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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20231206BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20231206BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20231206BHJP
   H01M 50/247 20210101ALI20231206BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20231206BHJP
【FI】
G01D11/24 K
G01M99/00 Z
G01H17/00 Z
H01M50/247
H01M50/271 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021181878
(22)【出願日】2021-11-08
(65)【公開番号】P2023069765
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-126622(JP,A)
【文献】特開2016-115778(JP,A)
【文献】実開昭60-063989(JP,U)
【文献】特開平10-255748(JP,A)
【文献】特開2017-222115(JP,A)
【文献】国際公開第2021/187224(WO,A1)
【文献】中国実用新案第203151887(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/24
G01M 99/00
G01H 17/00
H01M 50/247
H01M 50/271
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長尺な略直方体形状を有するとともに、複数の電池が収納される筐体部と、
前記筐体部における長手方向の一方の端面から突出形成され、先端が計測対象物に押し当てられることにより当該計測対象物の状態を計測する部位であって、棒状または筒状のプローブと、
を備え、
前記複数の電池は、それぞれが長尺柱状の外観形状を有するとともに、第1電池および第2電池を含み、
前記筐体部は、
前記第1電池と前記第2電池とが前記一方向に沿って直列に並ぶように、前記複数の電池が収容されるとともに、前記一方向の長さが当該一方向に対して直交する方向の長さに比べて長い開口部を有する凹部が設けられたケースと、
前記ケースの開口部を閉じる蓋と、
を有し、
前記蓋は、前記直交する方向における両端部で前記ケースに結合されている、
計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計測装置において、
前記蓋は、前記直交する方向における一方の端部に、当該直交する方向の外向きに突出形成された係止片部を有し、
前記ケースは、前記凹部の周囲の内、前記直交する方向における前記蓋の一方の端部が配される部分に、前記係止片部が嵌入されることにより前記蓋を前記ケースに対して係合させる係止凹部を有し、
該計測装置は、前記蓋における前記直交する方向の他方の端部と前記ケースにおける前記凹部の周囲の部分とをネジ止めするネジをさらに備え、
前記蓋と前記ケースとは、前記係止凹部への前記係止片部の嵌入による係合と、前記ネジによるネジ止めとにより、互いに結合される、
計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の計測装置において、
前記蓋は、前記係止片部として、互いに前記一方向に離間して配置された第1係止片部と第2係止片部とを有し、
前記ケースは、前記係止凹部として、互いに前記一方向に離間するとともに、前記第1係止片部および前記第2係止片部のそれぞれに対応して設けられた第1係止凹部と第2係止凹部とを有し、
前記一方向において、
前記第1係止凹部は、前記凹部における前記第1電池が収容される範囲に対応した箇所に配設されており、
前記第2係止凹部は、前記凹部における前記第2電池が収容される範囲に対応した箇所に配設されている、
計測装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の計測装置において、
前記複数の電池は、前記第1電池に対して前記直交する方向に並設される第3電池と、前記第2電池に対して前記直交する方向に並設されるとともに、前記第3電池に対して前記一方向に沿って直列に並ぶように配置される第4電池と、をさらに含む、
計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置に関し、電池が収納される筐体部を有し、作業者が携帯する可搬タイプの計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気が流通する配管設備から復水(ドレン)のみを排出する用途に用いられるスチームトラップが知られている。このようなスチームトラップは、各種プラントで数多く配設されている。
