動切位置に固定することで振動手段17が振動切状態にそれぞれ切り換えられる。
【0037】
操作レバー103は、板状のレバー本体部106と、このレバー本体部106に固着されたコ字状枠部107とを有している。L字状のロックピン104は、レバー本体部106のピン用孔108及びコ字状枠部107のピン用孔109に挿入されている。また、ロックピン104のうちコ字状枠部107内に位置する部分には、切換プレート110の孔(第1振動入位置用孔111、第2振動入位置用孔112、振動切位置用孔113)に向けてロックピン104を付勢する付勢部材であるバネ115が装着されている。
【0038】
切換プレート110は、コンベヤ前側部分15aの左側の側板46に固着されている。切換プレート110の前後側には、操作レバー103との当接により当該操作レバー103の回動を規制するストッパ117,118が突設されている。それゆえ、操作レバー103の回動範囲は、前後のストッパ117,118によって制限されている。
【0039】
さらに、振動手段17は、互いに離間対向する左右の側板46間に回動可能に架設された回動軸121を有し、この回動軸121の左側の端部に操作レバー103のレバー本体部106の基端部が固着されている。また、左右の両側板(前コンベヤ枠)46は、連結パイプ120によって連結されている。
【0040】
回動軸121の2箇所には取付板122の基端側が固着され、この取付板122の先端側には円筒状の回転体である振動ローラ101がベアリング100を介して回転可能に取り付けられている。また、回動軸121のうち取付板122よりも外側に位置する部分には、回動体である支持ガイド(ベルト支持ガイド板)102を支持する支持板123が固着されている。それゆえ、操作レバー103の操作による回動軸121の回動に基づいて、振動ローラ101と支持ガイド102とが互いに連動して上下方向に回動する。
【0041】
支持ガイド102は、コンベヤ前側部分15aの側板46に固定された支軸部(回動支点)124を中心として後端側が昇降するように上下方向に回動可能となっている。換言すると、支持ガイド102は、前端側の回動支点を中心として上下方向に回動可能となっている。
【0042】
この支持ガイド102は、1箇所で曲がったへ字状をなす細長板状のガイド本体部126と、このガイド本体部126の前端部に設けられた取付部127と、ガイド本体部126の下面に突設された突出板部128とを有している。そして、取付部127が支軸部124に回動可能に取り付けられ、かつ、ガイド本体部126の下面が支持板123の湾曲状の上端部である支持部130で支持されている。
【0043】
なお、振動ローラ101及び支持ガイド102は、左右の側板46間でかつコンベヤ15の搬送部16の往路面部33及び復路面部34間の位置に配置されているが、操作レバー103は、作業者がコンベヤ15の側方から容易に操作できるように左側の側板46よりも外側の位置に配置されている。
【0044】
次いで、
図9に示すように、コンベヤ前側部分15aが左右の回動中心軸22L,22Rを中心としてコンベヤ後側部分15bに対して上下方向に回動可能なコンベヤ15において、コンベヤ前側部分15aの左側の側板46aには左側の回動中心軸22Lが固定されかつコンベヤ前側部分15aの右側の側板46aには右側の回動中心軸22Rが固定されている。なお、左側の回動中心軸22Lには軸方向に延在するねじ孔131が形成され、また、右側の回動中心軸22Rには径方向に延在するピン用孔132が形成されている。
【0045】
右側の回動中心軸22Rは、
図5及び
図9からみて明かなように、コンベヤ後側部分15bの右側の側板46bの軸挿通孔134及び当該側板46bの外面に固定された固定板135の軸挿通孔136に挿通されている。なお、例えばカラー等の筒状部材を回動中心軸22Rの外周側に配置するようにしてもよい。
【0046】
そして、回動中心軸22Rの先端側には、コンベヤ前側部分15aが回動中心軸22Rを中心として上方に回動した際にコンベヤ15を停止させるための停止部材であるクラッチワイヤー139の先端部が接続された抜止接続部材(抜止部材兼ワイヤー接続部材)141が固定部材である固定ピン140によって固定されている。
【0047】
つまり、この抜止接続部材141は、コンベヤ前側部分15aに固定されかつコンベヤ後側部分15bの軸挿通孔134,136に挿通された回動中心軸22Rが当該軸挿通孔134,136から抜け出るのを防止するとともに、コンベヤ前側部分15aの上方回動時(非作業状態への回動時)に回動中心軸22Rとともに回動してクラッチワイヤー139を引っ張ってコンベヤ15の作動を停止させるものである。
【0048】
なお、クラッチワイヤー139の基端側は、図示しないが、コンベヤ停止用のクラッチに接続されており、コンベヤ前側部分15aの上方回動時にクラッチワイヤー139が抜止接続部材141によって引っ張られることで当該クラッチが切れてコンベヤ15の搬送部16が停止する。また、クラッチワイヤー139は、先端側及び基端側を除く部分がカバー部材138で覆われている。
