IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フングク インダストリー カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7397513シリカヒュームを含む石炭灰ベースのジオポリマーフォームの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-05
(45)【発行日】2023-12-13
(54)【発明の名称】シリカヒュームを含む石炭灰ベースのジオポリマーフォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/26 20060101AFI20231206BHJP
   C04B 22/08 20060101ALI20231206BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20231206BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20231206BHJP
   C04B 18/08 20060101ALI20231206BHJP
   B28C 7/04 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C04B28/26
C04B22/08 A
C04B22/06 Z
C04B18/14 Z
C04B18/08 Z
B28C7/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021572370
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 KR2021003741
(87)【国際公開番号】W WO2022181871
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0025041
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520270923
【氏名又は名称】フングク インダストリー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 正晴
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギユン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ヂフェ
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1364149(KR,B1)
【文献】特開2017-202963(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1901684(KR,B1)
【文献】特開2017-132658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)水ガラス(NaSiO)と水酸化ナトリウム(NaOH)を混合してアルカリ活性化剤を製造する段階と、
(2)シリカヒュームを発泡剤として前記アルカリ活性化剤に入れて撹拌する段階と、
(3)石炭ボトムアッシュを粉砕する段階と、
(4)前記石炭ボトムアッシュと石炭フライアッシュを混合して石炭灰を製造する段階と、
(5)前記石炭灰に前記シリカヒュームとアルカリ活性化剤の混合物を添加した後、さらにアルカリ活性化剤を添加してアルカリ活性化剤/固体物質の比を調整および混合する段階と、
(6)モールドに充填および密封して試片を製造する段階と、
(7)試片をオーブンで養生する段階と
(8)前記養生が完了された試片を200℃~600℃の高温に2時間露出する段階と、
を備え、
前記シリカヒュームは、15重量%含まれており、
前記段階(4)において、前記石炭ボトムアッシュと前記石炭フライアッシュの総量で前記石炭フライアッシュは、10~50重量%含まれており、
前記段階(5)において、前記アルカリ活性化剤/固体物質の比は、0.38~0.50である、
石炭灰を用いたジオポリマーフォームの製造方法。
【請求項2】
前記水ガラス(NaSiO)と水酸化ナトリウム(NaOH)を混合したアルカリ活性化剤の質量比は、5対1であることを特徴とする
請求項1に記載の石炭灰を用いたジオポリマーフォームの製造方法。
【請求項3】
前記石炭ボトムアッシュを粉砕する段階は、ジョークラッシャー(jaw crusher)で1回粉砕した後、ハンマーミル(hammer mill)で4回粉砕してふるいわけの過程を除いたことを特徴とする
請求項1に記載の石炭灰を用いたジオポリマーフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカヒュームを含む石炭灰ベースジオポリマーフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント(cement)は、水のような他の物質と反応して自ら固まるか、または他の物質をともに凝集させてくれる無機物結合剤(binder)を総称する用語である。一般的に、セメントは、普通ポルトランドセメント(Ordinary Portland Cement:OPC)を称するが、これはポルトランドセメントが全体のコンクリートの使用において95%以上の割合を占めるからである。ポルトランドセメントは、原料が豊富で生産方式も複雑ではないため大量生産に適しているが、生産プロセスは非常にエネルギー集約的、かつ大量の二酸化炭素を排出するという問題がある。Davidovitsの研究によると、1トンのセメントを生産するのに約1トンの二酸化炭素が排出される。セメント産業において、バイオ燃料を使用するか、または少ないエネルギーを消費する新しいクリンカータイプを導入し、環境に優しいコンクリートの構成を開発するなど、二酸化炭素の排出量を減少させるために多様な努力を傾けたが、中国やインドなどのような急速に発展している国におけるセメント需要の増加に起因して、全世界の二酸化炭素排出量は、2000年度の5%レベルから2014年度の8%レベルに増加した。
【0003】
ジオポリマー(geopolymer)は、OPCの環境に優しい代替物質として注目を浴びている。ジオポリマーは、シリカ(SiO)とアルミナ(Al)を豊富に有している原料物質がアルカリ活性化(alkali activation)して合成されたアルミノケイ酸塩(aluminosilicate)の3次元構造の無機結合物質である。ジオポリマーは、石炭火力発電所から発生する石炭灰、鉱業から発生する鉱微砂、またはアルミニウム精製過程から発生する赤泥などの産業廃棄物をその原料として使用することができるため、廃棄物処理の観点から利点を有する。
【0004】
石炭灰は、石炭フライアッシュ(coal fly ash:CFA)と石炭ボトムアッシュ(coal bottom ash:CBA)に分けられる。フライアッシュは球形の粒子形状を有しており、粒度が低くジオポリマー反応性が高い。それで、フライアッシュを活用する研究が多く行われ、実際にもその発生量の大部分が活用されている。一方、ボトムアッシュは、その成分でフライアッシュと類似しているにもかかわらず、粒形が不規則的でありかつ角張り、粒度が大きいためジオポリマーの原料として使用されるのに困難がある。ボトムアッシュを活用するための研究は、多く行われておらず、その発生量の大部分が埋め立てられている。実際に韓国南東発電所での石炭灰の発生状況によると、2018年の1年間に発生した石炭灰のうち、フライアッシュの79.07%が再活用され、フライアッシュの17.55%は埋め立てられたが、ボトムアッシュの76.59%が埋め立てられた。石炭灰の埋め立ては、土壌や水質汚染だけではなく、埋め立てコスト、埋め立て地の不足のような多様な困難さを発生させており、石炭灰は、特にボトムアッシュ活用のための研究が必要な実情である。
【0005】
一方、現代の建築物の断熱性能は、重要な設計基準に浮上している。現在の建物の断熱材料として広く使われる有機断熱材は、高温に弱く火災発生時に有毒ガスを排出して人命被害を誘発する問題を有している。これにより、優れている断熱性能を有しながら、高温に強い無機断熱材が注目を浴びている。現在、産業界と学界では、一般的に、化学物質の添加剤の反応を利用して、構造内の気体を生成させるコンクリートおよびジオポリマーフォームの合成法が活用されている。J.L.BellとW.M.Krivenの研究では、過酸化水素とアルミニウムパウダーを使用して、フォーム構造のジオポリマーを形成した。なお、Aguilar et al.はシリカヒュームを使用する多様な添加剤を活用して、ジオポリマーフォームを合成する研究を行った。このような先行研究では、主にメタカオリンとフライアッシュを原料として使用したが、本発明では、前記フォームを合成する方法を活用して、ボトムアッシュを原料とするジオポリマーフォームを製造しようとした。
【0006】
アルミニウムパウダーは、生産過程に対してエネルギー集約的であるから、環境の側面から使用を最小限に抑えることが好ましく、界面活性剤は、有機物質であるため高温分解を介して有害物質を生成することができる。シリカヒューム(silica fume)は、シリコンやシリコン合金の生産過程から発生する産業副産物であり、不純物として存在するシリコンの反応が、水素ガスを生成することで知られている。これらの反応を介して、より安定したジオポリマーフォームの構造を形成することができる。したがって、アルミニウムパウダーと界面活性剤を使用せずに、シリカヒュームだけを発泡剤として添加してジオポリマーフォームを合成しようとした。
【0007】
韓国登録特許第10-1901684号公報は、石炭ボトムアッシュを用いた速成高強度ジオポリマーの製造方法が開示されており、韓国公開特許第10-2013-0057024号公報は、廃棄物ディスクを用いたジオポリマー結合剤と、これを用いた耐火モルタルの組成物とに関するもので、骨材として廃石炭灰ボトムアッシュ(Bottom Ash)を含む耐火モルタルの組成物が開示されている。