【0003】
また、スチームトラップやその入り口部分のスチーム配管の振動の強度および表面温度を計測し、それらの相互関係から蒸気漏れの有無を診断することが行われている。このような診断には、スチームトラップ等の振動の強度を計測するための振動プローブと、スチームトラップ等の表面温度を計測するための温度プローブとを備える計測装置が用いられる。計測装置としては、作業者が携帯してプラント内のスチームトラップ等を計測する可搬タイプのものと、スチームトラップ等に振動プローブおよび温度プローブが固定された設置タイプのものとがある。特許文献1には、可搬タイプの計測装置が開示されている。
【0004】
図5(a)に示すように、特許文献1に開示の計測装置9は、筐体部90と、プローブ91と、蓋92とを備える。筐体部90は、扁平薄型の直方体形状を有する。筐体部90の裏面90aには、電池93,94を収納する凹部90bが形成されている。プローブ91は、筐体部90におけるY方向の端面から外側に向けて突出形成されている。プローブ91の先端部分には、振動プローブの先端と温度プローブの先端とが配設されている。
【0005】
蓋92は、電池93,94が収納された凹部90bの開口を塞ぐように配され、ネジ95,96で筐体部90に取り付けられる。筐体部90には、ネジ95,96が螺合されるネジ孔90c,90dが形成されている。
【0006】
図5(b)に示すように、特許文献1に開示の計測装置9において、筐体部90には、凹部90bの外周部分に上記ネジ孔90c,90dの他に、係止凹部90e,90fも形成されている。係止凹部90e,90fには、蓋92に形成された係止片部(図示を省略。)が嵌入される。なお、図5(b)に示すように、筐体部90には、凹部90bの外周部分の内のY方向の一方側に係止凹部90e,90fが設けられ、係止凹部90e,90fに対して凹部90bを挟んだY方向の反対側にネジ孔90c,90dが設けられている。
【0007】
特許文献1に開示の計測装置9では、計測したデータを作業者が携帯するノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、「ノートPC」と記載する。)などに逐次または適時に送信するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-84419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、石油コンビナートのようなプラントにおいては、防爆に関する規制によりLi-ion電池を内蔵するノートPCをプラント内に持ち込むことができない場合がある。このようなプラントで計測装置を用いた計測を行う場合には、計測したデータを計測装置のメモリ等に記憶させておき、作業者がプラントから出た後にパーソナルコンピュータなどにデータを転送することが必要となる。このため、石油コンビナート等のプラントで用いる計測装置では、大量のデータをメモリ等に記憶しておくために電池容量を大きなものとすることが必要となる。
【0010】
大きな電池容量を有する計測装置を実現する具体策としては、上記特許文献1に開示の計測装置9に対して、2本以上の電池を追加した構成が考えられる。ここで、図5(a)に示す筐体部90において、X方向の幅を大きくすることは当該部分を作業者が把持することから難しいと考えられる。よって、電池本数を増やそうとする場合には、図5(a)に示す筐体部90をY方向に長くして、凹部90bもY方向に長くすることにより、Y方向に複数本の電池が並ぶように構成することが考えられる。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に開示の計測装置9について、筐体部90をY方向に伸ばした場合、蓋92もY方向に長くすることが必要となり、蓋92の強度について問題が生じることが考えられる。これに対して、蓋92の板厚を厚くしたり、蓋92の材質を高強度なものとしたりすることも考えられるが、筐体部90全体での厚みや重量の増加、さらには製造コストの上昇といった問題が生じ得る。
【0012】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、サイズや重量の増加、および製造コストの上昇を抑えながら、大きな電池容量を確保するために筐体部における凹部を筐体部の長手方向に長くした場合であっても当該凹部を高強度に蓋で閉じることが可能な計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係る計測装置は、筐体部とプローブとを備える。前記筐体部は、一方向に長尺な略直方体形状を有するとともに、複数の電池が収納される。前記プローブは、前記筐体部における長手方向の一方の端面から突出形成され、先端が計測対象物に押し当てられることにより当該計測対象物の状態を計測する部位であって、棒状または筒状の形状を有する。前記筐体部に収納される前記複数の電池は、それぞれが長尺柱状の外観形状を有するとともに、第1電池および第2電池を含む。
【0014】
