(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】感覚有毛細胞死を予防または処置するための化合物の結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07D 495/18 20060101AFI20231206BHJP
A61K 31/46 20060101ALI20231206BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231206BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20231206BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C07D495/18 CSP
A61K31/46
A61P13/12
A61P27/16
A61P43/00 105
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020512351
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018049113
(87)【国際公開番号】W WO2019046731
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-23
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514104933
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ワシントン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,グラハム
(72)【発明者】
【氏名】アレト,エドウィン
(72)【発明者】
【氏名】チェスノコフ,アレクセイ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/127123(WO,A2)
【文献】Journal of Pharmaceutical Sciences,2010年,Vol. 99,pp. 2948-2961
【文献】芦澤 一英、他,医薬品の多形現象と晶析の科学,丸善プラネット株式会社,2002年,第305-317頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特徴的なピークを7.6° 2シータ、10.6° 2シータ、15.0° 2シータ、16.0° 2シータ、16.8° 2シータ、17.7° 2シータ、21.9° 2シータ、および22.5° 2シータに有するX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結
晶。
【請求項2】
前記結晶は溶媒和されていない、請求項1に記載の結晶。
【請求項3】
前記結晶は無水物である、請求項1または2に記載の結晶。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含む、医薬組成物。
【請求項5】
アミノグリコシド系抗生物質をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記アミノグリコシド系抗生物質は、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
アミノグリコシド系抗生物質の投与を受けている個体の腎損傷から保護するための医薬組成物を製造するための、請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶の使用。
【請求項8】
個体における難聴を予防または処置するための医薬組成物を製造するための、請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶の使用。
【請求項9】
個体における感覚有毛細胞死を予防または処置するための医薬組成物を製造するための、請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶の使用。
【請求項10】
前記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連する、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
前記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連する、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記聴器毒性剤は、アミノグリコシド系抗生物質、化学療法剤、ループ利尿薬、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシド、抗マラリア薬キニーネ、サリシレート、またはインターフェロンポリペプチドである、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2017年9月1日付で提出された米国仮出願第62/553,568号の利益を主張し、その全体を引用により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
アミノグリコシドは、用量依存的に感音難聴を引き起こす臨床用薬剤であり(Smith et al.,New Engl J Med,(1977)296:349-53)、哺乳動物の内耳にある有毛細胞を死滅させることが知られている(Theopold,Acta Otolaryngol(1977)84:57-64)。米国では、毎年2,000,000人を超える人が、アミノグリコシドによる処置を受けている。この抗生物質は、薬剤耐性細菌感染の処置において臨床的に有効であり、かつ安価であるために、聴器毒性が知られているにもかかわらず、世界中で使い続けられている。この薬剤が患者集団に及ぼす前庭毒性作用の発生頻度については、あまり研究されていない。アミノグリコシド誘発性前庭毒性の患者における文献での続報によると、3%~6%であると推定される(Dhanireddy et al.,Arch Otolarngol Head Neck Surg(2005)131:46-48)。アミノグリコシド以外にも、臨床上重要であり広く使用される薬剤で、聴器毒性作用が確認されているものがあり、たとえば、シスプラチン(Allen,et al.,Otolaryngol Head Neck Surg(1998)118:584-588)、ループ利尿薬(Greenberg,Am J Med Sci,(2000)319:10-24)、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシド(すなわち、アルテミシニン(artemesinin))(Toovey and Jamieson,Trans R Soc Trop Med Hyg(2004)98:261-7)、抗マラリア薬キニーネ(Claessen,et al.,Trop Med Int Health,(1998)3:482-9)、サリシレート(Matz,Ann Otol Rhinol Laryngol Suppl(1990)148:39-41)、およびインターフェロンポリペプチド(Formann,et al.,Am J Gastroenterol(2004)99:873-77)である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
本明細書中に記載されるのは、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドの、製薬学的に許容される塩(製薬学的に許容される溶媒和物(水和物を含む)、多形体、およびアモルファス相を含む)、およびその使用方法である。また、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドの、製薬学的に許容される脂肪族または芳香族スルホン酸塩(製薬学的に許容される溶媒和物(水和物を含む)、多形体、およびアモルファス相を含む)、およびその使用方法も記載される。また、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドの、製薬学的に許容されるメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、または1,2-エタンジスルホン酸塩(製薬学的に許容される溶媒和物(水和物を含む)、多形体、およびアモルファス相を含む)、およびその使用方法も記載される。また、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドの、製薬学的に許容されるメタンスルホン酸塩(製薬学的に許容される溶媒和物(水和物を含む)、多形体、およびアモルファス相を含む)、およびその使用方法も記載される。いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメタンスルホン酸塩の結晶形態、およびその使用方法が記載される。
【0004】
本明細書中に記載されるいくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドの、製薬学的に許容されるメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、または1,2-エタンジスルホン酸塩(製薬学的に許容される溶媒和物(水和物を含む)、多形体、およびアモルファス相を含む)は、感覚有毛細胞死の予防もしくは処置、または難聴の予防もしくは処置、またはアミノグリコシド系抗生物質の投与を受けている個体の腎損傷からの保護を目的とした薬物の製造において使用される。いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドの、製薬学的に許容されるメタンスルホン酸塩(製薬学的に許容される溶媒和物(水和物を含む)、多形体、およびアモルファス相を含む)は、感覚有毛細胞死の予防もしくは処置、または難聴の予防もしくは処置、またはアミノグリコシド系抗生物質の投与を受けている個体の腎損傷からの保護を目的とした薬物の製造において使用される。
【0005】
一態様において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物が記載される。
【0006】
一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は、以下の特性:
(a)
図1中に示されるものと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(b)特徴的なピークを7.6° 2シータ、10.6° 2シータ、15.0° 2シータ、16.0° 2シータ、16.8° 2シータ、17.7° 2シータ、21.9° 2シータ、および22.5° 2シータに有するX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)
図2中に示されるものと実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)
図5中に示されるものと実質的に類似する赤外(IR)スペクトル、
(e)約1698cm
-1、1537cm
-1、1494cm
-1、1159cm
-1、1039cm
-1、830cm
-1、および784cm
-1にピークを有する赤外(IR)スペクトル、または
(f)それらの組み合わせ
のうち少なくとも1つを有するものが記載される。
【0007】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は、
図1中に示されるものと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有するものが記載される。
【0008】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は、特徴的なピークを7.6° 2シータ、10.6° 2シータ、15.0° 2シータ、16.0° 2シータ、16.8° 2シータ、17.7° 2シータ、21.9° 2シータ、および22.5° 2シータに有するX線粉末回折(XRPD)パターンを有するものが記載される。
【0009】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は、
図2中に示されるものと実質的に類似する熱重量分析(TGA)を有するものが記載される。
【0010】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は、
図5中に示されるものと実質的に類似する赤外(IR)スペクトルを有するものが記載される。
【0011】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は、約1698cm-1、1537cm-1、1494cm-1、1159cm-1、1039cm-1、830cm-1、および784cm-1にピークを有する赤外(IR)スペクトルを有するものが記載される。
【0012】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は、(a)
図1中に示されるものと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、(b)特徴的なピークを7.6° 2シータ、10.6° 2シータ、15.0° 2シータ、16.0° 2シータ、16.8° 2シータ、17.7° 2シータ、21.9° 2シータ、および22.5° 2シータに有するX線粉末回折(XRPD)パターン、(c)
図2中に示されるものと実質的に類似する熱重量分析(TGA)、(d)
図5中に示されるものと実質的に類似する赤外(IR)スペクトル、ならびに(e)約1698cm
-1、1537cm
-1、1494cm
-1、1159cm
-1、1039cm
-1、830cm
-1、および784cm
-1にピークを有する赤外(IR)スペクトル、という特性を有することを特徴とするものが記載される。
【0013】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は、トルエン、水、アセトニトリル、アセトニトリル/水、アセトン、アセトン/水、tert-ブチルメチルエーテル、2-ブタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン/水、または2-メチルテトラヒドロフランから得られるものが記載される。
【0014】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は、アセトニトリル、アセトニトリル/水、酢酸エチル、またはテトラヒドロフランから得られるものが記載される。
【0015】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態はアセトニトリルから得られるものが記載される。
【0016】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態であって、上記結晶形態は溶媒和されていないものが記載される。
【0017】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物であって、上記結晶形態は無水物であるものが記載される。
【0018】
別の一態様において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含む医薬組成物が記載される。
【0019】
別の一態様において、医薬品に使用するための、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物を含む医薬組成物が記載される。
【0020】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレートまたはその溶媒和物が記載される。
【0021】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレートまたはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含む医薬組成物が記載される。
【0022】
いくつかの実施形態において、医薬品に使用するための、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレートまたはその溶媒和物が記載される。
【0023】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレートであって、上記メシレートは結晶であるものが記載される。
【0024】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレートであって、上記メシレートはアモルファスであるものが記載される。
【0025】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質をさらに含む医薬組成物が記載される。
【0026】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択されるアミノグリコシド系抗生物質をさらに含む医薬組成物が記載される。
【0027】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、ストレプトマイシンをさらに含む医薬組成物が記載される。
【0028】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、ネオマイシンをさらに含む医薬組成物が記載される。
【0029】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミカシンをさらに含む医薬組成物が記載される。
【0030】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、ゲンタマイシンをさらに含む医薬組成物が記載される。
【0031】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、カナマイシンをさらに含む医薬組成物が記載される。
【0032】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、トブラマイシンをさらに含む医薬組成物が記載される。
【0033】