【0008】
しかし、本発明の断熱性能と建築物の安全性が向上し、環境に優しい無機断熱材としてシリカヒュームを含む石炭灰ベースのジオポリマーフォームに対しては、まだ開始されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国登録特許第10-1901684号公報
【文献】韓国公開特許第10-2013-0057024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決するために、石炭ボトムアッシュとフライアッシュをともにジオポリマー原料として使用しており、アルカリ活性化剤と水酸化ナトリウムの混合溶液にシリカヒュームを添加し、熱伝導度が低く軽いジオポリマーフォームの特性を確認して本発明を完成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題を解決するために、本発明は、(1)水ガラス(NaSiO)と水酸化ナトリウム(NaOH)を混合してアルカリ活性化剤を製造する段階と、(2)シリカヒュームを前記アルカリ活性化剤に入れて撹拌する段階と、(3)石炭ボトムアッシュを粉砕する段階と、(4)前記石炭ボトムアッシュと石炭フライアッシュを混合して石炭灰を製造する段階と、(5)前記石炭灰に前記シリカヒュームとアルカリ活性化剤の混合物を添加した後、さらにアルカリ活性化剤を添加してアルカリ活性化剤/固体物質の比を調整および混合する段階と、(6)モールドに充填および密封して試片を製造する段階と、(7)試片をオーブンで養生する段階と、を備える石炭灰を用いたジオポリマーフォームの製造方法を提供する。
【0012】
本発明の一例として、水ガラス(NaSiO)と水酸化ナトリウム(NaOH)を混合したアルカリ活性化剤の質量比は5対1のものであり、シリカヒュームは15重量%含まれるものであり得る。
【0013】
本発明の他の例として、石炭ボトムアッシュを粉砕する段階は、ジョークラッシャー(jaw crusher)で1回粉砕した後、ハンマーミル(hammer mill)で4回粉砕してふるい分けの過程を除いたものであり、石炭ボトムアッシュと石炭フライアッシュの総量で石炭フライアッシュは、10~50重量%含まれるものであり得る。
【0014】
本発明の他の例として、アルカリ活性化剤/固体物質の比は、0.38~0.50のものであり得る。
【0015】
もう一つの本発明の例として、養生が完了した試片を200℃~600℃の高温に2時間露出する段階をさらに含むものであり得る。
【0016】
なお、本発明は、前記製造方法で製造された石炭灰を用いたジオポリマーフォームを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、石炭ボトムアッシュとフライアッシュをともにジオポリマーフォームの原料として使用しており、アルカリ活性化剤と水酸化ナトリウムの混合溶液にシリカヒュームを添加して熱伝導度が低く軽いジオポリマーフォームに関し、前記ジオポリマーフォームは、環境に優しいセメントを使用している建築物の断熱性能と安全性の向上に活用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による石炭ボトムアッシュ(coal bottom ash、CBA、red)および石炭フライアッシュ(coal flying ash、CFA、black)の粒子サイズの分布を示している。
図2】本発明によるシリカヒューム(silica fume:SF)粒子のサイズ分布を示している。
図3】本発明による石炭ボトムアッシュ(CBA)、石炭フライアッシュ(CFA)およびシリカヒューム(SF)のXRDスペクトルと結晶化度(crystallinity)を示している。
図4】本発明による多様なL/S比率を有するジオポリマーフォームの垂直断面の写真を示している。(a)FA10、(b)FA30、(c)FA50。
図5】本発明によるL/S比率が増加するジオポリマーフォームのバルク(bulk)密度の結果を示している。
図6】本発明によるL/S比率が増加するジオポリマーフォームのポロシティ(空隙率)の結果を示している。
図7】本発明によるジオポリマーフォームの熱伝導度の結果を示している。
図8】本発明による多様なL/S比率を有するジオポリマーフォームの圧縮強度の結果を示している。
図9】本発明によるバルク密度に対する圧縮強度の結果を示している。
図10】本発明による多様なL/S比率を有するFA30ジオポリマーフォームのSEM写真を示している(5.0kV、×50)。 (a)0.38、(b)0.42、(c)0.46、(d)0.50。
図11】本発明による(a)46FA10、(b)46FA30および(c)46FA50のSEM写真とEDS分析のポイントを示している(20.0kV、×50)。
図12】本発明による46FA30サンプルのTG/DTGの結果を示している。
図13】本発明による46FA30サンプルのDIL結果と対応する微分曲線を示している。
図14】本発明による46FA10,46FA30および46FA50のサンプルのDIL結果を示している。
図15】本発明による46FA10,46FA30および46FA50のサンプルのDIL結果に対する微分曲線を示している。
図16】本発明による高温カラムに露出された46FA30サンプルの上部および垂直断面の写真を示している。(a)200℃、(b)300℃、(c)400℃、(d)500℃、(e)600℃。
図17】本発明による高温に露出された46FA30サンプルのATR-FTIRスペクトルを示している。
図18】本発明による200℃、300℃、400℃、500℃および600℃に露出及び非露出された46FA30サンプルのXRD結果を示している。
図19】本発明による多様な温度に露出された46FA30サンプルのバルク密度の結果を示している。
図20】本発明による多様な温度に露出された46FA30サンプルのポロシティ(空隙率)の結果を示している。
図21】本発明による高温に露出された46FA30サンプルの熱伝導度の結果を示している。
図22】本発明による高温に露出された46FA30サンプルの圧縮強度の結果を示している。
図23】本発明による(a)大気、(b)200℃、(c)300℃、(d)400℃、(e)500℃および(f)600℃に露出された46FA30サンプルのSEM写真を示している(5kv、×50)。
図24】本発明による400℃に露出された後、多様なL/S比率のカラムに製造したFA30のサンプルの上部と垂直断面の写真を示している。(a)0.38、(b)0.40、(c)0.42、(d)0.44、(e)0.46、(f)0.48、(g)0.50。
図25】本発明による高温加熱後、L/S比率に応じたFA30サンプルのバルク密度の結果を示している。
図26】本発明による高温加熱後、L/S比率に応じたFA30サンプルのポロシティ(空隙率)の結果を示している。
図27】本発明による高温加熱後、多様なL/S比率のFA30サンプルの熱伝導度の結果を示している。
図28】本発明による高温加熱後、多様なL/S比率のFA30サンプルの圧縮強度の結果を示している。
図29】本発明によるL/S比率と、400℃に露出されたFA30サンプルのSEM写真を示している(5kV、×50)。 (a)0.38、(b)0.42、(c)0.46、(d)0.50。
図30】本発明によるカラム(a)46FA10、(b)46FA30および(c)46FA50の上部と垂直断面の写真を示している。
図31】本発明による400℃に露出された後、L/S比率に対してFA10、FA30およびFA50のバルク密度の結果を示している。
図32図32は、本発明による400℃に露出された後L/S比率に対してFA10、FA30およびFA50のポロシティ(空隙率)の結果を示している。
図33】本発明による400℃に露出された後、L/S比率に対してFA10、FA30およびFA50の熱伝導度の結果を示している。
図34】本発明による400℃に露出された後、L/S比率に対してFA10、FA30およびFA50の圧縮強度の結果を示している。
図35】本発明による(a)46FA10、(b)46FA30および(c)46FA50のジオポリマーフォーム50×倍率、並びに(d)46FA10、(e)46FA30および(f)46FA50のジオポリマーフォーム200×倍率のSEM写真を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施例対して詳細に説明する。また、下記の説明では、具体的な構成要素などのような多くの特定の事項が示されているが、これは本発明のより全体的な理解を助けるために提供されたものだけであり、これらの特定の事項がなくても、本発明が実施できることは、この技術分野における通常の知識を有する者にとっては自明であるう。そして、本発明を説明するにあたって、関連する公知の機能あるいは構成に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に曖昧にすると判定される場合、その詳細な説明を省略する。
【0020】
本発明の目的を達成するために、本発明は、(1)水ガラス(NaSiO)と水酸化ナトリウム(NaOH)を混合してアルカリ活性化剤を製造する段階と、(2)シリカヒュームを前記アルカリ活性化剤に入れて撹拌する段階と、(3)石炭ボトムアッシュを粉砕する段階と、(4)前記石炭ボトムアッシュと石炭フライアッシュを混合して石炭灰を製造する段階と、(5)前記石炭灰に前記シリカヒュームとアルカリ活性化剤との混合物を添加した後、さらにアルカリ活性化剤を添加してアルカリ活性化剤/固体物質の比率を調整および混合する段階と、(6)モールドに充填および密封して試片を製造する段階と、(7)試片をオーブンで養生する段階と、を備える石炭灰を用いたジオポリマーフォームの製造方法を提供する。
【0021】
本発明は、石炭ボトムアッシュとフライアッシュをともにジオポリマー原料として使用しており、アルカリ活性化剤として水ガラス(NaSiO溶液)と水酸化ナトリウム(NaOH)との混合溶液を使用しており、シリカヒュームを添加してジオポリマーフォームを合成することを技術的特徴とする。