本態様に係る計測装置において、前記筐体部は、ケースと、蓋とを有する。前記ケースは、前記第1電池と前記第2電池とが前記一方向に沿って直列に並ぶように(第1電池と第2電池との電気接続の形態については直列接続に限定されない)、前記複数の電池が収容されるとともに、前記一方向の長さが当該一方向に対して直交する方向の長さに比べて長い開口部を有する凹部が設けられた部材である。前記蓋は、前記ケースの開口部を閉じる部材である。そして、前記蓋は、前記直交する方向における両端部で前記ケースに結合されている。
【0015】
なお、上記において、「第1電池と第2電池とが一方向に沿って直列に並ぶ」とは、第1電池と第2電池の配置形態が直列配置であることを示し、第1電池と第2電池とが電気的に直列接続されている形態に限定されるものではない。
【0016】
上記態様に係る計測装置では、ケースに複数の電池を収納する凹部が設けられている。凹部は、筐体部の長手方向(上記一方向)の長さの方が短手方向(上記直交する方向)の幅よりも長い開口部を有するよう設けられている。これより、凹部の開口部を閉じる蓋についても、上記開口部と同様の形状を有することとなる。
【0017】
上記態様に係る計測装置では、ケースに対する蓋の結合が、短手方向(上記直交する方向)の両端部でなされている。このため、凹部への電池の収納形態に伴って、蓋における上記長手方向の長さが上記短手方向の幅に比べて長くなるが、短手方向の両端部でケースに結合することで各結合部分へのモーメントを長手方向の両端部で結合する場合に比べて小さくすることができる。よって、上記態様に係る計測装置では、蓋の厚肉化や高強度材料の採用などを行わなくても、凹部の開口部を高強度に蓋で閉じることが可能である。
【0018】
さらに、上記態様に係る計測装置では、ケースへの蓋の結合部分を短手方向の両端部とすることにより、ケースにおける凹部が設けられた領域とプローブが突出する端面との間に定格銘板を貼付することができる領域を確保した場合にも筐体部の長手方向でのサイズ拡大を抑えることができる。即ち、長手方向の両端部でネジなどによりケースと蓋とを結合する場合に比べて、長手方向でのケースへの蓋の結合に要する領域を無くすことができ、その分を定格銘板の貼付領域とすることが可能となる。
【0019】
上記態様に係る計測装置において、前記蓋は、前記直交する方向における一方の端部に、当該直交する方向の外向きに突出形成された係止片部を有してもよく、前記ケースは、前記凹部の周囲の内、前記直交する方向における前記蓋の一方の端部が配される部分に、前記係止片部が嵌入されることにより前記蓋を前記ケースに対して係合させる係止凹部を有してもよい。また、本態様に係る計測装置は、前記蓋における前記直交する方向の他方の端部と前記ケースにおける前記凹部の周囲の部分とをネジ止めするネジをさらに備えてもよい。そして、前記蓋と前記ケースとは、前記係止凹部への前記係止片部の嵌入による係合と、前記ネジによるネジ止めとにより、互いに結合されてもよい。
【0020】
上記態様に係る計測装置では、上記短手方向の一方側において係止片部を係止凹部に嵌入させることにより蓋をケースに対して係合させるとともに、他方側においてネジによるネジ止めとにより、ケースに対して蓋を結合しているので、上記短手方向の両端部をネジによりネジ止めしてケースに対して蓋を結合する場合に比べて、蓋の装着および取り外しを簡易な作業で行うことができる。
【0021】
上記態様に係る計測装置において、前記蓋は、前記係止片部として、互いに前記一方向に離間して配置された第1係止片部と第2係止片部とを有してもよく、前記ケースは、前記係止凹部として、互いに前記一方向に離間するとともに、前記第1係止片部および前記第2係止片部のそれぞれに対応して設けられた第1係止凹部と第2係止凹部とを有してもよい。
【0022】
また、上記態様に係る計測装置では、前記一方向において、前記第1係止凹部は、前記凹部における前記第1電池が収容される範囲に対応した箇所に配設されていてもよく、前記第2係止凹部は、前記凹部における前記第2電池が収容される範囲に対応した箇所に配設されていてもよい。
【0023】
上記態様に係る計測装置では、ケースにおける第1係止凹部および第2係止凹部を上記長手方向に沿って並ぶように配列された第1電池および第2電池の側方にそれぞれ形成することとしているので、ケースに収納された各電池が凹部の底部から浮き上がろうとしても蓋で確実に押さえることが可能となる。
【0024】
上記態様に係る計測装置において、前記複数の電池は、前記第1電池に対して前記直交する方向に並設される第3電池と、前記第2電池に対して前記直交する方向に並設されるとともに、前記第3電池に対して前記一方向に沿って直列に並ぶように配置される第4電池と、をさらに含んでもよい。
【0025】
なお、上記において、第3電池と第4電池とについても、第3電池と第4電池の配置形態が直列配置であればよく、第3電池と第4電池とが電気的に直列接続されている形態に限定されるものではない。
【0026】
上記態様に係る計測装置では、互いに上記長手方向に沿って並び、第1電池および第2電池に対して上記短手方向にそれぞれ並設された第3電池および第4電池を備えるので、電池容量を増やすのに有効である。なお、このように第1電池および第2電池に加えて第3電池および第4電池を備える場合でも、上記構成の採用によりケースに対して高強度に蓋を結合することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