いくつかの実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択されるアミノグリコシド系抗生物質をさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるストレプトマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるネオマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるフラマイセチンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるパロモマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるパロモマイシン硫酸塩をさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるリボスタマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるカナマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるアミカシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるアルベカシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるベカナマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるジベカシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるトブラマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるスペクチノマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるハイグロマイシンBをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるゲンタマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、ネチルマイシンから選択されるアミノグリコシド系抗生物質をさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるシソマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるイセパマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるベルダマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-
4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物と、製薬学的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤から選択される少なくとも1種の不活性成分とを含み、アミノグリコシド系抗生物質であるアストロマイシンをさらに含み、経口、静脈内、筋肉内、または皮下投与用に配合される医薬組成物が記載される。
【0034】
いくつかの実施形態において、アミノグリコシド系抗生物質の投与を受けている個体の腎損傷からの保護方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含む、方法が記載される。いくつかの実施形態において、アミノグリコシド系抗生物質の投与を受けている個体の腎損傷からの保護方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物と、製薬学的に許容される賦形剤と、を上記個体に投与する工程を含む、方法が記載される。
【0035】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含む、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物と、製薬学的に許容される賦形剤と、を上記個体に投与する工程を含む、方法が記載される。
【0036】
いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含む、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物と、製薬学的に許容される賦形剤と、を上記個体に投与する工程を含む、方法が記載される。
【0037】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が記載される。
【0038】
いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が記載される。
【0039】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤は、アミノグリコシド系抗生物質、化学療法剤、ループ利尿薬、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシド、抗マラリア薬キニーネ、サリシレート、またはインターフェロンポリペプチドである、方法が記載される。
【0040】
いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤は、アミノグリコシド系抗生物質、化学療法剤、ループ利尿薬、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシド、抗マラリア薬キニーネ、サリシレート、またはインターフェロンポリペプチドである、方法が記載される。
【0041】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質である、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質である、方法が記載される。
【0042】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であリ、上記アミノグリコシド系抗生物質は、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択される、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であリ、上記アミノグリコシド系抗生物質は、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択される、方法が記載される。
【0043】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はストレプトマイシンである、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はストレプトマイシンである、方法が記載される。
【0044】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はネオマイシンである、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はネオマイシンである、方法が記載される。
【0045】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はアミカシンである、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はアミカシンである、方法が記載される。
【0046】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はゲンタマイシンである、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はゲンタマイシンである、方法が記載される。
【0047】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はカナマイシンである、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はカナマイシンである、方法が記載される。
【0048】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はトブラマイシンである、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤はアミノグリコシド系抗生物質であり、上記アミノグリコシド系抗生物質はトブラマイシンである、方法が記載される。
【0049】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤は化学療法剤である、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤は化学療法剤である、方法が記載される。
【0050】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤は化学療法剤であり、上記化学療法剤はシスプラチンである、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤は化学療法剤であり、上記化学療法剤はカルボプラチンである、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤は化学療法剤であり、上記化学療法剤はシスプラチンである、方法が記載される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメシレート塩の結晶形態またはその溶媒和物もしくは水和物を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連し、上記聴器毒性剤は化学療法剤であり、上記化学療法剤はカルボプラチンである、方法が記載される。
【0051】
本明細書中に記載される方法および組成物の他の目的、特徴、および利点が、以下に記載される詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体例は、具体的な実施形態を示すものであり、例示目的のみにて記載されることが理解される。というのは、この詳細な説明から、当業者には、本開示の思想および範囲の範疇での様々な変更および改変が明らかとなると考えられるためである。本明細書中の小見出しは、明細書構成上の目的でのみ用いられるものであり、記載される要件を限定していると解釈されるべきではない。
【0052】
引用による援用
本明細書中において言及されるすべての出版物、特許、および特許出願を、適切かつ妥当な程度にて、かつ、個々の出版物、特許、または特許出願の具体的かつ個別の引用による援用と同程度にて、本明細書に引用により援用する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】結晶性の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート塩のXRPDスペクトルを示す。
【
図2】結晶性の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート塩のTGA/DSC複合サーモグラムを示す。
【
図3】結晶性の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート塩の動的水蒸気吸着(DVS)研究の結果を示す。
【
図4】DVS分析前後の結晶性の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート塩のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す(上パターン=DVS前、下パターン=DVS後)。
【
図5】結晶性の(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート塩の赤外(IR)スペクトルを示す。
【
図6】(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート塩の
1H NMRスペクトルを示す。
【
図7】(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート塩のHPLCクロマトグラムを示す。
【
図8】(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート塩中に存在するカチオンの高解像度質量スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
発明の詳細な説明
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される化合物およびこの化合物を含む組成物は、感覚有毛細胞死の予防または処置に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される化合物およびこの化合物を含む組成物は、難聴の予防または処置に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される化合物およびこの化合物を含む組成物は、アミノグリコシド系抗生物質の投与を受けている個体の腎損傷からの保護に有用である。
【0055】
化合物B、およびその製薬学的に許容される塩
一実施形態において、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドが記載される。化合物Bとは、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドの遊離塩基形態である。「化合物B」または「(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド」は、下記の構造を有する化合物を指す。
【0056】
【0057】
化合物Bは、代替的に、(1R,8S)-4-{[(4-クロロフェニル)カルバモイル]アミノ}-11-メチル-5-チア-11-アザトリシクロ[6.2.1.02,6]ウンデカ-2(6),3-ジエン-3-カルボキサミド、または(4R,6S)-2-[[[(4-クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ]-4,5,6,7-テトラヒドロ-5-メチル-4,6-エタノチエノ[3,2-c]ピリジン-3-カルボキサミドとも称され得る。
【0058】
多種多様の製薬学的に許容される塩が、化合物Bから形成され、こうした塩には、以下が含まれる。
【0059】
・化合物Bと、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸、アミノ酸などを含む有機酸との反応によって形成される酸付加塩。脂肪族および芳香族スルホン酸には、たとえば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、および1,2-エタンジスルホン酸などが含まれる。
【0060】
・化合物Bと、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、および亜リン酸などを含む無機酸との反応によって形成される酸付加塩。
【0061】
用語「製薬学的に許容される塩」は、化合物Bに言及して用いられる場合、これを投与した哺乳動物において著しい刺激を引き起こさず、かつ、この化合物の生物学的活性および特性を実質的に無くすことのない、化合物Bの塩を指す。
【0062】
製薬学的に許容される塩に言及される場合、その溶媒付加形態(溶媒和物)が含まれることが理解される。溶媒和物は、化学量論組成量または非化学量論組成量の溶媒を含有しており、生成物が形成される過程、または水、エタノール、メタノール、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、ジイソプロピルエーテル(DIPE)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ニトロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、ヘプタン、トルエン、アニソール、およびアセトニトリルなどの製薬学的に許容される溶媒と共に分離される過程において形成される。一態様において、溶媒和物は、クラス3の溶媒を使用して形成されるが、これに限定されない。一態様において、溶媒和物は、クラス2の溶媒を使用して形成されるが、これに限定されない。溶媒のクラス分けは、たとえば、日米EU医薬品規制調和国際会議(the International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use;ICH)、“不純物:残留溶媒に関するガイドライン(Impurities:Guidelines for Residual Solvents)Q3C(R6)”(2016年10月)中に定義される。水和物は、溶媒が水である場合に形成され、アルコラートは、溶媒がアルコールである場合に形成される。いくつかの実施形態において、化合物Bの製薬学的に許容される塩の溶媒和物は、好都合には、本明細書中に記載されるプロセスの間に調製または形成される。いくつかの実施形態において、化合物Bの製薬学的に許容される塩の溶媒和物は、無水物である。いくつかの実施形態において、化合物Bの製薬学的に許容される塩は、溶媒和されていない形態で存在する。いくつかの実施形態において、化合物Bの製薬学的に許容される塩は、溶媒和されていない形態で存在し、無水物である。
【0063】
一実施形態において、化合物Bの製薬学的に許容される塩は、脂肪族または芳香族スルホン酸塩である。一実施形態において、化合物Bの製薬学的に許容される塩は、メタンスルホネート塩(またはメシレート塩)、エタンスルホネート塩、ベンゼンスルホネート塩(またはベシレート塩)、p-トルエンスルホネート塩(またはトシレート塩)、または1,2-エタンジスルホネート塩(またはエジシレート塩)である。一実施形態において、化合物Bの製薬学的に許容される塩は、メタンスルホネート塩(またはメシレート塩)である。
【0064】
化合物1
化合物Bのメタンスルホネート塩は、本明細書中において「化合物1」と称される。化合物1は、代替的には、「メタンスルホネート」、「メシレート塩」、「メシレート」、「(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート」、「(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート塩」、「(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メタンスルホネート塩」、または「(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メタンスルホネート」と称される。
【0065】
他の実施形態において、化合物1は、アモルファス相、結晶形態、粉砕形態、およびナノ粒子形態を含むがこれらに限定されない多様な形態で調製される。
【0066】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、特定の固体形態は、製薬学的および治療的な投薬形態にとって適切な物理的特性(たとえば安定性、溶解度、および溶解速度など)を有することを特徴とする。また、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、特定の固体形態は、特定の固体形態が固体投薬形態製造に好適なものとなるようにする特定のプロセス(たとえば、収量(yield)、ろ過、洗浄、乾燥、粉砕、混合、打錠、流動性、溶解、配合、および凍結乾燥)に影響を及ぼす物理的特性(たとえば、密度、圧縮率、硬度、形態、劈開、粘着性、溶解度、水取り込み、電気的特性、熱挙動、固体反応性、物理的安定性、および化学的安定性)を有することを特徴とする。こうした特性は、本明細書中に記載されかつ当技術分野において知られる特定の分析化学技術(固体分析技術(たとえば、X線回折、顕微鏡検査、分光学、および熱分析)を含む)によって求めることができる。
【0067】
アモルファス化合物1
いくつかの実施形態において、化合物1はアモルファスである。いくつかの実施形態において、化合物1はアモルファスかつ無水物である。いくつかの実施形態において、アモルファス化合物1は、そのX線粉末回折(XRPD)パターンが、結晶化度の不足を示す。
【0068】
結晶形態
製薬学的化合物の固体形態の確認および選択は、複雑である。というのは、固体形態における変化によって、数ある重要な製薬学的特徴のなかでもとりわけ加工、配合、安定性、バイオアベイラビリティ、保存、および取り扱い(たとえば輸送)を利し得るまたは損ない得る多様な物理的および化学的特性が影響を受け得るためである。有用な製薬学的固体には、得られる製品およびその投与様式に依存して、結晶性固体およびアモルファス固体が含まれる。アモルファス固体は長距離構造秩序の欠如を特徴とし、結晶性固体は構造の周期性を特徴とする。いずれに分類される製薬学的固体が望ましいかは、具体的な用途によって決まる。アモルファス固体は、たとえば溶解特性が良好であるために選択されることがあり、結晶性固体は、たとえば物理的または化学的安定性などの特性があるために望ましいとされ得る。