【0022】
韓国登録特許第10-1901684号公報は、石炭ボトムアッシュを用いた速成高強度ジオポリマーの製造方法に関するものであって、石炭ボトムアッシュとアルカリ活性化剤の混合物がゲルにならないように、アルカリ活性化剤を調節していたのとは異なり、本発明では、基本的に混合物が流れる状態になるように、十分なアルカリ活性化剤を使用した。これにより、混合物をモールドに充填および加圧する過程なしに、単に混合物をモールドに注いだ後、モールド(mold)とともにオーブンで養生することを技術的特徴とする。ジオポリマーペーストは、流れの状態を有するようにアルカリ活性化剤の量を調節した。好ましいアルカリ活性化剤/固体物質の比(L/S比率)を0.38~0.50の範囲内で調節し、前記範囲外でもジオポリマーフォームの形成が可能となり、使用する石炭灰とシリカヒュームの粒度やアルカリ活性化剤の濃度などによってL/S比率の範囲は異なることができるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明では、混合物が、流れる状態になれば十分に膨張することができ、添加されるアルカリ活性化剤の量が少なくなると、密度が高くなり、これにより、熱伝導度と圧縮強度が高いジオポリマーフォームが形成される。本発明の目的は、熱伝導度が低く軽いジオポリマーフォームを合成することから、添加されるアルカリ活性化剤の量を増やしながら実験を進めており、流れる状態の混合物は、モールドの形状やサイズ通りにキャスティングしやすいという長所がある。
【0024】
なお、韓国登録特許第10-1901684号公報では、加圧成形時の圧力を調節してジオポリマーの圧縮強度と熱伝導度を調節したが、本発明では、石炭フライアッシュとアルカリ活性化剤の量、高温露出温度を調節して圧縮強度、バルク密度および熱伝導度を含む物性を調節することができるジオポリマーフォームを提供しようとする。
【0025】
特に、石炭ボトムアッシュを粉砕する段階は、ジョークラッシャー(jaw crusher)で1回粉砕した後、ハンマーミル(hammer mill)で4回粉砕してふるいわけ過程を除くことが、もう一つの技術的特徴となることができる。
【0026】
韓国登録特許第10-1901684号公報は、ジオポリマーの圧縮強度の向上を発明の目的としたが、本発明は、断熱性能の向上を目的とした。これに関連して、韓国登録特許第10-1901684号公報は、混合物を加圧成型した後、オーブン養生とマイクロ波照射を使用して緻密な構造のジオポリマーを製造しており、高い圧縮強度、熱伝導度およびバルク密度を有していたが、本発明は混合物をモールドに入れ、オーブン養生を通して膨張を引き起こして軽量のジオポリマーフォームを製造し、低いバルク密度、熱伝導度および圧縮強度を有するジオポリマーフォームを製造することを特徴とする。
【0027】
なお、オーブン養生後、さらにマイクロ波を使用せずに電気炉での加熱を経て熱伝導度とバルク密度を大きく下げる過程を特徴とする。この過程で、残りの水分の除去とともにフォーム構造に残っていた水ガラスの硬化体が膨張しながら、2次的なフォームが形成され、このような2次的フォームの形成とともにオーブン養生段階で安定的なフォーム形成のためにも、混合物の混合段階で水ガラスの添加が不可欠な段階であり得る。
【0028】
本発明の好ましい水ガラス(NaSiO)と水酸化ナトリウム(NaOH)を混合したアルカリ活性化剤の質量比は、5対1であるが、これに限定されるものではない。
【0029】
シリカヒュームは、産業副産物として発生時に粒度が非常に低いナノメートルレベルの粒子で体積が小さく飛散が起こるため運送および貯蔵コストが大幅に発生する。これらの問題を解決するためにシリカヒューム粒子を物理的に固めて高密度(densified)のシリカヒュームの形で一般的に活用する。本発明でも高密度シリカヒュームを使用するため、規則的なフォーム構造を形成するために石炭灰との混合を行う前に、アルカリ活性化剤と混合して粒子を分散させる過程を不可欠な要素として含んでいる。シリカヒュームを粉砕またはふるい分けで粒度を下げることもできるが、粉砕およびふるいわけの効率に基づいて製造されたジオポリマーフォームの形が一定に維持されない欠点を発見して、アルカリ活性化剤と混合する方式を採用した。このとき、使用されるシリカヒュームは、好ましくは15重量%含まれるものであり得るが、これに限定されるものではない。
【0030】
本発明は、石炭ボトムアッシュのみを原料として使用しても、ジオポリマーフォームを形成することができるが、多少不安定なフォームが形成されることを確認した。したがって、石炭フライアッシュを必須のコンポーネントとして含まれることが好ましく、好ましい石炭ボトムアッシュと石炭フライアッシュの総量において石炭フライアッシュは10~50重量%含まれるものであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0031】
さらに、本発明は、優れている断熱性能を有しながらも、高温に強い無機断熱材を製造するために養生が完了される試片を高温に露出する段階を追加に含むことができ、これは、試片内の残留水分を除去するための目的で、単純な乾燥方法を使用する場合に発生するクラックなどによる強度の低下を避けるためである。さらに好ましくは、200℃以上である場合、水分に対する抵抗性を有し、より好ましくは、200℃~600℃の高温に2時間露出する段階をさらに含むものであり得るが、これに限定されるものではない。
【0032】
なお、本発明は、前記製造方法で製造される石炭灰を用いたジオポリマーフォームを提供する。
【0033】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるはずである。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、異なる多様な形態で実施されるものである。単に本発明の実施例は、本発明の開示が完全なものとなるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によって定義されるだけである。
【0034】
<実施例1> 原料物質と実験方法
【0035】
石炭ボトムアッシュは霊興火力発電所(韓国仁川所在)から、石炭フライアッシュは舒川火力発電所(韓国忠清道舒川所在)から、シリカヒューム(undensified microsilica)は(株)シルクロードシーアンドティー(SILKROADC&T、韓国所在企業)から供給された。石炭ボトムアッシュの粒度を減らすためにジョークラッシャー(jaw crusher)で1回粉砕した後、ハンマーミル(hammer mill)で4回粉砕した。石炭ボトムアッシュ、石炭フライアッシュおよびシリカヒュームの粒度分布は、光散乱法(laser scattering method、LA-960、Horiba、Japan)で測定しており、その結果は、図1および図2に示している通りである。ボトムアッシュの平均粒度は191.7μmであり、90%の粒子が99.34μm以下であった。シリカヒュームの平均粒度は497.0μmであり、90%の粒子が893.5μm以下で密集化(densified)された粒子であることが分かった。
【0036】
化学的組成は、X-線蛍光分析法(X-ray fluorescence、ZSK Primus II、Rigaku、Japan)を用いており、強熱減量(Loss on ignition:LOI)は、ASTM D 7348に基づいて測定した。化学的組成は、LOI値を含めて総合計が100%になるように再び計算しており、その結果を下記表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
石炭フライアッシュ(coal flying ash、CFA)は、化学組成要素のうち、SiO、AlおよびFeの占める割合が70%以上で、ASTM C618に基づいてClass Fの石炭フライアッシュに分類される。石炭ボトムアッシュ(coal bottom ash:CBA)の化学的な組成はフライアッシュと同様であり、シリカヒュームはほとんどシリカからなる。
【0039】
結晶相/非晶質構造を把握するために、X線回折法(X-ray diffraction、XRD、DMAX 2500、Rigaku、Japan)による定性分析および定量分析を実施した。分析は、Cu K alpha(銅K-アルファ)を利用して、scan width(スキャン幅)0.02°、scan speed(スキャンスピード)2°/minで行われており、その結果は、図3に示しているとおりである。共通に、2θ=15~40°の範囲で広い丘の形状のスペクトルが観察されたが、これはアモルファス相(amorphous phase)が存在するということを意味する。結晶化度(crystallinity)は、ボトムアッシュ:37.19%、フライアッシュ:69.18%およびシリカヒューム:6.83%であり、フライアッシュには比較的大量の結晶相が存在し、シリカヒュームは、ほとんど非晶質相からなることが分かった。ボトムアッシュのXRD結果でquartz(クォーツ、石英),mullite(ムライト),anorthite(アノーサイト、灰長石)およびmagnetite(マグネタイト、磁鉄鉱)結晶相によるピークが観察されており、フライアッシュではquartz(クォーツ)及びmullite(ムライト)とともにhematite(ヘマタイト、赤鉄鉱)結晶相ピーク、そしてシリカヒュームではquartz(クォーツ),kalsilite(カルシライト)およびliebermannite(リーバーマンニット)の結晶相ピークが観察された。
【0040】