上記の各態様に係る計測装置では、サイズや重量の増加、および製造コストの上昇を抑えながら、大きな電池容量を確保するために筐体部における凹部を筐体部の長手方向に長くした場合であっても当該凹部を高強度に蓋で閉じることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る計測装置の外観構成を示す正面図である。
図2】筐体部を裏面側から示す背面図である。
図3】ケースへの蓋の取付方法と、ケースの凹部内の構成を示す展開斜視図である。
図4】凹部内における円筒形電池の配置形態と、ケースにおける凹部の周辺の構成を示す平面図である。
図5】(a)は従来技術に係る計測装置を裏面側から見た背面図、(b)はケースの凹部に収容された電池の配置形態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0030】
また、以下の説明で用いる図において、X方向は筐体部の短手方向、Y方向は筐体部の長手方向に該当する。換言すると、Y方向は「一方向」に該当し、X方向は「直交する方向」に該当する。
【0031】
1.計測装置1の概略構成
計測装置1の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0032】
計測装置1は、例えば石油コンビナート等のプラントでも使用することができるように開発された装置であって、スチームトラップやスチームトラップの近傍のスチーム配管の振動の強度および表面温度を計測する装置である。また、本実施形態に係る計測装置1は、作業者が携帯する可搬タイプの装置である。
【0033】
図1に示すように、計測装置1は、筐体部10と、プローブ11と、表示部12と、回路基板13と、操作スイッチ14と、インジケータ15とを備える。筐体部10は、Y方向に長尺であって、図1の紙面に垂直な方向に扁平な扁平略直方体形状を有する。計測装置1の使用時において、作業者は、筐体部10におけるX方向の両側部を把持する。
【0034】
筐体部10のオモテ面10aには、プローブ11が突出する側の部分に表示部12が設けられ、プローブ11が突出するのとは反対側の部分に複数の操作スイッチ14およびインジケータ15が設けられている。
【0035】
詳細な図示を省略するが、プローブ11は、スチームトラップ等の計測対象物の振動の強度を検出するための振動プローブと、スチームトラップ等の表面温度を検出するための温度プローブとを有する。振動プローブは、金属材料から構成された筒形形状の探触棒と、探触棒に入力された振動の強度に応じて信号を出力する振動センサ(例えば、圧電型加速度センサ)とを有する。なお、振動センサは、金属材料からなる台座部を介して探触棒に固定されている。
【0036】
温度プローブは、振動プローブにおける探触棒の筒内中空部内に配置されている。温度プローブは、一対の熱電対素線を有する。一対の熱電対素線は、探触棒の筒開口付近で接合されている。
【0037】
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイパネル(LCDパネル)とその表面を保護する保護シートとで構成されており、計測結果(スチームトランプ等の振動の強度および表面温度)や、当該計測結果に基づく診断結果などの各種情報が表示される。
【0038】
操作スイッチ14には、計測装置1の電源をON/OFFするための電源スイッチ、コマンドを選択/実行するためのコマンドスイッチ、データ表示などの送り/戻しを行うためのスクロールスイッチなどが含まれる。
【0039】
インジケータ15は、電源ON時に点灯する電源インジケータである。なお、インジケータ15から出射される光の色温度については、電池容量が所定容量よりも少なくなった場合に変化する構成を採用してもよい。
【0040】
筐体部10の内部には、コントローラを構成する回路基板13が内蔵されている。コントローラは、MPU/CPU、ASIC、ROM、RAM等を含むマイクロプロセッサと、比較的大容量のメモリとを有して構成されている。コントローラは、ROM等に予め格納されたファームウェア等を実行することにより、プローブ11での検出結果に基づいて振動の強度および表面温度を算出する。
【0041】
2.筐体部10への電池収納形態
筐体部10への電池収容形態について、図2から図4を用いて説明する。
【0042】
図2に示すように、筐体部10は、ケース101と、蓋102と、ネジ16とを有する。ケース101は、平面視において、Y方向の長さがX方向の幅に比べて長い略直方体形状を有する。蓋102は、筐体部10の裏面10b側において、ネジ16を用いてケース101に結合されている。
【0043】
なお、図2に示すように、筐体部10の裏面10bには、蓋102が配された領域と、プローブ11が突出する端面との間の部分に、定格銘板を貼付するための銘板貼付領域10cが設けられている。
【0044】