【0069】
結晶であるかアモルファスであるかにかかわらず、製薬学的化合物の固体形態には、単一成分固体および複数成分固体が含まれる。単一成分固体は、本質的に製薬学的化合物または活性成分からなり、それ以外の化合物は含まない。単一成分結晶性材料が多様であるのは、ある特定の製薬学的化合物に複数の三次元配置が存在するという多形現象に起因し得る。
【0070】
とりわけ、化合物の結晶形態が存在するか否かでさえ事前に予測することが不可能であるから、それを調製することが不可能であることは言うまでもない(たとえば、Braga and Grepioni,2005,“Making crystals from crystals:a green route to crystal engineering and polymorphism,”Chem.Commun.:3635-3645(結晶工学においては、指導書が十分に正確でない場合、および/または他の外部要因がプロセスに影響を及ぼす場合には、結果の予測は不可能となり得る);Jones et al.,2006,Pharmaceutical Cocrystals:An Emerging Approach to Physical Property Enhancement,”MRS Bulletin 31:875-879(現時点では、最も単純な分子についてさえ、その観察可能な多形体の数を計算により予測することは一般的に不可能である);Price,2004,“The computational prediction of pharmaceutical crystal structures and polymorphism,”Advanced Drug Delivery Reviews 56:301-319(“Price”);and Bernstein,2004,“Crystal Structure Prediction and Polymorphism,”ACA Transactions 39:14-23(結晶構造、まして多形形態を予測できると確信をもって述べ得るためには、明らかにすべきこと、実施すべきことが多く残されている)を参照)。
【0071】
可能な固体形態が多様であるため、所与の製薬学的化合物の物理的および化学的特性も多様であり得る。固体形態を発見および選択することは、有効、安定、かつ市場性のある医薬品の開発において、非常に重要である。
【0072】
結晶性化合物1
いくつかの実施形態において、化合物1は結晶である。いくつかの実施形態において、化合物1は、結晶でありかつ無水物である。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、以下の特性:
(a)
図1中に示されるものと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(b)特徴的なピークを7.6° 2シータ、10.6° 2シータ、15.0° 2シータ、16.0° 2シータ、16.8° 2シータ、17.7° 2シータ、21.9° 2シータ、および22.5° 2シータに有するX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)
図2中に示されるものと実質的に類似する熱重量分析(TGA)、
(d)
図5中に示されるものと実質的に類似する赤外(IR)スペクトル、
(e)約1698cm
-1、1537cm
-1、1494cm
-1、1159cm
-1、1039cm
-1、830cm
-1、および784cm
-1にピークを有する赤外(IR)スペクトル、または
(f)それらの組み合わせ
のうち少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0073】
いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(e)から選択される少なくとも2つの特性を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(e)から選択される少なくとも3つの特性を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(e)から選択される少なくとも4つの特性を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(e)から選択される少なくとも5つの特性を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(e)から選択される少なくとも6つの特性を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、特性(a)~(e)を有することを特徴とする。
【0074】
いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、
図1中に示されるものと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、特徴的なピークを7.6° 2シータ、10.6° 2シータ、15.0° 2シータ、16.0° 2シータ、16.8° 2シータ、17.7° 2シータ、21.9° 2シータ、および22.5° 2シータに有するX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、
図2中に示されるものと実質的に類似する熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、
図5中に示されるものと実質的に類似する赤外(IR)スペクトルを有する。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、弱いピークを約1698cm
-1、1537cm
-1、1494cm
-1、1159cm
-1、1039cm
-1、830cm
-1、および784cm
-1に有する赤外(IR)スペクトルを有する。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、わずかに吸湿性を有する。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、トルエン、水、アセトニトリル、アセトニトリル/水、アセトン、アセトン/水、tert-ブチルメチルエーテル、2-ブタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン/水、または2-メチルテトラヒドロフランから得られる。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、アセトニトリル、アセトニトリル/水、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、またはテトラヒドロフラン/水から得られる。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は溶媒和されている。いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は溶媒和されていない。
【0075】
結晶性化合物1の調製
いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形態は、実施例中に概説されるとおりに調製される。注目すべきは、本明細書中に提示される溶媒、温度、および他の反応条件は変更されてよいということである。
【0076】
特定の実施形態において、化合物1の固体形態の形成方法であって、1)溶媒中に化合物Bを含むスラリーを得る工程と、2)同じまたは異なる溶媒中にメタンスルホン酸が溶解された溶液を、ある温度において添加する工程と、3)得られる混合物を、同じまたは異なる温度において、ある期間維持する工程と、4)化合物1を含む得られる固体を集める工程とを含む方法が提供される。特定の実施形態において、化合物1の固体形態の形成方法であって、1)アセトニトリル中に化合物Bを含むスラリーを得る工程と、2)アセトニトリル中にメタンスルホン酸が溶解された溶液を、ある温度において添加する工程と、3)得られる混合物を、同じまたは異なる温度において、ある期間維持する工程と、4)化合物1を含む得られる固体を集める工程とを含む方法が提供される。特定の実施形態において、化合物1の固体形態の形成方法であって、1)アセトニトリル中に化合物Bを含むスラリーを得る工程と、2)アセトニトリル中にメタンスルホン酸が溶解された溶液を約40℃において添加する工程と、3)得られる混合物を約40℃において、ある期間維持する工程と、4)化合物1を含む得られる固体を集める工程とを含む方法が提供される。特定の実施形態において、化合物1の固体形態の形成方法であって、1)アセトニトリル中に化合物Bを含むスラリーを得る工程と、2)アセトニトリル中にメタンスルホン酸が溶解された溶液を約40℃において添加する工程と、3)得られる混合物を約40℃において約3時間維持する工程と、4)化合物1を含む得られる固体を集める工程とを含む方法が提供される。
【0077】
別の一実施形態において、結晶性化合物1は、実質的に純粋である。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1は、たとえばアモルファス固体などの他の固体形態を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上である。
【0078】
好適な溶媒
ヒトなどの哺乳動物に投与可能な治療剤は、規制ガイドラインに沿って調製されなければならない。このような政府規制ガイドラインは、適正製造基準(Good Manufacturing Practice;GMP)と称される。GMPガイドラインは、活性治療剤に許容される異物混入程度(たとえば、最終製品中の残留溶媒量など)を概説するものである。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される溶媒は、GMP設備での使用に好適であり、産業安全上の重要事項と調和するものである。溶媒のクラス分けは、たとえば、日米EU医薬品規制調和国際会議(the International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use;ICH)、“不純物:残留溶媒に関するガイドライン(Impurities:Guidelines for Residual Solvents)Q3C(R6)”(2016年10月)中に定義される。
【0079】
溶媒は3つのクラスに類別される。クラス1の溶媒は、毒性を有し、回避されるべきものである。クラス2の溶媒は、治療剤製造中の使用が制限されるべき溶媒である。クラス3の溶媒は、潜在毒性が低く、ヒトの健康に対するリスクがより低い溶媒である。クラス3の溶媒についてのデータから、このクラスの溶媒は急性または短期間の研究において毒性が低く、遺伝毒性研究において陰性であることが示される。
【0080】
回避されるべきクラス1の溶媒には、ベンゼン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエテン、および1,1,1-トリクロロエタンが含まれる。
【0081】
クラス2の溶媒の例は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、2-エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテン、およびキシレンである。
【0082】
毒性の低いクラス3の溶媒には、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、およびトリエチルアミンが含まれる。
【0083】
医薬品有効成分(active pharmaceutical ingredient;API)中の残留溶媒は、APIの製造に由来する。場合によっては、実際の製造技術により溶媒が完全に除去されない。APIの合成に用いる溶媒の適切な選択は、収量を増大させ得る、または、結晶形態、純度、および溶解度などの特徴を決定づけ得る。したがって、溶媒は、合成プロセスにおいて非常に重要なパラメータである。
【0084】
いくつかの実施形態において、化合物1を含む組成物は、有機溶媒を含む。いくつかの実施形態において、化合物1を含む組成物は、有機溶媒を残留量にて含む。いくつかの実施形態において、化合物1を含む組成物は、クラス3の溶媒を残留量にて含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒はクラス3の溶媒である。いくつかの実施形態において、このクラス3の溶媒は、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、およびトリエチルアミンからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、このクラス3の溶媒は、アセトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、ヘプタン、イソプロパノール、およびエタノールからなる群より選択される。
【0085】
いくつかの実施形態において、化合物1を含む組成物は、クラス2の溶媒を残留量にて含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒はクラス2の溶媒である。いくつかの実施形態において、このクラス2の溶媒は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、2-エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテン、およびキシレンからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、このクラス2の溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、およびトルエンからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、このクラス2の溶媒は、アセトニトリルである。
【0086】
いくつかの実施形態において、化合物1を含む組成物は、十分な毒性学データが見いだされていない溶媒を残留量にて含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、十分な毒性学データが見いだされていない溶媒である。いくつかの実施形態において、溶媒は、2-ブタノンおよび2-メチルテトラヒドロフランからなる群より選択される。
【0087】
特定の専門用語
特に定義がなければ、本明細書中において使用されるすべての科学技術用語は、主張されている要件が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。前述される概要およびそれに続く詳細な説明は、例示および説明のみを目的として記載されるものであり、主張されている要件を限定するものではないということが理解される。本願において、単数形の使用は、特に記載がない限り、複数形も含む。注目されるべきは、単数形「a」、「an」、および「the」は、本明細書中および付属の請求項中に使用される場合、文脈上の解釈が明らかに矛盾しない限り、複数の意味を含む。本願において、「または」「もしくは」の使用は、特記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(including、およびinclude、includes、includedなどの派生形)」の使用は、限定を意味しない。用語「含む(comprising、およびcompriseもしくはcomprises、または「有する(having)」またはincludingなどの関連用語)」は、本明細書中に記載される他の特定の実施形態(たとえば、任意の物質組成、組成(物)、方法、またはプロセスなどの実施形態)において、記載される特徴「からなる」または記載される特徴「から実質的になる」可能性を排除することを意図しない。数値または数値範囲を指した用語「約」は、言及される数値または数値範囲が、実験におけるばらつき(または統計学的な実験誤差)の範囲内における近似であり、したがって、その数値または数値範囲が、記載される数値または数値範囲から1%~15%の間でばらついてもよいということを意味する。
【0088】
本明細書中の小見出しは、明細書構成上の目的でのみ用いられるものであり、記載される要件を限定していると解釈されるべきではない。本明細書中に引用されるすべての文献または文献の一部(特許、特許出願、記事、書籍、マニュアル、ならびに協定および取り決めを含むが、これらに限定されない)は、それらの全体を引用により本明細書に明白に援用する。
【0089】
用語「許容される」または「製薬学的に許容される」は、本明細書中において配合物、組成物、または成分に関して使用される場合、処置されている対象の全般的な健康に持続的な有害作用を及ぼさない、または、化合物の生物学的活性もしくは特性を無くすことのない、および、毒性を比較的有さない、ということを意味する。
【0090】
本明細書中において使用される場合、特定の化合物または医薬組成物の投与による特定の疾患、障害、または状態の症状の「寛解」は、永久的または一時的のいずれであるか、持続的または一過性のいずれであるかにかかわらず、化合物または組成物の投与に帰すことの可能なまたはその投与に関連し得る、重症度の低減、発症の遅延、進行の減速、または持続期間の短縮を指す。
【0091】
「バイオアベイラビリティ」は、研究対象である動物またはヒトに投与された化合物1が体循環中に運搬される割合を指す。静脈内投与された場合の薬剤の総曝露量(AUC(0-∞))が、通常、100%バイオアベイラブル(F%)と定義される。「経口バイオアベイラビリティ」は、静脈内注射の場合と比較して、医薬組成物が経口的に投与された場合に化合物1が体循環中に吸収される程度を指す。
【0092】
「血漿濃度」は、対象の血液における血漿成分中の化合物1の濃度を指す。化合物1の血漿濃度は対象間で著しく異なってよいことが理解される。というのは、代謝、および/または他の治療剤との間で生じ得る相互作用が異なるためである。本明細書中に開示される一実施形態によれば、化合物1の血漿濃度は、対象間で異なってよい。同様に、最大血漿濃度(Cmax)または最大血漿濃度到達時間(Tmax)、または血漿濃度時間曲線下全面積(AUC(0-∞))などの値も、対象間で異なってよい。こうした差異のために、化合物1の「治療的有効量」の構成に要する量は、対象間で異なってよい。
【0093】
「同時投与」などの用語は、本明細書中において使用される場合、選択された複数の治療剤の単一患者への投与を包含することを意図しており、当該複数の剤を同じもしくは異なる投与経路または同じもしくは異なる時間にて投与する処置計画を含むことを意図している。
【0094】
用語「有効量」または「治療的有効量」は、本明細書中において使用される場合、処置されている疾患または状態の症状の1つ以上をある程度まで軽減するのに十分な、剤または化合物の投与量を指す。その結果は、兆候、症状、もしくは疾患原因の軽減および/もしくは緩和、または生体系における任意の他の望ましい変更であり得る。たとえば、治療的使用のための「有効量」は、疾患症状を、過度の有害副作用なく、臨床的に著しく軽減するのに必要な、本明細書中に開示される化合物を含む組成物の量である。個々の任意の場合における適切な「有効量」は、用量漸増試験などの技術を用いて決定されてよい。用語「治療的有効量」は、たとえば、予防的有効量を含む。本明細書中に開示される化合物の「有効量」は、過度の有害副作用なく、望ましい薬理学的作用または治療的改善を達成するのに有効な量である。「有効量」または「治療的有効量」は、化合物1の代謝、対象の年齢、体重、全身状態、処置されている状態、処置されている状態の重症度、および処方担当医師による判断が異なるために、対象間で異なってよいことが理解される。単なる例示であるが、治療的有効量は、用量漸増臨床試験によって決定されてよい。