ジオポリマーフォームを合成するためのアルカリ活性化剤は、水ガラス(sodium silicate solution、NaO 9~10%、SiO 28~30%、Daejung chemicals and metals、South Korea)とNaOH(sodium hydroxide beads、≧98%purity、Samchun 、South Korea)の混合物を使用した。混合時、溶解熱が発生するため、実験前に溶液を予め混合して、常温に冷やした後に使用した。事前実験を通して水ガラス/NaOH質量比5が適切なアルカリ活性化剤の混合比に設定されており、その理由は次の通りである。実験的に水ガラス/NaOH質量比が5未満になったとき、混合溶液は徐々に白っぽく変化しながら硬化されるため、適切ではない。一方、水ガラス/NaOHの比が5以上になると、シリカヒュームに含まれている自由シリコンが十分に反応せず、ジオポリマーペーストの膨張がよく進行されない。シリコンは、下記式のようにアルカリ環境で水と反応して水素ガスを生成するため、NaOHの量が少なくなると、シリコンが反応するのに必要なアルカリ環境が十分に造成されない。
【0041】
したがって、水ガラスとNaOHの混合溶液が硬化されないながらも、シリカヒュームが最大に反応することができる質量比である水ガラス/NaOHの比率(=5)が、適正な組成に決定された。
【0042】
前記した図2に示したように、シリカヒュームは密集化された(densified)形態であるから、粒子が大きくジオポリマーフォームの合成にそのまま使用すると、粒子が十分に分散されず、多少不規則なフォーム構造が形成される。このように密集化された(densified)粒子形態は、超音波処理(ultra-sonication)を行えば、効果的に分散され、物理的な粉砕によっても粒子のサイズを減らすことができるが、このような方法は、別の装置と処理過程を必要とするため非効率的であり得る。したがって、本発明では、実験前にシリカヒュームをアルカリ活性化剤に入れてオーバーヘッド攪拌機における300rpmで1時間撹拌して備えられた。添加されるシリカヒュームの量は、事前実験を通して固体物質の15wt.%に決定された。
【0043】
本発明ではボトムアッシュだけを原料として使用してフォームの形成が可能であったが、多少不安定なフォームが形成された。このような不安定性を解決するためにフライアッシュをともに原料として使用した。使用されたボトムアッシュとフライアッシュの総量でフライアッシュが占める質量比率を10、30および50%に設定しており、この比率に基づいて合成されたジオポリマーフォームのサンプルをFA10、FA30およびFA50のグループに分けて命名した。アルカリ活性化剤/固体物質の比(L/S比率)は0.38から0.50まで0.02間隔で調節された。これらの変数によるサンプルの名前は次のように命名された。
○○FA□□
○○=L/S ratio×100
□□=CFA/CBA+CFA)×100
【0044】
例えば、L/S比率=0.42、CFA/(CBA+CFA)=0.30で製作されたサンプルは、42FA30に命名される。原料物質の混合比とそれに伴うサンプルグループ名を下記表2にまとめて示した。
【0045】
【表2】
【0046】
ジオポリマーフォームの合成は、次のプロセスによって行われた。実験前に水ガラス溶液とNaOHを質量比5:1で混合して、アルカリ活性化剤として備えた。常温で冷えたアルカリ活性化剤にシリカヒュームを添加し、オーバーヘッド攪拌機における300rpmで1時間混合させた。均一な混合のために、まずボトムアッシュとフライアッシュを乾いた状態で混合し、アルカリ活性化剤とシリカヒュームの混合物を添加し、さらにアルカリ活性化剤を添加してL/S比率を調整した。混合物をホバートミキサーでの60rpmで5分間混合させた後、3年式50×50×50mmのプラスチックモールドに入れ、ビニール袋に密封して75℃のオーブンで72時間養生させた。このとき、モールドにテフロン(登録商標)テープを貼ってサンプルがくっつくのを防止した。養生後モールドを除去し、膨張された部分をダイヤモンドの鋸で切り取って5cmの立方体のサンプルを備えた。物性分析は、以下のように実施された。
【0047】
常温で十分に冷えたサンプルの質量を測定してバルク密度(bulk density)を計算し、それから熱伝導度(TPS500S、Hot Disk(商標)、Sweden)を測定した。各サンプルの圧縮強度は、ASTM C109に基づいて、圧縮強度測定器(PL-9700H、Woojin Precision Co.、South Korea)を用いて測定された。圧縮強度の測定で破壊された試片の内部の一部を選び出して、すりこぎとすり鉢を使って打ち砕いた後、No.100の標準ぶるい(mesh 150μm)によりふるい分けて通過したサンプルのパウダーを、以下の分析に使用した。真密度(powder density)は、Gas pycnometer(気体置換型ピクノメーター)(AccuPyc II 1340、Micromeritics、USA)とHガスを用いて測定し、測定された真密度とサンプルのバルク密度から、次の式を用いて空隙率(porosity)を計算した。
【数1】
【0048】
バルク密度と圧縮強度は、3つの試片の結果値の平均を使用しており、熱伝導度と真密度は、それぞれ6回、5回測定して平均値を使用した。ジオポリマーフォームの空隙(pore)構造を観察するために、余分のサンプルの垂直方向に切取った断面をデジタルカメラ(EOS 750D、Canon、Japan)で撮影した。なお、サンプルのフォーム構造と微細構造を観察するために、SEM分析(scanning electron microscope、Nova Nano SEM 200、FEI、USA)を実施しており、サンプルは、先に圧縮強度を測定した後、破壊された試片の内部いくつかのピース(piece)を120グリットのサンディングペーパー(sanding paper)で研削して備えられた。一部の試片について、微細構造の構成元素の比率の変化を観察するために、さらにSEM/EDS分析(field emission scanning electron microscope、SU8010、HITACHI、Japan)を実施した。ジオポリマーフォームが高温に露出されたときに、変化する物性を分析するために、以下の分析と追加実験が行われた。高温露出時の質量減少の振る舞いを確認するために、オーブン養生が完了された代表的サンプルに対してTG分析(SDT-Q600、TA Instruments、USA)を実施した。大気(Air)環境で、常温から1000℃まで毎分10℃の速度でサンプルを加熱して表われるサンプルの質量変化が測定されており、この結果からDTG曲線を得た。なお、高温露出時に表れるサンプルサイズの変化を測定するために46FA10、46FA30および46FA50のサンプルに対してDIL分析(Dilatometry、DIL 402C、NETZSCH、Germany)を実施した。5cm立方体のサンプルの一部を切り取って大気環境で、常温から800℃まで毎分5℃の速度でサンプルを加熱したときに表れるサンプルの長さの変化を測定した。
【0049】
さらに、試片が高温に露出されたとき、空隙の構造と物性の変化を観察するために養生が完了された試片は、電気炉(electric furnace、S-1700、HANTECH、Korea)で加熱された。まず、露出温度の影響を調べるために代表試片を選定した。この試片は、常温からそれぞれ200、300、400、500および600℃まで毎分5℃に加熱されており、目標の高温に達した後は、その温度で2時間持続的に露出された。加熱が終わったサンプルは、常温まで自然冷却され、その後物性を測定した。その後、L/S比率の影響を調べるために、FA30グループの試片を同じ方法で、200~500℃に露出させており、さらにフライアッシュ含有量の影響を調べるためにFA10とFA50のグループを400℃に露出させた。高温に露出された試片に対してTGとDILを除く、上記された分析を同様に実施しており、さらに200~600℃に露出された代表試料に対して、以下の分析が行われた。高温露出時、ジオポリマーフォームの化学的構造の変化を分析するために、ATR-FTIR分析(Attenuated total reflection fourier transform infrared spectrometry、Frontier FTIR Spectrometer、PerkinElmer、USA)を実施しており、4cm-1の解像度で4000~380cm-1の範囲で透過率(transmittance)を基準に測定した。高温露出時、結晶相の変化を観察するために、XRD(X-ray diffraction、D/max‐2500/PC、Rigaku、Japan)分析が実施されており、スキャン速度2°/min、0.02°のステップサイズ(step size)で10°~90°の2θ範囲で測定された。
【0050】
<試験例1> シリカヒュームを添加した石炭灰ベースのジオポリマーフォームの物性
【0051】
1. 巨視的構造観察
図4にジオポリマーフォームサンプルの垂直断面写真を示した。図4(a)のサンプルは、相対的に不規則で大きな空隙構造を有し、図4(b)及び図4(c)に行くほど空隙のサイズが小さくなる。なお、各サンプルグループでは、L/S比率が高くなるほど空隙のサイズが大きくなる傾向を示す。このような空隙構造に対する変化のメカニズムは、次のように説明されうる。本発明では、ジオポリマーペーストは、75℃で養生されたが、その過程で(1)ジオポリマー化反応によるペーストの硬化と(2)シリコンの反応に起因する膨張の2つのメカニズムが競争的に作用する。フライアッシュが多く添加されると、フライアッシュの高い反応性によりジオポリマー化反応が優勢に起こるようになる。したがって、比較的急速に硬化が進行されて強い空隙壁(wall)を形成し、水素ガスによって形成された気泡が互いに合体(coalescence)されずに、小さな空隙構造を成すようになる。しかし、ジオポリマー化反応が速すぎる場合、十分な空隙構造が生成される前に硬化されて膨張を阻害する。逆に少量のフライアッシュが添加されると、気泡の合体により大きな空隙構造を形成する。空隙の形成は、L/S比率によっても大きな影響を受ける。L/S比率が低い場合、相対的に少なく存在していた水分が急速に蒸発しながら、ジオポリマー化反応が加速されるため、硬化がもっと速く起こるようになる。逆に、L/S比率が高ければ硬化が遅く起こるだけでなく、シリコンが十分に反応して生成される水素ガスの量が多くなるため、気泡間の合体が起こり、結果的に大きな空隙構造を形成する。