図3に示すように、ケース101には、Z方向に凹入する凹部101aが設けられている。図4に示すように、凹部101aの開口は、Y方向の長さがL2であって、X方向の幅W2に比べて長い長方形状である。
【0045】
図3に戻って、凹部101aには、4本の円筒形電池17~20が収納されている。4本の円筒形電池17~20のそれぞれは、AAタイプのマンガン乾電池またはアルカリ乾電池である。ただし、電池の種類については、これに限定を受けるものではなく、例えば、DタイプやCタイプ、さらにはAAAタイプやNタイプの乾電池を採用することも可能である。また、角形電池を採用することも可能である。
【0046】
円筒形電池17と円筒形電池19とは、Y方向に筒軸が沿い、互いにY方向に直列に並ぶように配置されている。円筒形電池18と円筒形電池20とは、Y方向に筒軸が沿い、互いにY方向に直列に並ぶように配置されている。円筒形電池17と円筒形電池18とは、互いにX方向に隣接するように配置され、円筒形電池19と円筒形電池20とは、互いにX方向に隣接するように配置されている。
【0047】
蓋102は、凹部101aの開口サイズよりも少し大きく設定されている。これは、図4に示すように、ケース101の凹部101aの外周部には、凹部101aの凹入深さよりも浅い深さを凹入された矩形環状の外縁棚部101bが設けられており、蓋102は、当該蓋102の外周縁がケース101の外縁棚部101bに当接するように形成されているためである。具体的に、蓋102は、Y方向の長さがL2よりも長いL1であり、X方向の幅がW2よりも広いW1である。
【0048】
蓋102は、2つの係止片部102c,102dと、1つの突片部102bとを有する。2つの係止片部102c,102dは、蓋102における長方形状の蓋本体部102aのX方向の一方側の端辺から外向きに突出形成されている。そして、係止片部102cと係止片部102dとは、Y方向において、互いに間隔を空けて設けられている。
【0049】
蓋102における突片部102bは、蓋本体部102aにおけるX方向の他方側の端辺から外向きに弧状に突出形成されている。突片部102bには、ネジ16が挿通する通し孔が開けられている。なお、ネジ16は、ケース101へのネジ止め状態が解除された状態において、蓋102から外れないように配されている。
【0050】
図4に示すように、円筒形電池18と円筒形電池20とは、凹部101a内において、円筒形電池18の負極と円筒形電池20の正極とが当接するように直列に接続されている。円筒形電池17と円筒形電池19とについても、直列に接続されている。ケース101の凹部101aに対しては、Y方向に端子22,23および端子バネ21,24が突出するように設けられている。端子22は円筒形電池18の正極と接続され、端子23は円筒形電池19の正極と接続される。端子バネ21は円筒形電池17の負極と接続され、端子バネ24は円筒形電池20の負極と接続される。端子22,23および端子バネ21,24は、図1を用いて説明した回路基板13に電気接続されている。
【0051】
ケース101は、2つの係止凹部101e,101fと、1つのネジ孔形成部101cとを有する。2つの係止凹部101e,101fは、それぞれが凹部101aを囲む外周辺から外向きに凹入するよう形成されている。Y方向において、係止凹部101eは円筒形電池18の長手方向の略中程の箇所に相当する部分に形成され、係止凹部101fは円筒形電池20の長手方向の略中程の箇所に相当する部分に形成されている。これら係止凹部101e,101fには、ケース101に蓋102を結合する際に、蓋102に設けられた係止片部102c,102dがそれぞれ嵌入される。
【0052】
ケース101におけるネジ孔形成部101cは、外縁棚部101bと面一に形成されており、蓋102の突片部102bが挿入可能に弧状に形成されている。ネジ孔形成部101cには、ネジ16が螺合するネジ孔101dが開けられている。
【0053】
作業者が円筒形電池17~20を交換等する場合には、ネジ16を回してネジ止め状態を解除し、蓋102の突片部102bをケース101のネジ孔形成部101cから浮かせ、当該状態で係止凹部101e,101fから係止片部102c,102dを抜くことでケース101から蓋102を取り外して、使用済みの円筒形電池17~20を取り外す。そして、未使用の円筒形電池17~20を凹部101a内に収納した後、上記の手順とは反対の手順でケース101に蓋102を結合することで、円筒形電池17~20の交換が完了する。
【0054】
3.効果
本実施形態に係る計測装置1では、ケース101に4本の円筒形電池17~20を収納する凹部101aが設けられている。凹部101aは、筐体部10の長手方向(Y方向)の長さL2の方が短手方向(X方向)の幅W2よりも長い開口部を有するよう設けられている。これより、凹部101aの開口部を閉じる蓋102についても、凹部101aの開口部と同様に長さL1で幅W1(L1よりも長さが短い)の略長方形状を有する。
【0055】