【0095】
用語「増大(enhanceまたはenhancing)」は、望ましい作用の効力または持続期間を増加させるまたは引き延ばすことを意味する。例として、治療剤の作用の「増大」は、疾患、障害、または状態を処置する間、治療剤の作用(効力または持続期間のいずれか)を増加させるまたは引き延ばす能力を指す。「増大有効量(enhancing-effective amount)」は、本明細書中において使用される場合、疾患、障害、または状態の処置における治療剤の作用を増大させるのに十分な量を指す。患者に使用される場合、患者における使用にとって有効な量は、疾患、障害、または状態の重症度および経過、以前の療法、患者の健康状態および薬剤反応、ならびに処置担当医師の判断によって決まり得る。
【0096】
用語「予防的有効量」は、本明細書中において使用される場合、処置されている疾患、状態、または障害の症状の1つ以上をある程度まで軽減できる、患者に適用される組成物の量を指す。このような予防用途において、この量は、患者の健康状態および体重などによって決まり得る。例として、この予防的有効量を、用量漸増臨床試験によって決定できる。
【0097】
用語「対象」は、本明細書中において使用される場合、処置、観察、または実験されている動物を指す。単なる例示であるが、対象は、ヒトを含むがこれに限定されない哺乳動物であってよいが、これに限定されない。
【0098】
本明細書中において使用される場合、用語「標的活性」は、選択される調節剤によって調節され得る生物学的活性を指す。特定の例示的な標的活性には、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性、腫瘍増殖、炎症または炎症関連プロセス、および疾患または状態に関連する1種以上の症状の寛解が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
用語「処置(treat、treating、またはtreatment)」は、本明細書中において使用される場合、疾患または状態の症状の緩和、軽減、または寛解、さらなる症状の予防、症状の根底にある代謝要因の寛解または予防、疾患または状態の阻害、たとえば、疾患もしくは状態の発現および/もしくは進行の抑止、疾患もしくは状態の軽減、疾患もしくは状態の退縮惹起、疾患もしくは状態により引き起こされる状態の軽減、または疾患もしくは状態の症状の停止を含む。用語「処置(treat、treating、またはtreatment)」は、予防および/または治療処置を含むが、これらに限定されない。
【0100】
本明細書中において使用される場合、EC50は、特定試験化合物により誘発、惹起、または増強される特定の反応を、その最大発現の50%にて用量依存的に顕在化させる、当該特定試験化合物の投薬量、濃度、または量を指す。
【0101】
医薬組成物/配合(物)
医薬組成物は、従来の手法により、活性化合物を製薬学的使用可能な調製物に加工することを容易にする賦形剤および補助剤を含む1種以上の生理学的に許容される担体を使用して、配合されてよい。適切な配合は、選択される投与経路によって決まる。本明細書中に記載される医薬組成物の概要は、たとえば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;and Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams&Wilkins 1999)に見いだされてよい。これらの全体を、引用により本明細書に援用する。
【0102】
医薬組成物は、本明細書中において使用される場合、化合物1と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は、哺乳動物へのこの化合物の投与を容易にする。本明細書中において提供される処置方法または使用方法を実施するにあたり、化合物1の治療的有効量が、処置する疾患、障害、または状態を有する哺乳動物に、医薬組成物のかたちで投与される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。治療的有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康、使用される化合物の効力および他の要因に依存して、広範であってよい。この化合物は、単独で、または1種以上の治療剤と組み合わせて混合物の構成要素として、使用できる。
【0103】
用語「製薬学的組み合わせ」は、本明細書中において使用される場合、1種を超える活性成分を混合または組み合わせて得られるものを意味し、活性成分の固定的組み合わせおよび非固定的組み合わせの両方を含む。用語「固定的組み合わせ」は、たとえば化合物1などの活性成分と副剤との両方が、同時に、単一物体または1回投薬量の形態で、患者に投与されることを意味する。用語「非固定的組み合わせ」は、たとえば化合物1などの活性成分と副剤とが、別個の物体として、同時または並行または逐次的に、特定の間隔制限なく、患者に投与され、患者の体内にこれら2種の化合物が有効レベルにて提供されることを意味する。後者は、たとえば3種以上の活性成分の投与などの、カクテル療法にも該当する。
【0104】
いくつかの実施形態において、結晶性化合物1は、医薬組成物中に組み込まれて、固体経口投薬形態を提供する。他の実施形態において、結晶性化合物1は、経口固体投薬形態以外の医薬組成物を調製するために使用される。本明細書中に記載される医薬配合物は、経口、非経口(たとえば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、口腔内、局所的、直腸内、または経皮投与経路を含むがこれらに限定されない複数の投与経路で対象に投与できる。本明細書中に記載される医薬配合物には、水性分散液、自己乳化分散体、固溶体、リポソーム分散体、エアゾール剤、固体投薬形態、粉末剤、即時放出配合物、制御放出配合物、急速融解配合物、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出配合物、持続放出配合物、パルス放出配合物、多粒子配合物(multiparticulate formulation)、および即時放出および制御放出混合型配合物(mixed immediate and controlled release formulation)が含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
本明細書中に記載される化合物を含む医薬組成物は、(単なる例示であるが)従来の混合、溶解、造粒、糖衣剤形成、すり潰し、乳化、カプセル化、封入、または圧縮プロセスなどを用いた従来の手法によって製造されてよい。
【0106】
投薬形態
本明細書中に記載される医薬組成物は、経口、非経口(たとえば、静脈内、皮下、または筋肉内)、口腔内、鼻腔内、直腸内、または経皮投与経路を含むがこれらに限定されない任意の従来の手段による哺乳動物への投与を目的として配合できる。本明細書中において使用される場合、用語「対象」は、動物、好ましくは、ヒトまたはヒト以外を含む哺乳動物を意味するために使用される。用語「患者」および「対象」は交換可能に使用され得る。
【0107】
また、本明細書中に記載される、化合物1を含む医薬組成物は、固体経口投薬形態、制御放出配合物、急速融解配合物、発泡性配合物、錠剤、粉末剤、丸剤、カプセル剤、遅延放出配合物、持続放出配合物、パルス放出配合物、多粒子配合物(multiparticulate formulation)、および即時放出および制御放出混合型配合物(mixed immediate release and controlled release formulations)を含むがこれらに限定されない任意の好適な投薬形態にて配合できる。
【0108】
経口使用用の医薬調製物は、1種以上の固体賦形剤と、本明細書中に記載される化合物の1種以上とを混合し、得られる混合物を任意に摩砕し、必要であれば、得られる顆粒混合物を、好適な補助剤の添加後に、加工して、錠剤または糖衣剤コアとすることによって、得ることができる。好適な賦形剤には、たとえばラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはソルビトールを含む糖などのフィラー、たとえばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、または、これら以外に、ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)もしくはリン酸カルシウムなどが含まれる。架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤の添加が望ましい場合には、こうした崩壊剤が添加されてよい。
【0109】
経口使用できる医薬調製物には、ゼラチン製の押込式カプセル剤、およびゼラチンとグリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤とで作られる密閉ソフトカプセル剤が含まれる。押込式カプセル剤は、活性成分を、ラクトースなどのフィラー、デンプンなどのバインダ、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑剤、および場合によっては安定剤との混合物として含有してよい。ソフトカプセル剤中、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に、溶解または懸濁されていてよい。それに加えて、安定剤が添加されてよい。経口投与用のすべての配合物は、こうした投与に好適な投薬量であるべきである。
【0110】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される固体投薬形態は、錠剤(懸濁錠剤、急速融解錠剤、噛み砕き崩壊錠剤(bite-disintegration tablet)、急速崩壊錠剤、発泡性錠剤、またはカプレットを含む)、丸剤、粉末剤(滅菌包装粉末剤、定量吐出可能粉末剤(dispensable powder)、または発泡性粉末剤を含む)、カプセル剤(ソフトまたはハードカプセル剤の両方、たとえば、動物由来ゼラチンもしくは植物由来HPMC製のカプセル剤または「スプリンクルカプセル剤(sprinkle capsule)」を含む)、固体分散体、固溶体、生体分解性投薬形態、制御放出配合物、パルス放出投薬形態、多粒子(multiparticulate)投薬形態、ペレット剤、顆粒剤、またはエアゾール剤の形態であってよい。他の実施形態において、医薬配合物は、粉末剤の形態である。さらに他の実施形態において、医薬配合物は、急速融解錠剤を含むがこれに限定されない錠剤の形態である。さらに、本明細書中に記載される医薬配合物は、単一のカプセル剤として、または複数のカプセル剤からなる投薬形態として投与されてよい。いくつかの実施形態において、医薬配合物は、2つ、または3つ、または4つのカプセル剤または錠剤として投与される。
【0111】
いくつかの実施形態において、固体投薬形態、たとえば錠剤、発泡性錠剤、およびカプセル剤は、化合物1の粒子を、1種以上の製薬学的賦形剤と混合して、バルクブレンド組成物を形成することによって調製される。こうしたバルクブレンド組成物が均質であると記載される場合、これは、組成物全体に化合物1の粒子が均一に分散しているために、組成物を、有効性の等しい錠剤、丸剤、およびカプセル剤などの単位投薬形態に容易に分割できるということを意味する。各単位投薬量は、さらに、経口摂取または希釈剤との接触により崩壊するフィルムコーティングを含んでよい。こうした配合物は、従来の薬理学的技術によって製造できる。
【0112】
従来の薬理学的技術には、たとえば、(1)乾式混合、(2)直接打錠、(3)粉砕、(4)乾式もしくは非水式造粒、(5)湿式造粒、または(6)溶融といった方法のうちひとつ、またはこれらの方法の組み合わせが含まれる。たとえば、LachmanらのThe Theory and Practice of Industrial Pharmacy(1986)を参照のこと。これら以外の方法には、たとえば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融造粒、造粒、流動層噴霧乾燥またはコーティング(たとえば、ワースターコーティング(wurster coating))、タンジェンシャルコーティング(tangential coating)、上部噴霧(top spraying)、打錠、および押出しなどが含まれる。
【0113】
本明細書中に記載される製薬学的固体投薬形態は、化合物1と、適合性のある担体、バインダ、増量剤、懸濁剤、着香剤、甘味料、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、滑剤、着色料、希釈剤、可溶化剤、モイスチャー剤、可塑剤、安定剤、浸透性向上剤、湿潤剤、消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、またはそれらの1種以上の組み合わせなどの、1種以上の製薬学的に許容される添加剤とを含んでよい。さらに他の態様において、Remington’s Pharmaceutical Sciences 第20版(2000年)中に記載されるものなどの標準的なコーティング手順によって、化合物1の配合物の周りにフィルムコーティングが提供される。一実施形態において、化合物1の粒子の一部またはすべてがコーティングされている。別の一実施形態において、化合物1の粒子の一部またはすべてがマイクロカプセル化されている。さらに別の一実施形態において、化合物1の粒子は、マイクロカプセル化もコーティングもされていない。
【0114】
本明細書中に記載される固体投薬形態において使用するのに好適な担体には、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼインナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、予備糊化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ステアリン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、微結晶セルロース、ラクトース、およびマンニトールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
本明細書中に記載される固体投薬形態において使用するのに好適な増量剤には、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート(dextrate)、デキストラン、デンプン、予備糊化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ステアリン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、およびポリエチレングリコールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0116】
固体投薬形態のマトリックスから化合物1をできるだけ効率よく放出するために、特に、この投薬形態がバインダと共に圧縮される場合には、配合物中に崩壊剤が使用されることが多い。崩壊剤が使用されると、投薬形態が水分を吸収した際に、膨潤または毛管作用により、投薬形態のマトリックスが破砕されやすくなる。本明細書中に記載される固体投薬形態において使用するのに好適な崩壊剤には、コーンスターチもしくはジャガイモデンプンなどの天然デンプン、National 1551もしくはAmijel(登録商標)などの予備糊化デンプン、またはPromogel(登録商標)もしくはExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム、木由来物質(wood product)、メチル結晶セルロース(たとえば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標))、メチルセルロース、クロスカルメロース、もしくは架橋セルロース(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Sol(登録商標)、架橋カルボキシメチルセルロース、もしくは架橋クロスカルメロースなど)などのセルロース、デンプングリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸またはアルギン酸の塩(アルギン酸ナトリウムなど)などのアルギネート、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などのクレイ、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、またはトラガカントなどのゴム、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然海綿、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、シトラスパルプ(citrus pulp)、ラウリル硫酸ナトリウム、および混合デンプン(combination starch)中のラウリル硫酸ナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、崩壊剤は、天然デンプン、予備糊化デンプン、デンプンナトリウム、メチル結晶セルロース、メチルセルロース、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロース、架橋クロスカルメロース、デンプングリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、クレイ、またはゴムからなる群より選択される。本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0117】
バインダは、固体経口投薬形態配合物に結合性を付与する。粉末充填カプセル配合物の場合には、バインダはプラグ形成の一助となるものであり、ソフトまたはハードシェルカプセル剤中に充填され得る。錠剤配合物の場合には、バインダが使用されることにより、圧縮後の錠剤の完全性が確保され、圧縮または充填工程を行なう前のブレンドの均一性が確保される。本明細書中に記載される固体投薬形態においてバインダとして使用するのに好適な材料には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(たとえば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(たとえば、Hypromellose USP Pharmacoat-603)、酢酸ステアリン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Aqoate HS-LFおよびHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(たとえば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(たとえば、Ethocel(登録商標))、および微結晶セルロース(たとえば、Avicel(登録商標))、微結晶デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、多糖酸(polysaccharide acid)、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、予備糊化デンプン、トラガカント、デキストリン、スクロース(たとえば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、モラセス、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(たとえば、Xylitab(登録商標))、ラクトースなどの糖、アラビアゴム、トラガカントガム、ガティゴムなどの天然または合成ゴム、イサポールハスク(isapol husks)粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン(たとえば、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10、およびPovidone(登録商標)K-12)、カラマツアラボガラクタン(larch arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、およびアルギン酸ナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