【0052】
一方、すべてのサンプルでは、サンプルの中心部に比べて底面と側面には小さな空隙からなる多少緻密な構造が形成される。このような現象は、養生初期のオーブンから熱がジオポリマーペーストの体積へ均一でなく伝達されて表れた結果と考えられる。養生初期のモールドに入れられたジオポリマーペーストの上面は、大気中に露出され、側面と底面はモールドと接触している状態である。75℃のオーブンで養生されながら熱は、モールドと接触した部分へ急速に伝達され、徐々にペーストの中心部へ熱が伝達されると考えられる。このとき、接触部分の迅速な温度上昇は、ジオポリマー化反応を促進させて硬化が優勢に起こっており、結果的に緻密な構造を形成したものと思われる。特にFA10グループのサンプルでは、楕円形の空隙構造が多く観察されるが、そのグループは、フライアッシュの含有量が少なくて反応性が低いため、水素ガスの生成に起因する気泡の形成が優勢に起こっており、空隙を形成したにもかかわらず、遅い硬化速度のために空隙が崩壊するか、またはペーストの重量によって押されたような楕円形の形状を有するようになる。これらの空隙構造の非均質性のために、今後提示される物性値は、サンプル全体の物性がすべて反映されたものではないことに留意しなければならない。
【0053】
2. バルク密度と空隙率
ジオポリマーフォームのサンプルグループ別L/S比率によるバルク密度と空隙率をそれぞれ図5および図6に示した。バルク密度は、L/S比率が増加するにつれて減少してから、最小点以降、再び増加する傾向を示す。空隙率は、バルク密度の傾向とは逆に、L/S比率に応じて増加してから減少する傾向を示す。L/S比率の増加に伴うバルク密度の減少は、前述したように、遅い硬化と十分な気泡生成で高いレベルの膨張が行われたからである。しかしながら、一定のL/S比率以上でバルク密度は再び増加するが、これは構造の内部に水分が残って発生した結果として考えられ、以下の熱伝導度の結果から、より考察されるはずである。特にFA10グループのサンプルでは、L/S比率0.46以上でバルク密度は、比較的大きなレベルに増加するが、これは残りの水分だけでなく、不安定なフォーム形成のために、いくつかの空隙が崩壊して現れた結果と思われる。
【0054】
ジオポリマーフォームのサンプルグループ別では、FA10からFA30グループへフライアッシュがさらに添加されながら、全体的に低いバルク密度を達成したが、FA50グループでは、類似しているか、またはむしろ高いバルク密度を示す。特にFA50グループのL/S比率0.40以下のサンプルで、高いバルク密度を有していたが、これは反応性が高いフライアッシュが比較的多く存在し、L/S比率が低いため、硬化が早く起こって膨張を阻害したからである。逆に、FA10グループでは、形成されたフォームの構造が遅く硬化されて空隙が崩壊しながら、密度の高いジオポリマーフォームが生成された。結論として、これらのバルク密度と空隙率の結果は、フライアッシュの含有量とアルカリ活性化剤の量を調節することにより、ジオポリマーフォームの空隙構造が調節できることを示す。
【0055】
3. 熱伝導度
サンプルを垂直方向に切取って中心部分の熱伝導度を測定しており、その結果を図7に示した。一般的に、バルク密度が低いジオポリマーは、低い熱伝導度を有するが、本発明では、多少異なる傾向を示す。図5でバルク密度は、FA10およびFA30グループではL/S比率0.46まで低くなってから、その後に再び増加する傾向を示し、FA50グループでは0.48まで低下してから、その後に増加する傾向を示した。しかし、熱伝導度は、FA10のグループでは、L/S比率0.46まで類似したレベルの熱伝導度を示してから、L/S比率0.46以上で大幅に増加する傾向を示す。なお、FA30およびFA50のグループは、それぞれL/S比率0.42および0.44まで下がってから、その後に増加する傾向を示す。これは、添加されたアルカリ活性化剤に含まれている水ガラス溶液の特徴と関連されている。水ガラス溶液は、原料物質からシリカとアルミナを溶出させ、水ガラスに存在するSi(ケイ素)の化学種が、ジオポリマーの反応初期に反応に関与してジオポリマー構造をなす。そのほかにも水ガラスは、ジオポリマー反応に関与せず、自ら硬化されてバインダー(結合剤)の役割を遂行し、硬化されながらシラノール基(Si-OH)およびシロキサン(Si-O-Si)の結合を含む、多様な構造を形成する。特に表面に存在するシラノール基は、シリケートの凝縮(condensation)と重合(polymerization)の結果として生成され、このシラノールのOH基は水の分子を保持して置く役割をする(physically bound water)。なお、構造の内部にもシラノール基が存在し(internal silanol)、構造的に結合された水分(structurally bound water)でもある。このように、物理化学的に存在する水分は、高い熱伝導度の原因になる。なお、表面に存在するOH基は、水と接触すると水和されて溶け入るから、湿潤な環境に露出されたり、水に接触したときに構造が弱化されたりすることができる。したがって、本研究のジオポリマーフォームに優れた断熱性能と水に対する抵抗性を付与するためには、このような水分と表面のOH基を除去することが重要である。
【0056】
フライアッシュが少ないFA10グループでは、フォームの形成に起因してバルク密度が低くなるにもかかわらず、反応性が低いボトムアッシュの粒子に起因してジオポリマー反応に関与していない水ガラスが多く存在しており、したがって熱伝導度の低下なしに一定のレベルを維持した。FA30及びおよびFA50のグループでは、フライアッシュが添加されながら、水ガラスが、ジオポリマー反応が相対的に多く関与したはずであるから、低くなるバルク密度の傾向とともに熱伝導度が低くなった。しかし、L/S比率が高くなりながら、そのサンプルのグループの構造にも水分が残って熱伝導度は高くなったものと思われる。このような残りの水分は常温で放置しても容易に除去されず、乾燥させたり、高温に露出させたりする方法で除去されうる。しかし、乾燥させる方法は、ジオポリマー構造に必要な水分を除去して構造を弱化させ、水分が蒸発しながら、クラックが発生して強度が高いレベルから下落することができる。
【0057】
4. 圧縮強度
図8は、ジオポリマーフォームサンプルの圧縮強度の結果を示したグラフである。圧縮強度は、フライアッシュの含有量に応じて大きな変化を示さずに、L/S比率が増加しながら、圧縮強度は減少する傾向を示す。図9でバルク密度は、大体減少したため、圧縮強度も減少する。そして、高いL/S比率でのバルク密度の増加は、残りの水分による結果であったため、このような水分を除去したとき、高いL/S比率のサンプルは、より低いバルク密度のフォームを形成したことができる。なお、残りの水分は、ジオポリマー構造を弱化させることができるから、このような要因に起因して低い圧縮強度を示した。ジオポリマーフォームのように内部が空隙構造からなる物質の圧縮強度は、バルク密度や空隙率などのような物理的特性の影響を大きく受けるので、図9に圧縮強度の結果をバルク密度について図示した。全体的にバルク密度が低くなりながら、低レベルの圧縮強度を示す。
【0058】
5. SEM/EDS
図10にFA30グループのサンプルのL/S比率に応じたSEM写真を示した。 L/S比率が低い図10(a)は、歪んだ空隙構造を有し、L/S比率が増加するほど、円形の大きな空隙構造を有する傾向を示す。これは、前に考察したように、L/S比率が増加しながら硬化が遅延され、シリコンが十分に反応して膨張が大きなレベルに行われたからである。
【0059】
ジオポリマーフォームは、各グループ別に異なる空隙構造を示す。図11は、46FA10、46FA30および46FA50のサンプルのSEMイメージとEDS測定領域を示したイメージであり、表3には、サンプル別EDS測定領域による元素の含有量の結果と、これをベースに計算したSi/AlとSi/Naの比率を示した。すべてのサンプルのイメージから空隙の内部に多少スムーズではい構造が観察されるが、これは反応できなかったボトムアッシュの粒子が構造内に存在するからである。SEMイメージ上では、グループに基づいて空隙構造の変化が明確に観察されないが、構造のEDS元素分析の結果、空隙内部のSi/Al比の変化が観察される。Si/Al比は、一般的にジオポリマー化反応の尺度を示すが、本発明では、ジオポリマー構造のほか、多くの硬化された水ガラスが存在するため、水ガラスのジオポリマー反応に対する関与程度を推測することができる。ジオポリマーは、アルミノシリケート構造であり、Si/Al比は、1~4の値を有することができるものと比べて、水ガラスは、SiOとNaOで構成されるため、反応に関与していない場合、多量のSiとNa、そして少量のAlが検出されるはずである。表3の結果から、すべてのサンプルのマトリックス(Matrix)の内部のSi/Al比は類似の値を有するが、空隙の表面部分では、大きな違いを示す。特に46FA10サンプルの空隙表面のSi/Al比は、16.55で非常に高く、46FA30および46FA50のサンプルに行くほどSi/Al比は減少する。このように、高いSi/Al比は、空隙の表面と表面近くの内部がほとんど硬化された水ガラス構造からなっていることを意味し、ボトムアッシュの低い反応性に起因した結果である。フライアッシュの含有量が増加するほどSi/Al比は、減少するにもかかわらず、マトリックスの値に比べては高いレベルであるため、相変わらず硬化された水ガラスが多く存在することが分かる。
【0060】
【表3】
【0061】
6. TG/DTGとDIL