【0049】
そして、
図10に示すように、抜止接続部材141は、固定ピン140によって回動中心軸22Rに固定され当該回動中心軸22Rと同軸上に位置する円筒状の固定部142と、この固定部142に一体的に設けられた接続部143とを有し、この接続部143のピン部分(突出部分)144にクラッチワイヤー139の先端部が接続される。
【0050】
固定部142は、丸軸状の回動中心軸22Rの外周側に嵌合する両端面開口状の円筒状に形成されている。この固定部142には、回動中心軸22Rのピン用孔132と対向(一致)する2つのピン用孔146が形成されている。そして、互いに対向したピン用孔132,146に固定ピン140が径方向外方から挿入されることにより、抜止接続部材141が回動中心軸22Rに対して固定される。
【0051】
接続部143は、固定部142の軸方向端部の外周側に固着された板状部分147と、この板状部分147の先端側に板厚方向に突設された突出状のピン部分144とを有している。このピン部分144の基端部は、板状部分147に形成された嵌合孔148に嵌合固定され、また、ピン部分144の先端部には径方向に延在する割ピン用孔149が形成されている。なお、ピン部分144の軸方向と回動中心軸22Rの軸方向とは互いに平行である。
【0052】
そして、クラッチワイヤー139の先端部に形成された環状部139a内にピン部分144が嵌入(挿入)され、その後に割ピン(ピン部材)150が割ピン用孔149に挿入されて装着されることにより、当該クラッチワイヤー139の環状部139aが接続部143のピン部分144に対して回動可能に嵌合接続される(
図5参照)。なお、当該図示した例では割ピン150を用いたが、例えばC字状やE字状等の各形状をなす止め部材等を用いてよい。
【0053】
左側の回動中心軸22Lは、上述した右側の回動中心軸22Rと同様、コンベヤ後側部分15bの左側の側板46bの軸挿通孔134及び当該側板46bの外面に固定された固定板135の軸挿通孔136に挿通されている。そして、左側の回動中心軸22Lには、右側の回動中心軸22Rとは異なりねじ孔131が形成されており、このねじ孔131にボルト151が螺合されることによって抜止用の座金152が固定板131に対して固定されている。なお、左右の固定板135には、機枠12の取付板153がボルト等の取付具154によって取り付けられている(
図5参照)。
【0054】
ここで、
図11(a)ないし(c)はコンベヤ後側部分15bに対するコンベヤ前側部分15aの回動図で、
図11(a)に示すワイヤー長さ(クラッチワイヤー139のうち先端側部分の長さ)Laは例えば「109mm」、
図11(b)に示すワイヤー長さLbは例えば「117mm」、
図11(c)に示すワイヤー長さLcは例えば「119mm」である。
【0055】
そして、コンベヤ15の搬送部16が作動(回行)している状態時において、コンベヤ15のコンベヤ前側部分15aは、
図11(a)ないし(c)に示すように、シリンダ21の伸び動作に基づき、回動中心軸22(22L,22R)を中心としてコンベヤ後側部分15bに対して所定位置まで上方に回動し、所望の非作業状態になる。
【0056】
このとき、抜止接続部材141は、回動中心軸22Rの抜け止めとして機能しつつ、当該回動中心軸22Rとともに回動してクラッチワイヤー139の引き上げを行う。その結果、コンベヤ停止用のクラッチが入状態から切状態に切り換わり、コンベヤ15の搬送部16が停止する。
【0057】
なお、シリンダ21の縮み動作により、コンベヤ前側部分15aが回動中心軸22(22L,22R)を中心として下方に回動して作業状態に戻ると、クラッチワイヤー139も元の状態に戻り、その結果、クラッチが入状態になってコンベヤ15の搬送部16が作動する。なお当該構成には限定されず、例えばコンベヤ15を再度作動させるために作業者によるレバー操作が必要な構成等でもよい。
【0058】
次に、上述した収穫機11の作用等を説明する。
【0059】
圃場においてクローラ14の作動により左右のゲージ輪24が畝の裾部分を走行するように収穫機11を前方(
図1に示す進行方向)に移動させると、圃場の畝の土中の収穫物Wはコンベヤ前側部分15aの掘取刃23によってその畝の土中から掘り取られ、この掘り取られた収穫物Wは、コンベヤ前側部分15a及びコンベヤ後側部分15bに亘って位置する搬送部16によって搬送方向に向かって搬送され、この搬送途中で座席26に座った作業者の手作業により当該搬送部16上から取り上げられてコンテナ内に収納される。
【0060】
ここで、例えば圃場の端部で折り返す場合等において、コンベヤ15の搬送部16が作動している状態で、