一般的に、粉末充填ゼラチンカプセル配合物中に用いるバインダの程度は、20~70%である。錠剤配合物におけるバインダの使用程度は、直接打錠か、湿式造粒か、ローラー圧密か、または、それ以外にフィラーなどの賦形剤(それ自体も穏やかなバインダとして作用できる)を使用しているかに応じて異なる。当分野における熟練した配合担当者であれば、配合物のためのバインダの程度を決定できるが、一般的には、錠剤配合物中におけるバインダの使用程度の上限は70%である。
【0119】
本明細書中に記載される固体投薬形態において使用するのに好適な滑剤または流動促進剤には、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、コーンスターチ、ステアリルフマル酸ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、ワックス、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、Carbowax(商標)、PEG4000、PEG5000、PEG6000などのポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、安息香酸グリセリル、およびラウリル硫酸マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、滑剤は、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、コーンスターチ、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、およびワックスからなる群より選択される。本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0120】
本明細書中に記載される固体投薬形態において使用するのに好適な希釈剤には、糖(ラクトース、スクロース、およびデキストロースを含む)、多糖(デキストレートおよびマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、およびソルビトールを含む)、およびシクロデキストリンなどが含まれるが、これらに限定されない。本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、希釈剤は、ラクトース、スクロース、デキストロース、デキストレート、マルトデキストリン、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、シクロデキストリン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプン、微結晶セルロース、マイクロセルロース、およびタルクからなる群より選択される。本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、希釈剤は微結晶セルロースである。
【0121】
用語「非水溶性希釈剤」は、医薬品の配合において典型的には使用される、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプン、微結晶セルロース、マイクロセルロース(たとえば、密度約0.45g/cm3、たとえばAvicel、粉末セルロース)、およびタルクなどの化合物を表す。
【0122】
本明細書中に記載される固体投薬形態において使用するのに好適な湿潤剤には、たとえば、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、第4級アンモニウム化合物(たとえば、Polyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドクサートナトリウム、トリアセチン、およびビタミンE TPGSなどが含まれる。
【0123】
本明細書中に記載される固体投薬形態において使用するのに好適な界面活性剤には、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート、ポロキサマー(polaxomer)、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリル、および酸化エチレンと酸化プロピレンのコポリマー(たとえば、Pluronic(登録商標、BASF))などが含まれる。本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート、ポロキサマー(polaxomer)、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリル、酸化エチレンと酸化プロピレンのコポリマーからなる群より選択される。本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0124】
本明細書中に記載される固体投薬形態において使用するのに好適な懸濁剤には、ポリビニルピロリドン(たとえば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30)、ポリエチレングリコール(たとえば、ポリエチレングリコールの分子量は約300~約6000、または約3350~約4000、または約7000~約5400であってよい)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(S630)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ポリソルベート-80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム(たとえば、トラガカントガムおよびアラビアゴム、グアーガム、キサンタン(キサンタンガムを含む)など)、糖、セルロース誘導体(cellulosic)(たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシ化モノラウリン酸ソルビタン、ポリエトキシ化モノラウリン酸ソルビタン、およびポビドンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0125】
本明細書中に記載される固体投薬形態において使用するのに好適な酸化防止剤には、たとえば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、およびトコフェロールが含まれる。
【0126】
本明細書中に記載される固体投薬形態において使用される添加剤同士は大いに重複するということが理解される。したがって、上記列記される添加剤は単なる例示であり、本明細書中に記載される固体投薬形態中に含まれ得る添加剤の種類を限定するものではないと解釈されるべきである。こうした添加剤の量は、当業者であれば、所望される具体的な特性に応じて容易に決定できる。
【0127】
他の実施形態において、医薬配合物の1つ以上の層は、可塑化されている。例示的には、可塑剤は、一般的に高沸点の固体または液体である。好適な可塑剤を、コーティング組成物の約0.01重量%~約50重量%(w/w)にて添加できる。可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセリン、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール(stearol)、ステアレート、およびヒマシ油が含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
圧縮錠剤は、上述される配合物のバルクブレンドを圧密化することによって調製される固体投薬形態である。多様な実施形態において、口の中で溶解するよう設計される圧縮錠剤は、1種以上の着香剤を含み得る。他の実施形態において、この圧縮錠剤は、最終的に得られる圧縮錠剤の周りを囲むフィルムを含み得る。いくつかの実施形態において、このフィルムコーティングは、配合物から化合物1が遅延放出されるようにし得る。他の実施形態において、このフィルムコーティングは、患者コンプライアンスの一助となる(たとえば、Opadry(登録商標)コーティングまたは糖コーティング)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、典型的には錠剤重量の約1%~約3%の範囲である。他の実施形態において、圧縮錠剤は、1種以上の賦形剤を含む。
【0129】
カプセル剤は、たとえば、化合物1の配合物のバルクブレンドをカプセル剤の中に入れることによって、調製されてよい。いくつかの実施形態において、配合物(非水性の懸濁液および溶液)は、ソフトゼラチンカプセル剤の中に入れられる。いくつかの実施形態において、配合物(非水性の懸濁液および溶液)は、ハードシェルゼラチンカプセル剤の中に入れられる。他の実施形態において、配合物は、標準的なゼラチンカプセル剤、またはHPMCを含むカプセル剤などの非ゼラチンカプセル剤の中に入れられる。他の実施形態において、配合物は、スプリンクルカプセル剤の中に入れられ、このカプセル剤は丸ごと嚥下できる、または、このカプセル剤は開けることができ、その中身を、食べる前の食物に振りかけることができる。いくつかの実施形態において、治療用量が、複数(たとえば、2つ、または3つ、または4つ)のカプセル剤に分割される。いくつかの実施形態において、配合物の全用量が1つのカプセル剤形態の中に入れられる。
【0130】
多様な実施形態において、化合物1の粒子および1種以上の賦形剤は乾式ブレンドおよび圧縮されて、錠剤などの塊りにされ、この塊りの硬度は、経口投与後約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、または約60分未満に実質的に崩壊して配合物を胃腸液中に放出する医薬組成物を提供するのに十分な硬度である。
【0131】
別の一態様において、投薬形態は、マイクロカプセル化された配合物を含んでよい。いくつかの実施形態において、1種以上の他の適合性のある材料が、マイクロカプセル化材料中に存在する。こうした材料の例示には、pH調整剤、分解促進剤、消泡剤、酸化防止剤、着香剤、ならびに、バインダ、懸濁剤、崩壊剤、増量剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、滑剤、湿潤剤、および希釈剤などの担体材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0132】
本明細書中に記載されるマイクロカプセル化に有用な材料には、化合物1との適合性のある材料であって、他の、適合性のない賦形剤から化合物1を十分に分離させ得る材料が含まれる。化合物1との適合性のある材料は、in vivoにおいて化合物1の化合物の放出を遅延させる材料である。
【0133】
本明細書中に記載される化合物を含む配合物の放出を遅延させるのに有用な、例示的なマイクロカプセル化材料には、Klucel(登録商標)またはNisso HPCなどのヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L-HPC)、Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)-E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843などのヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、Methocel(登録商標)-A、酢酸ステアリン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース Aqoat(HF-LS、HF-LG、HF-MS)、およびMetolose(登録商標)などのメチルセルロースポリマー、エチルセルロース(EC)およびその混合物(E461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)など)、Opadry AMBなどのポリビニルアルコール(PVA)、Natrosol(登録商標)などのヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩(Aqualon(登録商標)-CMCなど)、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー(Kollicoat IR(登録商標))、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、食品用加工デンプン、アクリル系ポリマーおよびアクリル系ポリマーとセルロースエーテルとの混合物(Eudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D-55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100-55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、およびEudragit(登録商標)NE 40Dなど)、酢酸フタル酸セルロース、セピフィルム(sepifilm)(HPMCとステアリン酸の混合物など)、シクロデキストリン、ならびにこれらの材料の混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0134】
さらに他の実施形態において、ポリエチレングリコール(たとえば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、およびPEG800)、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、およびトリアセチンなどの可塑剤が、マイクロカプセル化材料の中に混合される。他の実施形態において、医薬組成物の放出を遅延させるのに有用なマイクロカプセル化材料は、USPまたは国民医薬品集(the National Formulary;NF)から得られる。さらに他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はKlucelである。さらに他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はmethocelである。
【0135】
マイクロカプセル化化合物1は、いくつかの方法によって配合されてよく、こうした方法の例示には、たとえば、噴霧乾燥プロセス、スピニングディスク溶媒プロセス(spinning disk-solvent process)、加熱溶融プロセス、噴霧冷却法、流動層、静電付着、遠心押し出し(centrifugal extrusion)、回転懸濁分離(rotational suspension separation)、気液界面もしくは固気界面での重合、圧力押し出し、または噴霧溶媒抽出浴が含まれる。これらに加えて、いくつかの化学的技術、たとえば、複合コアセルベーション、溶媒蒸発、ポリマー-ポリマー不相溶性(polymer-polymer incompatibility)、液体媒体中での界面重合、in situ重合、液中乾燥(in-liquid drying)、および液体媒体中での脱溶媒和も使用できる。さらに、これら以外に、ローラー圧密化、押し出し/球形化、コアセルベーション、またはナノ粒子コーティングなどの方法も使用され得る。
【0136】
一実施形態において、化合物1の粒子は、上述される形態の1つに配合される前に、マイクロカプセル化される。さらに別の一実施形態において、粒子の一部または大部分は、さらなる配合の前に、標準的なコーティング手順(Remington’s Pharmaceutical Sciences 第20版(2000年)中に記載されるものなど)によってコーティングされる。
【0137】
他の実施形態において、化合物1の固体投薬配合物は、1つ以上の層で可塑化(コーティング)されている。例示的には、可塑剤は、一般的に、高沸点の固体または液体である。好適な可塑剤を、コーティング組成物の約0.01重量%~約50重量%(w/w)で添加できる。可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセリン、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール(stearol)、ステアレート、およびヒマシ油が含まれるが、これらに限定されない。
【0138】
他の実施形態において、化合物1を含む配合物を含む粉末剤が、1種以上の製薬学的賦形剤および着香料を含むように配合されてよい。このような粉末剤は、たとえば、配合物と、任意に製薬学的賦形剤とを混合して、バルクブレンド組成物を形成することによって、調製されてよい。追加的な実施形態は、懸濁剤および/または湿潤剤も含む。このバルクブレンドは、均一に分割されて、単回投薬包装単位、または複数回投薬包装単位とされる。
【0139】
さらに他の実施形態において、発泡性粉末剤も、本開示により調製される。発泡性の塩が、経口投与を目的として医薬品を水中に分散させるために使用されている。発泡性の塩は、重炭酸ナトリウム、クエン酸および/または酒石酸から通常構成される乾燥混合物中に薬剤を含有する、顆粒または粗粒粉末である。本明細書中に記載される組成物の塩が水に添加されると、酸と塩基が反応して二酸化炭素ガスが発生し、これにより「発泡」が生じる。発泡性の塩の例には、たとえば、重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物、クエン酸および/または酒石酸などの成分が含まれる。重炭酸ナトリウムおよびクエン酸および酒石酸の組み合わせの代わりに、二酸化炭素を生じる任意の酸と塩基の組み合わせを、その成分が製薬学的使用に好適であり約pH6.0以上を与えるものである限り、使用できる。
【0140】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される固体投薬形態を、腸溶コーティング遅延放出経口投薬形態として、すなわち、消化管の小腸内での放出に影響を及ぼす腸溶コーティング剤を用いた本明細書中に記載される医薬組成物の経口投薬形態として配合できる。腸溶コーティング投薬形態は、活性成分および/または他の組成物構成要素の顆粒、粉末、ペレット、ビーズ、または粒子(コーティング有りまたは無し)を含有する、圧縮または成形または押出により形成される錠剤および/または型込成形物(mold)(コーティング有りまたは無し)であってよい。腸溶コーティング経口投薬形態は、固体担体または組成物のペレット、ビーズ、または顆粒(コーティング有りまたは無し)を含有するカプセル剤(コーティング有りまたは無し)であってもよい。