TG/DTGとDIL分析は、それぞれ高温に露出されたサンプルの質量と長さの変化に対する振る舞いを提供し、両方の分析結果をともに解析すると、ターゲットサンプルの物理化学的構造変化を効果的に分析することができる。図12は、46FA30サンプルについて実施したTG/DTG結果である。質量減少の振る舞いに応じて、次の3つの領域に分けられる。領域I(常温~200℃)では、急かつ大きな質量の減少を示し、領域II(200~350℃)では比較的遅い質量減少を、そして領域III(350~1000℃)では、小さいながらも持続的な質量減少の傾向を示す。この領域は、それぞれ他の要因によって発生する。領域Iはジオポリマーフォームの構造に物理的に存在する水分(physically bound water)の蒸発によって発生する。このような水分は、ジオポリマー構造の外部に存在する水分や、ジオポリマーとシラノール基表面のOH構造に物理的に結合された水分で存在し、全体の質量減少の大部分を占めている。100~150℃の低い温度範囲では、自由水とともにジオポリマー構造に存在する水分が蒸発されて急激な質量減少の原因になる。150~200℃の温度範囲では、シリケートに存在する物理的な水分の蒸発が起こり、相対的に低速の質量減少を表す。このように物理的に存在する水分は、200℃に達すると、すべて除去されることになる。領域II(200~350℃)では、比較的遅い質量減少を示し、ジオポリマー構造に化学的に結合された水分(chemically bonded water)の蒸発と同時にシラノール基の脱ヒドロキシ(dehydroxylation)に起因する。実際に化学的に結合された水分は、より低い温度である100~300℃の範囲で蒸発すると知られているが、100~150℃の温度区間では、物理的に存在する水分の蒸発が大きいレベルで起こるため、DTGピーク上ではよく観察されず、物理的な水分の蒸発が完了された200℃の後で弱いピークとして観察される。300℃以上では、シラノール基の脱ヒドロキシ(dehydroxylation)によりシロキサン結合と水が生成される反応が起こり、質量が次第に減少する。領域IIIでは、持続的なシラノール基の脱ヒドロキシ(dehydroxylation)とともに、ジオポリマーのT-OHの脱ヒドロキシ(dehydroxylation)が起こって小さなレベルの質量減少を示す。
【0062】
このような高温での現象は、ジオポリマーフォームの長さの変化の振る舞いへつながる。図13は、46FA30のDIL結果とこの結果をもとに描いた微分曲線をともに示したグラフである。700℃以上では、非常に大きなレベルの収縮が起こって分析機器の限界のため測定することができなかったし、それに応じて、700℃以下の結果のみを示した。前のサンプルの断面写真でサンプルが600℃に露出された場合を除いては、すべて膨張した結果を示したが、DIL分析では、サンプルが200~400℃で膨張する振る舞いを表したにもかかわらず、元の長さよりは収縮された結果を示した。これはDIL測定時に、加えられた30cNの小さな力によって膨張が自由に行われない可能性があるか、または測定機器の枠組みの中で加熱されたため膨張が限定されている可能性があるからである。それにもかかわらず、露出温度による長さの変化の振る舞いは次のように有用な情報を提供する。
【0063】
サンプルの長さの変化の振る舞いは、TG/DTGの結果に相応する3つの領域と、追加の一つの領域とに分けることができる。領域I(常温~200℃)では、サンプルの収縮が観察され、領域II(200~350℃)では膨張が表れ、変化が起こらない領域III(350~500℃)を経て、最後の領域IV(500℃~ )では、急激な収縮が観察される。前記TG/DTG分析の結果から考察したように、ジオポリマーフォームのサンプルが高温に露出されると、ジオポリマー構造と硬化された水ガラスの脱水と脱ヒドロキシ(dehydroxylation)は、それぞれ異なる温度範囲で起こるから、その結果、ピークは、複数の反応の重ね合わせの結果として表わされる。領域Iは、前述したように、物理的に存在する水分の蒸発が起こる区間であり、150℃までは発生するジオポリマー構造の水分と自由水の蒸発は、ジオポリマーの収縮を引き起こすと報告されている。これは、150℃以下で観察されるサンプルの収縮と一致する。150~200℃では、DIL結果、相収縮する傾向を示すが、実際に200℃に露出されたサンプルは、膨張する。これらの違いは、前述したようにDIL測定時に、サンプルが自由に膨張されうることがなかったためであり、実際には硬化された水ガラスに物理的に結合された水分と、化学的に結合された水分の蒸発がサンプルの膨張に起因していただろう。このサンプルの膨張の振る舞いは、ジオポリマー構造の化学的水分が除去されると、体積の収縮が発生するという研究結果とは相反するが、これはサンプルの内部で水ガラスの硬化体内の化学的に結合された水分が蒸発されて出て来ながら、フォーム構造に捕集されて表れた結果と考えられる。これはジオポリマーと硬化された水ガラスからなるフォーム構造が養生を経ても、完全な脆性を有しないことを意味する。領域IIIの膨張現象は、実際の対応する温度に露出されたサンプルの膨張現象とよく一致しており、これは、シラノール基の脱ヒドロキシ(dehydroxylation)反応の結果として生成された水の分子が高温で水蒸気の形でサンプルを抜け出しながら、構造の膨張を惹起した。領域IVでは、T-OHの脱ヒドロキシ(dehydroxylation)が起こり続けるが、硬化された水ガラスの2次構造の軟化(softening)と焼結(sintering)により急激な収縮が進行される。
【0064】
フライアッシュの含有量に応じたサンプルの長さの変化の振る舞いを確認するために、46FA10、46FA30および46FA50のサンプルのDIL分析結果を実施しており、その結果を図14に示した。同様に、700℃以上では、非常に大きなレベルの収縮が起こって分析機器の限界で測定することができず、したがって、700℃以下の結果のみを示した。また、そのサンプルが各200~400℃の温度に2時間露出されたとき、膨張されたのとは異なり、図14の結果では、46FA10を除くサンプルは、元の長さよりも収縮された傾向を示す。これは、前述したように、分析機器内でサンプルの膨張が限定されているからである。図15では、分析結果をもとに描いた微分曲線を示した。前記の考察した収縮と膨張のメカニズムによって類似の長さに対する変化の振る舞いを示しているが、各サンプルグループ別に長さの変化の程度と、膨張および収縮が始まる温度の差とが観察される。フライアッシュが少ないサンプルであればあるほど(46FA10)、加熱初期に収縮が少なく起こり、以後大規模なレベルに膨張してから、急激に膨張する傾向を示す。なお、46FA10サンプルは、125℃で膨張が開始され、375℃で収縮が開始されたのに対し、46FA30および46FA50は、191℃と同じ温度で膨張し始め、それぞれ435℃および510℃で収縮が始まる。このような違いは、残りの水ガラスの量に起因する。
【0065】
ジオポリマー構造が多く生成されなければ、化学的水分は弱く結合して存在するため、低い温度でも蒸発することができる。実際に、80℃の低い温度からジオポリマーの膨張が開始された先行研究の結果を参考にしたとき、加熱初期の物理的水分の蒸発による収縮と、化学的水分の蒸発による膨張現象が重なって起こったことを推測することができる。したがって46FA10サンプルは、ジオポリマー構造が少なく、化学的水分の蒸発が早く起こったため、比較的小さく収縮する傾向を示した。なお、Si(ケイ素)量は、軟化(softening)の温度を決定し、Alに対するSiの含有量が高いジオポリマーであればあるほど、速い膨張と収縮が進行された結果が報告されている。これは、前記のEDS結果で、46FA10サンプルが非常に高いSi/Al比の16.55だったことを考慮したとき、46FA10の迅速な膨張および収縮の傾向とよく一致する。また、高いSiは、ジオポリマー構造がよく形成されず、硬化された水ガラスが多く残っていることを意味するので、水ガラスのシラノール基の脱ヒドロキシ(dehydroxylation)から発生した多量の水蒸気が46FA10の大きな膨張に寄与した。600~700℃では、フライアッシュの含有量が低いほど(46FA10)、高速で急激な収縮を示す。同様に、46FA10サンプルは、多量の硬化された水ガラスと水ガラス2次構造からなっているため、この構造の軟化と焼結によって急速に収縮することになる。
【0066】
<試験例2> シリカヒュームを添加した石炭灰ベースのジオポリマーフォームの高温での物性変化(露出温度による物性の変化)
【0067】
1. 巨視的構造観察
ジオポリマーフォームに存在する水分を除去するために高温に露出させる研究が行われた。まず、サンプルの高温露出のための温度領域を調査するために46FA30サンプルを200℃、300℃、400℃、500℃および600℃に露出させており、それによる物性の変化が調査された。図16は、高温の露出温度による46FA30サンプルの上面(Top)と垂直断面(Vertical cross-section)の写真である。サンプルが高温に露出されながら、サンプルの膨張が起こり、200~400℃に露出温度が上がりながら膨張の程度は増加する。しかし、500℃に露出されたとき、サンプルの収縮が開始され、600℃に露出されながら、収縮はより進行して高さ5cm以下に収縮された。したがって、600℃に露出されたサンプルは、熱伝導度の外に、他の物性を調べることができなかった。
【0068】
なお、露出温度が上がるにつれて、サンプルの下部には、膨張と収縮が比較的少なく起こるのに対し、サンプルの上部では、大きなレベルに膨張して収縮する。このような均一でない膨張は、サンプル内の空隙構造自体の非均質性による結果である。このような膨張現象は、水ガラスの硬化体に起因すると知られている。サンプルの下部は緻密なジオポリマーが形成されるため、高温に露出されてもサイズの変更が少ないが、サンプルの上部には、ジオポリマー構造と水ガラスの硬化体で構成されるため、高温露出時、水ガラスの硬化体によるサイズの変化が現れるようになる。
【0069】
2. ATR-FTIR