計測装置1では、ケース101に対する蓋102の結合が、短手方向(X方向)の両端部でなされている。このため、凹部101aへの円筒形電池17~20の収納形態に伴って、蓋102におけるY方向の長さL1がX方向の幅W1に比べて長くなるが、X方向の両端部でケース101に結合することで各結合部分へのモーメントをY方向の両端部で結合する場合に比べて小さくすることができる。よって、計測装置1では、蓋102の厚肉化や高強度材料の採用などを行わなくても、凹部101aの開口部を高強度に蓋102で閉じることが可能である。
【0056】
さらに、本実施形態に係る計測装置1では、ケース101への蓋102の結合部分をX方向の両端部とすることにより、ケース101における凹部101aが設けられた領域とプローブ11が突出する端面との間に定格銘板を貼付することができる銘板貼付領域10cを確保することができるとともに、当該銘板貼付領域10cを設けても筐体部10の長手方向(Y方向)でのサイズ拡大を抑えることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る計測装置1では、X方向の一方側において蓋102の係止片部102c,102dをケース101の係止凹部101e,101fにそれぞれ嵌入させることによりケース101に対する蓋102の係合と、X方向の他方側においてネジ16によるネジ止めとにより、ケース101に対して蓋102を結合しているので、X方向の両端部をネジによるネジ止めにより結合する場合に比べて、蓋102の装着および取り外しを簡易な作業で行うことができる。
【0058】
また、本実施形態に係る計測装置1では、ケース101における係止凹部101e(第1係止凹部)および係止凹部101f(第2係止凹部)を円筒形電池18(第1電池)および円筒形電池20(第2電池)の各長手方向の中程部分のX方向側方にそれぞれ形成することとしているので、ケース101の凹部101aに収納された各電池17~20が凹部101aの底部から浮き上がろうとしても蓋102で確実に押さえることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態に係る計測装置1では、Y方向に直列に並ぶように配置された2本の円筒形電池18,20に加えて、同じくY方向に直列に並ぶように配置された2本の円筒から電池17,19を備えるので、図5を用いて示した従来技術に係る計測装置9に比べて電池容量を増やすことができ、例えば、石油コンビナートのようなノートPCが持ち込めないようなプラントにおいても、多数の箇所でスチームトラップ等の計測対象物の状態(振動の強度、表面温度)を計測し、メモリに情報を記憶しておくことが可能である。
【0060】
以上のように、上記の各態様に係る計測装置では、サイズや重量の増加、および製造コストの上昇を抑えながら、大きな電池容量を確保するために筐体部における凹部を筐体部の長手方向に長くした場合であっても当該凹部を高強度に蓋で閉じることが可能である。
【0061】
[変形例]
上記実施形態では、筐体部10に内蔵される電池17~20として円筒形電池を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、角筒形電池を採用することも可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、円筒形電池18の負極と円筒形電池20の正極とが直に接触して接続され、円筒形電池17の正極と円筒形電池19の負極とが直に接触して接続される形態を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、Y方向に並ぶ電池同士の間に端子を有する仕切板が介在する形態を採用することも可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、筐体部10に4本の円筒形電池17~20が内蔵された形態を一例としたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、6本あるいは8本以上の電池を内蔵することとしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、蓋102に2つの係止片部102c,102dを設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、1つだけ係止片部を有する形態や、3つ以上の係止片部を有する形態などを採用することも可能である。
【0065】
また、上記実施形態では、ケース101への蓋102の結合において1つのネジ16を用いることとしたが、本発明は、2つ以上のネジを用いることとしてもよい。また、X方向の両端部ともにネジによるネジ止めでケースと蓋とを結合することとしてもよい。
【0066】
なお、ケースと蓋との結合のために用いるネジについては、1周以上回転させてネジ止めが完了するものであってもよいし、1周未満の回転でネジ止めが完了するものであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 計測装置
10 筐体部
10b 裏面
10c 銘板貼付領域
11 プローブ
16 ネジ
17~20 円筒形電池
101 ケース
101a 凹部
101d ネジ孔
101e,101f 係止凹部
102 蓋
102d 突片部
102c,102d 係止片部
図1
図2
図3
図4
図5