【0141】
用語「遅延放出」は、本明細書中において使用される場合、遅延放出という変更なしでの放出先位置よりも遠くの、一般的に予測され得る腸管内位置において、放出できるような運搬を指す。いくつかの実施形態において、放出を遅延させるための方法は、コーティングである。どのようなコーティングであっても、コーティング全体が胃腸液中に、約pH5未満では溶解しないが約pH5以上では溶解するのに十分な厚さにて、適用されるべきである。pH依存性溶解プロファイルを呈する任意のアニオン系ポリマーを、下部消化管への運搬を達成するための本明細書中に記載される方法および組成物において、腸溶コーティング剤として使用できると考えられる。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるポリマーは、アニオン系カルボン酸系ポリマーである。他の実施形態において、ポリマーおよび適合性のあるポリマー混合物、ならびにそれらの特性の一部には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0142】
セラック(精製ラックともよばれる。昆虫の樹脂質分泌物から得られる精製物)。このコーティングは、pH>7の媒体中に溶解する。
【0143】
アクリル系ポリマー。アクリル系ポリマーの性能(第一には、生物の体液中における溶解度)は、置換の度合いおよび種類に基づいて異なってよい。好適なアクリル系ポリマーの例には、メタクリル酸コポリマーおよびメタクリル酸アンモニウムコポリマーが含まれる。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS、およびNE(Rohm Pharma)は、有機溶媒中に可溶化された状態、水性分散体、または乾燥粉末として入手可能である。EudragitシリーズRL、NE、およびRSは、消化管内では溶解しないが、透過性であり、結腸を標的とする際に主に使用される。EudragitシリーズEは、胃内で溶解する。EudragitシリーズL、L-30D、およびSは、胃内で溶解せず、腸内で溶解する。
【0144】
セルロース誘導体。好適なセルロース誘導体の例は、エチルセルロース、およびセルロースの部分酢酸エステルと無水フタル酸との反応混合物である。その性能は、置換の度合いおよび種類に基づいて異なってよい。酢酸フタル酸セルロース(CAP)は、pH>6において溶解する。Aquateric(FMC)は、水性系であり、粒子が<1μmである噴霧乾燥CAP偽ラテックスである。Aquatericの他のものとして、pluronic、Tween、およびアセチル化モノグリセリドが含まれ得る。他の好適なセルロース誘導体には、酢酸トリメリト酸セルロース(Eastman)、メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCS)、および酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(たとえば、AQOAT(信越))が含まれる。その性能は、置換の度合いおよび種類に基づいて異なってよい。たとえば、HPMCP(HP-50、HP-55、HP-55S、またはHP-55Fグレードなど)が好適である。その性能は、置換の度合いおよび種類に基づいて異なってよい。たとえば、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースの好適なグレードには、pH5において溶解するAS-LG(LF)、pH5.5において溶解するAS-MG(MF)、およびそれより高いpHにおいて溶解するAS-HG(HF)が含まれるが、これらに限定されない。こうしたポリマーは、顆粒状で、または水性分散体用の微粉末状で販売される。ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)。PVAPは、pH>5において溶解し、水蒸気および胃液に対する透過性が大幅に低い。
【0145】
いくつかの実施形態において、コーティングは、可塑剤および恐らくは他のコーティング賦形剤(着色料、タルク、および/またはステアリン酸マグネシウムなど)を、含有してよく、通常は含有する。好適な可塑剤には、クエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(三酢酸グリセリル)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflec A2)、Carbowax 400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセリン、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、およびフタル酸ジブチルが含まれる。特に、アニオン系カルボン酸系アクリル系ポリマーは、通常、可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、およびトリアセチンを、10~25重量%含有し得る。噴霧またはパンコーティングなどの従来のコーティング技術が、コーティングするために使用される。コーティングの厚さは、腸管内での局所的運搬により所望される部位に到達するまで経口投薬形態の完全性を確保するのに十分でなければならない。
【0146】
コーティング材料を可溶化または分散させて、コーティング性能と、コートされた生成物とを改善するために、着色料、粘着防止剤(detackifier)、界面活性剤、消泡剤、滑剤(たとえば、カルナウバロウ(carnuba wax)、またはPEG)が、可塑剤に加えて、コーティングに添加されてよい。
【0147】
他の実施形態において、化合物1を含む本明細書中に記載される配合物は、パルス投薬形態を用いて運搬される。パルス投薬形態は、制御された遅延時間の後あらかじめ定められた時点において、または特定の部位において、1回以上の即時放出パルスを提供できる。他の種類の制御放出系も使用され得る。このような運搬系の例には、たとえば、ポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリ酸無水物、およびポリカプロラクトンなどのポリマーに基づく系、多孔質マトリックス、脂質(コレステロールなどのステロール、コレステロールエステル、ならびに脂肪酸、またはモノ、ジ、およびトリグリセリドなどの中性脂肪を含む)である非ポリマー系、ハイドロゲル放出系、シラスティック系、ペプチドに基づく系、ワックスコーティング、生体分解性投薬形態、ならびに従来のバインダを使用する圧縮錠剤などが含まれる。たとえば、Liberman et al.,Pharmaceutical Dosage Forms,2 Ed.,Vol.1,pp.209-214(1990);Singh et al.,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.751-753(2002);米国特許第4,327,725号、第4,624,848号、第4,968,509号、第5,461,140号、第5,456,923号、第5,516,527号、第5,622,721号、第5,686,105号、第5,700,410号、第5,977,175号、第6,465,014号、および第6,932,983号を参照のこと。これらの各々を、具体的に、引用により本明細書に援用する。
【0148】
いくつかの実施形態において、化合物1の粒子と、対象に経口投与できるよう少なくとも1種の分散剤または懸濁剤と、を含む医薬配合物が提供される。配合物は、懸濁できるよう粉末および/または顆粒であってよく、水と混合されると、実質的に均一な懸濁液が得られる。
【0149】
本明細書中に記載される水性分散体または懸濁液中において使用される上記に列記される添加剤同士は重複する、ということが理解される。というのは、所与の添加剤は、多くの場合、当該分野における個々の実務担当者によって分類の仕方が異なるため、または、一般的に、いくつかの異なる機能のうちの任意の機能を意図して使用されるためである。したがって、上記列記される添加剤は単なる例示であり、本明細書中に記載される配合物中に含まれ得る添加剤の種類を限定するものではないと解釈されるべきである。こうした添加剤の量は、当業者であれば、所望される具体的な特性に応じて容易に決定できる。
【0150】
方法
いくつかの実施形態において、アミノグリコシド系抗生物質の投与を受けている個体の腎損傷からの保護方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含む、方法が記載される。いくつかの実施形態において、アミノグリコシド系抗生物質の投与を受けている個体の腎損傷からの保護方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記アミノグリコシド系抗生物質は、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択される、方法が記載される。
【0151】
いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防または処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含む、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含む、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、アミノグリコシド系抗生物質、化学療法剤、ループ利尿薬、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシド、抗マラリア薬キニーネ、サリシレート、またはインターフェロンポリペプチドから選択される聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、アミノグリコシド系抗生物質に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択されるアミノグリコシド系抗生物質に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、化学療法剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、シスプラチンまたはカルボプラチンから選択される化学療法剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、シスプラチンに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、カルボプラチンに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、ループ利尿薬に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシドに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、抗マラリア薬キニーネに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、サリシレートに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、インターフェロンポリペプチドに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含む、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、アミノグリコシド系抗生物質、化学療法剤、ループ利尿薬、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシド、抗マラリア薬キニーネ、サリシレート、またはインターフェロンポリペプチドから選択される聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、アミノグリコシド系抗生物質に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択されるアミノグリコシド系抗生物質に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、化学療法剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、シスプラチンまたはカルボプラチンから選択される化学療法剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、シスプラチンに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、カルボプラチンに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、ループ利尿薬に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシドに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、抗マラリア薬キニーネに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、サリシレートに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における難聴の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、インターフェロンポリペプチドに対する曝露に関連する、方法が開示される。
【0152】
いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防または処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含む、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含む、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、アミノグリコシド系抗生物質、化学療法剤、ループ利尿薬、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシド、抗マラリア薬キニーネ、サリシレート、またはインターフェロンポリペプチドから選択される聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、アミノグリコシド系抗生物質に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択されるアミノグリコシド系抗生物質に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、化学療法剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、シスプラチンまたはカルボプラチンから選択される化学療法剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、シスプラチンに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、カルボプラチンに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、ループ利尿薬に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシドに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、抗マラリア薬キニーネに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、サリシレートに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の予防方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、インターフェロンポリペプチドに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含む、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、アミノグリコシド系抗生物質、化学療法剤、ループ利尿薬、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシド、抗マラリア薬キニーネ、サリシレート、またはインターフェロンポリペプチドから選択される聴器毒性剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、アミノグリコシド系抗生物質に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択されるアミノグリコシド系抗生物質に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、化学療法剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、シスプラチンまたはカルボプラチンから選択される化学療法剤に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、シスプラチンに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、カルボプラチンに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、ループ利尿薬に対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、抗マラリア薬セスキテルペンラクトンエンドペルオキシドに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、抗マラリア薬キニーネに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記感覚有毛細胞死は、サリシレートに対する曝露に関連する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、個体における感覚有毛細胞死の処置方法であって、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物1の結晶形態を上記個体に投与する工程を含み、上記難聴は、インターフェロンポリペプチドに対する曝露に関連する、方法が開示される。
【0153】
投与方法および処置計画
本明細書中に記載される組成物は、予防および/または治療処置のために投与できる。治療用途において、この組成物は、疾患または状態に既に罹患している患者に、当該疾患または状態の症状を治癒または少なくとも部分的に抑止するのに十分な量にて、投与される。こうした使用に有効な量は、疾患または状態の重症度および経過、以前の療法、患者の健康状態、体重、および薬剤反応、ならびに処置担当医師の判断によって決まり得る。
【0154】
予防用途において、本明細書中に記載される化合物を含有する組成物は、特定の疾患、障害、または状態に罹患し易いまたは罹患危険性のある患者に投与される。このような量を、「予防的有効量または予防的有効用量」と定義する。この使用において、その正確な量は、患者の健康状態および体重などにも依存する。患者に使用される場合、この使用のための有効量は、疾患、障害、または状態の重症度および経過、以前の療法、患者の健康状態および薬剤反応、ならびに処置担当医師の判断によって決まり得る。
【0155】