ジオポリマーフォームの高温の露出温度による物理的、化学的構造変化を観察するためにATR-FTIR分析を実施し、その結果を図17に示した。すべてのスペクトルから800~1250cm-1の範囲で広く強いピークが観察される。本発明では、ジオポリマーフォームは、ジオポリマー構造と、シリケートおよびシリケートの反応物からなっていることを考慮したとき、そのピークが表れる原因は2つであると考えられる。一番目に、ジオポリマー構造のT-O(T:Si or Al)非対称伸縮振動(asymmetric stretching vibration)によるピークである。ジオポリマー化反応は、原料物質から溶出されたSi-OHとAl-OH化学種が加水分解(hydrolysis)と重縮合(polycondensation)を経て、アルミノシリケート構造を形成することにより行われる。Al-O結合は、Si-O結合よりも結合エネルギーが低く不安定であるから、反応初期にAlを含む成分は、原料物質から急速に溶出されてAlが豊富なジオポリマー構造を形成する。反応が進行されながら、Si成分の溶出が行われてジオポリマー構造にSi成分が多く併合されながら、そのピークは、高い波長数で移動すると知られている。図17では200℃の露出後、メインピークの波長数は988cm-1から998cm-1に移動するが、これは反応物である水分の除去のためにジオポリマーの反応が促進され、ジオポリマー構造にSiが多く併合されて表れた結果である。しかし、サンプルが300℃に露出されながら、波長数は979cm-1に大幅に減少するが、これはアルミノシリケート構造にAlが併合または解重合(depolymerization)されたことを意味する。高温露出に起因して残っていた未反応原料物質から、さらにAlが溶出されてジオポリマー構造に併合されることがあり、またはサンプルの膨張によりジオポリマーのアルミノシリケート構造間の結合が切れて解重合(depolymerization)の可能性がある。300℃以上の温度では、温度が高くなるにつれて、メインピークは再び高い波長数に移動するが、このような現象は、シラノール基の化学構造変化と関連される。シラノール基は、脱ヒドロキシ(dehydroxylation)を経てシロキサン(Si-O-Si)結合を形成し、それに応じてSi-O-Si結合の重合度が増加し、このような重合度が高くなるほど、メインピークは、高い波長数に移動する。
【0070】
露出温度が高くなるほど870cm-1の付近の透過率が弱くなり、780cm-1のピークは強くなってパターンがはっきりとなる。870cm-1付近のパターンは、Si-OHの伸縮振動(stretching)とベンディング(bending)によって示され、780cm-1付近のピークは、Si-O-Si結合の対称伸縮振動(symmetric stretching vibration)による結果であるから、このようなピーク強度の変化は、シラノール基(Si-OH)が縮合反応を経て生成されるSi-O-Si結合が多くなることを意味する。また、高温に露出されていないサンプルのスペクトルでは、3400cm-1付近の広いピークと1650cm-1の弱いピークが観察されるが、これは水分によるピークで、200℃以上の高温に露出されながら、そのピークは消滅して水分が除去されたことが確認できる。二番目に、1450cm-1のピークは、NaCOによって表れるピークであり、Na成分が大気中の二酸化炭素と反応して生成され、そのピークも高温に露出されながら、消えることが観察される。
【0071】
3. XRD
図18は、高温に露出された46FA30サンプルの温度別XRDスペクトルを示した結果である。露出温度別に結晶相の種類の変化はないが、ピークの強さ(強度)が異なってくる。200℃に露出されながら、石英(quartz)の結晶相のピークは強くなってから、露出の温度が高くなるほど強さが弱まる傾向を表す。200℃は、結晶化が起こるのには、比較的低い温度であるため、結晶の形成よりは、シラノール基やシロキサンなどのような結合が変形されながら、そのピークが強く表れたものであると思われる。300℃以上の高温に露出されながら、そのピークの強度は、再び減少して非晶質形態を有することが観察される。前記のFTIR分析の結果から、200~300℃でのメインピークの波長数が増加してから減少する傾向と関連している。
【0072】
4. バルク密度と空隙率
200~500℃に露出された試片はすべて膨張されたため、膨張された部分をダイヤモンドの鋸刃で切り出して、5cmの立方体のサンプルとして用意して物性を測定した。図19で露出温度が上昇しながら、サンプルが膨張してバルク密度が減少してから、収縮が始まる500℃で増加する傾向を示す。図20の空隙率の結果は、バルク密度と反対の傾向を示し、サンプルの膨張および収縮の傾向とよく一致する。
【0073】
5. 熱伝導度
図21は、200~600℃に露出された46FA30サンプルの熱伝導度の結果を示しているグラフである。200℃に露出されながら、物理的に存在していた水分が蒸発し、同時にサンプルが膨張するにつれて、熱伝導度は、0.243W/mKから0.133W/mKに大きく減少した。以後、300~400℃に露出されながら、熱伝導度はさらに低くなるが、これは上で見たシラノール基の脱ヒドロキシ(dehydroxylation)に起因してサンプルが膨張されて示された結果である。しかし、400℃露出後の熱伝導度は、0.109W/mKで、常温~200℃の区間で減少した熱伝導度の変化量に比べて少ない減少量を示している。これは物理的に存在していた水分の除去が熱伝導度の減少に大きく寄与し、以後、化学的に存在する水分の除去と脱ヒドロキシ(dehydroxylation)によるサンプルの膨張は、比較的少なく寄与することを意味する。
【0074】
6. 圧縮強度
200~500℃に露出された46FA30の圧縮強度の結果を図22に示した。露出温度が400℃まで上昇するにつれて、膨張で非常に空隙率の高い構造が形成され、これにより圧縮強度は減少する傾向を示す。しかし、500℃でのサンプルの収縮が進行されながら圧縮強度は再び増加することになる。
【0075】
7. SEM
図23は、46FA30サンプルと、200~600℃の高温に露出されたサンプルとのSEMイメージである。図23(b)のサンプルから空隙の内部に多数の凸形の気泡構造が観察されるが、これは前記の熱分析で説明したように化学的に結合された水分の蒸発とシラノール基の脱ヒドロキシ(dehydroxylation)の結果として、水蒸気が生成・形成された構造である。マトリックス部分でもこのような反応が進行されて微細空隙が形成されており、このような気泡と微細空隙構造が、熱伝導度の上昇と圧縮強度の下落をもたらした。この凸形の気泡構造は、400℃以上では破壊された形状を示し、気泡が破壊された位置に微細孔が形成される。600℃に露出されたサンプルでは、この微細孔がかなり減ってサンプル収縮が進んでいることを確認することができる。したがって、これらの結果をもとに、高温に露出されたサンプルの収縮は、気泡の破壊と微細孔の減少を経て進行されると推測することができる。
【0076】
以後の実験では、深刻な収縮が発生する600℃を除いて、200~500℃の温度範囲内でのサンプルの熱物性の変化が調べられた。
【0077】
<試験例3> シリカヒュームを添加した石炭灰ベースのジオポリマーフォームの高温における物性変化(L/S比率による物性変化)
【0078】
1. 巨視的構造観察
L/S比率による熱物性の変化を観察するためにFA30グループのすべてのサンプルを、200~500℃に露出させており、代表的に、400℃に露出されたサンプルの上部と垂直断面の写真を図24に示した。すべてのサンプルは膨張しており、L/S比率の増加に伴って残余の水ガラスが多く存在するため、より高いレベルに膨張した。膨張後のサンプルは、上部が多く膨張された形状を示し、L/S比率の高いサンプルであればあるほど、このような形状が著しく表れる。このような膨張は、ジオポリマーフォームの非均質性に起因する。
【0079】
2. バルク密度と空隙率
図25及び図26に、200~500℃の温度に露出されたFA30グループのサンプルのバルク密度と空隙率の結果をL/S比率に基づいて示した。同様に、L/S比率の高いサンプルに残りの水ガラスが多く存在するため、膨張によりバルク密度が大きく低くなり、50FA30が400℃に露出されたときに、0.417g/cmの最低バルク密度が達成された。図26の空隙率の結果は、バルク密度と反対の傾向を示す。
【0080】
3. 熱伝導度
FA30グループのサンプルについての200~500℃の高温露出後の測定された熱伝導度の結果をL/S比率に対して以下の図27に示した。200℃露出後、すべてのサンプルにおいて熱伝導度の大きな減少が起こり、300℃および400℃に露出されながら、熱伝導度は、さらに減少してから500℃に露出された後、再び増加する傾向を示す。特に200℃への露出後、L/S比率0.44以上のサンプルで熱伝導度の大きな減少を示すが、これは高いL/S比率によりジオポリマーフォーム内に存在していた多くの残留水分が高温露出後、蒸発しながら表れた結果である。以後、露出温度が400℃に上昇しながら、高いL/S比率のサンプルは、比較的熱伝導度が大きく減少され、50FA30サンプルで0.0996W/mKの最低の熱伝導度を達成した。しかし、500℃に露出されると、むしろ高いL/S比率のサンプルの熱伝導度が、比較的高いレベルに上昇して低いL/S比率のサンプルの熱伝導度と類似になった。このような結果は、L/S比率の増加に応じて、サンプルの膨張程度は増加するが、同時に収縮の程度も増加できることを暗示する。
【0081】
4. 圧縮強度
200~500℃の高温に露出されたFA30グループのサンプルの圧縮強度の結果を以下の図28に示した。200℃に露出されたサンプルは、L/S比率が増加しながら、圧縮強度は減少する傾向を示すが、300℃以上に露出された後は、特別な傾向を示さない。これはサンプル別の膨張と収縮が始まる温度とその程度に差があるためであると思われる。
【0082】
5. SEM