図11に示すように、シリンダ21によりコンベヤ前側部分15aを回動中心軸22を中心として上方回動させると、クラッチワイヤー139が抜止接続部材141によってバネ等の付勢部材(図示せず)の付勢力に抗して引っ張られてクラッチが切れ、コンベヤ15の搬送部16の作動が一旦停止する。
【0061】
そして、コンベヤ15の搬送部16が停止した状態でクローラ14により旋回した後、コンベヤ前側部分15aを回動中心軸22を中心として下方回動させると、クラッチワイヤー139がバネ等の付勢部材(図示せず)の付勢力によって元の状態に戻されてクラッチが入り、コンベヤ15の搬送部16が再び作動する。よって、収穫物Wの収穫作業を再開できる。なお、クラッチワイヤー139として例えばプッシュプルワイヤーを用いてもよく、この場合、プッシュプルワイヤーは抜止接続部材141によって押し戻されて元の状態になる。
【0062】
また、例えば作業終了後においては、
図6や
図7(c)等に示すように、シリンダ21によりコンベヤ前側部分15aを上方回動させて非作業状態にした後、着脱ピン77を固定用孔79,91,92に挿入しかつRピン93を着脱ピン77の先端側孔83に挿入することにより、安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bの側板46bに対して固定する。これにより、安全体71を用いて非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動を規制(防止)することが可能となる。また、この
図6に示す状態とした小型かつ軽量の収穫機11は、小型貨物車両である軽トラックの荷台に載せることが可能である。
【0063】
そして、このような収穫機11によれば、回動中心軸22Rが軸挿通孔134,136から抜け出るのを防止するとともにコンベヤ前側部分15aの上方回動時にクラッチワイヤー139を動かす抜止接続部材141を備えるため、部品点数の低減を図ることができ、よって軽量化やコスト削減等を図ることができる。
【0064】
また、抜止接続部材141は、回動中心軸22Rに固定された筒状の固定部142と、クラッチワイヤー139が接続された接続部143とを有するものであるから、抜止接続部材141が回動中心軸22Rと一体となって回動することでクラッチワイヤー139を適切に操作できる。
【0065】
さらに、固定ピン140をピン用孔132,146に挿入するだけで、抜止接続部材141を回動中心軸22Rに固定できるため、抜止接続部材141の取り付けが容易である。
【0066】
また一方、シリンダ21の故障等により非作業状態(格納状態)のコンベヤ前側部分15aが自重でコンベヤ後側部分15bに対して下方回動しようとした場合でも、非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動(自重による落下)が固定状態の安全体71によって規制されるため、安全体71とは別体の落下防止部材が不要であり、その分部品点数の低減を図ることができ、よって軽量化やコスト削減等をより一層図ることができる。
【0067】
また、着脱ピン77を作業用孔78から固定用孔79,91,92に差し替えることで、安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bに対して容易かつ確実に固定でき、しかも、作業者は着脱ピン77の差し替えによって安全カバー部材76の固定を確認(意識)でき、固定のし忘れを防止できる。
【0068】
さらに、着脱ピン77は、その下端がコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)の上板部87の上面87aと線状に接触した状態でスライドするため、例えば当該上面87aと面状に接触してスライドする構成等に比べて摩擦抵抗が少なくスムーズにスライドできる。なお、例えば着脱ピン77が回転しながら当該上面87a上を移動するようにしてもよい。
【0069】
なお、上記実施の形態では、抜止接続部材は、回動中心軸に固定される固定部に接続部を固着した構成について説明したが、例えば固定部に接続部を一体に設けた構成でもよく、また例えば接続部の板状部分に突出部分(ピン部分等)を一体に設けた構成等でもよい。
【0070】
また、固定ピンによって抜止接続部材が回動中心軸に固定された構成には限定されず、例えばピン以外の固定部材で固定された構成でもよく、また例えばねじや溶接等で固定した構成等でもよい。
【符号の説明】
【0071】
11 収穫機
15 収穫物搬送手段であるコンベヤ
15a 第1搬送部分であるコンベヤ前側部分
15b 第2搬送部分であるコンベヤ後側部分
22R 回動中心軸(右側)
134,136 軸挿通孔
139 停止部材であるクラッチワイヤー
140 固定部材である固定ピン
141 抜止接続部材
142 固定部
143 接続部
144 突出部分であるピン部分