患者の状態が改善しない場合、医師の判断に基づき、化合物の投与は、患者の疾患または状態の症状を寛解または制御または制限するために、長期(すなわち、患者の存命期間全体を含む長期間)にわたってなされてよい。
【0156】
患者の状態が改善したら、必要であれば、維持用量が投与される。続いて、投薬量または投与頻度またはその両方が、症状との相関関係において、疾患、障害、または状態の改善が維持される程度にまで低減され得る。しかしながら、症状が再発した場合には、患者に長期の間欠的処置を施す必要があり得る。
【0157】
このような量に対応し得る、所与の剤の量は、具体的な化合物、疾患または状態およびその重症度、処置を必要とする対象または受容者の特性(たとえば、体重)などの要因に依存して異なってよいが、とはいうものの、当該分野において認識される手法により、その事例周辺の具体的な状況(たとえば、投与されている特定の剤、投与経路、処置されている状態、および処置されている対象または受容者を含む)に応じて決定できる。しかしながら、一般的に、成人ヒトの処置に使用される用量は、典型的には、1日当たり約0.02~約5000mg、いくつかの実施形態において1日当たり約1~約1500mgの範囲であってよい。望ましい用量は、好都合には、単回用量で提示されてよい、または、同時に(または短期間で)もしくは適切な間隔をあけて(たとえば、小用量ずつを1日2回、3回、4回以上)投与される分割用量として提示されてもよい。
【0158】
本明細書中に記載される医薬組成物は、丁度の投薬量を1回で投与するのに好適な単位投薬形態であってよい。単位投薬形態中、配合物は、1種以上の化合物の適切量を含有する単位用量に分割されている。単位投薬量は、個々の量の配合物が入った包装形態であってよい。例として、包装された錠剤またはカプセル剤、およびバイアルまたはアンプルに入った粉末が挙げられるが、これらに限定されない。水性懸濁組成物は、単回用量用の再封不可能な容器中に包装され得る。代替的には、複数回用量用の再封可能な容器を使用でき、この場合、典型的には、組成物中に防腐剤が含まれる。単なる例示であるが、非経口、注射用の配合物は、アンプルを含むがこれに限定されない単位投薬形態で提示されてよい、または、防腐剤が添加された複数回用量用の容器に入ったものであってよい。
【0159】
本明細書中に記載される化合物にとって適切な1日投薬量は、約0.01mg/kg~約20mg/kgである。一実施形態において、1日投薬量は約0.1mg/kg~約10mg/kgである。ヒトを含むがこれに限定されない大型哺乳動物に適応される1日投薬量は、約0.5mg~約1000mgの範囲であり、好都合には、単回用量、または分割用量(1日4回までを含むが、これに限定されない)、または持続放出形態にて投与される。経口投与用の好適な単位投薬形態は、活性成分を約1~約500mg含む。一実施形態において、単位投薬量は、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約250mg、約400mg、または約500mgである。こうした範囲は単なる提案である。というのは、個々の処置計画における変動要素が多く、上述される推奨値から大幅に逸脱することも珍しくないためである。上述される投薬量は、多くの変動要素(使用される化合物の活性、処置する疾患または状態、投与様式、個々の対象の要求、処置されている疾患または状態の重症度、および実務担当者の判断に限定されない)に依存して変更されてもよい。
【0160】
上述される治療計画の毒性および治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準的な製薬学的手順(LD50(個体群の50%が死亡する用量)およびED50(個体群の50%にとって治療的に有効な用量)の決定を含むが、これらに限定されない)によって決定できる。毒性作用と治療作用との用量比は治療における指標であり、LD50とED50の比率として表すことができる。細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータを、ヒトに用いる投薬量範囲の計画に使用できる。上述される化合物の投薬量は、好ましくは、ED50を包含しかつ毒性が最小限であるような、広い循環濃度範囲内に含まれる。投薬量は、この範囲内において、使用される投薬形態および用いられる投与経路に依存して、異なってよい。
【0161】
併用処置
本明細書中に記載される化合物1およびその組成物は、処置する状態の治療に価値を有するという理由で選択される他の治療剤と併用されてもよい。一般的に、本明細書中に記載される組成物と、併用療法が用いられる実施形態における他の剤とは、同じ医薬組成物にて投与される必要はなく、物理的および化学的特徴が異なるのであるから、異なる経路で投与されてもよい。(可能であれば、同じ医薬組成物にて投与するという)投与様式の判断および投与の推奨度は、十分に、臨床医の知識の範囲内である。1回目の投与は、当該分野において認識されている、確立されたプロトコールにしたがって実施でき、次いで、観察される作用、投薬量、投与様式、および投与回数に基づいて、臨床医によって変更され得る。
【0162】
特定の場合において、本明細書中に記載される少なくとも1種の化合物は、別の治療剤との併用投与が適切であってよい。単なる例示であるが、化合物1などの本明細書中の化合物の1種を与えたときに患者に生じた副作用の1つが吐き気である場合には、制吐剤と、最初に与えた治療剤との併用投与が適切であってよい。または、単なる例示であるが、本明細書中に記載される化合物の1種の治療有効性は、佐剤の投与によって増大し得る(すなわち、佐剤は、単体では治療上の利益はわずかだが、別の治療剤と併用すると、患者に対する総合的な治療上の利益が増大する)。または、単なる例示であるが、患者が受ける利益は、本明細書中に記載される化合物の1種を、治療上の利益を有する別の治療剤(治療計画も含む)と共に投与することによって、増大し得る。いずれの場合にも、処置されている疾患、障害、または状態にかかわらず、患者が受ける総合的な利益は2種の治療剤の単なる相加であってもよいし、または、患者は相乗的な利益を受けてもよい。
【0163】
いくつかの実施形態において、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ストレプトマイシン、ネオマイシン、フラマイセチン、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、リボスタマイシン、カナマイシン、アミカシン、アルベカシン、ベカナマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、ハイグロマイシンB、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、シソマイシン、イセパマイシン、ベルダマイシン、およびアストロマイシンから選択されるアミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ストレプトマイシンと併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、アミカシンと併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ネオマイシンと併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、カナマイシンと併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、ゲンタマイシンと併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、トブラマイシンと併用投与される。
【0164】
いくつかの実施形態において、化合物1は1~7日間投与され、次いで、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は7日間投与され、次いで、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は6日間投与され、次いで、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は5日間投与され、次いで、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は4日間投与され、次いで、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は3日間投与され、次いで、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は2日間投与され、次いで、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は1日間投与され、次いで、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質の投与に続いて、さらに7日間投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質の投与に続いて、さらに6日間投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質の投与に続いて、さらに5日間投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質の投与に続いて、さらに4日間投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質の投与に続いて、さらに3日間投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質の投与に続いて、さらに2日間投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、アミノグリコシド系抗生物質の投与に続いて、さらに1日間投与される。
【0165】
いくつかの実施形態において、化合物1とアミノグリコシド系抗生物質とが単回投薬形態にて併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1とアミノグリコシド系抗生物質とが、別々の投薬形態にて併用投与される。
【0166】
いくつかの実施形態において、化合物1は、化学療法剤と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、シスプラチンおよびカルボプラチンから選択される化学療法剤と併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、シスプラチンと併用投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、カルボプラチンと併用投与される。
【0167】
使用される化合物の具体的な選択は、担当医による診断、ならびに担当医による患者の状態および適切な処置プロトコールの判断によって決まり得る。化合物は、疾患、障害、または状態の性質、患者の状態、および実際に使用が選択された化合物に依存して、並行して(たとえば、同時に、本質的に同時に、または同じ処置プロトコールにおいて)または逐次的に投与されてよい。ある処置プロトコールにおける各治療剤の投与順および投与反復回数の決定は、処置されている疾患および患者の状態の評価の後であれば、十分に、医師の知識の範囲内である。
【0168】
処置を併用しその中で薬剤を使用する場合の、治療有効投薬量は、異なってよい。併用処置計画において使用するために薬剤および他の剤の治療有効投薬量を実験で決定するための方法は、文献中に記載されている。たとえば、メトロノミック投与(すなわち、毒性副作用を最小限とするために低用量を多数回投与する方法)の使用が、広く文献に記載されている。併用処置は、さらに、患者の臨床上の管理を助けるために様々な時点で開始および停止される周期的処置を含む。
【0169】
本明細書中に記載される併用療法に関して、同時投与される化合物の投薬量は、言うまでもなく、同時投与に使用される薬剤の種類、使用される特定の薬剤、および処置されている疾患または状態などに依存して、異なってよい。それに加えて、1種以上の生理活性剤と共に同時投与される場合には、本明細書中において提供される化合物は、その生理活性剤と同時に投与されてもよいし、逐次的に投与されてもよい。逐次投与される場合、タンパク質を生理活性剤と組み合わせて投与する際の適切な順序を、担当医が決定できる。
【0170】
どのような場合にも、複数の治療剤(そのうち1種は、本明細書中に記載される化合物1)は、任意の順序で、またはさらには同時に、投与されてよい。同時の場合、複数の治療剤は、1つの均一な形態または複数の形態にて(単なる例示であるが、1つの丸剤または2つの別個の丸剤のいずれかとして)、提供されてよい。治療剤の一方が複数の用量で与えられてもよいし、または、治療剤の両方が複数の用量で与えられてもよい。同時でない場合、複数の用量間のタイミングは、0週~4週未満で変動してよい。加えて、併用方法、併用組成物、および併用配合物は、2種の剤の使用のみに限定されず、複数の療法の併用も構想される。
【0171】
軽減が求められている状態を処置、予防、または寛解するための投薬計画は、多様な要因に応じて変更できる。こうした要因には、対象が有する障害または状態、ならびに対象の年齢、体重、性別、食事、および医学的状態が含まれる。したがって、実際に使用される投薬計画は広く異なってよく、そのため、本明細書中に記載される投薬計画から外れてよい。
【0172】
本明細書中に開示される併用療法を構成する製薬学的剤は、併用投薬形態であってもよいし、または、実質的に同時に投与されることが意図される別々の投薬形態であってもよい。併用療法を構成する製薬学的剤は、逐次的に投与されてよく、その場合、いずれの治療用化合物も、2段階投与を要する計画によって投与される。2段階投与計画は、活性薬剤の逐次投与を要するものであってもよいし、または、別個の活性薬剤の間隔をあけた投与を要するものであってもよい。複数の投与段階の間の間隔は、各製薬学的剤の効力、溶解度、バイオアベイラビリティ、血漿半減期、およびカイネティックプロファイルなどの、各製薬学的剤の特性に依存して、2~3分間から数時間の範囲であってよい。さらに、標的分子の濃度の24時間周期の変動によって、最適な投与間隔が決定されてもよい。
【0173】
加えて、本明細書中に記載される化合物は、患者に相加的または相乗的利益を提供し得る手順と併用されてもよい。単なる例示であるが、本明細書中に開示される化合物の医薬組成物、および/または他の治療剤との併用が、特定の疾患または状態と相関関係にある突然変異遺伝子をその個体が有しているか否かを調べる遺伝子検査と併用されるような、本明細書中に記載される方法において、患者が、治療上および/または予防上の利益を見いだすことが予期される。
【0174】
本明細書中に記載される化合物および併用療法は、疾患または状態が出現する前、途中、または後に投与でき、この化合物を含有する組成物の投与タイミングは異なってよい。したがって、たとえば、この化合物は予防剤として使用でき、状態または疾患の発現傾向を有する対象に対して、当該疾患または状態の出現の予防を目的として、継続的に投与できる。1回目の投与は、たとえば、静脈内注射、ボーラス注入、約5分間~約5時間の輸液、丸剤、カプセル剤、経皮吸収パッチ、および口腔内運搬など、またはそれらの組み合わせといった、実用されている任意の経路にて投与できる。化合物は、好ましくは、疾患または状態の発症が検出された後、またはその発症が疑わしいとされた後に、実施可能な限り速やかに、かつ、当該疾患または状態の処置に必要な期間にわたって、投与される。処置期間は、個々の対象により異なってよく、指定される基準を用いて決定できる。
【0175】
キット/製造品
本明細書中に記載される治療的使用方法において使用する目的で、キットおよび製造品が、さらに、本明細書中に記載される。このようなキットは、保持具(carrier)、包装、または容器を含み、これらは、1つ以上のバイアルおよびチューブなどの容器を入れる区画に分けられており、こうした1つ以上の容器はそれぞれ、本明細書中に記載される方法において使用される別個の要素のうち1つを含む。好適な容器には、たとえば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。一実施形態において、この容器は、ガラスまたはプラスチックなどの多様な材料から形成される。
【0176】
本明細書中において提供される製造品は、包装材料を含む。医薬品の包装に使用される包装材料には、たとえば、米国特許第5,323,907号のものが含まれる。製薬学的包装材料の例には、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、ならびに、選択される配合物と意図される投与様式および処置様式とにとって好適な任意の包装材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0177】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される化合物または組成物は、包装またはディスペンサー装置に入って提示されており、その中には、活性成分を含有する1つ以上の単位投薬形態が入っていてよい。本明細書中に記載される化合物または組成物は、単独で包装されてもよいし、または、別の化合物または別の成分もしくは添加剤と共に包装されてもよい。いくつかの実施形態において、この包装は、医薬組成物の成分の1種以上が充填された1つ以上の容器を含む。いくつかの実施形態において、この包装は、ブリスターパックなどの、金属またはプラスチックの箔を含む。いくつかの実施形態において、この包装またはディスペンサー装置には、新生物疾患処置のための化合物または組成物の投与についての指示といった、投与指示が同梱されている。いくつかの実施形態において、この包装またはディスペンサーには、医薬品の製造、使用、または販売を規制する行政機関により規定されたフォームでの注意書きが、その容器に関連付けて同梱されており、この注意書きは、ヒトまたは動物への投与を目的とした薬剤の形態に対する当該機関の承認を反映したものである。いくつかの実施形態において、こうした注意書きは、たとえば、処方薬に関するアメリカ食品医薬品局の承認済の表示、または、承認済の製品添付文書である。いくつかの実施形態において、適合性のある製薬学的担体中に配合された本明細書中に記載される化合物を含む組成物を、調製し、適切な容器に入れ、適応状態の処置に関する表示をつける。
【0178】
たとえば、この容器は、化合物1を、任意には組成物中にまたは本明細書中に開示される別の剤との組み合わせで含む。こうしたキットは、任意に、本明細書中に記載される方法における使用に関する、識別説明または表示または指示を含む。
【0179】
キットは、典型的には、内容物および/または使用指示を列記した表示と、使用指示の書かれた添付文書とを含む。典型的には、一連の指示も含まれ得る。
【0180】
一実施形態において、表示は、容器に付けられている、または、関連付けられている。一実施形態において、表示が容器に付けられているとは、この表示を形成する文字、数字、または他の字が容器自体に付着、鋳込、またはエッチングされている場合であり、表示が容器に関連付けられているとは、この表示が、当該容器の入った容れ物または保持具(carrier)の中に、たとえば添付文書として、提示されている場合である。一実施形態において、表示は、内容物が特定の治療用途に使用されるべきであるということを示すために使用される。また、この表示は、たとえば本明細書中に記載される方法における、内容物の使用法を示す。
【0181】