図29は、400℃に露出されたFA30グループのL/S比0.38、0.42、0.46および0.50のサンプルのSEMイメージである。低いL/S比率のサンプルでは、比較的スムーズな空隙の表面が観察される。一方、L/S比率が増加するほど残留の水ガラスが多く存在し、緻密ではないジオポリマーが形成されるため、微細気泡と空隙が増加することを確認することができる。微細気泡と空隙は、熱伝導度を下げる要因であるため、前記の熱伝導度の結果でL/S比率が高くなりながら低くなった結果とよく一致する。
【0083】
<試験例4> シリカヒュームを添加した石炭灰ベースのジオポリマーフォームの高温における物性変化(フライアッシュ含有量による物性変化)
【0084】
1. 巨視的構造観察
フライアッシュ含有量に応じて、高温に露出されたときに表れるフォームの構造および物性の変化を観察するために、FA10、FA30およびFA50のグループのサンプルを高温に露出させた。前の実験結果の最も低いバルク密度を達成することができた温度条件である400℃に露出させており、各グループ別のすべてのL/S比率に対して調査された。まず、フォーム構造の変化を観察するために、各グループ別に代表的なサンプルを46FA10、46FA30および46FA50に決定しており、そのサンプルの上部と垂直断面の写真を撮影してその結果を図30に示した。高温露出後、すべてのサンプルは膨張しており、膨張の程度はフライアッシュの含有量が低いほど大きくなった(46FA10)。同じL/S比率である0.46の条件にもかかわらず、このような差が発生するのは、ボトムアッシュの粒子の反応性が低いからである。相対的に、ジオポリマー反応がよく起こることができなかったため、反応できなくて残りの水ガラスが多量に存在しており、大きな膨張を引き起こした。フライアッシュが多く添加されたサンプルである図30(c)は、高温露出後にも構造が大きく変わらず、比較的高い熱安定性を有した。
【0085】
2. バルク密度と空隙率
400℃に露出されたFA10、FA30はおよびFA50のグループのバルク密度と空隙率の結果をそれぞれ図31図32に示した。同様に、フライアッシュの含有量が低いほど(FA10)、そしてL/S比率が高ければ高いほど残留水ガラスが多く存在してバルク密度が大幅に減少する。サンプルグループ別に達成することができる最小のバルク密度は、L/S比率0.50の条件で、FA10:0.336g/cm、FA30:0.417 336g/cmおよびFA50:0.487 336g/cmである。図32の空隙率の結果は、バルク密度と反対の傾向を示す。
【0086】
3. 熱伝導度
400℃に露出されたFA10、FA30およびFA50グループの熱伝導度の測定結果を図33に示した。各グループは、L/S比率が高くなるほど低くなる傾向を示しており、各グループ別最低の熱伝導度は、FA10:0.0895W/mK、FA30:0.0996W/mKおよびFA50:0.125W/mKを達成した。FA50グループは熱安定性を有する代わりに、高温露出時、膨張が小さく起こるため、高い熱伝導度を有する。逆にFA10グループは、比較的ジオポリマー化反応が少なく起こる代わりに、多量の残留水ガラスが残っているため、高温に露出されたときに大きく膨張して、低い熱伝導度を有する。これらの結果は、フライアッシュ/ボトムアッシュの量とアルカリ活性化剤の量を調節して、フォーム構造の内部の水分と残留水ガラス量を変化させることにより、高温露出時に、得られる熱伝導度が調節できることを意味する。
【0087】
4. 圧縮強度
400℃に露出されたFA10、FA30およびFA50グループの圧縮強度の測定結果を図34に示した。前記した高温に露出されていないサンプルのグループは、フライアッシュの量に関係なく類似した圧縮強度を有したが、400℃露出後の圧縮強度は、フライアッシュが少なければ少ないほど減少する傾向を示す。これは、同様に残りの水ガラスにより大きなレベルの膨張が起こったからである。
【0088】
5. SEM
図35は、46FA10、46FA30および46FA50サンプルのそれぞれ50倍率(図35(a)~(c))と200倍率(図35(d)~(f))で撮影したSEMイメージを示す。46FA10サンプル(図35(a))は、空隙の内部に無数の微細気泡が観察され、空隙壁の厚さが膨張により厚くなったことが確認される。残りの46FA30および46FA50サンプルに行くほど、このような微細気泡は減って相対的にスムーズな空隙内部が観察され、小さなレベルの膨張により、比較的薄い空隙壁が観察される。このようなサンプルのグループ別構造の差が前に確認したバルク密度と熱伝導度の傾向をもたらした。
【0089】
<結論>
【0090】
本発明では、シリカヒュームを発泡剤として添加した石炭灰ベースのジオポリマーフォームを合成した。フォームの垂直断面の観察とともに原料の配合比に応じたフォーム形成のメカニズムを議論しており、これをもとにバルク密度、空隙率、熱伝導度、圧縮強度、並びにSEM/EDS分析結果を考察した。しかし、このように合成されたジオポリマーフォームは、低バルク密度を有するにもかかわらず、残りの水分と水ガラス構造により高い熱伝導度を示しており、これによってジオポリマーフォームを高温に露出させる研究を行った。まず、基準サンプルを200℃、300℃、400℃、500℃および600℃に露出させており、それに伴うバルク密度、空隙率、熱伝導度、圧縮強度、並びに微細構造の変化を調べた。高温露出時に発生する物理化学的変化を分析するために、TG/DTG、DIL、ATR-FTIR、XRDおよびSEMの分析を遂行してそのメカニズムを把握し、これをもとに、高温での物性変化の結果について議論した。高温露出温度、L/S比率、フライアッシュの含有量が、高温に露出されたジオポリマーフォームの物性変化に及ぼす影響を調査しており、それに伴う結果は次の通りである。
【0091】
(1)フライアッシュの含有量が少なくなってL/S比が増加しながら、大きな空隙からなる多孔性構造のジオポリマーフォームが形成された。それに応じてバルク密度と圧縮強度は、増加するL/S比率に応じて減少する傾向を示したが、熱伝導度は、残りの水分と水ガラスの硬化体により一定のL/S比率以上で増加した。SEM/EDS分析の結果のことから、空隙構造の表面の近所には、硬化された構造の残りの水ガラスがかなり存在し、フライアッシュの含有量が低い試片であればあるほど、ボトムアッシュの低い反応性で残留水ガラスの硬化体が多量に存在した。その結果、バルク密度:0.608~0.837g/cm、熱伝導度:0.189~0.269W/mK、並びに圧縮強度:3.50~6.39MPaの物性を示した。
【0092】
(2)ジオポリマーフォームの試片は、200~400℃に露出されながら膨張されており、400℃で最大に膨張した。しかし、500~600℃に露出されながら収縮が進行された。ジオポリマーフォームは、主に残りの水ガラスの硬化体に存在するシラノール基の反応生成物である水蒸気によって膨張されており、このような膨張は、残りの水分の除去とともに低い熱伝導度に寄与した。しかし、水ガラスの硬化体が高温で軟化及び焼結されるにつれて、フォームの収縮が発生して熱伝導度は再び増加した。
【0093】
(3)L/S比率が高く、フライアッシュの含有量が少ない試料であればあるほど、膨張が比較的低い温度から始まっており、膨張の程度が大きかった。これは、残存の水ガラスの硬化体が多量に存在して表れた結果であり、それに応じてバルク密度、熱伝導度、圧縮強度は減少した。本研究では、400℃に露出された50FA10試片で最も低いバルク密度0.335g/cmと熱伝導度0.0895W/mKを達成しており、圧縮強度は0.739MPaであった。なお、収縮も比較的低い温度から開始されており、急激に収縮される傾向を示した。総合的に、400℃の高温に露出されたジオポリマーフォームは、バルク密度:0.335~0.672g/cm、熱伝導度:0.0895~0.165W/mK、並びに圧縮強度:0.789~3.55MPaの物性を示した。
【0094】
結論として、シリカヒュームが添加された石炭灰ベースのジオポリマーフォームは、シリコンの反応により生成された水素ガスでフォームを形成し、ボトムアッシュおよびフライアッシュの割合とアルカリ活性化剤の量に応じて多様な物性を示した。オーブン養生だけを経たジオポリマーフォームには、残りの水分と水ガラスの硬化体が存在して熱伝導度を高める原因となったが、高温に露出させて残りの水分を除去し、水ガラス硬化体の反応を誘導することにより、熱伝導度を大きく下げることができた。具体的には、シリカヒュームにより膨張されたジオポリマーフォームは、高温に露出されながら、物理化学的水分によってさらに膨張しながら、0.0895W/mKの非常に低い熱伝導度を達成することができた。このような結果は、原料の配合比と高温の露出温度を調節することにより、多様な物性のジオポリマーフォームを合成することができることを示している。なお、アルミパウダーを使用する既存のフォーム合成法で必要とした界面活性剤が使用されていないため、高温でも有害物質を排出しない無機断熱材としての使用が期待される。
【0095】
本発明の結果は、シリカヒュームを活用して優れた物性の石炭灰ベースのジオポリマーフォームを合成することができることを示している。なお、ボトムアッシュ、フライアッシュおよびアルカリ活性化剤の量を調節し、高温の露出温度を調節することにより、フォームの構造と物性を調整することができることを示し、これまでに広く活用されることがなかったボトムアッシュを、機能性無機断熱材の製造に多量に使用することで、ボトムアッシュの活用範囲を高めることができると期待される。
【0096】
以上の説明は、本発明を例として説明したことに過ぎず、本発明に属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。したがって、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例により本発明の技術的思想と範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内のすべての技術は、本発明の権利範囲に含まれているものと解釈されるべきである。




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35