特定の実施形態において、医薬組成物は、パックまたはディスペンサー装置に入って提示されており、その中には、本明細書中において提供される化合物を含有する1つ以上の単位投薬形態が入っている。このパックは、たとえば、ブリスターパックなどの、金属またはプラスチックの箔を含む。一実施形態において、このパックまたはディスペンサー装置には、投与指示が同梱されている。一実施形態において、このパックまたはディスペンサーには、さらに、医薬品の製造、使用、または販売を規制する行政機関により規定されたフォームでの注意書きが、その容器に関連付けて同梱されており、この注意書きは、ヒトまたは動物への投与を目的とした薬剤の形態に対する当該機関の承認を反映したものである。こうした注意書きは、たとえば、処方薬に関するアメリカ食品医薬品局の承認済の表示、または、承認済の製品添付文書である。一実施形態において、適合性のある製薬学的担体中に配合された本明細書中において提供される化合物を含有する組成物を、調製し、適切な容器に入れ、適応状態の処置に関する表示をつける。
【実施例】
【0182】
省略形の一覧
本発明の記載全体を通して使用される以下の省略形は、特記しない限り、以下の意味を有することが理解される。
【0183】
I.塩のスクリーニング
塩のスクリーニングを、24通りの異なる対イオンを使用し、これらを遊離塩基(化合物B)に1:1の比率で添加することによって行なった。ライブラリ設計を表1に示す。選択した溶媒は、水、メタノール、アセトニトリル、および酢酸エチルである。スルホン酸に対しては、毒性を有するスルホネート副生成物の形成を回避するために、溶媒メタノールをトルエンで置き換えた。
【0184】
【0185】
マスタープレート(master plate)は、濃度25mg/mlの化合物Bと1当量の対応酸とを使用した一連のスラリー実験を表す。このプレートを、50℃において2時間かけてスラリー化した。ろ液の一部(400μL)を、高温フィルタープレート(hot filter plate)を使用して、マスタープレートから冷却プレート(cooling plate)に移した。残った溶媒を、ろ紙を用いてウィッキング(wicking)により除去し、結晶を空気中で乾燥させた。冷却結晶化プレート(cooling crystallization plate)を、逆立方率(inverse cubic rate)を用いて、8時間かけて50℃から10℃にゆっくりと冷却した。このプレートを、10℃において2時間、平衡化した。得られた固体を、真空下における蒸発によって、分離した。得られたすべての固体を、XRPDによって特徴づけた。
【0186】
塩選択に非常に好適な材料を、その結晶化度、対イオンICHクラス、色、および晶癖に基づいて順位付けした。LC純度を上位4種の塩について測定したところ、出発材料ヒドロクロリドと比較して、純度が改善されていた。
【0187】
3種の塩選択候補(エジシレート、シトレート、およびアセテート)について、スケールアップした合成を行なった。これらのスラリー実験は、グラムスケールで、化合物B 25mg/mlを、溶媒20mL中にて、各酸1当量と共に使用して行なった。スラリー化を50℃において2時間継続した。この混合物が室温まで冷却されたら、次いでろ過し、空気中で乾燥させた。すべての固体について、XRPD、NMR、TGA/DSC、およびLC測定を行なった。XRPDおよびNMR測定により、エジシレート塩について、塩の形成が確認された。シトレートおよびアセテートは、XRPDおよびNMR測定では容易に測定できなかった。LCおよびTGA/DSC測定によると、エジシレート塩は、純度の改善を示し、低残留溶媒および高融解現象を伴った。
【0188】
さらなる一連の塩を選択して、スケールアップした(メシレート、トシレート、ベシレート、およびターテート(tartate))。これらのスラリー実験は、グラムスケールで、化合物B 25mg/mlを、酢酸エチル20mL中にて、酸1当量と共に使用して行なった。実験結果は、予期された塩(ターテート(tartate)以外)であった(XRPD測定による)。上述される4種の塩について、水への溶解度を求め、表2中に示す。
【0189】
【0190】
メシレートの溶解度の結果が最も良好であった。DVS測定を行なって、吸湿性を求め、塩の多形形態および結晶化度がDVS測定の後も維持されるか否かを調べた。メシレート塩は、高湿度レベルにおいてわずかに吸湿性を示し、多形体の結晶化度は変化せずに維持された。
【0191】
II.化学合成
特記しない限り、試薬および溶媒は、市販品供給元から入手したものをそのまま使用した。無水溶媒とオーブン乾燥済ガラス器具とを、水分および/または酸素に敏感な合成変換に使用した。収量の最適化は行わなかった。反応時間は近似値であり、最適化したものではない。カラムクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィー(TLC)を、特記しない限りシリカゲルを用いて行なった。
【0192】
実施例1:(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート(化合物1、(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミドのメタンスルホネート塩)の調製
【0193】
【0194】
工程1:(4R,7S)-2-アミノ-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ-[b]チオフェン-3-カルボキサミド(A)
【0195】
【0196】
(1R)-2-トロピノン(1当量)を、エタノール(EtOH)(15mL/出発トロピノンg)中のシアノアセトアミド(1.1当量)および硫黄(1.2当量)の混合物に添加し、続いてモルホリン(0.5当量)を添加した。反応混合物を50℃に加熱し、その温度にて60時間撹拌した。
【0197】
反応混合物を15~30℃においてろ過して微量の不溶物を除去し、ろ過ケークおよびろ過材をEtOH(2mL/出発トロピノンg)ですすぎ、ろ液を合わせて減圧下において濃縮し、≦45℃にて加熱して、残留物の体積を3.5mL/出発トロピノンgとした。濃縮後の残留物に、酢酸エチル(EtOAc)(10mL/出発トロピノンg)を、25℃において少なくとも30分間(min)かけて添加した。得られたスラリーを、25℃において、少なくとも1時間エージングさせた。次いで、このスラリーを-5℃に冷却し、その温度にて少なくとも1時間エージングさせた。固体をろ過によって集めた。ろ過ケークをEtOAcで2回(1回につき3mL/出発トロピノンg)すすぎ、真空オーブン中で45℃において乾燥させて、化合物A(73%)を褐色の固体として得た。
【0198】
工程2:(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド水和物(B)
【0199】
【0200】
テトラヒドロフラン(THF)(15mL/(出発化合物Aのg)中にイソシアン酸4-クロロフェニル(1.0当量)が溶解された溶液を、THF(10mL/(出発化合物Aのg))中の化合物A(1当量)の混合物に、-5℃において、少なくとも1時間かけて添加した。反応混合物をその温度で4時間撹拌した。
【0201】
水(0.5mL/(出発化合物Aのg))を添加して急冷し、反応混合物を減圧下において≦30℃にて濃縮して、残留物の体積を5mL/(出発化合物Aのg)とした。濃縮後の残留物に、水(18mL/(出発化合物Aのg))を添加した。水(2mL/(MsOHのg))中のメタンスルホン酸(MsOH)(0.85当量)を、得られたスラリーに、20℃において5分間かけて添加した。得られた混合物を、20℃において5分間撹拌した。混合物をろ過し、ろ過ケークを、水(2.5mL/(出発化合物Aのg))およびTHF(0.5mL/(出発化合物Aのg))の混合物ですすいだ。アンモニア水(出発化合物Aに対して3当量)を、ろ液を合わせたものに、20℃において15分間かけて添加した。得られたスラリーを、その温度において1時間エージングさせ、得られた固体をろ過によって集めた。ろ過ケークを2回すすぎ(水(1回につき5mL/(出発化合物Aのg))およびTHF(1回につき1mL/(出発化合物Aのg))の混合物で)、減圧下において50℃にて12時間乾燥させて、化合物B(88%)をオフホワイト色の固体として得た。
【0202】
工程3:(4R,7S)-2-(3-(4-クロロフェニル)ウレイド)-9-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-4H-4,7-エピミノシクロヘプタ[b]チオフェン-3-カルボキサミド メシレート(化合物1)
【0203】
【0204】
アセトニトリル(ACN)(3mL/(出発化合物Bのg))中にメタンスルホン酸(MsOH)(1当量)が溶解された溶液を、ACN(15mL/(出発化合物Bのg))中に化合物Bを含むスラリーに、40℃において2時間かけて添加した。得られたスラリーを、その温度において1時間エージングさせた。固体をろ過によって集めた。ろ過ケークをACNで2回(1回につき5mL/(出発化合物Bのg))ですすぎ、減圧下において45℃にて12時間乾燥させて、化合物1(85%)をオフホワイト色の固体として得た。
【0205】
III.化合物の特徴づけ
実施例2:X線粉末回折(XRPD)
X線粉末回折研究を、Bragg-Brentano型のBruker AXS D2 PHASERを使用して行なった。動作条件:Cuアノード、30kV、10mA;サンプルステージ標準回転;Κβフィルター(0.5% Ni)によるモノクロ化。スリット:固定発散スリット 1.0mm(=0.61°)、第1の軸ソーラースリット 2.5°、第2の軸ソーラースリット 2.5°。検出器:受光スリット 5°(検出器開口(detector opening))を備えた一次元検出器LYNXEYE。標準サンプルホルダー(0.1mm孔を有する(510)シリコンウェハ)がバックグラウンドシグナルに及ぼす影響は最小限である。
【0206】
測定条件:スキャン範囲5~45° 2θ、サンプル回転 5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mm 検出器スリット;全測定条件が機器の制御ファイルに記録される。システム適合性のため、コランダムサンプルA26-B26-S(NIST標準)を1日1回測定した。
【0207】
データ収集を、Diffrac.Commander v2.0.26ソフトウェアを使用して行なった。データ分析を、Diffrac.Eva v1.4ソフトウェアを使用して行なった。パターンには、バックグラウンド補正またはスムージングを行なわなかった。
【0208】
化合物1のXRPD分析(
図1)から、メシレート塩が結晶であることが示された。
図1の回折パターンに表れているピークを表にしたものが表3であるが、表中の列の見出しは、以下の意味である。1)2シータ、2θ(度);2)d(Å)、面間隔d(Å)、波長=1.54059Å(Cu/K-アルファ1)に基づく;3)高さ、1秒あたりのカウント;4)H%、高さ、相対的パーセント;5)面積;6)A%、面積、相対的パーセント;7)FWHM、半値全幅。
【0209】
【0210】
実施例3:偏光顕微鏡法(PLM)
光学顕微鏡法による研究を、AxioCamERc 5sを備えるAxioVert 35Mを使用して行なった。この顕微鏡は、4つのレンズを備えたものである(Zeiss A-Plan 5x/0.12、Zeiss A-Plan 10x/0.25、LD A-Plan 20x/0.30、およびAchros TIGMAT 32x/0.40)。データの収集および評価を、Carl Zeiss Zen AxioVision Blue Edition Lite 2011 v1.0.0.0ソフトウェアを使用して行なった。少量のサンプルを対物レンズに載せ、慎重に広げて薄い層とした。
【0211】
化合物1のPLM分析により、白色粉末が、20μm未満の細いもの(fines)と板状のものからなることが示された。
【0212】
実施例4:熱重量分析/示差走査熱量測定(TGA/DSC)
TGA/DSC複合研究を、オートサンプラーを備えるMettler Toledo TGA/DSC1 STARe Systemを使用し、小孔(穿孔)のあいた40μlのアルミニウムるつぼを使用して行なった。測定条件:5分間30.0℃、10℃/分で30.0℃から350.0℃、窒素フロー40mL/分。機器制御およびデータ分析は、STARe v15.00ソフトウェアを使用して行なった。
【0213】
化合物1のTGA/DSC複合サーモグラム(
図2)において、TGAから、融解時に、分解開始とは別に、19.5%の質量損失が示された。DSCから、単一の吸熱が開始温度約199℃にて示され、ピーク(融点)は約202℃であった(報告ではそれぞれ198.79および201.94℃)。
【0214】
実施例5:示差走査熱量測定(DSC)
DSC研究を、Mettler Toledo DSC1またはDSC2 STARe Systemを使用して行なった。サンプル調製を、あらかじめ秤量したアルミニウムるつぼ(40μl、穿孔あり)を使用して行い、典型的には、これにサンプルを1~8mg載せ、以下の温度プログラムにて分析した。30℃において5分間維持、10℃/分にて30℃から350℃に加熱、および350℃において1分間維持(DSC1);10℃/分にて30℃から300℃に加熱(DSC2)。窒素パージ(40ml/分)をサンプルの上で維持した。システムの適合性を調べるため、インジウムおよび亜鉛を参照として使用した。データの収集および評価を、STAReソフトウェア v12.10もしくはv15.00(DSC1)またはv14.00(DSC2)を使用して行なった。サーモグラムには補正を行なわなかった。
【0215】
結晶性化合物1の3つのサンプルのDSC結果について、その概要を表4に示す。
【0216】
【0217】
実施例6:動的水蒸気吸着(DVS)
DVS研究を、Surface Measurement Systems社のDVS-1 No Videoを使用して行なった。サンプル(典型的には20~30mg)を天秤の皿に載せ、0%相対湿度(RH)において釣り合わせた。この材料を乾燥させた後、1ステップ毎に10%ずつRHを増加させ(増加あたり1時間)、95%RHで終了した。吸着サイクル終了後に、同じ方法でサンプルを乾燥させ、サイクルを繰り返した。データ収集に使用したソフトウェアは、DVSWin v3.01 No Videoであった。データ分析を、DVS Standard Analysis Suite v6.3.0(標準)を使用して行なった。
【0218】
化合物1のDVS分析(
図3)から、RH変化に応答して段階的に吸着が生じ、総質量上昇は第1の吸着サイクルにおいて1.8%、第2のサイクルにおいて1.6%であったことがわかった。この材料は、わずかに吸湿性を有する。
【0219】
DVS分析前後に記録されたXRPDパターン(
図4、上パターン=DVS前、下パターン=DVS後)から、この材料はこの相対湿度サイクルに曝露されても変化しないことが示された。
【0220】
実施例7:赤外分光法(IR)
FT-IR研究を、Thermo Scientific Nicolet iS50を使用して行なった。減衰全反射(ATR)技術を、KBrのビームスプリッターと共に用いた。測定条件:スキャン回数、16;解像度、4cm-1;データ収集、400cm-1~4000cm-1。データの収集および評価には、ソフトウェアOMNIC version 9.2を使用した。
【0221】
化合物1のIR分析を
図5中に示す。
実施例8:
1
H核磁気共鳴(
1
H NMR)
1H-NMR研究を、Agilent Inova400(周波数:400MHz)を使用して行なった。化合物1を重水素化DMSO中に溶解し、内部テトラメチルシラン(δ 0.00ppm)に対する化学シフト(δ ppm)を記録した。
【0222】
化合物1の
1H NMRスペクトルを
図6中に示す。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 10.28(br s,1H),10.09(s,1H),9.98(br s,1H),7.50(d,J=9.0Hz,2H),7.45(br s,1H),7.35(d,J=9.0Hz,2H),4.90(br s,1H),4.19(br s,1H),3.33(m,2H),2.84(m,4H),2.42(m,2H),2.32(s,3H),2.15(m,1H),1.87(m,1H)。
【0223】
実施例9:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
HPLCを、以下の機器および動作パラメータを使用して行なった。
【0224】
機器:HPLC-Agilent 1100(データの収集および評価には、Agilent ChemStation for LC Systems Rev.B.04.02[96]ソフトウェアを使用)
カラム:Agilent Zorbax SB-C18、粒子径5μm、150mmx4.6mm
カラム温度:20.0±0.8℃
検出器:Agilent 1100、type DAD G1315B、245nmにて
注射体積:5μL(化合物1 1mg/水mL)
流速:1mL/分
移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸 アセトニトリル溶液
移動相B:0.1%トリフルオロ酢酸 水溶液
勾配プログラム
【0225】
【0226】
化合物1のHPLC純度を測定したところ、>99.9%であった(
図7)。
実施例10:旋光分析
旋光性を、Anton Paarの旋光計を使用して測定した。Anton Paarの旋光計は、以下のパラメータで使用した。セル長 100.00mm;空気中での波長 589.28nm;真空での波長 589.44nm;設定温度 20℃。システムの適合性を確認するために、石英チェック(quartz check)を1日1回測定した。
【0227】
上述される条件とDMSO溶媒中との2通りで測定したところ、それぞれでの回転は+19.6°および+20.4°であった。
【0228】
実施例11:液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)
液体クロマトグラム質量損失測定を、Bruker MaXis QTOFおよび以下の化学物質/物質を使用して行なった。水(UHPLC-MSグレード)、メタノール(UHPLC-MSグレード)、アセトニトリル(UHPLC-MSグレード)、およびギ酸(HPLCグレード)。サンプルを直接注入して分析した。ESIをイオン化に使用し、スペクトルを、ポジティブモードにて、質量範囲50~1500m/zにわたって記録した。質量分析計の内部較正を、較正溶液(Mili-Q水中のギ酸ナトリウムクラスタ)を使用して行なった。
【0229】
プロトン化された遊離塩基に対応するフラグメント(すなわち、メシレート塩、化合物1中に存在するカチオン)の厳密な質量は、391.0990であった(
図8)。
【0230】
実施例12:化合物1の多形体スクリーニング
多形体スクリーニング実験を、Avantium Crystal 16(商標)並列晶析装置を使用して行なった。この機器は、レーザ透過によって溶解を検出する。
【0231】
メシレート塩の多形体スクリーニングを行って、安定性および多形挙動を求めた。8種の異なる溶媒(トルエン、水、アセトニトリル、アセトン、tert-ブチルメチルエーテル、2-ブタノン、酢酸イソプロピル、および2-メチルテトラヒドロフラン)について調べた。濃度は、溶媒800μL中、25mg/mLであった(遊離塩基基準)。スラリー結晶化実験を室温で一晩撹拌した。冷却結晶化実験のプロトコールは、50℃に加熱、冷却速度毎時5℃にて10℃に冷却。8種の溶媒すべてを、スラリー結晶化実験および冷却結晶化実験の両方にて試験した。回収した固体をXRPDにより特徴づけた。
【0232】
実施例13:化合物1の溶解度
溶解度をフラスコ振とう法によって決定し、その際、溶解度は、目視で20℃において決定した。化合物1 10mgに水を段階的に添加して(添加間隔15分間)完全に溶解させた。
【0233】
化合物1の水中への溶解度は、>97mg/mLであった。